JP5988233B1 - ポリ塩化ビフェニル汚染変圧器の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリ塩化ビフェニルで汚染された変圧器を、少量の洗浄剤を用いて効率的に洗浄すること。【解決手段】 ポリ塩化ビフェニルで汚染された変圧器の洗浄方法であって、以下の工程:該変圧器の内側に洗浄剤を供給し、該変圧器内部を大気圧より低い圧力とし、該変圧器を加熱して変圧器の内側を該洗浄剤の沸点以上にまで昇温して、該洗浄剤を該変圧器の内側で気化させることを含む、該変圧器の洗浄方法を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、変圧器内に残留する油を洗浄剤により洗浄する方法に関する。
環境汚染が深刻な問題となっている現在は、産業廃棄物をそのまま廃棄することが困難である。特に有害物質を含有する産業廃棄物は、洗浄等による有害物質の除去作業を行う必要がある。例えば、ポリ塩化ビフェニルは、電気絶縁性が良好で、有機溶媒や油によく溶解するため、電気機器類の変圧器(トランス)、コンデンサの絶縁油、接着剤、ワックス、潤滑油等に広く使用されてきた。しかし、ポリ塩化ビフェニルは、発癌性や皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常等、生体に対する毒性が高く、また、脂肪組織に蓄積しやすい性質があり、現在は製造が禁止されている。このため、ポリ塩化ビフェニルの使用が認められていた時期に生産され、使用されていた電気機器等の廃棄物は、洗浄によるポリ塩化ビフェニルの除去が必要となる。ところが、ポリ塩化ビフェニルが絶縁油として使用されてきた電気機器である変圧器は、その内部に使用する絶縁油の量が多く、また内部構造が複雑であるため、洗浄作業が難しく、洗浄が行われないまま保管されている変圧器が大量に存在することが知られている。
従来、電気機器に残留するポリ塩化ビフェニル含有絶縁油の洗浄は、電気機器を洗浄槽に入れ、洗浄用の溶剤に浸漬して洗い流す方法により行われてきた。例えば、特許文献1では、密閉可能な洗浄容器にPCBで汚染された処理対象物を入れ、洗浄容器内部を真空にして炭化水素系の液体洗浄剤を入れて超音波洗浄または揺動洗浄する第1処理と、洗浄容器内の洗浄剤を抜く第2処理とを繰り返す真空洗浄処理方法が提案されている。
特開2003−145069号
従来の一般的な洗浄作業では、変圧器を、洗浄槽または洗浄容器内に搬入する必要があった。特に大型変圧器の洗浄に必要な洗浄槽は巨大なものとなりうるが、洗浄槽が大きくなると、そこで使用される溶剤が大量に必要になり、処理しなければならない廃液量も多くなるという問題があった。一方、大型の変圧器を洗浄する際には、変圧器を解体する必要がある。しかしながら、ポリ塩化ビフェニルで汚染された大型変圧器は、保管場所において解体するのが困難である。更に、変圧器のように容器状になったものは、容器内を充分に洗浄できなかったり、多量の積層物が配置されている変圧器はその内部構造の複雑さ故、解体作業が困難で、洗浄した後に洗浄むらが見られたりするという問題もあった。
本発明は、変圧器内の汚染油を、極力廃液や排気を出さない方法で、可能な限り少量の洗浄剤で確実に除去して、変圧器を廃棄可能な状態とする洗浄方法を提供する。
本発明の一の形態は、ポリ塩化ビフェニルで汚染された変圧器を直接洗浄する方法にかかる。本実施形態の変圧器の洗浄方法は、密閉した変圧器の内側に洗浄剤を供給し、変圧器内部を大気圧より低い圧力とし、該変圧器を加熱して変圧器の内側を洗浄剤の沸点以上にまで昇温し、洗浄剤を変圧器の内側で気化させることを特徴とする、変圧器の洗浄方法である。
本実施形態の洗浄方法は、変圧器の内側のみに洗浄剤を供給し、内側で洗浄剤を気化させるので、洗浄剤を気化させるための気化装置や洗浄槽等の大型の装置が不要である。本実施形態の洗浄方法では、変圧器内部で気化した洗浄剤が、積層物の間隙などの部分で凝縮および突沸を繰り返しながら入れ替わる性質を利用しており、複雑な構造を有する部分を漏れなく洗浄することができる。本実施形態の洗浄方法は、広大な場所を必要とせず、かつ洗浄剤使用量の少ない、ほぼ閉鎖系の、効率的な洗浄をもたらすことができる。
実施形態にかかる洗浄方法を説明する模式図である。
実施形態にかかる洗浄方法の洗浄対象物である変圧器とは、交流電力の電圧を変換する電力機器のことであり、磁気的に結合した複数のコイルを主な構成部品とする。変圧器は、絶縁物の種類により油入変圧器、モールド変圧器、ガス変圧器があるが、本明細書では、特に、油を絶縁物として用いた油入変圧器のことを指す。油入変圧器は、油の容量が数万〜数十万kLの大型機器、数百から数千kLの中型機器、数百リットル以下の小型機器がある。油入変圧器の絶縁油中にはかつてポリ塩化ビフェニルが使用されており、ポリ塩化ビフェニルが内部に残留している変圧器が処理されることなく大量に存在している。このように廃棄処理が困難なために残存している変圧器を本形態の洗浄対象とする。
本実施形態で除去の対象となるポリ塩化ビフェニル(以下、「PCB」と称する。)とは、分子内に存在する塩素の数および位置が異なる209種類の異性体の総称のことであり、特定の一種類の化合物を指すものではない。
本実施形態の洗浄方法は、変圧器内の油を洗浄剤で洗い流すことを基本とする。多数の鉄板が積層された構造を有する鉄心がその内部に配置されている変圧器は、積層された鉄板と鉄板との間にも油が残留しており、この残留油を完全に洗浄することが非常に難しいことが知られている。まず、変圧器の内側に洗浄剤を供給し、変圧器を加熱して内側に供給された洗浄剤を気化させることにより、変圧器の内側に存在する油を洗浄剤に溶解させる。ここで気化とは、一般的には液体が気体に変化する現象をいい、液体表面からの蒸発と、液体内部からの沸騰を含む概念である。液体である洗浄剤を変圧器の内側に供給し、次いで加熱すると、まず洗浄剤表面から蒸発が起こる。変圧器の内側の温度が上昇してやがて洗浄剤の沸点に達すると、洗浄剤内部から沸騰が起こり、洗浄剤は完全に気化した状態となる。気化した洗浄剤は変圧器内部の空間に拡散して、変圧器の内側に配置されている構成部品に接触する。
ここで気化洗浄剤が変圧器の内側に残留している油を溶解していく仕組みを説明する。変圧器内部に配置された巻線のように、多数の板状のものが積層された構造を有する物体をそのままの形で洗浄することは非常に難しい。しかしながら松本らによるQuasi two-dimensional boiling under reduced pressure (Proceedings of the First Pacific Thermal Engineering Conference, PRTEC, March 13-17, 2016)によれば、減圧下、気化状態の溶剤が積層物の間隙部に入り込み、ここで凝縮と突沸とを繰り返しながら間隙部の溶剤が入れ替わる現象が見られる。密閉状態の容器内部の圧力を調整しつつ、気化状態の溶剤を積層物に接触させれば、積層物の間隙部分に気化状態の洗浄剤が入り込んでその部分に存在する油を溶解し、凝縮と突沸とを繰り返しながら新しい洗浄剤と入れ替わっていくと推察される。本実施形態は、この見地に着目し、PCBで汚染された変圧器内部に気化洗浄剤を接触させて、積層物の間隙部分までも洗浄する方法である。ここで本実施形態では、洗浄剤を気化させるための特別な装置を必要とせず、加熱装置を利用して変圧器内部の洗浄剤を直接気化させる。したがって本実施形態の実施には広大なスペースを必要としないばかりか、洗浄対象である変圧器自体を移動させる必要もない。
続いて図1を用いて本実施形態の洗浄方法を説明する。図1は本実施形態の洗浄方法を模式的に説明する図である。図中1は変圧器、2は洗浄剤容器、3は加熱装置、そして4は洗浄剤回収容器である。変圧器1は、いわゆる油入変圧器と呼ばれるタイプのものであり、絶縁物として油を使用する変圧器である。変圧器1は、主に鉄心11、巻線12、絶縁材料13(すなわち油)、タップ切替装置14、および絶縁油室15とから構成されており、紙、木材、陶磁器等で作られたその他の変圧器構成部品については図示していない。変圧器1には、油の容量が数万〜数十万kLの大型機器、数百から数千kLの中型機器、数百リットル以下の小型機器がある。本実施形態の洗浄方法はいずれの容量の変圧器に対しても適用可能である。
PCBを含有する油で汚染された変圧器1の内側に、洗浄剤容器2から洗浄剤を供給する。洗浄剤として、変圧器1内の油を溶解させることができかつ当該油よりも沸点が低い液体が好ましい。このような洗浄剤として、炭化水素系溶剤あるいはハロゲン系溶剤等を用いることができる。たとえば、炭素数が8〜15のアルカン、アルケン、シクロアルカン又はアルケン系溶剤(特に、炭素数が11〜13のアルカンやアルケン系溶剤)や、炭素数が1〜12のハロゲン系溶剤を用いることができる。具体的には、変圧器1の内側に残留しているPCB含有油を溶解しやすい炭化水素系溶剤である、アクアソルベントG71(アクア化学株式会社)、HC−370(東ソー株式会社)、MD−250(武蔵テクノケミカル株式会社)、Linpar12(Sasol Limited)、MACSOL−P(NSI株式会社)等のドデカンを主成分とする市販の溶剤を用いることができる。この他、場合により水、水系溶剤、アルコール等を用いることも可能である。
洗浄剤を導入し減圧装置(真空ポンプ81)を作動させて、変圧器1内部を大気圧より低い圧力に減圧する。減圧装置を作動させたままの状態で変圧器1の底部および/または周囲部分に取り付けられた加熱装置3により変圧器1の絶縁油室15を加熱する。加熱装置3は、変圧器1の少なくとも一部を加熱することが可能な加熱器具であれば如何なるものを用いても良い。加熱装置として、たとえばリボンヒータ、スチームヒータ、オイルバス、電気ヒータ、電磁加熱器等のように、直接的あるいは間接的に絶縁油室15を加熱する手段を挙げることができる。加熱装置3を用いて絶縁油室15を加熱すると変圧器1の内側の温度が上昇し、変圧器1の内側で洗浄剤の気化が開始する。気化した洗浄剤は変圧器1の内側に拡散する。加熱装置3による加熱は、洗浄剤が気化(蒸発)する温度にまで行えばよい。しかし好ましくは洗浄剤が沸騰する温度、すなわち洗浄剤の沸点以上となるように変圧器1の内側を加熱する。拡散した気化洗浄剤が変圧器1の内壁や変圧器1の構成部品の表面に接触して凝縮し、洗浄剤と親和性の高い変圧器1の内側に残留している油が、凝縮した洗浄剤に溶解する。先に説明したように、変圧器1の内側には、鉄心11、巻線12、タップ切替装置14等の各種構成部品が配置されていて、構造が非常に複雑であるが、気化洗浄剤はこれらの構成部品同士の隙間にまで均一に拡散する。気化洗浄剤が変圧器1内側および構成部品に触れると、気化洗浄剤が凝縮し、当該部分の油を溶解する。気化洗浄剤による油の溶解が生じた部分は凝縮熱によって加熱される。これにより、変圧器1内において気化洗浄剤と接触した部分とそうでない部分とで温度分布が生じる。すると、未だ洗浄が行われていないかあるいは洗浄が不十分である温度の低い部分では、供給された気化洗浄剤が凝縮し易くなる。このように変圧器1内を均一に洗浄することができる。こうして変圧器1の内側に供給された洗浄剤は、変圧器1内部に残留していた油を溶解していく。
ここで変圧器の内側に供給する洗浄剤の量は、洗浄対象である変圧器の容量により変わりうる。たとえば、変圧器の容量の20%以下、特に10%以下の洗浄剤を供給すれば、変圧器の内側に存在する油を漏れなく凝縮ならびに溶解させることができる。場合によっては変圧器の容量の5%以下の洗浄剤を供給するだけで変圧器の内側の油を洗浄することも可能である。また加熱装置による加熱は、変圧器内が、供給した洗浄剤が気化する温度に達する程度に行えばよく、好ましくは洗浄剤の沸点に達する程度に行えばよい。変圧器内の圧力にもよるが、変圧器内の圧力を大気圧より低い圧力に維持して洗浄を行う場合は、一般的には変圧器内が50℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃の範囲の温度になるように加熱すると良い。
このように減圧装置を設ければ、洗浄剤を比較的低温で気化させることができる。系内を外部より低圧にするので洗浄剤が外部に漏洩することがなく、洗浄剤への引火を防止することができる。減圧装置としては、変圧器1内を減圧できるものであればどのようなものでも良いが、例えば、変圧器1、または洗浄剤流路のいずれかに減圧用流路を介して接続される真空ポンプを用いれば良い。図1では真空ポンプ81を設けた態様を示している。たとえば、洗浄剤としてドデカンを用いた場合、減圧装置を用いて系の圧力を約0〜70kPaとすることで、変圧器内の温度を200℃程度とすれば洗浄剤を気化させることができる。また、洗浄剤流路および減圧用流路には当該流路を開閉するための開閉弁(図中101、102、103、104、105)が設けられており、開閉弁を開閉することにより、変圧器1内の圧力を調節したり、洗浄剤の導入ならびに排出を行ったりすることができる。
図示しないが、変圧器1内の圧力を検出する圧力検出手段を設けても良い。これにより、変圧器1の内部が減圧されているか否かを予め確認することができる。また、圧力検出手段が検出した情報に基づいて開閉弁を制御し、変圧器1内の圧力を調節するようにしても良い。また、図示しないが、窒素や希ガス等の不活性ガスを供給できる不活性ガス供給用タンクと当該ガス供給用タンクと変圧器1とを接続する不活性ガス供給流路と、不活性ガス供給流路を開閉するための不活性ガス用開閉弁とを設けても良い。これにより、圧力検出手段が異常な圧力を検知した際に、加熱装置3による加熱を停止し、変圧器1内に不活性ガスを供給することができる。すなわち緊急時には変圧器1内に不活性ガスを供給することで、加熱状態の系を安全な状態に移行させることができる。
気化させた洗浄剤を還流させることによる変圧器1の洗浄は、閉鎖系もしくは準閉鎖系にて所定の時間行うことができる。洗浄操作の終了後、加熱手段3による加熱を停止し、変圧器1を冷却する。図1には変圧器1の冷却手段を図示していないが、変圧器1に冷却手段を設ければ、加熱した変圧器1を速やかに冷却することができる。変圧器1内部の温度が低下すると、気化洗浄剤が液化して変圧器1底部に溜まる。変圧器1底部に溜まった洗浄剤を洗浄剤回収容器4に排出させてこれを回収する。こうしてPCBで汚染された油を変圧器1内部から除去することができる。回収された汚染洗浄剤は、国の無害化処理認定を受けた処理施設において、たとえば焼却する等して廃棄することができる。
上述の変圧器1の洗浄は、必要に応じて複数回行うことができる。洗浄操作の後、さらに好ましくは洗浄剤の回収操作の後、変圧器1を解体して構成部品ごとに分けることができる。たとえば図1の変圧器1を構成部品ごとに分けると、おおまかには鉄心11、巻線12、タップ切替装置14ならびにタンク15に分けることができる。鉄心11は、複数のケイ素鋼帯が積層された巻鉄心や、複数のケイ素鋼帯が接合された積鉄心があり、それぞれのケイ素鋼帯に解体することが好ましい。また巻線12は、銅線、ホルマール平角銅線、紙巻平角銅線、電着塗装平角銅線、転位導体、および銅条等が使用されており、たとえば紙巻平角銅線が巻線12として使用されている場合は平角銅線部と巻紙部とにさらに解体することが好ましく、転位導体が使用されている場合は平角銅線と外装絶縁体とにさらに解体することが好ましい。同様にタップ切替装置14はタップ板、およびタップ切換器等の構成部品の最小単位になるように解体する。このように変圧器1を解体して構成部品ごとに分けるとは、構成部品を形成する最小単位の部品または可能な限り最小単位の部品となるまで解体することを意味する。本明細書において構成部品という語は、変圧器の構成部品をさらに解体して得た最小単位の部品の意味をも包含するものとする。
このように洗浄済み変圧器の解体で得られた構成部品の少なくとも一部について、PCBの残量を測定する検査を遂行することができる。検査は、洗浄済み変圧器の解体で得られた構成部品のうち少なくとも一部について行えばいいが、特に構成部品のうちPCBが残存しやすく、かつ洗浄剤と接触しにくい鉄心や巻線について検査を行うことが好ましい。構成部品におけるPCBの残量は、たとえば「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に定められた方法で測定することができる。構成部品にPCBの残存が検出されなかった場合は、解体で得られた構成部品をそのまま廃棄することができる。
逆に、検査により構成部品の一部にPCBが検出された場合は、構成部品に洗浄剤を噴射して、構成部品を再洗浄することが好ましい。構成部品の一部にPCBが検出された場合、検出された構成部品のみに洗浄剤を噴射することができ、解体で得られた構成部品のすべてに洗浄剤を噴射して再洗浄を行うこともできる。再洗浄工程で噴射する洗浄剤は、洗浄で使用することができる炭化水素系溶剤、ハロゲン系溶剤等である。たとえば、炭素数が8〜15のアルカン、アルケン、シクロアルカン又はアルケン系溶剤(特に、炭素数が11〜13のアルカンやアルケン系溶剤)や、炭素数が1〜12のハロゲン系溶剤を用いることができる。具体的には、炭化水素系溶剤であるアクアソルベントG71(アクア化学株式会社)、HC−370(東ソー株式会社)、MD−250(武蔵テクノケミカル株式会社)、Linpar12(Sasol Limited)、MACSOL−P(NSI株式会社)等のドデカンを主成分とする市販の溶剤を用いることができる。この他、場合により水、水系溶剤、アルコール等を用いることも可能である。洗浄工程で使用した洗浄剤と同じ洗浄剤を再洗浄工程においても使用することが特に好ましい。再洗浄工程の後、再洗浄した構成部品についてPCB再が検出されるかどうか再度検査することができる。このように検査工程と再洗浄工程とを必要に応じて数回繰り返し、PCBを完全に洗い流した構成部品を得ることができる。PCBを完全に洗い流した各構成部品は、廃棄物として処理することができる。
次に図1を用いて、実施形態の洗浄方法の具体的な実施態様を説明する。PCBで内部が汚染された変圧器1に図1に示すように冷却器(51、52)およびチラー(61、62)、デミスタ7、真空ポンプ81、ドレンセパレータ82、洗浄剤容器2、洗浄剤回収容器4、活性炭塔9をそれぞれ接続する。開閉弁101、102および103を開け、開閉弁104および105を閉じて真空ポンプ81を作動させて変圧器1内部を減圧する。この状態で開閉弁102を閉じ開閉弁104を開けると洗浄剤容器2に貯蔵されている洗浄剤が変圧器1内部に導入される。開閉弁101および103が開いた状態、102、104および105が閉じた状態で加熱装置3を作動させる。このとき真空ポンプ81も作動させている。変圧器内部1に導入された洗浄剤が蒸発し始め、やがて変圧器1の内側の温度が洗浄剤の沸点以上に達すると、気化洗浄剤が変圧器1内部に拡散する。変圧器1には冷却器51が接続されていて、変圧器1の外部に排出された気化洗浄剤は冷却器51で液体に戻り、変圧器1内部に還流する。このまま加熱と減圧を続けることで気化洗浄剤が変圧器1の内部の構成部品間にまで行き渡り、凝縮および突沸を繰り返しながら入れ替わり、PCB汚染油を溶解していく。こうして所定時間気化洗浄剤を還流させながら変圧器1の内部を洗浄した後、加熱装置3と真空ポンプ81との作動を停止し、変圧器1を冷却する。気化洗浄剤が液化して変圧器1の底部に落下して溜まる。変圧器1の内部の温度が低下し気化洗浄剤が完全に液化したところで開閉弁104を開けて変圧器1の底部に溜まった汚染洗浄剤を変圧器1の外部に排出し洗浄剤回収容器4に回収する。このとき図示していない不活性ガス供給タンクから不活性ガスを変圧器1の内部にフラッシュして、洗浄剤を押し出すこともできる。こうした洗浄操作を必要に応じて複数回繰り返して変圧器1の内部のPCB汚染油を完全に洗浄剤回収容器4に移行する。
1 変圧器
11 鉄心
12 巻線
13 絶縁材料
14 タップ切替装置
15 絶縁油室
2 洗浄剤容器
3 加熱装置
4 洗浄剤回収容器
51、52 冷却器
61、62 チラー
7 デミスタ
81 真空ポンプ
82 ドレンセパレータ
9 活性炭塔
101、102、103、104、105 開閉弁

Claims (4)

  1. ポリ塩化ビフェニルで汚染された変圧器の洗浄方法であって、以下の工程:
    該変圧器の内側に洗浄剤を供給し、
    該変圧器内部を大気圧より低い圧力とし、該変圧器を加熱して変圧器の内側を該洗浄剤の沸点以上にまで昇温して、該洗浄剤を該変圧器の内側で気化させることを含む、該変圧器の洗浄方法。
  2. 該変圧器を冷却して該気化した洗浄剤を液化し、該液化した洗浄剤を該変圧器外部に排出する工程をさらに含む、請求項1に記載の洗浄方法。
  3. 該変圧器を解体して構成部品ごとに分ける、該変圧器の解体工程をさらに含む、請求項2に記載の洗浄方法。
  4. 該解体工程で得られた該構成部品の少なくとも一部における該ポリ塩化ビフェニルの残量を測定する工程をさらに含む、請求項3に記載の洗浄方法。
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