JP6440544B2 - コーティング剤、導電性樹脂膜、電子写真用部材及び電子写真用部材の製造方法 - Google Patents
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Description
該重合性化合物が、(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートであり、
該分散剤が、3級アミンであり、
該重合性化合物の分子内において、該水酸基の酸素原子と該酸素原子から最も遠い原子との原子間距離をD1とし、
該分散剤の分子内において、該窒素原子と該窒素原子から最も遠い原子との原子間距離をD2としたとき、D1及びD2が、下記式(1)で示す関係を満たしているコーティング剤が提供される。
[(|D1−D2|)/D2]≦0.30 式(1)
(a)上記のコーティング剤の塗膜を基体上に形成する工程と、
(b)工程(a)で形成した該塗膜を硬化させて導電性の樹脂膜を形成する工程と、を有し、
該工程(a)を、複数の基体に対して繰り返し行うことにより複数の電子写真用部材を製造する電子写真用部材を量産する方法が提供される。
式(1)
[(|D1−D2|)/D2]≦0.30
以下に本発明に係るコーティング剤について詳述する。
本発明に係るコーティング剤は、水酸基を分子内に有する重合性化合物、分子内に窒素原子を有する分散剤で表面を処理された導電性の無機粒子及び溶剤を含む。
水酸基を含む重合性化合物であれば特に限定されないが、電子写真用部材に用いるには耐摺擦性及び硬度の観点から、(メタ)アクリレート、及び、ウレタン(メタ)アクリレートが好適に用いられる。中でも、(メタ)アクリレートが特に好ましい。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタアクリレートを表す。
(無機導電性粒子)
本発明に係る導電性の無機粒子としては特に限定されないが、以下に具体例を列挙する。
アンチモン酸亜鉛粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子、アンチモンドープ酸化すず粒子、インジウムドープ酸化すず粒子、リンドープ酸化すず粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子、ニオブドープ酸化すず粒子、フッ素ドープ酸化すず粒子、ガリウムドープ酸化すず粒子。中でも、アンチモン酸亜鉛粒子が特に好適に用いられる。また、上記の無機導電性粒子の中から、複数種を用いても良い。
分子内に窒素原子を有する分散剤としては、アミン系の分散剤が挙げられる。以下に具体例を列挙する。
分散剤で処理された無機粒子は、無機粒子、分散剤及び溶剤からなる混合物を、ビーズミル等で一定時間混合することにより得ることができる。また、分散処理されたスラリー状の市販の製品を用いることもできる。
また、分散剤の配合量は、無機粒子の配合量に応じて適宜調整すればよいが、無機粒子100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、更に好ましくは1〜3質量部である。分散剤の配合量を上記の範囲とすることによって、コーティング剤中における無機粒子の分散性を十分に確保しつつ、樹脂膜からの分散剤の過度の浸み出しの発生を抑えられる。
水酸基を分子内に有する重合性化合物及び分子内に窒素原子を有する分散剤を選択するに当たっては、重合性化合物分子と分散剤分子との大きさを同程度に揃えることが肝要である。
式(1)
[(|D1−D2|)/D2]≦0.30
D1及びD2は、下記式(2)で示される関係を満たすことがより好ましい。
式(2)
[(|D1−D2|)/D2]≦0.24
溶剤の種類は、重合性化合物及び無機導電性粒子に合わせて、安定して溶解及び分散できる溶剤を適宜選択する。例としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノールの如きアルコール類;アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノンの如きケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートの如きエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの如きエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド類を挙げることができる。中でも、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トルエン、キシレンが挙げられ、特にケトン類、その中でも、2−ブタノンが好ましい。なお、蒸発速度調整や粘度調整のため、複数の溶剤を使用することも可能である。
コーティング剤には必要に応じて下記成分を配合することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物(熱重合開始剤)、及び放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物(放射線(光)重合開始剤)を挙げることができる。
コーティング剤には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の成分を添加することができる。例えば、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充フィラー、顔料を配合できる。
コーティング剤の調合方法は特に限定されないが、無機粒子が粒子状物質であり、重合性化合物が高粘度な場合が多いので、両者を均一に混合するためには下記のように製造するのが好ましい。
本発明に係るコーティング剤は、基体上に塗布し硬化させることによって導電性樹脂膜とすることができ、該導電性樹脂膜は、帯電防止フィルム、及び、中間転写ベルトの電子写真用部材に用いることができる。
基体a1の厚みは、10μm以上500μm以下、特には、30μm以上150μm以下が一般的である。
上記の基体の上に形成した、上記のコーティング剤の塗膜を硬化させることによって表面層を形成する。
この場合において、放射線としては、重合開始種を発生させうるエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、α線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線が含まれる。なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特には、紫外線が好ましい。
(コーティング剤No.1の調合)
下記表2に記載の各成分を秤量して、容器に注入し、マグネティックスターラーにより100rpmで30分攪拌をおこなうことにより、トリ−n−オクチルアミンで表面処理したアンチモン酸亜鉛を含むスラリーを得た。
アンチモン酸亜鉛の量を45質量部に変え、トリ−n−オクチルアミンをトリ−n−プロピルアミンとし、配合量を0.45質量部に変えた以外は、コーティング液No.1と同様にして比較例1に係るコーティング剤No.C1を得た。
アンチモン酸亜鉛の量を43質量部に変え、トリ−n−オクチルアミンをトリ−n−ブチルアミンとし、配合量を0.43質量部に変えた以外は、コーティング液No.1と同様にして比較例2に係るコーティング剤No.C2を得た。
上記コーティング剤No.1並びにコーティング剤No.C1及びC2について、重合性化合物の水酸基の酸素原子と該酸素原子から最も遠い原子との原子間距離(D1)、分散剤の分子内において、該窒素原子と該窒素原子から最も遠い原子との原子間距離(D2)を、前記したようにMM2で構造最適化を行った重合性化合物及び分散剤の各分子について、分子力学法(MM法)により計算して求めた。また、(|D1−D2|)/D2の値を算出した。結果を表4に示す。
上記コーティング剤No.1並びにコーティング剤No.C1及びC2について、調合した日の翌日を1日目として、61日を経過するまで、無機粒子の平均粒子径を測定し、無機粒子の分散状態の経時変化を観察した。なお、無機粒子の平均粒子径の測定は、粒径測定装置(商品名:ELSZ1000−ZS、大塚電子株式会社製)を用い、解析はキュムラント法解析で行った。結果を表5に示す。
(電子写真用ベルトNo.1−1、1−2の作製)
〔基体の作製〕
まず、二軸押出し機(商品名:TEX30α、日本製鋼所(株)社製)を用いて、下記表6に記載の樹脂材料を熱熔融混練して、熱可塑性樹脂組成物を調合した。熱熔融混練温度は260℃以上280℃以下の範囲内となるように調整し、熱熔融混練時間はおよそ3〜5分とした。得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化し、温度140℃で6時間乾燥させた。次いで、射出成形装置(商品名:SE180D、住友重機械工業(株)製)に、乾燥させたペレット状の熱可塑性樹脂組成物を投入した。そして、シリンダ設定温度を295℃として、温度が30℃に温調された金型内に射出成形してプリフォームを作製した。得られたプリフォームは、外径が20mm、内径が18mm、長さが150mmの試験管形状を有していた。
次いで、上記ブロー成形で得た2つの基体を各々円筒状の型の外周にはめ込み、端部をシールした。そして、調合直後のコーティング剤No.1で満たした容器に型ごと浸漬し、コーティング剤No.1の液面と基体との相対速度が一定になるように引き上げることで、基体表面にコーティング剤の塗膜を形成した。求められる表面層の膜厚に応じて、引き上げ速度(コーティング剤の液面と基体の相対速度)とコーティング剤の溶剤比等を調整する。実施例1では、引き上げ速度を10〜50mm/秒の範囲内で、表面層の膜厚が2μm程度になるように調整した。
コーティング剤No.1をコーティング剤No.C1に変えた以外は、電子写真用ベルトNo.1−1、1−2の製造方法と同様にして、比較例1に係る電子写真用ベルトを作製した。ここで、調合直後のコーティング剤No.C1を用いて作製した電子写真用ベルトをNo.C1−1、調合からの経過日数が30日目のコーティング剤No.C1を用いて形成した電子写真用ベルトを電子写真用ベルトNo.C1−2と称する。
コーティング剤No.1をコーティング剤No.C2に変えた以外は、電子写真用ベルトNo.1−1、1−2の製造方法と同様にして、比較例2に係る電子写真用ベルトを作製した。ここで、調合直後のコーティング剤No.C2を用いて作製した電子写真用ベルトをNo.C2−1、調合からの経過日数が30日目のコーティング剤No.C2を用いて形成した電子写真用ベルトを電子写真用ベルトNo.C2−2と称する。
調合からの経過日数が、30日目のコーティング剤を用いて作製した樹脂膜の電気抵抗値の上昇を経時変化の指標とする。すなわち、電子写真用ベルトNo.1−1と電子写真用ベルトNo.1−2の表面抵抗率を測定し、測定値の常用対数をとって、その差分を経時変化の値とした。
実施例1に係る電子写真用ベルトNo.1−1及び電子写真用ベルトNo.1−2を各々レーザビームプリンタ(商品名:LBP−5200、キヤノン(株)製)の中間転写ユニットに中間転写ベルトとして装着して、温湿度15℃10%RH環境下で、A4サイズ用紙(商品名:Canon Extra Multifunctional Paper80g/m2、キヤノン(株)製)を用いて画像出力を行った。画像については、マゼンタのハーフトーン画像とした。電子写真用ベルトNo.1−1を用いて得られたハーフトーン画像の100枚目及び電子写真用ベルトNo.1−2を用いて得られたハーフトーン画像の100枚目について、放電起因のトナーの散りによる画像ムラの有無を確認した。その結果、電子写真用ベルトNo.1及び電子写真用ベルトNo.1−2については、トナーの飛び散りによる画像ムラが見られず、良好な画像が得られた。
コーティング剤の原材料及び配合量を、下記表8に示したように変更した以外はコーティング剤No.1と同様にして、実施例2〜5に係るコーティング剤No.2〜5及び比較例3〜7に係るコーティング剤No.C3〜C7を調合した。
ランク1: トナーの散りによる画像ムラが、調合からの経過日数が30日目のコーティング剤を用いて形成した電子写真用ベルトにも見られない
ランク2: トナーの散りによる画像ムラが、調合からの経過日数が30日目のコーティング剤を用いて形成した電子写真用ベルトにおいて見られる
a2 表面層
31 導電性の無機粒子
33 分子内に窒素原子を有する分散剤
35 水酸基を分子内に有する重合性化合物
41 分子内に窒素原子を有する分散剤
43 水酸基を分子内に有する重合性化合物
Claims (8)
- 水酸基を分子内に有する重合性化合物、分子内に窒素原子を有する分散剤で表面を処理された導電性の無機粒子、及び溶剤を含有するコーティング剤であって、
該重合性化合物が、(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートであり、
該分散剤が、3級アミンであり、
該重合性化合物の分子内において、該水酸基の酸素原子と該酸素原子から最も遠い原子との原子間距離をD1とし、
該分散剤の分子内において、該窒素原子と該窒素原子から最も遠い原子との原子間距離をD2としたとき、
D1及びD2が、下記式(1)で示す関係を満たしていることを特徴とするコーティング剤:
[(|D1−D2|)/D2]≦0.30 式(1)。 - 前記D1及びD2が、下記式(2)で示す関係を満たしている請求項1に記載のコーティング剤:
[(|D1−D2|)/D2]≦0.24 式(2)。 - 前記重合性化合物が、ペンタエリスリトールトリアクリレートである請求項1または2に記載のコーティング剤。
- 前記分散剤が、トリ−n−オクチルアミンである請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーティング剤。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコーティング剤を基体上に塗布し硬化させてなる導電性樹脂膜。
- 請求項5に記載の導電性樹脂膜を有する電子写真用部材。
- 基体と該基体上に形成された樹脂膜とを有する電子写真用部材の製造方法であって、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコーティング剤を該基体上に塗布し塗膜を形成する工程と、該塗膜を硬化させる工程と、を有することを特徴とする電子写真用部材の製造方法。
- 基体と該基体上に形成された導電性の樹脂膜とを有する電子写真用部材を量産する方法であって、
(a)請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコーティング剤の塗膜を基体上に形成する工程と、
(b)工程(a)で形成した該塗膜を硬化させて導電性の樹脂膜を形成する工程と、を有し、
該工程(a)を、複数の基体に対して繰り返し行うことにより複数の電子写真用部材を製造することを特徴とする電子写真用部材を量産する方法。
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