JP2020180400A - セルロース繊維組成物、及びその製造方法 - Google Patents

セルロース繊維組成物、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】強力な物理粉砕を必要としない省エネルギーな方法で、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないセルロース繊維組成物及び化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法の提供。【解決手段】以下の工程:内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;及び該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;を含むセルロース繊維組成物、及び/又は化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース繊維組成物、及びその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、強力な物理粉砕を必要としない省エネルギーな方法で、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないセルロース繊維組成物の製造方法、及び化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法に関する。
セルロース繊維(細胞壁単位)は、セルロース微細繊維(ミクロフィブリル、CNFともいう。)の集合体である。CNFは鋼鉄に匹敵する機械特性を持ち、直径約2nm〜20nmのナノ構造を持つため、補強材として注目されているが、CNFは繊維間が水素結合により結束されているため、水素結合を切断し、CNFを分離すること(以下、解繊ともいう。)が必要である。そのため、以下の説明するように、従来、激しい物理力を加える機械解繊法、例えば、水中機械解繊法が知られている。この方法では、セルロース繊維は水により膨潤され、柔らかい状態で高圧ホモジナイザーやウォータージェット等の強力な機械せん断によりナノ化する。天然のセルロースミクロフィブリルは結晶ゾーンと非結晶性ゾーンとから構成され、非結晶ゾーンは水等の膨潤性溶媒を吸収し、膨潤した状態になると、強力なせん断により変形するため、得られるCNFにはダメージが存在し、絡み合い、引っかかりしやすい形状となる。他方、ボールミル等の強力な機械粉砕法を用いる場合、固体状態特有のメカノケミカル反応が起こるため、セルロースの結晶構造が破壊されたり、溶解されたりすることが避けられなくなる。その結果、収率が低くなり、得られる繊維の結晶化度が低くなる場合がある。また、得られたセルロース繊維を疎水性樹脂と複合化するためには、解繊の後、脱水し、表面疎水化修飾等の処理をする必要があるが、水中解繊した場合、脱水工程には高いエネルギーを要することも問題になる。
他方、機械解繊法に代えて又はこれとともに解繊溶媒を工夫して解繊を促進させる技術が開発されている。
例えば、表面をエステル化したセルロース微細繊維の製造方法として、セルロースと有機溶剤とを混合して、エステル化剤を加えた後、強力な機械的破砕とともにエステル化反応をすることにより、セルロース表面をエステル化し、解離する方法も知られているが、エステル化剤と有機溶媒とを含む解繊用溶液はセルロースへの浸透性が低く、機械的粉砕処理の間にセルロース内部へほとんど浸透しない。したがって、この方法でも化学的解繊はされておらず、強力な機械力が必要となる機械解繊方法により繊維を製造しているため、CNFを損傷する可能性がある。また、セルロース繊維の内部になるほど有機溶剤とエステル化剤は浸透しにくいため、セルロース繊維内部はエステル化修飾されにくくなる。そのため、セルロース繊維内部の微細繊維は機械解繊により解繊されても、表面修飾がほとんどできていないと考えられる。
以下の特許文献1には、表面をエステル化したセルロース微細繊維の製造方法として、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム等のイオン液体と、N,N−ジメチルアセトアミド等の有機溶媒とを含有する混合溶媒を用いてセルロース系物質を膨潤および/または部分溶解させた後、無水酢酸によりアセチル化する方法が記載されている。しかしながら、特許文献1のイオン液体と有機溶媒とを含有する混合溶媒を用いる場合、イオン液体の回収や再利用に関するコストが高くなるという問題がある。また、特許文献1の実施例では、「濾紙(ADVANTECのFILTER PAPER)をハサミで3mm角に切断したもの2gを200mlのビーカに入れ、それにN,N−ジメチルアセトアミド50mLとイオン液体塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム60gを加え、80℃で磁性攪拌子で30分攪拌した後、Ultra-Turraxホモジナイザーをもちいて13000rpmで5分間処理を行なった。」と記載されており、解繊の程度は、実験室レベルで確認されているにすぎない。
特許文献1には、従来のCNFの製造方法として、セルロース繊維原料を叩解処理やホモジナイズ処理などにより、繊維をフィブリル化させる方法があるが、繊維径の小さいCNFを得るためには、叩解処理を十分に行う必要があり、その結果、繊維に大きなダメージを与え、得られたCNFの強度及びアスペクト比が低下してしまう一方で、叩解処理を低減して繊維のダメージを抑えると、得られた繊維の繊維径が大きく、アスペクト比も小さいので良好な補強特性を有するCNFが得られないこと、従来法は生産効率が悪いこと、例えば、予備叩解方法ではダブルディスクリファイナーで7〜15回の処理を行うことを必要とすること、予備叩解したパルプを砥石板のすり合わせによりフィブリル化し、さらに高圧ホモジナイザー処理を行うと、ミクロフィブリル化セルロースが得られるが、相当な処理回数が必要となり、生産効率が低いこと、メディア撹拌式粉砕機でミクロフィブリル状セルロースを得る方法も提案されているが、繊維状セルロースを懸濁液としたものを直接に粉砕機に投入して粉砕を行うため、叩解処理と同様にCNFにダメージを与える問題があると共に、CNF化に要する時間が非常に長く、生産性が低いという問題があること、塩酸溶液中、120〜130℃で加水分解処理した後、中和、洗浄し、ディスクリファイナーで磨砕する工程を備えた方法も提案されているが、酸処理によりCNFを分離しやすくするので、より微細な繊維を得ることができるものの、長時間の酸処理はCNFにダメージを与え、物性の低下が避けられないこと、などの問題点が記載されている。
以下の特許文献2には、ナノセルロース材料を製造するプロセスであって、(a)リグノセルロースを含むバイオマス供給原料を提供するステップ;(b)前記供給原料を、二酸化イオウ等の酸、エタノール等のリグニンの溶媒、及び水の存在下で分画し、セルロースに富む固体並びにヘミセルロース及びリグニンを含有する液体を生成させるステップ;(c)前記セルロースに富む固体を機械的に処理してセルロースフィブリル及び/又はセルロース結晶を形成させ、それにより少なくとも60%の結晶化度を有するナノセルロース材料を生成させるステップ;及び(d)前記ナノセルロース材料を回収するステップを含む前記プロセスが記載されている。特許文献2には、ステップ(c)中に、前記セルロースに富む固体が、前記セルロースに富む固体1トン当たり約1000キロワット時未満の全機械的エネルギーを用いて処理されることも記載されている。
特許文献2には、バイオマス由来のパルプは、機械的処理によってナノセルロースに変換することができ、該プロセスは簡単であるかもしれないが、不利点に、高いエネルギー消費、強力な機械的処理による繊維及び小片の損傷、及びフィブリルの直径及び長さにおける広い分布が含まれること、バイオマス由来のパルプは、化学的処理によってナノセルロースに変換することができ、例えば、パルプは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)で処理してナノセルロースを製造することができるが、そのような技法は、機械的処理と比較してエネルギー消費を減少させて、且つより均一な小片サイズを生じさせることができるものの、該プロセスは経済的に実現性があるとはみなされないこと、それゆえ、低減されたエネルギーコストでナノセルロースをバイオマスから製造するための改善されたプロセスが、当技術分野において必要とされていることが記載されている。
特許文献2には、CNFの製造にとって大きな技術的経済的バリアは、高いエネルギー消費及び高いコストであり、二酸化イオウ(SO2)及びエタノール(又は他の溶媒)を使用すると、バイオマスからヘミセルロース及びリグニンだけでなくセルロースの非晶質領域も効果的に除去されて、CNFへの変換に最少の機械的エネルギーを必要とする高結晶性セルロース生成物が得られると記載されている。特許文献2では、漂泊されたパルプの0.65wt%懸濁液を作製してMicrofluidics(Westwood、マサチューセッツ州、米国)のM−l 10EH−30マイクロ流動体化処理装置を、必要とされるサイズ低下のレベルに応じて87μm、200μm、及び400μmの内部の直径を有する相互作用チェンバーの組合せを使用して、30回まで通過させ、30kpsiまでの一定の圧力を一定の速度の生成物ストリームにかけ、相互作用チェンバーの固定された幾何学的構造のミクロチャンネルが生成物ストリームを高い速度に加速させ、高速の生成物ストリームをそれ自体及び耐摩耗性表面(多結晶性ダイヤモンド)に衝突させ、高い剪断力及び衝撃力により小片のサイズを減少させて、エネルギー消費量を1000kWh/トン未満であることを確認している。このエネルギー消費量は、スラリー換算でのものである。
以下の特許文献3には、金属粒子等の粉砕媒体の存在下で、および任意に炭酸カルシウム等の無機粒状物質の存在下で、垂直ミル等を用いて、セルロース含有繊維質基材をミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含む組成物を得る工程を含み、該ミクロフィブリル化工程中のエネルギー投入量が、セルロース含有繊維質基材1トン当たり約500〜20,000kWh(kWh/t)、例えば、約1,250〜10,000kWh/tまたは例えば、約1,750〜4,000kWh/tであり、該組成物が(i) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約5.0質量%以下の、10nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリル;および/または(ii) 該組成物中のセルロース系物質の全質量を基準として、約30質量%以下の、100nm未満のフィブリル径を持つセルロースフィブリルを含む、ミクロフィブリル化セルロースおよび任意に無機粒状物質を含む組成物の製造方法が記載されている。かかる組成物は、製紙又は紙塗工において使用できる無機フィラーを含んでいる。
以下の特許文献4には、非誘導体化ナノセルロース材料を調製するための低エネルギー法であって、(a)セルロース系材料を、モルホリン等の膨潤剤で処理して膨潤セルロース系材料を得る工程、(b)前記膨潤セルロース系材料に、高せん断力、高圧均質化、微細流動化、高摩擦力、及びこれらの組み合わせ等の効果的な機械的粉砕処理を施す工程、及び(c)前記ナノセルロース材料を単離する工程を含む低エネルギー法が記載されている。特許文献4では、低エネルギー法とは、本技術分野において、公知の、エネルギー集約型の先行技術方法に比べて、使用される機械的な処理装置のエネルギー消費を大幅に減らしたことを特徴とする方法のことを指し、通常、2000kWh/t未満、好ましくは1500kWh/t未満、より好ましくは500kWh/t未満である、砕いて(又は破壊して)小さい粒子にできる任意の効率のよい機械的粉砕処理工程と定義されている。しかしながら、特許文献4には、機械的粉砕処理は、高せん断力、微細流動化、(例えば、2つのチャンバーを連続して取り付けたM110−EH微細流動化装置)、高圧ホモジナイザー(例えば、NanoDeBee高圧ホモジナイザー(BEE International Inc)、ConCor高圧/高せん断ホモジナイザー(Primary Dispersions Ltd))、制御流体力学的キャビテーション(例えば、Arisdyne Systems制御流体力学的キャビテーション装置を用いて)及び高摩擦力(例えば、Super MassColloider コロイド/フリクションミル(Masuko))及びこれらの組み合わせ等の当技術分野で公知の従来技術を用いて行うことができると記載され、実施例ではM110−EH微細流動化装置が使用されている。
以下の特許文献5には、機械的に破砕することなく、非プロトン性溶媒と、カルボン酸ビニルエステルまたはアルデヒドとを含む解繊溶液をセルロースに浸透させて、セルロースを解繊し、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないセルロース微細繊維の製造方法が記載されている。特許文献5には、かかる解繊溶液がセルロース内部に浸透しながらセルロース繊維間、ラメラ間およびミクロフィブリル間の水素結合を切断することによって解繊が引き起こされると考えており、解繊溶液のドナー数または電気伝導度が高いほど、膨潤により引き起こされるセルロース繊維間、ラメラ間およびミクロフィブリル間の空隙体積が大きく、解繊度合いが向上すると考えている。また、解繊溶液がカルボン酸ビニルエステルまたはアルデヒドを含む場合、カルボン酸ビニルエステルがセルロースの水酸基やセルロースに含まれる水と反応し、副生成物としてアセトアルデヒドが生成するかまたはアルデヒドがミクロフィブリル表面の一部の水酸基とヘミアセタールまたはアセタールを形成してミクロフィブリル間の水素結合を切断するため、ミクロフィブリル同士は容易に離れ、解繊されると、また、解繊溶液がさらに修飾反応化剤を含む場合、ヘミアセタールまたはアセタールは不安定であるため、修飾反応化剤の攻撃によりアセトアルデヒドに戻り、セルロースの水酸基が修飾されると考えている。すなわち、引用文献5に記載された解繊溶液は、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステルやアルデニドを必須成分として含んでいる。特許文献5には、解繊溶液の浸透性の観点から非プロトン性溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)が好ましいと記載されているが、酢酸ビニルを含まない解繊溶液(塩化ラウロイル:DMSO=1:9)又はアルデヒドを含まない解繊溶液(DMSO100%)では、解繊が進まなかったと記載されている。引用文献5では、酢酸ビニル1gとDMSO9gとを20mlのサンプル瓶に入れ、磁性スターラーで混合液が均一に混ざるまで撹拌し、次に、セルロースパルプ0.3gを加え、さらに3時間撹拌した後、蒸留水で洗浄することにより解繊溶液(酢酸ビニルとDMSO)と副生物(アセトアルデヒドまたは酢酸)を除き、得られたセルロース微細繊維について、修飾有無をFT−IR分析で確認し、走査型電子顕微鏡(SEM)で形状を観察し、XRD分析法で結晶化度を測定し、解繊度合および溶剤分散性を評価しており、解繊は、実験室レベルで確認されているにすぎない。尚、かかるスターラーによる消費電力量は、15Wで0.3gのパルプを3時間処理しているため、150kWh/kgと換算される。
以下の特許文献6には、含水状態のCNFを、DMSO等の親水性有機溶媒に分散した溶液に酢酸ビニル等の有機酸ビニルを加え、反応終了後の反応液に沈殿を生じさせ、その沈殿を回収し、乾燥することを特徴とする誘導体化CNFの製造方法が記載されている。すなわち、特許文献6には、ビニルエステルを使用すると水を含んでいてもCNFをエステル化できることが開示されている。しかしながら、特許文献6に記載される「含水状態のCNF」は、0.5〜10質量%の水混合液にした多糖に対し、50〜400MPa程度の高圧水を衝突させることによって得られたものであり、既に解繊されたCNFを誘導体化する技術が開示されているにすぎない。したがって、特許文献6には、強力な物理粉砕を必要としない省エネルギーな方法で、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないセルロース微細繊維の製造方法は一切記載されていない。
特開2010−104768号公報 特表2016−501937号公報 特表2016−505727号公報 特表2015−522097号公報 国際公開第2017/159823号 国際公開第2016/010016号
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、強力な物理粉砕を必要としない省エネルギーな方法で、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないセルロース繊維組成物の製造方法、及び化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用い、特定の解繊溶媒中で、機械的に破砕することなく、温和な条件下で解繊することにより、極めて低い消費電力で、セルロース繊維を解繊し、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないセルロース繊維組成物を製造することができることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;
を含むセルロース繊維組成物の製造方法。
[2]前記解繊工程における解繊を20℃〜90℃で0.5時間〜8時間行う、前記[1]に記載の方法。
[3]以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;
該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;及び
次いで、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入し、該第二手段の回転要素の周速度を20m/s未満まで低下させ、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。
[4]前記解繊工程を20℃〜90℃で0.5時間〜8時間行い、かつ、前記化学修飾工程を20℃〜80℃で0.25時間〜6時間行う、前記[3]に記載の方法。
[5]以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、解繊溶媒、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入する工程、ここで、該化学修飾剤、及び該触媒を、該パルプの投入と同時に又は所定時間経過後に投入する;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する解繊・化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。
[6]前記解繊・化学修飾工程を20℃〜90℃で0.5時間〜8時間行う、前記[5]に記載の方法。
[7]前記第一手段が、内壁面に沿い内容物を削ぎ落すことができるスクレーパーを有するアジテーターであり、前記第二手段が、該アジテーターの下部に配置された回転式ホモミキサーであり、そして前記第三手段が、該回転式ホモミキサーの吐出物を該アジテーターに戻すことができるミキサータンク又は該タンクの循環ラインである、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記解繊溶媒が、水を30重量%まで含んでいてもよい非プロトン性極性溶媒である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記解繊溶媒100重量部に対して、前記パルプがセルロース固形分換算で1〜10質量部投入される、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]前記非プロトン性極性溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びこれらのいずれかの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[8]又は[9]に記載の方法。
[11]前記化学修飾剤がカルボン酸ビニルエステルである、前記[2]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記カルボン酸ビニルエステルが酢酸ビニルであり、かつ、化学修飾されたセルロース繊維が、平均置換度0.05〜1.2のアセチル化セルロース繊維である、前記[1]に記載の方法。
[13]前記触媒が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩である、前記[2]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14]前記触媒が炭酸水素ナトリウム(重曹)又は炭酸カリウムである、前記[3]に記載の方法。
[15]前記[1]〜[14]のいずれかに記載の方法で製造されたセルロース繊維組成物又は化学修飾されたセルロース繊維組成物を水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水し、固形分5〜20重量%の可塑性水性組成物を得る工程をさらに含む、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物の製造方法。
[16]前記[15]に記載の方法により製造された化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物を、熱可塑性樹脂と溶融・混錬する工程を含む、樹脂コンポジットの製造方法。
本発明によれば、高圧ホモジナイザーやウォータージェット等を用いた強力な機械解繊に代えて、内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する特定の装置を用い、かつ、特定の解繊溶媒中で、温和な条件下で解繊することにより、極めて低い消費電力で、セルロース繊維を解繊し、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないセルロース繊維組成物を製造することができる。また、ある程度の解繊が進行した時点で、同一装置を用いてCNFを化学修飾することができ、さらに、得られた化学修飾CNF組成物を水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水し、固形分20重量%程度と高濃度の紙粘土状の可塑性水性組成物を得ることができ、これを熱可塑性樹脂と溶融・混錬することにより、樹脂コンポジットを製造することができる。すなわち、本発明は、CNF強化複合材料の低コスト、大規模生産を可能ならしめる技術として産業上極めて有用な技術である。
装置の概略図である。 撹拌機の概略図である。 回転要素の概略図である。 ホモ(ジナイジング)ミキサーの性能曲線のグラフである。 ホモ(ジナイジング)ミキサーの周速度と流量との関係を示すグラフである。 解繊時におけるパス数と、平均繊維径及び結晶化度との関係を示すグラフである。パス数はホモ(ジナイジング)ミキサーの理論流量(L/min)×処理時間(min)/仕込み量(L)で概算した値である。 アセチル化における置換度(DS)の経時変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態のセルロース繊維組成物の製造方法は、以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;
を含むことを特徴とする。前記解繊工程における解繊は、好ましくは20℃〜90℃で0.5時間〜8時間で行われる。
<セルロースの解繊>
本実施形態のセルロース繊維組成物の製造方法における解繊工程においては、特定の解繊溶媒をセルロース繊維に浸透させることにより、セルロース繊維を解繊することができる。かかる特定の解繊溶媒がセルロース繊維に浸透することで、セルロース繊維を膨潤させながらミクロフィブリルの間の水素結合を切断することにより、ミクロフィブリルが自ら解して、解繊されたCNFが得られる。かかる解繊工程においては、従来技術の高圧ホモジナイザーやウォータージェットのような強力な解繊機器を用いる必要はなく、強力な機械解繊や破砕によらずに、セルロースを解繊し、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないCNFが得られる。かかる解繊工程に用いる装置については、後述する。
かかる特定の解繊溶媒は、ミクロフィブリルの結晶ゾーン(ドメイン)には浸透しないため、得られるセルロース微細繊維は、ダメージが少なく、天然のミクロフィブリルに近い構造を有するものとなる。同時に、本実施形態のセルロース繊維組成物の製造方法では、強力な剪断力の働きによる機械的解繊手段を用いることなく、セルロース繊維を解繊することができるため、得られるセルロース繊維に物理的な作用によるダメージが少ないものとなる。それゆえ、得られるセルロース繊維、及び化学修飾セルロース繊維は、高い強度を保持していると考えられる。
特定の解繊溶媒は、水を含んでいてもよい非プロトン性極性溶媒であることができ、かかる非プロトン性極性溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びこれらのいずれかの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、最も好ましくはDMSOである。
DMSOは水と任意の割合で混合することができる。解繊溶媒に対する水の割合が増加していくと、解繊よりも、繊維の切断がより発生する傾向にある。すなわち、水の割合を調整することで、解繊と繊維切断とのバランスを最適なものとすることが可能となる。但し、解繊溶媒中の水の割合が高すぎると、繊維形状の損傷が激しくなるため、解繊溶媒中の水の割合は、水30重量%までであることが好ましい。解繊溶媒100重量部に対して、原料パルプはセルロース固形分換算で1〜10質量部投入されることが好ましい。
また、後述する解繊工程に用いる装置に依存するが、スラリー粘度や装置詰まりの観点から、原料パルプ/DMSOスラリーの濃度としては10重量%が限界である。
本実施形態のCNF組成物の製造方法における解繊工程では、解繊溶媒をセルロース繊維に浸透させて、解繊することを含む。セルロース繊維が解繊溶媒により解繊される理由は次のように考えられる。
解繊溶媒がセルロース内部に浸透しながらセルロース繊維間、ラメラ間、及びミクロフィブリル間の水素結合を切断することによって解繊が引き起こされる。解繊溶媒のドナー数又は電気伝導度が高いほど、膨潤により引き起こされるセルロース繊維間、ラメラ間、及びミクロフィブリル間の空隙体積が大きく、解繊度合いが向上する。
解繊溶媒がカルボン酸ビニルエステルを含む場合、カルボン酸ビニルエステルがセルロースの水酸基やセルロースに含まれる水と反応し、副生成物としてアセトアルデヒドが生成する。このアセトアルデヒドはミクロフィブリル表面の一部の水酸基とヘミアセタール又はアセタールを形成してミクロフィブリル間の水素結合を切断する。そのため、ミクロフィブリル同士は容易に離れ、解繊される。また、解繊溶媒が化学修飾剤を含む場合、ヘミアセタール又はアセタールは不安定であるため、化学修飾剤の攻撃によりアセトアルデヒドに戻り、セルロースの水酸基が修飾される。
解繊工程に供されるセルロース繊維は、セルロース単独の形態であってもよく、リグニンやヘミセルロースなどの非セルロース成分を含む混合形態であってもよい。セルロースとしては、好ましくはI結晶型セルロース構造を含むセルロースであり、例えば、木材由来パルプ、木材、竹、リンターパルプ、綿、セルロースパウダーを含む物質等が挙げられる。セルロースと解繊溶媒との重量比は、セルロース/解繊溶媒=1.0:100〜10:100が好ましく、より好ましくは3:100〜8:100、さらに好ましくは4:100〜6:100である。セルロースの割合が低すぎると、CNFの生産効率が低くなる場合がある。また、セルロースの割合が高すぎると、解繊溶媒のセルロース繊維間、ラメラ間、及びミクロフィブリル間への浸透が不十分であるため、解繊度合いが低下するおそれがある。また、粘度が高いため解繊時間が長くなる。これらのいずれにしても生産性が低下するおそれがある。さらに、化学修飾CNFを製造する場合には、セルロースの割合が高すぎると得られるCNFのサイズと化学修飾率の均一性が低下するおそれがある。
解繊溶媒は、セルロースに対する浸透性が高いため、セルロースを解繊溶媒に添加して混合することにより、解繊溶媒は、ミクロフィブリル間に浸入して、ミクロフィブリル間の水素結合を切断することにより、セルロースを解繊できる。さらに化学修飾剤及び/又は触媒を併用することにより、セルロース繊維の表面を修飾することができる。前記装置の第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、好ましくは20℃〜90℃で0.5時間〜8時間、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmのセルロース繊維を形成することができる。後述するように、解繊工程の後に化学修飾を行う場合には、化学修飾剤、及び触媒を、該装置の第一手段に投入し、該第二手段の周速度を20m/s未満まで低下させ、好ましくは20℃〜80℃で0.25時間〜6時間、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する化学修飾工程を引続き実施すればよい。また、解繊と化学修飾を同時に又は半逐次的に行う場合には、化学修飾剤、及び該触媒を、該パルプの投入と同時に又は所定時間経過後に投入した後、第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、好ましくは20℃〜90℃で0.5時間〜8時間、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する解繊・化学修飾工程を引続き実施すればよい。
<装置>
本実施形態のセルロース繊維組成物又は化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法に使用することができる装置は、内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置である。該第一手段は、内容物を攪拌し乱流を発生させて第二手段に供給することができる手段であることが好ましい。CNF組成物は、チキソトロピーを示す流体であり、一定の力をかけ続けることで粘度が下がったり、下がった粘度がある一定時間放置したりすると元に戻ったりする、いわゆる、チキソ性を呈する。また、CNF組成物は、回転要素の回転数を高くしすぎると、空気を噛んで流量が減少し、他方、せん断力がかかる回転数以上にしなければ、スラリーが流れず流量が増加しない。それゆえ、滞留させた内容物を攪拌し乱流を発生させて下流に供給することができる第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段において特定範囲の周速度に調整する必要がある。かかる装置を使用することで、前記した特定の解繊溶媒100質量部に対してセルロース固形分換算でセルロースを1〜10質量部含む場合に、例えば、タンク容量35L以上のホモミキサーを使用する場合、セルロース乾燥固形分1kgあたり定格消費電力量0.5〜80kWhという極めて低いエネルギーでの十分な解繊を達成することができる。すなわち、本実施形態のセルロース繊維組成物又は化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法は、実験室規模ではなく、大規模生産において、低エネルギーでCNF組成物又は化学修飾CNF組成物の製造を可能ならしめる極めて有用な方法である。
かかる装置としては、特に制限はないが、例えば、図1に示すような、ホモナイジングミキサー(本明細書中、ホモミキサーともいう。)を挙げることができる。図1中、符号1は、1は、特殊な形状を持つアジテーター(攪拌プロペラ)であり、タンク下部への垂直方向の乱流を発生させ、タンク底部に取り付けられたホジナイザーにプロダクト(内容物)移送を行うことができる。符号2は、タンク底部に取り付けられた、例えば、最大周速度31m/secの超高速ホモジナイザー(ローター/ステーター方式)にてせん断し、かかるせん断力、固形分同士の衝突等のエネルギーによりプロダクトをサブマイクロレベルへ粉砕、分散させる。符号3は、ホモジナイジングされたプロダクトをタンク上部又は中段に送り出す再循環パイプである。
図2に、前記アジテーターの一例を示す。図2に示すアジテーターは、可動式スクレーパーであり、ネジを使わない非固定式で、ハンドメイドタンクの形状に合わせて一つずつ削り出しで作製され、タンクへ壁面にきっちりと沿い、材料を削ぎ落し、攪拌・熱伝導効率が高められる。
図3に、前記ホモミキサーのホモジナイザー(回転式ホモミキサーともいう。)の回転要素の一例を示す。
前記ホモミキサーとしては、各種サイズのもの用意することができ、例えば、タンクサイズ35Lのタイプでは、ホモジナイザーのローター(回転要素)サイズは92mmであり、モーター容量は7.5kW(電圧400Vの場合)であり、アジテーターのモーター容量は1.5kW(電圧400Vの場合)であることができる。
図4に、前記ホモミキサーの回転要素の周速度(m/s)と、流量(水時)(m3/hr)、電流(A)、せん断力(kW)、吐出圧(bar)との関係の一例を示す。図4から分かるように、ホモジナイザーの回転数(周速度)に応じて流量は比例して増加し、せん断力は15〜20m/sを境に立ち上がる(それ以下の回転数ではポンプ効果のみ)。図4に示す関係は、前記ホモミキサーのサイズがアップしても基本的に変わらないものであることができる。すなわち、ホモミキサーのサイズは周速度を合わせて設計することができる。
装置として、前記ホモミキサーを使用する場合、前記第一手段は、内壁面に沿い内容物を削ぎ落すことができるスクレーパーを有するアジテーターであり、前記第二手段は、該アジテーターの下部に配置された回転式ホモミキサーであり、そして前記第三手段は、該回転式ホモミキサーの吐出物を該アジテーターに戻すことができる循環ラインに相当するものであることができる。タンク内での同様の機能が奏される限り、循環ラインは、必ずしも必要はない。第二手段を第一手段の下部に配置し、内容物を第一手段により第二手段に送り込み、第二手段の吐出圧により第三手段を介して第一手段に戻し、大第一手段により戻された内容物を攪拌することにより、せん断力によるセルロースの解繊を極めて効率的に実施することができる。また、第二手段の回転要素の周速度、及び第三手段にける流量をモニターすることにより、解繊工程の運転管理が容易になる。
本実施形態のセルロース繊維組成物の製造方法における解繊工程においては、第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、好ましくは20℃〜90℃で0.5時間〜8時間、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmのセルロース繊維を形成することができる。また、本実施形態の化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法における解繊工程に続く化学修飾工程においては、化学修飾剤、及び触媒を、該装置の第一手段に投入し、該第二手段の回転要素の周速度を20m/s未満まで低下させ、好ましくは20℃〜80℃で0.25時間〜6時間、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成することができる。回転要素の周速が20m/s未満であると、第二手段におけるせん断力が十分でなく、解繊が進まない。他方、50m/sを超えると、CNF組成物のチキソ性の因り空気を噛み込み、吐出圧が確保できず再循環ができない、また、CNFの分解が進むおそれがある。
また、本実施形態の化学修飾セルロース繊維組成物の製造方法における解繊工程と化学修飾工程を同時に行う解繊・化学修飾工程においては、第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、好ましくは20℃〜90℃で0.5時間〜8時間、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成することができる。すなわち、前記装置を用いれば、解繊工程に引き続く化学修飾工程を同一装置の運転条件を適宜変更することで、低エネルギーで、化学修飾セルロース繊維組成物を大規模に製造することが可能となる。
<化学修飾>
本発明の他の実施形態は、解繊後に化学修飾を引続き行う以下の逐次法、又は解繊と化学修飾を同時に又は段階的に行い同時法若しくは半逐次法であることができる。
<逐次法>
以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;
該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;及び
次いで、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入し、該第二手段の回転要素の周速度を20m/s未満まで低下させ、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。前記解繊工程は、好ましくは、20℃〜90℃で0.5時間〜8時間行い、かつ、前記化学修飾工程を20℃〜80℃で0.25時間〜6時間行うことができる。
<同時法、半逐次法>
以下の工程:
内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
セルロース含有パルプ、解繊溶媒、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入する工程、ここで、該化学修飾剤、及び該触媒を、該パルプの投入と同時に又は所定時間経過後に投入する;及び
該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する解繊・化学修飾工程;
を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。前記解繊・化学修飾工程は、好ましくは、20℃〜90℃で0.5時間〜8時間行うことができる。
<化学修飾剤、触媒の添加>
解繊溶媒に化学修飾剤を加える場合、撹拌などによって混合し、均一に溶解させることができる。混合の順序は、全てを同時に添加してもよく、撹拌しながら順次添加し、混合してもよい。極性が低い化学修飾剤を用いる場合、解繊溶媒の浸透速度、セルロース繊維の膨潤速度、及び解繊速度が低下する場合がある。そのため、化学修飾剤を含まない解繊溶媒をセルロース繊維に浸透させて、解繊がある程度進んだ時点で、解繊溶媒に化学修飾剤を加えることが好ましい。
解繊溶媒に触媒を加える場合、撹拌などによって混合し、均一に溶解又は懸濁させることができる。触媒を添加することにより、解繊溶媒の極性が向上し解繊をさらに促進することができる。化学修飾剤と触媒は、同時に添加してもよく、撹拌しながら順次添加し、混合してもよい。通常は、解繊溶媒に、パルプ、化学修飾剤、触媒を順次添加する方法が用いられる。また、触媒は、触媒を含まない解繊溶媒をセルロース繊維に浸透させて、解繊がある程度進んだ時点で添加してもよい。解繊溶媒をセルロース繊維に浸透させた後に、化学修飾剤及び/又は触媒を加える場合、解繊溶媒に直接添加してもよく、これらを任意の適切な溶媒に溶解した後に添加してもよい。任意の適切な溶媒は、解繊溶媒として用いられる溶媒でよい。
化学修飾剤は、好ましくはカルボン酸ビニルエステルである。
化学修飾剤として酢酸ビニルを用いる場合、平均置換度0.05〜1.2のアセチル化セルロースを得ることができる。
解繊溶媒に含まれるカルボン酸ビニルエステルの含有割合は、解繊溶媒全体に対して、0.05重量%〜50重量%が好ましく、より好ましくは1重量%〜40重量%、さらに好ましくは2重量%〜30重量%である。カルボン酸ビニルエステルの含有割合が0.05重量%未満であると、化学修飾率が十分でないおそれがある。他方、カルボン酸ビニルエステルの含有割合が50重量%を超えると、セルロースへの解繊溶媒の浸透性が低下するおそれがある。カルボン酸ビニルエステルの含有割合がかかる範囲であることにより、ミクロフィブリル間への浸透性とセルロースの水酸基に対する反応性のバランスが向上する。
カルボン酸ビニルエステルは、特に制限はなく、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。酢酸ビニルが好ましい。
解繊溶媒は、化学修飾剤の種類に応じて、塩基触媒又は酸触媒をさらに含んでいてもよい。解繊溶媒が触媒を含むことにより、化学修飾反応を促進すると共に、解繊溶媒の極性が向上し、解繊をさらに促進することができる。塩基触媒と酸触媒は誘電率が高く、これらを添加することにより解繊溶媒の誘電率が大きくなる。そのため、解繊溶媒のセルロースに対する親和性が増大し、解繊溶媒の浸透速度と膨潤率が向上する。さらに、セルロース中に含まれる可溶性のヘミセルロースなどの非結晶性成分の溶解を促進し、ミクロフィブリルの解繊を加速する作用が奏される。
上記の通り、解繊溶媒がカルボン酸ビニルエステルを含む場合、解繊溶媒にさらに触媒を加えることにより、セルロースが解繊されると共に、カルボン酸ビニルエステルがセルロースの水酸基とエステル交換反応するため、エステル化された化学修飾CNFが得られる。触媒は酸触媒と塩基触媒のいずれであってもよい。解繊溶媒全体に対する塩基触媒又は酸触媒の含有割合は、好ましくは0.001重量%〜0.5重量%である。
塩基触媒を用いる場合、塩基触媒のアルカリ性が高すぎると、解繊溶媒が結晶内まで浸透し、CNFの結晶化度を低下させるおそれがある。そのため、塩基触媒としては、セルロースの結晶構造を破壊しない、任意の適切な塩基触媒を用いることができる。塩基触媒としては、好ましくは炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩等のカルボン酸塩;ホウ酸塩;リン酸塩;リン酸水素塩;テトラアルキルアンモニウム酢酸塩等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩、ピリジン類、イミダゾール類およびアミン類が挙げられる。塩基触媒は、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩、さらに好ましくは炭酸水素ナトリウム(重曹)である。これらの塩基触媒を含有することにより、解繊溶媒の極性(誘電率)が増大し、浸透速度が向上する効果もあるため好ましい。塩基性の強い(強アルカリ性)触媒はセルロースの安定性が低下するおそれがある。そのため、塩基性の強い触媒を用いる場合、解繊溶媒における塩基触媒の含有割合が0.1重量%以下とすることが好ましい。塩基触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
化学修飾工程、解繊・化学修飾工程では、カルボン酸ビニルエステルの蒸発を避けるため、密閉系又は加圧系で行うことが好ましい。さらに、カルボン酸ビニルエステルの副生成物であるアセトアルデヒドの低沸点成分の蒸発を避けるため、加圧することが好ましい。
<分離・精製>
解繊して得られるセルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維組成物は、任意の適切な方法により分離精製してもよい。分離精製方法としては、例えば、遠心分離、濾過、濃縮、沈殿などが挙げられる。例えば、解繊混合物(解繊されたセルロースを含む解繊溶液)を遠心分離又は濾過することにより、セルロース微細繊維と解繊溶媒を分離してもよい。または、触媒及び解繊溶媒を溶解可能な溶媒(水、アルコール類、ケトン類など)を解繊混合物に添加し、遠心分離、濾過、沈殿などの分離法(任意の適切な方法)で分離精製(洗浄)してもよい。尚、分離操作は複数回(例えば、2〜5回程度)行うことができる。化学修飾剤を添加した場合、反応終了後、水又はメタノールなどで化学修飾剤を失活させてもよく、再利用の観点から失活せずに蒸留により回収して再利用してもよい。
解繊工程、又は化学修飾工程、又は解繊・化学修飾工程で得られたセルロース繊維組成物又は化学修飾セルロース繊維組成物を水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水し、固形分5〜20重量%の可塑性水性組成物を得る工程により、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維の紙粘度状の可塑性水性組成物を製造することができる。こうして得られる化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物を、熱可塑性樹脂と溶融・混錬する工程により、樹脂コンポジットを製造することができる。
前記した「水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水」する際、フィルタドライヤ(加圧ろ過装置)を用いることができる。セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維組成物中の固形分濃度は、最大30%程度であり、このときの状態は、紙粘土状又はオカラ状である。固形分濃度を30重量%近くまで濃縮すると、再び水で希釈して再分散させようとするときに、再分散させにくくなる。そのため、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維組成物中の固形分は5〜20重量%であることが好ましい。
セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維の紙粘度状の可塑性水性組成物中のCNFの平均繊維径は2nm〜800nm、アスペクト比は40〜1000であることができる。得られるCNFは、ナノサイズ又はサブミクロンメーターに解繊されており、平均繊維径は、例えば、好ましくは3nm〜600nm、より好ましくは5nm〜500nm、さらに好ましくは10nm〜300nmである。繊維径が大きすぎると、補強材としての効果が低下するおそれがある。繊維径が小さすぎると、微細繊維の取り扱い性や耐熱性も低下するおそれがある。
得られるCNFは、強力な機械せん断力が加えられていないため、従来の機械解繊法で得られる微細繊維よりも長い繊維長を有しており、平均繊維長は、例えば、1μm以上である。そして、得られるCNFは、例えば、1μm〜200μm程度の平均繊維長の範囲になっているが、その用途に応じて反応条件をコントロールして適当な平均繊維長のセルロース微細繊維を得ることができる。一般的には、平均繊維長は、例えば、1μm〜100μm、好ましくは2μm〜60μm、さらに好ましくは3μm〜50μmである。繊維長が短すぎると、補強効果が低下するおそれがある。また、長すぎると、繊維が絡み易くなるため溶媒や樹脂への分散性が低下するおそれがある。
CNFのアスペクト比は、解繊溶媒の組成と浸透時間により容易に制御できる。一般的には、アスペクト比は40〜1000である。分散性と補強効果の観点から、アスペクト比は、より好ましくは50〜800、さらに好ましくは80〜600である。アスペクト比が40未満になると、分散しやすいものの補強効果や自立膜の強度が低いため好ましくない。一方、アスペクト比が1000を超えると繊維の絡み合いにより分散性が低下するおそれがある。
本実施形態の化学修飾セルロース繊維の表面は均一に修飾されているため、有機溶媒、樹脂によく分散できる。本実施形態の製造方法では、微細繊維は伸びた状態において解繊溶媒中で修飾されることにより表面の水酸基はムラなく(均一に)修飾されるため、乾燥した後も伸びた状態を維持できる。これに反し、従来技術では、例えば、化学修飾CNFを調製するため、まず、水中でセルロースを強力な機械粉砕又はせん断力により解繊した後、アセトンやトルエンなどの非プロトン性極性溶媒で水を置換し、修飾反応する。未修飾CNFは、溶媒置換の際、微細繊維同士が結合したり、寄り集まったり、微細繊維が自ら絡み合いしたりすることにより、微細繊維が塊になった凝集態になる。この状態で反応溶媒中に入れても凝集の塊として存在するため、塊の表面の水酸基しか修飾されないため得られる化学修飾微細繊維は、溶媒や樹脂に良好に分散させることができない。
化学修飾CNFの特性(例えば、低線膨張特性、強度、耐熱性など)を樹脂に有効に発現させるためには、結晶性の高いものであることが好ましい。本実施形態の製造方法では、化学解繊され、原料セルロースの結晶性を高度に維持できるため、結晶化度は用いるセルロースの数値をそのまま維持することができる。化学修飾セルロース繊維の結晶化度は、例えば、50%以上であり、好ましくは50%〜98%、より好ましくは55%〜95%、さらに好ましくは60%〜92%、特に好ましくは65%〜90%である。結晶化度が低すぎると、線膨張特性や強度などの特性を低下させるおそれがある。
化学修飾セルロース繊維の平均置換度(セルロースの基本構成単位であるグルコース当たりの置換された水酸基の平均数)は、微細繊維径と化学修飾剤の種類により、変わり得る。平均置換度は、0.2〜1.2が好ましく、より好ましくは0.25〜1.0である。平均置換度が高すぎると、微細繊維の結晶化度又は収率が低下するおそれがある。
以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、用いた原料の詳細は以下の通りであり、得られたセルロース繊維、及び化学修飾セルロース繊維の各種物性は以下のようにして測定した。
<原料、解繊溶媒、触媒、化学修飾剤>
CNFの原料となるセルロースとしては、天然セルロース及び再生セルロースが挙げられる。
天然セルロースとしては、広葉樹又は針葉樹から得られる木材パルプ、非木材種からの精製パルプ(すなわち、非木材パルプ)のいずれも使用できる。非木材パルプとしては、コットンリンターパルプを含むコットン由来パルプ(例えば、精製リンター)、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプ、ワラ由来パルプなどを使用できる。コットン由来パルプ、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプ、及びワラ由来パルプは各々、コットンリント、コットンリンター、麻系のアバカ(例えば、エクアドル産又はフィリピン産のものが多い)、ザイサル、バガス、ケナフ、竹、ワラ等の原料から、蒸解処理による脱リグニン等の精製工程及び漂白工程を経て得られる精製パルプが代表例として挙げられる。この他、海藻由来のセルロースやホヤセルロースの精製物も使用できる。ここで、パルプに残存するセルロース以外の成分としてリグニン及びヘミセルロースを挙げることができるが、これらの成分はいずれも樹脂との複合化において耐熱性低下及びそれに伴う変色を誘起するため、セルロース原料中に含まれる含有量は少ない方がよい。具体的には、セルロース原料に含まれるリグニン含有率は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下である。セルロース原料に含まれるヘミセルロースの含有量は、好ましくは13質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
他方、再生セルロースとは、天然セルロースを溶解又は結晶膨潤(マーセル化)処理し再生して得られる物質であって、粒子線回折によって格子面間隔0.73nm、0.44nm及び0.40nmに相当する回折角を頂点とする結晶回折パターン(セルロースII型結晶)を与えるような分子配列を有するβ−1,4結合グルカン(グルコース重合体)を言う。セルロースII型結晶のX線回折パターンにおいては、2θの範囲を0°〜30°とするX線回折パターンが、10°≦2θ<19°に1つのピークと、19°≦2θ≦30°に2つのピークとを有する。再生セルロースとしては、例えば、レーヨン、キュプラ、テンセル等が挙げられる。再生セルロースからは100nmを超える繊維径の繊維を作り易いため、分散性の観点から好ましい場合がある。これらの中でも微細化のし易さの観点から、繊維軸方向への分子配向性の高いキュプラ又はテンセルを原料として微細化した繊維を用いることが好ましい。さらに、再生セルロース繊維のカット糸やセルロース誘導体繊維のカット糸も使用できる。また、原料として天然セルロースと再生セルロースを混合して用いても構わない。
また、原料パルプはシート状であることから、装置への投入を容易にすることや撚糸を抑制する目的でパルパーやビーター、リファイナーなどによる湿式処理、シュレッダーや乾式リファイナー、ハンマーミル、粉砕機(株式会社石川総研 ATOMZ等)等の乾式処理により繊維をほぐしたり、繊維長を切断していても構わない。また、乾式粉砕は一般的にセルロースの結晶化度の低下を招くが、株式会社石川総研のATOMZを用いると結晶化度の低下を抑制できるため好ましい。
解繊溶剤としては、キシダ化学株式会社や関東化学株式会社等の試薬メーカー品、工業用品を用いることができるが、溶剤回収し、蒸留等により再生した溶剤を使用してもよい。解繊溶媒は、含水していても構わないが、解繊性やセルロースの水酸基を化学修飾する際に水が反応を阻害することから含水率は50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下が好ましい。
触媒、化学修飾剤も、キシダ化学株式会社や関東化学株式会社等の試薬メーカー品や工業用品を用いることができる。
以下の実施例では、セルロース原料として、日本紙パルプ商事から入手したシート状のコットンリンター由来のパルプを、解繊溶媒として、キシダ化学から入手した含水率0.5%以下のDMSOを、触媒として、関東化学から入手した重曹を、そして化学修飾剤として、キシダ化学から入手した酢酸ビニルを使用した。
<測定サンプル作製>
まず、実施例、比較例で得たセルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維の水分散体の濃縮物を遠心分離により得る(固形分率5質量%以上)。続いて、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維0.5gを含む該濃縮物を濃度が0.2質量%となるように、該濃縮物をtert−ブタノール中に分散させ、さらに超音波分散等で凝集物が無い状態まで分散処理を行う。得られたtert−ブタノール分散液100gをろ紙(5C, アドバンテック, 直径90mm)上で濾過を行い、ろ紙上に形成された湿紙を剥がして単独で150℃にて乾燥させ、シートを得る。このシートの透気抵抗度がシート目付10g/m2あたり100sec/100ml以下のものを多孔質シートとし、測定サンプルとして使用する。
シート目付10g/m2あたりの透気抵抗度(sec/100ml)は、23℃、50%RHの環境で1日静置したサンプルの目付W(g/m2)を測定した後、王研式透気抵抗試験機(旭精工(株)製、型式EG01)を用いて透気抵抗度R(sec/100ml)を測定して行う。この時、下記式に従い、10g/m2目付あたりの値を算出する。
目付10g/m2あたり透気抵抗度(sec/100ml)=R/W×10
(1)数平均繊維径
まず、多孔質シートの表面の無作為に選んだ3箇所を、走査型電子顕微鏡(SEM)により、微細繊維の繊維径に応じて10000〜100000倍相当の倍率で観察する。得られた3つのSEM画像の各々において、画面に対しヨコ方向とタテ方向にラインを引き、ラインに交差する繊維の本数と、各繊維の繊維径とを拡大画像から実測して、1つの画像につきタテヨコ2系列の数平均繊維径を算出する。上記数平均繊維径の3画像での数平均を、対象とする試料の平均繊維径とする。
(2)結晶形、結晶化度
X線回折装置(株式会社リガク製、多目的X線回折装置)を用いて粉末法にて回折像を測定(常温)し、下記式よりSegal法で結晶化度を算出する。また、得られたX線回折像から結晶形についても測定する。
結晶化度(%)=[I(200)−I(amorphous)]/I(200)×100
{式中、I(200):セルロースI型結晶における200面(2θ=22.5°)による回折ピーク強度、I(amorphous):セルロースI型結晶におけるアモルファスによるハローピーク強度であって、200面の回折角度より4.5°低角度側(2θ=18.0°)のピーク強度である。}。
<X線回折測定条件>
装置:MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸:2θ/θ
線源:CuKα
測定方法:連続式
電圧:40kV
電流:15mA
開始角度:2θ=5°
終了角度:2θ=30°
サンプリング幅:0.020°
スキャン速度:2.0°/min
サンプル:試料ホルダー上に多孔質シートを貼り付け
(3)化学修飾の度合の評価(DS 平均置換度)
セルロース繊維の化学修飾の度合について、セルロース繊維を乾燥させ、多孔質シートとした後、多孔質シートのATR−IR法による赤外分光スペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(JASCO社製 FT/IR−6200)で測定することにより評価を行う。赤外分光スペクトル測定は以下の条件で行う。
(赤外分光スペクトルの測定条件)
積算回数:64回、
波数分解能:4cm-1
測定波数範囲:4000〜600cm-1
ATR結晶:ダイヤモンド、
入射角度:45°
得られたIRスペクトルよりIRインデックスを、下記式に従って算出する。
IRインデックス=H1730/H1030
H1730およびH1030は、1730cm-1、1030cm-1(セルロース骨格鎖C−O伸縮振動の吸収バンド)における吸光度である。但し、それぞれ1900cm-1と1500cm-1を結ぶ線と800cm-1と1500cm-1を結ぶ線をベースラインとして、このベースラインを吸光度0とした時の吸光度を意味する。
次に平均置換度(DS)をIRインデックスより下記式に従って算出する。
DS=4.13×IRインデックス
[実施例1:解繊のみ]
KAPPA VITA(登録商標)ホモミキサー(タンクサイズ35L)に、以下の表1に示す仕込み量で原料を仕込み、解繊工程を実施した。
CNF/DMSOスラリーの循環量(循環ラインの流量)を、超音波式流量計を用いて、を評価した。結果を以下の表2に示す。参考として水時の流量も示す。
解繊時は、ホモジナイザーの回転数を6000RPM(周速度:約28.6m/s)とした。CNF/DMSOスラリーのチキソ性のため、せん断がかかる周速15m/s以上で直線的に流量が増加した。せん断がほとんどかからない周速度10m/s以下ではスラリー流れなかった。
図5に、ホモジナイザーの周速度とCNF/DMSOスラリーの流量との関係を示す。
図6に、パス数={循環量(L/min)×時間(min)}/スラリー容量(L)と、解繊されたCNFの平均繊維径及び結晶化度との関係を示す。
パス数の増加に伴い平均繊維径が低下しているが、結晶化度は変化していないことが分かる。
セルロース乾燥固形分1kg当たりに換算した解繊に要するエネルギーを、従来技術の装置に対比して、以下の表3に示す。
本実施例では、セルロース乾燥固形分1kgあたり定格消費電力量0.5〜80kWhという極めて低いエネルギーでの十分な解繊を達成することができた。
[実施例2:逐次法(解繊後にアセチル化)]
KAPPA VITA(登録商標)ホモミキサー(タンクサイズ35L)に、以下の表4に示す仕込み量でリンターパルプとDMSOを仕込み、ホモミキサー回転数6000rpm(周速度29m/s)で8時間解繊した。その後、重曹と酢酸ビニルを加えて60℃で4時間アセチル化を実施した。アセチル化時、循環ライン中の滞留を防ぐため、ホモミキサーの回転数は、せん断力が立ち上がる手前の2500rpm(周速度12m/s)とした。
図7に、置換度の経時変化を示す。約4時間で置換度を1.0まで上げることができた。
得られた化学修飾セルロース繊維の平均繊維径は、実施例1で得られたセルロース繊維の平均繊維径と略同一であり、結晶化度は82%であった。
[実施例3:同時法(解繊とアセチル化を同時)]
KAPPA VITA(登録商標)ホモミキサー(タンクサイズ35L)に、表4に示す仕込み量で原料を仕込み、60℃ホモミキサー回転数6000rpm(周速度29m/s)で4時間、解繊と化学修飾を行った。 得られた化学修飾セルロース繊維の平均繊維径は、実施例1で得られたセルロース繊維の平均繊維径と同様であり、置換度は1.1、結晶化度は80.5%であった。
[実施例4]
みづほ工業株式会社 真空乳化攪拌装置、タンクサイズ25LのVT-1H-25に、表1に示す仕込み量で原料を仕込み、5400rpmで6時間解繊工程を実施した。セルロース1kg当たりのエネルギーは41kWh/kgであり、平均繊維径41nm、結晶化度81%のセルロース繊維を得た。
本発明に係る(化学修飾)セルロース繊維組成物の製造方法により、高圧ホモジナイザーやウォータージェット等を用いた強力な機械解繊に代えて、滞留させた内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する特定の装置を用い、かつ、特定の解繊溶媒中で、温和な条件下で解繊することにより、極めて低い消費電力で、セルロース繊維を解繊し、ナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないセルロース繊維組成物を製造することができる。また、ある程度の解繊が進行した時点で、同一装置を用いてセルロース繊維を化学修飾することができ、さらに、得られた化学修飾セルロース繊維組成物を水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水し、固形分20重量%程度と高濃度の紙粘土状の可塑性水性組成物を得ることができ、これを熱可塑性樹脂と溶融・混錬することにより、樹脂コンポジットを製造することができる。すなわち、本発明は、CNF強化複合材料の低コスト、大規模生産を可能ならしめる技術として、自動車産業をはじめとする様々な産業に広く利用可能な有用な技術である。
1 アジテーター(攪拌プロペラ)
2 タンク底部に取り付けられた超高速ホモジナイザー(ローター/ステーター方式)
3 再循環パイプ

Claims (16)

  1. 以下の工程:
    内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
    セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;及び
    該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;
    を含むセルロース繊維組成物の製造方法。
  2. 前記解繊工程における解繊を20℃〜90℃で0.5時間〜8時間行う、請求項1に記載の方法。
  3. 以下の工程:
    内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
    セルロース含有パルプ、及び解繊溶媒を、該第一手段に投入する工程;
    該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmのセルロース繊維を形成する解繊工程;及び
    次いで、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入し、該第二手段の回転要素の周速度を20m/s未満まで低下させ、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する化学修飾工程;
    を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。
  4. 前記解繊工程を20℃〜90℃で0.5時間〜8時間行い、かつ、前記化学修飾工程を20℃〜80℃で0.25時間〜6時間行う、請求項3に記載の方法。
  5. 以下の工程:
    内容物を供給するための第一手段、該第一手段からの内容物にせん断力と突出圧を生じさせることができる回転要素を有する第二手段、及び該第二手段からの内容物を該第一手段に戻すことができる第三手段を少なくとも具備する装置を用意する工程;
    セルロース含有パルプ、解繊溶媒、化学修飾剤、及び触媒を、該第一手段に投入する工程、ここで、該化学修飾剤、及び該触媒を、該パルプの投入と同時に又は所定時間経過後に投入する;及び
    該第二手段の回転要素を、20m/s〜80m/sの周速度で回転させ、せん断力により解繊して、平均繊維径2nm〜800nmの化学修飾されたセルロース繊維を形成する解繊・化学修飾工程;
    を含む化学修飾されたセルロース繊維組成物の製造方法。
  6. 前記解繊・化学修飾工程を20℃〜90℃で0.5時間〜8時間行う、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第一手段が、内壁面に沿い内容物を削ぎ落すことができるスクレーパーを有するアジテーターであり、前記第二手段が、該アジテーターの下部に配置された回転式ホモミキサーであり、そして前記第三手段が、該回転式ホモミキサーの吐出物を該アジテーターに戻すことができるミキサータンク又は該タンクの循環ラインである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記解繊溶媒が、水を30重量%まで含んでいてもよい非プロトン性極性溶媒である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記解繊溶媒100重量部に対して、前記パルプがセルロース固形分換算で1〜10質量部投入される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記非プロトン性極性溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びこれらのいずれかの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記化学修飾剤がカルボン酸ビニルエステルである、請求項2〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記カルボン酸ビニルエステルが酢酸ビニルであり、かつ、化学修飾されたセルロース繊維が、平均置換度0.05〜1.2のアセチル化セルロース繊維である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記触媒が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩である、請求項2〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記触媒が炭酸水素ナトリウム(重曹)又は炭酸カリウムである、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法で製造されたセルロース繊維組成物又は化学修飾されたセルロース繊維組成物を水で洗浄して解繊溶媒をほぼ除去した後、圧力を加えて脱水し、固形分5〜20重量%の可塑性水性組成物を得る工程をさらに含む、セルロース繊維又は化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物の製造方法。
  16. 請求項15に記載の方法により製造された化学修飾セルロース繊維の可塑性水性組成物を、熱可塑性樹脂と溶融・混錬する工程を含む、樹脂コンポジットの製造方法。
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