JP4091180B2 - 艶消し塗装金属板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性、加工性、密着性、耐沸騰水性及び耐酸性に優れ、非クロム系の塗膜構成とできる、縮み模様を有する艶消し塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、コイルコーティングなどによって塗装されたプレコート鋼板などのプレコート金属板は、建築物の屋根、壁、シャッター、ガレージなどの建築資材、各種家電製品、配電盤、冷凍ショーケース、鋼製家具及び厨房器具などの住宅関連商品として幅広く使用されている。
【0003】
プレコート鋼板からこれらの住宅関連商品を製造するには、通常、プレコート鋼板を切断しプレス成型し接合される。したがって、これらの住宅関連商品には、切断面である金属露出部やプレス加工によるワレ発生部が存在することが多い。上記金属露出部やワレ発生部は、他の部分に比べて耐食性が低下しやすいので耐食性の向上のため、プレコート鋼板の下塗塗膜中にクロム系の防錆顔料を含ませることが一般的に行われている。
【0004】
しかしながら、クロム系の防錆顔料は、防錆性に優れた6価クロムを含有していたり生成したりするが、この6価クロムは人体に悪影響を与えるので環境保護の観点から問題となっている。
【0005】
また、近年、酸性雨による塗膜の劣化が問題となっており、特に屋根用のプレコート鋼板では、60度鏡面光沢度が15以下の塗膜を形成するポリエステル系上塗塗料が多く用いられているが、光沢を低下させるために、通常、塗料中に艶消剤が大量に配合されているが、耐酸性が十分でなく酸性雨によって塗膜が劣化しやすいという問題がある。
【0006】
フッ素樹脂塗料や塩化ビニルゾル塗料は、耐酸性に優れるものの、光沢を低下させるために艶消剤を大量に配合すると加工性が大きく低下するため、60度鏡面光沢度が20以上のものしか実用化されていない現状にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、プライマー塗膜にクロム系の防錆顔料を含まなくても耐食性に優れ、しかも耐酸性に優れた艶消し塗装金属板を得るために鋭意研究を行った結果、非クロム系の防錆顔料及び/又は特定のシリカ微粒子を含有する特定範囲のガラス転移温度を有するプライマー塗膜の上に、縮み塗料からの縮み模様を有する艶消し上塗塗膜が形成された塗装金属板によって、上記目的を達成することができることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、表面に化成処理が施されていてもよい金属板上に、
(A)ガラス転移温度が40〜125℃であって、非クロム系防錆顔料及び吸油量が30〜200ml/100gの範囲内であり且つ細孔容積が0.05〜1.2ml/gの範囲内であるシリカ微粒子から選ばれる少なくとも1種の顔料を塗膜固形分中に7〜60重量%含有するプライマー塗膜が形成されており、該プライマー塗膜(A)上に、
(B)縮み塗料による縮み模様を有する艶消し上塗塗膜が形成されてなることを特徴とする塗装金属板を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の塗装金属板について詳細に説明する。
【0010】
本発明の塗装金属板は、被塗物の上に、プライマー塗膜(A)が形成されており、該プライマー塗膜(A)上に、艶消し上塗塗膜(B)が形成されてなるものである。
【0011】
本発明において、上記被塗物は、化成処理されていてもよい金属板であり、代表例として、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金(亜鉛−鉄、亜鉛−アルミニウム、亜鉛−ニッケルなどの合金)メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、ステンレス鋼板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板、アルミニウム板、銅板など;及びこれらの金属板に燐酸塩処理やクロム酸塩処理などの化成処理を施した金属板を挙げることができる。なかでも化成処理された亜鉛メッキ鋼板(溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板のいずれも包含する)、亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板及びアルミニウム板が得られる塗装金属板、特に表面にクロム酸塩処理が施された、亜鉛−アルミニウムメッキ鋼板(メッキ中の亜鉛含有量が約95重量%でアルミニウム含有量が約95重量%である、「ガルファン」と通称されている)、アルミニウムメッキ鋼板、アルミニウム板が、得られる塗装金属板の耐食性、加工性などの点から好ましい。
【0012】
プライマー塗膜(A)
本発明における前記プライマー塗膜(A)は、ガラス転移温度が40〜125℃であって、非クロム系防錆顔料及び吸油量が30〜200ml/100gの範囲内であり且つ細孔容積が0.05〜1.2ml/gの範囲内であるシリカ微粒子(以下、「小吸油量シリカ微粒子」と略称することがある)から選ばれる少なくとも1種の顔料を含有する。
【0013】
プライマー塗膜(A)を形成するのに用いられるプライマー塗料における塗膜形成樹脂は、塗膜形成能を有する樹脂である限り特に制限なく使用することができ、代表例として、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂などの1種又は2種以上の混合樹脂;及びこれらの樹脂と硬化剤との混合物などを挙げることができる。
【0014】
塗膜形成性樹脂としては、なかでも、水酸基含有ポリエステル樹脂(a)及びエポキシ樹脂(b)から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂と硬化剤(c)との混合物を好適に使用することができる。
【0015】
水酸基含有ポリエステル樹脂(a)
上記水酸基含有ポリエステル樹脂(a)としては、オイルフリーポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、また、これらの樹脂の変性物、例えばウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂などが包含される。上記水酸基含有ポリエステル樹脂は、数平均分子量1,500〜35,000、好ましくは2,000〜25,000、ガラス転移温度(Tg点)10〜100℃、好ましくは20℃〜80℃、水酸基価2〜100mgKOH/g、好ましくは5〜80mgKOH/gを有するものが好適である。
【0016】
上記樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱分析(DSC)によるものであり、また数平均分子量はゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によって、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
【0017】
上記オイルフリーポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とのエステル化物からなるものである。多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸などから選ばれる1種以上の二塩基酸及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。両成分のエステル化又はエステル交換反応は、それ自体既知の方法によって行うことができる。酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が特に好ましい。
【0018】
アルキド樹脂は、上記オイルフリーポリエステル樹脂の酸成分及びアルコール成分に加えて、油脂肪酸をそれ自体既知の方法で反応せしめたものであって、油脂肪酸としては、例えばヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸などを挙げることができる。アルキド樹脂の油長は30%以下、特に5〜20%程度のものが好ましい。
【0019】
ウレタン変性ポリエステル樹脂としては、上記オイルフリーポリエステル樹脂、又は上記オイルフリーポリエステル樹脂の製造の際に用いられる酸成分及びアルコール成分を反応させて得られる低分子量のオイルフリーポリエステル樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが挙げられる。また、ウレタン変性アルキド樹脂は、上記アルキド樹脂、又は上記アルキド樹脂製造の際に用いられる各成分を反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが包含される。ウレタン変性ポリエステル樹脂及びウレタン変性アルキド樹脂を製造する際に使用しうるポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどが挙げられる。上記のウレタン変性樹脂は、一般に、ウレタン変性樹脂を形成するポリイソシアネート化合物の量がウレタン変性樹脂に対して30重量%以下の量となる変性度合のものを好適に使用することができる。
【0020】
エポキシ変性ポリエステル樹脂としては、上記ポリエステル樹脂の製造に使用する各成分から製造したポリエステル樹脂を用い、この樹脂のカルボキシル基とエポキシ基含有樹脂との反応生成物や、ポリエステル樹脂中の水酸基とエポキシ樹脂中の水酸基とをポリイソシアネート化合物を介して結合した生成物などの、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との付加、縮合、グラフトなどの反応による反応生成物を挙げることができる。かかるエポキシ変性ポリエステル樹脂における変性の度合は、一般に、エポキシ樹脂の量がエポキシ変性ポリエステル樹脂に対して、0.1〜30重量%となる量であることが好適である。
【0021】
アクリル変性ポリエステル樹脂としては、上記ポリエステル樹脂の製造に使用する各成分から製造したポリエステル樹脂を用い、この樹脂のカルボキシル基又は水酸基にこれらの基と反応性を有する基、例えばカルボキシル基、水酸基又はエポキシ基を含有するアクリル樹脂との反応生成物や、ポリエステル樹脂に(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルなどをパーオキサイド系重合開始剤を使用してグラフト重合してなる反応生成物を挙げることができる。かかるアクリル変性ポリエステル樹脂における変性の度合は、一般に、アクリル樹脂の量がアクリル変性ポリエステル樹脂に対して、0.1〜50重量%となる量であることが好適である。
【0022】
以上に述べたポリエステル樹脂のうち、なかでもオイルフリーポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂が、加工性、耐食性などのバランスの点から好適である。
【0023】
前記塗膜形成樹脂として好適なエポキシ樹脂(b)としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂;これらのエポキシ樹脂中のエポキシ基又は水酸基に各種変性剤が反応せしめられた変性エポキシ樹脂を挙げることができる。変性エポキシ樹脂の製造において、その変性剤による変性時期は、特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂製造の途中段階に変性してもエポキシ樹脂製造の最終段階に変性してもよい。
【0024】
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に高分子量まで縮合させてなる樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に、縮合させて低分子量のエポキシ樹脂とし、この低分子量エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応させることにより得られた樹脂のいずれであってもよい。
【0025】
上記ビスフェノールとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどを挙げることができ、なかでもビスフェノールA、ビスフェノールFが好適に使用される。上記ビスフェノール類は、1種で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0026】
ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、油化シェルエポキシ(株)製の、エピコート828、同812、同815、同820、同834、同1001、同1004、同1007、同1009、同1010;旭チバ社製の、アラルダイトAER6099;及び三井化学(株)製の、エポミックR−309などを挙げることができる。
【0027】
また、エポキシ樹脂(b)として使用できるノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、分子内に多数のエポキシ基を有するフェノールグリオキザール型エポキシ樹脂など、各種のノボラック型エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0028】
前記変性エポキシ樹脂としては、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂に、例えば、乾性油脂肪酸を反応させたエポキシエステル樹脂;アクリル酸又はメタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成分を反応させたエポキシアクリレート樹脂;イソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂;上記ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂又は上記各種変性エポキシ樹脂中のエポキシ基にアミン化合物を反応させて、アミノ基又は4級アンモニウム塩を導入してなるアミン変性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
【0029】
前記塗膜形成樹脂として好適に使用できる硬化剤(c)としては、加熱により前記水酸基含有ポリエステル樹脂(a)及び/又はエポキシ樹脂(b)と反応して硬化させることができるものであれば特に制限なく使用することができるが、なかでもアミノ樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を好適に使用することができる。
【0030】
上記アミノ樹脂としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグラナミン、ステログタナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分とアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。上記反応に用いられるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。また、上記メチロール化アミノ樹脂を適当なアルコールによってエーテル化したものもアミノ樹脂として使用できる。エーテル化に用いられるアルコールの例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。
【0031】
上記硬化剤(c)として使用できるブロック化ポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック化剤によってブロック化してなる化合物である。
【0032】
上記ブロック化する前のポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネートもしくは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有機ジイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等が挙げられる。
【0033】
イソシアネート基をブロックするブロック化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール系;ε−カプロラクタム;δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどラクタム系;メタノール、エタノール、n−,i−又はt−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系などのブロック化剤を好適に使用することができる。上記ポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤とを混合することによって容易に上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロックすることができる。
【0034】
前記水酸基含有ポリエステル樹脂(a)と前記エポキシ樹脂(b)と上記硬化剤(c)との配合割合は、(a)、(b)及び(c)成分の合計固形分100重量部に基づいて、ポリエステル樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)との合計が55〜95重量部、さらには60〜95重量部であって、硬化剤(c)が5〜45重量部、さらには5〜40重量部の範囲内であることが耐食性、耐沸騰水性、加工性、硬化性などの点から好適である。
【0035】
さらには、エポキシ樹脂(b)としてノボラック型エポキシ樹脂を使用し、(a)、(b)及び(c)成分の合計固形分100重量部に基づいて、各成分が下記範囲内にあることが、塗膜の耐食性、特に塩水噴霧試験を行なった時の、塗板の切断面である端面の耐食性、耐沸騰水性、加工性、硬化性などの点からより好適である。
【0036】
ポリエステル樹脂(a):5〜90重量部、好ましくは20〜70重量部、
ノボラック型エポキシ樹脂:5〜70重量部、好ましくは10〜50重量部、
硬化剤(c):5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部。
【0037】
本発明において、プライマー塗膜(A)が含有できる前記非クロム系防錆顔料としては、代表例として、例えば、カルシウムイオン交換シリカなどのイオン交換シリカ、燐酸亜鉛、亜燐酸亜鉛、亜燐酸アルミニウム、亜燐酸カルシウム、トリポリ燐酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛などを挙げることができる。
【0038】
本発明において、プライマー塗膜(A)が含有できる前記小吸油量シリカ微粒子は、吸油量が30〜200ml/100g、好ましくは60〜180ml/100gの範囲内であり、且つ細孔容積が0.05〜1.2ml/g、好ましくは0.2〜1.0ml/gの範囲内であり、通常、平均粒子径0.5〜15μm、好ましくは1〜10μmを有する。吸油量及び細孔容積が上記範囲内であることによって、耐食性、耐沸騰水性の良好な塗膜を形成することができる。
【0039】
本発明において、上記吸油量は、JIS K5101 21(1991)に準じて測定した値であり、上記細孔容積は、JIS K1150 5.2.3(1994)に規定の窒素吸着等温線による方法に基づいて求めた値であり、上記平均粒子径は、コールター社製、ナノナイザーN−4を用いてコールターカウンター法により測定して求めた値である。
【0040】
本発明のプライマー塗膜(A)において、上記非クロム系防錆顔料及び上記小吸油量シリカ微粒子から選ばれる少なくとも1種の顔料を、プライマー塗膜(A)固形分中に7〜60重量%、好ましくは20〜45重量%含有することが好適である。上記特定の顔料の量が7重量%未満では得られる塗膜の耐食性が不十分となり、一方、60重量%を超えると得られる塗膜の耐沸騰水性、加工性が劣化しやすくなる。
【0041】
本発明のプライマー塗膜(A)は、前記塗膜形成性樹脂、並びに上記非クロム系防錆顔料及び上記小吸油量シリカ微粒子から選ばれる少なくとも1種の顔料から実質的になることができるが、さらに必要に応じて、上記顔料以外のその他の顔料類、塗料用としてそれ自体既知の消泡剤、塗面調整剤、沈降防止剤、顔料分散剤などを含有していてもよい。
【0042】
本発明のプライマー塗膜(A)中に必要に応じて配合できるその他の顔料類としては、チタン白などの着色顔料;クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの体質顔料などを挙げることができる。
【0043】
本発明プライマー塗膜(A)は、ガラス転移温度が40〜125℃、好ましくは50〜80℃であることが塗膜の耐酸性、耐食性及び加工性などの点から好適である。本発明において、塗膜のガラス転移温度は、DINAMIC VISCOELASTOMETER MODEL VIBRON(ダイナミックビスコエラストメータ モデルバイブロン) DDV−II EA型(東洋ボールドウィン社製、自動動的粘弾性測定機)を用いて周波数110Hzにおける温度分散測定によるtanδの変化から求めた極大値の温度である。
【0044】
本発明のプライマー塗膜(A)の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常2〜10μm、好ましくは3〜6μmの範囲である。
【0045】
艶消し上塗塗膜(B)
本発明において、艶消し上塗塗膜(B)は、縮み模様を有する艶消し上塗塗膜であって、硬化時に縮み模様を形成できる縮み塗料を塗装、硬化させることによって形成されるものである。縮み模様は、硬化時における塗膜表層部と塗膜内部の硬化速度の違いによって形成される。
【0046】
上記縮み塗料としては、例えば、水酸基含有樹脂、アミノ樹脂、酸触媒及びアミン化合物を含有する塗料を挙げることができる。
【0047】
上記水酸基含有有機樹脂としては、例えば、水酸基含有する、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコンポリエステル樹脂などを挙げることができる。
【0048】
上記アミノ樹脂は、上記水酸基含有樹脂の硬化剤として働くものであり、前記プライマー塗膜(A)の説明の項に記載した硬化剤(c)と同様のものを使用することができ、なかでもアルキルエーテル化したメチロール化アミノ樹脂、特にメチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂を好適に使用することができる。
【0049】
上記酸触媒は、水酸基含有有機樹脂とアミノ樹脂との硬化反応を促進する触媒であり、例えば、スルホン酸化合物が好適に用いられる。スルホン酸化合物の代表例としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などを挙げることができ、なかでもp−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が好適である。
【0050】
上記縮み塗料に配合されるアミン化合物は、縮み塗料の硬化時における塗膜表層部と塗膜内部の硬化速度の違いを大きくして良好な縮み塗膜を形成させるために配合されるものであり、2級アミン、3級アミンを好適に使用することができる。アミン化合物の代表例として、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミンなどを挙げることができる。アミン化合物の量は、上記酸触媒の酸当量に対して過剰当量であることが好ましく、通常、酸1当量に対して1.5〜30当量程度が好適である。このアミン化合物は、上記酸触媒と別々に塗料中に配合してもよいし、アミン化合物と酸触媒とを予め混合してアミン塩として混合してもよい。
【0051】
本発明において、艶消し上塗塗膜(B)は、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃、好ましくは25〜70℃の範囲内であることが好適であり、上塗塗膜の膜厚は、通常、8〜50μm、好ましくは10〜25μmであることが適当である。上記艶消し上塗塗膜(B)のガラス転移温度(Tg)は、前記プライマー塗膜(A)のガラス転移温度の測定方法と同様に、DINAMIC VISCOELASTOMETER MODEL VIBRON(ダイナミックビスコエラストメータ モデルバイブロン) DDV−II EA型(東洋ボールドウィン社製、自動動的粘弾性測定機)を用いて周波数110Hzにおける温度分散測定によるtanδの変化から求めた極大値の温度である。
【0052】
本発明の塗装金属板は、縮み模様を有する艶消し塗膜外観を有しており、耐食性、密着性、加工性、耐沸騰水性及び耐酸性などに優れた塗膜性能を示すことができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0054】
プライマー塗料の製造
製造例1
バイロンEP−2940(東洋紡績(株)製、固形分30%のエポキシ変性ポリエステル樹脂溶液、樹脂の数平均分子量は約10000、ガラス転移温度は約72℃)を187.5部(固形分量で75部)、チタン白30部、トリポリ燐酸アルミニウム10部、サイリシア740(富士シリシア化学(株)製、吸油量95ml/100g、細孔容積0.44ml/g、平均粒子径約3.5μmを有するシリカ微粒子)50部及び混合溶剤[ソルベッソ150(エッソ石油社製、芳香族炭化水素系溶剤)とシクロヘキサノンとの1/1(重量基準)混合溶剤]の適当量を混合し、ツブ(顔料粗粒子の粒子径)が10ミクロン以下となるまで分散を行った。次いで、この分散物にサイメル303(三井サイテック(株)製、メチルエーテル化メラミン樹脂)25部及びネイキュア5225(米国キング・インダストリイズ社製、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミン塩、有効成分 約25%)2.0部(有効成分量0.5部)を加えて均一に混合し、さらに上記混合溶剤を加えて粘度約80秒(フォードカップ#4/25℃)に調整してプライマー塗料を得た。
【0055】
製造例2〜18
製造例1と同様に、硬化剤以外の皮膜形成性樹脂成分及び混合溶剤を用いて顔料分を分散し、また塗料配合組成を後記表1に示す組成とする以外は製造例1と同様にしてプライマー塗料を得た。製造例15〜18は比較例用のプライマー塗料の製造例である。表1中における配合量は重量部(ネイキュア5225は有効成分量、このもの以外は固形分量)にて表示する。
【0056】
表1における(註)は下記のとおりである。
(注1)バイロンGK−78CS:東洋紡績(株)製、固形分40%のポリエステル樹脂溶液、樹脂の数平均分子量は約10,000、ガラス転移温度は約40℃。
(注2)バイロン29CS:東洋紡(株)製、固形分30%のポリエステル樹脂溶液、樹脂の数平均分子量は約20,000、ガラス転移温度は約72℃。
(注3)バイロン59CS:東洋紡(株)製、固形分50%のポリエステル樹脂溶液、樹脂の数平均分子量は約6,000、ガラス転移温度は約15℃。
(注4)スーパーベッコライトTF−787:大日本インキ化学工業(株)製、固形分40%のポリエステル樹脂溶液、樹脂の数平均分子量は約2,0000、ガラス転移温度は約−3℃。
【0057】
(注5)エポキー820−40CX:三井化学(株)製、固形分40%のウレタン変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂溶液、樹脂の数平均分子量は約6,000、ガラス転移温度は約64℃。
(注6)エピコート154:油化シェルエポキシ(株)製、商品名、フェノールノボラック型エポキシ樹脂。
(注7)エピコート1010:油化シェルエポキシ(株)製、固形分40%のビスフェノールA型エポキシ樹脂溶液、樹脂の数平均分子量は約5,500、ガラス転移温度は約70℃。
【0058】
(注8)コロネート2507:日本ポリウレタン(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートのブロック体、固形分約80%。
(注9)タケネートTK−1:武田薬品(株)製、有機錫系ブロック剤解離触媒、固形分約10%。
【0059】
(注10)シールデックスC303:W.R.Grace & Co.社製、カルシウムイオン交換された非晶質シリカ微粒子、平均粒子径約3μm。
【0060】
(注11)ミズカシルp−766:水澤化学工業(株)製、吸油量90ml/100g、細孔容積0.45ml/g、平均粒子径約6.5μmを有するシリカ微粒子。
(注12)サイリシア530:富士シリシア化学(株)製、吸油量170ml/100g、細孔容積0.80ml/g、平均粒子径約1.9μmを有するシリカ微粒子。
【0061】
製造例1〜18で得られたプライマー塗料から得られる硬化塗膜のガラス転移温度を下記方法により測定した。これらの結果を後記表1に示す。
【0062】
硬化塗膜のガラス転移温度
ブリキ板に、上記各製造例で得たプライマー塗料を乾燥膜厚が約15μmになるように塗装し、ブリキ板の最高到達温度が225℃となるように50秒間焼付けて硬化させた。この硬化塗膜を水銀アマルガム法によりブリキ板から剥離して、フリー塗膜を得た。このフリー塗膜を所定の大きさに切断し、3枚重ねにして、DINAMIC VISCOELASTOMETER MODEL VIBRON(ダイナミックビスコエラストメータ モデルバイブロン) DDV−II EA型(東洋ボールドウィン社製、自動動的粘弾性測定機)を用いて周波数110Hzにおける温度分散測定によるtanδの変化から求めた極大値の温度である。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例1
表面にクロメート処理が施されてなる厚さ0.5mmの亜鉛−アルミニウムメッキ鋼板(「ガルファン」、メッキの組成は亜鉛約95重量%とアルミニウム約5重量%とからなる、メッキの目付量100g/m2 )に前記製造例1で得た塗料組成物を乾燥膜厚が5ミクロンとなるようにバーコータにて塗装し、素材到達最高温度が225℃となるように50秒間焼付けてプライマー塗装板を得た。次いでこのプライマー塗膜上に、KPカラー1540NMブルー[関西ペイント(株)製、縮み模様の艶消し塗膜形成用のポリエステル−メラミン樹脂系上塗塗料、青色、硬化塗膜のガラス転移温度は約40℃]をバーコータにて膜厚が約20ミクロンとなるように塗装し、素材到達最高温度が230℃となる条件にて60秒間焼付けて上塗塗装板を得た。
【0065】
実施例2〜22及び比較例1〜6
実施例1において、被塗物種、プライマー塗料種及び上塗塗料種を後記表2に示すものを使用する以外は実施例1と同様に行い上塗塗装板を得た。
【0066】
実施例19〜22で使用した被塗物種は以下のとおりである。実施例19においてはクロメート処理された厚さ0.5mmの溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛目付量60g/m2 )[表2中において「溶融亜鉛」と略記する]、実施例20においてはクロメート処理された厚さ0.5mmの亜鉛−アルミニウム合金メッキ(メッキ中のアルミニウム含有量約55%)鋼板[表2中において「Zn−55%Al」と略記する]、実施例21においてはクロメート処理された厚さ0.5mmのアルミニウムメッキ鋼板[表2中において「Al鋼板」と略記する]、実施例22においてはクロメート処理された厚さ0.5mmのアルミニウム板[表2中において「Al板」と略記する]をそれぞれ使用した。
【0067】
実施例15〜18及び比較例5〜6で使用した上塗塗料種は以下のとおりである。実施例15においてはアレステックAT2100NMブルー[関西ペイント(株)製、縮み模様の艶消し塗膜形成用のポリエステル−メラミン樹脂系上塗塗料、青色、硬化塗膜のガラス転移温度は約29℃、表2中において「AT2100NMブルー」と略記する]、実施例16においてはKPカラー1510NMブルー[関西ペイント(株)製、縮み模様の艶消し塗膜形成用のポリエステル−メラミン樹脂系上塗塗料、青色、硬化塗膜のガラス転移温度は約54℃、表2中において「KP1510NMブルー」と略記する]、実施例17においてはKPカラー1573NMブルー[関西ペイント(株)製、縮み模様の艶消し塗膜形成用のポリエステル−メラミン樹脂系上塗塗料、青色、硬化塗膜のガラス転移温度は約65℃、表2中において「KP1573NMブルー」と略記する]、実施例18においてはKPカラー1580NMブルー[関西ペイント(株)製、縮み模様の艶消し塗膜形成用のポリエステル−メラミン樹脂系上塗塗料、青色、硬化塗膜のガラス転移温度は約74℃、表2中において「KP1580NMブルー」と略記する]、比較例5においてはKPカラー1573ブルー[関西ペイント(株)製、高光沢塗膜形成用のポリエステル−メラミン樹脂系上塗塗料、青色、硬化塗膜のガラス転移温度は約63℃、表2中において「KP1573ブルー」と略記する]、比較例6においてはKPカラー1540ブルー[関西ペイント(株)製、高光沢塗膜形成用のポリエステル−メラミン樹脂系上塗塗料、青色、硬化塗膜のガラス転移温度は約39℃、表2中において「KP1540ブルー」と略記する]をそれぞれ使用した。
【0068】
上記実施例1〜22及び比較例1〜6で得られた各上塗塗装板について下記試験方法により塗膜性能の評価を行った。これらの試験結果を後記表2に示す。
【0069】
試験方法
塗面光沢:JIS K5400 7.6(1990)に規定の60度鏡面光沢度に従い、上塗塗膜の光沢の程度を、入射角と受光角とがそれぞれ60度のときの反射率を測定して、鏡面光沢度の基準面の光沢度を100としたときの百分率で表す。
【0070】
耐食性:各上塗塗装板を70×150mmの大きさに切断した後、裏面及び切断面を防錆塗料にてシールした。シールした塗装板のほぼ中央部に素地に到達するクロスカットを入れ、塗装板の端から約1cmの箇所に3T折り曲げ加工(塗装板の表面を外側にして折曲げ、その内側に塗装板と同じ厚さの板を3枚挟み、上記塗装板を万力にて180度折曲する加工)を行ったものを塩水噴霧試験に供した。塩水噴霧試験は、JIS Z−2371に準じて行い塩水噴霧試験時間を500時間とし加工部の錆の発生程度及びクロスカット部の平均のフクレ幅を、それぞれ目視にて下記基準により評価した。
【0071】
加工部の錆の発生程度
◎:加工部に錆の発生が認められない
○:錆の発生程度が加工部の長さの10%未満であるが認められる
△:錆の発生程度が加工部の長さの10%以上、30%未満である
×:錆の発生程度が加工部の長さの30%以上である。
【0072】
クロスカット部の平均のフクレ幅
◎:クロスカット部にフクレが認められない
○:カット傷からの片側の平均フクレ幅が1mm未満である
△:カット傷からの片側の平均フクレ幅が1mm以上で5mm未満である
×:カット傷からの片側の平均フクレ幅が5mm以上である。
【0073】
加工性:塗装板の塗膜表面を外側にして折曲げ、その内側に塗装板と同じ厚さの板を3枚挟み、上記塗装板を万力にて180度折曲する3T折曲げ加工を行ったときの折曲げ部の塗膜状態を下記基準にて評価した。
【0074】
◎:塗膜にワレ、ハガレなどの異常が認められない
○:塗膜にワレが僅かに認められる
△:塗膜にワレがかなり認められる
×:塗膜にワレが著しく認められる。
【0075】
密着性:JIS K5400 8.5.2(1990)碁盤目−テープ法に準じて、上塗塗装板の塗膜面に素地に達するようにナイフを使用して約1mmの間隔で縦、横それぞれ11本の切目を入れてゴバン目を形成し、その表面にセロハン粘着テープを貼着し、テープを急激に剥離した後のゴバン目塗面を下記基準にて評価した。
◎:塗膜の剥離が全く認められない
○:ナイフ傷の角の塗膜の一部にわずかに剥離が認められる
△:100個のゴバン目のうち少なくとも上塗塗膜の全てが剥離したものが1個〜20個である
×:100個のゴバン目のうち少なくとも上塗塗膜の全てが剥離したものが21個以上である。
【0076】
耐沸騰水性:上塗塗装板を約100℃の沸騰水中に20時間浸漬した後、引上げて塗膜表面の外観を評価した。
◎:塗膜にフクレの発生などの異常が認められない
○:塗膜にわずかなフクレの発生が認められる
△:塗膜にかなりのフクレの発生が認められる
×:塗膜に著しいフクレの発生が認められる。
【0077】
耐酸性:上塗塗装板を70×150mmの大きさに切断し、裏面及び切断面を粘着テープでシールし、濃度5%の硫酸水溶液に浸漬した後の塗膜のフクレ面積%を調べた。浸漬条件は、液温40℃で72時間とした。
◎:塗膜にフクレの発生が認められない
○:塗膜フクレ面積が10%未満である
△:塗膜フクレ面積が10%以上で50%未満である
×:塗膜フクレ面積が50%以上である。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】
本発明の塗装金属板は、プライマー塗膜中に防錆顔料としてクロメート系顔料を使用しなくてもよいので、6価クロムによる問題を解決でき安全衛生上有利である。
【0081】
本発明の塗装金属板は、上塗塗膜として縮み塗料による縮み模様を有する低光沢の艶消し塗膜が形成されており、耐酸性に優れるので屋根用のプレコート鋼板に好適である。
【0082】
本発明の塗装金属板は、耐食性、加工性、密着性、耐沸騰水性及び耐酸性に優れ、住宅の屋根、壁、シャッター、ガレージなどの建築材料;家電製品、自動車、鋼製家具、フードなどの厨房器具などに好適に使用することができる。
Claims (7)
- 表面に化成処理が施されていてもよい金属板上に、
(A)ガラス転移温度が40〜125℃であって、非クロム系防錆顔料及び吸油量が30〜200ml/100gの範囲内であり且つ細孔容積が0.05〜1.2ml/gの範囲内であるシリカ微粒子から選ばれる少なくとも1種の顔料を塗膜固形分中に7〜60重量%含有するプライマー塗膜が形成されており、該プライマー塗膜(A)上に、
(B)縮み塗料による縮み模様を有する艶消し上塗塗膜が形成されてなることを特徴とする塗装金属板。 - プライマー塗膜(A)が、クロム系顔料を含有しないものである請求項1記載の塗装金属板。
- プライマー塗膜(A)が、水酸基含有ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂55〜95重量部と、硬化剤5〜45重量部とからなる塗膜形成樹脂及び顔料を含有するプライマー塗料から形成されたものである請求項1又は2記載の塗装金属板。
- プライマー塗膜(A)が、水酸基含有ポリエステル樹脂5〜90重量部、ノボラック型エポキシ樹脂5〜70重量部、及びアミノ樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の硬化剤5〜40重量部とからなる塗膜形成樹脂及び顔料を含有するプライマー塗料から形成されたものである請求項3記載の塗装金属板。
- プライマー塗膜(A)が、イオン交換シリカ及び吸油量が60〜180ml/100gの範囲内であり且つ細孔容積が0.2〜1.0ml/gの範囲内であるシリカ微粒子から選ばれる少なくとも1種の顔料を塗膜固形分中に10〜60重量%含有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗装金属板。
- 上塗塗膜(B)のガラス転移温度が25〜70℃の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗装金属板。
- 金属板が、表面にクロム酸処理が施された、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板及びアルミニウム板から選ばれるクロメート処理金属板である請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗装金属板。
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