JP2016196534A - セルロース多孔質体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、極めて繊維径が細く、かつ、親水性の高いセルロースナノファイバーを含み、比表面積のより大きなセルロース多孔質体を低コストで簡便に製造する方法を提供することである。
【解決手段】本発明に係るセルロース多孔質体の製造方法は、セルロースナノファイバーと分散媒とを含有する混合液を凍結乾燥する凍結乾燥工程を有するセルロース多孔質体の製造方法において、凍結乾燥工程における試料の周囲温度が、混合液の融点以下の温度であり、混合液中のセルロースナノファイバーの固形分濃度が、0.001〜5質量%である。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルロースナノファイバーを含んでなる多孔質体の製造方法に関する。
セルロース多孔質体はエアロゲルとも呼ばれ、低密度、高比表面積であり、また多量に存在する天然物由来でもあることから注目を集めている。有機物から成る多孔質体は、一般的に、無機材料からなる多孔質体よりも同密度でも高強度なものが多い。高比表面積を有するものは、吸着性に優れ、また、加熱によって炭素化することで炭素系多孔質体ともなりうる。本発明者らは、そうした技術動向の中で、数平均繊維径が1〜1000nmのセルロースナノファイバーの利用に関して検討してきた。
本明細書において、セルロースナノファイバーとは、数平均繊維径が1〜1000nmの(1)微細なセルロースナノファイバー(セルロース繊維)又は(2)化学処理(改質)した微細なセルロースナノファイバーのことをいい、近年ではナノセルロースと呼ばれることもある。(1)のセルロースナノファイバーとしては、例えば、セルロース繊維を高圧下で剪断して解繊したマイクロフィブリレーテッドセルロース(以降、MFCと略す。)又は微生物が産生する微細なバクテリアセルロース(以降、BCと略す。)である。(2)の改質したセルロースナノファイバーとしては、例えば、天然セルロースを40%以上の濃硫酸で処理して得られるセルロースナノウィスカー(以降、CNWと略す。)又は木材パルプを構成している繊維の最小単位であるミクロフィブリルを常温常圧の温和な化学処理及び軽微な機械処理で水分散体として単離した超極細、かつ、繊維径の均一な微細セルロース繊維である(例えば、特許文献1を参照。)。
セルロースナノファイバーは、動植物由来の材料であるため、石油由来の熱可塑性ポリマーからなるナノファイバーよりも、生産時及び廃棄時における環境への負荷が小さいという特長をもつ。したがって、セルロースナノファイバーを用いて多孔質体を形成し、機能性フィルター、電子デバイス材料、再生医療材料、さらには炭素材料など様々な分野・用途へ応用することが期待されている。
しかし、セルロースナノファイバーは、乾燥時に働く凝集力のため、セルロースナノファイバーの水分散体を乾燥して得られる乾燥体は流体透過性の低い高密度の材料となってしまう。特に、特許文献1に記載の数平均繊維径が数nmのセルロースナノファイバーは、繊維表面セルロース分子のC6位水酸基の一部又は全部を水酸基よりも親水性の高いカルボキシル基に置換されている。また、一般的に繊維径が細いほど単位質量当たりの表面自由エネルギーが増加するため、乾燥したときの表面を安定化させる繊維間の凝集力は増大する。したがって、特許文献1に記載のセルロースナノファイバーの水分散体をそのまま乾燥させると、セルロース水酸基とカルボキシル基とに由来する親水性及び水のもつ強い表面張力のため凝集し、非多孔質のガスバリアフィルムとなってしまう(例えば、特許文献2を参照。)。
セルロース微細繊維(ミクロフィブリル)の乾燥時に凝集を生じさせない方法として、セルロース微細繊維を含む水分散体を冷却した金属板に噴霧して急速凍結させた後、昇華することでセルロース微細繊維の多孔質体を作製する方法、また、分散媒をエタノール、次いでt‐ブチルアルコールに置換した後、凍結乾燥させることでセルロース微細繊維の多孔質体を作製する方法が知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
セルロース多孔質体(エアロゲル)を得る方法として、セルロースナノファイバー物理ゲル中の分散媒である水を、含水エタノール、エタノール、t‐ブチルアルコールに置換した後、凍結乾燥する方法が知られている(例えば、特許文献4を参照。)。
セルロース多孔質体を得る方法として、セルロースナノファイバーを水と水に溶解する有機溶媒との混合分散媒に分散させた後、凍結乾燥する方法が知られている(例えば、特許文献5を参照。)。
特開2008−1728号公報 特開2009−57552号公報 特開2003−82535号公報 特開2012−1626号公報 特開2013−253137号公報
I.Shibata and A.Isogai,「Cellulose」Vol.10(2003),p.335〜341 R.Daoussi,E,Bogdani,S.Vessot,J.Andrieu,O.Monnier,「Drying Technology」Vol.29(2011),p.1853〜1867 K.Kasraian and P.P.DeLuca,「Pharmaceutical Research」Vol.12(1995),p.484〜490 K.Takaizumi and T.Wakabayashi,「Journal of Solution Chemistry」Vol.26(1997),p.927〜939
特許文献3では、凍結乾燥を用いることで比表面積の大きい多孔質体が得られるとしているが、この方法では水を分散媒とした場合、セルロース微細繊維の比表面積は最も大きいもので65.2m/gであり、多孔質体としては比表面積が小さい。一方、分散媒をt‐ブチルアルコールに置換した場合、セルロース微細繊維の比表面積は最も大きいもので118m/gとなるが、この方法では分散媒を一度エタノールに置換して、その後t‐ブチルアルコールに置換するという操作が必要となっており、分散媒の置換作業がより煩雑になるという問題がある。
特許文献4では、理論上比表面積が600m/g超えるセルロース多孔質体が得られると見積っているが、実施例では、セルロースナノファイバー物理ゲルの溶媒置換工程が9回必要であり、製造コストが莫大となるため産業レベルで利用することは難しいという問題がある。
特許文献5では、比表面積が200m/g超えるセルロース多孔質体を低コストで簡便に製造する方法を提供しているが、高比表面積の多孔質体を得るための有機溶媒濃度が狭いという問題があった。
セルロースナノファイバーの利用分野では、その応用展開の拡大という観点から、より比表面積のより大きい多孔質体を簡便な方法で製造できる方法の開発が望まれている。しかし、前述したようにセルロースナノファイバーを用いた高比表面積の多孔質体の製造方法は、狭い範囲に限定されているのが現状である。
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、極めて繊維径が細く、かつ、親水性の高いセルロースナノファイバーを含み、比表面積のより大きなセルロース多孔質体の製造方法を提供することである。本発明の目的は、高比表面積のセルロース多孔質体を簡便に製造する方法を提供することである。また、本発明の目的は、高比表面積のセルロース多孔質体を得るための、製造方法の選択肢を広げることである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に係るセルロース多孔質体の製造方法は、セルロースナノファイバーと分散媒とを含有する混合液を凍結乾燥する凍結乾燥工程を有するセルロース多孔質体の製造方法において、前記凍結乾燥工程における試料の周囲温度が、混合液の融点以下の温度であり、前記混合液中のセルロースナノファイバーの固形分濃度が、0.001〜5質量%であることを特徴とする。
本発明に係るセルロース多孔質体の製造方法では、前記セルロースナノファイバーの数平均繊維径が1〜100nmであることが好ましい。比表面積の大きい多孔質体を得ることができる。
本発明に係るセルロース多孔質体の製造方法では、前記分散媒が、水と水に溶解する有機溶媒との混合分散媒であり、該混合分散媒中の有機溶媒の濃度が、2〜50質量%であることが好ましい。混合分散媒が凍結する時の結晶サイズを小さくすることができ、比表面積の大きい多孔質体を得ることができる。
本発明に係るセルロース多孔質体の製造方法では、前記有機溶媒が、アルコール類、カルボン酸類又はカルボニル化合物類のうちの少なくとも一種を含むことが好ましい。水が凍結する時にできる結晶(氷晶)をより小さくすることができ、更に比表面積の大きい多孔質体を得ることができる。
本発明に係るセルロース多孔質体の製造方法では、前記有機溶媒は、前記アルコール類として(1)メタノール、(2)エタノール、(3)1‐プロパノール若しくは(4)t‐ブチルアルコール、前記カルボン酸類として(5)酢酸、前記カルボニル化合物類として(6)アセトン、の(1)〜(6)の少なくとも1種を含むことが好ましい。水との相溶性に優れ、より均一な混合溶媒を得ることができる。
本発明に係るセルロース多孔質体の製造方法では、前記有機溶媒が、t‐ブチルアルコールだけであることが好ましい。水との混合溶媒の凝固点が著しく下がらないため、凍結させることが容易である。
本発明は、極めて繊維径が細く、かつ、親水性の高いセルロースナノファイバーを含み、比表面積のより大きなセルロース多孔質体の製造方法を提供することができる。また、本発明は、高比表面積のセルロース多孔質体を簡便に製造する方法を提供することができる。さらに、本発明は、高比表面積のセルロース多孔質体を得るための、製造方法の選択肢を広げることができる。
実施例6のセルロース多孔質体のSEMによる観察画像を示す図である。 比較例3のセルロース多孔質体のSEMによる観察画像を示す図である。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係るセルロース多孔質体の製造方法は、セルロースナノファイバーと分散媒とを含有する混合液を凍結乾燥する凍結乾燥工程を有するセルロース多孔質体の製造方法において、凍結乾燥工程における試料の周囲温度が、混合液の融点以下の温度であり、混合液中のセルロースナノファイバーの固形分濃度が、0.001〜5質量%である。
<セルロースナノファイバー>
本実施形態では、セルロースナノファイバーは、化学処理(改質)したセルロースナノファイバーを包含する。セルロースナノファイバーでは、セルロース分子鎖が2本以上の束を形成している。セルロース分子鎖が2本以上の束を形成しているとは、2本以上のセルロース分子鎖が集合してミクロフィブリルと呼ばれる集合体を形成している状態をいう。本実施形態では、セルロース分子鎖は、分子中のC6位水酸基の一部又は全部がアルデヒド基、カルボキシル基などに酸化されたもの、C6位以外の水酸基を含む水酸基の一部又は全部が酸化されたもの、硝酸エステル、酢酸エステル、リン酸エステルなどのようにエステル化されたもの、メチルエーテル、ヒドロキシプロピルエーテル、カルボキシメチルエーテルなどのようにエーテル化されたものなど他の官能基に置換されている形態を含む。
セルロースナノファイバーの数平均繊維径は、特に限定するものではないが、1〜100nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜50nmであり、特に好ましくは、2〜10nmである。数平均繊維径が1〜100nmのセルロースナノファイバーを用いることによって、比表面積の大きい多孔質体を得やすい。数平均繊維径が1nm未満では、ナノファイバーの単繊維強度が弱く、多孔質体の構造を維持することが困難となる場合がある。100nmを超えると、多孔質体としては比表面積が不足する場合がある。ここで、数平均繊維径は、次に従って算出する。セルロースナノファイバーを透過型電子顕微鏡(TEM、Transmission Electron Microscope)、または、走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて電子顕微鏡画像による観察を行う。得られた観察画像に対し、1枚の画像あたり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交差する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このとき、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍又は50000倍のいずれかの倍率で行う。なお、試料又は倍率は、20本以上の繊維が軸と交差する条件とする。こうして最低3枚の重なっていない表面部分の画像を電子顕微鏡で撮影し、各々二つの軸に交差する繊維の繊維径の値を読み取る。したがって、最低20本×2×3=120個の繊維情報が得られる。こうして得られた繊維径のデータから数平均繊維径を算出した。なお、枝分かれしている繊維については、枝分かれしている部分の長さが50nm以上であれば1本の繊維として繊維径の算出に組み込む。
また、セルロースナノファイバーの数平均繊維長は、特に限定するものではないが、0.01〜20μmであることが好ましい。より好ましくは、0.05〜10μmである。数平均繊維長が0.01μm未満では、ナノファイバーが粒子に近くなり、多孔質体の絡み合いが弱くなる場合がある。20μmを超えると、ナノファイバー同士の絡み合いが多くなり、溶媒に分散させたときの液体の流動性が低くなる場合がある。なお、数平均繊維長は、セルロースナノファイバー分散液を基板上に薄くキャストし、凍結乾燥したものをSEMを用いて電子顕微鏡画像による観察から算出する。得られた観察画像に対し、1枚の画像あたり10本ずつ独立した繊維を無作為に選び、その繊維長を目視で読み取っていく。このとき、構成する繊維の長さに応じて5000倍又は10000倍のいずれかの倍率で行う。なお、試料又は倍率は、繊維の始点と終点とが同じ画像内に収まっているものを対象とする。こうして最低12枚の重なっていない表面部分の画像をSEMで撮影し、繊維長を読み取る。したがって、最低10本×12枚=120本の繊維情報が得られる。こうして得られた繊維径のデータから数平均繊維長を算出できる。なお、枝分かれしている繊維については、その繊維の最も長い部分の長さを繊維長とする。
セルロースナノファイバーの種類は、例えば、前述のMFC、BC、CNW、ナノファイバー化の前に化学的処理を行ったセルロースナノファイバーである。MFCは、セルロース繊維を機械的な処理によって剪断してナノファイバー化するため、繊維径の分布が広いという特徴がある。BCは、比較的均一な繊維径を有するという特徴がある。CNWは、比較的均一な繊維径を有するが、繊維長が0.1〜0.2μmで短いという特徴がある。セルロース繊維をナノファイバー化させるときの機械的処理エネルギーを低減させるために、セルロース繊維に酵素処理、エステル化処理、エーテル化処理、酸化処理などの化学的前処理を行うことがある。ナノファイバー化の前に化学的処理を行ったセルロースナノファイバーは、特許文献1に記載されているように、セルロース原料を、N‐オキシル化合物、臭化物、ヨウ化物又はそれらの混合物の存在下で、酸化剤を用いて酸化処理し、該酸化されたセルロースを更に湿式微粒化処理して解繊し、ナノファイバー化することによって水分散体として製造され、均一な繊維径を有するという特徴がある。この中で、特許文献1に記載の微細セルロースが、生産に必要なエネルギーが他のセルロース繊維よりも少ない点及び生産性が高い点で特に好ましい。
特許文献1に記載のセルロースナノファイバーは、セルロースシングルミクロフィブリルである。天然セルロースは、ミクロフィブリルが多束化して高次な個体構造を構築している。ここで、ミクロフィブリル間は、セルロース分子中の水酸基由来の水素結合によって強固に凝集している。セルロースシングルミクロフィブリルとは、天然セルロースに化学処理及び軽微な機械処理を行い、単離したミクロフィブリルをいう。特許文献1に記載のセルロースナノファイバーは、セルロース分子の水酸基の一部がカルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基に酸化されており、かつ、セルロースI型結晶構造を有する。最大繊維径は、1000nm以下である。このセルロースナノファイバーは、水に分散すると透明な液体となる。
本実施形態では、セルロースナノファイバーが、特許文献1に記載のセルロースナノファイバーであり、かつ、数平均繊維径が、1〜100nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜10nmである。数平均繊維径が1nm未満では、ナノファイバーの単繊維強度が弱く、多孔質体の構造を維持することが困難となる場合がある。100nmを超えると、多孔質体の比表面積が低下する場合がある。また、特許文献1に記載のセルロースナノファイバーの数平均繊維長は、特に限定されないが、0.01〜20μmであることが好ましい。より好ましくは、0.05〜10μmである。数平均繊維長が0.01μm未満では、ナノファイバーが粒子に近くなり、多孔質体の絡み合いが弱くなる場合がある。20μmを超えると、ナノファイバー同士の絡み合いが強過ぎてしまい、溶媒に分散させたときの液体の流動性が低くなる場合がある。
セルロースナノファイバーの原料となるセルロース原料は、特に限定されるものではなく、例えば、広葉樹さらしクラフトパルプ(LBKP)、針葉樹さらしクラフトパルプ(NBKP)などの各種木材由来のクラフトパルプ、サルファイトパルプ、脱墨パルプ(DIP)などの古紙パルプ、グランドパルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナー砕木パルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミグランドパルプ(CGP)などの機械パルプ、それらを高圧ホモジナイザー、ミルなどによって粉砕した粉末状セルロース、それらを酸加水分解などの化学処理によって精製した微結晶セルロース粉末である。また、ケナフ、麻、イネ、バガス、竹、綿などの植物セルロース、さらには、バクテリアの産生するセルロース、ホヤの外套セルロースなどを使用してもよい。本実施形態は、セルロースナノファイバーの原料及び製造方法に制限されない。
セルロースナノファイバーの製造方法は、例えば、特許文献1に記載した製造方法である。特許文献1によると、セルロースナノファイバーの製造方法は、天然セルロースを原料とし、水中においてN‐オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させることによって該天然セルロースを酸化して反応物繊維を得る酸化反応工程と、不純物を除去して水を含んだ反応物繊維を得る精製工程と、水を含んだ反応物繊維をセルロースナノファイバーとして分散媒に分散させる解繊工程と、を含む。
酸化反応工程では、水中に天然セルロースを分散させた分散液を調製する。反応における天然セルロースの分散媒は、水である。そして、反応分散液中の天然セルロース濃度は、試薬の十分な拡散が可能な濃度であれば任意であるが、通常、反応分散液の質量に対して5質量%以下である。
セルロースの酸化触媒として使用可能なN‐オキシル化合物は、数多く報告されている。報告例としては、「TEMPO誘導体を用いたセルロースの触媒酸化:酸化生成物のHPSEC及びNMR分析」と題する記事がある(例えば、非特許文献1を参照。)。N‐オキシル化合物の中で、特にTEMPO、4‐アセトアミド‐TEMPO、4‐カルボキシ‐TEMPO又は4‐フォスフォノオキシ‐TEMPOが、水中常温での反応速度が速くなる点で好ましい。N‐オキシル化合物の添加量は、触媒量で十分である。すなわち、反応水溶液に対するN‐オキシル化合物の添加量は、0.1〜4mmol/lであることが好ましく、0.2〜2mmol/lであることがより好ましい。0.1mmol/l未満では、触媒効果に劣る場合がある。4mmol/lを超えると、水に溶けなくなる場合がある。
共酸化剤は、例えば、次亜ハロゲン酸若しくはその塩、亜ハロゲン酸若しくはその塩、過ハロゲン酸若しくはその塩、過酸化水素、又は過有機酸である。好ましくはアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩である。アルカリ金属次亜ハロゲン酸塩は、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウムである。次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、臭化アルカリ金属、例えば、臭化ナトリウムの存在下で反応を進めることが反応速度において好ましい。この臭化アルカリ金属の添加量は、N‐オキシル化合物に対して1〜40倍モル量であることが好ましい。より好ましくは、10〜20倍モル量である。1倍モル量未満では、反応速度において劣る場合がある。40倍量モルを超えると、反応速度において劣る場合がある。反応水溶液のpHは、8〜11の範囲で維持することが好ましい。水溶液の温度は、4〜40℃において任意であるが、反応は室温で行うことが可能であり、特に温度の制御を必要としない。共酸化剤の添加量は、天然セルロース1gに対して0.5〜16mmolの範囲であることが好ましい。反応は、5〜120分とすることが好ましく、長くとも240分以内に完了する。
精製工程は、酸化反応工程で得た酸化セルローススラリーから、未反応の次亜塩素酸、各種副生成物などの不純物を除去して精製する工程である。酸化反応工程を経た段階では、通常、ナノファイバー単位までばらばらに分散しているわけではないため、通常の精製法、すなわち水洗工程とろ過工程とを繰り返すことで高純度(99質量%以上)の精製した酸化セルローススラリーとする。こうして得られる精製した酸化セルローススラリーは、絞った状態で固形分(セルロース)濃度として10〜50質量%の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、15〜30質量%である。後に行われる解繊工程を考慮すると、50質量%よりも高い固形分濃度とすると、解繊に極めて高いエネルギーが必要となることから好ましくない。
解繊工程は、精製工程にて得た酸化セルローススラリーを更に水中に分散してセルロースナノファイバー分散液を得る工程である。この分散液中には水の他に有機溶媒やその他成分も含ませることもできる。解繊機は、工業生産機としての汎用の解繊機を使用できる。汎用の解繊機は、例えば、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサーである。さらに、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散機、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダーなどのより強力で叩解能力のある装置を使用することによって、より効率的かつ高度なダウンサイジングが可能となる。
解繊前の酸化セルローススラリーの固形分濃度は、0.01〜4.00質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.10〜1.00質量%である。固形分濃度が4.00質量%を超えると、セルロースナノファイバー分散液の粘度が上昇するため、流動性が低下し、解繊効率が低下する場合がある。固形分濃度が0.01質量%未満では、分散液に占める水の割合が非常に多くなり、解繊効率が低下する場合がある。高固形分濃度のセルロースナノファイバー分散液が必要な場合は、低固形分濃度の該分散液を濃縮して得ることもできる。
本実施形態に係るセルロース多孔質体の製造方法では、混合液中の分散媒を除く必要がある。分散媒としては、水、または、水に有機溶媒を少量加えた混合分散媒を使用することができる。より好ましい分散媒としては、水に有機溶媒を少量加えた混合分散媒である。分散媒として水に有機溶媒を少量加えた混合分散媒を用いることで、分散媒が凍結時に生じる氷晶の成長を抑え、分散媒を非晶に近い状態で固化させることができる。そして、非晶に近い状態で固化した分散媒を昇華させることで、比表面積の大きなセルロース多孔質体を得ることができる。本実施形態に係るセルロース多孔質体の窒素吸着BET法による比表面積(以降、比表面積ということもある。)は、80m/g以上であることが好ましく、150m/g以上であることがより好ましく、200m/g以上であることが更に好ましく、280m/g以上であることが特に好ましい。80m/g未満では、多孔質体としては比表面積が不足する場合がある。セルロール多孔質体の比表面積の上限値は、1000m/gであることが好ましく、800m/gであることがより好ましい。1000m/gを超えると、セルロースナノファイバーの強度が弱くなり、多孔質体が脆弱になる場合がある。
<有機溶媒>
本発明でいう有機溶媒とは、常温常圧で液体である有機化合物のことをいう。また、水に溶解するとは、水と有機溶媒とを混合した混合分散媒において、水と有機溶媒との混合質量比が98:2〜50:50の範囲内で、両者が分子レベルで互いに混ざり合い、相分離しないことをいう。なお、混合分散媒とは、混合液中に含まれるセルロースナノファイバーやその他成分を含まない液体部分のことを指す。本実施形態に係るセルロース多孔質体では、水と、有機溶媒と、セルロースナノファイバーと、必要に応じてその他成分とを混合して混合液とすることができる。混合分散媒中の有機溶媒の濃度は、好ましくは0を超え50質量%以下である。より好ましくは、10〜40質量%である。有機溶媒の濃度が50質量%を超えると、疎水性の高い分散媒となり、親水性を有するセルロースナノファイバーが混合液中に均一に分散しなくなる可能性がある。分散媒を有機溶媒に完全置換した凍結乾燥では、多孔質体は得られるものの、その置換に大きな手間が掛かっていた。また、分散媒の疎水性が高くなり、親水性のセルロースナノファイバーを均一に分散できない場合があった。これに対して、分散媒が水と水に溶解する有機溶媒との混合分散媒であって、混合分散媒中の有機溶媒の濃度が15〜50質量%である混合分散媒を用いると、セルロースナノファイバーの凝集やゲル化が無く、分散媒に均一に分散した混合液を得ることができ、更には分散媒の完全置換を必要としない簡便な方法で例えば比表面積が280m/g以上の高比表面積のセルロース多孔質体を得ることが可能である。
本実施形態では、有機溶媒が、アルコール類、カルボン酸類又はカルボニル化合物類のうちの少なくとも一種を含むことが好ましい。このような有機溶媒を含むことで、水が凍結する時に生じる結晶(氷晶)を小さくすることができ、多孔質体の比表面積を拡大することができる。また、有機溶媒は、アルコール類として(1)メタノール、(2)エタノール、(3)1‐プロパノール若しくは(4)t‐ブチルアルコール、カルボン酸類として(5)酢酸、カルボニル化合物類として(6)アセトン、の(1)〜(6)の少なくとも1種を含むことが水との相溶性の観点からより好ましい。このうち、有機溶媒は、t‐ブチルアルコールだけであることが特に好ましい。水とt‐ブチルアルコールとを混合した混合分散媒の完全凍結点は、最も低くても−10℃程度であり、他の有機溶媒と水との混合分散媒に比べ高くなっており、凍結させることが容易である。また、試料の周囲温度の調整が容易である。t‐ブチルアルコール水溶液では、t‐ブチルアルコール濃度が20質量%付近で、水とt‐ブチルアルコールとが共晶となり、凍結時の結晶サイズが最も小さくなることが知られている。有機溶媒がt‐ブチルアルコールだけである場合、混合分散媒中のt‐ブチルアルコールの濃度は、10〜40質量%であることが好ましく、15〜30質量%であることがより好ましい。この範囲とすることで、比表面積が、例えば280m/g以上の多孔質体を得ることができる。
<その他成分>
本発明でいうその他成分とは、表面改質剤、強度改質剤、凍結乾燥安定化剤などの物質である。表面改質剤として、例えば、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤を使用することができる。強度改質剤として、例えば、アクリル系ラテックス、NBR系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス若しくはオレフィン系ラテックスなどの各種ラッテクスエマルジョン、又は、ポリアクリルアミド、ポリアミドエピクロロヒドリン、ポリビニルアルコール若しくは澱粉などの水溶性高分子などを使用することができる。凍結乾燥安定化剤として、例えば、ショ糖、トレハロース、L‐アルギニン又はL‐ヒスチジンなどを使用することができる。
本実施形態では、その他成分は、セルローススラリーに予め添加する方法、または、セルロースナノファイバーの解繊工程若しくは混合液の調製工程などの分散・混合工程で添加する方法など、どの方法でも添加することができる。本実施形態では、その他成分をセルロースナノファイバー質量に対して0.1〜1000質量%含むことが好ましい。より好ましくは、0.5〜500質量%、さらに好ましくは1〜100質量%である。その他成分が1000質量%を超えると、セルロース多孔質体中のセルロースナノファイバー分の比率が低くなるため、セルロース多孔質体の強度が低下したり、比表面積が低下したりする場合がある。一方、その他成分が0.1質量%未満であると、表面改質、強度改質又は凍結乾燥安定化の効果が得られなくなる場合がある。
次に、本実施形態に係るセルロース多孔質体の製造方法の各工程について説明する。
<混合液の調製工程>
本実施形態に係るセルロース多孔質体の製造方法では、水と、セルロースナノファイバーと、必要に応じて、有機溶媒とその他成分とを混合して混合液とする。混合液中のセルロースナノファイバーの形態は、例えば、セルロースナノファイバーがバラバラに分散した形態である。混合液の調製は、(1)解繊工程で水にセルロースナノファイバーを分散させたセルロースナノファイバー分散液を調製した後、セルロースナノファイバー分散液に、有機溶媒を添加して行う方法、(2)解繊工程で水と有機溶媒の混合液にセルロースナノファイバーを分散させてセルロースナノファイバー分散液を調製する方法がある。このうち、セルロースナノファイバーをより均一に分散させるためには、(1)の方法が好ましい。その他成分は、セルローススラリーに予め添加する方法、または、セルロースナノファイバーの解繊後の混合工程で添加する方法など、どの方法でも添加することができる。混合液の均一化方法は、特に限定は無いが、例えば、マグネティックスターラー、プロペラ型ミキサー、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサーを用いる方法である。さらに、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散機、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダーなどのより強力な装置を使用することもできる。混合液の調製工程において、有機溶媒にセルロースナノファイバー水分散液を加えると、凝集物が生じる場合がある。
本実施形態に係るセルロース多孔質体の製造方法では、水と、セルロースナノファイバーと、必要に応じて、有機溶媒とその他成分とを混合した混合液中のセルロースナノファイバーの固形分濃度が、0.001〜5質量%である。より好ましくは0.01〜4質量%であり、特に好ましくは、0.05〜2質量%である。混合液中のセルロースナノファイバーの固形分濃度が5質量%を超えると、セルロースナノファイバー間の空隙が少なくなり、比表面積の大きい多孔質体が得られなくなる。一方、混合液中のセルロースナノファイバーの固形分濃度が0.001質量%未満では、セルロースナノファイバー同士の絡み合いが少なくなり、多孔質体として構造が維持できなくなる。
<凍結乾燥工程>
本実施形態に係るセルロース多孔質体の製造方法は、混合液を凍結乾燥する。凍結乾燥とは、混合液を凍結し、凍結状態のまま減圧して分散媒を昇華させることによって乾燥する手法である。凍結乾燥における混合液の凍結方法は特に限定されないが、例えば、混合液を冷媒の中に入れて凍結させる方法、混合液を低温雰囲気下に置いて凍結させる方法、混合液を減圧下に置いて凍結させる方法などがある。好ましくは、混合液を冷媒に入れて凍結させる方法である。混合液の凍結温度は、混合液中の分散媒の凝固点以下としなければならず、−50℃以下であることが好ましく、−100℃以下であることがより好ましい。凍結温度が高い、つまり凍結速度が遅いと、水と有機溶媒とを混合した混合分散媒を用いても、分散媒の結晶が大きくなる場合があり、その結晶周囲にセルロースナノファイバーが濃縮され凝集体を生じてしまう場合がある。一方、凍結温度を低くすること、つまり凍結速度を速くすることで分散媒を非晶に近い状態で凍結することができる。
本実施形態に係るセルロース多孔質体の製造方法では、混合液を凍結乾燥するが、どのような形態で凍結乾燥するかは限定しない。混合液を凍結乾燥する方法は、例えば、混合液単体を容器に入れて凍結乾燥する方法、混合液を不織布、紙、スポンジなどの多孔質の支持体に付着させた状態で、支持体ごと凍結乾燥する方法である。混合液単体を容器に入れて凍結乾燥する方法では、薄いシート状、または、厚みのある板状のセルロース多孔質体が得られる。混合液を多孔質の支持体に付着させて凍結乾燥する方法では、セルロース多孔質体が多孔質の支持体に付着した多孔質体が得られる。本実施形態では、混合液が液状であるため、混合液を多孔質の支持体へ均一に付着することができる。混合液を多孔質の支持体に付着する方法は、例えば、多孔質の支持体の全体又は一部を混合液に浸漬する方法、混合液を多孔質の支持体の表面に塗布する方法、混合液を多孔質の支持体の表面に噴霧する方法である。セルロース多孔質体が多孔質の支持体に付着する形態は、例えば、セルロース多孔質体が多孔質の支持体の表面だけに付着する形態、セルロース多孔質体が多孔質の支持体の表面及び支持体の孔の一部に付着する形態、セルロース多孔質体が多孔質の支持体の表面及び支持体の孔の全体に付着する形態である。
本実施形態に係る多孔質体の製造方法では、凍結乾燥工程において、試料の周囲温度を混合液の融点以下の温度とし、凍結した混合液中の分散媒を減圧下で昇華させなければならない。試料の周囲温度が混合液の融点を超えると、凍結した混合液の一部が融解し、多孔質体の比表面積が低下することがある。一般的に凍結乾燥工程では、試料の周囲温度が混合液の融点を超えても、混合液中の分散媒が気化する際の気化熱によって試料が冷やされているため、混合液は凍結状態を保つことができる。しかし、周囲の温度が混合液の融点より著しく高い場合、又は試料の容積が大きい場合には、昇華が起きている界面から遠く離れた部分で、混合液の融解が起きることがある。混合液の融解が起きると試料が変形する。それを防ぐために、凍結乾燥工程における試料の周囲温度(棚温度とも呼ばれる。)を制御することが考えられる。凍結乾燥工程における試料の周囲温度は、特別に制御しない限り、通常、室温となる。本発明者らは、凍結乾燥工程における試料の周囲温度をナノファイバーと分散媒とを含有する混合液の融点以下に制御することで、試料の変形を防止できるだけでなく、試料の比表面積の低下を抑制して、比表面積が大きい状態を保つことができることを見出した。例えば、分散媒が水とt‐ブチルアルコールとの混合分散媒であって、混合分散媒中のt‐ブチルアルコールの濃度が0を超え50質量%以下であるとき、ナノファイバーと分散媒とを含有する混合液の融点は、分散媒の融点に等しい。本実施形態に係る多孔質体の製造方法では、水とt‐ブチルアルコールとの混合分散媒を用いる場合の試料の周囲温度として、非特許文献2を参考にできる。当該文献には、水とt‐ブチルアルコールとの混合液(t‐ブチルアルコール濃度0〜100質量%)のフェーズダイアグラム(各濃度での融点が示されている図)が示されており、当該混合液の融点は最も低い点でも−8.2℃とある。つまり、水とt‐ブチルアルコールとをセルロースナノファイバーの分散媒とする場合、試料の周囲温度を少なくとも−8.2℃以下とすることが好ましい。非特許文献3によると、急冷した水とt‐ブチルアルコールとの混合溶媒を温めていくと、ガラス状態である(準安定化相)固体の再結晶化が、融点より5℃程度低いところで発生する。再結晶化が起こると、セルロースナノファイバーは結晶の周囲に濃縮され、比表面積が低下することがある。このため、水とt-ブチルアルコールとの混合分散媒を用いる場合、試料の周囲温度を混合液の融点より5℃低くすることがより好ましく、具体的には−15℃以下であることがより好ましい。凍結乾燥工程における試料の周囲温度の下限は、分散媒の種類によって異なるが、例えば水とt‐ブチルアルコールとの混合分散媒を用いるとき、−30℃以上であることが好ましい。尚、ここでいう融点とは、混合液が固体から液体へと変化する時に生じる最初の吸熱点から判断できる。混合液の融点は、例えば示差走査熱量計(DSC)で得られるDSC曲線の、最初の吸熱ピーク頂点から測定してもよい。また、本実施形態に係る多孔質体の製造方法では、凍結乾燥工程における減圧時の圧力は、200Pa以下であることが好ましく、50Pa以下であることがより好ましい。圧力が200Paを超えると凍結した混合液中の分散媒が融解してしまう可能性がある。
本実施形態に係るセルロース多孔質体の製造方法では、凍結乾燥させたセルロース多孔質体を熱処理することもできる。熱処理によってセルロース多孔質体の耐吸湿性、強度が発現しやすくなる場合がある。熱処理温度としては、例えば、50〜200℃であることが好ましく、70〜170℃であることがより好ましい。熱処理温度が200℃を超えると、セルロースナノファイバーが熱分解する場合がある。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
[セルロースナノファイバー水分散液Aの調製工程]
乾燥重量で2.00g相当分のNBKP(主に1000nmを超える繊維径の繊維から成るもの)と、0.025gのTEMPO(2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐1‐オキシラジカル)と、0.25gの臭化ナトリウムと、を水150mlに分散した後、13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、パルプ(NBKP)1.00gに対して、次亜塩素酸ナトリウムの量が5.00mmolとなるように次亜塩素酸ナトリウムを加えて反応を開始した。反応中は、0.50mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10に保った。2時間反応した後、反応物をろ過し、十分水洗することで酸化セルローススラリーを得た。0.15質量%の酸化セルローススラリーを、バイオミキサー(BM−2、日本精機製作所社製)を用いて、15000回転で5分間解繊処理し、更に超音波分散機(型式US−300E、日本精機製作所社製)で20分間解繊処理した。その後、遠心分離によって粗大繊維の除去を行い、透明のセルロースナノファイバー水分散液を得た。この分散液を、TEM(JEM2000−EXII、日本電子社製)を用いて倍率50000倍で観察した観察画像から解析した結果、数平均繊維直径は4nmであった。また、SEM(SU8010、日立ハイテクノロジー社製)を用いて倍率10000倍で観察した観察画像から解析した結果、数平均繊維長は0.8μmであった。得られたセルロースナノファイバー水分散液Aは、固形分濃度が0.50%となるまでロータリーエバポレーターで濃縮し、以降の工程で用いた。
[セルロースナノファイバー水分散液Bの調製工程]
セルロースナノファイバー水分散液Bとして、セルロースナノファイバーがバクテリアセルロース(BC)であるものを用いた。ナタデココ(フジッコ社製、約1cm角)をカッターナイフで2mm角程度に細かく刻み、ナタデココ内に含まれるシロップを水に置換した。これをバイオミキサー(BM−2、日本精機製作所社製)を用いて、10000回転にて2分間解繊し、超音波分散機(型式US−300E、日本精機製作所社製)で10分間解繊処理してBCの水分散液を得た。得られたBCの水分散液を、TEMを用いて倍率50000倍で観察した観察画像から解析した結果、数平均繊維直径は、24nmであった。セルロースナノファイバー水分散液B中のセルロースナノファイバーの固形分濃度は、0.50%に調製した。
(実施例1)
[混合液の調製工程]
セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、29.0gの水と1.0gのt‐ブチルアルコールとを加え、容器に蓋をしてマグネティックスターラーで5分間攪拌して混合液を得た。混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で98:2であった。
[凍結乾燥工程]
混合液の調製工程で得られた混合液をナス型フラスコに入れ、回転させながら液体窒素(−196℃)に浸した。混合液が完全に凍結したら、ナス型フラスコ全体を−20℃に設定した冷凍庫に入れ、減圧チューブで凍結乾燥機(VD−250F TAITEC社製)に接続した。ナス型フラスコ内を減圧し、分散媒を昇華させることで乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。また、真空到達時の圧力は50Pa以下であった。非特許文献2によれば、水とt‐ブチルアルコールとの混合分散媒の融点は最も低い点でも−8.2℃であるから、試料の周囲温度(−20℃)は、混合液の融点以下の温度である。
(実施例2)
セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、25.0gの水と5.0gのt‐ブチルアルコールとを加えた以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で90:10であった。
(実施例3)
セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、22.5gの水と7.5gのt‐ブチルアルコールとを加えた以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で85:15であった。
(実施例4)
セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、20.0gの水と10.0gのt‐ブチルアルコールとを加えた以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で80:20であった。
(実施例5)
セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、15.0gの水と15.0gのt‐ブチルアルコールとを加えた以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で70:30であった。
(実施例6)
セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、10.0gの水と20.0gのt‐ブチルアルコールとを加えた以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で60:40であった。
(実施例7)
セルロースナノファイバー水分散液A20.0gに、5.0gの水と25.0gのt‐ブチルアルコールとを加えた以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で50:50であった。尚、当該混合液には微小の凝集物が発生していたが、流動性は維持していた。
(実施例8)
セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、22.5gの水と7.5gの1−プロパノールとを加え、凍結乾燥工程でのナス型フラスコ全体を入れた冷凍庫を−60℃に設定した以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水と1−プロパノールとの混合比率は、質量比で85:15であった。尚、混合液の融点は−59℃であった。混合液の融点は、非特許文献4に記載された方法で確認した。
(実施例9)
セルロースナノファイバー水分散液Aに替えてセルロースナノファイバー水分散液Bを用いた以外は実施例3と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で85:15であった。
(実施例10)
セルロースナノファイバー分散液A0.1gに、42.4gの水と7.5gのt‐ブチルアルコールとを加えた以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.001%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で85:15であった。
(実施例11)
セルロースナノファイバー分散液B42.5gに、7.13gのt‐ブチルアルコールを加えた以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は4.28%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で85:15であった。
(実施例12)
その他成分として、アニオン系界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)を固形分濃度が0.5%となるよう水に溶解させた。セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、17.5gの水、5.0gのアニオン系界面活性剤及び7.5gのt‐ブチルアルコールを加えた以外は実施例1と同様にして乾燥体(セルロース多孔質体)を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.20%であった。また、混合溶媒中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で85:15であり、セルロースナノファイバー固形分質量に対するアニオン系界面活性剤の固形分質量比率は25%であった。
(実施例13)
セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、30.0gの水を加え、t‐ブチルアルコールは加えなかった以外は実施例1と同様にして乾燥体を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水と有機溶媒との混合比率は、質量比で100:0であった。
(実施例14)
セルロースナノファイバー水分散液A20.0gに、30.0gのt‐ブチルアルコールを加えたところ、凝集物が発生し、均一な混合液とならなかったが、そのまま実施例1と同様にして乾燥体を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で40:60であった。
(比較例1)
実施例4の混合液を用いて、ナス型フラスコに入れた混合液を液体窒素にて凍結させた後、ナス型フラスコ全体を冷凍庫に入れず、室温(25℃)のままナス型フラスコ内を減圧した以外は実施例1と同様にして乾燥体を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水と有機溶媒との混合比率は、質量比で80:20であった。
(比較例2)
実施例5の混合液を用いて、比較例1と同様に凍結乾燥を行い乾燥体を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水と有機溶媒との混合比率は、質量比で70:30であった。
(比較例3)
実施例6の混合液を用いて、比較例1と同様に凍結乾燥を行い乾燥体を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水と有機溶媒との混合比率は、質量比で60:40であった。
(比較例4)
実施例13の混合液を用いて、比較例1と同様に凍結乾燥を行い乾燥体を得た。ここで、混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水と有機溶媒との混合比率は、質量比で100:0であった。
(乾燥体の観察)
各実施例及び各比較例で得られた乾燥体について、その形状をSEM(SU8010、日立ハイテクノロジー製)を用いて50000倍に拡大して観察した。図1に実施例6で得られたセルロース多孔質体のSEM画像を、図2に比較例3で得られた乾燥体のSEM画像をそれぞれ示す。図1ではセルロースナノファイバー1本1本が独立したような形態となっているが、図2ではセルロースナノファイバーが凝集して一部が膜状になっており、セルロースナノファイバー間の多孔性が失われていることが分かる。
(比表面積の測定)
窒素吸着BET法による比表面積を自動比表面積測定装置(TriStarII3020、Micromeritics社製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例15)
セルロースナノファイバー分散液A20.0gに、22.5gの水と7.5gのt‐ブチルアルコールとを加えた容器に蓋をしてマグネティックスターラーで5分間攪拌して混合液を得た。混合液の全質量に対するセルロースナノファイバーの固形分濃度は0.2%であった。また、混合液中の水とt‐ブチルアルコールとの混合比率は、質量比で85:15であった。この混合液を、目付が64g/m、比表面積が1.80m/gのガラス繊維からなる不織布に、湿潤状態での付着量が150g/mとなるよう付着させた。この不織布を湿潤状態のまま液体窒素に入れて凍結させた。その後、実施例1と同様に凍結乾燥させ、ガラス繊維からなる不織布にセルロース多孔質体を付着させた多孔質体(以降、当該多孔質体を多孔質体Xという。)を得た。得られた多孔質体Xの比表面積は3.15m/gであった。ここで、多孔質体Xにおいて、ガラス繊維からなる不織布に対するセルロースナノファイバーの質量比率は0.47%であり、この比率から多孔質体Xの不織布に付着したセルロース多孔質体の比表面積を算出すると、289m/gであった。
実施例4〜6は、同じ混合比率の混合液を用いた比較例1〜3と比較して、比表面積をより大きくすることができ、凍結乾燥工程での試料周囲の温度を混合液の融点以下とすることで、比表面積を大きな状態を保つことができることが確認できた。実施例13と比較例4と比較すると、分散媒として水だけを用いた場合であっても、凍結乾燥工程での試料周囲の温度を混合液の融点以下とすることで、比表面積を大きな状態を保つことができることが確認できた。比較例1〜4は、凍結乾燥工程での試料周囲の温度を室温(25℃)としたため、凍結した混合液の一部が溶解した可能性があり、そのため、実施例4〜6、13と比較して、比表面積の小さな乾燥体となったと考えられる。また、分散媒として水と有機溶媒との混合分散媒を用いた場合の混合比率の好ましい範囲を検討した結果、実施例1〜7,14に示すように、混合分散媒中の有機溶媒の濃度が2〜60質量%の範囲で比表面積が130〜320m/gのセルロース多孔質体を得ることができた。さらに、実施例3〜7のセルロース多孔質体の比表面積は300m/g前後であり、広範な有機溶媒濃度にて高比表面積のセルロース多孔質体が得られることが示された。実施例8から、水と1−プロパノールとの混合分散媒であっても比表面積の大きなセルロース多孔質体が得られることが確認できた。実施例9〜11から、ナノファイバーの数平均繊維径及び/又は混合液中のナノファイバーの固形分濃度を変化させても比表面積が大きなセルロース多孔質体が得られることが確認できた。実施例12から、その他の成分として界面活性剤を配合しても比表面積が大きなセルロース多孔質体が得られることが確認できた。実施例15から、セルロース多孔質体を多孔質の支持体に付着させた多孔質体を得ることができることが確認できた。
このように、本発明に係るセルロース多孔質体の製造方法によれば、極めて繊維径が細く、かつ、親水性の高いセルロースナノファイバーから成る比表面積が大きな多孔質体を得ることができた。また、比表面積が280m/g以上である高比表面積の多孔質体を、広範な有機溶媒濃度にて得ることができ、高比表面積のセルロース多孔質体を得るための、製造方法の選択肢を広げられることが確認できた。
本発明に係るセルロース多孔質体の製造方法は、極めて繊維径が細く、かつ、親水性の高いセルロースナノファイバーから成る高比表面積のセルロース多孔質体を提供できる。したがって、本発明に係るセルロース多孔質体は、機能性フィルター、電子デバイス材料、再生医療材料、さらには炭素材料など様々な分野・用途に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. セルロースナノファイバーと分散媒とを含有する混合液を、凍結乾燥させる凍結乾燥工程を有するセルロース多孔質体の製造方法において、
    前記凍結乾燥工程における試料の周囲温度が、混合液の融点以下の温度であり、
    前記混合液中のセルロースナノファイバーの固形分濃度が、0.001〜5質量%であることを特徴とするセルロース多孔質体の製造方法。
  2. 前記セルロースナノファイバーの数平均繊維径が1〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載のセルロース多孔質体の製造方法。
  3. 前記分散媒が、水と水に溶解する有機溶媒との混合分散媒であり、該混合分散媒中の有機溶媒の濃度が、2〜50質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロース多孔質体の製造方法。
  4. 前記有機溶媒が、アルコール類、カルボン酸類又はカルボニル化合物類のうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項3に記載のセルロース多孔質体の製造方法。
  5. 前記有機溶媒は、前記アルコール類として(1)メタノール、(2)エタノール、(3)1‐プロパノール若しくは(4)t‐ブチルアルコール、前記カルボン酸類として(5)酢酸、前記カルボニル化合物類として(6)アセトン、の(1)〜(6)の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項4に記載のセルロース多孔質体の製造方法。
  6. 前記有機溶媒が、t‐ブチルアルコールだけあることを特徴とする請求項3に記載のセルロース多孔質体の製造方法。
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