JP2012012303A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化セチルピリジニウムの有する不快な味を解消した口腔用組成物の提供。
【解決手段】塩化セチルピリジニウムにスクラロースを0.005〜0.05質量%配合した場合、塩化セチルピリジニウムが有する苦味、刺激といった不快な味を解消した口腔用組成物を得ることが出来る。さらに、マルチトールやキシリトールをスクラロースに対して特定量配合することにより更に優れた効果を得ることが出来る。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩化セチルピリジニウムの不快な味を解消した、使用感に優れた口腔用組成物に関する。より詳細には、塩化セチルピリジニウムおよびスクラロースを含有する口腔用組成物に関する。
従来より、塩化セチルピリジニウムのような第4級アンモニウム塩型殺菌剤は、歯周疾患の予防および治療に有効なことが知られており、幅広く使用されている。これら第4級アンモニウム塩型殺菌剤を配合した口腔用組成物は、殺菌剤に由来する苦味が知覚され、かつ殺菌剤の殺菌作用の強さと苦味の強さは正の相関が見られることから、配合に際しては製剤上の工夫が必要であった。この課題点に対して、従前より甘味剤や香料などの化合物を併せて配合するなどの種々の検討が重ねられている。例えば甘味剤については、口腔用組成物で一般的に用いられるサッカリンやステビアなどを配合し苦味を低減する方法(特許文献1)、香味のバランスを調整して苦味や辛味を助長しやすい香料成分を減量し、苦味の低減に有用な成分を増量する方法(特許文献2)、トレハロース、エリスリトール、パラチニットまたはマルチトールなどの糖アルコールを配合することで苦味を低減する方法(特許文献3)、香料関連化合物や糖アルコール、多価アルコールなどを配合することで苦味を低減する方法(特許文献4)、塩化ナトリウム(特許文献5)、塩化マグネシウム(特許文献6)、水溶性のカルシウム塩(特許文献7)などの塩類を配合することで苦味を低減する方法が提案されている。
しかしながら、これら併用する化合物は、それ自身が異味を有する場合や、配合することで香味バランスが崩れたり、ベタツキなどが生じる場合があり、効果を奏する十分な量を配合できなかったり、配合した場合には新たな使用感の課題点が生じたりするため、未だ十分に満足できる解決策は見い出されていない。
特開平5−000931号公報 特開2006−306768号公報 特開2003−128540号公報 特開2010−043031号公報 特開平9−95429号公報 特開平9−95457号公報 特開2005−104911号公報
本発明は、塩化セチルピリジニウムの有する不快な味を解消した口腔用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、塩化セチルピリジニウムにスクラロース0.005〜0.05質量%を配合した場合、塩化セチルピリジニウムが有する苦味、刺激といった不快な味を解消し、さらにマルチトールやキシリトールを特定量配合するとさらに優れた使用感を有する口腔用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、特に以下の項1〜3の口腔用組成物を提供するものである。
項1.
スクラロース0.005〜0.05質量%と塩化セチルピリジニウムを配合することを特徴とする口腔用組成物。
項2.
塩化セチルピリジニウムに対してスクラロースを0.02〜5質量部配合することを特徴とする項1に記載の口腔用組成物。
項3.
さらに、キシリトールおよびマルチトールから選ばれる1種以上を、スクラロースの配合量に対して200〜1000質量部配合することを特徴とする項1または項2の何れか1項に記載の口腔用組成物。
本発明の口腔用組成物は、不快な味を解消することにより、口腔用組成物の嗜好性を高め、継続的な使用を容易にすることや、口腔用組成物を口腔内に長くとどめることが容易になり、塩化セチルピリジニウムの効果を十分に引き出すことが可能となる。
本発明に用いる塩化セチルピリジニウムは、第四級アンモニウム化合物に含まれるカチオン性殺菌剤であり、口腔用組成物分野において広く使用されているものである。かかる塩化セチルピリジニウムは、本発明の口腔用組成物の全量に対して0.01〜0.5質量%を配合することができ、0.01〜0.3質量%が好ましく、0.05〜0.1質量%が更に好ましく、0.05質量%が最も好ましい。0.5質量%を超えると味覚障害や歯面の着色を引き起こす可能性が高くなるため好ましくなく、0.01質量%に満たない場合には塩化セチルピリジニウムの効果が得られないため好ましくない。
本発明に用いるスクラロースは、トリクロロガラクトスクロースのことを指し、スクロースの水酸基3箇所が塩素に置き換わったスクロース誘導体である。砂糖に近い甘みを呈する高度甘味料として、食品分野において使用されている。かかるスクラロースは、本発明の口腔用組成物の全量に対して0.005〜0.05質量%配合する事ができ、0.005〜0.01質量%配合することが好ましい。0.05質量%を超えると甘みが強すぎて香味のバランスを崩してしまうため好ましくなく、0.005質量%に満たない場合には効果が得られないため好ましくない。さらに、スクラロースは塩化セチルピリジニウムの配合量に対して、0.02〜5質量部配合する事が好ましく、0.05〜0.5質量部配合する事が最も好ましい。
本発明に用いるマルチトールおよびキシリトールは、何れか一方を単独で使用しても併用してもよい。スクラロースの配合量に対して、200〜1000質量部配合するとスクラロースの効果を更に高めることができる。配合量は特に限定するものではないが、両者を併せた配合量が10質量%を超えると糖アルコール特有の異味を呈する恐れがあるため、10質量%以内の配合量とすることが好ましい。
本発明の口腔用組成物は、特に限定するものではないが、歯磨剤、液体歯磨剤、洗口剤、マウススプレイ、ジェル剤、口腔乾燥防止剤、塗布剤、パスタ剤等として用いることができる。このなかでも、塩化セチルピリジニウムの異味を強く感じさせる液体、液状およびジェル状の剤形、例えば液体歯磨剤、洗口剤、マウススプレイ、ジェル剤、口腔乾燥防止剤が好ましく、その中でも液状や液体の液体歯磨剤、洗口剤、マウススプレイが最も好ましい。
本発明の口腔用組成物は、塩化セチルピリジニウム及びスクラロースの他に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、通常、口腔用組成物に配合し得る成分をさらに配合してもよい。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することができる。具体的には、ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン付加係数が4〜15、アルキル基の炭素数が10〜18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル系またはポリオキシエチレン付加係数が10〜18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、セバシン酸ジエチル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンラノリン、ポリエチレンステロール、ポリエチレンラノリンアルコール、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤、N−ココイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤、N−ラウリルジアミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
香味剤としては、例えばメントール、カルボン酸、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネール、α−テルピネオール、メチルアセテート、シトロネニルアセタート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油などの香料を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、キサンタンガム、ジェランガムなどの微生物産生高分子、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン、デキストリンなどの天然高分子または天然ゴム類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性増粘剤が挙げられる。これら増粘剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
甘味剤としては、例えばサッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが挙げられる。これら甘味剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
湿潤剤としては、例えばグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
保存剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベンなどのパラベン類、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩などが挙げられる。これらの保存剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
またpH調整剤としては、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルクロン酸、フマル酸、グルタミン酸、アジピン酸、およびこれらの塩や、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの成分は単独または2種以上を組合せて本発明の口腔用組成物に含ませることができる。なお、本発明の口腔用組成物のpHは、口腔内で使用可能な範囲であれば特に制限されないが、通常、pH3.0〜10.5、好ましくはpH5.5〜8.0である。最も好ましくは6.0〜7.0である。
薬効成分としては、殺菌剤として塩化セチルピリジニウム以外にも例えば塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン性殺菌剤;ドデシルジアミノエチルグリシンなどの両性殺菌剤;イソプロピルメチルフェノール、トリクロサンなどの非イオン殺菌剤;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素;抗炎症剤としてグリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウムなどのグリチルリチン酸塩;血行促進剤としてニコチン酸または酢酸トコフェロールなど;抗プラスミン剤としてトラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸など;出血改善剤としてアスコルビン酸など;組織修復剤としてアラントインなど;再石灰化剤としてフッ化ナトリウムなどのフッ素化合物;その他、水溶性溶媒で抽出された植物抽出物、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド、塩化亜鉛、ヒノキチオールなどが挙げられ、これらを単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
塩化セチルピリジニウムの不快味のマスキング評価方法1
表1に示す処方に従って洗口液(実施例及び比較例)を調製し、味覚テストを行った。味覚テストは、13名の専門パネラーを用い、被検体約10mLを口に含んで約20秒間口腔内を十分にいきわたらせた後に吐き出し、直後の苦味について下記の7段階の絶対評価で行なった。各々の評価結果に下記係数を乗じることにより13名の評価結果の合計値を算出した。結果を表1に示す。

評価段階と係数
非常に強く感じる −8
強く感じる −4
やや強く感じる −1
どちらともいえない 0
やや弱く感じる 1
弱く感じる 4
非常に弱く感じる 8
Figure 2012012303
塩化セチルピリジニウムの不快味のマスキング評価方法2
表2に示す処方に従って洗口液(実施例及び比較例)を調製し、味覚テストを行った。味覚テストは、5名の専門パネラーを用い、被検体約10mLを口に含んで約20秒間口腔内を十分にいきわたらせた後に吐き出し、直後の「苦味」および「えぐ味」について下記の5段階の絶対評価で行なった。各々の評価結果に下記係数を乗じることにより得られる5名の評価結果の合計値を算出したのち、2つの評価の合計値(評価合計点)を算出した。結果を表2に示す。

評価段階と係数
強く感じる −4
やや強く感じる −1
どちらともいえない 0
やや弱く感じる 1
弱く感じる 4
Figure 2012012303
表1または2に示したとおり、塩化セチルピリジニウムにスクラロースを0.005〜0.05質量%配合することで、使用直後の苦味を低減させる効果が顕著であることがわかった。また、キシリトールやマルチトールをスクラロースに対して200〜1000質量部配合すると、使用直後の「苦味」や「えぐ味」をさらに低減させることがわかった。その効果は、スクラロースに対して500〜1000質量部配合した場合に顕著であった。
処方例1
常法に従って、液体歯磨剤を調製した。
成 分 配 合 量
塩化セチルピリジニウム 0.3
スクラロース 0.015
キシリトール 7.0
グリセリン 10.0
エタノール 10.0
ポリオキシエチレン
(60EO)硬化ヒマシ油 0.4
トラネキサム酸 0.05
クエン酸 0.01
クエン酸3ナトリウム 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
香料 0.2
精製水 残 部
合 計 100.0
処方例2
常法に従って、ペースト状の歯磨剤を調製した。
成 分 配 合 量
塩化セチルピリジニウム 0.05
スクラロース 0.05
グリセリン 20.0
リン酸水素カルシウム 30.0
ヒドロキシエチルセルロース 2.0
フッ化ナトリウム 0.2
ポリオキシエチレン
(40EO)硬化ヒマシ油 0.5
酸化チタン 0.5
メチルパラベン 0.5
酢酸トコフェロール 0.02
クエン酸 0.01
クエン酸3ナトリウム 0.1
香料 1.0
精製水 残 部
合 計 100.0
処方例3
常法に従って、ジェル剤を調製した。
成 分 配 合 量
塩化セチルピリジニウム 0.1
スクラロース 0.02
グリセリン 10.0
プロピレングリコール 10.0
ヒドロキシエチルセルロース 1.0
ポリオキシエチレン
(60EO)硬化ヒマシ油 0.4
クエン酸 0.01
クエン酸3ナトリウム 0.1
香料 0.1
メチルパラベン 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0
処方例4
常法に従って、洗口剤を調製した。
成 分 配 合 量
塩化セチルピリジニウム 0.01
スクラロース 0.005
グリセリン 6.0
1,3−プロパンジオール 3.0
モノラウリン酸ショ糖脂肪酸エステル
0.3
イソプロピルメチルフェノール 0.05
クエン酸 0.01
クエン酸3ナトリウム 0.1
安息香酸ナトリウム 0.2
香料 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0
処方例5
常法に従って、マウススプレイを調製した。
成 分 配 合 量
塩化セチルピリジニウム 0.01
スクラロース 0.01
マルチトール 2.0
エタノール 10.0
グリセリン 6.0
ポリオキシエチレン
(60EO)硬化ヒマシ油 2.0
クエン酸 0.1
クエン酸3ナトリウム 0.2
l−メントール 0.3
香料 0.8
精製水 残 部
合 計 100.0
処方例6
常法に従って、液状の口腔乾燥防止剤を調製した。
成 分 配 合 量
塩化セチルピリジニウム 0.02
スクラロース 0.03
グリセリン 5.0
ヒアルロン酸 2.0
ポリオキシエチレン
(60EO)硬化ヒマシ油 0.1
クエン酸 0.02
クエン酸3ナトリウム 0.1
香料 0.8
精製水 残 部
合 計 100.0

Claims (3)

  1. スクラロース0.005〜0.05質量%と塩化セチルピリジニウムを配合
    することを特徴とする口腔用組成物。
  2. 塩化セチルピリジニウムに対してスクラロースを0.02〜5質量部配合することを特徴とする請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. さらに、キシリトールおよびマルチトールから選ばれる1種以上を、スクラロースの配合量に対して200〜1000質量部配合することを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載の口腔用組成物。
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