JP4874814B2 - 接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法 - Google Patents

接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4874814B2
JP4874814B2 JP2007003752A JP2007003752A JP4874814B2 JP 4874814 B2 JP4874814 B2 JP 4874814B2 JP 2007003752 A JP2007003752 A JP 2007003752A JP 2007003752 A JP2007003752 A JP 2007003752A JP 4874814 B2 JP4874814 B2 JP 4874814B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
weight
porosity
examples
contact material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007003752A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008171682A (ja
Inventor
敦史 山本
貴史 草野
浩資 捧
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2007003752A priority Critical patent/JP4874814B2/ja
Publication of JP2008171682A publication Critical patent/JP2008171682A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4874814B2 publication Critical patent/JP4874814B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Switches (AREA)
  • High-Tension Arc-Extinguishing Switches Without Spraying Means (AREA)
  • Contacts (AREA)

Description

本発明は、接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法に関する。
低裁断性を有する炭化タングステン(WC)を含んだ真空バルブ用接点材料としては、Ag−WC系接点が優れた特性を有することが知られている。Ag−WC系接点材料の製造方法には、溶浸法と焼結法の2種類が存在する。
溶浸法は、耐弧成分を主成分とする粉体の成形体又は必要によってこれを予備焼結した焼結体の空隙に導電成分を溶浸する製造方法である。特許文献1に記載されているAg−WC接点材料は、この方法により製造されている。溶浸法は耐弧成分のスケルトンの焼結体の空隙に重力と毛細管力とのバランスによって導電成分を溶浸する方法であるため、スケルトンの空隙を丁度満たす量より多い導電成分を溶浸せねばならない。更に、溶浸体の表面付近には空隙が完全に満たされていない部分が存在するため健全性が確保できる表面から一定の深さまで溶浸体表面を切削除去しなければならない。このように、溶浸法では原料の損失量が多いといった問題がある。
一方、焼結法は、導電成分と耐弧成分と必要によってはこれらに加えて補助成分とからなる混合粉末の成形体を高温にて焼結する製造方法である。特許文献2に記載されているAg−Cu−WC接点材料は、この方法により製造されている。焼結法は成形によって最終形状に近い形状とし易いことから原料の損失を低減することが可能となるが、原料表面の酸化物や吸着酸素の除去に問題があった。これは焼結法では一般に成形時の相対密度を高くする必要があるため、残された空隙は閉鎖空間となり、この内部に閉じ込められた酸化物又は酸素は還元除去不可能となることによるものである。特に低裁断化特性を必要とするAg−WCでは、接点材料の均質化を図るため、原料のWC粉末やAg粉末は微細粒子である必要があり、原料表面の酸化物や吸着酸素は甚だしく多く、焼結法では、水素雰囲気において焼結することにより酸素量低減が図られている。しかしながら焼結法では、閉鎖空間内に水素が侵入することができても酸素と反応して水蒸気となってしまうと閉鎖空間から材料外部に出ることは不可能であり、酸素含有量は高くなる。従って、焼結法で製造した接点材料では溶浸法で製造した接点材料のような高い遮断性能が得られていない。また、低密度の成形体として焼結した場合には、焼結後の密度が不十分であるため、一旦還元された接点材料内部が加圧工程に進むまでの間に再酸化され、再加圧時に酸素が閉鎖空隙内部に閉じ込められてしまい、高い遮断性能は得られない。
このように、従来の溶浸法及び焼結法では、原料の損失を低減しつつ、優れた低裁断性能及び遮断性能を兼備した接点材料を製造することは困難であった。
特願平6−3347号公報 特開2006−120373号公報
本発明は、優れた裁断性能及び遮断性能を兼備した接点材料を原料の損失を低減して製造可能な接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法を提供する。
本願発明の一態様によれば、(イ)30〜50重量%の銀からなる導電成分と、48.5〜68.5重量%の炭化タングステンからなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とを混合して混合粉末を得る工程と、(ロ)混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得る工程と、(ハ)成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得る工程と、(ニ)熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧して加圧体を得る工程とを含む接点材料の製造方法が提供される。
本願発明の他の態様によれば、(イ)5〜25重量%の銀及び25〜35重量%の銅からなる導電成分と、48.5〜68.5重量%の炭化タングステンからなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とを混合して混合粉末を得る工程と、(ロ)混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得る工程と、(ハ)成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得る工程と、(ニ)熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧する工程とを含む接点材料の製造方法が提供される。
本願発明の更に他の態様によれば、(イ)30〜50重量%の銀からなる導電成分と、炭化タングステン以外の10重量%以下の炭化物を含む48.5〜68.5重量%の全炭化物からなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とで構成される原料粉末を混合して混合粉末を得る工程と、(ロ)混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得る工程と、(ハ)成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得る工程と、(ニ)熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧して加圧体を得る工程とを含む接点材料の製造方法が提供される。
本願発明の更に他の態様によれば、(イ)30〜50重量%の銀からなる導電成分と、48.5〜68.5重量%の炭化タングステンからなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とを混合して混合粉末を得るステップ、混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得るステップ、成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得るステップと、熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧するステップとにより接点材料を製造する工程と、(ロ)接点材料を800〜950℃で一対の電極にそれぞれ接合する工程とを含む真空バルブの製造方法が提供される。
本発明によれば、優れた裁断性能及び遮断性能を兼備した接点材料を原料の損失を低減して製造可能な接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法を提供することができる。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
本発明の実施の形態に係る真空バルブの部分断面図を図1に示す。図1において、遮断室1は、絶縁材料によりほぼ円筒状に形成された絶縁容器2と、絶縁容器2の両端に封止金具3a、3bを介して設けた金属製の蓋体4a、4bとで真空気密に構成されている。遮断室1内には、導電棒5,6の対向する端部に取付けられた一対の電極7,8が配設され、上部の電極7を固定電極、下部の電極8を可動電極としている。電極8の電極棒6にはベローズ9が取付けられ、遮断室1内を真空気密に保持しながら電極8の軸方向の移動を可能にしている。ベローズ9上には金属製のアークシールド10が設けられている。アークシールド10によりベローズ9がアーク蒸気で覆われることを防止している。電極7,8を覆うように、遮断室1内に金属製のアークシールド11が設けられている。アークシールド11により絶縁容器2がアーク蒸気で覆われることを防止している。
電極8は、図2に示すように、導電棒6にろう材12によってろう付けして固定されるか、又はかしめによって圧着接続されている。接点13bは、電極8にろう材14によってろう付けして取付けられる。図1に示した接点13aは、電極7にろう付けにより取付けられる。
次に、本発明の実施の形態に係る接点材料の製造方法及びその接点材料を用いた真空バルブの製造方法の一例を、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1において、30〜50重量%(以下、「wt%」という。)程度のAgからなる導電成分と、48.5〜68.5wt%程度のWCからなる耐弧成分と、0.2〜5wt%程度のコバルト(Co)、鉄(Fe)、及びニッケル(Ni)の少なくともいずれかからなる補助成分とで構成される原料粉末を混合して混合粉末を得る。補助成分としては、Co、Fe及びNiのいずれか2つ以上を組み合わせて混合しても良い。
ステップS2において、混合粉末を空隙率が25〜35%程度となるように成形して成形体を得る。
ステップS3において、成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃程度で還元熱処理する。ここで、ステップS1において、Co,Fe,Ni等の補助成分を0.2〜5wt%程度で混合しているので、ステップS3の還元熱処理時にCo等の補助成分の成形体表面への拡散に伴う酸素除去作用により成形体表面の酸素量を低減することができる。更に、ステップS2において成形体の空隙率を25〜35%程度の範囲としているので、ステップS3の還元熱処理時に閉鎖空隙の形成を抑制し、還元性ガスが空隙部の表面を含む成形体の表面に接触して酸化物を十分に還元除去することができる。更に、ステップS3において熱処理温度をAgの融点(961℃)以上の1150〜1250℃程度としているので、Ag表面の酸素又は酸化物を除去することができる。更に、Co等の補助成分を添加して熱処理しているので、焼結を急速に進展させ、還元熱処理終了時には、一旦還元された成形体内部の空隙を完全な閉鎖状態とすることができる。したがって、取り出し後、次工程に進むまでの間又は次工程において外気により接点材料内部が再酸化されることを抑制することができる。
ステップS4において、熱処理体を再加圧して空隙率が10%程度以下となるように高密度化し、加圧体を得る。なお、ステップS3における熱処理後のCo等の補助成分の添加による収縮作用によっても高密度化を更に促進することができる。
ステップS5において、必要に応じて、加圧体を800〜1250℃程度の温度にて熱処理し、再熱処理体を得る。高い通電性も要求される場合については、ステップS4における再加圧により導電率が低減するが、この再熱処理工程により導電性を十分回復させることができ、遮断性能を向上させることができる。その後、再熱処理体を所定の形状に加工して、真空バルブ用接点材料が完成する。
この真空バルブ用接点材料を用いて真空バルブを製造するときには、ステップS6において、真空バルブ用接点材料を図1に示した接点13a,13bに採用し、接点13a,13bと電極7,8とをそれぞれロウ付けすることにより接合して、真空バルブを組み立てる。このとき、必要に応じて、加圧体を800〜1250℃程度の温度にて熱処理することで、導電率を回復させることができる。
このように、本発明の実施の形態に係る真空バルブ用接点材料及び真空バルブの製造方法によれば、優れた遮断性能、裁断特性を兼備した接点材料及びその接点材料を用いた真空バルブを実現可能となる。
本発明の実施の形態に係る接点材料の製造方法を用いて試料(実施例1〜32及び比較例1〜18)を作製して評価を行った。評価を行うために、標準工程を設定する。図3に示したステップS1において、平均粒径2.5μmのWCと、2μmのAg粉末と、5μmのCo粉末を混合する。Ag、WC及びCoの混合割合は、体積%で40:58.5:1.5である。ステップS2において、空隙率が30%となるように混合粉末を成形して、成形体を得る。ステップS3において、成形体を水素雰囲気において、1200℃で2時間熱処理することにより、熱処理体(焼結体)を得る。ステップS4において、空隙率を7%まで減少させるように焼結体を再加圧して加圧体を得る。ステップS5において、加圧体を850℃にて再熱処理することにより、接点材料を製造する。ステップS6において、この接点材料を所定の形状に加工した後、850℃にて電極に接合した。この接点材料の製造工程及び接点材料と電極との接合工程を「標準工程」として、標準工程から特定のパラメータを変更した時の特性について検討した。
次に、試料(実施例1〜32及び比較例1〜18)の評価方法及び評価条件について説明する。評価方法としては、材料特性評価及び電気特性評価を行う。材料特性評価では、空隙率、酸素含有量及び導電率で評価する。「空隙率」は、寸法測定により密度を測定して組成比から真密度を求めて相対密度に換算し、相対密度の値を100%から引いた残りの値とした。「酸素含有量」は、試作材から小片状の分析サンプルを切りだし、赤外線吸収法により求めた。「導電率」は、試作した材料表面を渦電流測定方式により10点測定し、その平均値とした。
一方、電気特性評価は、遮断特性及び裁断特性を評価する。遮断特性としては、試作した接点材料を真空バルブに搭載し、合成遮断試験により遮断性能を評価し、使用した真空バルブの最大遮断電流値を測定した。評価は、φ40mmの電極を用い、印加電圧は7.2kVで12.5kAの条件にて3回実施し、各回の平均値を求め、標準工程で製造した実施例2との相対値で示し、0.9超過を良好と判定した。裁断特性としては、抵抗負荷回路により70Armsで裁断電流値を500回測定し、平均値を求めた。評価結果は実施例2との相対値で表示し、1.5未満を良好と判定した。
(実施例1〜3と比較例1及び2)
図4は、原料混合工程におけるAg含有量を25〜55wt%の範囲で変更した実施例1〜3と比較例1及び2の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。実施例1〜3と比較例1及び2のいずれも成形体の空隙率を30%とし、この空隙を利用して粉体表面の酸素を還元し、且つCoを添加して1200℃にて熱処理することにより前述の空隙を閉鎖状態として、取り出し後に外気により再酸化されることを抑制したので100ppm以下の低い酸素含有量とすることができている。更に加圧することによって空隙率を7%として導電率も高めている。ここで、Ag含有量が30〜50wt%の範囲にある実施例1〜3では、Ag及びWC成分量が適切であるので遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して、Ag含有量が25wt%と実施例1〜3の範囲より少ない比較例1では、導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。他方、Ag含有量が55wt%と実施例1〜3の範囲より多い比較例2では、裁断特性低減作用を有するWCが少なすぎるため裁断特性が不十分となっている。
(実施例4〜6と比較例3及び4)
図5は、原料混合工程における補助成分のCoの含有量を0.1〜5wt%の範囲で変更した実施例4〜6と比較例3及び4の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。Co含有量が0.2〜5wt%の範囲にある実施例4〜6ではCoの作用により熱処理体の密度が高められ、再加圧後の空隙率が10%以下まで低くできるため遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して、Co含有量が0.1wt%とこの範囲より少ない比較例3では、熱処理体の空隙率が高く、再加圧により十分な密度が得られず導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。また、Co含有量が7wt%と前述の範囲より多い比較例4ではWC表面に形成されたCoを主成分とする相がWCの熱電子放出を阻害するため裁断特性が不十分となっている。
(実施例7〜12及び比較例5〜8)
図6は、原料混合工程における補助成分をCoからFe又はNiに変更し、変更したFe又はNiの含有量を0.1〜5wt%の範囲で変更した実施例7〜12及び比較例5〜8の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。Feの含有量が0.2〜5wt%の範囲にある実施例7〜9及びNiの含有量が0.2〜5wt%の範囲にある実施例10〜12では、Coを補助成分とした場合と同様、熱処理体の密度が高められ、再加圧後の空隙率が10%以下まで低くできるため遮断性能、裁断特性ともに優れている。特にNiを添加した場合の遮断性能、裁断特性が良好である。これに対してFe又はNiの含有量が0.1wt%と実施例7〜12の範囲より少ない比較例5及び6では、熱処理体の空隙率が高く、再加圧により十分な密度が得られず導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。他方、Fe又はNiの含有量が7wt%と実施例7〜12の範囲より多い比較例7及び8では、WC表面に形成されたFe又はNiを主成分とする相がWCの熱電子放出を阻害するため裁断特性が不十分となっている。
(実施例13〜15と比較例9及び10)
図7は、成形工程における成形体の空隙率を20〜40%の範囲で変更した実施例13〜15と比較例9及び10の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。成形体空隙率が25〜35%の範囲にある実施例13〜15では、空隙を利用した水素による粉末表面の還元が良好に行われ、且つCoを添加して1200℃にて熱処理することにより前述の空隙を閉鎖状態として取り出し後に外気により再酸化されることを抑制したので100ppm以下まで酸素含有量を低くすることができ遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して、成形体空隙率が20%と実施例13〜15の範囲より低い比較例9では、空隙が部分的に閉鎖されており、水素により十分還元されず酸素量が高い値となっているため、十分な遮断性能が得られていない。他方、成形体空隙率が40%と実施例13〜15の範囲より高い比較例10では、再加圧により十分な密度が得られず導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。
(実施例16及び比較例11)
図8は、還元熱処理工程における雰囲気が水素である標準工程で製造した実施例16と、この熱処理時の雰囲気を真空とした比較例11を比較評価した結果を示す。実施例16では、原料粉末の還元が十分であるため酸素含有量を低減することができ、遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して比較例11では、原料粉末の還元が不十分であるため酸素含有量が非常に高くなり、遮断性能が不十分となっている。
(実施例17〜19と比較例12及び13)
図9は、還元熱処理工程における熱処理温度を1100〜1300℃の範囲で変更した実施例17〜19と比較例12及び13の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。熱処理温度が1150〜1250℃の範囲にある実施例17〜19では、熱処理することにより前述の空隙を閉鎖状態とすることができ、取り出し後に外気により再酸化されることが抑制されるため120ppm以下まで酸素含有量を低くすることができ遮断性能、裁断特性ともに良好である。これに対して、実施例17〜19より熱処理温度が1100℃と低い比較例12では、熱処理後空隙の一部に閉鎖されていない部分があり、再酸化され、酸素量が高い値となっているため、十分な遮断性能が得られていない。熱処理温度が1300℃と高い比較例13では、熱処理体中のAgが蒸発損耗するため、導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。
(実施例20〜22及び比較例14)
図10は、加圧工程における加圧体の空隙率を3〜12%の範囲で変更した実施例20〜22及び比較例14の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。成形体空隙率が3〜10%の範囲にある実施例20〜22では、空隙が十分低減され、導電率が高められていることから遮断性能、裁断特性ともに良好である。実施例20のように、空隙率は設備能力上3%以下にすることは困難であるが、導電率は空隙率が低いほど高められ、遮断性能も高められることから、空隙率3%未満においても本発明は有効である。これに対して、加圧体の空隙率が12%と高い比較例14では、十分導電率が低くなっていないため、遮断性能が不十分となっている。
(実施例23〜25と比較例15及び16)
図11は、再熱処理工程における再熱処理温度を750〜1300℃の範囲で変更した実施例23〜25と比較例15及び16の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。再熱処理温度が800〜1250℃の範囲にある実施例23〜25では再加圧によって低下した導電率が十分回復しているため遮断性能が十分となっている。これに対して、再熱処理の温度が750℃と低い比較例15では、導電率が十分回復していないため遮断性能が不十分である。一方、1300℃で再熱処理した比較例16では、熱処理体中のAgが蒸発損耗して、導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。
(実施例26〜28と比較例17及び18)
図12は、真空バルブの電極/接点接合工程における接合温度を750〜1000℃の範囲で変更した実施例26〜28と比較例17及び18の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。再熱処理温度が800〜950℃の範囲にある実施例26〜28では再加圧によって低下した導電率が十分回復しているため遮断性能が十分となっている。これに対して、再熱処理の温度が750℃と低い比較例17では、導電率が十分回復していないため遮断性能が不十分である。一方1000℃で接合した比較例18では、熱処理体中のAgが溶融流出して、導電率が低くなりすぎるために十分な遮断性能が得られていない。
(実施例29〜32)
図13は、原料混合工程において耐弧成分としてのWCの全体量(全炭化物)のうち10wt%以下を炭化チタン(TiC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ジルコニウム(ZrC)又は炭化ケイ素(SiC)に置き換えた実施例29〜32の接点材料を試作し、真空バルブに搭載して評価を実施した結果を示す。即ち、実施例29〜32では、30〜50wt%のAgからなる導電成分と、WC以外の10wt%以下の炭化物を含む48.5〜68.5wt%の全炭化物からなる耐弧成分と、0.2〜5wt%のCo、Fe、及びNiの少なくともいずれかからなる補助成分とで構成される原料粉末を混合している。図13において、実施例29〜32のいずれも、良好な遮断性能と裁断特性を示しているのが分かる。なお、実施例29〜32では、TiC、VC、ZrC又はSiCをそれぞれ置換した場合を説明したが、TiC、VC、ZrC及びSiCを組み合わせて採用しても良好な遮断性能と裁断特性を得ることができる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、図3のステップS1の原料混合工程において、Agからなる導電成分のうちの25〜35wt%を銅(Cu)に置換しても良い。即ち、5〜25wt%のAg及び25〜35wt%のCuからなる導電成分と、48.5〜68.5wt%のWCからなる耐弧成分と、0.2〜5wt%のCo,Fe,Niの少なくともいずれかからなる補助成分とで構成される原料粉末を混合しても良い。この場合も、導電成分が30〜50wt%のAgのみからなる場合と同様に、遮断性能、裁断特性が良好な接点材料を実現可能である。
また、図4〜図13に示した実験データは一例であって、実際には更に膨大なデータから本発明の知見を見出しているのは勿論である。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明の実施の形態に係る真空バルブ用接点材料が適用される真空バルブの遮断室を断面表示した部分断面図である。 図1に示した電極部分を拡大した部分断面図である。 本発明の実施の形態に係る真空バルブ用接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る実施例1〜3、及び比較例1及び2の評価結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係る実施例4〜6、及び比較例3及び4の評価結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係る実施例7〜12及び比較例5〜8の評価結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係る実施例13〜15と比較例9及び10の評価結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係る実施例16及び比較例11の評価結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係る実施例17〜19と比較例12及び13の評価結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係る実施例20〜22及び比較例14の評価結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係る実施例23〜25と比較例15及び16の評価結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係る実施例26〜28と比較例17及び18の評価結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係る実施例29〜32の評価結果を示す表である。
符号の説明
1…遮断室
2…絶縁容器
3a…封止金具
4a…蓋体
5,6…導電棒
7,8…電極
9…ベローズ
10,11…アークシールド
12,14…ろう材
13a,13b…接点

Claims (5)

  1. 30〜50重量%の銀からなる導電成分と、48.5〜68.5重量%の炭化タングステンからなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とを混合して混合粉末を得る工程と、
    前記混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得る工程と、
    前記成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得る工程と、
    前記熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧して加圧体を得る工程
    とを含む接点材料の製造方法。
  2. 前記加圧体を得る工程の後に、前記加圧体を800〜1250℃で熱処理する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の接点材料の製造方法。
  3. 5〜25重量%の銀及び25〜35重量%の銅からなる導電成分と、48.5〜68.5重量%の炭化タングステンからなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とを混合して混合粉末を得る工程と、
    前記混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得る工程と、
    前記成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得る工程と、
    前記熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧する工程
    とを含む接点材料の製造方法。
  4. 30〜50重量%の銀からなる導電成分と、炭化タングステン以外の10重量%以下の炭化物を含む48.5〜68.5重量%の全炭化物からなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とで構成される原料粉末を混合して混合粉末を得る工程と、
    前記混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得る工程と、
    前記成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得る工程と、
    前記熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧して加圧体を得る工程
    とを含む接点材料の製造方法。
  5. 30〜50重量%の銀からなる導電成分と、48.5〜68.5重量%の炭化タングステンからなる耐弧成分と、0.2〜5重量%のコバルト、鉄、及びニッケルの少なくともいずれかからなる補助成分とを混合して混合粉末を得るステップ、前記混合粉末を空隙率が25〜35%となるように成形して成形体を得るステップ、前記成形体を還元性雰囲気中で1150〜1250℃で熱処理して熱処理体を得るステップと、前記熱処理体を空隙率が10%以下となるように加圧するステップとにより接点材料を製造する工程と、
    前記接点材料を800〜950℃で一対の電極にそれぞれ接合する工程
    とを含むことを特徴とする真空バルブの製造方法。
JP2007003752A 2007-01-11 2007-01-11 接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法 Expired - Fee Related JP4874814B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007003752A JP4874814B2 (ja) 2007-01-11 2007-01-11 接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007003752A JP4874814B2 (ja) 2007-01-11 2007-01-11 接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008171682A JP2008171682A (ja) 2008-07-24
JP4874814B2 true JP4874814B2 (ja) 2012-02-15

Family

ID=39699575

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007003752A Expired - Fee Related JP4874814B2 (ja) 2007-01-11 2007-01-11 接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4874814B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6302276B2 (ja) * 2014-02-12 2018-03-28 日本タングステン株式会社 電気接点材料、電気接点対および遮断器

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0193018A (ja) * 1987-10-01 1989-04-12 Toshiba Corp 真空バルブ用接点材料
JP3150516B2 (ja) * 1994-01-18 2001-03-26 株式会社東芝 真空バルブ用接点材料
JPH07320608A (ja) * 1994-05-19 1995-12-08 Toshiba Corp 接点材料の製造方法
JPH08339742A (ja) * 1995-04-12 1996-12-24 Fuji Electric Co Ltd 真空遮断器用接点材料およびその製造方法
JPH10340654A (ja) * 1997-06-09 1998-12-22 Hitachi Ltd 真空遮断器及びそれに用いる真空バルブと電気接点並びに製造法
KR100400356B1 (ko) * 2000-12-06 2003-10-04 한국과학기술연구원 진공개폐기용 구리-크롬계 접점 소재의 조직 제어 방법
JP2002208335A (ja) * 2001-01-05 2002-07-26 Mitsubishi Electric Corp 真空バルブ用接点及びその製造方法
JP2006120373A (ja) * 2004-10-20 2006-05-11 Hitachi Ltd 真空遮断器,真空バルブ及び電極とその製法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008171682A (ja) 2008-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5614708B2 (ja) 真空遮断器用電極材料の製造方法及び真空遮断器用電極材料
US4689196A (en) Silver-tungsten carbide-graphite electrical contact
WO2018142709A1 (ja) 電極材料の製造方法及び電極材料
JP4874814B2 (ja) 接点材料の製造方法及び真空バルブの製造方法
JP6253494B2 (ja) 真空バルブ用接点材料及び真空バルブ
JP2007066753A (ja) 真空バルブ用接点材料及びその製造方法
US4450135A (en) Method of making electrical contacts
JP6048966B2 (ja) 真空バルブ用接点材料及びその製造方法
US3411902A (en) Method of producing infiltrated contact material
US1552184A (en) Metal composition and method of manufacture
JP6669327B1 (ja) 電気接点、電気接点を備えた真空バルブ
JP6015725B2 (ja) 電極材料の製造方法
JP5920408B2 (ja) 電極材料の製造方法
JP5539265B2 (ja) 接点材料、その製造方法及び真空バルブ
JP2003077375A (ja) 真空バルブ用接点材料、および真空バルブ
JP2005150032A (ja) 真空バルブ用接点の製造方法
JP4619821B2 (ja) 接点材料および真空バルブ
JP4761932B2 (ja) 真空バルブ用接点材料
JP2006032036A (ja) 真空バルブ用接点材料
JP3790055B2 (ja) 真空バルブ用接点材料
JP2002088437A (ja) 真空バルブ用接点材料及びその製造方法
JPWO2019155655A1 (ja) 電気接点およびそれを用いた真空バルブ
JPH0510782B2 (ja)
JPS59121724A (ja) 真空断続器用の電気接点部材及びその製造方法
JP3859393B2 (ja) 真空バルブ接点材料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111101

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111124

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141202

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4874814

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141202

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees