JP2007316371A - 中間転写体とそれを用いた画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】中間転写体の表面層内に無機微粒子が均一に分散でき、画像ムラのないハーフトーンを得ることができる中間転写体と、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】静電潜像担体に担持されたトナー像を、中間転写体70に1次転写した後、該トナー像を中間転写体から転写材へ2次転写する画像形成装置の中間転写体が、少なくとも基材層701と表面層702を有する積層構造の中間転写体であって、前記表面層が有機硬化樹脂と、少なくとも1種類以上の無機微粒子と、以下の式で規定される分散助剤を少なくとも1種類以上含有することを特徴とする中間転写体。 |酸価の総和−アミン価の総和|≦30mgKOH/g
【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写体に1次転写した後、該トナー像を中間転写体から転写材へ2次転写する画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
近年、フルカラー画像の複写やプリントが可能な電子写真方式の画像形成装置が実用化されている。特にフルカラー画像の転写材への転写方式としては、中間転写体を用いた2次転写方式が、ペーパーフリー性や全面コピーが可能等の点で有利であり、多用されている。
中間転写体2次転写方式とは、感光体等の静電潜像担持体上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色画像を、中間転写体上に順次重ね合わせて転写し、転写されたフルカラーのトナー像を一括して転写材に転写する方式であり、中間転写方式とも呼ばれるものである。
しかしながら、従来、中間転写体に用いられていた熱可塑性樹脂、例えばポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等は特に高温高湿環境において、十分な2次転写性が得られなかった。上記課題に対する解決策として、これまで、積層構造の中間転写体による改善が試みられ、特に表面層の低表面エネルギー化についての検討が行われてきた。しかし、2次転写率を向上させると、耐傷性が低下してしまうなど、十分な改善効果を得ることはできなかった(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開2003−330216号公報 特開2004−21188号公報 特開2004−4504号公報 特開2005−99182号公報
本発明は上記問題を解決する為になされた。本発明の目的は、中間転写体の表面層内に無機微粒子が均一に分散でき、耐久性が高く、画像ムラのないハーフトーンを得ることができる中間転写体と、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
本発明の目的は、下記構成のいずれかを採ることにより達成される。
1.
静電潜像担体に担持されたトナー像を、中間転写体に1次転写した後、該トナー像を中間転写体から転写材へ2次転写する画像形成装置の中間転写体が、少なくとも基材層と表面層を有する積層構造の中間転写体であって、前記表面層が有機硬化樹脂と、少なくとも無機微粒子と、以下の式で規定される分散助剤を含有することを特徴とする中間転写体。
|酸価の総和−アミン価の総和|≦30mgKOH/g
2.
前記無機微粒子が、導電性の無機微粒子であることを特徴とする1記載の中間転写体。
3.
前記有機硬化樹脂が、アクリル酸樹脂であることを特徴とする1又は2記載の中間転写体。
4.
前記無機微粒子の粒径が、10〜100nmであることを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載の中間転写体。
5.
前記無機微粒子がZn、Sn、Siから選ばれる元素を含むことを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載の中間転写体。
6.
1〜5のいずれか1項に記載の中間転写体を用いることを特徴とする画像形成方法。
7.
1〜5のいずれか1項に記載の中間転写体を用いることを特徴とする画像形成装置。
本発明者らは、十分な2次転写性を得、画像ムラを抑制するためには、中間転写体の表面を硬く、かつ、中間転写体の表面抵抗を均一にすることが有効であることを見いだした。特に2次転写性については、中間転写体の表面層を高硬度化すると、押圧に対する変形が少なくなるため、中間転写体からトナー像を2次転写体へ転写する際に、転写圧を加えても中間転写体はあまり変形しない。このため、良好な2次転写性が得られるものと考えられる。また、表面抵抗についても面内のばらつきを減らすことで、画像ムラも抑制できることがわかった。
高硬度化の手段として無機微粒子を使用したり、所望の抵抗に調整するために導電微粒子を使用したりするなど、中間転写体の主要構成成分に対し微粒子を添加することも考えられる。しかし、主要構成成分の有機硬化樹脂中に微粒子を均一に分散することは、凝集や沈降、不均一化が発生するため困難である。不均一な分散状態で表面層を作製すれば、当然のことながら、抵抗の均一性も得られず、画像ムラなどの不具合を誘発する。
発明者らは、種々の材料を検討した結果、表面層中に無機微粒子を分散させるためには、酸価とアミン価をある程度有する化合物の存在が有効であることを見出した。特に酸価とアミン価の範囲を適切に制御することが、表面中に微粒子を均一分散できる重要な要件があることを見出した。そして無機微粒子が均一分散された表面層では、画像ムラがない均一な出力画像が得られることを見出した。これは、酸価とアミン価の基になる官能基がそれぞれ無機微粒子表面と、主要構成成分である有機硬化樹脂の双方に作用し電気的に安定化させるためと考えられる。さらに、この酸価とアミン価のバランスがどちらか片方へ極度に偏ることは、電荷バランスを崩すことにもなるため好ましくない。
即ち、画質の均一化の観点からは、表面抵抗を均一化するため、主要構成成分である有機硬化樹脂に無機微粒子を均一分散することが望ましい。無機微粒子が導電性を有し、分散粒子径が一定の大きさに保たれることは電荷バランスの観点から好ましく、またこれら微粒子との相溶性に優れる硬化アクリル酸樹脂を用いるとさらに好ましい。さらに、SiやZn、Snなど特定の元素を含んだ粒子を用いると表面層を設置するための塗布液の寿命を伸ばすことができることが判明した。
本発明により、中間転写体の表面層内に無機微粒子が均一に分散でき、画像ムラのないハーフトーンを得ることができる中間転写体と、耐久性が高く、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することが出来る。
次に、本発明に用いられる化合物、あるいは画像形成方法・装置についてさらに説明する。
〔中間転写体の層構成〕
本発明の中間転写体の層構成は、基材層上に表面層を有する構成が好ましく、必要に応じ基材層と表面層の間に、基材層と表面層の接着性をより良くする目的で中間層を設けても良い。図1は、中間転写体の層構成の一例を示す概念断面図である。
図1において、70は中間転写体、701は基材層、702は表面層を示す。
本発明の中間転写体の製造方法は、熱線、活性光線、電子線の少なくとも1種を照射して表面層を硬化する工程を有する方法が好ましい。
中間転写体の厚さは、その使用目的などに応じて適宜決定しうるが、一般には強度や柔軟性等の機械特性を満足する5〜500μmが好ましく、10〜300μmがより好ましく、20〜200μmが更に好ましい。
尚、本発明において、表面とは静電潜像担持体に担持されたトナー像が転写される面のことをいう。
次に、本発明の中間転写体の基材層、表面層の組成、中間転写体の作製方法について説明する。
以下、まず中間転写体を構成する各層について説明する。
〔基材層〕
本発明に係る基材層は特に限定されず、公知の材料を用い、公知の形成方法で作製することができる。
公知の材料としては、金属でも良いが、好ましくは、例えばポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン等の樹脂材料、或いはポリフェニレンサルファイドを主成分とする樹脂等が挙げられる。
形成方法としては、樹脂を溶剤に溶解した塗布液を塗布して形成する方法、樹脂を直接製膜する方法が挙げられるが、樹脂を直接製膜する方法が好ましい。
樹脂を直接製膜して基材層を形成する方法としては、押し出し成形、インフレーション成形等がある。何れの場合も樹脂材料と各種導電性物質を溶融混練して、押し出し機の場合は樹脂を押し出して冷却成形し、インフレーション法の場合は型内で溶融樹脂を筒状とし、その中にブロアーで空気を吹き込み、冷却して無端ベルト形状に成形することにより作製することができる。
以下、ポリフェニレンサルファイドを主成分とする樹脂を用いる基材層を、押し出し成形法で作製する方法について具体的に説明する。
ポリフェニレンサルファイドを主成分とする基材層は、ポリフェニレンサルファイド、エポキシ基含有オレフィン共重合体とビニル系(共)重合体とからなるグラフト共重合体、導電性フィラー及び滑材から形成されている。
本発明で使用されるポリフェニレンサルファイド(PPS)は、フェニレン単位と硫黄原子が交互に並んでなる構造を有する熱可塑性のプラスチックである。
フェニレン単位は置換基を有していても良いo−フェニレン単位、m−フェニレン単位又はp−フェニレン単位であり、それらが混合されていても良い。好ましいフェニレン単位は少なくともp−フェニレン単位を含み、その含有量は全フェニレン単位に対して50%以上である。フェニレン単位は特に無置換p−フェニレン単位のみからなっていることが好ましい。
本発明に使用される導電性フィラーとしては、カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックとしては、中性カーボンブラックを使用することができる。導電性フィラーの使用量は、使用する導電性フィラーの種類によっても異なるが中間転写体の体積抵抗値及び表面抵抗値が所定の範囲になるように添加すれば良く、通常、ポリフェニレンサルファイド100質量部に対して10〜20質量部、好ましくは10〜16質量部である。
本発明に使用される滑材は、中間転写体への成形加工性を改良させるものであり、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等の脂肪族炭化水素系、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸、該高級脂肪酸のナトリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩等の高級脂肪酸金属塩等である。これらの滑材は単独で用いても良く、また二種以上のものを併用しても良い。滑材の使用量はポリフェニレンサルファイド100質量部に対して0.1〜0.5質量部、好ましくは0.1〜0.3質量部が好適である。
本発明に係る基材層は、単軸押し出し機に環状ダイスを取り付け、該押出機に上記した材料からなる混合物を投入し、環状ダイス先端のシームレスベルト形状の樹脂吐出口より溶融樹脂組成物を押し出し、その後冷却機構を有する冷却筒に外挿することにより樹脂を固化させて、シームレス円筒形状に容易に成形することができる。
このとき、結晶化を起させない工夫として、金型からベルトが吐出された直後に水、エアー、冷却された金属ブロック等で冷却を行うことが好ましい。具体的には金型に断熱材を挟んで付設された冷却筒を用い、これによりベルトの熱を急速に奪う。冷却筒の内側には常に30℃以下に温度調整された水を循環させている。また、金型から吐出されたベルトを高速で引き取ることにより、薄膜化して冷却速度を高めても良い。この場合、引き取り速度は1m/分以上、特に2〜7m/分が好ましい。
環状ダイスの径Dと冷却筒の径dの比、D/dが0.9〜1.1である場合に環状ダイスから冷却筒へ押し出された樹脂を外挿入しながら引き取り装置により引き取る。その際、D/dが0.9〜0.98の場合は冷却筒に樹脂を沿わすために環状ダイスから冷却筒の間に真空引きすることが必要となる。しかし、D/dが0.99〜1.02の場合は環状ダイスから冷却筒の間での真空引きをすることなく冷却筒に樹脂を沿わすことができ、また真空引きでの脈動が起こらず、引き取り方向での膜厚変動が起こり難いという利点がある。
尚、基材層用樹脂としては、この他に例えばポリイミド樹脂を用いても無論同様に作製することが出来る。
基材層としては、表面層の塗布溶媒にやや膨張するものが接着性の観点からは好ましい。その点で、接着性の観点からはPPSやポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましい。
〔表面層〕
本発明に係る表面層に樹脂としては、これに限定されるわけではないが、その主要成分として硬化メタアクリル酸樹脂あるいはアクリル酸樹脂を用いるのが好ましい。
硬化メタアクリル酸樹脂の表面層は、例えば(メタ)アクリルモノマー又はオリゴマーと重合開始剤を含有する塗膜層を形成後、例えば、紫外線を照射して得ることができる。
硬化アクリルモノマー又はオリゴマーとしては、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)、又はメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)を複数有する化合物である。
代表的な化合物例を挙げれば、下記構造のものを挙げることが出来る。
Figure 2007316371
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紫外線硬化樹脂の重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、チオキサントン、ベンゾブチルエーテル、アシロキシムエステル、ジベンゾスロベン、ビスアシルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
尚、表面層は、必要に応じ導電性物質、無機フィラーなどの抵抗調整剤等の添加剤を添加して形成することができる。
表面層の特性は、紫外線硬化アクリルモノマー又はオリゴマーの種類、とその組成比、紫外線硬化条件等により影響される。
即ち、中間転写体表面層は、形成する硬化(メタ)アクリル酸樹脂が、2官能以上の官能基を有するモノマーを反応して作製された樹脂であるのが好ましく、5官能以上の官能基を有するモノマーを反応して形成された樹脂、及び、炭素数12以上のアルキル基を有する硬化(メタ)アクリル酸によって造られていること、或いは、2官能オリゴマーと反応してなる樹脂を主要成分として含有することで特によい特性を発揮する。
基材層の上に表面層を設ける方法としては、表面層用塗布液を基材層上にスプレー塗布して塗膜を形成し、塗膜の流動性が無くなる程度まで1次乾燥した後、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化し、更に塗膜中の揮発性物質の量を規定量にするため2次乾燥を行って作製する方法が好ましい。
スプレー塗布液は、紫外線硬化アクリルモノマー又はオリゴマーと重合開始剤、希釈溶剤、必要に応じ導電性物質、無機フィラー、抵抗調整剤等を混合後、サンドミルや撹拌装置を用いて分散して作製することができる。
希釈溶剤としては、紫外線硬化アクリルモノマー又はオリゴマーと重合開始剤を溶解するものであれば特に限定されず、具体的にはn−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等を挙げることができる。
紫外線を照射する装置としては、紫外線硬化樹脂を硬化させるのに用いられている公知の装置を用いることができる。
樹脂を紫外線硬化させる紫外線の量(mJ/cm2)は、紫外線照射強度と照射時間で制御することが好ましい。
〔無機微粒子〕
本発明において、表面層には高硬度化のため、或いは抵抗調整のため無機微粒子が添加される。具体的には以下の粒子、各種フィラーなどがある。
まず硬度調整用の粒子としては、金属酸化物等の硬度の高い粒子が挙げられ、例えば酸化ケイ素、酸化アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ或いは酸化ジルコニウム等が用いられ、好ましくは、酸化ケイ素、酸化アルミナ等の硬度がより高いものが好ましい。
一方、導電性を付与する機能も有する無機粒子としては、金属、金属酸化物等が挙げられる。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、ステンレス及び銀等があり、これら金属をプラスチックの粒子表面に蒸着したもの等でもよい。
金属酸化物の中でも酸化スズ、酸化アンチモンを含有、或いは表面処理した酸化物粒子は、導電性の観点から好ましい。又、上記粒子の塗布液への添加方法は、粉末状態であっても、あるいは溶媒に分散させたものを用いてもよい。
〔分散助剤〕
分散助剤とは、極性基を有する粒子親和性部分と、非極性基を有する樹脂相溶性部分の2つを持ち、立体障害やエントロピー安定化機構に寄与する材料を指す。
固体物質を液状媒体中に導入させるには大きな機械力を必要とする。これは主として固体物質の周囲媒体による湿潤性、ならびにこの媒体に対する親和力によるものである。こういった分散力を低減させるためには、通常固体物質の動きを容易にする分散剤を使用する。即ち、通常アニオン系、カチオン系あるいはノニオン系の界面活性剤が用いら、比較的少量の上記化合物が無機微粒子に適用せられるかあるいは分散媒体に加えられる。かかる界面活性剤を介して、分散に要するエネルギ−が大きく低減せられる。
また、無機微粒子は一旦分散しても分散後に再び凝集する傾向があり、折角分散エネルギ−を加えても無意味となることがある。
この現象は固体物質がそれにより相互に引きつけられるロンドン/ファンデルワ−ルス力で説明されるが、この様な引力が働かなくするため、無機微粒子上に分散助剤の吸着層を設けるとよい。
本発明に用いられる分散助剤は、酸価の総和とアミン価の総和との間に、下記の関係を有するものであり、前記した如く、この様なものが本発明に特に効果を有する。
|酸価の総和−アミン価の総和|≦30mgKOH/g
ここにおいて、酸価の総和とアミン価の総和の定義と測定方法は下記の如くである。
酸価の定義と測定方法
本発明における酸化は、製品の不揮発物1g中の遊離酸を中和するのに要する、水酸化カリウム(KOH)のmg数で表す。
測定方法はJIS K5601−2−1(1999)記載の方法によった。
アミン価の定義と測定方法
本発明におけるアミン価は、試料1g中に含まれる全塩基性窒素を中和するのに要する過塩素酸と、当量の水酸化カリウムのmg数を表したものである。
測定方法は、JIS K 7237(1995)に記載されている電位差滴定法により求めた値である。
具体的化合物としては、例えば、特表2000−506436号公報、特開平6−154574号公報に記載されているものの中より、上記条件に適合するものを抽出すればよい。
〔画像形成方法、画像形成装置〕
次に、本発明に係る画像形成方法、画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、静電潜像担持体(代表的には電子写真感光体であり、以下、単に感光体いうことがある)上に、帯電手段、露光手段、小径トナーを含む現像剤による現像手段、現像手段により形成したトナー像を中間転写体を介して転写材に転写する転写手段とを有するものである。
具体的には、複写機やレーザプリンタ等が挙げられるが、特に、5000枚以上の連続プリントが可能な画像形成装置が好ましい。この様な装置では、短時間に大量のプリント作成を行ため転写に係わる故障が出やすく、安定した2次転写が得られる本発明の中間転写体を用いると特に好ましい結果が得られる。
本発明の中間転写体の使用が可能な画像形成装置は、画像情報に応じた静電潜像を形成する感光体、感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、感光体上のトナー像を中間転写体上に転写する1次転写手段、中間転写体上のトナー像を紙やOHPシートなどの転写材上に転写する2次転写手段等を有する。そして、中間転写体として本発明の中間転写体を有することにより、2次転写時に転写不良を発生させずに安定したトナー画像形成を行える。
本発明の中間転写体が使用可能な画像形成装置としては、単色のトナーで画像形成を行うモノクロ画像形成装置にも用いることが出来る。しかし、感光体上のトナー像を中間転写体に順次転写するカラー画像形成装置、各色毎の複数の感光体を中間転写体上に直列配置させたタンデム型カラー画像形成装置等に用いるのがより好ましい。
本発明の中間転写体は、特にタンデム型のカラー画像形成に用いると有効であり、図2は、本発明の中間転写体が使用可能な画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
図2において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像手段、5Y、5M、5C、5Kは1次転写手段としての1次転写ローラ、5Aは2次転写手段としての2次転写ローラ、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング手段、7は中間転写体ユニット、24は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、主な構成は、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部として無端ベルト状中間転写ベルトを初めとする中間転写体ユニット7と、記録部材Pを搬送する給紙搬送手段22A〜22D及び定着手段としての熱ロール式定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。また、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。また、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写手段としての1次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材として用紙等の記録部材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、2次転写手段としての2次転写ローラ5Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、熱ロール式定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ローラ5Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
2次転写ローラ5Aは、ここを記録部材Pが通過して2次転写が行われる時にのみ、中間転写体70に圧接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてあり、筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とを有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとからなる。
実際の画像形成に当たっては、感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、熱ロール式定着装置24で加圧及び加熱により定着する。トナー像を記録部材Pに転移させた後の中間転写体70は、クリーニング装置6Aで転写時に中間転写体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
〔記録部材〕
本発明に用いられる記録部材としては、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、転写材或いは転写紙といわれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
〔本発明にて使用される現像剤〕
トナー像形成のための現像剤については、乾式現像に用いるものであれば特に限定はない。現像方式も特に限定はないので、キャリアとトナーより構成される2成分現像剤でも、トナーだけで構成される1成分現像剤でもよい。但し、1成分現像剤による場合は、ブラックトナー(Bkトナー)以外は、磁性体を含まない非磁性トナーを用いる非磁性1成分現像トナーが好ましいことはいうまでもない。
トナーを構成する結着樹脂もスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂を始めとする公知のものを用いることができる。トナーの製造方法についても粉砕法・重合法いずれでもよい。
又、トナーの粒径は体積メディアン径(D50)で、2.5〜7.0μm程度のものが好ましい。
次に、本発明の望ましい実施態様とその性能を示し、更に本発明の説明を行う。しかし、無論、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
尚、文中「部」とは「質量部」を表す。
1.中間転写体の作製
(1)基材層の作製
1)基材層1の作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18質量%))に、導電剤をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加して、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて混合し、基材層用の導電剤入りポリアミド酸溶液を得た。
基材層用の導電剤入りのポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱した。その後、360℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、さらに360℃で30分加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応を完結させた。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする無端ベルト状の基材層を得た。
この基材層の総厚は100μmであった。
2)基材層2の作製
ポリフェニレンサルファイド樹脂「E2180」(東レ社製) 100部
導電フィラー「ファーネス#3030B」(三菱化学社製) 16部
グラフト共重合体「モディパーA4400」(日本油脂社製) 1部
滑材(モンタン酸カルシウム) 0.2部
上記材料を単軸押し出し機に投入し、溶融混練させて樹脂混合物とした。単軸押し出し機の先端にはスリット状でシームレスベルト形状の吐出口を有する環状ダイスが取り付けてあり、混練された上記樹脂混合物を、シームレスベルト形状に押し出した。押し出されたシームレスベルト形状の樹脂混合物を、吐出先に設けた円筒状の冷却筒に外挿させて冷却し、固化することによりシームレス円筒状の厚さ150μmの基材層2を作製した。尚、環状ダイスの径Dと冷却筒の径dの比D/dは1.00とした。
(2)表面層の形成
中間転写体1の作製
表面層用塗膜組成物
シリコーンモノマー「X12−2450」(信越化学) 100部
重合開始剤「Irgacure184」(チバスペシャリティケミカルズ) 1部
導電性無機微粒子「T−1」(20nm、比重6.6、粉末抵抗1〜5Ω・cm、固形分濃度20%:三菱マテリアル) 50部
分散助剤「BYK−180」(BYK−Chemie) 1部
レベリング剤「UV−3570」(BYK−Chemie) 1部
溶剤「MIBK/MEK(8/2)」 15部
上記表面層用塗膜組成物を、混合、撹拌して表面層用塗布液を作製した。
この塗布液を上記の基材層1上にスプレー塗布し、その後30℃のオーブン中で30分1次乾燥を行った後、紫外線強度1kW/cm2の水銀灯で2000mJ/cm2の積算光量を照射し硬化を行い、中間転写体1を作製した。
中間転写体2の作製
中間転写体1の作製において、表面層を
アクリルモノマー「サンラッド K901」(三洋化成) 70部
ウレタンアクリレートオリゴマー「KAYARAD UX8101」(日本化薬)
30部
重合開始剤 「Irgacure184」(チバスペシャリティケミカルズ) 1部
導電性無機微粒子「セルナックスCX−Z210IP」(70nm*、固形分濃度20%:日産化学) 50部
分散助剤「Disperbyk−180」(BYK−Chemie) 1部
レベリング剤「UV−3570」(BYK−Chemie) 1部
溶剤「MIBK/MEK(8/2)」 1500部
とした以外は同様にして「中間転写体2」を作製した。
*:CAPA−700(堀場製作所製)にて測定した。
中間転写体3の作製
中間転写体1の作製において、分散助剤を「Disperbyk−185」(BYK−Chemie)に変えた以外は同様にして「中間転写体3」を作製した。
中間転写体4の作製
中間転写体1の作製において分散助剤を「Disperbyk−2050」(BYK−Chemie)に変えた以外は同様にして「中間転写体4」を作製した。
中間転写体5の作製
中間転写体2の作製において、無機微粒子「デソライトZ9501」(固形分濃度50%:JSR)20部を添加した以外は、同様にして「中間転写体5」を作製した。
中間転写体6の作製
中間転写体1の作製において、導電性無機微粒子を「TKD−701」(固形分濃度20%:テイカ)に変えた以外は同様にして「中間転写体6」を作製した。
中間転写体7の作製
中間転写体1の作製において、導電性無機微粒子を「W−1」(固形分濃度20%:三菱マテリアル)に変えた以外は同様にして「中間転写体7」を作製した。
中間転写体8の作製
中間転写体5の作製において、基材層1に換えて基材層2を用いた以外は同様にして「中間転写体8」を作製した。
中間転写体9の作製
中間転写体1の作製において、分散助剤を添加しないこと以外は同様にして「中間転写体9」を作製した。
中間転写体10の作製
中間転写体1の作製において、分散助剤を「Disperbyk−102」(BYK−Chemie)にした以外は、同様にして「中間転写体10」を作製した。
中間転写体11の作製
中間転写体1の作製において、分散助剤を「Disperbyk−2150」(BYK−Chemie)にした以外は、同様にして「中間転写体11」を作製した。
中間転写体12の作製
中間転写体2の作製において、分散助剤にEFKA5244(エフカアディテブズ)を用いた以外は同様にして「中間転写体12」を作製した。
中間転写体13の作製
中間転写体1の作製において、表面層にポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−300)を用いた以外は同様にして「中間転写体13」を作製した。
中間転写体14の作製
中間転写体1の作製において、表面層を設置しない以外は同様にして「中間転写体14」を作製した。
中間転写体1〜14の構成と特性を下記に示す。
Figure 2007316371
Figure 2007316371
〔画像評価〕
上記で作製した「中間転写体1〜14」をコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製「C250」に搭載して評価を行った。
尚、画像形成には体積基準におけるメジアン径(D50)が4.5μmのトナーと60μmのコートキャリアよりなる2成分現像剤を使用した。プリント環境は高温高湿(33℃、80%RH)と低温低湿(10℃、20%RH)で行った。
出力媒体はA4版上質紙を用いた。プリント原稿はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色の印字率がそれぞれ5%の文字画像、カラーハーフトーン画像、べた白画像、べた画像がそれぞれ1/4等分にある画像を用いた。
画像評価は、下記の項目について行った。尚、評価基準は、◎、○は実用上問題はなく、△は実用可能であり何とか合格であるが、×は実用上問題があり、不合格である。
〈転写性〉
転写性は、感光体上に形成されたトナー画像が中間転写体を介して出力媒体上に定着されたときのべた画像の濃度で評価した。具体的には、高温高湿環境(33℃、80%RH)で10000枚のプリントを行い、10000枚目のプリント画像のべた画像部濃度を濃度計で測定し転写性の評価を行った。
◎:べた画像濃度が1.40以上で転写性は良好であり、問題なし
○:べた画像濃度が1.25以上1.40未満で、上記よりは転写率がやや低下するが 、実用上問題ないレベル
△:べた画像濃度が1.20以上1.25未満で、転写性が低下するが一応実用可能な レベル
×:べた画像濃度が1.2未満で転写率は悪く、実用上問題となるレベル
〈ハーフトーンムラの有無〉
高温高湿環境(33℃、80%RH)で10000枚のプリントを行い、10000枚目のプリント画像のハーフトーン部濃度を目視で観察し、傷の有無の評価を行った。
◎:ハーフトーンムラなし、問題なし
○:ハーフトーンムラ1箇所、実用上問題ないレベル
△:ハーフトーンムラ2箇所で、実用可能なレベル
×:ハーフトーンムラ3箇所以上、実用上問題となるレベル
〈傷の有無〉
高温高湿環境(33℃、80%RH)で10000枚のプリントを行った後の中間転写体につき、表面粗さ(Rz)を測定し、下記基準による判定を行った。
◎:Rzが1.0μm未満、問題なし
○:Rzが1.0〜3.0μm未満、実用上問題ないレベル
△:Rzが3.0〜5.0μm未満、何とか実用可能なレベル
×:Rzが5.0以上、実用上問題となるレベル
尚、測定に当たっては、下記条件を用いた。
測定器:表面粗さ形状測定機「カーフエム1400」
カットオフ種別:2R
傾斜補正:最小二乗直線補正
測定長さ:5λ
カットオフ波長:0.8mm
測定倍率:×2K
測定速度:0.3mm/s
λsフイルタ:有り
カットオフ比:300
触針先端半径:2μm
〈中間転写体の耐久性〉
中間転写体の耐久性評価は、低温低湿環境(10℃、20%RH)で3万枚のプリントを行い、1万回転毎に中間転写体表面を目視観察し、ひび割れ、膜はがれの発生状態を目視で観察することにより行った。
〔塗布液安定性評価〕
中間転写体を得るための塗布液の10日間保存後における分散安定性のレベルを目視で行った。
◎:塗布液の凝集、沈降の発生なく問題なし
○:塗布液の凝集沈降発生3日目以降、実用上問題ないレベル
×:塗布液の凝集沈降発生3日以内、実用上問題となるレベル
Figure 2007316371
中間転写体の層構成の一例を示す概念断面図。 本発明の中間転写体が使用された画像形成装置の一例を示す断面構成図。
符号の説明
1Y、1M、1C、1K 感光体(静電潜像担持体)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6A クリーニング手段
7 中間転写体ユニット
8 筐体
10Y、10M、10C、10K 画像形成部
70 中間転写体
701 基材層
702 表面層
A 装置本体
P 記録部材

Claims (7)

  1. 静電潜像担体に担持されたトナー像を、中間転写体に1次転写した後、該トナー像を中間転写体から転写材へ2次転写する画像形成装置の中間転写体が、少なくとも基材層と表面層を有する積層構造の中間転写体であって、前記表面層が有機硬化樹脂と、少なくとも無機微粒子と、以下の式で規定される分散助剤を含有することを特徴とする中間転写体。
    |酸価の総和−アミン価の総和|≦30mgKOH/g
  2. 前記無機微粒子が、導電性の無機微粒子であることを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  3. 前記有機硬化樹脂が、アクリル酸樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の中間転写体。
  4. 前記無機微粒子の粒径が、10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中間転写体。
  5. 前記無機微粒子がZn、Sn、Siから選ばれる元素を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中間転写体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の中間転写体を用いることを特徴とする画像形成方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の中間転写体を用いることを特徴とする画像形成装置。
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