JP4761932B2 - 真空バルブ用接点材料 - Google Patents

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Description

本発明は、真空バルブ用接点材料に要求される特性の内、耐電圧性能と遮断性能を向上させた真空バルブ用接点材料に関するものである。
一般に、真空遮断器等には高真空中でのアーク拡散性を利用して電流遮断を行う真空バルブが設置されている。この真空バルブは、対向する固定、可動の2つの接点を有しており、その接点材料は溶解法や焼結溶浸法によって作られている。
接点材料は、機械的衝撃、電気的衝撃、熱的衝撃を複合的に受ける過酷な環境下で長期間にわたって繰り返し使用されるため、様々な特性が要求される。特に、耐電圧特性、遮断特性、耐溶着特性に対する各性能で示される基本的な三要件を満たすことが求められている。また、電気抵抗(バルク抵抗と接触抵抗)と温度上昇が低く安定していることも重要な要件である。
上記の要件の中には相反するものがあるため、単一の金属種によって接点材料を製造しても、全ての要件を満足させることは非常に難しい。したがって、現在実用化されている真空バルブ用接点材料では、不足する特性を相互に補えるように2種以上の物質を組合せて製造しており、各特性のバランスをとりながらその用途に適した接点材料を実現している。
例えば、Cuを主たる導電成分とし、これにBi、TeおよびSeのような耐溶着性改善成分が添加された接点材料は、低電圧領域での大電流遮断器に用いられている。また、Agを主たる導電成分とし、これに高融点の耐弧成分であるWCを複合化したAg−WC系の接点材料は、主に低サージ真空遮断器用の接点として利用されている。
さらには、導電成分であるCuに、CrやWのような高融点の耐弧成分を複合化したCu−W系の接点材料やCu−Cr系の接点材料等がある。このうち、Cu−W系の接点材料は、遮断特性こそあまり高くはないが、耐電圧特性が卓越しているので、高耐圧用開閉器に適している。
一方、Cu−Cr系の接点材料は優れた遮断特性を有しており、汎用、高耐圧用遮断器に好適である。Cu−Cr系の接点材料としては、Cu−25wt%Cr接点材料やCu−50wt%Cr接点材料が最も一般的である。前者は通電特性に優れており、後者は耐電圧特性に優れているといった特徴がある。
特開2003−226904号公報
ところで、電気機器の高性能化に対する要求は年々厳しくなっており、真空バルブ用の接点材料に関しても、その特性をいっそう向上させることが期待されている。中でも、基本的な要件となる遮断特性と耐電圧特性については、さらに伸ばすことが望まれていた。
上記特許文献1に記載された接点材料をはじめとして、耐弧成分粒子の均一化や微細化といったように、接点材料を構成する組織から方向性をなくすことを目指したものが多く提案されていた。つまり、従来の接点材料およびその製造技術では、接点材料を構成する組織の方向性については全く顧みられていなかった。そこで、本発明者らは、今までは考慮されていなかった接点材料における組織の方向性に着目し、組織に方向性を持たせることで、遮断特性および耐電圧特性を向上させることを課題とした。
本発明は、このような事情に鑑みて提案されたものであり、その目的は、接点材料の耐弧成分に組織としての方向性を持たせることにより、遮断特性と耐電圧特性の向上を図った真空バルブ用接点材料を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、導電成分のマトリックス中に少なくとも粒子状の耐弧成分を有する真空バルブ用接点材料であって、前記導電成分は、少なくともCuまたはAgのどちらか一方を主成分とし、前記耐弧成分は、長粒径を有する金属粉末を原料として、Cr,W,Nb,Ta,Ti,Mo及びこれらの炭化物の内の少なくとも1種類を含有した成分であり、さらに、前記導電成分を占める領域及び前記耐弧成分を占める領域の組織断面上に、前記真空バルブの通電方向に垂直な直線と、前記真空バルブの通電方向に平行な直線を引き、これら互いに直交する2つの直線が、前記組織断面において前記導電成分を占める領域及び前記耐弧成分を占める領域を通過するとき、一方の直線が前記導電成分と前記耐弧成分との境界部を通過した回数と、他方の直線が前記導電成分と前記耐弧成分との境界部を通過した回数とを、それぞれ数え、両者の通過回数のうち、前記真空バルブの通電方向に垂直な直線における通過回数の方を基準として、この基準とした通過回数で、前記真空バルブの通電方向に平行な直線における通過回数を割った比率が、パーセンテージで表して110%以上となることを特徴としている。
あるいは、接点材料の断面組織に直交する2直線を通過させるとして、一方の直線が前記耐弧成分を占める領域を通過した際の線分の長さの総和と、他方の直線が前記耐弧成分を占める領域を通過した際の線分の長さの総和とを、それぞれ求め、両者の長さの総和のうち、前記真空バルブの通電方向に垂直な直線における線分の長さの総和の方を基準として、この基準とした線分の長さの総和で、前記真空バルブの通電方向に平行な直線における線分の長さの総和を割った比率が、パーセンテージで表して110%以上となることを特徴としたものである。
本発明によれば、真空バルブ用接点材料に組織としての方向性を持たせて、これを制御することができるため、遮断特性と耐電圧特性が大幅に向上し、真空バルブ用接点材料の信頼性・安定性を高めることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(実施形態)について、図面および表を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、各実施形態に包含される実施例、および実施例と電気特性を比較するための比較例を示している。各実施例または各比較例ごとに成分の種類や焼結工程の条件などは異なるが、同一の実施形態に包含される複数の実施例に関しては、その実施形態が持つ標準的な製造条件から特定の製造パラメータのみを変えるものとする。
(1)第1の実施形態
第1の実施形態は、Cuを主成分とした導電成分のCuマトリックス12中に、耐弧成分としてCr粒子13を複合化したCu−50wt%Cr接点材料である。図1は、第1の実施形態の組織を撮影した写真の模式図である。図2は第1の実施形態に係る接点材料が適用される真空バルブの断面図、図3は図2に示した真空バルブの電極部分の拡大断面図である。表1は第1の実施形態における具体的な実施例1および比較例1の製造条件、組織方向性の指標および電気試験結果を示した表である。
(1−1)接点材料の製造方法
発明者らは、接点材料中の耐弧成分の組織に方向性を持たせることで、遮断特性と耐電圧特性を向上させることができるといった知見を得た。そこで、この知見に基づき、本実施形態では、次のような焼結溶浸法によって接点材料を製造することで、耐弧成分であるCr粒子13の形状を制御し、組織としての方向性を持たせた。
まず、均一粒径のCu粉末および長粒径を有するCr粉末を所定量混合し(混合工程)、Cr粉末が相対密度50%になるようにφ60mmの金型で加圧成形して圧粉体を得る(加圧工程)。この時、Cr粉末として、均一粒径のものではなく、長粒径のものを用いることがポイントとなる。
ついで、この圧粉体を真空雰囲気中で1000℃×1時間の条件で仮焼結してCrスケルトンとし、これを溶浸材であるCuブロックを載せ、真空雰囲気中、1150℃×1時間の条件で焼結する(焼結工程)。これにより、ほぼ円柱状のCu−50wt%Cr合金を複数枚得た。
以上のようにして得たものを第1の実施形態における実施例1とする。また、実施例1と電気特性を比較するための比較例1を製造する。比較例1は、Cr粉末として均一粒径のものを使う点だけが異なり、それ以外は上記実施例1と同一の工程を経て得たものである。
(1−2)真空バルブの構成
以上のようにして製造したCu−50wt%Cr合金を、所定の接点形状(φ50mm,t5mm)に加工し、接点として真空バルブに組み込む。ここで、真空バルブの構成について図3および図4を用いて説明する。すなわち、真空バルブ3には遮断室1が設けられている。遮断室1は、絶縁材料によりほぼ円筒状に形成された絶縁容器2と、この両端に封止金具を介して設けた金属製の蓋体2a、2bとで真空気密に構成されている。
遮断室1内には、上下方向から導電棒4a、4bが挿入されている。導電棒4a、4bは端部が対向するように一直線上に配置されており、それぞれ電極6a、6bが取付けられている。上部の電極6aを固定電極、下部の電極6bを可動電極とする。
可動電極6b側の電極棒4bには、ベローズ7が取付けられており、遮断室1内を真空気密に保持しながら可動電極6bの軸方向の移動可能となるように構成されている。各電極6a、6bの対向面に本実施形態に係る接点5a、5bが設けられている。
また、ベローズ7上部にはベローズ7がアーク蒸気で覆われることを防ぐために金属製のアークシールド9が設けられている。さらに、電極6a、6bを覆うようにして金属製のアークシールド8が設けられている。これは電極6a、6bがアーク蒸気で覆われることを防止するためのものである。
さらに、可動電極6bは、図4に示したように導電棒4bにろう付け部10bによって固定されるか、又はかしめによって圧着接続されている。また、接点5bは電極6bに対しろう付け層11bによってろう付けで取付けられる。なお、図示しないが、固定電極側6aも同様の構成を有している。
(1−3)接点材料の構成
図1は、実施例1においてCu−50wt%Cr合金の底面に垂直な面で切断した場合の模式図である。ここで、正方形の組織写真に各辺に平行な2直線x、yを引き、接点材料の組織を断面から見てCuマトリックス12とCr粒子13の境界部に前記2直線x、yが通過させた場合に、各直線x、yの通過回数X、Y(前記直線と前記境界部との交点)を計測する。そして、この計測をそれぞれの方向で5回ずつ測定して平均値を算出し、両者の比をパーセンテージで求める(Y/Xの100倍)。本実施形態ではこの比を「組織の方向性指標」とする。
第1の実施形態においては、直線xにおける前記境界部の通過回数Xと、直線yにおける前記境界部の通過回数Yとを比べた時、両者が10%以上異なるようにしたことを構成上の特徴としている。
より詳しくは、第1の実施形態に係る接点材料では、通電方向に対して平行である直線yにおける通過回数Yと、通電方向に対して垂直(接点の半径方向)である直線xにおける通過回数Xとを求めて両者を比べた場合に、境界部に対する通過回数の比率が、垂直な方向の通過回数Xを基準として、この通過回数Xよりも平行な方向の通過回数Yの方が10%以上多いようになっている。これは、通電方向と垂直な方向に比べて、通電方向と平行な方向の方に、多くのCr粒子13が存在することを意味している。
図1に示した例では、図中の縦方向つまり通電方向に対して平行な方向に延びる直線yでは、境界部に対して合計7回の通過点(図1中の(1)〜(7))があり、図中の横方向つまり通電方向に対して垂直な方向に延びる直線xでは、境界部に対して合計5回の通過点(図1中のI〜V)があるといった計測結果である。このような計測をそれぞれの方向で5回ずつ測定して平均値を算出し、両者の比を求めたところ、実施例1では112%であった。
具体的には、通電方向に垂直な直線x側の通過回数の計測を5回行った場合に、それぞれの計測結果が5回、6回、4回、5回、5回だったとすると、通過回数Xの平均値は5回となる。また、通電方向に平行な直線y側の計測を5回行った場合に、それぞれの計測結果が7回、6回、5回、5回、7回だったとすると、通過回数Yの平均値は5.6回となる。この時の両者の比は、5.6:5となり、パーセンテージで表して112%となる。なお、比較例1において同様に測定して通過回数X、Yの比を算出したところ、105%であった(表1参照)。
Figure 0004761932
(1−4)接点材料の電気特性の評価方法
以上のような本実施形態に係る接点材料を真空バルブ3の接点5a、5bとして組み込んで、遮断試験と耐電圧試験を実施した。遮断試験は、5kAから徐々に電流値を上げていく方法で最大遮断電流を測定した。
また、遮断試験後の接点について、耐電圧試験を実施した。耐電圧試験は、電極間隔を一定(約5mm)にして絶縁破壊電圧を100回測定し、その平均値を算出した。ここでは、比較例1における測定結果を基準値とし、その他の測定結果は相対値で示した。
(1−5)作用効果
実施例1の電気特性の評価結果は、遮断特性と耐電圧特性は比較例1のそれぞれ1.0倍と1.1倍であり、耐電圧特性は比較例1よりも向上した(表1参照)。このような本実施形態によれば、Cr粒子13の方向性を制御して、通電方向と平行な方向に、通電方向と垂直な方向よりも多くのCr粒子13を存在させることで、耐電圧性能の向上を図ることができ、優れた接点性能を有する真空バルブ3を得ることができた。
(2)第2の実施形態
第2の実施形態は、固相焼結法によって製造したCu−50wt%Cr接点材料であり、前記第1の実施形態における接点と同一の接点形状に加工して真空バルブに組み込んだものである。
図4は、第2の実施形態の組織を撮影した写真の模式図、表2は第2の実施形態における具体的な実施例2および比較例2に関して、その製造条件、組織方向性の指標および電気試験結果を示した表である。
(2−1)接点材料の製造方法
まず、均一粒径のCu粉末およびCr粉末を所定量混合し(混合工程)、重量比1:1となるようにφ60mmの金型で7t/cm2で加圧成形して圧粉体を得る(加圧工程)。ついで、この圧粉体を水素雰囲気中で1000℃×5時間の条件で固相焼結する(焼結工程)。このような加圧工程と焼結工程を2回ずつ繰り返して実施し、ほぼ円柱状のCu−50wt%Cr合金を複数枚得た。
以上のようにして得たものを第2の実施形態における実施例2とする。また、これと電気特性を比較するための比較例2を製造する。比較例2は、加圧工程と焼結工程をそれぞれ1回だけ実施して製造した点が異なり、それ以外は上記実施例2と同一の工程を経て得たものとする。
(2−2)接点材料の構成
図4は、実施例2においてCu−50wt%Cr合金の底面に垂直な面で切断した場合の模式図である。ここで、正方形の組織写真に各辺に平行な2直線x、yを引き、接点材料の断面組織においてCr粒子13の断面上に前記2直線x、yが通過するとして、通過した線分の長さの総和A、Bを、「組織の方向性指標」としている。
第2の実施形態においては、直線xにおけるCr粒子13上を通過する長さの総和Bと、直線yにおけるCr粒子13上を通過する長さの総和Aとを比べた時、両者が10%以上異なることを特徴としたものである。
つまり第2の実施形態に係る接点材料でも、通電方向に対して平行な方向と垂直な方向(接点の半径方向)に比べた場合、Cr粒子13上を通過する長さの総和の比率が、垂直な方向の総和Bを基準として、この総和Bよりも平行な方向の総和Aの方が10%以上多いことを示している。これは前記第1の実施形態と同じく、通電方向と垂直な方向に比べて、通電方向と平行な方向の方に、多くのCr粒子13が存在することに他ならない。
図4では、通電方向と平行な直線yにおけるCr粒子13上を通過する長さの総和がA=a1+a2+a3となり、通電方向に垂直な直線xにおけるCr粒子13上を通過する長さの総和がB=b1+b2+b3となる。この計測をそれぞれの方向で5回ずつ測定して平均値を算出し、両者の比を求めたところ、実施例2では120%であった。なお、比較例2において同様に算出したところ、両者の比は108%であった(表2参照)。
Figure 0004761932
(2−3)作用効果
以上のような実施例2および比較例2に係る接点材料を真空バルブ3の接点5a、5bとして組み込んで、前記第1の実施形態と同様の遮断試験と耐電圧試験を実施した。その結果、比較例2における遮断特性と耐電圧特性は比較例1のそれぞれ1.0倍と0.9倍であったのに対して、実施例2における遮断特性と耐電圧特性は比較例1のそれぞれ1.0倍と1.1倍であった(表2参照)。
このような第2の実施形態によれば、前記第1の実施形態と同じく、Cr粒子13の方向性を制御して、通電方向と平行な方向に、通電方向と垂直な方向よりも多くのCr粒子13を存在させることで、耐電圧性能を高めることができ、接点性能の向上に寄与することができた。
(3)第3の実施形態
第3の実施形態は、焼結温度に限定を加えたものであり、Cu−25wt%Cr接点材料である。表3は第3の実施形態における具体的な実施例3、4および比較例3の製造条件、組織方向性の指標および電気試験結果を示した表である。
(3−1)接点材料の製造方法
第3の実施形態では、真空雰囲気中の焼結工程での焼結温度を、導電成分であるCuマトリックス12の溶融温度1083℃を基準にして、これよりも200℃低い温度を下限値とし、それ以上の温度で焼結工程を実施することを特徴としている。
第3の実施形態に含まれる実施例3、4では、焼結温度をそれぞれ900℃、1250℃として、Cu−25wt%Cr接点材料を製造した。すなわち、上記実施例1、2にて示した焼結温度1000℃、1150℃よりも100℃高い温度と100℃低い温度を用いている。
なお、実施例3では固相焼結法を採用し、実施例4では液相焼結法を採用している。また、比較例3では、焼結温度850℃の固相焼結法で接点材料を製造した。比較例3の焼結温度は、第3の実施形態における製造条件として上げた焼結温度の下限値、Cuマトリックス12の溶融温度1083℃よりも200℃低い温度である883℃を、さらに下回る温度である。
(3−2)接点材料の構成
第3の実施形態では、Cr粒子13における組織の方向性の指標として、前記第1の実施形態と同じく、Cuマトリックス12とCr粒子13の境界部に対する2直線x、yの通過回数X、Yの比(Y/Xの100倍)とする。この比を求めたところ、実施例3、4では115%、130%であった。また、比較例3において同様に2直線x、yの通過回数X、Yの比(Y/Xの100倍)を算出したところ、両者の比は115%であった(表3参照)。
Figure 0004761932
(3−3)作用効果
第3の実施形態の作用効果は次の通りである。以上の実施例3、4および比較例3に係る接点材料を真空バルブ3の接点5a、5bとして組み込んで、前記第1の実施形態と同様の遮断試験と耐電圧試験を実施した結果を表3に示す。
すなわち、表3に示したように、比較例3では、2直線x、yの通過回数X、Yの比が115%であるが、遮断特性と耐電圧特性は、比較例1のそれぞれ1.0倍と1.0倍であり、各特性に関して向上は見られなかった。これは焼結温度がCuマトリックス12の融点温度よりも200℃以上低いために、焼結が進まず、密度が低かった(相対密度85%)からであると考えられる。
これに対して、実施例4は2直線x、yの通過回数X、Yの比は115%と、比較例3と同じであったにも関わらず、遮断特性と耐電圧特性は、比較例1のそれぞれ1.1倍と1.1倍となり、両特性ともに比較例1よりも高めることができた。また、焼結温度を高くした実施例5では、遮断特性と耐電圧特性が比較例1のそれぞれ1.2倍と1.2倍となって、遮断特性および耐電圧特性がさらに向上した。
以上のように第3の実施形態によれば、Cr粒子13の方向性の制御に加えて、Cuマトリックス12の溶融温度1083℃よりも200℃低い温度を下限値とした温度で焼結工程を実施することによって、耐電圧性能および遮断性能を高めることが可能となった。
(4)第4の実施形態
(4−1)構成
第4の実施形態は、真空雰囲気中の固相焼結法により製造したCu−20wt%Cr接点材料であり、上記実施例2と同様に2回加圧と2回焼結で製造した後に、真空雰囲気中で30分の熱処理を行い、熱処理温度をパラメータとしている。
第4の実施形態における特徴は、焼結工程後の熱処理工程において、その熱処理温度を限定した点にある。すなわち、導電成分であるCuマトリックス12の溶融温度1083℃を基準にして、前記溶融温度よりも400℃低い温度を下限値とし、前記溶融温度よりも20℃低い温度を上限値とした温度で実施している。
表4は第5の実施形態における具体的な実施例5〜7および比較例4,5の製造条件、組織方向性の指標および電気試験結果を示した表である。実施例5〜7における熱処理温は、実施例5で1050℃(溶融温度よりマイナス33℃)、実施例6では850℃(溶融温度よりマイナス233℃)、実施例7で700℃(溶融温度よりマイナス383℃)である。
また、電気特性を比較するための比較例4、5は、熱処理温度が溶融温度1083℃の−400℃〜−20℃の範囲を超えたものであり、比較例4が1070℃(溶融温度よりマイナス13℃)、比較例5は650℃(溶融温度よりマイナス433℃)である。この点以外は上記実施例5〜7と同一の工程を経て得たものとする。
なお、Cr粒子13における組織の方向性の指標としては、前記第1の実施形態と同じく、Cuマトリックス12とCr粒子13の境界部に対する2直線x、yの通過回数X、Yの比を用いている。この比を求めたところ、実施例6〜8ではそれぞれ122%、124%、123%であった。また、比較例4、5においても同様に2直線x、yの通過回数X、Yの比を算出したところ、123%、124%であった(表4参照)。
Figure 0004761932
(4−2)作用効果
以上のような実施例5〜7および比較例4、5に係る接点材料を真空バルブ3の接点5a、5bとして組み込んで、前記第1の実施形態と同様の遮断試験と耐電圧試験を実施し、電気特性を評価したところ、遮断特性と耐電圧特性は、次の通りであった。
表4に示すように、実施例5〜7はいずれも比較例1のそれぞれ1.3倍と1.2倍であり、適切な温度による熱処理によって、前述した実施例1〜4の持つ特性値よりもさらに向上した。以上の実施例5〜7の結果から明らかなように、固相焼結工程後に適切な処理温度で熱処理を加えると、電気特性、特に遮断特性の向上が可能となる。この時の熱処理温度は、導電成分Cuの融点(1083℃)を基準にして、−20℃以下、−400℃以上の時に特性向上が特に顕著となる。
これに対して、比較例4、5の遮断特性と耐電圧特性は、比較例1のそれぞれ1.1倍と1.1倍ではあるものの、実施例1〜4の持つ特性を基準とすれば、いずれの特性も向上していない。すなわち、熱処理によって特性の向上が図られたとは言えない。これは熱処理温度が低すぎるか、高すぎたかであり、導電率の改善効果が小さかったからである。
(5)他の実施形態
なお、本発明は上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく、以下のものも包含する。すなわち、前記実施例1〜7では、導電成分がCu、耐弧成分がCrである接点材料の事例について述べたが、本発明の主旨はこれに限るものではなく、導電成分や耐弧成分、さらには補助的な成分など、適宜選択可能である。
具体的には、表5に示すような実施例8〜17も包含する。表5は、実施例8〜17の製造条件、組織方向性の指標および電気試験結果を示した表である。実施例8は、約1800℃の溶解温度で真空溶解法によって製造したCu−20wt%Cr接点材料である。
Figure 0004761932
この実施例8におけるCr粒子13組織の方向性の指標としては、前記第2の実施形態と同じく、通電方向と平行な直線yにおけるCr粒子13上を通過する長さの総和Aと、通電方向に垂直な直線xにおけるCr粒子13上を通過する長さの総和Bとの平均値の比(A/Bの100倍)を採用した。これを求めたところ、実施例8における両者の125%であった。
以上のような実施例8に係る接点材料を真空バルブ3の接点5a、5bとして組み込んで、前記第1の実施形態と同様の遮断試験と耐電圧試験を実施し、電気特性を評価したところ、遮断特性と耐電圧特性は、比較例1のそれぞれ1.2倍と1.2倍であった。すなわち、実施例8においては、耐電圧性能および遮断性能の向上を認めることができる。
実施例9〜14ではいずれも、液相焼結法を用いており、真空雰囲気中で焼結温度は1100℃である。また、実施例9〜14におけるCr粒子13組織の方向性の指標としては、前記第1の実施形態と同じく、Cuマトリックス12とCr粒子13の境界部に対する2直線x、yの通過回数X、Yの比(Y/Xの100倍)を用いている。
実施例9では、導電成分をAg、耐弧成分をWCとして作製した。また、実施例10では、導電成分をAg+Cu、耐弧成分をWCとして作製した。各実施例8、9の通過回数X、Yの比は123%、128%であった。これらの実施例9、10における電気特性を評価した結果、実施例9の遮断特性と耐電圧特性では通常のAg−WC接点の、実施例10の遮断特性と耐電圧特性では通常のAg−WC接点の、それぞれ1.1倍と1.2倍であった。つまり、実施例9、10においては、遮断特性と耐電圧特性はともに向上した。
実施例11〜14では、導電成分をCuとし、耐弧成分をそれぞれ、W,Nb,Mo,Cr+W(接点全体に占めるWは4wt%になるように調整)として、接点材料を製造したものである。実施例11〜14における前記通過回数X、Yの比はそれぞれ127%、129%、127%、128%であった。これらの実施例11〜14の電気特性を評価した結果、遮断特性は、実施例11〜14全てにおいて、同一耐弧成分を持つ通常の接点の1.2倍、耐電圧特性は1.2倍であって、両特性ともに向上した。
さらには、前記実施例1〜15では、導電成分と耐弧成分で構成される接点材料の事例について述べたが、本発明の主旨はこれに限るものではない。すなわち、実施例15〜17では、補助成分としてそれぞれBi,Te,Te+Sbとし、実施例1と同様に液相焼結法の1種である焼結溶浸法で、接点材料を製造したものである(水素雰囲気中で焼結温度は1200℃)。
実施例15〜17におけるCr粒子13組織の方向性の指標としては、前記第1の実施形態と同じく、Cuマトリックス12とCr粒子13の境界部に対する2直線x、yの通過回数X、Yの比を用いている。実施例15〜17の通過回数X、Yの比はそれぞれ122%、124%、123%であった。
これらの実施例15〜17の電気特性を評価した結果、遮断特性は、実施例15〜17は全てについて、1種類の原料耐弧粉末しかし使用していない通常の焼結溶浸法で製造した時の同一耐弧成分を持つ通常の接点の1.2倍であり、耐電圧特性は1.1倍となって、遮断特性と耐電圧特性を向上させることが可能である。
なお、導電成分については、上記の実施形態では、Cu,Ag,Ag+Cuでの記載しかないが、CuまたはAgを主成分とするならば、同様の効果が得られる。また、耐弧成分についても、上記の実施形態では、Cr,W,Nb,Mo,WC,Cr+Wでの記載しかないが、Cr,W,Nb,Ta,Ti,Mo及びこれらの炭化物の内の少なくとも1つを耐弧成分として使用しても、同様の効果が得られる。さらに補助成分についても、上記の実施形態では、Bi,Te,Te+Sbとした場合のみ記載しているが、Bi,Te,Sbの内の少なくとも1つを補助成分としても、同様の効果が得られる。
また、製造条件に関しても適宜変更可能であり、焼結法における加圧工程および焼結工程の実施回数の選択や、溶解法における冷却速度(凝固速度)の制御などが有効である。なお、接点材料の断面組織に通過させる2直線に関しては、両者が直交していればよく、真空バルブの通電方向に垂直な直線と、通電方向に平行な直線に限定されるものではない。
本発明の第1の実施形態の断面組織を撮影した写真の模式図。 第1の実施形態に係る接点材料が適用される真空バルブの断面図。 図2に示した真空バルブの電極部分の拡大断面図。 本発明の第2の実施形態の断面組織を撮影した写真の模式図。
符号の説明
1…遮断室
2…絶縁容器
3…真空バルブ
4a、4b…導電棒
5a、5b…接点
6a…固定電極
6b…可動電極
7…ベローズ
8、9…アークシールド
12…Cuマトリックス
13…Cr粒子
A…通電方向に平行な直線yにおけるCr粒子13上を通過する長さの総和
B…通電方向に垂直な直線xにおけるCr粒子13上を通過する長さの総和
X…通電方向に垂直な直線xにおける境界部の通過回数
Y…通電方向に平行な直線yにおける境界部の通過回数

Claims (3)

  1. 導電成分のマトリックス中に少なくとも粒子状の耐弧成分を有する真空バルブ用接点材料であって、
    前記導電成分は、少なくともCuまたはAgのどちらか一方を主成分とし、
    前記耐弧成分は、長粒径を有する金属粉末を原料として、Cr,W,Nb,Ta,Ti,Mo及びこれらの炭化物の内の少なくとも1種類を含有した成分であり、
    さらに、前記導電成分を占める領域及び前記耐弧成分を占める領域の組織断面上に、前記真空バルブの通電方向に垂直な直線と、前記真空バルブの通電方向に平行な直線を引き、これら互いに直交する2つの直線が、前記組織断面において前記導電成分を占める領域及び前記耐弧成分を占める領域を通過するとき、一方の直線が前記導電成分と前記耐弧成分との境界部を通過した回数と、他方の直線が前記導電成分と前記耐弧成分との境界部を通過した回数とを、それぞれ数え、両者の通過回数のうち、前記真空バルブの通電方向に垂直な直線における通過回数の方を基準として、この基準とした通過回数で、前記真空バルブの通電方向に平行な直線における通過回数を割った比率が、パーセンテージで表して110%以上となることを特徴とする真空バルブ用接点材料。
  2. 導電成分のマトリックス中に少なくとも粒子状の耐弧成分を有する真空バルブ用接点材料であって、
    前記導電成分は、少なくともCuまたはAgのどちらか一方を主成分とし、
    前記耐弧成分は、長粒径を有する金属粉末を原料として、Cr,W,Nb,Ta,Ti,Mo及びこれらの炭化物の内の少なくとも1種類を含有した成分であり、
    さらに、前記導電成分を占める領域及び前記耐弧成分を占める領域の組織断面上に、前記真空バルブの通電方向に垂直な直線と、前記真空バルブの通電方向に平行な直線を引き、これら互いに直交する2つの直線が、前記組織断面において前記耐弧成分を占める領域を通過するとき、一方の直線が前記耐弧成分を占める領域を通過した際の線分の長さの総和と、他方の直線が前記耐弧成分を占める領域を通過した際の線分の長さの総和とを、それぞれ求め、両者の長さの総和のうち、前記真空バルブの通電方向に垂直な直線における線分の長さの総和の方を基準として、この基準とした線分の長さの総和で、前記真空バルブの通電方向に平行な直線における線分の長さの総和を割った比率が、パーセンテージで表して110%以上となることを特徴とする真空バルブ用接点材料。
  3. 前記接点材料の補助成分として、Bi,Te,Sbの内の少なくとも1種類を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空バルブ用接点材料。
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