JP2014051767A - 蓄電素子用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

蓄電素子用セパレータ及びその製造方法 Download PDF

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大次 池田
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Abstract

【課題】薄肉であっても、地合いに優れ、透気性と機械的強度とを両立できる蓄電素子用セパレータを提供する。
【解決手段】平均繊維径1μm以下の微小セルロース繊維と再生セルロース繊維とを、前者/後者=99.9/0.1〜90/10の重量比で組み合わせた不織布で蓄電素子用セパレータを形成する。前記微小セルロース繊維の平均繊維径と前記再生セルロース繊維の平均繊維径との比は、前者/後者=1/1.5〜1/10程度である。前記再生セルロース繊維は、フィブリル化繊維(特に、平均繊維径2μm以下の溶剤紡糸セルロース繊維)であってもよい。前記微小セルロース繊維は、植物由来であり、かつ微小セルロース繊維の平均繊維径が100〜500nmであり、平均繊維径に対する平均繊維長の比が500以上であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、微小セルロース繊維を含み、かつ透気性が改良された蓄電素子用セパレータ及びその製造方法に関する。
従来から、セルロース繊維は、耐熱性及び電解液の濡れ性に優れるため、電池、コンデンサ、キャパシタなどの蓄電素子のセパレータとしての利用も活発化している。さらに、近年では、電気・電子機器の小型化などにより、薄肉化が要求され、ナノメータサイズの繊維径を有するセルロース繊維(セルロースナノファイバー)が使用されている。しかし、セルロースナノファイバーで形成された不織布は、緻密となり、ろ過性能などが向上する反面、透気度(特定量の空気が通過するの要する時間)が大きくなる傾向がある。特に、水中でミクロフィブリル化されたセルロースナノファイバーは、叩解により水を介して水和性の高い繊維同士が絡み合い、近接するとともに、乾燥により繊維同士が水素結合を形成して密着する。そのため、ミクロフィブリル化セルロースナノファイバーを含む水スラリーを抄紙してシート化又は乾燥すると、強く収縮し、得られる不織布はフィルム化し、透気性は小さくなる。
フィルム化を回避し、透気性を向上したセルロースナノファイバー不織布で形成されたセパレータとして、特許第3805851号公報(特許文献1)には、繊維径1μm以下の微細なセルロースを原料として抄紙により湿紙を製造し、この湿紙に存在する空隙構造を保持したまま、セルロース繊維間の空隙構造に保持された水を溶媒置換した後、乾燥させて得られるセパレータであって、厚み15〜100μmであり、低密度であるとともに、気密度が高いセパレータが開示されている。この文献には、微細なセルロースとしては、ディスクリファイナー叩解処理されたミクロフィブリル化セルロースが記載されている。
また、特許第4628764号公報(特許文献2)には、膜厚が5〜50μmであり、空孔率が60〜90%であり、バブルポイント法により得られる最大孔径が0.03〜0.25μmであり、最大繊維太さが1000nm以下であるセルロース繊維からなる蓄電デバイス用セパレータの製造方法として、微細セルロース繊維を水等の分散媒体へ高度に分散させた分散液を抄紙法や塗布法により製膜する方法や、静置培養により得られたバクテリアセルロースのゲルを乾燥させる方法において、乾燥の際に、水又は水が主体の分散媒体に対して、より疎水性の有機溶媒に置換した後に乾燥させる方法により得られるセパレータが開示されている。この文献の実施例では、超高圧ホモジナイザーを用いて、圧力175MPaで分散処理し、セルロースナノファイバーを調製している。
しかし、これらの方法で得られるセパレータは、溶媒置換を行うために工程が複雑となり、大量のエネルギーが必要である。さらに、環境に対する負荷も大きい上に、特定の透気度を有するセルロースナノファイバーの抄紙体を工業的に量産できない。また、特許文献1では、セルロース原料をディスクリファイナーやホモジナイザーでミクロフィブリル化しているため、繊維を均一にミクロフィブリル化するのが困難であり、大繊維径により孔径の大きな部分が存在し、電池セパレータとして利用すると短絡し易い。さらに、特許文献2では、ミクロフィブリル化セルロースは、100MPaを超える高圧でホモジナイズしているため、生産性が低下するだけでなく、繊維のアスペクト比も小さくなり、セパレータの強度が低下する。
一方、特許第3661104号公報(特許文献3)には、電極間に介在するセパレータに、叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を10重量%以上使用して抄造された紙で形成された非水系電池用セパレータが開示されている。この文献には、再生セルロースを通常の抄紙工程で設置された叩解機でCSF600〜0mlまで叩解することが記載されている。また、セパレータの厚みは20〜60μmであることが記載され、実施例では、25.4〜50.4μmの厚みのセパレータが作製されている。さらに、叩解された再生セルロースに配合される他の原料として、マニラ麻パルプ、サイザルパルプ、針葉樹クラフトパルプが記載され、実施例では、叩解されたマニラ麻パルプが20〜30%の割合で配合されている。
しかし、叩解された再生セルロース繊維では、繊維径が太いため、薄肉化が困難である。さらに、引張強度が低いため、製造工程で破損し易い。
特許第3805851号公報(特許請求の範囲、段落[0031][0032]]、実施例) 特許第4628764号公報(請求項1、段落[0046]、実施例) 特許第3661104号公報(特許請求の範囲、段落[0013]、実施例)
従って、本発明の目的は、薄肉であっても、地合い(繊維の質量や密度分布の面内均一性)に優れ、透気性と機械的強度とを両立できる蓄電素子用セパレータ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、セルロース系繊維で形成され、透気性が優れるにも拘わらず、環境に対する影響、取り扱い性及び生産性を向上できる蓄電素子用セパレータ及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、薄肉で耐熱性が高く、かつ電気化学的に安定な蓄電素子用セパレータ及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、蓄電素子用セパレータを、微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を特定の割合で含む不織布で形成することにより、薄肉であっても、地合いに優れ、透気性と機械的強度とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の蓄電素子用セパレータは、平均繊維径1μm以下の微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を含む不織布で形成されたセパレータであって、前記微小セルロース繊維と、前記再生セルロース繊維との割合(重量比)が、前者/後者=99.9/0.1〜90/10である。前記微小セルロース繊維の平均繊維径と前記再生セルロース繊維の平均繊維径との比は、前者/後者=1/1.5〜1/30程度である。前記再生セルロース繊維は、フィブリル化繊維であってもよく、特に、平均繊維径2μm以下の溶剤紡糸セルロース繊維であってもよい。前記微小セルロース繊維は、植物由来であり、かつ微小セルロース繊維の平均繊維径が100〜500nmであり、平均繊維径に対する平均繊維長の比が500以上であってもよい。前記微小セルロース繊維と、前記再生セルロース繊維との割合(重量比)は、前者/後者=95/5〜90/10程度である。本発明のセパレータの平均厚みは25μm以下であってもよい。本発明のセパレータは、有機溶媒を含有しないのが好ましい。前記不織布は、微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を含む水スラリーを、有機溶媒で置換することなく、湿式抄紙して得られる不織布であってもよい。前記微小セルロース繊維は、原料セルロース繊維を溶媒に分散させて分散液を調製する分散液調製工程、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーで前記分散液を100MPa以下の圧力でホモジナイズ処理するホモジナイズ工程を含む製造方法で得られてもよい。
本発明には、微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を抄紙する抄紙工程を含む前記セパレータの製造方法も含まれる。前記抄紙工程は、微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を含む水スラリーを湿式抄紙する工程であり、水スラリーの水を有機溶媒で置換する工程を含まない工程であってもよい。
本発明では、蓄電素子用セパレータが微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を特定の割合で含む不織布で形成されているため、薄肉であっても、地合いに優れ(すなわち、セパレータの強度低下や外観不良の原因となる面内不均一性を抑制でき)、透気性と機械的強度とを両立でき、特に、微小セルロース繊維を用いているにも拘わらず、透気性を向上できる。また、有機溶媒を用いることなく製造できるため、セルロース系繊維で形成されていても、環境に対する影響、取り扱い性及び生産性を向上できる。さらに、セルロース系繊維のみで形成されているため、薄肉で耐熱性が高く、かつ電気化学的に安定である。
本発明の蓄電素子用セパレータは、微小セルロース繊維と再生セルロース繊維とを特定の割合で含む不織布で形成されている。そのため、前記再生セルロース繊維(特に溶剤紡糸セルロース繊維のフィブリル化繊維)が微小セルロース繊維と高い親和性で絡み合い、かつ微小セルロース繊維と同様に耐熱性及び電気化学的な安定性にも優れるとともに、微小セルロース繊維によって緻密に形成された不織布に対して適度な空隙を形成できるためか、微小セルロース繊維を用いているにも拘わらず、セパレータの透気性、機械的強度、セパレータ特性を向上できる。
[微小セルロース繊維]
微小セルロース繊維としては、β−1,4−グルカン構造を有する多糖類である限り、特に制限されず、高等植物由来のセルロース繊維[例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、ジン皮繊維(例えば、麻、コウゾ、ミツマタなど)、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)などの天然セルロース繊維(パルプ繊維)など]、動物由来のセルロース繊維(ホヤセルロースなど)、バクテリア由来のセルロース繊維、化学的に合成されたセルロース繊維[セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロースなど);カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロースなど);アルキルセルロース(メチルセルロース、エチルセルロースなど);再生セルロース(レーヨン、セロファンなど)などのセルロース誘導体など]などが挙げられる。なお、天然の植物由来のセルロース繊維は、ミクロンオーダーであるため、通常、原料セルロース繊維をミクロフィブリル化することにより得られる。これらの微小セルロース繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、前記微小セルロース繊維は、用途に応じて、α−セルロース含有量の高い高純度セルロース、例えば、α−セルロース含有量70〜100重量%(例えば、95〜100重量%)、好ましくは98〜100重量%程度であってもよい。さらに、本発明では、リグニンやヘミセルロース含量の少ない高純度セルロースを使用することにより、木材繊維や種子毛繊維を使用しても、ナノメータサイズで、かつ均一な繊維径を有する微小セルロース繊維を調製できる。リグニンやヘミセルロース含量の少ないセルロースは、特に、カッパー価(κ価)が30以下(例えば、0〜30)、好ましくは0〜20、さらに好ましくは0〜10(特に0〜5)程度のセルロースであってもよい。なお、カッパー価は、JIS P8211の「パルプ−カッパー価試験方法」に準拠した方法で測定できる。
これらの微小セルロース繊維のうち、生産性が高く、適度な繊維径及び繊維長を有する点から、植物由来のセルロース繊維、例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)や種子毛繊維(コットンリンターパルプなど)などのパルプ由来の微小セルロース繊維が好ましい。前記パルプは、機械的方法で得られたパルプ(砕木パルプ、リファイナ・グランド・パルプ、サーモメカニカルパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプなど)、又は化学的方法で得られたパルプ(クラフトパルプ、亜硫酸パルプなど)などであってもよく、必要に応じて、後述するような叩解(予備叩解)処理された叩解繊維(叩解パルプなど)であってもよい。また、微小セルロース繊維は、慣用の精製処理、例えば、脱脂処理などが施された繊維(例えば、脱脂綿など)であってもよい。本発明では、原料繊維同士の絡まりを抑制し、ホモジナイズ処理による効率的なミクロフィブリル化を実現し、均一なナノメータサイズの微小繊維を得る観点から、ネバードライパルプ、すなわち乾燥履歴のないパルプ(乾燥することなく、湿潤状態を保持したパルプ)が特に好ましい。ネバードライパルプは、木材繊維及び/又は種子毛繊維で構成されたパルプであり、かつカッパー価が30以下(特に0〜10程度)のパルプであってもよい。このようなパルプは、木材繊維及び/又は種子毛繊維を塩素で漂白処理することにより調製してもよい。
微小セルロース繊維の繊維径は、平均繊維径が1μm以下であればよく、例えば、4〜1000nm(例えば、5〜900nm)程度の範囲から選択できるが、薄肉化しても、透気性と強度と地合いとを両立できる点から、平均繊維径は10〜800nm程度であってもよく、例えば、30〜700nm、好ましくは50〜600nm、さらに好ましくは100〜500nm(特に200〜400nm)程度である。
なお、本発明において、前記平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径は、電子顕微鏡写真に基づいて測定した繊維径(n=20程度)から算出した値である。
微小セルロース繊維の平均繊維長は10〜3000μm程度の範囲から選択できるが、不織布の機械的特性を向上できる点から、例えば、100〜1000μm、好ましくは200〜800μm、さらに好ましくは300〜700μm(特に400〜600μm)程度であってもよい。さらに、平均繊維径に対する平均繊維長の比(平均繊維長/平均繊維径)(平均アスペクト比)は300以上であってもよく、例えば、500以上(例えば、500〜10000)、好ましくは800〜5000、さらに好ましくは1000〜3000(特に1500〜2000)程度である。本発明では、このように、ナノサイズの平均径を有するにも拘わらず、適度な繊維長及びアスペクト比を有する微小セルロース繊維を用いることにより、生産性に優れ、かつ繊維同士が適度に絡み合うためか、寸法安定性や強度などの機械的特性に優れた樹脂組成物及びシートが得られる。
微小セルロース繊維の横断面形状(繊維の長手方向に垂直な断面形状)は、バクテリアセルロースのような異方形状(扁平形状)であってもよいが、植物由来のセルロース繊維の場合、略等方形状が好ましい。略等方形状としては、例えば、真円形状、正多角形状などであり、略円形状の場合、断面の短径に対する長径の比(平均アスペクト比)は、例えば、1〜2、好ましくは1〜1.5、さらに好ましくは1〜1.3(特に1〜1.2)程度である。
微小セルロース繊維の脱水時間は、API規格の脱水量に関する試験方法に準拠して、0.5重量%濃度の繊維スラリーを用いて測定したとき、例えば、100〜5000秒程度の範囲から選択でき、例えば、100〜3000秒、好ましくは150〜1000秒、さらに好ましくは200〜500秒(特に250〜400秒)程度である。脱水時間が大きいほど、平均繊維長/平均繊維径比の高い繊維形状となり、保水力が高く、少量で機械的特性を向上できるが、大きすぎると、透気性が低下する傾向があり、小さすぎると、強度が低下し、薄肉化が困難となる傾向がある。
微小セルロース繊維は、水に対する分散性が高く、安定な分散液(又は懸濁液)を形成することができる。例えば、セルロース繊維を水に懸濁させて、2重量%濃度にした懸濁液の粘度は、1000mPa・s以上であり、好ましくは2000〜15000mPa・s、さらに好ましくは2500〜10000mPa・s(特に3000〜5000mPa・s)程度である。粘度は、B型粘度計を用いて、ロータNo.4を使用し、60rpmの回転数で、25℃における見かけ粘度として測定される値である。なお、フィブリル化の程度が小さかったり、繊維径が大きいと、水への分散性が低下し、均一な懸濁液が得られず、粘度を測定することができない。
[微小セルロース繊維の製造方法]
微小セルロース繊維の製造方法としては、特に限定されず、慣用の方法、例えば、原料繊維をミクロフィブリル化する方法、バクテリアを用いる方法などを利用できる。これらの方法のうち、原料繊維をミクロフィブリル化する方法が好ましい。ミクロフィブリル化の方法としては、原料繊維を溶媒に分散させて分散液を調製する分散液調製工程、前記分散液をミクロフィブリル化するミクロフィブリル化工程を経て製造してもよい。
原料繊維の平均繊維長は、例えば、0.01〜5mm、好ましくは0.03〜4mm、さらに好ましくは0.06〜3mm(特に、0.1〜2mm)程度であり、通常0.1〜5mm程度である。また、原料繊維の平均繊維径は、0.01〜500μm、好ましくは0.05〜400μm、さらに好ましくは0.1〜300μm(特に0.2〜250μm)程度である。
溶媒としては、原料繊維に化学的又は物理的損傷を与えない限り特に制限されず、例えば、水、有機溶媒[アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソプロパノールなどC1−4アルカノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジC1−4アルキルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル(環状C4−6エーテルなど))、エステル類(酢酸エチルなどアルカン酸エステル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのジC1−5アルキルケトン、シクロヘキサノンなどのC4−10シクロアルカノンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン系炭化水素類(塩化メチル、フッ化メチルなど)など]などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。また、これらの溶媒のうち、生産性、コストの点から、水が好適であり、必要により、水と水性有機溶媒(C1−4アルカノール、アセトンなど)との混合溶媒を用いてもよい。特に、溶媒として水を用いるとともに、有機溶媒で置換する工程を経ずに製造することにより、生産性が高く、有機溶媒の使用により環境に負荷を与えることなく、不織布を製造できる。
ミクロフィブリル化工程に供する原料繊維は、溶媒中に少なくとも共存した状態であればよく、ミクロフィブリル化に先だって、原料繊維を溶媒中に分散(又は懸濁)させてもよい。分散は、例えば、慣用の分散機(超音波分散機、ホモディスパー、スリーワンモーターなど)などを用いて行ってもよい。なお、前記分散機は、機械的撹拌手段(撹拌棒、撹拌子など)を備えていてもよい。
原料繊維の溶媒中における濃度は、例えば、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%(特に0.5〜3重量%)程度であってもよい。
ミクロフィブリル化工程では、前記分散液を、慣用の方法、例えば、叩解処理、ホモジナイズ処理することなどによりミクロフィブリル化できる。叩解処理では、例えば、慣用の叩解機、例えば、ビーター、ジョルダン、コニカルリファイナー、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナーなどを利用できる。ホモジナイズ処理では、慣用の均質化装置、例えば、ホモジナイザー(特に高圧ホモジナイザー)を利用できる。なお、必要により、前記分散液を前記方法により叩解処理(予備叩解処理)した後、ホモジナイズ処理してもよい。さらに、ホモジナイズ処理の条件としては、特公昭60−19921号公報、特開2011−26760号公報、特開2012−25833号公報、特開2012−36517号公報、特開2012−36518号公報に記載の方法を利用でき、特に、繊維径100nm以下程度のナノファイバーを製造する場合、特開2011−26760号公報、特開2012−25833号公報、特開2012−36517号公報、特開2012−36518号公報に記載の方法のうち、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーによるホモジナイズ処理を利用してもよい。
[再生セルロース繊維]
再生セルロース繊維としては、前記微小セルロース繊維の項で例示された天然セルロース繊維(高等植物由来のセルロース繊維、動物由来のセルロース繊維、バクテリア由来のセルロース繊維)を用いて人造で紡糸したセルロース繊維であればよく、例えば、ビスコース法で得られた再生セルロース繊維(ビスコースレーヨン、ポリノジックなど)、銅アンモニア法で得られた再生セルロース繊維(キュプラなど)、溶剤紡糸法(セルロースを一旦化学的に変換することのない直接法)で得られた再生セルロース繊維(リヨセル、テンセルなど)などが挙げられる。これらの再生セルロース繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの再生セルロース繊維のうち、天然セルロース繊維である微小セルロース繊維との親和性に優れ、かつ電池の電気化学特性への悪影響を抑制できるとともに、フィブリル化し易く、所望の繊維径に制御し易い点から、N−メチル酸化モルフォリンなどの有機溶媒を用いて溶剤紡糸して得られた溶剤紡糸セルロース繊維が好ましい。溶剤紡糸セルロース繊維としては、レンチング社より市販されているテンセル(登録商標)を利用できる。
再生セルロース繊維の繊維径は、セパレータの透気性を向上できる点から、前記微小セルロース繊維よりも繊維径が大きい繊維径が好ましい。再生セルロース繊維(特にフィブリル化繊維)の平均繊維径は2μm以下(例えば、10〜2000nm)程度であり、例えば、10〜1800nm、好ましくは100〜1500nm、さらに好ましくは300〜1200nm(特に500〜1000nm)程度である。
微小セルロース繊維の平均繊維径と再生セルロース繊維の平均繊維径との比は、例えば、微小セルロース繊維/再生セルロース繊維=1/1.1〜1/1000程度の範囲から選択でき、例えば、1/1.3〜1/100、好ましくは1/1.5〜1/30(例えば、1/1.5〜1/10)、さらに好ましくは1/1.8〜1/5(特に1/2〜1/3)程度であってもよい。この比が小さすぎると、薄肉化が困難となり、ピンホールが発生し易くなる。一方、この比が大きすぎると、透気性が低下する。
再生セルロース繊維(特にフィブリル化繊維)の平均繊維長は1〜2000μm程度の範囲から選択できるが、セパレータの機械的特性を向上できる点から、例えば、10〜1500μm、好ましくは50〜1200μm、さらに好ましくは100〜1000μm(特に300〜800μm)程度であってもよい。
微小セルロース繊維の平均繊維長と再生セルロース繊維の平均繊維長との比は、微小セルロース繊維/再生セルロース繊維=10/1〜1/100程度の範囲から選択でき、例えば、5/1〜1/50、好ましくは3/1〜1/10、さらに好ましくは2/1〜1/8(特に1/1〜1/5)程度であってもよい。この比が小さすぎたり、大きすぎると、繊維の絡み合いが弱くなり、セパレータの機械的特性が低下する。
再生セルロース繊維(特にフィブリル化繊維)の平均アスペクト比は10以上(例えば、10〜10000)であり、例えば、100〜5000、好ましくは500〜3000、さらに好ましくは700〜2000(特に800〜1500)程度である。本発明では、このような繊維長及びアスペクト比を有するため、微小セルロース繊維と再生セルロース繊維又は再生セルロース繊維同士が適度に絡み合うためか、セパレータの強度を向上できる。
なお、本発明において、前記平均繊維径、繊維径分布の標準偏差は、電子顕微鏡写真に基づいて測定した繊維径(n=20程度)から算出した値である。
再生セルロース繊維の横断面形状(繊維の長手方向に垂直な断面形状)は、等方形状(例えば、真円形状、正多角形状など)であってもよく、異方形状(扁平形状、楕円形状など)であってもよい。略等方形状の場合、断面の短径に対する長径の比(平均アスペクト比)は、例えば、1〜2、好ましくは1〜1.5、さらに好ましくは1〜1.3(特に1〜1.2)程度であってもよい。
再生セルロース繊維の脱水時間は、API規格の脱水量に関する試験方法に準拠して、0.5重量%濃度の繊維スラリーを用いて測定したとき、例えば、100〜5000秒程度の範囲から選択でき、例えば、100〜3000秒、好ましくは150〜2000秒、さらに好ましくは200〜1000秒(特に300〜500秒)程度である。脱水時間が大きいほど、平均繊維長/平均繊維径比の高い繊維形状となり、保水力が高く、少量で機械的特性を向上できるが、大きすぎると、透気性が低下する傾向があり、小さすぎると、強度が低下し、薄肉化が困難となる傾向がある。
再生セルロース繊維のカナダ標準濾水度(CSF)は、例えば、100〜1000ml、好ましくは150〜900ml、さらに好ましくは200〜800ml程度であってもよい。なお、カナダ標準濾水度(CSF)は、JIS P8121「パルプの濾水度試験法;カナダ標準型」に準拠して、0.1重量%濃度の繊維スラリーを用いて測定した値である。
[再生セルロース繊維のフィブリル化法]
再生セルロース繊維は、市販の再生セルロース繊維を使用してもよいが、セパレータを薄肉化する点から、原料再生セルロース繊維をフィブリル化(ミクロフィブリル化)するのが好ましい。
原料再生セルロース繊維の平均繊維長は、0.01〜5mm、好ましくは0.03〜4mm、さらに好ましくは0.05〜3mm(特に、0.1〜2mm)程度であり、通常0.1〜5mm程度である。また、原料再生セルロース繊維の平均繊維径は、0.01〜50μm、好ましくは0.05〜40μm、さらに好ましくは0.1〜30μm(例えば、0.2〜25μm)程度である。
フィブリル化の方法は、詳細には、原料再生セルロース繊維を溶媒に分散させて分散液を調製する分散液調製工程、リファイナーで前記分散液を叩解処理するリファイナー工程を含む製造方法により得られる。本発明では、分散液調製工程及びリファイナー工程は、いずれも前記微小セルロース繊維と同様の方法を利用することにより、平均繊維径2μm以下の再生セルロース繊維を調製できる。
詳しくは、リファイナー工程では、ディスクリファイナー(シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナーなど)を使用することができる。ディスクリファイナーのディスククリアランスは0.1〜0.3mm、好ましくは0.13〜0.25mm、さらに好ましくは0.14〜0.23mm程度であってもよい。ディスクの回転数は、特に制限されず、1,000〜10,000rpmの広い範囲から選択でき、例えば、1,000〜8,000rpm、好ましくは1,300〜6,000rpm、さらに好ましくは1,600〜4,000rpm程度であってもよい。処理回数(パス回数)は1〜20回程度の範囲から選択でき、例えば、2〜15回、さらに好ましくは3〜13回、さらに好ましくは5〜12回程度であってもよい。
原料再生セルロース繊維の叩解処理の度合いは、ディスククリアランス及びリファイナー処理回数で調節することができる。ディスククリアランスが狭すぎたり、処理回数が多すぎると、原料繊維が大きな剪断力を受け、フィブリル化が進行し、ねじれや表面の荒れが生じ、繊維同士が絡まりやすくなり、リファイナー処理して得られたフィブリル化繊維の分散性が低下する。また、ディスククリアランスが広すぎると、原料繊維に加わる剪断力が小さくなり、未分割部分が残存する。
再生セルロース繊維は、さらに必要に応じて、ホモジナイズ工程に供してもよいが、ホモジナイズ工程に供する場合は、再生セルロース繊維の繊維径を微小セルロース繊維よりも大きくするために、通常、微小セルロース繊維のホモジナイズ工程よりもマイルドな条件でホモジナイズ処理される。
なお、微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維のいずれもミクロフィブリル化を行う場合、両繊維のミクロフィブリル化はそれぞれ別個に処理する方法、同時に処理する方法のいずれの方法であってもよい。
[蓄電素子用セパレータの特性]
蓄電素子用セパレータを構成する不織布において、再生セルロース繊維の割合は微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維の合計量に対して10重量%以下であればよく、詳しくは、微小セルロース繊維と再生セルロース繊維との割合(重量比)は、例えば、前者/後者=99.9/0.1〜90/10程度の範囲から選択でき、例えば、99/1〜90/10、好ましくは97/3〜90/10、さらに好ましくは95/5〜90/10(特に93/7〜91/9)程度である。再生セルロースの割合が10重量%を超えると、薄肉化が困難となり、セパレータの引張強度も低下する。一方で、再生セルロース繊維の割合が少なすぎると、透気性が低下する傾向がある。
本発明のセパレータは、用途に応じて、慣用の添加剤、例えば、他の繊維、サイズ剤、ワックス、無機充填剤、着色剤、安定化剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤などを含有していてもよい。特に、他の繊維として、ポリエチレン繊維などの熱可塑性樹脂で形成された合繊繊維を混綿してシャットダウン機能を付与してもよい。
本発明のセパレータは、後述するように、水スラリーの水を有機溶媒で置換する工程を含まない方法で製造することにより、実質的に有機溶媒を含有しない不織布であってもよい。
本発明のセパレータは、機械的特性に優れ、薄肉であっても強度が高く、坪量10g/mにおける引張強度が1N/15mm以上であり、例えば、3〜30N/15mm、好ましくは5〜20N/15mm、さらに好ましくは6〜15N/15mm(特に8〜15N/15mm)程度である。
本発明のセパレータは、前記引張強度を有しているにも拘わらず、透気性にも優れており、JIS P8117に準拠した方法で、坪量10g/mにおける透気度が1000秒/100ml以下であってもよく、例えば、10〜500秒/100ml、好ましくは20〜450秒/100ml、さらに好ましくは30〜300秒/100ml(特に50〜100秒/100ml)程度である。透気度が小さすぎると(透気性が大きすぎると)、孔径が大きくなり、短絡し易くなり、逆に透気度が大きすぎると(透気性が小さすぎると)、セパレータ特性が低下する。
本発明のセパレータの厚みは5〜50μm程度の範囲から選択できるが、25μm以下の薄肉に形成でき、例えば、5〜25μm、好ましくは10〜23μm、さらに好ましくは15〜22μm(特に18〜21μm)程度であってもよい。セパレータは、目的に応じて複数の不織布を積層してもよい。
本発明のセパレータの平均孔径は0.01〜5μmであり、例えば、0.02〜4μm、好ましくは0.03〜3μm、さらに好ましくは0.05〜2μm程度である。セパレータの最大孔径は、例えば、10μm以下、好ましくは8μm以下程度である。孔径が大きすぎると、短絡し易くなる。
セパレータの坪量は、例えば、0.1〜50g/m、好ましくは1〜30g/m、さらに好ましくは3〜20g/m(特に5〜15g/m)程度であってもよい。セパレータの空隙率は、例えば、10〜90%、好ましくは15〜85%、さらに好ましくは30〜80%程度であってもよい。空隙率が大きすぎると、短絡し易くなり、逆に小さすぎると、セパレータ特性が低下する。
[セパレータの製造方法]
本発明のセパレータの製造方法は、特に限定されず、慣用の方法、例えば、微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を抄紙する抄紙工程を含む方法で製造できる。抄紙方法は、特に限定されず、慣用の方法、例えば、湿式抄紙又は乾式抄紙などの抄紙により製造できる。湿式抄紙は、慣用の方法で行うことができ、例えば、手抄き抄紙器や多孔板などを備えた湿式抄紙機などを用いて抄紙してもよい。乾式抄紙も、慣用の方法、例えば、エアレイド製法、カード製法などを用いて抄紙することができる。
これらのうち、湿式抄紙による抄紙工程を含む製造方法が好ましく、さらに有機溶媒を使用せず、生産性が高く、環境に対する負荷も小さい点から、微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を含む水スラリーを湿式抄紙する抄紙工程を含む製造方法が好ましい。
湿式抄紙において、スラリー中における固形分の濃度は、例えば、0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜3重量%(特に0.1〜1重量%)程度である。
得られた抄紙体は、抄紙後、さらに圧縮工程に供してもよい。圧縮工程では、吸引ろ過及び圧縮を行ってシート状に調製してもよい。平滑なシートを成形できる点から、プレス成形が好ましい。さらに、圧縮工程でプレス成形することにより、水スラリーを湿式抄紙する抄紙工程を含む方法であっても、有機溶媒による置換工程を設けることなく、簡便な方法で、湿式抄紙で得られる不織布の透気性を向上できる。水スラリーの水を有機溶媒で置換する工程を含まない方法では、溶媒として水を用いるとともに、有機溶媒で置換する工程を経ずに製造するため、生産性が高く、有機溶媒の使用により環境に負荷を与えることもない。
プレス成形において負荷する圧力は、例えば、0.01〜10MPa程度の範囲から選択できるが、例えば、0.03〜5MPa、好ましくは0.05〜1MPa、さらに好ましくは0.1〜0.5MPa程度である。プレス時間は、特に限定されず、例えば、0.1〜100分、好ましくは0.3〜10分、さらに好ましくは0.5〜5分程度である。
抄紙体又は圧縮されたシート状成形体は、さらに乾燥工程に供してもよい。乾燥工程では、加熱により乾燥してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。微小セルロース繊維及び実施例及び比較例で得られた不織布(セパレータ)の評価は以下の方法で測定した。
[繊維径]
微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維のミクロフィブリル化物について50000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、撮影した写真上において、写真を横切る任意の位置に2本の線を引き、線と交差する全ての繊維径をカウントして平均繊維径(n=20以上)を算出した。線の引き方は、線と交差する繊維の数が20以上となれば、特に限定されない。
[繊維長]
繊維長は、繊維長測定器(カヤーニ社製「FS−200」)を用いて測定した。
[セパレータの平均厚み]
JIS L1085に準拠し、厚み測定器((株)尾崎製作所製「FFA−12」、測定子16mmφ)を用いて、シートの任意の箇所10点を測定し、その平均値を求めた。
[脱水時間]
実施例及び比較例で調整したスラリーをAPI規格の脱水量に関する試験方法に準拠して脱水時間を測定した。すなわち、微小繊維を固形分で4gとし、0.5重量%スラリー400gを調製した。このスラリーを直径76.2mm、高さ127.0mmの金属容器に投入し、0.7MPaの圧力を負荷し、スラリー内の保有水のうち、200mlが脱液されるまでの時間を測定した。
[地合い]
抄紙品サンプルを透過型スキャナ(キヤノン(株)製「CanoScan9000F」)で読み込んだ画像データ(解像度:254dpi、読み取りサイズ:50×100mm、ポジ型、露光量:80%、)からグレースケールの相対標準偏差を算出し、地合いを以下の基準で評価した。
◎:相対標準偏差が0.08未満
○:相対標準偏差が0.08〜0.12
×:相対標準偏差が0.12を超える。
[透気度]
ガーレー式デンソメータ((株)東洋精機製「型式G−B2C」)を用いて、JIS P8117に準拠して、100mlの空気の透過時間(単位:秒/100ml)の測定を室温で行った。透気度は、膜の種々な位置について5点の測定を行なって、その平均値とした。
[引張強度]
JIS P8113に準じて、実施例及び比較例で得られたセパレータを幅15mm、長さ250mmの短冊状に裁断してサンプルとし、可変速引張試験機((株)東洋精機製作所製)により、チャック間隔100mm、引張速度20mm/分で、引張強度を測定した。引張強度の測定は、長さ方向(又は縦方向)について行った。
実施例1
微小セルロース繊維として、市販の微小セルロース繊維スラリー((株)ダイセル製「セリッシュKY−110N」、微小繊維状セルロース15重量%、水85重量%)を用いた。この微小セルロース繊維は、平均繊維径300nm、平均繊維長500μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)1667、脱水時間280秒であった。
再生セルロース繊維として、以下のテンセル微小繊維を用いた。すなわち、テンセル(レンチング社製、チョップドファイバー、繊維径10μm、繊維長4mm)を用いて、テンセルを1重量%の割合で含有するスラリー液を100リットル調製した。次いで、このスラリー液を、ダブルディスクリファイナー(長谷川鉄工(株)製、SUPERFIBRATER400−TFS)を用いて、クリアランス0.15mm、ディスク回転数1750rpmとして10回叩解処理し、テンセルリファイナー処理品(テンセル微小繊維)を得た。得られたテンセル微小繊維は、平均繊維径0.76μm、平均繊維長690μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)908、脱水時間420秒であった。
前記微小セルロース繊維スラリー及び得られた再生セルロース繊維スラリーをそれぞれ0.5重量%に希釈し、微小セルロース繊維/再生セルロース繊維=99/1(固形分重量比)になるように混合、攪拌してスラリーを調整した。次いで、手抄きマシン(東洋精機製作所(株)製「シートマシン」)、手抄きプレス機(東洋精機製作所(株)製)を用いて、吸引濾過・圧縮を行い湿紙状の抄紙品を得た。その後、乾燥・剥離を行い25cm×20cmサイズで坪量10g/mの抄紙品(不織布)を得た。
実施例2
微小セルロース繊維と再生セルロース繊維との混合割合を、微小セルロース繊維/再生セルロース繊維=92/8(固形分重量比)に代えてスラリーを調整する以外は実施例1と同様にして不織布を作成した。
実施例3
再生セルロース繊維として、ダブルディスクリファイナーで6回叩解処理したテンセル微小繊維を用いる以外は実施例2と同様にして不織布を作成した。テンセル微小繊維は、平均繊維径1.2μm、平均繊維長800μm、アスペクト比667、脱水時間320秒であった。
実施例4
再生セルロース繊維として、ダブルディスクリファイナーで3回叩解処理したテンセル微小繊維を用いる以外は実施例2と同様にして不織布を作成した。テンセル微小繊維は、平均繊維径2μm、平均繊維長1450μm、アスペクト比725、脱水時間200秒であった。
実施例5
微小セルロース繊維として、市販の微小セルロース繊維スラリー((株)ダイセル製「セリッシュKY−100S」、微小繊維状セルロース25重量%、水75重量%)を用いる以外は実施例2と同様にして不織布を作成した。微小セルロース繊維は、平均繊維径140nm、平均繊維長550μm、アスペクト比3929、脱水時間350秒であった。
実施例6
微小セルロース繊維として、以下の微小セルロース繊維を用いる以外は実施例2と同様にして不織布を作成した。すなわち、LBKPパルプ(丸住製紙(株)製、固形分約50重量%、カッパー価約0.3)を用いて、パルプを1重量%の割合で含有するスラリー液を100リットル調製した。次いで、このスラリー液を、ダブルディスクリファイナー(長谷川鉄工(株)製、SUPERFIBRATER400−TFS)を用いて、クリアランス0.15mm、ディスク回転数1750rpmとして10回叩解処理し、リファイナー処理品を得た。このリファイナー処理品を、特開2012−36518号公報の図1〜3に記載された破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=16.8/1)を備えたホモジナイザー(ゴーリン社製、15M8AT)を用いて、処理圧50MPaで50回処理した。得られたセルロースナノファイバー(LBKP微小繊維)は、平均繊維径20nm、平均繊維長150μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)7500、脱水時間2230秒であった。
比較例1
微小セルロース繊維のみのスラリーを調整する以外は実施例1と同様にして不織布を作成した。
比較例2
微小セルロース繊維のみのスラリーを調整する以外は実施例6と同様にして不織布を作成した。
比較例3
実施例1で調整した再生セルロース繊維のみのスラリーを調整する以外は実施例1と同様にして不織布を作成した。
比較例4
微小セルロース繊維と再生セルロース繊維との混合割合を、微小セルロース繊維/再生セルロース繊維=80/20(固形分重量比)のスラリーを調整する以外は実施例1と同様にして不織布を作成した。
実施例及び比較例で得られた不織布(セパレータ)の地合い、透気度、引張強度、平均厚みを表1に示す。
Figure 2014051767
表1の結果から明らかなように、実施例のセパレータは、薄肉であるにも拘わらず、地合いと透気性と引張強度とのバランスに優れている。これに対して、比較例1及び2のセパレータは地合いが悪く、比較例3及び4のセパレータは厚肉である。
本発明の蓄電素子用セパレータは、電池(リチウム電池、リチウム二次電池、燃料電池、アルカリ二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケル−カドミウム電池、鉛蓄電池など)、コンデンサ、キャパシタなどの蓄電素子のセパレータ、特に、電気自動車(EV)の駆動源や定置用蓄電システムなどに利用されるリチウム二次電池のセパレータに有用である。

Claims (12)

  1. 平均繊維径1μm以下の微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を含む不織布で形成されたセパレータであって、前記微小セルロース繊維と、前記再生セルロース繊維との割合(重量比)が、前者/後者=99.9/0.1〜90/10である蓄電素子用セパレータ。
  2. 微小セルロース繊維の平均繊維径と再生セルロース繊維の平均繊維径との比が、前者/後者=1/1.5〜1/30である請求項1記載のセパレータ。
  3. 再生セルロース繊維がフィブリル化繊維である請求項1又は2記載のセパレータ。
  4. 再生セルロース繊維が、平均繊維径2μm以下の溶剤紡糸セルロース繊維である請求項1〜3のいずれかに記載のセパレータ。
  5. 微小セルロース繊維が植物由来であり、かつ微小セルロース繊維の平均繊維径が100〜500nmであり、平均繊維径に対する平均繊維長の比が500以上である請求項1〜4のいずれかに記載のセパレータ。
  6. 微小セルロース繊維と、再生セルロース繊維との割合(重量比)が、前者/後者=95/5〜90/10である請求項1〜5のいずれかに記載のセパレータ。
  7. 平均厚みが25μm以下である請求項1〜6のいずれかに記載のセパレータ。
  8. 有機溶媒を含有しない請求項1〜7のいずれかに記載のセパレータ。
  9. 不織布が、微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を含む水スラリーを、有機溶媒で置換することなく、湿式抄紙して得られる請求項1〜8のいずれかに記載のセパレータ。
  10. 微小セルロース繊維が、原料セルロース繊維を溶媒に分散させて分散液を調製する分散液調製工程、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーで前記分散液を100MPa以下の圧力でホモジナイズ処理するホモジナイズ工程を含む製造方法で得られる請求項1〜9のいずれかに記載のセパレータ。
  11. 微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を抄紙する抄紙工程を含む請求項1〜10のいずれかに記載のセパレータの製造方法。
  12. 抄紙工程が、微小セルロース繊維及び再生セルロース繊維を含む水スラリーを湿式抄紙する工程であり、水スラリーの水を有機溶媒で置換する工程を含まない請求項11記載の製造方法。
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