JP2005288963A - 樹脂塗装金属板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた耐雨だれ汚染性および耐汚染性を有しつつ、高度な成形性も兼ね備えた樹脂塗装金属板を提供する。
【解決手段】 アルコキシシラン由来の成分および/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物由来の成分、ポリエステル樹脂由来の成分、およびメラミン樹脂由来の成分を含有する表層を有し、該表層では、特定の深さ位置においてSi、N、CおよびOの存在比率を測定し、その合計を100原子%としたとき、Siの存在比率の最大値を示す深さ位置が、表面から0nmであり、且つ該深さ位置でのSiの存在比率が10原子%以上であり、Nの存在比率の最大値を示す深さ位置が、表面から10nmおよび/または30nm であり、且つNの存在比率が、表面から0nmの深さ位置で3原子%以下、表面から10nmの深さ位置で7原子%以上であることを特徴とする樹脂塗装金属板である。

Description

本発明は、クロメート系またはノンクロメート系の樹脂塗装金属板に関するものである。
屋内外で用いられる金属製機器などに適用される金属板では、生産性向上などの観点から、加工後に金属製機器メーカーが塗装を行うポストコート金属板に代わり、予め塗装を施した樹脂塗装金属板(プレコート金属板)が汎用されている。こうした樹脂塗装金属板では塗装後に成形加工などが実施される関係上、塗装皮膜には、クラックなどの欠陥が発生しないこと、すなわち、加工性が良好であることが要求される。
また、例えば、屋外で使用される金属製機器などでは、油滴などの汚染物が付着する機会が多い。こうした汚染物は、金属製機器表面の塗装皮膜内に浸入することがある。一旦汚染物が塗装皮膜内に浸入すると、後で拭き取りなどをしても汚れを落とすことができない。そこで、金属製機器などでは、外観の美麗さを保つ観点から、塗装皮膜内部への汚染物の浸透を遮断する機能(耐汚染性)が要求される。さらに、屋内で用いられる金属製機器(家電機器など)においても、その用途などによっては、こうした耐汚染性が要求されることもある。
加えて、屋外で使用される金属製機器などでは、塵埃を含んだ雨水によって筋状の汚れも付きやすい(所謂雨だれ汚染)。よって、特に屋外で使用される金属製機器では、耐雨だれ汚染性確保の要請もある。
樹脂塗装金属板における耐雨だれ汚染性の確保を主目的の一つとした技術としては、特許文献1に、(A)フィルム形成性ポリオール樹脂と、(B)アミノ樹脂硬化剤と、(C)アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物と、(D)樹脂(A)と硬化剤(B)との反応を促進する触媒とを含む熱硬化性樹脂組成物、および該組成物より形成された塗膜を有する物体(例えば金属板)が開示されている。
特開平10−67945号公報(特許請求の範囲など)
特許文献1に開示の熱硬化性樹脂組成物より形成されてなる皮膜を有する金属板は、それなりの耐雨だれ汚染性を確保できるものである。しかしながら、特許文献1では、その用途との関係上、形成皮膜の硬度を高くすることも課題としており、該皮膜を有する金属板における成形加工性の確保については、重視していない。最近では、樹脂塗装金属板(プレコート金属板)の適用分野が非常に広がっており、これに応じて、より高い成形性(加工後においても、塗装皮膜外観や、耐雨だれ汚染性および耐汚染性を良好に保ち得る性能)が要求されるようになっている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた耐雨だれ汚染性および耐汚染性を有しつつ、高度な成形性も兼ね備えた樹脂塗装金属板を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の樹脂塗装金属板は、アルコキシシラン由来の成分および/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物由来の成分、ポリエステル樹脂由来の成分、およびメラミン樹脂由来の成分を含有する表層を有し、該表層では、表面からの深さが0nm、10nm、30nm、50nm、100nm、150nmおよび200nmにおけるSi、N、CおよびOの存在比率を測定し、その合計を100原子%としたときたとき、Siの存在比率の最大値を示す深さ位置が表面から0nmであり、且つ該深さ位置でのSiの存在比率が10原子%以上であり、Nの存在比率の最大値を示す深さ位置が表面から10nmおよび/または30nmであり、且つNの存在比率が、表面から0nmの深さ位置で3原子%以下、表面から10nmの深さ位置で7原子%以上であるところに要旨を有しており、耐雨だれ汚染性および耐汚染性、並びに成形性に優れている。
上記表層は、メラミン樹脂を架橋剤として架橋されたポリエステル樹脂成分を含有するものである。
本発明の樹脂塗装金属板に係る上記表層は、好ましくは、アルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、および酸触媒を含む組成物により形成されてなるものである。
上記組成物において、上記酸触媒は、アミン類でブロックされたスルホン酸類であることが好ましい。また、上記組成物における上記ポリエステル樹脂としては、数平均分子量が10,000〜15,000、ガラス転移温度が−5〜45℃、水酸基価が3〜15mgKOH/gであるものが好適である。
さらに、上記組成物としては、ポリエステル樹脂100質量部に対し、アルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物を7〜40質量部含有するもの;ポリエステル樹脂100質量部に対し、メラミン樹脂を10〜30質量部含有するもの;ポリエステル樹脂100質量部に対し、酸触媒を0.03〜0.5質量部含有するものが推奨される。
本発明の樹脂塗装金属板の好適な実施態様としては、上記表層が、下地処理がなされた金属板表面に設けられた下塗り塗膜表面に形成されてなるものが挙げられる。
上記樹脂塗装金属板では、T折り曲げ性試験による評価値が0T〜2Tであることが望ましい。
ここで、上記T折り曲げ試験における評価値:0Tとは、樹脂塗装金属板について180°曲げを行った後に、上記表層表面をルーペを用いて倍率:10倍で観察した際に、クラックが確認されない場合を意味し、
評価値:1Tとは、樹脂塗装金属板について、該樹脂塗装金属板と同じ厚みの板1枚を挟み込むように180°曲げを行った後に、上記表層表面をルーペを用いて倍率:10倍で観察した際に、クラックが確認されない場合を意味し、
評価値:2Tとは、樹脂塗装金属板について、該樹脂塗装金属板と同じ厚みの板2枚を挟み込むように180°曲げを行った後に、上記表層表面をルーペを用いて倍率:10倍で観察した際に、クラックが確認されない場合を意味する。
以下、本明細書では、「アルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物」を纏めて「アルコキシシランなど」と、「アルコキシシラン由来の成分および/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物由来の成分」を纏めて「アルコキシシランなど由来の成分」ということがある。
本発明の樹脂塗装金属板は、表層の構成の精密な制御によって、優れた耐雨だれ汚染性および耐汚染性を有しつつ、高度な加工性も兼ね備えており、例えば、汚染物が付着しても、雨がかかったり水洗いしたりすることで、該汚染物が容易に除去され得る。また、種々の形状に加工しても、塗装皮膜外観や耐雨だれ汚染性、耐汚染性が高度に保持される。よって、本発明の樹脂塗装金属板では、例えば降雨に曝されるような屋外環境下で使用される金属製機器の外表部材などに好適に用い得る。
本発明では、樹脂塗装金属板に係る表層において、アルコキシシラン由来の成分および/またはその部分加水分解縮合物由来の成分が濃化されている領域と、メラミン樹脂由来の成分が濃化されている領域の、表層最表面からの深さ位置を制御することで、耐雨だれ汚染性および耐汚染性と、成形性の両立を極めて高度に達成した点に最大の特徴を有している。加工性については、本発明の樹脂塗装金属板は、例えば、T折り曲げ試験における上記の評価値が0T以上2T以下(より好ましくは1T以下)といった極めて優れた加工性を有している。以下、本発明の樹脂塗装金属板の構成について、詳細に説明する。
<表層>
本発明の樹脂塗装金属板に係る表層は、アルコキシシラン由来の成分および/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物由来の成分、ポリエステル樹脂由来の成分、およびメラミン樹脂由来の成分を含有しており、表面からの深さが0nm、10nm、30nm、50nm、100nm、150nmおよび200nmにおけるSi、N、CおよびOの存在比率を測定し、その合計を100原子%としたとき、Siの存在比率の最大値を示す深さ位置が、表面から0nmであり、且つ該深さ位置でのSiの存在比率が10原子%以上であり、Nの存在比率の最大値を示す深さ位置が表面から10nmおよび/または30nmであり、且つNの存在比率が、表面から0nmの深さ位置で3原子%以下、表面から10nmの深さ位置で7原子%以上である。
アルコキシシランなど由来の成分は、表層表面部の親水性を高め得るため、耐雨だれ汚染性の確保に寄与し得る。
また、メラミン樹脂は、表層の基体となるポリエステル樹脂分子間に架橋構造を形成するための架橋剤であるが、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とで架橋構造を形成する際に、該メラミン樹脂を皮膜表面近傍で濃化させることで、メラミン樹脂同士の緻密な架橋が形成されて、耐汚染性を向上させ得ることが知られている。
よって、表層にアルコキシシランなど由来の成分を含有させ、さらにメラミン樹脂由来の成分を表層表面近傍に濃化させることで、良好な耐雨だれ汚染性および耐汚染性が確保できると予想できる。
ところが、アルコキシシランなど由来の成分、および表層表面近傍に濃化されるメラミン樹脂由来の成分(特にメラミン樹脂同士の結合による形成成分)は、非常に硬く脆いため、これらの成分を単に共存させただけでは、表層表面部において、アルコキシシランなど由来の成分とメラミン樹脂由来の成分が海島構造となり、加工性(例えば、後記実施例に係るT折り曲げの如き極めて厳しい条件での加工性)が不十分であり、表層表面に非常に微細なクラックが発生し、商品価値が大きく損なわれることが判明した。
そこで、本発明者等は、上記の構成成分を有する表層において、耐雨だれ汚染性や耐汚染性のみならず、極めて高度な加工性も兼ね備えた構成を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、該表層の深さ位置におけるアルコキシシランなど由来の成分の濃化領域と、メラミン樹脂由来の成分の濃化領域との位置関係を、厳密に制御すればよいとの知見を得、本発明を完成させたのである。
すなわち、表層の表面近傍において、深さ方向における濃化のピークが、アルコキシシランなど由来の成分については最表面に、メラミン樹脂由来の成分については10〜30nm付近になるようにし、さらにこれらの深さ位置でのアルコキシシランなど由来の成分量およびメラミン樹脂由来の成分量を制御すれば、樹脂塗装金属板の曲げ加工時における表面での微小クラック(例えば、ルーペで10倍に拡大して初めて確認できる程度の微小クラック)の発生を高度に抑制しつつ、耐雨だれ汚染性および耐汚染性も高度に確保できる。
本発明に係る表層において、アルコキシシランなど由来の成分の濃化領域の深さ位置、およびメラミン樹脂由来の成分の濃化領域の深さ位置は、表層表面から0nm、10nm、30nm、50nm、100nm、150nmおよび200nmの各深さ位置について、X線光電子分光装置によって広域光電子スペクトル測定を行い、得られる光電子スペクトルからSi、N、CおよびOの各元素の存在比率を求めることで確認できる。これらの元素のうち、Siはアルコキシシランなど由来の成分に基づくものであり、Nはメラミン樹脂由来の成分に基づくものである。
そして、上記各深さ位置ごとに、Si、N、CおよびOの全元素の合計量を求めたとき、Siの存在比率が最大値を示す深さ位置が表面から0nmであり、且つ該深さ位置でのSiの存在比率が10原子%以上(より好ましくは15原子%以上)であり、Nの存在比率が最大値を示す深さ位置が表面から10nmおよび/または30nmであり、且つNの存在比率が、表面から0nmの深さ位置で3原子%以下(より好ましくは2原子%以下)、表面から10nmの深さ位置で7原子%以上(より好ましくは8原子%以上)であるときには、本発明に係る表層が、耐雨だれ汚染性、耐汚染性および加工性を確保するのに、非常に好適な構成となっている。
表面から0nmの深さ位置でのSiの存在比率が小さすぎると、表層表面におけるアルコキシシランなど由来の成分量が少なすぎて、耐雨だれ汚染性が十分に確保できない。なお、表面から0nmの深さ位置でのSiの存在比率の上限は30原子%であることが好ましい。
また、表面から0nmの深さ位置でのNの存在比率が大きすぎると、表層表面でアルコキシシランなど由来の成分とメラミン樹脂由来の成分が海島構造を形成して、加工性低下の原因となる。なお、表面から0nmの深さ位置でのNの存在比率の下限は4原子%であることが望ましい。
さらに、表面から10nmの深さ位置でのNの存在比率が小さすぎると、該深さ位置でのメラミン樹脂同士の自己縮合による緻密な架橋構造が十分に形成できておらず、主に耐汚染性が低下する。なお、表面から10nmの深さ位置でのNの存在比率の上限は12原子%であることが好ましい。
このような本発明に係る表層は、アルコキシシランなど、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂および酸触媒を含む液状組成物(表層形成用組成物)から形成されるが、この組成物の構成を特定のものとすることで、本発明に係る表層における上記の構成を確保することができる。本発明に係る表層を形成する上で、特に重要になるのは、メラミン樹脂の反応速度の制御と、表層形成用組成物中の各成分の組成比の調整である。
具体的には、アルコキシシランなど由来の成分と、メラミン樹脂由来の成分を、夫々表層表面近傍の特定深さ位置に濃化させるには、表面形成用組成物中において、アルコキシシランなどを特定比率で共存させつつ、メラミン樹脂の反応速度をある程度低く抑えて、メラミン樹脂の反応活性が表層表面近傍で高くなるようにすればよい。
このようにすることで、表層形成の際に、アルコキシシランなどの加水分解縮合がより多く生じる箇所を最表面近傍とし、且つメラミン樹脂同士の縮合がより多く生じる箇所を表面から5〜40nmの間とできるため、本発明に係る表層を形成することができる。
アルコキシシランなどは、表層において、それら同士の加水分解縮合物として存在する他、他の成分(ポリエステル樹脂やメラミン樹脂)とも一部反応し得る。本発明でいう「アルコキシシラン由来の成分および/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物由来の成分」とは、こうした反応生成物および未反応物を意味している。
アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類;などが挙げられる。これらのアルコキシシランは、1種単独で用いる他、2種以上を併用してもよい。また、これらのアルコキシシランは、2分子以上がアルコキシシリル基の一部を残存させつつ、加水分解縮合したもの(すなわち、アルコキシシランの部分加水分解縮合物)であってもよい。
ポリエステル樹脂は、表層において主体となる成分であり、メラミン樹脂を架橋剤として架橋される他、一部はアルコキシシランとも反応し得る。本発明でいう「ポリエステル樹脂由来の成分」とは、こうした反応生成物および未反応物を意味している。
ポリエステル樹脂としては、数平均分子量が10,000以上、より好ましくは12,000以上であって、14,000以下、より好ましくは13,000以下のものが推奨される。ポリエステル樹脂の数平均分子量が小さすぎると、樹脂塗装金属板の加工性が低下する傾向にある。他方、ポリエステル樹脂の末端官能基(水酸基およびカルボキシル基)は、架橋剤であるメラミン樹脂と反応する活性点として作用するため、ポリエステル樹脂の数平均分子量が大きすぎると、末端官能基数が減少することとなるため、架橋密度が低下して、加工性は向上するものの表層の硬度が低下する傾向にある。なお、本明細書でいうポリエステル樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される値(ポリスチレン換算値)を意味する。
また、上記ポリエステル樹脂では、ガラス転移温度(Tg)が、−5℃以上、より好ましくは5℃以上であって、30℃以下、より好ましくは20℃以下であることが望ましい。Tgが高すぎるポリエステル樹脂を用いると、樹脂塗装金属板の加工性(特に常温での加工性)が低下する傾向にある。他方、Tgが低すぎるポリエステル樹脂を用いると、硬度および耐汚染性が低下する傾向にある。本明細書でいうポリエステル樹脂のTgは、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される中間点ガラス転移温度(Tmg)を意味する。
さらに、上記ポリエステル樹脂では、水酸基価が小さいことが好ましく、具体的には、水酸基価が3mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上であって、12mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下であることが推奨される。
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸と多価アルコールを主たる原料として合成される樹脂であり、該樹脂分子の両末端は、水酸基またはカルボキシル基となる。これらの末端官能基がメラミン樹脂の有する官能基と反応して架橋構造が形成されるが、その反応速度は、水酸基の方がカルボキシル基よりも速い。そのため、末端水酸基量の多い(すなわち、水酸基価の大きな)ポリエステル樹脂を用いると、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂の反応がより速く進行するため、表層表面近傍の特定の深さ位置にメラミン樹脂同士の縮合体を形成させ難くなる他、アルコキシシランなど由来の成分を表層最表面で濃化させることも困難となる。他方、ポリエステル樹脂の水酸基価が小さすぎると、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂との反応が生じ難くなる傾向にある。
メラミン樹脂は、ポリエステル樹脂分子間に架橋構造を形成するための架橋剤としての役割を担うものであるが、本発明に係る表層では、表面近傍の特定の深さ位置において、それら同士での縮合体を形成して、耐汚染性を向上させる成分となる。また、メラミン樹脂は、一部アルコキシシランなどとも反応し得る。よって、本発明でいう「メラミン樹脂由来の成分」とは、これらの反応生成物および未反応物を意味している。
メラミン樹脂には、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとの反応物で、反応性に優れるメチロール基を分子中に有するものの他、このメチロール基がアルコール類で処理されてアルコキシル基に変換されてなるアルキル化メラミン樹脂も含まれる。アルキル化メラミン樹脂としては、メタノールで処理されてなるメチル化メラミン樹脂、エタノールで処理されてなるエチル化メラミン樹脂などが挙げられる。これらのメラミン樹脂を単独使用する他、2種以上を併用してもよい。
本発明では、表層形成用組成物の安定性確保の観点や、表層を上記特定の構成とする観点から、より安定性に富むアルキル化メラミン樹脂を用いることが好ましい。なお、アルキル化メラミン樹脂には、メラミン樹脂が有するメチロール基の一部のみがアルコール類で処理されてなるものと、メチロール基の全てが処理されてなるものの両者が存在するが、本発明では、後者のを用いる方が望ましい。
表層形成用組成物に含まれる酸触媒は、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂の反応、およびメラミン樹脂同士の縮合反応を促進すると共に、アルコキシシランなどの加水分解縮合も促進するためのものである。
特に、メラミン樹脂を、ポリエステル樹脂との縮合(架橋形成)のみならず、表層表面近傍の特定の深さ位置で自己縮合させるためには、また、アルコキシシランなどを表層最表面近傍で加水分解縮合させるためには、酸触媒として、アミン類でブロックされたスルホン酸類(スルホン酸類のアミン塩)を用いることが望ましい。アミン類でブロックされたスルホン酸類では、アミン類が脱離して初めて触媒作用が発揮されるが、アミン類を脱離させるためには、ある程度加熱される必要がある。よって、液状の表層形成用組成物を金属板表面(より具体的には金属板に設けられた下塗り塗膜表面)に塗布した後に、乾燥および各反応を行うために加熱すると、アミン類でブロックされたスルホン酸類から、ブロック剤であるアミン類が脱離する。そして、アミン類が脱離したスルホン酸類は、表層表面側に移行する。よって、アルコキシシランなどの加水分解縮合や、メラミン樹脂が関与する反応は、表層表面近傍で生じ易くなるため、表層における上記の構成が達成され易くなる。
上記酸触媒に係るスルホン酸類としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などが挙げられる。また、これらのスルホン酸類のスルホン酸基をブロックするアミン類としては、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリンなどが例示できる。
表層を形成するに当たっては、金属板表面に表層形成用組成物を塗布などする方法の採用が好ましいため、該組成物は液状であることが望ましい。よって、表層形成用組成物は溶媒も含むことが推奨される。表層形成用組成物に用いる溶媒は、該組成物が含有すべき各成分を溶解または分散させ得るものであれば、特に制限はない。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、ベンゼン、キシレン、ソルベッソ100(エクソンモービル社製)、ソルベッソ150(エクソンモービル社製)などの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;などが挙げられる。なお、上記溶媒には、アルコキシシランなどを加水分解縮合させるための水を混合しておくことが望ましい。
また、表層形成用組成物には、必要に応じて公知の各種添加剤を含有させてもよい。例えば、二酸化チタン、体質顔料(タルク)、分散剤、消泡剤、沈降防止剤、流動調整剤などが挙げられる。
表層形成用組成物においては、各成分を好適な組成比に調整することも、表層を上記構成とする上で推奨される。
表層形成用組成物中のアルコキシシランなどの含有量は、ポリエステル100質量部に対し、7質量部以上、より好ましくは10質量部以上であって、40質量部以下、より好ましくは30質量部以下であることが望ましい。アルコキシシランなどの含有量が多すぎると、加工性が低下する傾向にあると共に、表層外観が悪化する他、表層形成用組成物の安定性も低下する。他方、アルコキシシランなどの含有量が少なすぎると、表層表面でのアルコキシシランなど由来の成分の濃化の程度が不十分となり、耐雨だれ汚染性が低下する傾向にある。
表層形成用組成物中のメラミン樹脂の含有量は、ポリエステル100質量部に対し、10質量部以上、より好ましくは20質量部以上であって、30質量部以下であることが推奨される。メラミン樹脂の含有量が多すぎると、表層表面でのメラミン樹脂の自己縮合が進行してアルコキシシランなど由来の成分と海島構造を形成すると共に、表層内部の比較的深い位置でもメラミン樹脂の自己縮合が生じ易くなり、加工性が低下する傾向にある。
表層形成用組成物中の酸触媒の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対し、0.03質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であって、0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部であることが望ましい。酸触媒量が多すぎると表層が硬くなりすぎて加工性が低下する傾向にある。他方、酸触媒量が少なすぎると、アルコキシシランなど由来の成分やメラミン樹脂由来の成分の表層表面近傍での形成が不十分となり、耐雨だれ汚染性や耐汚染性が低下する傾向にある。
上記表層は、金属板の適用形態によっては、その片面にのみ形成されていてもよいが、両面に形成されていることがより好ましい。
表層の形成は、上記表層形成用組成物を、金属板表面(金属板表面に形成された下塗り塗膜表面)に塗布などし、焼き付けを行って、乾燥および各成分の縮合反応を行う。塗布方法は特に限定されず、表層形成用組成物の浴中に金属板を浸漬する方法の他、公知の塗布法(各種塗布ロールを用いた塗布法など)が採用できる。焼き付け温度は、例えば、金属板の到達温度で200〜250℃とすることが好ましく、220〜240℃とすることがより好ましい。また、焼き付けの時間は30秒〜2分とすることが望ましく、40秒〜60秒とすることがより望ましい。
このようにして形成される表層の厚みは、例えば、12μm以上、より好ましくは15μm以上であって、35μm以下、より好ましくは20μm以下とすることが推奨される。
<金属板>
本発明では、金属板として、例えば、冷延鋼板、熱延鋼板、電気亜鉛めっき鋼板(EG)、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、5%Al−Znめっき鋼板、55%Al−Znめっき鋼板、Alなどの各種めっき鋼板、ステンレス鋼板などの鋼板類や、公知の金属板などを全て適用することができる。
上記金属板には、クロメート処理またはノンクロメート処理といった下地処理がなされる。具体的には、クロメート処理の場合には、クロメート系の下地処理皮膜が金属板表面に形成され、ノンクロメート処理の場合には、非クロメート系の下地処理皮膜が金属板表面に形成される。これらの下地処理皮膜は、金属板の片面のみに設けてもよいし両面に設けても構わないが、両面に設けることがより好ましい。
上記下地処理皮膜を形成するに当たっては、従来公知の下地処理を施せばよい。例えば、クロメート系の下地処理皮膜を形成する場合には、クロム酸をスプレーした後に水洗する反応型クロメート処理を施してもよく、塗布型クロメート処理として、関西ペイント社製の「コスマーC」や、日本ペイント社製の「NRC300」「NRC500」などの下地処理剤を、単独使用または併用する処理法を採用してもよい。他方、非クロメート系の下地処理皮膜を形成する場合には、リン酸塩系、シリカ系、チタン系、ジルコニウム系などの下地処理剤を、単独使用または併用する処理法が好ましい。代表的な処理剤としてはシリカ系、ジルコニウム系の下地処理剤、若しくは重リン酸アルミニウムとシリカを混合した下地処理剤が挙げられる。
例えば、反応型クロメート処理の場合、Cr量が10〜30mg/mとなるように被覆することが望ましく、塗布型クロメート処理の場合、Cr量が20〜100mg/mとなるように被覆することが推奨される。
<下塗り塗膜>
下地処理が施された金属板表面(下地処理皮膜表面)には、下塗り塗膜を形成する。下塗り塗膜としては、公知の各種樹脂皮膜が挙げられる。下塗り塗膜を構成する樹脂の種類は特に制限はなく、例えば、ポリエステル系、エポキシ系などの各種樹脂が挙げられる。これらのうち、加工性や表層との密着性を考慮すれば、ポリエステル樹脂の使用が望ましい。
下塗り塗膜中には、防錆剤を含有させることも好ましい。特に非クロメート系の下地処理を行う場合には、下塗り塗膜中に防錆剤を含有させることで、耐食性が著しく向上する。防錆剤としては、公知の各種防錆剤が利用できる。例えば、シリカ系化合物、リン酸塩系化合物、亜リン酸塩系化合物、ポリリン酸塩系化合物、イオウ系有機化合物、ベンゾトリアゾール、タンニン酸、モリブデン酸塩系化合物、タングステン酸塩系化合物、バナジウム系化合物、クロム酸塩系化合物(クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸亜鉛など)、シランカップリング剤などが挙げられ、これらを単独使用または併用することができる。
中でも、シリカ系化合物(カルシウムイオン変換シリカなど)と、リン酸塩系化合物、亜リン酸塩系化合物、ポリリン酸塩系化合物(トリポリリン酸アルミニウムなど)(これらを纏めて、「リン酸塩系化合物など」という)との併用がより好ましい。これらを併用する場合の組成としては、質量比で、シリカ化合物:リン酸塩系化合物など=1.0:9.0〜9.0:1.0(より好ましくは2:8〜8:2)とすることが推奨される。このような範囲で併用することで、優れた防食性と加工性を確保できる。特に好ましくは、カルシウムイオン変換シリカとポリリン酸塩系化合物との併用である。上記ポリリン酸塩系化合物としては、ピロリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、トリポリリン酸第2水素アルミニウムなどが好適である。
上記防錆剤は、塗料(下塗り塗膜を構成する樹脂を塗料に換算したもの)に対し、3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であって、50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下であるとが望ましい。防錆剤の量が少なすぎると、防錆剤を用いることによる耐食性向上効果が十分に確保できないことがある。他方、防錆剤の量が多すぎると、樹脂塗装金属板の加工性が低下する傾向にある。
下塗り塗膜の厚みは、例えば、2μm以上、より好ましくは5μm以上であって、15μm以下、より好ましくは10μm以下とすることが望ましい。
なお、上記防錆剤の使用により耐食性は確保できるが、他方、防錆剤を添加することで樹脂塗装金属板の加工性が低下することも知られている。加工性向上の観点からは、例えば、下塗り塗膜を構成する樹脂および架橋剤の組み合わせとして、エポキシ変性ポリエステル樹脂および/またはフェノール誘導体を骨格に導入したポリエステル樹脂、および架橋剤(好ましくはイソシアネート架橋剤および/またはメラミン樹脂架橋剤)を組み合わせて使用することが望ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:0.6mm、片面当たりのめっき付着量:45g/m)に化成処理として、塗布型クロメート処理剤(日本パーカライジング株式会社製「ZM−1300D」)を両面に塗布した後、到達板温:100℃で乾燥した。次いで、日本コーティングス株式会社製「ファインタフD AN−20P」を固形分換算の膜厚で10μmとなるように両面に塗布し、到達板温:215℃で50秒焼き付けて下塗り塗膜を形成した。
次いで、表1および表2に示す組成の表層形成用組成物を両面に塗布し、到達板温:230℃で50秒焼き付けて、樹脂塗装金属板を得た。
なお、表層形成用組成物は、次のようにして調製した。表1および表2に示す配合組成に応じて、ポリエステル樹脂の一部と溶媒の一部を混合し、ついて二酸化チタンを混合した後、アトライターを用いて分散させた。これに、残りのポリエステル樹脂、架橋剤および酸触媒を加え、撹拌しながら、更に体質顔料を添加した後、残りの溶媒を加えた。最後にテトラエトキシシランを添加混合し、この粘度をフォードカップNo.4で80秒に調整して表層形成用組成物とした。
Figure 2005288963
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ここで、
ポリエステル樹脂:東洋紡績株式会社製「バイロンGK−150」
メラミン樹脂:三井化学株式会社製「サイメル303」
酸触媒A:三井化学株式会社製「キャタリスト6000」、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム
酸触媒B:三井化学株式会社製「キャタリスト6003B」、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムをアミンブロックしたもの
二酸化チタン:テイカ株式会社製「JR−603」
体質顔料:丸尾カルシウム株式会社製「クレイ1号」
テトラエトキシシラン(エチル化シリケート):三菱化学株式会社製
「MKS MS57」
塗料A:日本ファインコーティングス株式会社製「SRF−05」にテトラエトキシシ
ランを添加したもの
塗料B:日本ファインコーティングス株式会社製「SRF−34」
である。
得られた樹脂塗装金属板を、下記の各種試験に供した。その結果を、表3および表4に示す。
<表層のSiおよびNの存在比率測定>
表層表面から0nm、10nm、30nm、50nm、100nm、150nmおよび200nmの各深さ位置について、X線光電子分光装置(パーキンエルマー社製「PHI5400MC」によって広域光電子スペクトル測定を行い、得られる光電子スペクトルからSi(Si2p)、N(N1s)、C(C1s)およびO(O1s)の各元素の存在比率を求めた。測定条件は、X線源:MgKα、X線出力:400W(15kV・26.7mA)、分析領域:1.1mmφ、光電子取り出し角:45°、Arスパッタ速度:SiO換算で1.70nm/分(3kV・25mA)とし、C1sのメインピークを284.7eVとして補正した。
SiおよびNの存在比率は、Si、N、CおよびOの全原子個数を100%とした場合の原子%で表現した。
<汚染性試験1>
カーボンブラック10質量%水分散液を、樹脂塗装金属板表面に塗布し、サンシャインウェザメーター(スガ試験機社製「デューサイクル・サンシャインスーパーロングライフ・ウェザーメーター」)で60分中、12分雨カーボンアーク灯連続照射63℃(JIS B 7753)試験を240時間実施した後の樹脂塗装金属板の外観を目視評価した。評価基準は、◎:カーボンブラックの痕跡なし、○:カーボンブラックの痕跡がかすかにある、×:カーボンブラックの痕跡がはっきりとある、であり、○以上を合格とした。
<汚染性試験2>
カーボンブラック10質量%水分散液:2mlを、樹脂塗装金属板表面に滴下し、40℃のオーブンで1時間乾燥した後にガーゼで拭き取り、拭き取り後の外観を目視評価した。評価基準は、◎:カーボンブラックの痕跡なし、×:カーボンブラックの痕跡あり、であり、○を合格とした。
<汚染性試験3>
黒色の油性ペンで樹脂塗装金属板表面に線を引き、24時間放置後、キシレンを染込ませたガーゼで拭き取り、拭き取り後の外観を目視評価した。評価基準は、◎:油性インクの痕跡なし、○:油性インクの痕跡がかすかにある、×:油性インクの痕跡がはっきりとある、であり、○以上を合格とした。
<加工性試験(T折り曲げ試験)>
常温で、樹脂塗装金属板と同じ厚みの板を挟み込むように180°曲げを行い、表層表面のクラックを、ルーペ(倍率:10倍)または目視で観察して評価した。評価基準は、○:ルーペ観察でクラックなし、△:目視観察でクラックなし、×:目視観察でクラックあり、であり、○を合格とした。
Figure 2005288963
Figure 2005288963
表3から分かるように、実験No.1〜7の樹脂塗装金属板では、表層の構成が良好であり、耐雨だれ汚染性(汚染性試験1)、耐汚染性(汚染性試験2および3)および加工性に優れている。
これに対し、実験No.8〜16の樹脂塗装金属板は、表4に示すように表層の構成が不良であり、夫々、耐雨だれ汚染性、耐汚染性または加工性が劣っている。

Claims (10)

  1. アルコキシシラン由来の成分および/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物由来の成分、ポリエステル樹脂由来の成分、およびメラミン樹脂由来の成分を含有する表層を有し、
    該表層では、表面からの深さが0nm、10nm、30nm、50nm、100nm、150nmおよび200nmにおけるSi、N、CおよびOの存在比率を測定し、その合計を100原子%としたとき、
    Siの存在比率の最大値を示す深さ位置が、表面から0nmであり、且つ該深さ位置でのSiの存在比率が10原子%以上であり、
    Nの存在比率の最大値を示す深さ位置が、表面から10nmおよび/または30nm であり、且つNの存在比率が、表面から0nmの深さ位置で3原子%以下、表面から10nmの深さ位置で7原子%以上であることを特徴とする樹脂塗装金属板。
  2. 上記表層は、メラミン樹脂を架橋剤として架橋されたポリエステル樹脂成分を含有するものである請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
  3. 上記表層は、アルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、および酸触媒を含む組成物により形成されてなるものである請求項1または2に記載の樹脂塗装金属板。
  4. 上記酸触媒は、アミン類でブロックされたスルホン酸類である請求項3に記載の樹脂塗装金属板。
  5. 上記ポリエステル樹脂は、数平均分子量が10,000〜15,000、ガラス転移温度が−5〜45℃、水酸基価が3〜15mgKOH/gである請求項3または4に記載の樹脂塗装金属板。
  6. 上記組成物は、ポリエステル樹脂100質量部に対し、アルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物を7〜40質量部含有するものである請求項3〜5のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  7. 上記組成物は、ポリエステル樹脂100質量部に対し、メラミン樹脂を10〜30質量部含有するものである請求項3〜6のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  8. 上記組成物は、ポリエステル樹脂100質量部に対し、酸触媒を0.03〜0.5質量部含有するものである請求項3〜7のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  9. 上記表層は、下地処理がなされた金属板表面に設けられた下塗り塗膜表面に形成されてなるものである請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
  10. T折り曲げ性試験による評価値が0T〜2Tである請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
    ここで、上記T折り曲げ試験における評価値:0Tとは、樹脂塗装金属板について180°曲げを行った後に、上記表層表面をルーペを用いて倍率:10倍で観察した際に、クラックが確認されない場合を意味し、
    評価値:1Tとは、樹脂塗装金属板について、該樹脂塗装金属板と同じ厚みの板1枚を挟み込むように180°曲げを行った後に、上記表層表面をルーペを用いて倍率:10倍で観察した際に、クラックが確認されない場合を意味し、
    評価値:2Tとは、樹脂塗装金属板について、該樹脂塗装金属板と同じ厚みの板2枚を挟み込むように180°曲げを行った後に、上記表層表面をルーペを用いて倍率:10倍で観察した際に、クラックが確認されない場合を意味する。
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