以下では、実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れかわることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れかえて用いることができるものとする。
また、電圧は、ある電位と基準の電位(例えばグラウンド電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、本明細書において、電圧、電位、電位差を、各々、電位、電圧、電圧差と言い換えることが可能である。
「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁層上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁層とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。
図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものである。
(実施の形態1)
本発明の一態様に係る記憶素子及び記憶装置について、図1を参照して説明する。図1に、記憶装置100の回路構成を示す。
〈記憶装置の構成〉
図1に示す記憶装置100は、記憶素子110及びプリチャージ回路108を有する。
記憶素子110は、論理回路101、記憶回路102、記憶回路103、制御回路104、及び制御回路105を有する。また、記憶素子110は、上述の回路に加えて、スイッチ106及びスイッチ107を有していてもよい。また、主電源を第1の電源電位V1とする(図示せず)。なお、回路図においては、酸化物半導体を用いたトランジスタであることを示すために、OSの符号(Oxide Semiconductorの略)を併記する場合がある。
論理回路101は、2個のpチャネル型のトランジスタ111、トランジスタ112と、2個のnチャネル型のトランジスタ113、トランジスタ114の合計4つのトランジスタで構成される。トランジスタ111及びトランジスタ113、並びにトランジスタ112及びトランジスタ114は、それぞれインバータを構成し、互いの入出力端子は交叉接続されて、2つの安定状態をもつフリップフロップを構成する。
本明細書等では、トランジスタ111及びトランジスタ113で構成されるインバータを第1のインバータ回路と呼び、トランジスタ112及びトランジスタ114で構成されるインバータを第2のインバータ回路と呼ぶ。第2のインバータ回路の入力端子と、第1のインバータ回路の出力端子と、スイッチ106の第1の端子とは互いに電気的に接続しており、その接続点をノードOとし、第1のインバータ回路の入力端子と、第2のインバータ回路の出力端子と、スイッチ107の第1の端子とは互いに電気的に接続しており、その接続点をノードPとする。また、トランジスタ113のソース又はドレインの一方と、トランジスタ114のソース又はドレインの一方とで構成されるノードをノードQとし、トランジスタ111のソース又はドレインの一方と、トランジスタ112のソース又はドレインの一方とで構成されるノードをノードRとする。
記憶回路102は、トランジスタ115及び容量素子116を有する。ここで、トランジスタ115のソース又はドレインの一方は、論理回路101のノードOと接続され、トランジスタ115のソース又はドレインの他方は、容量素子116の一対の電極のうち一方と接続される。また、トランジスタ115と容量素子116の接続点をノードMとする。また、トランジスタ115のゲートには、制御信号S2が入力される。
記憶回路103は、トランジスタ117及び容量素子118を有する。ここで、トランジスタ117のソース又はドレインの一方は、論理回路101のノードPと接続され、トランジスタ117のソース又はドレインの他方は、容量素子118の一対の電極のうち一方と接続される。また、トランジスタ117及び容量素子118の接続点をノードNとする。また、トランジスタ117のゲートには、制御信号S2が入力される。
ここで、トランジスタ115及びトランジスタ117は、オフ電流が低いことが好ましい。具体的に、オフ電流密度を、100zA/μm以下、好ましくは10zA/μm以下とすることが好ましい。オフ電流が低いトランジスタとして、チャネルがシリコンのバンドギャップよりも大きい半導体でなる層や基板中に形成されるトランジスタであることが好ましい。バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である半導体として、例えば、酸化物半導体が挙げられる。チャネルが酸化物半導体に形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さいという特徴を有している。
したがって、トランジスタ115に、チャネルが酸化物半導体に形成されるトランジスタを用いることにより、トランジスタ115がオフ状態である場合、ノードMの電位を長期間にわたり保持することができる。同様に、トランジスタ117に、チャネルが酸化物半導体に形成されるトランジスタを用いることにより、トランジスタ117がオフ状態である場合、ノードNの電位を長期間にわたり保持することができる。
また、酸化物半導体材料として、In−Sn−Zn−O系の材料を用いる場合、トランジスタの電界効果移動度を、30cm2/Vsec以上、好ましくは40cm2/Vsec以上、より好ましくは60cm2/Vsec以上とすることができるため、記憶回路102及び記憶回路103を高速動作させることが可能となる。
制御回路104は、トランジスタ119及びトランジスタ120を有する。ここで、トランジスタ119のゲートは、論理回路101のノードOと接続され、トランジスタ120のゲートは、論理回路101のノードPと接続される。また、トランジスタ119のソース又はドレインの一方及びトランジスタ120のソース又はドレインの一方は、論理回路101のノードQと接続される。また、トランジスタ119のソース又はドレインの他方、及びトランジスタ120のソース又はドレインの他方には、第2の電源電位V2(例えば、VSS)が与えられる。
制御回路105は、トランジスタ121及びトランジスタ122を有する。ここで、トランジスタ121のゲートは、論理回路101のノードOと接続され、トランジスタ122のゲートは、論理回路101のノードPと接続される。また、トランジスタ121のソース又はドレインの一方、及びトランジスタ122のソース又はドレインの一方は、論理回路101のノードRと接続される。また、トランジスタ121のソース又はドレインの他方、及びトランジスタ122のソース又はドレインの他方には、第3の電源電位V3(例えば、VDD)が与えられる。
スイッチ106は、トランジスタ123で構成される。スイッチ106の第1の端子は、トランジスタ123のソース又はドレインの一方に相当し、第2の端子は、トランジスタ123のソース又はドレインの他方に相当し、第3の端子は、トランジスタ123のゲートに相当する。スイッチ106の第1の端子は、論理回路101のノードOと接続される。また、スイッチ106の第2の端子には、データDが入力される。スイッチ106として、nチャネル型トランジスタを用いる場合について説明するが、pチャネル型トランジスタを用いてもよい。また、スイッチ106は、nチャネル型トランジスタとpチャネル型トランジスタとを組み合わせて用いてもよい。例えば、スイッチ106は、アナログスイッチとしてもよい。
スイッチ107は、トランジスタ124で構成される。スイッチ107の第1の端子は、トランジスタ124のソース又はドレインの一方に相当し、第2の端子は、トランジスタ124のソース又はドレインの他方に相当し、第3の端子は、トランジスタ124のゲートに相当する。スイッチ107の第1の端子は、論理回路101のノードPと接続される。また、スイッチ107の第2の端子には、データDBが入力される。スイッチ107として、nチャネル型トランジスタを用いる場合について説明するが、pチャネル型トランジスタを用いてもよい。また、スイッチ107は、nチャネル型トランジスタとpチャネル型トランジスタとを組み合わせて用いてもよい。例えば、スイッチ107は、アナログスイッチとしてもよい。
スイッチ106の第3の端子及びスイッチ107の第3の端子には、制御信号S1が入力される。スイッチ106の第3の端子に制御信号S1が入力されることによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(トランジスタ123のオン状態またはオフ状態)が選択される。同様に、スイッチ107の第3の端子に制御信号S1が入力されることによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(トランジスタ124のオン状態またはオフ状態)が選択される。
プリチャージ回路108は、トランジスタ125、トランジスタ126、及びトランジスタ127を有する。トランジスタ125のソース又はドレインの一方、及びトランジスタ126のソース又はドレインの一方は、論理回路101のノードOと接続され、トランジスタ125のソース又はドレインの他方、及びトランジスタ127のソース又はドレインの一方は、論理回路101のノードPと接続される。また、トランジスタ126のソース又はドレインの他方、及びトランジスタ127のソース又はドレインの他方からプリチャージ電位Vpre(例えば、VDD/2)が与えられる。また、トランジスタ125、トランジスタ126、トランジスタ127のゲートには、制御信号S3が入力される。
なお、制御回路104が有するトランジスタ119及びトランジスタ120のしきい値電圧は、論理回路101が有するトランジスタ113及びトランジスタ114よりも低いことが好ましい。具体的に、トランジスタ119及びトランジスタ120のしきい値電圧Vth_nは、下記の式(1)より高いことが好ましい。
Vは記憶回路102または記憶回路103に保持されるハイレベル電位を表し、Csは、容量素子116又は容量素子118の容量を表し、Cは、トランジスタ126とトランジスタ115とを接続する配線(ビット線ともいう)、又はトランジスタ127とトランジスタ117とを接続する配線(反転ビット線ともいう)の寄生容量を表し、Vpreは、プリチャージ電位を表す。なお、本実施の形態では、ノードMにハイレベル電位が保持されているため、Vは記憶回路102のノードMに保持されている電位を表し、Csは容量素子116の容量を表し、Cはトランジスタ126とトランジスタ115を接続する配線の寄生容量を表し、Vpreは、プリチャージ電位を表す。
また、制御回路105が有するトランジスタ121及びトランジスタ122のしきい値電圧は、論理回路101が有するトランジスタ111及びトランジスタ112よりも高いことが好ましい。具体的に、トランジスタ121及びトランジスタ122のしきい値電圧Vth_pは、下記の式(2)より低いことが好ましい。
本実施の形態では、トランジスタ111、トランジスタ112、トランジスタ121、トランジスタ122を、pチャネル型トランジスタとし、トランジスタ115、トランジスタ117、トランジスタ123〜127を、nチャネル型トランジスタとして説明するが、これに限定されず、トランジスタの導電型は適宜設定することができる。
〈記憶装置の駆動方法1〉
次に、図1に示す記憶装置100の駆動方法の一について、図2に示すタイミングチャートを参照して説明する。
図2のタイミングチャートにおいて、V1は第1の電源電位(主電源を表す)であり、S1は制御信号S1の電位であり、S2は制御信号S2の電位であり、S3は制御信号S3の電位であり、Oは論理回路101のノードOの電位であり、Pは論理回路101のノードPの電位であり、Qは論理回路101のノードQの電位であり、Rは論理回路101のノードRの電位であり、MはノードMの電位であり、NはノードNの電位であり、DはデータDの電位であり、DBはデータDBの電位である。また、ローレベル電位(第1の電位とも呼ぶ)をVSS、ハイレベル電位(第2の電位とも呼ぶ)をVDD、プリチャージ電位Vpre(第3の電位とも呼ぶ)を(VDD/2)として説明する。また、データDとしてハイレベル電位、データDBとしてローレベル電位を与える場合について説明するが、データDとしてローレベル電位、データDBとしてハイレベル電位を与えてもよい。
期間1は、論理回路101へデータを書き込む期間である。期間1では、制御信号S1としてハイレベル電位を、スイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与える。これにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子は、導通状態となる。スイッチ106を介して、データDの電位(ハイレベル電位)が、第2のインバータ回路の入力端子へ与えられ、トランジスタ114がオン状態となる。また、スイッチ107を介して、データDBの電位(ローレベル電位)が、第1のインバータ回路の入力端子へ与えられ、トランジスタ111がオン状態となる。
また、スイッチ106を介して、データDの電位(ハイレベル電位)が、制御回路104が有するトランジスタ119のゲートに与えられ、トランジスタ119がオン状態となる。このとき、トランジスタ119のソース又はドレインの他方から、第2の電源電位V2(例えば、ローレベル電位)が論理回路101のノードQへ与えられる。これにより、ノードQの電位はローレベル電位となる。同時に、スイッチ107を介して、データDBの電位(ローレベル電位)は制御回路105が有するトランジスタ122のゲートに与えられ、トランジスタ122がオン状態となる。このとき、トランジスタ122のソース又はドレインの他方から、第3の電源電位V3(例えば、ハイレベル電位)が論理回路101のノードRへ与えられる。これにより、ノードRの電位はハイレベル電位となる。
以上により、論理回路101を活性化することができ、ノードO及びノードPに、データD及びデータDBを保持することができる。その後、制御信号S1としてローレベル電位をスイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与えることにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子を非導通状態とする。
期間2は、論理回路101へ書き込まれたデータD及びデータDBをそれぞれ、記憶回路102及び記憶回路103にそれぞれ書き込む期間である。期間2では、制御信号S2としてハイレベル電位をトランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに与えることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオン状態とする。これにより、論理回路101のノードO及びノードPに保持されたデータD及びデータDBの電位が、ノードM及びノードNにそれぞれ与えられる。その後、トランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに、制御信号S2としてローレベル電位を与えることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオフ状態とする。
期間3は、電源の供給停止期間である。期間3では、第1の電源電位V1をローレベル電位とすることにより、記憶装置100に与えられる電源の供給を停止する。
電源の供給を停止することにより、論理回路101のノードO及びノードPの電位は保持することができなくなる。また、これに伴い、制御回路104及び制御回路105から論理回路101へ第2の電源電位V2及び第3の電源電位V3が与えられなくなるため、ノードR及びノードQの電位も保持することができなくなる。
しかし、本発明の一態様では、トランジスタ115及びトランジスタ117として、オフ電流が小さいトランジスタが用いられている。オフ電流が小さいトランジスタとして、チャネルが酸化物半導体膜に形成されるトランジスタが挙げられる。当該トランジスタは、オフ電流が極めて低いという特徴を有している。したがって、トランジスタ115及びトランジスタ117がオフ状態となっても、容量素子116によって保持された電位(ノードMの電位)及び容量素子118によって保持された電位(ノードNの電位)を長期間保持することができる。つまり、電源の供給が停止した後において、論理回路101のノードO及びノードPが保持していた電位を、ノードM及びノードNに保持することができる。
その後、第1の電源電位V1をハイレベル電位とすることにより、記憶装置100に入力される電源の供給を再び開始する。
期間4は、記憶回路102及び記憶回路103に保持されたデータD及びデータDBを論理回路101のノードO及びノードPに復元する期間である。まず、制御信号S3としてハイレベル電位を、トランジスタ125、126、127のゲートに与えることにより、トランジスタ125、126、127をオン状態とする。これにより、プリチャージ電位Vpre(第1の電位と第2の電位の間の第3の電位(例えば、VDD/2))が、トランジスタ126のソース又はドレインの一方、及びトランジスタ127のソース又はドレインの一方から論理回路101のノードO及びノードPに与えられることにより、ノードO及びノードPの電位は、第3の電位(例えば、VDD/2)となる。その後、制御信号S3としてローレベル電位を、トランジスタ125、126、127のゲートに与えることにより、トランジスタ125、126、127をオフ状態とする。
次に、制御信号S2としてハイレベル電位を、トランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに与えることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオン状態とする。これにより、論理回路101のノードO及びノードPの電位が変動する。例えば、記憶回路102にハイレベル電位が保持され、記憶回路103にローレベル電位が保持されている場合、論理回路101のノードOの電位は徐々に上昇し、論理回路101のノードPの電位は徐々に下降する。ノードOの電位とノードPの電位の差がΔVになったときに、トランジスタ119及びトランジスタ122がオン状態となる。具体的に、ΔVは下記の式(3)で表される。
なお、トランジスタ119及びトランジスタ120のしきい値電圧は、上述の式(1)よりも高く、トランジスタ121及びトランジスタ122のしきい値電圧は、上述の式(2)よりも低い。
このとき、トランジスタ119のソース又はドレインの他方から、第2の電源電位V2(例えば、ローレベル電位)が論理回路101のノードQへ与えられる。同時に、トランジスタ122のソース又はドレインの他方から、第3の電源電位V3(例えば、ハイレベル電位)が論理回路101のノードRへ与えられる。これにより、ノードQの電位はローレベル電位となり、ノードRの電位はハイレベル電位となる。
以上により、論理回路101を活性化することができ、ノードO及びノードPは、再びデータD及びデータDBを保持した状態となる。その後、制御信号S2としてローレベル電位をトランジスタ115及びトランジスタ117に与えることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオフ状態とする。
期間5は、論理回路101のノードO及びノードPに保持されたデータを読み出す期間である。期間5では、制御信号S1としてハイレベル電位を、スイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与えることにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子は、導通状態となる。スイッチ106を介して論理回路101のノードOに保持されたデータDを読み出すことができ、スイッチ107を介して論理回路101のノードPに保持されたデータDBを読み出すことができる。読み出しが終了したら、制御信号S1としてローレベル電位をスイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与えることにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子を非導通状態とする。
以上が、記憶装置100の駆動方法の説明である。
本発明の一態様に示す記憶装置では、記憶素子内に、オフ電流が小さいトランジスタを有する記憶回路を設ける構成としている。オフ電流が小さいトランジスタとして、チャネルが酸化物半導体膜に形成されるトランジスタが挙げられる。該トランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。そのため、該トランジスタがオフ状態である場合、該トランジスタに接続された容量素子によって、長期間にわたり電位を保持することが可能である。したがって、電源の供給を停止した場合であっても、記憶素子が有する論理回路の論理状態を保持することが可能である。このような記憶素子を複数用いることで、電源を切っても記憶している論理状態が消えない記憶装置を提供することができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置では、電源の供給を停止する前に、論理回路101に保持されたデータD及びデータDBを、論理回路101に接続された記憶回路102及び記憶回路103にそれぞれ保持する。これにより、電源の供給を停止する前に、記憶装置に保持されたデータを別の記憶装置に移す必要がなくなるため、短時間で、電源の供給を停止することができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置は、プリチャージ回路が設けられ、論理回路101、記憶回路102、及び記憶回路103にそれぞれ接続されている。電源の供給を再開し、記憶回路102及び記憶回路103に保持されたデータを論理回路101に復元する際に、プリチャージ回路からプリチャージ電位を、論理回路101と記憶回路102とが接続されたノードO、及び論理回路101と記憶回路103とが接続されたノードPにそれぞれ与える。その後、記憶回路102及び記憶回路103が有するトランジスタをオン状態とする。これにより、記憶回路102及び記憶回路103に保持された電位に基づいて、論理回路101のノードO及びノードPの電位が変動し、ノードO及びノードPの電位を電源の供給の停止前に保持されていた電位に確定させることができる。したがって、記憶回路102及び記憶回路103から論理回路101のノードO及びノードPへのデータの復元を短時間で行うことができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置を信号処理回路に用いることにより、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、消費電力を抑えることができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置は、制御回路104及び制御回路105が設けられ、論理回路101、記憶回路102、及び記憶回路103にそれぞれ接続されている。制御回路104及び制御回路105は、ノードO及びノードPの電位に応じて、論理回路101に第2の電源電位V2及び第3の電源電位V3を出力する。これにより、論理回路101に電源電位を供給するための制御信号を生成する回路を別途設ける必要がないため、記憶装置を簡略化することができる。
〈記憶装置の駆動方法2〉
次に、図1に示す記憶装置100の他の駆動方法について、図3に示すタイミングチャートを参照して説明する。
期間1は、論理回路101、記憶回路102、及び記憶回路103へデータを書き込む期間である。期間1では、制御信号S2としてハイレベル電位が、トランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに与えられている。これにより、トランジスタ115及びトランジスタ117はオン状態となっている。その後、制御信号S1としてハイレベル電位を、スイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与える。これにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子は導通状態となる。スイッチ106を介して、データDの電位(ハイレベル電位)が、第2のインバータ回路の入力端子へ与えられ、トランジスタ114がオン状態となる。また、スイッチ107を介して、データDBの電位(ローレベル電位)が、第1のインバータ回路の入力端子へ与えられ、トランジスタ111がオン状態となる。
また、スイッチ106を介して、データDの電位(ハイレベル電位)が、制御回路104が有するトランジスタ119のゲートに与えられ、トランジスタ119がオン状態となる。このとき、トランジスタ119のソース又はドレインの他方から、第2の電源電位V2(例えば、ローレベル電位)が論理回路101のノードQへ与えられる。これにより、ノードQの電位はローレベル電位となる。同時に、スイッチ107を介してデータDBの電位(ローレベル電位)は制御回路105が有するトランジスタ122のゲートに与えられ、トランジスタ122がオン状態となる。このとき、トランジスタ122のソース又はドレインの他方から、第3の電源電位V3(例えば、ハイレベル電位)が論理回路101のノードRへ与えられる。これにより、ノードRの電位はハイレベル電位となる。
以上により、論理回路101を活性化することができ、ノードO及びノードPに、データD及びデータDBを保持することができる。このとき、トランジスタ115及びトランジスタ117はオン状態であるため、論理回路101のノードO及びノードPに保持されたデータD及びデータDBの電位を、トランジスタ115及びトランジスタ117を介してノードM及びノードNにそれぞれ与えることができる。
その後、制御信号S1としてローレベル電位をスイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与えることにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子を非導通状態とする。また、制御信号S2をローレベル電位とすることで、トランジスタ115及びトランジスタ117をオフ状態とする。
図3に示す記憶装置の駆動方法により、論理回路101にデータD及びデータDBを保持した後、記憶回路102及び記憶回路103のそれぞれにデータD及びデータDBを保持する場合と比較して、記憶回路102及び記憶回路103に短時間でデータを保持することができる。
期間2は、電源の供給停止期間である。期間2では、第1の電源電位V1をローレベル電位とすることにより、記憶装置100に入力される電源の供給を停止する。
電源の供給を停止することにより、論理回路101のノードO及びノードPの電位は保持することができなくなる。また、これに伴い、制御回路104及び制御回路105から論理回路101へ第2の電源電位V2及び第3の電源電位V3が与えられなくなるため、ノードR及びノードQの電位も保持することができなくなる。
しかし、本発明の一態様では、トランジスタ115及びトランジスタ117として、オフ電流が小さいトランジスタが用いられている。オフ電流が小さいトランジスタとして、チャネルが酸化物半導体膜に形成されるトランジスタが挙げられる。当該トランジスタは、オフ電流が極めて低いという特徴を有している。したがって、トランジスタ115及びトランジスタ117がオフ状態となっても、容量素子116によって保持された電位(ノードMの電位)及び容量素子118によって保持された電位(ノードNの電位)を長期間保持することができる。つまり、電源の供給が停止した後において、論理回路101のノードO及びノードPが保持していた電位を、ノードM及びノードNに保持することができる。
その後、第1の電源電位V1をハイレベル電位とすることにより、記憶装置100に入力される電源の供給を再び開始する。
期間3は、記憶回路102及び記憶回路103に保持されたデータD及びデータDBを論理回路101のノードO及びノードPに復元する期間である。まず、制御信号S3としてハイレベル電位を、トランジスタ125、126、127のゲートに与えることにより、トランジスタ125、126、127をオン状態とする。これにより、プリチャージ電位(第1の電位と第2の電位の間の第3の電位(例えば、VDD/2))が、トランジスタ126のソース又はドレインの一方、及びトランジスタ127のソース又はドレインの一方から、論理回路101のノードO及びノードPに与えられることにより、ノードO及びノードPの電位は、第3の電位(例えば、VDD/2)となる。その後、制御信号S3としてローレベル電位を、トランジスタ125、126、127のゲートに与えることにより、トランジスタ125、126、127をオフ状態とする。
次に、制御信号S2としてハイレベル電位を、トランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに与えることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオン状態とする。例えば、記憶回路102にハイレベル電位が保持され、記憶回路103にローレベル電位が保持されている場合、論理回路101のノードOの電位は徐々に上昇し、論理回路101のノードPの電位は徐々に下降する。ノードOの電位とノードPの電位の差がΔVになったときに、トランジスタ119及びトランジスタ122がオン状態となる。具体的に、ΔVは下記の式(3)で表される。
なお、トランジスタ119及びトランジスタ120のしきい値電圧は、上述の式(1)よりも高く、トランジスタ121及びトランジスタ122のしきい値電圧は、上述の式(2)よりも低い。
このとき、トランジスタ119のソース又はドレインの他方から第2の電源電位V2(例えば、ローレベル電位)が論理回路101のノードQへ与えられる。同時に、トランジスタ122のソース又はドレインの他方から、第3の電源電位V3(例えば、ハイレベル電位)が論理回路101のノードRへ与えられる。これにより、ノードQの電位はローレベル電位となり、ノードRの電位はハイレベル電位となる。
以上により、論理回路101を活性化することができ、ノードO及びノードPは、再びデータD及びデータDBを保持した状態となる。その後、制御信号S2としてローレベル電位をトランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに与えることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオフ状態とする。
期間4は、論理回路101のノードO及びノードPに保持されたデータを読み出す期間である。期間4では、制御信号S1としてハイレベル電位を、スイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与えることにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子は、導通状態となる。スイッチ106を介して論理回路101のノードOに保持されたデータDを読み出すことができ、スイッチ107を介して論理回路101のノードPに保持されたデータDBを読み出すことができる。読み出しが終了したら、制御信号S1としてローレベル電位をスイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与えることにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子を非導通状態とする。
以上が、記憶装置100の駆動方法の説明である。
本発明の一態様に示す記憶装置では、記憶素子内に、オフ電流が小さいトランジスタを有する記憶回路を設ける構成としている。オフ電流が小さいトランジスタとして、チャネルが酸化物半導体膜に形成されるトランジスタが挙げられる。該トランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。そのため、該トランジスタがオフ状態である場合、該トランジスタに接続された容量素子によって、長期間にわたり電位を保持することが可能である。したがって、電源の供給を停止した場合であっても、記憶素子が有する論理回路の論理状態を保持することが可能である。このような記憶素子を複数用いることで、電源を切っても記憶している論理状態が消えない記憶装置を提供することができる。
本発明の一態様に係る記憶装置では、電源の供給を停止する前に、論理回路101に保持されたデータD及びデータDBを、論理回路101に接続された記憶回路102及び記憶回路103にそれぞれ保持する。これにより、電源の供給を停止する前に、記憶装置に保持されたデータを別の記憶装置に移す必要がなくなるため、短時間で、電源の供給を停止することができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置は、プリチャージ回路が設けられ、論理回路101、記憶回路102、及び記憶回路103にそれぞれ接続されている。電源の供給を再開し、記憶回路102及び記憶回路103に保持されたデータを論理回路101に復元する際に、プリチャージ回路からプリチャージ電位を、論理回路101と記憶回路102とが接続されたノードO、及び論理回路101と記憶回路103とが接続されたノードPにそれぞれ供給する。その後、記憶回路102及び記憶回路103が有するトランジスタをオン状態とする。これにより、記憶回路102及び記憶回路103に保持された電位に基づいて、論理回路101のノードO及びノードPの電位が変動し、ノードO及びノードPの電位を電源の供給の停止前に保持されていた電位に確定させることができる。したがって、記憶回路102及び記憶回路103から論理回路101のノードO及びノードPへのデータの復元を短時間で行うことができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置を信号処理回路に用いることにより、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、消費電力を抑えることができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置は、制御回路104及び制御回路105が設けられ、論理回路101、記憶回路102、及び記憶回路103にそれぞれ接続されている。制御回路104及び制御回路105は、ノードO及びノードPの電位に応じて、論理回路101に第2の電源電位V2及び第3の電源電位V3を出力する。これにより、論理回路101に電源電位を供給するための制御信号を生成する回路を別途設ける必要がないため、記憶装置を簡略化することができる。
〈記憶装置の構成〉
図4に、図1に示す記憶装置100とは一部異なる記憶装置150について示す。記憶装置150は、記憶素子160およびプリチャージ回路108を有する。また、記憶素子160は、論理回路101、記憶回路102、記憶回路103、制御回路104、制御回路105、スイッチ106、及びスイッチ107を有する。
図4に示す記憶装置150において、プリチャージ回路108が有するトランジスタ125のソース又はドレインの一方、及びトランジスタ126のソース又はドレインの一方は、スイッチ106の第2の端子と接続され、トランジスタ125のソース又はドレインの他方、及びトランジスタ127のソース又はドレインの一方は、スイッチ107の第2の端子と接続される。その他の構成については、図1に示す記憶装置100と同様であるため、詳細な説明は省略する。
制御回路104が有するトランジスタ119のゲートは、論理回路101のノードOと接続され、トランジスタ120のゲートは、論理回路101のノードPと接続される。また、制御回路105が有するトランジスタ121のゲートは、論理回路101のノードOと接続され、トランジスタ122のゲートは、論理回路101のノードPと接続される。
〈メモリセルアレイの構造〉
次に、図4に示す記憶素子160を、複数用いてメモリセルアレイを構成した場合について、図5に示す。
図5は、(m×n)個の記憶素子160を有する記憶装置のブロック図の一例である。図5中の記憶素子160の構成として、図4を用いる場合について説明する。
図5に示す記憶装置200は、m本(mは2以上の整数)の信号線S1と、m本の信号線S2と、n本(nは2以上の整数)のビット線BL、n本の反転ビット線(/BL)と、第1の電源線V1と、記憶素子160が縦m個(行)×横n個(列)のマトリクス状に配置されたメモリセルアレイ210と、第1の駆動回路211及び第2の駆動回路212と、を有する。第1の駆動回路211は、n本のビット線BL及び反転ビット線(/BL)と接続されており、第2の駆動回路212は、m本の信号線S1及び信号線S2と接続されている。また、第1の電源線V1は、記憶装置200に電源を供給する(図示せず)。なお、第1の駆動回路211には、プリチャージ回路108_1〜108_nが設けられている。
記憶素子160(1,1)〜160(m,n)へのアクセスは信号線S1と信号線S2で行われ、ビット線BL及び反転ビット線(/BL)は接続されたメモリセルにデータの読み出しや書き込みを行う。
第1の駆動回路211は、ビット線BL及び反転ビット線(/BL)が列方向のメモリセルにアクセスするのを制御する。一方、第2の駆動回路212は、信号線S1及び信号線S2が行方向のメモリセルにアクセスするのを制御する。
上記の動作により、図5中のメモリセルアレイ210にランダムアクセスすることが可能である。
なお、図5においては、図4に示す記憶素子160を用いる場合について説明したが、図1に示す記憶素子110も用いることができる。記憶装置に、記憶素子として図1に示す記憶素子110を用いる場合には、第1の駆動回路211にプリチャージ回路を設けず、各記憶素子110にプリチャージ回路を設けて、メモリセルアレイを構成するとよい。
〈記憶装置の駆動方法〉
次に、図5に示す記憶装置200の駆動方法の一について、図6に示すタイミングチャートを参照して説明する。
本実施の形態では、図5に示すメモリセルアレイ210のi行目(iは1以上m以下の自然数)にデータを書き込んだ後、電源の供給を停止し、電源の供給を開始した後、i行目のデータを読み出す場合について説明する。図6に示すタイミングチャートは、i行目の記憶素子160(i,1)〜160(i,n)の動作を表す。
期間1は、i行目の記憶素子160(i,1)〜160(i,n)のそれぞれが有する論理回路101へデータを書き込む期間である。期間1では、i行目の制御信号S1_iをハイレベル電位として、記憶素子160(i,1)〜160(i,n)が有するスイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与える。これにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子は、導通状態となる。記憶素子160(i,1)〜160(i,n)のそれぞれにおいて、スイッチ106を介して、データDの電位(ハイレベル電位)を、第2のインバータ回路の入力端子へ与え、トランジスタ114がオン状態となる。また、スイッチ107を介して、データDBの電位(ローレベル電位)を、第1のインバータ回路の入力端子へ与え、トランジスタ111がオン状態となる。なお、論理回路101に書き込みが行われないi行目以外の制御信号S1はローレベル電位とする。
また、記憶素子160(i,1)〜160(i,n)のそれぞれにおいて、スイッチ106を介して、データDの電位(ハイレベル電位)が、制御回路104が有するトランジスタ119のゲートに与えられ、トランジスタ119がオン状態となる。このとき、トランジスタ119のソース又はドレインの他方から、第2の電源電位V2としてローレベル電位が論理回路101のノードQへ与えられる。これにより、ノードQの電位はローレベル電位となる。同時に、スイッチ107を介して、データDBの電位(ローレベル電位)は制御回路105が有するトランジスタ122のゲートに与えられ、トランジスタ122がオン状態となる。このとき、トランジスタ122のソース又はドレインの他方から、第3の電源電位V3としてハイレベル電位が論理回路101のノードRへ与えられる。これにより、ノードRの電位はハイレベル電位となる。
以上により、記憶素子160(i,1)〜160(i,n)のそれぞれが有する論理回路101を活性化することができ、ノードO及びノードPに、データD及びデータDBを保持することができる。その後、i行目の制御信号S1_iとしてローレベル電位をスイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与えることにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子を非導通状態とする。
期間2は、i行目の記憶素子160(i,1)〜160(i,n)のそれぞれが有する論理回路101へ書き込まれたデータD及びデータDBをそれぞれ、記憶回路102及び記憶回路103にそれぞれ書き込む期間である。期間2では、トランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに、i行目の制御信号S2_iとしてハイレベル電位を与えることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオン状態とする。これにより、論理回路101のノードO及びノードPに保持されたデータD及びデータDBの電位が、ノードM及びノードNにそれぞれ与えられる。その後、i行目の制御信号S2としてローレベル電位をトランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに与えることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオフ状態とする。なお、論理回路101に書き込みが行われていないi行目以外の制御信号S2はローレベル電位とする。
期間3は、電源の供給停止期間である。期間3では、第1の電源電位V1をローレベル電位とすることにより、記憶装置200に与えられる電源の供給を停止する。
電源の供給を停止することにより、i行目の記憶素子160(i,1)〜160(i,n)のそれぞれが有する論理回路101のノードO及びノードPの電位は保持することができなくなる。また、これに伴い、制御回路104及び制御回路105から論理回路101へ第2の電源電位V2及び第3の電源電位V3が与えられなくなるため、ノードR及びノードQの電位も保持することができなくなる。
しかし、本発明の一態様では、トランジスタ115及びトランジスタ117として、オフ電流が小さいトランジスタが用いられている。オフ電流が小さいトランジスタとして、チャネルが酸化物半導体膜に形成されるトランジスタが挙げられる。当該トランジスタは、オフ電流が極めて低いという特徴を有している。したがって、トランジスタ115及びトランジスタ117がオフ状態となっても、容量素子116によって保持された電位(ノードMの電位)及び容量素子118によって保持された電位(ノードNの電位)を長期間保持することができる。つまり、電源の供給が停止した後において、論理回路101のノードO及びノードPが保持していた電位を、ノードM及びノードNに保持することができる。
その後、第1の電源電位V1をハイレベル電位とすることにより、記憶装置200に入力される電源の供給を再び開始する。
期間4は、i行目の記憶素子160(i,1)〜160(i,n)のそれぞれが有する記憶回路102及び記憶回路103に保持されたデータD及びデータDBを論理回路101のノードO及びノードPに復元する期間である。まず、1列目〜n列目の制御信号S3をハイレベル電位として、1列目〜n列目のトランジスタ125、126、127のゲートに与えることにより、トランジスタ125、126、127をオン状態とする。これにより、プリチャージ電位(第1の電位と第2の電位の間の第3の電位(例えば、VDD/2))が、トランジスタ126のソース又はドレインの一方、及びトランジスタ127のソース又はドレインの一方から、論理回路101のノードO及びノードPに与えられることにより、ノードO及びノードPの電位は、第3の電位(例えば、VDD/2)となる。その後、1列目〜n列目の制御信号S3をローレベル電位として、トランジスタ125、126、127のゲートに与えられることにより、トランジスタ125、126、127をオフ状態とする。
次に、i行目の制御信号S2_iとしてハイレベル電位を、トランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに与えられることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオン状態とする。例えば、記憶回路102にハイレベル電位が保持され、記憶回路103にローレベル電位が保持されている場合、論理回路101のノードOの電位は徐々に上昇し、論理回路101のノードPの電位は徐々に下降する。ノードOの電位とノードPの電位の差がΔVになったときに、トランジスタ119及びトランジスタ122がオン状態となる。具体的に、ΔVは下記の式(3)で表される。
なお、トランジスタ119及びトランジスタ120のしきい値電圧は、上述の式(1)よりも高く、トランジスタ121及びトランジスタ122のしきい値電圧は、上述の式(2)よりも低い。
このとき、トランジスタ119のソース又はドレインの他方から、第2の電源電位V2が論理回路101のノードQへ与えられる。同時に、トランジスタ122のソース又はドレインの他方から、第3の電源電位V3が論理回路101のノードRへ与えられる。これにより、ノードQの電位はローレベル電位となり、ノードRの電位はハイレベル電位となる。
以上により、i行目の記憶素子160(i,1)〜160(i,n)のそれぞれが有する論理回路101を活性化することができ、ノードO及びノードPは、再びデータD及びデータDBを保持した状態となる。その後、i行目の制御信号S2_iとしてローレベル電位をトランジスタ115及びトランジスタ117のゲートに与えることにより、トランジスタ115及びトランジスタ117をオフ状態とする。
期間5は、i行目の記憶素子160(i,1)〜160(i,n)のそれぞれが有する論理回路101のノードO及びノードPに保持されたデータを読み出す期間である。期間5では、制御信号S1としてハイレベル電位を、スイッチ106及びスイッチ107の第3の端子に与えることにより、スイッチ106及びスイッチ107の第1の端子及び第2の端子は、導通状態となる。スイッチ106を介して論理回路101のノードOに保持されたデータDを読み出すことができ、スイッチ107を介して論理回路101のノードPに保持されたデータDBを読み出すことができる。
本発明の一態様に示す記憶装置では、記憶素子内に、オフ電流が小さいトランジスタを有する記憶回路を設ける構成としている。オフ電流が小さいトランジスタとして、チャネルが酸化物半導体膜に形成されるトランジスタが挙げられる。該トランジスタがオフ状態である場合、該トランジスタに接続された容量素子によって、長期間にわたり電位を保持することが可能である。したがって、電源の供給を停止した場合であっても、記憶素子が有する論理回路の論理状態を保持することが可能である。このような記憶素子を複数用いることで、電源を切っても記憶している論理状態が消えない記憶装置を提供することができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置では、電源の供給を停止する前に、論理回路101に保持されたデータD及びデータDBを、論理回路101に接続された記憶回路102及び記憶回路103にそれぞれ保持する。これにより、電源の供給を停止する前に、記憶装置に保持されたデータを別の記憶装置に移す必要がなくなるため、短時間で、電源の供給を停止することができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置は、プリチャージ回路が設けられ、論理回路101、記憶回路102、及び記憶回路103にそれぞれ接続されている。電源の供給を再開し、記憶回路102及び記憶回路103に保持されたデータを論理回路101に復元する際に、プリチャージ回路からプリチャージ電位を、論理回路101と記憶回路102とが接続されたノードO、及び論理回路101と記憶回路103とが接続されたノードPにそれぞれ与える。その後、記憶回路102及び記憶回路103が有するトランジスタをオン状態とする。これにより、記憶回路102及び記憶回路103に保持された電位に基づいて、論理回路101のノードO及びノードPの電位が変動し、ノードO及びノードPの電位を電源の供給の停止前に保持されていた電位に確定させることができる。したがって、記憶回路102及び記憶回路103から論理回路101のノードO及びノードPへのデータの復元を短時間で行うことができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置を信号処理回路に用いることにより、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、消費電力を抑えることができる。
また、本発明の一態様に係る記憶装置は、制御回路104及び制御回路105が設けられ、論理回路101、記憶回路102、及び記憶回路103にそれぞれ接続されている。制御回路104及び制御回路105は、ノードO及びノードPの電位に応じて、論理回路101に第2の電源電位V2及び第3の電源電位V3を出力する。これにより、論理回路101に電源電位を供給するための制御信号を生成する回路を別途設ける必要がないため、記憶装置を簡略化することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示す記憶装置の作製方法の一例について図7乃至図10を参照して説明する。はじめに、記憶装置の下部に形成されるトランジスタの作製方法について説明し、その後、上部に形成されるトランジスタ及び容量素子の作製方法について説明する。なお、作製工程を示す断面図において、A1−A2はnチャネル型のトランジスタを作製する工程を示し、B1−B2はpチャネル型のトランジスタを作製する工程を示す。
〈下部のトランジスタの作製方法〉
まず、絶縁膜302を介して半導体膜304が設けられた基板300を用意する(図7(A)参照)。
基板300として、例えば、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合物半導体基板を適用することができる。また、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板なども挙げられる。
絶縁膜302は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコンなどを含む単層構造又は積層構造とする。なお、絶縁膜302の形成方法としては、熱酸化法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。絶縁膜302の膜厚は、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とする。
また、半導体膜304は、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体材料、多結晶半導体材料、シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合物半導体材料を適用することができる。なお、半導体膜304は、酸化物半導体材料を含まないため、酸化物半導体以外の半導体材料とも記す。
半導体膜304として、シリコンなどの単結晶半導体材料を用いる場合には、実施の形態1に示す論理回路101、制御回路104、制御回路105、スイッチ106、スイッチ107などの動作を高速化することができるため好ましい。
また、絶縁膜302を介して半導体膜304が設けられた基板300として、SOI基板も適用することができる。なお、一般に「SOI基板」は、絶縁表面上にシリコン層が設けられた構成の基板をいうが、本明細書等においては、絶縁表面上にシリコン以外の材料からなる半導体膜が設けられた構成の基板も含む。つまり、「SOI基板」が有する半導体膜は、シリコン層に限定されない。また、SOI基板には、ガラス基板などの絶縁基板上に絶縁膜を介して半導体膜が設けられた構成も含む。本実施の形態では、絶縁膜302を介して半導体膜304が設けられた基板300として、単結晶シリコン基板上に酸化シリコン膜を介してシリコン膜が設けられたSOI基板を用いる場合について説明する。
次に、半導体膜304を島状に加工して、半導体膜304a、304bを形成する(図7(B)参照)。当該加工方法として、ドライエッチングを用いることが好適であるが、ウェットエッチングを用いてもよい。エッチングガスやエッチング液については被エッチング材料に応じて適宜選択することができる。
次に、半導体膜304a、304bを覆うように、ゲート絶縁膜306a、306bを形成する(図7(B)参照)。ゲート絶縁膜306a、306bは、例えば、半導体膜304a、304b表面の熱処理(熱酸化処理や熱窒化処理など)によって形成することができる。熱処理に代えて、高密度プラズマ処理を適用してもよい。高密度プラズマ処理は、例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガス、酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などのうちいずれかの混合ガスを用いて行うことができる。もちろん、CVD法やスパッタリング法等を用いてゲート絶縁膜を形成しても良い。
ゲート絶縁膜306a、306bは、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタルなどの材料を用いることができる。また、ゲート絶縁膜として、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz(x>0、y>0、z>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz(x>0、y>0、z>0))等の高誘電率(high−k)材料を用いることもできる。ゲート絶縁膜は、上述の材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。また、ゲート絶縁膜306a、306bの膜厚は、例えば、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。
上述のように、ゲート絶縁膜を薄くすると、トンネル効果などに起因するゲートリークが問題となる。ゲートリークの問題を解消するには、ゲート絶縁膜に、上述したhigh−k材料を用いると良い。high−k材料をゲート絶縁膜に用いることで、電気的特性を確保しつつ、ゲートリークを抑制するために膜厚を大きくすることが可能になる。なお、high−k材料を含む膜と、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウムなどのいずれかを含む膜との積層構造としてもよい。
本実施の形態では、熱酸化処理を用いて、酸化シリコン膜を形成することによって、ゲート絶縁膜306a、306bを形成する。
次に、トランジスタのしきい値電圧を制御するために、n型の導電性を付与する不純物元素、及びp型の導電性を付与する不純物元素をゲート絶縁膜306a、306bを介して半導体膜304a、304bに添加する(図7(C)参照)。半導体膜304a、304bがシリコンの場合、n型の導電性を付与する不純物元素としては、例えば、リンや砒素などを用いることができる。また、p型の導電性を付与する不純物元素としては、例えば、硼素、アルミニウム、ガリウムなどを用いることができる。本実施の形態では、ゲート絶縁膜306aを介して半導体膜304aに硼素を添加することで不純物領域308を形成し、ゲート絶縁膜306bを介して半導体膜304bにリンを添加することで不純物領域310を形成する。
図1に示す制御回路104に用いるトランジスタ119及びトランジスタ120のしきい値電圧は、プリチャージ電位Vpre(第1の電位と第2の電位の間の第3の電位(例えば、VDD/2))よりも高いことが好ましく、制御回路105に用いるトランジスタ121及びトランジスタ122のしきい値電圧は、プリチャージ電位Vpreよりも低いことが好ましい。
具体的には、図1に示すトランジスタ119及びトランジスタ120を作製する場合には、しきい値電圧を下記の式(1)で表される値よりも高い値とすることが好ましい。また、トランジスタ121及びトランジスタ122を作製する場合には、しきい値電圧を下記の式(2)で表される値よりも低い値とすることが好ましい。
なお、第1の制御回路104を構成するnチャネル型トランジスタのしきい値電圧と、論理回路101を構成するnチャネル型トランジスタのしきい値電圧とを等しくしてもよい。また、第2の制御回路105を構成するpチャネル型トランジスタのしきい値電圧と、論理回路101を構成するpチャネル型トランジスタのしきい値電圧とを等しくしてもよい。この場合には、同じ導電型のトランジスタを作製する際に、しきい値電圧を制御するための不純物元素の添加の量を変化させなくても済むため、トランジスタの作製工程を簡略化することができる。
また、論理回路101を構成するnチャネル型トランジスタのしきい値電圧を、第1の制御回路104を構成するnチャネル型トランジスタのしきい値電圧よりも高くしてもよい。また、論理回路101を構成するpチャネル型トランジスタのしきい値電圧を、第2の制御回路105を構成するpチャネル型トランジスタのしきい値電圧よりも低くしてもよい。この場合には、論理回路101を高速動作させることができるため、好ましい。
次に、ゲート絶縁膜306a、306b上にゲート電極(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成するための導電膜を形成し、当該導電膜を加工して、ゲート電極312a、312bを形成する(図7(D)参照)。
ゲート電極312a、312bに用いる導電膜としては、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、タングステン等の金属材料を用いて形成することができる。また、多結晶シリコンなどの半導体材料を用いて、導電膜を形成しても良い。導電膜の形成方法も特に限定されず、蒸着法、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法などの各種成膜方法を用いることができる。また、導電膜の加工は、レジストマスクを用いたエッチングによって行うことができる。本実施の形態では、スパッタリング法を用いて、窒化タンタル膜とタングステン膜とを積層し、加工することによってゲート電極312a、312bを形成する。
次に、ゲート電極312a、312bをマスクとして、n型の導電型を付与する不純物元素及びp型の導電性を付与する不純物元素をゲート絶縁膜306a、306bを介して半導体膜304a、304bに添加する(図7(E)参照)。本実施の形態では、ゲート絶縁膜306aを介して半導体膜304aにリンを添加することで不純物領域314a、314bを形成し、ゲート絶縁膜306bを介して半導体膜304bに硼素を添加することで不純物領域316a、316bを形成する。
次に、ゲート電極312a、312bの側面にサイドウォール構造の側壁絶縁膜318a、318b、318c、318dを形成する(図8(A)参照)。側壁絶縁膜318a〜318dは、ゲート電極312a、312bを覆う絶縁膜を形成した後、これをRIE(Reactive ion etching:反応性イオンエッチング)法による異方性のエッチングによって絶縁膜を加工し、ゲート電極312a、312bの側壁に自己整合的にサイドウォール構造の側壁絶縁膜318a〜318dを形成すればよい。ここで、絶縁膜について特に限定はないが、例えば、TEOS(Tetraethyl−Ortho−Silicate)若しくはシラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等とを反応させて形成した段差被覆性のよい酸化シリコンを用いることができる。また、低温酸化(LTO:Low Temperature Oxidation)法により形成する酸化シリコンを用いてもよい。絶縁膜は熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD、スパッタリング等の方法によって形成することができる。
次に、ゲート電極312a、312b、及び側壁絶縁膜318a〜318dをマスクとして、n型の導電型を付与する不純物元素、及びp型の導電性を付与する不純物元素をゲート絶縁膜306a、306bを介して半導体膜304a、304bに添加する(図8(B)参照)。本実施の形態では、ゲート絶縁膜306aを介して半導体膜304aにリンを添加することで不純物領域320a、320bを形成し、ゲート絶縁膜306bを介して半導体膜304bに硼素を添加することで不純物領域322a、322bを形成する。不純物領域320a、320bが、不純物領域314a、314bよりも高濃度となるように、不純物元素を添加することが好ましく、不純物領域322a、322bが、不純物領域316a、316bよりも高濃度となるように、不純物元素を添加することが好ましい。
以上により、酸化物半導体以外の半導体材料を含む基板300を用いて、nチャネル型トランジスタ及びpチャネル型トランジスタを作製することができる(図8(B)参照)。このようなトランジスタは、高速動作が可能であるという特徴を有する。このため、トランジスタを論理回路101、スイッチ106、スイッチ107、プリチャージ回路108、等に適用することにより、これらの動作を高速化することができるため好適である。
次に、トランジスタ113及びトランジスタ111を覆うように、絶縁膜324を形成する(図8(C)参照)。絶縁膜324は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料を含む材料を用いて形成することができる。絶縁膜324として、誘電率の低い(low−k)材料を用いることで、各種電極や配線の重なりに起因する容量を十分に低減することができるため好ましい。なお、絶縁膜324として、上述の材料を用いた多孔性の絶縁膜を適用してもよい。多孔性の絶縁膜では、密度の高い絶縁膜と比較して誘電率が低下するため、電極や配線に起因する容量をさらに低減することが可能である。また、絶縁膜324として、ポリイミド、アクリル等の有機絶縁材料を用いて形成することもできる。本実施の形態では、酸化窒化シリコンを用いて絶縁膜324を形成する場合について説明する。
次に、絶縁膜324を形成した後、半導体膜304a、304bに添加された不純物元素を活性化するための熱処理を行う。熱処理はファーネスアニール炉を用いて行う。その他に、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。熱処理は窒素雰囲気中で400〜600℃、代表的には450〜500℃で1〜4時間として行う。この熱処理により、不純物元素の活性化と同時に絶縁膜324の酸化窒化シリコン膜の水素が放出され、半導体膜304a、304bの水素化を行うことができる。
なお、上記の各工程の前後には、さらに電極や配線、半導体膜、絶縁膜などを形成する工程も含んでいてもよい。例えば、下部のトランジスタと、上部のトランジスタを接続するための電極や配線などを形成することが好ましい。また、配線の構造として、絶縁膜及び導電層の積層構造でなる多層配線構造を採用して、高度に集積化した記憶装置を実現することも可能である。
〈上部のトランジスタの作製方法〉
まず、トランジスタ115及び容量素子116の作製前の処理として、絶縁膜324の表面を平坦化させる(図8(D)参照)。絶縁膜324の平坦化処理としては、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing、以下CMP処理という)などの研磨処理の他にエッチング処理などを適用することも可能である。また、CMP処理とエッチング処理とを組み合わせて行ってもよい。絶縁膜324の表面は、トランジスタ115の特性を向上させるために、可能な限り平坦にしておくことが望ましい。
ここで、CMP処理とは、被加工物の表面を基準にし、それにならって表面を化学的・機械的な複合作用により平坦化する手法である。より具体的には、研磨ステージの上に研磨布を貼り付け、被加工物と研磨布との間にスラリー(研磨剤)を供給しながら研磨ステージと被加工物とを各々回転または揺動させて、スラリーと被加工物との化学反応と、研磨布の被加工物との機械研磨の作用により、被加工物の表面を研磨する方法である。
絶縁膜324の表面の平均面粗さ(Ra)として、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に酸化物半導体膜を形成することが好ましい。なお、Raは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現でき、下記の式(4)にて定義される。
なお、上記において、S0は、測定面(座標(x1,y1)(x1,y2)(x2,y1)(x2,y2)の4点で表される四角形の領域)の面積を指し、Z0は測定面の平均高さを指す。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて評価可能である。
次に、平坦化された絶縁膜324の表面に酸化物半導体膜342を成膜する。
用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特に、InとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)のいずれか一または複数を有することが好ましい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、
(a−A)2+(b−B)2+(c−C)2≦r2
を満たすことを言い、rは、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
酸化物半導体は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
また、酸化物半導体膜342としてIn−Zn系酸化物半導体材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn2O3:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn2O3:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn2O3:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
酸化物半導体膜342としてIn−Ga−Zn系酸化物半導体材料をスパッタリング法で成膜する場合、好ましくは、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、または3:1:4で示されるIn−Ga−Zn系酸化物ターゲットを用いる。
また、酸化物半導体膜342としてIn−Sn−Zn系酸化物半導体材料をスパッタリング法で成膜する場合、好ましくは、原子数比がIn:Sn:Zn=1:1:1、2:1:3、1:2:2、または20:45:35で示されるIn−Sn−Zn系酸化物ターゲットを用いる。
また、ターゲットの相対密度は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。相対密度の高いターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜342を緻密な膜とすることができる。
酸化物半導体膜342は、スパッタリング法、分子線エピタキシー法、原子層堆積法またはパルスレーザー蒸着法により成膜することができる。また、酸化物半導体膜342の膜厚は、5nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上30nm以下とする。
また、酸化物半導体膜342は、非晶質であってもよく、結晶性を有していてもよい。例えば、酸化物半導体膜は、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形、六角形、正三角形、又は正六角形の原子配列を有し、且つ、c軸に垂直な方向から見て、金属原子が層状、又は金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む酸化物である。なお、本明細書等では、c軸配向結晶を含む酸化物半導体膜をCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
CAAC−OS膜は単結晶ではないが、非晶質のみから形成されているものでもない。また、CAAC−OS膜は結晶化した部分(結晶部分)を含むが、1つの結晶部分と他の結晶部分の境界を明確に判別できないこともある。
CAAC−OS膜に酸素が含まれる場合、酸素の一部は窒素で置換されてもよい。また、CAAC−OS膜を構成する個々の結晶部分のc軸は一定の方向(例えば、CAAC−OS膜が形成される基板面、CAAC−OS膜の表面などに垂直な方向)に揃っていてもよい。または、CAAC−OS膜を構成する個々の結晶部分のab面の法線は一定の方向(例えば、CAAC−OS膜が形成される基板面、CAAC−OS膜の表面などに垂直な方向)を向いていてもよい。
CAAC−OS膜は、その組成などに応じて、導体であったり、半導体であったり、絶縁体であったりする。また、その組成などに応じて、可視光に対して透明であったり不透明であったりする。
このようなCAAC−OS膜に含まれる結晶部分の例として、膜状に形成され、膜表面またはCAAC−OS膜が形成される基板面に垂直な方向から観察すると三角形または六角形の原子配列が認められ、かつその膜断面を観察すると金属原子または金属原子および酸素原子(または窒素原子)の層状配列が認められる結晶部分を挙げることもできる。
次に、酸化物半導体膜342をCAAC−OS膜とする方法について説明する。酸化物半導体膜342をCAAC−OS膜とする方法として、例えば以下の2種類の方法によって行うことができる。1つの方法は、酸化物半導体膜342の成膜を、基板を加熱しながら行う方法であり、もう1つの方法は、酸化物半導体膜342の成膜を2回に分け、1度目の成膜の後、2度目の成膜の後のそれぞれに熱処理を行う方法である。
基板を加熱しながら酸化物半導体膜342の成膜を1回で行う場合には、基板温度は、100℃以上600℃以下とすればよく、好ましくは基板温度が200℃以上500℃以下とする。なお、酸化物半導体膜342の成膜時に、基板を加熱する温度を高くすることで、非晶質な部分に対して結晶部分の占める割合の多いCAAC−OS膜とすることができる。
また、酸化物半導体膜342の成膜を2回に分ける場合には、基板を基板温度100℃以上450℃以下に保ちながら、絶縁膜324の上に1層目の酸化物半導体膜342を成膜し、窒素、酸素、希ガス、または乾燥空気の雰囲気下で、550℃以上基板の歪み点未満の熱処理を行う。該熱処理によって、1層目の酸化物半導体膜342の表面を含む領域に結晶領域(板状結晶を含む)が形成される。そして、2層目の酸化物半導体膜342を1層目の酸化物半導体膜342よりも厚く形成する。その後、再び550℃以上基板の歪み点未満の熱処理を行い、表面を含む領域に、結晶領域(板状結晶を含む)が形成された1層目の酸化物半導体膜342を結晶成長の種として、上方に結晶成長させ、2層目の酸化物半導体膜342の全体を結晶化させる。なお、1層目の酸化物半導体膜342は1nm以上10nm以下で成膜することが好ましい。
上述の成膜方法によれば、酸化物半導体膜342が、5nm程度の膜厚であっても、短チャネル効果を抑制することができるため、好ましい。
なお、CAAC−OS膜に含まれる結晶部分の結晶性は、被形成面のラフネスの影響を受けるため、上述したように絶縁膜324の表面は可能な限り平坦にしておくことが望ましい。また、絶縁膜324の表面の平均面粗さは、例えば、0.1nm以上0.5nm未満とすることが好ましい。絶縁膜324表面を平坦化させることにより、CAAC−OS膜に含まれる結晶部分の連続性を向上させることができる。また、絶縁膜324の表面を平坦化させることにより、非晶質な部分に対して結晶部分の占める割合の多いCAAC−OS膜とすることができる。
スパッタリング法により成膜される酸化物半導体膜342中には、水素又は水、水酸基を含む化合物などが含まれていることがある。水素や水などは、ドナー準位を形成しやすいため、酸化物半導体にとっては不純物である。したがって、スパッタリング法を用いて、酸化物半導体膜342を成膜する際、できる限り酸化物半導体膜342に含まれる水素濃度を低減させることが好ましい。
水素濃度を低減させるためには、酸化物半導体膜342の成膜時に、スパッタリング装置の処理室のリークレートを1×10−10Pa・m3/秒以下とすることで、スパッタリング法による成膜途中における酸化物半導体膜342中へ、アルカリ金属、水素化物等の不純物の混入を低減することができる。また、排気系として吸着型の真空ポンプ(例えば、クライオポンプなど)を用いることで、排気系からアルカリ金属、水素原子、水素分子、水、水酸基を含む化合物、または水素化物等の不純物の逆流を低減することができる。
また、ターゲットの純度を、99.99%以上とすることで、酸化物半導体膜に混入するアルカリ金属、水素原子、水素分子、水、水酸基、または水素化物等を低減することができる。また、当該ターゲットを用いることで、酸化物半導体膜において、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の濃度を低減することができる。
なお、酸化物半導体は不純物に対して鈍感であり、膜中にはかなりの金属不純物が含まれていても問題がなく、ナトリウム(Na)のようなアルカリ金属が多量に含まれる廉価なソーダ石灰ガラスも使えると指摘されている(神谷、野村、細野、「アモルファス酸化物半導体の物性とデバイス開発の現状」、固体物理、2009年9月号、Vol.44、pp.621−633.)。しかし、このような指摘は適切でない。アルカリ金属は酸化物半導体を構成する元素ではないため、不純物である。アルカリ土類金属も、酸化物半導体を構成する元素ではない場合において、不純物となる。特に、アルカリ金属のうちNaは、酸化物半導体膜に接する絶縁膜が酸化物である場合、当該絶縁膜中に拡散してNa+となる。また、Naは、酸化物半導体膜内において、酸化物半導体を構成する金属と酸素の結合を分断する、或いは、その結合中に割り込む。その結果、例えば、閾値電圧がマイナス方向にシフトすることによるノーマリオン化、移動度の低下等の、トランジスタの特性の劣化が起こり、加えて、特性のばらつきも生じる。この不純物によりもたらされるトランジスタの特性の劣化と、特性のばらつきは、酸化物半導体膜中の水素濃度が十分に低い場合において顕著に現れる。従って、酸化物半導体膜中の水素濃度が1×1018/cm3以下、より好ましくは1×1017/cm3以下である場合には、上記不純物の濃度を低減することが望ましい。具体的に、二次イオン質量分析法によるNa濃度の測定値は、5×1016/cm3以下、好ましくは1×1016/cm3以下、更に好ましくは1×1015/cm3以下とするとよい。同様に、Li濃度の測定値は、5×1015/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下とするとよい。同様に、K濃度の測定値は、5×1015/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下とするとよい。
スパッタリング装置の処理室内に供給する雰囲気ガスとして、水素、水、水酸基を含む化合物、水素化物などの不純物が除去された高純度の希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、および希ガスと酸素との混合ガスを適宜用いる。例えば、アルゴンの純度を、9N(99.9999999%)以上(H2Oは、0.1ppb、H2は、0.5ppb)とし、露点−121℃とする。また、酸素の濃度は、8N(99.999999%)以上(H2Oは、1ppb、H2は、1ppb)とし、露点−112℃とする。また、希ガスと酸素の混合ガスを用いる場合には、酸素の流量比率を大きくすることが好ましい。
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用される。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する塵埃が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
上記のようにすることで、水素の混入が低減された酸化物半導体膜342を成膜することができる。なお、上記スパッタリング装置を用いても、酸化物半導体膜342には少なからず窒素を含んで形成される。例えば、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定される酸化物半導体膜342の窒素濃度は、5×1018cm−3未満となる。
酸化物半導体膜342中の水分又は水素などの不純物をさらに低減(脱水化または脱水素化)するために、酸化物半導体膜342に対して、熱処理を行うことが好ましい。例えば、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、酸化物半導体膜342に熱処理を施す。なお、酸化性雰囲気とは、酸素、オゾンまたは窒化酸素などの酸化性ガスを10ppm以上含有する雰囲気をいう。また、不活性雰囲気とは、前述の酸化性ガスが10ppm未満であり、その他、窒素または希ガスで充填された雰囲気をいう。
熱処理の温度は、例えば、150℃以上基板歪み点温度未満、好ましくは250℃以上450℃以下、さらに好ましくは300℃以上450℃以下とする。処理時間は3分〜24時間とする。24時間を超える熱処理は生産性の低下を招くため好ましくない。
熱処理に用いる加熱装置に特別な限定はなく、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、電気炉や、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて熱処理を行う装置である。
熱処理を行うことによって、酸化物半導体膜342から水素(水、水酸基を含む化合物)などの不純物を放出させることができる。これにより、酸化物半導体膜342中の不純物を低減することができる。
また、熱処理を行うことによって、酸化物半導体膜342から不安定なキャリア源である水素を脱離させることができるため、トランジスタのしきい値電圧がマイナス方向へ変動することを抑制させることができる。さらに、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
次に、フォトリソグラフィ工程により酸化物半導体膜342上にレジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて、酸化物半導体膜342を所望の形状にエッチングし、島状の酸化物半導体膜342aを形成する(図9(B)参照)。なお、該レジストマスクは、フォトリソグラフィ工程の他にインクジェット法、印刷法等を適宜用いることができる。該エッチングは、酸化物半導体膜342aの端部がテーパ形状となるようにエッチングすることが好ましい。島状の酸化物半導体膜342aの端部をテーパ形状とすることで、本工程以降のトランジスタ115の作製において、形成される膜の被覆性を向上させることができ、該膜の断切れを防止することができる。テーパ形状は、該レジストマスクを後退させつつエッチングすることで形成することができる。
なお、本実施の形態では、酸化物半導体膜342を成膜した直後に熱処理を行う場合について説明したが、島状の酸化物半導体膜342aに加工した後に熱処理を行っても良い。
次に、酸化物半導体膜342aなどの上に導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて、導電膜を所望の形状にエッチングして、ソース電極またはドレイン電極344a、344bを形成する(図9(C)参照)。
導電膜は、後にソース電極およびドレイン電極となるものであり、アルミニウム、クロム、銅、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン等の金属材料を用いて形成することができる。また、上述した金属材料を成分とする合金等を用いて形成することもできる。さらに、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムのいずれか、またはこれらを複数組み合わせた材料を用いて形成することもできる。
導電膜は、単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。例えば、チタン膜や窒化チタン膜の単層構造、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜が積層された2層構造、窒化チタン膜上にチタン膜が積層された2層構造、チタン膜とアルミニウム膜とチタン膜とが積層された3層構造などが挙げられる。なお、導電膜を、チタン膜や窒化チタン膜の単層構造とする場合には、テーパ形状を有するソース電極またはドレイン電極344a、344bへの加工が容易であるというメリットがある。
また、導電膜は、酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ(ITOともいう)、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。
導電膜を選択的にエッチングしてソース電極またはドレイン電極344a、344bを形成する(図9(C)参照)。ここで、ソース電極またはドレイン電極344aは、容量素子の一対の電極のうち一方として機能する。
導電膜のエッチングは、形成されるソース電極またはドレイン電極344a、344bの端部がテーパ形状となるように行うことが好ましい。ここで、テーパ角は、例えば、30°以上60°以下とすることが好ましい。ソース電極またはドレイン電極344a、344bの端部がテーパ形状となるようにエッチングすることにより、後に形成されるゲート絶縁膜の被覆性が向上し、段切れを防止することができる。
トランジスタのチャネル長(L)は、ソース電極またはドレイン電極344a、及びソース電極またはドレイン電極344bの下端部の間隔によって決定される。なお、チャネル長(L)が25nm未満のトランジスタを形成する場合に用いるマスク形成の露光を行う際には、数nm〜数十nmと波長の短い超紫外線(Extreme Ultraviolet)を用いるのが望ましい。超紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に形成されるトランジスタのチャネル長(L)を、10nm以上1000nm(1μm)以下とすることも可能であり、回路の動作速度を高めることが可能である。また、微細化によって、記憶装置の消費電力を低減することも可能である。
次に、ソース電極またはドレイン電極344a、344b、及び酸化物半導体膜342aを覆うように、ゲート絶縁膜346を形成する(図9(D)参照)。
ゲート絶縁膜346は、CVD法やスパッタリング法等を用いて形成することができる。また、ゲート絶縁膜346は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化タンタルなどを用いることができる。また、ゲート絶縁膜346として、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz(x>0、y>0、z>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz(x>0、y>0、z>0))などの高誘電率(high−k)材料を用いることもできる。ゲート絶縁膜346は、単層構造としても良いし、上記の材料を組み合わせて積層構造としても良い。また、その厚さは特に限定されないが、記憶装置を微細化する場合には、トランジスタの動作を確保するために薄くすることが望ましい。例えば、酸化シリコンを用いる場合には、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。
また、ゲート絶縁膜346は、第13族元素および酸素を含む絶縁材料としてもよい。酸化物半導体材料には第13族元素を含むものが多く、第13族元素を含む絶縁材料は酸化物半導体材料との相性が良い。したがって、第13族元素および酸素を含む絶縁材料を酸化物半導体膜に接する絶縁膜に用いることで、酸化物半導体膜との界面の状態を良好に保つことができる。
ここで、第13族元素を含む絶縁材料とは、絶縁材料に一または複数の第13族元素を含むことを意味する。第13族元素を含む絶縁材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどがある。ここで、酸化アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原子%)が多いものを示し、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)がアルミニウムの含有量(原子%)以上のものを示す。
例えば、ガリウムを含有する酸化物半導体膜342aに接してゲート絶縁膜346を形成する場合に、ゲート絶縁膜に酸化ガリウムを含む材料を用いることで酸化物半導体膜とゲート絶縁膜の界面特性を良好に保つことができる。また、酸化物半導体膜と酸化ガリウムを含む絶縁膜とを接して設けることにより、酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における水素のパイルアップを低減することができる。なお、絶縁膜に酸化物半導体の成分元素と同じ族の元素を用いる場合には、同様の効果を得ることが可能である。例えば、酸化アルミニウムを含む材料を用いて絶縁膜を形成することも有効である。なお、酸化アルミニウムは、水を透過させにくいという特性を有しているため、当該材料を用いることは、酸化物半導体膜への水の侵入防止という点においても好ましい。
なお、酸化物半導体膜342(または酸化物半導体膜342a)に熱処理を行うと、水素などが放出されるとともに、酸化物半導体膜342に含まれる酸素も放出されてしまう。酸素が放出されることにより、酸化物半導体膜342には、酸素欠損が生じてしまう。酸素欠損の一部はドナーとなるため、酸化物半導体膜342にキャリアを発生させる原因となり、トランジスタの特性に影響を与えるおそれがある。
そこで、酸化物半導体膜342aに接するゲート絶縁膜346として、熱処理により酸素が脱離する絶縁膜を用いることが好ましい。
本明細書等において、「熱処理により酸素が脱離する」とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)分析にて、酸素原子に換算した酸素の脱離量(又は放出量)が1.0×1018cm−3以上、好ましくは3.0×1020cm−3以上であることをいう。また、「熱処理により酸素が脱離しない」とは、TDS分析にて、酸素原子に換算した酸素の脱離量(又は放出量)が1.0×1018cm−3未満であることをいう。
以下、酸素の放出量をTDS分析で酸素原子に換算して定量する方法について説明する。
TDS分析したときの気体の脱離量は、イオン強度の積分値に比例する。このため、絶縁膜のイオン強度の積分値と、標準試料の基準値に対する比とにより、気体の脱離量を計算することができる。標準試料の基準値とは、所定の密度の原子を含む試料において、当該原子に相当するイオン強度の積分値に対する当該原子の密度の割合である。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、および絶縁膜のTDS分析結果から、絶縁膜の酸素分子の脱離量(NO2)は、下記の式(5)で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量数32で検出されるガスの全てが酸素分子由来と仮定する。質量数32のものとしてCH3OHがあるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子及び質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
NO2=NH2/SH2×SO2×α (5)
NH2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、絶縁膜をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。上述の式の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照できる。なお、上記した酸素の脱離量の数値は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として1×1016cm−3の水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定した数値である。
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の脱離量を評価することで、酸素原子の脱離量についても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の脱離量である。絶縁膜においては、酸素原子に換算したときの酸素の脱離量は、酸素分子の脱離量の2倍となる。
熱処理により酸素が脱離する膜の一例として、酸素が過剰な酸化シリコン(SiOx(x>2))がある。酸素が過剰な酸化シリコン(SiOx(x>2))とは、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数および酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法により測定した値である。
酸化物半導体膜342aに接する絶縁膜(例えば、絶縁膜324やゲート絶縁膜346)として、熱処理により酸素が脱離する絶縁膜を用い、ゲート絶縁膜346の成膜後のいずれかの工程の後に、熱処理を行うことにより、絶縁膜324やゲート絶縁膜346から酸素が脱離し、酸化物半導体膜342aに酸素を供給することができる。これにより、酸化物半導体膜342aに生じた酸素欠損を補償し、酸素欠損を低減することができる。よって、酸化物半導体膜342aにキャリアの生成を抑制することができるため、トランジスタの特性の変動を抑制することができる。
次に、ゲート絶縁膜346上に、導電膜を成膜した後、フォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて導電膜を所望の形状にエッチングして、ゲート電極348a、電極348bを形成する(図9(D)参照)。導電層は、容量素子の電極として機能する。導電膜は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて形成することができる。導電膜は、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
次に、ゲート電極348a及び電極348bが形成された後に、ゲート電極348a、ソース電極またはドレイン電極344a、344bをマスクとして、酸化物半導体膜342aに、n型の導電性を付与するドーパントを添加し、一対のドーパント領域349a、349bを形成する(図10(A)参照)。なお、酸化物半導体膜342aのうち、ドーパント領域349aとドーパント領域349bとの間に挟まれた領域が、チャネル形成領域となる。また、チャネル形成領域は、酸化物半導体膜342aにおいて、ゲート絶縁膜346を介してゲート電極348aと重なる領域に形成される。
ドーパント領域349a、349bを形成するためのドーパントの添加は、イオン注入法を用いることができる。ドーパントは、例えばヘリウム、アルゴン、キセノンなどの希ガスや、窒素、リン、ヒ素、アンチモンなどの15族原子などを用いることができる。例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、ドーパント領域349a、349b中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm3以上1×1022/cm3以下であることが望ましい。n型の導電性を付与するドーパントが添加されているドーパント領域349a、349bは、酸化物半導体膜342a中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、ドーパント領域349a、349bを酸化物半導体膜342aに設けることで、ソース電極またはドレイン電極344a、344bの間の抵抗を下げることができる。
次に、ゲート絶縁膜346、ゲート電極348a、および電極348b上に、絶縁膜350及び絶縁膜352を形成する(図10(A)参照)。絶縁膜350及び絶縁膜352は、PVD法やCVD法などを用いて形成することができる。また、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料を含む材料、ポリイミド、アクリル等の有機材料を含む材料を用いて形成することができる。なお、絶縁膜350及び絶縁膜352には、誘電率の低い材料や、誘電率の低い構造(多孔性の構造など)を用いることが望ましい。絶縁膜350及び絶縁膜352の誘電率を低くすることにより、配線や電極などの間に生じる容量を低減し、動作の高速化を図ることができるためである。例えば、絶縁膜350に、無機材料を含む材料を用い、絶縁膜352に有機材料を含む材料を用いることもできる。
また、酸化アルミニウム膜は、水素や水などに対するブロッキング性を有するため、絶縁膜350として用いることで、記憶装置の外部から混入する水素や水などが、酸化物半導体膜342aに混入することを防止することができるため、好ましい。また、酸化アルミニウム膜は、酸素に対するブロッキング性も有するため、酸化物半導体膜342aに含まれる酸素が外方拡散されてしまうことを抑制することもできる。絶縁膜350として、酸化アルミニウム膜を用いることにより、水素や水などが酸化物半導体膜342aに混入することを防止するとともに、酸化物半導体膜342aに含まれる酸素が外方拡散されてしまうことを抑制することができるため、トランジスタの電気的特性が変動してしまうことを抑制することができる。
次に、ゲート絶縁膜346、絶縁膜350、及び絶縁膜352に、ソース電極またはドレイン電極344bにまで達する開口を形成する。当該開口の形成は、マスクなどを用いた選択的なエッチングにより行われる。その後、ソース電極またはドレイン電極344bに接する導電膜を形成する。次に、導電膜に、エッチング処理又はCMP処理を行うことにより、電極354を形成する(図10(B)参照)。
次に、絶縁膜352を覆い、電極354と接するように、配線356を形成する(図10(B)参照)。配線356は、PVD法や、CVD法を用いて導電膜を形成した後、当該導電膜を加工することによって形成される。また、導電膜は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン等の金属材料や、上述した金属材料を成分とする合金等を用いることができる。さらに、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムのいずれか、またはこれらを複数組み合わせた材料を用いてもよい。
また、電極354を用いずに、配線356を形成してもよい。例えば、絶縁膜350の開口を含む領域にPVD法によりチタン膜を薄く形成し、その後に、開口に埋め込むようにアルミニウム膜を形成する方法を適用することができる。ここで、PVD法により形成されるチタン膜は、被形成面の酸化膜(自然酸化膜など)を還元し、下部電極など(ここでは、ソース電極またはドレイン電極344b)との接触抵抗を低減させる機能を有する。また、アルミニウム膜のヒロックを防止することができる。また、チタンや窒化チタンなどによるバリア膜を形成した後に、メッキ法により銅膜を形成してもよい。
配線356を形成することにより、下層に形成されたトランジスタと、上層に形成されたトランジスタとを、接続することもできる(図示しない)。
以上の工程により、酸化物半導体膜342aを用いたトランジスタ115および容量素子116を有する記憶素子が完成する(図10(B)参照)。
上述の作製方法を用いることにより、酸化物半導体以外の半導体材料を用いたトランジスタ上に、酸化物半導体材料を用いたトランジスタが形成された記憶装置を作製することができる。
上述の作製方法を用いることにより、水素やアルカリ金属の不純物が極めて低減された酸化物半導体膜342aを得ることができる。このように酸化物半導体膜342aに含まれる水素濃度は、5×1019atoms/cm3以下、望ましくは5×1018atoms/cm3以下、より望ましくは5×1017atoms/cm3以下とすることができる。また、酸化物半導体膜342a中に含まれる、Li、Naなどのアルカリ金属、及びCaなどのアルカリ土類金属などの不純物濃度は、具体的に、二次イオン質量分析法によるNa濃度の測定値は、5×1016/cm3以下、好ましくは1×1016/cm3以下、更に好ましくは1×1015/cm3以下とするとよい。同様に、Li濃度の測定値は、5×1015/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下とするとよい。同様に、K濃度の測定値は、5×1015/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下とすることができる。
このような酸化物半導体膜342aを用いてトランジスタ115(及びトランジスタ117)を作製することにより、オフ電流が極めて小さいトランジスタを作製することができる。具体的には、オフ電流密度を100zA/μm以下、好ましくは10zA/μm以下とすることができる。このオフ電流密度は、結晶性を有するシリコン膜にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流密度と比較して極めて低い値である。このように、トランジスタ115は、オフ電流が極めて小さくすることができるため、図1に示す記憶素子110及び図4に示す記憶素子160に用いられる記憶回路102、記憶回路103として用いることにより、長期にわたり記憶内容を保持することができる。
また、本実施の形態に係るトランジスタは、比較的高い電界効果移動度を有するため、図1及び図4に示すトランジスタ115及びトランジスタ117に用いることにより、記憶回路102及び記憶回路103を高速動作させることができる。したがって、図1及び図4に示す記憶装置において、電源の供給を停止する前に、論理回路101から記憶回路102及び記憶回路103へ短時間でデータを移すことができる。また、電源の供給を再開した後、記憶回路102及び記憶回路103から論理回路101へ短時間でデータを戻すことができる。
本発明の一態様に係る記憶素子は、チャネルが酸化物半導体以外の半導体膜に形成されるトランジスタで構成される論理回路101、制御回路104、制御回路105、及びプリチャージ回路108上に、チャネルが酸化物半導体膜に形成されるトランジスタ115で構成される記憶回路102、及びトランジスタ117で構成される記憶回路103を形成することができる。このように、チャネルが酸化物半導体膜に形成されるトランジスタ115及びトランジスタ117は、チャネルが酸化物半導体以外の半導体膜に形成されるトランジスタの上に積層することが可能であるため、3次元的に記憶素子を構成することができる。したがって、記憶素子の2次元平面の面積を削減することができる。
ところで、不揮発性のランダムアクセスメモリとして磁気トンネル接合素子(MTJ(Magnetic Tunneling Junction)素子)が知られている。MTJ素子は、絶縁膜を介して上下に配置している強磁性体の磁化の向きが並行であれば低抵抗状態、反並行であれば高抵抗状態となることで情報を記憶する素子である。したがって、本発明の一態様に係る記憶素子とは原理が全く異なっている。表1はMTJ素子と、本発明の一態様に係る記憶素子との対比を示す。
MTJ素子は磁性材料を使用するためキュリー温度以上にすると磁性が失われてしまうという欠点がある。また、MTJ素子は電流駆動であるため、シリコンのバイポーラデバイスと相性が良いが、バイポーラデバイスは集積化に不向きである。そして、MTJ素子は書き込み電流が微少とはいえメモリの大容量化によって消費電力が増大してしまうといった問題がある。
原理的にMTJ素子は磁界耐性に弱く強磁界にさらされると磁化の向きが狂いやすい。また、MTJ素子に用いる磁性体のナノスケール化によって生じる磁化揺らぎを制御する必要がある。
さらに、MTJ素子は希土類元素を使用するため、金属汚染を嫌うシリコン半導体のプロセスに組み入れるには相当の注意を要する。MTJ素子はビット当たりの材料コストから見ても高価であると考えられる。
一方、本実施の形態で示す酸化物半導体を用いたトランジスタは、チャネルを形成する半導体材料が金属酸化物であること以外は、素子構造や動作原理がシリコンMOSFETと同様である。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは磁界の影響を受けず、ソフトエラーも生じ得ないといった特質を有する。このことからシリコン集積回路と非常に整合性が良いといえる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2とは異なる構造を有する酸化物半導体材料を用いたトランジスタについて説明する。
図11(A)に示すトランジスタ411は、下地膜412上に形成されたソース電極またはドレイン電極414a、414bと、ソース電極またはドレイン電極414a、414b上に形成された酸化物半導体膜413と、酸化物半導体膜413、ソース電極またはドレイン電極414a、414b上のゲート絶縁膜415と、ゲート絶縁膜415上において酸化物半導体膜413と重なる位置に設けられたゲート電極416と、ゲート電極416上において酸化物半導体膜413を覆う保護絶縁膜417とを有する。
図11(A)に示すトランジスタ411は、ゲート電極416が酸化物半導体膜413の上に形成されているトップゲート型であり、かつ、ソース電極またはドレイン電極414a、414bが酸化物半導体膜413の下に形成されているボトムコンタクト型である。そして、トランジスタ411は、ソース電極またはドレイン電極414a、414bと、ゲート電極416とが重なっていないので、ソース電極またはドレイン電極414a、414bとゲート電極416との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
また、酸化物半導体膜413は、ゲート電極416が形成された後に酸化物半導体膜413にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対のドーパント領域418a、418bを有する。また、酸化物半導体膜413のうち、ゲート絶縁膜415を間に挟んでゲート電極416と重なる領域がチャネル形成領域419である。酸化物半導体膜413では、一対のドーパント領域418a、418bの間にチャネル形成領域419が設けられている。ドーパント領域418a、418bを形成するためのドーパントの添加は、イオン注入法を用いることができる。ドーパントは、例えばヘリウム、アルゴン、キセノンなどの希ガスや、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ホウ素などを用いることができる。
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、ドーパント領域418a、418b中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm3以上1×1022/cm3以下であることが望ましい。
n型の導電性を付与するドーパントが添加されているドーパント領域418a、418bは、酸化物半導体膜413中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、ドーパント領域418a、418bを酸化物半導体膜413に設けることで、ソース電極またはドレイン電極414a、414bの間の抵抗を下げることができる。
また、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を酸化物半導体膜413に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、ドーパント領域418a、418b中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。ドーパント領域418a、418b中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらにドーパント領域418a、418bの導電性を高め、ソース電極またはドレイン電極414a、414bの間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極またはドレイン電極414a、414bの間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、ドーパント領域418a、418b中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm3以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
また、酸化物半導体膜413は、CAAC−OS膜で構成されていても良い。酸化物半導体膜413がCAAC−OS膜で構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体膜413の導電率を高めることができるので、ソース電極またはドレイン電極414a、414bの間の抵抗を下げることができる。
そして、ソース電極またはドレイン電極414a、414bの間の抵抗を下げることで、トランジスタ411の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ411の微細化により、当該トランジスタを用いた半導体装置の占める面積を縮小化し、単位面積あたりのトランジスタ数を高めることができる。
図11(B)に示すトランジスタ421は、下地膜422上に形成された、酸化物半導体膜423と、酸化物半導体膜423上に形成されたソース電極またはドレイン電極424a、424bと、酸化物半導体膜423、ソース電極またはドレイン電極424a、424b上のゲート絶縁膜425と、ゲート絶縁膜425上において酸化物半導体膜423と重なる位置に設けられたゲート電極426と、ゲート電極426上において酸化物半導体膜423を覆う保護絶縁膜427とを有する。さらに、トランジスタ421は、ゲート電極426の側面に設けられた、絶縁膜で形成されたサイドウォール430a、430bを有する。
図11(B)に示すトランジスタ421は、ゲート電極426が酸化物半導体膜423の上に形成されているトップゲート型であり、かつ、ソース電極またはドレイン電極424a、424bが酸化物半導体膜423の上に形成されているトップコンタクト型である。そして、トランジスタ421は、トランジスタ411と同様に、ソース電極またはドレイン電極424a、424bと、ゲート電極426とが重なっていないので、ソース電極またはドレイン電極424a、424bとゲート電極426との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
また、酸化物半導体膜423は、ゲート電極426が形成された後に酸化物半導体膜423にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度ドーパント領域428a、428bと、一対の低濃度ドーパント領域429a、429bとを有する。また、酸化物半導体膜423のうち、ゲート絶縁膜425を間に挟んでゲート電極426と重なる領域がチャネル形成領域431である。酸化物半導体膜423では、一対の高濃度ドーパント領域428a、428bの間に一対の低濃度ドーパント領域429a、429bが設けられ、一対の低濃度ドーパント領域429a、429bの間にチャネル形成領域431が設けられている。そして、一対の低濃度ドーパント領域429a、429bは、酸化物半導体膜423中の、ゲート絶縁膜425を間に挟んでサイドウォール430a、430bと重なる領域に設けられている。
高濃度ドーパント領域428a、428b及び低濃度ドーパント領域429a、429bは、上述した、トランジスタ411が有するドーパント領域418a、418bの場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度ドーパント領域428a、428bを形成するためのドーパントの種類については、ドーパント領域418a、418bの場合を参照することができる。
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度ドーパント領域428a、428b中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm3以上1×1022/cm3以下であることが望ましい。また、例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、低濃度ドーパント領域429a、429b中の窒素原子の濃度は、5×1018/cm3以上5×1019/cm3未満であることが望ましい。
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度ドーパント領域428a、428bは、酸化物半導体膜423中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度ドーパント領域428a、428bを酸化物半導体膜423に設けることで、ソース電極またはドレイン電極424a、424bの間の抵抗を下げることができる。また、低濃度ドーパント領域429a、429bをチャネル形成領域431と高濃度ドーパント領域428a、428bの間に設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
また、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を酸化物半導体膜423に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、高濃度ドーパント領域428a、428b中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。またさらに、低濃度ドーパント領域429a、429bも、窒素の濃度によっては、上記加熱処理によりウルツ鉱型の結晶構造を有する場合もある。高濃度ドーパント領域428a、428b中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度ドーパント領域428a、428bの導電性を高め、ソース電極またはドレイン電極424a、424bの間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極またはドレイン電極424a、424bの間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度ドーパント領域428a、428b中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm3以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
また、酸化物半導体膜423は、CAAC−OS膜で構成されていても良い。酸化物半導体膜423がCAAC−OS膜で構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体膜423の導電率を高めることができるので、ソース電極またはドレイン電極424a、424bの間の抵抗を下げることができる。
そして、ソース電極またはドレイン電極424a、424bの間の抵抗を下げることで、トランジスタ421の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ421の微細化により、当該トランジスタを用いたメモリセルの占める面積を縮小化し、セルアレイの単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
図11(C)に示すトランジスタ441は、下地膜442上に形成されたソース電極またはドレイン電極444a、444bと、ソース電極またはドレイン電極444a、444b上に形成された活性層として機能する酸化物半導体膜443と、酸化物半導体膜443、ソース電極またはドレイン電極444a、444b上のゲート絶縁膜445と、ゲート絶縁膜445上において酸化物半導体膜443と重なる位置に設けられたゲート電極446と、ゲート電極446上において酸化物半導体膜443を覆う保護絶縁膜447とを有する。さらに、トランジスタ441は、ゲート電極446の側面に設けられた、絶縁膜で形成されたサイドウォール450a、450bを有する。
図11(C)に示すトランジスタ441は、ゲート電極446が酸化物半導体膜443の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極またはドレイン電極444a、444bが酸化物半導体膜443の下に形成されているボトムコンタクト型である。そして、トランジスタ441は、トランジスタ411と同様に、ソース電極またはドレイン電極444a、444bと、ゲート電極446とが重なっていないので、ソース電極またはドレイン電極444a、444bとゲート電極446との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
また、酸化物半導体膜443は、ゲート電極446が形成された後に酸化物半導体膜443にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度ドーパント領域448a、448bと、一対の低濃度ドーパント領域449a、449bとを有する。また、酸化物半導体膜443のうち、ゲート絶縁膜445を間に挟んでゲート電極446と重なる領域がチャネル形成領域451である。酸化物半導体膜443では、一対の高濃度ドーパント領域448a、448bの間に一対の低濃度ドーパント領域449a、449bが設けられ、一対の低濃度ドーパント領域449a、449bの間にチャネル形成領域451が設けられている。そして、一対の低濃度ドーパント領域449a、449bは、酸化物半導体膜443中の、ゲート絶縁膜445を間に挟んでサイドウォール450a、450bと重なる領域に設けられている。
高濃度ドーパント領域448a、448b及び低濃度ドーパント領域449a、449bは、上述した、トランジスタ411が有するドーパント領域418a、418bの場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度ドーパント領域448a、448bを形成するためのドーパントの種類については、ドーパント領域418a、418bの場合を参照することができる。
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度ドーパント領域448a、448b中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm3以上1×1022/cm3以下であることが望ましい。また、例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、低濃度ドーパント領域449a、449b中の窒素原子の濃度は、5×1018/cm3以上5×1019/cm3未満であることが望ましい。
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度ドーパント領域448a、448bは、酸化物半導体膜443中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度ドーパント領域448a、448bを酸化物半導体膜443に設けることで、ソース電極またはドレイン電極444a、444bの間の抵抗を下げることができる。また、低濃度ドーパント領域449a、449bをチャネル形成領域451と高濃度ドーパント領域448a、448bの間に設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
また、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を酸化物半導体膜443に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、高濃度ドーパント領域448a、448b中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。またさらに、低濃度ドーパント領域449a、449bも、窒素の濃度によっては、上記加熱処理によりウルツ鉱型の結晶構造を有する場合もある。高濃度ドーパント領域448a、448b中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度ドーパント領域448a、448bの導電性を高め、ソース電極またはドレイン電極444a、444bの間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極またはドレイン電極444a、444bの間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度ドーパント領域448a、448b中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm3以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
また、酸化物半導体膜443は、CAAC−OS膜で構成されていても良い。酸化物半導体膜443がCAAC−OS膜で構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体膜443の導電率を高めることができるので、ソース電極またはドレイン電極444a、444bの間の抵抗を下げることができる。
そして、ソース電極またはドレイン電極444a、444bの間の抵抗を下げることで、トランジスタ441の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ441の微細化により、当該トランジスタを用いた半導体装置の占める面積を縮小化し、単位面積あたりのトランジスタ数を高めることができる。
なお、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度ドーパント領域をセルフアラインプロセスにて作製する方法の一つとして、酸化物半導体膜の表面を露出させて、アルゴンプラズマ処理をおこない、酸化物半導体膜のプラズマにさらされた領域の抵抗率を低下させる方法が開示されている(S. Jeon et al. ”180nm Gate Length Amorphous InGaZnO Thin Film Transistor for High Density Image Sensor Applications”, IEDM Tech. Dig., pp.504―507, 2010.)。
しかしながら、上記作製方法では、ゲート絶縁膜を形成した後に、ソース領域またはドレイン領域となるべき部分を露出するべく、ゲート絶縁膜を部分的に除去する必要がある。よって、ゲート絶縁膜が除去される際に、下層の酸化物半導体膜も部分的にオーバーエッチングされ、ソース領域またはドレイン領域となるべき部分の膜厚が小さくなってしまう。その結果、ソース領域またはドレイン領域の抵抗が増加し、また、オーバーエッチングによるトランジスタの特性不良が起こりやすくなる。
トランジスタの微細化を進めるには、加工精度の高いドライエッチング法を採用する必要がある。しかし、上記オーバーエッチングは、酸化物半導体膜とゲート絶縁膜の選択比が十分に確保できないドライエッチング法を採用する場合に、顕著に起こりやすい。
例えば、酸化物半導体膜が十分な厚さであればオーバーエッチングも問題にはならないが、チャネル長を200nm以下とする場合には、短チャネル効果を防止する上で、チャネル形成領域となる部分の酸化物半導体膜の厚さは20nm以下、好ましくは10nm以下であることが求められる。そのような薄い酸化物半導体膜を扱う場合には、酸化物半導体膜のオーバーエッチングは、上述したような、ソース領域またはドレイン領域の抵抗が増加、トランジスタの特性不良を生じさせるため、好ましくない。
しかし、本発明の一態様のように、酸化物半導体膜へのドーパントの添加を、酸化物半導体膜を露出させず、ゲート絶縁膜を残したまま行うことで、酸化物半導体膜のオーバーエッチングを防ぎ、酸化物半導体膜への過剰なダメージを軽減することができる。また、加えて、酸化物半導体膜とゲート絶縁膜の界面も清浄に保たれる。従って、トランジスタの特性及び信頼性を高めることができる。
また、酸化物半導体膜より下層に位置する下地膜や、上層に位置する保護絶縁膜は、アルカリ金属や、水素及び酸素に対するバリア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリア性の高い絶縁膜として、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜などを用いることができる。下地膜及び保護絶縁膜をバリア性の高い絶縁膜の単層または積層、もしくは、バリア性の高い絶縁膜と、バリア性の低い絶縁膜の積層としてもよい。
酸化物半導体膜をバリア性の高い絶縁膜で覆うことにより、外部からの不純物の侵入を防ぐとともに、酸化物半導体膜中からの酸素脱離を防ぐことができる。よって、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、c軸配向し、かつab面、表面または界面の方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸においては金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列しており、ab面においてはa軸またはb軸の向きが異なる(c軸を中心に回転した)結晶を含む酸化物半導体(CAAC−OS:C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜について説明する。
CAAC−OS膜に含まれる結晶構造の一例について図12乃至図15を用いて詳細に説明する。なお、特に断りがない限り、図12乃至図15は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。なお、単に上半分、下半分という場合、ab面を境にした場合の上半分、下半分をいう。また、図12において、丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸で囲まれたOは3配位のOを示す。
図12(A)に、1個の6配位のInと、Inに近接の6個の4配位の酸素原子(以下4配位のO)と、を有する構造を示す。ここでは、金属原子が1個に対して、近接の酸素原子のみ示した構造を小グループと呼ぶ。図12(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図12(A)の上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがある。図12(A)に示す小グループは電荷が0である。
図12(B)に、1個の5配位のGaと、Gaに近接の3個の3配位の酸素原子(以下3配位のO)と、Gaに近接の2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図12(B)の上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図12(B)に示す構造をとりうる。図12(B)に示す小グループは電荷が0である。
図12(C)に、1個の4配位のZnと、Znに近接の4個の4配位のOと、を有する構造を示す。図12(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。または、図12(C)の上半分に3個の4配位のOがあり、下半分に1個の4配位のOがあってもよい。図12(C)に示す小グループは電荷が0である。
図12(D)に、1個の6配位のSnと、Snに近接の6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図12(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図12(D)に示す小グループは電荷が+1となる。
図12(E)に、2個のZnを含む小グループを示す。図12(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図12(E)に示す小グループは電荷が−1となる。
ここでは、複数の小グループの集合体を中グループと呼び、複数の中グループの集合体を大グループ(ユニットセルともいう。)と呼ぶ。
ここで、これらの小グループ同士が結合する規則について説明する。図12(A)に示す6配位のInの上半分の3個のOは下方向にそれぞれ3個の近接Inを有し、下半分の3個のOは上方向にそれぞれ3個の近接Inを有する。図12(B)に示す5配位のGaの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Gaを有し、下半分の1個のOは上方向に1個の近接Gaを有する。図12(C)に示す4配位のZnの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Znを有し、下半分の3個のOは上方向にそれぞれ3個の近接Znを有する。この様に、金属原子の上方向の4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向の4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接金属原子の数は等しい。Oは4配位なので、下方向にある近接金属原子の数と、上方向にある近接金属原子の数の和は4になる。従って、金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種の小グループ同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(InまたはSn)が下半分の4配位のOを介して結合する場合、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(GaまたはIn)または4配位の金属原子(Zn)のいずれかと結合することになる。
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるように複数の小グループが結合して中グループを構成する。
図13(A)に、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。図13(B)に、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図13(C)は、図13(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
図13(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示し、例えば、Snの上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3として示している。同様に、図13(A)において、Inの上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1として示している。また、同様に、図13(A)において、下半分には1個の4配位のOがあり、上半分には3個の4配位のOがあるZnと、上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがあるZnとを示している。
図13(A)において、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnが、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に3個の4配位のOがあるZnと結合し、そのZnの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなる小グループと結合し、この小グループの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
ここで、3配位のOおよび4配位のOの場合、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位または6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含む小グループは電荷が+1となる。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1が必要となる。電荷−1をとる構造として、図12(E)に示すように、2個のZnを含む小グループが挙げられる。例えば、Snを含む小グループが1個に対し、2個のZnを含む小グループが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
具体的には、図13(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Sn−Zn−O系の結晶(In2SnZn3O8)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn−O系の層構造は、In2SnZn2O7(ZnO)m(mは0または自然数。)とする組成式で表すことができる。
また、このほかにも、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物(IGZOとも表記する。)、In−Al−Zn−O系酸化物、Sn−Ga−Zn−O系酸化物、Al−Ga−Zn−O系酸化物、Sn−Al−Zn−O系酸化物や、In−Hf−Zn−O系酸化物、In−La−Zn−O系酸化物、In−Ce−Zn−O系酸化物、In−Pr−Zn−O系酸化物、In−Nd−Zn−O系酸化物、In−Sm−Zn−O系酸化物、In−Eu−Zn−O系酸化物、In−Gd−Zn−O系酸化物、In−Tb−Zn−O系酸化物、In−Dy−Zn−O系酸化物、In−Ho−Zn−O系酸化物、In−Er−Zn−O系酸化物、In−Tm−Zn−O系酸化物、In−Yb−Zn−O系酸化物、In−Lu−Zn−O系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn−O系酸化物、Sn−Zn−O系酸化物、Al−Zn−O系酸化物、Zn−Mg−O系酸化物、Sn−Mg−O系酸化物、In−Mg−O系酸化物や、In−Ga−O系酸化物などを用いた場合も同様である。
例えば、図14(A)に、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。
図14(A)において、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInが、4配位のOが1個上半分にあるZnと結合し、そのZnの下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるGaと結合し、そのGaの下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
図14(B)に3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図14(C)は、図14(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
ここで、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、ZnおよびGaのいずれかを含む小グループは、電荷が0となる。そのため、これらの小グループの組み合わせであれば中グループの合計の電荷は常に0となる。
また、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、図14(A)に示した中グループに限定されず、In、Ga、Znの配列が異なる中グループを組み合わせた大グループも取りうる。
具体的には、図14(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Ga−Zn−O系の結晶を得ることができる。なお、得られるIn−Ga−Zn−O系の層構造は、InGaO3(ZnO)n(nは自然数。)とする組成式で表すことができる。
n=1(InGaZnO4)の場合は、例えば、図15(A)に示す結晶構造を取りうる。なお、図15(A)に示す結晶構造において、図12(B)で説明したように、Ga及びInは5配位をとるため、GaがInに置き換わった構造も取りうる。
また、n=2(InGaZn2O5)の場合は、例えば、図15(B)に示す結晶構造を取りうる。なお、図15(B)に示す結晶構造において、図12(B)で説明したように、Ga及びInは5配位をとるため、GaがInに置き換わった構造も取りうる。
以上、説明したように、CAAC−OS膜に含まれる結晶は、さまざまな構造を取りうる。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、トランジスタの電界効果移動度に関して説明する。
酸化物半導体に限らず、実際に測定される絶縁ゲート型トランジスタの電界効果移動度は、さまざまな理由によって本来の移動度よりも低くなる。移動度を低下させる要因としては半導体内部の欠陥や半導体と絶縁膜との界面の欠陥があるが、Levinsonモデルを用いると、半導体内部に欠陥がないと仮定した場合の電界効果移動度を理論的に導き出せる。
半導体本来の移動度をμ0、測定される電界効果移動度をμとし、半導体中に何らかのポテンシャル障壁(粒界等)が存在すると仮定すると、測定される電界効果移動度μは下記の式(6)で表される。
ここで、Eはポテンシャル障壁の高さであり、kがボルツマン定数、Tは絶対温度である。また、ポテンシャル障壁が欠陥に由来すると仮定すると、Levinsonモデルでは、下記の式(7)で表される。
ここで、eは電気素量、Nはチャネル内の単位面積当たりの平均欠陥密度、εは半導体の誘電率、nは単位面積当たりのチャネルに含まれるキャリア数、Coxは単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、tはチャネルの厚さである。なお、厚さ30nm以下の半導体層であれば、チャネルの厚さは半導体層の厚さと同一として差し支えない。線形領域におけるドレイン電流Idは、下記の式(8)で表される。
ここで、Lはチャネル長、Wはチャネル幅であり、ここでは、L=W=10μmである。また、Vdはドレイン電圧である。上式の両辺をVgで割り、更に両辺の対数を取ると、下記の式(9)で表される。
式(9)の右辺はVgの関数である。この式からわかるように、縦軸をln(Id/Vg)、横軸を1/Vgとする直線の傾きから欠陥密度Nが求められる。すなわち、トランジスタのId―Vg特性から、欠陥密度を評価できる。酸化物半導体としては、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)の比率が、In:Sn:Zn=1:1:1のものでは欠陥密度Nは1×1012/cm2程度である。
このようにして求めた欠陥密度等をもとに式(6)および式(7)よりμ0=120cm2/Vsが導出される。欠陥のあるIn−Sn−Zn酸化物で測定される移動度は40cm2/Vs程度である。しかし、半導体内部および半導体と絶縁膜との界面の欠陥が無い酸化物半導体の移動度μ0は120cm2/Vsとなると予想できる。
ただし、半導体内部に欠陥がなくても、チャネルとゲート絶縁層との界面での散乱によってトランジスタの輸送特性は影響を受ける。すなわち、ゲート絶縁層界面からxだけ離れた場所における移動度μ1は、下記の式(10)で表される。
ここで、Dはゲート方向の電界、B、lは定数である。Bおよびlは、実際の測定結果より求めることができ、上記の測定結果からは、B=4.75×107cm/s、l=10nm(界面散乱が及ぶ深さ)である。Dが増加する(すなわち、ゲート電圧が高くなる)と式(6)の第2項が増加するため、移動度μ1は低下することがわかる。
半導体内部の欠陥が無い理想的な酸化物半導体をチャネルに用いたトランジスタの移動度μ2を計算した結果を図16に示す。なお、計算にはシノプシス社製デバイスシミュレーションソフト、Sentaurus Deviceを使用し、酸化物半導体のバンドギャップ、電子親和力、比誘電率、厚さをそれぞれ、2.8電子ボルト、4.7電子ボルト、15、15nmとした。これらの値は、スパッタリング法により形成された薄膜を測定して得られたものである。
さらに、ゲート、ソース、ドレインの仕事関数をそれぞれ、5.5電子ボルト、4.6電子ボルト、4.6電子ボルトとした。また、ゲート絶縁層の厚さは100nm、比誘電率は4.1とした。チャネル長およびチャネル幅はともに10μm、ドレイン電圧Vdは0.1Vである。
図16で示されるように、ゲート電圧1V強で移動度100cm2/Vs以上のピークをつけるが、ゲート電圧がさらに高くなると、界面散乱が大きくなり、移動度が低下する。なお、界面散乱を低減するためには、半導体層表面を原子レベルで平坦にすること(Atomic Layer Flatness)が望ましい。
このような移動度を有する酸化物半導体を用いて微細なトランジスタを作製した場合の特性を計算した結果を図17乃至図19に示す。なお、計算に用いたトランジスタの断面構造を図20に示す。図20に示すトランジスタは酸化物半導体層にn+の導電型を呈する半導体領域1103aおよび半導体領域1103cを有する。半導体領域1103aおよび半導体領域1103cの抵抗率は2×10−3Ωcmとする。
図20(A)に示すトランジスタは、下地絶縁層1101と、下地絶縁層1101に埋め込まれるように形成された酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物1102の上に形成される。トランジスタは半導体領域1103a、半導体領域1103cと、それらに挟まれ、チャネル形成領域となる真性の半導体領域1103bと、ゲート電極1105を有する。ゲート電極1105の幅を33nmとする。
ゲート電極1105と半導体領域1103bの間には、ゲート絶縁膜1104を有し、また、ゲート電極1105の両側面には側壁絶縁層1106aおよび側壁絶縁層1106b、ゲート電極1105の上部には、ゲート電極1105と他の配線との短絡を防止するための絶縁層1107を有する。側壁絶縁層の幅は5nmとする。また、半導体領域1103aおよび半導体領域1103cに接して、ソース電極またはドレイン電極1108a、1108bを有する。なお、このトランジスタにおけるチャネル幅を40nmとする。
図20(B)に示すトランジスタは、下地絶縁層1101と、酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物1102の上に形成され、半導体領域1103a、半導体領域1103cと、それらに挟まれた真性の半導体領域1103bと、幅33nmのゲート電極1105とゲート絶縁膜1104と側壁絶縁層1106aおよび側壁絶縁層1106bと絶縁層1107とソース電極またはドレイン電極1108a、1108bを有する点で図20(A)に示すトランジスタと同じである。
図20(A)に示すトランジスタと図20(B)に示すトランジスタの相違点は、側壁絶縁層1106aおよび側壁絶縁層1106bの下の半導体領域の導電型である。図20(A)に示すトランジスタでは、側壁絶縁層1106aおよび側壁絶縁層1106bの下の半導体領域はn+の導電型を呈する半導体領域1103aおよび半導体領域1103cであるが、図20(B)に示すトランジスタでは、真性の半導体領域1103bである。すなわち、図20(B)に示す半導体層において、半導体領域1103a(半導体領域1103c)とゲート電極1105がLoffだけ重ならない領域ができている。この領域をオフセット領域といい、その幅Loffをオフセット長という。図から明らかなように、オフセット長は、側壁絶縁層1106a(側壁絶縁層1106b)の幅と同じである。
その他の計算に使用するパラメータは上述の通りである。計算にはシノプシス社製デバイスシミュレーションソフト、Sentaurus Deviceを使用した。図17は、図20(A)に示される構造のトランジスタのドレイン電流(Id、実線)および移動度(μ、点線)のゲート電圧(Vg、ゲートとソースの電位差)依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧(ドレインとソースの電位差)を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。
図17(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図17(B)は10nmとしたものであり、図17(C)は5nmとしたものである。ゲート絶縁膜が薄くなるほど、特にオフ状態でのドレイン電流Id(オフ電流)が顕著に低下する。一方、移動度μのピーク値やオン状態でのドレイン電流Id(オン電流)には目立った変化が無い。ゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
図18は、図20(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを5nmとしたもののドレイン電流Id(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧Vg依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図18(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図18(B)は10nmとしたものであり、図18(C)は5nmとしたものである。
また、図19は、図20(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを15nmとしたもののドレイン電流Id(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図19(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図19(B)は10nmとしたものであり、図19(C)は5nmとしたものである。
いずれもゲート絶縁膜が薄くなるほど、オフ電流が顕著に低下する一方、移動度μのピーク値やオン電流には目立った変化が無い。
なお、移動度μのピークは、図17では80cm2/Vs程度であるが、図18では60cm2/Vs程度、図19では40cm2/Vsと、オフセット長Loffが増加するほど低下する。また、オフ電流も同様な傾向がある。一方、オン電流にはオフセット長Loffの増加にともなって減少するが、オフ電流の低下に比べるとはるかに緩やかである。また、いずれもゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る記憶装置に適用することのできる酸化物半導体を用いたトランジスタの電気的特性及びオフ電流について説明する。
図21に、トランジスタ(試料1および試料2)の上面図および断面図を示す。図21(A)はトランジスタの上面図であり、図21(B)は図21(A)の一点鎖線A−Bに対応する断面図である。
図21(B)に示すトランジスタは、基板600と、基板600上に設けられた下地絶縁膜602と、下地絶縁膜602上に設けられた酸化物半導体膜606と、酸化物半導体膜606と接する一対の電極614と、酸化物半導体膜606および一対の電極614上に設けられたゲート絶縁膜608と、ゲート絶縁膜608を介して酸化物半導体膜606と重畳して設けられたゲート電極610と、ゲート絶縁膜608およびゲート電極610を覆って設けられた層間絶縁膜616と、ゲート絶縁膜608及び層間絶縁膜616に設けられた開口部を介して一対の電極614と接続する配線618と、層間絶縁膜616および配線618を覆って設けられた保護膜620と、を有する。
基板600としてはガラス基板を、下地絶縁膜602としては酸化シリコン膜を、酸化物半導体膜606としてはIn−Sn−Zn−O膜を、一対の電極614としてはタングステン膜を、ゲート絶縁膜608としては酸化シリコン膜を、ゲート電極610としては窒化タンタル膜とタングステン膜との積層構造を、層間絶縁膜616としては酸化窒化シリコン膜とポリイミド膜との積層構造を、配線618としてはチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜がこの順で形成された積層構造を、保護膜620としてはポリイミド膜を、それぞれ用いることができる。
なお、図21(A)に示す構造のトランジスタにおいて、ゲート電極610と一対の電極614との重畳する幅をLovと呼ぶ。同様に、酸化物半導体膜606に対する一対の電極614のはみ出しをdWと呼ぶ。
図21(B)に示す構造のトランジスタ(試料1および試料2)の作製方法を以下に説明する。
まず、基板600の表面に対し、アルゴン雰囲気でプラズマ処理を行う。プラズマ処理は、スパッタリング装置を用い、基板600側にバイアス電力を200W(RF)印加して3分間行う。
続けて、真空状態を保ったまま、下地絶縁膜602である酸化シリコン膜を300nmの厚さで成膜する。
酸化シリコン膜は、スパッタリング装置を用い、酸素雰囲気で電力を1500W(RF)として成膜する。ターゲットは、石英ターゲットを用いた。なお、成膜時の基板加熱温度は100℃とする。
次に、下地絶縁膜602の表面をCMP処理し、Ra=0.2nm程度まで平坦化する。
次に、平坦化された下地絶縁膜602上に酸化物半導体膜であるIn−Sn−Zn−O膜を15nmの厚さで成膜する。
In−Sn−Zn−O膜は、スパッタリング装置を用い、アルゴン:酸素=2:3[体積比]の混合雰囲気で電力を100W(DC)として成膜する。ターゲットは、In:Sn:Zn=1:1:1[原子数比]のIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いる。なお、成膜時の基板加熱温度は200℃とする。
次に、試料2のみ加熱処理を650℃の温度で行う。加熱処理は、はじめに窒素雰囲気で1時間の加熱処理を行い、温度を保持したままさらに酸素雰囲気で1時間の加熱処理を行う。
次に、フォトリソグラフィ工程によって酸化物半導体膜を加工して、酸化物半導体膜606を形成する。
次に、酸化物半導体膜606上にタングステン膜を50nmの厚さで成膜する。
タングステン膜は、スパッタリング装置を用い、アルゴン雰囲気で電力を1000W(DC)として成膜する。なお、成膜時の基板加熱温度は200℃とする。
次に、フォトリソグラフィ工程によってタングステン膜を加工して、一対の電極614を形成する。
次に、ゲート絶縁膜608である酸化シリコン膜を100nmの厚さで成膜する。なお、酸化シリコン膜の比誘電率は3.8とする。
ゲート絶縁膜608である酸化シリコン膜は、下地絶縁膜602と同様の方法で成膜することができる。
次に、ゲート絶縁膜608上に窒化タンタル膜およびタングステン膜を、この順番でそれぞれ15nmおよび135nmの厚さで成膜する。
窒化タンタル膜は、スパッタリング装置を用い、アルゴン:窒素=5:1の混合雰囲気で電力を1000W(DC)として成膜する。なお、成膜時に基板加熱は行っていない。
タングステン膜は、スパッタリング装置を用い、アルゴン雰囲気で電力を4000W(DC)として成膜する。なお、成膜時の基板加熱温度は200℃とする。
次に、フォトリソグラフィ工程によって窒化タンタル膜およびタングステン膜を加工して、ゲート電極610を形成する。
次に、ゲート絶縁膜608及びゲート電極610上に、層間絶縁膜616となる酸化窒化シリコン膜を300nmの厚さで成膜する。
層間絶縁膜616となる酸化窒化シリコン膜は、PCVD装置を用い、モノシラン:亜酸化窒素=1:200の混合雰囲気で電力を35W(RF)として成膜する。なお、成膜時の基板加熱温度は325℃とする。
次に、フォトリソグラフィ工程によって層間絶縁膜616となる酸化窒化シリコン膜を加工する。
次に、層間絶縁膜616となる感光性ポリイミドを1500nmの厚さで成膜する。
次に、層間絶縁膜616となる酸化窒化シリコン膜のフォトリソグラフィ工程で用いたフォトマスクを用いて層間絶縁膜616となる感光性ポリイミドを露光し、その後現像し、感光性ポリイミド膜を硬化させるために加熱処理を行い、酸化窒化シリコン膜と合わせて層間絶縁膜616を形成する。加熱処理は、窒素雰囲気において、300℃の温度で行う。
次に、チタン膜、アルミニウム膜およびチタン膜を、この順番でそれぞれ50nm、100nmおよび5nmの厚さで成膜する。
チタン膜は、二層ともにスパッタリング装置を用い、アルゴン雰囲気で電力を1000W(DC)として成膜する。なお、成膜時に基板加熱は行っていない。
アルミニウム膜は、スパッタリング装置を用い、アルゴン雰囲気で電力を1000W(DC)として成膜する。なお、成膜時に基板加熱は行っていない。
次に、フォトリソグラフィ工程によってチタン膜、アルミニウム膜およびチタン膜を加工して、配線618を形成する。
次に、保護膜620である感光性ポリイミド膜を1500nmの厚さで成膜する。
次に、配線618のフォトリソグラフィ工程で用いたフォトマスクを用いて感光性ポリイミドを露光し、その後現像して、保護膜620に配線618を露出する開口部を形成する。
次に、感光性ポリイミド膜を硬化させるために加熱処理を行った。加熱処理は、層間絶縁膜616で用いた感光性ポリイミド膜に対する加熱処理と同様の方法で行った。
以上の工程で、図21(B)に示す構造のトランジスタ(試料1及び試料2)を作製することができる。
次に、図21(B)に示す構造のトランジスタ(試料1及び試料2)の電気的特性を評価した結果について説明する。
図21(B)に示す構造のトランジスタ(試料1及び試料2)におけるVgs−Ids特性を測定し、試料1の結果を図22(A)に、試料2の結果を図22(B)にそれぞれ示す。なお、測定に用いたトランジスタは、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが10μm、Lovが片側3μm(合計6μm)、dWが片側3μm(合計6μm)である。また、Vdsは10Vとする。
試料1と試料2とを比較すると、試料2に示すように酸化物半導体膜の成膜後に加熱処理を行うことでトランジスタの電界効果移動度が高くなることがわかる。これは、加熱処理を行うことにより酸化物半導体膜中の不純物濃度を低減されたためと考えられる。したがって、酸化物半導体膜の成膜後に行う加熱処理によって酸化物半導体膜中の不純物濃度を低減することにより、トランジスタの電界効果移動度を向上させることができることがわかる。
次に、本発明の一態様に係る記憶装置に適用可能なトランジスタ(チャネル幅1μm当たり)のオフ電流を評価した結果について説明する。
測定に用いたトランジスタは、チャネル長Lを3μm、チャネル幅Wを10μm、Lovを2μm、dWを0μmとしている。
図23に、トランジスタのオフ電流と測定時の基板温度(絶対温度)の逆数との関係を示す。ここでは、簡単のため測定時の基板温度の逆数に1000を掛けた数値(1000/T)を横軸としている。
以下にトランジスタのオフ電流の測定方法を簡単に説明する。ここでは便宜上測定対象となるトランジスタを第1のトランジスタと呼ぶ。
第1のトランジスタのドレインはフローティングゲートFGと接続され、フローティングゲートFGは第2のトランジスタのゲートと接続される。
まず、第1のトランジスタをオフ状態とし、次に、フローティングゲートFGに電荷を与える。なお、第2のトランジスタには一定のドレイン電圧が印加されている。
このとき、フローティングゲートFGの電荷が第1のトランジスタを通じて徐々にリークする。フローティングゲートFGの電荷が抜けると、第2のトランジスタのソース電位が変化する。このソース電位の時間に対する変化量から第1のトランジスタからリークする電荷量が見積もられ、オフ電流を測定することができる。
図23より、トランジスタのオフ電流は、測定時の基板温度が85℃のとき2×10−21A/μm(2zA/μm)であることがわかる。また、電流値の対数が温度の逆数に比例することから、室温(27℃)の場合には1×10−22A/μm(0.1zA/μm)以下であると予想される。
このように、本実施の形態に係るトランジスタのオフ電流は極めて小さいことがわかる。
本実施の形態に係るトランジスタを、図1及び図4に示すトランジスタ115及びトランジスタ117に用いることにより、ノードM及びノードNに保持された電位を長期間にわたり保持することができる。また、図1及び図4に示す記憶装置において、電源の供給が停止した後、論理回路101のノードO及びノードPが保持していた電位を、ノードM及びノードNに保持することができる。
また、本実施の形態に係るトランジスタは、比較的高い電界効果移動度を有するため、図1及び図4に示すトランジスタ115及びトランジスタ117に用いることにより、記憶回路102及び記憶回路103を高速動作させることができる。したがって、図1及び図4に示す記憶装置において、電源の供給を停止する前に、論理回路101から記憶回路102及び記憶回路103へ短時間でデータを移すことができる。また、電源の供給を再開した後、記憶回路102及び記憶回路103から論理回路101へ短時間でデータを戻すことができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、先の実施の形態で示した記憶装置を用いた信号処理回路の構成について説明する。
図24に、本発明の一態様に係る信号処理回路の一例を示す。信号処理回路は、一または複数の演算回路と、一または複数の記憶装置とを少なくとも有する。具体的に、図24に示す信号処理回路500は、演算回路501、演算回路502、記憶装置503、記憶装置504、記憶装置505、制御装置506、電源制御回路507、記憶装置508を有する。
演算回路501、演算回路502は、単純な論理演算を行う論理回路をはじめ、加算器、乗算器、さらには各種演算回路などを含む。そして、記憶装置503は、演算回路501における演算処理の際に、データを一時的に保持するレジスタとして機能する。記憶装置504は、演算回路502における演算処理の際に、データを一時的に保持するレジスタとして機能する。
また、記憶装置505はメインメモリとして用いることができ、制御装置506が実行するプログラムをデータとして記憶する、或いは演算回路501、演算回路502からのデータを記憶することができる。
制御装置506は、信号処理回路500が有する演算回路501、演算回路502、記憶装置503、記憶装置504、記憶装置505、記憶装置508の動作を統括的に制御する回路である。なお、図24では、制御装置506が信号処理回路500の一部である構成を示しているが、制御装置506は信号処理回路500の外部に設けられていても良い。
また、記憶装置への電源電圧の供給が停止されるのに合わせて、当該記憶装置とデータのやり取りを行う演算回路または制御回路への、電源電圧の供給を停止するようにしても良い。例えば、演算回路501と記憶装置503において、動作が行われない場合、演算回路501及び記憶装置503への電源電圧の供給を停止するようにしても良い。
また、電源制御回路507は、信号処理回路500が有する演算回路501、演算回路502、記憶装置503、記憶装置504、記憶装置505、制御装置506、記憶装置508へ供給する電源電圧の大きさを制御する。そして、電源電圧の供給を停止する場合、電源電圧の供給を停止するためのスイッチング素子は、電源制御回路507に設けられていても良いし、演算回路501、演算回路502、記憶装置503、記憶装置504、記憶装置505、制御装置506、記憶装置508のそれぞれに設けられていても良い。後者の場合、電源制御回路507は、必ずしも本発明の一態様に係る信号処理回路に設ける必要はない。
また、メインメモリである記憶装置505と、制御装置506との間に、キャッシュメモリとして機能する記憶装置508を設けることが好ましい。キャッシュメモリを設けることで、低速なメインメモリへのアクセスを減らして演算処理などの信号処理を高速化させることができる。
記憶装置503、記憶装置504、記憶装置508のそれぞれに、本発明の一態様に係る記憶装置を用いることで、短時間、電源電圧の供給を停止しても記憶装置のデータを保持することができる。また、記憶装置に保持されたデータを外部の不揮発性記憶装置にデータを移す必要がなくなるため、短時間で電源電圧の供給を停止することができる。また、電源電圧の供給を開始した後も、記憶装置に保持されたデータを短時間で電源電圧供給停止前の状態に復元することができる。このような記憶装置503、記憶装置504、記憶装置508を信号処理回路500に用いることで、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、消費電力を抑えることができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態8)
本発明の一態様に係る記憶装置または信号処理回路は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。上記実施の形態で説明した記憶装置または信号処理回路が搭載された電子機器の例について説明する。
図25(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、本体911、筐体912、表示部913、キーボード914などによって構成されている。筐体912の内部には、本発明の一態様に係る記憶装置または信号処理回路が搭載されている。そのため、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、ノート型のパーソナルコンピュータの消費電力を抑えることができる。
図25(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体921には表示部923と、外部インターフェイス925と、操作ボタン924等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス922がある。本体921内部には、本発明の一態様に係る記憶装置または信号処理回路が搭載されている。そのため、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、携帯情報端末の消費電力を抑えることができる。
図25(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍930は、筐体931および筐体932の2つの筐体で構成されている。筐体931および筐体932は、軸部935により一体とされており、該軸部935を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
筐体931には表示部933が組み込まれ、筐体932には表示部934が組み込まれている。表示部933および表示部934は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図25(C)では表示部934)に文章を表示し、左側の表示部(図25(C)では表示部933)に画像を表示することができる。筐体931及び筐体932の少なくとも一方の内部には、本発明の一態様に係る記憶装置または信号処理回路が搭載されている。そのため、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、電子書籍の消費電力を抑えることができる。
また、図25(C)では、筐体932に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体932において、電源936、操作キー937、スピーカー938などを備えている。操作キー937により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍930は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
また、電子書籍930は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
図25(D)は、携帯電話であり、筐体940および筐体941の二つの筐体で構成されている。筐体941には、表示パネル942、スピーカー943、マイクロフォン944、ポインティングデバイス946、カメラ用レンズ947、外部接続端子948などを備えている。また、筐体940には、携帯電話の充電を行う太陽電池セル949、外部メモリスロット950などを備えている。また、アンテナは筐体941内部に内蔵されている。筐体940及び筐体941の少なくとも一方の内部には、本発明の一態様に係る記憶装置または信号処理回路が搭載されている。そのため、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、携帯電話の消費電力を抑えることができる。
また、表示パネル942はタッチパネルを備えており、図25(D)には映像表示されている複数の操作キー945を点線で示している。なお、太陽電池セル949で出力される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
表示パネル942は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル942と同一面上にカメラ用レンズ947を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカー943およびマイクロフォン944は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。さらに、筐体940と筐体941は、スライドし、図25(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。
外部接続端子948はACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電およびパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット950に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存および移動に対応できる。
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
図25(E)は、デジタルビデオカメラであり、本体956、表示部(A)955、接眼部951、操作スイッチ952、表示部(B)953、バッテリー954などによって構成されている。本体956の内部には、本発明の一態様に係る記憶装置または信号処理回路が搭載されている。そのため、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、デジタルビデオカメラの消費電力を抑えることができる。
図25(F)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置960は、筐体961に表示部962が組み込まれている。表示部962により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド963により筐体961を支持した構成を示している。筐体961の内部には、本発明の一態様に係る記憶装置または信号処理回路が搭載されている。そのため、短時間の電源の供給の停止を行う場合に、テレビジョン装置の消費電力を抑えることができる。
テレビジョン装置960の操作は、筐体961が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置960は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。