JP6048966B2 - 真空バルブ用接点材料及びその製造方法 - Google Patents

真空バルブ用接点材料及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、高耐圧性能を要求される真空バルブ用接点材料及びその製造方法に関するものである。
高耐圧向けの真空バルブ用接点では、高耐圧の性質を有するCrを、高導電体のCuに分散させたCu−Cr系材料又は高導電体のAgに分散させたAg−Cr系材料がよく用いられている。遮断性能を高めるために、遮断時のアーク継続を抑制する手法が検討されている。例えば、特許文献1には、Cu−Cr系材料において、50〜200ppmの炭素を全体に均一に分散させることにより、実質的な融点を高め、これにより遮断時のアークにより発生する金属蒸気の発生を抑制してアークを消滅しやすくすることが提案されている。
特開2003−183749号公報
しかしながら、特許文献1の接点材料では、炭素濃度が50〜200ppmと低いため、耐電圧性能及び耐溶着性能が不十分であるという問題がある。仮に、特許文献1の接点材料において炭素を多量に含有させたとしても、Cr粉末表面の炭化Crの生成量が増加するため、CuとCrとの濡れ性が低下し、溶浸が阻害され、密度が低下するという問題が生じる。その結果、耐電圧性能が低下することになる。
従って、本発明では、密度が高く且つ耐電圧性能に優れた真空バルブ用接点材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る真空バルブ用接点材料は、33重量%以上63重量%以下のCu及び1重量%以上21重量%以下のNiからなる母相中に35重量%以上65重量%以下のCr粒子が分散し、且つ炭素濃度が0.1重量%以上5.9重量%以下である炭素拡散濃化層を接点表面に有することを特徴とするものである。
本発明に係る真空バルブ用接点材料の製造方法は、Cr粉末とCu粉末とNi粉末との混合物を加圧して圧粉体を形成する工程と、圧粉体を真空雰囲気中で焼結してスケルトンを形成する工程と、表面の材質が炭素である敷板の上にスケルトンを載せるとともにスケルトン上にCu板を載せた後、真空雰囲気中で溶浸する工程とを備えることを特徴とするものである。
更に、本発明に係る真空バルブ用接点材料の製造方法は、Cr粉末とCu粉末との混合物を加圧して圧粉体を形成する工程と、圧粉体を真空雰囲気中で焼結してスケルトンを形成する工程と、表面の材質が炭素である敷板の上にスケルトンを載せるとともにスケルトン上にCu−Ni合金板を載せた後、真空雰囲気中で溶浸する工程とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、密度が高く且つ耐電圧性能に優れた真空バルブ用接点材料を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る真空バルブ用接点材料を適用した真空バルブの一例を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態に係る真空バルブ用接点材料の組織構造を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態に係る真空バルブ用接点材料の製法において、Cuの溶浸時に接点表面に炭素が拡散していく状況を示す模式図である。 実施例1−2で得られた真空バルブ用接点材料の接点表面から深さ方向への炭素(C)濃度分布を示す図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による真空バルブ用接点材料を適用した真空バルブの一例を示す模式断面図である。真空バルブ1は遮断室2を備えている。この遮断室2は、円筒状に形成された絶縁容器3とその両端に封止金具4a,4bにより固定された金属蓋5a、5bとで構成され、真空気密となっている。遮断室2内には、固定電極棒6と可動電極棒7とが対向するように取り付けられている。固定電極棒6及び可動電極棒7の端部には、固定電極8及び可動電極9がそれぞれロウ付により取り付けられ、それぞれの接触部には、固定接点10及び可動接点11がロウ付により取り付けられている。可動電極棒7には、ベローズ12が取り付けられ、遮断室2の内部を真空気密に保持しながら可動電極9の軸方向の移動を可能にしている。ベローズ12の上部には、金属製のベローズ用アークシールド13が設けられ、ベローズ12にアーク蒸気が付着することを防止している。また、固定電極8及び可動電極9を覆うように、遮断室2内に金属製の絶縁容器用アークシールド14が設けられ、絶縁容器3がアーク蒸気で覆われることを防止している。
固定接点10及び可動接点11には、本実施の形態による真空バルブ用接点材料が使用されている。これらの真空バルブ用接点材料は、真空バルブ用接点材料の炭素拡散濃化層を有する表面が対向するように固定電極8及び可動電極9にそれぞれ取り付けられている。図2は、本実施の形態による真空バルブ用接点材料の組織構造を示す模式断面図である。図2に示されるように、本実施の形態による真空バルブ用接点材料は、Cu及びNiからなる母相21中にCr粒子22が分散しており、接点表面近傍には、炭素23の濃度が高められて炭素濃度が0.1重量%以上5.9重量%以下である炭素拡散濃化層24が存在している。本実施の形態による真空バルブ用接点材料は、特許文献1による接点材料とは異なり、炭素23が接点表面近傍に高濃度で存在しているので、高密度を維持しつつ高い耐電圧性を達成することができる。
母相21を構成するCuは、真空バルブ用接点材料に対して、33重量%以上63重量%以下含まれることが必要であり、より高い耐電圧性能と遮断性能を得るという観点から、45重量%以上60重量%以下含まれることが好ましい。Cuの含有量が33重量%未満であると、遮断性能が低下し、一方、63重量%を超えると、耐電圧性能が低下する。母相21を構成するNiは、真空バルブ用接点材料に対して、1重量%以上21重量%以下含まれることが必要であり、より高濃度の炭素拡散濃化層の形成とより高い遮断性能を得るという観点から、3重量%以上11重量%以下含まれることが好ましい。Niの含有量が1重量%未満であると、炭素拡散濃化層の炭素濃度が低下し、一方、21重量%を超えると、遮断性能が低下する。また、母相21中に分散されたCr粒子22は、真空バルブ用接点材料に対して、35重量%以上65重量%以下含まれることが必要であり、より高い耐電圧性能と遮断性能を得るという観点から、40重量%以上55重量%以下含まれることが好ましい。Crの含有量が35重量%未満であると、耐電圧性能が低下し、一方、65重量%を超えると、遮断性能が低下する。
また、炭素拡散濃化層24における炭素濃度が0.1重量%未満であると、十分な耐電圧性能が得られず、一方、5.9重量%を超える炭素濃度を達成するにはNiを多量に添加する必要があり、それにより遮断性能が低下する。炭素拡散濃化層24における炭素濃度は、より高い耐電圧性能と遮断性能を得るという観点から、0.15重量%以上3重量%以下含まれることが好ましい。この炭素拡散濃化層24は、より優れた耐電圧性能を得る観点から、接点表面から少なくとも100μmの深さまで存在することが好ましく、接点表面から300μmの深さまで存在することがより好ましい。
本実施の形態による真空バルブ用接点材料の相対密度は、通常、理論密度の99%以上を達成することができ、Crの含有量を調整することで理論密度の99.5%以上も達成可能である。このように、本実施の形態による真空バルブ用接点材料は、相対密度が非常に高いので、内部の残留ガスが極めて少なく、遮断性能にばらつきを生じることがない。なお、相対密度は下式により求められる。
相対密度(%)=(接点材料の測定密度/組成分析値から求めた接点材料の理論密度)×100
なお、本実施の形態による真空バルブ用接点材料には、原料粉末に含まれる微量の不可避の不純物(Ag、Al、Fe、Si、C(最大で0.05重量%程度)、P、O、N、Hなど)も含有されている。
上述したような組織構造を有する本実施の形態による真空バルブ用接点材料は、Cr粉末とCu粉末とNi粉末との混合物を加圧して圧粉体を形成する工程、圧粉体を真空雰囲気中で焼結してスケルトンを形成する工程、及び表面の材質が炭素である敷板の上にスケルトンを載せるとともにスケルトン上にCu板を載せた後、真空雰囲気中で溶浸する工程を経て製造することができる。図3は、本実施の形態による真空バルブ用接点材料の製法において、Cuの溶浸時に接点表面に炭素が拡散していく状況を示す模式図である。図3に示すように、スケルトン25上に載置されたCu板26が溶融されてスケルトン25に浸透して溶浸体が形成される際、炭素23と反応しやすいCu−Ni融液が、表面の材質が炭素である敷板27に接触することで、敷板27表面の炭素23がCu−Ni融液中へ拡散し、接点表面近傍に炭素23が濃化された層が形成される。また、炭素23が溶融されたCuへ直接拡散するため、CuとCr粒子との濡れ性が低下することがなく、密度が低下することがない。
また、本実施の形態による真空バルブ用接点材料は、上記製造工程において、Cr粉末とCu粉末とNi粉末との混合物の代わりにCr粉末とCu粉末との混合物を用い、且つCu板の代わりにCu−Ni合金板を用いることでも製造することができる。後者の製法は、前者の製法と比べて、Cu−Ni融液中へ炭素を拡散させやすいという特長がある。
原料粉末混合物から圧粉体を形成する際の圧力は、特に限定されるものではないが、通常、10MPa以上150MPa以下である。スケルトンを形成する際の焼結は、通常、1100℃以上1300℃以下で0.5時間以上10時間以下行えばよい。また、Cuの溶浸は、1100℃以上1300℃以下で0.5時間以上5時間以下行うのが適当である。
本実施の形態による真空バルブ用接点材料の製造に使用するCr粉末の平均粒径は、特に限定されるものではないが、スケルトン形成という観点から、平均粒径が20μm以上125μm以下のものを使用することが好ましい。Cu粉末の平均粒径は、特に限定されるものではないが、微細分散という観点から、平均粒径が1μm以上50μm以下のものを使用することが好ましい。また、Ni粉末の平均粒径は、特に限定されるものではないが、微細分散という観点から、平均粒径が1μm以上50μm以下のものを使用することが好ましい。
更に、原料粉末混合物におけるCr粉末、Cu粉末及びNi粉末の配合量は、得られる真空バルブ用接点材料中のCr含有量、Cu含有量及びNi含有量が上述した重量割合となるように適宜調整すればよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、実施例1−1、実施例2−1及び実施例3−1〜3−7は、参考例とする。
〔例1〕
Cr粉末を目空き径45μmのふるいに通して、平均粒径20μmとし、これに平均粒径1μmのCu粉末と平均粒径1μmのNi粉末を所定量添加して撹拌混合した後、内径90mmの金型内に充填して100MPaで加圧し、外径90mmの圧粉体を形成した。得られた圧粉体を真空雰囲気中、1100℃で2時間の焼結を行って所定の気孔率を有するCrを主体とするスケルトンを作製した。得られたCrスケルトンをカーボンの敷板上に載せた後、Crスケルトン上に外径75mmのCu板を載せ、真空雰囲気中、1150℃で1時間の加熱を行い、Cu板を溶かしてスケルトン内部に浸透させ、表1に示す組成を有する外径90mm×板厚10mmのCu−Cr−Ni接点材料を得た(実施例1−1〜1−5及び比較例1−1)。
また、比較のため、Ni粉末を加えずに同様のプロセスで外径90mm×板厚10mmのCu−Cr接点材料(比較例1−2)を得た。
作製した接点材料について、接点表面の炭素濃度、接点の密度及び接点の耐電圧性能を評価した。接点表面の炭素濃度測定はEDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)により電子線の加速電圧15kV、照射電流10nAの条件で実施した。密度評価では、板厚方向の中央部から外径80×板厚5.5mmの円板を切り出してアルキメデス法を用いて密度を測定し、相対密度を求めた。また、耐電圧性能評価では、板厚方向の中央部から外径20mm×板厚5.5mmの円板を切り出して真空バルブに組み付けて接点間距離2mmの条件でインパルス電圧を徐々に上げながら破壊電圧を計測し、電圧印加回数の増加に伴う破壊電圧の増大プロファイルを計測して、その飽和値から耐電圧性能を評価した。なお、破壊電圧の計測の前にはAC100kVの電圧コンディショニングを行った。また、耐電圧性能の評価後に遮断試験を実施した。試験条件は、遮断電流18kArms、遮断電流位相角30〜150degree、再起電圧20.6kVpeak(0.4kV/s)とした。評価結果を表1に示す。
Figure 0006048966
表1の実施例1−1〜1−5から分かるように、本発明の接点材料では副成分としてNiが含まれているため、接点表面で高い炭素濃度が得られる。これは、Crスケルトンに溶融Cuが浸透して溶浸体が形成される際、接点の底面では溶融Cu−Ni融液が敷板のカーボン板と接触することでカーボン板表面のCがCu−Ni融液中へ拡散していくためと考えられる。実施例1−2の接点材料の接点表面から深さ方向の炭素(C)濃度分布のEPMA分析結果を図4に示す。図4から、接点表面から0.5mm程度の深さまで炭素拡散濃化層が存在していることがわかる。他の実施例でも同様の状態が確認されており、炭素拡散濃化層が接点表面に存在することから、これらの実施例における破壊電圧の飽和値が155〜175kVの高い値を示し、高い耐電圧性能が得られた。相対密度についても表面にのみ炭素が局在化しているので全体の密度が低下することはなく、いずれも99%以上の高い値が得られている。ただし、実施例1−5に示すように、20重量%のNiを添加しても接点表面の炭素濃度は実施例1−4の10重量%に比べてほとんど増加することなく、逆に、過剰なNiの影響で遮断試験にて遮断不良が生じ、遮断性能が悪化する結果となった。一方、比較例1−1及び1−2に見られるように、Ni成分が入っていないもしくはNi成分が0.5重量%と少ない場合は、溶浸時にカーボン板表面から炭素がほとんど溶浸体内部へ拡散することがなく、接点表面の炭素濃度が低くなってしまう。その結果、破壊電圧の飽和値が低く、耐電圧性能が低いものとなった。
以上から本実施例では、表面に炭素拡散濃化層を有する高密度な接点材料が得られるため、耐電圧性能に優れた接点材料を得ることができる。
〔例2〕
Cr粉末を目空き径125μmと45μmのふるいに通して、平均粒径75μmとし、これに平均粒径10μmのCu粉末を所定量添加して撹拌混合した後、内径90mmの金型内に充填して100MPaで加圧し、外径90mmの圧粉体を形成した。得られた圧粉体を真空雰囲気中、1100℃で2時間の焼結を行って所定の気孔率を有するCrを主体とするスケルトンを作製した。得られたCrスケルトンをカーボンの敷板上に載せた後、Crスケルトン上に所定量のNiを含む外径75mmのCu−Ni合金板を載せ、真空雰囲気中、1150℃で1時間の加熱を行い、Cu−Ni合金板を溶かしてスケルトン内部に浸透させ、表2に示す組成を有する外径90mm×板厚10mmのCu−Cr−Ni接点材料(実施例2−1〜2−5)を得た。
作製した接点材料について、接点表面の炭素濃度、接点の密度及び接点の耐電圧性能を評価した。接点表面の炭素濃度測定はEDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)により電子線の加速電圧15kV、照射電流10nAの条件で実施した。密度評価では、板厚方向の中央部から外径80×板厚5.5mmの円板を切り出してアルキメデス法を用いて密度を測定し、相対密度を求めた。また、耐電圧性能評価では、板厚方向の中央部から外径20mm×板厚5.5mmの円板を切り出して真空バルブに組み付けて接点間距離2mmの条件でインパルス電圧を徐々に上げながら破壊電圧を計測し、電圧印加回数の増加に伴う破壊電圧の増大プロファイルを計測して、その飽和値から耐電圧性能を評価した。なお、破壊電圧の計測の前にはAC100kVの電圧コンディショニングを行った。また、耐電圧性能の評価後に遮断試験を実施した。試験条件は、遮断電流18kArms、遮断電流位相角30〜150degree、再起電圧20.6kVpeak(0.4kV/s)とした。評価結果を表2に示す。
Figure 0006048966
表2の実施例2−1〜2−5から分かるように、本発明の接点材料では副成分としてNiが含まれているため、接点表面で高い炭素濃度が得られる。これは、Crスケルトンに溶融Cuが浸透して溶浸体が形成される際、接点の底面では溶融Cu−Ni融液が敷板のカーボン板と接触することでカーボン板表面の炭素がCu−Ni融液中へ拡散していくためと考えられる。これらの実施例における破壊電圧の飽和値は158〜175kVの高い値を示し、高い耐電圧性能が得られた。相対密度についても表面にのみ炭素が局在化しているので全体の密度が低下することはなく、いずれも99%以上の高い値が得られている。ただし、実施例2−5に示すように21重量%のNiを添加しても接点表面の炭素濃度は実施例2−4の11重量%に比べてほとんど増加することなく、逆に、過剰なNiの影響で遮断試験にて遮断不良が生じ、遮断性能が悪化する結果となった。
以上から本実施例では、表面に炭素拡散濃化層を有する高密度な接点材料が得られるため、耐電圧性能に優れた接点材料を得ることができる。
〔例3〕
Cr粉末を目空き径180μmと75μmのふるいに通して、平均粒径125μmとし、これに平均粒径50μmのCu粉末と平均粒径50μmのNi粉末を所定量添加して撹拌混合した後、内径90mmの金型内に充填して100MPaで加圧し、外径90mmの圧粉体を形成した。得られた圧粉体を真空雰囲気中、1100℃で2時間の焼結を行って所定の気孔率を有するCrを主体とするスケルトンを作製した。得られたCrスケルトンをカーボンの敷板上に載せた後、Crスケルトン上に外径75mmのCu板を載せ、真空雰囲気中、1150℃で1時間の加熱を行い、該Cu板を溶かして該スケルトン内部に浸透させ、表3に示す組成を有する外径90mm×板厚10mmのCu−Cr−Ni接点材料(実施例3−1〜3−7及び比較例3−1)を得た。
作製した接点材料について、接点表面の炭素濃度、接点の密度及び接点の耐電圧性能を評価した。接点表面の炭素濃度測定はEDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)により電子線の加速電圧15kV、照射電流10nAの条件で実施した。密度評価では、板厚方向の中央部から外径80×板厚5.5mmの円板を切り出してアルキメデス法を用いて密度を測定し、相対密度を求めた。また、耐電圧性能評価では、板厚方向の中央部から外径20mm×板厚5.5mmの円板を切り出して真空バルブに組み付けて接点間距離2mmの条件でインパルス電圧を徐々に上げながら破壊電圧を計測し、電圧印加回数の増加に伴う破壊電圧の増大プロファイルを計測して、その飽和値から耐電圧性能を評価した。なお、破壊電圧の計測の前にはAC100kVの電圧コンディショニングを行った。評価結果を表3に示す。
Figure 0006048966
表3の実施例3−1〜3−7から分かるように、接点材料中のCr組成が35〜65重量%では、99%以上の相対密度が得られた。一方、比較例3−1に見られるように、Cr組成が30重量%になると、接点内部にポアが発生し、99%以上の高い密度が得られなくなった。耐電圧性能については、表3の破壊電圧の飽和値に示すように、実施例3−1〜3−7で154〜171kVの高い値を示し、密度が向上するにつれて耐電圧性能が向上する傾向が見られた。相対密度はCr組成の増加に伴って上昇していることから、Cr含有量の増加によりCrスケルトンの気孔サイズが減少し、溶浸時の溶融Cuの毛細管作用が強くなって溶浸性が向上していることが推測され、これにより内部の欠陥が減少して破壊電圧が向上したことが考えられる。一方、密度の低い比較例3−1では破壊電圧は120kVと低い値であった。
以上から本実施例では、Cr組成が35〜65重量%の範囲において内部にポアのほとんどなく、表面に炭素拡散濃化層を有する接点材料が得られるため、耐電圧性能に優れた接点材料を得ることができる。
1 真空バルブ、2 遮断室、3 絶縁容器、4a、4b 封止金具、5a、5b 金属蓋、6 固定電極棒、7 可動電極棒、8 固定電極、9 可動電極、10 固定接点、11 可動接点、12 ベローズ、13 ベローズ用アークシールド、14 絶縁容器用アークシールド、21 Cu及びNiからなる母相、22 Cr粒子、23 炭素、24 炭素拡散濃化層、25 スケルトン、26 Cu板、27 表面の材質が炭素である敷板。

Claims (3)

  1. 33重量%以上63重量%以下のCu及び重量%以上21重量%以下のNiからなる母相中に35重量%以上65重量%以下のCr粒子が分散し、且つ炭素濃度が0.1重量%以上5.9重量%以下である炭素拡散濃化層を接点表面に有することを特徴とする真空バルブ用接点材料。
  2. 前記炭素拡散濃化層は、接点表面から少なくとも100μmの深さまで存在することを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ用接点材料。
  3. 相対密度が理論密度の99%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空バルブ用接点材料。
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