JPH0791727A - 消音チャンバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気供給時に該空気調和機より発生する騒音
を確実に消去でき、かつ損失抵抗の増加を抑制する。 【構成】 筐体の各内面に、適切な防音機構を付設した
消音壁を形成する。さらにこの筐体の底面壁５の開口部
６に空気調和機１の吹出口３を連接し、前面壁７に吐出
口８を設ける。また前記吹出口３の前面壁７側及び対面
側の天井壁１１の近傍に、それぞれ消音板を形成し、こ
の消音板を固定板に兼用して、吐出口８にスプリット形
消音部３１を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、空気調和用の空気を供
給する空気調和機に連接して、空気供給時に該空気調和
機より発生する騒音を確実に消去でき、かつ損失抵抗の
増加を抑制することのできる消音チャンバーに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、空気調和機に連接する消音チャン
バーは、公知例として実開昭６３−１０１６２８号公報
に記載の如く、消音チャンバーの送風通路内に、種々の
遮音板や吸音材で屈曲した送風通路を形成し、これによ
り所要の消音を行うようにしている。また、従来一般の
具体例として図７に示すように、空気調和機１に内蔵す
る送風機２の吹出口３を該底面壁５の開口部６に連接
し、前面壁７に吐出口８を有するよう消音チャンバー４
が構成される。そしてその構造の詳細を図８に示す。こ
の従来一般の消音チャンバーは、前述の底面壁５，前面
壁７の他、前面壁７の対面にある背面壁９，側面壁１
０，天井壁１１で構成され、各壁の内面には２５〜５０
ｍｍ厚さ程度の吸音材１２を被装する等の適当な防音機
構が付設された吸音壁で形成された筐体である。送風機
２からの吹出空気流Ａは、送風機２のノーズ１３側壁体
１４近傍の低速領域Ｂから反ノーズ側壁体１５近傍の高
速領域Ｃに漸増する速度分布をなしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】したがって送風機吹出
口３から消音チャンバーの前・背面壁７と９の吸音壁内
面空間に空気を吹き出す場合、急拡大による渦流れ１６
と１７を生じ、とくに高速領域Ｂ側には強い渦流れ１６
が発生することになる。このため損失抵抗が増加すると
共に、空気流Ａは渦流れ１６と１７の強さの差により、
空気流速度は平均化され、吐出口８への流出通路Ｄは短
くなり、よって滞流時間は短く、このため消音効果が減
少する問題があった。また送風機２の突部１８が前面壁
７より出る場合には、空気調和機２の奥行寸法が必要と
なり、製品寸法の大型化を招くことになる。

【０００４】しかるに、屈曲した送風通路の構成は、有
効な消音構造であるが、渦の発生等による損失抵抗の増
加の要因になると共に、さらに、消音チャンバーの吐出
口８の寸法が大きくなるにつれ、周波数の高い領域では
消音チャンバー内壁の影響が流出通路Ａの中心部の音場
に影響しにくくなり、、いわゆる音の素通り現象のた
め、消音機能が低下する。図９は消音チャンバーの減音
量の周波数特性を示すが、図中(a)が該特性を示すもの
で、一例を示せば、吐出口８の短辺側寸法を３５ｃｍと
すると、約１０００Ｈｚ以上で消音機能の低下が見られ
る。この課題を解決する手段としては、一般に消音チャ
ンバーに接続するダクトで、流れに直列にスプリット形
やセル形消音器を連接して使用している。

【０００５】図１０は一般のスプリット形消音器で、複
数の消音材２０をスプリッター形に組んで箱体２１内に
組み込んだものである。ここでスプリット形消音器の減
音量は、単位長さ当たり次式で推定される。

【０００６】減音量＝Ｋ・Ｐ／Ａ ここにＫ：消音材２０の吸音率に関する係数 Ｐ：断面の周囲で、吸音材２０が占める部分の長さ Ａ：断面積

【０００７】上式より、減音率を増加させるには、Ｋを
大きくすること、すなわち消音材２０の吸音率を大きく
すること、及びＰ／Ａの比を大きくすることである。図
９の(b)は、消音チャンバーとスプリット形消音器を組
み合わせたときの特性で、高周波領域での減音量の大幅
改善がみられる。しかしダクトを介して前述の両消音器
を接続するため、消音設備としての構成に手間がかかる
と共に、広い設置空間が必要となるものであった。

【０００８】本発明は、上記技術の問題点を解決するた
め、高い消音機能を有すると共に、損失抵抗の小さい消
音チャンバーを提供することを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになしたもので、筐体の各内面に、適切な防音
機構を付設した消音壁を形成し、該筐体の底面壁の開口
部に空気調和機の吹出口を連接し、前面壁に吐出口を有
すると共に、前記吹出口の前面壁側及び対面側の天井壁
近傍に、それぞれ消音板を形成し、この消音板を固定板
に兼用して、吐出口にスプリット形消音部を形成するこ
とを要旨とする。

【００１０】

【作用】内面に消音壁を形成した筐体の底面壁の開口部
に、空気調和機の吹出口を連接し、前記吹出口の前面壁
側及び対面側の天井壁近傍に、それぞれ消音板を形成
し、この消音板を固定板に兼用して、吐出口にスプリッ
ト形消音部を形成する。このような構造を有する消音チ
ャンバーを、空気調和機の吹出口に連設して使用するこ
とにより、従来の消音効果にスプリット形消音部による
高周波領域の素通り防止効果が付加できる。しかもスプ
リット形消音部は消音チャンバーの吐出口に内蔵して構
成してあるので、コンパクトな消音設備となる。

【００１１】

【実施例】以下本発明消音チャンバーを図示の実施例に
基づいて説明する。図において１は空気調和機で、この
空気調和機１内には所要の送風機２を内蔵すると共にそ
の吹出口３を、空気調和機１に連接される消音チャンバ
ー４の底面壁５の開口部６に連接し、そしてこの消音チ
ャンバー４の前面壁７に吐出口８を形成する。

【００１２】更にこの消音チャンバー４の具体的構造を
図１に基づき詳述すると、消音チャンバーの内面には吸
音材が配設されており、消音チャンバーの背面壁９の吸
音材１２の内面と、送風機２の反ノーズ側壁体１５とを
略一致させて構成する。このため、従来背面壁内に沿っ
た反ノーズ側壁体１５との空間で発生していた強い渦流
れ１６が消滅し、損失抵抗を減じさせることができると
共に、反ノーズ側壁体１５の吐出口３を出た直後の高速
領域Ｃの空気速度が保持されるため、吐出口３の延長線
上にある流出通路Ｄは吸音材１２内面に沿った対流時間
の長い通路となって消音効果が増加するものとなる。

【００１３】又、図示のように前記送風機吹出口３のノ
ーズ側壁体１４と前面壁７との空間部に、多数の小孔２
２ｈを穿孔し、直角形状等に折曲形成した多孔板すなわ
ちパンチングメタル２２を該両端を底面壁５及び前面壁
７に固定する。該パンチングメタル２２は小孔２２ｈの
開口率を小さくすれば共鳴板となり、開口率を大きくす
ると共に、背面内部に吸音材２３を付設して空気層２４
付の吸音板とすることもできる消音板である。

【００１４】さらに送風機２の吹出口３の対面側で、天
井壁１１近傍に小孔２５ｈを穿孔したパンチングメタル
２５を配設している。該パンチングメタル２５，背面内
部の吸音材２６，空気層２７は、前述のパンチングメタ
ル２２，吸音材２３，空気層２４と同様の機能を有する
消音板を形成し、該両消音板で流出通路ＤはＬ字形通路
を構成している。

【００１５】上記の如くパンチングメタル２２，２５
は、それぞれ周波数特性を選択できる消音板としたの
で、送風機の吹出音は周波数の広い領域で抑制消音する
ことができるものである。

【００１６】さらに前記送風機２の反ノーズ側壁体１５
は、背面壁９に付設した吸音材１２の内面に近接配置
し、かつ前記パンチングメタル２２を送風機２のノーズ
側１４に略一致した位置２８で固定することにより、従
来送風機２の吹出口近傍に発生する渦流れ１６，１７が
抑制でき、よって損失抵抗を減じさせることができると
共に、高速領域Ｃの空気速度が保持されるため、流出通
路Ｄは吸音材１２内面に沿った滞留時間の長い流路とな
って、消音効果が一層助長されるものである。

【００１７】またパンチングメタル２２を吐出口８の下
端部２９，パンチングメタル２５と吐出口８の上端部３
０に、それぞれ略一致して配設固定するので、吸音効果
を低下することなく、吐出口８での空気流の縮流損失が
軽減でき、損失抵抗の小さい消音チャンバーが提供でき
るものである。

【００１８】上述の如く構成する消音チャンバーにおい
て、本発明では上述の消音板を構成するパンチングメタ
ル２２，２５を固定板に兼用して吐出口８部に内蔵して
スプリット形消音部３１を形成するものである。

【００１９】図２はスプリット形消音部の詳細を示すも
ので、複数の消音素子３２を空気の流れに平行に、スプ
リッター形に配設したものを示し、上下端の双方または
少なくとも一方を前述のパンチングメタル２２，２５に
固定して形成する。

【００２０】図３，図４に示す実施例は一つの消音素子
３２の断面図を示すのである。図３では、両面に吸音材
３４を接着等で固定した仕切板３３の上下端部３５，３
６の双方または少なくとも一方をパンチングメタル２
２，２５に固定してある。固定方法はねじ止めの他、止
め溶接等、任意の方法が選択できる。係る構造では、仕
切板３３により吸音材３４を通して音が隣に抜けるのを
防止できるので、減音効果が大きくできる一方、吸音材
３４の厚さは相対的に小さくなるため、低周波数域より
中・高周波数域向けとなる。

【００２１】一方図４では吸音材支持枠３７で、吸音材
３８の少なくとも上下端を包含し、構成している。固定
要領は上記図３に示す実施例と同様である。かかる構造
では、図３に示す実施例と比べ音が吸音材３８を通して
隣に抜ける傾向にあるが、吸音材厚みは相対的に大きく
できるため、低周波数域にも効果が発揮できる。

【００２２】図５に示す実施例は消音素子３２の吐出口
８への取付状態を示すものであるが、消音素子３２を吐
出口８の少なくとも左右両側面３９，４０に隙間なく配
設固定してある。このため前述の左右両側面３９，４０
に接する空気通路４１，４２で、中央付近の流路４３と
同じ空気流れと消音効果が保証されるものである。

【００２３】図６に示す実施例は本発明の第２実施例を
示し、図１に示す実施例の他の応用例で、スプリット形
消音部の消音素子４４の有効流路長、すなわち図１のス
プリット形消音部３１の奥行寸法は必要減音量に合わ
せ、図６に示すとおり、最大で平均奥行寸法ｌａまで可
変とすることができる。また一般的に挿入管形空洞では
挿入管による共鳴効果が加わり、特に挿入管長さを空洞
のそれの１／２や１／４とするとき、減音特性が有利に
なることが知られている。このため本発明で挿入管部を
上記のスプリット形消音部で代用し、空洞を消音チャン
バーの流出流路Ｄの有効流路長Ｌとみなせば、共鳴効果
の得られる奥行寸法を選択することができ、減音効果の
設定が容易に選択できるものである。

【００２４】なお、上記説明では、空気調和機の吹出口
を送風機吹出口と一致させて取り付けた実施例で説明し
たが、両吹出口を分離し、空気調和機の吹出口に消音チ
ャンバーの開口部を連設した場合も、上記と同様の作用
・効果を有するものである。

【００２５】

【発明の効果】本発明消音チャンバーは、筐体の各内面
に、適切な防音機構を付設した消音壁を形成し、該筐体
の底面壁の開口部に空気調和機の吹出口を連接し、前面
壁に吐出口を有すると共に、前記吹出口の前面壁側及び
対面側の天井壁近傍に、それぞれ消音板を形成し、この
消音板を固定板に兼用して、吐出口にスプリット形消音
部を形成したので、周波数の高い領域での音の素通りが
防止できると共に、損失抵抗の少ない小型で廉価な消音
チャンバーが可能となる。またスプリット形消音部を構
成する消音素子は、仕切板や吸音材支持枠で消音板に容
易に固定できる構造であると共に、この際の吸音材の配
置構成は、広い周波数領域で必要な減音量に合わせて構
成できるものである。さらに消音素子の有効流路長は、
消音板に沿って任意に選択できるので、必要減音量の
他、共鳴効果を得る設定も可能であるなどの数々の利点
を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明消音チャンバーの一実施例の態様を例示
した断面詳細図である。

【図２】図１に示すスプリット形消音部の詳細図であ
る。

【図３】スプリット形消音部の消音素子の実施の様態を
例示した詳細図である。

【図４】同スプリット形消音部の消音素子の実施の様態
を例示した詳細図である。

【図５】スプリット形消音部の取付状態を例示した正面
図である。

【図６】本発明消音チャンバーの異なる実施例の様態を
例示した断面詳細図である。

【図７】公知例の正面図である。

【図８】同断面詳細図である。

【図９】減音量の周波数特性例である。

【図１０】従来一般のスプリット形消音器の外観図であ
る。

【符号の説明】

１ 空気調和機 ２ 送風機 ３ 送風機吹出口 ４ 消音チャンバー ８ 消音チャンバー吐出口 １９ スプリット形消音器 ２２，２５ パンチングメタル ３１ スプリット形消音部 ３２，４４ 消音素子 Ａ 吹出空気流 Ｄ 流出通路 Ｌ 流出通路の有効長

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 晴彦 大阪府茨木市東太田４丁目５番11号 日立 冷熱株式会社茨木工場内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筐体の各内面に、適切な防音機構を付設
   した消音壁を形成し、該筐体の底面壁の開口部に空気調
   和機の吹出口を連接し、前面壁に吐出口を有すると共
   に、前記吹出口の前面壁側及び対面側の天井壁近傍に、
   それぞれ消音板を形成し、この消音板を固定板に兼用し
   て、吐出口にスプリット形消音部を形成したことを特徴
   とする消音チャンバー。
2. 【請求項２】 空気調和機の吹出口を空気調和機に内蔵
   する送風機の吹出口に一致させ、取り付けた請求項１記
   載の消音チャンバー。
3. 【請求項３】 両面に吸音材を配設固定した仕切板の上
   下端部の一方または双方を消音板に固定してスプリット
   形消音部を構成した請求項１記載の消音チャンバー。
4. 【請求項４】 吸音材支持枠で吸音材の、少なくとも上
   下端を包含し、該部を消音板に固定してスプリット形消
   音部を構成した請求項１記載の消音チャンバー。
5. 【請求項５】 スプリット形消音部の消音素子を、吐出
   口の少なくとも左右両側面に隙間なく配設固定した請求
   項１記載の消音チャンバー。
6. 【請求項６】 スプリット形消音部を構成する消音素子
   の有効流路長を、消音板に沿って任意に選択可能な構成
   とした請求項１記載の消音チャンバー。