JP5612922B2 - 微小繊維及びその製造方法並びに不織布 - Google Patents

微小繊維及びその製造方法並びに不織布 Download PDF

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Description

本発明は、ナノメータサイズであり、かつ均一な繊維径を有する微小繊維及びその製造方法並びに不織布に関する。
繊維径の小さい微小繊維は、各種添加剤、例えば、樹脂成形体の強度を向上させるためのフィラー、不織布状シートの強度を改善するための添加剤(強化剤又は紙力増強剤など)、濾過性能を向上させるための濾過助剤、食品添加物などに広く利用されている。特に、ナノメータサイズの微小繊維は、特異な挙動を示すとともに、フィラーとしての強度、濾過性、保水性なども向上できるため、各種の用途に有効に利用できる。しかし、極めて微細な繊維径であるため、その製造は困難であり、様々な方法が試みられている。
例えば、微小繊維状セルロースの製造方法として、セルロース繊維を叩解処理やホモジナイズ処理する方法などにより、繊維を分岐(フィブリル化)する方法が知られており、特公昭60−19921号公報(特許文献1)には、繊維状セルロースの懸濁液を少なくとも3000psiの圧力差で、高速度で、小径オリフィスを通過させて、次に、繊維状セルロースの懸濁液を器壁に衝突させて急速に減速させることにより切断作用を行わせる工程と、前記工程を繰返して前記セルロースの懸濁液が実質的に安定な懸濁液となるようにする工程とからなり、これらの工程により前記セルロースの出発材料に実質的な化学変化を起こさせないで前記セルロースを通常の微小繊維状セルロースに変換する微小繊維状セルロースの製造方法が開示されている。
しかし、この方法では、ナノメータサイズの微小繊維状セルロースを製造するのは困難であり、一部にナノメータサイズの繊維が得られても、ミクロンオーダーの繊維が多く混入し、ミクロンオーダーの繊維を含まず、平均径がナノメータサイズの繊維を製造するのは困難である。さらに、太い繊維が混入すると、用途によっては、フィラー強度が低下したり、フィルター特性が低下する。
また、特開2008−169497号公報(特許文献2)には、セルロース系の繊維原料を湿式で離解する離解工程と、離解された繊維原料を予備的に解繊して粗繊維化する予備解繊工程と、予備解繊された繊維原料に超音波を印加して微細繊維化する超音波処理工程とを備え、かつ前記超音波処理工程が終了するまでのいずれかの時点で、繊維原料に酵素を作用させるナノファイバーの製造方法が開示されている。
しかし、この方法でも、ミクロンオーダーの繊維を含まず、ナノメータサイズの繊維は得られていない。さらに、この方法では、取り扱いの難しい酵素を使用し、工程も複雑であるため、微小繊維の生産性が低い。
さらに、微小繊維で構成された不織布は、電池やコンデンサーなどのセパレータなどとしても利用されている。電池セパレータのうち、例えば、リチウム二次電池のセパレータには、電解液(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、ジメチルカーボネートなど)を保持し、電極間を絶縁するとともに、高温で融解して微細孔を閉塞し、イオン導電性を遮断する機能(シャットダウン)などが要求される。特に、近年は、二次電池の小型化や長寿命化に伴って、電池セパレータには高度な機能が要求されている。
特開2008−274525号公報(特許文献3)には、電池セパレータなどに利用され、微小セルロース繊維で構成された不織布として、目付が3〜12g/mであり、通気抵抗度が10〜600s/100ml以下であり、かつ引張強度が3〜20N/15mm以上であるセルロース不織布が開示されている。この文献には、微小セルロース繊維の製造方法として、原料繊維を水又は水と有機溶媒との混合溶媒に分散させた後に叩解処理する方法や、叩解処理後にさらに高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、グラインダー型微細化装置の少なくとも1つを用いて微細化する方法が記載されている。
また、特許第3805851号公報(特許文献4)には、正極活物質と負極活物質とをセパレータによって電子的に隔離した非水系電池において、前記セパレータが、繊維径1μm以下の微細なセルロースを原料として湿紙を製造し、この湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾燥させ、厚み15〜100μmとした非水系電池が開示されている。この文献には、微細なセルロースの製造方法として、叩解処理や高圧下での剪断などが記載されており、マイクロフィブリル化セルロースの繊維径について、一部に1μmを超える繊維が残存してもよいと記載されている。
しかし、これらのセルロース不織布では、微小繊維の繊維径が不均一であり、不織布の孔径も不均一であるため、電池セパレータとして利用した場合、電解液の保持力、電気絶縁性、シャットダウン機能が不充分であり、短絡し易い。
さらに、特開2010−97700号公報(特許文献5)には、非水電解液二次電池のセパレータとして、バクテリアセルロースなどの最大繊維径50nmよりも小さいセルロースナノ繊維で形成されたセパレータが開示されている。
しかし、このセパレータでは、セルロース繊維同士が水素結合により結合するため、孔径が小さすぎて、イオン導電性などの機能が十分でない。
特公昭60−19921号公報(請求項1) 特開2008−169497号公報(請求項1、実施例) 特開2008−274525号公報(特許請求の範囲) 特許第3805851号公報(特許請求の範囲、段落[0031]) 特開2010−97700号公報(特許請求の範囲、段落[0014][0015])
従って、本発明の目的は、ミクロンオーダーの繊維を含まず、平均繊維径がナノメータサイズで均一な繊維径を有する微小繊維及びその製造方法並びに前記微小繊維で構成された不織布を提供することにある。
本発明の他の目的は、簡便な方法により、ナノメータサイズの微小繊維状セルロースを製造できる方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、孔径が小さくて均一であり、電池やコンデンサなどの蓄電デバイスにおけるセパレータに適した不織布を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーでホモジナイズ処理することにより、ミクロンオーダーの繊維を含まず、平均繊維径がナノメータサイズで均一な繊維径を有する微小繊維が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の微小繊維の製造方法は、原料繊維を溶媒に分散させて分散液を調製する分散液調製工程、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーで前記分散液をホモジナイズ処理するホモジナイズ工程を含む。前記破砕型ホモバルブシートは、中空円盤状本体部と、この円盤状本体部の内壁から下流方向に延出する中空円筒状凸部とで構成され、かつ前記中空円筒状凸部の内壁には、下流側において、下流方向に対して内径が拡大するテーパー部が形成されていてもよい。前記破砕型ホモバルブシートにおける中空円筒状凸部の下流端の内径とリング状端面の厚みとの比は、前者/後者=100/1〜5/1程度であってもよい。前記微小繊維はセルロース系繊維であってもよい。
前記ホモジナイズ工程において、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、30〜200MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を5〜100回繰り返してもよい。なお、ホモジナイズ処理における圧送の圧力を高圧として処理回数を少なくしてもよく、例えば、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、60〜200MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を5〜50回繰り返してもよい。特に、非破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、30〜100MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を10〜40回繰り返した後、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、80〜150MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を10〜40回繰り返してもよい。一方、圧送の圧力を低圧として処理回数を多くしてもよく、例えば、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、30〜70MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を20〜80回繰り返してもよい。
前記分散液調製工程において、ネバードライパルプを水に分散させて分散液を調製してもよい。さらに、本発明の製造方法において、分散液をリファイナー処理するリファイナー工程を経た後、ホモジナイズ工程に供してもよい。
本発明には前記製造方法で得られた微小繊維も含まれる。この微小繊維は、平均繊維径が10〜100nmであり、かつ最大繊維径が1μm以下であってもよい。
さらに、本発明には、平均繊維径が15〜80nmであり、繊維径分布の標準偏差が100nm以下であり、かつ最大繊維径が500nm以下であるセルロース系繊維も含まれる。このセルロース系繊維は、木材繊維及び/又は種子毛繊維で構成されたパルプ由来であってもよい。このパルプはネバードライパルプであり、かつカッパー価が30以下であってもよい。前記セルロース系繊維の最大繊維径は60〜90nm程度であってもよい。
本発明には、前記繊維で構成された不織布も含まれる。この不織布は、平均孔径が100nm以下であり、かつ孔径分布の標準偏差が50nm以下であってもよい。この不織布は、電池、コンデンサー又はキャパシタのセパレータに適している。
本発明では、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーでホモジナイズ処理することにより、ミクロンオーダーの繊維を含まず、平均繊維径がナノメータサイズで均一な繊維径を有する微小繊維が得られる。特に、酵素など、取り扱い性の低い薬剤や、複雑な製造工程を経ることなく、簡便な方法により、ナノメータサイズの微小セルロース系繊維を製造できる。
図1は、ホモジナイザーを用いて繊維を含む分散液をホモジナイズ処理する工程を示す概略断面図である。 図2は、破砕型ホモバルブシートとホモバルブとの対向部分の拡大断面図である。 図3は、破砕型ホモバルブシートの斜視図である。 図4は、非破砕型ホモバルブシートの斜視図である。 図5は、実施例1で得られた微小繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 図6は、比較例1で得られた微小繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
[微小繊維の製造方法]
本発明の微小繊維の製造方法は、原料繊維を溶媒に分散させて分散液を調製する分散液調製工程、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーで前記分散液をホモジナイズ処理するホモジナイズ工程を含む。
(分散液調製工程)
原料繊維としては、通常、天然繊維(例えば、セルロース、シルク、羊毛繊維など)、再生繊維(例えば、タンパク質又はポリペプチド繊維、アルギン酸繊維など)、瀝青炭質繊維(ピッチ系繊維など)、合成繊維(熱硬化性樹脂繊維、熱可塑性樹脂繊維など)などの有機繊維が使用される。これらの有機繊維のうち、ホモジナイザーによるミクロフィブリル化が進行し易い点から、天然繊維、熱硬化性樹脂繊維(エポキシ系繊維、フェノール系繊維、不飽和ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリアミドイミド系繊維、ポリベンゾイミダゾール系繊維、ポリウレタン系繊維など)、熱可塑性樹脂繊維(ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリフェニレンオキシド系繊維、ポリフェニレンスルフィド系繊維、オレフィン系繊維、アクリル系繊維、脂肪酸ビニルエステル系繊維など)などが好ましく、セルロース系繊維が特に好ましい。
セルロース系繊維としては、β−1,4−グルカン構造を有する多糖類である限り、特に制限されず、高等植物由来のセルロース繊維[例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、ジン皮繊維(例えば、麻、コウゾ、ミツマタなど)、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)などの天然セルロース繊維(パルプ繊維)など]、動物由来のセルロース繊維(ホヤセルロースなど)、バクテリア由来のセルロース繊維、化学的に合成されたセルロース繊維[セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロースなど);カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロースなど);アルキルセルロース(メチルセルロース、エチルセルロースなど);再生セルロース(レーヨン、セロファンなど)などのセルロース誘導体など]などが挙げられる。なお、前記セルロース繊維は、用途に応じて、α−セルロース含有量の高い高純度セルロース、例えば、α−セルロース含有量70〜100重量%(例えば、95〜100重量%)、好ましくは98〜100重量%程度であってもよい。さらに、本発明では、リグニンやヘミセルロース含量の少ない高純度セルロースを使用することにより、木材繊維や種子毛繊維を使用しても、ナノメータサイズで、かつ均一な繊維径を有するセルロース繊維を調製できる。リグニンやヘミセルロース含量の少ないセルロース繊維としては、特に、カッパー価(κ価)が30以下(例えば、0〜30)、好ましくは0〜20、さらに好ましくは0〜10(特に0〜5)程度であってもよい。なお、カッパー価は、JIS P8211の「パルプ−カッパー価試験方法」に準拠した方法で測定できる。これらのセルロース系繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらのセルロース系繊維のうち、生産性などの点から、木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)や種子毛繊維(コットンリンターパルプなど)などのパルプが汎用され、パルプを用いる場合、パルプは、機械的方法で得られたパルプ(砕木パルプ、リファイナ・グランド・パルプ、サーモメカニカルパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプなど)、または化学的方法で得られたパルプ(クラフトパルプ、亜硫酸パルプなど)などであってもよく、必要に応じて叩解(予備叩解)処理された叩解繊維(叩解パルプなど)であってもよい。なお、セルロース系繊維は、慣用の精製処理、例えば、脱脂処理などが施された繊維(例えば、脱脂綿など)であってもよい。本発明では、原料繊維同士の絡まりを抑制し、ホモジナイズ処理による効率的なミクロフィブリル化を実現し、均一なナノメータサイズの微小繊維を得る観点から、ネバードライパルプ、すなわち乾燥履歴のないパルプ(乾燥することなく、湿潤状態を保持したパルプ)が特に好ましい。ネバードライパルプは、木材繊維及び/又は種子毛繊維で構成されたパルプであり、かつカッパー価が30以下(特に0〜10程度)のパルプであってもよい。このようなパルプは、木材繊維及び/又は種子毛繊維を塩素で漂白処理することにより調製してもよい。
原料繊維の平均繊維長は、例えば、0.01〜5mm、好ましくは0.03〜4mm、さらに好ましくは0.06〜3mm(特に、0.1〜2mm)程度であり、通常0.1〜5mm程度である。また、原料繊維の平均繊維径は、0.01〜500μm、好ましくは0.05〜400μm、さらに好ましくは0.1〜300μm(特に0.2〜250μm)程度である。
溶媒としては、原料繊維に化学的又は物理的損傷を与えない限り特に制限されず、例えば、水、有機溶媒[アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソプロパノールなどC1−4アルカノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジC1−4アルキルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル(環状C4−6エーテルなど))、エステル類(酢酸エチルなどアルカン酸エステル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのジC1−5アルキルケトン、シクロヘキサノンなどのC4−10シクロアルカノンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン系炭化水素類(塩化メチル、フッ化メチルなど)など]などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。また、これらの溶媒のうち、生産性、コストの点から、水が好適であり、必要により、水と水性有機溶媒(C1−4アルカノール、アセトンなど)との混合溶媒を用いてもよい。
ホモジナイズ処理に供する原料繊維は、溶媒中に少なくとも共存した状態であればよく、ホモジナイズ処理に先だって、原料繊維を溶媒中に分散(又は懸濁)させてもよい。分散は、例えば、慣用の分散機(超音波分散機、ホモディスパー、スリーワンモーターなど)などを用いて行ってもよい。なお、前記分散機は、機械的撹拌手段(撹拌棒、撹拌子など)を備えていてもよい。
原料繊維の溶媒中における濃度は、例えば、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%(特に0.5〜3重量%)程度であってもよい。
(ホモジナイズ工程)
ホモジナイズ工程について、図面を参照して説明する。図1は、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーで前記分散液をホモジナイズ処理する工程を示す概略図であり、図2は、破砕型ホモバルブシートとホモバルブとの対向部分の拡大断面図であり、図3は、破砕型ホモバルブシートの斜視図である。一方、図4は、非破砕型ホモバルブシートの斜視図である。
ホモジナイザーは、中空円筒状インパクトリング6と、このインパクトリング6の上流側に挿入して配設されたホモバルブシート2の中空円筒状凸部2bと、前記インパクトリング6の下流側に、前記中空円筒状凸部2bと対向して挿入された円柱状ホモバルブ5とを備えており、前記中空円筒状凸部2bと前記円柱状ホモバルブ5とは同じ外径を有している。また、中空円筒状凸部2bの下流側の内壁は、下流方向に向かって拡がるテーパー部(傾斜面)2dを有し、中空円筒状凸部2bの下流端は、内径d及び端面の厚みtを有する薄肉のリング状端面2cを形成している。さらに、このリング状端面2cと前記ホモバルブ5と前記インパクトリング6とで小径オリフィス(間隙)4を形成している。
本発明では、破砕型ホモバルブシート2を使用することが大きな特徴である。破砕型ホモバルブシート2は、内部に円筒状流路3を有する中空部材であり、流入口3aを有する中空円盤状本体部2aと、この円盤状本体部2aの内壁から下流方向に延出し、かつ流出口3bを有する中空円筒状凸部2bとで構成されている。さらに、破砕型ホモバルブシート2は、前述のように、内径が拡大するテーパー部2dを形成することにより、図4に示す一般的な(通常の)非破砕型ホモバルブシート12と比べて、流出口3bを形成するリング状端面2cの厚みを薄く形成している。
このようなホモジナイザーによるホモジナイズ処理では、図1に示すように、原料繊維1を含む分散液は、破砕型ホモバルブシート2の流入口3aからホモバルブシート内の流路3に流入し、流路3を通過した後、小径オリフィス4を通過して、微小繊維7を含む分散液となる。詳しくは、ホモジナイザーによる処理では、高圧でホモジナイザー内を圧送される原料繊維1が、狭い間隙である小径オリフィス4を通過する際に、小径オリフィス4の壁面(特にインパクトリング6の壁面)と衝突することにより、剪断応力又は切断作用を受けて分割され、均一なナノメータサイズの微小繊維7となる。特に、ホモバルブシート内の流路3を通過した分散液がホモバルブシート2とホモバルブ5とで形成された間隙を通過する際に、分散液の流速が急激に上昇するのに伴って、流速の上昇に反比例して分散液の圧送圧力が急激に低下する。そのため、分散液の圧力差を大きくでき、前記間隙を通過した分散液のキャビテーションが激しくなり、小径オリフィス4内での壁面との衝突力の上昇や気泡の崩壊により原料繊維1の均一なミクロフィブリル化を実現していると推測できる。
このようなミクロフィブリル化を効果的に行うために、破砕型ホモバルブシートの流出口を形成する壁部の端面の厚み(中空円筒状凸部の下流端のリング状端面)を薄くすることが重要であるが、具体的には、破砕型ホモバルブシートにおける中空円筒状凸部の下流端の内径dと、下流端のリング状端面の厚みtとの比を、前者/後者=100/1〜5/1、好ましくは80/1〜6/1(例えば、50/1〜8/1)、さらに好ましくは30/1〜10/1(特に20/1〜12/1)程度に調整する。両者の比率がこの範囲にあると、ホモバルブシートとホモバルブとの間隙を通過する分散液の圧力の急激な低下を実現でき、原料繊維をナノメータサイズで均一な繊維径に分割できる。流出口を形成する壁部の端面の厚みは、流出口の口径に応じて選択できるが、通常、0.01〜2mm、好ましくは0.05〜1.5mm、さらに好ましくは0.1〜1mm(特に0.2〜0.8mm)程度である。
小径オリフィスの間隔又はクリアランス(特に、ホモバルブシート凸部の端面とホモバルブとの間隔)は、例えば、5〜50μm、好ましくは10〜40μm、さらに好ましくは15〜35μm(特に20〜30μm)程度である。
このようなホモジナイザーにおいて、小径オリフィスを通過させるための圧力(又はホモジナイザーへ分散液を圧送する圧力(又は処理圧力))は、例えば、30〜200MPa程度の範囲から選択でき、好ましくは35〜150MPa、さらに好ましくは40〜140MPa程度であってもよい。本発明では、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーに対して、このような高い圧力で分散液を圧送することにより、ナノメータサイズの繊維径に分割できる。
また、小径オリフィスへの通過と壁面への衝突とを繰り返して行うことにより、前記原料繊維の微小化の程度を適宜調整することができる。小径オリフィスを通過させる処理回数(又はパス回数)は、例えば、5〜100回程度の範囲から選択でき、好ましくは、10〜80回、さらに好ましくは12〜60回程度であってもよい。
さらに、前記処理圧力は、処理回数に応じて選択してもよく、例えば、処理圧力が高圧処理(例えば、60〜200MPa、好ましくは80〜150MPa、さらに好ましくは100〜130MPa程度)の場合、処理回数は、例えば、5〜50回、好ましくは、10〜40回、さらに好ましくは12〜30回(特に、15〜25回)程度である。一方、処理圧力が低圧処理(例えば、20〜80MPa、好ましくは30〜70MPa、さらに好ましくは40〜60MPa程度)の場合、処理回数は、例えば、10〜100回、好ましくは、20〜80回、さらに好ましくは30〜70回(特に、40〜60回)程度である。
一般的にホモジナイズ処理において、処理圧力が高すぎたり、処理回数が多すぎると、繊維が大きな剪断力を受け、繊維の切断、ねじれなどが生じ、繊維の特性が失われたり、フィブリル化が進行し、繊維同士の強固な絡み合いが生じるため、繊維の分散性が低下し易い。これに対して、本発明では、破砕型ホモバルブシートを用いることにより、これらの問題を解消できる。特に、セルロース系繊維の場合、原料繊維として、ネバードライパルプを用いると効果的である。
ホモジナイズ工程では、非破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いたホモジナイズ処理を組み合わせてもよい。特に、前記破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーによるホモジナイズ処理(特に60MPa以上の高圧処理)の前工程(予備工程)として、非破砕型ホモジナイザーを備えたホモジナイザーを用いてホモジナイズ処理してもよい。ホモジナイズ工程において、非破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーで前処理することにより、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーでの処理効率を向上できる。
非破砕型ホモバルブシートでは、図4に示されるように、通常、ホモバルブシート12の中空円盤状本体部12aから延出する中空円筒状凸部12bの内壁にはテーパ部が形成されておらず、ホモバルブシートにおける中空円筒状凸部の下流端の内径と、下流端のリング状端面の厚みとの比は、通常、前者/後者=3/1〜1/1(特に2.5/1〜1.5/1)程度である。
非破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーにおいて、小径オリフィスを通過させるための圧力(又はホモジナイザーへ分散液を圧送する圧力(又は処理圧力))は、例えば、30〜100MPa、好ましくは35〜80MPa、さらに好ましくは40〜70MPa程度であってもよい。パス回数は、例えば、10〜40回、好ましくは12〜30回、さらに好ましくは15〜25回程度であってもよい。
(リファイナー工程)
本発明では、前記ホモジナイズ工程の前工程(予備工程)として、分散液をリファイナー処理してもよい。
リファイナー処理では、ディスクリファイナー(シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナーなど)を使用することができる。前記ディスクリファイナーのディスククリアランスは、0.1〜0.3mm、好ましくは0.12〜0.28mm、さらに好ましくは0.13〜0.25mm(例えば、0.14〜0.23mm)程度であってもよい。
ディスクの回転数は、特に制限されず、1,000〜10,000rpmの広い範囲から選択でき、例えば、1,000〜8,000rpm、好ましくは1,300〜6,000rpm、さらに好ましくは1,600〜4,000rpm程度であってもよい。
前記リファイナー処理では、処理回数(パス回数)は、1〜20回、好ましくは、2〜15回、さらに好ましくは3〜10回(例えば、4〜9回)程度であってもよい。
原料繊維の叩解処理の度合いは、ディスククリアランス及びリファイナー処理回数で調節することができる。ディスククリアランスが狭すぎたり、処理回数が多すぎると、原料繊維が大きな剪断力を受け、フィブリル化が進行し、ねじれや表面の荒れが生じ、繊維同士が絡まりやすくなり、リファイナー処理して得られたフィブリル化繊維の分散性が低下する。また、ディスククリアランスが広すぎると、原料繊維に加わる剪断力が小さくなり、未分割部分が残存する。
[微小繊維]
本発明の微小繊維は、均一なナノメータサイズであり、ミクロンオーダーサイズの繊維を実質的に含有しない。すなわち、本発明の微小繊維の平均繊維径は1μm未満(例えば、5〜500nm)であり、好ましくは10〜100nm(例えば、15〜80nm)、さらに好ましくは20〜60nm(特に25〜50nm)程度である。また、繊維径分布の標準偏差は、例えば、100nm以下(例えば、1〜100nm)、好ましくは3〜50nm、さらに好ましくは5〜40nm(特に10〜30nm)程度である。さらに、微小繊維の最大繊維径は1μm以下(例えば、20〜900nm)であり、例えば、500nm以下(例えば、20〜500nm)、好ましくは30〜300nm(例えば、40〜200nm)、さらに好ましくは50〜100nm(特に60〜90nm)程度である。
なお、本発明において、前記平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径は、電子顕微鏡写真に基づいて測定した繊維径(n=20程度)から算出した値である。
本発明の微小繊維の平均繊維長は、例えば、0.01〜3mm、好ましくは0.02〜2mm、さらに好ましくは0.03〜1.5mm(特に0.05〜1mm)程度である。平均繊維径に対する平均繊維長の比(平均繊維長/平均繊維径)は、例えば、1000〜10000、好ましくは1200〜8000、さらに好ましくは1500〜5000程度である。本発明の微小繊維は、ナノサイズの平均径を有するにも拘わらず、比較的長い繊維長の微小繊維である。
微小繊維(特に、微小セルロース系繊維)の脱水時間は、API規格の脱水量に関する試験方法に準拠して、0.5重量%濃度の微小繊維スラリーを用いて測定したとき、例えば、1000秒以上であり、好ましくは1200〜10000秒、さらに好ましくは1500〜8000秒(特に1800〜7000秒)程度である。脱水時間が大きいほど、平均繊維長/平均繊維径比の高い繊維形状となり、保水力が高く、繊維強化樹脂のフィラーやバインダーとして使用する場合は少量で大きな効果を得ることができる。
微小繊維(特に微小セルロース系繊維)は、前述のように、水に対する分散性が高く、安定な分散液(又は懸濁液)を形成することができる。例えば、微小セルロース系繊維を水に懸濁させて、2重量%濃度にした懸濁液の粘度は、3000mPa・s以上であり、好ましくは4000〜15000mPa・s、さらに好ましくは5000〜10000mPa・s程度である。粘度は、B型粘度計を用いて、ロータNo.4を使用し、60rpmの回転数で、25℃における見かけ粘度として測定される値である。なお、フィブリル化の程度が小さかったり、繊維径が大きいと、水への分散性が低下し、均一な懸濁液が得られず、粘度を測定することができない。
[不織布]
本発明の不織布は、前記微小繊維で構成されている。さらに、本発明の不織布は、前記微小繊維がナノサイズで均一であるため、不織布の孔径も小さくて均一であるという特徴を有している。不織布の平均孔径は100nm以下(例えば、1〜100nm)であり、例えば、10〜90nm、好ましくは20〜80nm、さらに好ましくは30〜70nm(特に40〜65nm)程度である。また、孔径の分布の標準偏差は50nm以下(例えば、1〜50nm、例えば、5〜40nm、好ましくは10〜35nm、さらに好ましくは15〜30nm(特に20〜25nm)程度である。
不織布の坪量は、用途に応じて適宜選択でき、電池やコンデンサーなどの蓄電デバイスのセパレータの場合、例えば、0.1〜50g/m、好ましくは1〜30g/m、さらに好ましくは2〜20g/m(特に3〜10g/m)程度である。
不織布の厚みは、用途に応じて適宜選択でき、電池やコンデンサーなどの蓄電デバイスのセパレータの場合、例えば、1〜50μm、好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは3〜20μm(特に5〜15μm)程度である。
本発明の不織布は、ナノサイズの繊維で構成されているにも拘わらず、均一な繊維径を有するため、機械的特性にも優れている。不織布の引張強度は、例えば、5N/15mm以上(例えば、5〜20N/15mm)であり、好ましくは5.5〜15N/15mm、さらに好ましくは6〜10N/15mm(特に6.5〜8N/15mm)程度である。
不織布の製造方法は、特に限定されず、慣用の方法、例えば、湿式抄紙又は乾式抄紙などの抄紙により製造できる。湿式抄紙は、慣用の方法で行うことができ、例えば、手抄き抄紙器や多孔板などを備えた湿式抄紙機などを用いて抄紙してもよい。乾式抄紙も、慣用の方法、例えば、エアレイド製法、カード製法などを用いて抄紙することができる。さらに、電池などの蓄電デバイスにおけるセパレータとして利用される場合、0.01〜0.5MPa(特に0.1〜0.3MPa)程度の圧力でプレス加工してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で得られた微小繊維の繊維径及び脱水時間は下記の手順に従って測定した。
[繊維径]
実施例及び比較例で得られた微小繊維について50000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、撮影した写真上において、写真を横切る任意の位置に2本の線を引き、線と交差する全ての繊維径をカウントして平均繊維径(n=20以上)を算出した。線の引き方は、線と交差する繊維の数が20以上となれば、特に限定されない。さらに、繊維径の測定値から、繊維径分布の標準偏差及び最大繊維径を求めた。なお、最大繊維径が1μmを超える微小繊維の場合には、5000倍のSEM写真を用いて算出した。
[脱水時間]
実施例及び比較例で得られた微小繊維をAPI規格の脱水量に関する試験方法に準拠して脱水時間を測定した。すなわち、微小繊維を固形分で4gとし、0.5重量%スラリー400gを調製した。このスラリーを直径76.2mm、高さ127.0mmの金属容器に投入し、0.7MPaの圧力を負荷し、スラリー内の保有水のうち、200mlが脱液されるまでの時間を測定した。
[平均孔径]
実施例及び比較例で得られた不織布を50000倍(比較例については繊維が太いので5000倍)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、最表面の孔径のみを50点抽出し、平均孔径を求めた。
[引張強度]
JIS P8113に準じて、実施例及び比較例で得られた不織布を幅15mm、長さ250mmの短冊状に裁断してサンプルとし、可変速引張試験機((株)東洋精機製作所製)により、チャック間隔100mm、引張速度20mm/分で、引張強度を測定した。引張強度の測定は、長さ方向(又は縦方向)について行った。
[保液性]
実施例及び比較例で得られた不織布を幅20mm、長さ100mmの短冊状に裁断してサンプルとし、このサンプルをプロピレンカーボネートに3分間浸漬し、軽く液を拭いた後にクリップで吊り下げて、24時間風乾した後の重量減少率を測定した。
実施例1
NBKPパルプ(丸住製紙(株)製、固形分約50重量%、カッパー価約0.3)を用いて、パルプを1重量%の割合で含有するスラリー液を100リットル調製した。次いで、ディスクリファイナー(長谷川鉄工(株)製、SUPERFIBRATER 400−TFS)を用いて、クリアランス0.15mm、ディスク回転数1750rpmとして10回叩解処理し、リファイナー処理品を得た。このリファイナー処理品を、通常の非破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=1.9/1)を備えた第1ホモジナイザー(ゴーリン社製、15M8AT)を用いて、処理圧50MPaで20回処理した。さらに、破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=16.8/1)を備えた第2ホモジナイザー(ニロソアビ社製、PANDA2K)を用いて、処理圧120MPaで20回処理した。得られた微小繊維のSEM写真(50000倍)を図5に示す。さらに、得られた微小繊維の平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径、平均繊維長、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)、脱水時間を表1に示す。
さらに、得られた微小繊維スラリーを0.2重量%に希釈し、減圧装置付き抄紙マシーン(東洋精機製作所(株)製「標準角型マシン」)を用いて、No.5C濾紙を濾布として抄紙を行った。得られた湿潤状態の湿紙の両面に、吸い取り紙としてNo.5C濾紙を重ね、0.2MPaの圧力で1分間プレスした。次いで、抄紙体を超音波処理しながらイソプロピルアルコールに10分間浸漬して溶媒置換した。さらに、新しいNo.5C濾紙で両面を挟み、0.2MPaの圧力で1分間プレスした。その後、表面温度が100℃に設定されたドラムドライヤ(熊谷理機工業(株)製)に貼り付けて120秒間乾燥した。得られた不織布の坪量、厚み、平均孔径、孔径分布の標準偏差、引張強度、保液性を表1に示す。
実施例2
NBKPパルプの代わりにアバカパルプ(東邦特殊パルプ(株)製)を用いる以外は実施例1と同様にして微小繊維を製造した。得られた微小繊維の平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径、平均繊維長、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)、脱水時間を表1に示す。さらに、実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の坪量、厚み、平均孔径、孔径分布の標準偏差、引張強度、保液性を表1に示す。
実施例3
溶解パルプ(日本製紙(株)製、NSPP2、乾燥パルプ、カッパー価約0)を用いて、パルプを1重量%の割合で含有するスラリー液を100リットル調製した。次いで、ディスクリファイナ(長谷川鉄工(株)製、SUPERFIBRATER 400−TFS)を用いて、クリアランス0.15mm、ディスク回転数1750rpmとして10回叩解処理し、リファイナー処理品を得た。このリファイナー処理品を、破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=16.8/1)を備えたホモジナイザー(ニロソアビ社製、PANDA)を用いて、処理圧120MPaで20回処理した。得られた微小繊維の平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径、平均繊維長、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)、脱水時間を表1に示す。さらに、実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の坪量、厚み、平均孔径、孔径分布の標準偏差、引張強度、保液性を表1に示す。
実施例4
リファイナー処理品を、2段階のホモジナイズ処理することなく、破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=16.8/1)を備えたホモジナイザー(ゴーリン社製、15M8AT)を用いて、処理圧50MPaで50回処理する以外は実施例1と同様にして微小繊維を製造した。得られた微小繊維の平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径、平均繊維長、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)、脱水時間を表1に示す。さらに、実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の坪量、厚み、平均孔径、孔径分布の標準偏差、引張強度、保液性を表1に示す。
実施例5
NBKPパルプの代わりにLBKPパルプ(丸住製紙(株)製、固形分約50重量%、カッパー価約0.3)を用いる以外は実施例4と同様にして微小繊維を製造した。得られた微小繊維の平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径、平均繊維長、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)、脱水時間を表1に示す。さらに、実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の坪量、厚み、平均孔径、孔径分布の標準偏差、引張強度、保液性を表1に示す。
実施例6
NBKPパルプの代わりにNUKPパルプ(兵庫パルプ(株)製、固形分約50重量%、カッパー価約35)を用いる以外は実施例4と同様にして微小繊維を製造した。得られた微小繊維の平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径、平均繊維長、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)、脱水時間を表1に示す。さらに、実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の坪量、厚み、平均孔径、孔径分布の標準偏差、引張強度、保液性を表1に示す。
比較例1
第2ホモジナイザーによる処理を行わない以外は実施例1と同様にして微小繊維を製造した。得られた微小繊維のSEM写真(5000倍)を図6に示す。得られた微小繊維の平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径、平均繊維長、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)、脱水時間を表1に示す。さらに、実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の坪量、厚み、平均孔径、孔径分布の標準偏差、引張強度、保液性を表1に示す。
比較例2
第1ホモジナイザーの処理回数を50回とし、かつ第2ホモジナイザーによる処理を行わない以外は実施例1と同様にして微小繊維を製造した。得られた微小繊維の平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径、平均繊維長、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)、脱水時間を表1に示す。さらに、実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の坪量、厚み、平均孔径、孔径分布の標準偏差、引張強度、保液性を表1に示す。
比較例3
第2ホモジナイザーの破砕型ホモバルブシートに代えて、通常の非破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=1.9/1)を用いる以外は実施例1と同様にして微小繊維を製造した。得られた微小繊維の平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径、平均繊維長、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)、脱水時間を表1に示す。さらに、実施例1と同様にして不織布を製造した。得られた不織布の坪量、厚み、平均孔径、孔径分布の標準偏差、引張強度、保液性を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、実施例の微小繊維は、均一なナノメータサイズの微小繊維状セルロースが得られ、水の保持力も高い。これに対して、比較例の微小繊維は、ナノメータサイズの繊維も得られてはいるものの、繊維径が大きく、ミクロンオーダーサイズの繊維も混入しており、水の保持力も低い。
さらに、実施例の不織布は、孔径が小さくて均一であり、引張強度及び保液性が高い。これに対して、比較例の不織布は、孔径が大きくて不均一であり、引張強度及び保液性が低い。
本発明の微小繊維は、樹脂成形体の強度を向上させるためのフィラー、不織布状シートの強度を改善するための添加剤(強化剤、紙力強化剤)、濾過材の濾過性能の向上させるための濾過助剤、医薬、化粧品、食品分野などにおける添加剤などに利用できる。なかでも、焼却が可能であり(特にセルロース繊維の場合など、生分解性も有し)、環境保全の面で優れる点から、ガラス繊維強化樹脂における代替繊維として、また均一な小孔径で高い空隙率の不織布が得られる点から、電池(リチウム電池、リチウム二次電池、燃料電池、アルカリ二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケル−カドミウム電池、鉛蓄電池など)やコンデンサー、キャパシタなどの蓄電デバイスにおけるセパレータとして有効に利用できる。
1…原料繊維
2…破砕型ホモバルブシート
3…破砕型ホモバルブシートの流路
4…小径オリフィス
5…ホモバルブ
6…インパクトリング
7…微小繊維
12…非破砕型ホモバルブシート

Claims (9)

  1. 原料繊維を溶媒に分散させて分散液を調製する分散液調製工程、前記分散液をリファイナー処理するリファイナー工程、リファイナー処理された分散液を、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーでホモジナイズ処理するホモジナイズ工程を含む微小繊維の製造方法であって、
    前記破砕型ホモバルブシートが、中空円盤状本体部と、この円盤状本体部の内壁から下流方向に延出する中空円筒状凸部とで構成され、かつ前記中空円筒状凸部の内壁には、下流側において、下流方向に対して内径が拡大するテーパー部が形成されており、かつ
    前記中空円筒状凸部の下流端の内径とリング状端面の厚みとの比が、前者/後者=100/1〜5/1である製造方法
  2. 微小繊維がセルロース系繊維である請求項1記載の製造方法。
  3. ホモジナイズ工程において、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、30〜200MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を5〜100回繰り返す請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、60〜200MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を5〜50回繰り返す請求項記載の製造方法。
  5. 非破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、30〜100MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を10〜40回繰り返した後、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、80〜150MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を10〜40回繰り返す請求項記載の製造方法。
  6. 破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーを用いて、30〜70MPaの圧力で分散液を圧送するホモジナイズ処理を20〜80回繰り返す請求項記載の製造方法。
  7. 分散液調製工程において、ネバードライパルプを水に分散させて分散液を調製する請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. 原料繊維が木材繊維及び/又は種子毛繊維で構成されたパルプである請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法
  9. パルプがネバードライパルプであり、かつカッパー価が30以下である請求項記載の製造方法
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