JP5969981B2 - ラジカル組成物およびそれを用いた電池 - Google Patents
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Description
現在、このような携帯用電子機器の電源として、正極にリチウム含有遷移金属化合物、負極に炭素材料等のリチウム吸蔵化合物を用いたリチウムイオン二次電池が広く普及している。
しかしながら、リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が理論的限界に近づいており高容量を実現可能な新たな二次電池の開発が求められている。また、リチウムイオン二次電池は、電極反応の反応速度が小さいため、大きな電流を流すと電池性能が著しく低下する。更に、リチウムイオン二次電池は、小型化した場合に、期待される容量や出力を大きく下回ることが多く、充電についても長時間行う必要がある。
有機ラジカル化合物を電極活物質として使用した二次電池は、ラジカルの酸化還元反応を利用して充放電を行うので、反応速度が大きい。そのため、高出力を有し、充電も比較的短時間で完了するという特徴を有している。
項1.ピロリン系ニトロキシド重合体及びポリエチレングリコール類を含有し
前記ピロリン系ニトロキシド重合体が、下記一般式(1)、又は、下記一般式(2)で表されるピロリン系ニトロキシド化合物の重合体であり、
前記ポリエチレングリコール類の使用量が、前記ピロリン系ニトロキシド重合体100質量部に対して、0.05〜20質量部であり、
前記ポリエチレングリコール類の数平均分子量が、500〜500,000である
ラジカル組成物、
に関する。
以下に本発明を詳細に説明する。
前記ピロリン系ニトロキシド重合体は、ピロリン系ニトロキシド化合物を重合して得られるものである。
具体的には、水酸化ナトリウム水溶液等を用いて3−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルを加水分解して3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルとし、次に、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、水素化リチウムアルミニウム−tert−ブトキシド等を用いてこれを還元することにより3−ホルミル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルとし、さらにトリメチルスルホニウムヨージド等を用いてこれを環化することにより3−オキシラニル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルを製造することができる。
具体的には、水酸化ナトリウム水溶液等を用いて3−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルを加水分解して3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルとし、次に、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、水素化リチウムアルミニウム−tert−ブトキシド等を用いてこれを還元することにより3−ホルミル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルとし、さらにメチルトリホスホニウムブロミド等を用いてこれをビニル化することにより3−ビニル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルを製造することができる。
なお、本発明での数平均分子量とは、高速液体クロマトグラフィーにより測定し、分子量既値のポリスチレンに換算した値をいう。
なお、本発明での数平均分子量とは、高速液体クロマトグラフィーにより測定し、分子量既値のポリスチレンに換算した値をいう。
このような電池もまた本発明の1つである。
図1に本発明に係る電池の実施形態の一例を示す。図1に示す電池は、正極5と負極3とを、電解液を含有するセパレータ4を介して対向するように重ね合わせ、さらに正極5に正極集電体6を重ね合わせた構成となっている。これらは負極側のステンレス外装1と正極側のステンレス外装1とで外装され、その間には、両者の電気的接触を防ぐ目的で、プラスチック樹脂等の絶縁性材料からなる絶縁パッキン2が配置される。
以下に、電池を構成する主な部材等に関して説明する。
本発明において「電極活物質」とは、充電反応および放電反応等の電極反応に直接寄与する物質のことをいい、電池システムの中心的役割を果たすものである。
電極活物質は、本発明に係るラジカル組成物を含有するものであり、正極および/または負極の電極活物質として、本発明に係るラジカル組成物をそれぞれ単独で用いてもよいし、また、他の電極活物質と組み合わせて電極活物質としてもよい。
本発明に係るラジカル組成物を電極活物質として使用する場合、インピーダンスを低下させ、エネルギー密度、出力特性を向上させる目的で、導電付与剤(補助導電材)やイオン伝導補助材を混合させてもよい。
また、前記イオン伝導補助材としては、高分子ゲル電解質、高分子固体電解質等が挙げられる。これらの中でも、炭素繊維が好適に用いられ、中でも気相成長炭素繊維がより好適に用いられる。炭素繊維を用いることにより、電極の引張り強度がより大きくなり、電極にひびが入ったり剥がれたりすることが少なくなる。これら補助導電材やイオン伝導補助材は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
前記補助導電材やイオン伝導補助材を用いる場合、電極中における混合割合としては、10〜80質量%が好ましい。
前記電極活物質では、各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を混合させてもよい。
前記結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。これら結着剤は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
前記結着剤を用いる場合、電極中の混合割合としては、5〜30質量%が好ましい。
前記電極活物質を形成させるためのスラリーを作製しやすくするために、増粘剤を混合させてもよい。
前記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。これら増粘剤は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
前記増粘剤を用いる場合、電極中の混合割合としては、0.1〜5質量%が好ましい。
前記電極活物質において、電極反応をより円滑に行うために、酸化還元反応を助ける触媒を混合させてもよい。
前記触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子、ピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物、金属イオン錯体等が挙げられる。これら触媒は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
前記触媒を用いる場合、電極中の混合割合としては、10質量%以下が好ましい。
前記電極活物質に接触させて用いられる集電体としては、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等が挙げられ、箔、金属平板、メッシュ状等の形状のものを用いることができる。また、集電体に触媒効果を持たせたり、電極活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。
一方、セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルムや不織布等を挙げることができる。
本発明に係る電池において、電解質は、負極と正極の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には20℃で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有していることが好ましい。前記電解質としては、例えば、電解質塩を溶媒に溶解した電解液を用いることができる。
前記電解質塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、Li(C2F5SO2)3C等の従来公知の材料を挙げることができる。これら電解質塩は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
前記溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を挙げることができる。これら溶媒は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
前記高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体;アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリロニトリル系重合体;さらにポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体等が挙げられる。
本発明に係る電池の形状は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、電極積層体、あるいは巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔等の金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられ、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等が挙げられる。
本発明に係る電池の製造方法としては特に限定されず、材料に応じて適宜選択した方法を用いることができる。例えば、本発明に係るラジカル組成物を含有する電極活物質、導電付与剤等に溶媒を加えスラリー状にして電極集電体に塗布し、加熱もしくは常温で溶媒を揮発させることにより電極を作製し、さらにこの電極を対極、セパレータを挟んで積層または巻回して外装体で包み、電解液を注入して封止するといった方法である。スラリー化のための溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のアルキルケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。また、電極の作製法としては、電極活物質、導電付与剤等を乾式で混練した後、薄膜化し電極集電体上に積層する方法もある。
なお、その機構は明確ではないが、ピロリン系ニトロキシド重合体とポリエチレングリコール類との親和性に基づくものと考えられる。
(ピロリン系ニトロキシド化合物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および流量計を備えた100mL容の4つ口フラスコに、3−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシル1.17gおよび10wt%水酸化ナトリウム水溶液16.8mLを仕込み、懸濁させ、100℃にて2時間保持した。その後、適量の希塩酸を加えて中和し、黄色溶液を得た。これにジエチルエーテル50mLを加えて抽出した後、濃縮することにより、黄色結晶の3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシル1.12gを得た。
IR(KBr):3300,2500,1707cm−1
分子量(大気圧イオン化法による質量分析):184
次に、アルゴン雰囲気下、5℃に冷却し、塩化チオニル0.44mL/ベンゼン2mLを加え、1時間撹拌した後、溶媒を留去し、THF10mLを加えて溶解させた。
その後、−78℃に冷却し、同温度で1mol/L水素化リチウムアルミニウム−tert−ブトキシドTHF溶液10mLを2時間かけて滴下した。
次いで、酢酸エチル50mLを用いて抽出した後、濃縮することにより、黄色結晶の3−ホルミル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシル0.44gを得た。
IR(KBr):2834,2736,1688cm−1
分子量(大気圧イオン化法による質量分析):168
その後、THF2.5mLを加えた後、食塩氷浴により−10℃に冷却し、同温度でトリメチルスルホニウムヨージド0.64g/ジメチルスルホキシド溶液2.5mLを加え、5分間撹拌した。
これに前記3−ホルミル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシル0.44g/THF溶液1mLを−10℃にて30分かけて滴下し、さらに室温で2時間撹拌した。
次いで、酢酸エチル50mLを用いて抽出した後、濃縮することにより、一般式(1)で表されるピロリン系ニトロキシド化合物のうちnが0である3−オキシラニル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルの燈色液体0.34gを得た。
1H NMR(CDCl3):5.49,3.27,2.93,2.64,1.35,1.30,1.24,1.22ppm
13C NMR(CDCl3):142.0,129.0,70.2,68.0,49.2,47.5,25.7,25.2,25.0,24.4ppm
IR(KBr):1249,932,846cm−1
分子量(大気圧イオン化法による質量分析):182
撹拌機、アルゴンガス導入管、温度計および還流冷却管を備え、あらかじめアルゴンガスで置換した5mL容の4つ口フラスコに、ジエチル亜鉛の1mol/Lヘキサン溶液2mL(ジエチル亜鉛0.25g)を仕込み、−78℃に冷却後、水36μLを加え、室温にもどして1時間反応させることにより、重合開始剤としての黄色液体のジエチル亜鉛/水系開始剤を製造した。
次に、撹拌機、アルゴンガス導入管、温度計および還流冷却管を備え、あらかじめアルゴンガスで置換した5mL容の4つ口フラスコに、前記ピロリン系ニトロキシド化合物の製造と同様にして得られた3−オキシラニル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシル0.18g(1ミリモル)を仕込み、前記ジエチル亜鉛/水系開始剤0.2mLを加えた後、アルゴンガス雰囲気下、室温にて48時間重合反応させた。その後、適量のメタノールを添加して反応を停止させた後、反応液をヘキサン50mL中に加え、ろ過した後、ヘキサン10mLで洗浄し、減圧乾燥することにより燈色固体のピロリン系ニトロキシド重合体0.03gを得た(収率15%)。
得られたピロリン系ニトロキシド重合体について、数平均分子量を測定したところ、180,000であった。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製、商品名:HLC−8020)を用いて、LiBr(0.01mol/L)を含むN,N−ジメチルホルムアミド中30℃にて測定し、標準ポリスチレンを基準にして算出した。
(ピロリン系ニトロキシド化合物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および流量計を備えた100mL容の4つ口フラスコに、3−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシル1.17gおよび10wt%水酸化ナトリウム水溶液16.8mLを仕込み、懸濁させ、100℃にて2時間保持した。その後、適量の希塩酸を加えて中和し、黄色溶液を得た。これにジエチルエーテル50mLを加えて抽出した後、濃縮することにより、黄色結晶の3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシル1.12gを得た。
得られた3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルは、下記の物性を有することから同定することができた。
IR(KBr):3300,2500,1707cm−1
分子量(大気圧イオン化法による質量分析):184
得られた3−ホルミル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルは、下記の物性を有することから同定することができた。
IR(KBr):2834,2736,1688cm−1
分子量(大気圧イオン化法による質量分析):168
得られた3−ビニル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシルは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H NMR(CDCl3):6.16,5.60,5.41,5.11,1.39,1.25ppm
13C NMR(CDCl3):131.3,130.2,115.1,113.7,69.8,67.3,25.3,24.6ppm
IR(KBr):2974,1635,1593cm−1
分子量(大気圧イオン化法による質量分析):166
撹拌機およびアルゴンガス導入管を備えた5mL容のナス型フラスコに、前記ピロリン系ニトロキシド化合物の製造と同様にして得られた3−ビニル−2,2,5,5−テトラメチルピロリン−1−オキシル0.17g(1ミリモル)を仕込み、25℃に保ちながら、アルゴンガスを通じて反応系内の酸素を除去した。次に、重合開始剤としてのシクロペンタジエニルチタニウム(IV)トリクロリド0.13mg(0.0006ミリモル)、メチルアルミノキサン11.25mg(0.194ミリモル)を加えて、アルゴンガス雰囲気下、25℃で撹拌下22時間重合反応させた後、適量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応終了後、ヘキサン50mL中に加え、ろ過した後、ヘキサン10mLで洗浄し、減圧乾燥することにより薄茶色のピロリン系ニトロキシド重合体0.02gを得た(収率11%)。
得られたピロリン系ニトロキシド重合体について、数平均分子量を測定したところ、26,000であった。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)を用いて、LiBr(0.01mol/L)を含むN,N−ジメチルホルムアミド中30℃にて測定し、標準ポリスチレンを基準にして算出した。
ポリフッ化ビニリデン1.0gに対してN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)9.0gを加えて溶解し、ポリフッ化ビニリデン溶液を得た。
製造例1と同様にして得られたピロリン系ニトロキシド重合体0.3gおよびポリエチレングリコール0.015g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、数平均分子量35,000)を加え、攪拌機を使用して均一になるまで攪拌してラジカル組成物を得た。
得られたラジカル組成物に、NMP3.0gとポリフッ化ビニリデン溶液3.0gとを加え、攪拌機を使用して均一になるまで攪拌してニトロキシド重合体分散液を得た。
その後、得られたニトロキシド重合体分散液に、補助導電材としてのグラファイト粉末2.4gを添加し、攪拌機にて均一になるまで攪拌して電極用インキを作成した。
得られた電極用インキをITO/ガラス電極基板上にキャストし、120℃、1時間減圧乾燥することにより、溶媒を除去し、電極上にフィルムを形成させることで、フィルム形成電極を作製した。
ポリエチレングリコール0.015gに代えて、ポリエチレングリコール0.0015gを用いた以外は、実施例1と同様にしてラジカル組成物およびフィルム形成電極を得た。
ポリエチレングリコール0.015gに代えて、ポリエチレングリコール0.030gを用いた以外は、実施例1と同様にしてラジカル組成物およびフィルム形成電極を得た。
ポリエチレングリコール0.015gに代えて、ポリエチレングリコール0.090gを用いた以外は、実施例1と同様にしてラジカル組成物およびフィルム形成電極を得た。
ポリエチレングリコール0.015g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、数平均分子量35,000)に代えて、ポリエチレングリコール0.015g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、数平均分子量570〜630)を用いた以外は、実施例1と同様にしてラジカル組成物およびフィルム形成電極を得た。
ポリエチレングリコール0.015g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、数平均分子量35,000)に代えて、ポリエチレングリコール0.015g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、数平均分子量400,000)を用いた以外は、実施例1と同様にしてラジカル組成物およびフィルム形成電極を得た。
ポリエチレングリコール0.015g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、数平均分子量35,000)に代えて、ポリエチレングリコール0.015g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、数平均分子量285〜315)を用いた以外は、実施例1と同様にしてラジカル組成物およびフィルム形成電極を得た。
ポリエチレングリコール0.015g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、数平均分子量35,000)に代えて、ポリエチレングリコール0.015g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、数平均分子量900,000)を用いた以外は、実施例1と同様にしてラジカル組成物およびフィルム形成電極を得た。
実施例1において、製造例1と同様にして得られたピロリン系ニトロキシド重合体0.3gに代えて、製造例2と同様にして得られたピロリン系ニトロキシド重合体0.3gを用いた以外は、実施例1と同様にしてラジカル組成物およびフィルム形成電極を得た。
実施例1において、ポリエチレングリコールを添加しないこと以外は実施例1と同様にして、ラジカル組成物およびフィルム形成電極を得た。
(1)フィルムの状態
実施例、参考例および比較例で得られたフィルム形成電極について、電極上に形成したフィルムの状態を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、装置名:JSM−6390LA Analytical Scanning Electron Microscope)を用いて観察した。
その結果、実施例1〜3、5、6、9、参考例7で得られたニトロキシド重合体分散液を用いた場合は、形成したフィルムが均一な状態となっていた。
参考例4、8で得られたニトロキシド重合体分散液を用いた場合は、形成したフィルムがほぼ均一な状態となっているが、ポリエチレングリコールのごく一部に凝集がみられた。
一方で、比較例1で得られたニトロキシド重合体分散液を用いた場合は、グラファイト粉末の一部が凝集していることが確認された。
実施例、参考例および比較例で得られたフィルム形成電極について、電気化学アナライザー(BAS株式会社製、商品名:ALSモデル600B電気化学アナライザー)により、アセトニトリル中、過塩素酸テトラブチルアンモニウムを電解基質とし(0.1mol/L)、参照電極をAg/AgClとして、走査速度20mV/s、25℃にてCV曲線を測定した。
その結果、実施例1で得られたニトロキシド重合体分散液を用いた場合は、0.88Vにピロリン系ニトロキシド重合体に由来する酸化還元波が現れ、1000回掃引後にも酸化還元波に変化は認められなかった。
また、実施例2、3、5、6、9で得られたニトロキシド重合体分散液を用いた場合も、1000回掃引後に酸化還元波に変化は認められなかった。
参考例4、7、8で得られたニトロキシド重合体分散液を用いた場合は、1000回掃引後にも酸化還元波を確認できたが、実施例1〜3、5、6、9のものと比較して、酸化還元波が僅かに小さくなっていた。
一方で、比較例1で得られたニトロキシド重合体分散液を用いた場合は、1000回掃引後には酸化還元波が観測されなくなった。
これは、電解液にニトロキシド重合体が溶出したことによるものと考えられる。
2 絶縁パッキン
3 負極
4 セパレータ
5 正極
6 正極集電体
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