JP7281468B2 - グロー放電発光分析方法及びグロー放電発光分析装置 - Google Patents
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Description
本発明は、グロー放電発光分析方法及びグロー放電発光分析装置に関する。
従来、試料に含まれる成分を分析するために、グロー放電を利用して成分の分析を行うグロー放電発光分析が行われている。グロー放電を発生させるためのグロー放電管は、円筒部を有する電極を備えている。分析対象の試料が円筒部に対向するように配置され、グロー放電管内へ不活性ガス等のガスが供給され、電極の円筒部と試料との間に電圧が印加されることでグロー放電が発生する。グロー放電によって発生したプラズマにより試料の表面はスパッタリングされ、スパッタリングによって試料から放出された原子又は分子等の粒子は励起されて発光する。発生した光を分光することにより、試料の成分分析が行われる。
グロー放電を行った後は、スパッタリングによって試料から放出された物質が電極に付着する。次の試料の分析を行う前には、電極を清掃する必要がある。清掃では、ブラシ等の清掃具を用いて電極に付着した物質を除去する。この際に、大気中に存在する炭化水素等の物質が電極に付着することがある。電極に付着した物質が原因でプラズマの発生が不安定になり、また、電極に付着した物質が試料の成分として検出されてしまうことがある。
そこで、試料のグロー放電発光分析を行う前に、成分の判明している模擬試料を用いてグロー放電を行うことにより、模擬試料から放出される物質で電極をコーティングする技術が開発されている。模擬試料を用いたグロー放電の後に、試料を用いたグロー放電発光分析を行う。電極がコーティングされることにより、プラズマの発生が安定し、試料の成分分析への影響が小さくなる。特許文献1には、模擬試料として金板を用いた技術が開示されている。
複数の試料についてグロー放電発光分析を行うためには、電極の清掃、模擬試料を用いたグロー放電、及び試料の分析を繰り返す。電極の清掃時、及び模擬試料を分析用の試料へ交換する際には、グロー放電管内の圧力を大気圧にする必要がある。また、模擬試料を用いたグロー放電、及び試料の分析の際には、グロー放電管内を減圧し、グロー放電管内へガスを供給する。複数の試料を分析するためには、減圧及びガスの供給によるグロー放電管内の圧力調整を何度も行う必要がある。このため、圧力調整は迅速に行うことが望ましい。
グロー放電発光分析の際にグロー放電管内に大気が残留している場合は、プラズマの発生が不安定になり、また、試料の成分分析に悪影響が出る。そこで、供給した不活性ガスによって大気を押し出すポンピングを行うことがある。しかしながら、無暗なポンピングを行った場合は、不活性ガスの消費量が大きくなり、また、グロー放電管内の圧力調整に要する時間が長くなる。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、グロー放電管内の圧力調整を効果的にかつ迅速に行うことを可能にするグロー放電発光分析方法及びグロー放電発光分析装置を提供することにある。
本発明に係るグロー放電発光分析方法は、グロー放電管と、該グロー放電管の内部を減圧する減圧部と、前記グロー放電管の内部へガスを供給するガス供給部とを備えるグロー放電発光分析装置を用いたグロー放電発光分析方法において、上限圧力、下限圧力、及び最終圧力を任意に指定し、前記減圧部及び前記ガス供給部を制御することにより、前記グロー放電管の内部を減圧し、指定された上限圧力及び下限圧力の間で前記グロー放電管の内部の圧力を増減させ、その後、前記グロー放電管の内部の圧力を、指定された最終圧力に調整し、前記グロー放電管の内部の圧力を前記最終圧力に調整した後、グロー放電を発生させることを特徴とする。
本発明においては、減圧及びガスの供給によるグロー放電管内の圧力調整のための上限圧力、下限圧力、及び最終圧力を任意に指定する。圧力調整では、グロー放電管内の圧力を減圧し、上限圧力及び下限圧力の間で圧力を増減させ、圧力を最終圧力に調整する。圧力調整の後、グロー放電を発生させる。上限圧力、下限圧力、及び最終圧力を任意に指定することにより、圧力調整時に行われるポンピングの条件を調整することができる。ポンピングの条件を調整することにより、適切な条件でポンピングを行うことが可能となる。
本発明に係るグロー放電発光分析方法は、前記グロー放電管の内部の圧力を増減させる回数を任意に指定し、指定された前記回数だけ、前記グロー放電管の内部の圧力の増減を繰り返すことを特徴とする。
本発明においては、グロー放電管内の圧力を上限圧力及び下限圧力の間で増減させる回数を任意に指定する。圧力を増減させる回数を指定することにより、ポンピングの条件をより詳細に調整することができる。
本発明に係るグロー放電発光分析方法は、前記グロー放電管の内部の圧力を前記下限圧力から前記上限圧力まで増加させるためにかけるべき第1時間、及び前記グロー放電管の内部の圧力を前記上限圧力から前記下限圧力まで減少させるためにかけるべき第2時間を任意に指定し、前記グロー放電管の内部の圧力を前記下限圧力まで減少させ、指定された第1時間の間、前記グロー放電管の内部の圧力を増加させ、指定された第2時間の間、前記グロー放電管の内部の圧力を減少させることを特徴とする。
本発明においては、グロー放電管内の圧力を下限圧力から上限圧力まで増加させるためにかけるべき第1時間と、圧力を上限圧力から下限圧力まで減少させるためにかけるべき第2時間とを任意に指定する。圧力の増加及び減少にかかる時間を指定することにより、ポンピングの条件をより詳細に調整することができる。
本発明に係るグロー放電発光分析方法は、前記グロー放電管は電極を有しており、前記電極と同じ成分でなる模擬試料を前記電極に対向して配置した状態で、前記電極と前記模擬試料との間でグロー放電を発生させ、前記模擬試料を取り外し、前記電極に対向するように試料を配置し、前記電極と前記試料との間でグロー放電を発生させ、グロー放電発光分析を行うことを特徴とする。
本発明においては、グロー放電管の電極と同じ成分でなる模擬試料を電極に対向させた状態でグロー放電を発生させることにより、模擬試料の構成物質で電極をコーティングする。その後、分析対象の試料を電極に対向させた状態で、グロー放電発光分析を行う。大気中に存在する炭化水素等の物質が清掃時に電極に付着したとしても、コーティングにより、付着した物質は放出され難くなる。このため、付着した物質がグロー放電発光分析に影響を及ぼすことが抑制される。
本発明に係るグロー放電発光分析方法は、前記模擬試料及び前記試料を保持し、保持した前記模擬試料及び前記試料を移動させる試料移動部を用い、前記試料移動部により、前記模擬試料を前記電極に対向した位置に配置し、前記電極と前記模擬試料との間でグロー放電を発生させた後で、前記試料移動部により、前記模擬試料を前記位置から取り外し、前記試料を前記電極に対向した位置に配置することを特徴とする。
本発明においては、試料移動部が模擬試料の配置及び取り外し並びに試料の配置を行う。模擬試料の配置及び取り外し並びに試料の配置が自動で行われる。複数の試料のグロー放電発光分析を行う際には、複数の試料の配置が順次行われる。
本発明に係るグロー放電発光分析方法は、前記模擬試料を前記電極に対向して配置したときと、前記試料を前記電極に対向して配置したときとで、前記ガス供給部により前記グロー放電管の内部へ供給するガスの種類を変更することを特徴とする。
本発明においては、模擬試料を電極に対向させてグロー放電を発生させるときと、試料のグロー放電発光分析を行うときとで、グロー放電管の内部へ供給するガスの種類を変更する。ガスの種類を変更することにより、模擬試料を用いたグロー放電の発生と、試料のグロー放電発光分析とを、夫々に適切な条件で実行することができる。
本発明に係るグロー放電発光分析装置は、グロー放電管と、該グロー放電管の内部を減圧する減圧部と、前記グロー放電管の内部へガスを供給するガス供給部と、制御部とを備えるグロー放電発光分析装置において、前記制御部は、上限圧力、下限圧力、及び最終圧力の指定を任意の値で受け付け、前記減圧部及び前記ガス供給部を制御することにより、指定された上限圧力及び下限圧力の間で前記グロー放電管の内部の圧力を増減させ、その後、前記グロー放電管の内部の圧力を、指定された最終圧力に調整し、前記グロー放電管の内部の圧力を前記最終圧力に調整した後、グロー放電を発生させることを特徴とする。
本発明においては、グロー放電発光分析装置は、グロー放電管内の圧力調整のための上限圧力、下限圧力、及び最終圧力の指定を任意の値で受け付ける。グロー放電発光分析装置は、圧力調整では、グロー放電管内の圧力を減圧し、上限圧力及び下限圧力の間で圧力を増減させ、圧力を最終圧力に調整する。上限圧力、下限圧力、及び最終圧力を任意に指定することにより、圧力調整時に行われるポンピングの条件を調整することができる。ポンピングの条件を調整することにより、グロー放電発光分析装置は、適切な条件でポンピングを行うことができる。
本発明に係るグロー放電発光分析装置は、前記グロー放電管は電極を有しており、前記電極と同じ成分でなる模擬試料及び試料を保持し、保持した前記模擬試料及び前記試料を移動させる試料移動部を更に備え、前記試料移動部は、前記模擬試料を前記電極に対向した位置に配置し、前記制御部は、前記模擬試料を前記位置に配置した状態で、前記電極と前記模擬試料との間でグロー放電を発生させ、前記試料移動部は、前記模擬試料を前記位置から取り外し、前記試料を前記電極に対向した位置に配置し、前記制御部は、前記試料を前記位置に配置した状態で、前記電極と前記試料との間でグロー放電を発生させ、グロー放電発光分析を行うことを特徴とする。
本発明においては、グロー放電管の電極と同じ成分でなる模擬試料を電極に対向させた状態でグロー放電を発生させ、その後、分析対象の試料を電極に対向させた状態で、グロー放電発光分析を行う。模擬試料の構成物質で電極がコーティングされ、清掃時に電極に付着した物質が放出され難くなる。また、試料移動部が、模擬試料の配置及び取り外し並びに試料の配置を行う。模擬試料の配置及び取り外し並びに試料の配置が自動で行われる。
本発明にあっては、適切な条件でポンピングを行うことが可能となり、効果的にかつ迅速にグロー放電内の圧力調整を行うことが可能になる等、優れた効果を奏する。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るグロー放電発光分析装置10の構成を示すブロック図である。グロー放電発光分析装置10は、グロー放電管1、分光測定器41、電源部42、及び制御部2を備えている。グロー放電管1はグロー放電を発生させる。分光測定器41は、グロー放電により発生する光を分光して光の強度を測定する。電源部42は、グロー放電を発生させるための高周波電圧を発生させる。制御部2は、グロー放電発光分析装置10の全体的な制御を行う。分析対象の試料51は、押圧電極43でグロー放電管1に押圧して配置される。押圧電極43は、ブロック状に形成されており、電源部42に接続されている。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るグロー放電発光分析装置10の構成を示すブロック図である。グロー放電発光分析装置10は、グロー放電管1、分光測定器41、電源部42、及び制御部2を備えている。グロー放電管1はグロー放電を発生させる。分光測定器41は、グロー放電により発生する光を分光して光の強度を測定する。電源部42は、グロー放電を発生させるための高周波電圧を発生させる。制御部2は、グロー放電発光分析装置10の全体的な制御を行う。分析対象の試料51は、押圧電極43でグロー放電管1に押圧して配置される。押圧電極43は、ブロック状に形成されており、電源部42に接続されている。
グロー放電発光分析装置10は、減圧部44、ガス供給部3、及び圧力センサ45を更に備えている。減圧部44は、グロー放電管1の内部を減圧する。減圧部44は、例えば、真空ポンプを含んでいる。減圧部44とグロー放電管1との間には、減圧用の配管が配置されている。ガス供給部3は、グロー放電管1の内部へ不活性ガスを含むガスを供給する。ガス供給部3は、ガスを充填したボンベを含んでいる。ガス供給部3からグロー放電管1まで、ガスを供給するための配管が配置されている。圧力センサ45は、グロー放電管1の内部の圧力を測定する。分光測定器41、電源部42、減圧部44、ガス供給部3及び圧力センサ45は、制御部2に接続されている。制御部2は、分光測定器41、電源部42、減圧部44及びガス供給部3の動作を制御する。
図2は、グロー放電管1の内部構成の例を示す断面図である。グロー放電管1は短円柱状のランプボディ11、陽極12、セラミック部材13、及び押圧ブロック15が組み合わされて構成されている。陽極12は、電極に対応する。
ランプボディ11は、押圧ブロック15が組み合わされる端面11aの中心箇所に陽極12を取り付けるための窪部11bが凹設されている。窪部11bの中心部には中心孔11cが穿設されている。ランプボディ11には、周壁部11dから中心へ向けて減圧用の吸引孔11e、11fが複数設けられている。一部の吸引孔11eは中心孔11cと連通しており、他の吸引孔11fは窪部11b側に連通している。吸引孔11e、11fには、減圧部44に連結した配管が連結されている。また、ランプボディ11には、周壁部11dから中心へ向けて、ガス供給用のガス供給孔11gが中心孔11cと連通するように形成されている。ガス供給孔11gには、ガス供給部3に連結した配管が連結されている。更に、ランプボディ11は、アース線が接続されてアース電位となっている。
ランプボディ11の窪部11bに収められる陽極12は、円板部12aの中心から円筒部12bが突出した形状になっている。円筒部12bの内部から円板部12aを貫通する貫通孔12cが穿設されている。また、円板部12aにも穴12dが形成されている。陽極12がランプボディ11の窪部11bに取り付けられた状態では、ランプボディ11の中心孔11cと貫通孔12cとは実質的に同軸に連通している。陽極12は、ランプボディ11の窪部11bに取り付けられると、ランプボディ11を介してアース電位になる。また陽極12がランプボディ11に取り付けられた状態では、円筒部12bがランプボディ11の端面11aから突出した状態となる。陽極12が収められた状態でランプボディ11の中心孔11c及び陽極12の貫通孔12cの密閉性を維持するために、Oリングがランプボディ11及び陽極12の間に取り付けられている。
ランプボディ11の中心孔11cの、陽極12の貫通孔12cに連通した端とは逆の端には、光を透過させる窓16が備えられている。窓16の外側には、分光測定器41が連結されている。分光測定器41は、窓16を透過して分光測定器41内へ入射した光を回折格子等を用いて分光し、分光した各波長の光の強度を光電子増倍管等を用いて測定する。分光測定器41は、制御部2に動作を制御されると共に、測定結果を制御部2へ入力する。
陽極12を被うように配置されるセラミック部材13は、絶縁性のセラミックで構成されている。セラミック部材13は、厚みのある円板状に形成されてあり、陽極12の円板部12aを被うフランジ部13dを有している。セラミック部材13の中心となる箇所には、陽極12の円筒部12bを挿通させる挿通孔13cが形成されている。セラミック部材13は、陽極12の円板部12aに対向して配置され、円板部12aとの間には密閉性維持のためにOリングが取り付けられている。セラミック部材13が配置された状態では、挿通孔13cと陽極12の円筒部12bとの間に所定の隙間が形成されている。
陽極12及びセラミック部材13をランプボディ11に固定するための押圧ブロック15は、絶縁性の材料で環状に形成された部材である。押圧ブロック15は、内周縁側の突出部15aでセラミック部材13のフランジ部13dをランプボディ11側へ押圧するようにしている。押圧ブロック15自体は、ボルトによりランプボディ11の端面11aに取り付けられている。押圧ブロック15はランプボディ11の端面11aから突出して取り付けられており、押圧ブロック15の内側にセラミック部材13と陽極12の円筒部12bとが配置された構成となっている。セラミック部材13の端面13aには、挿通孔13cが開口しており、挿通孔13cの中に陽極12の円筒部12bが配置されている。挿通孔13cの開口端は、グロー放電管1の開口部13bであり、開口部13bは円筒部12bの先端12eに対向した位置にある。
セラミック部材13の端面13aには、開口部13bを囲繞したOリング17が配置されている。試料51は、Oリング17に表面が当接するように配置される。例えば、試料51は平板状である。試料51の外形は、Oリング17の外径を超過する大きさである。試料51の裏側には押圧電極43が押し当てられ、試料51がグロー放電管1へ押圧される。押圧電極43は、図示しない所定の係止手段により、試料51をグロー放電管1へ押圧している。このようにして、試料51は開口部13bを塞ぐように配置され、試料51の表面は、陽極12の円筒部12bの先端12eに対向する。
開口部13bを塞ぐように試料51を配置した状態で、グロー放電管1の内部を減圧部44で減圧する。減圧部44がグロー放電管1の内部を減圧することで、試料51は固定される。ガス供給部3は、グロー放電管1の内部へガスを供給する。供給されるガスは、グロー放電の発生を可能にするガスであり、例えばアルゴンガスである。電源部42は、押圧電極43に高周波電圧を供給する。押圧電極43に高周波電圧が供給されることにより、陽極12と試料51との間に電圧が印加される。
陽極12の円筒部12bの先端12eと試料51との間の空間にガスが随時供給され、陽極12と試料51との間に電圧が印加されることにより、陽極12と試料51との間でグロー放電が発生する。グロー放電が発生することにより、ガスイオンを含んだプラズマが生成する。ガスイオンは電圧によって貫通孔12c内で加速し、円筒部12bの先端12eに対向した試料51の表面へ衝突し、スパッタリングが行われる。スパッタリングにより、試料51の構成物質が粒子となって放出される。放出された粒子は、グロー放電によって励起され、粒子に含まれる元素に固有の波長の光が発光する。発光した光は窓16を透過して分光測定器41へ入射され、分光測定器41は入射された光を分光し、各波長の光の強度を測定し、測定結果を制御部2へ入力する。制御部2は、分光測定器41から入力された測定結果に基づいて、試料51に含まれる成分の定性分析又は定量分析を行う。このようにして、試料51に対するグロー放電発光分析が行われる。
図3は、制御部2の構成例を示すブロック図である。制御部2は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いて構成されている。制御部2は、演算を行うCPU(Central Processing Unit )21と、RAM(Random Access Memory)22と、ドライブ部23と、入力部24と、記憶部25と、表示部26とを備えている。RAM22は、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶する。ドライブ部23は、光ディスク等の記録媒体20から情報を読み取る。入力部24は、使用者が操作することによる各種の処理指示等の情報を入力される。例えば、入力部24はキーボード又はポインティングデバイスである。記憶部25は不揮発性であり、例えばハードディスク又は不揮発性メモリを用いてなる。表示部26は各種の情報を表示する。例えば、表示部26は液晶ディスプレイである。
CPU21は、記録媒体20からコンピュータプログラム251をドライブ部23に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム251を記憶部25に記憶させる。CPU21は、必要に応じてコンピュータプログラム251を記憶部25からRAM22へロードし、ロードしたコンピュータプログラム251に従って制御部2に必要な処理を実行する。なお、制御部2はドライブ部23を備えていなくてもよい。コンピュータプログラム251は、図示しない外部のサーバ装置から制御部2へダウンロードされて記憶部25に記憶されてもよい。また、制御部2は、外部からコンピュータプログラム251を受け付けるのではなく、コンピュータプログラム251を記録した記録媒体を内部に備えた形態であってもよい。
制御部2は、インタフェース部27を更に備えている。インタフェース部27には、分光測定器41、電源部42、減圧部44、ガス供給部3及び圧力センサ45が接続されている。CPU21は、インタフェース部27を通じて分光測定器41、電源部42、減圧部44及びガス供給部3の動作を制御するための処理を行う。制御部2は、分光測定器41から入力される測定結果をインタフェース部27で受け付ける。圧力センサ45は、測定した圧力を示す情報を制御部2へ入力し、制御部2は、圧力を示す情報をインタフェース部27で受け付ける。
本実施形態に係るグロー放電発光分析方法を説明する。図4は、グロー放電発光分析方法の概要を示す概念図である。まず、ブラシ等の清掃具52を用いて、グロー放電管1の陽極12を清掃する。清掃により、陽極12の貫通孔12cの内面に付着した物質を除去する。グロー放電発光分析を行った後は、試料51から放出された物質が貫通孔12cの内面に付着しているので、これらの物質を取り除く。この後にグロー放電を発生させる際には、プラズマの発生が安定し、以前に分析した試料51に含まれる物質が以後に行われる分析の結果に及ぼす影響が小さくなる。
次に、分析対象の試料51とは異なる模擬試料53をグロー放電管1に装着し、グロー放電を発生させる。模擬試料53は、陽極12と同じ成分で構成されている。例えば、陽極12及び模擬試料53は、銅で構成されている。模擬試料53は、成分分析の対象ではない。模擬試料53は、図2に示した試料51と同様に、開口部13bを塞ぐように配置される。模擬試料53の表面は、円筒部12bの先端12eに対向する。模擬試料53を配置した状態で、グロー放電管1の内部を減圧部44が減圧し、ガス供給部3はグロー放電管1の内部へガスを供給する。この際に、グロー放電管1内の圧力を調整することによって、グロー放電管1内の大気をガスで押し出すポンピングを行う。電源部42は押圧電極43に高周波電圧を供給し、陽極12と模擬試料53との間でグロー放電が発生する。
グロー放電が発生することにより、模擬試料53に対してスパッタリングが行われる。スパッタリングにより、模擬試料53の構成物質が粒子となって飛び出す。飛び出した粒子は、陽極12の貫通孔12cの内面に付着する。このため、模擬試料53の構成物質によって貫通孔12cの内面がコーティングされる。分光測定器41は光の測定を行わなくてもよい。前述の清掃の際に、大気中に存在する炭化水素等の物質が、陽極12の貫通孔12cの内面に付着する。コーティングは、貫通孔12cの内面に付着した物質の上から行われる。このため、以降は、貫通孔12cの内面に付着した物質は放出され難い。
次に、グロー放電管1の内部の圧力を大気圧へ戻し、模擬試料53をグロー放電管1から取り外す。更に、清掃を行わずに、分析対象の試料51をグロー放電管1に装着する。清掃を行わないことにより、陽極12の貫通孔12cの内面に大気中の物質が更に付着することが防止される。開口部13bを塞ぐように試料51が配置された状態で、減圧部44はグロー放電管1の内部を減圧し、ガス供給部3はグロー放電管1の内部へガスを供給する。この際に、ポンピングを行う。陽極12と試料51との間でグロー放電が発生し、試料51に対するグロー放電発光分析が行われる。
コーティングのため、貫通孔12cの内面に付着した物質は放出され難いので、グロー放電発光分析の最中には、プラズマの発生が安定する。貫通孔12cの内面に付着した物質が放出され、励起されて発光する可能性は低く、この光が分光測定器41で測定される可能性は低い。このため、貫通孔12cの内面に付着した物質がグロー放電発光分析により試料51の成分として検出されてしまう可能性は低い。貫通孔12cの内面をコーティングした模擬試料53の構成物質は、グロー放電発光分析の際に、貫通孔12cの内面から放出され得る。模擬試料53の構成物質は陽極12の構成物質と同一であるので、模擬試料53の構成物質が試料51の成分分析へ与える影響は、陽極12の構成物質による影響と同じである。即ち、貫通孔12cの内面をコーティングした物質によって試料51の成分分析への影響が増加することは無い。
試料51に対するグロー放電発光分析が行われた後は、グロー放電管1の内部の圧力を大気圧へ戻し、陽極12の清掃が行われる。陽極12の清掃、模擬試料53を用いたグロー放電、及び試料51の分析を繰り返すことにより、複数の試料51に対するグロー放電発光分析が行われる。清掃具52を用いた清掃、並びに模擬試料53及び試料51のグロー放電管1への脱着は、人の手によって行われる。
本実施形態では、模擬試料53を用いたグロー放電を行うときと、試料51のグロー放電発光分析を行うときとで、ガス供給部3から供給するガスの種類を変更することができる。図5は、ガス供給部3の構成の例を示すブロック図である。ガス供給部3は、模擬試料53を用いたグロー放電を行うときのためのガスを充填した第1ボンベ31と、試料51のグロー放電発光分析を行うときのためのガスを充填した第2ボンベ32とを備えている。第1ボンベ31には電磁弁311が連結され、第2ボンベ32には電磁弁321が連結されている。電磁弁311及び321は、グロー放電管1へガスを供給するための配管30に配置されている。電磁弁311及び321は、制御部2に接続され、制御部2に動作を制御される。電磁弁311が開放され、電磁弁321が閉鎖された状態で、第1ボンベ31に充填されたガスは、電磁弁311及び配管30を通ってグロー放電管1の内部へ供給される。また、電磁弁321が開放され、電磁弁311が閉鎖された状態で、第2ボンベ32に充填されたガスは、電磁弁321及び配管30を通ってグロー放電管1の内部へ供給される。
一般的に、模擬試料53を用いたグロー放電を行うために適切なガスと、試料51のグロー放電発光分析を行うために適切なガスとは異なる。模擬試料53を用いたグロー放電を行うためには、用いるガスはスパッタリングを起こしやすいガスであればよい。例えば、模擬試料53を用いたグロー放電を行うためのガスは、アルゴンガスである。第1ボンベ31にはアルゴンガスが充填されている。模擬試料53を用いたグロー放電を行うためのガスは、ネオンガスであってもよい。この場合、第1ボンベ31にはネオンガスが充填されている。
試料51のグロー放電発光分析を行うためには、用いるガスは、ガスイオンがスパッタリングによって試料51を適度のレートで掘削することができるガスであることが望ましい。掘削のレートが低い場合は、スパッタリングによって試料51から放出される物質の量が少なく、発光強度が小さくなり、分析の精度が低い。試料51が炭素を含む物質で構成されている場合は、用いられるガスには酸素が含まれていることが望ましい。例えば、試料51がDLC(Diamond-like Carbon )である場合は、グロー放電発光分析のために用いるガスは、アルゴンガス及び酸素ガスの混合ガスである。第2ボンベ32には、アルゴンガス及び酸素ガスの混合ガスが充填されている。また例えば、試料51が、DLCに1%以下の微量のフッ素が含有してなる場合は、用いるガスはネオンガスである。第2ボンベ32には、純粋なネオンガスが充填されている。また例えば、試料51が、DLCに数%以上の微量のフッ素が含有してなる場合は、用いるガスは、ネオンガス及び酸素ガスの混合ガスである。第2ボンベ32には、ネオンガス及び酸素ガスの混合ガスが充填されている。
模擬試料53を用いたグロー放電と、試料51のグロー放電発光分析とで、ガスの種類を変更することができれば、適切なガスを選択することが可能となる。適切なガスを選択することにより、模擬試料53を用いたグロー放電と、試料51のグロー放電発光分析とを、夫々に適切な条件で実行することができる。このため、グロー放電が安定して発生する。また、試料51を適度のレートで掘削することができるガスを用いた場合は、スパッタリングによって試料51から適度の量の物質が放出され、発光強度が向上し、精度の良いグロー放電発光分析を行うことが可能となる。
図6は、実施形態1に係るグロー放電発光分析のために制御部2が実行する処理の手順を示すフローチャートである。以下、ステップをSと略す。制御部2のCPU21は、コンピュータプログラム251に従って、以下の処理を実行する。グロー放電管1の陽極12を清掃した段階で、CPU21は、グロー放電管1の内部の圧力調整のためのパラメータの指定を受け付ける処理を行う(S1)。S1では、CPU21は、パラメータの指定を受け付けるための受付画面を表示部26に表示し、使用者の操作によりパラメータの入力を入力部24で受け付ける。
図7は、パラメータの指定を受け付けるための受付画面の例を示す模式図である。本実施形態に係る圧力調整では、グロー放電管1内の圧力を複数回増減させる。受付画面には、圧力増減の繰り返し回数が入力される入力欄が含まれている。使用者は、入力部24を操作して、繰り返し回数を数字で指定し、CPU21は、繰り返し回数の指定を受け付ける。受付画面には、圧力を増減させる際の下限圧力及び上限圧力、並びに最終的に圧力を合わせるべき最終圧力が入力される入力欄が更に含まれている。使用者は、入力部24を操作して、下限圧力、上限圧力及び最終圧力を数字で指定し、CPU21は、下限圧力、上限圧力及び最終圧力の指定を受け付ける。
受付画面には、グロー放電管1内の圧力を下限圧力から上限圧力まで増加させるためにかけるべき時間である第1時間、及び圧力を上限圧力から下限圧力まで減少させるためにかけるべき時間である第2時間が入力される入力欄が更に含まれている。受付画面には、圧力の増減を完了してから圧力を最終圧力にするまでにかけるべき時間である第3時間が入力される入力欄が更に含まれている。使用者は、入力部24を操作して、第1時間、第2時間及び第3時間を数字で指定し、CPU21は、第1時間、第2時間及び第3時間の指定を受け付ける。
S1では、使用者は、繰り返し回数、下限圧力、上限圧力、最終圧力、第1時間、第2時間及び第3時間を含むパラメータを、任意に指定することができ、CPU21は、パラメータを任意の数値で受け付ける。S1により、これらのパラメータが任意に指定される。最終圧力は、グロー放電が発生し得る圧力に指定される必要がある。CPU21は、指定されたパラメータを記憶部25に記憶させる。S1では、CPU21は、記憶部25に記憶されているパラメータを読み出し、読み出したパラメータの値を含む受付画面を表示部26に表示してもよい。また、CPU21は、パラメータの値をランダムに生成し、生成したパラメータの値を含む受付画面を表示部26に表示してもよい。S1の処理は、陽極12の清掃と並行して行われてもよく、陽極12の清掃よりも前に予め行われていてもよい。
CPU21は、次に、グロー放電管1の内部へ供給すべきガスとして、模擬試料53用のガスを選択する(S2)。即ち、CPU21は、模擬試料53を用いたグロー放電を行うときのためのガスを選択する。本実施例では、CPU21は、第1ボンベ31に充填されたガス(例えば、アルゴンガス)を選択する。模擬試料53用のガスの種類は予め設定されており、ガスの種類を示す設定情報が予め記憶部25に記憶されている。なお、S2では、制御部2は、ガスの指定を入力部24で受け付け、指定されたガスを選択する処理を行ってもよい。
模擬試料53が開口部13bを塞ぐように配置された状態で、CPU21は、グロー放電管1の内部の圧力を調整する(S3)。CPU21は、圧力センサ45が測定した圧力の値に基づいて、減圧部44及びガス供給部3を制御する。より詳しくは、CPU21は、減圧部44の動作を制御し、減圧部44がグロー放電管1から排出するガスの量を調整する。また、CPU21は、電磁弁321を閉鎖し、電磁弁311の開放度を制御することにより、第1ボンベ31から配管30を通ってグロー放電管1へ流入するガスの量を調整する。
図8は、圧力調整の例を模式的に示すグラフである。図8の横軸は経過時間を示し、縦軸はグロー放電管1内の圧力を示す。圧力調整を開始する時点では、グロー放電管1内の圧力は大気圧とほぼ同一である。CPU21が減圧部44を動作させ、減圧部44がグロー放電管1の内部を減圧することにより、グロー放電管1内の圧力は減少する。CPU21は、圧力センサ45が測定した圧力の値に基づき、指定された下限圧力まで圧力が減少するように、減圧部44を制御する。次に、CPU21がガス供給部3を制御し、ガス供給部3がグロー放電管1の内部へガスを供給することにより、グロー放電管1内の圧力は増加する。
CPU21は、圧力センサ45が測定した圧力の値に基づき、圧力の増加が指定された上限圧力で停止するようにガス供給部3を制御する。このとき、CPU21は、グロー放電管1内の圧力が下限圧力になっている時点から第1時間の間、グロー放電管1内の圧力が増加し、第1時間が経過した時点で圧力が上限圧力となるように、減圧部44及びガス供給部3を制御する。
CPU21は、次に、減圧部44にグロー放電管1の内部を減圧させることにより、グロー放電管1内の圧力を減少させる。このとき、CPU21は、グロー放電管1内の圧力が上限圧力になっている時点から第2時間の間、グロー放電管1内の圧力が減少し、第2時間が経過した時点で圧力が下限圧力となるように、減圧部44を制御する。CPU21は、同様にして、指定された繰り返し回数だけ、圧力の増減を繰り返す。
CPU21は、次に、減圧部44及びガス供給部3を制御して、グロー放電管1内の圧力を指定された最終圧力に調整する。このとき、CPU21は、グロー放電管1内の圧力が下限圧力になっている時点から第3時間の間、グロー放電管1内の圧力が増加し、第3時間が経過した時点で圧力が最終圧力となるように、減圧部44及びガス供給部3を制御する。
グロー放電管1内の圧力が増加する際に、供給されたガスは、グロー放電管1内に残留している大気を押し出し、圧力が減少する際に、押し出された大気がグロー放電管1から排出される。このようにして、ポンピングが行われる。グロー放電管1から大気が効果的に排出され、ガス供給部3から供給されるガスの純度がグロー放電管1内で低下し難い。
CPU21は、次に、模擬試料53を用いたグロー放電を発生させる(S4)。S4では、CPU21は、電源部42に押圧電極43へ高周波電圧を供給させる。陽極12と模擬試料53との間でグロー放電が発生し、模擬試料53に対してスパッタリングが行われ、陽極12の貫通孔12cの内面が模擬試料53の構成物質によってコーティングされる。
CPU21は、次に、減圧部44及びガス供給部3を制御して、グロー放電管1内の圧力を大気圧へ戻す(S5)。S5では、CPU21は、ガス供給部3からのガスの供給を停止する。例えば、CPU21は、電磁弁311を閉鎖する。また、CPU21は、減圧部44に、減圧を停止させ、グロー放電管1の内部を外気に通じさせる。
使用者は、模擬試料53をグロー放電管1から取り外し、清掃を行わずに、分析対象の試料51をグロー放電管1に装着する。CPU21は、次に、グロー放電管1の内部の圧力調整のためのパラメータの指定を受け付ける処理を行う(S6)。S6では、CPU21は、S1と同様に、受付画面を表示部26に表示し、使用者の操作によりパラメータの入力を入力部24で受け付ける。
S6では、使用者は、繰り返し回数、下限圧力、上限圧力、最終圧力、第1時間、第2時間及び第3時間を含むパラメータを、任意に指定することができ、CPU21は、パラメータを任意の数値で受け付ける。パラメータの値は、S1で受け付けるパラメータの値と同じであってもよく、異なっていてもよい。CPU21は、指定されたパラメータを記憶部25に記憶させる。S6では、CPU21は、記憶部25に記憶されているパラメータを読み出し、読み出したパラメータの値を含む受付画面を表示部26に表示してもよい。また、CPU21は、ランダムに生成したパラメータの値を含む受付画面を表示部26に表示してもよい。S6の処理は、より前の段階で予め行われていてもよい。例えば、S6の処理は、S1の処理と並行して行われていてもよい。
CPU21は、次に、グロー放電管1の内部へ供給すべきガスとして、分析用のガスを選択する(S7)。即ち、CPU21は、試料51のグロー放電発光分析を行うときのためのガスを選択する。本実施例では、CPU21は、第2ボンベ32に充填されたガス(例えば、アルゴンガス及び酸素ガスの混合ガス)を選択する。分析用のガスの種類は予め設定されており、ガスの種類を示す設定情報が予め記憶部25に記憶されている。なお、S7では、制御部2は、ガスの指定を入力部24で受け付け、指定されたガスを選択する処理を行ってもよい。
試料51が開口部13bを塞ぐように配置された状態で、CPU21は、グロー放電管1の内部の圧力を調整する(S8)。CPU21は、S3と同様に、圧力センサ45が測定した圧力の値に基づいて、減圧部44及びガス供給部3を制御する。より詳しくは、CPU21は、減圧部44の動作を制御し、電磁弁311を閉鎖し、電磁弁321の開放度を制御することにより、第2ボンベ32から配管30を通ってグロー放電管1へ流入するガスの量を調整する。グロー放電管1内の圧力は、S3と同様に、下限圧力まで一旦減少し、下限圧力と上限圧力との間で繰り返し回数だけ増減を繰り返す。これにより、ポンピングが行われる。グロー放電管1内の圧力は、その後、最終圧力に調整される。
CPU21は、次に、試料51のグロー放電発光分析を行う(S9)。S9では、CPU21は、電源部42に押圧電極43へ高周波電圧を供給させる。陽極12と試料51との間でグロー放電が発生し、試料51に対してスパッタリングが行われ、試料51から放出された粒子は、励起され発光する。光は分光測定器41へ入射し、分光測定器41は、入射した光を分光し、各波長の光の強度を測定し、測定結果を制御部2へ入力する。制御部2は、分光測定器41から入力された測定結果をインタフェース部27で受け付け、記憶部25に記憶する。CPU21は、測定結果に基づいて、試料51に含まれる成分の定性分析又は定量分析を行う。定性分析又は定量分析の処理は、後で行われてもよい。CPU21は、分析結果を表示部26に表示してもよい。このようにして、試料51に対するグロー放電発光分析が行われる。
CPU21は、次に、減圧部44及びガス供給部3を制御して、グロー放電管1内の圧力を大気圧へ戻す(S10)。S10では、例えば、CPU21は、電磁弁321を閉鎖することにより、ガス供給部3からのガスの供給を停止する。また、CPU21は、減圧部44に、減圧を停止させ、グロー放電管1の内部を外気に通じさせる。制御部2は、以上でグロー放電発光分析のための処理を終了する。
複数の試料51に対するグロー放電発光分析を行う場合には、制御部2は、S1~S10の処理を繰り返す。S1~S10の処理を2回目以降に行う際には、制御部2は、以前に指定されたパラメータの値を利用することとして、S1又はS6の処理を省略してもよい。また、試料51が変更される都度、S6にて異なるパラメータの値が指定されてもよい。
なお、本実施形態では、試料51及び模擬試料53を押圧電極43でグロー放電管1に対して押し付ける形態を示したが、グロー放電発光分析装置10は、試料51及び模擬試料53を保持するホルダを備えた形態であってもよい。ホルダは、開口部13bを塞ぐ機能を有していてもよい。また、減圧部44の動作の制御、又はガス供給部3が供給するガスの選択は、使用者が手動で行ってもよい。また、グロー放電発光分析装置10は、三種類以上のガスを使用する形態であってもよい。例えば、ガス供給部3は充填されたガスが異なる三個以上のボンベを有していてもよい。制御部2は、複数の試料51の夫々について異なるガスを選択してもよい。また、ガス供給部3は、複数のガスを混合する機構を有し、グロー放電発光分析装置10は、混合するガスの種類及び比率を調整することにより、グロー放電管1へ供給するガスの種類を変更する形態であってもよい。
グロー放電発光分析装置10は、陽極12の清掃又は模擬試料53若しくは試料51の脱着を自動で行う試料交換部を備えていてもよい。例えば、試料交換部は、模擬試料53及び試料51を載置する載置部と、載置部に載置された模擬試料53又は試料51を移動させる駆動部とを含んでいる。駆動部は、模擬試料53又は試料51を、円筒部12bの先端12eに対向し、開口部13bを塞ぐ位置まで移動させる。試料交換部は、制御部2に接続されている。駆動部は、制御部2からの制御信号に従って、模擬試料53及び試料51の位置を自動的に変更する。試料交換部を用いることにより、グロー放電発光分析装置10は、模擬試料53を用いたグロー放電と、試料51のグロー放電発光分析とを連続的に実行することができる。
以上のように、本実施形態においては、圧力調整のための繰り返し回数、下限圧力、上限圧力、最終圧力、第1時間、第2時間及び第3時間を含むパラメータを、任意に指定することができる。圧力調整の際にポンピングを行うことは従来行われていたものの、適切なポンピングの条件は不明確である。例えば、グロー放電管1の構造、大気の状態、又はグロー放電管1へ供給されるガスの種類等によって、適切なポンピングの条件は変化する可能性がある。本実施形態では、パラメータを任意に指定することにより、ポンピングの条件を調整することができる。なお、第1時間、第2時間及び第3時間とは異なる時間を指定することにより、圧力の増減に関する時間を指定してもよい。例えば、第1時間及び第2時間の和に対応する時間、圧力が最初に下限圧力に達してから最終圧力になるまでの時間、又は、減圧を開始してから圧力が最終圧力になるまでの時間を指定してもよい。
ポンピングの条件を調整することにより、適切な条件でポンピングを行うことが可能となり、効果的にグロー放電管1内の圧力調整が行われる。適切なポンピングを行うことにより、グロー放電管1から大気が効果的に排出され、グロー放電管1内のガスに混入する大気の量が低下する。このため、グロー放電の発生及びプラズマの発生が安定し、安定的にグロー放電発光分析を行うことが可能となる。また、分析の際に大気に含まれる成分が試料51の成分として検出されることが抑制され、グロー放電発光分析の精度が向上する。また、適切なポンピングを行うことにより、無暗なポンピングを行うことが無くなる。無暗なポンピングを行わないので、ガスの消費量が抑制され、圧力を調整するために要する時間の長大化が防止される。従って、迅速に、グロー放電管1内の圧力調整が行われる。特に、複数の試料51のグロー放電発光分析を行うために必要な時間が短縮される。
また、本実施形態においては、模擬試料53を用いたグロー放電を行うことにより、模擬試料53の構成物質で陽極12の貫通孔12cの内面をコーティングする。大気中に存在する炭化水素等の物質が清掃時に貫通孔12cの内面に付着したとしても、コーティングにより、付着した物質は放出され難くなる。このため、付着した物質がグロー放電発光分析により試料51の成分として検出されてしまう可能性は低い。また、模擬試料53の構成物質は陽極12の構成物質と同一であるので、貫通孔12cの内面をコーティングした物質によって試料51の成分分析への影響が増加することは無い。従って、グロー放電発光分析の精度が向上する。
図9A及び図9Bは、グロー放電発光分析の結果の例を示すグラフである。図9の横軸は試料51のスパッタリングを開始してから経過した時間を示し、縦軸は、各時点において夫々の元素に起因する発光強度を示す。図9Aは、シリコン(Si)の板を試料51として従来の方法でグロー放電発光分析を行った結果を示す。従来の方法では、陽極12の貫通孔12cの内面のコーティング及びポンピングを行っていない。図9Bは、Siの板を試料51として本実施形態に係るグロー放電発光分析を行った結果を示す。図9A及び図9Bには、Si、窒素(N)、水素(H)、ホウ素(B)、炭素(C)、酸素(O)及びアルゴン(Ar)の夫々の元素に起因する発光強度を示している。
検出された元素の内、Siは試料51に由来し、Arはグロー放電管1へ供給されたガスに由来する。H、C及びOは、大気に含まれる成分に由来する。図9Bに示すように、本実施形態では、H、C及びOに起因する発光強度が確実に減少する。即ち、本実施形態では、分析の際に大気に含まれる成分が検出されることが減少し、グロー放電発光分析の精度が向上していることが明らかである。
<実施形態2>
図10は、実施形態2に係るグロー放電発光分析装置10の構成を示すブロック図である。グロー放電発光分析装置10は、試料51及び模擬試料53を保持するためのサンプルプレート61と、サンプルプレート61を保持するプレート保持部62とを備えている。サンプルプレート61は、プレート保持部62に対して着脱可能である。プレート保持部62は、サンプルプレート61を固定することができる。プレート保持部62には、プレート駆動部63が連結されている。プレート駆動部63は、モータ等の駆動機構によって、プレート保持部62を移動させる。プレート駆動部63は、プレート保持部62を移動させることにより、プレート保持部62に保持されたサンプルプレート61を移動させる。プレート駆動部63は、グロー放電管1の開口部13bに対して離隔する方向、及びセラミック部材13の端面13aに沿った方向に、サンプルプレート61を移動させることができる。プレート駆動部63は、制御部2に接続されている。制御部2は、プレート駆動部63の動作を制御する。
サンプルプレート61及びプレート保持部62は、導電性の部材で構成されている。プレート保持部62は、電源部42に接続されている。電源部42は、プレート保持部62に高周波電圧を供給する。プレート保持部62に高周波電圧が供給されることにより、サンプルプレート61へも高周波電圧が供給される。サンプルプレート61、プレート保持部62及びプレート駆動部63は、試料移動部に対応する。
更に、グロー放電発光分析装置10は、陽極12を清掃するための清掃具52を備えている。清掃具52には、清掃具駆動部64が連結されている。清掃具駆動部64は、モータ等の駆動機構によって、清掃具52を移動させる。清掃具駆動部64は、清掃具52を、グロー放電管1の開口部13bに対して離隔する方向に移動させることができる。また、清掃具駆動部64は、清掃具52を移動させて陽極12の貫通孔12cへ挿入させることができる。清掃具駆動部64は、清掃具52が貫通孔12cへ挿入した状態で、清掃具52を回転させ、貫通孔12cの内面を清掃する。清掃具駆動部64は、その他の動きを清掃具52にさせることにより、陽極12の貫通孔12cを清掃してもよい。清掃具駆動部64は、制御部2に接続されている。制御部2は、清掃具駆動部64の動作を制御する。グロー放電発光分析装置10の他の部分の構成は、実施形態1と同様である。
図11は、サンプルプレート61を示す模式的斜視図である。サンプルプレート61は、導電性の部材で構成され、矩形平板状に形成されている。サンプルプレート61の表面には、複数の試料付着部611が設けられている。試料付着部611は、サンプルプレート61の表面が窪んだ部分である。いずれかの試料付着部611に模擬試料53が付着し、他の試料付着部611に試料51が付着する。試料51及び模擬試料53は、載置、塗布、接着又は圧着等の方法で、試料付着部611に付着させられる。試料付着部611に試料51及び模擬試料53が付着することによって、サンプルプレート61は、試料51及び模擬試料53を保持する。試料付着部611は、窪んでいなくてもよい。
サンプルプレート61が試料51及び模擬試料53を保持した状態で、サンプルプレート61がプレート保持部62に保持され、プレート駆動部63がサンプルプレート61を移動させる。制御部2は、プレート駆動部63を制御することにより、サンプルプレート61の位置を調整し、サンプルプレート61に保持された試料51及び模擬試料53の位置を調整する。制御部2は、グロー放電管1の開口部13bをサンプルプレート61が塞ぎ、陽極12の円筒部12bの先端12eに試料51又は模擬試料53が対向するように、サンプルプレート61の位置を調整することができる。
図12は、グロー放電が行われる際の実施形態2に係るサンプルプレート61及びグロー放電管1の配置例を示す断面図である。グロー放電が行われる際には、グロー放電管1の開口部13bを塞ぐ位置にサンプルプレート61が配置され、陽極12の円筒部12bの先端12eに対向する位置に試料51又は模擬試料53が配置される。サンプルプレート61は、Oリング17に表面が当接するように配置される。試料51又は模擬試料53は、円筒部12bの先端12eに対向する位置に配置される。図12には、試料51が円筒部12bの先端12eに対向している状態を示す。プレート駆動部63がサンプルプレート61をグロー放電管1へ向けて押すことにより、サンプルプレート61はグロー放電管1へ押圧される。サンプルプレート61は、図示しない所定の押圧手段によりグロー放電管1へ押圧されてもよい。電源部42によってサンプルプレート61へ高周波電圧が供給されることにより、サンプルプレート61に保持された試料51又は模擬試料53と陽極12との間に電圧が印加される。
次に、実施形態2に係るグロー放電発光分析方法を説明する。使用者は、まず、試料51及び模擬試料53をサンプルプレート61に保持させる。具体的に、使用者は、少なくとも一つの試料51をいずれかの試料付着部611に付着させ、少なくとも一つの模擬試料53を他の試料付着部611に付着させる。複数の試料51がサンプルプレート61に保持されてもよい。例えば、互いに異なる複数の試料51の夫々が異なる試料付着部611に付着される。複数の模擬試料53がサンプルプレート61に保持されてもよい。使用者は、試料51及び模擬試料53を保持したサンプルプレート61を、プレート保持部62に装着する。
図13は、グロー放電発光分析のために制御部2が実行する実施形態2に係る処理の手順を示すフローチャートである。試料51及び模擬試料53を保持したサンプルプレート61がプレート保持部62に装着された状態で、制御部2のCPU21は、コンピュータプログラム251に従って、以下の処理を実行する。CPU21は、グロー放電発光分析で使用する試料51及び模擬試料53の指定を受け付ける処理を行う(S21)。S1では、CPU21は、受付画面を表示部26に表示し、使用者の操作により、使用すべき試料51及び模擬試料53の指定を入力部24で受け付ける。例えば、複数の試料付着部611には夫々番号が付与されており、試料51又は模擬試料53が付着した試料付着部611の指定が受け付けられる。複数の試料51についてグロー放電発光分析が行われる順番も指定されてもよい。試料付着部611はどのような方法で指定されてもよい。例えば、分析が行われる順番を指定するために、横、縦、斜め若しくは円弧状の順番、一つ飛ばし、又はランダムな順番等、様々な順番で夫々の試料付着部611が指定されてもよい。これにより、例えば、隣り合った試料付着部611の一方に付着した試料51の分析が行われる際に他方に付着した試料51に影響が出る場合に、一方の試料51が付着した試料付着部611からある程度離れた試料付着部611に他方の試料51を付着させ、夫々の試料付着部611を指定することにより、影響を最小限にとどめることができる。CPU21は、指定された内容を表す情報をRAM22又は記憶部25に記憶する。
CPU21は、次に、グロー放電管1の内部の圧力調整のためのパラメータの指定を受け付ける処理を行う(S22)。S22では、CPU21は、実施形態1と同様にパラメータの指定を受け付ける。例えば、CPU21は、図7に示した受付画面と同様の受付画面を表示部26に表示し、使用者の操作によりパラメータの入力を入力部24で受け付ける。例えば、繰り返し回数、下限圧力、上限圧力、最終圧力、第1時間、第2時間及び第3時間を含むパラメータが指定される。複数の試料51及び模擬試料53の夫々について異なるパラメータが指定されてもよく、複数の試料51及び模擬試料53について共通のパラメータが指定されてもよい。CPU21は、指定されたパラメータを表す情報をRAM22又は記憶部25に記憶する。S21及びS22の処理は、サンプルプレート61がプレート保持部62に装着される前に行われてもよい。
CPU21は、次に、陽極12の清掃を行う(S23)。図14は、清掃時の実施形態2に係るグロー放電管1、サンプルプレート61及び清掃具52の位置関係を示す模式図である。CPU21は、プレート駆動部63に、グロー放電管1の開口部13bを塞がない位置にサンプルプレート61を配置させ、清掃具駆動部64に清掃具52を陽極12の貫通孔12cへ挿入させ、清掃を行う。清掃により、陽極12の貫通孔12cの内面に付着した物質が除去される。
CPU21は、次に、模擬試料53を陽極12の円筒部12bの先端12eに対向する位置に配置させる(S24)。このとき、CPU21は、清掃具52をグロー放電管1から離隔させ、サンプルプレート61を、グロー放電管1の開口部13bを塞ぎ、模擬試料53が先端12eに対向するような位置に、配置する。サンプルプレート61はグロー放電管1へ押圧される。CPU21は、次に、グロー放電管1の内部へ供給すべきガスとして、模擬試料53用のガスを選択する(S25)。S25では、CPU21は、実施形態1と同様にガスを選択する。CPU21は、次に、グロー放電管1の内部の圧力を調整する(S26)。S26では、CPU21は、実施形態1と同様に、指定されたパラメータに従って、圧力センサ45が測定した圧力の値に基づき、圧力を調整する。圧力の調整により、ポンピングが行われ、グロー放電管1から大気が効果的に排出され、ガス供給部3からグロー放電管1へガスが供給される。
CPU21は、次に、模擬試料53を用いたグロー放電を発生させる(S27)。図15は、模擬試料53を用いたグロー放電を行う際の実施形態2に係るグロー放電管1、サンプルプレート61及び清掃具52の位置関係を示す模式図である。清掃具52は、グロー放電管1から離隔した位置に配置される。サンプルプレート61はグロー放電管1の開口部13bを塞いでおり、サンプルプレート61の保持する模擬試料53が陽極12に対向している。CPU21は、電源部42にプレート保持部62へ高周波電圧を供給させる。陽極12と模擬試料53との間でグロー放電が発生する。模擬試料53に対してスパッタリングが行われ、陽極12の貫通孔12cの内面が模擬試料53の構成物質によってコーティングされる。
CPU21は、次に、減圧部44及びガス供給部3を制御して、グロー放電管1内の圧力を大気圧へ戻す(S28)。CPU21は、次に、試料51を陽極12の円筒部12bの先端12eに対向する位置に配置させる(S29)。このとき、CPU21は、サンプルプレート61を移動させることにより、模擬試料53を、先端12eに対向する位置から取り外す。また、CPU21は、サンプルプレート61が開口部13bを塞ぎ、試料51が先端12eに対向するように、サンプルプレート61の位置を調整する。サンプルプレート61はグロー放電管1へ押圧される。
CPU21は、次に、グロー放電管1の内部へ供給すべきガスとして、分析用のガスを選択する(S30)。S30では、CPU21は、実施形態1と同様にガスを選択する。CPU21は、次に、グロー放電管1の内部の圧力を調整する(S26)。CPU21は、実施形態1と同様に、指定されたパラメータに従って、圧力センサ45が測定した圧力の値に基づき、圧力を調整する。圧力の調整により、ポンピングが行われ、その後、グロー放電管1内の圧力は、最終圧力に調整される。
CPU21は、次に、試料51のグロー放電発光分析を行う(S32)。図16は、グロー放電発光分析を行う際の実施形態2に係るグロー放電管1、サンプルプレート61及び清掃具52の位置関係を示す模式図である。清掃具52は、グロー放電管1から離隔した位置に配置される。サンプルプレート61は、模擬試料53を用いたグロー放電を行う場合とは異なる位置に配置されており、サンプルプレート61の保持する試料51が陽極12に対向している。S32では、CPU21は、電源部42にプレート保持部62へ高周波電圧を供給させる。陽極12と試料51との間でグロー放電が発生し、試料51に対してスパッタリングが行われ、試料51から放出された粒子は、励起され発光する。分光測定器41は、入射した光を分光し、各波長の光の強度を測定し、測定結果を制御部2へ入力する。制御部2は、測定結果を記憶部25に記憶する。CPU21は、測定結果に基づいて、試料51に含まれる成分の定性分析又は定量分析を行う。このようにして、試料51に対するグロー放電発光分析が行われる。
CPU21は、次に、減圧部44及びガス供給部3を制御して、グロー放電管1内の圧力を大気圧へ戻す(S33)。CPU21は、次に、グロー放電発光分析のための処理を終了するか否かを判定する(S34)。例えば、CPU21は、サンプルプレート61に保持された全ての試料51についてグロー放電発光分析が行われた場合に、処理を終了すると判定する。例えば、CPU21は、グロー放電発光分析がまだ行われていない試料51が残っている場合に、処理を終了しないと判定する。CPU21は、使用者の操作により処理を終了するか否かの指示を入力部24で受け付け、受け付けた指示に従って判定を行ってもよい。処理を終了しないと判定した場合は(S34:NO)、CPU21は、処理をS23へ戻す。サンプルプレート61が複数の試料51を保持している場合、S23~S34の処理が繰り返され、各試料51についてグロー放電発光分析が行われる。処理を終了すると判定した場合は(S34:YES)、CPU21は、グロー放電発光分析のための処理を終了する。
以上のように、実施形態2においても、グロー放電発光分析を行う際に、ポンピングの条件を調整することにより、適切な条件でポンピングを行うことが可能となり、効果的にグロー放電管1内の圧力調整が行われる。また、模擬試料53を用いたグロー放電を行うことにより、陽極12の貫通孔12cの内面がコーティングされた状態でグロー放電発光分析が行われる。安定的にグロー放電発光分析を行うことが可能となり、グロー放電発光分析の精度が向上する。更に、実施形態2においては、サンプルプレート61、プレート保持部62及びプレート駆動部63により、模擬試料53の配置及び取り外し並びに試料51の配置が自動で行われる。複数の試料51のグロー放電発光分析を行う際には、複数の試料51の配置が順次行われる。使用者による作業の量が減少し、迅速にグロー放電発光分析が行われる。特に、複数の試料51のグロー放電発光分析を行うために必要な時間が短縮される。
実施形態2においては、圧力調整のためのパラメータの指定を一括して行う例を示したが、グロー放電発光分析装置10は、夫々の試料51についてのグロー放電発光分析を行う際に逐一パラメータの指定を受け付けてもよい。また、実施形態2においては、試料移動部が矩形平板状のサンプルプレート61、プレート保持部62及びプレート駆動部63で構成された形態を示したが、試料移動部はその他の構成であってもよい。例えば、サンプルプレート61の形状は、円板等、矩形平板以外の形状であってもよい。例えば、試料移動部は、試料51及び模擬試料53を保持する試料保持部と、試料保持部を駆動して試料51及び模擬試料53を移動させる駆動部とを含んで構成されてもよい。試料移動部は、試料51及び模擬試料53を載置するターンテーブルを含んだ形態であってもよい。試料移動部は、把持等の付着以外の方法で試料51及び模擬試料53を保持する形態であってもよい。
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
1 グロー放電管
10 グロー放電発光分析装置
12 陽極(電極)
12c 貫通孔
13b 開口部
2 制御部
21 CPU
24 入力部
25 記憶部
26 表示部
3 ガス供給部
41 分光測定器
42 電源部
43 押圧電極
44 減圧部
51 試料
52 清掃具
53 模擬試料
61 サンプルプレート
62 プレート保持部
63 プレート駆動部
10 グロー放電発光分析装置
12 陽極(電極)
12c 貫通孔
13b 開口部
2 制御部
21 CPU
24 入力部
25 記憶部
26 表示部
3 ガス供給部
41 分光測定器
42 電源部
43 押圧電極
44 減圧部
51 試料
52 清掃具
53 模擬試料
61 サンプルプレート
62 プレート保持部
63 プレート駆動部
Claims (8)
- グロー放電管と、該グロー放電管の内部を減圧する減圧部と、前記グロー放電管の内部へガスを供給するガス供給部とを備えるグロー放電発光分析装置を用いたグロー放電発光分析方法において、
上限圧力、下限圧力、及び最終圧力を任意に指定し、
前記減圧部及び前記ガス供給部を制御することにより、前記グロー放電管の内部を減圧し、指定された上限圧力及び下限圧力の間で前記グロー放電管の内部の圧力を増減させ、
その後、前記グロー放電管の内部の圧力を、指定された最終圧力に調整し、
前記グロー放電管の内部の圧力を前記最終圧力に調整した後、グロー放電を発生させること
を特徴とするグロー放電発光分析方法。 - 前記グロー放電管の内部の圧力を増減させる回数を任意に指定し、
指定された前記回数だけ、前記グロー放電管の内部の圧力の増減を繰り返すこと
を特徴とする請求項1に記載のグロー放電発光分析方法。 - 前記グロー放電管の内部の圧力を前記下限圧力から前記上限圧力まで増加させるためにかけるべき第1時間、及び前記グロー放電管の内部の圧力を前記上限圧力から前記下限圧力まで減少させるためにかけるべき第2時間を任意に指定し、
前記グロー放電管の内部の圧力を前記下限圧力まで減少させ、
指定された第1時間の間、前記グロー放電管の内部の圧力を増加させ、
指定された第2時間の間、前記グロー放電管の内部の圧力を減少させること
を特徴とする請求項1又は2に記載のグロー放電発光分析方法。 - 前記グロー放電管は電極を有しており、
前記電極と同じ成分でなる模擬試料を前記電極に対向して配置した状態で、前記電極と前記模擬試料との間でグロー放電を発生させ、
前記模擬試料を取り外し、
前記電極に対向するように試料を配置し、
前記電極と前記試料との間でグロー放電を発生させ、グロー放電発光分析を行うこと
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のグロー放電発光分析方法。 - 前記模擬試料及び前記試料を保持し、保持した前記模擬試料及び前記試料を移動させる試料移動部を用い、
前記試料移動部により、前記模擬試料を前記電極に対向した位置に配置し、
前記電極と前記模擬試料との間でグロー放電を発生させた後で、前記試料移動部により、前記模擬試料を前記位置から取り外し、前記試料を前記電極に対向した位置に配置すること
を特徴とする請求項4に記載のグロー放電発光分析方法。 - 前記模擬試料を前記電極に対向して配置したときと、前記試料を前記電極に対向して配置したときとで、前記ガス供給部により前記グロー放電管の内部へ供給するガスの種類を変更すること
を特徴とする請求項4又は5に記載のグロー放電発光分析方法。 - グロー放電管と、該グロー放電管の内部を減圧する減圧部と、前記グロー放電管の内部へガスを供給するガス供給部と、制御部とを備えるグロー放電発光分析装置において、
前記制御部は、
上限圧力、下限圧力、及び最終圧力の指定を任意の値で受け付け、
前記減圧部及び前記ガス供給部を制御することにより、指定された上限圧力及び下限圧力の間で前記グロー放電管の内部の圧力を増減させ、その後、前記グロー放電管の内部の圧力を、指定された最終圧力に調整し、
前記グロー放電管の内部の圧力を前記最終圧力に調整した後、グロー放電を発生させること
を特徴とするグロー放電発光分析装置。 - 前記グロー放電管は電極を有しており、
前記電極と同じ成分でなる模擬試料及び試料を保持し、保持した前記模擬試料及び前記試料を移動させる試料移動部を更に備え、
前記試料移動部は、前記模擬試料を前記電極に対向した位置に配置し、
前記制御部は、前記模擬試料を前記位置に配置した状態で、前記電極と前記模擬試料との間でグロー放電を発生させ、
前記試料移動部は、前記模擬試料を前記位置から取り外し、前記試料を前記電極に対向した位置に配置し、
前記制御部は、前記試料を前記位置に配置した状態で、前記電極と前記試料との間でグロー放電を発生させ、グロー放電発光分析を行うこと
を特徴とする請求項7に記載のグロー放電発光分析装置。
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- 2019-07-29 WO PCT/JP2019/029619 patent/WO2020031770A1/ja active Application Filing
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