JPH10140493A - 多孔質高気密度紙及びその製造方法 - Google Patents

多孔質高気密度紙及びその製造方法

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JPH10140493A
JPH10140493A JP31560996A JP31560996A JPH10140493A JP H10140493 A JPH10140493 A JP H10140493A JP 31560996 A JP31560996 A JP 31560996A JP 31560996 A JP31560996 A JP 31560996A JP H10140493 A JPH10140493 A JP H10140493A
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輝幸 秦泉寺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐薬品性に優れた再生産の可能な天
然資源であるセルロースを原料として、微細な貫通孔を
有する多孔質であって、かつ、緻密性を有し気密度の高
い新規な多孔質高気密度紙を提供すること目的とする。 【解決手段】 繊維径が1μm以下の微細なセルロース
を原料として湿紙を製造し、該湿紙に存在する空隙構造
を保持したまま乾燥させることにより、微細な貫通孔を
有する多孔質高気密度紙及びその製造方法を提供する。
そして、微細なセルロースとしてセルロース繊維をJI
S法CSFの値で200ml以下に叩解したセルロース
を使用する構成(但し、JIS法CSFの値はJIS
P8121の規定により測定した値とする)、及び変法
CSFの値で700ml以下に叩解したセルロースを使
用する(但し、変法CSFはJIS P8121に規定
する測定法において、試料3gを試料0.3gとして測
定した値とする)を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電池用セパレータ、
電解コンデンサ用セパレータ、各種フィルタ等の主とし
て工業材料として使用する多孔質高気密度紙に関し、特
には耐熱性、耐薬品性に優れた再生産の可能な天然資源
であるセルロースを原料として、微細な貫通孔を有する
多孔質であって、かつ、緻密性を有し気密度の高い新規
な紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紙は最も身近な品の一つであり、新聞・
書籍はいうに及ばず食べ物や飲み物の容器、家の装飾に
用いられているとともに、工業材料としても多用途に使
用されており、現代科学の研究課題の一つとなってい
る。この紙は一般に植物繊維を化学薬品を用いて蒸解し
たセルロースを水に分散させて、網で抄きあげて湿紙と
し、該湿紙を脱水乾燥することで製造している。
【0003】紙のセルロース繊維は主としてセルロース
の水素結合によって互いに結合している。即ち、抄きあ
げた湿紙の乾燥工程において水が蒸発すると、水の表面
張力が大きいため、隣同志のセルロース繊維を強力に引
き付ける。繊維間距離が小さくなるとワンデルウァール
ス力が働き、更に引き付け、ついには水素結合により密
着することとなるのである。そして、この水素結合の度
合いと繊維径によって繊維間の空隙、即ち紙の気密度が
決定されるのである。
【0004】紙の原料であるセルロースは天然高分子で
あり、230℃近辺までの耐熱性があり、酸、アルカ
リ、有機溶剤などへの耐薬品性も高いため、紙は電池用
セパレータ、電解コンデンサ用セパレータ、各種フィル
タ等の安価な工業材料として広く使用されているのであ
る。
【0005】一方、前記した用途において紙と同様の用
途の工業材料として、多孔質フィルムが使用されてい
る。この多孔質フィルムは10〜40μmと薄く、0.
1μm程度の微細孔がフィルム全面に均一にあいている
ことからフィルター用途に、又フィルム自体の電気絶縁
性が高いにもかかわらず電解液を含浸させたときの電気
抵抗が低いことから各種電池用セパレータに使われてい
るなど工業材料として活用されている。
【0006】多孔質フィルムには石油系樹脂の熱可塑性
樹脂あるいはセルロース誘導体である酢酸セルロースな
どが原料として使用されている。熱可塑性樹脂を用いて
多孔質フィルムを製造するには加熱溶解した熱可塑性樹
脂を製膜し、延伸あるいは予め混合しておいた無機物を
酸で溶解して製造している。セルロース誘導体を用いる
場合は酢酸やアセトンなどの溶剤に溶かして製膜し、延
伸して製造している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】紙を電池用セパレータ
等の工業材料として使用する場合に、重要なこととして
紙の気密度のコントロールがある。電池の陽極活物質と
陰極活物質を隔離するための電池用セパレータには両極
活物質を隔離するための緻密性が強く求められており、
特にリチウムイオン電池用セパレータにおいては、セパ
レータの緻密性を確保するため気密度として1000秒
/100cc以上を有することが必要条件の基準となっ
ている。
【0008】従来、紙の気密度のコントロールは次のふ
たつの方法により行われている。一つは原料となるセル
ロース繊維の叩解の度合い進めて、より密度の高い紙を
製造する方法であり、もう一つは紙を厚くする方法であ
る。
【0009】叩解の程度による気密度のコントロールで
は、叩解の浅いセルロース繊維を用いて低密度の紙に抄
紙すると気密度は低く、叩解を進めたセルロース繊維を
用いて密度を高く抄紙すると気密度を高くすることがで
きる。セルロース繊維の叩解の程度がJIS P812
1に規定するCSF(カナダ標準形口水度、Canad
ian Standard Freeness、以下、
JIS法CSFという)の値で770mlとほとんど叩
解していないバージンパルプを用いて、密度を0.3g
/cm3、厚さ50μm程度の紙を抄紙すれば、気密度
を約1秒/100ccにコントロールすることができ、
JIS法CSFの値で400ml程度まで叩解を進めて
抄紙すれば、同一厚さの紙であっても叩解を進めること
によって、密度を0.3g/cm3から0.55g/c
3に高めることができ、気密度を数百秒/100cc
にコントロールすることができる。
【0010】そこで、叩解を高度に進めていけば気密度
を数千秒/100ccから数万秒/100ccまで、あ
るいはそれ以上までコントロールすることが可能ではな
いかと考えられる。しかしながら、ある程度以上叩解を
進めた原料を使用した場合、紙の表裏間の貫通孔が存在
しなくなってしまい、従来の紙では電池用セパレータと
して要求されている1000秒/100cc以上の気密
度をコントロールすることはできなかった。これはJI
S法CSFの値で約200mlより叩解を進めて抄紙を
すると、繊維間の空隙がなくなってしまい、紙にはもは
や貫通孔が存在しなくなり、気密度は無限大となって実
際上測定できなくなるからである。これは紙が自己接着
力をもつセルロースで製造されることに起因する避け難
い性質である。
【0011】一般に繊維径が小さいほど水の表面張力に
よる湿紙中の繊維間に働く力は大きくなる。このことは
キャンプベル効果(Campbell効果)として知ら
れている。キャンプベルの試算によると繊維径30μm
の繊維間の引力は6.1Kg/cm2、であるのに対
し、繊維径2μmでは繊維間の引力は38Kg/cm2
となり、更に繊維径0.2μmとなると繊維間の引力は
174Kg/cm2になる。高度に叩解された植物繊維
は繊維径が元の大きさに比べ小さくなっており、その繊
維間に働く力も大きく、繊維間の距離も小さくなってい
る。そこで、湿紙の状態から乾燥工程に入ると水が蒸発
し、このとき水の表面張力が大きいため、隣同志の繊維
を強力に引き付ける。繊維間距離が小さくなるとワンデ
ルウァールス力が働き、更に繊維相互を引き付け、つい
には水素結合により密着することとなり、繊維間の空隙
が減少してしまう。そのため、JIS法CSFの値で2
00ml以下に叩解を進めると得られた紙の繊維間の空
隙がなくなってしまうため、気密度が測定できなくなる
のである。一方、叩解の程度が浅く大きな繊維の形状が
保持されている場合には、繊維の接触点で水素結合が発
生しても全体としてみると空隙が多く存在するのであ
る。
【0012】また、JIS法CSFの値で200mlに
到る前に、JIS法CSFの値の微調製を試みることに
よっても、1000秒/100cc以上の気密度をコン
トロールすることはできない。上記したように、繊維径
が小さくなると、繊維間に働く力が急激に大きくなる。
しかもセルロース繊維を叩解するとセルロース繊維は1
/2や1/3に段階的に開裂して行くのではなく、直径
0.4μm程度のフィブリルが繊維の外部から段階的に
ひげ状に発生して行く。即ち、叩解の程度は0.4μm
のフィブリルの発生状況のことであり、叩解が進むこと
はフィブリルの比率が増加することを示している。一
方、基となるセルロース繊維、例えば針葉樹パルプの繊
維は長径40μm、短径10μm程度の楕円形であり、
マニラ麻パルプの繊維は直径20μm程度のほぼ円形で
ある。そのため、叩解の程度はマニラ麻パルプであれ
ば、直径20μmの繊維と、直径0.4μmのフィブリ
ルの比率の変化として捉えることができる。よって、J
IS法CSFの値で200mlに到る前の微妙なJIS
法CSFの値の調製で気密度をコントロールすることは
できないのである。また、試みたとしても目標値に対
し、±数千秒〜数万秒/100ccのバラツキが発生す
ることとなると考えられる。
【0013】そのため、叩解の程度を調節することによ
って、気密度として数百秒/100ccの紙を製造する
ことはできても、1000〜数万秒/100ccの気密
度をコントロールしながら製造することはできなかっ
た。
【0014】また、もう一つの気密度を高くする方法と
して紙を厚くする方法がある。理論的には空気の通過す
る距離が長くなればなるほど気密度は高くなり、紙を厚
くすれば高気密度の紙を製造することが可能である。し
かし、電池用セパレータ等の工業材料として使用するた
めにはできるだけ薄い方が良い。例えばリチウムイオン
電池のセパレータとして使われている多孔質フィルムは
25μmが一般的であり、電解コンデンサに使われるセ
パレータは15〜90μmが主に使われており、これよ
り厚いものは実際上使用することができない。特に現在
ではより高容量化、小型軽量化が望まれており、従来よ
り更に薄くすることが期待されている。よって、工業材
料として要求される100μm以下の厚さの範囲では、
厚さを調整することによって、或は叩解の程度と厚さの
調整を併用することによって気密度を1000秒/10
0cc以上でコントロールすることはできなかった。
【0015】そのため、現在は多孔質で高気密度が要求
される電池用セパレータや各種フィルタ等の工業材料と
しては前記した多孔質フィルムが使用されているのであ
る。この多孔質フィルムは気密度が数千秒/100cc
から数万秒/100ccのものを得ることができるので
ある。
【0016】多孔質フィルムの原料として石油系樹脂の
熱可塑性樹脂や酢酸セルロースのようなセルロース誘導
体が使われている。石油系樹脂の熱可塑性樹脂としてポ
リエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)が主に
使われている。これらの樹脂は耐薬品性には優れている
もののPEの耐熱温度は高くても120℃、PPの耐熱
温度は160℃であり、耐熱性に乏しい。一方、セルロ
ース誘導体である酢酸セルロースは230℃近辺までの
耐熱性を有しているものの、酢酸、アセトンなどの薬品
に溶解するため、耐薬品性に乏しい。このためセルロー
ス誘導体の多孔質フィルムは電池用セパレータとして使
用することができない。このように多孔質フィルムには
耐薬品性に優れていれば耐熱性に乏しく、耐熱性に優れ
ていれば耐薬品性に乏しく、両者を合せ持つものがなか
った。また、多孔質フィルムは原料とする熱可塑性樹脂
が高価であり、製造工程も複雑であることから製造単価
を引き下げることが困難である。
【0017】一方において、製品となった電池などの工
業製品からは安全性向上のため更なる耐熱性を持ったセ
パレータ等の開発が期待されている。例えば、リチウム
イオン電池ではリチウム金属の発火温度である190℃
以上でも形態を保持するセパレータが求められている。
現在、このような要求に応える耐熱性を有する多孔質フ
ィルムは存在しない。また、PE、PPいずれにしても
石油系資源であり、昨今の環境に対する配慮から新たな
素材が求められている。
【0018】上記した従来の抄紙法による紙と、石油系
樹脂の熱可塑性樹脂から製造した多孔質フィルムの特性
を比較検討した結果を表5に示す。
【0019】
【表5】
【0020】表5に示すように、素材としてのセルロー
スは230℃までの耐熱性を有しており、セルロースを
溶かす薬剤が今も探索されていることからも分るように
薬品に対して安定であり、耐熱性も耐薬品性を合せ持っ
ていると言える。一方、多孔質フィルムは本質的に耐熱
性、耐薬品性に欠けている。そこで、叩解の程度を進め
た原料で製造され、気密度が無限大となって測定不能と
なる高密度紙を多孔質のものとすることができれば、従
来不可能とされていた高気密度であって低密度の紙を得
ることができる。即ち、叩解を進めた原料を使用して
も、空気が通過することのできる微細な貫通孔を有する
紙を製造することができれば、高気密度であって低密度
の紙を得ることができるのである。この高気密度であっ
て低密度の紙によれば、気密度を高いレベルでコントロ
ールすることができ、従来の気密度を上げると密度が高
くなって電気特性が悪く、密度を下げて電気特性を良く
すると気密度が下がり緻密性に欠けることとなり、気密
度と電気特性を同時に満足させることが困難であった紙
の欠点を解消することができる。更に、多孔質フィルム
が耐熱性の不足により使用できなかった分野への利用
や、従来使用されていた製品の安全性の向上に寄与する
ことができ、同時に石油資源の利用から再生産可能な天
然資源への利用へと転換を図ることができて望ましい。
【0021】そこで、本発明は上記従来の事情に基づ
き、耐熱性、耐薬品性に優れた再生産の可能な天然資源
であるセルロースを原料として、微細な貫通孔を有する
多孔質で低密度であるとともに、緻密性を有して気密度
が高い新規な多孔質高気密度紙、具体的には厚さが10
0μm以下、気密度が1000秒/100cc以上の多
孔質高気密度紙を提供することを課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を達成
するために、繊維径が1μm以下の微細なセルロースを
原料として湿紙を製造し、該湿紙に存在する空隙構造を
保持したまま乾燥させることにより、微細な貫通孔を有
する構成の多孔質高気密度紙及びその製造方法を基本と
して提供する。また、湿紙は原料を水に分散させて抄紙
し、又は原料を水より表面張力の小さい有機溶媒に分散
させて抄紙する。湿紙中の水分は水と相溶性のある表面
張力の小さい溶媒と置換し、又は凍結乾燥させることに
より乾燥させる。また、湿紙中の有機溶媒は揮発させる
ことにより乾燥させる。湿紙は原料をキャスティング製
膜することもできる。微細なセルロースとしてはセルロ
ース繊維をJIS法CSF(JIS P8121)の値
で200ml以下に叩解したセルロース、或は変法CS
F(JIS P8121に規定する測定法において、試
料3gを試料0.3gとして測定する)の値で700m
l以下に叩解したセルロースを使用する。また、微細な
セルロースとしてセルロース繊維を高圧下剪断力で解繊
したマイクロフィブリル化セルロースを使用することも
できる。そして、得られた多孔質高気密度紙は厚さが1
00μm以下、気密度が1000秒/100cc以上が
好ましい。
【0023】上記本発明によれば、湿紙の状態において
セルロース繊維間の空隙構造に保持された水を溶媒置換
又は凍結乾燥によって乾燥し、或はセルロース繊維を有
機溶媒に分散させて抄紙することにより湿紙を製造し、
湿紙中の有機溶媒を揮発させることにより乾燥させるた
め、従来の抄紙法のように湿紙からの乾燥工程で水が蒸
発するときに隣同志の繊維を強力に引き付けて水素結合
により密着することがない。そのため、繊維径が1μm
以下の微細なセルロース繊維を原料として、高気密度で
あって多孔質の紙を、厚さを厚くすることなく得ること
ができる。具体的には厚さが100μm以下、気密度が
1000秒/100cc以上の多孔質高気密度紙を得る
ことができる。しかも、セルロース繊維を原料とするた
め、現在の工業紙に要求されている耐熱性、耐薬品性を
大幅に向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる多孔質高気
密度紙及びその製造方法の各実施形態を説明する。本発
明は繊維径が1μm以下の微細なセルロースを原料とし
て湿紙を製造し、該湿紙に存在する空隙構造を保持した
まま乾燥させることにより、微細な貫通孔を有すること
に特徴を有する。
【0025】従来の抄紙法においても、原料としてのセ
ルロース繊維の叩解を進めていくと得られる紙の気密度
は高くなるが、前記したようにJIS法CSFの値で約
200ml以下に叩解を進めて抄紙をすると、繊維間の
空隙なくなってしまい、紙には貫通孔がもはや存在しな
くなり、気密度は無限大となって実際上測定できなくな
ってしまう。しかしながら、その場合であっても湿紙の
状態においては空隙構造を有する。即ち、乾燥した紙に
は貫通孔が存在しなくても、乾燥前の湿紙には貫通孔が
存在する。乾燥することによって、水分が蒸発し、セル
ロース繊維相互の水素結合によって空隙が癒されて貫通
孔が存在しなくなるが、湿紙の状態ではどんなに叩解の
程度を進めたとしても水分が保持されている空隙が存在
するのである。例えば、JIS法CSFの値で約200
ml以下まで叩解を進めて抄紙したとしても、湿紙の状
態ではプレスすることにより脱水することができる。こ
のことは湿紙中に連続した水の流路が存在することを示
しているに他ならない。本発明は乾燥時における湿紙の
空隙構造に与える水の影響を極力小さくすることによっ
て、この湿紙状態の空隙構造、即ち水の流路を保持した
まま乾燥させて、微細な貫通孔を有する多孔質高気密度
紙を提供するものである。
【0026】先ず、本発明は高気密度の紙を得ることを
目的とするため、繊維径が1μm以下の微細なセルロー
スを原料とする。繊維径が1μm以下の微細な繊維でな
ければ1000秒/100ccの高気密度を実現する緻
密性を得ることができないためである。具体的には高度
に叩解したセルロース、或はマイクロフィブリル化セル
ロース(MFC)を使用する。高度に叩解したセルロー
スは、基のセルロースの繊維の形状が破壊されて、外部
フィブリル化が進み、直径0.4μm程度のフィブリル
の占有率が高くなっているものであり、繊維径としては
1μm以下のものである。なお、本発明でいう繊維径が
1μm以下の微細なセルロースは、フィブリルの占有率
が高いもの、即ちフィブリルが繊維の主たる要素となっ
ていればよく、フィブリルだけのものと共に、一部にフ
ィブリル化されていない繊維径1μmを越える基の繊維
が残存しているものであってもよい。
【0027】前記したようにセルロース繊維を叩解する
とセルロース繊維は1/2や1/3に段階的に開裂して
行くのではなく、直径0.4μm程度のフィブリルが繊
維の外部から段階的にひげ状に発生して行く。従って、
天然セルロース繊維を叩解或は他の手段によって、開裂
させて繊維径を小さくすることはできないのである。叩
解の程度は0.4μmのフィブリルの発生状況のことで
あり、叩解が進むことはフィブリルの比率が増加するこ
とを示している。本発明ではこのフィブリルの占有率の
高い微細な天然セルロースを原料とするものである。因
に天然セルロース繊維で繊維径の小さいものとしてエス
パルト繊維があるが、このエスパルト繊維でも繊維径は
10μm程度である。
【0028】使用するセルロースそのものには限定がな
く、針葉樹木材パルプ、広葉樹木材パルプ、エスパルト
パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、コットン
パルプ等の天然セルロース繊維、或はこれら天然セルロ
ース繊維を冷アルカリ処理して得たマーセル化パルプ、
更には普通レーヨン繊維、ポリノジックレーヨン繊維、
有機溶剤紡糸レーヨン繊維等の再生セルロース繊維など
のいずれでもよい。なお、使用するセルロースは洗浄・
脱水・除塵など公知の方法で不純物を除去しておく。
【0029】これらのセルロースを繊維径が1μm以下
の微細なセルロースとするための手段の一つとして、J
IS法CSFの値で200ml以下に、或は変法CSF
の値で700ml以下まで高度に叩解を行う。通常、叩
解の程度はJIS法CSF(JIS P8121)の値
で測定される。しかしながら、本発明ではより正確に気
密度をコントロールするための叩解の程度の基準とし
て、JIS法CSFとともに、JIS法CSFの変法と
して、変法CSFにより叩解の程度を特定する。そこ
で、JIS法CSFの内容及び本発明で基準とする変法
CSFの内容について以下に説明する。
【0030】〔JIS法CSF〕JIS P8121に
規定されている測定手段である。先ず測定するパルプ3
gを水で良く離解して正確に1000mlの試料液と
し、この試料液を図7(A)に示すカナダ標準型フリー
ネステスターのロ水筒31に入れて上蓋32を閉める。
次に下蓋33を開けて、上蓋のコック34を開けると、
ロ水筒31の下部に配置された80メッシュの網35を
通じてロ水が流れ出る。このとき80メッシュの網35
上には繊維がマット状に堆積して行く。試料液はこのマ
ット状の繊維間を通過して、ロ水としては図7(B)に
示すロ水筒31の下方に位置する漏斗36に入り下部排
出口37から流出する。このとき漏斗36へ一度に多く
のロ水が入れば、ロ水は排出口37だけでなく、漏斗3
6の横に取付けた側管38からも排水される。この側管
38からの排水をメスシリンダーに受け、この排水の量
をもってCSFの値とする。なお、図7(C)は架台3
9を示すものであり、上台40にロ水筒31を載置し、
下台41に漏斗36を載置して、ロ水筒31と漏斗36
の高さと中心を合わせて測定するものである。
【0031】CSFの値は1000mlの試料液がロ水
筒31からロ水として漏斗36に一度に流入する量によ
って決定される。漏斗36に一度に多量のロ水が流入し
た場合は、下部排出口37から全量を排出することがで
きず、溜ったロ水が側管38からあふれ出ることとな
る。一方、ロ水が少しずつ流出すると全量が下部排出口
37から排出されることとなり、側管38から流出する
ことはない。この場合CSFは0mlとなる。また、叩
解の程度が浅いとマット状の繊維間を水が通過すること
ができ、ロ水の量が多く流入速度も早いため、CSFの
値が高くなる。一方、叩解の程度が高いとマット状の繊
維間を水が通過しにくくなり、ロ水の量が減り流入速度
も遅くなるため、CSFの値が低くなるのである。
【0032】JIS法CSFではパルプの採取量を3g
と規定している。この方法は叩解度の低いパルプを想定
しており、低気密度紙を抄紙するには、JIS法CSF
は叩解の程度の変化が値として判り易くて都合が良い。
しかしながら、高気密度の紙を抄紙するため叩解を進め
ていくと、ある時点からJIS法CSFの値が0mlと
なって、叩解の進行度を把握することができなくなる。
本発明の課題とする多孔質高気密度紙を得るためにはJ
IS法CSFで規定する0ml前後からそれ以降の原料
叩解が重要である。そこで、本発明では、高度に叩解を
進めた原料の叩解の程度をより正確に測定するために、
JIS法CSFを基準として次のような変法を用いた。
【0033】〔変法CSF〕JIS P8121に規定
する方法を基本とし、パルプ量のみを3gから0.3g
に変更して測定した。採取パルプの量以外は全てJIS
法CSFと同様とした。
【0034】この変法CSFによれば、高度に叩解を進
めた原料であっても叩解の程度の差をCSFの値として
捉えることができる。このJIS法CSFによる測定値
と変法CSFによる測定値を比較検討するため、図1に
叩解を進めたときのJIS法CSFと変法CSFの値の
変化をグラフとして示すと共に、図2に縦軸に変法CS
Fの値を、横軸にJIS法CSFの値を取って、両者の
関係をグラフとして示す。図1に示すように、変法CS
Fで700mlの値は、JIS法CSFで略200ml
の値となり、変法CSFで300mlの値はJIS法C
SFでは0mlとなって、もはや叩解の程度をCSFの
値として測定することができない。また、図2に示すよ
うに叩解の浅い初期の段階、即ちJIS法CSFの値で
200ml以上の状態(200〜800ml)ではJI
S法CSFの測定値が大きく変化するのに対し変法CS
Fの値の測定値は変化が乏しい。この段階ではJIS法
CSFの方が叩解の深浅の程度を把握しやすい。逆に、
叩解が進んだ段階、即ちJIS法CSFで200ml以
下の値となると、変法CSFでの測定値の方が変化が大
きくなって捉らえやすくなる。一方、JIS法CSFの
値では0mlになった場合においても変法CSFの値で
は300mlであり、更に叩解を進めた場合JIS法C
SFでは測定不可能であるが、変法CSFでは叩解の程
度を数値として測定することができる。
【0035】変法CSFの値は図2中の換算式を用いる
ことにより、JIS法CSFの値から換算することがで
きる。なお、換算式は図2に示すように、JIS法CS
Fの値で、200ml以下の値、200〜600mlの
範囲の値、600〜800の範囲の値の3種類のゾーン
にて係数を異にしている。なお、表3においてrは相関
係数であり、JIS法CSFの値から換算式によって求
めた変法CSFの値が実際の値と一致していることを示
している。
【0036】変法CSFではパルプ量をJIS法CSF
の1/10である0.3gとすることによって、パルプ
の絶対量の減少と共に、料試料液の濃度が低下すること
となり、ロ水の流入量が増加し流入速度も大きくなる。
そのため、JIS法CSFに比較してCSFの値が高く
なるのである。例えばJIS法CSFの値で0mlまで
叩解したパルプではJIS法CSFの測定方法である3
gで測定すると、試料液の粘度が高くなり、80メッシ
ュの網35の上に小量で緻密なマット状の繊維が形成さ
れて、ロ水の流出が止まってしまうため、それ以上に叩
解を進めたパルプのCSFの測定を行うことができなく
なる。これに対し、変法CSFの0.3gでは試料液の
粘度が低く、80メッシュの網35の上にマット状の繊
維が形成される前に一定量のロ水がロ水筒31から漏斗
36に流入するため、側管38からあふれ出たロ水の量
を測定することができ、JIS法CSFで0ml以下に
更に叩解を進めたパルプのCSFの値を変法CSFとし
て測定できるのである。
【0037】そこで、フィブリルを発生させて本発明に
おける繊維径が1μm以下の微細なセルロースとするた
めには、JIS法CSFの値で200ml以下に、或は
変法CSFの値で700ml以下まで高度に叩解を行う
必要があり、更に求める高気密度に応じて変法CSFの
値で700ml〜0mlまでの叩解を行う。
【0038】また、叩解することなく、繊維径が1μm
以下の微細なセルロースとしてセルロース繊維を高圧下
剪断力で解繊したマイクロフィブリル化セルロース(M
FC)を使用することもできる。MFCとしては商品
名:ダイセル化学株式会社製のセリッシュKY−110
Sが市販されている。更に、現在工業的に使用はされて
いないが、バクテリアセルロースを使用することもでき
る。バクテリアセルロースとはバクテリアが生産するセ
ルロースのことで、繊維径が数nm(ナノメーター)〜
数十nmである。
【0039】これら所定の叩解を行った繊維径が1μm
以下の微細なセルロース或はマイクロフィブリル化セル
ロース等からなる原料を水に分散させて、抄紙機上で抄
紙を行うことにより、湿紙を製造する。抄紙機として
は、繊維径が1μm以下の微細なセルロースであるため
長網抄紙機を用いる。なお、製造した多孔質高気密度紙
の強度向上のため叩解の浅い原料を用い円網抄紙機で抄
紙したものを抄き合せる長網円網コンビネーションマシ
ンで抄紙することも有効であるが、少なくとも1層は高
度に叩解した原料を長網抄紙機で抄紙した湿紙が含まれ
ていることが必要である。
【0040】更に、湿紙を製造する手段として抄紙機を
使用することなく、平板上に原料としてのセルロース繊
維の水系ドープ液をドクターブレード等でキャスティン
グして湿紙としての膜を形成することもできる。本発明
における湿紙はキャスティング製膜による湿膜を含むも
のである。
【0041】このようにして製造した湿紙中には、変法
CSFの値で700ml〜0mlに叩解した繊維径が1
μm以下のフィブリル化した微細なセルロースを原料と
していても、水の存在するセルロース繊維間の空隙構造
を有している。本発明はこの湿紙中の空隙構造を保持し
たまま乾燥させるものである。そのために、湿紙中の空
隙構造に保持された水を表面張力の小さい他の溶媒で置
換して乾燥させる。この溶媒置換乾燥に用いる溶媒とし
ては水と相溶性があり、表面張力の小さいものが適して
いる。一般にはメチルアルコール、エチルアルコール、
イソプロピルアルコールなどのアルコール類やアセト
ン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが適してい
る。また、置換は浸漬・プレス脱液あるいは噴霧・脱液
等の方法で行う。目的とする気密度により、置換操作は
1回もしくは複数回行う。溶媒置換は抄紙機上で行って
もよいし、湿紙のまま巻き取り別途行ってもよい。な
お、製造された湿紙は溶媒置換の前に予め、プレスロー
ルにより余分な水分を脱水しておくとよい。
【0042】上記した溶媒置換乾燥に代えて、凍結乾燥
を採用することもできる。この凍結乾燥は湿紙を凍結さ
せた後に、減圧下の条件で凍結した水分を昇華させて乾
燥させる方法である。なお、本発明において凍結後、減
圧下で凍結した氷を昇華させるのは、凍結した水分が再
度融け、水の状態になった後に乾燥したのでは水の影響
によるセルロース繊維相互の水素結合を防止して湿紙の
空隙構造を維持できないためである。
【0043】溶媒置換された湿紙中、或は凍結乾燥した
湿紙中に残っている溶媒及び水は乾燥することにより取
り除く。乾燥は従来のドラム式ドライヤーでもよいし、
送風や赤外線などを用いることもできる。
【0044】更に本発明では湿紙を製造するのに水を当
初から使用せずに、繊維径が1μm以下の微細なセルロ
ースを水より表面張力の小さい有機溶剤に分散させて、
抄紙又はキャスティング製により湿紙を製造し、該湿紙
中の有機溶剤を揮発・乾燥させることにより、湿紙に存
在する空隙構造を保持したまま乾燥させるようにしても
よい。
【0045】また、本発明にかかる多孔質高気密度紙を
電池用セパレータや、電解コンデンサ用セパレータ、各
種フィルタとして使用する場合は、求められる電気特
性、あるいはフィルタとして求められるロ過特性に応じ
てセルロース繊維に無機フィラーを添加することが有効
である。これは無機フィラーとセルロースはもともと水
が介在しても水素結合を形成せず、湿紙中の空隙が大き
いため、電気特性やロ過特性が改善されるためと考える
ことができる。
【0046】以上説明した原料、湿紙製造方法、乾燥方
法、紙の厚さ、密度等の組合わせにより気密度をコント
ロールして多孔質高気密度紙を製造することができる。
得られた多孔質高気密度紙は湿紙の状態のときの空隙構
造をそのまま維持しているため、微細な貫通孔を有して
おり、原料となるセルロース繊維の叩解の程度等に応じ
て高気密度を有する。また、原料としてのセルロース繊
維の叩解の程度をJIS法CSFで200ml以下、変
法CSFの値で700〜0mlとしても、叩解の程度に
応じて微細な貫通孔を維持しており、気密度が無限大と
なることはない。即ち、従来製造できなかった厚さが1
00μm以下の紙で、1000秒/100ccの気密度
を有する多孔質高気密度紙を得ることができた。
【0047】次に本発明にかかる多孔質高気密度紙の製
造方法について説明する。先ず、原料となるセルロース
繊維をビーターあるいはダブルディスクリファイナー等
の製紙用叩解機で所定のJIS法CSF又は変法CSF
の値まで叩解し、これを原料紙料2として図4に示すよ
うに長網インレット1に収納し、長網インレット1の下
部で回転する長網ワイヤー3の表面に供給して、長網ワ
イヤー3の表面に連続した湿紙4を形成する。形成され
た湿紙4はウェットフェルト5に移送されて搬送され、
プレスロール6にて過剰の水分が取り除かれる。その後
所定の溶媒8を収納した第1の溶媒バット7に湿紙4を
浸漬して、湿紙4中の水分と溶媒8を置換し、その後プ
レスロール9により余分な溶媒8を取り除いて、再び溶
媒8が収納された第2の溶媒バット10に湿紙4を浸漬
して、湿紙4中に残存る水分と溶媒8を置換する。その
後プレスロール11により余分な溶媒8を取り除くと共
に、ドライフェルト12に移送されて搬送され、蒸気あ
るいは熱媒体によって加熱された円筒形状のドライヤー
13の外表面に接触して乾燥させて、巻取ロールに巻き
取られて多孔質高気密度紙14が製造される。この乾燥
工程において、セルロース繊維を水素結合させて空隙構
造を癒してしまう水分が存在せず、溶媒に置換されてい
るため、乾燥後にも湿紙の空隙構造がそのまま維持され
た多孔質で高気密度の紙を製造することができる。この
図4の例では長網抄紙機で抄紙後に抄紙機上で溶媒置換
し、乾燥させて巻き取る例である。
【0048】図5は湿紙4を溶媒に浸漬することに代え
て、湿紙4上に溶媒8を噴霧することによって、湿紙4
中の水分と溶媒を置換するものである。前記図4と同一
構成の部分については同一の符号を付して説明を省略す
る。なお、図5は図4と同様の長網抄紙機で抄紙された
湿紙4を乾燥することなく巻き取り(ウエットワインデ
ィング)、長網抄紙機とは別の機械で溶媒置換する例を
示している。即ち、ロール状に巻き取られた湿紙4はウ
ェットフェルト5に移送されて搬送され、プレスロール
6で過剰な水分が取り除かれ、その後湿紙4上に溶媒8
が第1の溶媒噴霧器16により噴霧されて、湿紙4中の
水分と溶媒8が置換される。噴霧された溶媒8は吸引脱
液装置17によって吸引脱液されると共に、湿紙4から
過剰な溶媒がプレスロール9にて取り除かれ、再び溶媒
8が第2の溶媒噴霧器液18により噴霧され、湿紙4中
に残存する水分と溶媒8が置換される。噴霧された溶媒
8は吸引脱液装置19によって吸引脱液されると共に、
その後湿紙4から過剰な溶媒がプレスロール11にて取
り除かれる。以後は図4の例と同様である。このように
溶媒置換は抄紙機上で行ってもよいし、又別途行っても
よい。なお、図4における浸漬による溶媒置換、及び図
5における噴霧による溶媒置換は2回行ったが、その回
数は溶媒の種類や、原料、製造された湿紙等に必要に応
じて選択するものである。
【0049】次に図6は溶媒置換に代えて、凍結乾燥に
よって湿紙中の空隙構造を保持したまま乾燥する例を示
すものである。先ず湿紙4を冷凍庫21内にて−70℃
の温度で凍結させて凍結湿紙4aとする。次に凍結湿紙
4aを凍結乾燥器22内に収納し、凍結乾燥器22内の
空気を脱気して減圧する。減圧によって凍結湿紙4a中
の水分が凍結した氷が昇華して脱水されて、多孔質高気
密度紙14aが製造される。尚、昇華を促進するために
凍結乾燥器22内に昇温棚23を設置して、該昇温棚2
3に凍結湿紙4aを載置することが好ましい。なお、こ
の際、凍結した氷が水に戻ることなく、氷から昇華する
ことで乾燥することが肝要である。
【0050】従来の抄紙法では本発明に規定するほど叩
解した原料を抄紙し乾燥する場合、多筒式のドライヤー
が必要であるが、本発明のように湿紙中の水分を溶媒置
換したものを乾燥する場合は、単筒式のドライヤーで十
分である。これは従来の抄紙法では乾燥時の水分が蒸発
する際、メニスカスの後退と同時に繊維を引きつけ合
い、これがヒジワ(乾燥ジワ)となるため多筒式ドライ
ヤーにより徐々に乾燥する必要があるからである。本発
明の場合、乾燥時には、ヒジワ(乾燥ジワ)の原因とな
る水分がないため、又使用した溶媒が容易に飛散するた
め単筒式のドライヤーにより乾燥を行うことができる。
更に、ドライヤーも従来のドラム式ドライヤーに限定す
ることなく、赤外線ドライヤーや送風ドライヤーなど各
種の乾燥方法が利用できる。
【0051】
【実施例】そこで、本発明にかかる多孔質高気密度紙の
具体的な各種実施例と、比較のために製造した従来品の
比較例を示す。各実施例および比較例の各測定値は次の
方法で測定したものである。なお、JIS法CSF及び
変法CSFの測定法法は前記した通りである。
【0052】(1)厚さ,密度 旧JIS C2301(電解コンデンサ紙)に規定され
た方法で測定した。
【0053】(2)気密度 気密度に関してはJIS C2111(電気絶縁紙試験
方法)に規定する“12.1 気密度”の項に従い、B
型試験器(ガーレーデンソメータ)によって測定した。
但し穴の部分の直径が6mmであるアダプターを使用し
た。
【0054】[実施例1]実施例1は木材パルプ(NU
KP:針葉樹未晒クラフトパルプ)をダブルディスクリ
ファイナーを用いて変法CSFの値で50mlまで高度
に叩解したものを水に分散させて、長網抄紙機により湿
紙を抄紙し、プレスロールにて過剰な水分を取り除いた
後にロール状に巻き取った。このロール状の湿紙を繰り
出して図4に示すように、エチルアルコールに浸漬して
湿紙中の水分とエチルアルコールとを置換する作業を2
度繰り返した後に、ドライヤーでエチルアルコール及び
残渣としての水を乾燥させて、厚さ30.3μm、密度
0.508g/cm3の多孔質高気密度紙を得た。
【0055】[比較例1,2]実施例1における湿紙中
の水分をエチルアルコールで溶媒置換することなく、通
常の抄紙法におけるドライヤーで乾燥させてたものであ
り、厚さは20.8μm、密度0.745g/cm3
なった。比較例2は実施例1と略同一厚さ、同一密度と
するために、実施例1の原料の叩解の程度を変法CSF
の値で780mlとして、円網抄紙機で湿紙を製造し、
該湿紙中の水分をエチルアルコールで溶媒置換すること
なく、通常の抄紙法におけるドライヤーで乾燥させたも
のであり、厚さは30.2μm、密度0.513g/c
3となった。これら実施例1と比較例1,2の気密度
等を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】実施例1は原料セルロースとして未晒しク
ラフトパルプを使用しているため、本来ならば茶色の外
観を呈するはずであるが、実際の外観は色目も白く、不
透明感があった。このように白く不透明感があるのは溶
媒置換乾燥を行っているために、湿紙中に存在した空隙
構造がそのまま紙層内に残存しているため、光を乱反射
するためである。実施例1の気密度は3250秒/10
0ccであって、極めて緻密ではあるが、空気が通り抜
けることから貫通孔が存在していることが分る。従来製
造できなかった1000秒/100cc以上の実現して
いる。しかも、厚さは30.3μmであり、密度も0.
508g/cm3と変法CSFの値で50mlと高度に
叩解しているにもかかわらず、比較例1より格段に低密
度となっている。容較例1は溶媒置換を行っていないた
め、実施例1と同じ湿紙から製造したにもかかわらず、
厚さが20.8μmであって、実施例1より薄くなり、
密度も0.745g/cm3と高くなって、色は茶色で
フィルム状になっている。また、貫通孔が存在せず気密
度も∞となって測定することができない。実施例1と比
較例1は原料調成が同じ原料であるが、抄紙された紙の
厚さ、密度には大きな差がある。これは溶媒置換を行わ
なかった比較例1が乾燥の際、表面張力の大きい水が蒸
発し繊維同志をひき付け合い、繊維間に強固な結合がで
きたのに対し、溶媒置換した実施例1は水の蒸発に伴う
繊維間のひき付け合いが無く、密度の低い紙となったた
めである。よって、実施例1によれば、叩解の程度を進
めた原料を使用しても貫通孔を有する多孔質で低密度で
あるとともに、緻密性を有して高気密度の紙を得ること
ができている。
【0058】そこで、実施例1と略同じ厚さと密度であ
る比較例2を実施例1を比較すると、比較例2の気密度
は2.5秒/100mlであって、貫通孔は存在する
が、緻密性がないことが判る。よって、目的とする気密
度を達成することができない。これは表面張力の大きい
水が乾燥時に蒸発することにより、繊維間を引合うが、
原料叩解が浅いため繊維径が大きく、繊維同志の密着度
が低いためである。
【0059】[実施例2〜6]次に、叩解の程度を変法
CSFの値で700ml〜50mlまで段階的に変化さ
せたマニラ麻パルプを原料として、長網抄紙機により湿
紙を製造し、該湿紙にアセトンを噴霧して湿紙中の水分
とアセトンとを置換する作業を2度繰り返した後に、ド
ライヤーでアセトン及び残渣としての水を乾燥させて、
実施例2〜6の多孔質高気密度紙を得た。この実施例2
〜6の厚さ、密度、気密度等を表2に、叩解の程度と気
密度との関係をグラフ化したものを図3に示す。
【0060】
【表2】
【0061】表2に示すように、実施例2〜6は厚さ5
0μm前後、密度0.500g/cm3前後であって、
いずれも1000秒/100cc以上の気密度を実現し
ている。実施例2は変法CSFの値で700ml(JI
S法CSFで200ml)まで叩解した原料を使用した
ものであり、その気密度は1100秒/100ccの気
密度である。変法CSFの値700ml(JIS法CS
Fで200ml)まで叩解を進めると基のセルロースの
繊維の形状が破壊されて、外部フィブリル化が進み、直
径0.4μm程度のフィブリルの占有率が高くなってい
るものであり、1000秒/100cc以上の気密度を
実現するためには、基のセルロース繊維の形状が無くな
るまで、即ち変法CSFの値700ml(JIS法CS
Fで200ml)まで叩解する必要があることが判る。
【0062】また、実施例6は変法CSFの値で50m
l(JIS法CSFでは測定不可)まで叩解しており、
気密度は7000秒/100ccである。よって、従来
気密度が測定不可能な無限大となるJIS法CSFの値
で200ml以下まで叩解を進めても、貫通孔が存在し
ていることが判る。このように本発明によれば、叩解の
程度を進めても多孔質を維持することができて、気密度
が無限大となることがないため、1000秒/100c
c以上の気密度をコントロールすることができるのであ
る。更に高気密度の紙が要求されれば原料叩解を進めた
り、厚さを厚くしたり、密度を高くしたりすることで容
易に製造することが可能である。なお、叩解が進むにつ
れ紙に不透明感が強く表れてくる。これは叩解が進むに
つれ繊維間の空隙が小さくなり光の散乱が多くなり不透
明感が強くなるからと考えられる。
【0063】図3は実施例2〜6の叩解の程度と気密度
との関係をグラフ化したものであり、横軸が叩解の程度
を、左軸が変法CSFの値を、右軸が気密度を示してい
る。例えば、変法CSFの値のグラフにおいて、実施例
2は左軸に示すように変法CSFの値が700mlであ
り、気密度を示すグラフにおいて実施例2は右軸に示す
ように1100秒/100ccである。図に示すよう
に、叩解が進むにつれ変法CSFの値が下がっている。
一方、気密度は叩解が進むにつれ高くなることが判る。
【0064】[実施例7,8]実施例7は実施例4と、
実施例8は実施例6と同じ原料を使用して、厚さを厚く
たしたものと、薄くしたものである。得られた多孔質高
気密度紙の厚さ、密度、気密度等を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】表3に示すように実施例7は変法CSFの
値が210mlの原料を使用して、厚さ95.8μmと
厚くすることにより、14000秒/100ccの気密
度を実現している。実施例8は変法CSFの値が50m
lと叩解を進めた原料を使用して、厚さを24.6μm
とすることにより、3000秒/100ccの気密度を
実現している。このように、叩解の程度や厚さを調整す
ることにより、1000秒/100cc以上の気密度を
コントロールすることができるのである。
【0067】[実施例9,10]実施例9,10は叩解
したパルプあるいはMFCを使用し、キャスティング法
で湿膜を形成、凍結乾燥あるいは送風乾燥した例であ
る。実施例9は変法CSFの値で30mlまで叩解した
クラフトパルプ(NUKP)を水に分散させ、平板上に
キャスティングして湿膜を形成して湿紙とし、該湿紙を
冷凍庫で凍結した後(庫内温度 −70℃、1時間)、
凍結乾燥器内の昇温棚に凍結した湿紙を載置し、0.1
mBarに減圧し、湿紙中の水分が凍結した氷を昇華さ
せて多孔質高気密度紙を得た。なお、昇華を速めるた
め、昇温棚を10℃前後に昇温させたが、このとき氷が
融け、液体の状態にならないように注意した。ほぼ12
時間で乾燥を終了した。実施例10はセルロースを水に
分散させるのではなく、MFC(ダイセル化学のMFC
・セリッシュKY−110S)をエチルアルコールに分
散させ、キャスティングにより湿膜を形成して湿紙と
し、該湿紙中のエチルアルコールを送風乾燥させて多孔
質高気密度紙を得た。なお、MFCをエチルアルコール
に分散させるためホモジナイザーを使用した。得られた
多孔質高気密度紙の厚さ、密度、気密度等を表4に示
す。
【0068】
【表4】
【0069】表4に示すように、実施例9は8000秒
/100ccの気密度を、実施例10は6000秒/1
00ccの気密度を実現している。よって、湿紙中の水
分を溶媒置換ではなく凍結乾燥によって乾燥させ、或は
水を使用することなく、有機溶媒中に分散させて湿紙を
製造して、該湿紙中の有機溶媒を乾燥させることによっ
ても本発明を実施できる。
【0070】
【発明の効果】以上詳細に説明した如く、本発明によれ
ば湿紙の状態においてセルロース繊維間の空隙構造に保
持された水を溶媒置換又は凍結乾燥によって乾燥し、或
はセルロース繊維を有機溶媒に分散させて抄紙すること
により湿紙を製造し、湿紙中の有機溶媒を揮発させるこ
とにより乾燥させるため、従来の抄紙法のように湿紙か
らの乾燥工程で水が蒸発するときに隣同志の繊維を強力
に引き付けて水素結合により密着することがない。その
ため、繊維径が1μm以下の微細なセルロース繊維を原
料として、高気密度であって多孔質の紙を、厚さを厚く
することなく得ることができる。具体的には厚さが10
0μm以下、気密度が1000秒/100cc以上の多
孔質高気密度紙を得ることができる。即ち、本発明にか
かる多孔質高気密度紙は叩解の程度を進めた原料を使用
しても、貫通孔が存在するため、低密度であるととも
に、緻密性を有して気密度が高いものである。外観的に
も白色で不透明感があり、このことは紙中に多くの空隙
を有していることを示している。このため電解液を含浸
させた時、イオンの通過に対する抵抗も小さい。また、
水、油やその他の溶媒に対する馴染みも良い。これは水
などの親水性溶媒についてはセルロース中のOH基によ
り、非水溶媒に対しては微細な貫通孔へ浸入するためで
ある。このような性質から電池用セパレータや電解コン
デンサのセパレータとして広く応用が期待される。ま
た、紙の表裏間に存在する貫通孔は小さく、低密度であ
り空隙率が高いため、フィルター用としての効果も大き
い。特に従来のフィルターは厚くすることで微細な粒子
を捕集していたが、本発明による多孔質高気密度紙によ
れば薄くても高捕集率のフィルタを実現することができ
る。
【0071】そのため、従来多孔質フィルムが使用され
ていた分野や、多孔質フィルムが耐熱性・耐薬品性で使
用できなかった、あるいは、多孔質フィルムの利用が可
能ではあるがコスト的に合わなかった分野において、再
生産可能な天然資源であるセルロースを使い耐薬品性・
耐熱性に優れた安価で緻密性をもった多孔質高気密度紙
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における変法CSFとJIS法CSFと
の関係を示すグラフ。
【図2】本発明における変法CSFとJIS法CSFと
の関係を示すグラフ。
【図3】変法CSFの値と気密度との関係を示すグラ
フ。
【図4】本発明にかかる多孔質高気密度紙の溶媒置換に
よる製造方法の一例を示す説明図。
【図5】本発明にかかる多孔質高気密度紙の溶媒置換に
よる製造方法の他例を示す説明図。
【図6】本発明にかかる多孔質高気密度紙の凍結乾燥に
よる製造方法を示す説明図。
【図7】叩解度の測定装置のロ水筒を示す説明図
(A)、漏斗を示す説明図(B)、架台を示す説明図
(C)。
【符号の説明】
1…長網インレット 2…原料紙料 3…長網ワイヤー 4…湿紙 4a…凍結湿紙 5…ウェットフェルト 6,9,11…プレスロール 7…第1の溶媒バット 8…溶媒 10…第2の溶媒バット 12…ドライフェルト 13…ドライヤー 14,14a…多孔質高気密度紙 16…第1の溶媒噴霧器 17…第1の吸引脱液装置 18…第2の溶媒噴霧器 19…第2の吸引脱液装置 21…冷凍庫 22…凍結乾燥器 23…昇温棚

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維径が1μm以下の微細なセルロース
    を原料として湿紙を製造し、該湿紙に存在する空隙構造
    を保持したまま乾燥させることにより、微細な貫通孔を
    有することを特徴とする多孔質高気密度紙。
  2. 【請求項2】 原料を水に分散させて抄紙することによ
    り湿紙を製造する請求項1記載の多孔質高気密度紙。
  3. 【請求項3】 原料を水より表面張力の小さい有機溶媒
    に分散させて抄紙することにより湿紙を製造する請求項
    1記載の多孔質高気密度紙。
  4. 【請求項4】 湿紙中の水分を水と相溶性のある表面張
    力の小さい溶媒と置換することにより、湿紙に存在する
    空隙構造を保持したまま乾燥させる請求項1又は2記載
    の多孔質高気密度紙。
  5. 【請求項5】 湿紙中の水分を凍結乾燥させることによ
    り、湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾燥させる
    請求項1又は2記載の多孔質高気密度紙。
  6. 【請求項6】 湿紙中の有機溶媒を揮発させることによ
    り、湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾燥させる
    請求項3記載の多孔質高気密度紙。
  7. 【請求項7】 抄紙に代えて、原料をキャスティング製
    膜することにより湿紙を製造する請求項2,3,4,5
    又は6記載の多孔質高気密度紙。
  8. 【請求項8】 微細なセルロースとしてセルロース繊維
    をJIS法CSFの値で200ml以下に叩解したセル
    ロースを使用する請求項1,2,3,4,5,6又は7
    記載の多孔質高気密度紙(但し、JIS法CSFの値は
    JIS P8121の規定により測定した値とする)。
  9. 【請求項9】 微細なセルロースとしてセルロース繊維
    を変法CSFの値で700ml以下に叩解したセルロー
    スを使用する請求項1,2,3,4,5,6又は7記載
    の多孔質高気密度紙(但し、変法CSFはJIS P8
    121に規定する測定法において、試料3gを試料0.
    3gとして測定した値とする)。
  10. 【請求項10】 微細なセルロースとしてセルロース繊
    維を高圧下剪断力で解繊したマイクロフィブリル化セル
    ロースを使用する請求項1,2,3,4,5,6又は7
    記載の多孔質高気密度紙。
  11. 【請求項11】 得られた多孔質高気密度紙は厚さが1
    00μm以下、気密度が1000秒/100cc以上で
    ある請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9又は1
    0記載の多孔質高気密度紙。
  12. 【請求項12】 水に分散させた繊維径が1μm以下の
    微細なセルロースを原料として湿紙を抄紙し、該湿紙中
    の水分を水と相溶性のある表面張力の小さい溶媒と置換
    することにより、湿紙に存在する空隙構造を保持したま
    ま乾燥させることを特徴とする多孔質高気密度紙の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 水に分散させた繊維径が1μm以下の
    微細なセルロースを原料として湿紙を抄紙し、該湿紙中
    の水分を凍結乾燥させることにより、湿紙に存在する空
    隙構造を保持したまま乾燥させることを特徴とする多孔
    質高気密度紙の製造方法。
  14. 【請求項14】 水より表面張力の小さい有機溶媒に分
    散させた繊維径が1μm以下の微細なセルロースを原料
    として湿紙を抄紙し、該湿紙中の有機溶媒を揮発させる
    ことにより、湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾
    燥させることを特徴とする多孔質高気密度紙の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 微細なセルロースとしてセルロース繊
    維をJIS法CSFの値で200ml以下に叩解したセ
    ルロースを使用する請求項12,13又は14記載の多
    孔質高気密度紙の製造方法(但し、JIS法CSFの値
    はJIS P8121の規定により測定した値とす
    る)。
  16. 【請求項16】 微細なセルロースとしてセルロース繊
    維を変法CSFの値で700ml以下に叩解したセルロ
    ースを使用する請求項12,13又は14記載の多孔質
    高気密度紙の製造方法。(但し、変法CSFはJIS
    P8121に規定する測定法において、試料3gを試料
    0.3gとして測定した値とする)。
  17. 【請求項17】 得られる多孔質高気密度紙を厚さが1
    00μm以下、気密度が1000秒/100cc以上に
    コントロールする請求項12,13,14,15又は1
    6記載の多孔質高気密度紙の製造方法。
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