JP2008254313A - プレコート金属板、これを成形加工した金属成形体及びプレコート金属板の製造方法 - Google Patents

プレコート金属板、これを成形加工した金属成形体及びプレコート金属板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】工程省略を目的とした、多層同時塗装やウェットオンウェット塗装において、多層同時焼き付け時に塗膜を硬化収縮し難くし、鮮映性や光沢が高く、且つ、耐汚染性に優れたプレコート金属板を製造する。
【解決手段】金属板の片面もしくは両面に少なくとも2層以上の多層塗膜層を有するプレコート金属板であって、空気と接する塗膜と接する最上層塗膜をトップ塗膜層、前記トップ層と接する下層塗膜を中塗塗膜層と定義し、トップ塗膜層と中塗塗膜層との界面にアミノプラスト樹脂由来の窒素濃度の極大値を設け、且つ、トップ塗膜と中塗塗膜の界面のRa(算術平均粗さ)を制御することで得られるプレコート金属板である。
【選択図】なし

Description

本発明はプレコート金属板、これを成形加工した金属成形体及びプレコート金属板の製造方法に関するものであり、特に、例えば、家電用、建材用、土木用、機械用、自動車用、家具用、容器用等において、優れた耐汚染性と鮮映性等の意匠性を有するプレコート金属板に関する。
例えば、家電分野、建材分野、自動車分野等の外板に、従来の金属板を加工した後に塗装されていたポスト塗装製品に代わって、予め着色した塗膜を被覆したプレコート金属板が使用されるようになってきている。一方、これらの用途において、塗装には、デザイン、意匠性の観点から、鮮映性に優れた塗装外観の要望が高まってきている。
塗膜の鮮映性を高める技術としては、例えば、特許文献1に記載されているように母材である金属板の表面粗さを小さくする技術、特許文献2に記載されているように分子量の低い樹脂を用いた塗膜を塗装する技術、特許文献3に記載されているように着色塗膜層の上にクリア塗膜を被覆する技術が公開されている。
プレコート金属板を工業的に生産する場合、例えば、非特許文献1に記載されているように、コイルコーティングラインと呼ばれる連続塗装ラインにて製造されている。通常のコイルコーティングラインでは、ロールコーターやカーテンコーターと呼ばれる塗装装置にて、防錆機能を有するプライマー塗料を金属板上に塗装し、熱風オーブン等で焼き付けた後に、再度、前記塗装装置にて着色塗料を塗装して焼き付ける2回塗装2回焼き付け(一般に2コート2ベーク方式と呼ばれる)が一般的である。従って、着色層の上にクリヤー塗料等の鮮映性、意匠性に優れた塗膜を塗装しようとしても、多額の設備投資をして、更に塗装装置とオーブンを増設する必要があった。しかしながら、これを解決する手段として、特許文献4〜12に記載のように、塗料を未乾燥状態で重ね塗りするウェットオンウェット式の塗装方法が知られている。
一方、プレコート鋼板は、塗装後に成形加工して用いられるため、伸びの高い柔軟な塗膜を被覆することが一般的であるが、その反面、このような樹脂は汚染物質に対するバリヤー性に乏しく、耐汚染性に劣ることが欠点であった。特許文献13には、ガラス転移点5〜40℃、数平均分子量15,000〜30,000のポリエステル樹脂と、ヘキサメトキシメチロール化メラミン樹脂とを、質量比で75/25〜55/45に配合したポリエステル−メラミン樹脂100質量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミンブロック体を1〜2質量部配合してなる塗料によって、赤マジック汚染性に優れ、加工性にも優れる塗装金属板用塗料組成物が開示されている。
特開平7−150326号公報 特開平1−304934号公報 特開平10−66931号公報 特開平11−19581号公報 特開平11−19582号公報 特開平11−19583号公報 特開平11−19584号公報 特開平11−19585号公報 特開平11−19586号公報 特開平11−57608号公報 特開平11−76932号公報 特開平11−76933号公報 特開平2−269168号公報 植田ら、色材、72(8)、525−531頁 (1999)
上記特許文献1のようにプレコート金属板の母材の表面粗さを低く制御することで鮮映性を得る方法は、どのような塗膜を用いても、母材である金属板の表面粗さを制御できれば、比較的高鮮映性を得ることができる反面、表面粗さを調整した圧延ロール等によって金属を圧延したり、研磨機等で研磨したりすることで、母材である金属板の表面粗さ制御しなければならない。そのため、この方法で鮮映性に優れたプレコート金属板を作製するには、労力とコストが多くかかる欠点がある。一方、上記特許文献2のように分子量の低い樹脂を用いた塗料を塗装することで鮮映性に優れたプレコート金属板を得る方法は、母材である金属板の表面粗さを制御して得る方法に比べると、比較的簡単に製造することが可能であるが、特定の樹脂を塗料に用いなければならないため、他の塗膜性能、例えば、加工性等を付与することが困難である。
比較的容易に鮮映性に優れたプレコート金属板を得る方法としては、上記特許文献3のように着色塗膜層の上に透明なクリア塗膜を塗装する方法が好適である。更に、一般のコイルコーティングラインを用いて、防錆塗料を塗装した上に着色塗膜層とクリア塗膜層等の意匠性塗膜を複数層塗装するためには、上記特許文献4〜12のようにウェットオンウェット塗装が好適である。しかしながら、通常の塗料を単にウェットオンウェット塗装した場合、積層した塗料が硬化する前に混じり合い、焼付け硬化後に塗膜が層状にならない混層と言われる現象が発生し易い。また、塗料を上手く選択して顕著な混層が発生しなかったとしても、ウェットオンウェット塗装で積層した塗膜の界面付近には局所的な混層が発生し、そのため、この積層塗膜を断面方向から観察すると、平滑な界面が観察されずに、粗さをもった界面となってしまう。そのため、高い鮮映性が得られない点が課題であった。
また、従来の1層毎に塗装と焼付けを繰り返して多層積層する方法で着色塗膜層の上にクリア塗膜層を塗装した場合、着色層とクリア層との界面は平滑となるが、界面での塗膜密着性が低下し、塗膜が剥離しやすい点が課題であった。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、塗料をウェットオンウェット塗装して得られるプレコート金属板、これを成形加工した金属成形体及びプレコート金属板の製造方法において、鮮映性と加工性や塗膜密着性とを両立させることを目的とする。
発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、塗料をウェットオンウェットで多層積層する際に、上層側の塗料の表面張力と下層側の塗料の表面張力差を大きくすると、これらを焼き付けた後の塗膜の界面が平滑になり、鮮映性を高められることを見出した。さらに、アミノプラスト樹脂を硬化剤として含む塗料をウェットオンウェットで多層積層し、且つ、積層する各層の塗料に含まれるアミノプラスト樹脂の添加量、もしくは、種類を変えることで、アミノプラスト樹脂の層間移動が起こり、アミノプラスト樹脂がウェットオンウェットで積層した各塗膜層の界面に濃化して反応するため、積層界面での塗膜密着性も高まることを見出した。アミノプラスト樹脂の層間移動とは、ウェットオンウェットにて多層積層した塗膜の上層側の塗膜から下層側の塗膜へアミノプラスト樹脂が移動する、又は、下層側の塗膜から上層側の塗膜へアミノプラスト樹脂が移動する現象のことであり、ウェットオンウェットにて積層した各塗膜層中のアミノプラスト樹脂濃度に濃度差を与えることで、濃度の高い塗膜層側から低い塗膜層側へ拡散移動することによって起こる現象であることを見出した。また、アミノプラスト樹脂の層間移動は、ウェットオンウェットにて積層した各塗膜層中のアミノプラスト樹脂濃度が同じであったとしても、アミノプラスト樹脂の種類を変えることで、各層のアミノプラスト樹脂の反応速度が変わり、各層の反応速度差がドライビングフォースとなって、発生する現象でもあることを見出した。
本発明は、かかる知見を基に完成させたものであって、本発明がその要旨とするところは、以下の通りである。
(1) 金属板の片面又は両面に、少なくとも2層の多層塗膜層を有するプレコート金属板であって、前記多層塗膜層は、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する下層塗膜である中塗塗膜とを有し、前記多層塗膜層を高周波放電式グロー放電発光分光分析での深さ方向の元素濃度測定結果から得られる下記式(I)で定義される窒素強度比をN、前記トップ塗膜層の空気と接する表面をゼロ点として、ここから深さ方向の位置をT(μm)、前記トップ塗膜層と前記中塗塗膜層との界面の位置をT(μm)としたとき、[T−1.0]≦T≦[T+1.0]において、Nが極大値Nc−maxを有し、且つ、前記トップ塗膜と前記中塗塗膜層との界面のRa(算術平均粗さ)が0.3μm未満であることを特徴とする、プレコート金属板。
=[N]/{[N]+[O]+[C]} ・・・ (I)
ここで、[N]は窒素のスペクトル強度、[O]は酸素のスペクトル強度、[C]は炭素のスペクトル強度である。
(2) 前記Nc−maxが0.5以上であることを特徴とする、(1)記載のプレコート金属板。
(3) 前記Nが、前記トップ塗膜層の空気と接する表面(T=0)で、0.5以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のプレコート金属板。
(4) 前記トップ塗膜層、又は、前記トップ塗膜層と前記中塗塗膜層の両方に含まれる顔料が、赤色系顔料、黄色系顔料、オレンジ色系顔料、メタリック顔料及びパール調顔料から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のプレコート金属板。
(5) 前記トップ塗膜層が、顔料を含まないクリア塗膜であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のプレコート金属板。
(6) 前記トップ塗膜層が、塗膜を形成する樹脂骨格中に−Si−O−結合を有することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のプレコート金属板。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載のプレコート金属板が、曲げ加工、絞り加工、張り出し加工、打ち抜き加工及びせん断加工から選ばれる1種又は2種以上の加工により成形加工されて得られることを特徴とする、金属成形体。
(8) 金属板の片面又は両面に、下記(A)〜(D)の条件を全て満たす塗料を少なくとも2層、ウェットオンウェット塗装又は多層同時塗布して、多層同時焼き付けをすることを特徴とする、プレコート金属板の製造方法。
(A)最表面のトップ塗膜層を形成する塗料及び該トップ塗膜と接する中塗塗膜を形成する塗料が、架橋剤としてアミノプラスト樹脂を含む。
(B)前記トップ塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂と前記中塗塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂の添加量又は種類が異なる。
(C)前記トップ塗膜を形成する塗料の溶剤組成と前記中塗塗膜を形成する塗料の溶剤組成とが異なる。
(D)[前記トップ塗膜を形成する塗料の表面張力]−[前記中塗塗膜を形成する塗料との表面張力]≧3mN/mである。
(9) 前記トップ塗膜層と前記中塗塗膜層を形成する塗料のアミノプラスト樹脂の平均含有量が、バインダー樹脂固形分100質量部に対して15〜100質量部であることを特徴とする、(8)記載のプレコート金属板の製造方法。
(10) 前記トップ塗膜層を形成する塗料及び前記中塗塗膜層を形成する塗料のいずれか一方又は両方が、さらに揮発性塩基性物質で中和した酸性触媒を含むことを特徴とする、(8)又は(9)に記載のプレコート金属板の製造方法。
(11) 前記酸性触媒の含有量が、バインダー樹脂固形分100質量部に対して0.05〜1質量部であることを特徴とする、(10)記載のプレコート金属板の製造方法。
本発明により、従来以上に鮮映性等の意匠性に優れ、且つ、塗膜密着性や加工性にも優れるプレコート金属板を提供することが可能となった。特に、従来より容易に多層塗装することが可能で、様々な意匠や機能を付与したプレコート金属板を低コストで量産化可能と期待されていたウェットオンウェット塗装の欠点を克服することで、プレコート金属板業界でのウェットオンウェット塗装化を実現することが可能となった。そのため、これまでポストコートでしか対応ができなかった意匠性の必要な部位にも、プレコート金属板を適用することが容易となり、プレコート金属板を使用することで、ポストコート塗装で課題となっていた揮発性有機溶剤(VOC)の問題を解決することができるだけではなく、ユーザーでの塗装設備撤廃によるコストダウン、工場省スペース化等も達成される。したがって、本発明は産業上の極めて価値の高い発明であると言える。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、金属板の片面又は両面に、少なくとも2層の多層塗膜層を有するプレコート金属板であって、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する下層塗膜である中塗塗膜とを有し、前記多層塗膜層を高周波放電式グロー放電発光分光分析での深さ方向の元素濃度測定結果から得られる式「N=[N]/{[N]+[O]+[C]}」で定義される窒素強度比をN、トップ塗膜層の空気と接する表面をゼロ点として、ここから深さ方向の位置をT(μm)、トップ塗膜層と中塗塗膜層との界面の位置をT(μm)としたとき、[T−1.0]≦T≦[T+1.0]において、Nが極大値Nc−maxを有し、且つ、トップ塗膜と中塗塗膜層との界面のRa(算術平均粗さ)が0.3μm未満とすることでその目的が達せられる。ここで、[N]は窒素のスペクトル強度、[O]は酸素のスペクトル強度、[C]は炭素のスペクトル強度である。
また、窒素強度比Nはアミノプラスト樹脂起因のものであり、この規定した界面の範囲で極大値の無いものは、焼き付け工程でのアミノプラスト樹脂の塗膜層間移動が起こらず、アミノプラスト樹脂の層間移動が起きる多層同時塗装又はウェットオンウェット塗装による技術と見做すことができないため、不適である。
また、極大値Nc−max を有する界面付近を[T−1.0]≦T≦[T+1.0]と規定した理由は、ウェットオンウェット塗装又は多層同時等で積層塗装し、積層した塗膜層間でアミノプラスト樹脂の層間移動が起こった塗膜は、発明者らの数多くの実験の結果、当該範囲内に濃化することを見出したためである。前記Nc−maxは0.5以上であると、塗膜密着性がより向上するためより好適である。
また、多層同時塗装又はウェットオンウェット塗装でない塗装では、塗装時の焼付け工程が増えるため、また、層間界面でのRaを0.3μm未満としたときに塗膜層間密着性が低下するため、不適である。
また、ウェットオンウェット塗装又は多層同時塗装でのトップ塗膜と中塗塗膜層との界面のRa(算術平均粗さ)を0.3μm未満とすることで、平滑な塗装外観が得られ、また、鮮映性に優れた塗装外観も得ることができる。ウェットオンウェット塗装又は多層同時塗装でも、界面のRaが0.3μm以上では、鮮映性が劣り不適である。
なお、本発明において、この界面のRaは、次の方法(基本的にJIS−B−0601−1982に沿った方法)により測定することができる。
即ち、表面粗さRaを測定すべき界面の垂直断面を顕微鏡写真にて撮影後、界面の凹凸(粗さ曲線)をトレースし、JIS−B−0601−1982に記載の所定の式に従って、この界面の中心線平均粗さRaを求めることができる。
本発明のプレコート金属板の塗膜の窒素濃度及びトップ塗膜と中塗塗膜との界面のRaを前記のように制御するためには、金属板の片面又は両面に、下記(A)〜(D)の条件を全て満たす塗料を少なくとも2層ウェットオンウェット塗装又は多層同時塗布して、多層同時焼き付けをすることで達せられる。
(A) 最表面のトップ塗膜層を形成する塗料及び該トップ塗膜と接する中塗塗膜を形成する塗料が、架橋剤としてアミノプラスト樹脂を含む。
(B) トップ塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂と中塗塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂の添加量もしくは種類が異なる。
(C) トップ塗膜を形成する塗料の溶剤組成と中塗塗膜を形成する塗料の溶剤組成とが異なる。
(D) トップ塗膜を形成する塗料の表面張力から中塗塗膜を形成する塗料との表面張力を減じた値が3mN/m以上である。
前記(A)及び(B)の条件を満たす塗料を少なくとも2層用いて、ウェットオンウェット塗装又は多層同時塗布して、多層同時焼き付けをすることで、塗料中のアミノプラスト樹脂が界面付近に濃化するため、好適である。トップ塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂と中塗塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂の添加量と種類が同じであれば、トップ塗料中と中塗塗料中とのアミノプラスト樹脂の濃度差、反応速度差が発生しないため、アミノプラスト樹脂の層間移動が発生せず、界面付近に濃化し難くなるため、密着性不良等が発生し易くなるため不適である。また、アミノプラスト樹脂以外の硬化剤を用いた場合も、界面付近に硬化剤が濃化し難くなるため、密着性不良等が発生し易く不適である。
トップ塗膜層を形成する塗料と中塗塗膜層を形成する塗料とに含まれるアミノプラスト樹脂の添加量が大きく異なれば異なるほど、界面でのアミノプラスト樹脂濃化度が高まり、また、それぞれの塗料に添加するアミノプラスト樹脂の反応速度差が大きいほど、積層した塗膜界面に現れる窒素濃度極大値Nc−maxが大きくなり、密着性がより向上するため好適である。
前記(C)及び(D)を満たす塗料を少なくとも2層用いて、ウェットオンウェット塗装又は多層同時塗布して、多層同時焼き付けをすることで、前記塗膜の界面のRaが0.3μm未満となり、鮮映性が向上する。[トップ塗膜を形成する塗料の表面張力]−[中塗塗膜を形成する塗料との表面張力]≧5mN/mであると、より好適である。[トップ塗膜を形成する塗料の表面張力]−[中塗塗膜を形成する塗料との表面張力]<3mN/mでは、塗装界面のRaが0.3μm以上となり、鮮映性が低下するため、不適である。また、トップ塗膜を形成する塗料と中塗塗膜を形成する塗料の表面張力差を3mN/m以上とするためには、それぞれの塗膜層を形成する塗料の溶剤組成を異なるものとし、且つ、それぞれの溶剤の表面張力が異なるものを選定することで、それぞれの塗料の表面張力差を大きくすることができ好適である。それぞれの塗料に用いる溶剤は、一般に公知の有機溶剤の中から表面張力の異なるものを適宜選定して用いることができる。また、複数種の一般に公知の溶剤を混合することで、それぞれの層を形成する塗料の表面張力をコントロールすることができる。
例えば、n−メチルピロリドン(NMPと称す)の表面張力は42mN/m、シクロヘキサノンの表面張力は35mN/m、エチル−3−エトキシ−プロピオネート(EEPと称す)の表面張力は25mN/mである。これら溶剤に樹脂を溶解し、顔料を添加して作製した塗料の表面張力は、樹脂が顔料の種類や添加量にもよるが、一般的な塗料の多くは溶剤の表面張力に依存する。そのため、例えば、NMP(トップ塗膜の溶剤)とシクロヘキサノン(中塗塗膜の溶剤)とを組み合わせ、シクロヘキサノン(トップ塗膜の溶剤)とEEP(中塗塗膜の溶剤)との組み合わせ、NMP(トップ塗膜の溶剤)とEEP(中塗塗膜の溶剤)との組み合わせ等が挙げられる。さらに、表面張力の異なる2種の溶剤を混合すると、両溶剤の中間の表面張力値となるため、本発明では、次のような組み合わせを実施しても良い。例えば、NMPとシクロヘキサノンを質量比でNMP/シクロヘキサノン=1/1の比率で混合した溶剤の表面張力は約38mN/mとなるため、このNMPとシクロヘキサノンとの混合溶剤(トップ塗膜の溶剤)とEEPとの組み合わせ等が挙げられる。ただし、溶解する樹脂や顔料等の添加剤の種類や添加量によっては、塗料の表面張力が溶剤単独の表面張力と異なる場合もあるため、その場合は配合した塗料の表面張力を測定して設計することができる。
また、それぞれの塗料中にレベラー等と呼ばれる、界面活性剤等を添加して塗料の表面張力を変化させる手法もあるが、世の中に存在する溶剤系塗料用の界面活性剤で表面張力を大きくコントロールすることは困難であり、また、界面活性剤の種類によっては塗装焼付け後に塗膜中に界面活性剤が残存し、塗膜性能に影響する恐れもあるため、好ましくない。ただし、本発明のプレコート金属板塗料中に消泡等の目的で、必要に応じて界面活性剤を添加することはできる。
本発明のプレコート金属板のトップ塗膜及び中塗塗膜に用いるアミノプラスト樹脂は、特に規定するものではなく、一般に公知のアミノプラスト樹脂、例えば、完全アルキル型メチル化メラミン、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール化メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、完全アルキル型混合エーテル化メラミン、メチロール基型混合エーテル化メラミン、イミノ基型混合エーテル化メラミン、完全アルキル型ブチル化メラミン、イミノ基型ブチル化メラミン等のメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アミノ樹脂等を用いることができる。市販のもの、例えば、三井サイテック社製のサイメル(登録商標)300シリーズ、サイメル200シリーズ、マイコート(登録商標)500シリーズや大日本インキ化学工業社製のスーパーベッカミン(登録商標)J−830等を使用することができる。ただし、各塗膜層に添加するアミノプラスト樹脂の種類や添加量によって、アミノプラスト樹脂の層間移動量が異なり、ウェットオンウェット又は多層同時塗布した塗膜層間の界面に濃化する窒素強度比も異なるため、必要に応じて適宜選定することができる。
本発明のプレコート金属板のトップ塗膜及び中塗塗膜に用いるバインダー樹脂は、特に規定するものではなく、一般に公知の塗料用樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等を用いることができる。これらは市販のものを用いても良い。本発明のトップ塗膜及び中塗塗膜に用いるバインダー樹脂の分子量は特に規定するものではない。バインダー樹脂の分子量が低いと架橋密度が高くなるため、耐汚染性や硬度、鮮映性が高くなるが、加工性が低下する恐れが有る。一方、バインダー樹脂の分子量が高いと加工性は高くなるが、耐汚染性、硬度、鉛筆硬度が低下する恐れがある。バインダー樹脂がポリエステル樹脂の場合、数平均分子量で2,000〜30,000が好適である。また、バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)も特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができる。バインダー樹脂のTgが低いと加工性は向上する反面、硬度や耐汚染性が低下する恐れが有り、Tgが高いと硬度や耐汚染性が高くなる反面、加工性が低下する恐れがある。バインダーにポリエステル樹脂を用いた場合のTgは、0〜80℃が好適である。
本発明のプレコート金属板のトップ塗膜及び中塗塗膜中に添加するアミノプラスト樹脂の平均含有量は、塗装後に加工を施すプレコート金属板用としては、トップ塗膜と中塗塗膜の合計バインダー樹脂合計固形分を100質量部としたときに15〜100質量部であるとより好適である。15質量部未満であると、焼付け後の塗膜が未硬化状態となる恐れが有り、100質量部超では加工性が劣る恐れがある。必要に応じて一般に公知の硬化触媒を添加しても良い。ここで、
[トップ塗膜と中塗塗膜に含まれるアミノプラスト樹脂平均含有量(トップ塗膜のバインダー樹脂と中塗塗膜のバインダー樹脂の合計を100質量部とした時の質量部)]=〔{[トップ塗膜中のバインダー樹脂100質量部に対するアミノプラスト樹脂の質量部]×[トップ塗膜の膜厚]}+{[中塗塗膜中のバインダー樹脂100質量部に対するアミノプラスト樹脂の質量部]×[中塗塗膜の膜厚]}〕/[トップ塗膜と中塗塗膜の合計膜厚]
で定義される。
本発明のプレコート金属板の塗膜の窒素濃度比Nが、トップ塗膜層の空気と接する表面(T=0)で、0.5以上であると耐汚染性が向上し、より好適である。トップ塗膜層を形成する塗料及び中塗塗膜層を形成する塗料のいずれか一方又は両方に、揮発性塩基性物質で中和した酸性触媒を含むと、トップ塗膜層の空気と接する表面で窒素濃度比Nが0.5以上となり易いため、より好適である。
揮発性塩基性物質で中和された酸性触媒は、塗膜焼付け硬化時に塗膜表層に濃化し、空気と接する塗膜表層で揮発性塩基性物質が触媒から解離するため、空気と接する塗膜表層でアミノプラスト樹脂の反応が活性化され、アミノプラスト樹脂が塗膜表層で濃化するため、耐汚染性が向上する。揮発性塩基性物質で中和した触媒は、中塗塗膜を形成する塗料中のみに添加した場合でも、ウェットオンウェット又は多層同時塗布した場合は、該触媒が中塗塗膜からトップ塗膜へ層間移動し、トップ塗膜の表層に濃化するため、効果を発揮する。トップ塗膜を形成する塗料と中塗塗膜を形成する塗料の両方に添加しても良い。各層を形成する塗料中の該酸性触媒の含有量は、バインダー樹脂固形分100質量部に対して0.05〜1質量部であると、より好適である。0.05質量部未満であると、トップ表層にアミノプラスト樹脂が濃化し難く、トップ塗膜表層の窒素濃度比Nが0.5未満となる恐れがあり、1質量部超では、トップ塗膜表層でのアミノプラスト樹脂の硬化反応が促進され過ぎるため、塗膜の硬化収縮が起こり易く、鮮映性が低下する恐れがある。
本発明に用いる揮発性塩基性物質で中和した酸性触媒は、一般に公知の揮発性塩基性物質で中和した塗料用酸性触媒、例えば、トリエチルアミンで中和したドデシルベンゼンスルホン酸、ジメチルエチルエタノールで中和したドデシルベンゼンスルホン酸、トリエチルアミンで中和したパラトルエンスルホン酸、ジメチルエチルエタノールで中和したパラトルエンスルホン酸等を用いることができる。市販のもの、例えば、三井サイテック社製のキャタリスト4050、キャタリスト602等を用いても良い。
本発明のトップ塗膜中、又は、トップ塗膜層と中塗り塗膜層の両方に含まれる顔料が、赤色系顔料、黄色系顔料、オレンジ系顔料、メタリック顔料又はパール顔料のいずれか1種又は複数種であると、鮮映性に優れ、且つ、高意匠性を発現できるため、より好適である。本発明のトップ塗膜及び中塗塗膜中に添加する赤色系顔料や黄色系顔料、オレンジ系顔料は、一般に公知のもの使用することができる。市販のものを使用しても良い。例えば、赤系顔料の場合、カドミウムレッド、銀朱等の無機系赤顔料、カーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド等の有機系溶性アゾ系赤顔料、パーマネントレッド、レーキレッド4R、ナフトールレッド等の有機系不溶性アゾ系赤顔料、クロモフタールレッド等の縮合アゾ系赤顔料等を、黄系顔料の場合は、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー等の無機系黄顔料、ジスアゾイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー等の有機系黄顔料、オレンジ系顔料の場合は、モリブデンオレンジ等の無機系オレンジ顔料、ジスアゾオレンジ、パーマネントオレンジ等の有機系オレンジ顔料を使用することができる。本発明のトップ塗膜及び中塗塗膜中に添加するメタリック顔料も、一般に公知のメタリック顔料、例えば、アルミニウムフレーク、ニッケルフレーク、ステンレスフレーク、金箔等を用いることができる。アルミニウム等の金属を蒸着させたガラスフレークや樹脂フレーク等を用いても良い。これらは市販のものを使用しても良い。本発明のトップ塗膜及び中塗塗膜中に添加するパール調顔料は、一般に公知のもの、例えば、雲母、酸化チタンや酸化鉄等の金属酸化物をコーティングした雲母等を使用することができる。
本発明のトップ塗膜は、顔料を含まないクリヤー塗膜であると、塗膜の鮮映性が向上するため、より好適である。
本発明の中塗り塗膜に白色顔料が含まれても良い。中塗り塗膜中に用いる白色顔料は、一般に公知の酸化チタン系の白色顔料を用いることができる。表面修飾された酸化チタンを用いても良い。市販の酸化チタンとしては、例えば、石原産業社製の「タイペーク」、テイカ社製「TITANIX」等を使用することができる。
本発明のトップ塗膜中に、アルコキシシランもしくはアルコキシシランの加水分解縮合物に由来するSiを含むと、塗膜表面が親水化するため、屋外で本発明のプレコート金属板を使用したときに、塗膜表面に付着した付着物が雨等によって洗い流され易く、雨垂れ模様等も付き難くなるため、より好適である。なお、雨垂れ模様とは、塗膜表面に雨が降りかかり塗膜表面を流れ落ちたときに、雨中に含まれる汚染物質が雨スジの跡に沿って付着する汚れのことであり、一般に、雨垂れ汚染又は雨スジ汚染等と呼ばれる。また、本雨垂れ汚染が付き難い性能のことを一般に耐雨垂れ汚染性という。一般に、塗膜中にアルコキシシラン化合物又はアルコキシシランの加水分解縮合物を添加すると、塗膜表面が親水化し、塗膜表面に付着した汚染物質が、雨等によって流れ落ち易くなるため、雨垂れ汚染性が向上することが知られており、WO94/06870号公報等に技術が公開されている。しかしながら、従来技術では、アルコキシシラン化合物由来のSiが塗膜表層に濃化し難く、塗膜表面の親水化発現が不安定である点が課題であった。一方、特開2005−288963号公報にて、アルコキシシラン及びアルコキシシランの部分加水分解縮合物由来の成分とポリエステル樹脂由来の成分、メラミン樹脂由来の成分を有する表層を有し、表層での特定の深さ位置におけるSi及びNの存在比率を制御し、最表層でSiの存在比率を高め、最表層より10nm及び30nmの深さ位置でN濃度を高めることで、耐汚染性と加工性とを両立させた技術が開示されている。特開2005−288963号公報では、Si及びNの存在比率制御方法は、アルコキシシランの添加量、メラミンの添加量、アミン類でブロックしたスルホン酸類の触媒の添加量によって制御できことが開示されている。しかしながら、当該技術においては、耐汚染性を高める目的でメラミン樹脂の添加量や触媒の添加量を高めると、塗膜の硬化収縮が起こり易く、鮮映性が低下してしまう等の欠点を有している。
本発明のプレコート金属板のトップ塗膜に、アルコキシシラン及びアルコキシシランの加水分解縮合物を添加すると、トップ塗膜中のメラミン樹脂がトップ塗膜と中塗塗膜との界面付近に濃化し、更には、中塗塗膜中へ層間移動することから、トップ塗膜表層での硬化収縮を抑制できるため、高い鮮映性を有することができるので好適である。更には、塗膜表層にアルコキシシラン由来のSiがより濃化するため、耐雨垂れ汚染性もより向上するため、より好適である。本発明のアルコキシシラン及びアルコキシシランの加水分解縮合物の添加量は、特に限定するものではないが、トップ塗膜中のバインダー樹脂固形分100質量部に対して3〜100質量部が好適である。本発明のトップ塗膜に添加するアルコキシシランは、一般に公知のもの、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン等を使用することができる。また、これらアルコキシシランの加水分解縮合物であっても良い。
本発明のプレコート金属板に塗装する塗料中には、必要に応じて、一般に公知の添加剤、例えば、ワックス、レベリング剤、消泡剤、つや消し剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
本発明のプレコート金属板に塗装するトップ塗膜及び中塗塗膜の膜厚は特に規定するものではないが、トップ塗膜が0.5μm以上、中塗塗膜が5μm以上で、且つ、トップ塗膜と中塗塗膜との合計膜厚が80μm以下であることが好適である。トップ塗膜の膜厚が0.5μm未満、もしくは、中塗塗膜の膜厚が5μm未満であると、意匠性が乏しくなる恐れがある。また、トップ塗膜と中塗塗膜との合計膜厚が80μm超では、ワキ等の塗装欠陥が発生する恐れがある。ただし、塗膜の意匠性については塗膜の求める色調によって最適膜厚は異なり、また、ワキ等の塗装欠陥については使用する樹脂や架橋剤、溶剤等によっても最適膜厚が異なるため、適宜選定して最適膜厚を設定することができる。
本発明のプレコート金属板は、トップ塗膜及び中塗塗膜を含む多層塗膜を多層同時塗布にて、又は、ウェットオンウェットで塗装することで製造することができる。多層同時塗布とは、スロットダイコーター又はスライドホッパー式のカーテンコーター等の複数層の塗液を同時に積層した状態で基材に塗布し、その後の多層同時に乾燥焼き付けさせる方法である。また、ウェットオンウェット塗装とは、一度基材上に塗液を塗装した後に、この塗液が乾燥する前のウェット状態の内に、その上に他の塗液を更に塗布し、この積層された多層塗液を同時に乾燥焼付けする方法であり、例えば、ロールコーターやカーテンフローコーター等で下層塗膜を塗装し、これを焼き付ける前にカーテンフローコーター等の塗装方法にて上層塗膜を塗装した後に、下層塗膜と上層塗膜との複層塗膜を同時に焼き付ける方法である。本発明の多層同時塗布又はウェットオンウェット塗装した塗膜を同時に焼き付ける方法は、一般に公知の塗料用焼付け炉、例えば、熱風乾燥炉、誘導加熱炉、赤外線加熱炉、又は、これらを併用した炉等を用いることができる。
本発明のプレコート金属板は、必要に応じて、防錆塗料機能有したプライマー塗膜を塗装することができる。プライマー塗膜を塗装すると、金属板の耐食性が向上するため、より好適である。本発明のプレコート金属板に塗装するプライマー塗膜は、一般に公知のプレコート金属板用のプライマー塗膜、例えば、ポリエステル系プライマー、エポキシ系プライマー、ウレタン系プライマー等を使用することができる。プライマー塗膜の硬化剤は、メラミン系、イソシアネート系のいずれでも良い。プライマー塗膜に添加する防錆顔料は、クロメート系、リン酸系、シリカ系等の一般に公知のものを使用することができるが、クロメート系以外のものの方が、環境に優しいため、より好適である。本発明のプレコート金属板に塗装するプライマー塗膜は、一般に公知の塗装方法、例えば、ロールコーター、ローラーカーテンコーター、リンガーロールコーター、スプレー塗装等にて塗装し、その後、一般に公知の塗料用焼付け炉、例えば、熱風乾燥炉、誘導加熱炉、赤外線加熱炉、又は、これらを併用した炉等で焼き付けることができる。
本発明の多層同時塗布又はウェットオンウェットする塗膜層は3層以上でも良い。ただし、最上層の塗膜であるトップ塗膜層と前記トップ層と接する中塗塗膜層は、本発明にて規定したものである必要がある。
本発明に使用する金属板は、一般に公知の金属材料を用いることができる。金属材料が合金材料であっても良い。例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、チタン板、銅板等が挙げられる。これらの材料の表面にはめっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミニウムめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。これらの合金めっきであってもよい。鋼板の場合は、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金化めっき鋼板等、一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。
本発明に用いる金属板の表面には、一般に公知の化成処理を施すと、金属板と塗膜層との密着性が向上するため、より好適である。化成処理は、リン酸亜鉛系化成処理、塗布クロメート処理、電解クロム酸処理、反応クロメート処理、クロメートフリー系化成処理等を使用することができる。ノンクロメート系化成処理としては、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物、タンニン又はタンニン酸、樹脂、シリカ等を含む水溶液で処理したもの等が知られており、特開昭53−9238号公報、特開平9−241576号公報、特開2001−89868号公報、特開2001−316845号公報、特開2002−60959号公報、特開2002−38280号公報、特開2002−266081号公報、特開2003−253464号公報等に記載されている公知の技術を使用しても良い。これらの化成処理は、市販のもの、例えば、日本パーカライジング社製のクロメート処理「ZM−1300AN」、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理「CT−E300N」、日本ペイント社製の3価クロム系化成処理「サーフコート(登録商標) NRC1000」等を使用することができる。
本発明のプレコート金属板は、加工を施して、求める形状に成形して使用することができる。加工方法としては、一般に公知の折り曲げ加工、せん断加工、張り出し加工、深絞り加工等を施すことができる。これらの加工は、一般に公知のプレス加工機、例えば、油圧式プレス加工機、クランク式プレス加工機等を使用して加工することができる。手動の加工機を用いても良い。
[実施例−1]
以下、実施例−1の実験について詳細を説明する。
まず、実施例−1の実験に用いたトップ塗料について詳細を説明する。
東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)GK140」(Tg:20℃、数平均分子量:14000、以降、ポリエステルと称す)に、架橋剤と触媒を添加してクリア塗料を作製した。ポリエステル樹脂は、ペレット状態の樹脂を溶剤に溶解して用いた。溶剤は、n−メチルピロリドン(表面張力42mN/m、以降、NMPと称す)、シクロヘキサノン(表面張力35mN/m)、ソルベッソ150(表面張力30mN/m、以降、ソルベッソと称す)、エチル−3−エトキシ−プロピオネート(表面張力25mN/m、以降、EEPと称す)を単独又は複数種混合したものを用いた。添加したアミノプラスト樹脂は、三井サイテック社製の完全アルキル型メチル化メラミン樹脂(以降、メチル化メラミンと称す)である「サイメル(登録商標)303」、大日本インキ化学工業社製のブチル化メラミン樹脂(以降、ブチル化メラミンと称す)である「スーパーベッカミン(登録商標)J830」を用いた。触媒は、三井サイテック社製の触媒(揮発性塩基性物質で中和していないタイプ)である「キャタリスト600」(以降、アミン非中和触媒と称す)、三井サイテック社製の揮発性塩基性物質で中和したタイプである「キャタリスト602」(以降、アミン中和触媒と称す)を用いた。
次に、作製したクリア塗料に、必要に応じて石原産業社製の酸化チタンである「タイペーク(登録商標)CR−95」(以降、酸化チタンと称す)をクリア塗料中の全樹脂固形分に対する顔料添加量が50質量%に相当する量を添加した白色塗料も作製した。なお、本実験では、クリア塗料をトップ塗料として用い、白色塗料を中塗塗料として用いた。
作製したトップ塗料及び中塗塗料の詳細を表1と表2にそれぞれ記載する。
次に、日本ファインコーティングス社製のPCM用ポリエステル系プライマーである「FL641EUプライマー」のクリア塗料を準備し、これにクロメートフリー防錆顔料であるテイカ社製のトリポリリン酸二水素アルミニウムで「K−WHITE #105」をクリア塗料の固形分100質量部に対して30質量部添加することで、クロメートフリープライマーを作製した。更に、日本ファインコーティングス社製のPCM用裏面塗料である「オルガ100」のグレー色を準備した。
以下、実施例−1の実験に用いたプレコート金属板について詳細を説明する。
新日本製鐵株式会社製の溶融亜鉛メッキ鋼板「シルバージンク」(以降、GIと称す)を原板として準備した。板厚は0.6mmのものを使用した。本実験で用いたGIのめっき付着量は片面60mg/mのものを用いた。
次に、準備した原板を日本パーカライジング社製のアルカリ脱脂液「FC−4336」の2質量%濃度、50℃水溶液にてスプレー脱脂し、水洗後、乾燥した後に、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理である「CT−E300N」をロールコーターにて塗布し、熱風オーブンにて乾燥させた。熱風オーブンでの乾燥条件は、金属板の到達板温で60℃とした。クロメートフリー処理の付着量は、全固形分で200g/m付着するように塗装した。
次に、化成処理を施した金属板の一方の面に、作製したプライマー塗料を、他方の面に裏面塗料をロールコーターにてそれぞれ塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が210℃となる条件で乾燥硬化させた。そして、乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷した。
次に、プライマー塗膜の上に、中塗塗料とトップ塗料をスライドホッパー式のカーテンコーターにて同時に2層積層塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で、積層した塗膜を同時に乾燥硬化させた。そして、乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけて水冷することで、3層のプレコート金属板を作製した(以降、本塗装方法を「3C2B」塗装と称す)。
なお、必要に応じて、同様の方法で中塗塗料のみを塗装し(トップ塗料は塗装しない)、乾燥硬化させた2層のプレコート金属板も作製した(以降、本塗装方法を「2C2B」と称す)。
また、必要に応じて、プライマー塗膜上にロールコーターにて中塗塗料を1層のみ塗装し、前述の要領で焼き付けた後に、中塗塗膜上に再度ロールコーターにてトップ塗料を1層塗装し焼き付けた、3層のプレコート金属板も作製した(本手順での塗装方法を「3C3B塗装」と称す)。
作製したプレコート金属板の各塗膜厚については、表面の下塗り塗膜は乾燥膜厚で5μm、中塗り塗膜は15μm、上塗り塗膜は10μmとした。裏面塗料の膜厚は、乾燥膜厚で5μmとした。これら膜厚は、ロールコーターの場合にはロールの回転周速やロール間の押付け圧、塗料粘度を、スライドホッパー式のカーテンコーターの場合は塗料の塗出圧力や塗料粘度を調整することで、コントロールした。なお、各膜厚はKET社製の電磁膜厚計「LE−200J」にて測定した。
以下、実施例−1で作製したプレコート金属板の評価方法の詳細を記載する。
1. 高周波GDSによる塗膜分析
理学電機工業社製のSystem3860を用い、放電電力30W、アルゴン流量250ml/分の条件で、サンプリング間隔0.5秒で塗膜表面から塗膜の深さ方向の窒素、酸素、炭素、ケイ素、チタンのスペクトル強度を測定した。そして、各サンプリング時間におけるN=[窒素のスペクトル強度]/{[窒素のスペクトル強度]+[酸素のスペクトル強度]+[炭素のスペクトル強度]}を算出し、サンプリング時間tとNとの関係を表すグラフを作成した。次に、トップ塗膜中には存在せず、中塗塗膜中に存在するチタンのスペクトルを指標として、ケイ素のスペクトル強度が大きく増加したサンプリング時間tをトップ塗膜と中塗塗膜との界面Tとし、この界面に相当するサンプリング時間tを表面からの深さT=10μmとした(本実験で作製したプレコート金属板のトップ塗膜の膜厚が10μmのため)。更に、チタンのスペクトル強度が大きく減少した時間tを中塗塗膜とプライマー塗膜との界面Tとし、この界面に相当するサンプリング時間tを表面からの深さT=25μmとした(本実験で作製したプレコート金属板のトップ塗膜の膜厚が10μm、中塗塗膜の膜厚が15μmのため)。そして、塗膜表面からの深さTとGDSのサンプリング時間tとは関係が正比例関係であることから、トップ塗膜の表面から深さ方向の距離TとNとの関係を表すグラフを作成した(図2参照)。
次に、このグラフから、Nの極大値がT−1.0μm≦T≦T+1.0μmの範囲(以降、Nc−max範囲と称す)に存在するか否かを調査した。T−1.0μm≦T≦T+1.0μmの範囲に存在する場合を○、該範囲内に存在しない場合を×と評価した。
次に、Nc−maxの値(以降、Nc−max値と称す)を調査し、この値が0.5以上の場合○と評価し、0.5未満の場合は△、Nc−maxが存在しない場合を×と評価した。
2. 塗膜界面のRa測定
プレコート金属板を塗膜断面が観察できるように垂直に切断し、切断したプレコート金属板を樹脂に埋め込んだ後に断面部を研磨して、3500倍の走査型電子顕微鏡による塗膜の断面写真を撮影した。次に、透明の樹脂シート(市販のOHPシートを使用)を写真上にかぶせて、塗膜界面の凹凸を正確にトレースした。そして、図3に示すように、縦線の部分の面積を画像処理装置で測定して、その平均値として式(II)からRaを算出した。算出した塗膜界面のRaが0.2未満の場合を○、0.2以上0.3未満の場合を△、0.3以上の場合を×と評価した。
3. プレコート金属板の鮮映性測定
作製したプレコート金属板の表面の塗膜の鮮映性を、携帯用鮮明度光沢度計「PGD」(東京光電社製)にてGd値を測定した。Gd値が0.3以上の場合を○、0.2の場合を△、0.1以下の場合を×と評価した。
4. 塗膜加工性試験
作製したプレコート金属板を、180°折り曲げ加工(密着曲げ加工)し、加工部の塗膜を目視で観察し、塗膜の割れの有無を調べた。なお、180°折り曲げを行う際には、プレコート金属板の表面が曲げの外側となるように折り曲げて、密着曲げを行った(一般に0T曲げとして知られている)。そして、加工部を10倍ルーペにて観察し、さらに、加工部にテープを貼り付けて剥離する加工部密着性試験も実施し、テープ剥離後の密着性を目視にて観察した。そして、塗膜割れや剥離の全くない場合を○、塗膜に亀裂は発生しているが剥離が認められる場合を△、塗膜に明確な亀裂と大きな割れや剥離がある場合を×として評価した。
5.ラビング試験
エタノールを染み込ませたガーゼを塗膜表面に1kgの荷重にて押付けた状態で、50往復擦り付ける一般に溶剤ラビング試験と呼ばれる試験を実施した。そして、塗膜の外観を観察し、塗膜が機械的に磨耗したり溶剤で塗膜が剥離したりすることなく良好な外観を保っていた場合は○、塗膜が機械的に磨耗したり溶剤で塗膜が剥離したりして中塗塗膜層やプライマー塗膜層が露出した場合は△と評価し、プライマー塗膜も含めて全ての塗膜層が機械的に磨耗したり溶剤で塗膜が剥離してしまい、原板である金属板が露出した場合を×と評価した。なお、エタノールを染み込ませたガーゼを塗膜表面に擦り付ける長さは方通で70mmとした。
6. マジック汚染性試験
寺西化学工業社製のマジックインキ(「マジックインキ」は内田洋行の登録商標)の黒を作成したプレコート金属板の塗膜表面に塗布して、常温で24時間放置した後に、エタノールにて塗布したマジックインキを拭き取った後の跡残りを評価した。マジック跡が消えて見えない場合を○、マジックが僅かに残っている場合を△、マジック跡が消えていない場合を×と評価した。
以下、評価結果について詳細を記載する。
表3に、本発明で作製したプレコート金属板とその評価結果を示す。
本発明のプレコート金属板(本発明例−1〜17)は、多層同時塗布して塗装しても鮮映性に優れ、且つ、優れた耐汚染性を有していた。トップ塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂と中塗塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂の添加量と種類が共に同じもの(比較例−18、23、26)は、Nc−maxが存在せず、加工密着性も悪いため不適である。トップ塗膜を形成する塗料の溶剤組成と中塗塗膜を形成する塗料の溶剤組成とが同じもの(比較例−19)は、トップ塗料と中塗塗料との表面張力差が3mN/m以下となり、鮮映性が低下するため不適である。更に、トップ塗膜を形成する塗料の溶剤組成と中塗塗膜を形成する塗料の溶剤組成とが異なるものでも、トップ塗料と中塗塗料との表面張力差が3mN/m以下のもの(比較例−20、21、22、24、25)も鮮映性が低く不適である。
更に、ウェットオンウェットや多層同時塗布ではない従来の単層毎に塗装と焼付を繰り返して多層積層したもの(比較例−27)はNc−maxが存在せず、加工密着性に劣り、また、塗装時の焼付け工程数も増えるため、好適ではない。
本発明で極大値Nc−maxが存在するがNc−max値が0.5未満のもの(本発明例−9、16)は、塗膜の加工性やラビング性に劣る傾向であるため、Nc−max値が0.5以上がより好適である。また、これら極大値Nc−maxが存在するがNc−max値が0.5未満のもの(本発明例−9、16)は、トップ塗膜と中塗塗膜の平均アミノプラスト樹脂添加量がトップ塗膜と中塗塗膜の合計バインダー樹脂量を100質量部とした時に15質量部未満であるため、平均アミノプラスト樹脂添加量は15質量部以上が好適である。更に、トップ塗膜と中塗塗膜の平均アミノプラスト樹脂添加量がトップ塗膜と中塗塗膜の合計バインダー樹脂量を100質量部とした時に100質量部超のもの(本発明例−10)は、加工性が劣る傾向であるため、平均アミノプラスト樹脂添加量は100質量部以下が好適である。
本発明でトップ塗膜最表層のN値が0.5以上のもの(本発明例−7、14)は、マジック汚染性に優れるため、好適である。また、本発明の塗膜を形成するトップ塗料及び中塗塗料のいずれか一方又は両方に揮発性塩基性物質で中和した酸性触媒を含むもの(本発明例−7、14)は、何れもトップ塗膜最表層のN値が0.5以上となり、マジック汚染性に優れるため、より好適である。
[実施例−2]
以下、実施例−2の実験について詳細を説明する。
まず、実施例−2の実験に用いた塗料の詳細を説明する。
実施例−1で作製した「トップ−12」と「中塗−6」を用いて、試験を実施した。プライマー塗料及び裏面塗料は、実施例−1で用いたものと同じものを用いた。
以下、実施例−2の実験に用いたプレコート金属板について詳細を説明する。
実施例−2では、原板である金属板として新日本製鐵株式会社製の亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板「ジンクライト」(以降、ZLと称す)と新日本製鐵株式会社製の電気亜鉛めっき鋼板「ジンコート」(以降、EGと称す)を原板として準備した。新日本製鐵株式会社製の亜鉛−亜鉛−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板である「スパーダイマ」(以降、SDと称す)、55%亜鉛−アルミニウムめっき鋼板「ガルバリウム」(以降GLと称す)、アルミニウム板(以降Alと称す)を用いた。板厚は0.6mmのものを使用した。本実験で用いたZLのめっき付着量は片面20g/m、めっき層中のニッケル量は12%であった。また、EGのめっき付着量は片面20mg/mのもの、SDのめっき付着量は片面60g/mのもの、SDのめっき付着量は片面70g/mのものを用いた。
これらの金属原板を用いて、実施例−1と同様の要領でプレコート金属板を作製した。
以下、実施例−2で作製したプレコート金属板の評価方法の詳細を記載する。
実施例−1に記載の1〜6の評価を実施した。作製したプレコート金属板の詳細及び評価結果を表4に記載する。
以下、実施例−2の評価結果の詳細を記載する。
本発明のプレコート金属板は、原板に電気亜鉛メッキ鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、亜鉛−亜鉛−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板、55%亜鉛−アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム板のいずれを用いても(本発明例−28〜32)、鮮映性、加工性、ラビング性、マジック汚染性に優れる結果であった。
[実施例−3]
以下、実施例−3の実験について詳細を説明する。
まず、実施例−3の実験に用いた各塗料について詳細を説明する。
実施例−3では、旭硝子社製のフッ素系樹脂である「LUMIFLON(登録商標)LF552」(Tg:20℃、数平均分子量12000、以降、フッ素と称す)、日本触媒社製のアクリル樹脂「アロセット(登録商標)5535」(以降、アクリルと称す)を用いて、実施例−1で示したと同様の要領で、トップ塗料と中塗塗料を作製した。アクリル樹脂は、ペレット状態の樹脂を溶剤に溶解して用いた。溶剤は、NMPとシクロヘキサノンを用いた。フッ素系樹脂は、主としてソルベッソとシクロヘキサノンに既に溶解済みのものを用いた。ただし、これら溶剤の混合比率が不明であったため、これに必要に応じてNMPもしくはEEPを必要量追加添加することで、塗料の表面張力を調整した。添加したアミノプラスト樹脂は、メチル化メラミンを、触媒はアミン非中和触媒を用いた。トップ塗料は、顔料を一切添加しないクリア塗料として用いた、中塗塗料には、実施例−1に記載の酸化チタンを50質量%添加したものを用いた。また、実施例−1で作製した中塗−2も必要に応じて用いた。
作製したトップ塗料と中塗塗料の詳細を表5と表6にそれぞれ記載する。
実施例−3の実験に用いたプレコート金属板を実施例−1と同様の要領で作製し実施例−1に記載の1〜6の評価を実施した。
実施例−3で作製した金属板の詳細と評価結果を表7に記載する。
以下、実施例−3の評価結果について詳細を記載する。
本発明のプレコート金属板は、トップ塗膜及び中塗塗膜に用いる主樹脂にフッ素系樹脂を用いたものやアクリル系を用いたもの(本発明例−33〜36)でも、鮮映性、加工性、ラビング性、マジック汚染性に優れる結果であった。
[実施例−4]
以下、実施例−4の実験について詳細を説明する。
まず、実施例−4の実験に用いた各塗料について詳細を説明する。
実施例−1で用いたポリエステルメチル化メラミン、アミン中和触媒、アミン非中和触媒を用いて、実施例−1と同じ要領でクリア塗料を作製した。そして、これに、赤系、黄系、オレンジ系の着色顔料、及び、メタリック顔料、パール調顔料を添加することで、着色塗料を作製した。赤系の顔料には市販のナフトールレッドを、黄系の顔料には市販のジスアゾイエローを、オレンジ系の顔料には市販のジスアゾピラゾロンオレンジを、メタリック顔料には市販の塗料用メタリック顔料であるアルミニウムフレークを、パール調顔料には市販の塗料用パール調顔料である雲母を用いた。また、実施例−1で作製した「中塗塗料−2」も本実験で用いた。プライマー塗料や裏面塗料は、実施例−1で作製したと同じものを用いた。
作製したトップ塗料及び中塗塗料の詳細を、表8及び9にそれぞれ記載する。
実施例−4の実験に用いたプレコー金属板を実施例−1と同様の要領で作製し、実施例−1に記載の1〜6の評価を実施した。更に、これに加えて、作製したプレコート金属板の意匠外観を目視にて評価した。
以下、実施例−4で作成したプレコート金属板の詳細と評価結果を記載する。
本発明のプレコート金属板のトップ塗膜層、もしくは、トップ塗膜層と中塗り塗膜層の両方に含まれる顔料が、赤色系顔料、黄色系顔料、オレンジ色系顔料、メタリック顔料、パール調顔料を添加したもの(本発明例−37〜41)であると、鮮映性に加えて意匠性にも優れるため、より好適である。
赤色系顔料をトップ塗膜に添加した本発明例−37は、鮮やかな赤色で高鮮映の外観を有しており、好適である。黄色系顔料を添加した本発明例−38は、鮮やかな黄色で高鮮映の目視外観を有しており、好適である。オレンジ系顔料を添加した本発明例−39は、鮮やかなオレンジ色で高鮮映の目視外観を有しており、好適である。メタリック顔料やパール顔料を添加した本発明例−40、41は、輝度感のあるメタリックやパール調で高鮮映の目視外観を有しており、好適である。
[実施例−5]
以下、実施例−5の実験について詳細を説明する。
まず、実施例−5の実験に用いた各塗料について詳細を説明する。
実施例−1で用いたポリエステルにメチル化メラミン、アミン中和触媒とテトラメトキシシランの加水分解縮重合物(一般にポリメチルシリケートと呼ばれる)を添加することで、トップ塗料を作製した。また、必要に応じて、酸化チタンをクリア塗料中の全樹脂固形分に対する顔料添加量が50質量%に相当する量を添加した白色塗料も作製した。実施例−5では、実施例−1で用いた「中塗塗料−4」とプライマー塗料、裏面塗料も用いた。
作製した塗料の詳細を表11に記載する。
以下、実施例−5の実験に用いたプレコート金属板について詳細を説明する。
実施例−1と同様の要領でプレコート金属板を作製した。更に、本実験では、ロールコーターにてプライマー塗料を塗装して、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて到達板温210℃で焼付けた後に、ロールコーターにてトップ塗料のみを塗装して、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて到達板温230℃で焼き付けた2回塗装2回焼き付け(以降、2C2Bと称す)のサンプルも作製した。
以下、実施例−5で作製したプレコート金属板の評価方法の詳細を記載する。
実施例−1に記載の1〜6の評価に加えて、以下の雨垂れ汚染性の評価を実施した。
7. 雨垂れ汚染性
作製したサンプルを千葉県富津市の沿岸付近にある屋外暴露試験場にて3ヶ月間暴露試験を行った。試験後のサンプルについて、雨垂れ跡の有無を目視にて評価し、雨垂れ跡が全く無い場合を○、雨垂れ跡が僅かに観察される場合を△、雨垂れ跡がはっきりと観察される場合を×と評価した。
以下、実施例−5で作製したプレコート金属板の詳細と評価結果を記載する。
評価結果を表12に記載する。本発明のプレコート金属板のトップ塗膜中にアルコキシシラン又はアルコキシシランの加水分解縮合物に由来するSiを含むと(本発明例−42〜48)、これを含まないもの(本発明例−49)と比べて、耐雨垂れ汚染性が向上し、より好適である。また、従来知られていた2C2B塗装(比較例−50〜56)では達成できなかった高鮮映性が得られることができ、より好適である。また、従来知見で単に一般的なプレコート金属板、例えば、塗料の塗装焼付けを繰り返して積層する方法の場合(比較例−57)と比べても、本発明のプレコート金属板は加工性に優れ、好適である。
[実施例−6]
以下、実施例−6の実験について詳細を説明する。
まず、実施例−6の実験に用いたプレコート金属板を説明する。
前記の実施例−1〜5で作製したプレコート金属板の内、No.1,25,27,29,33,36,38を用いて実験を行った。
次に、実施例−6の実験方法を説明する。
油圧式の1000tプレス機を用いて、ポンチ径500mm、ポンチ肩R10mm、ダイス肩R10mm、絞り比1.5の条件で成形高さ50mmの条件で円筒形状のプレス加工を行った。成形した塗装金属板の外観を目視にて観察し、外観を評価した。
次に、実施例−6の評価結果に説明する。
表13に評価結果を示す。本願発明のプレコート金属板は、成形加工後も塗膜の剥離等なく、美麗な外観を有しており、且つ、意匠性にも優れていた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明のプレコート金属板の構成例を示す説明図である。 本発明のプレコート金属板の塗膜を高周波GDS分析したときの、塗膜深さと窒素濃度Nとの関係の一例を表すグラフである。 本発明におけるRa(算術平均粗さ)測定方法の一例を説明するための説明図である。

Claims (11)

  1. 金属板の片面又は両面に、少なくとも2層の多層塗膜層を有するプレコート金属板であって、
    前記多層塗膜層は、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する下層塗膜である中塗塗膜とを有し、
    前記多層塗膜層を高周波放電式グロー放電発光分光分析での深さ方向の元素濃度測定結果から得られる下記式(I)で定義される窒素強度比をN、前記トップ塗膜層の空気と接する表面をゼロ点として、ここから深さ方向の位置をT(μm)、前記トップ塗膜層と前記中塗塗膜層との界面の位置をT(μm)としたとき、
    [T−1.0]≦T≦[T+1.0]において、Nが極大値Nc−maxを有し、且つ、
    前記トップ塗膜と前記中塗塗膜層との界面のRa(算術平均粗さ)が0.3μm未満である
    ことを特徴とする、プレコート金属板。
    =[N]/{[N]+[O]+[C]} ・・・ (I)
    ここで、[N]は窒素のスペクトル強度、[O]は酸素のスペクトル強度、[C]は炭素のスペクトル強度である。
  2. 前記Nc−maxが0.5以上であることを特徴とする、請求項1記載のプレコート金属板。
  3. 前記Nが、前記トップ塗膜層の空気と接する表面(T=0)で、0.5以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレコート金属板。
  4. 前記トップ塗膜層、又は、前記トップ塗膜層と前記中塗塗膜層の両方に含まれる顔料が、赤色系顔料、黄色系顔料、オレンジ色系顔料、メタリック顔料及びパール調顔料から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のプレコート金属板。
  5. 前記トップ塗膜層が、顔料を含まないクリア塗膜であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のプレコート金属板。
  6. 前記トップ塗膜層が、塗膜を形成する樹脂骨格中に−Si−O−結合を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のプレコート金属板。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のプレコート金属板が、曲げ加工、絞り加工、張り出し加工、打ち抜き加工及びせん断加工から選ばれる1種又は2種以上の加工により成形加工されて得られることを特徴とする、金属成形体。
  8. 金属板の片面又は両面に、下記(A)〜(D)の条件を全て満たす塗料を少なくとも2層、ウェットオンウェット塗装又は多層同時塗布して、多層同時焼き付けをすることを特徴とする、プレコート金属板の製造方法。
    (A)最表面のトップ塗膜層を形成する塗料及び該トップ塗膜と接する中塗塗膜を形成する塗料が、架橋剤としてアミノプラスト樹脂を含む。
    (B)前記トップ塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂と前記中塗塗膜層を形成する塗料中のアミノプラスト樹脂の添加量又は種類が異なる。
    (C)前記トップ塗膜を形成する塗料の溶剤組成と前記中塗塗膜を形成する塗料の溶剤組成とが異なる。
    (D)[前記トップ塗膜を形成する塗料の表面張力]−[前記中塗塗膜を形成する塗料との表面張力]≧3mN/mである。
  9. 前記トップ塗膜層と前記中塗塗膜層を形成する塗料のアミノプラスト樹脂の平均含有量が、バインダー樹脂固形分100質量部に対して15〜100質量部であることを特徴とする、請求項8記載のプレコート金属板の製造方法。
  10. 前記トップ塗膜層を形成する塗料及び前記中塗塗膜層を形成する塗料のいずれか一方又は両方が、さらに揮発性塩基性物質で中和した酸性触媒を含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載のプレコート金属板の製造方法。
  11. 前記酸性触媒の含有量が、バインダー樹脂固形分100質量部に対して0.05〜1質量部であることを特徴とする、請求項10記載のプレコート金属板の製造方法。
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