JP3738579B2 - 通風可能な消音装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のエンジンルーム内等から放射される騒音に対する消音機能と、エンジンへの冷却用空気の通風を可能にする通気機能とを併せ持つ、通風可能な消音装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車やトラック、バス等の自動車の騒音は、大きく分けると運転者や乗員が感じる車内騒音と、車外の人が感じる車外騒音とがあり、商品性の向上や騒音公害防止の観点から、それぞれの騒音対策がなされてきている。
【0003】
この車外騒音は、騒音の発生源によってエンジン騒音、駆動系騒音、排気系騒音、タイヤ騒音に大きく分類される。また、このエンジン騒音には、エンジン本体から発生している機械騒音の他に、吸気系騒音や冷却ファン騒音が含まれている。
【0004】
特に、最近は、ディーゼルエンジンのアイドル騒音を中心に車外騒音が問題視されてきており、この車外騒音の中で最も寄与率の高いエンジンの放射音に対して、図9及び図10に示すようにエンジン20の側部や下部に吸音特性や遮音特性を持たせた遮蔽カバー24を配設して、エンジンブロックやオイルパンなどから放射される騒音を吸音及び遮音して、車外騒音を低減する対策が行なわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フロントグリル23の通風通路3からファン21によりラジエータ22に冷却用空気Airを取り入れている場合には、エンジンルーム12の周囲に遮音カバー24を設けても、このフロントグリル23の通気通路3から車外前方に放射される騒音が大きく、車外騒音を効果的に低減できないという問題がある。
【0006】
また、エンジン20の車外騒音で問題となってきている1kHz〜2kHzの比較的周波数が低く波長の長い騒音は、遮音カバー24やこの遮音カバー24に貼り付けられた吸音部材では消音しにくいために、これらの遮蔽カバー24で吸音しきれずに反射するが、この反射した騒音もこの通風通路3から漏出することになるので、一層、車外騒音の低減が難しいという問題がある。
【0007】
また、一方で、自動車のエンジンルーム周りのスペースは限られている上に、重量もできるだけ小さくしたいという要請があるため、自動車のフロントグリル用として、比較的軽くて通風方向に薄く、省スペースの壁形状をした通風可能な消音装置が必要とされている。
【0008】
このような消音装置の例として、特開平8−177456号公報では、隔壁によって仕切られた空気通路の周囲の隔壁部分にヘルムホルツ型吸音器を配置した、通風時の空気抵抗が少ない消音器が提案されている。
【0009】
しかしながら、この消音器においては、使用しているヘルムホルツ型吸音器が単一周波数に対する共鳴器であり、広帯域用に適していないという問題がある。そのため、エンジン騒音のように、広帯域の周波数成分を含み、しかも、ラジエータ廻りや車両の前面では略均一な音圧分布を有している騒音に対しては、複数の周波数に対応する吸音器を設ける必要が生じる。しかしながら、独立した空気通路毎に、共鳴周波数が異なる、即ち、形状の異なるヘルムホルツ型共鳴器を設けると、全体の構造が複雑となり、製造コストがアップしてしまうという問題がある。
【0010】
その上、ヘルムホルツ型の共鳴周波数は、音速、導入孔の直径、導入孔の数、導入孔部の板厚、容積等の多くの要素が絡んで決まるため、設計が煩雑となるという問題がある。
【0011】
そして、自動車のフロントグリル等に使用する場合は、フロントグリルとこのヘルムホルツ型吸音器の型成形法による一体成形は構造が複雑になり、金型から抜けないので、格子状の消音機能を持たないフロントグリルを製造する場合に使用されるインジェクション成形法等の型を使用した型成形法による一体成形は不可能であり、フロントグリルとなる通路壁部分のみを一体成形や孔開け加工により製造し、これに、別工程で製造した対象騒音周波数に適した吸音器を通路壁に固定する工程が必要になるので、製造コストが高くなる。
【0012】
また、他の消音装置として、本発明者は、特願平9−305306号において、図11に図示するような、通路の断面形状が一定である分岐通路82を主通路81に並行して配置し、この分岐通路82の入口側開口部83と出口側開口部84を主通路81の前後に開口した消音装置80を提案している。
【0013】
しかしながら、この消音装置80は、Aiの矢印で示す通風方向の奥行きを十分に取れる場合には有効であるが、自動車のフロントグリルのような奥行きに制限が有る場合には適用が難しいという問題がある。
【0014】
試みに、この消音装置80の通風方向の奥行きを減少させるために、この分岐通路を90度回転して、図12のような構成をした装置90、即ち、断面一定でかつ、開口部93と94を両側に有する分岐通路92を、通風方向Ai及び騒音Nの入射方向と直交する方向に向けて主通路91に併設した装置90を作成し、この装置90で、吸音実験を行なったが、共鳴現象が起こり難く、思わしい騒音低減効果を得ることができなかった。
【0015】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、その目的は、自動車のフロントグリル等の通気方向の奥行きを大きく取れない部分に適用可能で、エンジンの車外騒音のような比較的周波数帯域が広い騒音を低減でき、しかも、エンジンルームへの冷却用空気等の通風を十分に確保できる通風可能な消音装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するための通風可能な消音装置は、以下のように構成される。
1)先ず、通風可能な消音装置は、主通路を通路壁で格子状に分割して形成した複数の単位通気通路を持つ消音装置において、該単位通気通路内に、2つ以上の平行な吸音通路壁を、前記単位通気通路を形成する対向した両通路壁からそれぞれ離間し、かつ、通風方向に対面して前後に離間して配置して形成された両端開放共鳴型吸音通路を設けて構成される。
【0017】
あるいは、主通路を通路壁で格子状に分割して形成した複数の単位通気通路を持つ消音装置において、該単位通気通路内に、筒状部材は又は筒状部材の一部を、該単位通気通路を構成する対向した両通路壁からそれぞれ離間し、かつ、側面を通風方向に向けて配設して形成された両端開放共鳴型吸音通路を設けて構成される。
【0018】
これらの構成によれば、通風を要求される単位通気通路に、比較的低い基本周波数を含む複数の共鳴周波数を持ち、広帯域に渡って吸音効率が良い両端開放共鳴型吸音通路を配設したので、騒音が広帯域で効率よく吸音される。
【0019】
また、エンジン等の騒音源からの放射音は、この通路壁で区切られた単位通気通路の区画内で独立して消音されることになり、騒音の音波はこの通路壁に反射して平面波化してから、吸音通路内に伝搬していくので、より高い吸音効果が得られる。
【0020】
そして、通風通路の通路壁は通風方向に略平行に設けられるので通風を妨げることがなく、また両端開放とするために、吸音通路の開口部と単位通気通路の通路壁との間に通風路が形成されるので、十分な通風機能を確保できる。また、両端開放共鳴型吸音通路は、通路方向を通路壁の方向、即ち、通風方向と略垂直方向に配置されるために、通風方向に必要なスペースが短くなり、吸音効果を落とすことなく、通風方向の厚さを薄くできる。
【0021】
その上、吸音する共鳴周波数は、通風通路の長さのみで、断面形状によらないので、寸法の自由度が大きく、設計が簡単で、また、製造も簡単となる。
2)また、前記両端開放型吸音通路を前記単位通気通路の音源と反対側に配設することにより、騒音成分の音波はより広い通路壁に接してから両端開放型吸音通路に入るので、通路壁の反射により平面化した音波が両端開放型吸音通路に入射するので、より効率よく吸音される。
3)更には、前記両端開放型吸音通路の長さを変えて、別の単位通気通路内に分配して設けるか、又は、同一単位通気通路内に複数個設ける。
【0022】
この構成においては、図1、図2に示すように、吸音通路7bは、長さL0、L1、L2を変えて、それぞれ別の単位通気通路3に設けても良く、あるいは、図3の長さL1,L4の吸音通路7b,7b’のように、同一単位通気通路3内に一緒に設けてもよい。
【0023】
また、図4に示すように、同一単位通気通路3内に設ける複数の吸音通路7bは、外形が三角や四角等の多角形状のものや、半円や半楕円などの曲線形状のもの、更には流線形状等、通風に要求される条件に適した形状を使用することができる。例えば、図4の右下に図示したように、単位通気通路の互いに対面する通路壁に円管を分割した部材7gで円弧状に形成した吸音通路7bを通風方向Aiにずらして配置すると、製造が容易である上に、通風方向Aiの断面積の変化が少なく、通風が円滑に行なわれる。
【0024】
また、単位通気通路内の配置も、単位通気通路の周囲の通路壁の幾つかに接して配置することも、あるいは、吸音通路を形成する吸音管を通路壁から離して宙づり状態で設けてもよい。
【0025】
これらの構成によれば、長さの異なる、即ち、共鳴周波数の異なる両端開放共鳴型吸音通路が複数設けられるので、各吸音通路が吸音する音の周波数が増加し、全体として、非常に広い周波数帯域で消音されることになり、騒音の低減効率が向上する。
4)また、前記通風可能な消音装置を、前記両端開放型吸音通路を分割する分割体の結合体として構成し、それぞれの分割体を型成形法により一体成形した後に、これらの分割体を接合して一体化して該通風可能な消音装置を形成して製造することができる。
【0026】
この製造方法によれば、図5及び図6の分割体の各々を、インジェクション成形法等の型を使用した型成形法による一体成形で製造でき、この分割体を接着やネジ止め、枠に嵌める等の方法で接合して一体化できるので、簡単に製造でき、製造コストが低くなる。
【0027】
また、この製造方法以外でも、この消音装置においては、フロントグリル等の単位通気通路と、両端開放共鳴型吸音通路を形成する吸音管や吸音通路部材を別体として形成し、図4に示すように、両端開放共鳴型吸音通路7bの全体又は一部を形成する丸形や角形の筒状部材7fや筒状部材の一部7gを単位通気通路3に取り付けて、両端開放共鳴型吸音通路7bを形成し、この通風可能な消音装置1Bを簡単に形成することができるので、安価に製造できる。
【0028】
そして、この通風可能な消音装置を、自動車の狭いエンジンルームに面した部分に設けた導入口、即ち、フロントグリルに設けると、この比較的低い周波数から広い周波数帯域において吸音効率が良い両端開放共鳴型吸音通路を配設した通風可能な消音装置を使用するので、車外へ放射されるエンジン音等の広帯域の車外騒音の比較的広い範囲における周波成分が吸音され、車外騒音が著しく低減する。
【0029】
更に、この通風可能な消音装置は、通風方向の厚みが薄く、壁状に形成することができるので、消音機能を持ったフロントグリルの前後方向の厚さが薄くなり、車両への搭載が良好に行われる。その上、通気性の確保が容易であるので、エンジンの冷却用空気は効率よくエンジンルーム内に導入されることになる。
〔吸音特性について〕
次に、共鳴型吸音器の吸音特性について考える。
【0030】
本発明に係る両端開放共鳴型吸音通路(吸音管)の共鳴周波数Fは、cを音速、Lを吸音管の長さ、nを自然数(n=1、2、3・・・)とすると、
F=(nc)/(2L)となる。
【0031】
なお、吸音力は吸音通路の断面積S(=H×D)で決まり、この断面積Sが大きくなると、吸音力が増加する特性があるので、通常、この吸音通路7bの長さLや断面積Sは、対象騒音の周波数分析に基づいて最適な選択がなされることになる。
【0032】
また、ヘルムホルツ型の共鳴周波数fは、cを音速、dを導入孔の直径、kを導入孔の数、Vを容積、tcを導入孔部の板厚とした場合に、f=(c/2π)×SQRT(C0/V)となる。但し、β=π/2、C0=kπ(2d)2 /(tc+β×d/2)である。
【0033】
従って、ヘルムホルツ型の共鳴型吸音器の場合には、構造が複雑になる上に、使用スペースも大きくなるので、フロントグリル等の薄型が必要とされる消音装置に収納するのが難しく、また、共鳴周波数が幾つかの要素が絡む複雑な計算となり、しかも吸音の周波数がが単一周波数であるので、エンジン騒音に対する場合においては、簡単な構造で広帯域における騒音低減ができる両端開放共鳴型吸音通路の方が、より騒音低減効果を奏することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
本発明の消音装置1は、図1、図2に示すように、主通路2の枠体2a内の空間を水平通路壁5aと垂直通路壁5bの通路壁5a、5bで格子状に分割して単位通気通路3を形成し、この単位通気通路3内に、両端に開口部7a、7aを有し、通路断面形状が一定の両端開放共鳴型吸音通路7bを設けて形成される。
〔第一の実施の形態〕
この両端開放共鳴型吸音通路7bは、図1、図2の実施の形態では、単位通気通路3内に、2つ以上の平行な吸音通路壁7c、7dを、単位通気通路3を形成する両側の垂直通路壁5bからそれぞれ離間して、かつ、通風方向Aiに対面して前後に距離Dだけ離間して配置することにより形成される。
【0036】
この構成により、平行な吸音通路壁7c、7dの間と上下の水平通路壁5a、5aによって囲まれて形成された両端開放共鳴型吸音通路7bは、両端に開口部7a、7aを有し、通路断面形状が一定となる。しかも、開口部7aと垂直通路壁5aとの間に通風路となる通気開口部3aが形成される。
〔第二の実施の形態〕
また、図3の実施の形態では、3つの平行な吸音通路壁7c、7d、7eを形成し、同一単位通気通路3内に2つの両端開放共鳴型吸音通路7b、7b’を設けている。そして、この例では、2つの両端開放共鳴型吸音通路7b、7b’の長さはL1とL4に変化させており、また、図左側の吸音通路7bにおいては、長さを同じL3にして、奥行き、即ち吸音通路幅をD1、D2に変化して形成している。
【0037】
この図3の実施の形態に示すように、消音機能及び通風機能と消音装置の大きさとの兼ね合いにより、吸音通路壁7c、7d、7eを多様な寸法に形成し、吸音通路7bも多様な配置を行なうことができる。
【0038】
この図3に示すように、吸音通路7bを2列以上で形成すると、消音装置1Aの厚みは増すが、消音効果は増加する。
〔第三の実施の形態〕
次に、図4の実施の形態では、両端開放共鳴型吸音通路7bの形成は、単位通気通路3内に、筒状部材7fは又は筒状部材の一部7gを、両側の垂直通路壁5a、5aからそれぞれ離間し、かつ、側面を通風方向Aiに向けて配設することにより行なわれる。なお、筒状部材の一部7gを使用した場合には、両端開放共鳴型吸音通路7bの周壁の一部は通路壁5bで形成される。
【0039】
この筒状部材7fや筒状部材の一部7gを用いると、市販の管材やアングルや筒部材を使用できるので、製造コストを低く抑えることができ、しかも、既存の通風通路に追設することも簡単にできる。
【0040】
その上、筒内の断面積Sや長さLを騒音の周波数特性に応じて変化でき、また、配置も比較的自由にできるので、通風機能を維持したまま、最適な消音機能を持たせることが容易にできる。
【0041】
この場合に筒の断面形状、即ち、図4の四角、三角、円、円弧、楕円や図示していないが流線形などは、通気の通風速度等を考慮して、通風抵抗の増加量が少なくなるように選定することになる。
〔吸音通路の位置〕
また、図1〜図4の実施の形態においては、両端開放型吸音通路7bを単位通気通路3の音源Nと反対側に配設しているが、この構成にすることにより、音源側から入射した騒音の音波は、色々な角度で入射してくるので、単位通風通路3を形成する通路壁5a、5bにより多く接して反射され、平面化して吸音通路7bに入射し、また、一旦入射した音波は吸気通路7b内と通路壁5bとの間で行き来するので、吸音通路7b内で吸音され易くなる。
〔第四の実施の形態:吸音部材の配設〕
そして、図7に示す実施の形態では、更に、通路壁5a、5bと両端開放型吸音通路7bを形成する吸音通路部材7c、7d、7e、7f、7gにウレタン、グラスウール等の吸音部材9を装着している。
【0042】
この吸音部材9は、両端開放型吸音通路7bで吸音する周波数より、高い周波数に対して吸音効果を有するので、より広い周波数帯域で消音できる。この吸音部材9は、吸音効率や通風効果等を考慮して、上記部材の一部分に装着することも、あるいは、別個に吸音部材9で形成したものを配置することもできる。さらには、吸気通路部材7c、7d、7e、7f、7g自体や、単位通気通路3を形成する通路壁5a、5b自体を吸音部材9で形成することもできる。
〔その他〕
主通路2が、図1のような長方形の場合には、水平通路壁5aと垂直通路壁5bで単位通風通路3を形成したが、主通路2が円形や楕円形等の場合には、円形通路壁等を用いることができる。また、吸音通路7bの向きも水平方向にする必要はなく、垂直方向であっても斜め方向であってもよい。但し、この吸音通路7bの開口部7aの前には、この吸音通路7bに交差する方向の、好ましくは直交する方向の通路壁が離間してあることが好ましい。
〔効果〕
以上のような構成の消音装置によれば、以下の効果を奏することができる。
【0043】
通風を要求される通気通路3に、比較的低い基本周波数F=c/(2L)を含む複数の吸音周波数F=(nc)/(2L):(n=2,3・・・・)を持ち、吸音効率が良い両端開放共鳴型消音通路7bを配設したので、広帯域の騒音を効率よく吸音でき、騒音を低減できる。
【0044】
また、エンジン等の騒音源Nからの放射音は、通路壁5a、5bで区切られた単位通気通路3の区画内で独立して消音されることになる上に、音波はこの通路壁5a、5bに反射して平面波化してから、吸音通路7b内に伝搬し、更に、開口部7aから出た音波の一部は通路壁5bに反射されて再度吸音通路7b内に伝搬し、これを繰り返すので、より消音効果を上げることができる。
【0045】
そして、空気は、両端開放共鳴型消音通路7bの開口部7aと通路壁5bとの間の通気開口部3aから単位通気通路3内に流入し、通路壁5a、5bに沿って流れるので、通風を妨げることなく、十分な通風機能を確保することができる。
【0046】
また、主通路2の面積に対する通気開口部3aの割合を調整することにより、消音性能と通気性能を調和させることができる。
【0047】
更に、両端開放共鳴型吸音通路7bは、吸音通路方向を通路壁5a、5b、即ち、通風方向Aiと略垂直方向にして配置されるために、通風方向Aiにはスペースを取らないので、吸音効果を落とさず、通風方向Aiの厚みを薄くできる。そのため、自動車のフロントグリル等に消音機能を持たせるのに最適な通気可能な消音装置となり、しかも、エンジンへの冷却用空気は効率よくエンジンルーム内に導入することができる。
【0048】
その上、吸音する共鳴周波数Fは、管の長さLのみに関係し、断面形状によらないので、寸法の自由度が大きく、設計が簡単で、また、単純な構造で広範囲な周波数を消音できる消音装置1、1A、1Bを形成することができる。また、製造も簡単であり、この消音装置1、1A、1Bを安価に製造できる。
【0049】
また、単位通気通路3に設ける両端開放型吸音通路7bの長さLを変えて複数個設けることにより、広帯域の騒音に簡単に対処できる。
〔製造方法〕
そして、図1の消音装置1の製造方法に関しては、図4、図5に示すように、消音装置1を両端開放型吸音通路7bを二分割する分割体1a、1bの結合体として構成し、それぞれの分割体1a、1bを、インジェクション成形法などで一体成形した後に、これらの分割体1a、1bを一体化して消音装置1を形成することで簡単に低コストで製造できる。
〔実験例〕
図1の騒音の低減効果について、図8に実験例を示す。この実験例では、図8に示すように、元の騒音レベル曲線Aの2kHz〜5kHzの山の部分に対して、3つの長さL0(=54mm)、L1(=68mm)、L2(=85mm)、即ち、吸音の共鳴基本周波数がそれぞれ3.15kHz、2.5kHz、2kHzの共鳴周波数群が3種類になるように構成した消音装置を使用している。
【0050】
この実験結果によれば、従来のフロントグリル使用時の騒音レベル曲線Aに対して、本発明の消音装置を使用したフロントグリルの場合は、騒音レベル曲線Bとなり、斜線部分Eで示すような騒音低減効果を得ることができた。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1又は請求項2の発明の通気可能な消音装置によれば、通風を要求される通気通路に、比較的低い基本周波数を含む複数の吸音周波数を持ち、吸音効率が良い両端開放共鳴型消音通路を配設したので、広帯域の騒音を効率よく吸音でき、騒音を低減できる。
【0052】
また、エンジン等の騒音源からの放射音は、通路壁で区切られた単位通気通路の区画内で独立して消音されることになる上に、音波はこの通路壁に反射して平面波化してから吸音通路内に伝搬し吸音されるので、より消音効果を上げることができる。
【0053】
そして、空気は、両端開放共鳴型消音通路の開口部と通風通路の通路壁との間の隙間を含む通気開口部から単位通気通路内に流入し、通路壁に沿って流れるので、通風が妨げることがなく、十分な通風機能を確保できる。
【0054】
更に、両端開放共鳴型吸音通路は、吸音通路方向を通路壁、即ち、通風方向と略垂直方向にして配置されるために、通風方向にはスペースを取らないので、吸音効果を落とさず、通風方向の厚みを薄くできる。そのため、自動車のフロントグリル等に消音機能を持たせるのに最適な通気可能な消音装置となる。
【0055】
その上、吸音する共鳴周波数は、管の長さのみで、断面形状によらないので、寸法の自由度が大きく、設計が簡単で、また、単純な管構造でこの消音器を形成することができるので製造も簡単である。そのため、この消音装置自体を安価に製造できる。
【0056】
次に、請求項3の発明によれば、両端開放型吸音通路を単位通気通路の音源と反対側に配設することにより、通路壁において騒音成分の音波を平面化する部分をより広く取れ、この平面化した音波を両端開放型吸音通路に向けて反射して、より多くの音波を両端開放型吸音通路に入射して吸音でき、騒音減少効果を向上することができる。
【0057】
そして、請求項4の発明によれば、両端開放共鳴型吸音通路の長さを変えて共鳴周波数を変えることにより、より広範囲な周波数帯域において騒音を減少できるので、エンジンの車外騒音のような広帯域騒音を効率よく低減できる。
【0058】
また、請求項5の発明によれば、この消音装置を両端開放共鳴型の吸音管内を分割する分割体の結合体として構成し、それぞれの分割体を一体成形した後に、これらの分割体を一体化して該消音装置を形成して製造すると、インジェクション成形法等のよる型成形法による一体成形で製造できる分割体を接合して一体化して、消音装置を製造できるので、簡単に製造でき、製造コストを低くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第一の実施の形態の通風可能な消音装置を示す模式的な斜視図である。
【図2】図1の通風可能な消音装置を示す三面図(平面図、正面図、側面図)である。
【図3】本発明に係る第二の実施の形態である、両端開放共鳴型吸音通路を通風方向に複数列配置した通風可能な消音装置を示す、断面を含む模式的な部分斜視図である。
【図4】本発明に係る第三の実施の形態の通風可能な消音装置を示す模式的な部分斜視図である。
【図5】図1の通風可能な消音装置の製造方法に関連した分割体を示す斜視図である。
【図6】図5の通風可能な消音装置の分割体を別の角度から見た斜視図である。
【図7】本発明に係る第四の実施の形態である、吸音部材を装着した通風可能な消音装置の三面図(平面図、正面図、側面図)である。
【図8】図1の通風可能な消音装置の騒音低減効果を示す騒音レベルの実験結果の図である。
【図9】自動車のエンジンルームとフロントグリルの関係を示す模式的な平面図である。
【図10】図9の模式的な側断面図である。
【図11】先行技術の消音装置を示す図であり、(a)は斜視図で、(b)は、X−X断面図で、(c)はY−Y断面図である。
【図12】図11の先行技術の消音装置を変形した装置を示す図であり、(a)は斜視図で、(b)は、X−X断面図で、(c)はY−Y断面図である。
【符号の説明】
1、1A、1B 通気可能な消音装置 2 主通路
3 単位通気通路 3a 通気開口部
5a 水平通路壁 5b 垂直通路壁
7a 開口部 7b、7b’ 吸音通路
7c、7d、7e 吸音通路壁 7f 筒状部材
7g 筒状部材の一部 9 吸音部材
20 エンジン 21 ファン
22 ラジエータ 23 フロントグリル
24 遮蔽カバー
Ai 空気 D、D1、D2 吸音通路の幅
L、L0〜L4 吸音通路の長さ H 吸音通路の高さ
N 騒音 S 吸音通路の断面積

Claims (5)

  1. 主通路を通路壁で格子状に分割して形成した複数の単位通気通路を持つ消音装置において、該単位通気通路内に、2つ以上の平行な吸音通路壁を、前記単位通気通路を形成する対向した両通路壁からそれぞれ離間し、かつ、通風方向に対面して前後に離間して配置して形成された両端開放共鳴型吸音通路を設けたことを特徴とする通風可能な消音装置。
  2. 主通路を通路壁で格子状に分割して形成した複数の単位通気通路を持つ消音装置において、該単位通気通路内に、筒状部材は又は筒状部材の一部を、該単位通気通路を構成する対向した両通路壁からそれぞれ離間し、かつ、側面を通風方向に向けて配設して形成された両端開放共鳴型吸音通路を設けたことを特徴とする通風可能な消音装置。
  3. 前記両端開放型吸音通路を前記単位通気通路の音源と反対側に配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の通風可能な消音装置。
  4. 前記両端開放型吸音通路の長さを変えて、別の単位通気通路内に分配して設けるか、又は同一単位通気通路内に複数個設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通風可能な消音装置。
  5. 前記通風可能な消音装置を、前記両端開放型吸音通路を分割する分割体の結合体として構成し、それぞれの分割体を型成形法により一体成形した後に、これらの分割体を接合して一体化して該通風可能な消音装置を形成することを特徴とする請求項1、又は、3、4のいずれかに記載の通風可能な消音装置の製造方法。
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