JP2021038291A - アニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶性の有機溶媒だけではなく低極性の有機溶媒を分散媒とした場合でも良好な再分散性を示すアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法の提供。【解決手段】アニオン変性セルロース繊維に、分子量が600以上の化合物を添加して混合物を得て、得られた混合物を有機溶媒中で解繊して、アニオン変性セルロースナノファイバー分散体とし、得られたアニオン変性セルロースナノファイバー分散体を乾燥してアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物とする。【選択図】なし
Description
本発明は、アニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法と、同乾燥固形物を用いたアニオン変性セルロースナノファイバーの再分散体の製造方法に関する。
セルロース分子鎖にカルボキシル基やカルボキシメチル基などのアニオン性基を導入し、機械的に処理(解繊)すると、ナノスケールの繊維径を有するセルロースナノファイバーへと変換することができることが知られている。セルロースナノファイバーは、軽くて強度が高く、生分解性であるため、様々な分野への応用が検討されている。
通常、アニオン変性セルロースナノファイバーは、導入されたアニオン性基がナトリウム塩などの塩を形成し、親水性が高い状態となっているため、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ乳酸(PLA)などの疎水性の高分子とは相溶性が低い。また、低極性の有機溶媒中での分散性が低い。この問題を解決する方法としては、金属塩型のアニオン性基(例えば、−COONa)を酸性にすることで、酸型(例えば、−COOH)に変換し、アニオン変性セルロースナノファイバーの親水性を下げる手法が考えられる。
特許文献1には、セルロースナノファイバーを有機溶媒を含む媒体に分散させるに際し、「第2の製造方法」として、セルロースナノファイバー水分散液に酸を加え、セルロースナノファイバーのカルボン酸塩型の基の一部をカルボン酸型の基に置換する工程、一部の基がカルボン酸型に置換されたセルロースナノファイバーのゲルに有機溶媒を添加する工程、及び有機溶媒が添加されたセルロースナノファイバー水分散液から水系溶媒を除去する工程を含む方法が記載されている。
また、特許文献2には、「第1の製造方法」として、カルボン酸型に置換されたセルロースナノファイバー水分散液に、オクチルアミン(分子量129)やドデシルアミン(分子量241)のようなアミンを加えて、アミン処理する工程、及びアミン処理したセルロースナノファイバーを回収し、分散媒中で再分散させてセルロースナノファイバー分散液を調製する工程を含む方法が記載されている。
特許文献1に記載の方法では、最終的な分散媒として用いることができる有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミドの3種類に限られており、これらは水と任意に混合可能な水溶性の有機溶媒である。特許文献1に記載の方法では、セルロースナノファイバー分散液の分散媒として、例えば、トルエンのような極性が低く水にほとんど溶けないような有機溶媒を用いることは記載されていない。また、特許文献2にも、低極性で水に難溶な有機溶媒を分散媒に用いることが記載されていない。
本発明は、水溶性の有機溶媒だけではなく、低極性の水難溶性の有機溶媒を分散媒とした場合であっても、良好な再分散性を示すことができるアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法及び同乾燥固形物を用いて得られる再分散体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、アニオン変性セルロース繊維(解繊前の繊維と解繊後のセルロースナノファイバーとを含む)に対し、分子量が600以上の化合物を添加して混合物とし、得られた混合物を有機溶媒中で解繊してアニオン変性セルロース繊維をセルロースナノファイバーとしてから、乾燥して乾燥固形物とすることにより、水溶性有機溶媒だけではなく低極性の有機溶媒を分散媒に用いた場合でも良好な再分散性を示すアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を製造することができることを見出した。本発明は、これらに限定されないが、以下を含む。
[1]アニオン変性セルロース繊維に、分子量が600以上の化合物を添加して混合物を得る工程1、
工程1で得られた混合物を有機溶媒中で解繊して、アニオン変性セルロースナノファイバー分散体を得る工程2、及び
工程2で得られたアニオン変性セルロースナノファイバー分散体を乾燥してアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を得る工程3、
を含む、アニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
[2]前記工程1のアニオン変性セルロース繊維の平均繊維幅が、2nm〜100μmである、[1]に記載の方法。
[3]前記工程1の分子量600以上の化合物が、アミンまたはホスフィンを有する化合物である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記工程2の有機溶媒の20℃における表面張力が、35N/m以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]前記工程1と前記工程2との間に、混合物を乾燥させて、乾燥した混合物を得る工程4をさらに含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の方法によりアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を得る工程、及び
得られたアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を、分散媒に再分散させてアニオン変性セルロースナノファイバーの再分散体を得る工程
を含む、アニオン変性セルロースナノファイバーの再分散体の製造方法。
[1]アニオン変性セルロース繊維に、分子量が600以上の化合物を添加して混合物を得る工程1、
工程1で得られた混合物を有機溶媒中で解繊して、アニオン変性セルロースナノファイバー分散体を得る工程2、及び
工程2で得られたアニオン変性セルロースナノファイバー分散体を乾燥してアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を得る工程3、
を含む、アニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
[2]前記工程1のアニオン変性セルロース繊維の平均繊維幅が、2nm〜100μmである、[1]に記載の方法。
[3]前記工程1の分子量600以上の化合物が、アミンまたはホスフィンを有する化合物である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記工程2の有機溶媒の20℃における表面張力が、35N/m以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]前記工程1と前記工程2との間に、混合物を乾燥させて、乾燥した混合物を得る工程4をさらに含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の方法によりアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を得る工程、及び
得られたアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を、分散媒に再分散させてアニオン変性セルロースナノファイバーの再分散体を得る工程
を含む、アニオン変性セルロースナノファイバーの再分散体の製造方法。
本発明によれば、水溶性有機溶媒だけではなく低極性の水難溶性の有機溶媒を分散媒とした場合であっても、良好な再分散性を示す、アニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を製造することができる。本発明により得られたアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物は、分散媒に再分散させた際に、分散体中に分散しきれずに残る沈殿物の量が少ないという特性を示す。
本発明は、水溶性有機溶媒だけではなく低極性の有機溶媒を分散媒に用いた場合でも、良好な再分散性を示す、アニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法に関する。以下、セルロースナノファイバーを「CNF」と記載することがある。
本発明の方法は、具体的には、アニオン変性セルロース繊維に、分子量が600以上の化合物を添加して混合物を得て(工程1)、混合物を有機溶媒中で解繊し(工程2)、得られたアニオン変性CNF分散体を乾燥し(工程3)、アニオン変性CNFの乾燥固形物を得ることを含む。得られたアニオン変性CNFの乾燥固形物を分散媒に再分散させてアニオン変性CNFの再分散体を製造してもよい。
(1)工程1
工程1では、アニオン変性セルロース繊維に、分子量が600以上の化合物を添加して混合物を得る。
工程1では、アニオン変性セルロース繊維に、分子量が600以上の化合物を添加して混合物を得る。
(1−1)アニオン変性セルロース繊維
本明細書で、アニオン変性セルロース繊維とは、以下でより詳細に説明する通り、セルロースの分子鎖にアニオン性基が導入されたものである。本明細書において、アニオン変性セルロース繊維には、セルロース原料(例えば、各種パルプ)にアニオン性基を導入したものや、アニオン性基を導入したセルロース原料を解繊することでナノスケールのオーダーの平均繊維幅を有するアニオン変性CNFとしたものが含まれる。
本明細書で、アニオン変性セルロース繊維とは、以下でより詳細に説明する通り、セルロースの分子鎖にアニオン性基が導入されたものである。本明細書において、アニオン変性セルロース繊維には、セルロース原料(例えば、各種パルプ)にアニオン性基を導入したものや、アニオン性基を導入したセルロース原料を解繊することでナノスケールのオーダーの平均繊維幅を有するアニオン変性CNFとしたものが含まれる。
アニオン変性セルロース繊維の平均繊維幅は、好ましくは2nm〜100μmの範囲である。アニオン変性セルロース繊維が、セルロース原料(例えば、各種パルプ)にアニオン性基を導入したものである場合には、平均繊維幅は、好ましくは500nm〜100μmであり、さらに好ましくは500nm〜70μmであり、さらに好ましくは500nm〜50μmである。一方、アニオン変性セルロース繊維が、アニオン変性CNFである場合には、アニオン変性セルロース繊維の平均繊維幅は、好ましくは2〜500nm程度であり、さらに好ましくは2〜150nm程度であり、さらに好ましくは2〜20nm程度である。また、アスペクト比は好ましくは30以上であり、さらに好ましくは50以上であり、さらに好ましくは100以上である。アニオン変性セルロース繊維の平均繊維幅および平均繊維長は、繊維幅が20nm未満の場合は原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、また、繊維幅が20nm以上の場合は電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維について解析し、平均を算出することにより、測定することができる。また、アスペクト比は下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維幅。
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維幅。
アニオン変性セルロース繊維の原料となるセルロースの種類は、特に限定されず、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするセルロースを使用することができる。好ましくは植物又は微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
上述のセルロース原料に対し、アニオン性基を導入することで、アニオン変性セルロース繊維とする。アニオン性基の導入方法は特に限定されないが、例えば、酸化または置換反応によってセルロースのピラノース環にアニオン性基を導入することが挙げられる。具体的には、ピラノース環の水酸基を酸化してカルボキシル基へと変換する反応や、ピラノース環に対して置換反応により、カルボキシメチル基やリン酸エステル基を導入する反応を挙げることができる。
(1−1−1)カルボキシル化
アニオン変性の一例としてカルボキシル化(酸化)を挙げることができる。カルボキシル化とは、ピラノース環の水酸基を酸化してカルボキシル基(−COOH(酸型)または−COOM(金属塩型)をいう(式中、Mは金属イオンである。))に変換する反応をいう。本明細書において、カルボキシル化により得られるアニオン変性セルロース繊維を、カルボキシル化セルロース繊維または酸化セルロース繊維とも呼ぶ。
アニオン変性の一例としてカルボキシル化(酸化)を挙げることができる。カルボキシル化とは、ピラノース環の水酸基を酸化してカルボキシル基(−COOH(酸型)または−COOM(金属塩型)をいう(式中、Mは金属イオンである。))に変換する反応をいう。本明細書において、カルボキシル化により得られるアニオン変性セルロース繊維を、カルボキシル化セルロース繊維または酸化セルロース繊維とも呼ぶ。
カルボキシル化セルロース繊維は、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシル化(酸化)することにより得ることができる。カルボキシル化セルロース繊維におけるカルボキシル基の量は、特に限定されるものではないが、カルボキシル化セルロース繊維の絶乾質量に対して、0.6〜3.0mmol/gとなるように調整することが好ましく、1.0〜2.0mmol/gになるように調整することがさらに好ましい。カルボキシル基の量は、酸化剤の種類や量、酸化反応の際の温度や時間などを制御することで、調整することができる。
カルボキシル化セルロース繊維のカルボキシル基の量は、以下の方法で測定することができる:
カルボキシル化セルロース繊維の0.5質量%スラリー(媒体:水)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出する:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース繊維〕=a〔ml〕×0.05/カルボキシル化セルロース繊維質量〔g〕。
カルボキシル化セルロース繊維の0.5質量%スラリー(媒体:水)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出する:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース繊維〕=a〔ml〕×0.05/カルボキシル化セルロース繊維質量〔g〕。
カルボキシル化(酸化)方法の一例として、セルロース原料を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート基(−COO−)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時のセルロース原料の水中での濃度は特に限定されないが、5質量%以下とすることが好ましい。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)及びその誘導体(例えば4−ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。N−オキシル化合物の使用量は、セルロース原料を酸化できる触媒量であればよく、特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.05〜0.5mmolがさらに好ましい。また、反応液全体に対し0.1〜4mmol/L程度がよい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムは好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。また、例えば、N−オキシル化合物1molに対して1〜40molが好ましい。
セルロース原料の酸化は、比較的温和な条件下であっても、反応が効率よく進行しやすい。よって、反応温度は4〜40℃であってもよく、また、15〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース鎖にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応液における媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5〜6時間、例えば、0.5〜4時間程度である。
酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロース繊維を、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化を進行させることができる。
酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロース繊維を、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化を進行させることができる。
カルボキシル化(酸化)の方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、グルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基がカルボキシル基へと酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50〜250g/m3であることが好ましく、50〜220g/m3であることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100質量部とした際に、0.1〜30質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1〜360分程度であり、30〜360分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロース繊維の収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
(1−1−2)カルボキシメチル化
アニオン変性の一例として、カルボキシメチル化を挙げることができる。アニオン変性セルロース繊維の一例であるカルボキシメチル化セルロース繊維は、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよく、また、市販品であってもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50となるものが好ましく、0.02〜0.40がさらに好ましく、0.10〜0.30がさらに好ましい。カルボキシメチル置換度が0.50を超えると、水などの媒体に溶解するようになり、繊維状の形状を維持することができなくなる。
アニオン変性の一例として、カルボキシメチル化を挙げることができる。アニオン変性セルロース繊維の一例であるカルボキシメチル化セルロース繊維は、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよく、また、市販品であってもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50となるものが好ましく、0.02〜0.40がさらに好ましく、0.10〜0.30がさらに好ましい。カルボキシメチル置換度が0.50を超えると、水などの媒体に溶解するようになり、繊維状の形状を維持することができなくなる。
カルボキシメチル化セルロース繊維のカルボキシメチル置換度は、以下の方法で測定することができる:
カルボキシメチル化セルロース繊維(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振とうして、塩の形態のカルボキシメチル化セルロース(CM化セルロース)を水素型CM化セルロースに変換する。水素型CM化セルロース(絶乾)を1.5g〜2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。80質量%メタノール15mLで水素型CM化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’−(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型CM化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのH2SO4のファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター。
カルボキシメチル化セルロース繊維(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振とうして、塩の形態のカルボキシメチル化セルロース(CM化セルロース)を水素型CM化セルロースに変換する。水素型CM化セルロース(絶乾)を1.5g〜2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。80質量%メタノール15mLで水素型CM化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’−(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型CM化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのH2SO4のファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター。
カルボキシメチル化セルロース繊維を製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる:
セルロース原料に、溶媒として3〜20重量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を加える。なお、溶媒に低級アルコールを混合する場合の低級アルコールの混合割合は、60〜95質量%であることが好ましい。ここに、マーセル化剤として、セルロース原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを添加する。セルロース原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤、例えばモノクロロ酢酸またはその塩などをグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
セルロース原料に、溶媒として3〜20重量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を加える。なお、溶媒に低級アルコールを混合する場合の低級アルコールの混合割合は、60〜95質量%であることが好ましい。ここに、マーセル化剤として、セルロース原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを添加する。セルロース原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤、例えばモノクロロ酢酸またはその塩などをグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
(1−1−3)エステル化
アニオン変性の一例として、エステル化を挙げることができる。エステル化の一例として、セルロース原料にリン酸基を導入することを挙げることができる。本明細書において、リン酸基の導入により得られるアニオン変性セルロース繊維を、リン酸エステル化セルロース繊維またはエステル化セルロース繊維と呼ぶ。リン酸エステル化セルロース繊維の製造方法としては、セルロース原料またはそのスラリーに、リン酸基を有する化合物の粉末や水溶液を混合する方法を挙げることができる。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等を挙げることができ、これらの1種、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。セルロース原料に対するリン酸基を有する化合物の添加割合は、セルロース原料の固形分100質量部に対して、リン元素に換算した添加量が0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜400質量部であることがより好ましく、2〜200質量部であることがさらに好ましい。反応温度は0〜95℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、1分〜600分程度であり、30分〜480分がより好ましい。得られたリン酸エステル化セルロース繊維の懸濁液は、セルロースの加水分解を抑える観点から、脱水した後、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。リン酸エステル化セルロース繊維のグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001以上0.40未満であることが好ましい。
アニオン変性の一例として、エステル化を挙げることができる。エステル化の一例として、セルロース原料にリン酸基を導入することを挙げることができる。本明細書において、リン酸基の導入により得られるアニオン変性セルロース繊維を、リン酸エステル化セルロース繊維またはエステル化セルロース繊維と呼ぶ。リン酸エステル化セルロース繊維の製造方法としては、セルロース原料またはそのスラリーに、リン酸基を有する化合物の粉末や水溶液を混合する方法を挙げることができる。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等を挙げることができ、これらの1種、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。セルロース原料に対するリン酸基を有する化合物の添加割合は、セルロース原料の固形分100質量部に対して、リン元素に換算した添加量が0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜400質量部であることがより好ましく、2〜200質量部であることがさらに好ましい。反応温度は0〜95℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、1分〜600分程度であり、30分〜480分がより好ましい。得られたリン酸エステル化セルロース繊維の懸濁液は、セルロースの加水分解を抑える観点から、脱水した後、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。リン酸エステル化セルロース繊維のグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001以上0.40未満であることが好ましい。
上述のアニオン変性(カルボキシル化、カルボキシメチル化、及びエステル化)の中では、カルボキシル化またはカルボキシメチル化が好ましく、特に、N−オキシル化合物と酸化剤とを用いてセルロースを酸化(カルボキシル化)したものは、得られたアニオン変性セルロース繊維において、アニオン性基(カルボキシル基)が均一に導入されており、後の解繊時に均一に解繊しやすい点で好ましい。
上述のアニオン変性により得られたアニオン変性セルロース繊維は、導入されたアニオン性基が、金属塩型(例えば、−COO−M+、または−RCOO−M+(Mはナトリウム、カリウム等の金属であり、Rはメチレン基である。))の形態となっていることがある。後述する分子量600以上の化合物との結合を促進するために、アニオン変性セルロース繊維における金属塩型のアニオン性基は、酸型(例えば、−COOH、−RCOOHなど)に変換することが好ましい。酸型に変換する方法は特に限定されず、例えば、アニオン変性セルロースに酸を添加する方法、アニオン変性セルロースを陽イオン交換樹脂と接触させる方法などを挙げることができる。酸を添加する場合、用いる酸の種類は特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、亜硝酸、リン酸などの無機酸や、酢酸、乳酸、蓚酸、クエン酸、蟻酸、アジピン酸、セバシン酸、ステアリン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルコン酸などの有機酸を挙げることができる。汎用的で入手しやすい塩酸または硫酸は好ましい。酸を添加する際のpHは、1〜6の範囲が好ましく、2〜5がより好ましい。酸の添加量は、金属塩型のアニオン変性セルロースを酸型に変換できる量であればよく、特に限定されないが、例えば、強酸であれば、アニオン性基に対して1当量以上が好ましく、弱酸であれば10当量以上が好ましい。酸性イオン交換樹脂と接触させる場合、酸性イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂や弱酸性陽イオン交換樹脂を挙げることができる。
工程1において分子量600以上の化合物と混合されるアニオン変性セルロース繊維は、上述した通り、セルロース原料(例えば、各種パルプ)にアニオン性基を導入した状態のもの(例えば、平均繊維幅が500nm〜100μm程度のもの)であってもよいし、解繊してアニオン変性CNFとしたもの(平均繊維幅が2〜500nm程度のもの)であってもよい。アニオン変性CNFとする場合には、特に限定されないが、例えば、工程2の欄に後述するような装置を用いて、アニオン性基を導入したセルロース原料を解繊することにより得ることができる。
(1−2)分子量600以上の化合物
工程1において、アニオン変性セルロース繊維に、分子量600以上の化合物を添加して、混合物を形成する。分子量600以上の化合物を添加することにより、後の工程2における有機溶媒中でのアニオン変性セルロース繊維の解繊性を向上させ、また、工程3で得られるアニオン変性CNFの乾燥固形物の有機溶媒への再分散性を向上させることができる。分子量が600未満の化合物を用いた場合、良好な再分散性が得られない。分子量はより好ましくは1500以上であり、さらに好ましくは2000以上である。分子量の上限は、特に限定されないが、分子量が高すぎると、工程3で得る乾燥固形物中のCNFの割合が少なくなり、CNF本来の性質を発現しにくくなることもあるから、6000以下程度が好ましく、4000以下程度がさらに好ましい。なお、本明細書において「分子量」とは、単一の化合物を用いた場合には、その化学式から計算される分子量であってよく、また、複数の化合物を用いた場合や、多数の繰り返し単位からなる重合体を化合物として用いた場合には、数平均分子量であってよい。数平均分子量は、公知の方法で測定すればよい。また、ポリエーテルアミンの数平均分子量は、例えば、次式により算出できる:
ポリエーテルアミンの数平均分子量= 1000×官能基数/Total acetylatables
・官能基数:1分子中のアミノ基の数
・Total acetylatables:ピリジン中無水フタル酸法により測定。
工程1において、アニオン変性セルロース繊維に、分子量600以上の化合物を添加して、混合物を形成する。分子量600以上の化合物を添加することにより、後の工程2における有機溶媒中でのアニオン変性セルロース繊維の解繊性を向上させ、また、工程3で得られるアニオン変性CNFの乾燥固形物の有機溶媒への再分散性を向上させることができる。分子量が600未満の化合物を用いた場合、良好な再分散性が得られない。分子量はより好ましくは1500以上であり、さらに好ましくは2000以上である。分子量の上限は、特に限定されないが、分子量が高すぎると、工程3で得る乾燥固形物中のCNFの割合が少なくなり、CNF本来の性質を発現しにくくなることもあるから、6000以下程度が好ましく、4000以下程度がさらに好ましい。なお、本明細書において「分子量」とは、単一の化合物を用いた場合には、その化学式から計算される分子量であってよく、また、複数の化合物を用いた場合や、多数の繰り返し単位からなる重合体を化合物として用いた場合には、数平均分子量であってよい。数平均分子量は、公知の方法で測定すればよい。また、ポリエーテルアミンの数平均分子量は、例えば、次式により算出できる:
ポリエーテルアミンの数平均分子量= 1000×官能基数/Total acetylatables
・官能基数:1分子中のアミノ基の数
・Total acetylatables:ピリジン中無水フタル酸法により測定。
分子量600以上の化合物としては、アニオン変性セルロース繊維のアニオン性基と結合できる基を有する化合物が好ましく、例えば、アニオン性基と結合してオニウム塩を形成できるアミンまたはホスフィンを有する化合物が好ましい。アミンとしては、特に限定されないが、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム、芳香族アミン、ジアミン、ポリエーテルアミンを挙げることができ、例えば、これらに限定されないが、HUNTSMAN社製のJEFFAMINE(登録商標)M−600、JEFFAMINE(登録商標) M−1000、JEFFAMINE(登録商標) M−2005、JEFFAMINE(登録商標)M−2070、JEFFAMINE(登録商標) M−2095、JEFFAMINE(登録商標) M−3085、JEFFAMINE XTJ−436等のポリエーテルアミンを挙げることができる。
分子量600以上の化合物は、アニオン変性セルロース繊維のアニオン性基の量に応じて十分な量で添加することが好ましい。例えば、アニオン性基のモル数に対して、等モル数程度またはそれ以上のアニオン性基に結合する部位(例えばアミンまたはホスフィン)を与えるような量の化合物を添加することが好ましい。好ましくは、アニオン性基のモル数に対して、0.8〜2.0倍程度のモル数のアミンまたはホスフィンを与える量の化合物を用いることが好ましく、1.0〜1.5倍程度がさらに好ましい。
アニオン変性セルロース繊維と分子量600以上の化合物とを混合する方法は、特に限定されず、アニオン変性セルロース繊維の水または有機溶媒の分散体に、分子量600以上の化合物を添加してもよいし、脱水したアニオン変性セルロース繊維に対し、分子量600以上の化合物の溶液を添加してもよい。この際、アニオン変性セルロース繊維と分子量600以上の化合物とを含む懸濁液全体におけるアニオン変性セルロースの固形分濃度は、1〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、20〜30質量%がさらに好ましい。混合物を一定時間、撹拌することにより、アニオン変性セルロース繊維に分子量600以上の化合物を結合させることができ、後の工程3においてアニオン変性CNFの乾燥固形物を製造する際に、乾燥時のCNF同士の水素結合による凝集を阻害することができるようになる。また、それによって、乾燥固形物を有機溶媒に再分散させた際の再分散性を向上させることができる。撹拌、混合に用いる装置は特に限定されず、慣用される撹拌装置を用いればよい。撹拌時間も特に限定されず、1分から1時間程度の範囲で撹拌すればよい。
(2)工程2
工程2では、工程1で得られた混合物を有機溶媒中で解繊して、アニオン変性CNF分散体を生成する。
工程2では、工程1で得られた混合物を有機溶媒中で解繊して、アニオン変性CNF分散体を生成する。
工程2の解繊を行う際には、まず、工程1の混合物が有機溶媒中に懸濁した懸濁液を用意する。工程1において、混合物の懸濁媒体が既に主として有機溶媒である場合には、工程1の混合物をそのまま工程2の解繊に用いてもよい。一方、混合物の懸濁媒体が主として水である場合には、混合物を乾燥させることにより水を除去して、乾燥した混合物を得て(工程4参照)、乾燥した混合物に有機溶媒を添加して、有機溶媒を懸濁媒体とする懸濁液を作成し、解繊に供してもよい。ここで、「懸濁媒体が主として有機溶媒である」または「有機溶媒中で解繊」とは、懸濁媒体(分散媒)中の有機溶媒の比率が、80質量%以上、好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であることを意味する。
(2−1)有機溶媒
工程2の解繊の際に用いる有機溶媒は、水と任意の割合で混合可能な有機溶媒(水溶性有機溶媒)であってもよいし、低極性の水難溶性の有機溶媒であってもよい。水溶性有機溶媒としては、これらに限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。低極性の有機溶媒としては、これらに限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、フルオロトリクロロメタン、トリクロロトリフルオロメタン、ヘキサフルオロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、などを挙げることができる。用いる有機溶媒は、1種類であってもよいし、また、2種類以上を混合して用いてもよい。上記の中で、低極性の有機溶媒は、工程3で得られる乾燥固形物のトルエンのような低極性の有機溶媒に対する再分散性がより良好となるため、好ましい。
工程2の解繊の際に用いる有機溶媒は、水と任意の割合で混合可能な有機溶媒(水溶性有機溶媒)であってもよいし、低極性の水難溶性の有機溶媒であってもよい。水溶性有機溶媒としては、これらに限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。低極性の有機溶媒としては、これらに限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、フルオロトリクロロメタン、トリクロロトリフルオロメタン、ヘキサフルオロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、などを挙げることができる。用いる有機溶媒は、1種類であってもよいし、また、2種類以上を混合して用いてもよい。上記の中で、低極性の有機溶媒は、工程3で得られる乾燥固形物のトルエンのような低極性の有機溶媒に対する再分散性がより良好となるため、好ましい。
工程2の解繊の際に用いる有機溶媒は、水の表面張力(20℃で73N/m)よりも低い表面張力を有することが好ましい。有機溶媒の表面張力は、20℃において、35N/m以下がより好ましく、30N/m以下がより好ましく、26N/m以下がさらに好ましい。2種類以上の有機溶媒を混合して用いる場合には、混合後の有機溶媒が上記のような表面張力を有していることが好ましい。表面張力は、プレート法、リング法、懸滴法など、慣用の方法で測定することができる。有機溶媒の表面張力が低いほど、後の工程3における乾燥時のCNF同士の水素結合による凝集を阻害することができるようになる。また、それによって、乾燥固形物を有機溶媒に再分散させた際の再分散性を向上させることができる。
(2−2)解繊
工程1の混合物が有機溶媒中に懸濁した懸濁液に対し、機械的な力を加えることにより、工程1の混合物中のアニオン変性セルロース繊維を解繊して、アニオン変性CNFを得る。解繊に供する懸濁液におけるアニオン変性セルロース繊維の濃度(分子量600以上の化合物の部分を含まない)は、解繊の効率を考えると、0.01〜5.00質量%であることが好ましく、0.50〜3.00質量%がさらに好ましい。
(2−2)解繊
工程1の混合物が有機溶媒中に懸濁した懸濁液に対し、機械的な力を加えることにより、工程1の混合物中のアニオン変性セルロース繊維を解繊して、アニオン変性CNFを得る。解繊に供する懸濁液におけるアニオン変性セルロース繊維の濃度(分子量600以上の化合物の部分を含まない)は、解繊の効率を考えると、0.01〜5.00質量%であることが好ましく、0.50〜3.00質量%がさらに好ましい。
解繊に用いる装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式、スターラーなどの装置を用いてアニオン変性セルロース繊維に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、予備処理を施すことも可能である。解繊により得られるCNFの平均繊維幅は2〜500nmの範囲であることが好ましい。工程3でCNFの乾燥固形物とした後の再分散性の向上の観点からは、平均繊維幅は2〜150nmの範囲であることが特に好ましい。
(3)工程3
工程3では、工程2で得られたアニオン変性CNFの分散体を乾燥することにより(すなわち、分散媒を除去することにより)、アニオン変性CNFの乾燥固形物を得る。本明細書において、乾燥固形物とは、固形分量が80質量%以上になるように乾燥させた状態をいう。固形分量は80〜100質量%であることが好ましく、輸送にかかる費用を低減させるという観点からは85〜100質量%であることがさらに好ましい。乾燥時には、固形分量100質量%(絶乾)まで乾燥させてもよい。例えば、105℃で3時間の乾燥により、絶乾させることができる。固形分量は、以下の手順により計測できる:
乾燥固形物を105℃のオーブンで12時間乾燥させ、乾燥前後の質量から乾燥固形物の固形分量を算出する。
工程3では、工程2で得られたアニオン変性CNFの分散体を乾燥することにより(すなわち、分散媒を除去することにより)、アニオン変性CNFの乾燥固形物を得る。本明細書において、乾燥固形物とは、固形分量が80質量%以上になるように乾燥させた状態をいう。固形分量は80〜100質量%であることが好ましく、輸送にかかる費用を低減させるという観点からは85〜100質量%であることがさらに好ましい。乾燥時には、固形分量100質量%(絶乾)まで乾燥させてもよい。例えば、105℃で3時間の乾燥により、絶乾させることができる。固形分量は、以下の手順により計測できる:
乾燥固形物を105℃のオーブンで12時間乾燥させ、乾燥前後の質量から乾燥固形物の固形分量を算出する。
乾燥方法としては、従来公知のものを用いれば良く、特に限定されない。例えば、スプレイドライ、圧搾、風乾、熱風乾燥、及び真空乾燥を挙げることができる。より具体的には、例えば、連続式のトンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、スプレードライヤ乾燥装置、噴霧乾燥装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、スクリューコンベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装置等、回分式の箱型乾燥装置、通気乾燥装置、真空箱型乾燥装置、及び撹拌乾燥装置等の乾燥装置を挙げることができる。これらの装置は、単独で又は2つ以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ドラム乾燥装置を用いることが、被乾燥物に熱エネルギーを均一かつ直接に供給できるため、エネルギー効率の点から好ましい。また、乾燥前のCNFに於いて、脱水(脱液)処理を進めると、液の粘度が上昇し、取り扱いが困難となることがあるが、ドラム乾燥装置を用いる場合には、ドラムにブレードやダイ等により薄膜を形成させて乾燥させることから、液粘度の上昇による弊害を生じることなく、乾燥処理をより効率的に、均一に短時間で行うことができる。更に、ドラム乾燥装置は必要以上に熱を加えずに、直ちに乾燥物を回収できる点からも好ましい。
工程3により得られたアニオン変性CNFの乾燥固形物は、有機溶媒に良好に再分散させることができる。
工程3により得られるアニオン変性CNFの乾燥固形物は、主としてアニオン変性CNFと工程1で添加した分子量600以上の化合物由来の物質とからなるが、用途に応じて、工程1〜3の任意の段階で、慣用される添加物(抗菌剤、着色剤、樹脂母材、樹脂帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、防カビ剤、防腐剤、発泡剤、難燃剤など)を混合することにより、添加物を少量含有させてもよい。アニオン変性CNFの乾燥固形物が、アニオン変性CNFと分子量600以上の化合物由来の物質以外の添加物を含む場合、乾燥固形物における添加物の割合は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。乾燥固形物は、添加物を含まなくてもよい。
工程3により得られるアニオン変性CNFの乾燥固形物は、主としてアニオン変性CNFと工程1で添加した分子量600以上の化合物由来の物質とからなるが、用途に応じて、工程1〜3の任意の段階で、慣用される添加物(抗菌剤、着色剤、樹脂母材、樹脂帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、防カビ剤、防腐剤、発泡剤、難燃剤など)を混合することにより、添加物を少量含有させてもよい。アニオン変性CNFの乾燥固形物が、アニオン変性CNFと分子量600以上の化合物由来の物質以外の添加物を含む場合、乾燥固形物における添加物の割合は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。乾燥固形物は、添加物を含まなくてもよい。
(4)工程4
工程1と工程2との間に、任意に、工程1で得られた混合物を乾燥させて、乾燥した混合物を得る工程4を設けてもよい。特に、工程1で得られた混合物におけるアニオン変性セルロース繊維が、平均繊維幅500nm〜100μmの範囲の繊維である場合に、工程4を行い、混合物から水などの媒体を除去(乾燥)して乾燥した混合物としてから、乾燥した混合物に工程2において有機溶媒を加えて解繊に供することが好ましい。混合物中の媒体を水から有機溶媒に変更する際、通常の「溶媒置換法」では、遠心分離して水を除去した後、有機溶媒を添加して再度遠心分離して吸引濾過、というように、遠心分離と吸引濾過を繰り返す操作が必要であるが、上述のように「水を除去(乾燥)して乾燥固形物にしてから有機溶媒を添加」することにより、溶媒置換法に比べて、工程数と有機溶媒の消費量を少なくすることができる。工程4で用いることができる乾燥装置は、特に限定されず、例えば、工程3の欄に記載したものを用いることができる。工程4において製造する「混合物の乾燥固形物」における乾燥の度合いは、特に限定されないが、工程3に記載の方法で計測される固形分量として、80〜100質量%であることが好ましく、85〜100質量%であることがさらに好ましい。
工程1と工程2との間に、任意に、工程1で得られた混合物を乾燥させて、乾燥した混合物を得る工程4を設けてもよい。特に、工程1で得られた混合物におけるアニオン変性セルロース繊維が、平均繊維幅500nm〜100μmの範囲の繊維である場合に、工程4を行い、混合物から水などの媒体を除去(乾燥)して乾燥した混合物としてから、乾燥した混合物に工程2において有機溶媒を加えて解繊に供することが好ましい。混合物中の媒体を水から有機溶媒に変更する際、通常の「溶媒置換法」では、遠心分離して水を除去した後、有機溶媒を添加して再度遠心分離して吸引濾過、というように、遠心分離と吸引濾過を繰り返す操作が必要であるが、上述のように「水を除去(乾燥)して乾燥固形物にしてから有機溶媒を添加」することにより、溶媒置換法に比べて、工程数と有機溶媒の消費量を少なくすることができる。工程4で用いることができる乾燥装置は、特に限定されず、例えば、工程3の欄に記載したものを用いることができる。工程4において製造する「混合物の乾燥固形物」における乾燥の度合いは、特に限定されないが、工程3に記載の方法で計測される固形分量として、80〜100質量%であることが好ましく、85〜100質量%であることがさらに好ましい。
工程1で得られた混合物におけるアニオン変性セルロース繊維が、平均繊維幅500nm〜100μmの範囲の繊維である場合、工程4において、混合物の乾燥を行いながら、粉砕を同時に行うことができるような乾燥装置を用いることは、好ましい。例えば、粉砕には、ミキサー、ミル、ニーダー、ホモジナイザー、混練機、押し出し機などを用いることができるが、粉砕時に外部から加熱するまたは撹拌により生じる熱を利用するなどして、粉砕と同時に分散媒の除去(乾燥)を行うようにすることができる。ミキサーとしては、例えば、これに限定されないが、工程1で混合物を撹拌する際に用いたものと同じものを用いてもよく、工程1の撹拌、混合に続いてそのまま工程4の乾燥、粉砕を行ってもよい。例えば、工程4の乾燥、粉砕時には、減圧する、またはミキサーの上蓋や羽根の回転軸のエアシール部等から送風を行うなどして、ミキサーによる粉砕を行いつつ、分散媒の除去を促進してもよい。工程4の乾燥、粉砕時のミキサーの回転数は、例えば、これに限定されないが、1000〜10000rpmの範囲であってもよく、好ましくは1000〜5000rpmであってもよく、さらに好ましくは1000〜3000rpmの範囲であってもよい。工程4の乾燥、粉砕時の混合物の温度は、これに限定されないが、例えば、60〜130℃の範囲であってもよく、好ましくは60〜80℃の範囲であってもよい。工程4の乾燥、粉砕にかかる時間は、温度や、所望の分散媒の除去の程度、また、所望の粉砕の程度によって異なるが、例えば、30分から24時間の間であってもよく、好ましくは30分から1時間程度であってもよい。
(5)再分散工程
工程3により得られたアニオン変性CNFの乾燥固形物は、水溶性有機溶媒だけではなく、低極性の有機溶媒中にも、良好に再分散させることができる。ここで、「良好に再分散させることができる」とは、例えば、有機溶媒中に再分散させた際に、分散体中に分散しきれずに残る沈殿物の量が少ないことを意味する。また、工程3により得られたアニオン変性CNFの乾燥固形物は、分散媒中に加えて、工程2に記載した解繊装置などを用いてナノ分散させることにより、CNFの分散体(再分散体)へと戻すことができる。得られた再分散体におけるアニオン変性CNFの平均繊維幅は、2〜500nmの範囲内であり、好ましくは2〜150nmの範囲内であり、さらに好ましくは2〜20nmの範囲内である。アスペクト比は好ましくは30以上であり、さらに好ましくは50以上であり、さらに好ましくは100以上である。再分散時の分散媒は、水でもよいし、また、水溶性有機溶媒または低極性で水に難溶性の有機溶媒であってもよい。再分散体における固形分濃度は、特に限定されないが、0.1〜10質量%程度が好ましく、1〜5質量%程度がより好ましい。工程3で得られたアニオン変性CNFの乾燥固形物をトルエンに再分散させて得られるアニオン変性CNFの再分散体は、これに限定されないが、アニオン変性CNFの固形分濃度(分子量600以上の化合物の部分を含まない)を1質量%とした際に、660nm光の透過率(光路長10mm)が、好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
工程3により得られたアニオン変性CNFの乾燥固形物は、水溶性有機溶媒だけではなく、低極性の有機溶媒中にも、良好に再分散させることができる。ここで、「良好に再分散させることができる」とは、例えば、有機溶媒中に再分散させた際に、分散体中に分散しきれずに残る沈殿物の量が少ないことを意味する。また、工程3により得られたアニオン変性CNFの乾燥固形物は、分散媒中に加えて、工程2に記載した解繊装置などを用いてナノ分散させることにより、CNFの分散体(再分散体)へと戻すことができる。得られた再分散体におけるアニオン変性CNFの平均繊維幅は、2〜500nmの範囲内であり、好ましくは2〜150nmの範囲内であり、さらに好ましくは2〜20nmの範囲内である。アスペクト比は好ましくは30以上であり、さらに好ましくは50以上であり、さらに好ましくは100以上である。再分散時の分散媒は、水でもよいし、また、水溶性有機溶媒または低極性で水に難溶性の有機溶媒であってもよい。再分散体における固形分濃度は、特に限定されないが、0.1〜10質量%程度が好ましく、1〜5質量%程度がより好ましい。工程3で得られたアニオン変性CNFの乾燥固形物をトルエンに再分散させて得られるアニオン変性CNFの再分散体は、これに限定されないが、アニオン変性CNFの固形分濃度(分子量600以上の化合物の部分を含まない)を1質量%とした際に、660nm光の透過率(光路長10mm)が、好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[酸型のカルボキシル化セルロースの製造]
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)780mgと臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応液に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は反応液のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、反応液のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプを分離し、パルプを十分に水洗することでカルボキシル基を導入したパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。このカルボキシル化セルロースのカルボキシル基量は、1.42mmol/gであった。
[酸型のカルボキシル化セルロースの製造]
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)780mgと臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応液に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は反応液のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、反応液のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプを分離し、パルプを十分に水洗することでカルボキシル基を導入したパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。このカルボキシル化セルロースのカルボキシル基量は、1.42mmol/gであった。
カルボキシル化セルロースの固形分濃度を水で5質量%に調整し、濃度10%の塩酸を添加し、カルボキシル化セルロースにおけるナトリウム塩型のカルボキシル基(−COONa)を、酸型に変換した(−COOH)。その後、ガラスフィルターを用いて、吸引濾過を行い脱水した。再度、カルボキシル化セルロースの固形分濃度を水で5質量%に調整し、その後、再び脱水した。この工程を3回繰り返した。最終的に、固形分濃度を水で25質量%に調整し、酸型のカルボキシル化セルロースを得た。
[実施例1]
上記の工程で得られた酸型のカルボキシル化セルロースを水で3.0質量%に調整した後、水酸化ナトリウム添加によりpHを8に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回解繊処理を行い、固形分3.0質量%の水を分散媒とするカルボキシル化CNFの分散体を作製した。上記で得られた分散体中のカルボキシル化CNFは、平均繊維径が4nm、アスペクト比が150であった。
上記の工程で得られた酸型のカルボキシル化セルロースを水で3.0質量%に調整した後、水酸化ナトリウム添加によりpHを8に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回解繊処理を行い、固形分3.0質量%の水を分散媒とするカルボキシル化CNFの分散体を作製した。上記で得られた分散体中のカルボキシル化CNFは、平均繊維径が4nm、アスペクト比が150であった。
このカルボキシル化CNF(ナトリウム塩型)の分散体300gに、アセトン300gと、カルボキシル化CNFの質量の2倍の質量となるポリエチレングリコール(PEG)(分子量:600)を添加し、ホモジナイザーを用いて混合した。PEGは、次に行うナトリウム塩型のカルボキシル化CNF(−COONa)の酸型のカルボキシル化CNF(−COOH)への変換の際のCNFの凝集を緩和するために添加した。上記のPEGとナトリウム塩型のカルボキシル化CNFとの混合物に、濃度10%の塩酸を9.5g添加し、カルボキシル化CNFのナトリウム塩型を、酸型(−COOH)に変換した。得られた酸型のカルボキシル化CNFとアセトンとPEGと塩酸の混合物を、ガラスフィルター(柴田科学社製、15G3)を用いて吸引濾過(アルバック機工社製 ダイアフラム型真空ポンプ、DCT−40)を行い、カルボキシル化CNFの凝集体を濾別した。ここに再度前記と同量のアセトンを加え、混合した後、再度吸引濾過を行った。このアセトンの添加と吸引濾過を3回繰り返すことにより、酸型のカルボキシル化CNF凝集体のアセトン置換品を得た。また、この工程でアセトンの代わりにイソプロパノール(IPA)を用いることにより、酸型のカルボキシル化CNF凝集体のIPA置換品を得た。また、この工程でアセトンの代わりに水を用いることにより、酸型のカルボキシル化CNF凝集体の水置換品を得た。さらに、酸型のカルボキシル化CNF凝集体のアセトン置換品にトルエンを添加して混合し、上記と同様の方法でトルエン添加と吸引ろ過を3回繰り返すことで、酸型のカルボキシル化CNF凝集体のトルエン置換品を得た。なお、上述の溶媒置換工程によりPEGの大部分は除去されるので、アセトン置換品、IPA置換品、水置換品、トルエン置換品のそれぞれには、PEGはほとんど残留しない。
上記で得られた酸型のカルボキシル化CNF凝集体のIPA置換品に、カルボキシル化CNF凝集体の固形分濃度が1質量%となるように、IPAを添加した。同様に、上記の酸型のカルボキシル化CNF凝集体のトルエン置換品に、カルボキシル化CNF凝集体の固形分濃度が1質量%となるように、トルエンを添加した。ここに、分子量600以上の化合物として、ポリエーテルアミンであるJEFFAMINE(登録商標)M600、M1000、M2005、M2070(HUNTSMAN社製)をそれぞれカルボキシル化CNFのカルボキシル基に対してアミンが等量(等モル数)となるように添加し、ホモジナイザーを用いて8000rpmで10分混合撹拌した(工程1)。その後、超高圧ホモジナイザーを用いて20℃で80MPaの圧力で1回、150MPaで2回処理(解繊)することにより、IPAまたはトルエンを分散媒とする8種類のカルボキシル化CNFの分散体を得た(工程2)。得られた分散体をそれぞれ室温で固形分濃度98質量%となるまで乾燥させることにより、8種類のカルボキシル化CNFの乾燥固形物を得た(工程3)。
得られたCNFの乾燥固形物にトルエンをそれぞれ添加して、カルボキシル化CNFの固形分量(カルボキシル化CNF部分のみの固形分)を1.0質量%に調整し、マグネチックスターラーで1500rpmの速度で1時間撹拌することで、トルエン中にカルボキシル化CNFを再分散させたカルボキシル化CNFの再分散体を得た。得られた再分散体の沈降率をそれぞれ以下の方法で調べ、再分散性を評価した。結果を表1に示す。
<再分散性の評価>
再分散体中のカルボキシル化CNFの固形分量(カルボキシル化CNF部分のみの固形分)を各分散媒を用いて1.0質量%から0.1質量%に調整した。この試料の一部を抜き出し、105℃のオーブンで12時間乾燥させ、乾燥前後の質量から固形分量と水分量を得ることにより、遠心分離前の濃度(固形分全体の濃度)を測定した(Cbc:遠心分離前濃度)。一方、残りの試料を用いて遠心分離(2500g、15分)を行った後、上澄み液を回収し、同様にして上澄み液の濃度(固形分全体の濃度)を測定した(Cac:遠心分離後濃度)。遠心分離前後の濃度から以下の式を用いて沈降率を算出した:
沈降率(%)=(1−Cac/Cbc)×100
得られた沈降率から、以下の評価基準を用いて再分散性を評価した:
〇:沈降率が30%未満
△:沈降率が30%以上95%以下
×:沈降率が95%を超える。
再分散体中のカルボキシル化CNFの固形分量(カルボキシル化CNF部分のみの固形分)を各分散媒を用いて1.0質量%から0.1質量%に調整した。この試料の一部を抜き出し、105℃のオーブンで12時間乾燥させ、乾燥前後の質量から固形分量と水分量を得ることにより、遠心分離前の濃度(固形分全体の濃度)を測定した(Cbc:遠心分離前濃度)。一方、残りの試料を用いて遠心分離(2500g、15分)を行った後、上澄み液を回収し、同様にして上澄み液の濃度(固形分全体の濃度)を測定した(Cac:遠心分離後濃度)。遠心分離前後の濃度から以下の式を用いて沈降率を算出した:
沈降率(%)=(1−Cac/Cbc)×100
得られた沈降率から、以下の評価基準を用いて再分散性を評価した:
〇:沈降率が30%未満
△:沈降率が30%以上95%以下
×:沈降率が95%を超える。
[比較例1]
JEFFAMINE(登録商標)M600、M1000、M2005、M2070(HUNTSMAN社製)に代えて、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、またはオレイルアミンをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、トルエン中にカルボキシル化CNFを再分散させた再分散体を得た。得られた再分散体の沈降率をそれぞれ実施例1と同様にして調べ、再分散性を評価した。結果を表1に示す。
JEFFAMINE(登録商標)M600、M1000、M2005、M2070(HUNTSMAN社製)に代えて、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、またはオレイルアミンをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、トルエン中にカルボキシル化CNFを再分散させた再分散体を得た。得られた再分散体の沈降率をそれぞれ実施例1と同様にして調べ、再分散性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1における酸型のカルボキシル化CNF凝集体の水置換品に対し、IPAまたはトルエンに代えて、水を加えた以外は実施例1及び比較例1と同様にして、トルエン中にカルボキシル化CNFを再分散させた再分散体を得た。得られた再分散体の沈降率をそれぞれ実施例1と同様にして調べ、再分散性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1における酸型のカルボキシル化CNF凝集体の水置換品に対し、IPAまたはトルエンに代えて、水を加えた以外は実施例1及び比較例1と同様にして、トルエン中にカルボキシル化CNFを再分散させた再分散体を得た。得られた再分散体の沈降率をそれぞれ実施例1と同様にして調べ、再分散性を評価した。結果を表1に示す。
表1より、アニオン変性セルロース繊維(カルボキシル化CNF)に対し、分子量600以上の化合物を添加して混合物とし、この混合物の超高圧ホモジナイザーによる解繊時の懸濁媒体を有機溶媒とした場合(実施例1)に、分子量600未満の化合物を用いた場合(比較例1)や、懸濁媒体を水とした場合(比較例2)に比べて、沈降率が低く(すなわち、再分散体における沈殿物の量が減少し)、トルエンのような低極性の有機溶媒を分散媒に用いた場合であっても良好な再分散性が得られたことがわかる。
[実施例2]
上記の[酸型のカルボキシル化セルロースの製造]で得られた固形分濃度25質量%の酸型のカルボキシル化セルロース1.5kgに、分子量600以上の化合物として、ポリエーテルアミンであるJEFFAMINE(登録商標)M600、M1000、M2005、M2070(HUNTSMAN社製)をカルボキシル基量に対してアミンが等量(等モル数)となるようにそれぞれ添加し、4種類の試料を作成した。これらの試料のそれぞれを、スーパーミキサー(SMV−20B、株式会社カワタ製)で1500rpmで10分間混合撹拌した。撹拌熱により試料の温度は70℃になった(工程1)。次いで、スーパーミキサーの上蓋から送風しながら1500rpmで40分間撹拌することにより、乾燥(分散媒の除去)を行いながらカルボキシル化セルロースの粉砕を同時に行った。乾燥、粉砕中の試料の温度は60〜70℃であった。これにより、混合物の乾燥固形物(固形分濃度97質量%)を製造した(工程4)。
上記の[酸型のカルボキシル化セルロースの製造]で得られた固形分濃度25質量%の酸型のカルボキシル化セルロース1.5kgに、分子量600以上の化合物として、ポリエーテルアミンであるJEFFAMINE(登録商標)M600、M1000、M2005、M2070(HUNTSMAN社製)をカルボキシル基量に対してアミンが等量(等モル数)となるようにそれぞれ添加し、4種類の試料を作成した。これらの試料のそれぞれを、スーパーミキサー(SMV−20B、株式会社カワタ製)で1500rpmで10分間混合撹拌した。撹拌熱により試料の温度は70℃になった(工程1)。次いで、スーパーミキサーの上蓋から送風しながら1500rpmで40分間撹拌することにより、乾燥(分散媒の除去)を行いながらカルボキシル化セルロースの粉砕を同時に行った。乾燥、粉砕中の試料の温度は60〜70℃であった。これにより、混合物の乾燥固形物(固形分濃度97質量%)を製造した(工程4)。
得られた4種類の混合物の乾燥固形物に対し、それぞれカルボキシル化セルロースの固形分量が1.0質量%となるようにトルエンを添加し、3000rpmで10分間撹拌した。続いて、超高圧ホモジナイザーを用いて20℃で80MPaで1回、さらに150MPaで2回処理(解繊)することにより、トルエンを分散媒とするカルボキシル化CNFの分散体を得た(工程2)。得られた分散体をそれぞれ室温で固形分濃度98質量%となるまで乾燥させることにより、4種類のカルボキシル化CNFの乾燥固形物を得た(工程3)。
得られたCNFの乾燥固形物にトルエンをそれぞれ添加して、カルボキシル化CNFの固形分量を1.0質量%に調整し、マグネチックスターラーで1500rpmの速度で1時間撹拌することで、トルエン中にカルボキシル化CNFを再分散させたカルボキシル化CNFの再分散体を得た。得られた再分散体の沈降率を実施例1に記載の方法で調べ、再分散性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
JEFFAMINE(登録商標)M600、M1000、M2005、M2070(HUNTSMAN社製)に代えて、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、またはオレイルアミンをそれぞれ用いた以外は実施例2と同様にして、トルエン中にカルボキシル化CNFを再分散させた再分散体を得た。得られた再分散体の沈降率を実施例1と同様にしてそれぞれ調べ、再分散性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
JEFFAMINE(登録商標)M600、M1000、M2005、M2070(HUNTSMAN社製)に代えて、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、またはオレイルアミンをそれぞれ用いた以外は実施例2と同様にして、トルエン中にカルボキシル化CNFを再分散させた再分散体を得た。得られた再分散体の沈降率を実施例1と同様にしてそれぞれ調べ、再分散性を評価した。結果を表2に示す。
表2より、アニオン変性セルロース繊維(カルボキシル化セルロース)に対し、分子量600以上の化合物を添加して混合物とし、この混合物の乾燥固形物を形成し、混合物の乾燥固形物に有機溶媒を加えて解繊した場合(実施例2)に、分子量600未満の化合物を用いた場合(比較例3)に比べて、沈降率が低く(すなわち、再分散体における沈殿物の量が減少し)、トルエンのような低極性の有機溶媒を分散媒に用いた場合であっても良好な再分散性が得られたことがわかる。
Claims (6)
- アニオン変性セルロース繊維に、分子量が600以上の化合物を添加して混合物を得る工程1、
工程1で得られた混合物を有機溶媒中で解繊して、アニオン変性セルロースナノファイバー分散体を得る工程2、及び
工程2で得られたアニオン変性セルロースナノファイバー分散体を乾燥してアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を得る工程3、
を含む、アニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。 - 前記工程1のアニオン変性セルロース繊維の平均繊維幅が、2nm〜100μmである、請求項1に記載の方法。
- 前記工程1の分子量600以上の化合物が、アミンまたはホスフィンを有する化合物である、請求項1または2に記載の方法。
- 前記工程2の有機溶媒の20℃における表面張力が、35N/m以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程1と前記工程2との間に、混合物を乾燥させて、乾燥した混合物を得る工程4をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法によりアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を得る工程、及び
得られたアニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物を、分散媒に再分散させてアニオン変性セルロースナノファイバーの再分散体を得る工程
を含む、アニオン変性セルロースナノファイバーの再分散体の製造方法。
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