JP5964128B2 - セルロースナノファイバーを含む食品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の食品は、セルロースナノファイバーを含む。セルロースナノファイバーとしては、例えば、β−1,4−グルカン構造を有する多糖類で形成されている限り、特に制限されず、高等植物由来のセルロース繊維[例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、ジン皮繊維(例えば、麻、コウゾ、ミツマタなど)、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)などの天然セルロース繊維(パルプ繊維)など]、動物由来のセルロース繊維(ホヤセルロースなど)、バクテリア由来のセルロース繊維(ナタデココに含まれるセルロースなど)、化学的に合成されたセルロース繊維[例えば、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロースなど);カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロース(CMC)など);アルキルセルロース(メチルセルロース、エチルセルロースなど)などのセルロース誘導体など]などが挙げられる。これらのセルロースナノファイバーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の食品は、前記セルロースナノファイバーを含んでいればよいが、食感を向上でき、過酷な条件(熱、塩、酸など)でも形状を保持できる点から、粘弾性を付与できる増粘剤を含む食品が好ましい。この増粘剤は、加熱及び冷却工程を経て食品に粘弾性を付与できる増粘剤(例えば、ゲル化剤)であってもよく、混練により食品に粘弾性を付与できる増粘剤(例えば、グルテンなど)であってもよい。
本発明の食品の製造方法は、セルロースナノファイバーを食品原料に添加する添加工程を含んでいればよい。食品に粘弾性を付与できる増粘剤が含まれる場合、前記増粘剤により食品に粘弾性を発現させる前にセルロースナノファイバーを添加すればよく、例えば、前記増粘剤と同時にセルロースナノファイバーを添加してもよく、前記増粘剤の添加の前後にセルロースナノファイバーを添加してもよい。
セルロースナノファイバーについて50000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、撮影した写真上において、写真を横切る任意の位置に2本の線を引き、線と交差する全ての繊維径をカウントして平均繊維径(n=20以上)を算出した。線の引き方は、線と交差する繊維の数が20以上となれば、特に限定されない。
繊維長は、繊維長測定器(カヤーニ社製「FS−200」)を用いて測定した。
水あめ75重量部、砂糖100重量部をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用いて混合し、50回転/分で攪拌しながら105℃まで加熱した。混合物の水分含量は8重量%であった。
グミの強度測定で作製したグミを、一辺が10mm程度のサイコロ状に切り取り、23〜40歳までの無作為で抽出した被験者20人が食し、セルロース系添加剤を含有しない比較例4のグミ(コントロール)との違いを下記の5段階の基準で官能評価した。
4:コントロールに対し、違いが認識できる硬さである
3:コントロールに対し、わずかに違いが認識できる硬さである
2:コントロールに対し、極めてわずかに違いが認識できる硬さである
1:コントロールに対する変化を認識できない。
グミの強度測定で作製したグミを、20×20×10mmのサイズの直方体状に切り取り、105℃で2時間加熱したときの状態変化を観察し、以下の基準で評価した。
4:加熱前に比べて極めてわずかに変形する
3:加熱前に比べて少し変形する
2:加熱前に比べて大きく変形する
1:流れ出て原型を留めていない。
特開2011−267760号公報の実施例4と同様の方法でセルロースナノファイバーを製造した。すなわち、NBKPパルプ(丸住製紙(株)製、固形分約50重量%、カッパー価約0.3)を用いて、パルプを1重量%の割合で含有するスラリー液を100リットル調製した。次いで、ディスクリファイナー(長谷川鉄工(株)製、SUPERFIBRATER 400−TFS)を用いて、クリアランス0.15mm、ディスク回転数1750rpmとして10回叩解処理し、リファイナー処理品を得た。このリファイナー処理品を、破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=16.8/1)を備えたホモジナイザー(ゴーリン社製、15M8AT)を用いて、処理圧50MPaで50回処理した。得られたセルロースナノファイバーの平均繊維径は45nm、繊維径分布の標準偏差は22.6nm、最大繊維径は80.2nm、平均繊維長は172μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3822、脱水時間は2530秒/200mlであった。
NBKPパルプの代わりに、フィリピン産アバカパルプを用いて、破砕型ホモバルブを備えたホモジナイザでホモジナイズ処理を5回する以外は実施例1と同様にしてセルロースナノファイバーを得た。得られたセルロースナノファイバーの平均繊維径は33nm、繊維径分布の標準偏差は18nm、最大繊維径は72.3nm、平均繊維長は960μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は29090、脱水時間は5920秒/200mlであった。このセルロースナノファイバーを用いて、実施例1と同様にして、前記方法でグミを調製した。
ナタデココ(フジッコ(株)製)をジューサーミキサーで5分間処理した。この処理品を、破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=16.8/1)を備えたホモジナイザー(ゴーリン社製、15M8AT)を用いて、処理圧50MPaで20回処理した。得られたセルロースナノファイバーの平均繊維径は48nm、繊維径分布の標準偏差は14nm、最大繊維径は83.6nm、平均繊維長は106μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は2208、脱水時間は2890秒/200mlであった。このセルロースナノファイバーを用いて、実施例1と同様にして、前記方法でグミを調製した。
セルロースナノファイバーの代わりに、粉末セルロース(日本製紙ケミカル(株)製「KCフロック W−300G」、平均粒径約28μm)を用いる以外は実施例1と同様にしてグミを調製した。
NBKPパルプの代わりに、粉末セルロース(KCフロック W−300G)を用いて、破砕型ホモバルブを備えたホモジナイザでホモジナイズ処理を20回する以外は実施例1と同様にしてセルロースナノファイバーを得た。得られたセルロースナノファイバーの平均繊維径は720nm、繊維径分布の標準偏差は260nm、最大繊維径は2300nm、平均繊維長は32μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は44、脱水時間は326秒/200mlであった。このセルロースナノファイバーを用いて、実施例1と同様にして、前記方法でグミを調製した。
破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーの代わりに、特開2011−267760号公報の実施例1に記載の通常の非破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=1.9/1)を備えたホモジナイザー(ゴーリン社製、15M8AT)を用いて、ホモジナイズ処理を15回する以外は実施例1と同様にしてセルロースナノファイバーを得た。得られたセルロースナノファイバーの平均繊維径は112nm、繊維径分布の標準偏差は48.1nm、最大繊維径は303nm、平均繊維長は410μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3660、脱水時間は1400秒/200mlであった。このセルロースナノファイバーを用いて、実施例1と同様にして、前記方法でグミを調製した。
セルロースナノファイバーの代わりに、粉末カルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム(株)製「CMC ダイセル 1190」、エーテル置換度0.65、1%粘度1600mPa・s)を用いる以外は実施例1と同様にしてグミを調製した。
セルロースナノファイバーを用いることなく、実施例1と同様にしてグミを調製した。
Claims (10)
- 平均繊維径が100nm未満であり、かつ平均繊維径に対する平均繊維長の比が2000以上であるセルロースナノファイバーを含む食品であって、
粘弾性を付与できる増粘剤を含み、この増粘剤が、ゼラチン、グルテン及び魚肉タンパク質からなる群より選択された少なくとも1種のタンパク質であり、
セルロースナノファイバーの割合が、増粘剤100重量部に対して1〜30重量部である食品。 - タンパク質がゼラチンである請求項1記載の食品。
- さらに水を含む請求項1又は2記載の食品。
- さらに糖類を含む請求項1〜3のいずれかに記載の食品。
- セルロースナノファイバーの割合が、食品全体に対して0.1〜3重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の食品。
- セルロースナノファイバーの割合が、増粘剤100重量部に対して3〜20重量部である請求項1〜5のいずれかに記載の食品。
- ゲル状食品である請求項1〜6のいずれかに記載の食品。
- グミである請求項1〜7のいずれかに記載の食品。
- セルロースナノファイバーを食品原料に添加する添加工程を含む請求項1〜8のいずれかに記載の食品の製造方法であって、
食品原料が、粘弾性を付与できる増粘剤を含み、この増粘剤が、ゼラチン、グルテン及び魚肉タンパク質からなる群より選択された少なくとも1種のタンパク質であり、
セルロースナノファイバーを、増粘剤100重量部に対して1〜30重量部の割合で添加する、製造方法。 - セルロースナノファイバーと増粘剤とを混合する混合工程及び増粘剤を含む食品原料を加熱して冷却することによりゲル化するゲル化工程を含む請求項9記載の製造方法。
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