JP5999981B2 - 保存安定性に優れたステイン形成阻害用液体口腔用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、スルホコハク酸系界面活性剤を含有するステイン形成阻害用液体口腔用組成物について、−5℃のような低温下、好ましくは、55℃の高温環境下に曝されても保存安定性(pHの大きな低下が見られず、良好な外観透明性を有すること)に優れ、市場における長期保存安定性を保証可能な技術を提供することにある。
歯牙への色素沈着物であるステインは、クロルヘキシジンなどの殺菌剤、茶などに含まれるタンニン系物質、鉄などの金属など、様々な原因物質によって起ると考えられており、審美上の観点から、ステインの除去が強く望まれている。このような事情に鑑み、本願出願人は、特許文献1に、特定のスルホコハク酸系界面活性剤を含有するステイン形成阻害用液体口腔用組成物を開示している。スルホコハク酸系界面活性剤は、一般に皮膚に対する刺激性が少なく、生体への安全性に優れているが、特許文献1に記載の所定のスルホコハク酸系界面活性剤を使用すれば、歯牙を損傷することがなく、様々な原因物質によるステイン形成を効果的に阻害し、審美的に優れた歯牙を維持できるといった効果が得られる。
一方、液体製剤には、保存安定性(例えば、低温などの過酷な環境下に長期間放置しても白濁や分離が起らず、透明であること)が要求される。特にスルホコハク酸系界面活性剤は、低温で析出する恐れがあることから、スルホコハク酸系界面活性剤を含有する液体組成物において、低温での析出を防止する技術が種々提案されている。
例えば特許文献2〜6は、ステイン形成阻害用組成物に関する技術ではないが、スルホコハク酸系界面活性剤の低温安定性を改善する方法が提案されている。例えば、スルホコハク酸系界面活性剤の対イオンにマグネシウムイオンを使用する方法(特許文献2、3)、特定のリン酸エステル系界面活性剤と組み合わせて使用する方法(特許文献4)、特定の脂肪アルコールポリグリコールエーテルと組み合わせて使用する方法(特許文献5)が挙げられる。これらの特許文献2〜4では、0℃もしくは5℃の恒温室中で3日〜1ヶ月間保存したときの液の状態を目視観察し、結晶の析出や白濁の有無により低温保存安定性を評価し、特許文献5では、2℃で10分保持したときの安定性を評価している。
特開平10−17443号公報 特開平01−259098号公報 特開平08−209197号公報 特開平06−200290号公報 特表平08−502540号公報
前述したように、上記特許文献1に記載の特定のスルホコハク酸系界面活性剤は、歯牙を損傷することなく、様々な原因物質によるステイン形成を効果的に阻害できるため、ステイン形成阻害用液体口腔用組成物として、極めて有用である。また、上記組成物は、0℃〜55℃での保存安定性にも優れている。
しかしながら、日本のように広く南北に跨る国土を有し、温度差が非常に大きい国を市場とする場合、流通環境や使用環境を考慮した場合、上述した温度域(約0℃〜40℃)のみならず、−5℃のような低温環境下や55℃のような高温下に曝されても、液体組成物の白濁や分離が生じない技術を提供できれば、市場における長期保存安定性をより一層保証することが可能であると判断できるため、極めて有用である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、特許文献1に記載の、特定のスルホコハク酸系界面活性剤を含むステイン形成阻害用液体口腔用組成物において、−5℃のような低温下、および55℃の高温環境下に曝されても保存安定性に優れ、市場における長期保存安定性を保証可能な技術を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明に係る保存安定性に優れたステイン形成阻害用液体口腔用組成物は、エチレンオキシドの平均付加モル数が0〜7であるスルホコハク酸系活性剤を0.01〜0.5質量%およびアルキル硫酸ナトリウムを0.1〜0.5質量を含有するステイン形成阻害用液体口腔用組成物であって、25℃でのpHが6.5以上、10.5以下であるところに要旨を有するものである。
すなわち、本発明は、以下の発明を開示するものである。
項1.エチレンオキシドの平均付加モル数が0から7である炭素数8〜18の飽和または不飽和のアルキル基を有するスルホコハク酸系界面活性剤から選択される少なくとも1種以上を0.01〜0.5質量%、およびアルキル硫酸ナトリウムを0.1〜0.5質量%含有するステイン形成阻害用液体口腔用組成物であって、25℃でのpHが6.5以上かつ10.5以下であることを特徴とする保存安定性に優れたステイン形成阻害用液体口腔用組成物。
項2.前記スルホコハク酸系界面活性剤のエチレンオキシドの平均付加モル数が0〜3である項1に記載の液体口腔用組成物。
項3.アルキル硫酸ナトリウムがラウリル硫酸ナトリウムである項1または項2の何れかに記載の液体口腔用組成物。
本発明によれば、ステイン形成阻害剤として有用な特定のスルホコハク酸系界面活性剤を含む液体口腔用組成物のpHを適切に調整しているため、市場における長期保存安定性を保証可能な技術を提供することができた。本発明によれば、−5℃〜55℃の環境下に曝されても優れた保存安定性を維持できるため、極めて有用である。
本発明の特徴部分は、上記特許文献1に記載されたステイン形成阻害用液体口腔用組成物のpH(調製直後の、25℃でのpH)を6.5以上の範囲に制御すれば、−5℃〜55℃の環境下での保存安定性も高められることを見出した点にある。
本発明において「保存安定性」の評価は、低温(−5℃)の市場に曝される場合があることを考慮し、後記する実施例に記載の方法で行なった。具体的には、−5℃に1週間保管したときの組成物の外観性状を目視で観察したとき、無色透明なもの(白濁や分離が生じない)を低温保存安定性に優れると評価した。
更には、本発明において「保存安定性」の評価は、40℃を超えるような高温状態で長期に保存される場合があることを考慮し、後記する実施例に記載の方法で行なった。具体的には、55℃に1ヶ月間保管したときの組成物のpHが6.3以下でなく、かつ室温(25℃)にしたときに白濁や分離が発生せず、外観性状に優れているものを高温での保存安定性に優れると評価した。
本発明によれば、−5℃の低温域から、55℃の高温域までの、幅広い温度範囲に亘って、良好な保存安定性を維持できるステイン形成用液体製剤を提供できた点で、極めて有用である。すなわち、これまでにも、例えば上記特許文献2〜5のように、スルホコハク酸系界面活性剤を含む液体製剤の低温保存安定性を高めた技術は種々提案されているが、その適応温度域は限られていた。しかしながら、日本のように様々な温度域で流通、使用される場合があることを考慮すると、より広範囲の温度域に亘って優れた保存安定性を維持することにより、市場における長期長期保存安定性をより高い水準で保証可能な技術として、極めて有用である。
以下、本発明の技術的意義について、後記する表1の結果に基づき、本発明に到達した経緯を説明しつつ、詳しく説明する。
本発明者は、上記特許文献1に記載されたステイン形成阻害用液体口腔用組成物をベースとして研究を進めていく過程で、上記特定のスルホコハク酸系界面活性剤を含む液体製剤は、同一組成物であっても、pHによって、−5℃の低温域で白濁や分離が生じることを知見した。
すなわち、後記する表1の液体組成物は、スルホコハク酸系界面活性剤を用いたものであり、このうち実施例1、4、5、6は、当該界面活性剤の種類が異なること以外は、同じ組成から構成されている。また、実施例2、3は、pHが異なる以外は、同じ組成から構成されている。表1では、pH調整剤により、調製直後の組成物のpH(25℃、表1では初期pHと記載)を変化させているが、pHの影響によって、同一組成物であっても、低温および高温での保存安定性が変化することが分かる。
例えば、スルホコハク酸系界面活性剤の種類が同じで同一の成分組成からなる実施例2と比較例1、実施例4と比較例2を対比すると明らかなように、上記実施例のようにpHを6.5以上に調整したものは、低温での外観性状に優れているのに対し、上記比較例のようにpHが6.3以下になると、低温での外観性状に劣り、白濁や分離が生じた。上記実施例と同じ傾向は、スルホコハク酸系界面活性剤の種類が異なる実施例6についても見られ、これらのpHは、いずれも6.5以上で、低温での外観性状に優れていることが分かる。
このように、組成が同一であり、しかも、スルホコハク酸系界面活性剤を含む組成物において析出物が生じない安定な領域であると考えられていた25℃における組成物(原液)のpH領域のなかでも、pHが6.3以下になると、低温での保存安定性が低下するとの上記知見は、従来の認識とは異なって、予想外のものであった。
それにもかかわらず、−5℃で1週間保管したときの低温保存安定性はpHによって大きく変化し、スルホコハク酸系界面活性剤の種類が同じであっても、pH=6.3を境にして、低温保存安定性が良好なもの(pH6.5以上)と、不良なもの(pH6.3以下)とが見られたことは、意外なものであった。
また、高温保存安定性について検討すると、組成物調製直後のpH(初期pH)が、6.5以上の組成物は、55℃で1ヶ月間保管後のpHも6.4以上と、長期間に亘って良好なpHを維持できることも判明した。特に初期pHが6.8以上の場合は55℃1ヶ月の放置後のpHが6.5以上となりより好ましいことも判明した。
このように本発明は、所定のスルホコハク酸系界面活性剤を含む液体組成物のpHを6.5以上に制御することにより、低温保存安定性、更には高温保存安定性を向上させた点に技術的意義を有している。
以下、本発明の組成物について、詳しく説明する。
本発明のステイン形成阻害用液体口腔用組成物は、エチレンオキシドの平均付加モル数が0〜7であるスルホコハク酸系活性剤を0.01〜0.5質量%およびアルキル硫酸ナトリウムを0.1〜0.5質量を含有する。
本願で用いるスルホコハク酸系界面活性剤としては、炭素数8〜18の飽和/不飽和のアルキル基、エチレンオキサイドの平均付加モル数が0〜7であるモノアルキルスルホコハク酸/ポリオキシエチレンモノアルキルスルホコハク酸およびその塩から選択されるスルホコハク酸系界面活性剤が挙げられる。このうち、炭素数が12〜16個のアルキル基で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が0〜3であるスルホコハク酸系界面活性剤が好ましい。
具体的には、スルホコハク酸モノラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(3)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノラウリルスルホコハク酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレン(5)ラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレン(5)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウムが挙げられ、このうち、スルホコハク酸モノラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウムが好ましく、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウムが最も好ましい。これらは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。特にマグネシウム塩はナトリウム塩と併用することが好ましい。ヤシ油脂肪酸のアルキル基分布は、炭素数が8〜18のものを使用できるが、10〜18がより好ましく、10〜16が最も好ましい。なお、上記のポリオキシエチレンの後の括弧書きの数字は、エチレンオキシドの付加モル数の平均値を意味する。エチレンオキシド付加モル数が7より大きい場合、界面活性能が低下したり、エチレンオキシド鎖が経時で切断される可能性が高まることから好ましくない。これらスルホコハク酸系界面活性剤の配合量としては、組成物全量に対して、0.01〜0.5質量%であるが、このうち、0.05〜0.3質量%が好ましく、0.1〜0.3質量%がより好ましく、0.1〜0.2質量%が最も好ましい。0.5質量%を超えると使用時に口腔粘膜への刺激性が高くなるため好ましくなく、0.01質量%に満たない場合には所期の効果が期待できなくなるため好ましくない。
本願で用いるアルキル硫酸ナトリウムとしては、炭素数8〜18の飽和/不飽和のアルキル基であるアルキル硫酸ナトリウムが挙げられる。このうち、アルキル基の炭素数分布が10〜18が好ましく、10〜16がより好ましく、10〜12がさらに好ましく、12が最も好ましい。
本発明の組成物は、pHが6.5以上、10.5以下に制御されているところに特徴がある。pHが6.3未満では、所望とする保存安定性効果が有効に発揮されない。なお、保存安定性効果の観点からのみすると、pHは高い方が良く、pHが高い程、長期間pHを6.4以上に保つことができる。しかしながら、pHが10.5を超えると、使用時に口腔粘膜への刺激性が高くなるため、その上限を10.5とする。好ましいpHは、6.8〜9.0であり、より好ましくは7.3〜8.5であり、更に好ましくは7.3〜8.0である。
なお、本発明において組成物のpHとは、組成物を25℃に恒温化した状態で測定したときのpH測定値を意味する。後記する実施例の表では、55℃で1ヶ月間保管した後に25℃に恒温化して測定したpHと区別するため、25℃に恒温化した状態のpHを「初期pH」と表記している。
本発明で規定する上記pHの範囲に調整するため、必要に応じて、pH調整剤を用いる。本発明に用いられるpH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルクロン酸、フマル酸、グルタミン酸、アジピン酸、およびこれらの塩や、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのうち、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、およびこれらの塩や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの使用が好ましく、クエン酸、リン酸、およびこれらの塩の使用がより好ましい。これらのpH調整剤は、単独で、または2種以上を組み合せて用いることができる。
本発明の液体口腔用組成物は、液体歯磨剤、洗口剤、液剤、低粘度ジェル剤、スプレー剤、等の形態(剤形)として用いることができる。このなかでも、洗口剤、液体歯磨剤、スプレー剤、液剤などの液体または液状の形態がより好ましく、液体歯磨剤、洗口剤が最も好ましい。
本発明の液体口腔用組成物は、上記スルホコハク酸系界面活性剤とアルキル硫酸ナトリウムを含み、必要に応じてpHを調整するためのpH調整剤を含むものであるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、液体口腔用組成物に通常配合し得る添加成分を更に含有することができる。
例えば、本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有しても良い。上記界面活性剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましい。上記界面活性剤として、ノニオン界面活性剤、上述したスルホコハク酸系界面活性剤およびアルキル硫酸ナトリウム以外のアニオン界面活性剤、および両性イオン界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、本発明に用いられるノニオン界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜16であり、且つ、アルキル基の炭素数が10〜18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、またはエチレンオキシドの平均付加モル数が9であり、且つ、アルキル基の炭素数が10〜18であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、セバシン酸ジエチル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。これらのノニオン界面活性剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、N−ラウロイルサルコシンナトリウムやN−ラウロイルメチルアラニンナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−アスパラギン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム等のN−アシルアミノ酸塩、ココイルメチルタウリン等のN−アシルタウリン塩、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のアルキルエーテルカルボン酸塩が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられる両性イオン界面活性剤として、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤、N−ココイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤等が挙げられる。これらの両性イオン界面活性剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物は、更に粘結剤を含有しても良い。上記粘結剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.1〜5質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる粘結剤として、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、キサンタンガム、ジェランガムなどの微生物産生高分子、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン、デキストリンなどの天然高分子または天然ゴム類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子、増粘性シリカ、ビーガムなどの無機粘結剤、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性粘結剤が挙げられる。これらの粘結剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物は、更に甘味剤を含有しても良い。上記甘味剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.001〜10質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる甘味剤として、例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが挙げられる。これらの甘味剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物は、更に湿潤剤を含有しても良い。上記湿潤剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる湿潤剤として、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオ−ル、ソルビット、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらの湿潤剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物は、更に保存剤を含有しても良い。上記保存剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる保存剤として、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチルなどのp−ヒドロキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩、フェノキシエタノールなどのフェノール類などが挙げられる。これらの保存剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物は、更に薬効成分を含有しても良い。但し、スルホコハク酸系界面活性剤と沈殿を生じ易い塩化セチルピリジニウムなどは、使用しないことが推奨される。上記薬効成分の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.001〜1質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明に用いられる薬効成分として、例えば、殺菌剤として、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウムなどのカチオン性殺菌剤;ドデシルジアミノエチルグリシンなどの両性殺菌剤、トリクロサン(2’,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル)などのハロゲン化ジフェニルエーテルやイソプロピルメチルフェノールなどのフェノール系殺菌剤、ヒノキチオール;血行促進剤として酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素;抗炎症剤としてグリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウムなどのグリチルリチン酸塩;抗プラスミン剤としてトラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸など;出血改善剤としてアスコルビン酸など;組織修復剤としてアラントインなど;再石灰化剤としてフッ化ナトリウムなどのフッ素化合物;その他、水溶性溶媒で抽出された植物抽出物、クロロフィル、塩化ナトリウム、塩化亜鉛などが挙げられる。これらの薬効成分は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物は、更に香料を含有することができる。上記香料の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる香料として、例えば、メントール、メントン、イソメントン、乳酸メンチル、酢酸テルピニル、チモール、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、カルボン、サリチル酸メチル、バニリン、ベンジルサクシネート、メチルオイゲノール、アネトール、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、シネオール、エチルリナロール、ワニリン、タイム、ナツメグ、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、グレープフルーツ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、ティーツリー油、タバナ油、スターアニス油、コリアンダー油、ハッカ油、フェンネル油、珪藻油、バジル油などが挙げられる。これらの香料は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。以下では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
実施例1
本実施例では、スルホコハク酸系界面活性剤およびアルキル硫酸ナトリウムを含有する組成物における初期pHと保存安定性との関係を調べるため、表1に記載の種々の液体口腔用組成物を調製した。上記組成物は、以下のようにして調製した。
60%分の精製水中にサッカリンナトリウム、安息香酸ナトリウム、ポリエチレングリコール400、濃グリセリン、およびpH調整剤であるクエン酸ナトリウム及び無水クエン酸を添加して撹拌し、混合した溶液中に、エタノール、香料、およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の混合溶液を添加した後、撹拌し、混合した。次に、この混合液中に、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸系界面活性剤を更に添加した後、残りの精製水を添加し、合計を100%とした。
なお、表1の界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンの後の括弧書きの数値は、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数を意味し、アルキルの後の括弧書きの数値は、アルキル基の炭素数を意味する。
このようにして得られた各組成物について、下記の方法で、低温保存安定性、および高温保存安定性を評価すると共に、pHを測定した。
(1)低温保存安定性の評価方法
上記組成物(約80mL)を透明なPET容器に充填し、−5℃に1週間保管した後、液温が−5℃における外観性状を目視により調べ、下記判断基準に従って評価した。
○:無色透明(低温保存安定性に優れる)
×:白濁または分離を認める(低温保存安定性に劣る)
(2)高温保存安定性の評価方法
上記組成物(約80mL)を透明なPET容器に充填し、55℃に1ヶ月間保管した後、液温が55℃及び25℃における外観性状を目視により調べ、下記判断基準に従って評価した。
○:25℃及び55℃における外観が無色透明(高温保存安定性に優れる)
×:25℃または55℃の少なくともいずれかにおいて白濁または分離を認める(高温保存安定性に劣る)
(3)pHの測定方法
上記組成物のpH(原液まま測定したときのpH)は、複合型ガラス電極pHメーターを用いて測定した。具体的には、調製後や各温度に放置した組成物を恒温槽中で25℃に恒温化した後にpH値を測定する。pH値の測定は、組成物中に直接pHメーター電極を浸漬し、2分経過時のpH指示値を読み取ることで行った。製造直後の組成物のpH値を初期pHとし、上記組成物を透明なPET容器に充填し、55℃に1ヶ月間保管した後のpH値を、55℃1ヵ月後のpHとした。
これらの結果を表1に併記する。表1には総合評価の欄を設け、下記基準に基づいて判定したとき、総合評価が◎または○のものを合格とした。
(総合評価)
◎:低温保存安定性が○で、且つ、高温保存安定性が○で、且つ、55℃に1ヶ月間保管後のpHが6.5以上のもの
○:低温保存安定性が○で、且つ、高温保存安定性が○で、且つ、55℃に1ヶ月間保管後のpHが6.4以上で、且つ6.5未満のもの
×:低温保存安定性、または、高温保存安定性が×のもの
特に◎は、低温保存安定性に優れると共に、高温保存安定性にも優れる(高温環境下でも長期間、pHを6.5以上に保つことができる)ものである。
Figure 0005999981
表1に示したとおり、スルホコハク酸系界面活性剤とアルキル硫酸ナトリウムを配合し、初期pHが6.5〜7.3であるものは優れた低温安定性を有することが判った。
処方例1:洗口剤

成分 配合量
ポリオキシエチレン(7)アルキル(12〜14)
スルホコハク酸2ナトリウム 0.2
ヤシ油脂肪酸(10〜18)硫酸ナトリウム 0.2
濃グリセリン 10.0
エタノール 7.0
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.4
香料 0.3
サッカリンナトリウム 0.01
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.001
精製水 残 部
合計 100.0
初期pH 7.1
処方例2 洗口剤

成分 配合量
ポリオキシエチレン(2)アルキル(12〜14)
スルホコハク酸2ナトリウム 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2
グリセリン 9.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
香料 0.1
ステビア 0.01
マルチトール 2.0
トラネキサム酸 0.05
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.002
精製水 残 部
合計 100.0
初期pH6.8
処方例6 洗口剤

成分 配合量
ポリオキシエチレン(5)ラウリルスルホコハク酸
2ナトリウム 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 0.3
グリセリン 15.0
ポリエチレングリコール400 6.0
エタノール 7.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
香料 0.3
サッカリンナトリウム 0.01
安息香酸ナトリウム 0.2
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.001
精製水 残 部
合計 100.0
初期pH6.5
処方例3 液体歯磨剤

成分 配合量
ポリオキシエチレン(1)アルキル(12〜14)
スルホコハク酸2ナトリウム 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2
グリセリン 10.0
エタノール 7.0
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.4
香料 0.3
サッカリンナトリウム 0.01
リン酸1水素ナトリウム 0.2
リン酸2水素ナトリウム 0.05
精製水 残 部
合計 100.0
初期pH7.2
処方例4 液状歯磨剤

成分 配合量
ポリオキシエチレン(5)アルキル(12〜14)
スルホコハク酸2ナトリウム 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 0.4
グリセリン 20.0
プロピレングリコール 3.0
カルボキシメチルセルロース 1.0
香料 0.3
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
フッ化ナトリウム 0.2
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.001
精製水 残 部
合計 100.0
初期pH6.7
処方例5 マウススプレー剤

成分 配合量
ポリオキシエチレン(7)アルキル(12〜14)
スルホコハク酸2ナトリウム 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1
エタノール 35.0
グリセリン 10.0
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 1.0
香料 1.0
l−メントール 0.5
サッカリンナトリウム 0.1
クエン酸ナトリウム 0.2
クエン酸 0.02
精製水 残 部
合計 100.0
初期pH6.9

Claims (3)

  1. 下記の(A)、(B)および(C)を含有し、(A)の含有量が0.01〜0.5質量%、(C)の含有量が0.1〜0.5質量%の範囲にあり、かつ組成物の25℃でのpHが6.8以上かつ7.3以下である、保存安定性に優れたステイン形成阻害用液体口腔用組成物。
    (A)スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)アルキル(12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、およびポリオキシエチレン(7)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上
    (B)クエン酸およびクエン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上
    (C)アルキル硫酸ナトリウム
  2. さらに安息香酸ナトリウムを含む請求項1に記載の液体口腔用組成物。
  3. アルキル硫酸ナトリウムがラウリル硫酸ナトリウムである請求項1または2の何れかに1項に記載の液体口腔用組成物。
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