図1は、本発明の封止シートの一実施形態の断面図を示す。図2は、図1に示す封止シートの透明層を示し、(a)は、平面図、(b)は、A−A線に沿う断面図を示す。図3は、図2に示す透明層を作製する方法(圧縮成形法)を説明する図であり、(a)は、透明組成物を圧縮成形機に仕込む工程、(b)は、金型を型閉めする工程を示す。図4は、図2に示す透明層を作製する方法(熱プレス法)を説明する図であり、(a)は、透明シートを熱プレス機にセットする工程、(b)は、熱プレスする工程を示す。図5は、図2に示す透明層を作製する方法(積層法)を説明する図であり、(a)は、透明シートを2枚用意する工程、(b)は、一方の透明シートに貫通孔を形成する工程、(c)は、2枚の透明シートを貼り合わせる工程を示す。
図1において、封止シート1は、透明層2と、蛍光封止層3とを備えている。
透明層2は、図2(a)および図2(b)に示すように、シート状をなし、透明層2の表側には、表面から厚み方向内方に向かって凹む凹部4が形成されている。
凹部4は、透明層2の面方向(厚み方向に直交する方向)に互いに間隔を隔てて整列配置されている。各凹部4は、上側に向かって開放されており、平面視略円形状に形成され、断面視略矩形状に形成されている。
凹部4の寸法は、発光ダイオード素子11(後述、図6(b)および図7参照)の配置および寸法によって適宜設定されており、具体的には、内径(面方向の最大長さ)が、例えば、0.5〜10mm、好ましくは、1〜5mmである。また、凹部4の深さ(厚み方向長さ)は、発光ダイオード素子11(および、それが基板12(後述)にワイヤボンディング接続される場合には、ワイヤ)を保護する観点から、例えば、0.02〜1.0mm、好ましくは、0.05〜0.5mmである。また、各凹部4間の間隔(最近接間隔)は、例えば、0.5〜10mm、好ましくは、1〜5mmである。
また、透明層2の厚み、つまり、凹部4の周囲における透明層2の厚みは、取扱性の観点から、例えば、0.05〜5.0mm、好ましくは、0.1〜2.0mmである。
透明層2は、第1のシリコーン樹脂組成物を含む透明組成物から形成されている。
第1のシリコーン樹脂組成物としては、例えば、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物などの熱硬化性シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
2段階硬化型シリコーン樹脂組成物とは、2段階の反応機構を有しており、1段階目の反応でBステージ化(半硬化)し、2段階目の反応でCステージ化(最終硬化)する熱硬化性シリコーン樹脂組成物であると定義される。
なお、Bステージは、シリコーン樹脂組成物が、溶剤に可溶なAステージと、最終硬化したCステージとの間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、溶剤に膨潤するが完全に溶解せず、加熱によって軟化するが溶融しない状態である。
一方、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物とは、1段階の反応機構を有しており、1段階目の反応で最終硬化する熱硬化性シリコーン樹脂組成物であると定義される。
2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体(1段階目の硬化前)としては、例えば、縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、加熱によって、縮合反応および付加反応することができる熱硬化性シリコーン樹脂組成物であって、より具体的には、加熱によって、縮合反応して、Bステージ(半硬化)となることができ、次いで、さらなる加熱によって、付加反応(具体的には、例えば、ヒドロシリル化反応)して、Cステージ(最終硬化)となることができる熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
このような縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物としては、例えば、シラノール両末端ポリシロキサン、アルケニル基含有トリアルコキシシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒およびヒドロシリル化触媒を含有する第1の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物(以下、エチレン系ケイ素化合物とする。)、エポキシ基含有ケイ素化合物、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒および付加触媒(ヒドロシリル化触媒)を含有する第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、両末端シラノール型シリコーンオイル、アルケニル基含有ジアルコキシアルキルシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒およびヒドロシリル化触媒を含有する第3の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、1分子中に少なくとも2個のアルケニルシリル基を有するオルガノポリシロキサン、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒および硬化遅延剤を含有する第4の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、少なくとも2つのエチレン系不飽和炭化水素基と少なくとも2つのヒドロシリル基とを1分子中に併有する第1オルガノポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有する第2オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒およびヒドロシリル化抑制剤を含有する第5の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、少なくとも2つのエチレン系不飽和炭化水素基と少なくとも2つのシラノール基とを1分子中に併有する第1オルガノポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有する第2オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化抑制剤、および、ヒドロシリル化触媒を含有する第6の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、ケイ素化合物、および、ホウ素化合物またはアルミニウム化合物を含有する第7の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、ポリアルミノシロキサンおよびシランカップリング剤を含有する第8の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
これら縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物として、好ましくは、第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物において、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物は、縮合原料(縮合反応に供される原料)であり、エチレン系ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンは、付加原料(付加反応に供される原料)である。
シラノール基両末端ポリシロキサンは、分子の両末端にシラノール基(SiOH基)を含有するオルガノシロキサンであって、具体的には、下記一般式(1)で示される。
一般式(1):
(一般式(1)中、R
1は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、nは、1以上の整数を示す。)
上記一般式(1)中、R
1で示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)などが挙げられる。
また、上記一般式(1)中、R1で示される1価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、ナフチル基)などが挙げられる。
上記一般式(1)において、R1は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
1価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、透明性、熱安定性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
上記一般式(1)おいて、nは、好ましくは、安定性および/または取り扱い性の観点から、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、1〜1,000の整数である。
なお、上記一般式(1)におけるnは、平均値として算出される。
シラノール基両末端ポリシロキサンとしては、具体的には、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン、シラノール基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、シラノール基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このようなシラノール基両末端ポリシロキサンのなかでは、好ましくは、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
シラノール基両末端ポリシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
シラノール基両末端ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取り扱い性の観点から、例えば、100〜1,000,000、好ましくは、200〜100,000である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンで換算されて算出される。後述するシラノール基両末端ポリシロキサン以外の原料の数平均分子量についても、上記と同様にして算出される。
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンにおける、シラノール基当量は、例えば、0.002〜25mmol/g、好ましくは、0.02〜25mmol/gである。
シラノール基両末端ポリシロキサンの配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、1〜99.99質量部、好ましくは、50〜99.9質量部、さらに好ましくは、80〜99.5質量部である。
エチレン系ケイ素化合物は、エチレン系不飽和炭化水素基、および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物であって、具体的には、下記一般式(2)で示される。
一般式(2):
R2−Si(X1)3 (2)
(一般式(2)中、R2は、1価のエチレン系不飽和炭化水素基を示し、X1は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基またはアセトキシ基を示す。但し、X1は、同一または互いに相異なっていてもよい。)
上記一般式(2)において、R2で示されるエチレン系不飽和炭化水素基としては、置換または非置換のエチレン系不飽和炭化水素基が挙げられ、例えば、アルケニル基、シクロアルケニル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基などの炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
エチレン系不飽和炭化水素基としては、ヒドロシリル基との反応性の観点から、好ましくは、アルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜5のアルケニル基、とりわけ好ましくは、ビニル基が挙げられる。
上記一般式(2)におけるX1は、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(2)におけるSiX1基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
上記一般式(2)において、X1で示されるハロゲン原子としては、例えば、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素などが挙げられる。
上記一般式(2)において、X1で示されるアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するアルコキシ基(シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基など)などが挙げられる。
上記一般式(2)において、X1は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
このような上記一般式(2)のX1のなかでは、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
このようなエチレン系ケイ素化合物としては、例えば、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリハロゲン化シラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリフェノキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
このようなエチレン系ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
このようなエチレン系ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシランなどのビニルトリアルコキシシラン、例えば、アリルトリメトキシシラン、例えば、プロペニルトリメトキシシラン、例えば、ブテニルトリメトキシシラン、例えば、シクロヘキセニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、このようなエチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、ビニルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
エチレン系ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜10質量部である。
エチレン系ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
エポキシ基含有ケイ素化合物は、エポキシ基、および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物あって、具体的には、下記一般式(3)で示される。
一般式(3):
R3−Si(X2)3 (3)
(一般式(3)中、R3は、エポキシ構造含有基を示し、X2は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基またはアセトキシ基を示す。但し、X2は、同一または互いに相異なっていてもよい。)
一般式(3)において、R3で示されるエポキシ構造含有基としては、例えば、エポキシ基、例えば、グリシジルエーテル基、例えば、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシシクロアルキル基などが挙げられる。
このようなエポキシ構造含有基のなかでは、好ましくは、グリシジルエーテル基が挙げられる。グリシジルエーテル基は、具体的には、下記一般式(4)で示されるグリシドキシアルキル基である。
一般式(4):
(一般式(4)中、R
4は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される2価の炭化水素基を示す。)
上記一般式(4)中、R
4で示される2価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキレン基(シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)などが挙げられる。
また、上記一般式(4)中、R4で示される2価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基など)などが挙げられる。
このような2価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基、さらに好ましくは、プロピレン基が挙げられる。
グリシジルエーテル基としては、具体的には、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシシクロヘキシル基、グリシドキシフェニル基などが挙げられる。
このようなグリシジルエーテル基のなかでは、好ましくは、グリシドキシプロピル基が挙げられる。
上記一般式(3)におけるX2は、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(3)におけるSiX2基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
上記一般式(3)において、X2で示されるハロゲン原子としては、上記一般式(2)のX1で示されるハロゲン原子と同様のものが挙げられる。
上記一般式(3)において、X2で示されるアルコキシ基としては、上記一般式(2)のX1で示されるアルコキシ基と同様のものが挙げられる。
上記一般式(3)において、X2は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
このような上記一般式(3)のX2としては、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物としては、例えば、エポキシ基含有トリアルコキシシラン、エポキシ基含有トリハロゲン化シラン、エポキシ基含有トリフェノキシシラン、エポキシ基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このようなエポキシ基含有ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エポキシ基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
エポキシ基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリメトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリプロポキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリイソプロポキシシランなどが挙げられる。
また、このようなエポキシ基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、グリシドキシアルキルトリメトキシシラン、さらに好ましくは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
エポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜1質量部である。
エポキシ基含有ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX1基およびSiX2基)に対する、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)のモル比(SiOH/(SiX1+SiX2))は、例えば、20/1〜0.2/1、好ましくは、10/1〜0.5/1、さらに好ましくは、実質的に1/1である。
モル比が上記上限を超える場合には、第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化状物(1段階硬化体)を得られない場合があり、一方、モル比が上記下限に満たない場合には、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合が過度に多く、そのため、得られる透明層2の耐熱性が低下する場合がある。
また、モル比が上記範囲内(好ましくは、実質的に1/1)であれば、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)と、エチレン系ケイ素化合物の反応性官能基(SiX1基)およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX2基)とを過不足なく縮合反応させることができる。
エポキシ基含有ケイ素化合物に対する、エチレン系ケイ素化合物のモル比は、例えば、10/90〜99/1、好ましくは、50/50〜97/3、さらに好ましくは、80/20〜95/5である。
モル比が上記範囲内であれば、硬化物(2段階硬化体)の強度を確保しつつ、接着性を向上できる利点がある。
オルガノハイドロジェンシロキサンは、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有するオルガノシロキサンである。
オルガノハイドロジェンシロキサンは、具体的には、水素側鎖含有オルガノポリシロキサン、水素両末端オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンは、主鎖から分岐する側鎖として水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキサンであって、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、例えば、100〜1,000,000である。
また、水素両末端オルガノポリシロキサンは、主鎖の両末端に水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキサンであって、例えば、ヒドロシリル基両末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
水素両末端オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取り扱い性の観点から、例えば100〜1,000,000、さらに好ましくは、100〜100,000である。
このようなオルガノハイドロジェンシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このようなオルガノハイドロジェンシロキサンのなかでは、好ましくは、水素側鎖含有オルガノポリシロキサンが挙げられ、さらに好ましくは、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
オルガノハイドロジェンシロキサンの25℃における粘度は、例えば、10〜100,000mPa・s、好ましくは、20〜50,000mPa・sである。なお、粘度は、E型粘度計(ロータの種類:1”34’×R24、回転数10rpm)により測定される。後述するオルガノハイドロジェンシロキサン以外の原料あるいは組成物の粘度についても、上記と同様にして算出される。
オルガノハイドロジェンシロキサンにおける、ヒドロシリル基当量は、例えば、0.1〜30mmol/g、好ましくは、1〜20mmol/gである。
オルガノハイドロジェンシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合は、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR2)とオルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)とのモル比にもよるが、例えば、エチレン系ケイ素化合物100質量部に対して、例えば、10〜10,000質量部、好ましくは、100〜1,000質量部である。
また、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対する、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR2)のモル比(R2/SiH)は、例えば、20/1〜0.05/1、好ましくは、20/1〜0.1/1、さらに好ましくは、10/1〜0.1/1、とりわけ好ましくは、10/1〜0.2/1、もっとも好ましくは、5/1〜0.2/1である。また、例えば、1/1未満、0.05/1以上に設定することもできる。
モル比が20/1を超える場合には、第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化物(1段階硬化体)を得られない場合があり、モル比が0.05/1に満たない場合には、オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合が過度に多く、そのため、得られる透明層2の耐熱性および靭性が不十分となる場合がある。
また、モル比が1/1未満、0.05/1以上であれば、第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、モル比が20/1〜1/1である第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物に比べて、半硬化状態へ迅速に移行させることができる。
縮合触媒は、シラノール基と反応性官能基(上記一般式(2)のSiX1基および上記一般式(3)のSiX2基)との縮合反応の反応速度を向上させる物質であれば特に限定されず、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、硫酸などの酸、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズなどの金属などが挙げられる。
このような縮合触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このような縮合触媒のなかでは、相溶性および熱分解性の観点から、好ましくは、塩基、さらに好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。
このような縮合触媒の配合割合は、シラノール基両末端ポリシロキサン100モルに対して、例えば、0.1〜50モル、好ましくは、0.5〜5モルである。
付加触媒は、付加反応、つまり、エチレン系不飽和炭化水素基とSiHとのヒドロシリル化反応の反応速度を向上させる物質(ヒドロシリル化触媒)であれば、特に限定されず、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体(例えば、白金−ジビニルシロキサン錯体など)、白金一カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、ロジウム触媒などの金属触媒が挙げられる。
このような付加触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このような付加触媒のなかでは、相溶性、透明性および触媒活性の観点から、好ましくは、白金触媒、さらに好ましくは、白金−カルボニル錯体が挙げられる。
付加触媒の配合割合は、付加触媒の金属量の質量部数として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して、例えば、1.0×10−4〜1.0質量部、好ましくは、1.0×10−4〜0.5質量部、さらに好ましく、1.0×10−4〜0.05質量部である。
なお、上記した触媒は、固体状態のものをそのまま用いてもよく、あるいは、取扱性の観点から、溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として用いることもできる。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール、例えば、シロキサンなどのケイ素化合物、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、例えば、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテルなどの有機溶媒が挙げられる。また、溶媒として、例えば、水などの水系溶媒も挙げられる。
溶媒として、触媒が縮合触媒の場合は、好ましくは、アルコールが挙げられ、触媒が付加触媒の場合は、好ましくは、ケイ素化合物および芳香族炭化水素が挙げられる。
第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、上記したシラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンを、触媒(縮合触媒および付加触媒)とともに、配合して、攪拌混合することにより調製される。
第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を調製するには、例えば、上記した原料(縮合原料および付加原料)と、触媒とを一度に加えてもよく、あるいは、各原料および各触媒を異なるタイミングでそれぞれ加えることもできる。さらには、一部の成分を一度に加え、残部の各成分を、異なるタイミングでそれぞれ加えることもできる。
このような第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物の調製方法のなかでは、好ましくは、まず、縮合原料および縮合触媒を一度に加え、次いで、付加原料を加え、その後、付加触媒を加える方法が挙げられる。
具体的には、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物(つまり、縮合原料)と、縮合触媒とを、上記した割合で一度に配合して、それらを、例えば、5分間〜24時間攪拌する。
また、配合および攪拌時には、縮合原料の相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃、好ましくは、10〜40℃に温度調整することもできる。
その後、系を、必要により減圧することにより、揮発成分(有機溶媒)を除去する。
次いで、得られる縮合原料および縮合触媒の混合物に、オルガノハイドロジェンシロキサンを配合して、例えば、1〜120分間攪拌する。
配合および攪拌時には、混合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンの相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
その後、系に、付加触媒を配合して、例えば、1〜60分間で攪拌する。
これにより、第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を調製することができる。
調製された第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、常温液状(オイル状)である。
第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物の25℃における粘度は、例えば、1,000〜50,000mPa・s、好ましくは、4,000〜20,000mPa・sである。
具体的には、第1の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、特開2010−285593号公報などに記載され、例えば、シラノール両末端ポリシロキサン、ビニルトリメトキシシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび白金−カルボニル錯体を含有する。また、第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、特開2010−265436号公報などに記載され、例えば、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン、ビニルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび白金錯体を含有する。また、第3の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、特開2011−149020号公報などに記載され、例えば、両末端シラノール型シリコーンオイル、ビニルジメトキシメチルシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび白金カルボニル錯体を含有する。
また、第4の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、特開2011−219597号公報などに記載され、例えば、ジメチルビニルシリル末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシリル末端ジメチルシロキサン−メチルヒドロシロキサン共重合体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体および水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する。また、第5の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、水素末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルヒドロシロキサン共重合体、白金−カルボニル錯体および水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する。また、第6の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、ヒドロキシ基末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルヒドロシロキサン共重合体、白金−カルボニル錯体および水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する。
また、第7の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、特開2009−127021号公報などに記載され、例えば、両末端シラノール型シリコーンオイルおよびホウ酸トリイソプロピルを含有する。また、第8の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、特開2009−235376号公報に記載され、例えば、メタクリル型シランカップリング剤およびポリアルミノシロキサンを含有する。
そして、縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、常温液状(オイル状)であって、後述する加熱されることにより、縮合原料が縮合反応することにより、Bステージとされる。つまり、1段階硬化体となる。
その後、Bステージの縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、さらに加熱されることにより、付加原料が付加反応して、Cステージ(最終硬化)とされる。つまり、2段階硬化体となる。
1段階硬化型シリコーン樹脂組成物としては、例えば、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、主剤となるエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンと、架橋剤となるオルガノハイドロジェンシロキサンとを含有する。
エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンは、エチレン系不飽和炭化水素基を、両末端、または、側鎖に有する液状ポリシロキサンである。
エチレン系不飽和炭化水素基としては、例えば、上記したエチレン系不飽和炭化水素基などが挙げられ、好ましくは、アルケニル基、さらに好ましくは、ビニル基が挙げられる。
このようなエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンとしては、例えば、アルケニル基含有ポリジメチルシロキサン、アルケニル基含有ポリメチルフェニルシロキサン、アルケニル基含有ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
このようなエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
オルガノハイドロジェンシロキサンとしては、例えば、上記したオルガノハイドロジェンシロキサンと同様のオルガノハイドロジェンシロキサンが挙げられる。
このようなオルガノハイドロジェンシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物では、通常、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンと、オルガノハイドロジェンシロキサンとが、別々のパッケージで提供される。具体的には、主剤(エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサン)を含有するA液と、架橋剤(オルガノハイドロジェンシロキサン)を含有するB液との2液として提供される。なお、両者の付加反応に必要な公知の触媒は、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンに添加されている。
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物としては、市販品(商品名:KER−2500、信越化学工業社製、商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製)を用いることができる。
このような付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、主剤(A液)と架橋剤(B液)とを混合して混合液を調製し、混合液から上記した透明層2の形状に成形する工程において、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンとオルガノハイドロジェンシロキサンとが付加反応して、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が硬化して、シリコーンエラストマー(硬化体)を形成する。
第1のシリコーン樹脂組成物は、例えば、最終硬化前または最終硬化後の熱硬化性シリコーン樹脂組成物からなり、好ましくは、透明層2と基板12(図6(b)および図7参照)との接着性を向上させる観点から、最終硬化前の熱硬化性シリコーン樹脂組成物からなる。
さらに好ましくは、熱硬化性シリコーン樹脂組成物が2段階硬化型シリコーン樹脂組成物である場合には、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体であり、また、熱硬化性シリコーン樹脂組成物が1段階硬化型シリコーン樹脂組成物である場合には、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体(硬化前)である。
とりわけ好ましくは、熱硬化性シリコーン樹脂組成物を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体として形成する。
第1のシリコーン樹脂組成物の配合割合は、透明組成物に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、80質量%以上であり、また、100質量%以下でもある。
透明組成物には、必要により、充填剤を含有させることができる。
充填剤としては、例えば、シリコーン微粒子、ガラス、アルミナ、シリカ(溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカや疎水性超微粉シリカなど)、チタニア、ジルコニア、タルク、クレー、硫酸バリウムなどが挙げられ、これら充填剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
好ましくは、シリコーン微粒子、シリカが挙げられる。
充填剤の粒子径は、目的および用途に応じて、種々選択されるが、透明性の観点からは、平均粒子径(最大長さの平均)が、例えば、20μm以下、好ましくは、10μm以下である。
充填剤の含有割合は、第1のシリコーン樹脂組成物100質量部に対して、例えば、0.1〜80質量部、好ましくは、1〜50質量部である。
さらに、透明組成物には、例えば、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加物を適宜の割合で添加することができる。
蛍光封止層3は、図1に示すように、凹部4に充填されている。蛍光封止層3の上面は、凹部4の周囲の透明層2の上面と、面方向において面一に形成されている。蛍光封止層3の寸法は、凹部4の寸法に対応して設定される。
蛍光封止層3は、蛍光体と、第2のシリコーン樹脂組成物とを含む蛍光封止組成物から形成されている。
蛍光体は、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体などが挙げられる。そのような蛍光体としては、例えば、複合金属酸化物や金属硫化物などに、例えば、セリウム(Ce)やユウロピウム(Eu)などの金属原子がドープされた蛍光体が挙げられる。
具体的には、蛍光体としては、例えば、Y3Al5O12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、Tb3Al3O12:Ce、Ca3Sc2Si3O12:Ce、Lu2CaMg2(Si,Ge)3O12:Ceなどのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、Ca3SiO4Cl2:Eu、Sr3SiO5:Eu、Li2SrSiO4:Eu、Ca3Si2O7:Euなどのシリケート蛍光体、例えば、CaAl12O19:Mn、SrAl2O4:Euなどのアルミネート蛍光体、例えば、ZnS:Cu,Al、CaS:Eu、CaGa2S4:Eu、SrGa2S4:Euなどの硫化物蛍光体、例えば、CaSi2O2N2:Eu、SrSi2O2N2:Eu、BaSi2O2N2:Eu、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体、例えば、CaAlSiN3:Eu、CaSi5N8:Euなどの窒化物蛍光体、例えば、K2SiF6:Mn、K2TiF6:Mnなどのフッ化物系蛍光体などが挙げられる。好ましくは、ガーネット型蛍光体、さらに好ましくは、Y3Al5O12:Ceが挙げられる。
また、蛍光体は、粒子状であり、その形状は、特に限定されず、例えば、略球形状、略平板形状、略針形状などが挙げられる。
また、蛍光体の平均粒子径(最大長さの平均)は、例えば、0.1〜30μm、好ましくは、0.2〜20μmである。蛍光体粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
蛍光体は、単独使用または併用することができる。
蛍光体の配合割合は、第2のシリコーン樹脂組成物100質量部に対して、例えば、0.1〜80質量部、好ましくは、1〜60質量部である。
第2のシリコーン樹脂組成物としては、例えば、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物、熱可塑性および熱硬化性を併有するシリコーン樹脂組成物(以下、熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物とする。)などの熱硬化性シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
2段階硬化型シリコーン樹脂組成物としては、第1のシリコーン樹脂組成物で例示した2段階硬化型シリコーン樹脂組成物と同様のものが挙げられる。好ましくは、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体が挙げられる。
熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、加熱により、一旦可塑化(あるいは液状化)し、その後、さらなる加熱によって硬化する、熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物としては、例えば、両末端アミノ型シリコーン樹脂、オルガノハイドロジェンシロキサン、ジイソシアネートおよびヒドロシリル化触媒を含有する第1の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物、例えば、両末端アミノ型シリコーン樹脂、ジイソシアネートおよびラジカル発生剤を含有する第2の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物、例えば、ヒドロシリル基を有するかご型オクタシルセスキオキサン、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少ないモル数のアルケニル基を含有するアルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する第3の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物、例えば、ヒドロシリル基を有するかご型オクタシルセスキオキサン、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少ないモル数のアルケニル基を含有するアルケニル基含有ポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒および水酸基含有ポリシロキサンを含有する第4の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物、例えば、ヒドロシリル基を有するかご型オクタシルセスキオキサン、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少ないモル数のアルケニル基を含有するアルケニル基含有ポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒およびオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有する第5の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物、例えば、かご型オクタシルセスキオキサン、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少ないモル数のアルケニル基を分子の両末端に含有する直鎖状のアルケニル基両末端含有ポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒、および、側鎖にアルケニル基を2つ以上含有するアルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを含有する第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
これら熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、単独使用または併用することができる。
熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物として、好ましくは、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物において、かご型オクタシルセスキオキサンは、3官能シリコーンモノマーの8量体であって、具体的には、下記式(5)で表される基を8つ有し、
(式中、R
5は、1価の炭化水素基を示し、R
6は、水素または1価の炭化水素基を示す。但し、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R
6の1価の炭化水素基:水素のモル比が、6.5:1.5〜5.5:2.5の範囲である。)
より具体的には、下記式(6)で表される。
(式中、R
5およびR
6は、上記と同意義を示す。また、R
6の1価の炭化水素基:水素のモル比は、上記と同一である。)
上記式(5)および(6)において、R
5にて示される1価の炭化水素基は、上記式(1)のR
1で例示した1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
上記した(5)および(6)において、R6にて示される1価の炭化水素基としては、上記したR5にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、メチルが挙げられる。
式(6)におけるR6の1価の炭化水素基:水素のモル比は、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、6.5:1.5〜5.5:2.5の範囲であり、好ましくは、6.0:2.0〜5.5:2.5の範囲である。
つまり、かご型オクタシルセスキオキサン1分子において、上記式(5)で示される基が、1.5〜2.5個(具体的には、2つ)、好ましくは、2〜2.5個(具体的には2つ)のヒドロシリル基(−SiH)を形成する。
上記したR6の1価の炭化水素基:水素のモル比が、6.5/1.5(=6.5:1.5)を超える場合(例えば、7/1(=7:1))には、ヒドロシリル基のモル数が過度に少ないため、アルケニル基両末端含有ポリシロキサン(およびアルケニル基側鎖含有ポリシロキサン)に対するかご型オクタシルセスキオキサンの反応度合が過度に低下して、得られる第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物の分子量が低くなり、固体状の第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物が得られない場合がある。
一方、上記したR6の1価の炭化水素基:水素のモル比が、5.5/2.5(=5.5:2.5)に満たない場合(例えば、5/3(=5:3))には、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が過度に多いため、アルケニル基両末端含有ポリシロキサン(およびアルケニル基側鎖含有ポリシロキサン)に対するかご型オクタシルセスキオキサンの反応度合が過度に増大するため、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物が熱可塑性を示さない場合がある。
上記したかご型オクタシルセスキオキサンとしては、具体的には、例えば、上記式(5)および(6)において、R5がメチル、R6がメチルまたは水素であり、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R6のメチル:水素のモル比が、5.5:2.5、6:2、または、6.5:1.5であるかご型オクタシルセスキオキサンなどが挙げられる。
上記式(6)で示されるかご型オクタシルセスキオキサンは、例えば、公知の方法(例えば、特開2007−246880号公報などの記載に準拠)に従って合成される。
具体的には、テトラアルコキシシラン(テトラエトキシシランなど)を、メタノールなどのアルコールおよび/または水と、触媒との存在下で反応させて、オクタ(シルセスキオキサン)骨格(式(6)において式(5)の基を除く部分)を合成し、その後、ジアルキルクロロシラン(ジメチルクロロシランなど)およびトリアルキルクロロシラン(トリメチルクロロシランなど)を、上記したR6の1価の炭化水素基:水素のモル比に対応する配合割合で配合して、オクタ(シルセスキオキサン)骨格のケイ素原子に結合するアルコキシル基(エトキシなど)と、ジアルキルクロロシランおよびトリアルキルクロロシランとを反応させる。反応後、必要により、反応物を精製する。これにより、かご型オクタシルセスキオキサンを得ることができる。
なお、かご型オクタシルセスキオキサンは、市販品を用いることもできる。
アルケニル基両末端含有ポリシロキサンは、アルケニル基を分子の両末端に含有する直鎖状の、ポリシロキサンであり、具体的には、下記式(7)で表される。
(式中、R
7は、1価の炭化水素基を示し、R
8は、アルケニル基を示す。また、aは、1以上の整数を示す。)
式(7)においてR
7で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
R7で示される1価の炭化水素基としては、上記した(5)および(6)においてR5にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
式(7)においてR8で示されるアルケニル基としては、例えば、置換または非置換のアルケニル基が挙げられ、好ましくは、非置換のアルケニル基が挙げられる。
そのようなアルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなどの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
アルケニル基の炭素数は、例えば、2〜10、好ましくは、2〜5である。
R8は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
アルケニル基として、好ましくは、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基との反応性の観点から、炭素数2〜5のアルケニル基、さらに好ましくは、ビニルが挙げられる。
aは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜100の整数、さらに好ましくは、1〜50の整数を示す。
アルケニル基両末端含有ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および取扱性の観点から、例えば、100〜8000、好ましくは、300〜5000である。
アルケニル基両末端含有ポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社製)を用いることもできる。
ヒドロシリル化触媒としては、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金オレフィン錯体、白金カルボニル錯体、白金アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、ロジウム触媒などが挙げられる。
これらヒドロシリル化触媒のうち、好ましくは、相溶性および透明性の観点から、白金触媒、さらに好ましくは、白金オレフィン錯体が挙げられ、具体的には、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体などの白金−ジビニルシロキサン錯体などが挙げられる。
なお、ヒドロシリル化触媒は、公知の溶媒(トルエンなど)溶液として調製されていてもよい。
アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンは、側鎖にアルケニル基を2つ以上含有するポリシロキサンである。そのようなアルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとしては、例えば、直鎖状のシロキサン部分(−Si−O−)を含有する主鎖(のケイ素原子)に結合する側鎖としてアルケニル基を含有する直鎖状シロキサン含有ポリシロキサン(直鎖状ポリシロキサン)、および/または、分枝状のシロキサン部分のケイ素原子に結合するアルケニル基を含有する分枝状シロキサン含有ポリシロキサン(分枝状ポリシロキサン)が挙げられる。
直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンは、具体的には、下記式(8)で表される。
(式中、A〜Dは、構成単位であり、AおよびDは、末端単位、BおよびCは、繰り返し単位を示す。R
9は、1価の炭化水素基を示し、R
10は、アルケニル基を示す。また、bは、0または1以上の整数を示し、cは、2以上の整数を示す。)
A〜Dは、直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンを構成する。
式(8)においてR9で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
R9で示される1価の炭化水素基としては、上記した(5)および(6)においてR5にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
bは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10000の整数、さらに好ましくは、1〜5000の整数を示す。
cは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、2〜500の整数、さらに好ましくは、2〜100の整数を示す。
直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および取扱性の観点から、例えば、200〜1000000、好ましくは、200〜80000である。
直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンのアルケニル基含有量は、例えば、0.01〜10mmol/g、好ましくは、0.1〜5mmol/gである。直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンのアルケニル基含有量は、1H−NMRでアルケニル基とメチル基との面積比から測定される。
直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社製)を用いることもできる。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンは、具体的には、下記式(9)で表される。
式中、E〜Hは構成単位であり、E〜Gは、繰り返し単位を示し、Hは、末端単位を示す。R
11は、1価の炭化水素基を示す。また、eは、1以上の整数を示し、fおよびgは、0以上の整数を示し、hは、4以上の整数を示す。さらに、1分子当たり、少なくとも1個のR
11はアルケニル基である。)
E〜Hは、分枝状シロキサン含有ポリシロキサンを構成する。
R11で示される1価の炭化水素基は、例えば、飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、不飽和炭化水素基(芳香族炭化水素基を除く。)である。
飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基としては、上記した(5)および(6)においてR5にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
不飽和炭化水素基(芳香族炭化水素基を除く。)としては、上記した(7)においてR8で示されるアルケニル基と同様のものが挙げられ、好ましくは、ビニルが挙げられる。
式(9)においてR11で示される1価の炭化水素基は、少なくともアルケニル基を含み、好ましくは、アルキル基と、アルケニル基とを含み、さらに好ましくは、メチル基とビニル基とを含んでいる。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンにおけるアルケニル基の数は、1以上、好ましくは、3以上、通常、30以下である。
eは、好ましくは、1〜100の整数、さらに好ましくは、1〜50の整数を示す。
fは、好ましくは、1〜100の整数、さらに好ましくは、1〜50の整数を示す。
gは、好ましくは、1〜100の整数、さらに好ましくは、1〜50の整数を示す。
hは、好ましくは、1〜100の整数、さらに好ましくは、1〜30の整数を示す。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および取扱性の観点から、例えば、100〜10000、好ましくは、200〜8000である。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンのアルケニル基含有量は、例えば、0.01〜100mmol/g、好ましくは、0.1〜10mmol/gである。分枝状シロキサン含有ポリシロキサンのアルケニル基含有量は、1H−NMRでアルケニル基とメチル基との面積比から測定される。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社製)を用いることもできる。
そして、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを配合することによって、調製される。
かご型オクタシルセスキオキサンの配合割合は、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物に対して、例えば、10〜80質量%、好ましくは、10〜70質量%である。
アルケニル基両末端含有ポリシロキサンの配合割合は、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数がかご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少なくなるように、調整される。
つまり、アルケニル基のヒドロシリル基に対するモル比(アルケニル基のモル数/ヒドロシリル基のモル数)は、1未満、例えば、0.10〜0.99、好ましくは、0.20〜0.99、さらに好ましくは、0.50〜0.99である。換言すれば、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンの配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基両末端含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、0.001〜30質量部、好ましくは、0.01〜20質量部である。また、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンの配合割合を、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基両末端含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、0.01〜100質量部、好ましくは、0.1〜50質量部に設定することもできる。
上記したモル比が上記範囲を超える場合には、ヒドロシリル基がアルケニル基より少なくなり、その場合には、反応後に、過剰分のヒドロシリル基が十分に残存せず、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物に熱硬化性が付与されない場合がある。
一方、上記したモル比が上記範囲に満たない場合には、ヒドロシリル基が過剰に残存し、かご型オクタシルセスキオキサン同士が、空気中の水分による加水分解および自己縮合によって硬化し、柔軟性が得られない場合がある。
ヒドロシリル化触媒(固形分)の配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基両末端含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、1.0×10−10〜3質量部、好ましくは、1.0×10−8〜1質量部である。
アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンの配合割合は、そのアルケニル基のモル数(X)が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数からアルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数を差し引いたモル数(Y)に対して、モル比(X/Y)として、例えば、0.001〜1000、好ましくは、0.01〜100となるように、調整される。
第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物を調製するには、好ましくは、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応することにより得られるシリコーン樹脂前駆体と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを配合する。
すなわち、まず、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基両末端含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数より多く(過剰と)なる配合割合において、反応させることにより、シリコーン樹脂前駆体を得る。
シリコーン樹脂前駆体を得るには、より具体的には、上記したかご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基両末端含有ポリシロキサンとを上記した配合割合で、ヒドロシリル化触媒、および必要により、溶媒とともに配合し、その後、必要により、それらを加熱する。
溶媒としては、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、例えば、酢酸エチルなどのエステルなどが挙げられる。好ましくは、各成分の相溶性を向上させる観点から、芳香族炭化水素、さらに好ましくは、トルエンが挙げられる。
反応温度は、例えば、0〜100℃、好ましくは、20〜80℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜96時間である。
これによって、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基両末端含有ポリシロキサンが反応する。つまり、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基とが、ヒドロシリル化反応する。
なお、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基とのヒドロシリル化反応の度合は、1H−NMR測定によって、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基に由来するシグナルの強度によって確認することができ、そのシグナルが消失したときが、ヒドロシリル化反応が終了したとされる。
上記のヒドロシリル化反応では、ヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基のモル数に比べて、過剰となるように、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基両末端含有ポリシロキサンとが反応し、その反応後には、ヒドロシリル基の過剰分が残存する。
これにより、シリコーン樹脂前駆体を得る。
なお、シリコーン樹脂前駆体は、液体状または半固体状である。
次いで、得られたシリコーン樹脂前駆体と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを上記した割合で配合する。その後の加熱(後述)により、シリコーン樹脂前駆体と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを反応させる。なお、必要により、溶媒を留去する。
これにより、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物を得ることができる。
得られた第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、固体状である。かご型オクタシルセスキオキサンの立体障害に起因して、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンの運動性が低下するため、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物が固体状として得られる。
そして、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、R6の1価の炭化水素基:水素のモル比が特定範囲であるので、かご型オクタシルセスキオキサンにおいて、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基と反応するヒドロシリル基の割合が調整されている。しかも、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンは、そのアルケニル基が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数よりも少ないモル数となるようにかご型オクタシルセスキオキサンと反応する。そのため、得られる第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、透明性および耐熱性に優れるとともに、熱可塑性および熱硬化性を併有することができる。
つまり、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、上記した加熱により、一旦可塑化(あるいは液状化)し、その後、熱硬化する。
熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物の熱可塑温度は、例えば、40〜150℃、好ましくは、50〜100℃である。なお、熱可塑温度は、熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物が熱可塑性を示す温度であり、具体的には、固体状の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物が加熱によって軟化して完全に液体状になる温度であって、軟化温度と実質的に同一である。
熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物の熱硬化温度は、150〜300℃、好ましくは、180〜250℃であり、また、例えば、100〜250℃、好ましくは、120〜250℃でもある。
また、第1の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、特開2011−148883号公報などに記載され、例えば、両末端アミノプロピル型シリコーン樹脂、オルガノハイドロジェンシロキサン、トリレン2,4−ジイソシアネートおよび白金−ジビニルシロキサン錯体を含有する。また、第2の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、特開2011−202099号公報などに記載され、例えば、両末端アミノ型シリコーン樹脂、トリレン2,4−ジイソシアネートおよびジ−t−ブチルパーオキシドを含有する。また、第3の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、例えば、ヒドロシリル基を有するかご型オクタシルセスキオキサン、アルケニル基含有ポリシロキサン、白金−ジビニルシロキサン錯体を含有する。また、第4の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、例えば、ヒドロシリル基を有するかご型オクタシルセスキオキサン、アルケニル基含有ポリシロキサン、白金−ジビニルシロキサン錯体および水酸基含有ポリシロキサンを含有する。また、第5の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、例えば、ヒドロシリル基を有するかご型オクタシルセスキオキサン、アルケニル基含有ポリシロキサン、白金−ジビニルシロキサン錯体および側鎖型オルガノハイドロジェンポリシロキサンを含有する。また、第6の熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物は、例えば、ヒドロシリル基を有するかご型オクタシルセスキオキサン、アルケニル基両末端含有ポリシロキサン、白金−ジビニルシロキサン錯体および直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンを含有する。
第2のシリコーン樹脂組成物の配合割合は、蛍光封止組成物に対して、例えば、30〜99.9質量%、好ましくは、40〜90質量%である。
そして、蛍光封止組成物を調製するには、蛍光体と第2のシリコーン樹脂組成物とを配合する。なお、蛍光封止組成物には、透明組成物で例示した添加物を適宜の割合で添加することもできる。
好ましくは、第2のシリコーン樹脂組成物が2段階硬化型シリコーン樹脂組成物である場合には、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体に蛍光体を添加し、それらを均一に混合する。
また、好ましくは、第2のシリコーン樹脂組成物が熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物である場合には、熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物の熱可塑体に蛍光体を添加し、それらを均一に混合する。
そして、図1に示す封止シート1を作製するには、図2に示すように、まず、凹部4が形成された透明層2を作製する。
透明層2は、上記した透明組成物から、例えば、熱成形法(図3および図4参照)、例えば、積層法(図5参照)などによって、上記した形状に成形する。
熱成形法としては、例えば、図3(a)に示すように、液状の透明組成物を、凹部4に対応する金型5を備える圧縮成形機6に仕込み、続いて、図3(b)に示すように、加熱しつつ金型5を型閉めする方法(圧縮成形法)、例えば、液状の透明組成物を基材(図示せず)の上に塗布して、透明シート7を形成した後、図4(a)に示すように、透明シート7を、凹部4に対応する金型5を備える熱プレス機8にセットして、図4(b)に示すように、熱プレスする方法(熱プレス法)などが挙げられる。
基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、例えば、ポリカーボネートフィルム、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、例えば、ポリスチレンフィルム、例えば、アクリルフィルム、例えば、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムなどの樹脂フィルムなどが挙げられる。さらに、基材として、例えば、銅箔、ステンレス箔などの金属箔も挙げられる。
このような基材のなかでは、好ましくは、樹脂フィルム、さらに好ましくは、ポリエステルフィルムが挙げられる。
なお、基材の表面には、必要により、離型処理が施されている。
基材の厚みは、例えば、取扱性、コストの観点から、例えば、10〜200μm、好ましくは、20〜100μmである。
積層法では、図5(a)に示すように、液状の透明組成物を基材の上に塗布して、透明シート7を複数枚(例えば、2枚)形成し、その後、図5(b)に示すように、一方の透明シート7Aに凹部4に対応し、一方の透明シート7Aの厚み方向を貫通する貫通孔9を形成する。その後、図5(c)に示すように、一方の透明シート7Aと他方の透明シート7Bとを貼り合わせる。
透明層2を上記した形状に成形するには、具体的には、透明層2を、最終硬化前の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を含む透明組成物から形成する場合、より具体的には、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体として形成する場合には、例えば、圧縮成形法、熱プレス法、積層法が用いられる。好ましくは、積層法が用いられる。
圧縮成形法によって、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体として形成するには、まず、図3(a)に示すように、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体を含有する液状の透明組成物を圧縮成形機6に仕込み、続いて、図3(b)に示すように、加熱しつつ金型5を型閉めすることにより、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を1段階硬化体とし、それを含む透明組成物からなる透明層2を作製する。
圧縮成形機において、圧力が、例えば、0.1〜30MPa、好ましくは、1〜10MPaであり、温度が、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜150℃であり、時間が、例えば、1〜300分間、好ましくは、5〜30分間である。
熱プレス法によって、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体として形成するには、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体を含有する液状の透明組成物を基材(図示せず)の上に塗布して、その後、加熱して、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を1段階硬化体として、それを含有する透明組成物からなる透明シート7(Bステージシート、図4(a)参照)を形成する。その後、図4(a)に示すように、透明シート7を、熱プレス機8にセットして、その後、図4(b)に示すように、熱プレスすることにより、透明層2を作製する。
液状の透明組成物を基材に塗布するには、例えば、ドクターブレード、グラビアコータ、ファウンテンコータなどの塗布方法が用いられる。
塗布後の透明組成物の加熱温度は、例えば、40〜150℃、好ましくは、80〜150℃であり、加熱時間が、例えば、1分間〜24時間、好ましくは、1分間〜1時間である。
熱プレス機8における圧力は、例えば、0.1〜30MPa、好ましくは、1〜10MPaであり、温度が、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜150℃であり、プレス時間が、例えば、0.5〜60分間、好ましくは、1〜30分間である。
積層法によって、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体として形成するには、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体を含有する透明組成物を基材の上に塗布し、その後、加熱することにより、図5(a)に示すように、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を1段階硬化体として、それを含む透明組成物からなる透明シート7を2枚形成する。透明シートの作製条件は、熱プレス法と同様である。その後、図5(b)に示すように、一方の透明シート7Aに貫通孔9を形成した後、図5(c)に示すように、一方の透明シート7Aと他方の透明シート7Bとを、例えば、ラミネータなどを用いて、貼り合わせる。
さらに、透明層2を、最終硬化後の熱硬化性シリコーン樹脂組成物から形成する場合であって、より具体的には、透明層2を、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物の硬化体として形成する場合には、例えば、圧縮成形法が用いられる。
圧縮成形法によって、透明層2を、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物の硬化体として形成するには、まず、主剤および架橋剤を混合して、混合液を、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体を含有する液状の透明組成物として調製し、次いで、図3(a)に示すように、透明組成物を圧縮成形機6に仕込み、続いて、図3(b)に示すように、加熱しつつ金型5を型閉めすることにより、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物を硬化体とし、それを含む透明組成物からなる透明層2を作製する。その後、必要により、ポストキュアする。
圧縮成形機において、圧力が、例えば、0.1〜30MPa、好ましくは、1〜10MPaであり、温度が、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜150℃であり、時間が、例えば、1〜300分間、好ましくは、5〜30分間である。
なお、圧縮成形法において必要により実施されるポストキュアは、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物を実質的に硬化体とした後、ごく一部残存する未硬化部分の硬化を完了させるための処理であって、その温度は、例えば、100〜200℃、好ましくは、100〜180℃であり、時間が、例えば、10〜300分間、好ましくは、30〜180分間である。
一方、透明層2を、最終硬化後の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を含む透明組成物から形成する場合、より具体的には、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の2段階硬化体として形成する場合には、例えば、圧縮成形法、熱プレス法、積層法が用いられる。
圧縮成形法によって、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の2段階硬化体として形成するには、まず、図3(a)に示すように、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体を含有する液状の透明組成物を圧縮成形機6に仕込み、続いて、図3(b)に示すように、加熱しつつ金型5を型閉めすることにより、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を一度で(1工程で)2段階硬化体とし、これにより、それを含む透明組成物からなる透明層2を作製する。圧縮成形機の条件は、圧力が、例えば、0.1〜30MPa、好ましくは、1〜10MPaであり、温度が、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜150℃であり、時間が、例えば、1〜300分間、好ましくは、10〜60分間である。
熱プレス法によって、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の2段階硬化体として形成するには、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体を含有する液状の透明組成物を基材(図示せず)の上に塗布して、その後、加熱して、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を1段階硬化体として、それを含有する透明組成物からなる透明シート7(Bステージシート、図4(a)参照)を形成する。その後、図4(a)に示すように、Bステージの透明シート7を、熱プレス機8にセットして、その後、図4(b)に示すように、熱プレスすることにより、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を2段階硬化体として、それを含有する透明組成物からなる透明層2を作製する。
塗布後の透明組成物の加熱条件は、上記と同様であり、熱プレス機8における圧力は、上記が、例えば、0.1〜30MPa、好ましくは、1〜10MPaであり、温度が、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜150℃であり、プレス時間が、例えば、0.5〜60分間、好ましくは、1〜30分間である。
積層法によって、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の2段階硬化体として形成するには、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体を含有する液状の透明組成物を基材の上に塗布し、その後、加熱することにより、図5(a)に示すように、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を1段階硬化体として、それを含む透明組成物からなる透明シート7(Bステージシート)を2枚形成する。透明シートの作製条件は、熱プレス法と同様である。その後、図5(b)に示すように、一方の透明シート7Aに貫通孔9を形成した後、図5(c)に示すように、一方の透明シート7Aと他方の透明シート7Bとを、熱圧着により貼り合わせる。これにより、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を2段階硬化体として、それを含有する透明組成物からなる透明層2を作製する。
熱圧着の条件は、圧力が、例えば、0.1〜30MPa、好ましくは、1〜10MPaであり、温度が、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜150℃であり、時間が、例えば、0.5〜60分間、好ましくは、1〜30分間である。
また、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の2段階硬化体として形成するには、上記した圧縮成形法、熱プレス法、積層法などによって成形した、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体を、ポストキュアすることもできる。ポストキュアの条件は、温度が、例えば、100〜200℃、好ましくは、100〜180℃であり、時間が、例えば、10〜300分間、好ましくは、30〜180分間である。
透明層2の成形において、好ましくは、透明層2を、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体として形成する。
これによって、凹部4が形成された透明層2を作製する。
その後、この方法では、図1に示すように、蛍光封止層3を、透明層2の凹部4に充填する。
具体的には、上記した蛍光封止組成物を、ポッティング装置を用いて、透明層2の凹部4に注入する。
詳しくは、蛍光封止組成物が、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体(1段階目の硬化前)を含有している場合には、液状の蛍光封止組成物を透明層2の凹部4に注入する。
一方、蛍光封止組成物が、熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物を含有している場合には、熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物を加熱して、熱可塑体として、かかる熱可塑体を含有する蛍光封止組成物を透明層2の凹部4に注入する。加熱温度は、例えば、50〜150℃、好ましくは、80〜120℃である。
その後、蛍光封止組成物における第2のシリコーン樹脂組成物が2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体(1段階目の硬化前)である場合には、例えば、40〜150℃で、1〜24時間加熱して、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を1段階硬化体とする。
一方、蛍光封止組成物における第2のシリコーン樹脂組成物が熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物の熱可塑体である場合には、常温で、0.1〜24時間放置して、熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物を固化させる。
これにより、蛍光封止組成物からなる蛍光封止層3を凹部4に充填する。
これによって、透明層2と蛍光封止層3とを備える封止シート1を得る。
図6は、本発明の封止シートの一実施形態を製造する方法を説明する図であり、(a)は、封止シートを基板の上に配置する工程、(b)は、封止シートを基板に対して圧着させる工程を示す。図7は、図6(a)に示す基板の平面図を示す。
次に、封止シート1を用いて発光ダイオード装置10を製造する方法について、図6および図7を参照して説明する。
まず、この方法では、図6(a)および図7に示すように、発光ダイオード素子11が実装された基板12を用意する。
基板12は、略平板状をなし、具体的には、絶縁基板の上に、電極パッド13および配線(図示せず)を含む導体層が回路パターンとして積層された積層板から形成されている。絶縁基板は、例えば、シリコン基板、セラミックス基板、ポリイミド樹脂基板などからなり、好ましくは、セラミックス基板、具体的には、サファイア(Al2O3)基板からなる。
電極パッド13は、発光ダイオード素子11が実装される領域と間隔を隔てて設けられ、具体的には、基板12の端部に配置されている。導体層は、例えば、金、銅、銀、ニッケルなどの導体から形成されている。基板12の厚みは、例えば、30〜1,500μm、好ましくは、500〜1,000μmである。
発光ダイオード素子11は、基板12の上面に、面方向に互いに間隔を隔てて複数整列配置されている。各発光ダイオード素子11は、平面視略矩形状であって、断面視略矩形状に形成されている。各発光ダイオード素子11は、基板12の導体層に対して、フリップチップ実装接続またはワイヤボンディング接続され、これによって、電極パッド13と電気的に接続されている。各発光ダイオード素子11は、青色光を発光する素子である。
発光ダイオード素子11の厚みは、例えば、50〜300μm、好ましくは、100〜200μmであり、各発光ダイオード素子11の1辺の長さは、例えば、0.5〜2mm、好ましくは、0.1〜1.5mmであり、各発光ダイオード素子11間の間隔は、例えば、0.05〜5.0mm、好ましくは、0.5〜3.5mmである。また、発光ダイオード素子11のピッチ(すなわち、上記した間隔および1辺の長さの合計)は、例えば、1〜5mmである。
次いで、図1に示す封止シート1を用意し、図6(a)に示すように、これを上下反転させた封止シート1を、各蛍光封止層3と、各発光ダイオード素子11とが厚み方向にそれぞれ対向するように、基板12の上に配置する。その後、図6(a)の矢印および図6(b)に示すように、蛍光封止層3が発光ダイオード素子11を埋設するように、封止シート1を基板12に対して圧着させる。
圧着温度は、例えば、70〜250℃、好ましくは、100〜200℃であり、圧力が、例えば、0.1〜10MPa、好ましくは、0.5〜5MPaであり、時間が、例えば、1〜60分間、好ましくは、5〜30分間である。
その後、透明層2の透明組成物および/または蛍光封止層3の蛍光封止組成物が、最終硬化前の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を含む場合には、透明層2および蛍光封止層3を加熱することにより、透明組成物および/または蛍光封止組成物を硬化(ポストキュア)させる。
ポストキュアの温度は、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜180℃であり、加熱時間は、例えば、10〜300分、好ましくは、30〜180分である。
これによって、蛍光封止層3によって発光ダイオード素子11を封止する。
そして、封止シート1、封止シート1を用いる発光ダイオード装置10の製造方法、および、それにより製造される発光ダイオード装置10では、透明層2が、第1のシリコーン樹脂組成物を含む透明組成物から形成されているので、透明層2におけるクラックおよび着色(具体的には、黄変など)を抑制することができる。
また、透明層2が、第1のシリコーン樹脂組成物を含む透明組成物から形成されるとともに、蛍光封止層3が、第2のシリコーン樹脂組成物を含む蛍光封止組成物から形成されているので、透明層2と蛍光封止層3との親和性が高く、そのため、それらの間の剥離を抑制することができる。
また、蛍光封止層3は、透明層2に形成される凹部4において、蛍光体を含む蛍光封止組成物から形成されているので、かかる蛍光封止層3によって、発光ダイオード素子11を埋設するので、封止シート1における蛍光体の配合量を、蛍光封止層3が透明層2の表面全面に形成される場合の配合量に比べて、低減させることができながら、発光ダイオード素子11を埋設する蛍光封止層3における蛍光体の配合割合を十分に確保して、発光ダイオード素子11から発光される光を確実に変換させることができる。
そのため、封止シート1の製造コストを低減させることができる。
その結果、かかる封止シート1を用いる発光ダイオード装置10の製造方法では、発光ダイオード装置10の製造コストを低減させることができる。
なお、図2(a)の実施形態では、凹部4を、平面視略円形状に形成しているが、例えば、図示しないが、平面視略矩形状に形成することもできる。その場合には、凹部4の一片の長さが、例えば、1〜10mmであり、好ましくは、1〜5mmである。
また、図1および図6(b)の実施形態では、封止シート1に複数の凹部4を形成し、そこに蛍光封止層3を充填して、かかる蛍光封止層3によって複数の発光ダイオード素子11を封止しているが、例えば、図示しないが、1個の凹部4を形成し、そこに蛍光封止層3を充填して、かかる蛍光封止層3によって1個の発光ダイオード素子11を封止することもできる。
また、図1において図示しないが、透明層2の下面に、例えば、光拡散層、保護層(高硬度層など)などを積層することもできる。
以下に、作製例、比較作製例、実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何らそれらに限定されない。
<透明層の作製>
作製例1
(透明層:Cステージのシリコーン樹脂組成物)
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(商品名:LR−7665、旭化成ワッカー社製)のA液とB液とを1/1で混合して混合液を調製した。
次いで、混合液を、圧縮成形機に仕込み(図3(a)参照)、圧力1.6MPa、温度130℃で、5分間、型閉めすることにより、透明層を成形し(図3(b)参照)、その後、150℃で、2時間ポストキュアした(図3参照)。
透明層の厚みは、1mmであり、透明層には、表面から内方に向かって凹む9個の凹部を形成した。各凹部は、内径2mmの円形状をなし、各凹部の深さは0.5mmであり、各凹部間の間隔は、1mmであった(図2参照)。
また、透明層の付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、Cステージであった。
作製例2
(透明層:Bステージのシリコーン樹脂組成物)
シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン(シラノール基両末端ポリシロキサン、一般式(1)中、R1がすべてメチル、nの平均が155、数平均分子量11,500、シラノール基当量0.174mmol/g)2031g(0.177モル)に対して、ビニルトリメトキシシラン(エチレン系ケイ素化合物)15.71g(0.106モル)、および、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(エポキシ基含有ケイ素化合物)2.80g(0.0118モル)を配合して、攪拌混合した。
なお、ビニルトリメトキシシランおよび(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランのSiOCH3基に対する、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサンのSiOH基のモル比(SiOH基のモル数/SiOCH3基の総モル数)は、1/1であった。
攪拌混合後、水酸化テトラメチルアンモニウムのメタノール溶液(縮合触媒、濃度10質量%)0.97mL(0.766g、触媒含量:0.88ミリモル、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン100モルに対して0.50モルに相当)を加え、40℃で1時間攪拌した。その後、それらを40℃の減圧下(10mmHg)で、1時間攪拌しながら、揮発分(メタノールなど)を除去した。
その後、系を常圧に戻した後、反応物に、オルガノハイドロジェンシロキサン(信越化学工業社製、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、数平均分子量2,000、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)44.5g(0.022モル)を加え、40℃で1時間攪拌した。
なお、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対する、ビニルトリメトキシシランのビニル基(CH2=CH−)のモル比(CH2=CH−/SiH)は、1/3であった。
その後、系に、白金−カルボニル錯体のシロキサン溶液(付加触媒、白金濃度2質量%)0.13g(0.13mL、白金含量2質量%、白金として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して5.8×10−3質量部に相当)を加えて、40℃で10分間攪拌して、常温液状の熱硬化型シリコーン樹脂組成物(縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物)を得た。
次いで、熱硬化型シリコーン樹脂組成物を、厚み50μmのPETフィルムの上に、厚みが0.5mmとなるように塗布し、その後、135℃で、10分間加熱することにより、Bステージの熱硬化型シリコーン樹脂組成物からなる透明シートを形成した。
その後、透明シートから10mm×10mmのシート片に2枚切り出し(図5(a)参照)、一方のシート片に、9個の貫通孔を形成した(図5(b)参照)。各貫通孔は、内径2mmの円形状をなし、各貫通孔間の間隔は、1mmであった。
次いで、貫通孔が形成された一方のシート片と、他方のシート片とをラミネータにより貼り合わせることより、貫通孔に対応する凹部が形成された透明層を作製した(図5(c)参照)。
比較作製例1
(透明層:エポキシ樹脂組成物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコートEP1256、エポキシ当量7500、ジャパンエポキシレジン社製)45質量部、脂環型エポキシ樹脂(EHPE3150、エポキシ当量260、ダイセル化学社製)33質量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MH−700、新日本理化社製)22質量部、および、2−メチルイミダゾール(四国化成社製)1.2質量部を、メチルエチルケトンに、固形分濃度が50質量%となるように溶解し、エポキシ樹脂組成物溶液を調製した。
次いで、エポキシ樹脂組成物溶液を、厚み50μmのPETフィルム(サイズ30cm×10cm)の上に、厚みが0.1mmとなるように塗布し、その後、130℃、2分間加熱して乾燥することにより、Cステージのベースシートを形成した。
その後、同様の操作を9回繰り返して、合計10枚のベースシート(サイズ30cm×10cm)を用意した。
その後、10枚のベースシートを、100℃にて熱ラミネートすることにより、厚み1.0mmの透明シートを作製した。
その後、透明シートから10mm×10mmのシート片に切り出し、シート片に9個の凹部を形成することによって、透明層を作製した。凹部の寸法は、作製例1の凹部のそれと同様であった。
<封止シートの作製>
参考例1
(透明層:Cステージのシリコーン樹脂組成物/蛍光封止層:蛍光体+シリコーン樹脂組成物の熱可塑体)
水酸化テトラメチルアンモニウム(25%メタノール溶液)66.8mL(158.6mol)、メタノール32.8mLおよび蒸留水24.6mLの混合液に、テトラエトキシシラン35.8mL(160.6mol)を徐々に滴下して一昼夜攪拌することにより、それらを反応させた。
次いで、反応液を濾過し、濾液を、ヘキサン428mL、ジメチルクロロシラン7.1g(75mmol)およびトリメチルクロロシラン24.4g(225mmol)の混合液に滴下し、一昼夜攪拌した。その後、ヘキサンで反応物を抽出し、抽出液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。その後、一旦ヘキサンを除去した後、さらにヘキサンを加えて再結晶させることにより、白色固体のかご型オクタシルセスキオキサンを得た。
得られたかご型オクタシルセスキオキサンは、1H−NMRにて式(6)の構造であることを確認するとともに、式(6)におけるR5がメチル基、R6が水素およびメチル基であることを確認し、R6のメチル基と水素とのモル比(かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値)を算出したところ、メチル基:水素=6:2であった。
得られたかご型オクタシルセスキオキサン0.36gと、アルケニル基両末端含有ポリシロキサン(式(7)中、R7がメチル基、R8がビニル基、aが8;数平均分子量800)0.24gと、トルエン1gと、白金−ジビニルシロキサン錯体溶液(ヒドロシリル化触媒、トルエン溶液、白金濃度2質量%)0.1μLとを配合して、50℃で、15時間攪拌した。これにより、シリコーン樹脂前駆体を得た。なお、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのビニル基と、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基とのモル比(=ビニル基/ヒドロシリル基)は、0.91であった。
その後、得られたシリコーン樹脂前駆体に、直鎖状シロキサン含有ポリシロキサン(式(8)中、R9がメチル基、R10がビニル基、b=120、c=10;数平均分子量10000、ビニル基含有量0.98mmol/g)0.03g(かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基両末端含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、5.0質量部)を配合して、それらを混合した。
なお、シリコーン樹脂前駆体中の残余のヒドロシリル基に対する、直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンのビニル基の割合(X/Y)は、モル比で、0.49であった。
その後、トルエンを留去することにより、白濁固体状のシリコーン樹脂組成物(熱可塑性・熱硬化性併有シリコーン樹脂組成物)を得た。
シリコーン樹脂組成物における直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンの含有割合は、4.8質量%であった。
その後、シリコーン樹脂組成物87gを、80℃に加熱して溶融させて熱可塑体とし、そこに蛍光体(Y3Al5O12:Ce(YAG:Ce)、球形状、平均粒子径17μm)13gを添加して均一に攪拌することにより、蛍光体およびシリコーン樹脂組成物の熱可塑体を含有する蛍光封止組成物を調製した。
その後、作製例1の透明層の各凹部に、蛍光封止組成物1.7mgずつをポッティング装置を用いて注入し、その後、常温で24時間放置して、蛍光封止組成物を固化させて、蛍光封止層を形成した。これによって、透明層と、凹部に充填される蛍光封止層とを備える封止シートを得た。
実施例2
(透明層:Bステージのシリコーン樹脂組成物/蛍光封止層:蛍光体+シリコーン樹脂組成物の熱可塑体)
作製例1の透明層(Cステージのシリコーン樹脂組成物からなる透明層)に代えて、作製例2の透明層(Bステージのシリコーン樹脂組成物からなる透明層)を用いた以外は、参考例1と同様にして、蛍光封止組成物を注入して、続いて、蛍光封止層を形成させることによって、封止シートを得た。
参考例3
(透明層:Cステージのシリコーン樹脂組成物/蛍光封止層:蛍光体+Bステージのシリコーン樹脂組成物)
作製例2と同様の、Aステージの常温液状の熱硬化型シリコーン樹脂組成物(縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物)を調製した。
その後、熱硬化型シリコーン樹脂組成物87gに蛍光体(Y3Al5O12:Ce(YAG:Ce)、球形状、平均粒子径17μm)13gを添加して均一に攪拌することにより、蛍光体および熱硬化型シリコーン樹脂組成物(未硬化体)を含有する蛍光封止組成物を調製した。
その後、作製例1の透明層の各凹部に、蛍光封止組成物1.7mgずつをポッティング装置を用いて注入し、その後、135℃で、10分間加熱して、蛍光封止組成物の熱硬化型シリコーン樹脂組成物をBステージにすることにより、蛍光封止層を形成した。これによって、透明層と、凹部に充填される蛍光封止層とを備える封止シートを得た。
比較例1
(透明層:Cステージのエポキシ樹脂組成物/蛍光封止層:蛍光体+シリコーン樹脂組成物の熱可塑体)
作製例1の透明層(Cステージのシリコーン樹脂組成物からなる透明層)に代えて、比較作製例1の透明層(Cステージのエポキシ樹脂組成物からなる透明層)を用いた以外は、参考例1と同様にして、蛍光封止組成物を注入して、続いて、蛍光封止層を形成することによって、封止シートを得た。
比較例2
(蛍光封止層単層シート:蛍光体+シリコーン樹脂組成物の熱可塑体)
作製例2と同様の、常温液状の熱硬化型シリコーン樹脂組成物(縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物)を用意した。
その後、熱硬化型シリコーン樹脂組成物92.3gに蛍光体(Y3Al5O12:Ce(YAG:Ce)、球形状、平均粒子径17μm)7.7gを添加して均一に攪拌することにより、蛍光体およびAステージの熱硬化型シリコーン樹脂組成物(未硬化体)を含有する蛍光封止組成物を調製した。
その後、蛍光封止組成物を、厚み50μmのPETフィルムの上に、厚みが1.0mmとなるように塗布し、その後、135℃で、10分間加熱することにより、蛍光体およびBステージの熱硬化型シリコーン樹脂組成物を含有する蛍光封止組成物から形成される蛍光封止層単層シートを形成した。
得られた蛍光封止層単層シートを封止シートとして供した。
<発光ダイオード装置の製造>
9個の発光ダイオード素子が実装された基板を用意した。各発光ダイオード素子は、平面視矩形状をなし、寸法は、厚み200μm、1mm×1mmであり、各発光ダイオード素子間の間隔は、2mmであり、ピッチは、3mmであった。
その後、封止シートを、蛍光封止層と、発光ダイオード素子とが厚み方向に対向するように、基板の上に配置し(図6(a)参照)、その後、各蛍光封止層が各発光ダイオード素子をそれぞれ埋設するように、封止シートを基板に対して圧着させた(図6(b)参照)。圧着条件は、温度130℃、圧力0.1MPa、時間10分間であった。
その後、それらを150℃で、2時間加熱することにより、ポストキュア(後硬化)させた。
具体的には、ポストキュアによって、参考例1および3では、蛍光封止層のシリコーン樹脂組成物が硬化した。
また、実施例2では、透明層および蛍光封止層のシリコーン樹脂組成物が硬化した。
比較例1では、蛍光封止層のシリコーン樹脂組成物が硬化した。
比較例2では、蛍光封止層単層シートのシリコーン樹脂組成物が硬化した。
これによって、発光ダイオード素子が封止シートに封止された発光ダイオード装置を製造した。
(評価)
1. 蛍光体の配合量
発光ダイオード装置における1枚の封止シートに配合された蛍光体の配合量を計算した。その結果を表1に示す。
2. 色度
発光ダイオード装置に250mAの電流を流して、発光ダイオード素子を点灯させ、その際のCIE色度指標(y値)を測定した。その結果を表1に示す。
3. 外観
発光ダイオード装置に250mAの電流を流して、発光ダイオード素子を300時間点灯させ、点灯試験前後における外観(下記3−1.〜3−4.)をそれぞれ評価した。
それらの結果を表1に示す。
3−1.透明層の着色
○:試験後の透明層に着色が観察されなかった。
×:試験後の透明層に黄変が観察された。
なお、本評価は、比較製造例2については、透明層がないことから、実施しなかった。
3−2.透明層のクラック
○:試験後の透明層にクラックが観察されなかった。
×:試験後の透明層にクラックが観察された。
3−3.透明層および蛍光封止層間の剥離
○:試験後の透明層および蛍光封止層間に剥離が観察されなかった。
△:試験後の透明層および蛍光封止層間に部分的な剥離が観察された。
なお、本評価は、比較製造例2については、透明層がないことから、実施しなかった。
3−4.封止シートおよび基板間の剥離
○:試験後の封止シートおよび基板間に剥離が観察されなかった。
△:試験後の封止シートおよび基板間に部分的な剥離が観察された。具体的には、剥離は、透明層と基板との間の界面で観察された。