JP3805851B2 - 非水系電池 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は非水系電池に関し、特には正極活物質と負極活物質とを電子的に隔離するセパレータとして、微細な貫通孔を有して多孔質であるとともに、緻密性を有して気密度が高い、セルロースを原料とする新規なセパレータを用いることによって、耐熱性、イオン透過性、保液性、内部短絡の防止等の諸特性を高いレベルで改善するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウム電池、リチウムイオン二次電池等の非水系電池は小型、軽量で重量エネルギー密度が大きいため、携帯電話やノートブック型パソコン、一体型ビデオカメラ等の携帯電子機器の電源として近年飛躍的に普及してきており、その生産量も年々大幅に増加している。この非水系電池は電解液として非水系溶媒、例えばプロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、ジエトキシエタン等の非プロトン性の有機溶媒を使用し、これらの溶媒に電解質としてにLiBF4、LiPF6、CH3SO3Li等を溶解させて使用している。また、正極活物質としてリチウム含有酸化物のLiCoO2やLiNiO2等が使用され、負極活物質として炭素材料の黒鉛やグラファイト等が使用されている。
【0003】
非水系電池の性能を決定する要素の中に、ショート不良率を軽減するために正極活物質と負極活物質の接触による内部短絡を防止すること、起電反応を生ずるために必要にして充分な量の電解液を保持するとともに、電池反応のための電荷担体の良好な透過性を確保すること、即ちイオンの伝導を妨げずに内部抵抗を小さくするためにインピーダンス特性、特に等価直列抵抗(以下ESRと略する)を低くすることがあり、このショート不良率とESRはセパレータによって大きく左右される。
【0004】
ショート不良率には組立て時及び製品として市場での使用時のふたつのショート不良率があり、いずれの場合もショートの発生する箇所はセパレータの弱い箇所であり、例えばピンホールがあればそこからショートする。そこで、ショート不良率を低減するにはできるだけ均一でピンホールなどの貫通孔が無い緻密性の高いセパレータ、換言すれば気密度の高いセパレータとすることが要求される。
【0005】
一方ESRを低下させるためにはショート不良率の改善とは逆に、イオンが通る経路としての貫通孔を確保するために多孔質のセパレータ、換言すれば気密度の低いセパレータとすることが要求される。これは非水系電池の伝導方式はイオン伝導であって、電荷を持ったイオンが移動することで電荷が移動するためである。このようにショート不良率を低減するには緻密性を高めて気密度を高くすることが、一方ESRの改善のためには多孔質なものとして気密度を低くするという相反する特性がセパレータには求められているのである。
【0006】
従来、非水系電池のセパレータとしては、高気密度で貫通孔を多数有するものとしてポリオレフィン系の多孔質フィルムや不織布が使用されており、具体的にはポリプロピレン多孔質フィルムやポリエチレン多孔質フィルムが商品として提供されている。コイン型電池には主としてポリオレフィン系の不織布が使用され、円筒型電池には主としてポリオレフィン系の多孔質フィルムが使用されている。
【0007】
これらポリオレフィン系の多孔質フィルムは10〜40μmと薄く、微細な貫通孔がフィルム全面に均一にあいているため、数千秒/100ccから数万秒/100ccの気密度を得ることができ、更にフィルム自体の電気絶縁性が高いにもかかわらず電解液を含浸させたときのESRが低いため、セパレータとして使用されているのである。
【0008】
また、ポリオレフィン系の多孔質フィルムは、電池が過充電や過放電等により異常に高温となると、内部温度が120〜170℃程度で溶融し、微細貫通孔が閉塞して電流が流れなくなるシャットダウン効果があり、このシャットダウン効果を安全機構としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のセパレータはポリオレフィン系であるため、融点が存在し(PEの耐熱温度は高くても120℃,PPの耐熱温度は160℃)、寸法安定性に欠けるため、内部温度が高温となると多孔質フィルムに収縮欠損部を生じ、収縮欠損した部分で内部短絡が発生してしまう。そのため、完全なシャットダウンに至る前に短絡箇所に電流が集中し、温度が急激に上昇すると、ポリオレフィン系の多孔質フィルムは収縮あるいは溶融して異常過熱を起こす危険性がある。また、130℃以上の高温となると多孔質フィルムが溶融流出してしまうおそれがあり、両極が内部短絡して発火する危険性を有する。そこで、安全性を高めるためにより高い耐熱性と寸法安定性が非水系電池のセパレータに求められているのである。
【0010】
また、非水系電池には高容量化、小型軽量化が求められており、セパレータには今まで以上に薄膜化が要求されている。しかしながら、従来のポリオレフィン系の多孔質フィルムには本来μmオーダーのピンホール、具体的には長径0.5μm、短径0.05μm程度の長円形の裂け目のようなピンホールが多数分散して存在する。かかるμmオーダのピンホールの存在は、両極活物質の微細粉が通過可能なサイズであり、容量低下や短寿命化、内部短絡の原因となる可能性がある。そのため、薄膜化をすると更にピンホール発生率が高くなり、かつ、ピンホールのサイズも大きくなって短絡しやすくなってしまうため、薄膜化の要求に応えることができない。また、ポリオレフィン系の多孔質フィルムは親液性がなく、電解液の含浸性が悪いため、電解液の保持量が少なくなり寿命が短い。
【0011】
更に、製品となった非水系電池からは安全性向上のため、より高い耐熱性が要求されている。具体的にはリチウムイオン電池ではリチウム金属の発火温度である190℃以上でも形態を保持するセパレータが求められている。現在、この様な耐熱性を有する多孔質フィルムは存在していない。また、PEやPPは原料として高価であり、製造工程も複雑であることから製造単価を引き下げることが困難である。また、PE、PPいずれにしても石油系資源であり、昨今の環境に対する配慮から新たな素材が求められている。
【0012】
そこで、耐熱性と耐薬品性を併せ持った再生産可能な安価な原料としてセルロースが存在する。素材としてセルロースを見た場合、230℃までの耐熱性を有している。また、セルロースを溶かす薬剤が今も探索されていることからも分るように薬品に対して安定である。そこで、このセルロースを原料として微細な貫通孔を有して多孔質であるとともに、緻密性を有して気密度が高いセパレータを製造することができれば、ショート不良率とESRを共に低減させて、耐熱性、イオン透過性、保液性、内部短絡の防止等の諸特性を高いレベルで改善することができる。しかしながら、従来の抄紙法によって製造されたセパレータでは多孔質と高気密度の双方を充足することはできなかった。非水系電池のセパレータとして使用できる100μm以下の厚さで、内部短絡を防止してショート不良率を低減するために気密度を1000秒/100cc程度まで高くしようとすると、セルロースパルプを叩解し密度を0.75g/cm3程度に抄紙しなければならないが、そうするとセパレータはフィルム状となりイオンの経路としての貫通孔が無くなってしまいESRが悪化してしまうのである。
【0013】
そこで、セルロースを原料として非水系電池のセパレータを製造しようとする場合にセパレータの性能を決定する重要な要素としてセパレータの気密度のコントロールがあり、ショート不良率とESRの双方を高いレベルで改善するには、微細な貫通孔を有する多孔質であって、かつ、高い気密度、具体的には1000秒/100cc以上の気密度を有するセパレータが望ましい。気密度が数百秒/100ccのレベルのセパレータでは全体としては緻密性を有していてもピンホールが存在するためである。
【0014】
従来、セルロースを原料とする紙の気密度のコントロールは次の二つの方法により行われている。一つは原料となるセルロース繊維の叩解の度合い進めて、より密度の高いセパレータを製造する方法であり、もう一つはセパレータを厚くする方法である。
【0015】
叩解の程度による気密度のコントロールでは、叩解の浅いセルロース繊維を用いて低密度のセパレータに抄紙すると気密度は低く、叩解を進めたセルロース繊維を用いて密度を高く抄紙すると気密度を高くすることができる。セルロース繊維の叩解の程度がJIS P8121に規定するCSF(カナダ標準形口水度、Canadian Standard Freeness、以下、JIS法CSFという)の値で770mlとほとんど叩解していないバージンパルプを用いて、密度を0.3g/cm3、厚さ50μm程度のセパレータを抄紙すれば、気密度を約1秒/100ccにコントロールすることができ、JIS法CSFの値で400ml程度まで叩解を進めて抄紙すれば、同一厚さのセパレータであっても叩解を進めることによって、密度を0.3g/cm3から0.55g/cm3に高めることができ、気密度を数百秒/100ccにコントロールすることができる。
【0016】
そこで、叩解を高度に進めていけば気密度を数千秒/100ccから数万秒/100ccまで、あるいはそれ以上までコントロールすることが可能ではないかと考えられる。しかしながら、ある程度以上叩解を進めた原料を使用した場合、セパレータの表裏間の貫通孔が存在しなくなってしまい、従来のセパレータでは1000秒/100cc以上の気密度を実現することをコントロールすることはできなかった。これはJIS法CSFの値で約200mlより叩解を進めて抄紙をすると、繊維間の空隙がなくなってしまい、セパレータにはもはや貫通孔が存在しなくなり、気密度は無限大となって実際上測定できなくなるからである。これはセパレータが自己接着力をもつセルロースで製造されることに起因する避け難い性質である。貫通孔が存在しなくなることはイオンが通る経路がなくなることであり、ESRが極端に悪化してしまう。
【0017】
一般に繊維径が小さいほど水の表面張力による湿紙中の繊維間に働く力は大きくなる。このことはキャンプベル効果(Campbell効果)として知られている。キャンプベルの計算によると繊維径30μmの繊維間の引力は6.1Kg/cm2、であるのに対し、繊維径2μmでは繊維間の引力は38Kg/cm2となり、更に繊維径0.2μmとなると繊維間の引力は174Kg/cm2になる。高度に叩解された植物繊維は繊維径が元の大きさに比べ小さくなっており、その繊維間に働く力も大きく、繊維間の距離も小さくなっている。そこで、湿紙の状態から乾燥工程に入ると水が蒸発し、このとき水の表面張力が大きいため、隣同志の繊維を強力に引き付ける。繊維間距離が小さくなるとワンデルウァールス力が働き、更に繊維相互を引き付け、ついには水素結合により密着することとなり、繊維間の空隙が減少してしまう。そのため、JIS法CSFの値で200ml以下に叩解を進めると得られたセパレータの繊維間の空隙がなくなってしまうため、気密度が測定できなくなるのである。よって、イオンが通る経路としての貫通孔が無くなってしまうこととなる。一方、叩解の程度が浅く大きな繊維の形状が保持されている場合には、繊維の接触点で水素結合が発生しても全体としてみると空隙が多く存在するのである。
【0018】
また、JIS法CSFの値で200mlに到る前に、JIS法CSFの値の微調整を試みることによっても、1000秒/100cc以上の気密度をコントロールすることはできない。上記したように、繊維径が小さくなると、繊維間に働く力が急激に大きくなる。しかもセルロース繊維を叩解するとセルロース繊維は1/2や1/3に段階的に開裂して行くのではなく、直径0.4μm程度のフィブリルが繊維の外部から段階的にひげ状に発生して行く。即ち、叩解の程度は0.4μmのフィブリルの発生状況のことであり、叩解が進むことはフィブリルの比率が増加することを示している。一方、基となるセルロース繊維、例えば針葉樹パルプの繊維は長径40μm、短径10μm程度の楕円形であり、マニラ麻パルプの繊維は直径20μm程度のほぼ円形である。そのため、叩解の程度はマニラ麻パルプであれば、直径20μmの繊維と、直径0.4μmのフィブリルの比率の変化として捉えることができる。よって、JIS法CSFの値で200mlに到る前の微妙なJIS法CSFの値の調整で気密度をコントロールすることはできないのである。また、試みたとしても目標値に対し、±数千秒〜数万秒/100ccのバラツキが発生することとなると考えられる。
【0019】
そのため、叩解の程度を調節することによって、気密度として数百秒/100ccのセパレータを製造することはできても、イオンが通る経路としての貫通孔を維持して気密度を上げるために1000〜数万秒/100ccの気密度をコントロールしながら製造することはできなかった。即ち、セルロースを原料として微細な貫通孔を有する多孔質であって、かつ、高い気密度を有するセパレータを製造することはできなかったのである。
【0020】
また、もう一つの気密度を高くする方法としてセパレータを厚くする方法がある。理論的には空気の通過する距離が長くなればなるほど気密度は高くなり、セパレータを厚くすれば高気密度のセパレータを製造することが可能である。しかし、セパレータとしては15〜100μmが主に使われており、これより厚いものは実際上使用することができないため、できるだけ薄い方が良い。特に現在ではより高容量化、小型軽量化が望まれており、従来より更に薄くすることが期待されている。よって、セパレータとして要求される100μm以下の厚さの範囲では、厚さを調整することによって、或は叩解の程度と厚さの調整を併用することによって気密度を1000秒/100cc以上でコントロールすることはできなかった。
【0021】
一方、ESRを改善するためにセルロースを原料として貫通孔を有する多孔質のセパレータを得るためには、ショート不良率の改善とは逆にセパレータを薄く、その密度を低くする必要がある。しかしながら、セパレータを薄くしたり密度を低くすると必然的に気密度は低下してしまう。また、気密度を高めるためにセパレータを厚くすると一次式的にESRが悪化し、密度を高めると二次式的にESRが悪化するのである。
【0022】
以上のように、従来はセルロースを原料としてイオンが通る経路としての貫通孔を維持するために多孔質であって、かつ、高い気密度を有するセパレータを得ることはできず、ショート不良率とESRの双方を高いレベルで改善することはできなかった。
【0023】
そこで、叩解の程度を進めたセルロース原料で製造され、気密度が無限大となって測定不能となる高密度紙を多孔質のものとすることができれば、従来不可能とされていた高気密度であって低密度のセパレータを得ることができる。即ち、叩解を進めた原料を使用しても、空気が通過することのできる微細な貫通孔を有するセパレータを製造することができれば、高気密度であってもイオンが通る経路としての貫通孔を確保したセパレータをセルロースを原料として得ることができるのである。この高気密度であって低密度のセパレータによれば、気密度を高いレベルでコントロールすることができ、従来の気密度を上げると密度が高くなってESRが悪く、密度を下げてESRを良くすると気密度が下がり緻密性に欠けてショート不良率が増加することとなり、ショート不良率とESRの双方を同時に高いレベルで満足させることが困難であったセパレータの欠点を解消することができる。また、セルロースは再生産可能な天然資源であり、産業廃棄物の問題も少ないため、石油資源の利用から再生産可能な天然資源への利用へと転換を図ることができて望ましい。
【0024】
そこで、本発明は上記従来の事情に基づき、耐熱性、耐薬品性に優れた再生産の可能な天然資源であるセルロースを原料として、微細な貫通孔を有する多孔質で低密度であるとともに、緻密性を有して気密度が高い新規なセパレータ、即ち、イオンが通る経路としての貫通孔を維持するために多孔質であって、かつ、高い気密度を有するセパレータを用いることによって、耐熱性、イオン透過性や保液性等の電気特性、内部短絡の防止等の諸特性を高いレベルで改善する非水系電池を提供することを課題とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を達成するために、正極活物質と負極活物質とをセパレータによって電子的に隔離してなる非水系電池において、前記セパレータは、繊維径が1μm以下の微細なセルロースを原料として湿紙を製造し、該湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾燥させ、厚さ15〜100μmとした非水系電池及び該湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾燥させ、厚さ15〜100μmとして微細な貫通孔を有する非水系電池を基本として提供する。また、湿紙は原料を水に分散させて抄紙し、又は原料を水より表面張力の小さい有機溶媒に分散させて抄紙する。湿紙中の水分は水と相溶性のある表面張力の小さい溶媒と置換し、又は凍結乾燥させることにより乾燥させる。また、湿紙中の有機溶媒は揮発させることにより乾燥させる。湿紙は原料をキャスティング製膜することもできる。微細なセルロースとしてはセルロース繊維をJIS法CSF(JIS P8121)の値で200ml以下に叩解したセルロース、或は変法CSF(JIS P8121に規定する測定法において、試料3gを試料0.3gとして測定する)の値で700ml以下に叩解したセルロースを使用する。また、微細なセルロースとしてセルロース繊維を高圧下剪断力で解繊したマイクロフィブリル化セルロースを使用することもできる。更に、湿紙にホウ酸アルミニウム又はチタン酸カリウムなどの無機フィラーを混抄することも有効である。そして、得られたセパレータは気密度が1000秒/100cc以上が好ましい。
【0026】
上記本発明によれば、湿紙の状態においてセルロース繊維間の空隙構造に保持された水を溶媒置換又は凍結乾燥によって乾燥させ、或はセルロース繊維を有機溶媒に分散させて抄紙することにより湿紙を製造し、湿紙中の有機溶媒を揮発させることにより乾燥させるため、従来の抄紙法のように湿紙からの乾燥工程で水が蒸発するときに隣同志の繊維を強力に引き付けて水素結合により密着することがない。そのため、湿紙に存在する空隙構造をそのまま保持することにより、微細な貫通孔を有する多孔質で低密度であるとともに、緻密性を有して気密度が高い新規なセパレータ、具体的には厚さが15〜100μm、気密度が1000秒/100cc以上の多孔質高気密度のセパレータを得ることができる。即ち、ショート不良率を改善するために高い気密度を有し、かつ、ESRを改善するためにイオンが通る経路としての貫通孔を維持した多孔質のセパレータを得ることができる。よって、このセパレータを用いることによって、イオン透過性や保液性等の電気特性、内部短絡の防止、耐熱性等の諸特性を高いレベルで改善する信頼性の高い非水系電池を提供することができる。
【0027】
本発明によれば、微細な貫通孔を有して多孔質であるとともに、緻密性を有して気密度が高い実用性の高いセパレータを再生産可能な天然資源であるセルロースから作ることができる。この結果、非水系電池の信頼性向上、普及促進、ポリオレフィン系樹脂から製造された多孔質フィルムが耐熱性の不足により使用できなかった分野への利用の拡大を図ることができる。即ち、セルロースを原料とすることにより230℃の耐熱性を実現することができ、例えばリチウムイオン電池においてリチウム金属の発火温度である190℃以上の耐熱性を実現することができる。また、セルロースは再生産可能な天然資源であるため、有限な石油資源の利用から再生産可能な天然資源への利用への転換が図ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる非水系電池の各実施形態を説明する。本発明にかかる非水系電池は、正極活物質と負極活物質とを電子的に隔離するセパレータとして、セルロースを原料として湿紙を製造し、該湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾燥させることにより、イオンが通る経路としての微細な貫通孔を維持するために多孔質であって、かつ、高い気密度を有するセパレータを使用することに特徴を有する。
【0029】
従来の抄紙法においても、原料としてのセルロース繊維の叩解を進めていくと得られるセパレータの気密度は高くなるが、前記したようにJIS法CSFの値で約200ml以下に叩解を進めて密度0.75g/cm3以上に抄紙をすると繊維間の空隙がなくなってしまい、セパレータには貫通孔がもはや存在しなくなり、気密度は無限大となって実際上測定できなくなってしまう。しかしながら、その場合であっても湿紙の状態においては空隙構造を有する。即ち、乾燥したセパレータには貫通孔が存在しなくても、乾燥前の湿紙には貫通孔が存在する。乾燥することによって、水分が蒸発し、セルロース繊維相互の水素結合によって空隙が癒されて貫通孔が存在しなくなるが、湿紙の状態ではどんなに叩解の程度を進めたとしても水分が保持されている空隙が存在するのである。例えば、JIS法CSFの値で約200ml以下まで叩解を進めて抄紙したとしても、湿紙の状態ではプレスすることにより脱水することができる。このことは湿紙中に連続した水の流路が存在することを示しているに他ならない。本発明は乾燥時における湿紙の空隙構造に与える水の影響を極力小さくすることによって、換言すれば水素結合の発生を抑制することによって、この湿紙状態の空隙構造、即ち水の流路を保持したまま乾燥させて、微細な貫通孔を有する多孔質で高気密度のセパレータを使用した非水系電池を提供するものである。
【0030】
先ず、本発明は耐熱性、耐薬品性に優れた再生産可能な天然資源であるセルロースを原料とする。使用するセルロースそのものには限定がなく、針葉樹木材パルプ、広葉樹木材パルプ、エスパルトパルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、コットンパルプ等の天然セルロース繊維、或はこれら天然セルロース繊維を冷アルカリ処理して得たマーセル化パルプ、更には普通レーヨン繊維、ポリノジックレーヨン繊維、有機溶剤紡糸レーヨン繊維等の再生セルロース繊維などのいずれでもよい。なお、使用するセルロースは洗浄・脱水・除塵など公知の方法で不純物を除去しておく。
【0031】
更に、より高気密度のセパレータを得るためには繊維径が1μm以下の微細なセルロースを原料とする。具体的には高度に叩解したセルロース、或はマイクロフィブリル化セルロース(MFC)を使用する。高度に叩解したセルロースは、基のセルロースの繊維の形状が破壊されて、外部フィブリル化が進み、直径0.4μm程度のフィブリルの占有率が高くなっているものであり、繊維径としては1μm以下のものである。なお、本発明でいう繊維径が1μm以下の微細なセルロースは、フィブリルの占有率が高いもの、即ちフィブリルが繊維の主たる要素となっていればよく、フィブリルだけのものと共に、一部にフィブリル化されていない繊維径1μmを越える基の繊維が残存しているものであってもよい。
【0032】
前記したようにセルロース繊維を叩解するとセルロース繊維は1/2や1/3に段階的に開裂して行くのではなく、直径0.4μm程度のフィブリルが繊維の外部から段階的にひげ状に発生して行く。従って、天然セルロース繊維を叩解或は他の手段によって、開裂させて繊維径を小さくすることはできないのである。叩解の程度は0.4μmのフィブリルの発生状況のことであり、叩解が進むことはフィブリルの比率が増加することを示している。本発明ではこのフィブリルの占有率の高い微細な天然セルロースを原料とするものである。因に天然セルロース繊維で繊維径の小さいものとしてエスパルト繊維があるが、このエスパルト繊維でも繊維径は10μm程度である。
【0033】
また、この繊維径が1μm以下の微細なセルロースを原料とすることによって、得られるセパレータの緻密性が高まり地合が均一となってESRも改善される。従来は繊維径が1μm以下まで高度に叩解した原料を使用すると乾燥時の水素結合によって貫通孔が存在しなくなり、ESRが極端に悪化するのである。本発明では従来より繊維径が小さい1μm以下の繊維径の微細なセルロースを原料としてもイオンが通る経路としての貫通孔を維持した多孔質のセパレータを製造することができるため、繊維径が小さいことと、多孔質であるとの相乗効果によってESRを改善することができるのである。
【0034】
これらのセルロースを繊維径が1μm以下の微細なセルロースとするための手段の一つとして、JIS法CSFの値で200ml以下に、或は変法CSFの値で700ml以下まで高度に叩解を行う。通常、叩解の程度はJIS法CSF(JIS P8121)の値で測定される。しかしながら、本発明ではより正確に気密度をコントロールするための叩解の程度の基準として、JIS法CSFとともに、JIS法CSFの変法として、変法CSFにより叩解の程度を特定する。そこで、JIS法CSFの内容及び本発明で基準とする変法CSFの内容について以下に説明する。
【0035】
〔JIS法CSF〕
JIS P8121に規定されている測定手段である。先ず測定するパルプ3gを水で良く離解して正確に1000mlの試料液とし、この試料液を図7(A)に示すカナダ標準型フリーネステスターのロ水筒31に入れて上蓋32を閉める。次に下蓋33を開けて、上蓋のコック34を開けると、ロ水筒31の下部に配置された80メッシュの網35を通じてロ水が流れ出る。このとき80メッシュの網35上には繊維がマット状に堆積して行く。試料液はこのマット状の繊維間を通過して、ロ水としては図7(B)に示すロ水筒31の下方に位置する漏斗36に入り下部排出口37から流出する。このとき漏斗36へ一度に多くのロ水が入れば、ロ水は排出口37だけでなく、漏斗36の横に取付けた側管38からも排水される。この側管38からの排水をメスシリンダーに受け、この排水の量をもってCSFの値とする。なお、図7(C)は架台39を示すものであり、上台40にロ水筒31を載置し、下台41に漏斗36を載置して、ロ水筒31と漏斗36の高さと中心を合わせて測定するものである。
【0036】
CSFの値は1000mlの試料液がロ水筒31からロ水として漏斗36に一度に流入する量によって決定される。漏斗36に一度に多量のロ水が流入した場合は、下部排出口37から全量を排出することができず、溜ったロ水が側管38からあふれ出ることとなる。一方、ロ水が少しずつ流出すると全量が下部排出口37から排出されることとなり、側管38から流出することはない。この場合CSFは0mlとなる。また、叩解の程度が浅いとマット状の繊維間を水が通過することができ、ロ水の量が多く流入速度も早いため、CSFの値が高くなる。一方、叩解の程度が高いとマット状の繊維間を水が通過しにくくなり、ロ水の量が減り流入速度も遅くなるため、CSFの値が低くなるのである。
【0037】
JIS法CSFではパルプの採取量を3gと規定している。この方法は叩解度の低いパルプを想定しており、低気密度のセパレータを抄紙するには、JIS法CSFは叩解の程度の変化が値として判り易くて都合が良い。しかしながら、高気密度のセパレータを抄紙するため叩解を進めていくと、ある時点からJIS法CSFの値が0mlとなって、叩解の進行度を把握することができなくなる。本発明の課題とする多孔質高気密度のセパレータを得るためにはJIS法CSFで規定する0ml前後からそれ以降の原料叩解が重要である。そこで、本発明では、高度に叩解を進めた原料の叩解の程度をより正確に測定するために、JIS法CSFを基準として次のような変法を用いた。
【0038】
〔変法CSF〕
JIS P8121に規定する方法を基本とし、パルプ量のみを3gから0.3gに変更して測定した。採取パルプの量以外は全てJIS法CSFと同様とした。
【0039】
この変法CSFによれば、高度に叩解を進めた原料であっても叩解の程度の差をCSFの値として捉えることができる。このJIS法CSFによる測定値と変法CSFによる測定値を比較検討するため、図1に叩解を進めたときのJIS法CSFと変法CSFの値の変化をグラフとして示すと共に、図2に縦軸に変法CSFの値を、横軸にJIS法CSFの値を取って、両者の関係をグラフとして示す。図1に示すように、変法CSFで700mlの値は、JIS法CSFで略200mlの値となり、変法CSFで300mlの値はJIS法CSFでは0mlとなって、もはや叩解の程度をCSFの値として測定することができない。また、図2に示すように叩解の浅い初期の段階、即ちJIS法CSFの値で200ml以上の状態(200〜800ml)ではJIS法CSFの測定値が大きく変化するのに対し変法CSFの値の測定値は変化が乏しい。この段階ではJIS法CSFの方が叩解の深浅の程度を把握しやすい。逆に、叩解が進んだ段階、即ちJIS法CSFで200ml以下の値となると、変法CSFでの測定値の方が変化が大きくなって捉らえやすくなる。一方、JIS法CSFの値では0mlになった場合においても変法CSFの値では300mlであり、更に叩解を進めた場合JIS法CSFでは測定不可能であるが、変法CSFでは叩解の程度を数値として測定することができる。
【0040】
変法CSFの値は図2中の換算式を用いることにより、JIS法CSFの値から換算することができる。なお、換算式は図2に示すように、JIS法CSFの値で、200ml以下の値、200〜600mlの範囲の値、600〜800の範囲の値の3種類のゾーンにて係数を異にしている。なお、表3においてrは相関係数であり、JIS法CSFの値から換算式によって求めた変法CSFの値が実際の値と一致していることを示している。
【0041】
変法CSFではパルプ量をJIS法CSFの1/10である0.3gとすることによって、パルプの絶対量の減少と共に、試料液の濃度が低下することとなり、ロ水の流入量が増加し流入速度も大きくなる。そのため、JIS法CSFに比較してCSFの値が高くなるのである。例えばJIS法CSFの値で0mlまで叩解したパルプではJIS法CSFの測定方法である3gで測定すると、試料液の粘度が高くなり、80メッシュの網35の上に小量で緻密なマット状の繊維が形成されて、ロ水の流出が止まってしまうため、それ以上に叩解を進めたパルプのCSFの測定を行うことができなくなる。これに対し、変法CSFの0.3gでは試料液の粘度が低く、80メッシュの網35の上にマット状の繊維が形成される前に一定量のロ水がロ水筒31から漏斗36に流入するため、側管38からあふれ出たロ水の量を測定することができ、JIS法CSFで0ml以下に更に叩解を進めたパルプのCSFの値を変法CSFとして測定できるのである。
【0042】
そこで、フィブリルを発生させて本発明における繊維径が1μm以下の微細なセルロースとするためには、JIS法CSFの値で200ml以下に、或は変法CSFの値で700ml以下まで高度に叩解を行う必要があり、更に求める高気密度に応じて変法CSFの値で700ml〜0mlまでの叩解を行う。
【0043】
また、叩解することなく、繊維径が1μm以下の微細なセルロースとしてセルロース繊維を高圧下剪断力で解繊したマイクロフィブリル化セルロース(MFC)を使用することもできる。MFCとしては商品名:ダイセル化学株式会社製のセリッシュKY−110Sが市販されている。更に、現在工業的に使用はされていないが、バクテリアセルロースを使用することもできる。バクテリアセルロースとはバクテリアが生産するセルロースのことで、繊維径が数nm(ナノメーター)〜数十nmである。
【0044】
これら所定の叩解を行った繊維径が1μm以下の微細なセルロース或はマイクロフィブリル化セルロース等からなる原料を水に分散させて、抄紙機上で抄紙を行うことにより、湿紙を製造する。抄紙機としては、繊維径が1μm以下の微細なセルロースであるため長網抄紙機を用いる。なお、製造した多孔質高気密度紙の強度向上のため叩解の浅い原料を用い円網抄紙機で抄紙したものを抄き合せる長網円網コンビネーションマシンで抄紙することも有効であるが、少なくとも1層は高度に叩解した原料を長網抄紙機で抄紙した湿紙が含まれていることが必要である。
【0045】
更に、湿紙を製造する手段として抄紙機を使用することなく、平板上に原料としてのセルロース繊維の水系ドープ液をドクターブレード等でキャスティングして湿紙としての膜を形成することもできる。本発明における湿紙はキャスティング製膜による湿膜を含むものである。
【0046】
このようにして製造した湿紙中には、変法CSFの値で700ml〜0mlに叩解した繊維径が1μm以下のフィブリル化した微細なセルロースを原料としていても、水の存在するセルロース繊維間の空隙構造を有している。本発明はこの湿紙中の空隙構造を保持したまま乾燥させるものである。そのために、湿紙中の空隙構造に保持された水を表面張力の小さい他の溶媒で置換して乾燥させる。この溶媒置換乾燥に用いる溶媒としては水と相溶性があり、表面張力の小さいものが適している。一般にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類やアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが適している。また、置換は浸漬・プレス脱液あるいは噴霧・脱液等の方法で行う。目的とする気密度により、置換操作は1回もしくは複数回行う。溶媒置換は抄紙機上で行ってもよいし、湿紙のまま巻き取り別途行ってもよい。なお、製造された湿紙は溶媒置換の前に予め、プレスロールにより余分な水分を脱水しておくとよい。
【0047】
この溶媒置換に際して留意すべきことは乾燥前の、即ち乾燥により繊維間に水素結合が形成する前に溶媒置換により水を取り除くことである。特に叩解を高度に進めた原料を使って抄紙し、フィルム状の外観を呈するような密度が0.75g/cm3以上の高密度のセパレータは一度乾紙になるとセルロース間の水素結合は強固であり、水に浸漬しても膨潤はするが、抄紙機上の湿紙の状態まで戻すことは困難である。乾紙を水に浸漬し、その後溶媒置換乾燥したものは未乾燥の湿紙、即ち抄紙機上で溶媒置換、あるいは湿紙のまま巻き取り別の装置で溶媒置換して乾燥したものに比べESRが悪い。そのため、抄紙機から湿紙のまま巻き取り別途に溶媒置換を行う場合には特に乾燥により繊維間に水素結合が形成しない十分な水分を含んでおく必要がある。
【0048】
上記した溶媒置換乾燥に代えて、凍結乾燥を採用することもできる。この凍結乾燥は湿紙を凍結させた後に、減圧下の条件で凍結した水分を昇華させて乾燥させる方法である。なお、本発明において凍結後、減圧下で凍結した氷を昇華させるのは、凍結した水分が再度融け、水の状態になった後に乾燥したのでは水の影響によるセルロース繊維相互の水素結合を防止することができず湿紙の空隙構造を維持できないためである。
【0049】
溶媒置換された湿紙中、或は凍結乾燥した湿紙中に残っている溶媒及び水は乾燥することにより取り除く。乾燥は従来のドラム式ドライヤーでもよいし、送風や赤外線などを用いることもできる。
【0050】
更に本発明では湿紙を製造するのに水を当初から使用せずに、繊維径が1μm以下の微細なセルロースを水より表面張力の小さい有機溶剤に分散させて、抄紙又はキャスティング製により湿紙を製造し、該湿紙中の有機溶剤を揮発・乾燥させることにより、湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾燥させるようにしてもよい。
【0051】
また、本発明にかかる多孔質高気密度のセパレータにはセルロース繊維にホウ酸アルミニウム又はチタン酸カリウム等の無機フィラーを添加することもできる。これは無機フィラーとセルロースはもともと水が介在しても水素結合を形成せず、湿紙中の空隙が大きいため、電気特性を改善することができるためである。
【0052】
以上説明した原料、湿紙製造方法、乾燥方法、セパレータの厚さ、密度等の組合わせにより気密度をコントロールして多孔質高気密度のセパレータを製造することができる。得られた多孔質高気密度のセパレータは湿紙の状態のときの空隙構造をそのまま維持しているため、微細な貫通孔を有しており、原料となるセルロース繊維の叩解の程度等に応じて高気密度を有する。また、原料としてのセルロース繊維の叩解の程度をJIS法CSFで200ml以下、変法CSFの値で700〜0mlとしても、叩解の程度に応じて微細な貫通孔を維持しており、気密度が無限大となることはない。即ち、従来製造できなかった厚さが100μm以下の紙で、1000秒/100ccの気密度を有する多孔質高気密度のセパレータを得ることができた。
【0053】
次に本発明にかかる多孔質高気密度のセパレータの製造方法について説明する。先ず、原料となるセルロース繊維をビーターあるいはダブルディスクリファイナー等の製紙用叩解機で所定のJIS法CSF又は変法CSFの値まで叩解し、これを原料紙料2として図4に示すように長網インレット1に収納し、長網インレット1の下部で回転する長網ワイヤー3の表面に供給して、長網ワイヤー3の表面に連続した湿紙4を形成する。形成された湿紙4はウェットフェルト5に移送されて搬送され、プレスロール6にて過剰の水分が取り除かれる。その後所定の溶媒8を収納した第1の溶媒バット7に湿紙4を浸漬して、湿紙4中の水分と溶媒8を置換し、その後プレスロール9により余分な溶媒8を取り除いて、再び溶媒8が収納された第2の溶媒バット10に湿紙4を浸漬して、湿紙4中に残存する水分と溶媒8を置換する。その後プレスロール11により余分な溶媒8を取り除くと共に、ドライフェルト12に移送されて搬送され、蒸気あるいは熱媒体によって加熱された円筒形状のドライヤー13の外表面に接触させて乾燥させて、巻取ロールに巻き取られて多孔質高気密度のセパレータ14が製造される。この乾燥工程において、セルロース繊維を水素結合させて空隙構造を癒してしまう水分が存在せず、溶媒に置換されているため、乾燥後にも湿紙の空隙構造がそのまま維持された多孔質で高気密度のセパレータを製造することができる。この図4の例は長網抄紙機で抄紙後に抄紙機上で溶媒置換し、乾燥させて巻き取る例である。
【0054】
図5は湿紙4を溶媒に浸漬することに代えて、湿紙4上に溶媒8を噴霧することによって、湿紙4中の水分と溶媒を置換するものである。前記図4と同一構成の部分については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図5は図4と同様の長網抄紙機で抄紙された湿紙4を乾燥することなく巻き取り(ウエットワインディング)、長網抄紙機とは別の装置で溶媒置換する例を示している。即ち、ロール状に巻き取られた湿紙4はウェットフェルト5に移送されて搬送され、プレスロール6で過剰な水分が取り除かれ、その後湿紙4上に溶媒8が第1の溶媒噴霧器16により噴霧されて、湿紙4中の水分と溶媒8が置換される。噴霧された溶媒8は吸引脱液装置17によって吸引脱液されると共に、湿紙4から過剰な溶媒がプレスロール9にて取り除かれ、再び溶媒8が第2の溶媒噴霧器液18により噴霧され、湿紙4中に残存する水分と溶媒8が置換される。噴霧された溶媒8は吸引脱液装置19によって吸引脱液されると共に、その後湿紙4から過剰な溶媒がプレスロール11にて取り除かれる。以後は図4の例と同様である。このように溶媒置換は抄紙機上で行ってもよいし、又別途行ってもよい。なお、図4における浸漬による溶媒置換、及び図5における噴霧による溶媒置換は2回行ったが、その回数は溶媒の種類や、原料、製造された湿紙等に必要に応じて選択するものである。
【0055】
次に図6は溶媒置換に代えて、凍結乾燥によって湿紙中の空隙構造を保持したまま乾燥する例を示すものである。先ず湿紙4を冷凍庫21内にて−70℃の温度で凍結させて凍結湿紙4aとする。次に凍結湿紙4aを凍結乾燥器22内に収納し、凍結乾燥器22内の空気を脱気して減圧する。減圧によって凍結湿紙4a中の凍結した水分が昇華して脱水されて、多孔質高気密度のセパレータ14aが製造される。尚、昇華を促進するために凍結乾燥器22内に昇温棚23を設置して、該昇温棚23に凍結湿紙4aを載置することが好ましい。なお、この際、凍結した氷が水に戻ることなく、氷から昇華することで乾燥することが肝要である。
【0056】
従来の抄紙法では本発明に規定するほど叩解した原料を抄紙し乾燥する場合、多筒式のドライヤーが必要であるが、本発明のように湿紙中の水分を溶媒置換したものを乾燥する場合は、単筒式のドライヤーで十分である。これは従来の抄紙法では乾燥時の水分が蒸発する際、メニスカスの後退と同時に繊維を引きつけ合い、これがヒジワ(乾燥ジワ)となるため多筒式ドライヤーにより徐々に乾燥する必要があるからである。本発明の場合、乾燥時には、ヒジワ(乾燥ジワ)の原因となる水分がないため、又使用した溶媒が容易に飛散するため単筒式のドライヤーにより乾燥を行うことができる。更に、ドライヤーも従来のドラム式ドライヤーに限定することなく、赤外線ドライヤーや送風ドライヤーなど各種の乾燥方法が利用できる。
【0057】
このようにして得られるセパレータの厚さは15〜100μmの範囲が好ましい。15μm未満では機械的強度が低下して取扱が難しく、内部短絡の危険があり、100μmを超えると小型化ができず、厚くなる分電気抵抗も上昇するためである。また、コイン型電池ではセパレータにある程度の厚さがないとプレス成型時にショートする確率が高くなるため、コイン型電池では100μm迄の厚さが要求されている。一方、密度については特に制限はないが、実用的には密度0.3〜0.6g/cm3が好ましい。0.3g/cm3未満では引張強度が極端に低下し、非水系電池用のセパレータとして実用性に欠ける。また、本発明によるセパレータは空隙構造が保持されるため実質的に密度0.6g/cm3を超えることがない。なお、実用上セパレータの厚さが制限される場合にはキャレンダー加工を行うことによって厚さを薄くし、密度を0.6〜0.8g/cm3にすることも好ましい。
【0058】
かかるセパレータを組み込む非水系電池の電解液としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピロニトリル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル等のいずれか1種または2種以上を混合したものを溶解させて使用している。
【0059】
本発明の非水系電池に用いられる電解液の電解質としてはLiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi等のリチウム塩のいずれか1種または2種以上を混合したものを使用する。
【0060】
本発明の非水系電池の正極活物質としてはTiS2、MoS2、NbSe等の金属カルコゲン化合物、V2O5、MnO2、Nb2O5等の金属酸化物、LiCoO2、LiNiO2、LixMnO4等のリチウム含有複合金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール等の高分子重合体、フッ化カーボンのいずれか1種を用いる。特に、リチウムイオンを脱ドープし、かつ、ドープし得る正極活物質で、一般式LixMyNzO2(Mは遷移金属の少なくとも1種を表し、Nは非遷移金属の少なくとも1種を表す。Mは特に限定されないが、Co、Ni、Fe、Mn、V、Mo等が挙げられ、同じくNも特に限定されないがAl、In、Snが挙げられ)で示されるリチウム含有複合金属酸化物が好ましい。その具体例としてはLiイオンを含有した放電状態での化学式で示すと、
リチウムコバルト酸化物→例えばLixCoyNzO2(NはAl、In、Snの中から選ばれた少なくとも1種の金属、0<x≦1.1、0.5<y≦1、z≦0.1、LixCoO2(0<x≦1)、LixCoyNizO2(0<x≦1、y+z=1)
リチウムニッケル酸化物→例えばLixNiO2(0<x≦1)
リチウムマンガン酸化物→例えばLixMnO2、LixMn2O4(0<x≦1)、LiCoxMn2−xO4(0<x≦0.5)
リチウムクロム酸化物→例えばLixCr3O8(0<x≦1)、LiCrO2
リチウムバナジウム酸化物→例えばLixV2O5(0<x≦1)、LixV6O13、Li1+xV3O8
リチウムモリブデン酸化物→例えばLixMoO2
リチウムモリブデン二硫化物→例えばLixMoS2
リチウムチタン酸化物→例えばLixTi2O4
リチウムチタン硫化物→例えばLixTi2S2
リチウム鉄酸化物→例えばLixFeO2(0<x≦1)、LixFeyNzO2(NはC,Ni,Ti,Mnの中から選ばれた少なくとも1種の金属、0<x≦1、0.8≦y≦0.99、0.01≦z≦0.2)
等が挙げられる。そして、特に好ましくはリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウム鉄酸化物である。
【0061】
本発明の非水系電池の負極活物質としては、Li金属及びLiAl等のリチウム合金、炭素質材料、ポリアセン,ポリ−P−フェニレン等の導電性高分子材料、LixFe2O2、LixWO2等の金属酸化物のいずれか1種が用いられる。特に、リチウムイオンをドープし、かつ、脱ドープし得る負極活物質で、グラファイト、熱分解炭素、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス、有機高分子の焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリロニトリル等の焼成体)等の炭素質材料が好ましい。
【0062】
【実施例】
そこで、本発明にかかる多孔質高気密度のセパレータ及び該セパレータを正極と負極の間に介在させて巻取り電池素子を製作した後、電解液を含浸させ、封口を施して製作した非水系電池の具体的な各種実施例と、比較のために製造した従来品の比較例を示す。非水系電池の作成方法及び各実施例と比較例の各測定値の測定方法は次の通りである。なお、JIS法CSF及び変法CSFの測定法は前記した通りである。
【0063】
(1)正極の製作方法
Li1.03Co0.92Sn0.02O2の組成を有するLi・Co複合酸化物100重量%とグラファイト2.5重量%、アセチレンブラック2.5重量%を混合した後、フッ素ゴム2重量%を酢酸エチル/エチルセロソルブの1:1(重量比)混合溶剤60重量%に溶解させた液を混合し、スラリー状塗工液を得た。そして、この塗工液を幅600mm、厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、ドクターブレードコーターヘッドを有する塗工機を用いて片面当り270g/m2(乾燥時)の塗布量で塗布し、その塗工厚を215μmとする。この塗工品をカレンダーロールにてプレス後、スリッターを用い39mm幅にスリットし、非水系電池の正極とした。
【0064】
(2)負極の製作方法
ニードルコークス粉砕品100重量%とフッ素ゴム5重量%を、酢酸エチル/エチルセロソルブの1:1(重量比)混合溶剤90重量%に溶解させた液を混合し、スラリー状塗工液を得た。そして、この塗工液を幅600mm、厚さ10μmの銅箔の片面に、ドクターブレードコーターヘッドを有する塗工機を用いて138g/m2(乾燥時)の塗布量で塗布し、その塗工厚を300μmとする。この塗工品をカレンダーロールにてプレス後、スリッターを用い40mm幅にスリットし、非水系電池の負極とした。
【0065】
(3)非水系電池の製作
セパレータの両面に上記正極と負極とを重ね、捲回機を用いて外径14.9mmのコイル状に捲回する。この捲回コイルを外径16mmの電池缶に入れ、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/γ−ブチロラクトンの1:1:2(重量比)の混合溶剤にLiBF4を1M濃度に溶かしたものを電解液として含浸させた後封口し、高さ50mmの非水系電池を得た。
【0066】
(4)セパレータの厚さ、密度、引張強度
厚さ、密度及び引張強度は旧JIS C2301(電解コンデンサ紙)に規定された方法で測定した。
【0067】
(5)セパレータの気密度
気密度に関してはJIS C2111(電気絶縁紙試験方法)に規定する“12.1 気密度”の項に従い、B型試験器(ガーレーデンソメータ)によって測定した。但し穴の部分の直径が6mmであるアダプターを使用した。
【0068】
(6)セパレータのESR
セパレータのESRは電解液を含浸した後、38mmφの電極に挟み20℃、1kHzの周波数でLCRメーターによって測定した。
【0069】
(7)非水系電池の電池容量
電池容量は20℃にて0.5Aで放電したときの値を測定した。
【0070】
(8)非水系電池のショート不良率
ショート不良率は、非水系電池組み立て初期におけるセパレータの絶縁不良の比率を絶縁不良個数/測定総数で表した。また、耐熱性を評価するために、加熱時のショート不良率として、200℃のオーブン中に非水系電池を10分間放置した後のセパレータの絶縁不良の比率を絶縁不良個数/測定総数で表した。
【0071】
[実施例1〜7]
実施例1〜5はマニラ麻パルプをダブルディスクリファイナーを用いて変法CSFの値で700ml〜50mlまで叩解の程度を段階的に変化させた原料を水に分散させて、長網抄紙機により湿紙を製造し、該湿紙に図5に示すようにアセトンを噴霧して湿紙中の水分とアセトンとを置換する作業を2度繰り返した後に、ドライヤーでアセトン及び残渣としての水を乾燥させて、実施例1〜5の多孔質高気密度のセパレータを得た。実施例6は実施例5と同一の原料で同様に製造した湿紙を、実施例1〜5の溶媒置換乾燥に代えて、図6に示す凍結乾燥法によって湿紙を凍結させた後に、減圧下の条件で凍結した水分を昇華させて乾燥させ、残った水をドライヤーで乾燥させたものである。実施例7は実施例5と同一の原料の調成を行った後、無機フィラーであるホウ酸アルミニウムを10重量%添加して同一の製造方法により得たセパレータである。この実施例1〜7の厚さ、密度、気密度、ESR等を表1に示す。また、実施例1〜5の叩解の程度と気密度との関係をグラフ化したものを図3に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1に示すように、実施例1〜5は厚さ50μm前後、密度0.500g/cm3前後であって、叩解が進むにつれ、得られるセパレータが緻密となって1000秒/100ccの高気密度を実現している。しかし、叩解が高度に進んでも気密度は実際上測定できないほど大きくなることはない。実施例1は変法CSFの値で700ml(JIS法CSFで200ml)まで叩解した原料を使用したものであって、その気密度は1100秒/100ccであり、外観は不透明感があった。これは湿紙中に存在した空隙構造がそのまま紙層内に残存しているため、光を乱反射するためである。変法CSFの値700ml(JIS法CSFで200ml)まで叩解を進めると基のセルロースの繊維の形状が破壊されて、外部フィブリル化が進み、直径0.4μm程度のフィブリルの占有率が高くなっているものであり、1000秒/100cc以上の気密度を実現するためには、基のセルロース繊維の形状が無くなるまで、即ち変法CSFの値700ml(JIS法CSFで200ml)まで叩解する必要があることが判る。
【0074】
また、実施例5は変法CSFの値で50ml(JIS法CSFでは測定不可)まで叩解しており、気密度は7000秒/100ccである。よって、従来気密度が測定不可能な無限大となるJIS法CSFの値で200ml以下まで叩解を進めても、イオンが通る経路としての貫通孔が存在していることが判る。このように本発明によれば、叩解の程度を進めても多孔質を維持することができて、気密度が無限大となることがないため、1000秒/100cc以上の気密度をコントロールすることができる。更に高気密度のセパレータが要求されれば原料叩解を進めたり、厚さを厚くしたり、密度を高くしたりすることでイオンが通る経路としての貫通孔を維持して気密度を上げたセパレータを容易に製造することが可能である。なお、叩解が進むにつれセパレータに不透明感が強く表れてくる。これは叩解が進むにつれ繊維間の空隙が小さくなり光の散乱が多くなり不透明感が強くなるからと考えられる。
【0075】
図3は実施例1〜5の叩解の程度と気密度との関係をグラフ化したものであり、横軸が叩解の程度を、左軸が変法CSFの値を、右軸が気密度を示している。例えば、変法CSFの値のグラフにおいて、実施例1は左軸に示すように変法CSFの値が700mlであり、気密度を示すグラフにおいて実施例1は右軸に示すように1100秒/100ccである。図に示すように、叩解が進むにつれ変法CSFの値が下がっている。一方、気密度は叩解が進むにつれ高くなることが判る。
【0076】
一方、ESRは表1に示すように叩解が進むに連れて低下している。例えば、変法CSFの値で700mlまで叩解した原料を使用した実施例1のESRが2.369Ω/1kHzであるのに対し、変法CSFの値で50mlまで叩解した原料を使用した実施例5のESRは0.588Ω/1kHzと大きく低下している。これは従来のセパレータとは全く逆の結果であり、叩解を進めることにより、ESRを改善できることは画期的な効果である。従来のセパレータでは叩解を進める連れて気密度が上がるが、ESRの値も高くなって悪化してしまう。しかし、本発明によればその関係が逆転し、高気密度で、同時にESRを改善することのできるセパレータを製造することができるのである。これは叩解を進めるに連れて、基のセルロースの繊維の形状が破壊されて、外部フィブリル化が進み、直径0.4μm程度のフィブリルの占有率が高くなって、繊維径が小さくなって行き、得られるセパレータの緻密性が高まり地合が均一となるとともに、イオンが通る経路としての微細な貫通孔を維持した多孔質であるためである。即ち、本発明は繊維径が小さいく繊維がそれぞれ独立してセパレータを構成していることと、多孔質であるとの相乗効果によってESRを改善することができるのである。
【0077】
実施例6は溶媒置換乾燥に代えて凍結乾燥を行った例であるが、この実施例6も外観は不透明感があって、光を乱反射しており、紙層内に多数の空隙を有していることが判る。この実施例6は同一原料を使用した実施例5に対して、気密度が17600秒/100ccと略2.5倍向上しているが、ESRの方は2.164Ω/1kHzと略4倍悪化している。これは通常乾燥に比べると湿紙状態の空隙が保持されているものの、乾燥時に水が存在することから繊維同志の引き付けが起ったものと考えられる。しかしながら、実施例1と同程度のESRの値で、実施例1の略17倍の高い気密度を実現している。更に高気密度のセパレータが要求されれば原料叩解を進めたり、厚さを厚くしたり、密度を高くしたりすることにより容易に製造することができる。
【0078】
実施例7は実施例5と同様に色目も白く、不透明感がある。これも実施例5と同様紙層内に空隙が存在し、光を乱反射するためである。気密度は6000秒/100ccと緻密ではあるが、実施例5には及ばない。これは無機フィラーを混抄したため、湿紙状態での無機フィラーとパルプ繊維の引き付けが弱かったためと考えられる。しかし、無機フィラーを混抄した分だけESRが実施例5の0.588Ω/1kHzから更に0.548Ω/1kHzと改善されている。
【0079】
次に非水系電池を製作した結果について実施例及び比較例に基づいて説明する。
【0080】
[実施例8]
実施例8は木材パルプ(NUKP:針葉樹未晒クラフトパルプ)をダブルディスクリファイナーを用いて変法CSFの値で300mlまで叩解したものを水に分散させて、長網抄紙機により湿紙を抄紙し、プレスロールにて過剰な水分を取り除いた後にロール状に巻き取った。このロール状の湿紙を繰り出して図4に示すように、エチルアルコールに浸漬して湿紙中の水分とエチルアルコールとを置換する作業を2度繰り返した後に、ドライヤーでエチルアルコール及び残渣としての水を乾燥させて、厚さ24.1μm、密度0.414g/cm3の一重紙のセパレータを得た。この実施例8のセパレータを使用して前記した内容の非水系電池を製作した。
【0081】
[比較例1,2]
比較例1,2は実施例8と同様の木材パルプ(NUKP:針葉樹未晒クラフトパルプ)を原料として、比較例1は変法CSFの値で800mlとほとんど叩解しない状態で抄紙し、又比較例2は実施例8と同様に変法CSFの値で300mlまで叩解した状態で抄紙し、共に湿紙中の水分をエチルアルコールで溶媒置換することなく、通常の抄紙法におけるドライヤーで乾燥させたものである。比較例1は実施例8と略同一の厚さ23.8μm、密度0.422g/cm3となり、比較例2は厚さ14.0μm、密度0.715g/cm3となった。この比較例1,2のセパレータを使用して実施例8と同様の非水系電池を製作した。これら実施例8及び比較例1,2のセパレータの厚さ、密度、気密度等及び得られた非水系電池のショート不良率と電池容量等を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
実施例8は原料セルロースとして未晒しクラフトパルプを使用しているため、本来ならば茶色の外観を呈するはずであるが、実際の外観は色目も白く、不透明感があった。このように白く不透明感があるのは溶媒置換乾燥を行っているために、湿紙中に存在した空隙構造がそのまま紙層内に残存しているため、光を乱反射するためである。実施例8の気密度は5000秒/100ccであって、極めて緻密ではあるが、空気が通り抜けることから貫通孔が存在していることが分る。よって、高い気密度であってもイオンが通る経路が確保されている。このように実施例8は従来製造できなかった1000秒/100cc以上の気密度を実現している。その結果得られた非水系電池のショート不良率は組立時において0%である。また、セルロースを原料としたセパレータを使用しているため、200℃のオーブン中に10分間放置後の加熱時のショート不良率も0%であり、少なくとも200℃以上の耐熱性を有していることが判る。しかも、厚さは24.1μmであり、密度も0.414g/cm3と変法CSFの値で300mlまで叩解しているにもかかわらず、比較例2より格段に低密度となっている。比較例2は溶媒置換を行っていないため、実施例8と同じ湿紙から製造したにもかかわらず、厚さが14.0μmであって、実施例1より薄くなり、密度も0.715g/cm3と高くなって、色は茶色でフィルム状になっている。また、貫通孔が存在せず気密度も無限大となって測定することができない。その結果ショート不良率は組立時及び加熱時の双方ともに0%であるが、後述するように充放電ができず、電池にならない。実施例8と比較例2は原料調成が同じ原料であるが、抄紙された紙の厚さ、密度には大きな差がある。これは溶媒置換を行わなかった比較例2が乾燥の際、表面張力の大きい水が蒸発し繊維同志をひき付け合い、繊維間に強固な結合ができたのに対し、溶媒置換した実施例8は水の蒸発に伴う繊維間のひき付け合いが弱く、密度の低い紙となったためである。よって、実施例8によれば、叩解の程度を進めた原料を使用しても貫通孔を有する多孔質で低密度であるとともに、緻密性を有して高気密度のセパレータを得ることができている。
【0084】
そこで、実施例8と略同じ厚さと密度である比較例1を実施例8を比較すると、比較例1の気密度は1秒/100mlであって、貫通孔は存在するが、緻密性がないことが判る。よって、目的とする気密度を達成することができない。これは表面張力の大きい水が乾燥時に蒸発することにより、繊維間を引合うが、原料叩解が浅いため繊維径が大きく、繊維同志の密着度が低いためである。その結果ショート不良率は組立時が70%(20個中14個)、加熱時が50%(6個中3個)となっている。
【0085】
次に得られた非水系電池の電池容量を比較すると実施例8は5000秒/100ccの高い気密度を有し、同時に415mAh/0.5A放電の電池容量を有しており、気密度1秒/100ccの比較例1より良い値を示している。このように本発明によれば非常に高い気密度であっても、多孔質であるためイオンが通る経路としての貫通孔を確保することができること、及び原料繊維の繊維径が小さいためESRが良好で、ショート不良率と電池容量を極めて高い次元で満足させる非水系電池を提供することができるのである。比較例2は溶媒置換を行っていないため、実施例8と同じ湿紙から製造したにもかかわらず、気密度が測定不可能な無限大であって、貫通孔が存在しないため、充放電不能であり、電池として使用することができない。
【0086】
[実施例9]
実施例9は未晒マニラ麻パルプをダブルディスクリファイナーを用いて変法CSFの値で200mlまで高度に叩解したものを水に分散させて長網抄紙機により湿紙を製造し、湿紙の状態でロール状に巻き取った。このロール状の湿紙を繰り出して図4に示すように、エチルアルコールに浸漬して湿紙中の水分とエチルアルコールとを置換する作業を2度繰り返した後に、ドライヤーでエチルアルコール及び残渣としての水を乾燥させて、厚さ26.0μm、密度0.380g/cm3のセパレータを得た。この実施例9のセパレータを使用して前記した非水系電池を製作した。
【0087】
[比較例3]
比較例3は実施例9と同様の未晒マニラ麻パルプを変法CSFの値で780mlと殆ど叩解せずに水に分散させて円網抄紙機により湿紙を製造し、該湿紙中の水分をエチルアルコールで溶媒置換することなく、通常の抄紙法におけるドライヤーで乾燥させて、実施例9と略同一の厚さ25.4μm、密度0.396g/cm3のセパレータを得た。この比較例3のセパレータを使用して前記した非水系電池を製作した。
【0088】
[比較例4,5]
比較例4は非水系電池に従来使用されているポリエチレン多孔質フィルムを、又比較例5はポリプロピレン多孔質フィルムをセパレータとして、前記した非水系電池を製作したものである。これら実施例9及び比較例3,4,5のセパレータの厚さ、密度、気密度等及び得られた非水系電池のショート不良率と電池容量等を表3に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
実施例9は3500秒/100ccの高気密度を実現しているが、空気が通り抜けることから貫通孔が存在していることが分る。よって、高い気密度であってもイオンが通る経路が確保されている。よって、ショート不良率は組立時及び加熱時の双方において0%であると共に、電池容量も410mAh/0.5A放電と良好な数値を実現している。一方、比較例3は実施例9と略同一厚さ、同一密度であるが、叩解の浅い原料を使用しているため、気密度が1秒/100ccであって、ショート不良率が組立時において75%(20個中15個)であり、加熱時において60%(5個中3個)と高くなっている。比較例3の加熱時のショート不良率に示すようにセルロースを原料としても、気密度が低ければ200℃以上の耐熱性を実現できないのである。更に、比較例4,5は従来使用されているポリエチレン多孔質フィルムとポリプロピレン多孔質フィルムをセパレータとして使用した非水系電池である。比較例4,5の気密度は8300秒/100ccと9000秒/100ccと高く、電池容量も大きい。しかしながら、ポリエチレン多孔質フィルムの耐熱温度は高くても120℃であり、ポリプロピレン多孔質フィルムの耐熱温度は160℃であるため、200℃の加熱時には溶融流出してしまい、全数ショートを発生し(20個中の20個)、耐熱性が劣ることが判る。これに対し、実施例9はセルロースを原料とする多孔質で高気密殿セパレータを使用しているため、組立時と共に、200℃の加熱時においてもショート不良率は0%であり、従来のポリエチレン多孔質フィルム等より高い耐熱性を有し、又電池容量も同等の値を示している。
【0091】
【発明の効果】
以上詳細に説明した如く、本発明によれば湿紙の状態においてセルロース繊維間の空隙構造に保持された水を溶媒置換又は凍結乾燥によって乾燥し、或はセルロース繊維を有機溶媒に分散させて抄紙することにより湿紙を製造し、湿紙中の有機溶媒を揮発させることにより乾燥させるため、従来の抄紙法のように湿紙からの乾燥工程で水が蒸発するときに隣同志の繊維を強力に引き付けて水素結合により密着することがない。そのため、繊維径が1μm以下の微細なセルロース繊維を原料として、高気密度であって多孔質のセパレータを、厚さを厚くすることなく得ることができる。具体的には厚さが15〜100μm、気密度が1000秒/100cc以上の多孔質高気密度のセパレータを得ることができる。即ち、本発明にかかる多孔質高気密度のセパレータは叩解の程度を進めた原料を使用しても、貫通孔が存在するため、低密度であるとともに、緻密性を有して気密度が高いものである。外観的にも白色で不透明感があり、このことは紙中に多くの空隙を有していることを示している。
【0092】
そのため、ショート不良率を改善するために高い気密度を有し、かつ、ESRを改善するためにイオンが通る経路としての貫通孔を維持した多孔質のセパレータを得ることができる。また、電解液を含浸させたときに、イオンの通過に対する抵抗も小さい。この結果、近年飛躍的に普及してきてするリチウムイオン2次電池等の非水系電池の信頼性向上、普及促進、ポリオレフィン系樹脂から製造された多孔質フィルムが耐熱性の不足により使用できなかった分野への利用の拡大を図ることができる。即ち、セルロースを原料とすることにより230℃の耐熱性を実現することができ、例えばリチウムイオン電池においてリチウム金属の発火温度である190℃以上の耐熱性を実現することができる。また、セルロースは再生産可能な天然資源であるため、有限な石油資源の利用から再生産可能な天然資源への利用への転換が図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における変法CSFとJIS法CSFとの関係を示すグラフ。
【図2】本発明における変法CSFとJIS法CSFとの関係を示すグラフ。
【図3】変法CSFの値と気密度との関係を示すグラフ。
【図4】本発明にかかるセパレータの溶媒置換による製造方法の一例を示す説明図。
【図5】本発明にかかるセパレータの溶媒置換による製造方法の他例を示す説明図。
【図6】本発明にかかるセパレータの凍結乾燥による製造方法を示す説明図。
【図7】叩解度の測定装置のロ水筒を示す説明図(A)、漏斗を示す説明図(B)、架台を示す説明図(C)。
【符号の説明】
1…長網インレット
2…原料紙料
3…長網ワイヤー
4…湿紙
4a…凍結湿紙
5…ウェットフェルト
6,9,11…プレスロール
7…第1の溶媒バット
8…溶媒
10…第2の溶媒バット
12…ドライフェルト
13…ドライヤー
14,14a…多孔質高気密度紙
16…第1の溶媒噴霧器
17…第1の吸引脱液装置
18…第2の溶媒噴霧器
19…第2の吸引脱液装置
21…冷凍庫
22…凍結乾燥器
23…昇温棚
Claims (14)
- 正極活物質と負極活物質とをセパレータによって電子的に隔離してなる非水系電池において、前記セパレータは、繊維径が1μm以下の微細なセルロースを原料として湿紙を製造し、該湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾燥させ、厚さ15〜100μmとしたことを特徴とする非水系電池。
- 正極活物質と負極活物質とをセパレータによって電子的に隔離してなる非水系電池において、前記セパレータは、繊維径が1μm以下の微細なセルロースを原料として湿紙を製造し、該湿紙に存在する空隙構造を保持したまま乾燥させ、厚さ15〜100μmとして微細な貫通孔を有することを特徴とする非水系電池。
- 原料を水に分散させて抄紙することにより湿紙を製造する請求項1又は2記載の非水系電池。
- 原料を水より表面張力の小さい有機溶媒に分散させて抄紙することにより湿紙を製造する請求項1又は2記載の非水系電池。
- 湿紙中の水分を水と相溶性のある表面張力の小さい溶媒と置換することにより、湿紙の状態において空隙構造に存在する水を空隙を癒すことなく乾燥させる請求項1,2又は3記載の非水系電池。
- 湿紙中の水分を凍結乾燥させることにより、湿紙に存在する空隙構造を癒すことなく乾燥させる請求項1,2又は3記載の非水系電池。
- 湿紙中の有機溶媒を揮発させることにより、湿紙の状態において空隙構造に存在する水を空隙を癒すことなく乾燥させる請求項4記載の非水系電池。
- 抄紙に代えて、原料をキャスティング製膜することにより湿紙を製造する請求項3,4,5,6又は7記載の非水系電池。
- 微細なセルロースとしてセルロース繊維をJIS法CSFの値で200ml以下に叩解したセルロースを使用する請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の非水系電池(但し、JIS法CSFの値はJIS P8121の規定により測定した値とする)。
- 微細なセルロースとしてセルロース繊維を変法CSFの値で700ml以下に叩解したセルロースを使用する請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の非水系電池(但し、変法CSFの値はJIS P8121に規定する測定法において、試料3gを試料0.3gとして測定した値とする)。
- 微細なセルロースとしてセルロース繊維を高圧下剪断力で解繊したマイクロフィブリル化セルロースを使用する請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の非水系電池。
- 湿紙に無機フィラーを混抄する請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載の非水系電池。
- 無機フィラーとしてホウ酸アルミニウム又はチタン酸カリウムを使用する請求項12記載の非水系電池。
- 得られたセパレータは、気密度が1000秒/100cc以上である請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12又は13記載の非水系電池。
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