JP6052081B2 - 車両の吸音構造 - Google Patents
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請求項9に係る車両の吸音構造では、請求項1〜請求項8のいずれか1項において、通気用開口部は、車室内側から見て、車両内装を貫通する矩形状の貫通開口を備え、吸音材は、通気用開口部の上縁部に沿って配設された上部吸音部と、通気用開口部の両側縁部に沿って配設された両側吸音部とを備えている。
請求項10に係る車両の吸音構造では、請求項9において、通気用開口部は、貫通開口と、貫通開口を塞ぎ、かつ、複数の貫通孔を有する通気用カバーとを備え、吸音材は、車室内側から見て、貫通孔の周囲に配設され、上部吸音部は、通気用カバーと重なる部位を有し、かつ、通気用カバーに接着されている。
図1〜図8を用いて、第1実施の形態に係る車両の吸音構造10を説明する。本実施の形態に係る車両の吸音構造10は車両後方側部のデッキサイド部分に適用されている。
(車両の構造)
図2に示されるように、車両(ここでは自動車)12のリアサイドドアとバックドアとの間のクオータパネルを構成する車両外装としてのボデーサイドパネル14にベンチレータ16が配設されている。詳しく説明すると、ベンチレータ16は、リアタイヤのクオータホイールハウスインナパネル22とバックドアの車両下方側に配設された車体骨格部材としてボデーロワーバックリインホースメント24との間であって、ボデーサイドパネル14のリアフロア26の近傍(車両下方側)に配設されている。本実施の形態では、ベンチレータ16は、図1、図2、図3及び図6に示されるように、車両側面視で矩形状のベンチレータ貫通口18と、このベンチレータ貫通口18に取付けられてベンチレータ貫通口18を塞ぐゴム製のベンチレータカバー20とを備えている。ベンチレータカバー20は、車両室内の気圧に変化が生じないときにベンチレータ貫通口18を塞ぐ構成とされている。また、ベンチレータカバー20は、サイドドアやバックドアを閉止して車両室内の気圧に変化が生じた(気圧が高くなった)ときに、車両外側へ弾性的に変形して車両室内の空気を車両室外に抜く構成とされている。
本実施の形態に係る車両の吸音構造10は、図1、図3〜図7に示されるように、通気用開口部32の周縁部に沿ってボデーサイドパネル(車両外装)14とデッキサイドトリム(車両内装)30との間に配設された吸音材50を備えている。特に、図6に示されるように、吸音材50は、通気用開口部32の上縁部に沿って配設された上部吸音部50Aと、通気用開口部32の左縁部に沿って配設されかつ上部吸音部50Aの一端に一体に形成された上部左側吸音部50Bと、通気用開口部32の右縁部に沿って配設されかつ上部吸音部50Aの他端に一体に形成された上部右側吸音部50Cとを備えている。通気用開口部32において実効的に空気が流れると共に音が侵入する箇所はスリット36Aとなるので、上部吸音部50A、上部左側吸音部50B及び上部右側吸音部50Cは、少なくとも複数のスリット36Aを取囲むそれらの周囲に沿って配設されている。
本実施の形態に係る車両の吸音構造10では、図1〜図3に示されるように、ボデーサイドパネル14にベンチレータ16が設けられている。車両外部の音、例えば車両12の走行時に発生する走行音、排気に伴い発生する排気音等の騒音(音)は、ベンチレータ16からボデーサイドパネル14とデッキサイドトリム30との間の空間28内へ侵入する。この空間28へ侵入した音は空間28内で拡散される。この拡散された音がデッキサイドトリム30の通気用開口部32を通って車両室内へ侵入する。
図9及び図10を用いて、第2実施の形態に係る車両の吸音構造60を説明する。第2実施の形態は、第1実施の形態に係る車両の吸音構造10における騒音性能を更に向上した例を説明するものである。なお、本実施の形態及び後述する第3実施の形態において、前述の第1実施の形態に係る車両の吸音構造10で説明した構成要素と同一又は同等の機能を有する構成要素には同一符号を付け、この構成要素の説明は重複するので省略する。
本実施の形態に係る車両の吸音構造60は、図9及び図10に示されるように、通気用開口部32の周縁部に沿って配設された吸音材50に加えて、ベンチレータ16の周縁部に沿ってボデーサイドパネル(車両外装)14とデッキフロアボックス(車両内装)40との間に配設されたベンチレータ側吸音材としての吸音材52を備えている。図9に示されるように、吸音材52は、ベンチレータ16の下縁部に沿って配設された下部吸音部52Aと、ベンチレータ16の左縁部に沿って配設されかつ下部吸音部52Aの一端に一体に形成された下部左側吸音部52Bと、ベンチレータ16の右縁部に沿って配設されかつ下部吸音部52Aの他端に一体に形成された下部右側吸音部52Cとを備えている。吸音材52はベンチレータ16の周縁部の一部となる上縁部には配設されておらず、この吸音材52が配設されていない箇所はベンチレータ16と通気用開口部32との間の空気の流れを良くする通気部52Dとして構成されている。吸音材52としては、吸音材50と同一又は同等の材料が使用されている。
本実施の形態に係る車両の吸音構造60では、図9及び図10に示されるように、ベンチレータ16の周縁部に沿って吸音材52が配設されている。閉空間28C内では、ベンチレータ16から侵入した音のベンチレータ16の周縁部への拡散が吸音材52により規制されると共に、この規制された音が吸音材52により吸音される。このため、閉空間28C内へ拡散される音が効果的に減少される。
図11を用いて、第3実施の形態に係る車両の吸音構造70を説明する。第3実施の形態は、第2実施の形態に係る車両の吸音構造60における騒音性能を更に向上した例を説明するものである。
本実施の形態に係る車両の吸音構造70では、図11に示されるように、吸音材50は上部仕切吸音部50G及び下部仕切吸音部50Iを備えている。上部仕切吸音部50Gは、上部左側拡散規制部50Eと一体に形成されると共に、この上部左側拡散規制部50Eから上部右側拡散規制部50Fに向かって細長く突設されている。上部仕切吸音部50Gの突設方向先端と上部右側拡散規制部50Fとの間に適度な離間距離が設けられており、この上部仕切吸音部50Gと上部右側拡散規制部50Fとの間は通気部50Hとして構成されている。同様に、下部仕切吸音部50Iは、上部右側拡散規制部50Fと一体に形成されると共に、この上部右側拡散規制部50Fから上部左側拡散規制部50Eに向かって細長く突設されている。下部仕切吸音部50Iは、上部仕切吸音部50Gよりも車両下方側に離間して配設されると共に、ここでは上部仕切吸音部50Gと略平行に配設されている。下部仕切吸音部50Iの突設方向先端と上部左側拡散規制部50Eとの間に通気部50Jが設けられている。なお、吸音材50は、1つ又は3つ以上の仕切吸音部を備えていてもよい。
本実施の形態に係る車両の吸音構造70では、図11に示されるように、吸音材50に上部仕切吸音部50G及び下部仕切吸音部50Iが設けられている。この上部仕切吸音部50G及び下部仕切吸音部50Iはベンチレータ16から通気用開口部32に至る音の侵入経路(音の拡散経路)を横切る構成とされているので、音の侵入経路長が長くなる。このため、音の侵入経路長の増加に応じて音が更に吸音される。また、上部仕切吸音部50G及び下部仕切吸音部50Iは、ベンチレータ16から侵入した音を直接的に(直線的に)通気用開口部32へ到達させずに遮る構成とされている。一方、下部仕切吸音部50Iと上部左側拡散規制部50Eとの間に通気部50Jが設けられ、上部仕切吸音部50Gと上部右側拡散規制部50Fとの間に通気部50Hが設けられているので、ベンチレータ16と通気用開口部32との間の通気経路は確保されている。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、本発明には以下の変形例が含まれる。本発明は、例えばバックドア側の車両外装にベンチレータが配設された場合にも適用可能である。この場合、第1実施の形態に係る車両の吸音構造と同様に、車両内装としてのデッキサイドトリムの通気用開口部の周縁部に沿って少なくとも吸音材が配設されていてもよいし、第2実施の形態又は第3実施の形態に係る車両の吸音構造と同様に、通気用開口部及びベンチレータの双方の周縁部に沿って吸音材が配設されていてもよい。また、本発明は、ベンチレータと通気用開口部との位置関係が例えば車両側面視で一致されている場合、車両前後方向、車両上下方向及び車両幅方向の少なくとも一方向にオフセットされている場合の何れにも適用可能である。なお、ベンチレータと通気用開口部との位置関係が一致されている場合では、拡散規制部等の吸音材の一部が省略される。
14 ボデーサイドパネル(車両外装)
16 ベンチレータ
28 空間
28C 閉空間
30 デッキサイドトリム(車両内装)
32 通気用開口部
40 デッキフロアボックス(車両内装)
50、52 吸音材
50E 上部左側拡散規制部(拡散規制部)
50F 上部右側拡散規制部(拡散規制部)
50D、50H、50J、52D 通気部
50G 上部仕切吸音部
50I 下部仕切吸音部
54、56 接着層
Claims (10)
- ベンチレータが設けられた車両外装と、
当該車両外装に対して車両室内側へ離間して配設され、前記車両外装との間の空間から前記車両室内へ貫通された通気用開口部を有する車両内装と、
前記通気用開口部の少なくとも3方向の周縁部に沿って前記車両外装と前記車両内装との間に配設された吸音材と、
を備えた車両の吸音構造。 - 前記吸音材は、前記車両内装に固定されている請求項1に記載の車両の吸音構造。
- 前記吸音材は、前記車両外装に押圧されている請求項1又は請求項2に記載の車両の吸音構造。
- 前記通気用開口部の周縁部の一部に前記吸音材が配設されていない通気部が設けられている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両の吸音構造。
- 前記通気用開口部は、前記ベンチレータに対して、車両上下方向、車両前後方向及び車両幅方向の少なくとも一方向にオフセットされた位置に配設されており、
前記吸音材は、前記通気用開口部から前記ベンチレータまで少なくとも配設され、前記空間内での音の拡散を規制する拡散規制部を備えている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両の吸音構造。 - 前記拡散規制部は、前記ベンチレータ及び前記通気用開口部の両側部に沿って並行に延設されている請求項5に記載の車両の吸音構造。
- 前記ベンチレータの周縁部に沿って前記車両外装と前記車両内装との間にベンチレータ側吸音材が配設されている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の車両の吸音構造。
- 前記吸音材は、前記ベンチレータから前記通気用開口部に至る音の侵入経路を横切る仕切吸音部を備えている請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の車両の吸音構造。
- 前記通気用開口部は、車室内側から見て、前記車両内装を貫通する矩形状の貫通開口を備え、
前記吸音材は、前記通気用開口部の上縁部に沿って配設された上部吸音部と、前記通気用開口部の両側縁部に沿って配設された両側吸音部とを備えている請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の車両の吸音構造。 - 前記通気用開口部は、前記貫通開口と、当該貫通開口を塞ぎ、かつ、複数の貫通孔を有する通気用カバーとを備え、
前記吸音材は、車室内側から見て、前記貫通孔の周囲に配設され、
前記上部吸音部は、前記通気用カバーと重なる部位を有し、かつ、前記通気用カバーに接着されている請求項9に記載の車両の吸音構造。
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