JP4874814B2 - 接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法 - Google Patents
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Description
図4は、原料混合工程におけるAg含有量を25〜55wt%の範囲で変更した実施例1〜3と比較例1及び2の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。実施例1〜3と比較例1及び2のいずれも成形体の空隙率を30%とし、この空隙を利用して粉体表面の酸素を還元し、且つCoを添加して1200℃にて熱処理することにより前述の空隙を閉鎖状態として、取り出し後に外気により再酸化されることを抑制したので100ppm以下の低い酸素含有量とすることができている。更に加圧することによって空隙率を7%として導電率も高めている。ここで、Ag含有量が30〜50wt%の範囲にある実施例1〜3では、Ag及びWC成分量が適切であるので遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して、Ag含有量が25wt%と実施例1〜3の範囲より少ない比較例1では、導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。他方、Ag含有量が55wt%と実施例1〜3の範囲より多い比較例2では、裁断特性低減作用を有するWCが少なすぎるため裁断特性が不十分となっている。
図5は、原料混合工程における補助成分のCoの含有量を0.1〜5wt%の範囲で変更した実施例4〜6と比較例3及び4の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。Co含有量が0.2〜5wt%の範囲にある実施例4〜6ではCoの作用により熱処理体の密度が高められ、再加圧後の空隙率が10%以下まで低くできるため遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して、Co含有量が0.1wt%とこの範囲より少ない比較例3では、熱処理体の空隙率が高く、再加圧により十分な密度が得られず導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。また、Co含有量が7wt%と前述の範囲より多い比較例4ではWC表面に形成されたCoを主成分とする相がWCの熱電子放出を阻害するため裁断特性が不十分となっている。
図6は、原料混合工程における補助成分をCoからFe又はNiに変更し、変更したFe又はNiの含有量を0.1〜5wt%の範囲で変更した実施例7〜12及び比較例5〜8の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。Feの含有量が0.2〜5wt%の範囲にある実施例7〜9及びNiの含有量が0.2〜5wt%の範囲にある実施例10〜12では、Coを補助成分とした場合と同様、熱処理体の密度が高められ、再加圧後の空隙率が10%以下まで低くできるため遮断性能、裁断特性ともに優れている。特にNiを添加した場合の遮断性能、裁断特性が良好である。これに対してFe又はNiの含有量が0.1wt%と実施例7〜12の範囲より少ない比較例5及び6では、熱処理体の空隙率が高く、再加圧により十分な密度が得られず導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。他方、Fe又はNiの含有量が7wt%と実施例7〜12の範囲より多い比較例7及び8では、WC表面に形成されたFe又はNiを主成分とする相がWCの熱電子放出を阻害するため裁断特性が不十分となっている。
図7は、成形工程における成形体の空隙率を20〜40%の範囲で変更した実施例13〜15と比較例9及び10の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。成形体空隙率が25〜35%の範囲にある実施例13〜15では、空隙を利用した水素による粉末表面の還元が良好に行われ、且つCoを添加して1200℃にて熱処理することにより前述の空隙を閉鎖状態として取り出し後に外気により再酸化されることを抑制したので100ppm以下まで酸素含有量を低くすることができ遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して、成形体空隙率が20%と実施例13〜15の範囲より低い比較例9では、空隙が部分的に閉鎖されており、水素により十分還元されず酸素量が高い値となっているため、十分な遮断性能が得られていない。他方、成形体空隙率が40%と実施例13〜15の範囲より高い比較例10では、再加圧により十分な密度が得られず導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。
図8は、還元熱処理工程における雰囲気が水素である標準工程で製造した実施例16と、この熱処理時の雰囲気を真空とした比較例11を比較評価した結果を示す。実施例16では、原料粉末の還元が十分であるため酸素含有量を低減することができ、遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して比較例11では、原料粉末の還元が不十分であるため酸素含有量が非常に高くなり、遮断性能が不十分となっている。
図9は、還元熱処理工程における熱処理温度を1100〜1300℃の範囲で変更した実施例17〜19と比較例12及び13の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。熱処理温度が1150〜1250℃の範囲にある実施例17〜19では、熱処理することにより前述の空隙を閉鎖状態とすることができ、取り出し後に外気により再酸化されることが抑制されるため120ppm以下まで酸素含有量を低くすることができ遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して、実施例17〜19より熱処理温度が1100℃と低い比較例12では、熱処理後空隙の一部に閉鎖されていない部分があり、再酸化され、酸素量が高い値となっているため、十分な遮断性能が得られていない。熱処理温度が1300℃と高い比較例13では、熱処理体中のAgが蒸発損耗するため、導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。
図10は、加圧工程における加圧体の空隙率を3〜12%の範囲で変更した実施例20〜22及び比較例14の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。成形体空隙率が3〜10%の範囲にある実施例20〜22では、空隙が十分低減され、導電率が高められていることから遮断性能、裁断特性ともに良好である。実施例20のように、空隙率は設備能力上3%以下にすることは困難であるが、導電率は空隙率が低いほど高められ、遮断性能も高められることから、空隙率3%未満においても本発明は有効である。これに対して、加圧体の空隙率が12%と高い比較例14では、十分導電率が低くなっていないため、遮断性能が不十分となっている。
図11は、再熱処理工程における再熱処理温度を750〜1300℃の範囲で変更した実施例23〜25と比較例15及び16の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。再熱処理温度が800〜1250℃の範囲にある実施例23〜25では再加圧によって低下した導電率が十分回復しているため遮断性能が十分となっている。これに対して、再熱処理の温度が750℃と低い比較例15では、導電率が十分回復していないため遮断性能が不十分である。一方、1300℃で再熱処理した比較例16では、熱処理体中のAgが蒸発損耗して、導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。
図12は、真空バルブの電極/接点接合工程における接合温度を750〜1000℃の範囲で変更した実施例26〜28と比較例17及び18の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。再熱処理温度が800〜950℃の範囲にある実施例26〜28では再加圧によって低下した導電率が十分回復しているため遮断性能が十分となっている。これに対して、再熱処理の温度が750℃と低い比較例17では、導電率が十分回復していないため遮断性能が不十分である。一方1000℃で接合した比較例18では、熱処理体中のAgが溶融流出して、導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。
図13は、原料混合工程において耐弧成分としてのWCの全体量(全炭化物)のうち10wt%以下を炭化チタン(TiC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ジルコニウム(ZrC)又は炭化ケイ素(SiC)に置き換えた実施例29〜32の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。即ち、実施例29〜32では、30〜50wt%のAgからなる導電成分と、WC以外の10wt%以下の炭化物を含む48.5〜68.5wt%の全炭化物からなる耐弧成分と、0.2〜5wt%のCo、Fe、及びNiの少なくともいずれかからなる補助成分とで構成される原料粉末を混合している。図13において、実施例29〜32のいずれも、良好な遮断性能と裁断特性を示しているのが分かる。なお、実施例29〜32では、TiC、VC、ZrC又はSiCをそれぞれ置換した場合を説明したが、TiC、VC、ZrC及びSiCを組み合わせて採用しても良好な遮断性能と裁断特性を得ることができる。
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
2…絶縁容器
3a…封止金具
4a…蓋体
5,6…導電棒
7,8…電極
9…ベローズ
10,11…アークシールド
12,14…ろう材
13a,13b…接点
Claims (5)
- 30〜50重量%の銀からなる導電成分と、48.5〜68.5重量%の炭化タングステンからなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とを混合して混合粉末を得る工程と、
前記混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得る工程と、
前記熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧して加圧体を得る工程
とを含む接点材料の製造方法。 - 前記加圧体を得る工程の後に、前記加圧体を800〜1250℃で熱処理する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の接点材料の製造方法。
- 5〜25重量%の銀及び25〜35重量%の銅からなる導電成分と、48.5〜68.5重量%の炭化タングステンからなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とを混合して混合粉末を得る工程と、
前記混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得る工程と、
前記熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧する工程
とを含む接点材料の製造方法。 - 30〜50重量%の銀からなる導電成分と、炭化タングステン以外の10重量%以下の炭化物を含む48.5〜68.5重量%の全炭化物からなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とで構成される原料粉末を混合して混合粉末を得る工程と、
前記混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得る工程と、
前記熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧して加圧体を得る工程
とを含む接点材料の製造方法。 - 30〜50重量%の銀からなる導電成分と、48.5〜68.5重量%の炭化タングステンからなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とを混合して混合粉末を得るステップ、前記混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得るステップ、前記成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得るステップと、前記熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧するステップとにより接点材料を製造する工程と、
前記接点材料を800〜950℃で一対の電極にそれぞれ接合する工程
とを含むことを特徴とする真空バルブの製造方法。
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