JP3462147B2 - 鉄道車両における空調ダクトの配設構造 - Google Patents

鉄道車両における空調ダクトの配設構造

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JP3462147B2 JP2000144528A JP2000144528A JP3462147B2 JP 3462147 B2 JP3462147 B2 JP 3462147B2 JP 2000144528 A JP2000144528 A JP 2000144528A JP 2000144528 A JP2000144528 A JP 2000144528A JP 3462147 B2 JP3462147 B2 JP 3462147B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄道車両の屋根
板と天井板で囲まれた空間内に、空調ダクトが車両の前
後方向に延びるように配設される鉄道車両における空調
ダクトの配設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鉄道車両用空気調和装置につ
いては、各種の設置方式のものが知られているが、大き
く分けて、屋根板上に設置する方式のもの、床下に設置
する方式のもの、及び屋根板上と床下などに分割して設
置するセパレート方式のものなどに分けられる。そし
て、いずれの設置方式の場合であっても、温度調節され
た空気、いわゆる空調風は、車両の天井部から客室内に
吹き出すようにされているのが通常である。
【0003】従って、空調風の吹き出し口は、鉄道車両
の乗客の耳に近い所に位置することになる。そして、停
車中においては、車内騒音は空気調和装置からの騒音が
ほとんどであるため、乗客はその空気調和装置からの騒
音の影響を強く受け、快適な乗り心地を確保する上か
ら、空気調和装置からの騒音の低減が強く要求されてい
るのが現状である。
【0004】特に、空気調和装置を床下に設置する方式
のものでは、空調風を案内するダクトが、床下から車両
の窓と窓との間や車端部の妻などの内装と構体との間を
通過し、天井板付近まで延びるように配置されているた
め、ダクトに曲がり部分や急拡大部分などが存在するこ
ととなり、その付近でダクト内部の空気流が乱されて生
ずる騒音や、空気調和装置のファンによる騒音が、ダク
トを経由して、吹き出し口を通じて車内に放出される。
【0005】一方、図5に示すように、空気調和装置の
装置本体1を屋根板2上に設置する方式の場合には、空
気調和装置の装置本体1と天井板3に形成される吹き出
し口4とが吹き出し用の空調ダクト5で結ばれるが、そ
の距離が短く、前述したような空気調和装置のファン6
による騒音がより直接的に、吹き出し口4を通じて客室
7内に放出されることになる。一方、客室7内の空気
は、天井板3に形成される吸い込み口8を通じて吸い込
まれ、吸い込み用の空調ダクト9(いわゆるリターンダ
クト)を通じて空気調和装置の装置本体1に戻される。
【0006】このような空気調和装置のファン6や空調
ダクト5,9内部の空気流の乱れによる騒音は、ある特
有の周波数のみで構成される音よりも、幅の広い周波数
特性(具体的には125Hz〜2500Hz程度)を示す音
の方が通常大きくなる。
【0007】このような騒音を低減するためには、空気
調和装置の装置本体1と吹き出し口4の間に設けられて
いる吸い込み用の空調ダクト5を吸音構造とすることが
有効であり、同様のことが、客室7内の空気を空気調和
装置の装置本体1に戻す吸い込み用の空調ダクト9につ
いてもいえる。
【0008】このような吸音機能を有する空調ダクトと
しては、従来、繊維強化プラスチック(FRP)や金属
で製作されたダクトの内面に、例えば厚さ50mmの吸
音材(例えば、グラスウール、CRスポンジなど)を貼
り付けて形成されたものが大部分であった。
【0009】そして、このような内面に吸音材を貼り付
けた空調ダクトの場合には、その吸音材はそれ単体が持
っている吸音性能を発揮するにすぎず、それ以上の吸音
性能は望めないものであった。
【0010】すなわち、貼り付けた吸音材そのものの吸
音特性に、空調ダクトとしての消音特性も支配されるこ
とになる。つまり、このような吸音材は、通常、100
0Hz以上の高周波数領域においては比較的良好な吸音特
性が得られるが、250Hzや500Hzといった低中周波
数領域においては良好な吸音特性が得られない。そのた
め、そのような吸音材を用いた空調ダクトも高周波数領
域においては比較的良好な消音特性が得られるが、低中
周波数領域においては良好な消音特性が得られないもの
となっていた。
【0011】特に、空気調和装置の送風機、特に客室に
空調風を供給する送風機としては、長い空調ダクトやリ
ターンダクトの大きな通風抵抗に打ち勝つために圧力特
性の優れた多翼ファン(いわゆるシロッコファン)が採
用されていることが多く、そのような多翼ファンの音源
としての周波数特性をみると、200Hz〜5000Hzの
広域にわたって一様に高い音圧レベルを示している。そ
のため、前述したように吹き出し用や吸い込み用の空調
ダクトの内面に吸音材を貼り付けるだけでは、実質的な
騒音低減効果が十分ではなかった。
【0012】そこで、前述したような気体伝播における
騒音を低減するものとして、例えば特公昭63−638
00号公報に記載されるように、矩形断面を有する空調
ダクトの壁面背後にスペースの許容度に応じて異なる厚
さの吸音材の層を設け、吸音層の厚い部分は穴径を大き
く開口率を小さくし、逆に吸音層の薄い部分は穴径を小
さく開口率を大きくすることによって、共鳴現象による
吸音効果が音の広い周波数域にわたって得られるように
した車両用空調装置の消音ダクトが提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな消音ダクトは、消音のための空気層を得るために、
上面、下面及び両側面からなる外壁板、各面の外壁板に
対応した内壁多孔板、各外壁板と内壁多孔板の間にあっ
て騒音を吸収する作用をする吸音材を埋設した吸音層を
用いて構成しているので、外壁板と内壁多孔板との間の
空間しか消音のために利用することができず、消音のた
めの十分な容積を確保することができないし、また、外
壁板が屋根のたるきなどと干渉する場所を回避する必要
があるために複雑な構造であり、外壁板と内壁多孔板と
の二重壁構造となっているので、重量アップ、コストア
ップの原因ともなる。
【0014】この発明は、鉄道車両の天井部内の空間を
有効に利用することで、消音のための空気層として十分
な容積を確保して、安価かつ軽量な構造で、車内騒音を
静粛にすることができる鉄道車両における空調ダクトの
配設構造を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る鉄道車両に
おける空調ダクトの配設構造は、鉄道車両の屋根板と天
井板で囲まれた空間内に、空調ダクトが車両の前後方向
に延びるように配設される鉄道車両における空調ダクト
の配設構造であって、前記空調ダクトは、ダクト内部を
流れる空気の振動がダクト内部からダクト外部に透過可
能である筒状の吸音材で構成されるものであり、前記屋
根板と天井板で囲まれた空間によって、前記空調ダクト
の外周囲に消音のための空気層が形成され、その消音の
ための空気層は、前記空調ダクトの長手方向又は幅方向
において、層厚さが変化しているものである。
【0016】ここで、前記空調ダクトとは、空気調和装
置の騒音が客室に伝播される経路となるダクトを意味し
ており、空気調和装置の吹き出し側における空調ダクト
だけでなく、同装置の吸い込み側における空調ダクト
(いわゆるリターンダクト)も含まれる。また、前記空
調ダクトは、筒状であれば足り、四角筒状でも円筒状で
もよい。「層厚さが変化する」とは、屋根板にたるきが
設けられるあるいは屋根外板が幅方向に曲率を持つ等し
て、空調ダクトの周囲に形成される空気層の厚さが一定
でなく、規則的あるいは無規則的に変化していることを
意味する。
【0017】このようにすれば、空調ダクトが、ダクト
内部を流れる空気の振動(空気調和装置の騒音)をダク
ト内部からダクト外部に透過させる筒状の吸音材で構成
されているので、ダクト内部を流れる際にその空気の振
動(すなわち騒音の原因となる空気の振動)がダクト外
部に透過され、その空気の振動が、屋根板と天井板との
間であってダクトの周囲に形成される空気層の共鳴現象
による消音効果により、低減される。よって、空気調和
装置の騒音の低減が図れる。また、吸音材を利用してダ
クト壁を形成しているので、素材自体の吸音性能を利用
しての吸音効果も併せて得られる。それに加えて、空調
ダクトが筒状の吸音材で構成され、通常のダクト本体は
なくなることになるので、軽量となり、リベット結合や
溶接が必要なくなるので、安価となる。また、前記消音
のための空気層は、前記空調ダクトの長手方向又は幅方
向において、層厚さが変化しているので、空気層の厚さ
が一定の厚さとなっている場合に比べて、共鳴現象を利
用して消音される周波数の範囲が広くなり、より優れた
消音効果が発揮される。
【0018】また、前記記空調ダクトは、それ自体で自
立できるものであれば、吸音材単体で構成することも可
能であるが、前記筒状の吸音材の内周面又は外周面に薄
いフィルム材を装着して、自立するように構成すること
も可能である。この場合、前記フィルム材は、前記空気
のダクト内部からダクト外部への流れを遮断すると共
に、前記空気の振動をダクト内部からダクト外部に透過
させるものであることが必要である。ここで、薄いフィ
ルム材とは、それ自体では自立しない程度の剛性しか有
しないものを意味し、合成樹脂材料単独からなるものを
用いてもよいし、アルミ箔などの薄い金属箔単独からな
るものを用いてもよいし、さらにはそれらを積層した複
合フィルム材として用いるようにしてもよい。
【0019】このように、薄いフィルム材を設けるよう
にすれば、空気のダクト内部からダクト外部への流れが
フィルム材によって遮断され、空気がダクト外部に漏れ
るということが全くなくなり、騒音の原因となる空気の
振動のみがダクト外部に漏れ出ることとなる。ダクト外
部に漏れ出た空気の振動は、屋根板と天井板で囲まれた
空間によって形成される空気層による消音効果によっ
て、効果的に騒音が低減される。
【0020】また、前記ダクト本体を形成する吸音材
は、表面をきわめて平滑に仕上げたグラスウールであ
り、前記フィルム材は、外側に位置するアルミ箔層と内
側に位置する樹脂層との2層構造とすることもできる。
【0021】このようにすれば、グラスウール自体が吸
音性能を有するので、従来のアルミニウム合金製のダク
トやFRP製のダクトよりも、騒音の低減化に有利であ
るだけなく、軽量で、断熱性、気密性などにおいても優
れるようになる。
【0022】また、前述したように、空調ダクト全体を
吸音材で形成する必要は必ずしもなく、前記空調ダクト
は、ダクト壁に複数の窓部が形成されており、該各窓部
には、ダクト内部を流れる空気の振動がダクト内部から
ダクト外部に透過可能である吸音材が設けられており、
前記屋根板と天井板で囲まれた空間によって、前記空調
ダクトの外周囲に消音のための空気層が形成され、その
消音のための空気層は、前記空調ダクトの長手方向又は
幅方向において、層厚さが変化している構成することも
可能である。
【0023】このようにすれば、ダクト壁に形成された
窓部に設けられた吸音材を通じて、ダクト内部を流れる
空気の振動がダクト内部からダクト外部に透過され、前
述した場合と同様に、屋根板と天井板との間であってダ
クトの周囲に形成される空気層が消音のために利用され
て、騒音の低減が図れる。
【0024】この場合も、前記吸音材は、表面又は裏面
に薄いフィルム材が装着され、該フィルム材は、前記空
気のダクト内部からダクト外部への流れを遮断すると共
に、前記空気の振動をダクト内部からダクト外部に透過
させるものであることが望ましい。
【0025】
【0026】
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に沿って説明する。
【0028】図1は本発明に係る鉄道車両における空調
ダクトの配設構造の概略構成を示す図、図2は同縦断面
図である。
【0029】図1及び図2に示すように、本発明に係る
鉄道車両用車体における屋根構造は、屋根板11、その
屋根板11の補強となるたるき12、空調ダクト13、
客室の一部となる天井板14、及び残りの空間15によ
り構成され、通常の鉄道車両における屋根構造と同様で
ある。
【0030】前記空調ダクト13は、自立する程度に硬
いグラスウールからなる吸音材でもって四角筒形状に形
成されており、ダクト内部を流れる空気の振動(空気調
和装置の騒音)がダクト内部からダクト外部に透過可能
なるように形成されている。そして、空調ダクト13
は、屋根板11と天井板14とによって囲まれる空間1
5内に、車両の前後方向に延びるように、すなわち車両
前後方向に軸線が一致するように配設されている。
【0031】前記空調ダクト13の周囲に位置する前記
空間15が、空調ダクト13内を流れる空気の騒音の低
減を図る、消音のための空気層(以下背後空気層とい
う)とされ、その背後空気層は、その層厚さが、たるき
12が設けられていることなどによって、空調ダクト1
3の長手方向において変化している。
【0032】前記空調ダクト13は、具体的には、ガラ
ス繊維を特殊な製造工程によって堅く固め、表面をきわ
めて平滑に仕上げたグラスウールに、アルミ箔層(例え
ば50μm)と樹脂層との2層構造である薄いフィルム
材を貼り付けて、筒状に形成される。なお、前記フィル
ム材(アルミ箔層及び樹脂層)は、ダクト内部を流れる
空気のダクト内部からダクト外部への流れを遮断すると
共に、前記空気の振動をダクト内部からダクト外部に透
過させる機能を有するものであり、空調ダクト13の外
周面側に位置するようにしてもよいし内周面側に位置す
るようにしてもよい。
【0033】よって、前記空調ダクト13をグラスウー
ルで構成すれば、ダクト素材自体が、不燃性であり、吸
音性能を有する。また、加工性に優れるので、ダクトを
ユニット化して取り付けることができ、全体工程の短縮
にも寄与でき、錆や腐蝕のおそれもない。
【0034】そして、従来のアルミニウム合金製のダク
トは、単位面積当たりの重量が5.5kg/m2であり、
FRP製のダクトは5.7kg/m2であるのに対し、こ
の空調ダクト13は1.3kg/m2であり、大幅な軽量
化が図れ、軽量であるために、取付工事も省力化でき
る。また、熱伝導率が0.030Kcal/m・h・℃(at2
0℃)で、断熱性能が優れる。
【0035】ところで、屋根板11は、通常、車両限界
などの関係から曲率をもった湾曲形状をしているため、
通常平面で構成される空調ダクト13との間で、ある固
有周波数で音場が構成されることはない。このことによ
り、ある特定の周波数のみで吸音率が極大になり、その
他の周波数で落ち込むようなことはなく、滑らかな周波
数特性を示すことになる。
【0036】具体的には、前記空間15で構成される背
後空気層は、たるき12のない上部空間については、通
常たるき12の高さ以上の層厚さが得られるため、おお
むね50〜200mm程度の背後空気層が得られること
になる。一方、たるき12のある上部空間については、
20〜170mm程度とたるき12のない部位よりも層厚
さが薄くなるが、通常たるき12の車両長手方向の厚さ
は50mm程度しかないため、それによる吸音率の落ち込
みは無視しうる程度である。また、空調ダクト13の側
面については、通常200mm以上の層厚さの背後空気層
を容易に得ることができる。
【0037】従って、上記空調ダクト13は、従来鉄道
車両に用いられていたアルミニウム合金製やFRP製の
空調ダクトと比べて、軽量であり、断熱性、気密性など
の点において優れ、素材自体に吸音性能を併せ持つ優れ
た空調ダクトとして機能するものである。
【0038】図3は、前述した吸音材(グラスウール)
で構成される空調ダクト13単体の吸音特性を示す。こ
こで、図3において、背後空気層のない空調ダクトを用
いた構造の場合は太い実線で、背後空気層が一定の厚み
を持つ空調ダクトを用いた構造の場合は細い実線で、背
後空気層が一定ではない厚みを持つ空調ダクトを用いた
構造の場合は破線で示す。
【0039】図3に示すように、一定ではない空気層厚
みを持つ空調ダクトを用いた構造の場合には、背後空気
層のない空調ダクトを用いた構造の場合や背後空気層が
一定の厚みを持つ空調ダクトを用いた構造の場合より
も、低中周波数領域から比較的広い範囲について安定し
かつ良好な吸音性能が発揮され、このようなダクトを用
いた構造とすることが、空気調和装置による騒音の低減
を図る上で最適であることがわかる。
【0040】また、背後空気層が一定の層厚みを持つ空
調ダクトを用いた構造の場合は、一定ではない空気層厚
みを持つ空調ダクトを用いた構造の場合に比べると劣り
はするものの、背後空気層がない空調ダクトを用いた構
造の場合よりは良好な吸音特性を示しているので、屋根
板11が平面で構成される車両においてもある程度良好
な消音特性を得ることができることがわかる。
【0041】なお、前記実施の形態においても、吸音材
(グラスウール)の表面に空気漏れを低減するために薄
いフィルム材を貼った場合であっても、消音効果にはほ
とんど影響を与えないことが確認されている。
【0042】よって、鉄道車両の屋根板11と天井板1
4とで囲まれた空間15内に、前記空調ダクト13を車
両の前後方向に延びるように配設すれば、前記空間15
を、十分な容積を有する消音のための空気層として利用
することが可能となり、軽量かつ安価な構造でもって、
空気調和装置による車内騒音の低減を実現することがで
きる。特に、前述したように、前記空間15で構成され
る背後空気層は、たるき12が設けられていることか
ら、それのない上部空間についてはおおむね50〜20
0mm程度の背後空気層が得られる一方、たるき12の
ある上部空間については、20〜170mm程度とたるき
12のない部位よりも層厚さが薄くなり、前記背後空気
層の層厚さが、前記空調ダクトの長手方向において、変
化しているので、特定の周波数を対象とすることなく、
幅の広い周波数範囲についての騒音の低減が実現される
ことになる。
【0043】図4は空調ダクトの別の実施の形態を示す
もので、この場合の空調ダクト21は、ダクト本体22
が通常金属あるいはFRPにて構成され、それに複数の
大きな窓部22aが設けられている。そして、ダクト本
体22の外側面には、窓部22aを閉塞するように、自
立しない程度の柔らかいシート状のCRスポンジ材23
(吸音材)が部分的に貼り付けられている。このような
空調ダクト21を用いた構造の場合も、消音特性につい
ては、図3に示すものと類似の傾向を示すものとなる。
なお、前記スポンジ材23は、前述した実施の形態と同
様に、ダクト内部を流れる空気の振動をダクト内部から
ダクト外部に透過させるものであり、図4においてはダ
クト本体22の窓部22aを閉塞するようにダクト本体
22の外周面に部分的に貼り付けているだけであるが、
ダクト本体22の外周面全体に貼り付けるようにしても
よいのは勿論である。また、前記スポンジ材を単独で用
いる場合のほか、前記スポンジ材23に対しても、前述
した実施の形態と同様に、表面又は裏面に、前記空気の
ダクト内部からダクト外部への流れを遮断すると共に、
前記空気の振動をダクト内部からダクト外部に透過させ
る薄いフィルム材を装着するようにしてもよいし、スポ
ンジ材に代えて別の吸音材、例えばグラスウールを用い
ることもできる。
【0044】ところで、このような構造の場合には、前
述した特開昭63−63800号公報に記載のものとは
異なり、ダクト本体22のダクト壁に形成する窓部22
aは、特定の周波数を対象とした共鳴型消音構造とする
わけではないので、なるべく大きな開口面積とすること
が好ましく、ここに共鳴周波数を計算で求めて設定する
必要はなく、容易に幅の広い周波数範囲で良好な消音特
性を得ることが実現できる。すなわち、ダクト本体22
を、ダクトとして機能するように利用するのではなく、
複数のスポンジ材23を支持するための骨組み部材ある
いは芯材として利用しているのにすぎず、ダクト本体2
2のダクト壁が占める面積よりも窓部22aが占める面
積の方が大きくなるように形成されている。
【0045】
【発明の効果】この発明は、以上に説明したように実施
され、以下に述べるような効果を奏する。
【0046】本発明に係る鉄道車両における空調ダクト
の配設構造は、空調ダクトを、ダクト内部を流れる空気
の振動をダクト内部からダクト外部に透過させる筒状の
吸音材で構成しているので、屋根板と天井板との間であ
ってダクトの周囲に形成される空間を消音のための空気
層として有効に利用することで、共鳴現象により十分な
消音効果を発揮させ、騒音の低減を図ることができる。
また、空調ダクトが吸音材で構成され、通常のダクト本
体はなくなることになるので、軽量となり、また、リベ
ット結合や溶接が必要なくなるので、安価となる。とく
に、前記消音のための空気層は、前記空調ダクトの長手
方向又は幅方向において、層厚さが変化するようにして
いるので、空気層の層厚さが一定の厚さとなっている場
合に比べて、より優れた消音効果を発揮させることがで
きる。
【0047】この場合、前記空調ダクトの内周面又は外
周面に薄いフィルム材を装着するようにすれば、空気の
ダクト内部からダクト外部への流れを遮断することがで
き、空気をダクト外部に漏らすことなく、空気の振動の
みをダクト外部に漏らし、騒音の低減を図ることができ
る。
【0048】また、前記ダクト本体を形成する吸音材
は、表面をきわめて平滑に仕上げたグラスウールであ
り、前記フィルム材は、アルミ箔層と樹脂層との2層構
造とすれば、騒音の低減化に有利であるだけなく、軽量
で、断熱性、気密性などにおいても優れる。
【0049】また、ダクト壁の複数の窓部に、ダクト内
部を流れる空気の振動がダクト内部からダクト外部に透
過可能である吸音材を設けるようにしても、前述した場
合と同様に、屋根板と天井板との間であってダクトの周
囲に形成される空気層を消音のために有効に利用して、
騒音の低減を図ることができる。
【0050】この場合も、前記吸音材には、表面又は裏
面に薄いフィルム材を装着することで、空気をダクト外
部に漏らすことなく、騒音の低減を図ることができる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄道車両における空調ダクトの配
設構造の概略構成を示す説明図である。
【図2】同縦断面図である。
【図3】背後空気層の層厚さを変更したことによる周波
数と吸音率との関係への影響を示す図である。
【図4】本発明に係る鉄道車両における空調ダクトの配
設構造に用いられる他の実施の形態である空調ダクトを
示す斜視図である。
【図5】従来における一般的な鉄道車両における空調ダ
クトの配設構造を示す説明図である。
【符号の説明】
11 屋根板 12 たるき 13 空調ダクト 14 天井板 15 空間 21 空調ダクト 22 ダクト本体 22a 窓部 23 スポンジ材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B61D 27/00 F24F 13/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道車両の屋根板と天井板で囲まれた空
    間内に、空調ダクトが車両の前後方向に延びるように配
    設される鉄道車両における空調ダクトの配設構造であっ
    て、 前記空調ダクトは、ダクト内部を流れる空気の振動がダ
    クト内部からダクト外部に透過可能である筒状の吸音材
    で構成されるものであり、 前記屋根板と天井板で囲まれた空間によって、前記空調
    ダクトの外周囲に消音のための空気層が形成され、その
    消音のための空気層は、前記空調ダクトの長手方向又は
    幅方向において、層厚さが変化していることを特徴とす
    る鉄道車両における空調ダクトの配設構造。
  2. 【請求項2】 前記空調ダクトは、前記筒状の吸音材の
    内周面又は外周面に薄いフィルム材が装着され、該フィ
    ルム材は、前記空気のダクト内部からダクト外部への流
    れを遮断すると共に、前記空気の振動をダクト内部から
    ダクト外部に透過させるものである請求項1記載の鉄道
    車両における空調ダクトの配設構造。
  3. 【請求項3】 前記ダクト本体を形成する吸音材は、表
    面をきわめて平滑に仕上げたグラスウールであり、 前記フィルム材は、外側に位置するアルミ箔層と内側に
    位置する樹脂層との2層構造である請求項2記載の鉄道
    車両における空調ダクトの配設構造。
  4. 【請求項4】 鉄道車両の屋根板と天井板で囲まれた空
    間内に、空調ダクトが車両の前後方向に延びるように配
    設される鉄道車両における空調ダクトの配設構造であっ
    て、 前記空調ダクトは、ダクト壁に複数の窓部が形成されて
    おり、 該各窓部には、ダクト内部を流れる空気の振動がダクト
    内部からダクト外部に透過可能である吸音材が設けられ
    ており、 前記屋根板と天井板で囲まれた空間によって、前記空調
    ダクトの外周囲に消音のための空気層が形成され、その
    消音のための空気層は、前記空調ダクトの長手方向又は
    幅方向において、層厚さが変化していることを特徴とす
    る鉄道車両における空調ダクトの配設構造。
  5. 【請求項5】 前記吸音材は、表面又は裏面に薄いフィ
    ルム材が装着され、該フィルム材は、前記空気のダクト
    内部からダクト外部への流れを遮断すると共に、前記空
    気の振動をダクト内部からダクト外部に透過させるもの
    である請求項4記載の鉄道車両における空調ダクトの配
    設構造。
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