JP6042444B2 - 二次電池セルの電極組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、
充電式電池用複合電極材料;
複合電極材料を製造する方法;
前記複合電極材料を有する電極、特にアノード;
前記複合電極材料を包含する電極もしくはアノードを含むセル;及び
前記セルを包含するデバイス
に係る。
二次電池、例えばリチウムイオン充電式電池セルは、放電時に1個以上の電荷キャリア(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムもしくはマグネシウムイオン)が負極から正極へ移動し、充電段階時には再び戻る電池の一群を構成する。二次電池、例えばリチウムイオン電池は一般に、優れたエネルギー対エネルギー比率、無視できるほどのメモリー効果、ゆっくりした電荷損失を呈するので、これらは家電製品では普通である。これらの電池の高いエネルギー密度特性は、これらの電池を航空宇宙、軍事及び車両用途に使用可能であることを意味する。
二次電池、例えばリチウムイオン充電式電池セルは、典型的にはアノード、カソード及び電解質からなる。アノードは通常、グラファイト系複合層が塗布された銅集電体からなる。カソードは通常、電荷キャリア種からなる材料から形成されるか、もしくは電荷キャリア種を含む複合層を塗布された集電体からなる。通常使用される電荷キャリアの例は、アルカリ金属イオン(例えばリチウム、ナトリウム及びカリウムのイオン)及びアルカリ土類金属イン(例えばカルシウム及びマグネシウム)を包含する。リチウムイオン充電式電池において、カソードは通常、リチウム含有金属酸化物系複合層を塗布されたアルミニウム集電体を有する。多孔質プラスチックスペーサもしくはセパレータがアノードとカソードとの間に備えられおり、液体電解質が多孔質プラスチックスペーサと複合アノード層と複合カソード層との間に分散している。
電池は、充電電圧をアノードの及びカソードの集電体に印加することにより充電され得る。リチウムイオン電池の充電プロセス中、リチウムイオンはカソードのリチウム含有複合金属酸化物層からアノードへ移動し、そのアノードでリチウムイオンは、リチウム炭素挿入化合物(例えばLiC)を形成する挿入として知られたプロセスにおいてグラファイト内に埋め込まれた状態になる。放電プロセス中、リチウムイオンはグラファイトから抽出もしくは除去され、電解質を通り抜けてカソードに戻る。同様に、ナトリウムもしくはマグネシウム系電池の充放電は、ナトリウムもしくはマグネシウムイオンがそれぞれ一方の電極から他方の電極へ可逆的に移動することが必要である。
電池を閉じた外部回路に置くことにより、放電中の電池から有益な仕事が得られる。一つの電池セルから得られるその有益な仕事の量は、セルに印加される充電電圧の大きさ、並びにアノード活物質及びカソード活物質両方の重量比容量(gravimetric capacity)に依存する。例えばリチウム挿入グラファイト材料は、最大理論重量比容量372mAh/gを有する。グラファイト系電極によりもたらされる重量比容量は多くの用途に十分であることが分かったけれども、より大きな所要電力を有する新規の用途の開発は、グラファイトよりも大きな重量比容量を有する電極材料を含むリチウムイオン充電式電池の開発を必要とした。今度は、ケイ素,ゲルマニウム,スズもしくはガリウム系複合層が集電体に塗布される電極(例えばアノード)の開発に至った。ケイ素系複合層を有する電極は、最も広範囲に研究された。グラファイトと同様に、シリコンもまた、電池の充電段階においてリチウムによる挿入化合物を形成する。リチウムケイ素挿入化合物LiiSiは、最大理論重量比容量4,200mAh/gを有し;この化合物はもっぱら高温で形成される。しかしながら、化合物Li15Siは、室温で存在し、最大理論重量比容量3,600mAh/gを有する。ゲルマニウムもまた、リチウム挿入化合物LiiGeを形成し;これは最大理論容量1624mAh/gを有する。スズは、最大理論重量比容量800乃至1000 mAh/gを有する挿入化合物LiiSnを形成する。ガリウムのリチウム挿入化合物も知られており、これらの化合物は最大理論重量比容量577mAh/gを有する。これは、ケイ素,ゲルマニウム,ガリウム及びスズ系アノードを含有する電池は、グラファイト系アノードを含有する電池よりも潜在的にかなり高い固有容量を有することを意味し;これらの高いエネルギー密度は、ケイ素,ゲルマニウムもしくはスズ系アノードを含有する電池は十分な所要電力を有するデバイスにおける使用に潜在的に適することを意味する。
遺憾なことに、(それぞれ充電段階及び放電段階においてケイ素,ゲルマニウム,ガリウム及びスズアノード材料へ及び該アノード材料から)リチウムを挿入及び抽出もしくは除去するプロセスは、大きな体積変化(例えばケイ素化合物について充電中300%体積増加)と関連しており、この体積変化はグラファイトアノードを含有するセルについて観察される対応する体積変化よりもかなり大きい。これら顕著な体積変化は、電極構造内に相当量の応力の蓄積をもたらし、それは電極材料にクラックを生じさせ、集電体からの複合材料内の凝集損失と複合電極材料の接着損失とをもたらす。
ほとんどの二次電池用途に関して、電極集電体に塗布された複合層(ケイ素もしくはグラファイト)は、典型的には電気活性材料(例えばケイ素,スズ,ゲルマニウム,ガリウムもしくはグラファイト)及びバインダを有する。バインダは、複合電極材料の成分どうしの良好な凝集をもたらすため、電気活性材料の集電体への良好な接着をもたらすため、及び電気活性材料と集電体との間で良好な導電率を促進するのに使用される。
用語「複合電極材料」とは、電気活性材料、バインダ、及び任意の1個以上のさらなる成分(任意成分は、導電材料、粘度調整剤、充填剤、架橋促進剤、カップリング剤及び接着促進剤からなるグループから選択される)の混合物、好ましくは実質的に均一な混合物、からなる材料を意味するものと理解すべきである。複合材料の成分は好適に一緒に混ぜ合わされて均一な複合電極材料を形成する。複合電極材料は、複合電極層を形成するためコーティングとして基板もしくは集電体に塗布可能である。好ましくは、複合電極材料の成分を溶剤とともに混合して電極合剤を形成する。次いでその電極合剤を基板もしくは集電体に塗布し、乾燥して複合電極材料を形成可能である。
用語「電極合剤」とは、キャリアもしくは溶剤としてのバインダの溶液中の電気活性材料のスラリーもしくは分散を包含する組成物を意味すると理解すべきである。溶剤もしくは液体キャリア中の電気活性材料及びバインダのスラリーもしくは分散を意味すると理解すべきである。
用語「電気活性材料」とは、電池の充電段階及び放電段階で金属イオン電荷キャリア(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムもしくはマグネシウム)をその構造内に組み込み可能であり、及びそこから実質的に放出可能な材料を意味すると理解すべきである。好ましくは、材料はリチウムを組み込み(すなわち挿入)及び放出可能である。
EP2058882によれば、充電式リチウムイオン電池の複合電極材料のバインダは、以下の特性を示さなければならない。
・ 電解質によるダメージを防ぐ保護層を有する集電体を備えることにより、優れた耐食性を提供しなければならない;
・ 凝集マスとして複合電極材料の成分をまとめて保持可能でなければならない;
・ 複合層と集電体との間に強い接着を提供しなければならない;
・ 電池条件下で安定でなければならない;及び
・ 導電性でなければならない、もしくは低い内部抵抗を有していなければならない。
グラファイト複合電極の製造で典型的に使用されるバインダは、熱可塑性ポリマー、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF),ポリビニルアルコール(PVA)もしくはスチレンブタジエンゴム(SBR)を包含する。しかしながら、ケイ素システムにおけるこれらのバインダの使用は、あいにく商業規模での使用を可能にする十分な強度もしくは電荷特性を有する電極をもたらさなかった。例えばKR2008038806Aによれば、ケイ素系アノードシステムにおけるポリビニルアルコール(PVA)バインダは、銅集電体上に均一な塗膜を作成できない。加えて、KR2008038806Aでは、電気絶縁ポリマーバインダ(ポリフッ化ビニリジン(PVDF)及びスチレンブタジエンゴム(SBR))は、電池の充電段階及び放電段階において、複合電極材料の本体内に凝集を保持することも、この材料のアノード集電体に対する接着を保持することもできない。この凝集及び/又は接着損失は、電極の内部抵抗の増大をもたらし、これらのバインダを含有する複合電極材料を包含する電池の電気性能の急速な劣化もたらす。これらの問題を克服するため、KR2008038806Aは、作成の前にそこに開示される複合材料の導電性成分及びバインダを紫外線及びオゾン処理することを教示する
ケイ素含有電気活性材料及び1個以上のバインダ(バインダは、PVDF,芳香族及び脂肪族ポリイミド及びポリアクリラートからなるグループから選択される)のコンポジットから形成されるアノードを有するセルの第1サイクル不可逆性容量損失は、許容不可能なほど大きいことがわかった(WO 2008/097723)。これは、これらのバインダが電池で使用される電解質溶液中で膨張する傾向のせいかもしれない。
以上のことから、ケイ素系システム中グラファイト系システムで伝統的に使用されるバインダ(例えばPVdF,PVA及びSBR)の使用に関連する主要な問題は、複合電極材料それ自体の分解(凝集の損失)及び複合材料と集電体との間の接着の損失による、電極構造内の電気抵抗の増加であることが理解できよう。この問題を解決する試みは、複合材料それ自体内での改善した凝集性、及び複合材料と集電体との間の改善した接着性を達成するためのアプローチ、例えばバインダの導電率を改善すること及びバインダを変性することを含んでいた。
この問題の第1のアプローチ(バインダの導電率を改善すること)の一例は、US2007/0202402に示されている。US2007/0202402は、カーボンナノチューブを含む高分子バインダを含む複合電極材料を開示する。バインダの導電性を高めるために、カーボンナノチューブを添加可能である、示唆される高分子バインダの例は、ポリエステルアクリラート、エポキシアクリラート、ウレタンアクリラート、ポリウレタン、フルオロポリマー(例えばPVdF),ポリビニルアルコール(PVA),ポリイミド,ポリアクリル酸及びスチレンブタジエンゴムを包含する、これら示唆されたバインダのうち、もっぱらPVDF及びPVAが例示される。
第2のアプローチ(バインダの変性)は、ポリマーもしくはポリマー混合物を含むバインダからなる複合電極材料を提供する。ポリマ混合物内のその1個以上のポリマーは、その構造内に、コンポジットの電極材料の表面、及び/又は集電体の表面に結合可能な官能基を含む。このアプローチは、Sugama et al in J. Materials Science 19 (1984) 4045−4056、Chen et al, J. Applied Electrochem. (2006) 36:1099−1 104及びHochgatterer et al, Electrochem. & Solid State Letters, 1 1 (5) A76−A80 (2008)に概説されている。
Sugama et al (J. Materials Science 19 (1984) 4045−4056)は、オルトリン酸鉄(III)もしくはリン酸亜鉛水和物フィルム及びポリアクリル酸マクロ分子(マクロ分子中のカルボキシル(COOH)基0乃至80%は水酸化ナトリウムで中和された)を調査した。該研究は、マクロ分子のカルボキシル基と金属フィルム表面にあるヒドロキシル(OH)基との間の縮合反応の結果、カルボキシル基(COOH)含有マクロ分子は金属(鉄もしくは亜鉛)表面との強い結合を形成可能であろうという想定に基づいていた。マクロ分子の接着強度及び湿潤特性は、ポリアクリル酸マクロ分子の中和の程度に依存することが分かった。カルボキシル基の0乃至80%が中和されたポリアクリル酸マクロ分子は、劣った湿潤もしくは接着特性を示した。非中和ポリアクリル酸マクロ分子内に存在する広範囲な水素結合が、金属表面のヒドロキシル基に結合するのに得られる活性基の数を減らすことが示唆された。反対に、カルボキシル基の80%が中和されたポリアクリル酸システムについて、利用可能な分子間水素結合の減少は、増加した分子間の絡み合いに帰着し、金属表面への結合のための活性基の利用可能性をも制限することが示唆された。中レベルの中和を有するポリアクリル酸を使用して、最善の結果が得られた。ポリアクリル酸マクロ分子は水中で膨潤する傾向があるので、ポリアクリル酸マクロ分子が、金属フィルム表面のヒドロキシル基と反応するのに十分なカルボキシル基をもっぱら含むことを保証することにより、最適接着特性は達成可能であることが観察された;カルボキシル基の過剰は、水性システムにおける金属表面のポリアクリル酸マクロ分子の膨潤をもたらすと思われた。
Chen et al(J. Applied Electrochem.(2006) 36:1099−1 104)は、リチウムイオン電池におけるナノサイズケイ素粉末を含有するケイ素/炭素複合電極のサイクル性能に対する、PVDF,アクリル系接着バインダ及び変性アクリル系接着バインダの効果を調査した。アクリル系接着剤(LA132と称する)は、メチルエチルケトン,酢酸エチル及びトルエン中アクリロニトリル及びブタジエンの混合物と思われる。変性アクリル系接着バインダは、LA132とカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)との混合物であった。アクリル系接着剤を使用して形成した電極は、PVDFバインダと比較して、より良い接着性及びサイクル性能を示すことが分かった。変性アクリル系バインダを含む電極から、最良の性能が得られた。PVDFバインダが、アクリル系接着バインダと比較して、電解質溶液中で膨潤するより大きな傾向を有することが観察された。
Hochgatterer et al, Electrochem. & Solid State Letters, 1 1 (5) A76−A80 (2008)は、リチウムカソードを使用するケイ素/グラファイト系複合アノードのサイクル安定性に対する、カルボキシメチルセルロースナトリウム,ヒドロキシエチルセルロース,シアノセルロース及びPVDF系バインダの効果を調査した。前記著者は、可撓性PVDF系バインダをより脆いカルボキシメチルセルロースナトリウム系バインダで置き換えることにより、改善したサイクル性能が得られることを観察し、及びこの改善された性能は、CMCとケイ素表面との結合形成のせいであること(Sugama et alにより要約されたスキームと類似)ことを示唆した。電気活性材料とバインダとの化学結合の成立は、バインダの可撓性よりも電池寿命のためのより重要なファクターであることが示唆された。
カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムバインダを使用するケイ素系アノードの製造が、Electrochemical and Solid State Letters, 10 (2) A17−A20 (2007)及びElectrochemical and Solid State Letters, 8 (2) A100−A103 (2005)にさらに開示される。これらの論文は、ミクロンスケールの粉末化Siアノード材料もしくはSi/C複合アノード材料を使用する場合、ナトリウムCMCの使用が、「標準」PVdFバインダよりも改善されたサイクル寿命をもたらすことをも証明している。しかしながら、これらのバインダは、もっぱら99.95%以上のケイ素純度を有する電気活性材料に効果的な接着を提供可能である。99.95%未満の純度を有するケイ素材料における2価及び3価金属イオン不純物は、電池環境内でカルボキシメチルセルロースバインダの劣化及び性能の損失を引き起こす。キレート剤及びカルボキシメチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロースナトリウムを有するバインダシステムを包含する複合電極材料を、ケイ素純度が99.90%未満であるケイ素系アノードに使用可能である(WO2010/130975)。しかしながら、キレート剤の包摂は、バインダシステムの複雑性を増やし、及び電池の充放電サイクルにおけるシリコン構造体への包摂及びそれからの放出に利用可能なリチウム量に影響するかもしれない。
WO2010/130976は、ポリアクリル酸バインダを含有するケイ素系複合電極を開示する。これらのポリアクリル酸バインダ及びこれらのポリアクリル酸バインダのナトリウム塩を使用して製造したセルは、150乃至200セルサイクルでおよそ98%以上の容量維持率を示した。WO2010/130976のバインダを、電気活性材料としての高純度ケイ素粉末,金属グレードケイ素粉末,シリコンファイバー及びケイ素のピラー化粒子の製造において使用可能である。
WO2008/097723は、リチウムイオン電気化学セルのための複合アノードを開示する。アノードは、電気活性材料としてのケイ素系合金及び非弾性リチウムポリ塩(polysalt)バインダを有する。バインダとして使用可能なリチウムポリマー塩の例は、ポリアクリル酸リチウム,ポリ(エチレン−alt−マレイン酸)リチウム,ポリスチレンスルホン酸リチウム,ポリスルホン酸リチウムフルオロポリマー,ポリアクリロニトリル,硬化フェノール樹脂,硬化グルコース,コポリマーのリチウム塩(該コポリマーはマレイン酸もしくはスルホン酸もしくはこれらの混合物を包含する)を包含する;発明者は、イオン伝導性層を形成するため、これらのリチウムポリ塩は粉末化活物質を被覆可能であると信じる。活物質としてのケイ素−鉄−チタン合金もしくはグラファイトのいずれか、及びポリエチレン−alt−マレイン酸リチウム,ポリアクリル酸リチウム,ポリ(メチルビニルエーテル−alt−マレイン酸)リチウム及びポリスルホン酸リチウムフルオロポリマーを有するグループから選択されるバインダを包含する複合アノード及びが製造された。上で述べたいずれの活物質に対して、これらの複合材料を包含するセルに関係した容量損失は、複合体中のバインダ量に反比例した。固定量のバインダに対する50サイクル以上のセルの性能(グラファイト対ケイ素合金)には、非常にわずかな違いしかなかった。バインダ(例えばPVDF,ポリイミドもしくはカルボキシメチルセルロースナトリウム)を包含するセルと比較して、リチウムポリ塩バインダを含むセルは、匹敵するもしくはわずかに優れたサイクル当たりの性能を示し;WO2008/097723に開示される他のバインダと比較して、ポリスルホン酸リチウムバインダはわずかに優れた性能を示した。
US2007/0065720は、平均分子量50,000乃至1,500,000を有するバインダ並びにリチウムを吸収及び脱離可能な電気活性材料を有する複合電極材料を包含する、リチウムイオン2次電池のための負極を開示する。電気活性材料を、ケイ素もしくはスズ並びにケイ素もしくはスズの合金及び酸化物から選択できる。ケイ素とチタンとの合金が好ましい。バインダは、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸を有するグループから選択される少なくとも1個のポリマーを有する。ただし、水を吸収する傾向及びその結果として電極材料の破壊を減らす酸無水物基を生成するため、ポリマー構造中カルボキシル基の20乃至80%は縮合された。バインダ構造内のカルボキシ基の部分置換は、バインダが依然として電気活性材料の表面に効果的に接着可能であることを意味する。
US2007/0026313は、ケイ素含有電気活性材料及び平均分子量300,000乃至3,000,000を有する非架橋ポリアクリル酸バインダを包含する、リチウムイオン電池のためのモールド負電極を開示する。架橋ポリアクリル酸,そのアルカリ金属塩及び非架橋ポリアクリル酸のアルカリ金属塩は、US2007/0026313から除外される。なぜならば、それらは吸湿性で、電気活性材料内のケイ素と反応して気体を放出する水を吸収しがちだからである。気体の放出は電極の性能を妨げがちである。平均分子量300,000乃至3,000,000を有する非架橋ポリアクリル酸の使用は、電極強度と電極構造内の電気活性材料の分散との均衡を提供することが示唆された。
銅集電体上にシリコン繊維の複合層を有する電極も製造された(WO2007/083155)。直径0.08乃至0.5ミクロン,長さ20乃至300ミクロン及びアスペクト比(直径:長さ)1:100を有するシリコン繊維を、導電性カーボンと混合し、次いでPVDFバインダを使用して複合フェルトもしくはマットを形成した。
前記のことから、カルボキシル(COOH)基を含有するバインダを有する複合電極材料に関係する一つの問題は、バインダはセル電解質中で常に安定ではなく、セルサイクリング中電解質と他のセル成分との反応を受けるかもしれず、それはセル構造の破壊をもたらすということが理解されよう。加えて、非弾性バインダ(例えばポリアクリル酸)は、電池の充電相及び放電相において、電気活性材料(例えばケイ素,ゲルマニウム,スズもしくはガリウム)を包含するアノード内で起きる体積変化に常時適応可能ではない。これは、電極構造内の粘着性の破壊、及び集電体からの積層損失となり得る。
複合電極材料のためのバインダ混合物に関する少なからぬ量の調査もあった。WO2010/060348は、複合ケイ素系リチウムイオン電極のためのバインダとして使用可能であるポリマー混合物を開示する。バインダは3成分系混合物から形成される。前記混合物は、第1成分としてフィルムの弾性を改善するポリマー;第2成分として、電気活性材料の成分どうしの相互作用を増やすポリマー;第3成分として、集電体に対するケイ素負電極の結合力を改善可能であるポリマーを有する。フィルムの弾性を増し、負電極材料の剥離を回避し得ると思われるポリマーの例は、フッ素含有モノマーの重合により形成されるものを包含する。フッ素含有モノマーと官能基含有モノマーとのコポリマーが好ましい。フッ素含有モノマーの例は、フッ化ビニリデン,フルオロエチレン,トリフルオロエチレン,テトラフルオロエチレン,ペンタフルオロエチレン及びヘキサフルオロエチレンを包含する。官能基含有モノマーの例は、官能基(例えばハロゲン,酸素,窒素,リン,硫黄,カルボキシル基もしくはカルボニル基)を含有するモノマーを包含する。化合物(例えばアクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,不飽和アルデヒド及び不飽和ケトン)は、カルボキシルもしくはカルボニル官能基含有モノマーの例を与える。数平均分子量1×10及び1×10を有するポリマーが好ましい。ポリマーが官能基を含有する場合、その官能基含有モノマーとフッ素含有モノマーとの重量比は、1:10乃至1:1000の範囲内にある。
WO2010/060348において電気活性材料の成分どうしの相互作用を増すと思われるポリマーの例は、モノマー(例えばアクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリラート,メタクリラートもしくはこれらの混合物)の重合により形成されるポリマーを包含する。数平均分子量1×10乃至1×10を有するポリマーが好ましい。
WO2010/060348においてケイ素負電極の結合力を改善すると思われるポリマーの例は、ポリビニルピロリドン(PVP),ポリグリコール(PEG),ポリ(アルキリデン)グリコール,ポリアクリルアミド及びこれらの混合物を包含する。数平均分子量500乃至1×10を有するポリマーが好ましい。
KR845702も、(メト)アクリル酸エステル系モノマー、ビニル系モノマー、共役ジエン系モノマー及びニトリル基含有化合物からなるグループから選択される少なくとも1個のモノマーと、アルキル、アルケニル、アリール、C2−20ペンタエリトリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びC2−20ウレタンから選択される基を包含するアクリラート系モノマーからなるグループから選択される少なくとも1個の化合物との共重合により形成されるポリマーを有するバインダを包含する、複合電極材料を開示する。コポリマーバインダは、集電体及び複合体の成分に対するバインダの接着を増強すると思われる親水基;及び電極マス内の活性粒子の分散を促進する疎水基の両方を包含する。KR845702の複合材料のコピリマーバインダは、優れた接着強度及び被覆特性を有すると思われる。
JP2004095264は、リチウムイオン電池用ケイ素複合アノードを開示する。該アノードは、集電体と,アクリラート含有バインダを包含する複合層と、前記バインダ含有複合層と前記集電体との間に置かれた剥離接着剤層とを有する。接着剤層は、アクリラート置換高分子量フッ素含有ポリマーを有する。前記高分子量フッ素含有ポリマーは、集電体を被覆し、集電体の腐食を予防する保護フィルムを与える。高分子量フッ素含有ポリマーとアクリラート含有バインダとの強い接着も観察される。
ポリイミド及びポリアクリル酸ミックスを有するモールドケイ素含有複合電極が、WO2010/130976に開示される。
上で述べた複合電極材料は、製造するのに費用が掛かり、かつ複雑になりがちである。混合物の成分が正しい比率で組み合わされるのを確実にするため世話が必要とされる。数平均分子量の小さな変更は、結合能に対して有害な影響を有し得る。さらに、複合電極材料の成分におけるいずれの不純物は、バインダ混合物の結合能に悪影響し得る。
従って、複合電極材料の成分及び集電体の両方に接着可能なバインダを包含する複合電極材料が必要とされる。また、電池の充電相及び放電相において、電気活性ケイ素材料が経た体積変化を少なくとも部分的に適応可能であるバインダを包含する複合電極材料も必要とされる。また、電解質溶液における過剰な膨潤を経ないバインダを包含する複合電極材料が必要とされる。また、最低数の成分を有するバインダを包含する複合電極材料が必要とされる。また、複合電極材料への電荷輸送イオン(例えばリチウムイオン)の挿入を有意に妨げないバインダを包含する複合電極材料が必要とされる。さらに、高純度ケイ素材料を包含するケイ素含有複合材料並びに90.00%乃至99.95%,好ましくは95乃至99.95%及び特に98.00%乃至99.95%の範囲のシリコン純度を有するケイ素含有複合材料を結合可能なバインダを包含する複合電極材料が必要とされる。
その上さらに、初期の充電/放電サイクルにおいて、より安定し且つ低抵抗の固体電解質解明(SEI)層の形成を促進するのを助けるバインダを包含する複合電極材料が必要とされる。本発明はこれらの必要について取り組む。
本発明の第1の態様は、
a.電気活性材料;及び
b.ペンダントカルボキシル基を含む高分子バインダ
を有する充電式電池セル用複合電極材料であって、
(i)前記電気活性材料は、電気活性金属、電気活性セミメタル、電気活性セラミック材料、電気活性半金属、電気活性半導体、金属の電気活性合金、セミメタルの電気活性合金、及び金属もしくはセミメタルの電気活性化合物を有するグループから選択される1個以上の成分を有すること、
(ii)前記高分子バインダは、300,000乃至3,000,000の範囲の分子量を有すること、及び
(iii)前記高分子バインダの前記カルボキシル基の40乃至90%はカルボン酸金属イオン塩の形態であること、
を特徴とする複合電極材料を提供する。
用語「カルボキシル基」は、ポリマー構造内の炭素原子に結合した水素原子がカルボキシル置換基で置換された構造を意味すると解すべきである。これはポリマーの骨格に結合した水素原子かもしれないし、もしくはペンダント炭素原子に結合した水素原子かもしれない。好ましくは、カルボキシル基はポリマーの骨格に結合している。
本発明の第1の態様の複合電極材料の高分子バインダは、好適にはアクリル酸モノマーユニットもしくはその誘導体由来である。
好適な高分子バインダの例は、アクリル酸,3−ブテン酸,2−メタクリル酸,2−ペンタン酸,2,3−ジメチルアクリル酸,3,3−ジメチルアクリル酸,trans−ブテン二酸,シス−ブテン二酸及びイタコン酸を含む(ただしこれらに限定されない)グループから選択される1個以上のモノマーのホモポリマーを包含する。
用語「ユニット」もしくは「モノマーユニット」は、ポリマー分子内に存在する最も基本的な繰り返し構造ユニットを意味すると解すべきであり;これは、典型的には、ポリマーが形成されるモノマーの対応する構造に由来する、及びそれと同一である。
本発明のポリマーの好適な金属イオン塩は、リチウム,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,セシウム及び亜鉛の塩を包含する。ナトリウム及びリチウム塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
本発明の第1の態様の複合電極材料は、材料の成分の短期序列が、ここで定義されるバインダを包含する電池の少なくとも100の充電及び放電サイクルにわたって実質的に維持される粘着性材料(cohesive material)である。本発明の第1の態様の複合電極材料は、電極、好ましくは二次電池(例えばリチウムイオン充電式電池)の製造に使用するのに好適なアノードを製造するのに使用可能である。 ということが分かった。本発明の複合電極材料を使用して製造したアノードを包含する電池は、少なくとも100サイクルにわたり,例えば120サイクルにわたり優れた容量維持率を示すことが分かった。さらに、本発明の複合電極材料が電池に含まれる場合、その複合電極材料は、充電される容量に依存して、500mAh/gより多い,好ましくは800mAh/gより多い、及び典型的には1,000乃至3,000mAh/gの範囲の(複合体中の電気活性材料1グラム当たりの容量が算出される)放電容量を示すということが分かった。
電池のライフサイクルは、放電容量が初期充電容量の50%もしくは80%のいずれかに低下する前に経験可能な充電及び放電サイクルの数に換算して、定義可能である。放電容量が初期充電容量の50%に低下するサイクル数は、D50値として定義される。放電容量がその初期充電容量の80%に低下するサイクル数は、D80値として定義される。例えば、速度C/1で充電した場合、酸化リチウムコバルトカソードと、本発明の第1の態様による複合電極材料を有するアノードとを有するセルは、100サイクル以上のD50値を示すということが分かった。本発明の第1の態様の複合電極材料及び酸化リチウムコバルトカソードを包含するセルを速度C/2で充電すると、250サイクルより多いサイクル寿命を有するセルを生じる。C/5で充電すると、350サイクルより多いサイクル寿命になり;500サイクルより多いサイクル寿命が、場合によっては観察された。本発明の複合電極材料を有するアノードと、酸化リチウムコバルトカソードとを有するセルは、10乃至40%,典型的には10乃至30%,より典型的には10乃至20%の範囲の最初のサイクル損失(first cycle loss)を示す傾向にある。このようなセルは、50サイクルにわたり平均効率典型的には96乃至99%,好ましくは98乃至99%を示す。
ハーフセル(本発明の第1の態様による複合電極材料を有するアノード及びリチウムカソード)は、最初のサイクル損失約10乃至20%,典型的には10乃至15%,より典型的には10乃至12%を示す傾向にある。
本発明の第1の態様の複合電極材料内に含まれる高分子バインダのカルボン酸金属イオン塩は、ホモポリマーの金属イオン塩又は交互、周期、ブロックもしくはグラフトコポリマーの金属イオン塩でよい。用語「ホモポリマー」は、同一のモノマーユニットの繰り返し連続を特徴とするポリマーを意味すると解すべきである。ホモポリマーは同一の繰り返しユニットの単一鎖を有する直鎖であってもよいが、枝分かれしていてもよく、その場合当該ポリマーは1個以上の側鎖を有する主鎖(骨格)を有する。用語「交互コポリマー」は、交互モノマーユニットを有する骨格からなるポリマー(通常は直鎖コポリマー)を意味すると解すべきである。用語「周期コポリマー」は、ポリマー骨格に沿って繰り返し(もしくは周期的)配列内に配置されたモノマーユニットを有するポリマーを意味すると解すべきである。用語「交互コポリマー」は、当該コポリマーを構成する様々なモノマーユニットがポリマー骨格の長さに沿って交互に配置されるコポリマーを意味すると解すべきである。用語「統計コポリマー」は、骨格内のモノマーユニット(そのモノマーユニットは統計的法則に従って配置される)を有するポリマーを意味すると解すべきである。用語「ブロックコポリマー」は、ポリマー骨格内にサブユニットからなる2個以上のモノマーを有するポリマーを意味すると解すべきであり、前記サブユニットは共有結合で結合されている。用語「グラフトコポリマー」は、ポリマー骨格及びポリマー骨格が有する側鎖(その側鎖はポチマー骨格の組成に対して異なる組成のものである)を包含するポリマーを意味すると解すべきである。好ましくは、カルボン酸金属イオンポリマー塩は高分子バインダのナトリウム塩である。より好ましくは、カルボン酸金属イオン塩はホモポリマーカルボキシルバインダのナトリウム塩である。ポリアクリル酸のナトリウム塩は最も好ましい。分子量240,000以上を有するポリアクリル酸のナトリウム塩は好ましく、300,000乃至3,000,000の範囲の分子量が特に好ましい。上記のように、本発明のポリマーカルボン酸塩内に存在するペンダントカルボキシル基の数は、好適にはポリマー内に存在するモノマーユニットの総数の50乃至100%、好ましくは50乃至90%,より好ましくは60乃至80%,最も好ましくは65乃至75%の範囲及び特に70%である。好適には及び上記のように、ポリマー構造内に存在するカルボキシル基の40乃至90%,好ましくは40乃至80%,より好ましくは60乃至80%及び特に65乃至76%及びさらに特に70%は、金属イオン塩の形態である。
本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、複合電極材料は好ましくはポリアクリル酸の金属イオン塩を有し,特に塩形成の程度40乃至90%を有するナトリウムもしくはリチウム塩及び特にそのナトリウム塩を有する。さらに好ましい実施形態において、複合電極材料は、300,000乃至3,000,000,好ましくは450,000乃至1,250,000の範囲の分子量を有するポリアクリル酸のナトリウム塩を有し、そのカルボキシル基の40乃至90%は塩の形態である。本発明の第1の態様による複合電極材料は、ペンダントカルボキシル基を包含する1個以上の高分子バインダを有してよく、もしくは1個以上の他の公知のバインダ(例えばPVDF,スチレンブタジエンゴム,カルボキシメチルセルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウム等)との混合物の形態で提供されてよい。本発明の第1の態様の複合電極材料がカルボキシル基含有高分子バインダ2個以上を有する場合、該高分子バインダの一方もしくは両方はカルボン酸金属イオン塩の形態でよく、その場合塩形成の全程度は、各バインダ成分に対しもしくはバインダ混合物に対し全体として40乃至90%の範囲である。
上記のように、本発明の複合電極材料内に含まれる1個もしくは複数の高分子バインダは、金属イオン塩の形態で提供される。本発明の第1の態様によるとこれらの高分子金属イオン塩は、ペンダントカルボキシル基を含有するポリマーと、金属イオン塩基(例えば好適な金属イオンの水酸化物もしくは炭酸塩)とを反応させることにより製造され得る。好ましくは、ポリマーはその構造内に1個以上のカルボキシル基を包含する。より好ましくは,カルボキシル基はアクリル酸由来である。好ましい金属イオン塩基は、ナトリウムの水酸化物及び炭酸塩を包含する。塩基のアニオンは、好適にはポリマーの酸基と反応し、対応するカルボキシル基を与える。次いで金属イオンは、ポリマー構造内に存在するペンダントカルボキシル基と反応し、対応するマレイン酸の塩を与える。
アニオンを包含する塩基(例えばヒドロキシル基及び炭酸基)が好ましい。なぜならそれらの使用は、複合電極材料構造内に残留物をほとんど残さないからである。金属ヒドロキシルは、カルボン酸基と反応して、金属イオンカルボン酸塩の形成の際水を形成し、その水は電極を乾燥するときに蒸発する。金属イオン炭酸塩は、カルボン酸基と反応し、金属イオンカルボン酸塩を形成する際、二酸化炭素ガスを生じ、その二酸化炭素ガスは混合物から放出される。
ポリマー構造内に形成された金属イオンカルボン酸塩ユニットの数は、ポリマー内のカルボン酸基の総数並びに前記カルボン酸基と反応する金属イオン含有塩基の濃度及び量の両方に依存する。アクリル酸基は、1価の金属イオンを含有する塩基(例えばナトリウムもしくはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩)1当量もしくは2価の金属イオン(例えばカルシウムもしくはマグネシウム)を含有する塩基の1当量の半分と反応可能なので、ポリマーと反応する1価もしくは2価金属イオンの塩基を含有する溶液の量と濃度を制御することにより、ポリマー構造内の対応する酸塩へ変換されるカルボキシル基の総数を制御可能であるということは言うまでもない。好ましい実施形態において、反応する金属イオンの塩基の量と濃度を制御することにより、出発物質としてポリアクリル酸を使用する金属イオンアクリル酸塩(アクリル酸金属イオン)に変換されるアクリル酸基の数を制御可能である。ポリマー分子内の対応するアクリル酸塩に変換されるアクリル酸基の数は、分子内に存在するアクリル酸基の総数に換算して表現可能であり、通常は塩形成の程度もしくは中和の程度と呼ばれる。
好ましくは、本発明の第1の態様の複合電極材料内に含まれるポリマーのカルボン酸金属イオン塩は、40%乃至90%,好ましくは40乃至80%,より好ましくは60乃至80%,特に65乃至76%及びさらに特に70%の塩形成の程度を特徴とする。1当量のアクリル酸と1価の金属イオンを包含する0.5当量の塩基とを、もしくは2価の金属イオンを包含する0.25当量の塩基とを反応させると、50%の塩形成の程度を有するポリマーが得られる、ということは言うまでもない。同様に、1当量のアクリル酸と、1価の金属イオンを包含する0.75当量の塩基もしくは2価の金属イオンを包含する0.375当量の塩基との反応により、75%の中和の程度を有する塩が得られる。ポリマーの1価金属イオンが概して好ましい。金属イオン塩(例えばリチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,マグネシウム及び亜鉛の金属イオン塩)を本発明の第1の態様の複合電極材料内に含まれる高分子バインダのカルボン酸塩を形成するのに使用可能であるが、高分子ナトリウム塩がは最も好ましい。40乃至90%の範囲の形成程度を有するポリアクリル酸ナトリウムの使用が好ましい。本発明の複合電極材料内に含まれる高分子バインダの金属イオン塩は、水などの溶媒において、その塩が由来するポリマーよりも大きな溶解度を有する、ということは言うまでもない。本発明の第1の態様の複合電極材料内に含まれる高分子バインダの金属イオン塩は、好適には数平均分子量240,000以上,好適には4,000,000以下,好ましくは300,000乃至3,000,000,好ましくは400,000乃至3,000,000,特に450,000乃至3,000,000を有する線状ポリマーを有する。特に好ましいポリアクリル酸ナトリウムバインダは、分子量450,000;1,000,000;1250,000及び3,000,000を有するポリアクリル酸種から誘導されるものである。この領域の上部に数平均分子量を有するポリマーは優れた接着特性を示したこと、及び電気化学セルの電解質溶液内に溶解しそうにないということが分かった。しかしながら、高い数平均分子量を特徴とするポリマーも、電極合剤を製造するのに使用される溶媒内に溶けにくい傾向にある。例えば、分子量450,000及び塩形成の程度70%を有するポリアクリル酸ナトリウムは、水溶解性30wt%まで,好ましくは15乃至30wt%を有するということが分かった。対照的に、分子量約1,250,000及び塩形成の程度70%を有するポリアクリル酸ナトリウムは、室温での水溶解性1乃至2wt%を有する。溶液を温めることにより及び/もしくは水系溶媒(通常は水)へポリマーを段階的に追加することによりポリマーの溶解性を増やせる。これらのテクニックを使用して、分子量3,000,000までを有する30wt%までのポリアクリル酸を有するポリマー溶液を製造した。好ましくは、分子量3,000,000までを有し及び強度少なくとも5wt%,好ましくは少なくとも10wt%及びより好ましくは15乃至25wt%を有するポリアクリル酸を有するポリマー溶液を使用する。従って、ということは言うまでもない。本発明の複合電極材料内に含まれるポリマーの金属イオン塩の数平均分子量の上限は、その複合電極材料の製造に使用される溶媒中でのこれら塩の溶解性に部分的に依存する。ポリマーの溶解性はまた、その塩形成程度に依存する。40乃至90%,好ましくは60%乃至80%,より好ましくは65乃至80%及び特に70%乃至75%の範囲の塩形成程度を有するポリマーは、概して塩形成の程度40%以下を有するポリマーと比べて、電極合剤を形成するのに使用される溶媒中により溶解性である。ポリマーの数平均分子量並びにその塩形成程度は、電極合剤を製造するのに使用される溶媒中のポリマーの溶解性が1乃至40%,好ましくは10乃至40wt%,好ましくは15乃至40wt%及び特に15乃至35wt%の範囲となるようにする、ということは重要である。この範囲内のポリマー濃度を有する溶液は、粘度を有する。該粘度は、溶液を、複合電極材料を形成する基板もしくは集電体に容易に塗布可能な電極合剤の製造に好適にする。高ポリマー濃度を有する溶液は、粘性があり過ぎで、均一な粘着性層を容易に形成しない。低ポリマー濃度を有する溶液は、複合電極材料層を形成するには粘着性が不十分である。本発明の第1の態様による複合電極材料を形成するのに使用される高分子バインダ溶液は、好適には800乃至30000mPa/s,好ましくは1000乃至25000mPa/s,より好ましくはl500乃至20,000mPa.sの範囲の粘度を有する。本発明の第1の態様による複合電極材料内に含まれるタイプの高分子カルボキシラート金属イオン塩の溶液は、電池セルへの包含に必要な溶解性、粘度及び結合値の優れたバランスを示すことが可能であるということが分かった。
さらに、電極合剤を形成するのに使用される溶液中1乃至40wt%,好ましくは10乃至40wt%の溶解度を有するポリマーはまた、ポリマーを有する複合材料を電解質溶液を含む電気化学セルに組み込む場合、ゲルを形成する傾向にあるということが分かった。ゲル形成は、セル構造内の電荷キャリアの輸送を促進すると思われる。難溶性ポリマーは、電解質と接触した際、ゲル形成不可能であり、電解質溶液と複合層の電気活性材料との間の界面を横切る電荷キャリアの輸送を促進するのは不可能である。本発明の第1の態様の複合電極材料内に含まれるカルボン酸金属イオン高分子バインダは、セル形成に使用される電解質溶液と接触する際、これらゲル形成特性を提示可能である。
本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、複合電極材料は、40乃至90%,好ましくは40乃至80%,より好ましくは60乃至80%及び特に65乃至76%及びさらに特に70%の塩形成程度を有する、及び約300,000;450,000;750,000;1,000,000;1,250,000もしくは3,000,000,好ましくは450,000乃至3,000,000の分子量を有する高分子バインダを包含する。高分子バインダを包含する。多数の好適な溶剤が、本発明の第1の態様による複合電極材料もしくは電極合剤を形成する高分子バインダを可溶化するのに使用可能である。溶媒は、少なくとも1wt%のバインダ,好ましくは少なくとも10wt%のバインダ,より好ましくは少なくとも15wt%及び特に15乃至35wt%を含有する溶液を形成可能でなければならない。好適な溶媒は、水,NMP,低級アルコール(例えばエタノール,プロパノールもしくはブタノール)もしくはこれら低級アルコールと水との混合物を包含する。好ましくは、溶媒は水である。
本発明の第1の態様による複合電極材料内に含まれる高分子ポリマーの金属イオン塩は、好適にはエラストマー特性を示す。好ましくは、ポリマーは、5GPaまでのヤング率を示す。さらに、金属イオン高分子塩は、好ましくは破断前にそのもとの長さの延長を5回まで経験可能である。用語「破断伸び」は、各ポリマーストランドが、破断もしくは折れる前に、そのもとの長さを5回まで延長に耐えることが可能であることを意味すると解すべきである。理論に束縛されることを望まないが、本発明の第1の態様の複合電極材料は、大容積膨張を経験させる条件においてさえ、その粘着性マス(cohesive mass)を維持可能である。数平均分子量240,000以上,好適には4,000,000以下,好ましくは300,000乃至3,000,000の範囲及び塩形成の程度40%乃至90%の範囲,好ましくは40乃至80%,より好ましくは60乃至80%及び特に65乃至76%及びさらに特に70%を有する高分子カルボン酸金属イオン塩は、5GPaまでのヤング率を示すこと、及び本発明の第1の態様の複合電極材料に含めるのに好適であることが分かった。これら高分子カルボン酸金属イオン塩は、本発明の第1の態様の複合電極材料に含めるのに好適であることがわかった。好ましくは、高分子カルボン酸金属イオン塩は、分子量240,000以上,例えば300,000乃至3,000の範囲を有するポリアクリル酸のナトリウム塩である。約300,000;450,000;750,000;1,000,000;1,250,000及び3,000,000の分子量を有するポリアクリル酸が好ましい。
本発明の第1の態様の複合電極材料内に含まれる高分子バインダは、基板(例えば集電体)への接着の強さ及び/もしくは電極合剤を製造するのに使用される溶剤中でのその溶解度を特徴とし得る。用語「接着」は、基板にくっつくもしくは付着する本体の能力を意味すると解すべきである。接着の強度は、好適には剥離試験を使用して測定する。剥離試験は、バインダの薄層を基板に塗布すること、及び基板から薄層を剥離するのに必要とされる平均及びピーク重量(もしくは力)を測定することを伴う。高分子バインダの溶解度は、溶媒の一定の体積内に溶解し得るポリマーの金属イオン塩の重さを測定することにより決定し得る。例えば、100乃至550mN/cmの典型的な負荷が、銅基板から本発明の複合電極材料の1cm幅層を剥離するのに必要とされる,好ましくは115乃至530mN/cmが必要とされるということが分かった。
本発明の第1の態様の複合電極材料はまた、優れた内部凝集力(internal cohesion)を特徴とする。用語「凝集力」(cohesion)は、材料のマス内で、材料の粒子が互いにくっつくもしくは引き寄せられる傾向を意味すると解すべきである。強い粘着性の材料は、互いに強く引かれあい、一緒にくっつく傾向にある粒子からなる。初期容量の50%(D50)に達する前に電極材料を有する電極が経験するサイクル数は、材料の凝集性を測る正しい尺度であり;複合電極材料は、電池環境内での長期サイクリングを維持するために凝集性であることが必要とされる。
本発明の第1の態様の複合電極材料はまた、4点プローブを使用して測定可能なmylar(登録商標)基板上のその導電性を特徴とし得る。本発明の複合材料は、典型的には0.013乃至1.5S/cm,好ましくは0.3乃至0.8S/cmの導電率を示す。
本発明の複合電極材料は単純且つ容易に製造され、及び本発明の第2の態様は本発明の第1の態様による複合電極材料を作成する方法を提供する。該方法は、電気活性組成物を形成するため、ペンダントカルボキシル含有基を包含するポリマーの金属イオンカルボン酸塩と、電気活性材料とを混合するステップを有する。ただし、
(i)前記電気活性材料は、電気活性金属、電気活性セミメタル、電気活性セラミック材料、金属の電気活性合金、セミメタルの電気活性合金、及び金属もしくはセミメタルの電気活性化合物を有するグループから選択される1個以上の成分を有し、
(ii)前記高分子バインダは、300,000乃至3,000,000の範囲の分子量を有し、及び
(iii)前記高分子バインダの前記カルボキシル基の40乃至90%はカルボン酸金属イオン塩の形態である。本発明の第2の態様の好ましい実施形態において、電気活性材料と混合するステップの前に、さらに、高分子バインダの金属イオンカルボン酸塩を形成するステップがある。本発明の第2の態様の特に好ましい実施形態において、好適には、本発明の第1の態様の複合電極材料は好適な溶媒内に高分子バインダの溶液を形成すること、上に定義した電極合剤を形成するため、電気活性材料と得られるバインダ溶液を混合することにより製造される。電極合剤は、基板(例えば集電体)上にあらかじめ定義された被覆厚さまで塗布可能であり、前記基板もしくは集電体上の複合電極材料の層を得るため、溶媒を除去するため乾燥される。好ましくは、基板は銅集電体である。
本発明の第2の態様の別の実施形態において、バインダは溶液の形態で提供され、電気活性材料は分散液の形態で提供される。分散液はバインダ溶液と混合される。バインダ溶液の形成に使用される溶媒は、電気活性材料の分散液に使用される液体キャリアと同一もしくは混和可能であることが特に好ましい。溶媒及び液体キャリアは同じでも異なっていてもよい。いずれにしても溶剤及び液体キャリアは、それぞれ80乃至200℃の範囲の沸点を有するので、複合電極材料を形成するため電極を乾燥させる場合、蒸発により電極合剤から除去可能であることが好ましい。本発明のこの第2の態様により製造される複合電極材料は、電極、好ましくはリチウムイオン電池におけるアノードの製造に使用可能である。本発明の第2の態様の好ましい実施形態において、当該方法は、ケイ素含有電極電気活性材料と、ポリアクリル酸のナトリウム塩の水溶液とを混合するステップを有し;水溶液中ポリアクリル酸ナトリウム塩の濃度は、好ましくは1乃至40wt%の範囲,好ましくは10乃至20wt%,特に15wt%を有し、バインダは好ましくは塩形成の程度60%乃至70%を有する。
電極合剤の形成に使用可能なカルボン酸金属イオンポリマー塩の溶液は、好適には溶媒内のポリマーの分散液もしくは溶液対して十分な金属イオンを添加することにより形成され得る。あるいは、カルボン酸金属イオン塩は、ペンダントカルボキシル基を包含するポリマーに対して金属イオンの塩基塩の溶液を添加することにより形成可能である。本発明の第2の態様の好ましい実施形態において、カルボン酸ポリマー金属イオン塩の溶液を電気活性材料と混合し、電極合剤を形成する。電極合剤は、好適には基板(好ましくは、集電体の形態の基板)に塗布され、本発明の複合電極材料を形成するため乾燥される。あるいは、カルボン酸金属イオンポリマー塩は、溶媒内のポリマの溶液もしくは分散液に金属イオン塩基を添加することにより形成可能である。好ましくは、ヒ水酸化もしくは炭酸ナトリウムもしくはリチウム種を、240,000以上,より好ましくは300,000乃至3,000,000の範囲の分子量を有するポリアクリル酸の溶液と混合すると、60乃至70%の塩形程度及び水中少なくとも1wt%,好ましくは少なくとも10wt%,より好ましくは少なくとも15%及び特に15乃至35wt%の溶解度を有するナトリウムもしくはリチウム塩を与える。
溶媒が、少なくとも1wt%,好ましくは少なくとも10wt%,より好ましくは少なくとも15wt%及び特に15乃至35wt%の高分子バインダをを含有する溶液の形成を促進する限り、本発明の第1の態様による複合電極材料の製造において使用されるバインダ溶液の調製で使用される溶媒の正確な性質は、重要ではない。溶媒は、電気活性材料の分散液をサポートするいずれの液体キャリアと混和性でなければならない。電極合剤の形成中、バインダ溶液は前記電気活性材料の分散液と混合される。さらに溶媒は、基板(例えば集電体)上のコーティングの形成を好適にサポートする。さらに溶媒は、塗布された電極を乾燥する際、電極合剤から蒸発するように、好ましくは十分に揮発性である。バインダ溶液を形成するのに使用される溶媒の例は、水,N−メチル−ピロリドン(NMP),二フッ化ポリビニル,ポリビニルアルコール及び低級アルコール(例えばエタノール,プロパノール及びブタノール)及びこれらの混合物を包含する。
高分子バインダのカルボキシル基の40乃至90%がカルボン酸金属イオン塩の形態である、本発明の第1の態様による複合電極材料を形成するため、カルボン酸金属イオンポリマー塩の溶液もしくは分散液の形成の前に、コントロールとしてポリマーの1サンプルを使用するポリマー溶液もしくは分散液内のカルボキシル基の濃度を決定することは必須であることは言うまでもない。このような方法は当業者には周知であること、及びポリマー内に存在するカルボキシル含有基の濃度を決定することにより、あらかじめ決定した塩形成程度を有するカルボン酸ポリマー金属イオン塩を形成するのに必要とされる、1価もしくは2価金属イオンいずれかを含有する塩基の量及び濃度を算出可能であるということは言うまでもない。好ましくは、ペンダントカルボキシル基を包含する高分子バインダはアクリル酸であり、アクリル酸と塩基との反応の前に、ポリマー溶液内ペンダントカルボキシル基の濃度が決定される。ポリマー構造内カルボキシル基の濃度を決定する方法は、当業者に知られている。高分子バインダの数平均分子量はまたは、テクニック(例えば浸透圧測定法及びレーザー光散乱テクニック、いずれも当業者に周知のテクニックである)を使用して容易に決定可能である。
本発明の第2の態様のさらなる実施形態において、ポリマー分散液もしくは溶液に添加される金属イオンの量及び濃度は、その塩形成程度を制御するためモニターされる。塩形成の程度40乃至90%を有するポリマー塩が好ましいので、ポリマーに添加される1価金属イオンもしくは2価金属イオンのいずれかを含有する塩基の量は、分散液中アクリル酸モノマーユニットの0.2乃至0.9倍濃度と同等でなければならない。
複合電極材料を形成するのに使用される溶液内カルボン酸金属イオンポリマー塩の最終濃度は、好適には1乃至40wt%,より好適には10乃至40wt%,好ましくは15乃至40%及び特に15乃至35wt%である。この範囲内のポリマー濃度を有する溶液は、優れたレオロジー特性を有し、優れた凝集及び接着特性を有する複合電極材料を生成する。先に示したように、800乃至3000mPa/s,好ましくは1000乃至2500mPa/sの範囲の粘度を有する溶液が好ましい。40%以上のポリマー濃度を有する溶液は、粘着性が過ぎ、そのような溶液を使用して形成した複合電極材料は不均質な傾向にある。10wt%未満のポリマー濃度を有する溶液を使用して製造した複合電極材料は概して凝集性が劣り、集電体によく接着しない。これに対する例外は、 分子量1,250,000を有するポリアクリル酸のナトリウム塩(70%)の溶液であり、該溶液は1乃至2%の室温水溶解度を示すが、200サイクルを超えるサイクル寿命を有する非常に安定なセルを形成可能である。分子量3,000,000を有するポリアクリル酸のナトリウム塩(70%)はまた、低い室温溶解度にも関わらず安定なセルを形成可能である。電極材料の製造における少なくとも1wt%,好ましくは少なくとも10wt%,より好ましくは少なくとも15wt%及び特に15乃至35wt%の濃度を有するポリマー塩の使用は、電池形成のために使用される電解質溶液との接触の際、ゲルを形成する複合電極材料の形成をもたらす。ゲル形成は、電池セル内の導電率を高めることが分かった。
好ましい本発明の第1の態様の複合電極材料は、塩形成程度が電極合剤の形成に使用される溶媒内のカルボン酸ポリマー金属イオン塩の溶解度少なくとも1wt%,好ましくは少なくとも10wt%,より好ましくは少なくとも15wt%及び特に15乃至35wt%溶解度を達成するのに必要な最低であるポリマーの金属イオン塩を使用して形成される。これは、本発明の第1の態様の複合電極材料の製造中、カルボン酸金属イオンポリマー塩の少なくとも1wt%,好ましくは少なくとも10wt%,より好ましくは少なくとも15wt%及び特に15乃至35wt%を有する溶液を形成するため、もっぱら金属イオンの最低濃度が高分子バインダの十分に溶解するために添加されることを意味する。
上記のことからいうまでもなく、本発明の第1の態様の複合電気活性材料は電気活性材料並びに高分子バインダを有する。
本発明の第1の態様による複合電極材料に組み込むための好適な電気活性材料の例は、ケイ素,スズ,ガリウム,ゲルマニウム,アルミニウム,鉛,亜鉛,金,銀,白金,パラジウム,ビスマス,ヒ素,アンチモン,テルル,ホウ素,セレン及びインジウム及びこれらの混合物,非電気活性材料及びセラミックチタン酸塩(TiO12)を有する電気活性材料の合金を包含する。本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、電気活性材料はケイ素含有電気活性材料である。
本発明の第1の態様の複合電極材料に含まれる電気活性材料は、粒子,チューブ,ワイヤ,ナノワイヤ,フィラメント,繊維,ロッド,フレーク,シート,リボン及びスカフォールドの形態で提供され得る.
本発明の複合電極材料内に包含され得る粒子,チューブ,ワイヤ,ナノワイヤ,フィラメント,繊維,ロッド,フレーク,シート,リボン及びスカフォールドは、Si,Sn,Ge,Ga,Se,Te,B,P,BC,BSi,SiC,SiGe,SiSn,GeSn,WC,SiO,TiO,BN,BaS,AlN,AlP,AlAs,AlSb,GaN,GaP,GaAs,GaSb,InN,InP,InAs,ZnO,ZnS,ZnSe,ZnTe,CdS,CdSe,CdTe,BeSe,BeTe,GeS,GeSe,GeTe,SnS,SnSe,SnTe,PbO,PbSe,PbTe,AgF,AgCl,AgBr,AgI,BeSiN,ZnGeP,CdSnAs,ZnSnSb,CuGeP,CuSi,Si,Ge,AlO,AlCOもしくはこれらの混合物から選択される(ただしこれらに限定されない)電気活性材料を包含し得る。好ましくは、構造体はケイ素又は電気活性ケイ素合金もしくは化合物を有する。これら構造体はまた、有機ポリマー,セラミック,無機半導体及び生物学的由来の化合物,その他を有し得る。
本書上記に参照された複合電極材料を形成するため使用される電気活性材料は、それらの構造内にドーパント(例えばp型もしくはn型ドーパント)を包含し得る。ドーパントは好適には、材料の電気導電性を改善するため材料構造内に包含され得る。ドープされたケイ素の使用が好ましい。ケイ素に対するp型ドーパントの例は、B,Al,In,Mg,Zn,Cd及びHgを包含する。ケイ素に対するn型ドーパントの例は、P,As,Sb及びCを包含する。電気活性材料の電気導電率は、あるいは、構造体内に、その抵抗を減らすもしくはその導電率を増やす化学的添加剤を含ませることにより高められてよい。材料,特にケイ素含有電気活性材料の電気導電率はまた、その材料の構造上もしくは中の複合体を形成するのに使用される電気活性材料よりも、高い導電率を有する電気活性材料を被覆するもしくは含めることにより、高められてよい。好適な導電性材料は、セル成分(例えば銅もしくは炭素)と相性の良い金属もしくは合金を包含する。
用語「ケイ素含有電気活性材料」は、ケイ素からなるもしくはその構造内にケイ素を包含する電気活性材料意味すると解すべきである。ケイ素含有電気活性材料は、90%以上の純度を有するケイ素を有し得る。ケイ素含有電気活性材料は好適には、99.99%未満の純度を有する。好ましくは、ケイ素含有電気活性材料は、90乃至99.99%,好ましくは95乃至99.99%,より好ましくは99.90%乃至99.99%及び特に99.95%乃至99.97%の範囲の純度を有するケイ素を有する。ケイ素含有電気活性材料はまた、金属(例えば鉄及び銅)(当該金属は、電池の充電相及び放電相の間、合金化ケイ素への電荷キャリア(例えばリチウム)の挿入及び放出を阻害しない)を有するケイ素の合金を包含し得る。ケイ素含有電気活性材料はまた、電気活性もしくは非電気活性コアの上に1個以上のケイ素被覆を有する構造体、又はケイ素コア及びそのコアに対して塗布される1個以上の被覆を有する構造体を包含し得る。コアが被覆層に先行する場合、各被覆層の構造は、先行する層もしくはコアの組成と異なる。
本発明の具体的実施形態を説明するため、用語「ケイ素含有電気活性材料」が本書で使用される場合、これらケイ素含有材料により示される特性はまた、他の電気活性材料(例えばスズ,ゲルマニウム,ガリウム及びこれらの混合部)に拡張されると理解すべきである。このことについてさらに、電気活性ケイ素粒子への言及全て及び本書で言及される他のケイ素構造体は、電気活性材料(例えばスズ,ゲルマニウム,ガリウム及びこれらの混合物)から形成される同一粒子及び構造体への言及を包含する。
本発明の第1の態様による複合電極材料の製造において使用可能なケイ素含有電気活性材料の例は、ケイ素含有粒子,チューブ,フレーク,ワイヤ,ナノワイヤ,フィラメント,繊維,ロッド,シート及びリボン及びスカフォールドを有するグループから選択される1個以上のケイ素含有構造体を包含し、先行する構造体のいずれか1個以上の相互接続したネットワークを包含する。好ましくは、本発明の第1の態様による複合電極材料は、粒子及び繊維から選択される1個以上のケイ素含有電極材料を有する。
本発明の第1の態様の複合電極材料内に包含可能なケイ素含有電気活性粒子は、未変性の(native)粒子,ピラー化粒子,多孔質粒子,多孔質粒子フラグメント,多孔質ピラー化粒子もしく基質粒子の形態でよい。ケイ素含有粒子は、被覆されても、被覆されなくてもよい。ケイ素含有ピラー化粒子もしくは未変性のケイ素含有粒子を有する複合電気活性材料が好ましい。
用語「未変性の粒子」は、エッチングステップを経ていない1個以上の粒子を包含すると理解すべきである。このような粒子は典型的には、10nm乃至100μm,好ましくは1μm乃至20μm,より好ましくは3μm乃至10μm及び特に4μm乃至6μmの範囲の原理直径を有し、及びバルクもしくは粒状ケイ素、好ましくは金属グレードシリコンを必要とされるサイズまで粉砕することにより得られる。用語「金属グレード」シリコンは、90乃至99.99%,好ましくは95乃至99.97%の範囲のケイ素純度を有するケイ素材料を意味すると解すべきである。金属グレードシリコンは典型的には、1900℃周辺の温度で炭素電極を使用する電気アーク炉内で炭素の存在下に酸化ケイ素を還元することにより作成される。得られる元素ケイ素は典型的には、原則として不純物カルシウム,アルミニウム及び鉄を包含する。本発明の第1の態様の複合電気活性組成物内で使用可能な金属グレードシリコン含有未変性粒子の例は、ノルウェイのElkem(登録商標)から商品名「Silgrain」及び「Silgrain HQ」で売られているケイ素粒子を包含する。特に好ましい、未変性ケイ素粒子は、Silgrain HQとして売られているものである。Silgrain HQは、様々なサイズ分布のケイ素粒子の一範囲を包含する。Silgrain HQレンジは、4.5μmのD50及び2.7m/gのBETバルク表面積値を有し、0.2乃至15μmの範囲のサイズを有するジェットミル粒子、並びに15μmのD50及び0.48m/gのBETバルク表面積値を有し、5乃至30μmの範囲のサイズを有する粒子を包含する。
本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、複合電気活性組成物は、4.5μmのD50とともに0.2乃至15μmの直径有する未変性ケイ素粒子、及びペンダントカルボキシル基を包含する重合体バインダを有する。該重合体バインダは、300,000乃至3,000,000の範囲の分子量及び40乃至90%の範囲の塩形成程度を有する。本発明の第1の態様のさらに好ましい実施形態において、電気活性材料は、15μmのD50とともに、5乃至30μmの範囲の直径を有する未変性ケイ素粒子を有する。好ましくは、未変性ケイ素粒子は、金属グレードシリコンを有する。典型的には、金属グレードシリコンは、不純物(例えばアルミニウム,銅,チタン,鉄及びバナジウム)を包含する。これら不純物は、概して100万分の1部(ppm)濃度で存在する。表1は、金属グレードシリコン内で見つかる、より一般的な不純物のいくつかを、それら存在する濃度と一緒に列挙する。
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用語「ピラー化粒子」は、粒子コアと、そこから延びている複数のピラーとを有する粒子を意味すると理解すべきである。前記ピラーは、0.5乃至25μm,好ましくは0.5μm乃至10μm,より好ましくは1乃至5μmの範囲の長さを有する。ピラー化粒子は、好適には電気活性材料(例えばケイ素,ゲルマニウム,ガリウム,スズもしくはこれらの合金)を有する。ケイ素含有ピラー化粒子が好ましい。コアの組成は、ピラーの組成と同じでも異なっていてもよい。ピラー及びコアが異なる組成のものである場合、ピラー及びコアの両方とも、電気活性材料を有し得る。あるいはピラーもしくはコアのいずれかが、電気活性材料を有する。ピラーの組成がコアの組成と異なる場合、ピラーが電気活性材料から形成され、コアが、非電気活性材料もしくは充電中にピラーよりも小さい体積膨張を示す電気活性材料のいずれかから形成されることが好ましい。電気活性ピラー化粒子は、WO2009/010758に述べられている手順を使用して、5乃至60μm,好ましくは5乃至25μmの範囲の寸法を有する電気活性材料(例えばケイ素)の粒子をエッチングすることにより製造可能である。このようなピラー化粒子は、5乃至15μm,15乃至25μm及び25乃至35μmの範囲の粒子直径(コア直径足すピラー高さ)を有する粒子を包含する。5乃至15μmの範囲の原理直径を有する粒子は、典型的には0.5乃至3μmの範囲の高さを有するピラーを包含する。15乃至25μmの範囲の原理直径を有する粒子は、典型的には1乃至5μmの範囲の高さを有するピラーを包含する。25乃至35μmの範囲の原理直径を有する粒子は、典型的には1乃至10μm,好ましくは1乃至5μmの範囲の高さを有するピラーを包含する。約14μmのコア直径及び約4μmのピラー長さを有するピラー化粒子が、特に好ましい.本発明の第1の態様による電気活性組成物内に包含可能な好ましいピラー化粒子の例は、24μmのD50値とともに、20乃至35μmの範囲の直径を有する未変性Silgrain(登録商標)ケイ素粒子をエッチングすることにより、調製されるケイ素含有ピラー化粒子である。このような粒子は、Silgrain HQ 未変性の粒子として売られ、エッチングの際、26.6m/gのBETバルク表面積を示す。また、用語「ピラー化粒子」について使用する場合、用語「ピラー」は、ワイヤ,ナノワイヤ,ロッド,フィラメントもしくはいずれか他の細長い構造(例えばチューブもしくは円錐)を包含する、と理解すべきである。方法(例えば成長、接着もしくは融合)を使用して、ピラーは、粒子コアの上に形成可能もしくは接着可能である。本発明の第1の態様のさらに好ましい実施形態において、複合電極組成物は、24μmのD50及び26.6m/gのBETバルク表面積とともに、20乃至35μmの範囲の直径を有するピラー化粒子を含む。
用語「多孔質粒子」は、粒子構造内に複数のポア、ボイドもしくはチャネルを有する粒子を包含すると理解すべきである。前記粒子構造内のポア、ボイドもしくはチャネルのそれぞれは、粒子が形成される電気活性材料により規定され、固定され、部分的に固定され又は分離される。用語「多孔質粒子」はまた、線状、分枝もしくは層状の細長い要素のランダムもしくは規則的ネットワークを有する粒子材料を包含すると理解すべきである。1個以上の分離したもしくは相互接続したボイドスペースもしくはチャネルは、ネットワークの細長い要素どうしの間で規定され;細長い要素は、好適には線状、分枝もしくは層状繊維,チューブ,ワイヤ,ピラー,ロッド,リボンもしくはフレークを包含する。層状の細長い要素は、その細長い要素が一緒に融合する構造を包含する。個々の枝分かれした細長い要素は典型的には、100乃至400nmおきに枝を有する50乃至100nmの範囲の最小寸法を有する。多孔質粒子フラグメントが誘導される多孔質粒子は、さらに最小寸法(もしくはポア壁の厚さ)に換算して規定可能である。この最小寸法は、連接するボイドから、ポア含有多孔質粒子構造内のいずれか1個のポアもしくはボイドを分離する材料の平均厚さ、又は粒子が細長い要素のネットワークを有する場合、ネットワーク内の細長い要素の平均厚さ(これが平均最小寸法である)である。用語「多孔質粒子フラグメント」は、多孔質粒子、好ましくは電気活性材料(例えばケイ素,スズ,ゲルマニウム,ガリウム,アルミニウム及び鉛)から形成される多孔質粒子から誘導される全てのフラグメントを包含すると理解すべきである。ケイ素含有多孔質粒子が特に好ましい。このようなフラグメント、実質的に不規則な形状及び表面形態を有する構造を包含し、これらの構造は、フラグメント構造が誘導される多孔質材料内で、ポア、チャネル又はポアもしくはチャネルのネットワークを有するフラグメント自体の外で、ポアもしくはポアのネットワークを当初規定する、固定する、部分的に固定するもしくは分離する電気活性材料から誘導される。好ましくは、これらのフラグメントは電気活性材料,好ましくは、
(a)細長い要素のネットワークを規定する、又は
(b)フラグメント構造が誘導される多孔質粒子内で、ポア、チャネルもしくはポアもしくはチャネルのネットワークを有するフラグメントそれ自体の外で、ポアもしくはポアのネットワークを当初規定する、固定する、部分的に固定するもしくは分離する、
ケイ素材料から誘導される。これらのフラグメントを今後フラクタルと呼ぶ。フラクタルの外管は、これらフラクタルが誘導される多孔質粒子に似ていても、似ていなくてもよい。典型的には、本書で記載される用語「フラクタル」は、より大きい多孔質粒子のランダムなフラグメンテーションにより得られる構造を説明する。これらフラクタル構造の表面形態(これらはポアもしくはチャネル又はポアもしくはチャネルのネットワークを欠いている)は、電気活性材料構造、好ましくはペアレント多孔質粒子により当初固定されたもしくは部分的に固定されたポアもしくはチャネル又はポアもしくはチャネルのネットワークに起因する刻み目(indentations)もしくは不規則性の規則的もしくは不規則配列を包含してよい。これらフラクタルフラグメントは、典型的には、その表面にわたって延びるピークと谷間との存在を特徴とし、とがった外観を有する粒子、並びに粒子の表面から延びる複数のうねもしくは隆起を包含する粒子を包含する。ピークは、ピーク高さ及びピーク幅により特徴づけられる。ピーク高さは、ピークの底部(ピークがフラクタルの本体と合併する場所)とピークの先端との間の距離とし定義される。ピーク幅は、ピークの1辺と半分の高さにおける他方の辺との間の最小距離として定義される。フラクタルはまた、フラクタル本体の平均厚さにより定義可能であり;この値は、典型的には細長い要素のネットワークを有する多孔質粒子から誘導される細長い要素の平均厚さ(最小寸法)、フラクタルが誘導されるポア含有多孔質粒子内でいずれか2個の隣接するポアを当初分離する電気活性材料の平均厚さ(好ましくはポア壁厚さ)と同一である。
用語「多孔質粒子フラグメント」はまた、粒子の壁を定義する電気活性材料により定義及び分離されたポア及び/もしくはチャネルのネットワークを有する多孔質粒子フラグメントを包含する。ポア含有多孔質粒子フラグメントはまた、母粒子内で2個の隣接するポア構造を分離する電気活性材料の平均厚さ(本書ではポア壁厚さとも呼ぶ)に換算して定義可能である。好ましくは、電気活性材料は、ケイ素含有電気活性材料であり、用語「ケイ素含有電気活性材料」は、基本的に実質的に純粋なもしくは金属グレードシリコン、電気活性元素及び非電気活性元素の両方を有するケイ素の合金、並びにケイ素の電気活性化合物を有する材料を有する電気活性材料を包含すると、解釈すべきである。好適なケイ素合金は、アルミニウム,銅,チタン,ストロンチウム,ニッケル,鉄,アンチモン,クロム,コバルト,スズ,金,銀,ベリリウム,モリブデン,ジルコニウム及びバナジウムから選択される1個以上の金属元素と、ケイ素との合金を包含する。これらフラグメントは、本書では以降、ポア含有フラグメントと呼ぶ。フラグメントが誘導される粒子並びに多孔質粒子フラグメントそれ自体に関連して定義される用語「ポア」もしくは「チャネル」は、粒子の全体積内に包囲されたもしくは部分的に包囲されたボイドもしくはチャネル、並びにその表面から粒子の内部へと延びるチャネルを意味すると解すべきである。これらのポア及び/もしくはチャネル含有多孔質粒子フラグメントはまた、一般にただし排他的ではなく、不規則な形状及び表面形態を特徴とする。対照的に、フラグメントが誘導される粒子は、一般にただし排他的ではなく、円盤状もしくは実質的に球状形状及び比較的滑らかな外側表面形態(表面ボイドどうしの間)を特徴とする。フラクタル及びポア含有多孔質粒子フラグメントが今後一緒に記載される場合、これらはまとめて多孔質粒子フラグメントもしくはケイ素含有多孔質粒子フラグ面のいずれかを適切に意味する。ポア及び/もしくはチャネルのネットワークは、好適には粒子の体積を貫通して延びるポア及び/もしくはチャネルの3次元配列を有する。該3次元配列において、ポア及び/もしくはチャネル開口は、ポア含有多孔質粒子フラグメントの表面の上の2個以上の平面上に与えられる。多孔質粒子は典型的には、1乃至15μm,好ましくは3乃至15μmの範囲の原理直径を有し、1nm乃至1500nm,好ましくは3.5乃至750nm及び特に50nm乃至500nmの範囲の直径を有するポアを含む。このような粒子は、典型的にはシリコン粒子もしくはウエハのステインエッチングのようなテクニックを使用して、又はケイ素合金のエッチング粒子(例えばケイ素とアルミニウムとの合金)により、製造される。このような多孔質粒子の作成方法は、周知であり、例えばUS2009/0186267,US2004/0214085及びUS7,569,202に開示される。本書で言及される粒子に関連する用語「粒子」は、本質的に球体及び非球体粒子を包含する。非球体粒子は、原理直径及び小径を有する立方体,角柱状及び十面体形状粒子を包含する。原理直径:小径のアスペクト比は3:1,好ましくは2:1及び特に1:1であることが好ましい。
用語「基質粒子」(substrate particle)は、その上に電気活性材料の分散液を形成させた粒子コアを有する。コアは本質的に基質を提供し、その基質上で電気活性材料が分散される。コア乃至基質は、電気活性材料,非電気活性材料もしくは導電性材料でよい。コア乃至基質が電気活性材料である場合、好適には、コア乃至基質は、その上に分散される電気活性材料の組成とは異なる組成を有する。好ましくは、コア乃至基質は炭素系材料(例えばグラファイト,グラフェン)もしくは導電性カーボン(例えばカーボンブラック)である。好ましくは、分散電気活性材料は、ケイ素,スズ,ガリウムもしくはゲルマニウムもしくはこれらの混合物を有するグループの1個以上から選択される。好ましくは、分散電気活性材料は、ナノ粒子の形態で提供される。従って好ましい基質粒子は、炭素コアもしくは基質上に、1nm乃至500nm,好ましくは1乃至50nmの範囲の直径を有する電気活性材料のナノ粒子の分散液を有する。その基質粒子は、5乃至50μmの範囲,好ましくは20μmの直径(コア(乃至基質)の直径と、2個の対向して置かれるナノ粒子との合計として定義される)を有する。あるいは、基質粒子は、炭素コアもしくは基質上に、10乃至500nmの範囲の直径及び10:1乃至1000:1の範囲のアスペクト比を有する電気活性材料のナノワイヤの分散液を有する。その基質粒子は、5乃至50μmの範囲の直径を有する。ケイ素が分散電気活性材料として好ましい。好適には、分散電気活性ケイ素は、金属グレードシリコンである。好ましくは、分散電気活性材料は、ケイ素ナノ粒子もしくはケイ素ナノワイヤを有する。ケイ素ナノ粒子による基質の適用範囲は、完全であっても不完全であってもよく、好ましくは不完全である。本発明のバインダと組み合わせて使用可能な基質粒子の例は、US2010/0297502に開示される。
用語「繊維、ナノワイヤ、ワイヤ、繊条(thread)、ピラー及びロッド」はそれぞれ、2個の小さい寸法及び1個の大きい寸法(大きい寸法:小さい寸法のアスペクト比は5:1乃至1000:1の範囲である)により定義可能な細長い要素を包含すると解するべきである。この点において、前記用語は相互交換可能に使用してよく、また用語「ピラー」及び「繊条」と交換可能に使用してもよい。好ましくは、本発明の第1の態様の複合電気活性組成物内に含まれる繊維、ナノワイヤ、ワイヤ、繊条、ピラー及びロッドは、ケイ素,より好ましくは金属グレードシリコンを有する。英国特許出願願番号GB1014706.4に詳細に記載されるように、ケイ素含有繊維は、好ましくは0.02乃至2μm,好ましくは0.05乃至1μm及び特に0.05乃至0.5μmの範囲の直径を有する.0.2μmの直径を有するシリコン繊維が好ましい。本発明の第3の態様の複合電極材料は、0.1μm乃至400μm,好ましくは2μm乃至250μmの範囲の長さを有するシリコン繊維、ナノワイヤ、ワイヤ、繊条、ピラー及びロッドを包含し得る。20μmの長さを有するシリコン繊維、ナノワイヤ、ワイヤ、繊条、ピラー及びロッドが好ましい。本書で言及される細長い構造体は、個々の枝分かれしていない要素の形態で提供されても、枝分かれした要素の形態で提供されてもよい。枝分かれした構造体は、主要な幹に付属した枝の数に依存して2脚、3脚、4脚と称してよい。
上述の文脈において、用語「ナノワイヤ」は、1nm乃至500nmの範囲の直径,0.1μm乃至200μmの範囲の長さ及びアスペクト比10以上,好ましくは50以上及び特に100以上を有する要素を意味するとさらに解するべきである。好ましくは、ナノワイヤは20nm乃至400nm,より好ましくは20nm乃至200nmの範囲及び特に100nmの直径を有する。本発明のバインダ組成物に包含可能なナノワイヤの例は、US2010/0297502及びUS2010/0285358に開示される。
用語「リボン」は、3次元により定義可能な要素を意味すると解すべきである。即ち、第1の次元は他の2個の次元よりもサイズが小さい;第2の次元は第1の次元よりも大きい;第3の次元は第1及び第2の次元のいずれよりも大きい。
用語「フレーク」は、これもまた3次元により定義可能な要素を意味すると解すべきである。即ち、第1の次元は他の2個の次元よりもサイズが小さい;第2の次元は第1の次元よりも大きい;第3の次元は第2の次元と同様のサイズもしくは僅かに大きい。
用語「チューブ」は、これもまた3次元により定義可能な要素を意味すると解すべきである。即ち、第1の次元は、他の2つの次元より小さいチューブ壁厚さである;第2の次元は、第1の次元より大きいチューブ壁の外径を定義する;第3の次元は、第1及び第2の次元のいずれよりも大きいチューブ長さを定義する。
用語「スカフォールド」(scaffold)は、繊維,ワイヤ,ナノワイヤ,繊条,ピラー,ロッド,フレーク,リボン及びチューブを有するグループから選択される1個以上の構造化要素の3次元配列を意味すると解すべきである。当該構造体はその接触点において一緒に結合している。構造化要素は、d次元配列内においてランダムにもしくは非ランダムに配置されてよい。3次元スカフォールドは、電気活性材料(例えばケイ素,スズ,ゲルマニウムもしくはガリウム)を含むコアを有する被覆されたもしくは被覆されない構造体を有し得る。あるいは、スカフォールドは、その上に、スカフォールドが形成される電気活性材料の組成とは異なる組成を有する電気活性材料の小さな島々、ナノワイヤもしくは被覆が堆積される電気活性もしくは非電気活性塩基スカフォールド材料を有する構造体の3次元配列を有するヘテロ構造であり得る。好ましいスカフォールドは、その上に電気活性材料(例えばケイ素,ゲルマニウム,ガリウム,スズもしくはこれらの混合物)の小さな島々、ナノワイヤもしくは薄膜被覆が塗布された炭素繊維,繊条,ワイヤもしくはナノワイヤのネットワークを有する。スカフォールドがケイ素系被覆を有する場合、その上に1以上の追加の被覆層を塗布してよい。被覆層は、実質的にスカフォールド構造体の全表面にわたり連続及び延びていてよい。あるいは被覆層は、非連続であってもよく、またスカフォールド構造体の表面のある領域にわたる被覆層の不在を特徴としてもよい。一実施形態において、被覆材料は、スカフォールドの表面上にランダムにもしくは固定したパターンで分配されてよい。本発明のバインダ組成物に包含可能なスカフォールド構造体の例はUS2010/0297502に開示される。
本発明の複合電極組成物内に包含可能な粒子,チューブ,ワイヤ,ナノワイヤ,繊維,ロッド,シート及びリボン及びスカフォールドは、結晶質,微結晶質,多結晶質もしくは非晶質でよく、又は非晶質構造内に結晶質もしくは多結晶質領域を包含してよい。これらの構造体は、エッチングテクニック(例えばWO2009/010758に述べられているもの)もしくはUS2010/0330419に記載される電界紡糸を使用して作成してよい。あるいは、これらは、成長テクニック(US2010/0297502に記載される接触気体−液体−固体方法)を使用して製造可能である。US2010/0297502に述べられたテクニックを使用して、基質粒子を作製するために、炭素基質の表面にナノ粒子、ナノワイヤ及びナノチューブを成長させることが可能であるということは当業者に明らかである。その表面上に電気活性材料を配置した炭素基質粒子を有する電気活性材料(当該電気活性材料は、ナノ粒子、ナノワイヤ及びナノチューブを有するグループから選択される構造体である)は、電極合剤及び複合材料の両方を形成するため、本発明の第1の態様によるバインダ組成物と混合可能である。
細長い構造体(例えばチューブ,ナノワイヤ,繊維,ロッド,シート及びリボン)はまた、基板に根付いた成長であってもよく、又はそこから収穫されてもよい。成長根構造は(growth rooted structures)、当業者に周知のテクニックを使用して作成可能であり、US2010/0285358に例示される。好適なテクニックの例は、例えばアニールを使用して構造体を基質に固定することもしくは衝撃方法を包含する。他のテクニックは、化学蒸着,物理蒸着,エピタキシャル成長,原子層堆積,その他を包含し;これらのテクニックは、成長根構造をもたらす。あるいは構造は、エッチングテクニック(例えば上に述べたもの)を使用して形成可能である。
ワイヤ,ナノワイヤ,繊維,ロッド,ピラー,シート,リボン及びチューブが基質に付属する場合、これらの構造の組成は、基質の組成と同じでも異なってもよい。
用語「炭素基質」は、少なくとも50w/w%乃至100w/w%炭素を含有し、及び例えばその上でのナノ粒子、ナノワイヤもしくはナノチューブの成長をサポートするのに使用可能なコアもしくは基質を意味すると解すべきである。その上での電気活性粒子、ナノワイヤもしくはナノチューブのVLS成長をサポートするのに基質として使用可能な炭素系材料の例は、カーボンブラック,フラーレン,煤,グラファイト,グラフェン,グラフェンパウダーもしくはグラファイト箔を包含する。好適な炭素基質の例は、US2010/0297502に開示される。
上記のリボン,チューブ,繊条,ピラー及びフレークの各々について、第1の次元は、好適には0.03μm乃至2μm,好ましくは0.05μm乃至1μm,より好ましくは0.1μm乃至0.5μmの範囲の長さからなる。第2の次元は、通常第1の次元よりも、リボンについては2乃至3倍、フレークについては10乃至200倍、チューブについては2.5乃至100倍大きい。第3の次元は、リボン及びフレークについては第1の次元よりも10乃至200倍、チューブについては第1の次元よりも10乃至500倍大きい。第3の次元の全長は、例えば500μmでよい。本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、複合電極組成物は、電気活性材料として、50乃至2000nmの範囲の直径,0.8乃至100μmの範囲の長さ,及び5:1乃至1000:1の範囲のアスペクト比を有するケイ素含有繊維を含む。
用語「チューブ」,「ワイヤ」,「ナノワイヤ」,「繊条」,「ピラー」,「繊維」,「ロッド」,「シート」及び「リボン」は、被覆及び非被覆の細長い要素(例えばワイヤ,ナノワイヤ,繊条,ピラー,繊維,ロッド,シート,チューブ,リボン)の両方を包含すると解するべきである。
非被覆の細長い要素,粒子,多孔質粒子及び多孔質粒子フラグメントは、構造の断面を通して均一な組成を有するケイ素含有粒子,多孔質粒子,多孔質粒子フラグメント,ピラー化粒子,ワイヤ,ナノワイヤ,繊維,繊条,ピラー,ロッド,シート,チューブ及びリボン、並びにケイ素含有コアもしくは基層(該コアもしくは基層は第1のケイ素純度を有するケイ素含有材料からなる)及び外側層(該外側層は第2のケイ素純度を有するケイ素含有材料からなり、第2のケイ素純度は第1のケイ素純度とは異なる)を有する粒子,多孔質粒子,多孔質粒子フラグメント,ワイヤ,ナノワイヤ,繊維,繊条,ピラー,ロッド,シート,チューブ及びリボンを包含する。
被覆粒子,多孔質粒子,多孔質粒子フラグメント,ピラー化粒子,基質粒子,ワイヤ,ナノワイヤ,繊維,繊条,ピラー,ロッド,シート,チューブ及びリボンは、電気活性材料(例えばケイ素)のコアを有し、そのコアに1個以上の被覆を塗布した粒子,多孔質粒子,多孔質粒子フラグメント,基質粒子,ワイヤ,ナノワイヤ,繊維,ロッド,シート,チューブ及びリボンを包含する。ケイ素以外のコアに、電気活性材料(例えばケイ素)を包含する1個以上の被覆を塗布した粒子,多孔質粒子,多孔質粒子フラグメント,ピラー化粒子,基質粒子,ワイヤ,ナノワイヤ,繊維,繊条,ピラー,ロッド,シート,チューブ及びリボンもまた、考えられる。被覆が適用される場合、被覆は、被覆が適用される表面に連続的な適用範囲が提供してよく、又は被覆はもっぱら下にある表面の露出領域を部分的にカバーしてよい。多重被覆が適用される場合、各被覆は連続的もしくは非連続的に適用されてよく、その結果、被覆は完全にもしくは部分的に、直前の層により作り出された露出表面領域と重なる。
様々な層がコアもしくは下にある表面(例えば基質)に適用される場合、被覆層の各々は下にあるもしくは直前の層(問題の被覆が第1の被覆層おである場合、コアもしくは基質のこと)の組成と異なる組成を有することが好ましい(ただし必須ではない)。本発明のバインダ組成物と混合可能な電気活性材料は、コア−シェル構造を有する1個以上の要素を包含するということは言うまでもない。当該構造は、1個以上のシェルもしくは層により囲まれるコアを有し、各シェルもしくは層は、その直前のシェルの組成とは異なる組成を有する。
疑いを回避するため、被覆構造体は、
コア及び1個以上の被覆層の両方が電気活性材料からなる構造体,
コアは電気活性材料からなり、全ての被覆層が非電気活性材料から形成される構造体、及び
コアは非電気活性材料からなり、1個以上の被覆層は電気活性材料から形成される構造体
を包含してよい。1個以上の電気活性被覆層をその上に塗布した電気活性コアを有する構造体もまた、考えられる。
上で言及した粒子及び細長い要素が、電気活性材料の被覆を包含する場合、これら被覆された細長い要素及び粒子のコアは、材料(例えば炭素、好ましくは硬質炭素もしくはグラファイト)、電気活性セラミック材料もしくは好適な金属(例えばケイ素,スズ,ゲルマニウム,ガリウムもしくは合金もしくはこれらの混合物)から好適に選択される。上で言及されたケイ素含有構造体が被覆を包含する場合、当該被覆は、好ましくは非晶質炭素、グラファイト、電気活性硬質炭素、導電性炭素、炭素系ポリマーもしくはカーボンブラックを有するグループから選択される1種以上を包含する炭素被覆有する。典型的には、被覆はケイ素含有構造体に、被覆ケイ素含有構造体の5乃至40重量%の厚さまで適用される。ケイ素含有粒子及び細長い要素を塗布する方法は当業者に周知であり、化学蒸着、熱分解及びメカノフュージョン法を包含する。化学蒸着法の使用によるケイ素構造体の炭素被覆は、US2009/0239151及びUS2007/0212538に開示される。熱分解法は、WO2005/011030及びJP2008/186732,CN101442124及びJP04035760に開示される。炭素被覆は、電気活性材料の表面でのSEI層の形成及び安定性の制御を補助可能である。上述のように、炭素系被覆以外の被覆を使用可能である。
好適な内体被覆の例は、金属(例えばアルミニウム,銅,金及びスズ)並びに導電性セラミック材料及びポリマー系被覆を包含する。好ましくは、電気活性な細長い要素もしくは粒子はケイ素を有し、被覆はケイ素含有被覆である。
本発明の第3の態様の複合電極材料内に存在する電気活性材料がケイ素含有電気活性材料である場合、当該材料は好適にはケイ素金属、ケイ素合金もしくは酸化ケイ素の1個以上から選択可能である。用語「ケイ素金属」は、90%乃至99.999%,好ましくは90乃至99.95%及び特に98.0%乃至99.95%の範囲のケイ素純度を有するケイ素を包含すると理解すべきである。99.90乃至99.95%の範囲の純度を有するケイ素が好ましい。なぜなら高純度ケイ素は加工するのにより費用がかかるからである。材料内に存在する高濃度の不純物は、セル性能の大幅な低下をもたらすので、90%未満のケイ素不純物を有するケイ素金属は避けるべきである。
用語「ケイ素合金材料」は、少なくとも50wt%のケイ素を含有する合金材料を意味すると解すべきである。
用語「酸化ケイ素材料」は、式SiO,(式中、0≦x≦2,xは材料の断面にわたって一定値であるか、又はxは放射状に(酸化ケイ素系構造体を貫通する断面により定義される半径に沿って)もしくは線状に(酸化ケイ素系構造体を貫通する断面の一辺から他方の辺へ)変化する)の電気活性な酸化ケイ素材料を包含すると理解すべきである。
本発明の第3の態様の複合電極材料内に、90.0乃至99.99%,好ましくは95.0乃至99.99%,より好ましくは98.0乃至99.97%及び特に99.90乃至99.95%の範囲の純度を有する電気活性材料を包含することが好ましい。99.95%乃至99.99%の範囲の純度を有する電気活性材料が使用可能であるが、それは加工の際の問題のせいで好ましくない。好ましくは、電気活性材料は90.0乃至99.99%,好ましくは98.0乃至99.99%及び特に99.90乃至99.97%の範囲のケイ素純度を有するケイ素材料である。
本発明の第3の態様の複合電極材料に含めるのに好適な多孔質粒子フラグメントは、英国特許出願GB1014706.4に開示される。その文書は、被覆された及び未被覆のポア含有多孔質粒子フラグメント及びポアを含まない多孔質粒子から誘導されるフラグメントを開示する。ポアを含有する及びポアを含有しないフラグメントのいずれも、1乃至40μm,好ましくは1乃至20μm及び特に3乃至10μmの範囲の粒径を有する。ポアを定義する壁の平均厚さは、約0.05乃至2μmである。ポア含有多孔質粒子フラグメントのポア直径:壁の厚さの平均比率は、好適には2:1乃至25:1の範囲,好ましくは2.5:1以上である。
本発明の第1の態様の好ましい複合電極組成物は、
ケイ素含有未変性粒子、ケイ素含有ピラー化粒子及びケイ素含有繊維のグループから選択されるケイ素含有電気活性材料、及び
300,000乃至3,000,000,好ましくは450,000乃至3,000,000の範囲の分子量、及び塩形成の程度60乃至70%を有するポリアクリル酸のナトリウム塩を有するバインダ
を有する。ケイ素含有電気活性材料は、好ましくは金属グレードシリコンを有する。
本発明の第1の態様の好ましい実施形態のいずれかによる複合電極材料は、好適には本書上に記載の電気活性材料少なくとも50wt%を有する。本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、複合電極材料は電気活性材料を60乃至90wt%,好ましくは70乃至80%,より好ましくは65乃至75%及び特に70乃至75%有する。電気活性材料は、好適にはケイ素含有電気活性材料を15乃至100%,好ましくは40乃至90%及びより好ましくは50乃至85%及び特に70乃至85%有する。好ましくは、ケイ素含有電気活性材料は上で言及された電気活性材料を少なくとも50wt%有する。電気活性材料は、Sn,Ge,Ga,Se,Te,B,P,BC,BSi,SiC,SiGe,SiSn,GeSn,WC,SiO,TiO,BN,BaS,AlN,AlP,AlAs,AlSb,GaN,GaP,GaAs,GaSb,InN,InP,InAs,ZnO,ZnS,ZnSe,ZnTe,CdS,CdSe,CdTe,HgS,HgSe,HgTe,BeS,BeSe,BeTe,MgS,MgSe,GeS,GeSe,GeTe,SnS,SnSe,SnTe,PbO,PbSe,PbTe,CuF,CuCl,CuBr,CuI,AgF,AgCl,AgBr,AgI,BeSiN,CaCN,ZnGeP,CdSnAs,ZnSnSb,CuGeP,CuSi,Si,Ge,C,Al,AlCOもしくはこれらの混合物を有するグループから選択される追加成分を包含してよい。これら追加の成分は、好適には電気活性材料の0乃至50重量%、及び複合電極材料の0乃至40重量%を構成する。
本発明の第1の態様による複合電極材料は、好適には高分子バインダの金属塩を3乃至40wt%,好ましくは3乃至30wt%及び特に上で定義されたように高分子バインダの金属塩を3乃至17wt%有する。好ましくは、高分子バインダの金属塩は8乃至12wt%を構成する。好適なバインダの例が本書で提供され、アクリル酸,3−ブテン酸,2−メタクリル酸,2−ペンテン酸,2,3−ジメチルアクリル酸,3,3−ジメチルアクリル酸,trans−ブテン二酸,cis−ブテン二酸及びイタコン酸を有するグループ(ただしこれらに限定されない)から選択される1個以上のモノマーのホモポリマーの金属イオン塩を包含する。ホモポリマーのポリアクリル酸が好ましい。ポリアクリル酸の金属イオン塩が好ましい。ポリアクリル酸ナトリウム塩が最も好ましい。特の好ましいのは、240,000以上,300,000乃至3,000,000の範囲の分子量及び塩形成の程度40乃至90%,好ましくは60乃至80%及び特に60乃至70%を有するポリアクリル酸のナトリウム塩である。
本発明の第3の態様の好ましい実施形態において、複合電極材料は、ケイ素含有電気活性材料の他に、電気活性炭素材料を有する。これら電気活性炭素材料は、電気活性材料の総重量の0乃至70%,好適には8乃至70wt%,好ましくは10乃至20wt%及び特に12wt%を構成する量で存在し得る。好適な電気活性炭素の例は、グラファイト,硬質炭素,カーボンマイクロビーズ及び炭素フレーク,ナノチューブ,グラフェン及びナノグラファイト板状結晶(platelets)もしくはこれらの混合物を包含する。好適なグラファイト材料は、3乃至30μmの粒径を有する天然及び合成グラファイト材料を包含する。電気活性硬質炭素は、好適には2乃至50μm,好ましくは20乃至30μmの範囲の直径及び1:1乃至2:1のアスペクト比を有する回転楕円体粒子を有する。2乃至30μmの範囲の直径を有するカーボンマイクロビーズを使用可能である。好適な炭素フレークは、グラファイトもしくはグラフェンから誘導されるフレークを包含する。
本発明の第1の態様による複合電極材料は、好適には導電性炭素を4乃至16wt%を包含する。好ましくは、導電性炭素を4乃至12wt%有する。本発明の第1の態様の複合電極材料内に含まれてよい導電性炭素の例は、カーボンブラック,アセチレンブラック,ケッチェンブラック,ランプブラック,気相成長炭素繊維,カーボンナノチューブ及びこれらの混合物を包含する。
本発明の第1の態様のさらに好ましい実施形態は、ケイ素含有電気活性材料を10乃至95重量%、ケイ素非含有電気活性成分を5乃至85重量%及びペンダントカルボキシル基を包含する高分子バインダを0.5乃至15重量%有する複合電極材料を提供する。当該実施形態は、
(i)高分子バインダは、300,000乃至3,000,000の範囲の分子量を有すること、及び
(ii)高分子バインダのカルボキシル基の40乃至90%は、カルボン酸金属イオン塩の形態であること
を特徴とする。本発明の第1の態様の特に好ましい実施形態は、ケイ素含有電気活性材料を70重量%、40乃至90%の範囲の塩形成程度及び300,000乃至3,000,000の範囲の分子量を有するポリアクリル酸ナトリウムバインダを12重量%、グラファイトを12重量%及び導電性炭素材料を6重量%有する複合電極材料を提供する。好ましい金属イオン塩は、リチウム,ナトリウムもしくはカリウム,特にナトリウムから誘導されるものを包含する。好ましくは、ケイ素含有電気活性材料は、未変性ケイ素粒子,ケイ素含有ピラー化粒子,ケイ素含有多孔質粒子,ケイ素含有基質粒子,ケイ素含有多孔質粒子フラグメント、並びにワイヤ,ナノワイヤ,繊条,繊維,繊条,ロッド,ピラー及びチューブから選択される細長いケイ素含有要素を有するグループから選択されるケイ素構造体である。ケイ素含有ピラー化粒子及び/もしくは未変性ケイ素粒子が特に好ましい。好ましくは、ケイ素含有成分は90乃至99.99%の範囲もしくは95乃至99.97%の範囲の純度を有する。
本発明の第1の態様の特に好ましい実施形態は、ケイ素含有ピラー化粒子及び/もしくは未変性ケイ素含有粒子を70wt%,分子量450,000及び塩形成の程度75%を有するポリアクリル酸のナトリウム塩を12wt%,グラファイトを12wt%及びカーボンブラックを6wt%有する複合電極材料を提供する。
本発明の第1の態様のさらに好ましい実施形態は、ケイ素含有電気活性材料を70重量%,40乃至90%の範囲の塩形成程度及び300,000乃至3,000,000の範囲の分子量を有するポリアクリル酸ナトリウムバインダを14重量%,グラファイトを12重量%及び導電性炭素材料を4重量%有する複合電極材料を提供する。好ましい金属イオン塩は、リチウム,ナトリウムもしくはカリウム,特にナトリウムから誘導されるものを包含する。好ましくはケイ素含有電気活性材料は、未変性ケイ素粒子,ケイ素含有ピラー化粒子,ケイ素含有多孔質粒子,ケイ素含有基質粒子,ケイ素含有多孔質粒子フラグメント、並びにワイヤ,ナノワイヤ,繊条,繊維,繊条,ロッド,ピラー及びチューブから選択される細長いケイ素含有要素を有するグループから選択されるケイ素構造体である。ケイ素含有ピラー化粒子及び/もしくは未変性ケイ素粒子が特に好ましい。好ましくは、ケイ素含有成分は90乃至99.99%の範囲もしくは95乃至99.97%の範囲の純度を有する。
本発明の第1の態様のその上さらに特に好ましい実施形態は、ケイ素含有粒子状物質を70wt%,分子量3,000,000及び塩形成の程度70%を有するポリアクリル酸のナトリウム塩を14wt%,グラファイトを12wt%及び導電性炭素を4wt%有する複合電極材料を提供する。ケイ素含有粒子状物質は、未変性ケイ素粒子,ケイ素ピラー化粒子及びケイ素繊維を有するグループから選択される。導電性炭素は、好適にはカーボンナノチューブ,カーボンナノ繊維及びカーボンブラックの,好ましくは5:5:2の比率での混合物である。
粘度調整剤が存在してもよく、複合電極材料の形成前に、電極合剤の粘度を調整するのに使用する成分であり、従って混合プロセス及び集電体への材料の塗布が容易に実施可能になる。粘度調整剤は、アノード合剤の総重量に基づき0乃至30重量%の量で添加可能である。粘度調整剤の例は、カルボキシメチルセルロース,ポリフッ化ビニリデン及びポリビニルアルコールを包含する(ただしこれらに限定されない)。アノード合剤の粘度を調整するため適切な場合、溶媒(例えば水,エタノール,プロパノール,ブタノールもしくはN−メチル−ピロリドン(NMP))を、アノード合剤の総重量に基づき0乃至30%の量で使用してよい。この場合、溶媒は、いずれかの重合もしくは硬化プロセスの前もしくは後に除去される。
複合電極材料の導電率をさらに改善するため、複合電極材料内に導電性材料が備えられていてもよく、複合電極材料の総重量に基づき1乃至20重量%の量で添加されてよい。導電性材料が含まれる電池内に化学変化を起こすことなしに好適な導電率を有すならば、使用可能な導電性材料のタイプに特に制限はない。導電性材料の好適な例は、硬質炭素;グラファイト,例えば天然もしくは人造グラファイト;カーボンブラック(例えばカーボンブラック,アセチレンブラック,ケッチェンブラック,チャネルブラック);導電性繊維例えば炭素繊維(カーボンナノチューブをはじめとする)及び金属繊維;金属パウダー(例えばフッ化炭素パウダー,アルミニウムパウダー,銅パウダー及びニッケルパウダー);導電性ウィスカー(例えば酸化亜鉛及びチタン酸カリウム);導電性金属酸化物(例えば酸化チタン及びポリフェニレン誘導体)を包含する。カーボンナノチューブ,炭素繊維及びカーボンブラックの5:5:2混合物が特に好ましい。
充填剤は、複合電極材料内に存在し得るさらなる一成分であり、アノード膨張を阻害するために使用可能である。充填剤が製造電池内に化学変化を起こさず、繊維状物質である限り、充填剤の性質に対して特に制限はない。使用可能な充填剤の例は、オレフィンポリマー(例えばポリエチレン及びポリプロピレン)及び繊維状物質(ガラス繊維及び炭素繊維)を包含する。
接着促進剤をバインダの重量に基づき10重量%未満の量で添加してよい。接着促進剤が、集電体に対するアノード合剤の接着強度を改善する材料である限り、接着促進剤の性質に特に制限はない。接着促進剤の例は、シュウ酸,アジピン酸,ギ酸,アクリル酸及び誘導体,イタコン酸及び誘導体、その他を包含する。
本発明の第1の態様の組成物のケイ素含有成分もしくは構造体は、好適には高純度多結晶ケイ素材料、並びにn型もしくはp型ドーパントのいずれかを有する多結晶ケイ素材料を含む。n型もしくはp型ドーパントを有する多結晶ケイ素材料が好ましい。なぜならば、これらの材料は、高純度多結晶ケイ素の導電率と比較して大きい導電率を示すからである。p型ドーパントを有する多結晶ケイ素材料が好ましい;これらの材料は、ドーパントとしてアルミニウム,ホウ素もしくはガリウムから選択される1個以上の不純物を好適に包含する。
複合電極材料は、電気活性材料及びバインダの他に、導電性材料,粘度調整剤,充填剤,架橋促進剤,カップリング剤及び接着促進剤を有するグループから選択される1個以上の成分を含有してよいことは言うまでもない。バインダは、好ましくは溶液の形で提供される;そのバインダが電気活性材料及びいずれか他の任意成分と混合される場合、電極合剤が形成される。
上で考察したように、本発明の第1の態様による組成物は、電極の製造に使用可能である。電極は、典型的にはアノードである。電極は、好ましくはリチウム2次電池の製造に使用される。従って、本発明の第3の態様は、集電体及び本発明の第1の態様による複合電極材料を有する電極を提供する。複合電極材料は、集電体への接続のため、自立フェルトもしくはマットの形で又はモールド成形構造体として提供可能である。あるいは、複合電極材料は、基板に接着され且つ集電体に接続された層の形であってよい。特に好ましい実施形態において、基板は集電体であり、複合電極材料はその基板に塗布された層の形態にある。フェルトもしくはマットが形成される、複合電極材料の成分は好ましくは、要素どうしの間に最適な接続を提供するため、ランダムに絡まっている。
複合電極材料は、好ましくはその構造中に延びているボイドもしくはポアにより多孔質である。これらのボイドもしくはポアは、液体電解質が浸透可能な空間を与え;充電相中に、電気活性材料が膨張可能な余地を与え、及び一般に電極の活性表面積を増やす。好ましい気孔率は、電気活性材料の性質,複合体内に存在する電気活性材料構造体の寸法、および使用中の電極の最大充電レベルなどのファクターに依存する。複合体気孔率は、いずれの電解質が複合体材料に添加乃至接触する前の、充電されてない状態の複合電極材料内のポア、ボイド及び何もない空間の全体積を、複合材料層により占められる全体積で割ったものとして定義してよい。該気孔率は、例えば,水銀もしくは窒素ポロシメトリーにより測定してよい。
しかしながら気孔率が高すぎると、電極の機械的完全性が損なわれるかもしれず、単位体積(もしくは質量)当たりの充電容量が低下するかもしれない。好適な気孔率のレベルは、組成,粒子サイズ,電解質/バインダのタイプ,層の厚さ,セルのタイプ/設計をはじめとするいくつかのファクター(ただしこれらに限定されない)に依存し得る。少なくとも気孔率のいくつかは、ピラー化粒子のピラー間のボイド空間により提供される。
好ましくは充電されない状態の複合体の気孔率は、少なくとも10%,より好ましくは少なくとも20%及び特に30%である。好ましくは充電されない状態の複合体の気孔率は、80%以下,より好ましくは60%以下である。好ましくは複合材料の気孔率は、複合材料層により占められる全体積に対する、複合体内に含まれるピラー化粒子のピラーの体積の比率の少なくとも2倍である。
複合材料が、電気活性材料を構成する粒子コアを有するピラー化粒子を含有するならば、粒子がリチウム化される場合、粒子コアの膨張をさらに収容するため、気孔率は高いかもしれない。この場合、好適な最低複合体気孔率は、ピラー体積の合計に2を掛けることにより、及び粒子コアの体積に1.2を掛けることにより、複合材料層の全体積の百分率として与えられる。
本発明の第3の態様の電極は、容易に製造される。本発明の第4の態様は、以下のステップ:
電気活性材料、バインダ及び溶媒を有する電極合剤を形成するステップ;
電極合剤を基板上に注ぎ、溶媒を除去するためにプロダクトを乾燥するステップ;
を有する、電極を製造する方法を提供する。電極合剤は、電気活性材料と,バインダと溶媒との混合物からなる。電極合剤は、典型的には液体キャリア中の電気活性材料のスラリーもしくは分散液からなり;前記液体キャリアは、好適な溶媒中のバインダの溶液でよい。電極合剤は、好適にはバインダの溶液中に電気活性材料を分散させることにより製造される。好ましくは、電気活性材料は、ケイ素含有電気活性材料である。好ましくは、バインダは、300,000乃至3,000,000の範囲の分子量及び40乃至90%の塩形成の程度を有するポリアクリル酸のナトリウム塩である。好ましいバインダ溶液は、溶媒として水を有する。あるいは、電極合剤は、第1の液体キャリア(もしくは溶媒)中の電気活性材料の分散液を、第2の溶媒中のバインダの溶液と混合することにより製造可能である。第1もしくは第2の溶媒は、同じでも異なってもよい。溶媒が異なる場合、これらは好適に混和性である。混和性溶媒は、典型的には同様な沸点を有し、蒸発もしくは乾燥により電極合剤から除去される。電極合剤からの1個もしくは複数の溶媒の除去は、本発明の第1の態様の複合電極材料形成をもたらす。複合電極材料は、好適には、基板から除去可能で、集電体に接続され、及び/もしくは電極として使用可能な凝集マスの形態である。あるいは,電極合剤を流し込み及び乾燥した結果、本発明の第1の態様による組成物が集電体に接着される場合、得られる凝集マス(複合電極材料)は集電体に接続される。本発明の第4の態様の好ましい実施形態において、複合電極材料は、電極合剤を1つの層として基板上に流し込むことにより、形成される。基板自体は、電極を形成するための集電体である。導電材料、粘度調整剤、充填剤、架橋促進剤、カップリング剤及び接着促進剤からなるグループから選択される追加成分もまた、合剤中に含まれてよい。好適な導電材料、粘度調整剤、充填剤、架橋促進剤、カップリング剤及び接着促進剤の例は、上に挙げられている。好適な溶媒は、水,アルコール(例えばエタノール,プロパノールもしくはブタノール),N−メチル−ピロリドン及びこれらの混合物を包含する。電極設計の技術に熟達している人に知られた他の好適な溶媒も使用してよい。電極合剤の製造に使用される溶媒の量は、部分的に電気活性材料の性質,バインダ及び電極合剤中に存在する他の任意成分に依存する。溶媒の量は、好ましくは800乃至3000mPa/sの範囲の粘度を有するスラリーもしくは分散液を得るのに十分である。この範囲の粘度を有するスラリーもしくは分散液は、基板乃至集電体への優れた接着を有する均一な材料を与える
本発明の第4の態様による電極で使用するための好適な集電体は、銅箔,アルミニウム,炭素,導電性ポリマー及びいずれの他の導電性材料を包含する。好ましくは、集電体は銅箔である。集電体は、典型的には10乃至50μmの範囲の厚さを有する。集電体は片面を複合電極材料で被覆可能であり、又は集電体は両面を複合電極材料で被覆可能である。本発明の第4の形態の好ましい実施形態において、本発明の第1の態様の複合電極材料を、好ましくは集電体の片面もしくは両面に、1表面当たり1mg/cm乃至6mg/cmの厚さまで塗布すると、集電体の片面だけを被覆した場合、電極(集電体及び被覆)の合計厚さは40μm乃至1mmの範囲となり、集電体の両面を被覆した場合、70μm乃至1mmの範囲となる。好ましい実施形態において、10乃至15μmの厚さを有する銅基板の片面もしくは両面に30乃至40μmの厚さまで複合電極材料を塗布する。好ましくは、複合電極材料を少なくとも6μm,好ましくは少なくとも10μm,より好ましくは少なくとも15μm及び特に少なくとも20μmの厚さの層として塗布する。約12μmの厚さを有する被覆層が好ましい。好ましくは、複合電極材料の厚さは、60μm以下,好ましくは40μm以下及びより好ましくは30μm以下である。集電体は、連続的シートもしくは多孔質マトリクスの形態でよく、又は格子が規定した領域内において、金属化領域及び非金属化領域を定義するパターン化した格子の形態でよい。集電体が連続したシートを有する場合、電極は、電極合剤を直接、集電体に直接塗布することにより容易に製造し得る。集電体が金属化格子を有する場合、金属化非粘着表面(例えば金属化PTFE)を与えるため、この金属格子は非粘着基板(例えばPTFE)上に形成され、電極合剤は金属化非粘着表面に塗布され、乾燥されて、複合電極材料の層を包含する金属化マットもしくはフェルトを与える。
本発明の第4の態様の一実施形態において、電極は、本発明の第1の態様による組成物を包含する電極合剤を基板上に流し込むことにより、自立構造体を形成し、及び集電体を直接その構造体に接続することにより、形成され得る。本発明の第4の形態の好ましい実施形態において、ケイ素含有電気活性材料、好ましくは溶剤中のケイ素含有ピラー化粒子;バインダ及び任意には導電性材料,粘度調整剤,充填剤,架橋促進剤,カップリング剤及び接着促進剤を有するグループから選択される1個以上の成分を有する材料を、基板に塗布し、溶媒を除去するため乾燥する。得られるプロダクトを基板から除去し、自立型電極構造体として使用可能である。あるいは、さらなる実施形態において、本発明の第1の態様による組成物を包含する電極合剤を、集電体上に流し込み、乾燥して、複合電極材料の層が集電体に塗布された電極を形成する。
本発明の第3の態様の電極は、リチウム2次電池の形成においてアノードとして使用可能である。本発明の第5の態様は、カソード、本発明の第3の態様による電気活性材料を有するアノード、及び電解質からなる2次電池を提供する。
本書に記載の実施形態の多くは、アノードとカソードの両方に対応する。言及の多くがアノードを指しているけれども、カソード設計は一般に、イオン挿入及び脱離、膨潤、導電率、イオン移動度その他について同様の問題に関係しているということは言うまでもない。従って、上で言及した設計考慮点は、アノードとカソードの両方に該当する。カソードは、典型的にはカソード活物質、導電性材料及びバインダの混合物をカソード集電体に塗布し、乾燥することにより調製される。本発明のアノード活物質と一緒に使用可能なカソード活物質の例は、積層化合物(例えば酸化リチウムコバルト,酸化リチウムニッケル)又は1個以上の遷移金属で置換された化合物(例えば酸化リチウムマンガン,酸化リチウム銅及び酸化リチウムバナジウム)を包含する(ただしこれらに限定されない)。好適なカソード材料の例は、LiCoO,LiCo0.99Al0.01,LiNiO,LiMnO,LiCo0.5Ni0.5,LiCo0.7Ni0.3,LiCo0.8Ni0.2,LiCo0.82Ni0.18,LiCo0.8Ni0.15Al0.05,LiNi0.4Co0.3Mn0.3及びLiNi0.33Co0.33Mn0.34を包含する。LiCo0.8Ni0.15Al0.05からなるカソードが好ましい。カソード集電体は、一般に3乃至500μmの厚さのものである。カソード集電体として使用可能な材料の例は、アルミニウム,ステンレス鋼,ニッケル,チタン及び焼結炭素を包含する。
電解質は、好適にはリチウム塩を含有する非水性電解質であり、非水性電界質溶液,固体電解質及び無機固体電解質を包含し得る(これらに限定されない)。使用可能な非水性電界質溶液の例は、非プロトン有機溶媒(例えばN−メチル−ピロリドン,炭酸プロピレン,炭酸エチレン,炭酸ブチレン,炭酸ジメチル,炭酸ジエチル,γ−ブチロラクトン,1,2−ジメトキシエタン,2−メチルテトラヒドロフラン,ジメチルスルホキシド,1,3−ジオキソラン,ホルムアミド,ジメチルホルムアミド,アセトニトリル,ニトロメタン,ギ酸メチル,酢酸メチル,リン酸トリエステル,トリメトキシメタン,スルホラン,メチルスルホラン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジオンを包含する。
有機固体電解質の例は、ポリエチレン誘導体、酸化ポリエチレン誘導体,酸化ポリプロピレン誘導体,リン酸エステルポリマー,ポリエステルスルフィド,ポリビニルアルコール,フッ化ポリビニリジン及びイオン解離基を含有するポリマーを包含する。
無機固体電解質の例は、リチウム塩の窒化物,ハロゲン化物及び硫化物(例えばLiNI,LiN,LiI,LiSiO,LiSiS,LiSiO,LiOH及びLiPO)を包含する。
リチウム塩は、好適には選択された溶媒もしくは溶媒の混合物に溶解性である。好適なリチウム塩の例は、LiCl,LiBr,LiI,LiClO,LiBF,LiB1020,LiPF,LiCFSO,LiAsF,LiSbF,LiAlCl,CHSOLi及びCFSOLiを包含する。
電解質が非水性有機溶液である場合、電池はアノードとカソードとの間に置かれたセパレータを備える。セパレータは、典型的には高いイオン透過性及び高い機械強度を有する絶縁材料から形成される。セパレータは、典型的には0.01乃至100μmのポア直径及び5乃至300μmの厚さを有する。好適な電極セパレータの例は、マイクロ多孔質ポリエチレンフィルムを包含する。
本発明の第5の態様による電池は、その動作についてバッテリ電源に依存するデバイスを駆動するのに使用可能である。このようなデバイスは、携帯電話,ラップトップコンピュータ,GPSデバイス,自動車その他を包含する。従って本発明の第6の態様は、本発明の第5の態様による電池を含むデバイスを包含する。
本発明は、太陽電池セル、燃料電池セルその他の製造においても使用可能であることも、言うまでもない。
ここからは、以下の比限定的図面及び実施例を参照して本発明を説明する。本発明の範囲内に該当するものについての変更は、当業者には明らかである。
図1aは、セルが、各分子量について中和程度50%,60%もしくは70%を有する様々な分子量のポリアクリル酸ナトリウムバインダからなる場合、充電電圧の終了が4.3Vに達する前に、セルによって達成される平均サイクル数を比較する棒グラフである。 図1bは、セルが、分子量450,000及び中和程度0乃至100%を有するポリアクリル酸ナトリウムバインダからなる場合、充電電圧の終了が4.3Vに達する前に、セルにより達成される平均サイクル数を比較する棒グラフである。 図2は、分子量450,000もしくは3,000,000のいずれか及び中和程度70%を有するポリアクリル酸ナトリウムバインダからなるセルについて、容量維持率(%)対サイクル数のグラフである。 図3は、分子量450,000及び中和程度70%もしくは100%のいずれかを有するポリアクリル酸ナトリウムもしくはリチウムバインダのいずれかからなるセルについて、容量(mAh/cm)対サイクル数のグラフである。 図4乃至図9は、本発明によるバインダを包含する複合材料のSEM画像である。 図4乃至図9は、本発明によるバインダを包含する複合材料のSEM画像である。 図4乃至図9は、本発明によるバインダを包含する複合材料のSEM画像である。 図4乃至図9は、本発明によるバインダを包含する複合材料のSEM画像である。 図4乃至図9は、本発明によるバインダを包含する複合材料のSEM画像である。 図4乃至図9は、本発明によるバインダを包含する複合材料のSEM画像である。 図10及び図11は、全体を通して化学種の分布を示す、本発明によるバインダを包含する複合材料のEDX画像である。 図10及び図11は、全体を通して化学種の分布を示す、本発明によるバインダを包含する複合材料のEDX画像である。 図12は、本発明によるバインダを包含する複合材料について、被覆厚さ対ユニット面積当たりの測定のグラフである。 図13及び図14は、本発明によるバインダを包含する複合材料を貫通する断面SEM画像である。 図13及び図14は、本発明によるバインダを包含する複合材料を貫通する断面SEM画像である。
実施例1: ポリアクリル酸の金属イオン塩の調製
実施例1a: ポリアクリル酸ナトリウムの調製(70%, 240,000)
分子量240,000を有するポリアクリル酸(18g;0.25M)を、濃度20%まで水に溶解した。炭酸ナトリウム(9.1g;0.09M)を溶液に添加し、磁気撹拌子を使用し、室温で3時間以上撹拌し、分子量240,000及び塩形成の程度70%を有するポリアクリル酸ナトリウムバインダを得た。
実施例1b: ポリアクリル酸ナトリウムの調製(70%,450,000)
実施例1aの方法に倣った。ただし、分子量240,000を有するポリアクリル酸ではなく、分子量450,000を有するポリアクリル酸を使用した。得られる溶液は、高分子カルボン酸金属イオンバインダを濃度15wt%で有した。
実施例1c: ポリアクリル酸ナトリウムの調製(70%,1,000,000)
実施例1aの方法に倣った。ただし、分子量240,000を有するポリアクリル酸ではなく、分子量1,000,000を有するポリアクリル酸を使用した。得られる溶液は、高分子カルボン酸金属イオンバインダを濃度15wt%で有した。
実施例1d−−ポリアクリル酸ナトリウムの調製(70%,1,250,000)
実施例1aの方法に倣った。ただし、分子量240,000を有するポリアクリル酸ではなく、分子量1,250,000を有するポリアクリル酸を使用した。得られる溶液は、高分子カルボン酸金属イオンバインダを濃度1乃至2wt%で有した。
実施例1e: 塩形成の程度1乃至400%を有するポリアクリル酸ナトリウム溶液の調製
塩形成の程度1乃至400%を有するポリアクリル酸ナトリウム溶液を、0.005乃至4モル当量のナトリウムイオンと1モル当量のポリアクリル酸とを混合することにより調製した。
実施例1f: ナトリウム,カリウム,リチウム及びセシウムのポリアクリル酸塩の調製
リチウム,ナトリウム,カリウム及びセシウムのポリアクリル酸塩を、1モル当量のポリアクリル酸と0.7モル当量のナトリウム,カリウム,リチウムもしくはナトリウムの水酸化物塩とを混合することにより調製した。
実施例2: 電極の調製
実施例2a: 活性成分としてElkem Silgrain HQパウダーを含有する電極の調製
ケイ素パウダー、実施例1に特定したバインダ及び導電性カーボンブラックをケイ素活物質:バインダ:カーボンブラックの比率70:12.4:17.7乃至82:10:7.8で使用して、電極を製造した。使用したケイ素パウダーの例は、4.5μmの平均粒径を有する粒子を含むノルウェーのElkem製造Silgrain HQパウダーを包含する。表2に特定される比率で、予め作成したポリマー溶液と電極材料とを混合することにより、電極は作成される。具体的な複合体混合は、12時間のせん断撹拌により、相当するwt%のSi活物質をカーボンブラック(SuperPカーボンもしくはDenkaBlack)の10乃至15wt%ビーズ粉砕溶液中への分散で開始する。次いで相当するwt%のポリマー溶液をこれに添加し、得られる複合体に20分間、二重非対称の遠心分離分散を受けさせる。
さらに、ケイ素パウダー、PAAバインダ、グラファイト(SFG6)及び導電性炭素(カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維及びカーボンブラック(5:5:2))のからなる組成物を70:14:12:4の比率で使用して、電極を製造した。使用したケイ素パウダーの例は、2μm,4.5μm及び13.45μmの平均粒径を有する粒子を含むノルウェーのElkem製造Silgrain HQパウダーを包含する。表1bに特定される比率で、予め作成したポリマー溶液と電極材料とを混合するとにより、電極は作成される。具体的な複合体混合は、12時間のせん断撹拌により、相当するwt%のSi活物質をカーボンブラック混合物(SuperPカーボンもしくはDenkaBlackを包含する)の10乃至15wt%ビーズ粉砕溶液中への分散で開始する。次いで相当するwt%のポリマー溶液をこれに添加し、得られる複合体に20分間二重非対称の遠心分離分散を受けさせる。
あるいは、カーボンブラックもしくはカーボンブラック混合物をポリマー溶液中にせん断撹拌により分散してよい。さらなるせん断撹拌ステップにより、ケイ素材料を次いでポリマー/炭素混合物に添加する。
ドローダウンブレードを使用して、銅箔基板上へ薄い「ウェットな」フィルムとして得られる混合物を堆積する。体積フィルムを放置して乾燥させると(好ましくは50乃至70℃のホットプレート上で)。溶媒(水もしくは有機溶媒)は全て除去され、銅箔基板(該基板は電池セル内の集電体として作用する)に接着した、乾いた複合電極が残される。
混合金属酸化物(LiNiCoAlO)対向電極、マイクロ多孔質セパレータ(Tonen(登録商標))及び炭酸エチレン/炭酸エチルメチル混合物中1.2mol dm−3 ヘキサフルオロリン酸リチウムの形態の電解質を有するセルへ、ケイ素、高分子バインダ材料及び炭素(任意にグラファイトを含む)を組み込むことにより、電池(完全セル)を調製した。おおよそ15cmの面積の乾いた複合電極(ケイ素、ポリマー及び炭素を含有する)の別々のサンプルを、乾いた環境で、同様な寸法の面積の混合金属酸化物電極とともに組み立てた。電極の間にはマイクロ多孔質セパレータが置かれた。アルミニウムラミネートパッケージ材料中で加熱封止する前に、セル構造体を電解質溶液に浸すと、複合電極と金属リチウム対向電極は2つの端子を介して外部接続できた。セルの最初の充電/放電サイクルについて、充電と放電容量(電流と時間との積)との間の差を測定することにより最初のサイクル損失(FCL)について、セルを検査した。
ハーフセルを上のように調製した。ただし混合金属酸化物カソードではなく、リチウム金属を使用した
セルの容量が初期充電容量の50%未満に達する前に、可逆的に実施可能な充電/放電サイクル数をコンピュータ制御された電池試験ステーションに記録した。コンピュータは、各細工について充電及び放電容量を測定し、放電容量が最大放電容量の50%未満であるサイクル数を決定する。
実施例2b: 活性成分としてのケイ素のピラー化粒子を含有する電極の調製
上の実施例2aで述べた手順に従い、電極と電池を製造した。ただし、活物質は、WO2009/010758に開示される手順に従って作成した11.1μmの直径(d50)を有するピラー化粒子からなった。
実施例2c: 活性成分としてケイ素繊維を含有する電極の調製
上の実施例2aで述べた手順に従い、電極と電池を製造した。ただし、活物質は、WO2009/010758に開示される手順に従って作成したケイ素繊維からなった。
セルサイクリングパラメータ:
バッチ分析によるJetmilled Silgrain(登録商標)HQ(WO2009/010758に記載のピラー化粒子及び繊維の調製における出発物質として使用)の化学分析を下に報告する。
Figure 0006042444
1乃至0.005Vの最初のサイクルについて、C/25においてハーフセルを充電及び放電した。その後、C/5の充電速度で後続のサイクルについて、セルを1乃至0.005Vで充電及び放電させた(反復した)。
4.2乃至3Vの最初のサイクルについて、C/25で完全セルを充電及び放電させた。その後、C/3の充電速度で4.1乃至3Vでセルを反復させた。
セルの物理的及び電気的特性に対する、バインダ重量、塩形成の程度、電気活性ケイ素材料の構造、中和剤、存在するケイ素の量及び電極材料の組成の効果を検査した。特に、サイクル寿命(セルの容量が初期充電の50%未満達する前に、可逆的に実施可能なサイクル数(D50))を記録し、下の表に示す。
結果1:
LiNiCoAlOカソードと、下に示す割合でケイ素ピラー化粒子、グラファイト及びバインダからなる電極混合物からなるアノードとからなる完全セルのサイクル寿命に対する、バインダ重量及び塩形成程度が及ぼした効果を調べた。結果は下の表2に示す。
Figure 0006042444
表2: バインダとしてNaPAAを含む複合ケイ素含有電極を含むセルのセル寿命に対する、PAAバインダの分子量の効果。全てのセルは、C/1の充電速度で1200mAh/gまで充電した。分子量3,000,000及び中和程度70%を有するNaPAAバインダを含むケイ素ピラー化粒子(ppSi)からなるケイ素系セルは、同様の中和程度と低い分子量とを有するNaPAAからなるセルと比べて、優れたサイクリング性能を示すことが見て取れる。
結果2:
Li金属カソードと、下に示す割合でケイ素ピラー化粒子、グラファイト及びバインダからなる電極混合物からなるアノードとからなるハーフセルのサイクル寿命に対する、バインダ重量及び塩形成程度が及ぼした効果を調べた。結果は下の図1a及び図1bに示す。中和程度70%を有するNaPAAバインダを含むppSi系電極からなるセルは、450,000乃至1,250,000のNaPAA分子量について中和程度50もしくは60%を有するNaPAAバインダからなるセルよりも、優れたサイクリング性能を示すことが図1a(各棒のラベルが中和程度%、分子量及びサイクル数を示す)から見て取れる。しかしながら、中和程度60%及び分子量3,000,000を有するNaPAAバインダを含むケイ素系アノードからなるセルは、50%及び70%中和NaPAA(3,000,000)及びその中和程度に関わりない他の全てのNaPAAバインダのいずれよりも、性能が優れる。
図1bは、分子量450,000を有する同様のバインダからなるセルに比べて、分子量3,000,000及び中和程度70%を有するNaPAAバインダからなるセルに関連する優れたサイクル特性を説明する。複合材料は、d50 11.1μmを有するピラー化粒子,中和程度70%を有するNaPAAバインダ,グラファイト(SFG6)及び導電性炭素の混合物(5:5:2気相成長炭素繊維,炭素ナノチューブ及びカーボンブラック)からなる。
結果3:
上記のように調製した完全セルのサイクル寿命に対する、分子量450,000を有するPAAバインダの中和度及ぼした効果を調べた。結果は下の表3aに示す。ケイ素ピラー化粒子,NaPAAバインダ及びカーボンブラックからなるアノード組成物を使用した。
Figure 0006042444
表3a: NaPAAバインダを含む複合ケイ素含有電極とNiCoAlOカソードとを含むセルのセル寿命に対する中和程度の効果。全てのセルは、C/1の充電速度で、1200mAh/gまで充電した。中和程度100%を有するNaPAAバインダからなる同様の組成からなるセルと比較して、ケイ素ピラー化粒子、中和程度70%を有するNaPAAバインダ及びカーボンブラックからなる複合材料からなるアノードを含むセルは、優れたサイクリング性能を示すことが、表から読み取れる。
結果4:
一連の完全セルを使用してサイクル寿命に対する中和程度が及ぼした効果についてのさらなる調査を実施した。各セルは、
LiNiCoAlOカソードと、
ケイ素ピラー化粒子(d50=11.1μm),NaPAAバインダ(MW=450,000),グラファイト(SFG6)及び導電性炭素(カーボンナノチューブ,気相成長炭素繊維及びカーボンブラックの5:5:2混合物)から比率70:14:12:4でなる複合アノード材料を含むアノードと
からなる。全てのセルは、C/1の充電速度で1200mAh/gまで充電した。結果(充電の終了が4.3Vのカソードの限界に達する前にサイクル数に関する平均セル値を与える)は下の表3bに示す。
一連の完全セルの容量維持率を比較する同様の調査を実施した。各セルは、
LiNiCoAlOカソードと、
ケイ素ピラー化粒子(d50=11.1μm),NaPAAバインダ(MW450,000もしくは3,000,000のいずれか、及び中和程度70%を有する),グラファイト(SFG6)及び導電性炭素(カーボンナノチューブ,気相成長炭素繊維及びカーボンブラックの5:5:2混合物)から比率70:14:12:4でなる複合アノード材料を含むアノードと
からなる。結果を図2に示す。
Figure 0006042444
表3bは、中和程度が0%から60%へ増えるにつれ、サイクル性能及び剥離試験強度の両方ともが上昇することを示す。サイクル性能は70%でピークに達する。中和程度が100%へ増えるにつれ、両パラメータは低下する。従って、中和程度は、そのバインダを含む複合材料からなるセルの両方のサイクル性能に影響する重要なファクターであると思われる。下にある集電体への複合材料の接着もまた有意に影響される。
図2は、分子量3,000,000を有するNaPAAバインダを使用して調製したセルの容量維持率は、70%中和における分子量450,000を有するNaPAAバインダを使用して調製したセルの容量維持率よりも優れていることを示す。
結果5:
完全セル及びハーフセルのサイクル寿命に対する、ケイ素構造の効果を下の表4a及び表4bに説明する。
Figure 0006042444
表4a: NaPAAバインダとLiNiCoAlOカソードとからなる複合ケイ素含有電極を含む、上記のようにして調製した完全セルのセル寿命に対する、ケイ素構造の効果。全てのセルは、C/1の充電速度で1200mAh/gまで充電した。
金属グレードケイ素粉末の使用により改善されたサイクル寿命が達成されることが、表4aから見て取れる。ピラー化ケイ素粒子及びケイ素繊維の使用も、望みの持てる結果を与える。
Figure 0006042444
表4b: NaPAAバインダとLiカソードとかなる複合ケイ素含有電極を含むハーフセルのサイクル寿命に対する、ケイ素構造の効果。全てのセルは、ケイ素,NaPAAバインダ(分子量450,000もしくは3,000,000、中和程度70%を有する),SFG6グラファイト及びカーボンナノチューブと気相成長炭素繊維とカーボンブラックとの5:5:2混合物からなる導電性炭素種からなった。
分子量3,000,000を有するNaPAAバインダを含むアノードからなるセルは、分子量450,000を有するNaPAAバインダを含むアノードからなるセルと比較して、(全般的に)改善された導電率及び剥離試験強度を示したことが表4bから見て取れる。
結果6:
一連の完全セルのサイクル寿命に対して、中和剤が及ぼす効果を調べた。各セルは、
LiNiCoAlOカソードと、
表5に示した組成を有するケイ素パウダー粒子からなる複合アノード材料を含むアノードと
からなる。結果を下の表5と図3に示す。
Figure 0006042444
表5: NaPAAバインダとLiNiCoAlOカソードとからなる複合ケイ素含有電極を含むセルのセル寿命に対する、中和剤の効果。全てのセルは、C/1の充電速度で1200mAh/gまで充電した。表5に示した結果から、ナトリウムで中和したNaPAAバインダを有するセルは、リチウムで中和されたものに比べて、優れたサイクリング性能を示すことが見て取れる。
中和程度70%を有するNaPAAバインダを含むアノード材料からなる完全セルは、中和程度70%もしくは100%を有するLiPAAバインダを含む完全セルと比べて、優れた容量維持を示すことが図3から見て取れる。
結果7:
NaPAAバインダとLiNiCoAlOカソードとからなるアノードの電極材料の、ケイ素材料対他の成分の比率を変更する効果を調べた。結果を下の表6に示す。
Figure 0006042444
表6: 複合電極材料の組成の、セル寿命に対する効果。全てのセルは、C/1の充電速度で1200mAh/gまで充電した。電極合剤内のケイ素の割合が(全体100に対して)70乃至76部である場合、ケイ素パウダーを有する組成物は、優れたサイクリング性能を示すことが表から見て取れる。電極材料がケイ素ピラー化粒子からなる場合、これらピラー化粒子を含むセルは、存在ケイ素の割合に関係なく、50%容量に達する前に、200サイクル以上に耐えられる。
結果8:
電極材料の導電率、粘度及び剥離強度に対して、ケイ素ピラー化粒子をアノード材料として有するセルにおけるケイ素対グラファイトの比率を変更することが及ぼす効果を調べた。結果を下の表7に示す:
Figure 0006042444

30部ケイ素と52部グラファイトとからなる複合材料の導電率及び剥離試験強度は、高いケイ素割合を有する組成物よりも大きいことが、表7に記載の結果から見て取れる。d50 11.1μmを有するケイ素ピラー化粒子,分子量450,000及び中和程度70%を有するNaPAAバインダ,SFG6グラファイト及びカーボンナノチューブと気相成長炭素繊維とカーボンブラックとの5:5:2混合物からなる導電性炭素混合物を使用して、セルを調製した。
実施例3:
集電体と、
50 11.1μmを有するケイ素ピラー化粒子;中和程度70%及び分子量450,000もしくは3,000,000を有するNaPAAバインダ;SFG6グラファイト及び5:5:2導電性炭素混合物(カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維及びカーボンブラック)からなる導電性炭素混合物から比率70:14:12:4でなるケイ素含有複合活性電極材料と、
からなる電極の構造及び均一性を、SEM及びEDX技術を使用して調べた。
実施例3a:
電極表面のSEM特性表示:
銅集電体上に、
50 11.1μmを有するケイ素ピラー化粒子と、中和程度70%及び分子量450,000もしくは3,000,000を有するNaPAAバインダと;SFG6グラファイトと導電性炭素混合物(カーボンナノチューブと、気相成長炭素繊維とカーボンブラックとの5:5:2混合物)との70:14:12:4混合物からなる複合材料の水性分散液を流し込むこと、及び
前記分散液を乾燥すること
により、電極サンプルを調製した。分子量450,000NaPAAバインダからなるスラリーは、粘度2487mPa.s及び固形分21%を有した。
SEM(CarlZeissEVO50)を使用して、被覆の表面検査を行った。調製したフィルムは一晩180℃で乾燥した。セクションに切り、粘着性炭素タブに接着し、SEM真空チャンバ(10−5mBar)内に置いた。真空チャンバ内の圧力は、10−7mBarに調節した。次いで、10KVの銃電圧及び1.95mAの電流を使用してサンプルを分析した。結果を図4及び図5に示す。図面の拡大版は図6及び図7に表示される。分子量450,000を有するNaPAAバインダからなる複合体被覆は、表面全体に有意な量の深いポアもしくはクレーターを有していたことが図4から見て取れる。これらのポアは深かった(約60μm)(図6)。分子量3,000,000を有するNaPAAバインダからなる複合体被覆(図5)は、比較的わずかなボイドを有する滑らかな表面を特徴とする。いくつかのクラック形成がサンプルのエッジで観察されたが、これはサンプル調製に関連していると思われた。図5の電極材料の表面内に存在したボイドは、典型的には深さ約20μmであった(図6)。その深さは、分子量450,000を有するNaPAAから調製される複合材料に関連したボイドの深さよりもはるかに小さい。
図8及び図9は、それぞれ図4及び図5に最初に示した複合材料のさらなるSEM画像である。ケイ素ピラー化粒子は複合材料の表面にわたり均等且つ均質に分散していると(両方の図面より)思われる。
実施例3b:
電極を貫通する断面のEDX特性表示:
実施例3aで調製された電極のサンプルをミクロトーム化し、EDXを使用する断面分析のため、一連の断面を提供した。炭素、酸素、ナトリウム、ケイ素及び銅についてサンプルを分析し、分子量450,000を有するNaPAAからなる複合材料についての結果を図10に示す。分子量3,000,000を有するNaPAAからなる複合材料についての結果を図11に示す。炭素、酸素、ナトリウム及びケイ素は複合材料の断面全体にわたり均等に分布していることが図10及び図11の両方から明らかであり、両方の材料についての複合材料は均一であることを示す。結果は、図12(NaPAA;MW=450,000)及び図13(NaPAA;MW=3,000,000)に示される断面のSEM分析によりさらに支持される。図12及び図13は、複合層の成分は複合材料の厚さにわたって均等に分布していることを示す。
実施例3c
導電率測定:
Mylar(登録商標)フィルム上に塗布された、d50 11.1μmを有するケイ素ピラー化粒子と,中和程度70%及び分子量450,000もしくは3,000,000を有するNaPAA;SFG6グラファイトと導電性炭素混合物(カーボンナノチューブと,気相成長炭素繊維とカーボンブラックとの5:5:2混合物)との70:14:12:4混合物からなる複合材料の導電率を、4点導電率プローブ(株式会社三菱化学アナリテックによる、LorestaGPModelMCP−T610)を使用して測定した。
結果を下の表に示す:
Figure 0006042444
分子量3,000,000を有するNaPAAからなる複合材料はより高い粘度及びより高い導電率の両方を特徴とすることが表から見て取れる。
実施例3d:
被覆厚さの測定:
本書に記載されるような、d50 11.1μmを有するケイ素ピラー化粒子と,中和程度70%及び分子量450,000もしくは3,000,000を有するNaPAA;SFG6グラファイトと導電性炭素混合物(カーボンナノチューブと,気相成長炭素繊維とカーボンブラックとの5:5:2混合物)との70:14:12:4混合物からなる複合材料を使用して、軟質パックペア型電極を調製した。マイクロメータを使用して、14.7cmに対応する面積にわたって10回測定を取った。結果を図12に示す。分子量3,000,000バインダからなる複合材料は、電極の面積にわたって非常に均一な厚さ分布(厚さ52乃至62μm)を特徴とする図から見て取れる。対照的に、分子量450,000バインダからなる複合材料は、電極の面積にわたって厚さの有意な差(40乃至60μmの範囲)を特徴とする。

Claims (19)

  1. a.以下の(i)乃至(iv)
    (i)電気活性元素
    (ii)電気活性元素と非電気活性金属との合金
    (iii)電気活性元素を含有する電気活性化合物
    (iv)セラミックチタン酸塩
    の少なくとも1個を有する電気活性材料と、
    b.ポリアクリル酸のナトリウム塩を有する充電式電池セル用複合電極材料であって、
    前記電気活性元素は、ケイ素、スズ、ガリウム、ゲルマニウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス、アンチモン、インジウムからなる群から選択される一種以上であり
    前記ポリアクリル酸のナトリウム塩は、(i)300,000乃至3,000,000の範囲の数平均分子量を有し、(ii)カルボキシル基の40乃至90%がナトリウム塩の形態である、複合電極材料。
  2. 前記ポリアクリル酸のナトリウム塩は、カルボキシル基の60乃至80%がナトリウム塩の形態である、請求項1に記載の複合電極材料。
  3. グラファイト、硬質炭素、カーボンマイクロビーズ及びグラフェンから選択される電気活性カーボンをさらに有する、請求項1に記載の複合電極材料。
  4. 前記電気活性材料及び前記電気活性カーボンは合わせて、当該複合電極材料の少なくとも50重量%を構成する、請求項3に記載の複合電極材料。
  5. 0.5乃至15重量%の前記ポリアクリル酸のナトリウム塩を有する、請求項1に記載の複合電極材料。
  6. 4乃至16重量%の導電性カーボンをさらに有し、
    前記導電性カーボンは、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ランプブラック、カーボンナノチューブ及び気相成長炭素繊維の1個以上から選択される、請求項1に記載の複合電極材料。
  7. 前記電気活性材料は、粒子、細長い要素、ピラー化粒子、多孔質粒子、多孔質粒子フラグメント、基質粒子、細長い要素のバンドル、及びスカフォールド構造を有する構造グループの1個以上から選択される構造化電気活性材料である、請求項1に記載の複合電極材料。
  8. 前記電気活性材料は、繊維、繊条、ピラー、ワイヤ、ナノワイヤ、フィラメント、チューブ、リボン及びフレークからなる群から選択される細長い要素を有する、請求項1に記載の複合電極材料。
  9. 前記電気活性材料は、1μm乃至20μmの範囲の直径を有する粒子を含む、請求項1に記載の複合電極材料。
  10. 前記繊維、繊条、ピラー、フィラメントもしくはワイヤは、5:1乃至1000:1の範囲のアスペクト比を有する、請求項8に記載の複合電極材料。
  11. 前記電気活性材料は、0.03μm乃至2μmの範囲の第1の次元を有する、リボン、フレーク及びチューブから選択される、請求項8に記載の複合電極材料。
  12. 前記電気活性材料は、5乃至30μmの範囲の全体直径を有するピラー化粒子、及び/又は、貫通して延びる複数のボイドもしくはチャネルを有し、1乃至40μmの最大直径を有する多孔質粒子を含む、請求項1に記載の複合電極材料。
  13. 集電体及び請求項1に記載の複合電極材料を有する、充電式電池セル用電極。
  14. 前記複合電極材料は、前記集電体に接着した層の形態であり、6μm以上60μm以下の厚さを有する、請求項13に記載の電極。
  15. 前記複合電極材料は、非充電状態で10%以上60%以下の空隙率を有する、請求項13に記載の電極。
  16. 請求項13に記載の電極を有する充電式電池セルであって、
    複合電極材料、カソード、セパレータ及び電解質を有する、充電式電池セル。
  17. 前記電解質と接触する際、前記複合電極材料がゲルを形成する、請求項16に記載の充電式電池セル。
  18. 請求項16に記載の充電式電池セルを有する、デバイス。
  19. 前記電気活性材料は、酸化ケイ素(SiO)(式中、0≦x≦2)である、請求項1に記載の複合電極材料。
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