JP5975197B1 - プレコート金属板 - Google Patents

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Abstract

このプレコート金属板は、金属板と、前記金属板上に設けられ、クロメートを含有しない下地塗膜層と、前記下地塗膜層上に設けられ、クロメートを含有しないプライマー塗膜層と、前記プライマー塗膜層上に設けられたトップ塗膜層と、を有するプレコート金属板であって、前記プライマー塗膜層と前記トップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率が10%以上25%以下であり、前記プライマー塗膜層のガラス転移点温度が、50℃超100℃以下であり、前記トップ塗膜層は樹脂成分を含み、前記樹脂成分はアクリル樹脂またはポリエステル変性アクリル樹脂を含み、前記プレコート金属板を2T密着曲げ加工した際、曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直な方向1mm長さの範囲に、前記トップ塗膜層に幅0.1mm以下のクラックが合計5個以上30個以下発生する。

Description


本発明は、自動車用、家電用、建材用、土木用、機械用、家具用、容器用等に使用されるプレコート金属板に関するものであり、耐汚染性、加工後の端面塗膜剥離性、耐食性に優れたプレコート金属板に関する。
家電用、建材用、自動車用等に、従来の加工後塗装されていたポスト塗装製品に代わって、着色した塗膜を被覆したプレコート金属板が使用されるようになった。このプレコート金属板は、金属用前処理を施した金属板に塗料を被覆したもので、塗料を塗装した後に切断し、プレス成形されて使用されることが一般的である。
プレコート金属板は、塗装後に成形加工して用いられるため、伸び率の高い柔軟な塗膜を被覆することが一般的であるが、その反面、このような樹脂は汚染物質が塗膜に浸透することや物理的に付着することが多く、耐汚染性に劣ることが欠点であった。特に、屋外などで使用する場合、空気中に含まれる排気ガスなどの汚れが表面に付着し雨にぬれることによって、雨筋模様が発生することが課題であった。
一般に、雨筋模様が発生することを雨垂れ汚染と呼ぶ。この雨垂れ汚染の発生原因について、塗膜の水接触角と雨垂れ汚染との関係が言われており、耐雨垂れ汚染性は塗膜の親水性が高いほど優れることが示唆されている。しかし、屋外条件下で光、風、雨などの影響で劣化(耐候劣化)した塗膜に汚れが付着すると、汚れが塗膜に物理的にめり込んでしまう。このため、例え塗膜が親水性を有していてもこのような汚れの除去は困難であり、親水性の高い塗膜であっても耐候劣化により耐雨垂れ汚染性が劣化するという課題がある。このため、プレコート金属板の長期の耐雨垂れ汚染性を向上させるためには、塗膜に親水性を付与するだけではなく、長期間耐候性に優れながら、汚染物質が塗膜に浸透することや物理的に付着することが少ない耐汚染性塗膜を金属板上に設けることが必須となる。
しかし、一方で、こうした耐汚染性塗膜は硬質であるため、塗膜自体の加工性が低く、加工部の塗膜密着性が低い等の問題がある。このため、このようなプレコート金属板は、せん断加工時に、切断端面部近傍において塗膜剥離が発生しやすい。この剥離した塗膜が製品表面に付着するので、プレス加工を行う際に、この端面部から剥離した塗膜片が原因となる打痕が塗膜についてしまい、製品の美観を損なうという問題が発生する。このように、こうした耐汚染性塗膜を用いた場合には、端面塗膜剥離性が劣るという課題がある。
耐汚染性に優れるプレコート金属板については、これまでにもいくつか報告されている。例えば、特許文献1には、耐汚染性に優れたプレコート鋼板として、数平均分子量10,000〜35,000、水酸基価50〜5のポリエステル樹脂100重量部に対しメチルエーテル化ヘキサメチロールメラミン樹脂20〜50重量部を配合した塗膜が鋼板表面の表面処理皮膜上に形成されているプレコート鋼板が開示されている。しかし、開示された塗膜はメラミンを含有しているため、熱や酸で分解され塗膜が柔らかくなり、物理的に汚れがめり込むことによって長期の耐汚染性に劣ることが問題であった。
また、特許文献2には、加工性と耐汚染性とに優れた上塗り塗料組成物として、数平均分子量が2,000〜6,000であるポリエステル樹脂、数平均分子量が1,500〜8,000であるアクリル樹脂を含有することを特徴とするプレコート用上塗り塗料組成物が開示されている。特許文献2の塗料組成物では、ポリエステル樹脂を含有させることにより曲げ加工性の向上は認められるが、硬いアクリル樹脂を混合しているため、端面塗膜剥離性を解消するには至っていない。
また、特許文献3では、硬いトップコートの下層にガラス転移点温度(Tg)30℃以下の軟らかいプライマーを組みあわせることを特徴とする、端面塗膜剥離性に優れる塗装金属板が開示されている。しかし、加工時の応力を軟質なプライマーに吸収させる方法では、トップ塗膜がアクリル樹脂やポリエステル変性アクリル樹脂の場合にトップ塗膜で発生する応力の緩和が不十分であり、このような塗膜構成の場合には、依然として端面塗膜剥離性が課題であった。
このように、これまで開示された技術においては、耐汚染性、端面塗膜剥離性および耐食性に優れるプレコート金属板を得る技術は開示されていない。

日本国特開平10−314664号公報 日本国特開2008−201842号公報 日本国特開2006−175826号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、長期の耐汚染性、端面塗膜剥離性、耐食性に優れるプレコート金属板の提供を目的とする。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、硬質なアクリル樹脂またはポリエステル変性アクリル樹脂をトップ塗膜の樹脂に適用することで長期の耐汚染性を確保できることに想到した。また、プライマー塗膜層の樹脂としてエポキシ変性ポリエステル樹脂を用いることで塗膜の鋼板への密着性を向上させることに想到した。
更に、プライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率を10%以上25%以下とし、プライマー塗膜層のガラス転移点温度を50℃より大きく100℃以下とすることで、プレス時に塗膜が金型により伸ばされる際にプライマー塗膜層及びトップ塗膜層に細かくクラックが発生し応力が緩和されることに想到した。また、その結果、硬いトップ塗膜と鋼板との密着性が保たれ、塗膜自体は剥離せず端面塗膜剥離性を向上させることに想到した。さらに、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛のいずれかを防錆顔料としてプライマー塗膜層に用いることで、クラックが発生してもクラックからの亜鉛の酸化物(白錆)の発生が抑制され、長期耐食性が向上する。これは、リン成分を含む防錆顔料成分の溶出によって亜鉛との化合物を作り、亜鉛の溶出を抑制しているためと推定される。
本発明は、かかる知見を基に完成されたものであって、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)金属板と、前記金属板上に設けられ、クロメートを含有しない下地塗膜層と、前記下地塗膜層上に設けられ、クロメートを含有しないプライマー塗膜層と、前記プライマー塗膜層上に設けられたトップ塗膜層と、を有するプレコート金属板であって、前記プライマー塗膜層と前記トップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率が10%以上25%以下であり、前記プライマー塗膜層のガラス転移点温度が、50℃超100℃以下であり、前記トップ塗膜層は樹脂成分を含み、前記樹脂成分はアクリル樹脂またはポリエステル変性アクリル樹脂を含み、前記プレコート金属板を2T密着曲げ加工した際、曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直な方向1mm長さの範囲に、前記トップ塗膜層に幅0.1mm以下のクラックが合計5個以上30個以下発生する、プレコート金属板。
(2)上記(1)に記載のプレコート金属板は、前記プライマー塗膜層の破断限界伸び率が40%以上50%以下であり、前記トップ塗膜層の破断限界伸び率が5%以上10%以下であり、前記プライマー塗膜層は防錆顔料及び樹脂成分を含み、前記防錆顔料は、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムまたはリン酸亜鉛のうち少なくとも1つ以上を含み、前記プライマー塗膜層中の前記樹脂成分はエポキシ変性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載のプレコート金属板は、前記プライマー塗膜層が防錆顔料を含み、前記防錆顔料の濃度が、樹脂固形分100質量部に対して10質量部以上160質量部以下であってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のプレコート金属板は、前記トップ塗膜層は、メラミン樹脂を含有しなくてもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のプレコート金属板は、前記トップ塗膜層の表面の動摩擦係数が0.06以上0.25以下であってもよい。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のプレコート金属板は、50℃95%RH湿潤環境下に72時間放置後の前記トップ塗膜層の表面の水接触角が、60度以下であってもよい。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載のプレコート金属板は、前記トップ塗膜層が、オルガノシリケートを含有してもよい。
(8)上記(7)に記載のプレコート金属板は、前記トップ塗膜層中の前記オルガノシリケートの含有量が、前記トップ塗膜の樹脂固形分100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下であってもよい。
(9)上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のプレコート金属板は、前記下地塗膜層は、微粒シリカ、シランカップリング剤、タンニン酸の少なくとも1つを含有してもよい。
(10)上記(1)〜(9)のいずれか一項に記載のプレコート金属板は、前記プライマー塗膜層の膜厚が3〜10μmであり、前記トップ塗膜層の膜厚が5〜25μmであってもよい。

本発明によれば、耐汚染性、加工後の端面塗膜剥離性、耐食性に優れるプレコート金属板を提供することができる。

本発明の実施形態に係るプレコート金属板を2T密着曲げ加工した後に曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直に切断し、切断面を断面観察したときのクラックの様子を模式的に示した図である。 本発明の実施形態に係るプレコート金属板を2T密着曲げ加工した様子を模式的に示した図と、曲げ頭頂部付近を拡大し、その部分に発生するクラックの様子を模式的に示した図である。
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るプレコート金属板は、金属板と、金属板上に設けられ、クロメートを含有しない下地塗膜層と、下地塗膜層上に設けられ、クロメートを含有しないプライマー塗膜層と、プライマー塗膜層上に設けられたトップ塗膜層と、を有する。
下地塗膜層及びプライマー塗膜層は、クロメートを含有しない。下地塗膜層及びプライマー塗膜層がクロメートやリン酸塩を含有しない場合、環境や人体に悪影響を及ぼす物質を使用していない点で優れている。
プライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率は10%以上25%以下である。10%未満であると塗膜層のクラックが大きく加工部において耐食性に劣ったり塗膜剥離が生じたりする。また、25%超では耐汚染性に劣る。
プライマー塗膜層のガラス転移点温度は、50℃超100℃以下である。また、60℃超80℃以下であることが好ましい。
ガラス転移点温度は、剥離あるいは削り取った塗膜を用いて、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K7121 1987)の示差走査熱量測定(DSC法)に準じて求めることができる。
プライマー塗膜層の破断限界伸び率は40%以上50%以下であることが好ましい。これにより、トップ塗膜の応力が緩和され、適度なクラックを生じさせ、塗膜剥離をさらに抑制するという効果が得られる。
トップ塗膜層の破断限界伸び率は5%以上10%以下であることが好ましい。これにより、トップ塗膜をより固くし、プレコート金属板の耐汚染性が優れる。
各塗膜層の破断限界伸び率は、例えば表面に平行にミクロトームなどで薄片をスライスして各層ごとに単離した塗膜に対し、小型卓上試験機を使用して引張試験を実施することによって測定することができる。
プライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた破断限界伸び率については、プライマー塗膜層およびトップ塗膜層単体の破断限界伸び率だけでは決まらず、プライマー塗膜層とトップ塗膜層との界面の密着性が影響する。このプライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた破断限界伸び率は、例えば、防錆顔料の濃度によって調整することができる。防錆顔料の濃度が樹脂固形分100質量部に対して10質量部以上であるとプライマー塗膜層とトップ塗膜層との密着性が向上し、更にプライマー塗膜層の破断限界伸び率を40%以上50%以下、トップ塗膜層の破断限界伸び率を5%以上10%以下とすること等によって、プライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率は10%以上25%以下となる。
このように、プライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率が10%以上25%以下であることは本発明の塗膜の構造的特徴であり、この特徴は、プライマー塗膜層およびトップ塗膜層単体の破断限界伸び率や、防錆顔料の濃度等を適正に選択することによって得られる。
Figure 0005975197
表1は、本実施形態におけるトップ塗膜層、プライマー塗膜層、およびプライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層について、破断限界伸び率と防錆顔料の濃度をまとめたものである。原理的には、歪みの大きい上層としてのトップ塗膜層に伸び率の高い(軟らかい)塗膜を使用し、歪みの小さい下層としてのプライマー塗膜層に伸び率の低い(硬い)塗膜を使用することが一般に考えられる。しかしながら、本願は逆の発想を用いており、トップ塗膜層に伸び率の低い(硬い)塗膜を使用し、プライマー塗膜層に伸び率の高い(軟らかい)塗膜を使用することを特徴としている。
すなわち、トップ塗膜層およびプライマー塗膜層の伸び率を上記の範囲に設定すると、上層のトップ塗膜層に伸び率の低い塗膜を用いてもトップ塗膜層とプライマー塗膜層とを合わせた全体の伸び率を高く設定することができる。このとき、トップ塗膜層の伸び率の全体の伸び率に及ぼす寄与が通常よりも小さくなることが分かった。これにより、全体の伸び率が確保されると同時に、塗膜した後に2T密着曲げ加工した際にトップ塗膜層の加工部に生じるクラックの幅を0.1mm以下に抑えられることを見出した。
図1に示されるように、金属板及び下地塗膜層の上にプライマー塗膜層3及びトップ塗膜層2が設けられているが、クラックはトップ塗膜層2のみに発生する場合およびトップ塗膜層2とプライマー塗膜層3の両方に発生する場合がある。
トップ塗膜層2の加工部に生じるクラックの幅1は、図2に示される加工後のプレコート金属板4の幅を10等分するように曲げ方向(2T曲げ試験後のプレコート金属板4の長手方向)に対して平行に切断し、10個の切断面を観察することによって測定することができる。クラックの幅1は、トップ塗膜層2の最表層を測定することによって得られる(図1を参照)。なお、トップ塗膜層2の加工部に生じるクラックの幅1は、プレコート金属板4の塗膜表面を観察することによって測定してもよい。
クラックの最大幅は、前記10個の切断面において、曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直な方向1mm長さの範囲Aに含まれるトップ塗膜層のクラックの幅1を測定し、そのすべての測定値のうちの最大値とした。
クラックの個数は、前記10個の切断面の各々において、曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直な方向1mm長さの範囲Aに含まれるトップ塗膜層のクラックの個数を合計し、その合計値のうちの最大値とした。
後述する実施例中の本発明例でのトップ塗膜層とプライマー塗膜層の組み合わせで、それぞれの伸び率と全体の伸び率の関係を重相関分析した。
その結果、本発明例の範囲では、以下の式(1)のとおりとなり、Y(トップ塗膜層)の伸び率の全体の伸び率に対する寄与が非常に少なくなっていた。
Z=−1.7+0.46X+0.03Y (1)
Xはプライマー塗膜層の伸び率
Yはトップ塗膜層の伸び率
Zは全体の伸び率
他方、比較例の範囲では、以下の式(2)のとおりとなり、トップ塗膜層の伸び率の全体の伸び率に対する寄与が大きかった。
Z=−3.5+0.61X+0.32Y (2)
このように、本発明例と比較例との間で、トップ塗膜層の伸び率の全体の伸び率に対する寄与が異なった要因としては、樹脂の種類や構造の違いによる、トップ塗膜層とプライマー塗膜層との間の密着性の影響や、プライマー塗膜層と下地塗膜層との間の密着性の影響等が考えられる。
本発明の実施形態に係るプレコート金属板を2T密着曲げ加工した際、トップ塗膜層に幅0.1mm以下のクラックが合計5個以上30個以下発生すると応力が適度に緩和されるため、プライマー塗膜と鋼板との加工後の密着性に優れる。クラックの幅が0.1mmより大きいとプライマー塗膜と鋼板との密着性が劣り、加工後の密着性に劣る。また、クラックの幅が0.1mmより大きいと防錆顔料の溶出効果が得られないため加工部耐食性に劣る。クラックの個数が5個未満であると応力が緩和されないため加工後密着性に劣る。クラックが30個より多いとプライマー塗膜と鋼板との密着性が劣り、加工後の密着性に劣る。
このように、プライマー塗膜層のガラス転移点温度、並びにプライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率を調節することで、プレコート金属板は、密着性と適度な伸びとを有し、剪断加工時やプレス加工時に塗膜が金型により伸ばされる際に細かくクラックが発生し応力が緩和されるため、端面の塗膜剥離性に優れる。
プライマー塗膜層の破断限界伸び率が上がると、その影響を受けてプライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率も上がり、結果としてトップ塗膜層単体の破断限界伸び率よりも高い値となる。
トップ塗膜層は樹脂成分を含み、前記樹脂成分は、アクリル樹脂もしくはポリエステル変性アクリル樹脂を含む。これにより、プレコート金属板は、耐汚染性、特に耐候性にも優れることから長期耐汚染性に優れる。
アクリル樹脂は、水酸基を持つアクリル単量体またはメタクリル単量体と、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどとを、周知の方法で加熱反応させて得られる共重合体である。上記した水酸基を持つアクリル単量体またはメタクリル単量体としては、例えば、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどを用いることができ、これらを単独で用いても複数種を組み合わせて用いてもよい。また、上記したアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどを用いることができ、これらを単独で用いても複数種を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル変性アクリル樹脂は、ポリエステルとアクリレートとを、複合化、共重合化あるいは他の架橋剤で架橋させたもの等が使用できる。ポリエステル変性アクリル樹脂が、特にラクトン変性アクリル系ポリオールとカルボキシル基含有ビニル系モノマーとを重合させたものであると、耐汚染性に優れ、より好適である。ラクトン変性アクリル系ポリオールは、水酸基含有ビニル系モノマー、カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその他のビニル系モノマーの混合物を、通常のラジカル重合開始剤を用いて、通常の有機溶剤中で、通常のラジカル共重合することにより得られるアクリル樹脂にラクトン化合物を加え、無触媒下で開環付加反応させることにより得られる。カルボキシル基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、前記水酸基含有ビニル系モノマーと無水フタル酸あるいはヘキサヒドロ無水フタル酸の付加体などが挙げられる。
プライマー塗膜層は防錆顔料及び樹脂成分を含んでいることが好ましい。プライマー塗膜層が防錆顔料を含んでいることによって、トップ塗膜層とプライマー塗膜層とを合わせた破断限界伸び率を調節することができる。更に、クラックが発生してもクラックからの亜鉛の酸化物(白錆)の発生が抑制され、代わりに防錆顔料が溶出されるため、耐食性が良好となる。長期耐食性を付与するためには、前記防錆顔料は、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛のうち少なくとも1つ以上を含むことが好ましい。また、前記プライマー塗膜層中の樹脂成分は、(1)エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂、または(2)エポキシ変性ポリエステル樹脂、を含むことが好ましい。塗膜と鋼板との密着性は、プライマー塗膜層と下地塗膜層との密着性によって決まるが、前記密着性を向上させるためには、前記プライマー塗膜層中の樹脂成分がエポキシ変性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
エポキシ変性ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂のカルボキシル基とエポキシ基含有樹脂との反応生成物や、ポリエステル樹脂中の水酸基とエポキシ樹脂中の水酸基とをポリイソシアネート化合物を介して結合した生成物などといった、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との付加や、縮合、グラフトなどの反応による反応生成物が好適に挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと多塩基酸とから公知のエステル化法により得られる種々のポリエステル樹脂を挙げることができる。ここで、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水添ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができ、また、多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水マレイン酸、フマール酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、更に、必要に応じて、安息香酸、p−ターシャリーブチル安息香酸等の一塩基酸を併用することもできる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスファノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシレンジイソシアメート及び/又はこれらのアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体などが挙げられ、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの非黄変型ポリイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体、あるいは、イソシアヌレート体が特に好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
防錆顔料に用いるリン酸アルミニウムは、試薬などの一般に公知のものを使用することができる。トリポリリン酸二水素アルミニウムは、一般に公知のトリポリリン酸アルミニウムを使用することができる。市販のもの、例えば、テイカ社製のトリポリリン酸二水素アルミニウムである「K−WHITE」(登録商標)等を使用することができる。
リン酸カルシウムは、試薬などの一般に公知のものを使用することができる。特に、トリポリリン酸二水素アルミニウムをカルシウム処理したものが好適であり、例えば、テイカ社製の「K−WHITE/Ca650」(カルシウム処理)等を使用することができる。
リン酸マグネシウムは、一般に公知のリン酸マグネシウムを使用することができる。特に、マグネシウム処理を施したトリポリリン酸二水素アルミニウムが好適であり、例えば、テイカ社製のマグネシウム処理を施したトリポリリン酸二水素アルミニウムである「K−WHITE/K−G105」等を使用することができる。
リン酸亜鉛は、試薬などの一般に公知のものを使用することができる。特に、トリポリリン酸二水素アルミニウムを亜鉛処理したものが好適であり、例えば、テイカ社製の「K−WHITE/#105」等を使用することができる。
プライマー塗膜層のガラス転移点温度は、50℃超100℃以下である。ガラス転移点温度が50℃以下であると、プレス時に塗膜が金型により伸ばされる際に細かくクラックが発生せず、端面塗膜剥離性に劣るため好ましくない。ガラス転移点温度が100℃超であると、発生したクラックが大きすぎ断片化した塗膜が剥離するため、端面塗膜剥離性に劣ることとなり好ましくない。
プライマー塗膜層のガラス転移点温度は、主樹脂であるエポキシ変性ポリエステル樹脂のガラス転移点温度によって制御できる。特に、プライマー塗膜層のガラス転移点温度は、ポリエステル樹脂部分のガラス転移点温度を変化させ、制御することができる。
トップ塗膜層は、メラミン樹脂を含有しないことが好ましい。トップ塗膜層がメラミン樹脂を含有しない場合、特に酸性雨による劣化が少ないので、より耐候性に優れる。また、物理的に汚れが付着することを防止するので、より耐汚染性に優れることとなる。
本発明の実施形態に係るプレコート金属板の表面の動摩擦係数は、トップ塗膜層の表面の動摩擦係数によって決まり、0.06以上0.25以下であることが好ましく、0.06以上0.13以下であることがより好ましい。動摩擦係数が0.06以上であれば、プレコート金属板をコイルとした場合にコイルつぶれが発生しないので好ましい。また、動摩擦係数が0.25以下であれば、プレス時に塗膜が疵つかず、プレス性に劣らないので好ましい。
動摩擦係数は、一般的に用いられるワックスを使用し、かかるワックスのトップ塗膜層への添加量によって調整することができる。
本発明の実施形態に係るプレコート金属板を50℃95%RH湿潤環境下に72時間放置した後のトップ塗膜層の表面の水接触角は、60度以下であることが好ましい。かかる条件における水接触角が60度以下である場合、雨によって汚れがより洗い流されやすくなる。かかる条件における水接触角の大きさは小さければ小さいほど良く、下限値が特に限定されるものではない。かかる水接触角は、公知の測定機器を用いて測定することが可能である。かかる条件における水接触角を60度以下とする方法としては、トップ塗膜にオルガノシリケートを添加する方法が考えられるがこれ以外の方法でもよい。トップ塗膜層は、オルガノシリケートを含有することが好ましい。
オルガノシリケートは、加水分解性ケイ素基を含有する化合物であり、下記一般式(1)として示される化合物又はその部分分解縮合物である。
Figure 0005975197
(式(1)中、R〜Rは、それぞれ同一又は互いに異なっていてもよい有機基を表す。また、nは、1以上の整数を表す。)
トップ塗膜層中に含まれるオルガノシリケートの含有量は、トップ塗膜層の樹脂固形分100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。オルガノシリケートの含有量が0.1質量部以上であると耐汚染性が向上するので好ましい。また、オルガノシリケートの含有量が20質量部より多い(20質量部超である)と、外観不良が発生しやすくなる。
また、プライマー塗膜層における防錆顔料濃度は、樹脂固形分100質量部に対して10質量部以上160質量部以下であることが好ましく、50質量部以上160質量部以下であることがより好ましい。防錆顔料濃度が10質量部以上であると耐食性が向上するので好ましく、防錆顔料濃度が160質量部超であると樹脂分が少ないために端面塗膜剥離性に劣る。
プレコート金属板に被覆するプライマー塗膜層の防錆顔料としては、公知の防錆顔料を併用することができ、例えば、カルシウムイオン交換シリカ、ケイ酸マグネシウム化合物、非6価クロム系防錆剤、例えば、モリブデン酸塩、バナジン酸/リン酸併用顔料(一般にVP顔料と呼ばれる。)等を使用することができる。これらは、市販品を用いても良い。カルシウムイオン交換シリカとは、一般に公知のシリカ表面のシラノール基にカルシウムをイオン交換させたタイプのものを意味し、市販のものを使用することもできる。カルシウムイオン交換シリカの市販のものとしては、GRACE社製の「SHIELDEX」(登録商標)等が挙げられる。
下地塗膜層に対して、微粒シリカ、シランカップリング剤、タンニン酸の少なくとも1つを含有することで、プライマー塗膜層のエポキシ変性ポリエステル樹脂との密着性に優れるため、より好ましい。
下地塗膜層の付着量は、特に規定するものではないが、全固形分質量が10〜1000mg/mの範囲であると、より好適である。下地塗膜層の付着量が10mg/m未満であると耐食性が劣ったり、端面塗膜剥離性が低下したりする恐れがあり、好ましくない。また、下地塗膜層の付着量が1000mg/m超であると、端面塗膜剥離性が低下する恐れがあり、好ましくない。
タンニン酸の添加量が2〜80g/lであると、更に好適である。タンニン酸の添加量が2g/l未満では、防錆効果や塗膜密着性が十分に得られず、一方、タンニン酸の添加量が80g/lを超えるとかえって防錆効果や塗膜密着性が低下したり、水溶液中に溶解しなかったりする。
使用可能なシランカップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランなどを挙げることができる。
塗膜密着性や耐食性の点からは、シランカップリング剤の含有量が2〜80g/lであると、更に好適である。
本実施形態において微粒シリカとは、微細な粒径を持つために水中に分散させた場合に安定に水分散状態を維持できるシリカをいう。上記微粒シリカとしては、例えば、「スノーテックスN」、「スノーテックスC」、「スノーテックスUP」、「スノーテックスPS」(何れも日産化学工業製)、「アデライトAT−20Q」(旭電化工業製)など市販のシリカゲル、またはアエロジル#300(日本アエロジル製)などの粉末シリカ、などを用いることができる。微粒シリカは、必要とされる性能に応じて、適宜選択すればよい。
また,塗装における乾燥焼付方法は、熱風オーブン、直火型オーブン、遠赤外線オーブン、誘導加熱型オーブン等の一般に公知の乾燥焼付方法を用いることができる。
本実施形態に係るプライマー塗膜層およびトップ塗膜層の膜厚は、それぞれ1〜30μmが好適である。膜厚が1μm未満では、塗膜層としての機能(例えば、着色性等)が得られない恐れがあり、膜厚が30μm超では、塗装焼付時にワキと呼ばれる塗装欠陥が発生する恐れがある。
本発明の実施形態に係るプレコート金属板に用いる金属板は、一般に公知の金属材料を用いることができる。かかる金属材料は、合金材料であってもよい。このような金属材料として、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミ板、アルミ合金板、チタン板、銅板等が挙げられる。これらの材料の表面には、各種のめっきが施されていてもよい。
めっきの種類としては、例えば、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等を挙げることができ、これらの合金めっきであってもよい。鋼板の場合は、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板、ステンレス鋼板等、一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。特に亜鉛系めっき鋼板の場合、耐食性がより向上するためより好適である。ここで、亜鉛系めっき鋼板とは、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板等の亜鉛をめっきした亜鉛めっき鋼板や、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板等の亜鉛と他の金属との合金めっき鋼板のことを指す。これら亜鉛系めっき鋼板の中でも、溶融亜鉛めっき鋼板や電気亜鉛めっき鋼板のような亜鉛めっき鋼板は、犠牲防食効果が大きく耐食性により優れるため、より好適である。また、これら亜鉛系めっき鋼板のめっき付着量が片面当り40〜90g/mであると、加工性と耐食性とが両立されるため、より好適である。片面当りのめっき付着量が40g/m未満では耐食性が劣る恐れがあり、90g/m超では加工時にめっき割れが発生し加工性に劣る恐れがある。
各塗膜層の塗装方法は、特に限定されず、一般に公知の塗装方法、例えば、ロールコート、リンガーロールコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬法等が採用できる。さらに、これらの塗布装置を完備した一般的コイルコーティングライン、シートコーティングラインと呼ばれる連続塗装ラインで塗布すると、塗装作業効率が良く大量生産が可能であるため、より好適である。

以下に実施例の詳細について記載する。
1.金属原板
新日鐵住金株式会社製の溶融亜鉛めっき鋼板「NSシルバージンク(登録商標)」(以降、GIと称する。)、新日鐵住金株式会社製の電気亜鉛めっき鋼板「NSジンコート(登録商標)」(以降、EGと称する。)、新日鐵住金株式会社製の亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板「NSジンクライト(登録商標)」(以降、ZLと称する。)、アルミニウム板「JIS3004」(以降、Alと称する。)、ステンレス鋼板「SUS430」(以降、SUSと称する。)、日鉄住金鋼板社製の亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板「ガルバニウム(登録商標)」(以降、GLと称する。)、新日鐵住金株式会社製の亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板「スーパーダイマ(登録商標)」(以降、SDと称する。)、日新製鋼株式会社製の亜鉛−アルミニウム―マグネシウム合金めっき鋼板「ZAM(登録商標)」(以降、ZAMと称する。)を原板として使用した。原板の板厚は、0.6mmのものを使用した。
本実験で用いたZLのめっき付着量は片面20g/mであり、めっき層中のニッケル量は12質量%であった。また、GI、SD、GL、ZAMは、めっき付着量が片面60g/mのものを用い、EGは、めっき付着量が片面20g/mのものを用いた。
2.塗料
本実施例では、金属板(原板)上に、一方の面(表面)にクロメートを含有しない下地塗膜層、その上にプライマー塗膜層、その上にトップ塗膜層の3層塗膜を有し、もう一方の面(裏面)に、表面と同じ下地塗膜層、その上に表面と同じプライマー塗膜層、その上に裏面塗膜層を有するプレコート金属板を作製した。
(下地塗膜層塗料)
下地塗料1:日本ペイント(株)製EC2000
下地塗料2:シランカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)5g/L、水分散コロイダルシリカ(日産化学社製「スノーテック−N」)を1.0g/L、水系ポリエステル樹脂(東洋紡社製MD−1100)を25g/Lを含む水溶液
(プライマー塗膜層塗料)
表2に記載の樹脂を主樹脂として、有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用。)に、樹脂固形分濃度が30質量%となるように溶解させた。主樹脂を2種類混合する場合は、主樹脂を50質量%ずつ混合した。表2に記載の樹脂のガラス転移点温度は、示差走査熱量測定法により測定した。
次に、架橋剤として、サイテックインダストリーズ社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」を主樹脂に対して添加した。メラミン樹脂の添加量は、樹脂固形分の質量比で、主樹脂固形分:メラミン樹脂固形分=80:20となるように添加した。さらに、このポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合溶液に、サイテックインダストリーズ社製の酸性触媒「キャタリスト(登録商標)600」を0.5質量%添加し、これらを攪拌することで、クリヤー塗料を得た。次に、この塗料中に、防錆顔料としてテイカ社製のトリポリリン酸二水素アルミニウム「K−WHITE G−105」(以下P−Alと称する。)、グレイス社製のカルシウムイオン交換シリカ「シールデックスC303」(以下、Ca−Siと称する。)、リン酸亜鉛系防錆顔料「EXPERT(登録商標)−NP500」(以下P−Znと称する。)、試薬のリン酸二水素マグネシウム(以下P−Mgと称する。)、試薬のリン酸カルシウム(以下、P−Caと称する。)を必要量添加し、攪拌することで、プライマー塗料を得た(下記表3を参照。)。表3に記載の樹脂のガラス転移点温度は、示差走査熱量測定法により測定した。
Figure 0005975197
エポキシ変性ポリエステル樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂とポリエステル(東洋紡社製バイロンの各グレード)とを共重合したもの
エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂
ポリエステル樹脂(ガラス転移温度55℃):バイロン(登録商標)660
Figure 0005975197
プライマー塗膜層の破断限界伸び率を測定するために、引張試験を実施した。引張試験は、GI原板に下地塗料2を100mg/m付着させその後プライマー塗料を5μm塗装し、速度200mm/minで引張を行った。原板の破断限界伸び率は60%であり、60%未満まではフィルムの伸び率に相当する。
(トップ塗膜層塗料)
<主樹脂>
以下の表4に記載の樹脂を、主樹脂とした。ここで、表4に記載の樹脂のガラス転移点温度は、示差走査熱量測定法により測定した。
Figure 0005975197
アクリル樹脂(ガラス転移温度55℃):ユーダブル(登録商標)S−2818
ポリエステル樹脂(ガラス転移温度55℃):バイロン(登録商標)660
ポリエステル樹脂(ガラス転移温度79℃):バイロン(登録商標)885
ポリエステル変性アクリル樹脂(ガラス転移温度21℃および55℃):上記の共重合体
<架橋剤>
アミノ樹脂架橋剤としては、三井サイテック社製のメチル化メラミン樹脂である「サイメル(登録商標)303」(Meと記載)、住友バイエルウレタン社製のイソシアネートであるデスモデュールBL−3175(BIと記載)、ナガセケムテックス社製のエポキシ樹脂EX−252(EPと記載)を、主樹脂:架橋剤が質量部で80:20になるように添加した。触媒として三井サイテック社製の「キャタリスト602」を用いた。触媒の添加量は、主樹脂固形分100質量部に対して0.5質量部添加した。
<オルガノシリケート>
オルガノシリケートとして、メチルシリケート51(コルコート社製)を添加した。
<ワックス>
日本精蝋(株)製の融点61℃のものを用いた。ワックスの添加量によって、動摩擦係数を変化させた。
<顔料>
市販の酸化チタンおよび酸化鉄、カーボンブラックを用いて着色した。全顔料濃度は、固形分100質量部に対して20質量部とした。
これらを混合して塗料としたトップ塗料の構成を、それぞれ表5に示す。下記の表5において、シリケートの添加量は、樹脂固形分100質量部に対する質量部である。これらは、有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に、樹脂固形分濃度が30質量%となるように溶解させた。
Figure 0005975197
トップ塗膜層の破断限界伸び率を測定するために、引張試験を実施した。引張試験は、GI原板に下地塗料2を100mg/m付着させその後トップ塗料を5μm塗装し、速度200mm/minで引張を行った。原板の破断限界伸び率は60%であり、60%未満まではフィルムの伸び率に相当する。
3.プレコート金属板の作製
各種金属板を、FC−4336(日本パ−カライジング製)の2質量%濃度、60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂を行い、水洗後、乾燥させた。次に、下地塗料を金属板の両面にロールコーターにて塗布し、熱風オーブンにて乾燥させた。熱風オーブンでの乾燥条件は、金属板の到達板温で60℃とした。クロメートフリー処理の付着量は、全固形分で80g/m付着するように塗装した。
次に、下地塗料を施した金属板の両面に、上述のように作製したプライマー塗膜を、ロールコーターにて乾燥膜厚で5μmとなるようにそれぞれ塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が210℃となる条件で乾燥硬化させた。乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷した。
更に、プライマー塗膜層上に片面にトップ塗料を、他方の面に日本ファインコーティングス社製の裏面塗料である「FL100HQ」のグレー色を、ロールコーターにてトップ塗料が乾燥膜厚で15μm、裏面塗料が乾燥膜厚で5μmとなるように、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で同時に乾燥焼付し、水冷することで供試材であるプレコート鋼板を得た。
作製したサンプルの表面の構成を、以下の表6に記載する。
Figure 0005975197
プレコート金属板の評価方法の詳細を記載する。
1.水接触角
作製したプレコート金属板を50℃95%RH湿潤環境下に72時間放置し、協和界面化学社製「DM−501」を用いて、トップ塗膜層の表面に2.0μlの水滴を滴下し、1秒後にθ/2法で水接触角を測定した。5回測定を行い、その平均値を評価対象とした。
2.耐汚染性試験
作製したサンプルを、千葉県富津市の沿岸付近にある屋外暴露試験場にて3ヶ月間暴露試験を行った。試験後のサンプルについて、汚れの有無を目視にて評価し、汚れが全く無い場合をA、汚れが僅かに観察される場合をB、汚れがはっきりと観察される場合をCと評価した。評価がCの場合、耐汚染性が劣ると判断した。
3.耐雨垂れ汚染性試験
作製したサンプルを、千葉県富津市の沿岸付近にある屋外暴露試験場にて12ヶ月間暴露試験を行った。試験後のサンプルについて、雨垂れ跡を含む汚れの有無を目視にて評価し、雨垂れ跡も汚れも全く無い場合をA、雨垂れ跡が一部で観察されるがその他の全体には汚れがなく良好な汚染性の場合をB、雨垂れ跡が一部で観察され、全体も汚れている場合をC、雨垂れ跡がはっきりと観察され、全体も汚れている場合をDと評価した。評価がDの場合、耐雨垂れ汚染性が劣ると判断した。
4.加工後の端面塗膜剥離性
作製したプレコート金属板を切断し、下バリ部をさらに金型を用いてバリ方向に下降した後、端面部の塗膜にテープをしっかり貼り、テープ剥離後を目視で観察し、塗膜のはがれの有無を調べた。剥離の全くない場合をA、塗膜に僅かな亀裂や剥離が認められる場合をB、塗膜に明確な大きな割れや剥離がある場合をCとして評価した。評価がCの場合、加工後の端面塗膜剥離性が劣ると判断した。
5.加工亀裂評価
幅5cmに切断した試験片について、JIS.G3312に準じた試験方法で20℃の雰囲気中で2T曲げを行った。具体的には、試験片と同一の塗板を2枚内側にはさみ、トップ塗膜が塗装されている表面を外側にして180度密着曲げを行った(図2を参照)。曲げ部全体に粘着テープ(商品名:セロハンテープ)を添付したのち、粘着テープを剥離し、剥離しなかったものについて、試験片の幅を10等分するように曲げ方向に対して平行に切断し、10個の切断面を観察した。図1に示されるトップ塗膜層2の最表層を測定することによってクラックの幅1を測定した。前記10個の切断面において、曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直な方向1mm長さの範囲Aに含まれるトップ塗膜層のクラックの幅1を測定し、そのすべての測定値のうちの最大値をクラックの最大幅(mm)とした。また、前記10個の切断面の各々において、曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直な方向1mm長さの範囲Aに含まれるトップ塗膜層のクラックの個数を合計し(図2の場合、前記範囲Aに含まれるクラックの数は7個)その合計値のうちの最大値をクラックの個数とした。なお、曲げ方向とは、2T曲げ試験後のプレコート金属板4の長手方向をいう。下記の表7には、各々の試験片について、クラックの個数と最大幅(mm)を記載した。
6.耐食性試験
20℃の環境下で2T曲げを行ったサンプルを、JIS K 5400.9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は、加工部に噴霧した。試験時間は、EG及びZLを原板に用いたサンプルについては240時間、その他の原板に用いたサンプルについては500時間とした。加工部の白錆面積率を測定し、5%以下の場合をA、20%以下の場合をB、50%以下をC、50%超の場合をDと評価した。評価がDの場合、耐食性が劣ると判断した。
7.動摩擦係数
表面性測定機HEIDON−14型(新東科学社製)を用いて、荷重100g、ボール圧子φ10mm、移動速度150mm/分の条件にて測定した。
上記試験の評価結果を、表7にまとめる。
Figure 0005975197
プライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率を測定するために、引張試験を実施した。引張試験は、GI原板に下地塗料2を100mg/m付着させその後プライマー塗料を5μm塗装し、さらにトップ塗料を5μm塗装し、速度200mm/minで引張を行った。原板の破断限界伸び率は60%であり、60%未満まではフィルムの伸び率に相当する。
本発明の実施形態に係るプレコート金属板について破断限界伸び率が10%となるまで引張試験を行ったが、亀裂は入らなかった。
上記表7から明らかなように、本発明例のプレコート金属板は、耐汚染性、加工後の端面塗膜剥離性、耐食性に優れていることがわかる。
また、上記表7から明らかなように、本発明例のプレコート金属板は、2T密着曲げ加工した際、曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直な方向1mm長さの範囲Aに、トップ塗膜層に幅0.1mm以下のクラックが合計5個以上30個以下発生することがわかる。
上記表7から明らかなように、プライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率を10%未満とした場合(水準43)、本発明例よりも、塗膜層のクラックが大きく、加工後の端面塗膜剥離性が明らかに劣る。また、プライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率を25%超とした場合(水準38、40〜42及び44〜48)、本発明例よりも、耐汚染性又は加工後の端面塗膜剥離性が劣ることがわかる。
また、トップ塗膜層の破断限界伸び率が10%超で、プライマー塗膜層の破断限界伸び率が40%以上50%以下である場合(水準40及び45〜47)、本発明例よりも、耐汚染性が明らかに劣ることがわかる。
更に、トップ塗膜層の破断限界伸び率が5%以上10%以下で、プライマー塗膜層の破断限界伸び率が40%未満である場合(水準37、43及び49)、本発明例よりも、塗膜層のクラックが大きく、加工後の端面塗膜剥離性が明らかに劣ることがわかる。
上記表7から明らかなように、プライマー塗膜層及びトップ塗膜層の樹脂成分をともにポリエステル樹脂とし、プライマー塗膜層とトップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率を10%未満とした場合(水準49)、本発明例よりも、耐汚染性及び加工後の端面塗膜剥離性が劣ることがわかる。また、プライマー塗膜層及びトップ塗膜層の樹脂成分をともにポリエステル樹脂とし、プライマー塗膜層の破断限界伸び率を50%超とした場合(水準48)、本発明例よりも、耐汚染性及び加工後の端面塗膜剥離性が明らかに劣ることがわかる。
また、トップ塗膜層の破断限界伸び率を10%超とした場合も同様に(水準45〜47)、本発明例よりも、耐汚染性及び加工後の端面塗膜剥離性が明らかに劣ることがわかる。
以上、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

本発明の実施形態によれば、長期の耐汚染性、端面塗膜剥離性、耐食性に優れるプレコート金属板を提供することができる。
1 クラックの幅
2 トップ塗膜層
3 プライマー塗膜層
4 プレコート金属板
A 曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直な方向1mm長さの範囲

Claims (10)

  1. 金属板と、
    前記金属板上に設けられ、クロメートを含有しない下地塗膜層と、
    前記下地塗膜層上に設けられ、クロメートを含有しないプライマー塗膜層と、
    前記プライマー塗膜層上に設けられたトップ塗膜層と、
    を有するプレコート金属板であって、
    前記プライマー塗膜層と前記トップ塗膜層とを合わせた塗膜層の破断限界伸び率が10%以上25%以下であり、
    前記プライマー塗膜層のガラス転移点温度が、50℃超100℃以下であり、
    前記トップ塗膜層は樹脂成分を含み、前記樹脂成分はアクリル樹脂またはポリエステル変性アクリル樹脂を含み、
    前記プレコート金属板を2T密着曲げ加工した際、曲げ頭頂部を中心に曲げ方向に対して垂直な方向1mm長さの範囲に、前記トップ塗膜に幅0.1mm以下のクラックが合計5個以上30個以下発生する
    ことを特徴とする、プレコート金属板。
  2. 前記プライマー塗膜層の破断限界伸び率が40%以上50%以下であり、
    前記トップ塗膜層の破断限界伸び率が5%以上10%以下であり、
    前記プライマー塗膜層は防錆顔料及び樹脂成分を含み、前記防錆顔料は、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムまたはリン酸亜鉛のうち少なくとも1つ以上を含み、前記プライマー塗膜層中の前記樹脂成分はエポキシ変性ポリエステル樹脂を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載のプレコート金属板。
  3. 前記プライマー塗膜層が防錆顔料を含み、前記防錆顔料の濃度が、樹脂固形分100質量部に対して10質量部以上160質量部以下である
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載のプレコート金属板。
  4. 前記トップ塗膜層は、メラミン樹脂を含有しない
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプレコート金属板。
  5. 前記トップ塗膜層の表面の動摩擦係数が0.06以上0.25以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプレコート金属板。
  6. 50℃95%RH湿潤環境下に72時間放置後の前記トップ塗膜層の表面の水接触角が、60度以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプレコート金属板。
  7. 前記トップ塗膜層が、オルガノシリケートを含有する
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプレコート金属板。
  8. 前記トップ塗膜層中の前記オルガノシリケートの含有量が、前記トップ塗膜層の樹脂固形分100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下である
    ことを特徴とする、請求項7に記載のプレコート金属板。
  9. 前記下地塗膜層は、微粒シリカ、シランカップリング剤、タンニン酸の少なくとも1つを含有する
    ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプレコート金属板。
  10. 前記プライマー塗膜層の膜厚が3〜10μmであり、前記トップ塗膜層の膜厚が5〜25μmである
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のプレコート金属板。
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