JP7263099B2 - セルロース繊維組成物、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、表面をエステル化したセルロース微細繊維の製造方法として、セルロースと有機溶剤とを混合して、エステル化剤を加えた後、強力な機械的破砕とともにエステル化反応をすることにより、セルロース表面をエステル化し、解離する方法も知られているが、エステル化剤と有機溶媒とを含む解繊用溶液はセルロースへの浸透性が低く、機械的粉砕処理の間にセルロース内部へほとんど浸透しない。したがって、この方法でも化学的解繊はされておらず、強力な機械力が必要となる機械解繊方法により繊維を製造しているため、CNFを損傷する可能性がある。また、セルロース繊維の内部になるほど有機溶剤とエステル化剤は浸透しにくいため、セルロース繊維内部はエステル化修飾されにくくなる。そのため、セルロース繊維内部の微細繊維は機械解繊により解繊されても、表面修飾がほとんどできていないと考えられる。
特許文献1には、従来のCNFの製造方法として、セルロース繊維原料を叩解処理やホモジナイズ処理などにより、繊維をフィブリル化させる方法があるが、繊維径の小さいCNFを得るためには、叩解処理を十分に行う必要があり、その結果、繊維に大きなダメージを与え、得られたCNFの強度及びアスペクト比が低下してしまう一方で、叩解処理を低減して繊維のダメージを抑えると、得られた繊維の繊維径が大きく、アスペクト比も小さいので良好な補強特性を有するCNFが得られないこと、従来法は生産効率が悪いこと、例えば、予備叩解方法ではダブルディスクリファイナーで7~15回の処理を行うことを必要とすること、予備叩解したパルプを砥石板のすり合わせによりフィブリル化し、さらに高圧ホモジナイザー処理を行うと、ミクロフィブリル化セルロースが得られるが、相当な処理回数が必要となり、生産効率が低いこと、メディア撹拌式粉砕機でミクロフィブリル状セルロースを得る方法も提案されているが、繊維状セルロースを懸濁液としたものを直接に粉砕機に投入して粉砕を行うため、叩解処理と同様にCNFにダメージを与える問題があると共に、CNF化に要する時間が非常に長く、生産性が低いという問題があること、塩酸溶液中、120~130℃で加水分解処理した後、中和、洗浄し、ディスクリファイナーで磨砕する工程を備えた方法も提案されているが、酸処理によりCNFを分離しやすくするので、より微細な繊維を得ることができるものの、長時間の酸処理はCNFにダメージを与え、物性の低下が避けられないこと、などの問題点が記載されている。
特許文献2には、バイオマス由来のパルプは、機械的処理によってナノセルロースに変換することができ、該プロセスは簡単であるかもしれないが、不利点に、高いエネルギー消費、強力な機械的処理による繊維及び小片の損傷、及びフィブリルの直径及び長さにおける広い分布が含まれること、バイオマス由来のパルプは、化学的処理によってナノセルロースに変換することができ、例えば、パルプは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル(TEMPO)で処理してナノセルロースを製造することができるが、そのような技法は、機械的処理と比較してエネルギー消費を減少させて、且つより均一な小片サイズを生じさせることができるものの、該プロセスは経済的に実現性があるとはみなされないこと、それゆえ、低減されたエネルギーコストでナノセルロースをバイオマスから製造するための改善されたプロセスが、当技術分野において必要とされていることが記載されている。
特許文献2には、CNFの製造にとって大きな技術的経済的バリアは、高いエネルギー消費及び高いコストであり、二酸化イオウ(SO2)及びエタノール(又は他の溶媒)を使用すると、バイオマスからヘミセルロース及びリグニンだけでなくセルロースの非晶質領域も効果的に除去されて、CNFへの変換に最少の機械的エネルギーを必要とする高結晶性セルロース生成物が得られると記載されている。特許文献2では、漂泊されたパルプの0.65wt%懸濁液を作製してMicrofluidics(Westwood、マサチューセッツ州、米国)のM-l 10EH-30マイクロ流動体化処理装置を、必要とされるサイズ低下のレベルに応じて87μm、200μm、及び400μmの内部の直径を有する相互作用チェンバーの組合せを使用して、30回まで通過させ、30kpsiまでの一定の圧力を一定の速度の生成物ストリームにかけ、相互作用チェンバーの固定された幾何学的構造のミクロチャンネルが生成物ストリームを高い速度に加速させ、高速の生成物ストリームをそれ自体及び耐摩耗性表面(多結晶性ダイヤモンド)に衝突させ、高い剪断力及び衝撃力により小片のサイズを減少させて、エネルギー消費量を1000kWh/トン未満であることを確認している。このエネルギー消費量は、スラリー換算でのものである。
[1]以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;
を含むセルロース繊維組成物の製造方法。
[2]前記解繊工程における解繊を20℃~90℃で0.5時間~8時間行う、前記[1]に記載の方法。
[3]以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;
該第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;及び
次いで、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入し、該第二手段の回転要素の周速度を20m/s未満まで低下させ、平均繊維径2nm~800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。
[4]前記解繊工程を20℃~90℃で0.5時間~8時間行い、かつ、前記化学修飾工程を20℃~80℃で0.25時間~6時間行う、前記[3]に記載の方法。
[5]以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、解繊溶媒、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入する工程、ここで、該化学修飾剤、及び該触媒を、該パルプの投入と同時に又は所定時間経過後に投入する;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する解繊・化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。
[6]前記解繊・化学修飾工程を20℃~90℃で0.5時間~8時間行う、前記[5]に記載の方法。
[7]前記第一手段が、内壁面に沿い内容物を削ぎ落すことができるスクレーパーを有するアジテーターであり、前記第二手段が、該アジテーターの下部に配置された回転式ホモミキサーであり、そして前記第三手段が、該回転式ホモミキサーの吐出物を該アジテーターに戻すことができるミキサータンク又は該タンクの循環ラインである、前記[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記解繊溶媒が、水を30重量%まで含んでいてもよい非プロトン性極性溶媒である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記解繊溶媒100重量部に対して、前記パルプがセルロース固形分換算で1~10質量部投入される、前記[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]前記非プロトン性極性溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びこれらのいずれかの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[8]又は[9]に記載の方法。
[11]前記化学修飾剤がカルボン酸ビニルエステルである、前記[2]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記カルボン酸ビニルエステルが酢酸ビニルであり、かつ、化学修飾されたセルロース繊維が、平均置換度0.05~1.2のアセチル化セルロース繊維である、前記[1]に記載の方法。
[13]前記触媒が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩である、前記[2]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14]前記触媒が炭酸水素ナトリウム(重曹)又は炭酸カリウムである、前記[3]に記載の方法。
[15]前記[1]~[14]のいずれかに記載の方法で製造されたセルロース繊維組成物又は化学修飾されたセルロース繊維組成物を水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水し、固形分5~20重量%の可塑性水性組成物を得る工程をさらに含む、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物の製造方法。
[16]前記[15]に記載の方法により製造された化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物を、熱可塑性樹脂と溶融・混錬する工程を含む、樹脂コンポジットの製造方法。
本実施形態のセルロース繊維組成物の製造方法は、以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;
を含むことを特徴とする。前記解繊工程における解繊は、好ましくは20℃~90℃で0.5時間~8時間で行われる。
本実施形態のセルロース繊維組成物の製造方法における解繊工程においては、特定の解繊溶媒をセルロース繊維に浸透させることにより、セルロース繊維を解繊することができる。かかる特定の解繊溶媒がセルロース繊維に浸透することで、セルロース繊維を膨潤させながらミクロフィブリルの間の水素結合を切断することにより、ミクロフィブリルが自ら解して、解繊されたCNFが得られる。かかる解繊工程においては、従来技術の高圧ホモジナイザーやウォータージェットのような強力な解繊機器を用いる必要はなく、強力な機械解繊や破砕によらずに、セルロースを解繊し、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないCNFが得られる。かかる解繊工程に用いる装置については、後述する。
DMSOは水と任意の割合で混合することができる。解繊溶媒に対する水の割合が増加していくと、解繊よりも、繊維の切断がより発生する傾向にある。すなわち、水の割合を調整することで、解繊と繊維切断とのバランスを最適なものとすることが可能となる。但し、解繊溶媒中の水の割合が高すぎると、繊維形状の損傷が激しくなるため、解繊溶媒中の水の割合は、水30重量%までであることが好ましい。解繊溶媒100重量部に対して、原料パルプはセルロース固形分換算で1~10質量部投入されることが好ましい。
また、後述する解繊工程に用いる装置に依存するが、スラリー粘度や装置詰まりの観点から、原料パルプ/DMSOスラリーの濃度としては10重量%が限界である。
解繊溶媒がセルロース内部に浸透しながらセルロース繊維間、ラメラ間、及びミクロフィブリル間の水素結合を切断することによって解繊が引き起こされる。解繊溶媒のドナー数又は電気伝導度が高いほど、膨潤により引き起こされるセルロース繊維間、ラメラ間、及びミクロフィブリル間の空隙体積が大きく、解繊度合いが向上する。
解繊溶媒がカルボン酸ビニルエステルを含む場合、カルボン酸ビニルエステルがセルロースの水酸基やセルロースに含まれる水と反応し、副生成物としてアセトアルデヒドが生成する。このアセトアルデヒドはミクロフィブリル表面の一部の水酸基とヘミアセタール又はアセタールを形成してミクロフィブリル間の水素結合を切断する。そのため、ミクロフィブリル同士は容易に離れ、解繊される。また、解繊溶媒が化学修飾剤を含む場合、ヘミアセタール又はアセタールは不安定であるため、化学修飾剤の攻撃によりアセトアルデヒドに戻り、セルロースの水酸基が修飾される。
本実施形態のセルロース繊維組成物又は化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法に使用することができる装置は、内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置である。該第一手段は、内容物を攪拌し乱流を発生させて第二手段に供給することができる手段であることが好ましい。CNF組成物は、チキソトロピーを示す流体であり、一定の力をかけ続けることで粘度が下がったり、下がった粘度がある一定時間放置したりすると元に戻ったりする、いわゆる、チキソ性を呈する。また、CNF組成物は、回転要素の回転数を高くしすぎると、空気を噛んで流量が減少し、他方、せん断力がかかる回転数以上にしなければ、スラリーが流れず流量が増加しない。それゆえ、滞留させた内容物を攪拌し乱流を発生させて下流に供給することができる第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段において特定範囲の周速度に調整する必要がある。かかる装置を使用することで、前記した特定の解繊溶媒100質量部に対してセルロース固形分換算でセルロースを1~10質量部含む場合に、例えば、タンク容量35L以上のホモミキサーを使用する場合、セルロース乾燥固形分1kgあたり定格消費電力量0.5~80kWhという極めて低いエネルギーでの十分な解繊を達成することができる。すなわち、本実施形態のセルロース繊維組成物又は化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法は、実験室規模ではなく、大規模生産において、低エネルギーでCNF組成物又は化学修飾CNF組成物の製造を可能ならしめる極めて有用な方法である。
図2に、前記アジテーターの一例を示す。図2に示すアジテーターは、可動式スクレーパーであり、ネジを使わない非固定式で、ハンドメイドタンクの形状に合わせて一つずつ削り出しで作製され、タンクへ壁面にきっちりと沿い、材料を削ぎ落し、攪拌・熱伝導効率が高められる。
図3に、前記ホモミキサーのホモジナイザー(回転式ホモミキサーともいう。)の回転要素の一例を示す。
前記ホモミキサーとしては、各種サイズのもの用意することができ、例えば、タンクサイズ35Lのタイプでは、ホモジナイザーのローター(回転要素)サイズは92mmであり、モーター容量は7.5kW(電圧400Vの場合)であり、アジテーターのモーター容量は1.5kW(電圧400Vの場合)であることができる。
図4に、前記ホモミキサーの回転要素の周速度(m/s)と、流量(水時)(m3/hr)、電流(A)、せん断力(kW)、吐出圧(bar)との関係の一例を示す。図4から分かるように、ホモジナイザーの回転数(周速度)に応じて流量は比例して増加し、せん断力は15~20m/sを境に立ち上がる(それ以下の回転数ではポンプ効果のみ)。図4に示す関係は、前記ホモミキサーのサイズがアップしても基本的に変わらないものであることができる。すなわち、ホモミキサーのサイズは周速度を合わせて設計することができる。
また、本実施形態の化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法における解繊工程と化学修飾工程を同時に行う解繊・化学修飾工程においては、第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、好ましくは20℃~90℃で0.5時間~8時間、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成することができる。すなわち、前記装置を用いれば、解繊工程に引き続く化学修飾工程を同一装置の運転条件を適宜変更することで、低エネルギーで、化学修飾セルロース繊維組成物を大規模に製造することが可能となる。
本発明の他の実施形態は、解繊後に化学修飾を引続き行う以下の逐次法、又は解繊と化学修飾を同時に又は段階的に行い同時法若しくは半逐次法であることができる。
<逐次法>
以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;
該第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;及び
次いで、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入し、該第二手段の回転要素の周速度を20m/s未満まで低下させ、平均繊維径2nm~800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。前記解繊工程は、好ましくは、20℃~90℃で0.5時間~8時間行い、かつ、前記化学修飾工程を20℃~80℃で0.25時間~6時間行うことができる。
<同時法、半逐次法>
以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、解繊溶媒、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入する工程、ここで、該化学修飾剤、及び該触媒を、該パルプの投入と同時に又は所定時間経過後に投入する;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する解繊・化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。前記解繊・化学修飾工程は、好ましくは、20℃~90℃で0.5時間~8時間行うことができる。
解繊溶媒に化学修飾剤を加える場合、撹拌などによって混合し、均一に溶解させることができる。混合の順序は、全てを同時に添加してもよく、撹拌しながら順次添加し、混合してもよい。極性が低い化学修飾剤を用いる場合、解繊溶媒の浸透速度、セルロース繊維の膨潤速度、及び解繊速度が低下する場合がある。そのため、化学修飾剤を含まない解繊溶媒をセルロース繊維に浸透させて、解繊がある程度進んだ時点で、解繊溶媒に化学修飾剤を加えることが好ましい。
解繊溶媒に触媒を加える場合、撹拌などによって混合し、均一に溶解又は懸濁させることができる。触媒を添加することにより、解繊溶媒の極性が向上し解繊をさらに促進することができる。化学修飾剤と触媒は、同時に添加してもよく、撹拌しながら順次添加し、混合してもよい。通常は、解繊溶媒に、パルプ、化学修飾剤、触媒を順次添加する方法が用いられる。また、触媒は、触媒を含まない解繊溶媒をセルロース繊維に浸透させて、解繊がある程度進んだ時点で添加してもよい。解繊溶媒をセルロース繊維に浸透させた後に、化学修飾剤及び/又は触媒を加える場合、解繊溶媒に直接添加してもよく、これらを任意の適切な溶媒に溶解した後に添加してもよい。任意の適切な溶媒は、解繊溶媒として用いられる溶媒でよい。
化学修飾剤として酢酸ビニルを用いる場合、平均置換度0.05~1.2のアセチル化セルロースを得ることができる。
塩基触媒を用いる場合、塩基触媒のアルカリ性が高すぎると、解繊溶媒が結晶内まで浸透し、CNFの結晶化度を低下させるおそれがある。そのため、塩基触媒としては、セルロースの結晶構造を破壊しない、任意の適切な塩基触媒を用いることができる。塩基触媒としては、好ましくは炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩等のカルボン酸塩;ホウ酸塩;リン酸塩;リン酸水素塩;テトラアルキルアンモニウム酢酸塩等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩、ピリジン類、イミダゾール類およびアミン類が挙げられる。塩基触媒は、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩、さらに好ましくは炭酸水素ナトリウム(重曹)である。これらの塩基触媒を含有することにより、解繊溶媒の極性(誘電率)が増大し、浸透速度が向上する効果もあるため好ましい。塩基性の強い(強アルカリ性)触媒はセルロースの安定性が低下するおそれがある。そのため、塩基性の強い触媒を用いる場合、解繊溶媒における塩基触媒の含有割合が0.1重量%以下とすることが好ましい。塩基触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
解繊して得られるセルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維組成物は、任意の適切な方法により分離精製してもよい。分離精製方法としては、例えば、遠心分離、濾過、濃縮、沈殿などが挙げられる。例えば、解繊混合物(解繊されたセルロースを含む解繊溶液)を遠心分離又は濾過することにより、セルロース微細繊維と解繊溶媒を分離してもよい。または、触媒及び解繊溶媒を溶解可能な溶媒(水、アルコール類、ケトン類など)を解繊混合物に添加し、遠心分離、濾過、沈殿などの分離法(任意の適切な方法)で分離精製(洗浄)してもよい。尚、分離操作は複数回(例えば、2~5回程度)行うことができる。化学修飾剤を添加した場合、反応終了後、水又はメタノールなどで化学修飾剤を失活させてもよく、再利用の観点から失活せずに蒸留により回収して再利用してもよい。
解繊工程、又は化学修飾工程、又は解繊・化学修飾工程で得られたセルロース繊維組成物又は化学修飾セルロース繊維組成物を水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水し、固形分5~20重量%の可塑性水性組成物を得る工程により、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維の紙粘度状の可塑性水性組成物を製造することができる。こうして得られる化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物を、熱可塑性樹脂と溶融・混錬する工程により、樹脂コンポジットを製造することができる。
前記した「水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水」する際、フィルタドライヤ(加圧ろ過装置)を用いることができる。セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維組成物中の固形分濃度は、最大30%程度であり、このときの状態は、紙粘土状又はオカラ状である。固形分濃度を30重量%近くまで濃縮すると、再び水で希釈して再分散させようとするときに、再分散させにくくなる。そのため、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維組成物中の固形分は5~20重量%であることが好ましい。
得られるCNFは、強力な機械せん断力が加えられていないため、従来の機械解繊法で得られる微細繊維よりも長い繊維長を有しており、平均繊維長は、例えば、1μm以上である。そして、得られるCNFは、例えば、1μm~200μm程度の平均繊維長の範囲になっているが、その用途に応じて反応条件をコントロールして適当な平均繊維長のセルロース微細繊維を得ることができる。一般的には、平均繊維長は、例えば、1μm~100μm、好ましくは2μm~60μm、さらに好ましくは3μm~50μmである。繊維長が短すぎると、補強効果が低下するおそれがある。また、長すぎると、繊維が絡み易くなるため溶媒や樹脂への分散性が低下するおそれがある。
CNFのアスペクト比は、解繊溶媒の組成と浸透時間により容易に制御できる。一般的には、アスペクト比は40~1000である。分散性と補強効果の観点から、アスペクト比は、より好ましくは50~800、さらに好ましくは80~600である。アスペクト比が40未満になると、分散しやすいものの補強効果や自立膜の強度が低いため好ましくない。一方、アスペクト比が1000を超えると繊維の絡み合いにより分散性が低下するおそれがある。
CNFの原料となるセルロースとしては、天然セルロース及び再生セルロースが挙げられる。
天然セルロースとしては、広葉樹又は針葉樹から得られる木材パルプ、非木材種からの精製パルプ(すなわち、非木材パルプ)のいずれも使用できる。非木材パルプとしては、コットンリンターパルプを含むコットン由来パルプ(例えば、精製リンター)、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプ、ワラ由来パルプなどを使用できる。コットン由来パルプ、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプ、及びワラ由来パルプは各々、コットンリント、コットンリンター、麻系のアバカ(例えば、エクアドル産又はフィリピン産のものが多い)、ザイサル、バガス、ケナフ、竹、ワラ等の原料から、蒸解処理による脱リグニン等の精製工程及び漂白工程を経て得られる精製パルプが代表例として挙げられる。この他、海藻由来のセルロースやホヤセルロースの精製物も使用できる。ここで、パルプに残存するセルロース以外の成分としてリグニン及びヘミセルロースを挙げることができるが、これらの成分はいずれも樹脂との複合化において耐熱性低下及びそれに伴う変色を誘起するため、セルロース原料中に含まれる含有量は少ない方がよい。具体的には、セルロース原料に含まれるリグニン含有率は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下である。セルロース原料に含まれるヘミセルロースの含有量は、好ましくは13質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
他方、再生セルロースとは、天然セルロースを溶解又は結晶膨潤(マーセル化)処理し再生して得られる物質であって、粒子線回折によって格子面間隔0.73nm、0.44nm及び0.40nmに相当する回折角を頂点とする結晶回折パターン(セルロースII型結晶)を与えるような分子配列を有するβ-1,4結合グルカン(グルコース重合体)を言う。セルロースII型結晶のX線回折パターンにおいては、2θの範囲を0°~30°とするX線回折パターンが、10°≦2θ<19°に1つのピークと、19°≦2θ≦30°に2つのピークとを有する。再生セルロースとしては、例えば、レーヨン、キュプラ、テンセル等が挙げられる。再生セルロースからは100nmを超える繊維径の繊維を作り易いため、分散性の観点から好ましい場合がある。これらの中でも微細化のし易さの観点から、繊維軸方向への分子配向性の高いキュプラ又はテンセルを原料として微細化した繊維を用いることが好ましい。さらに、再生セルロース繊維のカット糸やセルロース誘導体繊維のカット糸も使用できる。また、原料として天然セルロースと再生セルロースを混合して用いても構わない。
また、原料パルプはシート状であることから、装置への投入を容易にすることや撚糸を抑制する目的でパルパーやビーター、リファイナーなどによる湿式処理、シュレッダーや乾式リファイナー、ハンマーミル、粉砕機(株式会社石川総研 ATOMZ等)等の乾式処理により繊維をほぐしたり、繊維長を切断していても構わない。また、乾式粉砕は一般的にセルロースの結晶化度の低下を招くが、株式会社石川総研のATOMZを用いると結晶化度の低下を抑制できるため好ましい。
解繊溶剤としては、キシダ化学株式会社や関東化学株式会社等の試薬メーカー品、工業用品を用いることができるが、溶剤回収し、蒸留等により再生した溶剤を使用してもよい。解繊溶媒は、含水していても構わないが、解繊性やセルロースの水酸基を化学修飾する際に水が反応を阻害することから含水率は50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下が好ましい。
触媒、化学修飾剤も、キシダ化学株式会社や関東化学株式会社等の試薬メーカー品や工業用品を用いることができる。
以下の実施例では、セルロース原料として、日本紙パルプ商事から入手したシート状のコットンリンター由来のパルプを、解繊溶媒として、キシダ化学から入手した含水率0.5%以下のDMSOを、触媒として、関東化学から入手した重曹を、そして化学修飾剤として、キシダ化学から入手した酢酸ビニルを使用した。
まず、実施例、比較例で得たセルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維の水分散体の濃縮物を遠心分離により得る(固形分率5質量%以上)。続いて、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維0.5gを含む該濃縮物を濃度が0.2質量%となるように、該濃縮物をtert-ブタノール中に分散させ、さらに超音波分散等で凝集物が無い状態まで分散処理を行う。得られたtert-ブタノール分散液100gをろ紙(5C, アドバンテック, 直径90mm)上で濾過を行い、ろ紙上に形成された湿紙を剥がして単独で150℃にて乾燥させ、シートを得る。このシートの透気抵抗度がシート目付10g/m2あたり100sec/100ml以下のものを多孔質シートとし、測定サンプルとして使用する。
シート目付10g/m2あたりの透気抵抗度(sec/100ml)は、23℃、50%RHの環境で1日静置したサンプルの目付W(g/m2)を測定した後、王研式透気抵抗試験機(旭精工(株)製、型式EG01)を用いて透気抵抗度R(sec/100ml)を測定して行う。この時、下記式に従い、10g/m2目付あたりの値を算出する。
目付10g/m2あたり透気抵抗度(sec/100ml)=R/W×10
まず、多孔質シートの表面の無作為に選んだ3箇所を、走査型電子顕微鏡(SEM)により、微細繊維の繊維径に応じて10000~100000倍相当の倍率で観察する。得られた3つのSEM画像の各々において、画面に対しヨコ方向とタテ方向にラインを引き、ラインに交差する繊維の本数と、各繊維の繊維径とを拡大画像から実測して、1つの画像につきタテヨコ2系列の数平均繊維径を算出する。上記数平均繊維径の3画像での数平均を、対象とする試料の平均繊維径とする。
X線回折装置(株式会社リガク製、多目的X線回折装置)を用いて粉末法にて回折像を測定(常温)し、下記式よりSegal法で結晶化度を算出する。また、得られたX線回折像から結晶形についても測定する。
結晶化度(%)=[I(200)-I(amorphous)]/I(200)×100
{式中、I(200):セルロースI型結晶における200面(2θ=22.5°)による回折ピーク強度、I(amorphous):セルロースI型結晶におけるアモルファスによるハローピーク強度であって、200面の回折角度より4.5°低角度側(2θ=18.0°)のピーク強度である。}。
<X線回折測定条件>
装置:MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸:2θ/θ
線源:CuKα
測定方法:連続式
電圧:40kV
電流:15mA
開始角度:2θ=5°
終了角度:2θ=30°
サンプリング幅:0.020°
スキャン速度:2.0°/min
サンプル:試料ホルダー上に多孔質シートを貼り付け
セルロース繊維の化学修飾の度合について、セルロース繊維を乾燥させ、多孔質シートとした後、多孔質シートのATR-IR法による赤外分光スペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(JASCO社製 FT/IR-6200)で測定することにより評価を行う。赤外分光スペクトル測定は以下の条件で行う。
(赤外分光スペクトルの測定条件)
積算回数:64回、
波数分解能:4cm-1、
測定波数範囲:4000~600cm-1、
ATR結晶:ダイヤモンド、
入射角度:45°
得られたIRスペクトルよりIRインデックスを、下記式に従って算出する。
IRインデックス=H1730/H1030
H1730およびH1030は、1730cm-1、1030cm-1(セルロース骨格鎖C-O伸縮振動の吸収バンド)における吸光度である。但し、それぞれ1900cm-1と1500cm-1を結ぶ線と800cm-1と1500cm-1を結ぶ線をベースラインとして、このベースラインを吸光度0とした時の吸光度を意味する。
次に平均置換度(DS)をIRインデックスより下記式に従って算出する。
DS=4.13×IRインデックス
KAPPA VITA(登録商標)ホモミキサー(タンクサイズ35L)に、以下の表1に示す仕込み量で原料を仕込み、解繊工程を実施した。
図5に、ホモジナイザーの周速度とCNF/DMSOスラリーの流量との関係を示す。
図6に、パス数={循環量(L/min)×時間(min)}/スラリー容量(L)と、解繊されたCNFの平均繊維径及び結晶化度との関係を示す。
パス数の増加に伴い平均繊維径が低下しているが、結晶化度は変化していないことが分かる。
本実施例では、セルロース乾燥固形分1kgあたり定格消費電力量0.5~80kWhという極めて低いエネルギーでの十分な解繊を達成することができた。
KAPPA VITA(登録商標)ホモミキサー(タンクサイズ35L)に、以下の表4に示す仕込み量でリンターパルプとDMSOを仕込み、ホモミキサー回転数6000rpm(周速度29m/s)で8時間解繊した。その後、重曹と酢酸ビニルを加えて60℃で4時間アセチル化を実施した。アセチル化時、循環ライン中の滞留を防ぐため、ホモミキサーの回転数は、せん断力が立ち上がる手前の2500rpm(周速度12m/s)とした。
図7に、置換度の経時変化を示す。約4時間で置換度を1.0まで上げることができた。
得られた化学修飾セルロース繊維の平均繊維径は、実施例1で得られたセルロース繊維の平均繊維径と略同一であり、結晶化度は82%であった。
KAPPA VITA(登録商標)ホモミキサー(タンクサイズ35L)に、表4に示す仕込み量で原料を仕込み、60℃ホモミキサー回転数6000rpm(周速度29m/s)で4時間、解繊と化学修飾を行った。 得られた化学修飾セルロース繊維の平均繊維径は、実施例1で得られたセルロース繊維の平均繊維径と同様であり、置換度は1.1、結晶化度は80.5%であった。
みづほ工業株式会社 真空乳化攪拌装置、タンクサイズ25LのVT-1H-25に、表1に示す仕込み量で原料を仕込み、5400rpmで6時間解繊工程を実施した。セルロース1kg当たりのエネルギーは41kWh/kgであり、平均繊維径41nm、結晶化度81%のセルロース繊維を得た。
2 タンク底部に取り付けられた超高速ホモジナイザー(ローター/ステーター方式)
3 再循環パイプ
Claims (16)
- 以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;
を含むセルロース繊維組成物の製造方法。 - 前記解繊工程における解繊を20℃~90℃で0.5時間~8時間行う、請求項1に記載の製造方法。
- 以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;
該第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;及び
次いで、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入し、該第二手段の回転要素の周速度を20m/s未満まで低下させ、平均繊維径2nm~800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。 - 前記解繊工程を20℃~90℃で0.5時間~8時間行い、かつ、前記化学修飾工程を20℃~80℃で0.25時間~6時間行う、請求項3に記載の製造方法。
- 以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、解繊溶媒、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入する工程、ここで、該化学修飾剤、及び該触媒を、該セルロース含有パルプの投入と同時に又は所定時間経過後に投入する;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s~80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm~800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する解繊・化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。 - 前記解繊・化学修飾工程を20℃~90℃で0.5時間~8時間行う、請求項5に記載の製造方法。
- 前記第一手段が、内壁面に沿い内容物を削ぎ落すことができるスクレーパーを有するアジテーターであり、前記第二手段が、該アジテーターの下部に配置された回転式ホモミキサーであり、そして前記第三手段が、該回転式ホモミキサーの吐出物を該アジテーターに戻すことができるミキサータンク又は該ミキサータンクの循環ラインである、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記解繊溶媒が、水を30重量%まで含んでいてもよい非プロトン性極性溶媒である、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記解繊溶媒100重量部に対して、前記セルロース含有パルプがセルロース固形分換算で1~10質量部投入される、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記非プロトン性極性溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びこれらのいずれかの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載の製造方法。
- 前記化学修飾剤がカルボン酸ビニルエステルである、請求項5又は6に記載の製造方法。
- 前記カルボン酸ビニルエステルが酢酸ビニルであり、かつ、化学修飾されたセルロース繊維が、平均置換度0.05~1.2のアセチル化セルロース繊維である、請求項11に記載の製造方法。
- 前記触媒が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩である、請求項5に記載の製造方法。
- 前記触媒が炭酸水素ナトリウム(重曹)又は炭酸カリウムである、請求項13に記載の製造方法。
- 請求項1~14のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたセルロース繊維組成物又は化学修飾されたセルロース繊維組成物を水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水し、固形分5~20重量%の可塑性水性組成物を得る工程をさらに含む、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物の製造方法。
- 請求項15に記載の方法により製造された化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物を、熱可塑性樹脂と溶融・混錬する工程を含む、樹脂コンポジットの製造方法。
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