JP6027116B2 - 台タイヤの製造方法 - Google Patents
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Description
損失正接tanδは、転がり抵抗性能に関する指標であり、この数値が低いほど転がり抵抗性能が良いとされているが、損失正接tanδが低いと一般的に耐外傷性も低くなってしまう。このため、本発明においては最外ゴム層の損失正接tanδを、路面等との接触の虞のある端部ゴム部材の損失正接tanδよりも低く設定することで、転がり抵抗性能と耐外傷性を両立させている。
このように、ベルト層のうち最も幅の広いベルト14の端部14a側において、当該ベルト14と台トレッド20との間に、台トレッド20の硬さよりも柔らかいゴムからなるベルトアンダークッションゴム層23を備えることにより、タイヤ回転時の路面との接触によりトレッドから台タイヤ2にベルト14を変形させる力が入力されても、クッションゴム層の柔らかさによってベルト14の変形にクッションゴム層を追従させることができる。特に、最も幅の広いベルト14の端部が、当該ベルト14を包囲するベルトアンダークッションゴム層23及びベルト間クッションゴム層24に隣接するゴム部材から剥離することが抑制されるので、耐久性に優れた台タイヤ2とすることができる。
損失正接tanδは、転がり抵抗性能に関する指標であり、この数値が低いほど転がり抵抗性能が良いとされているが、前述のとおり、損失正接tanδが低いと、一般的に耐外傷性も低くなってしまう。そこで、最外ゴム層の損失正接tanδを、路面等との接触の虞のある端部ゴム部材の損失正接tanδよりも低く設定することで、転がり抵抗性能と耐外傷性を両立させることを可能とした。
このベルトアンダークッションゴム層23及びベルト間クッションゴム層24により構成されるクッションゴム層、後述のサイドゴム19及びミニサイドゴム21によりベルト層の幅方向端部側に位置してベルト層の端部を補強する端部補強ゴム層を形成する。
なお、上記図1に示した台タイヤ2の断面図は、トラックバス用タイヤの構造を一例として採用したもので、本発明は乗用車用タイヤ、航空機用タイヤ、建設車両用タイヤなどタイヤ用途に限定されない。
即ち、金型により成型された外周面2aは、幅方向の断面形状において、上記範囲の曲率半径からなる円弧を少なくとも1つは含み、この円弧の中心が台タイヤ2の赤道面上のタイヤ回転中心軸側に設定され、かつ、円弧が台タイヤ2の幅方向に延長するように成型される。
また、曲率半径が500mm〜2500mmの範囲から大きさの異なる曲率半径の2つの円弧で外周面2aを成型する場合には、選択された2つの円弧のうち、曲率半径の大きい円弧で外周面2aの中央部を成型し、この曲率半径の大きな円弧の両端から外側を曲率半径の小さな円弧で成型するように設定する。この場合においても、単一の曲率半径からなる円弧で外周面2aを成型するときと同様に、幅方向断面において、曲率半径の大きな円弧及び曲率半径の小さな円弧の円弧中心が台タイヤ2の赤道面上のタイヤ回転中心軸側に設定して、曲率半径の大きな円弧及び曲率半径の小さな円弧が台タイヤ2の幅方向に延長するように外周面2aを成型する。なお、外周面2aの中央部に成型される大きな曲率半径の円弧の幅は、トレッド幅に対して50%〜70%の範囲とする。
好ましくは、外周面2aの成型において、曲率半径が900mmを超える大きさの円弧を少なくとも幅方向断面における中央部に成型しておけば、後工程での接着層の形成(バフ掛け)やトレッドの配設における作業性等を向上させるとともに、バフ掛け時のバフ掛け量(切削量)を少なくして、台トレッド20とトレッドゴム3との接着面積が大きくなるように貼付面を成形することができる。
また、ミニサイドゴム21とサイドゴム19とは、同じ組成のゴム材料により一体に構成しても良い。
また、サイド領域T2は、ベルト14の端部14aからタイヤ内径の縁部Baまでの間を示す。また、ビード領域T3は、サイド領域T2においてビードフィラー17の上端からタイヤ内径の縁部Baまでの間を示す。即ち、ビード領域T3は、サイド領域T2内に含まれるものとする。なお、台タイヤ2がビードフィラー17が使用されていない場合には、ビード領域T3はビードコア11上端からタイヤ内径の縁部Baまでの間を示す。また、ビードコア11を備えていない場合は、ビードコア11に相当するビード上端からタイヤ内径の縁部Baまでの間を示す。
したがって、赤道部31におけるバフ掛け前の厚さA1に設定可能な範囲は、1.1mm以上6.0mm以下となる。
例えば、バフ掛け前の赤道部31における台トレッド20の厚さA1が最も厚く設定されたときには、端部15aにおける厚さB1をA1−3mmに設定し、バフ掛け前の赤道部31における台トレッド20の厚さA1が最も薄く設定されたときには、厚さB1をA1+3mmに設定する。具体的には、バフ掛け前の赤道部31における厚さA1は、1.1mm〜6.0mmで設定されることから、赤道部31における厚さA1が6.0mmのときには、端部15aにおける厚さB1を6.0mm−3.0mm=3.0mmとすることで、バフ掛け時に発生するバフかすの発生量を抑制することができ、厚さA1が1.1mmのときには、端部15aにおける厚さB1を1.1mm+3mm=4.1mmに設定することで、バフ掛け後の赤道部31の厚さA2を薄く設定しても、バフ掛け時に設定可能な曲率半径Rを複数の範囲から選択することが可能となる。
なお、端部15aにおける厚さB1の設定は、上記例に限定されず、厚さA1の上限値に対して±3mmの範囲から設定しても良い。また、バフ掛け前の赤道部31における厚さA1の下限値1.1mmに対しては、バフ掛け前の端部15aにおける厚さB1が少なくとも0mmよりも大きくなるように±3mmの範囲から設定すれば良い。好ましくは、バフ掛け前のベルト15の端部15aにおける厚さB1は、赤道部31の厚さA1の±10%、より好ましくは、赤道部31の厚さA1と同じ厚さに設定すると良い。
また、バフ掛け後のベルト15の端部15aにおける厚さは、1mm〜3mmとなるように設定される。バフ掛け後の端部15aにおける厚さを薄く設定しすぎるとベルトの露出につながり、厚く設定しすぎると台タイヤの重量が増加して転がり抵抗を悪化させてしまう虞があるため、上記範囲の1mm〜3mmの厚さが残るようにバフ掛けすると良い。つまり、バフ掛け後のベルト15の端部15aにおける厚さは、実質的に2mm前後で設定すると良い。
なお、バフ掛け後の赤道部31及び端部15aの上記範囲における厚さの設定によっては、端部15aを包囲するように設けられたベルト間クッションゴム層24の台トレッド20側にはみ出た領域が、台トレッド20とともにバフ掛けされる場合もある。
例えば、曲率半径Rが500mm〜2500mmの範囲から選択された1つの大きさからなる曲率半径Rの円弧によりバフ掛けする場合、円弧の頂部が赤道部31に位置するようにバフ掛けする。このように、バフ掛けすることにより、直線的な断面形状に比べてトレッドを貼付するときの貼付面積を大きくすることができる。また、台トレッド20の表面を上記形状とすることで、台トレッド20をバフ掛けするときのタイヤ半径方向へのバフ掛け量が少なくなるので、部分的に曲率半径を大きくするようなバフ掛けが不要となるとともに、バフ掛け時の総バフ量を少なくすることができる。つまりバフ掛けにともなう切削ゴミ(バフかす)の発生量を少なくするとともにバフ掛けに要する時間を短縮することができるので台タイヤ2の生産性を向上させることができる。
また、外周面2aをバフ掛けするときに、曲率半径Rが500mm〜2500mmの範囲から大きさの異なる曲率半径Rの複数の円弧を選択してバフ掛けする場合には、選択した円弧のうち、曲率半径Rの大きさが、最も大きい円弧を外周面2aの幅方向の中央部に、トレッド幅に対して50%〜70%の範囲で設定し、この大きい円弧の両端側に、上記最も大きい円弧よりも曲率半径の小さい円弧を漸次幅方向外側に接続するように設定される。なお、この場合においても、各選択された円弧の中心は、赤道面上に位置するように、異なる大きさの円弧を接続すれば良い。上記中央部に設定される円弧は、円弧の頂部が赤道部31に一致するように設定される。
外周面2aのバフ掛けにおいて、好ましくは、曲率半径が900mmを超える円弧となるように、中央部をバフ掛けすることで、接着層の形成(バフ掛け)やトレッドの配設における作業性等を向上させながら、バフ掛け時のバフ掛け量(切削量)を少なくして、台トレッド20とトレッドゴム3との接着面積が大きくなるように貼付面を成形することができる。
したがって、バフ掛け前の台トレッド20の赤道部31の厚さA1とベルト15の端部15aに対応する位置の厚さB1との変化を少なくすることにより、バフ掛け量を少なく設定できるので、バフ掛けに要する時間を短縮するとともにバフ掛け時のバフかすの発生量も少なくなり、バフ掛け時の生産性を向上させることができる。
図3に示すように、従来台タイヤには、タイヤサイズ11R22.5、赤道部31の台トレッド20の厚さA1を14mm、ベルト15の端部15aの厚さB1を14mm、ハンプ厚さC1を38.0mmとなるように加硫成型したものを用いた。また、本発明に係る発明台タイヤには、タイヤサイズ275/80R22.5、赤道部31の台トレッド20の厚さA1を6mm、ベルト15の端部15aにおける厚さB1を6mm、ハンプ厚さC1を28.0mmとなるように加硫成型したものを用いた。
従来台タイヤのベルト15の幅が185mm、発明台タイヤのベルト15の幅が190mmである。なお、従来台タイヤ及び発明台タイヤは、幅方向断面における外周面2aの表面形状がほぼ同じ曲率半径の円弧で成型されている。
従来台タイヤは、バフ掛け前の赤道部31における厚さA1及び端部15aにおける厚さが14mmと厚いため、バフ掛け時に許容される円弧の曲率半径Rの範囲を500mmからフラットまで幅広い条件を設定することができる。また、上記範囲の曲率半径Rでバフ掛けするときに設定可能な赤道部31のバフ掛け後の厚さA2は、1.6mm〜10mmの範囲で可能となる。
つまり、この従来台タイヤは、バフ掛け可能な円弧の曲率半径Rの範囲が500mm〜平坦状(flat)までと最も広い範囲で設定可能であり、さらに、バフ掛け後の台トレッド20の厚さA2を1.6mmから10.0mmまでの広範囲で設定できるものの、バフ掛け前の赤道部31における厚さA1及び端部15aにおける厚さB1が14mmと厚いため、台タイヤとしての加硫成型時の加硫時間が長くなってしまう。
バフ掛け後の台トレッド20の赤道部31における厚さA2を下限値の1mmにバフ掛けできる曲率半径Rは、曲率半径Rの上限値である2500mmであり、上限値の4.0mmにバフ掛けできる曲率半径Rは、曲率半径Rの下限値である500mmに設定したときである。
比較例3及び実施例6〜実施例8で示すように、バフ掛け後の厚さA2が厚くなるほど転がり抵抗性能が向上していることが分かる。これは、損失正接tanδの高いトレッドゴムに走行時の変形を負担させるよりも、トレッドゴムの損失正接tanδよりも損失正接tanδの低い台トレッド20に負担させる方が転がり抵抗性能が高くなることを示している。
一方で、実施例8,9及び比較例4,5で示すように、実施例8をピークとして台トレッド20の厚さA2が厚くなると、転がり抵抗性能が低下していくことが分かる。特に比較例4,5で示すような、厚さA2が4mm以上となる場合には、台トレッド20のゴム体積が大きくなり過ぎて走行時の発熱量も大きくなってしまい、転がり抵抗性能が低下したことを示している。
したがって、バフ掛け後の台トレッド20には、適度な厚さA2が要求されることがわかる。実施例6乃至実施例9で示すように、厚さA2を1mm〜3.5mmの範囲で設定すると良く、中でも厚さA2を3mm程度に設定すると最も優れた転がり抵抗性能を得ることができる。このように、バフ掛け後の厚さA2を1mm〜3.5mmに設定することで、従来よりもバフ掛け前の最外ゴム層の厚さA1が薄くなるため、台タイヤを加硫成型するときの加硫時間を短縮することができる。また、台タイヤの加硫成型後に、トレッドゴムを貼付するための貼付面をバフ掛けにより所定形状に成形するときの削除すべきバフ掛け量を低減することができるので、バフ掛けに要する時間を短縮することが可能となる。また、バフ掛け量を低減させたことにより、バフ掛け時に発生するバフかすの発生量を削減できるので、材料の無駄を抑制できる。
また、台タイヤとして製造された後の性能を左右する転がり抵抗性能、及び材料の無駄を抑制するためのゴムかすの発生量に着目すれば、実施例9で示す厚さA1及び厚さA2に設定すると良い。
したがって、バフ掛け前の赤道部の厚さA1を、バフ掛け後に得る厚さA2に対し、A2×150%以下に設定し、かつ、バフ掛け後の厚さA2を1mm〜3.5mmに設定することで、形状設定の自由度を維持しながら、転がり抵抗性能の向上、ゴムかすの発生量の抑制及び加硫時間の短縮が可能となることがわかった。
なお、実施例7及び実施例8の間の傾向については、図4(a)の実施例2を参照することで、転がり抵抗性能、バフかすの発生量、加硫時間及び形状設定の自由度について容易に予測することができる。
また、台タイヤ2において、ミニサイドゴム21を備えていなくても良いが、ミニサイドゴム21を設けることにより路面に対して最も近接するサイド領域T2の耐カット性を向上させることができる。
20 台トレッド、21 ミニサイドゴム、
23 ベルトアンダークッションゴム層、
24 ベルト間クッションゴム層、
A1;A2;B1;B2;C1 厚さ、R 曲率半径。
Claims (5)
- ベルト層と、当該ベルト層の上部に設けられたトレッド配設用の所定幅の最外ゴム層と、当該最外ゴム層の幅方向両側に位置する端部ゴム部材とを有する台タイヤの製造方法であって、
前記最外ゴム層の損失正接tanδを前記端部ゴム部材の損失正接tanδよりも低く設定するとともに、当該最外ゴム層のバフ掛け前の赤道部の厚さA1を、バフ掛け後に得られる厚さA2に対し、厚さA2×150%以下に設定し、かつ、バフ掛け後の厚さA2を1mm〜3.5mmに設定し、
前記最外ゴム層及び端部ゴム部材を金型により加硫成型することを特徴とする台タイヤの製造方法。 - 台タイヤにおける前記最外ゴム層の幅方向端部を、台タイヤの側面よりも内側に設定することを特徴とする請求項1記載の台タイヤの製造方法。
- バフ掛け後のタイヤ幅方向の断面視における前記最外ゴム層の表面形状が、少なくとも500mm〜2500mmの範囲の曲率半径の円弧を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の台タイヤの製造方法。
- 前記ベルト層のうち最も幅の広いベルトの端部側において、当該最も幅の広いベルトと前記最外ゴム層との間に、前記最外ゴム層の硬さよりも柔らかいゴムからなるクッションゴム層を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか記載の台タイヤの製造方法。
- 前記最外ゴム層のバフ掛け前の赤道部の厚さA1を、前記バフ掛け後の厚さA2の110%以上とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか記載の台タイヤの製造方法。
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