JP6362573B2 - バイオナノファイバーにより穀物粉生地強度を高める技術 - Google Patents

バイオナノファイバーにより穀物粉生地強度を高める技術 Download PDF

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本発明は、食品製造技術に関する。詳細には、本発明は、バイオナノファイバーを穀物粉含有生地に配合することを特徴とする、強度が高められた穀物粉含有生地の製造方法、該方法により得られる強度が高められた穀物粉含有生地、該穀物粉含有生地を用いることを特徴とする穀物粉含有食品の製造方法、ならびに該方法により得られる穀物粉含有食品に関する。
膨大なバイオマスであるセルロース、及びキチン・キトサンは、増粘剤としての特性や食物繊維としての機能性または安全性などから食品への応用が進められている。しかしながら、加工性の問題からその利用に関して実用化が困難な場合がある。これら高分子の素材をナノファイバー化することにより、溶液中で分散することが可能となることから、ナノファイバー化は加工性に関する問題点の解決のブレークスルーとなっている。
穀粒粉を加工することにより様々な食材が提供されている。穀粒粉の代表例として小麦粉や米粉が挙げられる。小麦粉は、主に生地の強さによって、パン、めん、菓子など他の食材に類を見ないほど多様に加工されている。近年、食物繊維素材を小麦粉含有生地に含ませることにより機能性食品を製造する試みがなされている。例えば、球状セルロース粒子を小麦粉にブレンド後、このブレンド小麦粉で製パンを行うこと(特許文献1)、水溶性食物繊維材料を含む生地を用いて製パンを行うこと(特許文献2)などが報告されている。しかし、実際の製パンにおいて生地の膨らみ、堅さ、食感などの更なる改良が必要とされている。また、米粉も餅、せんべい、かきもち、麺類、そして最近ではパンなどの多くの食品に使用されている。これらの米粉を加工して得られる食品に関しても、さらなる食感の向上、新たな食感が求められている。特に、小麦アレルギーの問題から、別の穀物粉を用いたグルテンフリー食品のニーズが高い。
特開2006−180846号公報 特開2010−213654号公報
本発明が解決しようとする課題は、穀物粉含有生地の強度を増加させること、そして実際の穀物粉製品において生地の膨らみ、堅さ、食感などの改良を行うことである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、キチンナノファイバー(キチンNF)、キトサンナノファイバー(キトサンNF)、表面キトサン化キチンナノファイバー(表面キトサンNF)、セルロースナノファイバー(セルロースNF)等のバイオナノファイバーを穀物粉含有生地に添加することにより、穀物粉含有生地の強度を飛躍的に高めることが可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)バイオナノファイバーを穀物粉含有生地に配合することを特徴とする、強度が高められた穀物粉含有生地の製造方法。
(2)バイオナノファイバーが、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバーおよびセルロースナノファイバーからなる群より選択される1種またはそれ以上である(1)記載の方法。
(3)(1)または(2)記載の方法により得られる、強度が高められた穀物粉含有生地。
(4)(3)記載の穀物粉含有生地を用いることを特徴とする、穀物粉含有食品の製造方法。
(5)(4)記載の方法により得られる穀物粉含有食品。
(6)穀物が麦または米である(1)または(2)記載の方法。
(7)穀物が麦または米である(3)記載の生地。
(8)穀物が麦または米である(4)記載の方法。
(9)穀物が麦または米である(5)記載の食品。
(10)パンである(5)または(9)記載の食品。
(11)焼き菓子である(5)または(9)記載の食品。
(12)麺類である(5)または(9)記載の食品。
本発明によれば、強度が増強された穀物粉含有生地が提供される。本発明で得られる生地を用いてパン、焼き菓子、麺類などの穀物粉含有食品を製造すると、生地の膨らみが大きく、堅さや食感が変化した食品が得られる。また、本発明によれば、穀物粉を減らして食品を製造することができることから、費用の節約ができ、減カロリー食品が得られる。本発明により得られる生地はいずれの穀物粉を含む生地であってもよいので、小麦粉、もしくはグルテンを用いることなく、米粉などのグルテンを含まない穀物粉のみを用いて生地の膨らみが必要なグルテンフリー食品が得られる。さらに、キチンやキトサンなどのバイオナノファイバーの機能を持った食品が得られる。
図1は、SDS沈降量テストを用いた生地強度の測定結果を示す棒グラフである。キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末、キトサン(キトサン顆粒)、キチンNF、キトサンNF、セルロースNF、表面キトサンNFを、0.01%(1.6mg/1g小麦粉)となるよう薄力粉1gに添加したものを試料として用いた。中力粉、強力粉、薄力粉は前記物質を添加していない。キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末は1%水懸濁液として、キトサン(キトサン顆粒)は1%酢酸溶解液として、各バイオナノファイバーは1%水分散液として添加した。 図2は、SDS沈降量テストを用いた生地強度の測定結果を示す棒グラフである。キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末、キトサン(キトサン顆粒)、キチンNF、キトサンNF、セルロースNF、表面キトサンNFを、0.1%(16mg/1g小麦粉)となるよう薄力粉1gに添加したものを試料として用いた。中力粉、強力粉、薄力粉は前記物質を添加していない。キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末は1%水懸濁液として、キトサン(キトサン顆粒)は1%酢酸溶解液として、各バイオナノファイバーは1%水分散液として添加した。 図3の上段パネルは薄力粉のみを用いた生地と、薄力粉にキチン粉末を添加した生地を焼いたパンの高さを示す写真である。図3の中段パネルは薄力粉のみを用いた生地と、薄力粉にキチンNFを添加した生地を用いて焼いたパンの高さを示す写真である。図3の下段パネルは、薄力粉のみを用いた生地と、薄力粉にキチン粉末またはキチンNFを添加した生地を焼いたパンの高さを比較する棒グラフである。製パン時のキチン粉末またはキチンNFの添加量は1.5mgキチン粉末/1g小麦粉または1.5mgキチンNF/1g小麦粉とした。キチン粉末は0.3g添加した。キチンNFは1%水分散液として30mL添加した。 図4の上段パネルは、強力粉のみを用いた生地と、強力粉にキチンNFを添加した生地を焼いたパンの高さを示す写真である。図4の下段パネルは、強力粉のみを用いた生地と、強力粉にキチンNFを添加した生地を焼いたパンの高さを比較する棒グラフである。製パン時のキチンNFの添加量は1.5mgキチンNF/1g小麦粉とした。キチンNFは1%水分散液として30mL添加した。 図5の上段パネルは薄力粉のみを用いた生地と、薄力粉にキトサン顆粒、キトサン溶解液(キトサン顆粒1%酢酸溶解液)またはキトサンNFを添加した生地を焼いたパンの高さを示す写真である。図5の下段パネルは、薄力粉のみを用いた生地と、薄力粉にキトサン顆粒、キトサン溶解液またはキトサンNFを添加した生地を焼いたパンの高さを比較する棒グラフである。製パン時のキトサン類またはキトサンNFの添加量は1.5mgキトサン類/1g小麦粉または1.5mgキトサンNF/1g小麦粉とした。キトサン顆粒は0.3g添加した。キトサン(キトサン顆粒)は1%酢酸溶解液として、キトサンNFは1%水分散液としてそれぞれ30mLずつ添加した。 図6の上段パネルは薄力粉のみを用いた生地と、薄力粉に表面キトサンNFを添加した生地を用いて焼いたパンの高さを示す写真である。図6の下段パネルは、薄力粉のみを用いた生地と、薄力粉に表面キトサンNFを添加した生地を焼いたパンの高さを比較する棒グラフである。製パン時の表面キトサンNFの添加量は1.5mg表面キトサンNF/1g小麦粉とした。表面キトサンNFは1%水分散液として30mL添加した。 図7の上段パネルは、薄力粉のみを用いた生地と、薄力粉にセルロース粉末またはセルロースNFを添加した生地を焼いたパンの高さを示す写真である。図7の下段パネルは、薄力粉のみを用いた生地と、薄力粉にセルロース粉末またはセルロースNFを添加した生地を焼いたパンの高さを比較する棒グラフである。製パン時のセルロース粉末またはセルロースNFの添加量は1.5mgセルロース粉末/1g小麦粉または1.5mgセルロースNF/1g小麦粉とした。セルロース粉末は0.3g添加した。セルロースNFは1%水分散液として30mL添加した。 図8は、SDS沈降量テストを用いた生地強度の測定結果を示す棒グラフである。キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末、キトサン(キトサン顆粒)、キチンNF、キトサンNF、セルロースNF、表面キトサンNFを、0.1%(16mg/1g米粉)となるよう米粉1gに添加したものを試料として用いた。中力粉、強力粉、薄力粉、米粉と表示された試料には前記物質を添加していない。キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末は1%水懸濁液として、キトサン(キトサン顆粒)は1%酢酸溶解液として、各バイオナノファイバーは1%水分散液として添加した。 図9の上段パネルは、米粉だけで調製した生地を焼いたパンの高さを示す写真(左)、米粉にキチンNFを添加した生地を焼いたパンの高さを示す写真(中)、および米粉に増粘剤を添加した生地を焼いたパンの高さを示す写真(右)である。図8の下段パネルは、米粉だけで調製した生地を焼いたパンの高さ(左)、米粉にキチンNFを添加した生地を焼いたパンの高さ(中)、および米粉に増粘剤を添加した生地を焼いたパンの高さ(右)を示す棒グラフである。
本発明は、1の態様において、バイオナノファイバーを穀物粉含有生地に配合することを特徴とする、強度が高められた穀物粉含有生地の製造方法に関する。強度が高められたとは、例えば、穀物粉を用いたSDS沈降量テストにおいて沈殿量を約20%以上増加させることをいう。
バイオナノファイバーは生物由来の繊維状の物質であり、繊維幅が約1〜約100nm、アスペクト比が約100以上のものをいう。バイオナノファイバーの例としては、キチンNFおよびその表面脱アセチル化したもの、キトサンNF、セルロースNFなどが例示されるが、これらに限定されない。
バイオナノファイバーの原料は地球上に豊富に存在するので、バイオナノファイバーは安定的に供給されうる。例えば、キチンNF、キトサンNFの原料はエビ、カニ等の甲殻類の殻であってもよく、昆虫の外皮や菌類の細胞壁が由来であってもよい。セルロースNFの原料は植物であってもよい。バイオナノファイバーの原料および製造方法は公知である。
バイオナノファイバーは様々な方法により製造される。例えば、原料である乾燥カニ殻を脱タンパク質、脱カルシウム、所望により脱脂、脱色素処理し、機械的処理(例えば、らいかい器、ボールミル、高圧ホモジナイザー、二軸混練機、磨砕器、超音波等による)に付す方法等が挙げられるが、これらの方法に限定されない。
バイオナノファイバーは、水中に均一に分散し、配合・形成を容易に行うことができ、処理の操作性が向上するという利点を有する。一方、ナノファイバー化していないキチン、キトサン、セルロース等は一般の溶媒に不溶・不融であり、操作性が格段に劣る。また、バイオナノファイバーは、高い生体適合性・生分解性を有するので、ヒトや動物・環境に対する安全性が高いという利点も有する。本発明の優れた効果は、バイオナノファイバーの上記のような性質・利点に負うところが大きい。
本発明は、バイオナノファイバーを穀物粉含有生地に配合すると、生地の強度が飛躍的に増大するという驚くべき知見に基づく。バイオナノファイバーの生地への配合は、添加、混合、混和、混練等の公知の方法により行うことができる。生地の原料である穀物粉にバイオナノファイバーを配合することができる。穀物粉に対するバイオナノファイバーの配合量は、生地の用途、穀物粉の種類、望ましい生地強度などに応じて変更、決定することができる。生地の製造方法は公知の方法を用いることができる。
本明細書において、穀物粉は穀粒粉を総称するものである。穀物はあらゆる穀物を包含し、小麦、大麦、ライ麦、燕麦などの麦、うるち米、餅米などの米のほか、アワ、ヒエ、キビ、トウモロコシなどが例示されるが、これらに限定されない。本明細書において、生地は穀粒粉を含む生地をいい、穀物粉は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。本明細書において、穀物粉は均一に挽かれたものであってもよく、部分的に穀粒が残っているものであってもよい。小麦粉の場合、生地強度決定の主要因は小麦に含まれるグルテンであるため、小麦粉の代わりにグルテン単体を用いて製造した生地などへもバイオナノファイバーを配合することができる。
本発明は、さらなる態様において、上記方法により得られる、強度が高められた穀物粉含有生地、該生地を用いることを特徴とする穀物粉含有食品の製造方法、ならびに該方法により得られる穀物粉含有食品に関するものである。本発明の穀物粉含有食品は、生地として本発明のバイオナノファイバー含有生地を用いるほかは、公知の方法によって製造することができる。
本発明の穀物粉含有生地を用いて製造される穀物粉含有食品の例は、各種のパン、およびクッキー、ビスケット、ケーキ類、せんべい、あられ、かきもちなどの焼き菓子、ドーナツ、天ぷらなどの揚げもの、ラーメン、うどん、ビーフンなどの麺類、ピザやお好み焼きなどであるが、これらに限定されない。それらの中で、強い生地強度が求められるパンであれば焼き上げたときによく膨らみ、適度な弾力性を有するものが得られ、麺類であれば茹で上げたときにコシが強いものが得られる。また、本発明により得られる穀物粉含有食品は、配合されたバイオナノファイバーの作用効果を保持しており、そのような性質としては、例えば整腸作用、胆汁酸の排泄、血中コレステロールの低下、ダイエット効果が挙げられる。
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものと解してはならない。
実施例1 SDS沈降量テストによるバイオナノファイバーの小麦粉含有生地強度増強効果の測定
小麦粉生地強度の評価法として世界的に広く利用されているSDS沈降量テストを用い、バイオナノファイバー添加による小麦粉含有生地強度の増強効果の測定を行った。試験にはグルテン含有量が少なく、パンなどの強力粉を用いて作られる小麦粉製品では使われない薄力粉を用いた。また比較のために薄力粉よりグルテン含有量の多い強力粉と中力粉を用いた。
SDS沈降量テストの試験方法・手順を以下に示す。
1.小麦粉1gをねじ口試験管に入れる。
2.4mLの超純水を加える。測定サンプルを添加する場合は、測定サンプルの粉末、もしくはその懸濁液と超純水の合計を4mLとする。
3.ボルテックスミキサーにて3秒間混和後、試験管立てにて5分間静置する。
4.再度、3.の操作を繰り返す。
5.12mLの乳酸−SDS溶液を加え、5回転倒混和後、試験管立てに5分間静置する。
6.5サンプルずつ同時に、よく混ざるまで15回転倒混和する。
7.試験管立てにて静置後、40分後に、沈降量を0.1mL単位まで読みとる。
乳酸−SDS溶液(約20サンプル分、測定当日に作成)
5.88g SDS
678μL 85%乳酸/300mL 超純水
薄力粉(日清製粉・フラワー)1gにキチンNF、キトサンNF、セルロースNF、表面キトサンNF、キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末、およびキトサン(キトサン顆粒)を各々1.6mgずつ添加して(0.01%)、SDS沈降量テストに供した。比較のため、強力粉(日清製粉・カメリア)、中力粉(日清製粉・雪)各々1gをSDS沈降量テストに供した。コントロールは薄力粉1gとした。SDS沈降量テストの結果を図1に示す。薄力粉にキチンNF、キトサンNF、セルロースNF、表面キトサンNF、およびキトサン(キトサン顆粒)を添加した系では、沈降物の体積が明らかに増加し、生地が強くなる効果が確認された。一方、キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末を添加した系では効果が全く見られなかった。
薄力粉1gにキチンNF、キトサンNF、セルロースNF、表面キトサンNF、キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末、およびキトサン(キトサン顆粒)を各々16mgずつ添加して(0.1%)、上と同様の実験を行った。結果を図2に示す。薄力粉にチンNF、キトサンNF、セルロースNF、表面キトサンNF、およびキトサン(キトサン顆粒)を添加した系では、沈降物の体積は中力粉と同等であり、顕著な効果が見られた。しかし、キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末を添加した系では効果が全く見られなかった
本実施例、実施例2、実施例3および実施例4に使用したキチンNF、キトサンNF、セルロースNF、表面キトサンNF、キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末、およびキトサン(キトサン顆粒)は以下のようにして得たものであった。
キチン粉末(甲陽ケミカル・コーヨーキチン)、キトサン粉末(甲陽ケミカル・コーヨーキトサン)、セルロース粉末(ナカライテスク・セルロース粉末)、キトサン顆粒(東京化成工業・キトサン)は、購入したものをそのまま利用した。キチンNF、キトサンNFの製造については、上記の粉末に蒸留水を添加し、1.0重量パーセント濃度とし、これを湿式高圧ホモジナイザー(スギノマシン・スターバーストミニ)を用いて粉砕した。粉砕処理回数は30回行った。吐出圧力は200MPaとした。なお、表面キトサンNFの製造については、キチン粉末を予め20%の水酸化ナトリウムで脱アセチル化処理したものを原料として用いている。セルロースNFの製造については、溶解パルプ(王子製紙)を水に浸漬したものを家庭用ミキサーで粉砕し、続いて石臼式粉砕機(スーパーマスコロイダー、増幸産業)で2回解繊したのち、スターバーストにより粉砕した。
実施例2 製パンを用いたバイオナノファイバー添加による小麦粉含有生地強度の評価
表1に記載するレシピにより製パンを行った。
[表1]
表1 食パンの製造方法(1斤分)
小麦粉 200g
バター 10g
砂糖 17g
スキムミルク 6g
塩 5g
180mL
ドライイースト 2.8g
キトサン(キトサン顆粒)は1%酢酸溶解液として、各バイオナノファイバーは1%水分散液として、上記混合物中に1.5mg/1g小麦粉(30mL添加し、加水量は150mLとする)となるようそれぞれ添加。一方、キチン粉末、キトサン顆粒、セルロース粉末は1.5mg/1g小麦粉となるよう粉末あるいは顆粒をそれぞれ添加。
上記混合物を調製し、市販の家庭用製パン器(パナソニックSD−BM105)にて製パンした。小麦粉としては、薄力粉(日清フラワー)を用いた。薄力粉200gのみで調製した生地、薄力粉200gにキチン粉末を1.5mg/1g小麦粉となるよう添加した生地、薄力粉200gにキチンNFを1.5mg/1g小麦粉(1%ナノファイバー分散液を30mL添加)となるよう添加した生地を用いて製パンし、パンの高さを比較した。結果を図3に示す。薄力粉200gにキチン粉末を1.5mg/1g小麦粉となるよう添加した生地を用いて製パンしたときのパンの高さは、薄力粉のみで調製したパンの高さとほぼ同じであった。薄力粉200gにキチンNFを1.5mg/1g小麦粉となるよう添加した生地を用いて製パンした場合のパンの高さは薄力粉のみの場合を上回った。このことから、キチンNFが実際に製パンにおいてパン生地の強度を著しく増加させたことが証明された。
強力粉(日清カメリア)250gのみで調製した生地、強力粉200gのみで調製した生地、強力粉200gにキチンNFを1.5mg/1g小麦粉(1%ナノファイバー分散液を30mL添加)となるよう添加した生地を用いて製パンしたときのパンの高さを比較した。結果を図4に示す。強力粉200gにキチンNFを1.5mg/1g小麦粉小麦粉となるよう添加した生地を用いて製パンしたときのパンの高さは、強力粉250gのみで調製した生地を用いて製パンしたときのパンの高さとほぼ同じであった。この結果から、キチンNFを添加することにより、使用する強力粉の量を20%減少させることが可能であることがわかった。
薄力粉200gのみで調製した生地、薄力粉200gにキトサン顆粒を1.5mg/1g小麦粉となるよう添加した生地、薄力粉200gにキトサン(キトサン顆粒)を1.5mg/1g小麦粉(1%酢酸溶解液を30mL添加)となるよう添加した生地、および薄力粉200gにキトサンNFを1.5mg/1g小麦粉(1%ナノファイバー分散液を30mL添加)となるよう添加した生地を用いて製パンし、パンの高さを比較した。結果を図5に示す。薄力粉200gにキトサン顆粒、キトサン溶解液、キトサンNFを添加した生地を用いて製パンしたときのパンの高さは、薄力粉のみで調製したパンの高さとほぼ同じであった。
薄力粉200gのみで調製した生地、薄力粉200gに表面キトサンNFを1.5mg/1g小麦粉(1%ナノファイバー分散液を30mL添加)となるよう添加した生地を用いて製パンし、パンの高さを比較した。結果を図6に示す。薄力粉200gに表面キトサンNFを1.5mg/1g小麦粉となるよう添加した生地を用いて製パンした場合のパンの高さは薄力粉のみの場合を著しく上回った。
薄力粉200gのみで調製した生地、薄力粉200gにセルロース粉末を1.5mg/1g小麦粉となるよう添加した生地、薄力粉200gにセルロースNFを1.5mg/1g小麦粉(1%ナノファイバー分散液を30mL添加)となるよう添加した生地を用いて製パンし、パンの高さを比較した。結果を図7に示す。薄力粉200gにセルロース粉末を1.5mg/1g小麦粉となるよう添加した生地を用いて製パンしたときのパンの高さは薄力粉200gと同程度であった。薄力粉200gにセルロースNFを1.5mg/1g小麦粉となるよう添加した生地を用いて製パンした場合のパンの高さは薄力粉のみの場合を上回る傾向にあった。
実施例3 SDS沈降量テストによるバイオナノファイバーの米粉含有生地強度増強効果の測定
小麦粉を米粉に変更した以外は実施例1に記載の方法と同様の方法にて実験を行った。キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末、キトサン(キトサン顆粒)、キチンNF、キトサンNF、セルロースNF、表面キトサンNFを、0.1%(16mg/1g米粉)となるよう米粉1gに添加したものを試料として用いた。前記物質を添加していない中力粉、強力粉、薄力粉、米粉も試料として用いた。キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末は1%水懸濁液として、キトサン(キトサン顆粒)は1%酢酸溶解液として、各バイオナノファイバーは1%水分散液として添加した。結果を図8に示す。米粉にキチンNF、キトサンNF、セルロースNF、および表面キトサンNFを添加した系では、沈降物の体積が明らかに増加し、生地が強くなる効果が確認された。一方、キチン粉末、キトサン粉末、セルロース粉末を添加した系では効果が全く見られず、キトサン顆粒を添加した系では生地の強度が低下した。
実施例4 製パンを用いたバイオナノファイバー添加による米粉含有生地強度の評価
表2に記載するレシピにより製パンを行った。
[表2]
表2 米粉パンの製造方法(1斤分)
米粉 300g
オリーブ油 8g
砂糖 8.5g
塩 5g
ドライイースト 4.2g
水 220ml
増粘剤(もち粉と水あめの糊)

もち粉と水あめ糊
もち粉 小さじ1/2
水あめ 45g
共通材料中の水220mlと混合して全量270gとなるように作成する

対照区(増粘剤無し)はもち粉と水あめ糊を除き、水220mlのみを加えた。あるいははもち粉と水あめ糊を除き、2%キチンNFを150ml(10mg/1g米粉)+水220mlを加えた。
上記混合物を調製し、市販の家庭用製パン器(パナソニックSD−BM105)にて製パンした。米粉は、福盛シトギ2号を用いた。米粉のみで調製した生地(増粘剤無し)、米粉300gにキチンNFを10mg/1g米粉(2%ナノファイバー分散液を150mL)を添加した生地、米粉300gに増粘剤(もち粉および水あめ糊)を加えて調製した生地を用いて製パンし、パンの高さを比較した。結果を図9に示す。米粉のみの生地を焼いたパンは高さ約70mmであったが、キチンNFを生地に添加することによりパンの高さは100mm近くに達し、通常レシピである増粘剤入りのパンの高さとほぼ同じとなった。このことから、キチンNFが増粘剤の役割を果たし、米粉パンにおいてパン生地の強度を著しく増加させたことが証明された。
本発明は、穀物粉含有食品、特にパン、およびクッキー、ビスケット、ケーキ類、せんべい、あられ、かきもちなどの焼き菓子、ドーナツ、天ぷらなどの揚げもの、麺類、ピザやお好み焼きなどの製造分野において利用可能である。

Claims (11)

  1. キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバーからなる群より選択される1種またはそれ以上のバイオナノファイバーを穀物粉含有生地に配合することを特徴とする、強度が高められた穀物粉含有生地の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法により得られる、強度が高められた穀物粉含有生地。
  3. 請求項記載の穀物粉含有生地を用いることを特徴とする、穀物粉含有食品の製造方法。
  4. 請求項記載の方法により得られる穀物粉含有食品。
  5. 穀物が麦または米である請求項1記載の方法。
  6. 穀物が麦または米である請求項記載の生地。
  7. 穀物が麦または米である請求項記載の方法。
  8. 穀物が麦または米である請求項記載の食品。
  9. パンである請求項または記載の食品。
  10. 焼き菓子である請求項または記載の食品。
  11. 麺類である請求項または記載の食品。
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