JP2004184640A - 空気口の消音装置 - Google Patents

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昌弘 池田
Kuniaki Nakada
国昭 中田
Noboru Kanayama
登 金山
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Abstract

【課題】コンパクトでありながら、通風抵抗が小さく冷却空気の風量を十分確保できると共に、騒音低減効果に優れた空気口の消音装置を提供する。
【解決手段】騒音源を覆うカバーに設けられた空気口の消音装置において、前記空気口3を覆うように設けられ、少なくとも該空気口3に対向する部位11に吸音部材15を取着すると共に、外周側面の一部に開口部14を有する容器状の吸音ベンチレータ10と、プレート21の少なくとも片面の略全面に吸音部材22を取着すると共に、前記空気口3に略直交し該空気口3を跨ぐように前記吸音ベンチレータ10の内部に複数枚並設された板状吸音手段20とを備えた構成とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、騒音源を覆うカバーに設けられた空気口の消音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンや油圧機器等の騒音源を覆うカバーには、内部の機器を冷却するために冷却ファンを並設するラジエータやオイルクーラ等の冷却装置近傍に空気口が設けられるが、この空気口から漏れる騒音を低減するために吸音ブレードや吸音ベンチレータといった消音装置が設けられる。
【0003】
図15は、消音装置として吸音ベンチレータを適用したホイールローダのエンジンルーム50の側面断面図であり、図16は吸音ベンチレータ53の斜視図である。空気口51には、空気口51を覆う直方体容器形状で上側の側面に開口部52を備えた吸音ベンチレータ53が設けられている。吸音ベンチレータ53の内側面には、吸音材54が貼着されている。空気口51から排出される冷却空気は、吸音ベンチレータ53内で略直角に風向を変えられて吸音ベンチレータ53の開口部52から外部に排出されると共に、エンジンルーム50内の騒音は吸音ベンチレータ53の内部を抜ける際に、騒音の一部が吸音材54により吸音され外部に漏れる騒音が低減する(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図17は、消音装置として吸音ブレード63を適用したホイールローダのエンジンルーム60の平面断面図であり、図18はその側面断面図である。両面に吸音材64を貼着した複数枚の板状の吸音ブレード63が、空気の流れを過度に制限しないように互いに所定間隔をおいて通風路65を形成し、エンジンルーム60の空気口61に直交するように配置されている。冷却空気は、吸音ブレード63の間の通風路65を通過すると共に、エンジンルーム60内の騒音は吸音ブレード63の間の通風路65を抜ける際に、騒音の一部が吸音材64により吸音され外部に漏れる騒音が低減する(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
なお、騒音源を覆うカバーに設けられた空気口ではないが、図19,20に示すように、エンジンルーム70の上部にエンジン71の排気を車両前方に向けて排出するダクト72を形成し、ダクト72内に設けられた前後方向の複数の隔壁73に吸音材74を貼着して吸音ブレードに対応する機構を備えた消音装置が知られている。エンジン71の排気騒音は、ダクト72内を通過する際に騒音の一部が吸音材74により吸音され外部に漏れる排気騒音が低減する(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−220543号公報 (第4〜5頁、第1〜2図)
【特許文献2】
特開2000−335260号公報 (第2〜3頁、第1〜3図)
【特許文献3】
実用新案登録第2518011号公報 (第2頁、第1〜3図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術においては、以下に述べるような問題点がある。
すなわち、吸音ベンチレータ53においては、一般的に吸音効果は優れているが、冷却空気は吸音ベンチレータ53内で略直角に風向を変えられてベンチレータ53の開口部52から排出されると共に、空気口51に対して開口部52は狭いため、通風抵抗が大きく冷却装置による十分な冷却効果を得られない。また、逆に通風抵抗を小さくするために、空気口51に対する高さ(図15の左右寸法)を大きくすると、冷却空気の風量は確保できるものの、吸音ベンチレータ53のサイズ(突出量)が大きくなるとと共に、開口部52から漏れる騒音が増加するといった不都合が生じる。また、吸音ベンチレータ53に貼着する吸音材54の端面に傾斜面を設けるなどして通風抵抗を小さくしても十分な効果を得るものではない。
【0008】
また、吸音ブレード63においては、吸音ブレード63の間の通風路65での流量ロスは非常に少なく通風性に優れているが、通風路65の長さ(図17の左右寸法)が短いと通風路65から漏れる騒音が増加する。このため、騒音をさらに低減するためには、
(1)例えば図19,20に示すダクト72での通風路のように、通風路65を長くする、すなわち吸音ブレード63の幅寸法(図17の左右寸法)を長くする方法
(2)各吸音ブレード63間のピッチを小さく(通風路65を狭く)する方法
があるが、(1)の方法によると、消音装置のサイズ(突出量)が大きくなるといった不都合が生じる。また、(2)の方法によると、通風抵抗が大きくなり冷却空気の風量が不足するといった不都合が生じる。
【0009】
本発明は、上記の問題に着目してなされたものであり、コンパクトでありながら、通風抵抗が小さく冷却空気の風量を十分確保できると共に、騒音低減効果に優れた空気口の消音装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、騒音源を覆うカバーに設けられた空気口の消音装置において、前記空気口を覆うように設けられ、少なくとも該空気口に対向する部位に吸音部材を取着すると共に、外周側面の一部に開口部を有する吸音ベンチレータと、前記空気口に略直交するように前記吸音ベンチレータの内部に複数並設された吸音部材を有する吸音手段とを備えた構成としている。
上記構成によれば、吸音手段は空気口に略直交するように吸音ベンチレータの内部に設けられているので、空気口の直ぐ近傍から騒音を低減し、余分なスペースを必要としない構造となっている。また、吸音手段の個数やサイズや配置、吸音ベンチレータの形状等を適宜選択することにより、所望の冷却空気の風量や騒音低減量を得ることができる。これにより、消音装置全体として、限られたスペースで十分な風量と騒音低減効果をバランス良く得ることができる。
【0011】
また、第1の発明に基づく第2の発明は、前記吸音手段は、前記吸音ベンチレータの吸音部材から離間して前記開口部に略平行に配置されると共に、その配置間隔を前記開口部より遠ざかるほど大きくした構成としている。
上記構成によれば、騒音は、吸音手段に沿って進みながら吸音手段の吸音材で吸音された後、吸音ベンチレータに沿って進みながら吸音ベンチレータの吸音材で吸音され、開口部から外部に排出される。吸音手段の配置間隔を前記開口部より遠ざかるほど大きくしているので、開口部から遠い側の経路では、吸音手段の間隔が広く減音量は小さいが吸音ベンチレータの空気口と該対向する壁面(部位)に沿う距離が長くこちらでの減音量が大きくなる。一方、開口部に近い側の経路では、吸音手段の間隔が狭く減音量は大きいが吸音ベンチレータの空気口と該対向する壁面(部位)に沿う距離が短くこちらでの減音量が小さくなる。全体として、各経路における騒音の低減量は略同等となり、各経路における騒音を均質化しているので、優れた騒音低減性能を得ることができる。
【0012】
また、第1の発明に基づく第3の発明は、前記吸音手段は、前記吸音ベンチレータの吸音部材から離間して前記開口部に略平行に配置されると共に、吸音部材からの離間距離を前記開口部より遠ざかるほど小さくした構成としている。
上記構成によれば、空気口を出た冷却空気は、吸音手段の間を進んだ後、吸音ベンチレータの空気口に対向する部位の吸音材と吸音手段との間を進んで、開口部から外部に排出される。吸音手段の吸音部材からの離間距離を前記開口部より遠ざかるほど小さくしているので、開口部に近づくにつれて吸音手段の間から合流する冷却空気が増加しても、吸音材と吸音手段との距離が大きくなるので、通風抵抗が小さくなり冷却空気の風量を十分確保できる。
【0013】
さらに、第1の発明に基づく第4の発明は、前記吸音手段は、前記開口部に略直交するように配置されると共に、前記吸音ベンチレータの吸音部材側の端部には前記開口部側に該開口部に繋がる切欠きを設けた構成としている。
上記構成によれば、空気口を出た冷却空気は、吸音手段の間を略90゜曲がりながら進んで、開口部から外部に排出される。そして、短い経路となる内側に比べて長い経路となる外側の経路の開口部側に開口部に繋がる切欠きが設けられているので、冷却空気が集まってくる外側経路の開口部側の通風路が広くなり通風抵抗を小さくできるので、冷却空気の風量を十分確保できる。また、外側の経路においては、切欠き部への到達までに吸音手段により騒音を低減されているので、消音装置全体としての騒音低減効果への影響はほとんど無い。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
まず、図1〜4を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0015】
図1に示すように、ホイールローダのエンジンルームカバー1の側壁2には、空気口3が設けられ、空気口3の内側近傍にはファン4が並設されたラジエータ5が配設されている。側壁2の外側には、内部に複数枚の吸音ブレード20を並設する吸音ベンチレータ10が空気口3を覆うように固着されている。
【0016】
図2にも示すように、吸音ベンチレータ10は、空気口3よりもやや大きいサイズで、空気口3の全面を覆うように側壁2から所定距離L1離間して設けられたパネル11と、パネル11の左右両端及び下端から側壁2側にそれぞれ立設する側板12,12,13とを備えた直方体容器形状で、側板12,12,13の先端で側壁2に固着されている。吸音ベンチレータ10の上端には、パネル11、左右側板12,12及び側壁2により開口部14が形成されている。また、パネル11及び側板12,12,13の内側には吸音材15,16,16,17が貼着されている。
【0017】
図3に示すように、吸音ブレード20は、好ましくは左右両端部にそれぞれ取付部21a,21aを備える板状の芯材21と、芯材21の両面にそれぞれ略全面にわたって貼着される吸音材22,22と、通風方向の両端部にそれぞれ設けられ貼着される吸音材22,22の端面を覆う半円筒形状のカバー23,23とを備えている。
【0018】
吸音ブレード20は、空気口3に略直交し開口部14に略平行となるように吸音ベンチレータ10の左右側板12,12間に架設されている。複数枚(n枚)並設される吸音ブレード20は、図1にも示すように、各吸音ブレード20の一端が開口部14に略平行に空気口3を跨いで側壁2に近接する位置となり、他端はパネル11に貼着された吸音材15から所定距離c離間する位置となって、吸音材15と各吸音ブレード20との間にパネル11に沿って開口部14に繋がる通風路18を形成している。また、各吸音ブレード20は、吸音ブレード20同士の離間間隔d,d,…,dn−1及び開口部14からn枚目の吸音ブレード20と側板13に貼着された吸音材17との間隔dが、開口部14より遠ざかるほど大きくなる(d<d<…<dn−1<d)ように空気口3全体に亘って跨ぐように配置され、各吸音ブレード20間及び吸音材17との間に通風路28,28,…,28をそれぞれ形成している。
【0019】
次に、上記構成による作動について説明する。
空気口3から出る冷却空気及び騒音は、吸音ブレード20間の各通風路28,28,…,28及びパネル11に沿う通風路18を経由して吸音ベンチレータ10の開口部14から外部に放出される。騒音はこれらの経路を通過中に、吸音ブレード20の吸音材22、側板12,12の吸音材16,16及びパネル11の吸音材15(通風路28においては、側板13の吸音材17も加わる)にその一部が吸音され、開口部14から放出される騒音は低減する。この場合、図4に示すように、開口部14に近い通風路28を経由する経路においては、通風路18を通過する距離が短く吸音材15による騒音低減量は小さいが、小さなブレード間隔dの通風路28により大きな騒音低減量を得ることができ、逆に、開口部14から遠い通風路28を経由する経路においては、大きな間隔dの通風路28による騒音低減量は小さいが、通風路18を通過する距離が長く吸音材15により大きな騒音低減量を得ることができ、全体として、各経路における騒音の低減量は略同等に設定されている。
【0020】
本実施形態による効果を説明する。
音は、場所により音量に差がある場合、全体としての音量は大きな音量の方に偏った音量となる性質がある。すなわち、局部的に騒音低減量を大きくして騒音を小さくしても、全体としての騒音はあまり低減することができず、全体的に平均した騒音低減を行なう方が、騒音低減に効果がある。本実施形態においては、各経路における騒音を均質化しているので、優れた騒音低減性能を得ることができる。また、通風路18の吸音材15と吸音ブレード20との距離cを所定量設けることにより、冷却空気は所望の風量を確保できる。すなわち、吸音ブレード20の枚数やサイズや配置、吸音ベンチレータ10の形状等を適宜選択することにより、所望の冷却空気の風量や騒音低減量を得ることができる。また、吸音ブレード20は空気口3を跨ぐように側壁2に近接して設けられているので、空気口3の直ぐ近傍から騒音を低減し、余分なスペースを必要としない構造となっている。これにより、消音装置全体として、限られたスペースで十分な風量と騒音低減効果をバランスよく得ることができる。
【0021】
なお、通風路18においては、開口部14に近づくにつれて合流する冷却空気が増加して、通風抵抗が大きくなるので、図5に示すように、幅(図5の左右方向)寸法の異なる吸音ブレード20,20,…,20を並設して、通風抵抗を小さくして冷却空気を確保するように構成してもよい。すなわち、吸音材15と各吸音ブレード20,20,…,20との距離c,c,…,cを開口部14に近づくにつれて大きくなるように配置し、パネル11に沿って開口部14に近づくにつれて断面積の大きくなる通風路19を形成している。この場合、開口部14に近いほどブレード幅が短くなるので、騒音の低減量を各経路で略同等とするべく、図1の場合と比較して、吸音ブレード20側の間隔e等を広く(e>d)することにより、吸音ブレード20側ではブレード間隔eを狭く(e<d)し騒音低減量を確保している。
【0022】
これによると、開口部14に近づくにつれて合流する冷却空気が増加しても、通風路19の断面積が大きくなるので、通風抵抗が大きくなるのを防止して冷却空気の風量を増加できる。従って、風量を減少させてもよい場合は、ファンの外形サイズを小さくしたりファンの回転数を遅くすることが可能となり、ファンからの騒音を減少することができる。また、風量の増加に対応してラジエータを変更する場合には、サイズの小さいラジエータ又はフィンピッチのより粗いラジエータを採用することが可能となり、装置の小型化やコストの低減が可能となる。
また、ブレード幅とブレード間隔との組み合わせにより、各経路における騒音低減量は略同等となって、騒音の均質化が図られ優れた騒音低減性能を有する空気口の消音装置を得ることができる。
【0023】
さらに、図6に示すように、図5に対して幅寸法の等しい吸音ブレード20Aを、吸音材15と各吸音ブレード20Aとの距離c,c,…,cを開口部14に近づくにつれて大きくなるように配置し、開口部14に近づくにつれて断面積の大きくなる通風路19を形成してもよい。これによると、図5の場合に比べて同一形状の吸音ブレードを用いるので、低コストの消音装置が得られる。
【0024】
なお、複数の吸音ブレード20のうち、最上部に位置する吸音ブレード20の上面(外面)には吸音材22の代わりにカバーを設けてもよい。これにより、雨や埃等により吸音材22が劣化するのをカバーで防止でき、長期間消音性能を維持できる。
また、吸音ベンチレータ10の下面部に雨水が溜まらないように、側板13や、パネル11及び側板12の下端部近傍等に水抜き孔を所定個数設けてもよい。
【0025】
次に、図7〜9を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0026】
図7,8に示すように、吸音ベンチレータ10の内側には、空気口3及び開口部14それぞれに略直交する複数枚の吸音ブレード30が略等間隔で並設されている。
切欠き38を備えた吸音ブレード30は、図9に示すように、左右方向一端側の上部に切欠き部31aを備える板状の芯材31と、芯材31の両面にそれぞれ略全面にわたって貼着される吸音材32,32とを備え、芯材31の下端部と左右方向一端側の下部の端部とにそれぞれ取付部31b,31cを備えている。また、貼着された吸音材32,32の端面を覆う半円筒形状のカバー33,34,35が、取付部31b,31c部を除く端部にそれぞれ設けられている。
【0027】
複数枚並設される吸音ブレード30は、図7にも示すように、各吸音ブレード30の一端が開口部14に略垂直に空気口3を跨いで側壁2に近接する位置となり、他端は取付部31cでパネル11に取着されると共に、他端側(空気口3の側とは反対側)の開口部14側には芯材31の切欠き部31aに対応する切欠き38が設けられている。
【0028】
次に、上記構成による作動について説明する。
空気口3から開口部14に流れる冷却空気は、概ね層をなして曲がりながら流れるが、説明を簡単にするために、図7の矢印F1、F2で示す経路を代表にして説明する。
矢印F1の経路を通過する冷却空気及び騒音は、吸音ブレード30の間を通過して吸音ベンチレータ10の開口部14から外部に放出される。このとき騒音は、主に吸音ブレード30の吸音材33にその一部が吸音され、開口部14から放出される騒音は低減する。また、矢印F2の経路を通過する冷却空気及び騒音は、吸音ブレード30の間及び切欠き38部を通過して吸音ベンチレータ10の開口部14から外部に放出される。このとき騒音は、主に吸音ブレード30の吸音材33及び吸音ベンチレータ10の吸音材15にその一部が吸音され、開口部14から放出される騒音は低減する。
【0029】
本実施形態による効果を説明する。
吸音ブレード30に切欠き38を備えない場合と比較する。切欠き38が無い場合の経路F2は、吸音ブレード30の間を通過する距離が長くなり、切欠き38が有る場合に比べて騒音低減量は大きくなり、経路F1に比べて騒音低減量は顕著なものとなるが、前述したように、局部的に騒音が小さくなっても大きな騒音の影響が強く、開口部14から外部に漏れる騒音全体からみると、経路F2における騒音低減の効果は大きなものとはならない。一方、切欠き38が有る場合の経路F2は、吸音ブレード30の間を通過する距離が短くなり、切欠き38が無い場合にほど顕著な騒音低減量は得られなくなるが、開口部14から外部に漏れる騒音全体からみると、各経路における騒音が均質化されるので切欠き38を設けることによる経路F2における騒音低減量減少の影響は小さく、さらに、切欠き38を設けることにより、経路F2における通風抵抗が小さくなり、冷却空気の風量を増加できる。
【0030】
吸音ブレード30の枚数やサイズ、切欠き38のサイズ、吸音ベンチレータ10の形状等を適宜選択することにより、所望の冷却空気の風量や騒音低減量を得ることができる。また、吸音ブレード30は空気口3を跨ぐように側壁2に近接して設けられているので、空気口3の直ぐ近傍から騒音を低減し、余分なスペースを必要としない構造となっている。これにより、切欠き38部に至るまでに十分騒音を低減する経路では、切欠き38により騒音低減量を僅かに犠牲にして大幅な風量増加を得ることができ、消音装置全体として、限られたスペースで十分な風量と騒音低減効果をバランスよく得ることができる。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に限定するものではなく、本発明の範囲内において変更や修正を加えても構わない。
例えば、図5の平面状の吸音ブレード20,20,…,20に対して、図10に示すように、曲面状の吸音ブレード40,40,…,40により通風抵抗を小さくしてもよい。
また、吸音ベンチレータ10も、図11に示すように、空気口3に対向するパネル11Aを傾けてもよい。これによると、開口部14に近づくにつれて断面積の大きくなる通風路19を同一形状の吸音ブレード20Aを用いて形成することができる。
また、図12に示すように、吸音ブレード30の中央部に側方に突出する整流板37を設けて通風抵抗を小さくするように構成しても構わない。
【0032】
また、吸音ベンチレータ10に組み込む板状吸音手段として、吸音ブレード20を複数枚設けた例で説明したが、図13に示すように短手方向の両端部をやや鋭角に折り曲げたプレート81の内側に吸音材82を取着し、これを複数枚平行に設けた吸音ルーバ80を吸音ベンチレータ10に組み込んでも構わない。
吸音ベンチレータ10の内側の吸音材15,16,17のうち、外周側板12、12、13の内側には吸音材を設けなくてもよい。
また、吸音ブレードの端面を覆うカバーは、半円筒形状に限定するものではなく、芯材に垂直な平面でもよいし、直線斜め形状又は山形状でも構わない。
また、吸音ルーバの端部形状についても、折り曲げた鋭角直線でなくてもよく、円弧状や曲線であっても構わない。
【0033】
吸音材としては、ウレタンフォーム等の発泡樹脂や繊維状PETを用いてもよいし、グラスウールやフェルトを用いても構わない。
空気口として押し出し式ファンを備えた排気口の例にて説明したが、吸い込み式ファンを備えた吸気口に適用できるのは言うまでもない。さらに、排気側及び吸気側のいずれであっても、ファンを近傍に配置していない空気口に適用しても構わない。
【0034】
また、これまではエンジンルームカバーの外側に吸音ベンチレータ10を突出させて設けた例で示したが、例えば図14で示すように、エンジンルームカバー1に内蔵しても構わない。図14ではファン4による吸気側の空気口3に適用しているが、前述のように排気側にも適用可能であることは勿論である。
ホイールローダのエンジンルームの空気口に適用する例にて説明したが、その他の作業車両のエンジンルームの空気口に適用してもよいし、車両以外に、例えばエンジンを並設した発電装置やエアコンプレッサのカバーに本発明を適用しても構わない。勿論、エンジン以外の騒音源、例えば油圧機器を覆うカバーの空気口に本発明を適用しても良い。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、吸音ベンチレータの内部に、所定の形状・配置・枚数の吸音ブレード等の吸音手段を空気口に直交させて装着したので、所望の冷却空気の風量や騒音低減効果を得ることができる。これにより、消音装置全体として、限られたスペースで十分な風量と騒音低減効果をバランスよく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係わる消音装置の断面図である。
【図2】第1実施形態に係わる消音装置の斜視図である。
【図3】第1実施形態に係わる吸音ブレードの分解斜視の説明図である。
【図4】第1実施形態に係わる騒音低減量の説明図である。
【図5】別態様の消音装置の断面図である。
【図6】別態様の消音装置の断面図である。
【図7】第2実施形態に係わる消音装置の断面図である。
【図8】第2実施形態に係わる消音装置の斜視図である。
【図9】第2実施形態に係わる吸音ブレードの分解斜視図である。
【図10】別態様の消音装置の断面図である。
【図11】別態様の消音装置の断面図である。
【図12】別態様の消音装置の断面図である。
【図13】別態様の消音装置の断面図である。
【図14】別態様の消音装置の断面図である。
【図15】従来技術に係わる消音装置の断面図である。
【図16】従来技術に係わる消音装置の斜視図である。
【図17】従来技術に係わる消音装置の平面断面図である。
【図18】従来技術に係わる消音装置の側面断面図である。
【図19】従来技術に係わる消音装置の側面図である。
【図20】従来技術に係わる消音装置の平面図である。
【符号の説明】
1…エンジンルームカバー、2…側壁、3…空気口、4…ファン、5…ラジエータ、10…吸音ベンチレータ、11…パネル、14…開口部、15,16,17,22,32…吸音材、18,19,28,28,…,28…通風路、20,30…吸音ブレード(板状吸音手段)、38…切欠き。

Claims (4)

  1. 騒音源を覆うカバー(1)に設けられた空気口の消音装置において、
    前記空気口(3)を覆うように設けられ、少なくとも該空気口(3)に対向する部位(11)に吸音部材(15)を取着すると共に、外周側面の一部に開口部(14)を有する吸音ベンチレータ(10)と、
    前記空気口(3)に略直交するように前記吸音ベンチレータ(10)の内部に複数並設された吸音部材(22,32)を有する吸音手段(20,30)と
    を備えたことを特徴とする空気口の消音装置。
  2. 請求項1記載の空気口の消音装置において、
    前記吸音手段(20)は、前記吸音ベンチレータ(10)の吸音部材(15)から離間して前記開口部(14)に略平行に配置されると共に、その配置間隔を前記開口部(14)より遠ざかるほど大きくした
    ことを特徴とする空気口の消音装置。
  3. 請求項1記載の空気口の消音装置において、
    前記吸音手段(20)は、前記吸音ベンチレータ(10)の吸音部材(15)から離間して前記開口部(14)に略平行に配置されると共に、吸音部材(15)からの離間距離を前記開口部(14)より遠ざかるほど小さくした
    ことを特徴とする空気口の消音装置。
  4. 請求項1記載の空気口の消音装置において、
    前記吸音手段(30)は、前記開口部(14)に略直交するように配置されると共に、前記吸音ベンチレータ(10)の吸音部材(15)側の端部には前記開口部(14)側に該開口部(14)に繋がる切欠き(38)を設けた
    ことを特徴とする空気口の消音装置。
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