JP5972223B2 - エレベータシーブのシーブ溝測定装置及びシーブ溝の摩耗判定方法 - Google Patents

エレベータシーブのシーブ溝測定装置及びシーブ溝の摩耗判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、主ロープ駆動に用いるエレベータシーブのシーブ溝測定装置及び当該シーブ溝測定装置を使用してシーブ溝の摩耗量の正常・異常を判定するシーブ溝の摩耗判定方法に関する。
一般にエレベータは、乗かごとつり合いおもりとの間に主ロープが張設されている。この主ロープはその中間部がエレベータシーブに巻き掛けられている。そして、このシーブ(綱車)を回転駆動することによって前記主ロープを介して乗かごとつり合いおもりとが釣瓶式に昇降される。
このような昇降動作が繰り返されると、前記主ロープが巻掛けられるシーブの溝は、主ロープとの間の摩擦により経年的に摩耗していく。この摩耗に応じて、主ロープはシーブ溝の底部に近い位置でシーブ溝に突き当たり、接触する(以下、対象物に突き当たり、接触状態を維持することを「当接」と称する。)こととなる。
また、主ロープがシーブ溝の底部に近い位置でシーブ溝と当接するようになると、主ロープとシーブ溝との間の挟む力によって生じる挟圧摩擦力が低下し、シーブが回転しても主ロープが駆動されない主ロープのスリップが発生する。このスリップの発生を防止することは、エレベータの安全上において重要であるため、シーブ溝の摩耗量が正常か異常かの判定を正確に行うことが重要となっていた。
そこで、従来では、シーブ溝の摩耗程度を測定する技術として、前記各シーブ溝間の各山部に跨って配設される台にノギスを支持させてシーブ溝の摩耗量の測定を行う技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に開示された技術は、ノギス固定部より突出させたノギス可動部の端部にエレベータロープの断面形と同形の測定具を付け、ノギス固定部側にはその端部に、綱車表面からのエレベータ主ロープの突出高さと同じ高さのコ字形の台を、前記測定具を跨いで付けたエレベータ綱車のロープ溝測定器を特徴とするものである。
特開平1−235801号公報
ところで、近年では前記シーブとこのシーブを駆動するモータを含む巻上機は、当該巻上機の回転軸方向の厚さ寸法を小さくする薄型化が要求されている。そのため、シーブとモータ側面との間隔が小さくなる傾向にある。薄型化が促進されると、シーブとモータ側面との間隔が非常に小さくなることがある。このように前記間隔が非常に小さくなると、モータ側面側端部のシーブ溝の摩耗量を測定する際に、測定具がモータ側面と干渉し、モータ側面側端部のシーブ溝の摩耗量を測定できなくなることがある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、シーブとモータ側面との間隔が小さい場合であっても、シーブ溝の摩耗量を測定し、摩耗量の正常・異常を容易に判定できるようにすることにある。
前記課題を解決するため、本発明は、乗かごとつり合いおもりとの間に張設される主ロープが複数本巻掛けられる複数のシーブ溝を有するエレベータシーブのシーブ溝の摩耗を測定するためのシーブ溝測定装置において、前記シーブの溝間に形成される山部に当接し、前記溝内に装着される主ロープを跨ぐように設置される支持体と、嵌め合いにより離脱可能に結合する嵌合部を介して前記支持体に支持され、前記支持体に支持された状態で前記シーブ溝からの前記主ロープの突出量を測定する測定器と、を備え、前記支持体側に複数対の嵌合部が設けられ、前記複数対の嵌合部は、前記シーブ溝に直交する方向又は前記シーブ溝に平行となる方向で前記測定器と嵌合し、前記測定器は、前記シーブ溝と平行となる方向では前記支持体の一方の端部側で嵌合し、当該支持体に支持されることを特徴とする。なお、前記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明において明らかにされる。
本発明によれば、シーブとモータ側面との間隔が小さい場合においても、シーブ溝の摩耗量を確実に測定し、摩耗量の正常・異常を容易に判定することができる。
本発明の実施形態に係るシーブ溝測定装置を使用してシーブの厚み方向の両端部に位置するシーブ溝を測定する測定方法の概略を示す説明図である。 図1に示したシーブ溝測定装置を使用して測定された測定値に基づいてシーブ溝の摩耗の程度を判定する判定原理を示す説明図である。 図1における支持体を左側上部から見た斜視図である。 図1における支持体を左側下部から見た斜視図である。 図1におけるノギス部を支持体へ取り付けるときの取付方法を説明するための正面図である。 図1におけるノギス部を支持体へ取り付けるときの取付方法を説明するための平面図である。 ノギス部を支持体の第2の嵌合部に装着し、両者を嵌合させて組み立てたとき状態を示す正面図である。 本発明の実施形態に係るシーブ溝測定装置のゼロ点調整の方法を示す説明図である。 山部の上面に第1及び第2の脚部を当接させてシーブ溝の摩耗を測定するためにシーブ溝測定装置をシーブ1にセットしたときの状態を示す図である。 本発明の実施形態に係るシーブ溝測定装置を使用してシーブの厚み方向の中間部に位置するシーブ溝を測定する測定方法の概略を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るシーブ溝測定装置を使用してシーブ溝を測定する測定方法の概略を示す説明図である。図1(a)はシーブの溝部と平行な方向から見た要部断面正面図、図1(b)はシーブ溝測定装置を図1(a)の上方から見た平面図である。
同図において、シーブ溝測定装置100(−1,2)は、支持体3とノギス部(測定器)4とを備えている。支持体3はシーブ1の各溝部(シーブ溝)1a,1b,1c間の各山部1eに跨るように設置され、ノギス部4は支持体3上に設置され、シーブ1の各溝部1a,1b,1cからの主ロープ2の突出量を測定するためのもので、測定値を測定値表示部4aにデジタル表示する。なお、本実施形態では、主ロープ2の突出量を測定することによりシーブ溝の摩耗量を間接的に測定する構成となっている。
図1において、シーブ1の各溝部1a,1b,1cは紙面に直交する方向の綱車の外周に沿って設けられている。各溝部1a,1b、cにはそれぞれ主ロープ2が巻き掛けられている。このシーブ1をモータ5で回転させることにより、主ロープ2を上下方向に移動させ、図示しない乗かごとつり合いおもりとを釣瓶式に昇降させる。
支持体3は、板状のベース30と、このベース30に設けられた第1及び第2の嵌合部3a,3b、第1及び第2の貫通穴31a,31b、第1及び第2の脚部32a,32b等を備えている。第1及び第2の嵌合部3a,3bは、図3の斜視図に示すようにそれぞれ一対ずつ二対ベース30の上面30aに突起状に設けられ、さらに、対となる第1及び第2の嵌合部3a,3bの間にそれぞれ第1及び第2の貫通穴31a,31bが穿設されている。第1及び第2の貫通穴31a,31bはベース30の厚さ方向に上面30aから下面30bへと貫通している。なお、第1及び第2の嵌合部3a,3bにおける嵌合とは、本明細書では、嵌め合いの意で使用している。
第1の嵌合部3a対は、図3から分るように第1及び第2の脚部32a,32bの長手方向に対して直交する方向であって、ベース30の中央部の上面30aに配されている。第2の嵌合部3b対は、第1及び第2の脚部32a,32bの長手方向と平行な方向であって第2の脚部32bよりもベース30の端部30c側に配されている。
第1及び第2の脚部32a,32bは、シーブ1の各溝部1a,1b,1c間の各山部1eの上面に置かれ、第1及び第2の脚部32a,32bとベース30の下面30bとの間の空間部32cで主ロープ2を跨ぐように配置される。ベース30の上面30aに突出させて設けられた第1及び第2の嵌合部3a,3bは、後述するノギス部4の空隙部4eに嵌め合わされ、ノギス部4を支持する。対となる各第1及び第2の嵌合部3a,3bの間にそれぞれ設けられた第1及び第2の貫通孔31a,31bは、ノギス部4の計測棒部4dが挿通され、空間部32cで跨いだシーブ溝1a,1b,1cの主ロープ2から突出量Eを測定するものである。
第1及び第2の嵌合部3a,3bが第1及び第2の脚部32a,32bの設置方向に対して直交する方向と平行な方向にそれぞれ設けられているのは、支持部3の設置方向と主ロープ2の巻回方向に応じて使い分けるためである。
また、第1及び第2の脚部32a,32bの中間部分(第1及び第2の貫通穴31a,31bの形成部分に対応)には、図4の支持部3を斜め下側から見た斜視図から分るようにベース30の下面30bまで切り欠かれた切欠き部33が設けられている。第1及び第2の脚部32a,32bの前記切欠き部33の角部は、この切欠き部33によりシーブ1の前記山部1eへの第1及び第2の当接点33a,33bとなっている。
さらに支持体3の上面30aには、刻印からなる表示部3cが設けられている。この表示部3cは、ノギス部4を支持体3に対して正常に装着できるように設けた目印である。すなわち、表示部3c側に後述のノギス部4の測定値表示部4aが向くようにノギス部4と支持体3とを嵌合させれば、両者が正規の嵌合位置でセットされていることが分る。
図5はノギス部4の支持体3への取付方法を説明するための正面図、図6はノギス部4の支持体3への取付方法を説明するための平面図である。図5に示すようにノギス部4は、測定値を表示する測定値表示部4a、下端において幅方向に突出した耳部4b、支持体3に当接する当接面4c、前記主ロープ2に当接して主ロープ2の山部1eからの突出量を検出する計測棒部4d、及び支持体3の第1又は第2の嵌合部3a,3bと係合し、支持体3と一体に嵌め合わせるための空隙部4eを備えている。
このように各部が構成された支持体3とノギス部4は、図5及び図6に示すように例えばノギス部4の空隙部4eを支持体3の第1の嵌合部3a又は第2の嵌合部3bに挿入する。第1及び第2の嵌合部3a,3bはそれぞれ空隙部4eの両側の内壁に対して摩擦力によって嵌め合わされるように寸法公差が設定されており、両者は図7に示すように一体化される。なお、摩擦力に代えて弾性力を利用することもできる。この場合には、支持体3には弾性を有する部材が使用される。
なお、支持体3にノギス部4を装着し一体化したときには、計測棒部4dは、装着した第1又は第2の嵌合部3a,3bの間の対応する第1又は第2の貫通穴31a,31b通って空間部32c側に進出可能な状態となっている。
図2はシーブ溝1bの摩耗の程度を判定する摩耗量判定原理を示す説明図である。同図に示すように、シーブ溝測定装置100を用いて、シーブ溝1bの摩耗程度を判定する場合には、シーブ1の山部1eからの主ロープ2の突出量Eを測定し、この突出量Eに山部1eの高さ寸法F(機種毎で一定値、摩耗しない。)を加算する。次いで、この加算値(E+F)から主ロープ2の直径値G(現地で測定)を減算する。そして、この減算値Iが0以上か否かを判定する。0以上の値であれば、主ロープ2はシーブ溝1bの底面1fに当接しておらず、摩耗量が許容範囲内(正常値)であると判定できる。
すなわち、
(E+F)−G=Iとして、I>0 ・・・(1)
であれば、正常と判定する。一方、(1)式が成り立たなければ(すなわち、0以下であれば)、異常と判定する。従って、シーブ溝1a,1b,1cの摩耗量(摩耗の程度)は前記突出量Eを測定することにより間接的に測定されることになる。
このような判定方法を使用してシーブ1の厚さ方向端部(左側及び右側の端部)に設けられたシーブ溝1a,1cの摩耗量の正常・異常を判定する際には、ノギス部4を支持体3の第2の嵌合部3bに装着し、両者を嵌合させて組み立てる。この状態を図7に示す。その際、表示部3c側にノギス部4の測定値表示部4aが向くようにノギス部4を支持体3に装着する。これにより、両者を正規の嵌合位置で嵌合させることができる。
図7のように組み立てたシーブ溝測定装置100を使用して突出量Eを測定する場合には、図8に示すように組み立てたシーブ溝測定装置100の脚部32a、32bを平らな面6に当接させる。そして、ノギス部4の電源ボタン4fを押して電源をONし、操作部材4gを操作して(矢印A方向にスライドさせ)計測棒部4dの先端を前記平らな面6に当接させる。次いで、0点ボタン4hを押して測定値のゼロ点を調整する。すなわち、0点ボタン4hを押して、測定棒部4dの先端が前記平らな面6に当接した位置で測定値表示部4aの表示が0になるようにする。この状態で、0点の位置が図示しないメモリに記憶され、0点からの距離の測定が可能となる。
シーブ溝1aの摩耗量を測定する場合には、図1(a)においてモータ5に最も近接した左側のシーブ溝1aを測定するときと、モータ5から最も離れた右側のシーブ溝1cを測定するときとで、シーブ溝測定装置100の設置方向が異なる。
すなわち、左側のシーブ溝1aの摩耗量を測定する場合には、図1(a)において左側のシーブ溝測定装置100−1の第2の脚部32bと第1の脚部32aを、溝部1a内に位置する主ロープ2を跨ぐようにしてモータ5側から2つ目と3つ目の2つの山部1eの上端にそれぞれ当接させる。これによりシーブ溝測定装置100−1は測定位置にセットされたことになる。次いで、操作部材4gを操作してノギス部4の計測棒部4dを貫通穴31bに挿通させ、さらに矢印A方向に下降させて主ロープ2へ当接させる。これにより、0点から距離である主ロープ2の突出量Eが測定値表示部4aに表示される。この測定値表示部4aの表示により主ロープ2の突出量Eが視認され、この測定結果を測定値として取得することができる。そして、測定結果として取得した突出量Eに基づいて前記(1)式によりシーブ溝1aの摩耗量が正常であるか否かを判定することができる。すなわち、摩耗量の正常・異常の判定が可能となる。
判定は、保守作業者が測定値表示部4aに表示された突出量Eに基づいて前記(1)式に基づいて計算するか、図示しない保守用の可搬形コンピュータに突出量Eを入力してコンピュータに判定させることもできる。さらに、ノギス部4から測定値を前記コンピュータに直接入力できるように設定し、コンピュータによって自動的に摩耗量の正常・異常を判定させることもできる。
同様に、図示右側のシーブ溝1cを測定する場合には、図示右側のシーブ溝測定装置100−2の第2の脚部32bと第1の脚部32aを、溝部1c内に位置する主ロープ2を跨ぐようにしてモータ5の設置側とは反対側の端部から2つ目と3つ目の2つの山部1eの上端にそれぞれ当接させる。これによりシーブ溝測定装置100−2は測定位置にセットされたことになる。次いで、前述の左側のシーブ溝測定装置100−1を使用して測定したときと同様にして測定し、測定値に基づいて前記(1)式によりシーブ溝1aの摩耗量が正常であるか異常であるかを判定することができる。
このように、本実施形態に係るエレベータシーブのシーブ溝測定装置100は、シーブ1とモータ5の側面5aとの間隔が小さい場合においても、円滑にシーブ溝測定装置100をセットすることが可能となり、精度よく主ロープ2の突出量Eを測定することができる。その結果、シーブ溝1aの摩耗量の正常・異常を容易に判定することができる。
図9は山部1eの上面に第1及び第2の脚部32a,32bを当接させて溝部1bの摩耗を測定するためにシーブ溝測定装置100をシーブ1上にセットしたときの状態を示す図である。図9(a)は溝1bと平行な方向から見た一部断面正面図、図9(b)は第1の脚部32aが山部1eの上面に当接したときの状態を示す要部拡大図である。
前記シーブ1の溝部1a間の各山部1eに当接する第1及び第2の脚部32a,32bは、各溝部1a,1b,1cに平行となる方向を長手方向として形成されている。また、図4に示したように第1及び第2の脚部32a,32bの中間部に切欠き部33が設けられ、この切欠き部33の角部が曲線状の上面を有する山部1eへの第1及び第2の当接点33a,33bとなる。これにより、図9(b)に示すように第1及び第2の当接点33a,33bが1つの山部1eの長手方向の2点でそれぞれ当接し、安定した状態で支持体3を山部1eに支持させることができる。これにより、突出量Eの精度の高い測定が可能となる。
さらに、シーブ1の厚さ方向(軸方向)の両端部に位置する山部1dは、主ロープ2の乗り上げを防止するため前記両端部より内側の中間部に位置する山部1eよりも寸法D(図1参照)だけ高く設定されている。しかし、本実施形態に係る支持体3は前記中間部に位置する山部1eのみに当接するため、両端部の山部1dの高さに影響されることなく、シーブ1の溝1a,1cの摩耗の異常を判定することができる。
シーブ1の厚さ方向の両端部に設けられた溝部1a,1cの摩耗量は上記のようにして主ロープ2の突出量Eを測定することにより測定される。他方、シーブ1の厚さ方向中間部に設けられたシーブ1の溝部1bの摩耗量の測定は、以下のようにして行われる。
この場合、上記溝部1a,1cの摩耗量測定のために組み立てたノギス部4と支持体3とを一度取外した後、図6に示す一対の嵌合部3aの外面が空隙4eの長手方向の内側面と嵌合するように空隙4eを嵌合部3aに挿入し、両者を再度一体に組み立てる。このとき、第1の係合部3a対の並び方向は、第2の係合部3b対の並び方向と直交しているので、組み立てた後の状態は、図7に示す状態となっている。また、両者は摩擦あるいは弾性力により嵌合した状態となっているので、ノギス部4が支持体3から容易に抜けることがないのは、上述の通りである。
次いで、図8を参照して説明したように平らな面6に第1及び第2の脚部32a,32bと計測棒部4dとを当接させ、測定値のゼロ点を調整する。
その後、図10に示すようにして測定を開始する。図10はシーブ1の溝部1bの摩耗量を測定する方法を示す説明図である。図10(a)はシーブ1の溝部1bと平行な方向から見た要部断面正面図、図10(b)はシーブ溝測定装置を図10(a)の上方から見た平面図である。
同図から分るようにシーブ1の溝部1bの摩耗量を測定する際には、図10(a)に示すように、シーブ1の溝部1b内の主ロープ2を跨ぐようにして第1及び第2の脚部32a、32bを2つの山部1eの上面に当接させ、シーブ溝測定装置100をセットする。次いで、操作部材4gを操作して計測棒部4dを貫通穴31aに挿通させ、主ロープ2へ当接させる。これにより前述のようにして主ロープ2の突出量Eが測定値表示部4aに表示される。これにより、測定値表示部4aに表示された主ロープ2の突出量Eを視認することが可能となり、測定値として取得される。そして、測定された突出量Eに基づいて前記(1)式によりシーブ溝1aの摩耗量が正常であるか否かを判定することができる。
また、この場合も、図9を参照して説明したように第1及び第2の当接点33a,33bが1つの山部1eの長手方向の2点でそれぞれ当接し、安定した状態で支持体3を山部1eに支持させることができる。これにより、精度の高い測定が可能となる。
なお、主ロープ2の直径毎に第1の脚部32a対の間隔及び第2の脚部32b対間隔を変えた支持体3を複数個作成しておけば、複数の径の主ロープ2に合わせたシーブ1の溝部1a,1b,1cの摩耗量を判定するための突出量Eを、支持体3を交換するだけで容易に測定することができる。その際、前記切欠き部33により、安定した支持が可能なので、高精度の測定も保証することができる。
さらに、図示していないが主ロープ2は複数のストランドを編上げて構成されているため、各ストランド間に谷間が形成される。そこで、計測棒部4dの先端がこのストランド間の谷間に入り込まないように計測棒部4dの先端をストランド幅よりも大きく形成しておく。これにより、主ロープ2のストランド間の谷間に計測棒部4dの先端が入り込むことがないので、高精度での測定を保証することができる。
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
1)本実施形態では、乗かごとつり合いおもりとの間に張設される主ロープ2が複数本巻掛けられる複数のシーブ溝1a,1b,1cを有するエレベータシーブ1のシーブ溝1a,1b,1cの摩耗を測定するシーブ溝測定装置100において、前記シーブ溝1a,1b,1c間に形成される山部1eに当接し、前記シーブ溝1a,1b,1c内に装着される主ロープ2を跨ぐようにして設置される支持体3と、嵌め合いにより離脱可能に結合する空隙部4e(嵌合部)を介して前記支持体3に支持され、前記支持体3に支持された状態で前記シーブ溝1a,1b,1cからの前記主ロープ2の突出量Eを測定するノギス部4(測定器)と、を備え、前記支持体3には前記シーブ溝1a,1b,1cに直交する方向又は前記シーブ溝1a,1b,1cに平行となる方向で前記ノギス部4(測定器)と嵌合する第1及び第2の嵌合部3a,3b(複数対の嵌合部)が設けられ、前記ノギス部4(測定器)は、前記シーブ溝1a,1b,1cと直交する方向では前記支持体3の中央部側で[前記第1の嵌合部3a対と]嵌合し、前記シーブ溝1a,1b,1cと平行となる方向では前記支持体3の一方の端部30c側で[前記第2の嵌合部3b対と]嵌合するように構成されている。
このように本実施形態では、前記ノギス部4(測定器)を前記シーブ溝1a,1b,1cと平行となる方向では前記支持体3の一方の端部30c側で支持するので、シーブ1のモータ5の側面5aと当該側面5aから1つ目のシーブ溝1aの距離が近くとも、前記側面5aから2つ目の山部1eから側面5a側に前記一方の端部30cを突出させてシーブ溝1a内に位置する主ロープ2の突出量Eを測定することが可能となる。これにより、シーブ1とモータ側面5aとの間隔が小さい場合においても、シーブ溝1aの摩耗量が正常か異常かを容易に判定することができる。
なお、本実施形態によれば、ノギス部4(測定器)は、支持体3に対して片持ち状態で支持されるので、図1に示すようにシーブ1のモータ側側面とモータ側面5aとの間の間隔がかなり小さな場合でも十分に測定することが可能であり、突出量Eの測定を高精度で容易に行うことができる。
2)前記支持体3は前記シーブ溝1a,1b,1c間の各山部1eに当接する第1及び第2の脚部32a,32b(脚部)を備え、前記第1及び第2の脚部32a,32b(脚部)が、前記シーブ溝1a,1b,1cに対して平行となる方向を長手方向として形成されているので、山部1eの方向に前記第1及び第2の脚部32a,32bの長手方向を合わせて装着することができる。これにより両者の位置関係を明確に設定することが可能となる。
3)前記第1及び第2の嵌合部3a,3b(複数対の嵌合部)のうち第2の嵌合部3b(一対)は、前記第2の脚部32b(脚部)の設置部より外側の支持体3の上面30a(前記脚部を設置した前記支持体の反対側の面)に前記第2の脚部32b(脚部)の長手方向と平行に配置されているので、確実に第2の脚部32bの外側で端部側のシーブ溝1a内の主ロープ2の突出量Eを測定することができる。
4)前記第1及び第2の嵌合部3a,3b(複数対の嵌合部)のうち第1の嵌合部3a(他の一対)は、支持体3の上面30a(前記脚部の設置部の反対側の面)に前記第2の脚部32b(脚部)の長手方向と直交する方向に配置されているので、中間部のシーブ溝1b内の主ロープ2の突出量Eを測定することができる。
5)前記第1及び第2の脚部32a,32b(脚部)の中間部に、前記山部1eとそれぞれ当接点33a,33b(2点)で接するための切欠き部33が設けられているので、曲面状の山部1eに対して安定し、動かない状態で当接することができる。これにより、突出量Eを高精度で測定することができる。
6)前記支持体3が、前記第1及び第2の嵌合部3a,3b(嵌合部)と前記ノギス部4(測定器)との正規の嵌合位置を表示する表示部3cを備えているので、ノギス部4(測定器)の支持体3の装着方向を間違えることがない。
7)前記1)に示した実施形態におけるシーブ溝測定装置100を使用し、シーブ1の厚み方向の両端部のシーブ溝1a,1cの摩耗を測定する場合には、前記ノギス部4(測定器)を前記シーブ溝1a,1cに平行となる方向に装着して前記ノギス部4(測定器)により測定し、前記シーブ2の厚み方向の両端部の間の中間部のシーブ溝1bの摩耗を測定する場合には、前記ノギス部4(測定器)を前記シーブ溝1bに直交する方向に装着して前記ノギス部4(測定器)により測定するので、一組の支持体3とノギス部4とからなるシーブ溝測定装置100によって、シーブ1とモータ側面5aとの間隔が小さい場合においても、シーブ溝1aの摩耗量が正常か異常かを容易に判定することができ、また、中間部のシーブ溝1bの摩耗量についても、その正常・異常を容易に判定することができる。
なお、前記実施形態における効果の説明では、本実施形態の各部について、特許請求の範囲における各構成要素をかっこ書きで示し、若しくは参照符号を付し、両者の対応関係を明確にした。
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
1 エレベータシーブ
1a,1b,1c 溝部(シーブ溝)
1d,1e 山部
2 主ロープ
3 支持体
3a 第1の嵌合部
3b 第2の嵌合部
3c 表示部
4 ノギス部
4e 空隙部
5a モータ側面
30a 上面
30c 端部
32a 第1の脚部
32b 第2の脚部
33 切欠き部
100 シーブ溝測定装置
E 突出量

Claims (7)

  1. 乗かごとつり合いおもりとの間に張設される主ロープが複数本巻掛けられる複数のシーブ溝を有するエレベータシーブのシーブ溝の摩耗量を判定するためのシーブ溝測定装置において、
    前記シーブ溝間に形成される山部に当接し、前記溝内に装着される主ロープを跨ぐように設置される支持体と、
    嵌め合いにより離脱可能に結合する嵌合部を介して前記支持体に支持され、前記支持体に支持された状態で前記シーブ溝からの前記主ロープの突出量を測定する測定器と、
    を備え、
    前記支持体には、前記シーブ溝に直交する方向又は前記シーブ溝に平行となる方向で前記測定器と嵌合する複数対の嵌合部が設けられ、
    前記測定器は、前記シーブ溝と直交する方向では前記支持体の中央部側で嵌合し、前記シーブ溝と平行となる方向では前記支持体の一方の端部側で嵌合することを特徴とするシーブ溝測定装置。
  2. 請求項1に記載のシーブ溝測定装置において、
    前記支持体は前記シーブ溝間の各山部に当接する脚部を備え、
    前記脚部が、前記シーブ溝に平行となる方向を長手方向として形成されていることを特徴とするシーブ溝測定装置。
  3. 請求項2に記載のシーブ溝測定装置において、
    前記複数対の嵌合部のうちの一対は、前記脚部の設置部より外側の前記脚部を設置した前記支持体の反対側の面に前記脚部の長手方向と平行に配置されていることを特徴とするシーブ溝測定装置。
  4. 請求項2又は3に記載のシーブ溝測定装置において、
    前記複数対の嵌合部のうちの他の一対は、前記脚部の設置部の反対側の面に前記脚部の長手方向と直交する方向に配置されていることを特徴とするシーブ溝測定装置。
  5. 請求項2ないし4のいずれか1項に記載のシーブ溝測定装置において、
    前記脚部の中間部に、前記山部とそれぞれ2点で接するための切欠き部が設けられていることを特徴とするシーブ溝測定装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシーブ溝測定装置において、
    前記支持体が、前記嵌合部と前記測定器との正規の嵌合位置を表示する表示部を備えたことを特徴とするシーブ溝測定装置。
  7. 乗かごとつり合いおもりとの間に張設される主ロープが複数本巻掛けられる複数のシーブ溝を有するエレベータシーブのシーブ溝の摩耗量を判定するためのシーブ溝摩耗判定方法であって、
    前記シーブの溝間に形成される山部に当接し、前記溝内に装着される主ロープを跨ぐように設置される支持体と、嵌め合いにより離脱可能に結合する嵌合部を介して前記支持体に支持され、前記支持体に支持された状態で前記シーブ溝からの前記主ロープの突出量を測定する測定器と、を備え、前記支持体側に複数対の嵌合部が設けられ、前記複数対の嵌合部は、前記シーブ溝に直交する方向又は前記シーブ溝に平行となる方向で前記測定器と嵌合し、前記測定器は、前記シーブ溝と平行となる方向では前記支持体の一方の端部側で嵌合し、当該支持体に支持されるシーブ溝測定装置を使用し、
    シーブの厚み方向の両端部のシーブ溝の摩耗を測定する場合には、前記測定器を前記シーブ溝と平行となる方向に装着して当該測定器により測定し、
    前記シーブの厚み方向の両端部の間の中間部のシーブ溝の摩耗を測定する場合には、前記測定器を前記シーブ溝に直交する方向に装着して当該測定器により測定し、
    測定結果に基づいて摩耗量の正常・異常を判定することを特徴とするシーブ溝摩耗判定方法。
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