JP3232153B2 - 塗装鋼板の製造方法 - Google Patents
塗装鋼板の製造方法Info
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Description
するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、従来
の塗装鋼板に比べて、より優れた耐久性を備えた塗装鋼
板を製造する方法に関するものである。
さ0.3〜0.8mmの塗装鋼板は、切断され、成形加工さ
れて目的の用途に供されるが、その用途は、屋根や建物
外装などの長期耐久性が要求される部位や電器機器、室
内器物、車両内装、建物内装などに現在広く使用されて
いる。上記の用途の中で、長期耐久性が要求される部位
に使用される塗装鋼板については「耐久性20年保証」
が今では当業界で通例となっている。だだし、塗装鋼板
は、成形加工し施工した場合に、切口端面が必ず露出す
る。施工物件においても、切口端面がふくれや錆が最も
出やすい部位であり、20年保証している塗装鋼板で
も、加工部は当業界で免責事項となっている。一般に、
塗装鋼板に使用される被塗板は、冷延鋼板、亜鉛めっき
鋼板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス
鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などの金属
板などが使用されているが、20年保証する塗装鋼板の
被塗板としては、耐食性の高い溶融亜鉛めっき鋼板、ア
ルミニウル/亜鉛合金めっき鋼板及びステンレス鋼板が
主流となっており、また、使用される塗料はやはり耐食
性に優れたフッ化ビニリデン系樹脂塗料を塗装焼付仕上
げしたものが一般に使用されている。これらフッ化ビニ
リデン系樹脂塗装鋼板に関する公知の技術としては、例
えば下塗塗料にエポキシ樹脂、中塗塗料にアクリル樹
脂、上塗塗料にアクリル変性フッ化ビニリデン樹脂を主
成分として用いた塗膜(特公昭63−11950号公
報)、下塗塗料にエポキシ樹脂、中塗塗料にアクリル変
性フッ化ビニリデン樹脂、上塗塗料にアクリル変性フッ
化ビニリデン樹脂を主成分として用いた塗膜(特開昭5
9−179340号公報、特公平3−11266号公
報)、結晶化度が18%以下でフッ化ビニリデン樹脂が
70重量%以上のフッ化ビニリデン樹脂系上塗り塗膜
(特開昭61−114846号公報)、ガラス繊維が配
合されたフッ化ビニリデン系樹脂塗料で仕上げた塗膜
(特開昭61−236869号公報、特開昭57−17
7379号公報)、アクリル変性ポリエステル樹脂の下
塗塗料を用い、かつポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリ
ル樹脂とを含む上塗塗料仕上げ(特開平2−23318
3号公報)、ポリフッ化ビニリデンと熱可塑性アクリル
樹脂とから成る仕上げ塗料塗膜(特開平4−11672
号公報)、ポリフッ化ビニリデンと熱可塑性アクリル重
合体を主成分とする中塗塗料を用い、かつポリフッ化ビ
ニリデンを含有する上塗塗料仕上げ(特開平2−174
977号公報)などが開示されている。しかしながら、
近年、海岸地区でのビルの高層化などにより、ビル外装
などの補修が簡単にできにくくなってきたため、ビル外
装材などの塗装鋼板に高度な耐食性が要求されるように
なり、切口端面も保証の対象して考えなければならな
い。このような背景から、従来に増して耐久性に優れた
塗装鋼板の要求、すなわち「耐久性30年以上保証」が
でてきている。したがって、当業界としては、切口端
面、傷つき部、折り曲げ加工部を含め、従来の塗装鋼板
の2〜3倍程度の耐食性が得られる塗装鋼板の開発が要
望されている。しかしながら、前記の20年保証を対象
とした塗装鋼板では、以下の(1)〜(3)に示す課題
が顕在化しており、上記の要望には対応できないという
問題がある。 (1)下塗、中塗及び上塗の各塗料合計の塗膜厚が50
μm以下と薄いため、水分などが塗膜を浸透しやすく、
また切口端面や加工部にふくれが出やすいなど十分な耐
食性を備えていない。 (2)従来は、フッ素系仕上げ塗料と組み合わせる下塗
塗料としては、通常エポキシ系の塗料が適用されてい
た。該下塗塗料は塗膜が固く加工性が悪いために、厚い
ものでもせいぜい10μm程度の塗膜厚にしか塗装がで
きないものである。したがって耐食性が発揮できず、ま
た(1)に記載のように塗装鋼板の合計塗膜厚が50μ
m以上にできない一因にもなっている。該下塗塗膜をよ
り厚く塗装しようとすると、塗膜焼付時にわきが発生し
たり、成形加工時にクラックが生じるなどの問題がある
ため、約10μmの塗膜厚が限界である。 (3)従来技術における仕上げ塗料(中塗塗料及び上塗
塗料をさす)としては展色剤成分としてポリフッ化ビニ
リデンと熱可塑性アクリル樹脂とを主体とした塗料であ
り、これらについても以下のような問題があった。すな
わち該塗料を1回塗装によって40μm未満の塗膜厚を
得るには特に問題はないが、2回以上塗重ねる場合に
は、下部の塗膜が熱可塑性であるため、上部の塗料塗布
時に上部塗料中の溶剤によって下部の塗膜が再溶解さ
れ、40μm以上の塗膜厚を得ようとするとわきが発生
するという問題がある。したがって、仕上げ塗料の合計
塗膜厚は40μm程度が限界であり、このことは(1)
に記載のように塗装鋼板の合計塗膜厚が50μm以上に
できない一因にもなっている。「耐久性30年以上保
証」に対応できる塗装鋼板の品質としては、(1)促進
耐候性試験2000時間での色の変色は、NBS色差
(ΔE)が7以下、(2)成形加工部の塩水噴霧試験2
500時間でASTM:8F以上の性能を有しているこ
とが要求される。
事情のもとで、「耐久性30年以上保証」に対応できる
と思われる優れた耐食性と成形加工性を有する塗装鋼板
を製造する方法を提供することを目的としてなされたも
のである。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、1回の塗装で
30μm程度の塗膜厚が得られ、かつ成形加工性に優
れ、しかも切口端面、傷つき部、成形加工部の耐食性を
具備した特定の下塗塗料、並びに上塗塗料塗布時に再溶
解しない特定の中塗塗料を使用することにより、合計6
0〜120μm程度の塗膜が得られ、その目的を達成し
うることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は、めっき鋼板上に下塗
塗料、中塗塗料及び上塗塗料を塗重ね、かつ上塗塗料と
してフッ素樹脂型塗料を用いて塗膜を形成させるに当た
り、固形分として、水酸基価8〜25mgKOH/gのリニ
アポリエステル樹脂50〜90重量%を含有する展色剤
を主成分とし、かつ該展色剤固形分100重量部に対
し、顔料40〜100重量部を含有して成る下塗塗料、
及びポリフッ化ビニリデン樹脂と熱硬化性アクリル樹脂
とを展色剤の主成分とする中塗塗料を用いることを特徴
とする塗装鋼板の製造方法を提供するものである。
法で使用する被塗板としては、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼
板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼
板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などの金属板
を挙げることができるが、ふくれ、端面加工部の防食性
が優れている点で、溶融亜鉛めっき鋼板、5%アルミニ
ウム/亜鉛合金めっき鋼板、55%アルミニウム/亜鉛
合金めっき鋼板が好ましい。被塗板は塗膜との付着性そ
の他を考慮し、塗装に先立ってその表面に化成処理を施
すことができる。化成処理としては、一般に塗装下地処
理として使用されているものでよく、溶融亜鉛めっき鋼
板、5%アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板に対しては
リン酸亜鉛処理、又は塗布型若しくは反応型のクロメー
ト処理が好ましく適用でき、55%アルミニウム/亜鉛
合金めっき鋼板に対しては塗布型あるいは反応型のクロ
メート処理が好ましく適用できる。本発明方法において
は、前記鋼板上に下塗塗料、中塗塗料及び上塗塗料を塗
重ねることによって、塗装鋼板が製造される。該下塗塗
料としては、リニアポリエステル樹脂(リニア構造を主
体とした高分子ポリエステル樹脂)を展色剤の主成分と
するものが用いられる。また、この下塗塗料は、該リニ
アポリエステル樹脂と共に、エポキシ樹脂及びメラミン
樹脂を含むものが好適である。該リニアポリエステル樹
脂としては、水酸基価が8〜25mgKOH/gの範囲にあ
るものを用いる必要があり、また数平均分子量が5,0
00〜25,000、ガラス転移点が10〜50℃の範
囲にあるものが好適である。このようなリニアポリエス
テル樹脂としては、例えば市販品であるバイロン59C
S、GK13CS[東洋紡績(株)製、商品名]、ベッコ
ライトM−6801−30[大日本インキ工業(株)製、
商品名]などがある。該リニアポリエステル樹脂におい
て、数平均分子量が5,000未満では塗膜の硬化が進
みすぎて加工性が低下するし、25,000を超えると
樹脂を溶解するための溶剤を多く必要とし、塗料の固形
分含有量が低くなるため塗膜を厚くすることができにく
くなる。また、ガラス転移点が10℃未満では塗膜硬度
が低下するし、50℃を超えると成形加工性が低下する
ので、いずれも好ましくない。さらに、水酸基価が8mg
KOH/g未満では塗膜架橋密度が不足し、その上に塗装
される塗料が焼付乾燥時にわきやすくなるし、25mgKO
H/gを超えると塗膜架橋密度が高くなり、成形加工性
が低下する。
量が400〜2,700、エポキシ当量が200〜2,0
00の範囲にあるものが好適である。このようなエポキ
シ樹脂としては、市販品であるエピコート#828、#
834、#1001、#1004、#1007[油化シ
ェルエポキシ(株)製、商品名]などがある。さらに、メ
ラミン樹脂としては、リニアポリエステル樹脂と相溶性
のあるメチル化メラミン樹脂、あるいはブチル化メラミ
ン樹脂が好適である。下塗塗料中の展色剤成分を構成す
る前記のリニアポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びメ
ラミン樹脂の使用割合としては、それぞれ固形分とし
て、リニアポリエステル樹脂が50〜90重量%、エポ
キシ樹脂とメラミン樹脂との合計量が10〜50重量%
の範囲にあるのがよい。また、エポキシ樹脂とメラミン
樹脂との混合割合は、重量比50:50ないし80:2
0の範囲にあるのが好ましい。リニアポリエステル樹脂
が50重量%未満では下塗塗料の1回塗装で厚さ30μ
m程度の乾燥膜厚が得られにくく、かつ成形加工性に劣
るし、90重量%を超えると素地との密着性が低下する
ので、いずれも本発明の目的が達成されない。 該下塗塗料には、防錆顔料、着色顔料、体質顔料などの
顔料が用いられ、また一般に塗料に使用される溶剤や各
種添加剤などを配合することができる。防錆顔料として
は、クロム酸系防錆顔料、すなわち、ストロンチウムク
ロメート、カルシウムクロメート、バリウムクロメー
ト、ジンククロメートなどが使用できるが、ストロンチ
ウムクロメートが最適である。体質顔料としては、例え
ば炭酸カルシウム、クレイ、タルク、合成シリカ、天然
シリカ、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、沈降性硫酸
バリウム、カオリンなどが使用できる。全顔料の添加量
は、前記の展色剤固形分100重量部に対し、40〜1
00重量部の範囲で選ばれる。40重量部未満では、わ
きが発生しやすくまた十分な防錆力が得られず、100
重量部を超えると折り曲げ加工性が低下し、加工部の耐
食性が悪くなる。溶剤としては、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、
セロソルブ系溶剤、メチルイソブチルケトン、イソホロ
ン、シクロヘキサノンなどが使用できる。このように、
下塗塗料の展色剤の主成分として、リニアポリエステル
樹脂を使用することにより、わきの発生を抑制して1回
塗りで30μm程度の厚塗りを可能とし、しかも2回塗
り60μm程度の厚膜においても優れた成形加工性を具
備させることが可能となる。
リフッ化ビニリデン樹脂と熱硬化性アクリル樹脂とを展
色剤の主成分とするものが用いられる。また、この中塗
塗料は、該ポリフッ化ビニリデン樹脂及び熱硬化性アク
リル樹脂と共に、熱可塑性アクリル樹脂及びメラミン樹
脂を含むものが好適である。該ポリフッ化ビニリデン樹
脂としては、重量平均分子量が200,000以上、融
点が150〜180℃の範囲にあるものが好ましく、こ
のようなものとしては、例えば市販品であるカイナー5
00[アトケム(株)製、商品名、重量平均分子量35
0,000、融点160〜165℃]などが挙げられ
る。該熱硬化性アクリル樹脂は、メラミン樹脂と反応し
て架橋構造を形成できるものであって、このようなアク
リル樹脂としては、例えば側鎖に水酸基を有するもの、
側鎖にカルボキシル基を有するもの、側鎖に水酸基とカ
ルボキシル基とを有するものが使用可能である。また、
これらを混合して使用することもできる。上記のような
アクリル樹脂は、通常の塗料用のアクリル樹脂の製造方
法がそのまま適用でき、例えば単量体に重合開始剤を混
合して、溶液重合法、塊状重合法などにより、容易に製
造することができる。水酸基を有する熱硬化性アクリル
樹脂としては、水酸基価が5〜20mgKOH/gの範囲に
あるものが望ましい。このように水酸基をアクリル樹脂
に導入するための、水酸基を有するアクリル系単量体と
しては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレートなどが
あり、また、プラクセルFMモノマー若しくはプラクセ
ルFAモノマー[ダイセル化学工業(株)製]なども使用
可能である。
樹脂としては、酸価が5〜20mgKOH/gの範囲にある
ものが望ましい。このようなカルボキシル基をアクリル
樹脂に導入するための、カルボキシル基を有するアクリ
ル系単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル
酸、無水マレイン酸、フマル酸及びこれらの置換誘導体
などが使用可能である。また上記の水酸基やカルボキシ
ル基を含有アクリル系単量体と併用される他の共重合可
能なビニル系単量体としては、例えばメチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、スチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルト
ルエン、酢酸ビニル、アシル基変性(メタ)アクリレー
トなどが使用できる。また、該熱可塑性アクリル樹脂と
しては、例えば市販品であるパラロイドA−11、パラ
ロイドB−44[ロームアンドハースジャパン(株)製、
商品名]、ダイヤナールBR−80、ダイヤナールBR
−83、ダイヤナールBR−85、ダイヤナールBR−
87[三菱レイヨン(株)製、商品名]などがある。さら
に、該メラミン樹脂としては、前記下塗塗料の説明にお
いて例示したものと同じものが挙げられる。前記中塗塗
料における展色剤を構成する各樹脂成分の配合割合につ
いては、それぞれ固形分として、まずポリフッ化ビニリ
デンの量が40〜80重量%の範囲にあるのが望まし
い。また、熱硬化性アクリル樹脂と熱可塑性アクリル樹
脂との混合物及びメラミン樹脂の配合割合は、重量比で
80:20ないし95:5の範囲にあるのが望ましく、
さらに熱硬化性アクリル樹脂と熱可塑性アクリル樹脂と
の配合割合は、重量比で30:70ないし70:30の
範囲にあるのが望ましい。
塗料に使用される着色顔料、体質顔料、溶剤、添加剤な
どを配合することができる。着色顔料としては例えば、
酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、クロム酸鉛、
アルミニウム粉、銅粉、コバルトブルー、コバルトグリ
ーンなどが使用できる。添加剤としては例えば、消泡
剤、顔料分散剤、たれ防止剤、傷付防止剤などが使用で
きる。以上のように、中塗塗料の展色剤成分を熱硬化性
アクリル樹脂及びメラミン樹脂を加えた組成とすること
により、従来の中塗塗料の欠点であった「上塗塗料塗布
時に中塗塗料が再溶解する」塗装不良を解消することが
でき、中塗塗料と上塗塗料との合計塗膜厚を40〜60
μm程度と厚くすることが可能になった。本発明方法に
おいては、上塗塗料としてフッ素樹脂型塗料が用いられ
る。このフッ素樹脂型塗料としては、従来、屋根や建物
外装などの長期耐久性が要求される部位に使用されてい
る塗装鋼板用のフッ素樹脂型の上塗塗料がそのまま適用
できる。このフッ素樹脂型上塗塗料は、その展色剤の主
成分が、通常ポリフッ化ビニリデンと熱可塑性アクリル
樹脂とで形成されており、両者の混合割合は、重量比で
70:30ないし85:15の範囲にあるのが望まし
い。また、該ポリフッ化ビニリデン及び熱可塑性アクリ
ル樹脂としては、前記中塗塗料の説明において例示した
ものと同じものを挙げることができる。上塗塗料には塗
膜硬度その他の性能の向上を目的として、ガラス繊維、
ガラスビーズ、アルミナ、マイカ、シリカなどの無機質
やポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレ
イトなどの有機骨材を配合してもよい。さらに、上塗塗
料のその他の成分としては、一般に塗料に使用される着
色顔料、溶剤、添加剤などを配合することができる。添
加剤としては例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡
剤、顔料分散剤、レベリング剤、沈降防止剤、傷付防止
剤などが使用できる。
す。まず、被塗板として、溶融亜鉛めっき鋼板、5%ア
ルミニウル/亜鉛合金めっき鋼板又は55%アルミニウ
ル/亜鉛合金めっき鋼板を用い、これに対して、リン酸
亜鉛処理、又は塗布型若しくは反応型のクロメート処理
を施す。塗装方法としては、本発明における下塗塗料を
ローラー塗装にて乾燥塗膜厚が20〜30μm程度にな
るように塗布し、到達板温が250±10℃で加熱乾燥
する。次に、本発明における中塗塗料をローラー塗装に
て乾燥塗膜厚が20〜30μm程度になるように塗布
し、到達板温が250±10℃で加熱乾燥する。さら
に、本発明における上塗塗料をローラー塗装にて乾燥塗
膜厚が20〜30μm程度になるように塗布し、到達板
温が250±10℃で加熱乾燥する。以上のように、下
塗塗料、中塗塗料及び上塗塗料を3コート3ベイクする
ことによって、合計塗膜厚が60〜90μmの本発明方
法による塗装鋼板を得ることができる。 また、塗装方法の別法として、さらに高耐食性を得るた
めに下塗塗料を2回塗装し、中塗塗料及び上塗塗料は上
記と同様に塗装して、4コート4ベイクすることによっ
て、合計塗膜厚が80〜120μm程度の本発明方法に
よる塗装鋼板を得ることもできる。
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、塗装鋼板の性能は次のように評
価した。 (1)加工性試験 20℃の室内にて、幅5cmに切断した各試験片について
加工性を試験した。表中の2Tとは、加工される試験片
と同一の被塗板2枚を内側にはさみ込み(0Tは試験片
をそのまま)塗膜を外側にして180度密着折曲げをし
たものである。折曲げた先端を10倍ルーペで観察し、
以下の基準で評価した。 ◎:クラック全くなし ○:クラックが10%以下(合格) △:クラックが10%を超え、50%未満(不合格) ×:クラックが50%以上 (2)衝撃変形試験 JIS K-5400(1979)6.13.3B法を適
用し、おもり1kg、高さ50cmで、試験片の塗面を上向
きの場合と下向きの場合とについて試験し、以下の基準
で評価した。 ◎:セロハンテープ剥離が全くなし ○:セロハンテープ剥離面積が10%以下(合格) △:セロハンテープ剥離面積が10%を超え、50%未
満(不合格) ×:セロハンテープ剥離面積が50%以上 (3)耐沸騰水試験 試験片を沸騰水に5時間浸漬したのち、塗膜の異常の有
無を目視で観察し、以下の基準で評価した。 ○:塗面に全く異常なし(合格) △:僅かにフクレを認める(不合格) ×:明らかにフクレを認める (4)耐食性試験 2T加工を施した試験片について、JIS Z-2371
(塩水噴霧試験)に準じて、2500時間試験し、
(イ)平面部のふくれ発生状況、(ロ)2T加工部のふ
くれ発生状況、(ハ)クロスカット部のふくれ発生状況
を観察し、以下の基準で評価した。 ○:塗面に全く異常なし(合格) △:僅かにフクレを認める(不合格) ×:フクレ、白錆を認める またさらに、(ニ)切口端面からのふくれ発生幅の測定
を行い、6mm以下を合格とした。
乾燥時点で、塗面についてわきの有無を観察し、以下の
基準で評価した。 ○:塗面に全く異常なし(合格) △:僅かにわきを認める(不合格) ×:明らかにわきを認める なお、わきが認められ不合格の試験片については、もは
や他の試験は実施しなかった。 (6)密着性試験 20℃の室内にて、まず、試験片塗膜にJIS K-54
00の6.15(碁盤目試験)の方法に準じてカッター
ナイフにて碁盤目を作り、試験片該箇所の裏面からエリ
クセン試験機にて6.0mm押し出す。その後碁盤目上に
セロハン粘着テープを十分に付着させ、ただちにセロハ
ンテープを塗膜面と直角方向に瞬間的に引きはがし、剥
がれないで残った碁盤目の数が100のものを合格、9
9以下を不合格とした。 (7)促進耐候性試験 3T加工を施した試験片について次の試験器及び試験条
件で2000時間試験した(通称デューサイクルサンシ
ャイン ウェザーオメーター) 試験器:WEL−Sunshine−DC[スガ試験器
(株)製] 試験条件:光源カーボンアーク ブラックパネル温度 63℃ 試験後の塗面状態を観察し、試験前と後との色差ΔE、
光沢保持率%を測定した。評価方法は、塗面状態につい
ては、 ◎:塗面に全く異常なし ○:ほとんど異常なし(合格) △:光沢低下、白さび、フクレが認められるもの(不合
格) ×:明かに異常あり 色差、光沢保持率については、7.0以下、70%以上
をそれぞれ合格とした。
脂と混合溶剤の一部とを混合し、次いで顔料を加えて均
一に混合したのち、アトライターを用いて粒度30μm
以下に分散した。さらにエポキシ樹脂、メラミン樹脂及
び酸触媒を加えたのち、残りの混合溶剤を適宜加えて、
粘度をフォードカップ#4で120±10秒(25℃)
に調整して、13種類の下塗塗料U1〜U13を調製し
た。なお、U1〜U5は本発明に準じた下塗塗料であ
り、U6〜U13は比較試料用の下塗塗料である。
子量;5000〜8000、不揮発分;50wt%、水酸
基価;12〜22mgKOH/g、ガラス転移点;15℃] 2)バイロンGK13CS[東洋紡績(株)商品名。数平
均分子量;5000〜8000、不揮発分;50wt%、
水酸基価;16〜25mgKOH/g、ガラス転移点;24
℃] 3)ベッコライトM−6801−30[大日本インキ化
学工業(株)商品名。数平均分子量;15000、不揮発
分;30wt%、水酸基価;8〜15mgKOH/g、ガラス
転移点;30℃] 4)バイロン29XS[東洋紡績(株)商品名。数平均分
子量;20000〜25000、不揮発分;35wt%、
水酸基価;5〜8mgKOH/g、ガラス転移点;70℃] 5)バイロン51CS[東洋紡績(株)商品名。数平均分
子量;20000〜25000、不揮発分;40wt%、
水酸基価;5〜8mgKOH/g、ガラス転移点;4℃] 6)DYNAPOL LH812[Dynamit Nobel(株)商
品名。数平均分子量;3000、不揮発分;60wt%、
水酸基価;35mgKOH/g、ガラス転移点;30℃] 7)エピコート1001[油化シェルエポキシ(株)商品
名。不揮発分;60wt%、エポキシ当量;450〜50
0] 8)エピコート834[油化シェルエポキシ(株)商品
名。不揮発分;50wt%、エポキシ当量;225〜28
0] 9)エピコート1007[油化シェルエポキシ(株)商品
名。不揮発分;50wt%、エポキシ当量;1750〜2
700] 10)スミマールM55[住友化学工業(株)商品名。不
揮発分;70wt%ブタノール溶液] 11)ソルベッソ#150/シクロヘキサノン=50/
50(重量%) 12)p−トルエンスルホン酸、20wt%溶液
ルアルコール4.7重量部を135℃に昇温させた反応
容器中に、メタクリル酸メチル34重量部、アクリル酸
ブチル13重量部、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル
2重量部、アクリル酸1重量部、クメンハイドロベルオ
キシド0.3重量部の混合液を、3時間かけて滴下し、
さらに同温度で2時間撹拌を続けて、熱硬化性アクリル
樹脂ワニスAS1を得た。固形分は50重量%であっ
た。樹脂固形分の数平均分子量が12000、水酸基価
18mgKOH/g、酸価が16であった。 調製例3 中塗及び上塗塗料の調製 第2表に示す配合に準じて、まずアクリル樹脂とイソホ
ロンの一部とを混合し、次いで顔料を加えて均一に混合
したのち、アトライターを用いて粒度10μm以下に分
散させた。さらにディスパーにて撹拌しながら、ポリフ
ッ化ビニリデンの粉末を加えて分散させた。最後に、メ
ラミン樹脂及び酸触媒を加えたのち、残りのイソホロン
を適宜加えて、粘度をフォードカップ#4で170±1
0秒(25℃)に調整し、4種類の中塗塗料S1〜S4
と上塗塗料T1とを調製した。S1〜S3は本発明方法
に準じた中塗塗料であり、S4は比較試料用の中塗塗料
である。
ン(株)商品名。不揮発分;30wt%イソホロン溶液] 14)サイメル303[三井サイアナミッド(株)商品
名。不揮発分;100%] 15)カイナー500[アトケム(株)商品名。重量平均
分子量;350000、融点;160〜165℃] 実施例1〜10、比較例1〜12 厚さ0.6mm、塗布型クロメート処理した5%アルミニ
ウム/亜鉛合金めっき鋼板を被塗板として用い、第3表
に記載した塗料の種類、塗装回数、塗膜厚及び焼付け温
度に準じて、該被塗板に、順次下塗塗料、中塗塗料及び
上塗塗料を塗重ね、実施例、比較例を合わせて合計22
種類の試験片を作製した。各試験片について性能を評価
した。その結果を第4表に示す。
方法から外れる比較例1〜12において、塗装焼付け乾
燥時に、わき発生の顕著なものは他の試験を実施しなか
った。これら以外の比較例試験片については、上塗塗料
がフッ素樹脂塗料であり、促進耐候性試験結果は総じて
良かったものの、他の試験項目では、いずれかで不合格
であり、満足できるものはないが、本発明方法に準じた
実施例1〜10では、すべての試験項目において合格し
ており、耐久性30年以上の要求に対応できると思われ
る本塗装鋼板の製造方法は、優れた方法であることが明
らかである。
して前処理を施しためっき鋼板を使用し、塗装において
はそれぞれ特定した下塗塗料、中塗塗料を使用すること
で、合計塗膜厚を60〜120μm程度と厚くすること
ができ、同時に耐食性も著しく向上させることができ
る。その結果、従来の塗装鋼板では、20年程度の耐久
性しか得られなかったが、本発明方法によると、30年
以上の耐久性が得られると思われる塗装鋼板を得ること
ができ、本発明方法は画期的な方法といえる。今後、超
高層ビルの外壁などで、長期にわたりメンテナンスが不
要になり、その効果が極めて大きい。
Claims (1)
- 【請求項1】めっき鋼板上に下塗塗料、中塗塗料及び上
塗塗料を塗重ね、かつ上塗塗料としてフッ素樹脂型塗料
を用いて塗膜を形成させるに当たり、固形分として、水
酸基価8〜25mgKOH/gのリニアポリエステル樹脂5
0〜90重量%を含有する展色剤を主成分とし、かつ該
展色剤固形分100重量部に対し、顔料40〜100重
量部を含有して成る下塗塗料、及びポリフッ化ビニリデ
ン樹脂と熱硬化性アクリル樹脂とを展色剤の主成分とす
る中塗塗料を用いることを特徴とする塗装鋼板の製造方
法。
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-
1993
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