JP2013252485A - 抜油装置および抜油方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ヘッドが不足する状況でも、少量の溶剤を循環させて容器内を洗浄し、油を確実に除去することができる抜油装置および抜油方法を提供すること
【解決手段】 抜油装置を蒸発器1と、蒸発器1と容器9を接続し気化溶剤を容器9の内側に供給する気化溶剤供給流路2と、蒸発器1及び容器9内を減圧する減圧手段5と、容器9から溶剤を回収する溶剤回収槽7と、溶剤回収槽7に回収槽減圧流路75を介して接続され、溶剤回収槽7内を減圧する回収用減圧手段76と、溶剤回収槽7に回収槽加圧流路77を介して接続され、溶剤回収槽7内を加圧する排出用加圧手段78と、容器9と溶剤回収槽7を接続する回収流路3と、溶剤回収槽7と蒸発器1を接続する排出流路79と、回収槽減圧流路75を開閉する減圧流路用開閉弁73と、回収槽加圧流路77を開閉する加圧流路用開閉弁72と、回収流路3を開閉する回収流路用開閉弁71と、排出流路79を開閉する排出流路用開閉弁74とで構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 抜油装置を蒸発器1と、蒸発器1と容器9を接続し気化溶剤を容器9の内側に供給する気化溶剤供給流路2と、蒸発器1及び容器9内を減圧する減圧手段5と、容器9から溶剤を回収する溶剤回収槽7と、溶剤回収槽7に回収槽減圧流路75を介して接続され、溶剤回収槽7内を減圧する回収用減圧手段76と、溶剤回収槽7に回収槽加圧流路77を介して接続され、溶剤回収槽7内を加圧する排出用加圧手段78と、容器9と溶剤回収槽7を接続する回収流路3と、溶剤回収槽7と蒸発器1を接続する排出流路79と、回収槽減圧流路75を開閉する減圧流路用開閉弁73と、回収槽加圧流路77を開閉する加圧流路用開閉弁72と、回収流路3を開閉する回収流路用開閉弁71と、排出流路79を開閉する排出流路用開閉弁74とで構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、容器内の油を溶剤に溶解して除去するための抜油装置および抜油方法に関する。
従来、様々な産業分野において、種々の部品や製品等の洗浄が行われている。例えば、金属製プレス部品や機械加工部品は、加工時に表面に付着するプレス油やタップ油、グリース等の加工油の脱脂洗浄が行われている。
一方、環境汚染が深刻な問題となっている現在、産業廃棄物をそのままの状態で廃棄することはできず、有害物質を含有する産業廃棄物に対しては、洗浄等による有害物質の除去作業を行わなければならない。例えば、ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、電気絶縁性が良好で、水には不溶であるが有機溶媒・油にはよく溶解するため、電気機器のトランス、コンデンサの絶縁油、接着剤、ワックス、潤滑油等に使用されてきた。しかし、PCBは、発癌性や皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常等、生体に対する毒性が高く、また、脂肪組織に蓄積しやすい性質があり、現在は製造が禁止されている。このため、PCBの使用が認められていた時期に生産され、使用されていた電気機器等の廃棄物に対しては、洗浄によるPCBの除去作業が必要となる。
従来、このような油の洗浄には、洗浄対象物を洗浄槽に入れ、洗浄用の溶剤に浸漬したり、溶剤を気化し当該気化溶剤の雰囲気に晒したりして洗浄する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、従来の除去作業では、洗浄対象物となるものを洗浄槽内に搬入する必要がある。したがって、大型の洗浄対象物に適用する場合には、洗浄対象物を解体する必要がある。しかしながら、大型トランス等の密閉容器は、環境汚染の問題があり、保管場所において解体するのは困難である。また、洗浄槽自体を大きくする方法もあるが、保管場所に十分なスペースがない場合には、この方法を用いることもできない。更に、洗浄槽が大きくなると、そこで使用される溶剤も大量に必要になり、PCB等の有害物質を含有する場合には、処理しなければならない廃液量も多くなるという問題がある。更に、洗浄対象物が容器状のものは、容器内を十分に洗浄できなかったり、洗浄むらが生じたりするという問題もある。
そこで本発明者達は、減圧下で容器の内側のみに気化溶剤を供給し、容器内で凝縮させて洗浄する方法を考えた。この場合、気化溶剤が温度の低い部分で凝縮する性質を利用することによって、洗浄が行われておらず温度が低いままである部分も洗浄することができ、従来の方法では洗浄の困難であった部分まで確実に洗浄し抜油することができるという効果が得られる。一方、当該抜油方法を連続的に用いるには、減圧下の容器から溶剤を抜き出す必要がある。しかしながら、容器が床に直接置かれている場合、一般的に用いられる渦巻き式のポンプでは、必要とされるヘッド(NPSH)が不足し、溶剤を安定的に抜き出すことができないという問題があった。
そこで本発明では、ヘッドが不足するような状況でも、少量の溶剤を循環させて容器内を洗浄し、油を確実に除去することができる抜油装置および抜油方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の抜油装置は、容器内の油を溶剤によって除去するためのものであって、溶剤を加熱して気化させる蒸発器と、前記蒸発器と前記容器とを接続し、気化溶剤を前記容器の内側のみに供給する気化溶剤供給流路と、前記蒸発器及び前記容器内を減圧する減圧手段と、前記容器から前記溶剤を回収するための溶剤回収槽と、前記溶剤回収槽に回収槽減圧流路を介して接続され、前記溶剤回収槽内を減圧するための回収用減圧手段と、前記溶剤回収槽に回収槽加圧流路を介して接続され、前記溶剤回収槽内を加圧するための排出用加圧手段と、前記容器と前記溶剤回収槽を接続する回収流路と、前記溶剤回収槽と前記蒸発器を接続する排出流路と、前記回収槽減圧流路を開閉する減圧流路用開閉弁と、前記回収槽加圧流路を開閉する加圧流路用開閉弁と、前記回収流路を開閉する回収流路用開閉弁と、前記排出流路を開閉する排出流路用開閉弁と、を具備することを特徴とする。
この場合、前記溶剤回収槽の溶剤の液量を検出する液量検出手段を具備しても良い。また、前記液量検出手段が検出した情報に基づいて前記減圧流路用開閉弁、加圧流路用開閉弁、回収流路用開閉弁、排出流路用開閉弁の開閉を制御する制御手段を具備しても良い。更に、前記容器内及び前記溶剤回収槽内の圧力を検出する圧力検出手段を具備しても良い。
また、本発明の抜油方法は、容器内の油を溶剤に溶解して除去するためのものであって、蒸発器内を大気圧以下に減圧し、溶剤を加熱して気化させる溶剤気化工程と、前記溶剤気化工程で気化させた気化溶剤を大気圧以下で前記容器の内側のみに供給する気化溶剤供給工程と、溶剤回収槽を所定圧力に減圧し、前記容器から当該溶剤回収槽に前記溶剤を回収する溶剤回収工程と、前記溶剤回収槽を所定圧力に加圧し、前記溶剤回収工程で回収した溶剤を前記蒸発器に排出させる溶剤排出工程と、を有することを特徴とする。
この場合、前記溶剤回収槽の液量が所定量以下の時に前記溶剤回収工程を行い、所定量以上の時に前記溶剤排出工程を行う。
本発明の抜油装置および抜油方法は、溶剤回収槽を所定圧力に減圧してから容器の溶剤を溶剤回収槽に回収し、次に溶剤回収槽を所定圧力に加圧して回収した溶剤を蒸発器に排出して循環させるので、ヘッドが不足するような状況でも、少量の溶剤を循環させて容器内を洗浄し、油を確実に除去することができる。
本発明の抜油装置は、図1〜図3に示すように、容器9内の油を溶剤によって除去するためのものであって、溶剤を加熱して気化させる蒸発器1と、蒸発器1と容器9とを接続し、気化溶剤を容器9の内側のみに供給する気化溶剤供給流路2と、蒸発器1及び容器9内を減圧する減圧手段5と、容器9から溶剤を回収するための溶剤回収槽7と、溶剤回収槽7に回収槽減圧流路75を介して接続され、溶剤回収槽7内を減圧するための回収用減圧手段76と、溶剤回収槽7に回収槽加圧流路77を介して接続され、溶剤回収槽7内を加圧するための排出用加圧手段78と、容器9と溶剤回収槽7を接続する回収流路3と、溶剤回収槽7と蒸発器1を接続する排出流路79と、回収槽減圧流路75を開閉する減圧流路用開閉弁73と、回収槽加圧流路77を開閉する加圧流路用開閉弁72と、回収流路3を開閉する回収流路用開閉弁71と、排出流路79を開閉する排出流路用開閉弁74と、で主に構成される。
ここで、容器9とは、内部に油を保持できる空間を有するものを意味し、例えばPCB等の絶縁油を内部に保持できるトランス用容器等が該当する。また、油には、PCB、その他の絶縁油、熱媒油等の高沸点有機化合物等が該当する。
溶剤としては、容器9内の油を除去でき、かつ当該油よりも沸点の低いものが好ましく、炭化水素系溶剤、ハロゲン系溶剤等を用いることができる。例えば、炭素数が8〜15のアルカン、アルケン、シクロアルカン又はアルケン系溶剤(特に、炭素数が11〜13のアルカンやアルケン系溶剤)や、炭素数が1〜12のハロゲン系溶剤を用いれば良い。具体的には、トランス容器内のPCBを洗浄するために、NS−220(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)等を用いることができる。また、その他にも、水、水系溶剤、アルコール等を用いることも可能である。なお、本明細書中で、溶剤とは、容器9内の油と共に回収された溶剤も含まれる。
蒸発器1は、溶剤を加熱して気化させ、気化溶剤を生成するためのものであり、すでに公知の蒸発器を適宜選択すれば良い。また、蒸発器1は回収流路3と接続されており、容器9内から回収した油を含む溶剤を加熱することになるため、蒸留器としての機能も併せ持つ。したがって、加熱温度は、溶剤と油を蒸留可能な温度に設定することになる。これにより、再生する気化溶剤の純度を良好に保つことができ、後述する混合液回収流路で外部に抜く油濃度の高い溶剤相当量の新溶剤を補給するだけで継続的な循環運転が可能となる。溶剤を加熱するための熱源としては、電気ヒータ、重油、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)等を用いることができる。また、安全性の観点からは、蒸留器の表面温度は溶剤の発火温度以下に制御するのが好ましい。したがって、例えば、蒸発器1から離れた場所で水を電気ヒータ等で加熱して溶剤の発火温度未満の水蒸気を生成し、この水蒸気を蒸発器1の表面等に供給するスチームヒータを用いても良い。
また、蒸発器1は、溶剤を気化した際に気化溶剤に付随するミストを分離するミスト分離手段を有する方が好ましい。ミストに含まれる油が気化溶剤と共に再度容器9内へ戻るのを防止するためである。ミストの分離は、衝突分離方法、遠心力を利用する方法、濾過分離方法等、公知の方法を用いれば良い。
また、蒸発器1は、溶剤および油の混合液を廃液回収槽41に排出するための混合液回収流路4を設けても良い。これにより、沸点差によって蒸発器1に残留した油の濃度が高い溶剤との混合液を外部に抜き出すことができる。
また、減圧手段5は、蒸発器1および容器9内を減圧するためのもので、これにより、溶剤を低温で気化させることができる。また、装置内を外部より低圧にするので溶剤が外部に漏洩することがなく、溶剤への引火を防止することができる。減圧手段5としては、蒸発器1および容器9内を減圧できるものであればどのようなものでも良いが、例えば、蒸発器1、容器9、気化溶剤供給流路2のいずれかに減圧用流路51を介して接続される真空ポンプ52を用いれば良い。また、減圧用流路51には当該流路51を開閉するための減圧用開閉弁53が設けられており、減圧用開閉弁53を開閉することにより、蒸発器1および容器9の圧力を調節することができる。
また、図示しないが、容器9の圧力を検出する圧力検出手段を設けても良い。これにより、容器9や蒸発器1等の内部が減圧されているか否かを予め確認することができる。また、圧力検出手段が検出した情報に基づいて減圧用開閉弁53を制御し、蒸発器1および容器9内の圧力を調節するようにしても良い。また、図示しないが、窒素等のイナートガスを供給できるイナートガス供給タンクと当該タンクと蒸発器1および容器9を接続するイナートガス供給流路と、イナートガス供給流路を開閉するためのイナートガス用開閉弁とを設けても良い。これにより、圧力検出手段が異常な圧力を検知した際に、抜油装置の運転を停止し、蒸発器1および容器9内にイナートガスを供給することができる。
また、容器9の耐圧性が低い場合には、図示しないが、容器9の外側に密閉空間を形成するための筐体と、当該密閉空間と容器9内の圧力差が小さくなるように調節する調圧手段とを設けるようにしても良い。筐体は、外圧と内圧の圧力差に耐えられる耐圧性を有していればどのようなものでもよく、例えばステンレス等の金属性のものを用いることができる。また、筐体は、容器9の全部を内包するものでも、耐圧性の低い部分のみを内包するものでも良い。調圧手段としては、例えば筐体と上述した真空ポンプとを接続する調圧用流路と、当該流路を開閉する調圧用開閉弁とで構成すれば良い。
気化溶剤供給流路2は、蒸発器1と容器9とを接続し、蒸発器1で生成した気化溶剤を容器9の内側のみに供給するためのものである。また、気化溶剤供給流路2には、当該流路を開閉するための供給用開閉弁21が配置されている。気化溶剤供給流路2と容器9との接続は、容器9の上部で行うのが良い。また、容器9との接続部はシール部材等で気密に接続される。気化溶剤を容器9の内側のみに供給する理由は、容器9内を均一に洗浄するためである。すなわち、気化溶剤が容器9内に供給され、容器9内側に触れると気化溶剤が冷やされて凝縮し、当該部分の油を洗浄する。また、洗浄された部分は凝縮熱によって加熱される。これにより、容器9内において気化溶剤で洗浄された部分とそうでない部分とで温度分布が生じる。すると、洗浄が行われていないかあるいは洗浄が不十分である温度の低い部分では、供給された気化溶剤が凝縮し易くなるため、容器9内を均一に洗浄することができる。なお、従来のものは、洗浄槽内で容器9の内側と外側の両方を洗浄していたため、本発明のように容器9内を均一に洗浄することはできない。
また、容器9の洗浄を促進したい所定部分の温度をそれ以外の部分より低く調節するための温調手段を設けるようにしても良い。上述したように、気化溶剤は温度の低い部分ほど凝縮し易くなるため、洗浄を促進したい部分を冷却するか、洗浄を促進したい部分を除くその他の部分を保温又は加熱すれば、容器9内を効果的に洗浄することができるからである。温調手段としては、例えば、洗浄したい部分を容器9の外部から冷却する冷却手段や、洗浄したい部分を除くその他の部分を容器9の外部から保温する保温材、洗浄したい部分を除くその他の部分を加熱する加熱手段を用いれば良い。冷却手段は、空冷や水冷等を任意に選択することができる。また、加熱手段も加熱できるものであればどのようなものでもよく、電気ヒータ等を用いれば良い。具体的には、例えばトランス用容器の場合、容器内のトランスのコア91は洗浄が難しい。したがって、トランス用容器のシェルやラジエータといった洗浄の容易な部分を保温することにより、洗浄の難しいコア91に溶剤を凝縮させ、PCB等の絶縁油を効果的に除去することできる。
溶剤回収槽7は、容器9から溶剤および洗浄された油を回収するためのもので、容器9とは回収流路3および当該流路3を開閉する回収流路用開閉弁71を介して接続されている。回収流路3の容器9への接続は、例えば容器9内で凝縮した溶剤が溢出し得る容器9の下部で行えば良い。また、回収流路3の溶剤回収槽7への接続は、容器9と回収流路3の接続位置や溶剤回収槽7を減圧した際の吸引力を考慮したなるべく高い位置で行う方が良い。また、溶剤回収槽7と蒸発器1とは、排出流路79および当該流路を開閉する排出流路用開閉弁74を介して接続されており、回収した溶剤を蒸発器1に循環できるように構成されている。排出流路79の溶剤回収槽7への接続は、例えば溶剤回収槽7の下部、好ましくは底部で行えば良い。また、排出流路79には、回収した油を一時的に貯留する液抜槽32を設けても良い。
また、溶剤回収槽7は、回収槽減圧流路75および当該流路を開閉する減圧流路用開閉弁73を介して回収用減圧手段76とも接続されている。回収用減圧手段76としては、溶剤回収槽7を減圧できるものであればどのようなものでも良いが、例えば容器9内の圧力よりも減圧する真空ポンプを用いればよい。これにより、差圧による吸引力や溶剤の自重によって、減圧下にある容器9から溶剤を回収することができる。
更に、溶剤回収槽7は、回収槽加圧流路77および当該流路を開閉する加圧流路用開閉弁72を介して排出用加圧手段78とも接続されている。排出用加圧手段78としては、溶剤回収槽7を気体によって加圧できるものであればどのようなものでも良いが、例えば圧縮された気体を貯留した圧縮ボンベを用いればよい。気体としては、窒素やアルゴン等の不活性ガスを用いることができるが、溶剤の回収に問題がない限り、その他の気体を用いることも可能である。
また、溶剤回収槽7には、溶剤回収槽内の圧力を検出する回収槽用圧力検出手段を設けても良い。これにより加圧時や減圧時の圧力を調節することができる。
溶剤回収槽7をこのように構成することにより、容器9から蒸発器1へ溶剤を循環させることができる。具体的には、次のように動作させる。図2に示すように、溶剤回収槽7の溶剤量が所定量以下になると、回収流路用開閉弁71、加圧流路用開閉弁72、排出流路用開閉弁74を閉じ、減圧流路用開閉弁73を開いて、回収用減圧手段76を作動させ、容器9から溶剤を回収できる所定圧力になるまで溶剤回収槽7内を減圧する。次に、溶剤回収槽7を所定圧力に減圧したら、回収流路用開閉弁71を開くことで、容器9から溶剤回収槽7に溶剤を回収することができる。また、図3に示すように、溶剤回収槽7内の溶剤の量が所定量以上になったら、回収流路用開閉弁71、減圧流路用開閉弁73を閉じ、加圧流路用開閉弁72を開いて圧縮タンク(加圧手段)の加圧用気体によって溶剤回収槽7を所定圧力になるまで加圧する。溶剤回収槽7を所定圧力に加圧したら、排出流路用開閉弁74を開き、溶剤回収槽7から蒸発器1又は液抜槽に溶剤を排出する。
また、溶剤回収槽7の溶剤の液量を検出する液量検出手段を設けることもできる。液量検出手段としては、例えば、溶剤回収槽7の重さを検出可能なロードセル等の重量検出手段81や、溶剤回収槽7内の溶剤の液面を検出する液面検出手段82、83等を用いればよい。
また、液量検出手段が検出した情報に基づいて前記減圧流路用開閉弁73、加圧流路用開閉弁72、回収流路用開閉弁71、排出流路用開閉弁74の開閉を制御するコンピュータ等の制御手段100を更に具備するようにしても良い。これにより、溶剤回収槽7内の溶剤の液量が一定量以下の時には、溶剤回収槽7内を減圧して容器9から溶剤を回収し、溶剤回収槽7内の溶剤の液量が一定量に達した時には、溶剤回収槽7内を加圧して溶剤回収槽7から溶剤を蒸発器1へ循環させることができる。
なお、溶剤および油の混合液を廃液回収槽41に排出した場合、排出した分の溶剤を新たに供給する必要がある。これには、図示しないが、減圧下の系内に外部から供給することになる。供給する場所は、容器9、液抜槽32、蒸発器1、気化溶剤供給流路2、回収流路3、排出流路79のいずれから供給しても良いが、最も温度の低い液抜槽32から供給することが好ましい。
また、回収した溶剤の特性を検出する特性検出手段6を設けても良い。例えば、回収した溶剤の屈折率や比重等の特性を測定することにより、溶剤に含まれるPCB等の油の濃度を検出することができる。また、イムノクロマトのような生化学的分析方法を用いても良い。また、特性検出手段6が検出した情報に基づいて抜油装置の作動を停止するようにすることも可能である。また、PCB等を抜油する場合には、特性検出手段は、溶剤をグローブボックス内において安全に採取できる方が好ましい。
次に、本発明の抜油方法を上述した本発明の抜油装置の動作と共に説明する。本発明の抜油方法は、容器9内の油を溶剤に溶解して除去するためのものであって、蒸発器1内を大気圧以下に減圧し、溶剤を加熱して気化させる溶剤気化工程と、溶剤気化工程で気化させた気化溶剤を大気圧以下で容器9の内側のみに供給する気化溶剤供給工程と、溶剤回収槽7を所定圧力に減圧し、容器9から当該溶剤回収槽7に溶剤を回収する溶剤回収工程と、溶剤回収槽7を所定圧力に加圧し、溶剤回収工程で回収した溶剤を蒸発器1に排出させる溶剤排出工程と、で主に構成される。
溶剤気化工程では、減圧用開閉弁53を開いて減圧手段5を作動させ、蒸発器1および容器9内を大気圧以下に減圧する。次に、蒸発器1内に溶剤を供給し、蒸発器1を加熱して溶剤を気化する。加熱は、電気ヒータで行っても、スチームヒータ等で水蒸気を用いて行っても良い。加熱する温度は、回収した溶剤から油と溶剤を蒸留によって分離できる温度や、発火温度等を考慮して適宜決定すれば良い。
また、溶剤気化工程では、蒸発器1内で気化した気化溶剤から、ミスト状の溶剤をミスト分離手段によって分離する方が好ましい。
気化溶剤供給工程は、供給用開閉弁21を開放し、蒸発器1内で生成した気化溶剤を容器9の内側のみに供給する。気化溶剤が容器9内に供給され、容器9内側に触れると気化溶剤が冷やされて凝縮し、当該部分の油を洗浄する。また、洗浄された部分は凝縮熱によって加熱される。これにより、容器9内において気化溶剤で洗浄された部分とそうでない部分とで温度分布が生じる。すると、洗浄が行われていないかあるいは洗浄が不十分である温度の低い部分では、供給された気化溶剤が凝縮し易くなり、容器9内を均一に洗浄することができる。
また、気化溶剤供給工程は、容器9のうち油を除去したい部分の温度をそれ以外の部分より低く調節しながら行うようにしても良い。上述したように、気化溶剤は温度の低い部分ほど凝縮し易くなるため、洗浄を促進したい部分を冷却するか、洗浄を促進したい部分を除くその他の部分を保温又は加熱すれば、容器9内を効果的に洗浄することができるからである。
なお、気化溶剤供給工程では、気化溶剤を容器9内に供給し内部の洗浄を行ううちに、容器9の温度が上昇する。すると、気化溶剤の凝縮する速度が遅くなる。したがって、容器9を冷却する冷却工程を設けても良い。冷却は、所定時間ごとに行ってもよいし、容器9の温度が一定温度以上に達した際に行うようにしても良い。
溶剤回収工程では、図2に示すように、溶剤回収槽7内の溶剤が所定量以下になると、回収流路用開閉弁71、加圧流路用開閉弁72、排出流路用開閉弁74を閉じ、減圧流路用開閉弁73を開く。この状態で回収用減圧手段76を作動させ、容器9から溶剤を回収できる所定圧力になるまで溶剤回収槽7内を減圧する。溶剤回収槽7を所定圧力に減圧したら、回収流路用開閉弁71を開き、容器9から溶剤回収槽7に溶剤を回収する。
溶剤排出工程では、図3に示すように、溶剤回収槽7内の溶剤が所定量以上になると、回収流路用開閉弁71、減圧流路用開閉弁73を閉じ、加圧流路用開閉弁72を開いて圧縮タンク(加圧手段)の加圧用気体によって溶剤回収槽7を所定圧力になるまで加圧する。溶剤回収槽7を所定圧力に加圧したら、排出流路用開閉弁74を開き、溶剤回収槽7から蒸発器1又は液抜槽32に溶剤を排出する。そして、再度、溶剤回収槽7内の溶剤の量が所定量以下になったら再び溶剤回収工程に戻り、容器9内の抜油が終了するまで、溶剤回収工程と溶剤排出工程を繰り返す。
溶剤排出工程で排出された溶剤は、蒸発器1に戻されて再加熱され、蒸留によって溶剤のみが気化される。したがって、蒸発器1には、油の濃度が高い溶剤との混合液が残留する。この混合液は、混合液回収流路4を介して廃液回収槽41に回収される。
また、特性検出手段6を用いて回収した溶剤の特性を検出し、容器9の洗浄具合を確認したり、抜油を終了するための目安としたりする特性検出工程を設けることもできる。
1 蒸発器
2 気化溶剤供給流路
3 回収流路
5 減圧手段
7 溶剤回収槽
9 容器
71 回収流路用開閉弁
72 加圧流路用開閉弁
73 減圧流路用開閉弁
74 排出流路用開閉弁
75 回収槽減圧流路
76 回収用減圧手段
77 回収槽加圧流路
78 排出用加圧手段
79 排出流路
2 気化溶剤供給流路
3 回収流路
5 減圧手段
7 溶剤回収槽
9 容器
71 回収流路用開閉弁
72 加圧流路用開閉弁
73 減圧流路用開閉弁
74 排出流路用開閉弁
75 回収槽減圧流路
76 回収用減圧手段
77 回収槽加圧流路
78 排出用加圧手段
79 排出流路
Claims (6)
- 容器内の油を溶剤によって除去するための抜油装置であって、
溶剤を加熱して気化させる蒸発器と、
前記蒸発器と前記容器とを接続し、気化溶剤を前記容器の内側のみに供給する気化溶剤供給流路と、
前記蒸発器及び前記容器内を減圧する減圧手段と、
前記容器から前記溶剤を回収するための溶剤回収槽と、
前記溶剤回収槽に回収槽減圧流路を介して接続され、前記溶剤回収槽内を減圧するための回収用減圧手段と、
前記溶剤回収槽に回収槽加圧流路を介して接続され、前記溶剤回収槽内を加圧するための排出用加圧手段と、
前記容器と前記溶剤回収槽を接続する回収流路と、
前記溶剤回収槽と前記蒸発器を接続する排出流路と、
前記回収槽減圧流路を開閉する減圧流路用開閉弁と、
前記回収槽加圧流路を開閉する加圧流路用開閉弁と、
前記回収流路を開閉する回収流路用開閉弁と、
前記排出流路を開閉する排出流路用開閉弁と、
を具備することを特徴とする抜油装置。 - 前記溶剤回収槽の溶剤の液量を検出する液量検出手段を具備することを特徴とする請求項1記載の抜油装置。
- 前記液量検出手段が検出した情報に基づいて前記減圧流路用開閉弁、加圧流路用開閉弁、回収流路用開閉弁、排出流路用開閉弁の開閉を制御する制御手段を具備することを特徴とする請求項2記載の抜油装置。
- 前記容器内及び前記溶剤回収槽内の圧力を検出する圧力検出手段を具備することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の抜油装置。
- 容器内の油を溶剤に溶解して除去するための抜油方法であって、
蒸発器内を大気圧以下に減圧し、溶剤を加熱して気化させる溶剤気化工程と、
前記溶剤気化工程で気化させた気化溶剤を大気圧以下で前記容器の内側のみに供給する気化溶剤供給工程と、
溶剤回収槽を所定圧力に減圧し、前記容器から当該溶剤回収槽に前記溶剤を回収する溶剤回収工程と、
前記溶剤回収槽を所定圧力に加圧し、前記溶剤回収工程で回収した溶剤を前記蒸発器に排出させる溶剤排出工程と、
を有することを特徴とする抜油方法。 - 前記溶剤回収槽の液量が所定量以下の時に前記溶剤回収工程を行い、所定量以上の時に前記溶剤排出工程を行うことを特徴とする請求項5記載の抜油方法。
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JP2012129504A JP2013252485A (ja) | 2012-06-07 | 2012-06-07 | 抜油装置および抜油方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5988233B1 (ja) * | 2016-01-29 | 2016-09-07 | 有限会社加藤創研 | ポリ塩化ビフェニル汚染変圧器の洗浄方法 |
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JP2017164687A (ja) * | 2016-03-16 | 2017-09-21 | 中間貯蔵・環境安全事業株式会社 | Pcb汚染機器解体方法 |
-
2012
- 2012-06-07 JP JP2012129504A patent/JP2013252485A/ja active Pending
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