JP4628764B2 - 蓄電デバイス用セパレータ - Google Patents

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Description

本発明は、微細セルロース繊維の作る微細な網目構造からなる蓄電デバイス用セパレータに関するものである。
蓄電デバイスには主にニッケル・水素電池やリチウム2次イオン電池のように電池系のデバイスとアルミ電解コンデンサや電気2重層キャパシタのようにコンデンサー系のものとがある。従来、コンデンサー系デバイスの容量は、数pF(ピコファラッド)のオーダーから数mF(ミリファラッド)のオーダーの比較的小さな容量であったが、近年、電気2重層キャパシターのような大容量型コンデンサーが出現し、エネルギー密度の観点でも電池系デバイスに対し、遜色ないレベルにまで到達しつつある。この結果、大容量コンデンサーは、1)電気化学的反応を伴わないため繰り返し耐性に優れる、2)出力密度が高く、貯めた電気をいっきに出力することができる、という従来電池が持ち合わせていなかったコンデンサーならではの特徴を活かし、ハイブリッド自動車や燃料電池車のような次世代自動車用の搭載蓄電デバイスとして注目を浴びている。
当然のことながら、こうした蓄電デバイスはその用途に応じて適宜選択され、それぞれのデバイスに見合った分野で使用されてきた。その中でも上述した次世代自動車用の蓄電デバイスは、新たな大きな市場を期待することができる点で多くの研究者が開発に参入している。燃料電池車における燃料電池の開発はその最も顕著な分野と言える。こと次世代自動車用蓄電デバイスに関して言えば、自動車に搭載する蓄電デバイスという観点から、従来の用途では要求されなかった新たな性能(例えば、使用環境としての高温耐性,更なる高エネルギー密度等)が必要となるケースが多く、そのことによって蓄電デバイスを構成する部材レベルでの改善も積極的に行われている。
多くの蓄電デバイスにおける主要な部材の一つであるセパレータに関して言えば、蓄電デバイスの種類によって要求される性能も当然異なるものの、1)正負極間の部分的導通(ショート)の回避、2)電解液等の存在する使用環境下での長期に渡り化学的および物理的に安定であること、及び3)内部抵抗の低減化に寄与する低内部抵抗のセパレータというほぼデバイスによらず共通して問われる特性の他に、自動車用途に関しては、特に4)使用環境およびデバイス製造過程での耐熱性(例えば150℃での長期安定性)の保持という要求性能も加わる。
以上のセパレータに対する要求物性をセパレータの構造上の特徴と関連付けると次のようになる。まず1)を解決するにはできるだけ微細な孔をもち、かつ通気性のある膜が好ましく、2)の解決のためには、各種電解液に対して化学的・構造的に安定であること、3)の解決のためには、可能な限り高い高効率を有し、かつ電解液の浸液性に優れると同時にセパレータを介した通液性にも優れること、そして4)の解決のためにはセパレータが本質的に耐熱性の材質から構成されていることがそれぞれ必要となる。
これらの課題を解決すべくセパレータの開発として種々の検討がなされ、報告されているが、その代表的な例として、例えば、特開2002−266281号公報において、熱分解温度が250℃以上で繊維径が1μm以下の液晶性高分子繊維から成る高空孔率のセパレータが開示されている。該発明において、液晶性高分子繊維とは具体的には全芳香族ポリアミド繊維や全芳香族ポリエステル繊維を意味するが、これらの材料の規定されているような微小径の繊維原料は決して汎用的な材料とは言えず、また、これらの高分子材料はベンゼン環骨格の存在によりいずれも疎水性が高いため、通常極性溶媒である電解液の含浸性の点でも問題がある。
多くの電解液に対し含浸性の面で優れた表面特性を有するセルロース系セパレータに関しても数多くの発明がなされている(例えば、特開平9−129509号公報、特開平10−125560号公報、特開平10−140493号公報)。例えば、特開平10−125560号公報においては、主に酢酸菌により生産される微細繊維であるバクテリアセルロースの静置培養ゲルを有機溶媒により置換して得た微多孔質のセルロース系セパレータに関する発明が開示されている。しかしながら、該発明においては、上述した1)−4)の課題を解決するための構成要件に関する記載及び効果の点で説明の具体性を欠いており、発明は未完成のままであった。すなわち、上述した4つの課題をすべて満足するセパレータを現実的な方法で提供できる技術は確立されていないのが現状であった。
上述の状況を鑑み、本発明の課題は、耐ショート性及び化学的・物理的安定性に優れ、デバイスとしての低内部抵抗化を実現し、さらに耐熱性に優れた蓄電デバイス用のセパレータを提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討し、微細セルロース繊維からな微多孔性でかつ高空孔率のセルロース不織布であって、かつ不純物含有濃度が極めて少ないセルロース不織布が上述した課題を解決できる優れた特性を有しており、蓄電デバイス用セパレータとして極めて高い性能を有することを見出した。また、微細セルロース腺維の中でも、高結晶性の微細セルロース繊維(例えばセルロース生産菌が生産するバクテリアセルロースのような微細セルロース繊維)で構成されるセパレータでは特に高い耐熱性を有しており、蓄電デバイス用セパレータとして最適であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明により
(1)最大繊維太さが1000nm以下であるセルロース繊維からなり、通気度が5sec/100cc以上700sec/100cc以下であるセパレータであって、該セパレータに0.8mol/Lテトラエチルアンモニウム・BF4塩/プロピレンカーボネート溶液を含浸させた状態での膜の交流2端子法によって算出される20℃における電気抵抗値が1.0Ωcm2以下であることを特徴とする蓄電デバイス用セパレータ;
(2)固体NMR法によって求められる結晶化度が60%以上であり、最大繊維太さが1000nm以下であるセルロース繊維からなり、通気度が5sec/100cc以上700sec/100cc以下であるセパレータであって、該セパレータ中の窒素含有濃度が0.4重量%以下であり、かつ該セパレータ10gを100gの水に4℃にて浸漬後24時間経た際の接触水の水中遊離総有機炭素濃度(TOC)が60ppm以下である蓄電デバイス用セパレータ;
(3)セパレータ中の塩素イオン含有濃度が40ppm以下である上記(1)又は(2)に記載の蓄電デバイス用セパレータ;
(4)膜厚が5μm以上50μm以下であり、かつ空孔率が60%以上90%以下である上記(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用セパレータ;
(5)バブルポイント法により得られる最大孔径が0.03μm以上0.25μm以下である上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用セパレータ;
(6)セルロース繊維がバクテリアセルロースである上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用セパレータ;
(7)抄紙法または塗布法によって得られる蓄電デバイス用セパレータであって、以下の式(1):
H=Tr,sd/Tr,av (1)
(ただし、Tr,sd及びTr,avは、それぞれ、乾燥膜に対し垂直に850nmの波長の光を照射した際の透過率を膜面に沿って直線方向に40μmごとに合計30000μm(データ点数:750点)の長さ分採取したときの全の平均値及び標準偏差を意味する)
で定義されるセパレータの不均一性パラメータHの範囲が0.2以下である上記(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用セパレータ;
(8)電気2重層キャパシタ用の上記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用セパレータ;
(9)上記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用セパレータを含む電気2重層キャパシタ;及び
(10)上記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用セパレータを含むリチウム2次イオン電池
が提供される。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、耐ショート性、耐熱性、及び化学的・物理的安定性に優れており、これを使用した蓄電デバイスは優れた電気特性(低内部抵抗化,小さな漏れ電流値等)を実現することができる。
本発明は、これまでに提案されている蓄電デバイス用セパレータに比べて、主に低内部抵抗化の点で優位性を有し、同時に、耐ショート性及び化学的・物理的安定性に優れた高耐熱性の蓄電デバイス用セパレータに関する。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、最大繊維太さが1000nm以下である微細セルロース繊維からなり、通気度が5sec/100cc以上700sec/100cc以下であるセパレータであって、該セパレータに0.8mol/Lテトラエチルアンモニウム・BF4塩/プロピレンカーボネート溶液を含浸させた状態での膜の交流2端子法によって算出される20℃における電気抵抗値が1.0Ωcm2以下であることを特徴としている。上記で規定した電気抵抗値が1.0Ωcm2以下となるためには、セパレータが微細セルロース繊維から構成されており(すなわち不織布で構成されており)、かつセパレーターが微細かつ通気性のある微多孔構造を有することが必要である。その理由を以下に示す。
蓄電デバイスにおいて低内部抵抗化を追求すると、理想的にはセパレータがない、すなわちセパレータの存在する空間が電解液で満たされた状態が望まれる。これは、電解液に対して、元来非導電性固体であるセパレータの構成材料が極めて高い電気的抵抗を有するためである。しかし、それではショート性に問題が生じるため、空孔率ができるだけ高い、すなわち、電解液で置換できる空間ができるだけ多いセパレータが必要となる。
セパレータの種類として、本発明のように不織布系のセパレータと微多孔膜(一般的には膜を多孔化したもの)系のセパレータが考えられるが、本発明者は、同程度の貫通孔サイズと同程度の空孔率を仮定した場合に特にセルロース系の不織布が望ましいことを見出した。材質としてセルロースが望ましい理由は、セルロースが両親媒性の表面特性を有し(例えば、H. Ono et al., Trans. Mat. Res. Soc. Jpn., 26, 569-572 (2001))、多くの蓄電デバイスで使用される水系電解液あるいは有機系電解液に対する濡れ性が極めて良好であるからである。実際、アルミ電解コンデンサや鉛蓄電池用のセパレータとしてセルロース不織布(紙)が使用されている。また、微多孔膜に対し不織布系膜が優れる理由は、前者がオープンポア(貫通孔あるいは孔の両側が貫通孔に通じている孔)の他にクローズドポア(孔の片側が貫通孔に通じていない孔)が共存するのに対し、後者では構造上、ほぼオープンポアのみから構成され、表面濡れ性が良い場合には、空孔のほとんどが電解液で占められる状態を作ることができるためである。クローズドポアの存在する微多孔膜では、特に孔径が小さくなると、表面張力等種々の理由により電解液を含浸させた状態でも空孔が存在する。基本的に空気等の気相は電解液に比べ高い抵抗値を有するため、クローズドポアの存在は内部抵抗を低減させるのを阻害する。
さらに内部抵抗を低減させるのに必要な要素はセパレータの膜厚を薄くすることであるが、通常の繊維(細いものでも繊維径は数μm以上)では不織布の膜厚を薄くするのに限界がある。何故ならば、比較的太い繊維で薄くて空孔率が高いセパレータを作ろうとすると貫通孔径は大きくなってしまい、耐ショート性に問題が生じるためである。逆に言えば、内部抵抗の低減化に寄与する薄い不織布系膜を高空孔率かつ微小な貫通孔径で提供しようとすると微小な繊維径を有するセルロース繊維を使用することが必須条件となる。
以下、本発明の蓄電デバイス用セパレータの条件について詳細に説明する。
まず本発明の蓄電デバイス用セパレータを構成する微細セルロース繊維について説明する。本発明においては、微細セルロース繊維の最大繊維太さが1000nm以下であることが必要である。ここで、最大繊維太さが1000nm以下であるとは、以下の条件で測定されるセルロース不織布の電子顕微鏡(SEM)において、画像上で1000nmの繊維径を超える繊維が全く確認できないことを意味する。
セパレータの表面SEM画像を1万倍相当の倍率にて採取し、この画像中に含まれるいずれの交絡繊維についても繊維径が1000nm以下であり、かつ同様にキャスト表面の任意の部分を同一条件のSEM画像で観察し、合計100本以上の繊維について同じように1000nmの繊維径を超える繊維が確認できない場合、最大繊維径が1000nm以下であると定義する。ただし、画像において数本の微細繊維が多束化して1000nm以上の繊維径となっていることが明確に確認できる場合には1000nm以上の繊維径をもつ繊維とはしないものとする。このような測定の一例を図1に示す。図1はエントロバクター族に類するCJF002菌によって産生されたバクテリアセルロースを用いて得られる本発明の蓄電デバイス用セパレータのSEM画像の例である。明らかに図中に示した400nmの基準バーを越える繊維径のものは存在しておらず、セパレータが本発明で規定される蓄電デバイス用セパレータの条件を満足していると結論できる。
蓄電デバイス用セパレータのSEM画像中に確認される微細セルロース繊維の最大繊維径は、好ましくは400nm以下、さらに好ましくは150nm以下である。この繊維径を選択することにより、均一な厚み分布をもつセパレータを好適に提供することができる。セルロースの繊維径が1000nmを超える繊維が含まれると、上述した微細繊維による微多孔構造の耐ショート性により薄膜化を追求するという本発明の目的の一つにそぐわなくなるため、好ましくない場合がある。
セルロースの最大繊維径が1000nmを越えない材料としては、パルプ等の天然セルロース繊維や各種再生セルロース繊維(天然セルロースを溶媒に溶解させ紡糸して得られた繊維)をフィブリル化処理して微細化処理したものも存在するが、結晶化度の観点からは、セルロース生産菌(バクテリア)の作る前述したバクテリアセルロース(BC)や精製リンター、ホヤセルロースのような天然セルロース繊維であることが好ましい。
特にBCの具体例としては、アセトバクター・キシリナム・サブスピーシーズ・シュクロファーメンタ(Acetobacter xylinum subsp.sucrofermentans )、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum )ATCC23768、アセトバクター・キシリナムATCC23769、アセトバクター・パスツリアヌス(A. pasteurianus )ATCC10245、アセトバクター・キシリナムATCC14851、アセトバクター・キシリナムATCC11142及びアセトバクターキシリナムATCC10821等の酢酸菌(アセトバクター属)、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズーグレア属、さらには、例えばCJF002株のようにエンテロバクター属またはクリューベラ属に属する菌株並びにそれらをNTG(ニトロソグアニジン)等を用いる公知の方法によって変異処理することにより創製される各種変異株を培養することにより生産されるセルロースを挙げることができる。これらの他にも、例えばホヤ貝あるいは海藻類であるシオグサやバロニアに含まれる高結晶性のセルロースや精製リンターのような高結晶性セルロース原料を微細化処理して最大繊維径が1000nmを越えないように加工したものも本発明のセパレータの製造用原料として使用し得る。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、通気度が5s/100cc以上700s/100cc以下の範囲であることを特徴としている。通気度は、例えば、いわゆるガーレー式デンソメーターを用いて測定できる。通常の繊維径(すなわち繊維太さが数μm以上)をもつ繊維からなる不織布の通気度は5s/100cc以下であることが多いので、本発明の不織布は従来の不織布製品よりも通気抵抗は高い(通気性は悪い)、言い換えれば、平均孔径が小さいと言える。該通気度範囲の条件を満たした場合の貫通孔径は、おおむね0.02μm〜1μm程度の微多孔膜に該当する。このことは、例えば、図1の画像で確認できる空孔部(黒色部分)の大きさが明らかに1μm以下(白色丸印)であることからも確証できる。通気度が5s/100ccより低いと耐ショート性と強度の面で問題が生じ、セパレータとしての機能を発現しなくなる場合がある。また、700s/100ccを超える場合には、空孔率が著しく低下するか、あるいは膜厚が非常に大きくなり、いずれも上述したように内部抵抗を高める効果として作用するため、本発明のセパレータとしては好ましくない。
本発明のセパレータは、0.8mol/Lテトラエチルアンモニウム・BF4塩/プロピレンカーボネート溶液を含浸させた状態でのセパレータの交流2端子法によって算出される20℃における抵抗値が1.0Ωcm2以下であることが必要である。ここで、テトラエチルアンモニウム・BF4塩/プロピレンカーボネート溶液は電気2重層キャパシタの代表的な電解液であり、セパレータの材質によって異なるセパレータ内部への電解液の含浸状態、セパレータの内部構造(孔径や空孔率)を総合的に表現できる物性値を測定するために好ましく用いられる電解液である。なお、デバイスによっては上記溶液とは異なった電解液を用いることもあるが、上述したようにセルロースは極めて広範な溶媒に対して優れた濡れ性を有することから、本発明で規定される条件を満足するセパレータは、他の電解液を用いた蓄電デバイスにおいても本発明の種々の効果を十分に奏することができる。
以下の手順に従ってセパレータの電解液含浸状態での電気抵抗値を算出することができる。まず、電解液を含浸させたφ20mmの試料膜を2枚のφ16mm、厚さ0.2mmの白金板電極(田中貴金属販売(株)、PTエンバン:16MMD*0.2T3N)の間に設置した後、膜厚方向に対して0.2MPaの一軸加圧を課した状態で密閉する。次に、LCRハイテスタ(HIOKI-3520、日置電機(株))を用いて、室温のもと、印加電圧0.1V、100KHzから40Hzの範囲で交流2端子法によるインピーダンス測定を行い、各周波数における複素インピーダンス|Z|(Ω)と位相差Φ(°)を求める。横軸に実部インピーダンス|Z|CosΦ、縦軸に虚部インピーダンスのマイナス値−|Z|SinΦをとったナイキストプロットを作成し、図2のように想定したセパレータ実抵抗値RS(Ω)、コンスタントフェーズパラメータCPE、電解液/電極間の電気二重層容量C(F)、セパレータ/電極間接触抵抗Rb(Ω)より構成される等価回路から計算される理論プロットとの間で最小二乗法によるフィッティングを行い、セパレータの実抵抗RSを得る。なお、コンスタントフェーズパラメータCPEは、CPE−T(F)およびCPE−P(−)の2つのパラメータにより以下(2)式のように定義され、インピーダンスに対して電極もしくはセパレータの表面粗さに起因する抵抗または容量を反映する成分とする。
|Z|=1/[(CPE−T)×(iw)^(CPE−P)] (2)
得られた実抵抗RS(Ω)と電極面積S(cm2)から、(3)式により単位面積あたりの抵抗を求め、これをセパレータの電気抵抗値、RSS(Ω)とする。
SS=RS×S(cm2) (3)
本発明のセパレータでは、(3)式によって求められる20℃でのセパレータの電気抵抗RSSが、1.0Ωcm2以下、好ましくは0.90Ωcm2以下、さらに好ましくは0.80Ωcm2以下であり、これにより本発明のデバイスとしての低内部抵抗化が達成される。抵抗値が1.0Ωcm2より大きいと低内部抵抗化の効果が十分に達成できない場合がある。
本発明の別の態様のセパレータでは、固体NMR法によって求められる結晶化度が60%以上であり、最大繊維太さが1000nm以下である微細セルロース繊維からなり、通気度が5sec/100cc以上700sec/100cc以下であるセパレータであって、該セパレータ中の窒素含有濃度が0.4重量%以下であり、かつ該セパレータ10gを100gの水に4℃にて浸漬後24時間経た際の接触水の水中遊離総有機炭素濃度(TOC)が、60ppm以下である。この特性を有するセパレーターは、特に従来のセルロース系セパレータよりも耐熱性の点で優れている。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは固体NMR法によって求められる結晶化度が60%以上であることが必要であり、これにより、従来のセルロース系セパレータよりも耐熱性の点で優れるという効果が達成される。ここで言う固体NMR法とは、13C核に関する固体高分解能NMR(CP/MAS法)によって得られるスペクトルのピーク強度比から結晶化度を算出する方法を意味する。より具体的には、スペクトル(標準物質としてグリシンの炭素ピークを176ppmと設定)中の80ppm−90ppm付近に現れるセルロース分子鎖骨格のC4位に帰属される2種のピーク(群)の強度比によって以下のように定義される。
結晶化度(%)=100×ピーク1の面積/((ピーク1の面積)+(ピーク2の面積) (4)
ここで、ピーク1とはスペクトル中の89ppmに中心をもつピークを意味し、文献(“Cellulose−Structural and Functional Aspects, Editted by J.F.Kennedy, G.O.Philips and P.A.Williams, John Wiley & Sons, K.Kowsaka, K.Okajima and K.Kamide, p87−92, 1989”)にあるように、結晶領域に高密度で存在するC4−O3−H・・・O5’の水素結合に関与しているC4炭素に帰属される。ピーク2は84ppmに中心をもつピークを意味し、上記の水素結合様式に関与しないC4炭素と帰属されており、これは主に非結晶領域に存在するものである。
NMRスペクトルは、例えば、BRUKER社製の高分解能NMRスペクトロメーター(MSL−400)を使用し、7mmΦの専用サンプル管を使用し、回転数;3000Hz、観測周波数;100.6MHz、パルス幅;6.2μs、待ち時間;5s、コンタクトタイム;1ms、積算回数;1500回以上とし、室温にて測定を行うことができる。ピーク強度比はピーク分離法により行うことができる。本発明のセパレータのスペクトルおよびピーク強度解析の例を図3に示した。
本発明のセパレータでは、上述の方法で求めた結晶化度が60%以上、好ましくは65%、さらに好ましくは70%以上であり、これにより従来のセルロース系セパレータに比べて高い耐熱性を達成できる。結晶化度が60%より低いと汎用的に使用されるセルロース原料である再生セルロース系繊維や木材パルプを用いた場合に比べて明確な耐熱性の改善が期待できない場合がある。
本発明のセパレータでは、セパレータが高結晶化度の微細セルロース繊維からなり、かつセルロースの純度が高純度であることも要求される。具体的には、該成形体中の窒素含有濃度が0.4%以下であり、かつ該成形体10gを100gの水に4℃にて浸漬後24時間経た際の接触水の水中遊離総有機炭素濃度(TOC)が、60ppm以下であることが必要である。ここで、窒素含有濃度およびTOCは、それぞれ、本発明の蓄電デバイス用セパレータ中に製造の過程で混入し易いタンパク質由来の化合物(窒素含有濃度の増大に寄与)および水溶性多糖の不純物(TOCの増大に寄与)の含有量の尺度となる指標である。より具体的には、本発明のセパレータを構成する微細セルロース繊維の主な製造過程で使用する各種微生物(菌)由来のタンパク質あるいは該微生物による培養過程で副生成物として生成し得る水溶性の多糖類等を意味する。
本発明のセパレータ中の窒素含有濃度は元素分析法により測定でき、例えば、微量窒素元素の検出に適したケルダール法(「分析化学実験ハンドブック」日本分析化学会編,丸善(株),1987,p601)により行うことができる。なお、セパレータ中の窒素含有濃度は当然低いほど好ましいが、好ましくは0.2重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下であり、これにより後述の耐熱程度がより向上する。0.4重量%を超えると、特にタンパク質ないしはその分解物の存在により耐熱性が著しく阻害されるので不適切である。
TOCの評価方法は、例えば、蓄電デバイス用セパレータを水に浸液させた後にブレンダーのような分散能の高い分散機でいったんばらばらに分散させた後、4℃で24時間静置し、その後、遠心脱水機により水相成分(接触水)を分離、回収することにより行うことができる。TOC評価のためのサンプル調製の一連の操作においては、不純物濃度が極めて少ない超純水を用いるべきである。TOCの測定は、全炭素検出量(TC)と無機体検出量(IC)を各々、非分散形赤外ガス分析計によって測定し、その差をもってTOCとする2チャンネル方式の手法(「5訂 公害防止の技術と法規 水質編」,通商産業省環境立地局監修,丸善,1995,p409)に基づいている。該TOCの値は好ましくは40ppm以下、さらに好ましくは25ppm以下であり、これにより後述の耐熱程度が著しく向上する。
例えば、微生物によるセルロース培養系では、特願2002−380990号明細書に記載されているように、副次的な生産物として水溶性の多糖類を産生することが多い。本発明者らは、該多糖類がセルロースと比べて耐熱性が極めて低く、該多糖類が不純物として多量に含まれるとセルロース成形体が耐熱性に劣ること、具体的には160℃以上での変色性や強度低下を伴うことを見出した。例えば、前述したCJF002菌による培養では、前述の特願2002−380990号明細書に開示されているように、D-glucuronic acid、D-galactose、D-glucose、L-fucoseの主に4つの糖ユニットから構成される多糖類を産生するが、その分子鎖骨格はグルコースの重合体であるセルロースと類似の化学構造を有するので、水素結合等を介した相互作用のために該多糖類は除去し難いものと考えられるが、上述したように念入りな精製工程を実施することにより、本発明の条件を満たす蓄電デバイス用セパレータを製造することが可能となる。該TOCが60ppmを超えると、水溶性多糖ないしはセルロースよりも耐熱性の低い有機化合物成分の存在により耐熱性が著しく阻害されるので不適切である。
本発明の蓄電デバイス用セパレータではセルロースが高純度である必要があり、これにより従来のセルロース系セパレータに比べて耐熱性の面で優れた性質が達成できる。このような特徴を有する本発明のセパレータを製造するためには、培養等により得られる天然由来の高結晶性の微細セルロース繊維を徹底的に洗浄・精製する必要がある。例えば、前述した酢酸菌系やエンテロバクター族CJF菌を用いた培養法により微細セルロース繊維を製造する場合には、高温で殺菌するだけでは不十分であり、培養後に残存する菌類を完全に除去するために、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の濃度が0.1重量%〜15重量%程度のアルカリ水溶液中へ分散、洗浄することが好ましく、これにより完璧な除菌を行うことが望ましい。この場合、オートクレーブ装置等により80℃〜160℃の温度で数分間〜数時間加熱処理を行うことにより、菌の分解が効率的に進行し、アルカリ水溶液相に溶解して洗浄工程で除去し易くなるので好ましい。さらに、次亜塩素酸ソーダや過酸化水素などの漂白処理、リゾチームなどの蛋白分解酵素処理、ラウリル硫酸ソーダやデオキシコール酸などの界面活性剤処理なども有効である。
室温あるいは冷却環境下で得られた菌分解物を含む微細セルロース繊維の分散体またはゲル(静置培養の場合)を脱水し、引き続き水洗および脱水を繰り返して行うこともできる。上述した水溶性多糖は低温溶解性を示すことが多いため、これを除くためには冷水による洗浄が特に効果的である。また、洗浄の効率を高めるためには、各脱水(圧搾)工程において固形分濃度ができるだけ高くなるように設計することができ、これによって各段で効率的に不純物を系外に排出できるので好都合である。この目的のためには、例えば富国工業(株)製のスクリュープレス脱水機のような脱水装置を用いると特に有効であるが、これに限定されるのもではない。また、攪拌培養により得られた微細セルロース繊維の精製においては、脱水後の水への再分散時に、例えばホモミキサーによる分散のようにできるだけ高度な分散処理をし、微細セルロース繊維表面に付着した不純物類を効率的に除去することも効果的である。
以上のように、攪拌培養により微細セルロース繊維を調製する場合にはできるだけ高純度の微細セルロース繊維の水分散体(ウェットケーク)を調製し、これを原料として抄紙法または塗布法によって本発明のセパレータを製造することができる。また、静置培養の場合には、これを精製の過程でばらばらに分散(すなわち解繊)してもよいし、静置培養によって得られるゲルを洗浄後、そのまま乾燥させてセパレータとしてもよい。特に後者の場合には、念入りに精製を行なうことが重要である。
これらの結果、最終的に得られたセパレータ中のN元素含率が0.4重量%以下であり、かつ該セパレータ10gを100gの水に4℃にて浸漬後24時間経た際の接触水のTOCが60ppm以下となるように製造方法をコントロールすることにより、本発明の耐熱性に優れた蓄電デバイス用セパレータを得ることが可能となる。
さらに本発明の蓄電デバイス用セパレータにおいては、含有金属イオン量の一つの尺度となる塩素イオン含有濃度が40ppm以下が好ましい。塩素イオン含有濃度が40ppm以下であると、Na,Ca等の金属イオン類も相対的に低い濃度で含まれることとなり、その結果、セパレータの耐熱性および該セパレータが組み込まれた蓄電デバイスの電気特性の阻害を抑制することができるためである。さらに好ましくは30ppm以下、最も好ましくは25ppm以下であると、より好適に耐熱性が発現される。塩素イオン濃度の評価はイオンクロマトグラフィー法で行うことができる。
上述した高結晶性の微細セルロース繊維からなる高純度の蓄電デバイス用セパレータは、従来のセルロース含有セパレータと比べて、耐熱性の面で明確な優位性を有する。より具体的には、本発明のセパレータは、該成形体を大気下180℃で72時間保持する熱処理した際の熱処理前後の該成形体における、次式:
Δb* = (熱処理後のb*)−(熱処理前のb*) (5)
で定義される色彩パラメータb*の差Δb*が6.0以下、好適な場合には3.0以下であり、極めて高温加熱環境下での変色度合いが少ない。ここで、色彩度パラメータb*はJIS Z 8730(色差表示方法)にて制定されているL*a*b*表色系色度図における座標軸の一つであり、b*の正方向は黄色の彩度が増大することを意味する。すなわち、加熱環境下でΔb*の値が小さいことは、黄変に象徴される熱劣化の程度が小さいことを意味する。本発明による検討の結果、パルプによって作られる従来の紙等ではΔb*の値は10以上であり、見た目にも明確に黄変してしまうことが確認された。黄変は明らかにセルロースの酸化劣化によるものであり、実際、本発明の実施例に示すようにΔb*の値が10以上を示す黄変したセパレータは強度的にも極めて脆いことが確認され、Δb*の大小は加熱後の強度の劣化等物性面での劣化の程度を反映したものである。
b*の評価は、例えば、サカタインクス(株)製のマクベス分光光度計Color−Eye3000型(標準色彩管理システムver.5.1)を使用し、C光源を用い、視野角2°で行うことができる。薄いセパレータの評価においても、特に標準白板をセパレータの裏面に当てる等のことをせずに、上記装置のサンプルホルダーにセパレータをそのままはさんで評価を行うことができる。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、上述したように微細セルロース繊維をシート状に加工して得ることができるが、加工上および機能上の制約により実質的に膜厚が5μm以上50μm以下であり、かつ空孔率が60%以上90%以下の範囲であることが好ましい。ここで、膜厚の測定は、Mitutoyo(株)製の膜厚計(Code; 547−401)を用い、セパレータから3.0cm×3.0cmの正方形片を切り取り種々な位置について5点の測定値の平均値を膜厚d(μm)とすることができる。また、膜厚の測定で切り取った3.0cm×3.0cmの正方形片の膜厚d(μm)と、その重さW(g)から、以下の式を用いて膜の空孔率Pr(%)を算出することができる。
r=(d−W×7.46×102)×100/d (6)
本発明のセパレータでは、さらに好ましくは、膜厚が10μm以上30μm以下であり、かつ空孔率が75%以上90%以下の範囲である。膜厚と空孔率が上記の範囲であると、低内部抵抗等の電気特性(機能面)やセパレータを捲回してデバイスを組み立てる際の取り扱い性が極めて良好なセパレータとなる。厚みが5μmより薄いとデバイス組み立て工程において取り扱い難くなり不適切な場合がある。また、厚みが50μmよりも大きいと、低内部抵抗化等の望ましい効果が期待できなくなることもある。空孔率の範囲に関しては、60%より低いと上述したように低内部抵抗化が期待できない場合があり、90%より高いとセパレータの強度が捲回等に耐えられないレベルにまで低下する場合がある。
本発明のセパレータでは、バブルポイント法により得られる最大孔径が0.03μm以上0.25μm以下であることが好ましい。最大孔径D(μm)は、バブルポイント法(H. Bechbhold, Z.Physik., Chem., 64, 328 (1908))に基づき、湿潤液体として表面張力γが9から24mN/mのフロンないしアルコールを使用して、湿潤曲線について印可圧力及び空気透過量の測定を昇圧モードで行い、得られた湿潤曲線における最初のバブルが発生した圧力P(Pa)から、次式により求めることができる。
D=2860×γ/P (7)
本発明の蓄電デバイス用セパレータにおいては、さらに好ましくは、最大孔径が0.06μm以上0.20μm以下であり、この最大孔径が該範囲にあることにより耐ショート性と上述した高空孔率を好適に両立することができる。最大孔径が0.03μm以下の不織布では実質的に通気性が悪く、先に規定した通気性の範囲を満たさないので好ましくなく、また、最大孔径が0.25μmを超えると、デバイスによっては内部抵抗の低い、薄いセパレータを設定した際の耐ショート性に問題が生じるようになり、やはり不適切である。特にセルロース繊維としてBCを使用した場合にはリボン状の形状を持つBCのセパレータ膜内での配置において、リボンの扁平面が膜面と平行に並んで不織布を形成するため、膜断面の貫通孔の構造は直線的ではなく入り組んだ構造(複雑に曲がった通路)となるため、対ショート性の点で極めて有利となる。
こうして得られる本発明のセパレータは、上述した各条件を満足する結果、極めて高い比表面積を有する。例えば、窒素吸着法(いわゆるB.E.T法)によって評価される比表面積の値が60m2/g以上、好適な場合には100m2/g以上の値を有する(比較として、例えば汎用的に使用されているコピー紙の比表面積は3m2/g以下である)。このことは、該セパレータが実質的にオープンポアからなるということも相まって、該セパレータを蓄電デバイスの部材として使用した際に、電解液が正負極間を移動する際の多岐に渡る通路が確保されるということも意味している。また、この高い比表面積は、本発明のセパレータが高空孔率であり、かつ微多孔性であることの証左ともなっている。
本発明の蓄電デバイス用セパレータの主な製造方法としては、例えば、1)微細セルロース繊維を水等の分散媒体へ高度に分散させた分散液を抄紙法や塗布法により製膜する方法と、2)静置培養により得られたBCのゲルを適当な方法で乾燥させる方法の2通りの方法がある。上記に説明した通気性範囲を有するセパレータ、あるいは空孔率の高いセパレータを得るためには、乾燥方法が重要である。分散媒体が水であるか、または水が主体の分散媒体である場合には、乾燥の際により疎水性の有機溶媒に置換した後に乾燥させことが、60%以上の高い空孔率のシート状成形体を得る際には有効である。すなわち、ウェット状態の不織布中の分散媒体を有機溶媒に置換した後に乾燥させると、湿紙中の広がった網目構造がそのまま乾燥膜で保持された高空孔率の膜を得ることができる。有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素のような低極性疎水性溶媒である比誘電率3以下の有機溶媒又は該有機溶媒と他の有機溶媒との混合溶媒が好適に使用できる。より具体的には、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、n−ヘキサン、トルエン、四塩化炭素などが微多孔性の不織布構造を作るのに適している。ウェット状態の不織布における分散媒体が水である場合には、まず水に可溶なアセトンやiso−プロピルアルコールのような有機溶媒で置換し、次にトルエンやシクロヘキサンのような疎水性の有機溶媒あるいはこれらを含む2種類の有機溶媒の混合溶媒に置換するという2段階で置換する方法も有効である。もっとも、これらの方法に限定されるわけではない。
塗布法の場合には、塗布用の分散媒体として疎水性の有機溶媒または疎水性の有機溶媒と水の混合物を使用すると60%以上の高空孔率のシート状成形体を得る際に有効である。ここで有効に使用し得る有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1−4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2−6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル等のカルビトール類、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の1,2−アルキルジオール類、さらには、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンおよびその誘導体、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、上述した蓄電デバイス用セパレータの製造方法に関しても、上記1)や2)の方法に限定されるものではない。本質的に本発明のセパレータを製造できる方法であればいかなる方法も採用し得る。
本発明の蓄電デバイス用セパレータを1)の方法により製造する場合には、微細セルロース繊維を高度に分散させる際の分散法も極めて重要であり、その選択は、後述するセパレータの厚みの均一性に大きく影響を及ぼす。
微細セルロース繊維が微生物産生のセルロースである場合には、培養後、分離、滅菌、除菌、精製過程を経た後に、適当な固形分濃度に分散溶媒で希釈し、例えば、ミキサー、ポリトロン、自励式超音波粉砕機、超音波発振機、各種ビーズミルなどの各種分散装置、さらには高圧ホモジナイザー(マントン・ゴーリン型分散機での高圧分散処理)や超高圧ホモジナイザー処理(マイクロフルイダイザ−TM(みづほ工業(株))やアルティマイザ−TM(スギノマシーン(株))による超高圧分散処理)を用いることによって抄紙や塗布用の分散液を調製することができる。
また、天然セルロースや再生セルロース繊維を用いてフィブリル化処理によって本発明のセパレータの製造に使用するセルロースの最大繊維径が1000nm以下である繊維を調製することもできる。一般に、セルロース原料は、天然セルロース繊維又は再生セルロース繊維によらずに、ミクロフィブリルと呼ばれる繊維が繊維軸方向に多束化し、強く凝集・融着した一種の凝集体となっていることから、こうした処理が有効となる。天然セルロースや再生セルロース繊維を水中に分散させた環境下で、これらの繊維にいわゆるフィブリル化を起こさせ、ミクロフィブリルの単体あるいはその少数多束化繊維にまで微細化させることができ、この微細化させた繊維を本発明のセパレータを製造するための微細セルロース繊維として用いることができる。フィブリル化処理としては、例えば、高圧ホモジナイザー処理(マントン・ゴーリン型分散機による高圧分散処理),超高圧ホモジナイザー処理(マイクロフルイダイザ−TM(みづほ工業(株))やアルティマイザ−TM(スギノマシーン(株))による超高圧処理)などを挙げることができるが、本質的にフィブリル分散能を有する装置であれば、いかなる分散処理装置を使用することもできる。このようなセルロース材料の代表的なものとして、例えば、マイクロフィブリレーテッドセルロース(MFC,J. Appl. Polym. Sci., Appl. Polym. Symp., 37, 797-813(1983))を挙げることができるがこれに限定されるものではない。フィブリル化処理した分散液はそのまま、あるいは希釈し、簡易分散させて本発明のセパレータを調製するための抄紙用あるいは塗布用の分散液とすることができる。
本発明のセパレータとして、上記1)の方法、すなわち抄紙法または塗布法によって得られるセパレータであって、上記(1)式で定義されるセパレータの不均一性パラメータHが0.2以下であるセパレータが好ましい。Hの値は、好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.10以下であり、これにより均一性に優れ、物性的にも安定した品質のセパレータを提供することができる。本発明の蓄電デバイス用セパレータの膜厚は5μm以上50μm以下であるが、50μmよりも厚いセパレータであるとセパレータの透過率が小さくなり、上記の長さ方向の透過率分布にセパレータの不均一性を検出する精度が低くなることがある。また、Hが0.2以上であると均一性向上の効果が達成されない場合がある。
不均一性パラメータの測定には、例えば、TurbiscanTM MA-2000(英弘精機社)を使用することができる。この装置は溶液や分散液の径時安定性を評価するために開発された装置であるが、本発明者は、薄い膜でかつ膜の製法によって目で見たレベルの均一性に差が生ずるようなサンプル間の均一性に関する定量的な比較をする際にこの装置が極めて有効に適用できることを見い出した。測定は以下のように行うことができる。まず、対象とするセパレータサンプルを10mm×50mmの長方形に切り取り、同装置に付属しているガラス製試験管内の底蓋に接する程度の位置に該膜サンプルの長軸が試験管の長さ方向に真っ直ぐ(ぴんと張って)設置する。この際に、レーザー光が膜サンプルのほぼ中央付近に垂直に当たるような位置に設置する。次に同装置の常法的な使用法に従い、850nmのレーザー光を試験管の長さ方向に走査させる。同装置は常法にて40μm毎に計60mmの範囲で試験管長さ方向の透過率を検出するが、このプロファイルを確認し、膜が存在していると考えられる部分の30mm分を切り取り(対象とし)、(1)式にて定義される不均一性パラメータHを算出する。
測定の例を図4に示した。図4の横軸は長さ方向の位置を表し、縦軸は透過率Trを意味する。Tr,avは透過率の平均値であるため、膜厚が大きくなれば小さくなる。(1)式においてTr,avはHを表す式の分母に当たるため、Hが本発明の規定する範囲にあるということは膜厚の上限も限定されることを意味する。このような条件を満たす膜の膜厚の上限はおよそ60μmである。
不均一性パラメータHの範囲が上述した範囲にあるセパレータを製造する方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。上述した分散手法により高度に微細セルロース繊維が分散した分散液を抄紙用分散液として用い、さらに、該抄紙用分散液中の微細セルロース繊維(その多くは繊維間で絡みあった集合体として存在する)を大気圧下25℃における濾過で95%以上濾別する能力を有する濾布を抄造装置の濾過用メッシュ上に設置し、該抄紙用分散液を濾布上で濾過することにより抄紙を行う。「大気圧下25℃における濾過で95%以上濾別する能力を有する濾布」とは、ポアサイズが100μm以上で外径が100μm−125μmの範囲の目の粗い円筒ロート形あるいはブフナ−ロート形ガラスフィルター(例えば柴田科学株式会社製ブフナ−ロート形ガラス濾過器,25G)上に対象とする濾布を濡らした状態で設置し、抄紙用分散液の大気圧下での濾過テストを実施し、この際に濾液中に含有される微細セルロース繊維含有量を乾燥法等で測定して、濾過率として、
(濾過実験に使用した抄紙用分散液中の微細セルロース含有量−濾液中の微細セルロース含有量)×100/(濾過実験に使用した抄紙用分散液中の微細セルロース含有量)(%)
の値を算出した際に、この値が95%以上である膜,不織布,織物,ガラス製不織布,金属製メッシュ等を意味する。
また、該濾布は、上述した条件下での濾過テスト時に水を容易に通すものであることが好ましい。すなわち、大気圧下25℃での水の透過量が0.05cc/cm2・s以上であることが好ましい。さらに好ましくは0.09cc/cm2・sであり、これにより分散媒体が濾布を透過する際の抵抗が極めて少なく、したがって効率のよい抄紙が達成される。このような条件を満たす濾布の中でも、有機ポリマー繊維から成る不織布または織物、あるいは有機ポリマーから成る多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしては、セルロースのような本発明に使用する微細セルロース繊維と同種のものよりも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン類,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリフッ化ビニリデン,ナイロン−6,6,ナイロン−6に代表されるような非セルロース系の汎用有機ポリマーであることが好ましい。濾布の形状は特に限定されず、上記した濾過性の条件を満たすものであれば不織布、織物、又は多孔膜のいずれであってもよい。
微細セルロース繊維の濃度が0.01重量%以上0.5重量%以下に調製した抄紙用分散液を上述した条件を満足する濾布上でサクションの稼働下等により濾過することによって該濾布上に堆積させ、該セルロース繊維の固形分4重量%以上の湿紙を製造することができる。この際の固形分率は、できるだけ高い方が好ましく、好ましくは8重量%以上、さらに好ましくは12重量%以上である。この湿紙に対して、さらにプレス処理することにより、抄紙用分散体中の分散媒体を高効率で除去し、得られる湿膜中の固形分率を高めることができ、より強度の高い湿紙を得ることが可能となる。バッチ式抄紙および連続式抄紙のいずれにおいても、抄紙後のセルロース不織布を乾燥工程前あるいは乾燥工程後に該濾布から剥離させることにより、自立した本発明の蓄電デバイス用セパレータ(あるいは湿潤状態の同セパレータ)を得ることができる。もっとも、本発明の蓄電デバイス用セパレータの製法はこれに限定されるものではない。
本発明によって提供される蓄電デバイス用セパレータは、本質的にすべての一次電池、二次電池(例えばリチウム2次イオン電池)、電解コンデンサー(アルミ電解コンデンサー)、電気2重層キャパシター、あるいはセパレータを構成部材として必要とする新規な蓄電デバイス類(例えば、特開2004−079321号公報に記載されたデバイス類)に適用でき、蓄電デバイスの電極様式においても捲回型、コイン型、積層型等、汎用的に使われているほとんどすべての様式にて適用することができる。また、本発明の蓄電デバイス用セパレータは、特に電気2重層キャパシターやリチウム2次イオン電池(特に車載用)において好適にその性能が発揮される。それは、以下の理由による。電気2重層キャパシターは、一般的な蓄電デバイスが電極/電解液/セパレータ/電解液/電極の構造からなるのに対し、該構造中の電解液の部分がいずれも数μmないし十数μmの粒子系の電解液を含浸した活性炭層に置き換わった構造を有している(「大容量キャパシタ技術と材料II,電気二重層キャパシタとスーパーキャパシタの最新動向, 西野 敦,直井 勝彦監修,(株)シーエムシー出版,2003年発刊」)。活性炭の層は実質的に電極として機能するため、セパレータの間際まで電極層が接近しており、しかも電極が微粒子積層構造をもつため、セパレータを突き抜けていわゆるショートを起こし易い。また、電気2重層キャパシタは電解液の耐久性の問題から、その製造工程においては、極めて吸湿し易い活性炭中の水分を完全に除去する必要がある。通常、電気2重層の組み立て工程は、電解液以外の積層構造を作った後に水分を除去し、最後に電解液を注入するので、水分除去を目的とする乾燥工程においては、セパレータを含む活性炭層が高温にさらされることになる。乾燥工程では、活性炭中の水分除去を完全に行うために150℃以上の条件で乾燥させることが多い。すなわち、セパレータにはこの条件に耐えられるだけの耐熱性が要求される。本発明の蓄電デバイス用セパレータは上述したように、耐ショート性、耐熱性の面で特に優れた性能を有するため、特に電気2重層キャパシタでは好適に機能する。さらに、本発明のセパレータは電気2重層キャパシタと同様、有機系電解液を使用するリチウム2次イオン電池においても極めて好適に作用する。
本発明の蓄電デバイス用セパレータを用いた電気2重層キャパシタやリチウム2次イオン電池では、以下の効果が期待できる。すなわち、耐ショート性等、セパレータとしての基本条件を満たしつつセパレータ厚みを薄くすることができ、しかもセパレータ内の空孔率も高く設定できるため、従来のセパレータを使用した場合と比較して低内部抵抗化が可能となる。電気2重層キャパシタの場合には、充電時に発生する、活性炭断片などのいわゆる活物質がセパレータ内を移動することによって起こる漏れ電流を低下させることができる。これも本発明のセパレータが微細なネットワークから構成され、従来のセパレータに比べ微小な孔径を有することに基づく効果である。また、電気2重層キャパシタの製造工程において乾燥工程に要する時間を乾燥温度を高めることで短縮できるため、生産性の向上にもつながる。リチウム2次イオン電池においては、特に車載用では、セパレータそのものに民生用用途で用いられるよりもより高い耐熱性が要求される場合があるため、本発明のセパレータの高い耐熱性が有効に寄与する。電気2重層キャパシタの場合と同様、低内部抵抗化にも寄与する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
構造パラメータおよび物性の評価は以下のとおりに行った。
(1)セパレータを構成する繊維の最大繊維径の評価
蓄電デバイス用のセパレータについて、SEM画像の測定を行い、最大繊維径が1000nm以下であるか否かの判断を行った。SEM観察は、金蒸着を行ったセパレータサンプルについて日立製作所(株)製のFE−SEM,S−800を用い、加速電圧を5−10KVの範囲とし、10000倍の倍率で画像の取り込みを行った。
(2)膜の通気度の測定
ガーレー式デンソメータ((株)東洋精機製、型式G−B2C)を用いて100ccの空気の透過時間(単位;s/100cc)の測定を室温で行った。膜の均一性の指標として、測定は、膜の種々な位置について5点の測定を行った。
(3)電解液を想定した有機溶媒含浸下での電気抵抗値RSSの測定
セパレータへ0.8mol/Lテトラエチルアンモニウム・BF4塩(LIPASTETM−P/EAF08、富山薬品工業(株)製)/プロピレンカーボネート溶液を含浸させた状態でのセパレータの交流2端子法によって算出される20℃における電気抵抗値を測定した。測定は、LCRハイテスタ(HIOKI-3520、日置電機(株))を用いて、20℃にて、印加電圧0.1V、100KHzから40Hzの範囲で交流2端子法によるインピーダンス測定を行い、上述した方法でRSSを算出した。
(4)結晶化度の評価
シート状のセルロース成形体について、上述した方法で固体高分解能13C−NMRスペクトルを室温で測定し、そのピーク強度から上述した(4)式により結晶化度を算出した。
(5)セパレータ中の窒素含有濃度の評価
窒素含有濃度の評価は、ケンダ−ル法(上述)を用いた。特に全窒素含有濃度の検量においては、(株)アクアラボのフローインジェクション装置を使用した。
(6)成形体接触水のTOCの評価
上述したように、全炭素検出量(TC)と無機体検出量(IC)を各々、非分散形赤外ガス分析計によって測定し、その差をもってTOCとした。
(7)塩素イオン含有濃度の評価
塩素イオン含有濃度の測定は、東ソー(株)のイオンクロマトグラフィー装置(型式:IC−2001)を用いて行った。
(8)色彩度パラメータの変化量Δb*の評価
セパレータにおける耐熱性に関する一つの指標として180℃、72時間の加熱処理(大気下)の前後での色彩度パラメータb*の値を評価し、上述したように(5)式によってΔb*を求めた。加熱処理は、大気圧下で熱風乾燥機内で実施した。
b*の評価は、上述した通り、サカタインクス(株)製のマクベス分光光度計Color−Eye3000型(標準色彩管理システムver.5.1)を使用し、C光源を用い、視野角2°での測定を行った。
(9)サンプル厚みの測定
Mitutoyo(株)製の膜厚計(Code; 547−401)を用い、セパレータから3.0cm×3.0cmの正方形片を切り取り種々な位置について5点の測定値の平均値を膜厚d(μm)とした。
(10)成形体の空孔率の算出
上記(9)で切り取った3.0cm×3.0cmの正方形片の膜厚d(μm)とその重さW(g)から、上述した(6)式を用いて膜の空孔率Pr(%)を算出した。
(11)最大孔径の測定
上述した方法に従い、住友スリーエム(株)製のパーフルオロカーボンクーラント,FX−3250(表面張力γ=12mN/m)を湿潤溶媒として用い、バブルポイント法で、湿潤曲線における最初のバブルが発生した圧力P(Pa)から、次式により最大孔径D(μm)を求めた。
D=2890×12/P
(12)膜の不均一性パラメータHの測定
抄紙法により得られた乾燥状態のセパレータに対し、上述した手法にて不均一性パラメータHの測定を実施する。測定は、TurbiscanTM MA-2000(英弘精機(株)製)を使用する。対象とする膜サンプルから1cm×5cmサンプル2片を切り取り、それぞれにつき室温で長さvs.透過率のデータを既定の方法で採取し、上述した(1)式により得られたHの平均値を不均一性パラメータHの測定結果とする。
実施例1
2.0%のグルコースを添加した多糖生産培地(Polysaccharide-production-medium、Akihiko Shimada 、Viva Origino,23,1、52-53 、1995)を高圧蒸気殺菌処理した後、その1000Lを内容量3000Lの発酵槽に入れ、CJF−002株を104 CFU/mlになるように接種し、通気下、30℃で2日間で、通気下で攪拌培養した。
この攪拌培養により、中心領域から放射状にマクロフィブリルを構成する独立体、もしくは、連結体のセルロース系物質(BC)が得られた。その後、スクリーンメッシュで濾別、水洗、圧搾後、1重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し80℃で60分間加熱処理を行い、冷却した後硫酸により中和し、再び圧搾した。さらに、水洗、圧搾を3度繰り返し、綿状セルロースの水分散体(セルロース含有率:20.3重量%)を得た。特に各圧搾工程においては、富国工業(株)製のスクリュープレス脱水機(型式:SHX−200×1500L)を使用し、各段、固形分率が18〜23重量%となるように圧搾した。得られたセルロース分散体をセルロース原料M1とした。
次に、このM1を、セルロース濃度が0.5重量となるように水で希釈し、家庭用ミキサーで5分間予備分散した後に高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NS3015H)を用いて、操作圧力100MPa下で2回の分散処理を実施した。次に、このセルロース濃度0.5重量%の分散液をさらに水でセルロース濃度0.1重量%となるように希釈し、再度家庭用ミキサーで5分間分散処理を行い、得られた分散液を抄紙用分散液として用いて抄紙法によりシート状成形体を作製した。抄紙は、バッチ式抄紙機(熊谷理機工業社製自動角型シートマシーン)を用いて行った。同抄紙機に組み込まれているサイズ(25cm×25cm)の角型金属製ワイヤー上にPET製の織物(繊維径:約40μm,460メッシュ)を濾布として設置し、その上から上述した分散液を、0.43Lの量を抄紙機へ流し、サクション(減圧装置)を使用することなく、抄紙を行った。得られた湿紙を金属製ローラーにてプレス脱水し、セルロース濃度が12重量−13重量%となるように調節した後、以下の方法で乾燥させ、蓄電デバイス用セパレータを得た。すなわち、抄紙によって得られたウェット状シートをPET製濾布を剥がさないまま、アセトン中に浸漬し時々全体を軽くすすぎながら約10分間、置換処理を行った。その後、濾布付きのウェット成形体をトルエン/アセトン=50/50(g/g)の混合溶媒中に浸漬し、同様に10分間置換処理を行った後、金属製のバットに濾布を下にして貼り付け、約50℃で60分間乾燥させた。乾燥後、シートを濾布から剥がすことにより、膜厚が21μmで空孔率が84%の白色のシート状成形体であるセパレータS1を得た。
得られたセパレータS1の表面のSEM観察により2つの膜サンプルが、共に400nm以下の微細セルロース繊維から構成されていることが確かめられた。セパレータS1のSEM画像(倍率:10000倍)をそれぞれ、図1に示した。共に、明らかに図中に示した400nmの基準バーを越える繊維径のものは存在しておらず、2つの成形体は本発明で規定される蓄電デバイス用セパレータの条件を満足していた。また、セパレータS1の固体NMR法による結晶化度は82%であった。また、セパレータS1に対し、窒素吸着法(B.E.T法)により比表面積の測定(ユアサアイオニクス社製NOVA−4000eを使用し、P/P0=0.1,0.2,0.3(P:吸着平衡時のN2圧力、P0:吸着温度におけるN2の飽和蒸気圧)の3点での窒素吸着量から比表面積を算出)を実施したところ、125m2/gと極めて大きな値を示すことが確認された。さらに、セパレータS1の窒素含有濃度は0.14%であり、接触水のTOCは20ppm、塩素イオン含有濃度は19ppmであった。
セパレータS1の不均一性パラメータHを上述した方法で測定したところ、0.072であり、見た目にも均一性に優れたセパレータであった。セパレータS1についてTurbiscanを用いて上述した測定方法により得られた透過率vs.位置のグラフを図4に示した。
セパレータS1の構造因子、各種物性値および大気環境下、180℃×72時間の高温処理下での変色性評価の結果を表1にまとめた。変色度がほとんど変わらない点でS1が高い耐熱性を有することが示唆された。手で触った際の脆さにおいても加熱処理前後でほとんど変化がなかった。
次に、セパレータS1を用いた電気2重層キャパシタの性能を評価した。評価はパワーシステム社製の充放電試験機(CDT5R02−4)と三電極型セル(電極径20mmΦ,厚さ約0.5mm)を用い、電極としての活性炭層の組成を、活性炭:導電剤:バインダー=10:1:1(活性炭;関西熱化学社製石油ピッチ系活性炭:MSC−25,導電剤;電気化学工業社製アセチレンブラック:デンカブラックTM,バインダー;三井・デュポン フロロケミカル社製粉状PTTE:6−J)とし、電解液として富山薬品工業社製1.8Mトリエチルメチルアンモニウム・BF4塩/プロピレンカーボネート溶液を用い、以下の条件の充放電テストによる内部抵抗、容量および漏れ電流の評価を行った。
充放電条件:0.5mA/2.5Vの定電流定電圧による充電後、0.5mA/0Vの定電流
放電漏れ電流:合計2hの上記定電流定電圧充電時の最終電流値
内部抵抗:放電初期(総放電時間の10%に相当する初期放電時間)でのIRドロップから算出し、これを電極面積当たりの抵抗値(Ω/cm2)に換算した。
静電容量:エネルギー換算法すなわち、放電電力E=(1/2)CV2(C:静電容量,V:放電電圧)の関係からCを算出した。
特にテストセルの作製工程においては、活性炭層をセパレータで隔てた電解液の存在しないセルをまず作り、乾燥温度と乾燥時間を160℃×48時間,180℃×24時間の2種類に設定し、各々の条件で該セルを乾燥させた後に電解液を含浸させ、セルを完成させて、評価を実施した。評価結果を比較例と共に表2に示した。
セパレータS1を用いた際の結果は、比較例における結果と比べて、明らかに低い内部抵抗および低い漏れ電流を示し、しかも容量の向上も認められた。また、180℃×24時間の乾燥条件で得た結果では、160℃×48時間の乾燥条件で得られた結果とほぼ同程度の電気的特性を有していることが示された。これらの結果により、本発明のセパレータを用いて極めて電気的特性に優れた電気2重層キャパシタを提供でき、従来電気2重層キャパシタの製造工程において律速であった乾燥工程を大幅に短縮でき、デバイスの生産性を著しく向上し得ることが示された。
実施例2
酢酸菌を培養しセルロースを得た。培養は標準的な条件であるHestrin−Schramm培地(「セルロース辞典」セルロース学会編集,朝倉書店,2000年発行,p44)を用い、果糖を炭素源としてPH6、温度28℃で8日間、内径10cmのシャーレ内での静置培養を行った。得られた厚みが約2mmの半透明ゲル状物をオートクレーブ装置を用い、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸液させた状態で120℃で1時間の溶菌処理を行った。さらに得られたウェット状のゲルを水洗した後、再度、先と同じ条件でオートクレーブによる溶菌処理を行い、ウェット状のゲル状シートを得た。このゲルを十分な量の4℃の冷水中に浸液させ2時間静置した後、ゲルを濾紙に挟んで圧搾した。冷水浸液および圧搾の工程を同じ条件でさらに4度繰り返し、圧搾したゲル状の静置培養膜を得た。得られたゲル状膜を金属製バットにウェットの状態で貼り付け、70℃の熱風乾燥機で3時間乾燥させて膜厚が11μmで空孔率が76%の半透明白色のシート状成形体であるセパレータS2を得た。
セパレータS2のSEM画像を観察したところ、1000nm以上の繊維径をもつ繊維は確認されなかった。また、セパレータS2の固体NMR法による結晶化度は78%、S2の窒素含有濃度は0.30重量%、接触水のTOCは14ppm、塩素イオン含有濃度は32ppmであった。セパレータS2の構造因子、物性および大気環境下、180℃×72時間の高温変色性評価の結果を表1に示した。変色度は実施例1のセパレターS1と同様、比較的小さな値を示した。さらに、セパレータS2を手で触った際の脆さにおいても加熱処理前後でほとんど変化がなかった。
セパレータS2を用いた電気2重層キャパシタの性能を、実施例1と全く同じ条件で実施した。セル作製工程における活性炭層+セパレータの乾燥温度は180℃×24時間とした。評価結果を表2に示した。セパレータS2を用いた際の結果は、比較例における結果と比べ、明らかに低い内部抵抗および低い漏れ電流を示しており、しかも容量の向上も認められ、セパレータS2がデバイスとして良好な電気特性を有することが明らかになった。
実施例3
パルプを原料として作られたマイクロフィブリレーテッドセルロース(MFC)であるセリッシュ(ダイセル化学社提供,セリッシュKY−100G,セルロース重量分率10重量%の水分散体)を水で希釈し、セルロース濃度0.5重量%とし、家庭用ミキサーで5分間予備分散した後に超高圧ホモジナイザー(みづほ工業社製Microfluidizer,M−110−E/H)を用いて、操作圧力175MPa下で4回の分散処理を実施した。次に、このセルロース濃度0.5重量%の分散液をさらに水でセルロース濃度0.15重量%となるように希釈し、再度家庭用ミキサーで3分間分散処理を行い、得られた分散液を抄紙用分散液として使用した。次に実施例1と同様の方法で抄紙を行った。ただし、抄紙に用いる抄紙用分散液の量は0.46Lとした。抄紙後の脱水、有機溶媒への置換および乾燥方法についても実施例1と同じ条件を用いた。これらにより、白色のシート状成形体であるセパレータS3を得た。セパレータS3の膜厚は31μm、空孔率は77%であった。セパレータS3の固体NMR法による結晶化度測定は56%、窒素含有濃度は、0.02%、接触水のTOCは7ppm、塩素イオン含有濃度はそれぞれ8ppmであった。セパレータS3のSEM画像には1000nmの繊維径より太い繊維は確認されなかった。
得られた膜の不均一性パラメータHを上述した方法で測定したところ、セパレータS3は0.065であり、見た目にも均一性に優れていた。セパレータS3の膜としての特性および高温変色性の評価結果は表1に示した通りであり、本発明の蓄電デバイス用セパレータとして使用できることが確認された。
セパレータS3を用いた電気2重層キャパシタの性能を、実施例1と全く同じ条件で実施した。セル作製工程における活性炭層+セパレータの乾燥温度は160℃×48時間および180℃×24時間の2通りとした。2種類の条件での評価結果を表2に示した。セパレータS3を用いた際の結果は、比較例における結果と比べ、明らかに低い内部抵抗および低い漏れ電流を示していた。しかし、160℃×48時間で乾燥した場合と比べ、180℃×24時間で乾燥した場合の結果は、漏れ電流において約2倍の値を示しており、他の実施例での結果と比べても高い値であった。この結果は、180℃×24時間で乾燥した場合の充放電測定において、充電時にセパレータを介した電極間での微量の導電性物質の移動が160℃×48時間乾燥での結果と比べ、より多い可能性を示唆している。この原因の一つとして、180℃×24時間での乾燥時にセパレータの劣化により部分的に炭化され脱落した微小物質による影響も考えられ、セパレータS3においては、耐熱性の面ではS1やS2ほど優れていないことも示唆された。
比較例1
実施例3で使用したMFC(セリッシュKY−100G)を水で希釈し、セルロース濃度0.1重量%とし、家庭用ミキサーで5分間予備分散したものを抄紙用分散液として使用した。該抄紙用分散液の0.43Lを仕込み量として、実施例1と全く同じ抄紙法、溶媒置換法、および乾燥法により膜厚が22μmで空孔率が82%の白色のセパレータR1を得た。セパレータR1の表面のSEM画像には太さが1000nmを超える繊維が多数含まれていた。セパレータR1の固体NMR法による結晶化度測定は56%、窒素含有濃度は0.03%、接触水のTOCは8ppm、塩素イオン含有濃度は8ppmであった。
得られたセパレータR1の不均一性パラメータHを測定したところ0.19であり、見た目にも実施例1ないし3におけるセパレータS1ないしS3と比べて明らかに膜質が悪かった。セパレータR1の膜としての特性および高温変色性の評価結果は表1に示した通りである。セパレータR1を用いた電気2重層キャパシタの性能の評価を実施例1と全く同じ条件で実施した。セル作製工程における活性炭層+セパレータの乾燥温度は160℃×48時間および180℃×24時間の2通りとした。2種類の条件での評価結果を表2に示した。セパレータR1を用いた際の結果は、上記各実施例における結果と比べ、明らかに高い内部抵抗および高い漏れ電流を示し、デバイスとしての電気特性は本発明のセパレータを使用した場合と比べて劣ることが明らかになった。しかも、180℃×24時間乾燥してえられたセルの評価結果は、160℃×48時間乾燥して得たセルに比べ、漏れ電流が増大しており、耐熱性も良くないことが明らかになった。
比較例2
実施例1におけるBCの精製工程において、水酸化ナトリウム水溶液処理の条件を、60℃で30分間とし、さらに、中和、圧搾に引き続く水洗の工程を1度だけとし、スクリュープレスによる脱水圧搾により、19.6重量%の固形分濃度のセルロース/水分散体M2を得た。このM2を原料とし、以降全く実施例1の方法と同じ方法でセルロース濃度0.1重量%の抄紙用分散液を調製し、該抄紙用分散液の0.43Lを仕込み量として、実施例1と全く同じ抄紙法、溶媒置換法、および乾燥法により膜厚が19μmで空孔率が79%の白色のシート状セルロース成形体であるセパレータR2を得た。セパレータR2の固体NMR法による結晶化度測定は81%、窒素含有濃度は、0.65%、接触水のTOCは80ppm、塩素イオン含有濃度はそれぞれ50ppmであった。また、セパレータR1の不均一性パラメータHを測定したところ0.27であり、見た目にも実施例1ないし3におけるセパレータS1ないしS3と比べて明らかに不均一な膜であった。セパレータR2の特性および大気環境下、180℃×72時間の高温変色性評価の結果を表1に示した。セパレータR2は有機溶媒湿潤膜の電気抵抗及び含有不純物量の点で本発明のセパレータとは異なっており、セパレータR2の結晶性は高いものの、高温変色性の評価においてセパレータS1及びS2に比べて変色が大きかった。また、セパレータR2を手で触る脆さの評価では、加熱処理後のものが破れ易く、加熱処理により劣化していることが推定された。
セパレータR2を用いた電気2重層キャパシタの性能を実施例1と全く同じ条件で評価した。セル作製工程における活性炭層+セパレータの乾燥温度は160℃×48時間および180℃×24時間の2通りとした。2種類の条件での評価結果を表2に示した。セパレータR2を用いた際の結果は、実施例における結果と比べ、明らかに高い内部抵抗および高い漏れ電流を示しており、セパレータR2のデバイスとしての電気特性が本発明のセパレータと比べて劣ることが明らかになった。しかも、セパレータR2を用いた場合には、180℃×24時間乾燥してえられたセルの評価結果は、160℃×48時間乾燥して得たセルに比べて明らかに電気特性が低下しており、耐熱性も良くないことが明らかになった。
比較例3
実施例1において、抄紙用分散液の仕込み量を0.85Lとして、実施例1と全く同じ条件で抄紙を実施して得たPET製濾布上に堆積したウェット状シートの上にさらに同じサイズのPET製濾布をのせてはさみ、その3層体を表面温度が95℃に設定されたドラムドライヤー上に貼り付け、60秒の乾燥時間で乾燥させた。乾燥後、3層体からセルロース成形体の両側のPET製濾布を剥がし、膜厚が26μmで空孔率が45%の半透明白色のシート状セルロース成形体であるセパレータR3を得た。得られたセパレータR3の表面のSEM観察により、セパレータR3が1000nm以下の微細セルロース繊維から構成されていることが確かめられた。R3の固体NMR法による結晶化度は82%であった。さらに、R3の窒素含有濃度は0.15%であり、接触水のTOCは19ppm、塩素イオン含有濃度は22ppmであった。また、セパレータR3の不均一性パラメータHを測定したところ0.042であり、見た目にも均一性に優れたセパレータであった。
R3の構造因子、各種物性値および大気環境下、180℃×72時間の高温変色性評価の結果を表1にまとめた。変色度がほとんど変わらない点でS1が高い耐熱性を有することが示唆されたが、通気度が700s/100ccを越えており、有機溶媒含浸下での20℃での電気抵抗RSSの値が1.0Ωcm2よりも大幅に大きく、本発明の蓄電デバイス用セパレータとしての特性を有していなかった。
セパレータR3を用いた電気2重層キャパシタの性能を実施例1と全く同じ条件で実施した。セル作製工程における活性炭層+セパレータの乾燥温度は160℃×48時間とした。評価結果を表2に示した。セパレータR3を用いた際の結果は、実施例のセパレータにおける結果と比べて大幅に高い内部抵抗を示しており、セパレータR3が蓄電デバイス用のセパレータとして使用できないものであることが示された。この結果は、セパレータR3のイオン透過性が極端に低いためと考えられる。
実施例1で得られた本発明の蓄電デバイス用セパレータS1の表面のSEM画像(倍率:10000倍)を示した写真である。 セパレータの0.8mol/Lテトラエチルアンモニウム・BF4塩/プロピレンカーボネート溶液を含浸させた状態での交流2端子法による抵抗値評価の際に仮定する等価回路を示した図である。 固体NMR法によって得られるセルロースの13C−NMRスペクトルにおけるC4炭素ピーク強度比から結晶化度を求める説明図である。 実施例1で得られた本発明の蓄電デバイス用セパレータS1についてTurbiscanTMを用いて1cm×5cmの長方形膜の長軸方向に沿ってスキャンして得られた長軸方向の長さ3cm分の透過率vs.位置の関係を示した図である。

Claims (10)

  1. 最大繊維太さが1000nm以下であるセルロース繊維からなり、通気度が5sec/100cc以上700sec/100cc以下であるセパレータであって、該セパレータに0.8mol/Lテトラエチルアンモニウム・BF4塩/プロピレンカーボネート溶液を含浸させた状態での膜の交流2端子法によって算出される20℃における電気抵抗値が1.0Ωcm2以下であり、更に下記(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とする蓄電デバイス用セパレータ。
    (1)膜厚が5μm以上50μm以下であること
    (2)空孔率が60%以上90%以下であること
    (3)バブルポイント法により得られる最大孔径が0.03μm以上0.25μm以下であること
    (4)以下の式(1)で定義されるセパレータの不均一性パラメータHの範囲が0.15以下である
    H=T r,sd /T r,av 式(1)
    (ただし、T r,sd 及びT r,av は、それぞれ、乾燥膜に対し垂直に850nmの波長の光を照射した際の透過率を膜面に沿って直線方向に40μmごとに合計30000μm(データ点数:750点)の長さ分採取したときの全の平均値及び標準偏差を意味する)
  2. 固体NMR法によって求められる結晶化度が60%以上であり、最大繊維太さが1000nm以下であるセルロース繊維からなり、通気度が5sec/100cc以上700sec/100cc以下であるセパレータであって、該セパレータ中の窒素含有濃度が0.4重量%以下であり、かつ該セパレータ10gを100gの水に4℃にて浸漬後24時間経た際の接触水の水中遊離総有機炭素濃度(TOC)が60ppm以下である蓄電デバイス用セパレータ。
  3. 抄紙法または塗布法によって得られる蓄電デバイス用セパレータであって、以下の式(1):
    H=Tr,sd/Tr,av (1)
    (ただし、Tr,sd及びTr,avは、それぞれ、乾燥膜に対し垂直に850nmの波長の光を照射した際の透過率を膜面に沿って直線方向に40μmごとに合計30000μm(データ点数:750点)の長さ分採取したときの全の平均値及び標準偏差を意味する)で定義されるセパレータの不均一性パラメータHの範囲が0.2以下である請求項2に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  4. 膜厚が5μm以上50μm以下であり、かつ空孔率が60%以上90%以下である請求項2又は3に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  5. バブルポイント法により得られる最大孔径が0.03μm以上0.25μm以下である請求項2ないし4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  6. セパレータ中の塩素イオン含有濃度が40ppm以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  7. セルロース繊維がバクテリアセルロースである請求項1ないし6に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  8. 電気2重層キャパシタに用いるための請求項1ないし7に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータを含む電気2重層キャパシタ。
  10. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータを含むリチウム2次イオン電池。
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