JP2004175200A - エンジンアンダーカバー及びエンジンカバー - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、エンジンルームの限られたスペース内で効果的な吸音を実現することができるエンジンアンダーカバー等の提供を目的とする。
【解決手段】本発明によれば、エンジンルーム内のエンジン4に下方から対向するように設けられる略平らな基材22と、前記基材の両表面に設けられる吸音材24a,24bとを備えることを特徴とするエンジンアンダーカバー20が提供される。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明によれば、エンジンルーム内のエンジン4に下方から対向するように設けられる略平らな基材22と、前記基材の両表面に設けられる吸音材24a,24bとを備えることを特徴とするエンジンアンダーカバー20が提供される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンルーム内に設けられるエンジンカバー及びエンジンアンダーカバーの吸音構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンルーム内に設けられる吸音・遮音構造体に関して種々の提案がなされている。例えば、エンジンルームの内壁等に端部が固定された、複数の網状(ハニカム状)の通気孔を有する板状の通気性部材と、当該通気性部材の両面に設けられる吸音材とから構成される吸音構造体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この従来の吸音構造体においては、通気性部材は、通気抵抗を増大しないよう冷却風の流れに沿うように設けられ、また、吸音材は、両面から入射する音に対して吸音効果が得られるように、通気性部材の通気孔を両面から覆うように設けられており、通気孔内の音の共鳴を利用して吸音効果が高められている。
【0003】
また、従来のエンジンアンダーカバーとして、互いに離間した2枚の板材に多数の貫通孔を設けたエンジンアンダーカバーが知られている(例えば、特許文献2参照。)。この従来のエンジンアンダーカバーによれば、多数の貫通穴によりエンジンルームへの外気の通風を確保しつつ、貫通穴の開口部の空気質量と2枚の板材間の空気層との空気ばね作用により、多数の貫通穴を通過する音波を減衰すること(即ち、エンジンアンダーカバーの遮音性を向上すること)が可能となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−161283号公報
【特許文献2】
特開2000−272439号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンルーム内に吸音構造体等を設置する場合、一般的には、エンジンのような音源の周辺に設置することが有効となる。しかしながら、エンジンルーム内にはエンジンを中心として補器類やバッテリー等のような種々の部品が密集しており、その設置スペースが非常に限定されることになる。従って、エンジンルーム内に吸音構造体等を設ける場合には、エンジン回りの部品の制約となることなく、その限られた設置スペースを如何に有効に利用して効率的な吸音性能を実現できるかが重要な課題となる。
【0006】
これに対して、上記特許文献1に開示されるような積層構造の吸音構造体をエンジンルーム内に新たに設けることは、部品点数の増加によるコストの増加を招くばかりでなく、エンジン回りの部品に対する制約となり、エンジンルーム内の限られたスペースを圧迫してしまうことになる。また、上記特許文献2に開示されるエンジンアンダーカバーは、金属製の板材を2枚も使用するため、コスト面及び重量面で問題点を有するばかりでなく、厚さ方向にスペースを必要とし、エンジンルーム内の限られたスペースを圧迫してしまうことになる。
【0007】
そこで、本発明は、エンジンルームの限られたスペース内で効果的な吸音を実現することができる、エンジンアンダーカバー及びエンジンカバーの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載する如く、エンジンの下方に設けられる略平らな基材と、
前記基材の両面に設けられる吸音材とを備えることを特徴とする、エンジンアンダーカバーにより、又は、
請求項2に記載する如く、エンジンの上方に設けられる略平らな基材と、
前記基材の両面に設けられる吸音材とを備えることを特徴とする、エンジンカバーにより達成される。
【0009】
本発明において、エンジンアンダーカバーやエンジンカバーの基材の両面には吸音材が設けられる。この基材は、略平らな形状を有するが、その剛性を高めるため、若しくは、対応するエンジンの形状や関連部品の形状等に応じて、局所的に凹凸のある部位やリブ等を有してもよい。この基材の材料は、通常使用されるエンジンアンダーカバーやエンジンカバーの基材の材料であってよく、吸音材の材料についても吸音性を有する通常的な材料であってよい。本発明によれば、エンジンアンダーカバーやエンジンカバーの両面に吸音性を持たせることにより、エンジンルームの限られたスペース内で効果的な吸音を実現することができる。
【0010】
即ち、エンジンアンダーカバーについては、エンジンアンダーカバーの通気孔等を介して一旦車外に放出された音に対しても、地面等との反射後にエンジンアンダーカバーの裏面(エンジンと対向しない側の面)で吸音を図ることができる。特に、地面とエンジンアンダーカバーの裏面との間では音の反射が繰り返し行われるため、エンジンアンダーカバーの裏面で効果的な吸音を図ることができる。同様に、エンジンカバーについては、エンジンからの直接音をエンジンカバーの裏面で吸収することができると共に、車外騒音や車内騒音の原因となりうるエンジンルーム内の音を、エンジンカバーの表面(エンジンと対向しない側の面)で吸収することができる。特に、フードパネルとエンジンカバーの表面との間では音の反射が繰り返し行われるため、エンジンカバーの表面で効果的な吸音を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるエンジンアンダーカバー及びエンジンカバーが適用された車両のエンジンルーム内を概略的に示す斜視図である。本発明の第1実施例は、エンジン4を下方から覆うエンジンアンダーカバー20(以下、「アンダーカバー20」という)として具現化される。尚、本発明は、エンジンルーム内の限られたスペースを考慮して、エンジンルーム内の既存の部材(エンジンアンダーカバー及びエンジンカバー)として具現化される。
【0012】
一般的に、アンダーカバー20は、エンジンルーム10の下部に取り付けられ、エンジン4のオイルパン等が路上の突起物と直接衝突するのを防止すると共に、エンジンルーム10から車外に放出される騒音を低減する役割を果たす。アンダーカバー20は、その取り付け面積が大きいほど遮音効果が高くなるが、通常的には、エンジンルーム10の通風性の観点からその取り付け範囲が制約を受けることになる。尚、本発明は、特にこのアンダーカバー20の取り付け範囲を限定するものではなく、アンダーカバー20の取り付け範囲は、エンジン4の搭載位置、大きさや他の関連部品のレイアウト等に応じて多種多様であってよい。
【0013】
図2は、ラインI−Iで切断した際の図1のエンジンルームを示す断面図である。本実施例のアンダーカバー20は、基材22と、基材22の両面に設けられた吸音材24(24a,24b)とから構成されている。吸音材24は、吸音性能を有する材料から形成されており、基材22の両面に例えば接着剤により固着されている。尚、吸音材24は、グラスウールやロックウール等の無機質繊維、アルミニウム繊維等の金属繊維材料、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等のような合成樹脂発泡体、ウレタンやゴム系の軟質な材料、多孔質材料等から形成されてよい。
【0014】
ところで、エンジン4からの放射音がアンダーカバー20の表面(エンジンルーム側の面)に入射した場合、放射音が基材22で反射した際に吸音材24aによりそのエネルギが吸収される。しかしながら、上述の如く、アンダーカバー20は、一般的には、エンジンルーム10の通風性を確保するため、通気孔26を有しているか、若しくは、その取り付け範囲が制限されており、エンジンルーム10の下部を完全に閉塞していない。このため、エンジンルーム10内の音は、アンダーカバー20の通気孔26やアンダーカバー20が設けられていない隙間を通過して、車外に放出されることになる。
【0015】
これに対して、本実施例によれば、車外に放出される音に対しても、アンダーカバー20の裏面の吸音材24bにより吸音を実現することができる。即ち、アンダーカバー20の通気孔26等を通過して車外に放出される音は、地面等の車外の反射面で反射した後に、アンダーカバー20の裏面に入射することになる。従って、本実施例によれば、アンダーカバー20の裏面に吸音材24bを設けることにより、車外騒音を大幅に低減することができる。特に、このようにして車外に放出される音は、図2中に矢印により示すように、地面等とアンダーカバー20の裏面との間で反射を繰り返すため、アンダーカバー20の裏面に設けた吸音材24bにより効果的な吸音を図ることができる。
【0016】
次に、図3を参照して、本発明の第2実施例であるエンジンカバーについて説明する。
【0017】
エンジンカバー70は、図1にも示すように、一般的に、エンジン4とフードパネル8との間に配設され、エンジン4のシリンダーヘッドカバー(図示せず)を上方から覆うように装着される。このエンジンカバー70は、エンジン4の音を直接吸収すると共に、エンジン4の意匠性を高める役割を果たす。エンジンカバー70は、エンジン4の近傍に装着されるため、耐熱性及び遮音性が必要されると共に、エンジン4が発する熱を外部に放出するための通気性が必要される。尚、本発明は、特にこのエンジンカバー70の取り付け領域、形状や大きさ等を限定するものではなく、エンジンカバー70の形状や大きさ等は、対応するエンジン4に応じて多種多様であってよい。
【0018】
フードパネル8は、車両前部のフード部(ボンネット)を構成し、車外側のフードアウタパネルと、エンジンルーム側のフードインナパネルとがそれぞれの縁部で結合された2重パネル構造を有する(図3参照)。フードパネル8を構成する各パネルは、フード部の軽量化のため、平板状の薄板から形成されている。フードパネル8の裏面(エンジンルーム側の面)には、フードインシュレータとも称される、フェルト等により形成されたフードサイレンサー(図3参照)が設けられている。
【0019】
図3は、ラインI−Iで切断した際の図1のエンジンルームを示す断面図である。本実施例のエンジンカバー70は、基材72と、基材72の両面に設けられた吸音材74(74a,74b)とから構成されている。吸音材74は、吸音性能を有する材料から形成されており、基材72の両面に例えば接着剤により固着されている。尚、吸音材74は、グラスウールやロックウール等の無機質繊維、アルミニウム繊維等の金属繊維材料、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等のような合成樹脂発泡体、ウレタンやゴム系の軟質な材料、多孔質材料等から形成されてよい。
【0020】
ところで、エンジン4から放射されエンジンルーム内に放出された音は、エンジンルーム内の各部で反射を繰り返しつつ、様々な方向性を有して伝播している。かかるエンジンルーム内の音は、エンジンルーム内の各吸音材や遮音材等により吸収されることなく、フロントグリルや上述したアンダーカバー20の通気孔26等を通って車外に放出される場合があり、また、ダッシュパネル等を介して車内へと透過する場合があり、車外騒音と共に車内騒音の原因となりうる。
【0021】
これに対して、本実施例によれば、エンジンカバー70の表面(フードパネル8と対向する側の面)に吸音材74aを設けることにより、エンジンルーム内の音を効率的に低減することができ、結果的に、車外騒音及び車内騒音を大幅に低減することができる。即ち、エンジンルーム内の音は様々な方向性を有して伝播しているため、エンジンカバー70の表面に、エンジンルーム内の各部で反射した音が入射される場合がある。特にエンジンカバー70の表面で反射する音は、図3中に矢印により示すように、フードパネル8の裏面(フードサイレンサー)とエンジンカバー70の表面との間で反射を繰り返すことになるため、エンジンカバー70の表面に設けた吸音材74aにより効果的な吸音を図ることができる。
【0022】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0023】
例えば、上述の各実施例において、吸音材24a,24b及び74a,74bの適用範囲は、必ずしも図2や図3に示すようなアンダーカバー20及びエンジンカバー70の両面の略全領域である必要はなく、必要な領域に局所的に設けられてもよい。例えば、図2において、吸音材24a,24bは、アンダーカバー20の通気性を高めるため、通気孔26に対応する領域には設けられなくてもよい。また、吸音材24a,24b及び74a,74bの材料は、必ずしもそれぞれ同一である必要はなく、例えばアンダーカバー20の裏面の吸音材24bが、防水性等に比較的優れた材料により形成されてもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したようなものであるから、以下に記載されるような効果を奏する。即ち、本発明によれば、エンジンルームの限られたスペース内で効果的な吸音を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエンジンアンダーカバー及びエンジンカバーが適用された車両のエンジンルーム内を概略的に示す斜視図である。
【図2】ラインI−Iで切断した際の図1のエンジンルームを示す断面図であり、本発明によるエンジンアンダーカバーの説明図である。
【図3】ラインI−Iで切断した際の図1のエンジンルームを示す断面図であり、本発明によるエンジンカバーの説明図である。
【符号の説明】
4 エンジン
6 フードパネル
10 エンジンルーム
20 アンダーカバー
22 基材
24a,24b 吸音材
70 エンジンカバー
72 基材
74a,74b 吸音材
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンルーム内に設けられるエンジンカバー及びエンジンアンダーカバーの吸音構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンルーム内に設けられる吸音・遮音構造体に関して種々の提案がなされている。例えば、エンジンルームの内壁等に端部が固定された、複数の網状(ハニカム状)の通気孔を有する板状の通気性部材と、当該通気性部材の両面に設けられる吸音材とから構成される吸音構造体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この従来の吸音構造体においては、通気性部材は、通気抵抗を増大しないよう冷却風の流れに沿うように設けられ、また、吸音材は、両面から入射する音に対して吸音効果が得られるように、通気性部材の通気孔を両面から覆うように設けられており、通気孔内の音の共鳴を利用して吸音効果が高められている。
【0003】
また、従来のエンジンアンダーカバーとして、互いに離間した2枚の板材に多数の貫通孔を設けたエンジンアンダーカバーが知られている(例えば、特許文献2参照。)。この従来のエンジンアンダーカバーによれば、多数の貫通穴によりエンジンルームへの外気の通風を確保しつつ、貫通穴の開口部の空気質量と2枚の板材間の空気層との空気ばね作用により、多数の貫通穴を通過する音波を減衰すること(即ち、エンジンアンダーカバーの遮音性を向上すること)が可能となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−161283号公報
【特許文献2】
特開2000−272439号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンルーム内に吸音構造体等を設置する場合、一般的には、エンジンのような音源の周辺に設置することが有効となる。しかしながら、エンジンルーム内にはエンジンを中心として補器類やバッテリー等のような種々の部品が密集しており、その設置スペースが非常に限定されることになる。従って、エンジンルーム内に吸音構造体等を設ける場合には、エンジン回りの部品の制約となることなく、その限られた設置スペースを如何に有効に利用して効率的な吸音性能を実現できるかが重要な課題となる。
【0006】
これに対して、上記特許文献1に開示されるような積層構造の吸音構造体をエンジンルーム内に新たに設けることは、部品点数の増加によるコストの増加を招くばかりでなく、エンジン回りの部品に対する制約となり、エンジンルーム内の限られたスペースを圧迫してしまうことになる。また、上記特許文献2に開示されるエンジンアンダーカバーは、金属製の板材を2枚も使用するため、コスト面及び重量面で問題点を有するばかりでなく、厚さ方向にスペースを必要とし、エンジンルーム内の限られたスペースを圧迫してしまうことになる。
【0007】
そこで、本発明は、エンジンルームの限られたスペース内で効果的な吸音を実現することができる、エンジンアンダーカバー及びエンジンカバーの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載する如く、エンジンの下方に設けられる略平らな基材と、
前記基材の両面に設けられる吸音材とを備えることを特徴とする、エンジンアンダーカバーにより、又は、
請求項2に記載する如く、エンジンの上方に設けられる略平らな基材と、
前記基材の両面に設けられる吸音材とを備えることを特徴とする、エンジンカバーにより達成される。
【0009】
本発明において、エンジンアンダーカバーやエンジンカバーの基材の両面には吸音材が設けられる。この基材は、略平らな形状を有するが、その剛性を高めるため、若しくは、対応するエンジンの形状や関連部品の形状等に応じて、局所的に凹凸のある部位やリブ等を有してもよい。この基材の材料は、通常使用されるエンジンアンダーカバーやエンジンカバーの基材の材料であってよく、吸音材の材料についても吸音性を有する通常的な材料であってよい。本発明によれば、エンジンアンダーカバーやエンジンカバーの両面に吸音性を持たせることにより、エンジンルームの限られたスペース内で効果的な吸音を実現することができる。
【0010】
即ち、エンジンアンダーカバーについては、エンジンアンダーカバーの通気孔等を介して一旦車外に放出された音に対しても、地面等との反射後にエンジンアンダーカバーの裏面(エンジンと対向しない側の面)で吸音を図ることができる。特に、地面とエンジンアンダーカバーの裏面との間では音の反射が繰り返し行われるため、エンジンアンダーカバーの裏面で効果的な吸音を図ることができる。同様に、エンジンカバーについては、エンジンからの直接音をエンジンカバーの裏面で吸収することができると共に、車外騒音や車内騒音の原因となりうるエンジンルーム内の音を、エンジンカバーの表面(エンジンと対向しない側の面)で吸収することができる。特に、フードパネルとエンジンカバーの表面との間では音の反射が繰り返し行われるため、エンジンカバーの表面で効果的な吸音を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるエンジンアンダーカバー及びエンジンカバーが適用された車両のエンジンルーム内を概略的に示す斜視図である。本発明の第1実施例は、エンジン4を下方から覆うエンジンアンダーカバー20(以下、「アンダーカバー20」という)として具現化される。尚、本発明は、エンジンルーム内の限られたスペースを考慮して、エンジンルーム内の既存の部材(エンジンアンダーカバー及びエンジンカバー)として具現化される。
【0012】
一般的に、アンダーカバー20は、エンジンルーム10の下部に取り付けられ、エンジン4のオイルパン等が路上の突起物と直接衝突するのを防止すると共に、エンジンルーム10から車外に放出される騒音を低減する役割を果たす。アンダーカバー20は、その取り付け面積が大きいほど遮音効果が高くなるが、通常的には、エンジンルーム10の通風性の観点からその取り付け範囲が制約を受けることになる。尚、本発明は、特にこのアンダーカバー20の取り付け範囲を限定するものではなく、アンダーカバー20の取り付け範囲は、エンジン4の搭載位置、大きさや他の関連部品のレイアウト等に応じて多種多様であってよい。
【0013】
図2は、ラインI−Iで切断した際の図1のエンジンルームを示す断面図である。本実施例のアンダーカバー20は、基材22と、基材22の両面に設けられた吸音材24(24a,24b)とから構成されている。吸音材24は、吸音性能を有する材料から形成されており、基材22の両面に例えば接着剤により固着されている。尚、吸音材24は、グラスウールやロックウール等の無機質繊維、アルミニウム繊維等の金属繊維材料、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等のような合成樹脂発泡体、ウレタンやゴム系の軟質な材料、多孔質材料等から形成されてよい。
【0014】
ところで、エンジン4からの放射音がアンダーカバー20の表面(エンジンルーム側の面)に入射した場合、放射音が基材22で反射した際に吸音材24aによりそのエネルギが吸収される。しかしながら、上述の如く、アンダーカバー20は、一般的には、エンジンルーム10の通風性を確保するため、通気孔26を有しているか、若しくは、その取り付け範囲が制限されており、エンジンルーム10の下部を完全に閉塞していない。このため、エンジンルーム10内の音は、アンダーカバー20の通気孔26やアンダーカバー20が設けられていない隙間を通過して、車外に放出されることになる。
【0015】
これに対して、本実施例によれば、車外に放出される音に対しても、アンダーカバー20の裏面の吸音材24bにより吸音を実現することができる。即ち、アンダーカバー20の通気孔26等を通過して車外に放出される音は、地面等の車外の反射面で反射した後に、アンダーカバー20の裏面に入射することになる。従って、本実施例によれば、アンダーカバー20の裏面に吸音材24bを設けることにより、車外騒音を大幅に低減することができる。特に、このようにして車外に放出される音は、図2中に矢印により示すように、地面等とアンダーカバー20の裏面との間で反射を繰り返すため、アンダーカバー20の裏面に設けた吸音材24bにより効果的な吸音を図ることができる。
【0016】
次に、図3を参照して、本発明の第2実施例であるエンジンカバーについて説明する。
【0017】
エンジンカバー70は、図1にも示すように、一般的に、エンジン4とフードパネル8との間に配設され、エンジン4のシリンダーヘッドカバー(図示せず)を上方から覆うように装着される。このエンジンカバー70は、エンジン4の音を直接吸収すると共に、エンジン4の意匠性を高める役割を果たす。エンジンカバー70は、エンジン4の近傍に装着されるため、耐熱性及び遮音性が必要されると共に、エンジン4が発する熱を外部に放出するための通気性が必要される。尚、本発明は、特にこのエンジンカバー70の取り付け領域、形状や大きさ等を限定するものではなく、エンジンカバー70の形状や大きさ等は、対応するエンジン4に応じて多種多様であってよい。
【0018】
フードパネル8は、車両前部のフード部(ボンネット)を構成し、車外側のフードアウタパネルと、エンジンルーム側のフードインナパネルとがそれぞれの縁部で結合された2重パネル構造を有する(図3参照)。フードパネル8を構成する各パネルは、フード部の軽量化のため、平板状の薄板から形成されている。フードパネル8の裏面(エンジンルーム側の面)には、フードインシュレータとも称される、フェルト等により形成されたフードサイレンサー(図3参照)が設けられている。
【0019】
図3は、ラインI−Iで切断した際の図1のエンジンルームを示す断面図である。本実施例のエンジンカバー70は、基材72と、基材72の両面に設けられた吸音材74(74a,74b)とから構成されている。吸音材74は、吸音性能を有する材料から形成されており、基材72の両面に例えば接着剤により固着されている。尚、吸音材74は、グラスウールやロックウール等の無機質繊維、アルミニウム繊維等の金属繊維材料、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等のような合成樹脂発泡体、ウレタンやゴム系の軟質な材料、多孔質材料等から形成されてよい。
【0020】
ところで、エンジン4から放射されエンジンルーム内に放出された音は、エンジンルーム内の各部で反射を繰り返しつつ、様々な方向性を有して伝播している。かかるエンジンルーム内の音は、エンジンルーム内の各吸音材や遮音材等により吸収されることなく、フロントグリルや上述したアンダーカバー20の通気孔26等を通って車外に放出される場合があり、また、ダッシュパネル等を介して車内へと透過する場合があり、車外騒音と共に車内騒音の原因となりうる。
【0021】
これに対して、本実施例によれば、エンジンカバー70の表面(フードパネル8と対向する側の面)に吸音材74aを設けることにより、エンジンルーム内の音を効率的に低減することができ、結果的に、車外騒音及び車内騒音を大幅に低減することができる。即ち、エンジンルーム内の音は様々な方向性を有して伝播しているため、エンジンカバー70の表面に、エンジンルーム内の各部で反射した音が入射される場合がある。特にエンジンカバー70の表面で反射する音は、図3中に矢印により示すように、フードパネル8の裏面(フードサイレンサー)とエンジンカバー70の表面との間で反射を繰り返すことになるため、エンジンカバー70の表面に設けた吸音材74aにより効果的な吸音を図ることができる。
【0022】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0023】
例えば、上述の各実施例において、吸音材24a,24b及び74a,74bの適用範囲は、必ずしも図2や図3に示すようなアンダーカバー20及びエンジンカバー70の両面の略全領域である必要はなく、必要な領域に局所的に設けられてもよい。例えば、図2において、吸音材24a,24bは、アンダーカバー20の通気性を高めるため、通気孔26に対応する領域には設けられなくてもよい。また、吸音材24a,24b及び74a,74bの材料は、必ずしもそれぞれ同一である必要はなく、例えばアンダーカバー20の裏面の吸音材24bが、防水性等に比較的優れた材料により形成されてもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したようなものであるから、以下に記載されるような効果を奏する。即ち、本発明によれば、エンジンルームの限られたスペース内で効果的な吸音を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエンジンアンダーカバー及びエンジンカバーが適用された車両のエンジンルーム内を概略的に示す斜視図である。
【図2】ラインI−Iで切断した際の図1のエンジンルームを示す断面図であり、本発明によるエンジンアンダーカバーの説明図である。
【図3】ラインI−Iで切断した際の図1のエンジンルームを示す断面図であり、本発明によるエンジンカバーの説明図である。
【符号の説明】
4 エンジン
6 フードパネル
10 エンジンルーム
20 アンダーカバー
22 基材
24a,24b 吸音材
70 エンジンカバー
72 基材
74a,74b 吸音材
Claims (2)
- エンジンの下方に設けられる略平らな基材と、
前記基材の両面に設けられる吸音材とを備えることを特徴とする、エンジンアンダーカバー。 - エンジンの上方に設けられる略平らな基材と、
前記基材の両面に設けられる吸音材とを備えることを特徴とする、エンジンカバー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002342837A JP2004175200A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | エンジンアンダーカバー及びエンジンカバー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002342837A JP2004175200A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | エンジンアンダーカバー及びエンジンカバー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004175200A true JP2004175200A (ja) | 2004-06-24 |
Family
ID=32704778
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002342837A Pending JP2004175200A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | エンジンアンダーカバー及びエンジンカバー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004175200A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008144664A (ja) * | 2006-12-08 | 2008-06-26 | Furukawa Sky Kk | 燃料電池車の排気装置 |
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- 2002-11-26 JP JP2002342837A patent/JP2004175200A/ja active Pending
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