JP7162292B2 - セルロースアセテート、セルロースアセテート繊維、セルロースアセテート組成物、セルロースアセテートの製造方法、及びセルロースアセテート組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
本開示のセルロースアセテートは、セルローストリアセテートI型結晶構造を有し、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で加熱したとき、100℃における重量に対する重量減少率が5%となる温度が200℃以上である。
セルロースアセテートがセルローストリアセテートI(以下、CTA Iとも称する)型結晶構造を有していることは、CuKα(λ=1.542184Å)を用いたX線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて、2θ=7.6°付近(7.2~8.0°)及び2θ=15.9°付近(15.5~16.3°)の2か所の位置に典型的なピークを有することにより同定することができる。このような典型的なピークの例として、図1の「CTA I型結晶 標品」のデータが参照できる。
本開示のセルロースアセテートは、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で加熱したとき、100℃における重量に対する重量減少率が5%となる温度が200℃以上である。前記重量減少率が5%となる温度は、220℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。セルロースアセテートがより熱安定性に優れるためである。なお、前記重量減少率が5%となる温度は、350℃以下であってよい。
本開示のセルロースアセテートの平均置換度は、2.0以上3.0以下であることが好ましい。平均置換度を2.0以上3.0以下とすることにより、セルロースアセテート分子表面の疎水性が高く、ポリプロピレン等の疎水性の樹脂との親和性に優れる。セルロースアセテートをポリプロピレン等の疎水性の樹脂に分散させようとする場合、その樹脂との親和性の観点からは、セルロースアセテートの平均置換度は、より高い方が好ましく、2.2以上がより好ましく、2.8以上がさらに好ましく、3.0であることが最も好ましい。
平均置換度(DS)=162.14×酢化度(%)/{6005.2-42.037×酢化度(%)}
酢化度(%)={6.5×(B-A)×F}/W
(式中、Aは試料の1N-硫酸の滴定量(ml)を、Bはブランク試験の1N-硫酸の滴定量(ml)を、Fは1N-硫酸の濃度ファクターを、Wは試料の重量を示す)
本開示のセルロースアセテートは、結合硫酸量が500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下がより好ましく、200ppm以下がさらに好ましく、100ppm以下が最も好ましい。セルロースアセテートがより熱安定性に優れるためである。また、本開示のセルロースアセテートは、結合硫酸量が20ppm以上であることが好ましく、50ppm以上がより好ましい。結合硫酸量が20ppmを下回ると、水や有機溶媒などの媒質または樹脂中におけるセルロースアセテートの分散性が劣るためである。言い換えれば、媒質または樹脂中における本開示のセルロースアセテートの分散性を特に優れたものとしようとする場合、そのセルロースアセテートの製造過程で、アセチル化の触媒として硫酸を使うことが好ましく、アセチル化の触媒として効果的な量の硫酸を使用する場合には、得られるセルロースアセテートの結合硫酸量は20ppm以上となる為である。
本開示のセルロースアセテートの粘度平均重合度は、50以上2,500以下であることが好ましく、400以上2,000以下であることがより好ましく、1,000以上1,500以下であることがさらに好ましい。粘度平均重合度が50未満であると、セルロースアセテートの強度が劣る傾向にある。粘度平均重合度が2,500を超えると、数平均繊維径が2nm以上400nm以下のセルロースアセテート繊維となるように解繊することが困難となる。
ηrel=T/T0
〔η〕=(ln ηrel)/C
(式中、Tは測定試料の落下秒数を、T0は溶媒単独の落下秒数を、Cは濃度(g/ml)を示す)
粘度平均分子量=([η]/Km)1/α
ここで、Km及びαは定数である。セルローストリアセテートの場合、Kmは0.0264であり、αは0.750である。
粘度平均重合度=粘度平均分子量/(162.14+42.037×平均置換度(DS))
本開示のセルロースアセテート繊維は、上記セルロースアセテートからなるものである。
本開示のセルロースアセテート繊維の数平均繊維径は、2nm以上400nm以下であってよい。数平均繊維径は、4nm以上300nm以下であることが好ましく、6nm以上100nm以下であることがより好ましい。
本開示のセルロースアセテート組成物は、本開示のセルロースアセテート繊維を含むものである。本開示のセルロースアセテート組成物としては、本開示のセルロースアセテート繊維を含んでいれば特に制限されないが、例えば、本開示のセルロースアセテート繊維を液体(液相)状または固体(固相)状の種々の分散媒に分散させることにより得られる分散液または分散体の他、本開示セルロースアセテート繊維を母材に含ませることにより得られる複合材料が挙げられる。
本開示のセルロースアセテートの製造方法について詳述する。本開示のセルロースアセテートの製造方法は、繊維状である原料セルロースを、セルロースアセテートに対する貧溶媒と酢酸とを含む溶媒中で無水酢酸と反応させてアセチル化する工程、前記アセチル化により得られたセルロースアセテートを固形物として分離する工程、前記固形物を洗浄及び乾燥する工程、並びに前記洗浄及び乾燥により得られた繊維状セルロースアセテートを、酸性条件下、水中に分散する工程を有する。
本開示のセルロースアセテートの原料セルロースとしては、木材パルプや綿花リンターなどの繊維状の物が使用でき、特にセルロースI型結晶構造を有するものが使用できる。これらの原料セルロースは単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
本開示のセルロースアセテートの製造方法は、原料セルロースを解砕する工程(以下、解砕工程とも称する)を有していることが好ましい。これにより、短時間に一様にアセチル化反応(酢化反応)を行うことができる。解砕工程は、特に、木材パルプ等がシート状の形態で供給されるような場合に有効である。
本開示のセルロースアセテートの製造方法は、解砕または解砕しない繊維状の原料セルロースを、水、酢酸、または水及び酢酸と接触させる前処理工程を有していることが好ましい。原料セルロースと接触させる水と共に酢酸を用いても良く、または水を使わずに酢酸のみを用いても良い。この時、酢酸は、1~100重量%の濃度のものを用いることができる。酢酸は水溶液であってもよい。水、酢酸、または水及び酢酸は、例えば、原料セルロース100重量部に対して、それぞれ好ましくは10~8,000重量部添加することにより接触させることができる。
固形分濃度(%)=(W3-W1)/(W2-W1)×100
W1はアルミ皿の重量(g)、W2は乾燥前の試料を入れたアルミ皿の重量(g)、W3は乾燥後の試料を入れたアルミ皿の重量(g)
本開示のセルロースアセテートの製造方法においては、繊維状である原料セルロースを、セルロースアセテートに対する貧溶媒と酢酸とを含む溶媒中で無水酢酸と反応させてアセチル化する工程(以下、アセチル化工程とも称する)を有する。アセチル化工程において、原料セルロースには、解砕工程及び前処理工程をそれぞれを経た、または経ない原料セルロースを含む。
本開示のセルロースアセテートの製造方法は、前記アセチル化により得られたセルロースアセテートを固形物として分離する工程(以下、分離工程とも称する)を有する。分離は、アセチル化反応の反応混合物をろ過する等により行うことができる。ろ過は吸引ろ過であってよい。
本開示のセルロースアセテートの製造方法は、前記固形物を洗浄及び乾燥する工程(以下、洗浄及び乾燥工程とも称する)を有する。洗浄は、トルエンなどのセルロースアセテートに対する貧溶媒、酢酸、無水酢酸、硫酸、及び硫酸塩を少しでも取り除くことができれば、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、固形物として得られるセルロースアセテートをろ過し、分離した後、その固形物を、セルロースアセテートに対する貧溶媒、アルコール、及び水で順次洗浄することにより行うことが好ましい。このような順で洗浄を行うと、洗浄後のウェットケーキに含まれる揮発分は主に水となり、最終生成物に残留する不要な有機溶媒を低減できるためである。なお、貧溶媒を使わずにアルコールや水を使えば、固形物に残存する無水酢酸が硫酸と反応することとなり、発熱などに対する対策が必要となるし、アルコールを使わなければセルロースアセテートの貧溶媒は水と混ざらないため、固形物から貧溶媒を十分に除くことが出来ない。
本開示のセルロースアセテートの製造方法は、前記洗浄及び乾燥により得られた繊維状セルロースアセテートを、酸性条件下、水中に分散する工程を有する。
本開示のセルロースアセテートの製造方法においては、繊維状セルロースアセテートを水中に分散する工程の後、前記分離工程と、前記洗浄及び乾燥工程とを有してもよく、また、さらに、水、有機溶媒、または水を含む有機溶媒に懸濁し、ホモジナイザーを用いて解繊する工程を有してよい。解繊により、セルロースアセテートを微細化できる。
本開示のセルロースアセテート組成物の製造方法について詳述する。本開示のセルロースアセテート組成物は、例えば、本開示のセルロースアセテート繊維を、母材や分散媒と混合することにより得られる。母材または分散媒として樹脂を用いた複合材料または分散体の調製は、セルロースアセテート繊維の存在下で樹脂を溶融混練することにより行うことができる。液体状の分散媒にセルロースアセテート繊維を分散させた分散液の調製は、セルロースアセテート繊維及び分散媒を混合した後、分散液が形成されるまで、分散機によって処理することにより行うことができる。
結合硫酸量は、乾燥したセルロースアセテートを1,300℃の電気炉で焼き、昇華した亜硫酸ガスを10%過酸化水素水にトラップし、規定水酸化ナトリウム水溶液にて滴定し、SO4 2-換算の量として測定した。測定値は絶乾状態のセルロースエステル1g中の硫酸含有量としてppm単位で表した。
ASTM:D-817-91(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化度の測定方法により求めた。乾燥したセルロースアセテート(試料)1.9gを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシドとの混合溶媒(容量比4:1)150mlに溶解した後、1N-水酸化ナトリウム水溶液30mlを添加し、25℃で2時間ケン化した。フェノールフタレインを指示薬として添加し、1N-硫酸(濃度ファクター:F)で過剰の水酸化ナトリウムを滴定した。また、同様の方法でブランク試験を行い、下記式に従って酢化度を算出した。
酢化度(%)=[6.5×(B-A)×F]/W
(式中、Aは試料の1N-硫酸の滴定量(ml)を、Bはブランク試験の1N-硫酸の滴定量(ml)を、Fは1N-硫酸の濃度ファクターを、Wは試料の重量を示す)。
次に、算出した酢化度を下記式で換算することにより、平均置換度を求めた。
平均置換度(DS)=162.14×酢化度(%)/{6005.2-42.037×酢化度(%)}
セルロースアセテートをジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、濃度0.002g/mlの溶液とした。次に、オストワルド型粘度管を用いて25℃におけるこの溶液の比粘度(ηrel、単位:ml/g)を定法で求めた。自然対数比粘度を濃度(単位:g/ml)で除し、これを近似的に極限粘度数([η]、単位:ml/g)とした。
ηrel=T/T0
〔η〕=(ln ηrel)/C
(式中、Tは測定試料の落下秒数を、T0は溶媒単独の落下秒数を、Cは濃度(g/ml)を示す)
粘度平均分子量=([η]/Km)1/α
ここで、Km=0.0264、α=0.750を用いた。
加熱による重量変化を熱天秤(マックサイエンス社製 TG-DTA2000-S)を用いて測定した。具体的には、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で重量変化を調べた。重量減少率が5%となる温度は、100℃における重量に対して5%の重量減少が観察された温度である。
解繊工程を経たセルロースアセテート繊維の分散液から固形分をろ別し凍結乾燥した。リガク製X線回折測定装置SmartLab、無反射型シリコン板を用いて粉末X線回折を測定した。
(前処理)
前処理として、40重量部の針葉樹漂白サルファイトパルプ(SP、日本製紙(株)製)に、2,000重量部の水を加え、室温で1時間攪拌した。吸引ろ過で脱液し、固形分濃度約20重量%のウェットケーキ(SP)とした。このウェットケーキを2,000重量部の氷酢酸に分散し、室温で10分間攪拌し、吸引ろ過で脱液し、酢酸で湿潤したウェットケーキ(SP)を得た。この酢酸で湿潤したウェットケーキ(SP)の固形分濃度は約35重量%であった。この酢酸で湿潤したウェットケーキ(SP)を再度氷酢酸に分散し、脱液する操作をさらに2回行った。このようにして得られた酢酸で湿潤したウェットケーキ(SP)の固形分濃度は約40重量%であった。なお、ウェットケーキの固形分濃度は、上記の方法により測定した。
セルロースアセテートに対する貧溶媒としてトルエン648重量部、酢酸72重量部、無水酢酸240重量部、及び濃硫酸6重量部を混合し、混合物(混合溶媒)とした。この混合物を25℃に整温して、当該混合物に前記ウェットケーキ(SP)を添加し、25℃で3時間攪拌して反応混合物を得た。この反応混合物を室温まで冷却し、得られた固形物を吸引ろ過し、固形物を回収した。この固形物をただちに800重量部のトルエンで洗浄する操作を2回繰り返し、固形物に付随する無水酢酸及び硫酸を除去することでアセチル化反応を停止させた。
前記固形物として得られた繊維状の粗製セルロースアセテート、さらに800重量部のエタノールで2回、800重量部の蒸留水で4回洗浄し、湿潤した繊維状セルロースアセテートを得た。
前記湿潤した繊維状セルロースアセテートを恒量まで凍結乾燥して、繊維状セルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートの結合硫酸量、平均置換度、粘度平均重合度、及び重量減少率が5%となる温度をそれぞれ評価した結果は表1に示す。X線回折の結果は図1に示す。加熱による重量変化を測定した結果は図2に示す。
10重量部の比較例1で得られたセルロースアセテートを300重量部の水に分散し、分散液を調製した。1M硫酸を添加し、前記分散液のプロトン濃度を3mMに調製した。前記分散液を攪拌しながら25分を要して90℃に昇温した。昇温後に少量の分散液を採取しプロトン濃度を測定したところ15mMであった。プロトン濃度の上昇は、セルロースに結合していた硫酸の脱離によるものである。分散液をさらに90℃で6時間攪拌した。6時間攪拌後に少量の分散液を採取しプロトン濃度を測定したところ、45mMであった。分散液を室温付近まで冷却し、吸引ろ過で脱液し、300重量部の蒸留水で洗浄し、80℃で恒量まで減圧乾燥した。得られたセルロースアセテートの結合硫酸量、平均置換度、粘度平均重合度、及び重量減少率が5%となる温度をそれぞれ評価した結果は表1に示す。X線回折の結果は図1に示す。加熱による重量変化を測定した結果は図2に示す。
樹脂の強度は、以下の(1)から(4)までの手順により樹脂成型物を調製し、(5)引張試験を行うことにより評価した。
(1)セルロースアセテートの解繊
実施例1で得られたセルロースアセテートは、比較例1で得られたセルロースアセテートに対し脱硫酸処理を行ったものである。実施例1で得られた脱硫酸処理済のセルロースアセテート100重量部を10,000重量部の水に懸濁した。分散させたサンプルをエクセルオートホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製)にて予備解繊した後、高圧式ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製:製品名L-AS))でストレートノズルにて2回処理(100MPa)、クロスノズルで3回処理(140MPa)で解繊を行った。このようにして、脱硫酸処理済のセルロースアセテート解繊物の1重量%分散液を得た。さらにこれを蒸留水で希釈し、脱硫酸処理済のセルロースアセテート解繊物の0.5重量%分散液を得た。
240重量部のスギチップを1200重量部の分子量400のポリエチレングリコール(PEG400)に浸漬し、PEG400に対して0.3重量%濃度となるよう濃硫酸を添加し、160℃で4時間加熱することで蒸解した。蒸解後、直ちに室温まで冷却して反応を停止させ、反応物を固形物(パルプ)と濾液に濾別した。パルプを1,4-ジオキサン濃度80重量%の1,4-ジオキサン水溶液4800重量部で洗浄し、洗浄液に濾液を加えた後、1,4-ジオキサンを減圧留去した。残った黒液を140℃で2.5時間加熱した後、16000重量部の蒸留水に注いだ。上清が透明になるまで遠心分離(11,590×g(8,000rpm)、15分、4℃)と蒸留水の交換を繰り返した後、回収した沈殿部を凍結乾燥に供して、粉末状のPEGLを得た。
蒸留水50重量部と上記(1)セルロースアセテートの解繊にて得られた脱硫酸処理済のセルロースアセテート解繊物の0.5重量%分散液8重量部を混合した。さらに1.2重量部の分子量50万のポリエチレングリコール(PEG500kDa)を加えて攪拌した。撹拌は、室温で1日間行った。さらに上記(2)PEG-リグニン(PEGL)の調製にて得られたPEGL1.66重量部を加え、室温で1日間攪拌した後、凍結乾燥に供した。凍結乾燥物をブレンダーで粉砕して、セルロースアセテート解繊物、PEGL、および、PEG500kDaの混合粉末を得た。この混合粉末0.145重量部と無水マレイン酸0.057重量部とを乳鉢中でよく混合し、リグニン樹脂と無水マレイン酸混合物を得た。
油圧プレス機(ユーカリ技研(株)製、HP-300TL-S型)のプレス板上に、厚さ0.05mmのテフロンシート(ニチアス(株)製、ナフロンテープ)を敷き、同様のテフロンシートから作製した枠型(枠内寸法:50mmx50mm)を置いた。この枠型の中心に上記(3)リグニン樹脂成型物と無水マレイン酸混合物の調製にて得られたリグニン樹脂と無水マレイン酸混合物0.15gを円盤状に広げ、テフロンシートを被せた。これを室温から昇温し、150℃に達した時点で5MPaの圧力でプレスした。その後昇温を続け、温度が170℃に達した時点から6時間、この温度を保持した。これを室温付近に冷却しすることで、テフロンシート間にフィルム状で自立性のセルロースアセテートを含むリグニン樹脂成型物を得た。
前記フィルム状のリグニン樹脂成型物から50mmx10mmの短冊状試験体を切り出した。なお、この切り出した試験体をフィルム試験体ともいう。試験体の厚さをデジタル外側マイクロメータ(新潟精機(株)製、MCD130-25)で測定した後、試験体の両端を図3(a)のように紙の枠型で挟んで固定した。この状態の試験体に対し、紙の枠型を切断した後、材料試験機((株)島津製作所製、オートグラフAGS-500D)を用いて図3(b)のように引張試験を行い、応力-ひずみ曲線を得た。試験速度を10mm/min、つかみ間隔を30mmとし、50Nのロードセルを用いた。結果は、図4に示す。実施例1のセルロースアセテートを含む成型物は、後述の参考例1の成型物に対して、約180%の最大応力を示した。
上記(3)リグニン樹脂と無水マレイン酸混合物の調製において、蒸留水50重量部と脱硫酸処理済の繊維状セルロースアセテート解繊物の0.5重量%分散液8重量部との混合液に替えて、蒸留水58重量部を用いた以外は、上記の(2)PEG-リグニン(PEGL)の調製、(3)リグニン樹脂と無水マレイン酸混合物の調製、及び(4)リグニン樹脂成型物の調製に示す手順にて、同様にフィルム状で自立性のリグニン樹脂成型物を得た。また、上記(5)引張試験と同様にして引張試験を行い、応力-ひずみ曲線を得た。結果は、図4に示す。
Claims (12)
- セルローストリアセテートI型結晶構造を有し、
窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で加熱したとき、100℃における重量に対する重量減少率が5%となる温度が200℃以上である、セルロースアセテート。 - 前記重量減少率が5%となる温度が220℃以上である、請求項1に記載のセルロースアセテート。
- 前記重量減少率が5%となる温度が250℃以上である、請求項1に記載のセルロースアセテート。
- 結合硫酸量が20ppm以上500ppm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセルロースアセテート。
- 平均置換度が2.0以上3.0以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のセルロースアセテート。
- 粘度平均重合度が50以上2,500以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のセルロースアセテート。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のセルロースアセテートからなるセルロースアセテート繊維。
- 請求項7に記載のセルロースアセテート繊維、及び樹脂を含む、セルロースアセテート組成物。
- 繊維状である原料セルロースを、セルロースアセテートに対する貧溶媒と酢酸とを含む溶媒中で無水酢酸と反応させてアセチル化する工程、
前記アセチル化により得られたセルロースアセテートを固形物として分離する工程、
前記固形物を洗浄及び乾燥する工程、並びに
前記洗浄及び乾燥により得られた繊維状セルロースアセテートを、酸性条件下、水中に分散する工程を有する、セルロースアセテートの製造方法。 - 前記洗浄及び乾燥により得られた繊維状セルロースアセテートを水中に分散した後、この繊維状セルロースアセテートの分散液に酸性水溶液を添加して、分散液中のプロトン濃度が0.1mM以上100mM以下となるように調整する、請求項9に記載のセルロースアセテートの製造方法。
- 前記アセチル化する工程の前に、前記原料セルロースを、水、酢酸、または水及び酢酸と接触させて前処理する工程を有する、請求項9又は10に記載のセルロースアセテートの製造方法。
- 請求項7に記載のセルロースアセテート繊維の存在下で樹脂を溶融混練する工程を有する、セルロースアセテート組成物の製造方法。
Priority Applications (5)
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