JP2009018553A - 空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】空気入りタイヤの保護層とベルト層とのタイヤ径方向における離間距離を均一とする。また、かかる空気入りタイヤ製造方法である。
【解決手段】一対のビードコア5に係留した、トロイド状のカーカス6と、かかるカーカスのクラウン部のタイヤ1径方向外側にあり、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層7と、ベルト層のタイヤ径方向外側にあるクッションゴム層8と、クッションゴム層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上の保護層9と、保護層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びる複数本のタイヤ周方向溝を有するトレッド部2とを具える空気入りタイヤである。また、少なくとも1つのタイヤ周方向溝のタイヤ径方向内側にて、保護層とクッションゴム層との間と、クッションゴム層とベルト層との間の少なくとも一方の間に、離間層11を有する。
【選択図】図3
【解決手段】一対のビードコア5に係留した、トロイド状のカーカス6と、かかるカーカスのクラウン部のタイヤ1径方向外側にあり、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層7と、ベルト層のタイヤ径方向外側にあるクッションゴム層8と、クッションゴム層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上の保護層9と、保護層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びる複数本のタイヤ周方向溝を有するトレッド部2とを具える空気入りタイヤである。また、少なくとも1つのタイヤ周方向溝のタイヤ径方向内側にて、保護層とクッションゴム層との間と、クッションゴム層とベルト層との間の少なくとも一方の間に、離間層11を有する。
【選択図】図3
Description
この発明は、一対のビードコアに係留したトロイド状のカーカスと、かかるカーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層と、ベルト層のタイヤ径方向外側にあるクッションゴム層と、クッションゴム層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上の保護層と、保護層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びる複数本のタイヤ周方向溝を有するトレッド部とを具える空気入りタイヤ、特には航空機用タイヤに代表される更生タイヤとして用いられるタイヤの製造方法に関するものであり、特には加硫成型時における保護層のタイヤ径方向内側への変形の発生の低減を図るものである。また、この発明は、かかる空気入りタイヤに関するものであり、特には保護層とベルト層とのタイヤ径方向における離間距離の均一化を図るものである。
トラック、バス等に使用される重荷重用タイヤや、プロペラ旅客機、ジェット旅客機等に使用される航空機用タイヤは、高内圧、高荷重条件にて使用されるため、接地面での圧力が高い。従って、路面に落ちている突起物等によりトレッド部にクラックが生じ易く、かかるクラックが大きい場合には、トレッド部のタイヤ径方向内側に配置されたベルト層までクラックが進展してベルト層まで損傷を受けることとなる。これら航空機用タイヤは、製造コストを抑えるために、通常、摩耗によって踏面部のトレッドの溝がなくなると、トレッド部を新しいものに貼り替えて、更生タイヤとして再利用される。また、重荷重用タイヤも同様の理由により、更生タイヤとしてしばしば再利用される。この際、前記したように、ベルト層にクラックが発生している状態では、台タイヤとして不適となるので、早期にトレッド部の貼り替えによるタイヤの更生ができなくなる。そのような傾向は、高内圧、高荷重条件にて使用され、接地面における圧力が極めて高い航空機用タイヤにおいて特に顕著である。
この問題を解決するため、特許文献1及び2では、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層と、かかるベルト層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上の保護層とを具える航空機用タイヤが提案されている。かかる構成のタイヤは、路面に落ちている突起物等によりトレッド部にクラックが発生しても、保護層までしかクラックが進展せずに、ベルト層が損傷を受け難くなっており、長期にわたり使用済みのタイヤを台タイヤとして活用することができる。
しかし、特許文献1に記載されているタイヤは、製造上、保護層を図1に示すような略円弧状とすることが困難であり、実際には、生タイヤを加硫成型して、トレッド部に周方向溝を成型することに伴い、図2に示すように、タイヤ周方向溝のタイヤ径方向内側にある保護層がタイヤ径方向内側に押圧されて変形してしまう。このように、保護層がタイヤ径方向内側に変形していることから、変形が生じている保護層部分とベルト層との離間距離が他の部分に比して小さい。使用済みのタイヤを更生するためには、ベルト層を残しつつ保護層までのトレッド部をバフ加工して取り除いて台タイヤを形成するが、前記のように保護層とベルト層の離間距離の小さい部分があると、これに合わせてバフ加工が行われることから、他の部分でベルト層が露出してしまい、台タイヤとしての使用を妨げる虞がある。また、保護層がベルト層に接近し過ぎると、タイヤ負荷転動時に、その接近し過ぎている部分が剪断変形して、そのことに起因してクラックが発生し、保護層及びベルト層が損傷する虞がある。このことは、台タイヤとしての使用を妨げることにもつながる。それらの対策として、保護層の変形が生じている部分とベルト層との間の離間距離を充分に確保することで、ベルト層の損傷を抑制し、台タイヤとしての使用も妨げないようにすることができるが、そうすると、タイヤの重量が大きくなり過ぎて、特に軽量化が求められている航空機用タイヤには不適となったり、また、重量の増加に伴い燃費が低下したりする虞がある。
したがって、この発明の目的は、保護層とベルト層とのタイヤ径方向における離間距離を均一とし、使用済みタイヤの更生を可能とする空気入りタイヤを提供することにある。また、この発明の目的は、そのような空気入りタイヤの製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、第一発明は、一対のビードコアに係留したトロイド状のカーカスと、カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層と、ベルト層のタイヤ径方向外側にあるクッションゴム層と、クッションゴム層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上の保護層と、保護層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びる複数本のタイヤ周方向溝を有するトレッド部とを具える空気入りタイヤの製造方法において、ドラム上にて膨らませた生ケース上に、ベルト層を構成するベルト層部材、クッション層を構成するクッションゴム層部材、保護層を構成する保護層部材及びトレッドゴムを順次積層して生タイヤを成形するに当たり、保護層部材の外面及びクッションゴム層部材の外面の少なくとも一方で、少なくとも一つのタイヤ周方向溝に対応する領域に離間層部材を配置し、保護層部材とベルト層部材とのドラム径方向における離間距離を増大させることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。このような製造方法を採用することにより、生タイヤにて、タイヤ周方向溝に対応する領域の保護層部材を予めタイヤ径方向外側に変形させ、その後、加硫成型によりタイヤ周方向溝を成形することで、タイヤ周方向溝に対応する領域の保護層部材をタイヤ径方向内側に押圧して、予めタイヤ径方向外側に変形している部分をタイヤ径方向内側に変形させて、製品タイヤとなったときの保護層のタイヤ径方向内側への変形を小さくした空気入りタイヤを製造することが可能となる。なお、ここでいう「タイヤ周方向溝に対応する領域」とは、製品タイヤとなったときにタイヤ周方向溝のタイヤ径方向内側となる領域をいうものとする。
また、離間層部材は、クッションゴム層部材を構成するゴムと同一の材質のゴムにより構成されることが好ましい。
更に、離間層部材の幅は、タイヤ周方向溝の溝幅の70〜150%の範囲内にあることが好ましい。なお、ここでいう「離間層部材の幅」とは、生ケース上に貼り付けられた離間層部材をドラム軸線方向に測定した距離をいうものとする。
更にまた、離間層部材の高さは、タイヤ周方向溝の深さの5〜30%の範囲内にあることが好ましい。なお、ここでいう「離間層部材の高さ」とは、生ケース上に貼り付けられた離間層部材をドラム径方向に測定した距離をいうものとする。
第二発明は、一対のビードコアに係留した、トロイド状のカーカスと、カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層と、ベルト層のタイヤ径方向外側にあるクッションゴム層と、クッションゴム層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上の保護層と、保護層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びる複数本のタイヤ周方向溝を有するトレッド部とを具える空気入りタイヤにおいて、少なくとも1つのタイヤ周方向溝のタイヤ径方向内側にて、保護層とクッションゴム層との間と、クッションゴム層とベルト層との間の少なくとも一方に離間層を有することを特徴とする空気入りタイヤである。このようなタイヤは、第一発明により製造することができる。かかる空気入りタイヤは、保護層のタイヤ径方向内側への変形が少なく、保護層とベルト層とが接近し過ぎていないことから、ベルト層を残しつつトレッド部を取り除き、バフ加工することで台タイヤとした際にも、ベルト層が露出することなく、台タイヤとして使用することが可能となる。また、タイヤ負荷転動時に、保護層が剪断変形しても、保護層とベルト層とが接近し過ぎていないことから、保護層とベルト層が接近し過ぎることに起因したクラックの発生を有効に抑制することが可能となる。更に、保護層のタイヤ径方向内側への変形が少なく、保護層とベルト層とが接近し過ぎていないことから、保護層の変形部分とベルト層との離間距離を考慮して、保護層の変形部分とベルト層との間の離間距離を大きくする必要が無くなり、その分だけタイヤの軽量化を図ることが可能となる。
また、離間層の幅は、タイヤ周方向溝の溝幅の70〜150%の範囲内にあることが好ましい。なお、ここでいう「離間層の幅」とは、タイヤ幅方向断面にて、離間層をタイヤ幅方向に測定した距離をいうものとする。
更にまた、離間層の高さは、タイヤ周方向溝の深さの5〜30%の範囲内にあることが好ましい。なお、ここでいう「離間層の高さ」とは、タイヤ幅方向断面にて、離間層をタイヤ径方向に測定した距離をいうものとする。
この発明によれば、保護層とベルト層とのタイヤ径方向における離間距離を均一とし、使用済みタイヤの更生を可能とする空気入りタイヤを提供することが可能となる。また、この発明により、そのような空気入りタイヤの製造方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図3は、この発明に従う代表的な空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という。)のタイヤ幅方向における断面を示している。
この発明のタイヤ1は、慣例に従い、路面に接地するトレッド部2と、このトレッド部2の両側部からタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3のタイヤ径方向内側に設けられ、リムに嵌合される一対のビード部4とで構成している。このタイヤ1の内部には、各ビード部4に埋設したビードコア5、5間にトロイド状に延びてタイヤ1の骨格構造をなす、例えばラジアル構造のカーカス6と、このカーカス6のクラウン域のタイヤ径方向外側に位置し、トレッド部2を補強するタイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなるベルト層7と、かかるベルト層7のタイヤ径方向外側に位置するクッションゴム層8と、かかるクッションゴム層8のタイヤ径方向外側に位置し、タイヤ周方向に延びるゴム被覆してなるコードからなる保護層9とが配設されている。また、この発明のタイヤ1は、図3に示すように、トレッド部2にタイヤ周方向溝10を4本具えており、そのタイヤ径方向内側にて、クッションゴム層8とベルト層7との間に離間層11を具え、ベルト層7と保護層9とを略均一に離間させている。
かかるタイヤ1を製造する場合には、成型ドラム12上に、インナーライナ13、ビードコア5、カーカス7、サイドウォール3等を構成するタイヤ構成部材を貼り付けて、図4(A)の斜視図及び図4(B)の断面図に示すような生ケース14を構成する。その生ケース14を、ブラダ等により膨らませることで、図5(A)に示す斜視図及び図5(B)に示すその断面図のような形状に膨らませた生ケース14を成形する。次いで、膨らませた生ケース14に、この例では、図6(A)に示す斜視図及び図6(B)に示すその断面図のように、ベルト層7を構成する2層のベルト層部材15、タイヤ周方向溝に対応する領域に離間層11を構成する離間層部材16、クッション層8を構成するクッションゴム層部材17、保護層9を構成する保護層部材18、及び、トレッドゴム19を順次積層して、生タイヤ20を成形する。このとき、タイヤ周方向溝10に対応する領域のタイヤ径方向内側にある保護層部材18のタイヤ径方向内側に、離間層部材16が配されており、離間層部材16が配されている領域近傍の保護層部材18がタイヤ径方向外側に予め変形している。そのことから、その後、加硫成型してタイヤ周方向溝10を成形すると、タイヤ周方向溝10に対応する領域にある保護層部材18がタイヤ径方向内側に押圧されても、保護層部材19の予めタイヤ径方向外側に変形している部分をタイヤ径方向内側に変形するので、保護層9のタイヤ径方向内側への変形を小さくした製品タイヤ1が得られる。なお、台タイヤとして活用する観点から、製品タイヤの保護層9が略円弧状となるように保護層部材19を変形させることが好ましい。
また、離間層部材16は、クッションゴム層部材17を構成するゴムと同一の材質のゴムにより構成されることが好ましい。なぜなら、離間層部材16に同一の材質のゴムを用いれば、加硫成型時に離間層部材16とクッションゴム層部材17とが堅固に熱溶着されるので、離間層部材16に異なる材質のゴムやその他材料を用いる場合よりも、離間層部材16とクッションゴム層部材17との接着性が向上するからである。
更に、離間層部材16の幅sは、タイヤ周方向溝10の溝幅gの70〜150%の範囲内にあることが好ましい。なぜなら、離間層部材16の幅sが、タイヤ周方向溝10の溝幅gの70%未満の場合には、保護層部材15の予めタイヤ径方向外側に変形している部分の幅が小さくなり過ぎるので、加硫成型時にブレード等によりタイヤ周方向溝10に対応する領域のトレッドゴム19がタイヤ径方向内側に押圧されて変形すると、離間層部材16を囲む保護層部材18の側方からゴムがタイヤ径方向内側に過剰に押し込まれることとなり、タイヤ周方向溝10に対応する領域の保護層部材18がタイヤ径方向内側に大きく変形してしまう可能性があるからである。一方、離間層部材16の幅sが、タイヤ周方向溝10の溝幅gの150%を超える場合には、保護層部材15の予めタイヤ径方向外側に変形している部分の幅が大きくなり過ぎるので、加硫成型時にブレード等によりタイヤ周方向溝10に対応する領域のトレッドゴム19がタイヤ径方向内側に押圧されて変形しても、予めタイヤ径方向外側に変形している部分がタイヤ径方向内側に充分に変形されずに、保護層部材15がタイヤ径方向外側に変形したままとなってしまう可能性がある。なお、離間層部材16の幅s及び離間層部材16の高さhは図7に示し、タイヤ周方向溝10の深さd及びタイヤ周方向溝10の幅gは図8に示す。
更にまた、離間層部材16の高さhは、タイヤ周方向溝10の深さdの5〜30%の範囲内にあることが好ましい。なぜなら、離間層部材16の高さhが、タイヤ周方向溝10の深さdの5%未満の場合には、加硫成型時にブレード等によりタイヤ周方向溝10に対応する領域のトレッドゴム19がタイヤ径方向内側に押圧されて変形すると、保護層部材15の予めタイヤ径方向外側に変形している部分の高さが不足していることから、保護層部材15が大きく変形してベルト層7と保護層9の離間距離の均一性を損なう可能性があるからである。一方、離間層部材16の高さhが、タイヤ周方向溝10の深さdの30%を超える場合には、保護層部材15の予めタイヤ径方向外側に変形している部分の高さが大きくなり過ぎるので、加硫成型時にブレード等によりタイヤ周方向溝10に対応する領域のトレッドゴム19がタイヤ径方向内側に押圧されて変形しても、予めタイヤ径方向外側に変形している部分がタイヤ径方向内側に充分に変形されずに、保護層部材15がタイヤ径方向外側に変形したままとなってしまう可能性がある。
なお、加硫成型時における保護層が変形する形状や量は、タイヤ周方向溝10の深さd及びタイヤ周方向溝10の幅gのみによって決まるわけではなく、タイヤ周方向溝10のタイヤ径方向外側端21における曲率半径や、タイヤ周方向溝10の側壁22の傾斜角度の影響を受けるものであり、それらのことを考慮した上で離間層部材16の寸法や材質を決定することが好ましい。例えば、タイヤ周方向溝10のタイヤ径方向外側端21における曲率半径を小さくし、溝底の幅と溝の開口部にあたるタイヤ周方向溝10の幅dが略同一となるようなタイヤ周方向溝10を形成する場合よりも、タイヤ周方向溝10のタイヤ径方向外側端21における曲率半径を大きくし、溝底の幅よりもタイヤ周方向溝10の幅dが大きくなるようなタイヤ周方向溝10を形成する場合の方が、加硫成型によりモールド内のブレードにより押し込まれるトレッドゴムのゴム量が大きくなる。そのゴム量が大きくなった分だけタイヤ周方向溝10に対応する領域の保護層9がタイヤ径方向内側に変形することとなるので、そのことを考慮して離間層部材16の寸法や材料を決定しなければならない。
このようにして製造されたタイヤ1は、上述したように、保護層9とベルト層7とが略均一に離間している。かかるタイヤ1は、保護層9のタイヤ径方向内側への変形が少なく、保護層9とベルト層7とが接近し過ぎていないことから、ベルト層7を残しつつトレッド部2を取り除き、バフ加工することで台タイヤとした際にも、ベルト層7が露出することなく、充分に台タイヤとして使用することが可能となる。また、タイヤ負荷転動時に、保護層9が剪断変形しても、保護層9とベルト層7とが接近し過ぎずに充分に離間していることから、保護層9とベルト層7とが接近し過ぎることに起因したクラックの発生を有効に抑制することが可能となる。更に、保護層9の変形を大幅に低減するので、保護層9の変形部分とベルト層7との離間距離を考慮して、保護層9の変形部分とベルト層7との間の離間距離を大きくする必要が無くなり、その分だけタイヤ1の軽量化を図ることが可能となる。また、ここでいう空気は、窒素ガス等の不活性ガスに置換することも可能である。
更に、離間層11の幅は、タイヤ周方向溝10の溝幅gの70〜150%の範囲内にあることが好ましい。なぜなら、離間層11の幅がかかる範囲内に無い場合には、前記したように、タイヤ製造時に保護層9の変形を充分に低減できない可能性があるからである。
更にまた、離間層11の高さは、タイヤ周方向溝の深さdの5〜30%の範囲内にあることが好ましい。なぜなら、離間層11の幅がかかる範囲内に無い場合には、前記したように、タイヤ製造時に保護層9の変形を充分に低減できない可能性があるからである。
加えて、離間層11は、不織布、樹脂、ゴム等により構成することができ、接着性の観点から、特にクッションゴム層8を構成するゴムと同一の材質のゴムにより構成することが好ましい。
なお、上述したところはこの発明の実施形態の一部を示したに過ぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を交互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。また、図示していないが、保護層9は、タイヤ周方向に直線状、波状、ジグザグ状等に延びるコードにより構成することができる。
次に、航空機用タイヤであり、従来技術の製造方法により製造され、離間層を具えない従来例のタイヤ(従来例タイヤ1〜2)、及び、この発明に従う製造方法により製造され、離間層を具える実施例のタイヤ(実施例タイヤ1〜2)を、夫々試作し、保護層の変形を評価したので、以下に説明する。従来例タイヤ1及び実施例タイヤ1は、タイヤサイズが42/17.0R18であり、タイヤ周方向溝を6本具える。従来例タイヤ1及び実施例タイヤ1のタイヤ周方向溝は、タイヤ赤道面からタイヤ幅方向外側に向かって順番に第一溝、第二溝、ショルダー溝とする。また、従来例タイヤ2及び従来例タイヤ2は、タイヤサイズが1400/530R23であり、タイヤ周方向溝を4本具える。従来例タイヤ2及び従来例タイヤ2のタイヤ周方向溝は、タイヤ赤道面からタイヤ幅方向外側に向かって順番に第一溝、ショルダー溝とする。
従来例タイヤ1〜2は、タイヤを製造するに当たり、成型ドラム上にて、膨らませた生ケースに、ベルト層部材、クッションゴム層部材、保護層部材、及び、トレッドゴムを順次積層して、加硫成型したタイヤである。また、実施例タイヤ1〜2は、成型ドラム上にて、膨らませた生ケースに、ベルト層部材、タイヤ周方向溝に対応する領域に離間層部材、クッションゴム層部材、保護層部材、及び、トレッドゴムを順次積層して、加硫成型したタイヤである。なお、実施例タイヤ1〜2におけるクッションゴム層部材と離間層部材は、同一の材質のゴムにより構成されている。また、従来例タイヤ1〜2、及び、実施例タイヤ1〜2は、夫々表1に示す諸元を有する。
上記タイヤは、図8に示すような、保護層の変形の幅w及び変形の量aを測定することにより評価した。なお、ここでいう変形の幅wとは、保護層に発生している変形のタイヤ幅方向距離をいうものとし、変形の量aとは、タイヤ幅方向断面にて、図1に示すような円弧状となるような保護層の理想的な形状に比べ、図2に示すようにタイヤ径方向内側に変形している保護層がタイヤ径方向内側に変形しているタイヤ径方向最大長さをいうものとする。その評価結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、この発明の実施例タイヤ1〜2は、その夫々に対応する従来例タイヤ1〜2と比較して、変形の幅w及び変形の量aが共に小さくなっており、特には変形の量aが、従来例タイヤ1〜2に比べ、実施例タイヤ1〜2は共に大幅に小さくなっている。また、実施例タイヤ1及び2の保護層は略円弧状となっており、保護層とベルト層とが略均一に離間している。
以上のことから明らかなように、この発明により、保護層とベルト層とのタイヤ径方向における離間距離を均一とし、使用済みタイヤの更生を可能とする空気入りタイヤを提供することが可能となる。また、この発明により、そのような空気入りタイヤの製造方法を提供することが可能となる。
1 タイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
8 クッションゴム層
9 保護層
10 タイヤ周方向溝
11 離間層
12 成型ドラム
13 インナーライナ
14 生ケース
15 ベルト層部材
16 離間層部材
17 クッションゴム層部材
18 保護層部材
19 トレッドゴム
20 生タイヤ
21 タイヤ周方向溝のタイヤ径方向外側端
22 タイヤ周方向溝の側壁
CL タイヤ赤道面
s 離間層の幅
h 離間層の高さ
g タイヤ周方向溝の溝幅
d タイヤ周方向溝の深さ
a 保護層の変形の量
w 保護層の変形の幅
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
8 クッションゴム層
9 保護層
10 タイヤ周方向溝
11 離間層
12 成型ドラム
13 インナーライナ
14 生ケース
15 ベルト層部材
16 離間層部材
17 クッションゴム層部材
18 保護層部材
19 トレッドゴム
20 生タイヤ
21 タイヤ周方向溝のタイヤ径方向外側端
22 タイヤ周方向溝の側壁
CL タイヤ赤道面
s 離間層の幅
h 離間層の高さ
g タイヤ周方向溝の溝幅
d タイヤ周方向溝の深さ
a 保護層の変形の量
w 保護層の変形の幅
Claims (7)
- 一対のビードコアに係留したトロイド状のカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層と、該ベルト層のタイヤ径方向外側にあるクッションゴム層と、該クッションゴム層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上の保護層と、該保護層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びる複数本のタイヤ周方向溝を有するトレッド部とを具える空気入りタイヤの製造方法において、
ドラム上にて膨らませた生ケース上に、前記ベルト層を構成するベルト層部材、前記クッション層を構成するクッションゴム層部材、前記保護層を構成する保護層部材及びトレッドゴムを順次積層して生タイヤを成形するに当たり、該保護層部材の外面及び該クッションゴム層部材の外面の少なくとも一方で、少なくとも一つの前記タイヤ周方向溝に対応する領域に離間層部材を配置し、該保護層部材と該ベルト層部材とのドラム径方向における離間距離を増大させることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。 - 前記離間層部材は、前記クッションゴム層部材を構成するゴムと同一の材質のゴムにより構成される、請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記離間層部材の幅は、前記タイヤ周方向溝の溝幅の70〜150%の範囲内にある、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記離間層部材の高さは、前記タイヤ周方向溝の深さの5〜30%の範囲内にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 一対のビードコアに係留した、トロイド状のカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるゴム被覆したコードからなる二層以上のベルト層と、該ベルト層のタイヤ径方向外側にあるクッションゴム層と、該クッションゴム層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びるゴム被覆したコードからなる一層以上の保護層と、該保護層のタイヤ径方向外側にあり、タイヤ周方向に延びる複数本のタイヤ周方向溝を有するトレッド部とを具える空気入りタイヤにおいて、
少なくとも1つの前記タイヤ周方向溝のタイヤ径方向内側にて、前記保護層と前記クッションゴム層との間と、該クッションゴム層と前記ベルト層との間の少なくとも一方に、離間層を有することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記離間層の幅は、前記タイヤ周方向溝の溝幅の70〜150%の範囲内にある、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
- 前記離間層の高さは、前記タイヤ周方向溝の深さの5〜30%の範囲内にある、請求項5又は6に記載の空気入りタイヤ。
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JP2007184942A JP2009018553A (ja) | 2007-07-13 | 2007-07-13 | 空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤ |
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JP2007184942A JP2009018553A (ja) | 2007-07-13 | 2007-07-13 | 空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018024109A (ja) * | 2016-08-08 | 2018-02-15 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤの製造方法 |
KR102060517B1 (ko) * | 2014-05-27 | 2019-12-30 | 피렐리 타이어 소시에떼 퍼 아찌오니 | 타이어 건조방법 및 장치 |
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2007
- 2007-07-13 JP JP2007184942A patent/JP2009018553A/ja not_active Withdrawn
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