本発明に係る放射線撮像装置及び前記放射線撮像装置を有する放射線撮像システムについて、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の放射線撮像システム10の構成図である。放射線撮像システム10は、ベッド等の撮影台12に横臥した被写体14である患者に対して、放射線16を照射する放射線装置18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する電子カセッテ(放射線撮像装置)20と、放射線撮像システム10全体を制御するシステムコントローラ24と、医師又は技師等(以下、ユーザーという)の入力操作を受け付けるコンソール26と、撮影した放射線画像等を表示する表示装置28とを備える。
システムコントローラ24と、電子カセッテ20と、表示装置28との間には、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11.a/b/g/n等の無線LAN、又は、ミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよい。
システムコントローラ24には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理するRIS(放射線科情報システム)30が接続され、RIS30には、病院内の医事情報を統括的に管理するHIS(医事情報システム)32が接続されている。
放射線装置18は、放射線16を照射する放射線源34と、放射線源34を制御する放射線制御装置36と、放射線スイッチ38とを備える。放射線源34は、電子カセッテ20に対して放射線16を照射する。放射線源34が照射する放射線16は、X線、α線、β線、γ線、電子線等であってもよい。放射線スイッチ38は、2段階のストロークを持つように構成され、放射線制御装置36は、放射線スイッチ38がユーザーによって半押しされると放射線16の照射準備を行い、全押しされると放射線源34から放射線16を照射させる。放射線制御装置36は、図示しない入力装置を有し、ユーザーは、前記入力装置を操作することで、放射線16の照射時間、管電圧、管電流等の値を設定することができる。放射線制御装置36は、設定された照射時間等に基づいて、放射線源34から放射線16を照射させる。
図2は、図1に示す電子カセッテ20の斜視図であり、図3は、図2に示す電子カセッテ20のIII−III線断面図である。電子カセッテ20は、パネル部52と、該パネル部52上に配置された制御部54とを備える。なお、パネル部52の厚みは、制御部54の厚みよりも薄く設定されている。
パネル部52は、放射線16に対して透過可能な材料からなる略矩形状の筐体56を有し、パネル部52の撮像面42には放射線16が照射される。撮像面42の略中央部には、被写体14の撮像領域及び撮像位置を示すガイド線58が形成されている。ガイド線58の外枠が、放射線16の照射野を示す撮像可能領域60になる。また、ガイド線58の中心位置(ガイド線58が十字状に交差する交点)は、撮像可能領域60の中心位置である。
パネル部52は、シンチレータ62及び放射線変換パネル64とを有する放射線検出器(撮像パネル)66と、放射線変換パネル64を駆動させる後述する駆動回路部106(図6参照)とを備える。シンチレータ62は、被写体14を透過した放射線16を、可視光領域に含まれる蛍光に変換する。放射線変換パネル64は、シンチレータ62が変換した前記蛍光を電気信号に変換する間接変換型放射線変換パネルである。放射線16が照射される撮像面42から順に、シンチレータ62と放射線変換パネル64とが筐体56内部に配設される。なお、放射線変換パネル64が放射線16を直接電気信号に変換する直接型放射線変換パネルの場合は、該放射線変換パネル64が放射線検出器66となる。この場合は、シンチレータ62は不要だからである。
制御部54は、放射線16に対して非透過性の材料からなる略矩形状の筐体68を有する。該筐体68は、撮像面42の一端に沿って延在しており、撮像面42における撮像可能領域60の外に制御部54が配設される。この場合、筐体68の内部には、後述するパネル部52を制御するカセッテ制御部(撮像制御部)122と、撮像した放射線画像の画像データを記憶するバッファメモリとしてのメモリ124と、システムコントローラ24との間で無線による信号の送受信が可能な通信部(第1報知部、第1通信部)126と、バッテリ等の電源部(電力供給部)128とが配置されている(図6参照)。電源部128は、カセッテ制御部122及び通信部126に対して電力供給を行う。
図4は、放射線検出器66の3画素分の構成を概略的に示す図である。放射線検出器66は、基板70上に、電界効果型薄膜トランジスタであるTFT(Thin Film Transistor)72及び電荷蓄積部74と、センサ部76と、シンチレータ62が順次積層されており、電荷蓄積部74及びセンサ部76により画素が構成されている。画素は基板70上に行列状に配設されており、各TFT(スイッチング素子)72は自己に接続された画素の電荷蓄積部74の電荷を出力する。シンチレータ62は、センサ部76上に透明絶縁膜78を介して形成されており、上方(基板70と反対側)から入射してくる放射線16を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。
シンチレータ62が発光する光の波長域は、可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、この放射線検出器66によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。シンチレータ62に用いる蛍光体としては、放射線16としてX線を用いて撮像する場合、ガドリニウムオキサイドサルファ(GOS)又はヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜700nmにあるCsI(Tl)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
センサ部76は、上部電極80、下部電極82、及び該上下の電極80、82間に配置された光電変換膜84を有する。上部電極80は、シンチレータ62により生じた光を光電変換膜84に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ62の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましい。
光電変換膜84は、有機光導電体(OPC)を含み、シンチレータ62から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。有機光導電体を含む光電変換膜84であれば、可視光域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ62による発光以外の電磁波が光電変換膜84によって吸収されることが殆どなく、放射線16が光電変換膜84で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
光電変換膜84を構成する有機光導電体は、シンチレータ62で発光した光を最も効率良く吸収するために、そのピーク波長が、シンチレータ62の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光導電体の吸収ピーク波長とシンチレータ62の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ62から発せられた光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光導電体の吸収ピーク波長と、シンチレータ62の放射線16に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
このような条件を満たすことが可能な有機光導電体としては、例えば、キナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えば、キナクリドンの可視光域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光導電体としてキナクリドンを用い、シンチレータ62の材料としてCsI(Ti)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜84で発生する電荷量を略最大にすることができる。
1対の電極80、82と該電極80、82間に挟まれた光電変換膜84を含む有機層により電磁波吸収/光電変換部位を構成することができる。この有機層は、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ね若しくは混合により形成することができる。上記有機層は、有機p型化合物又は有機n型化合物を含有することが好ましい。
有機p型化合物(半導体)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機化合物(半導体)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
有機n型化合物(半導体)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機化合物(半導体)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。この有機p型化合物及び有機n型化合物として適用可能な材料、及び光電変換膜84の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
下部電極82は、画素部毎に分割された薄膜とする。下部電極82は、透明又は不透明の導電性材料で構成することができ、アルミニウム、銀等を好適に用いることができる。センサ部76では、上部電極80と下部電極82との間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜84で発生した電荷(正孔、電子)のうち、一方を上部電極80に移動させ、他方を下部電極82に移動させることができる。本実施の形態の放射線検出器66では、上部電極80に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極80に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜84で発生した電子が上部電極80に移動し、正孔が下部電極82に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であってもよい。
各画素を構成するセンサ部76は、少なくとも下部電極82、光電変換膜84、及び上部電極80を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜86及び正孔ブロッキング膜88の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
電子ブロッキング膜86は、下部電極82と光電変換膜84との間に設けることができ、下部電極82と上部電極80との間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極82から光電変換膜84に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。電子ブロッキング膜86には、電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜86に用いられる材料は、隣接する下部電極82の材料及び隣接する光電変換膜84の材料等に応じて選択すればよく、隣接する下部電極82の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜84の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIp若しくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
電子ブロッキング膜86の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部76の光電変換率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
正孔ブロッキング膜88は、光電変換膜84と上部電極80との間に設けることができ、下部電極82と上部電極80との間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極80から光電変換膜84に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
正孔ブロッキング膜88には、電子受容性有機材料を用いることができる。正孔ブロッキング膜88の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部76の光電変換率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは、30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
実際に正孔ブロッキング膜88に用いる材料は、隣接する上部電極80の材料及び隣接する光電変換膜84の材料等に応じて選択すればよく、隣接する上部電極80の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が高く、且つ、隣接する光電変換膜84の材料の電子親和力(Ea)と同等のEa若しくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
図5は、TFT72及び電荷蓄積部74の概略構成図である。下部電極82に移動した電荷を蓄積する電荷蓄積部74と、電荷蓄積部74に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT72とが形成されている。電荷蓄積部74及びTFT72の形成された領域には、平面視において下部電極82と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素におけるTFT72とセンサ部76とが厚さ方向で重なりを有することになる。なお、放射線検出器66の平面積を最小にするために、電荷蓄積部74及びTFT72の形成された領域が下部電極82によって完全に覆われていることが好ましい。
電荷蓄積部74は、基板70と下部電極82との間に設けられた絶縁膜90を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極82と電気的に接続されている。これにより、下部電極82で捕集された電荷を電荷蓄積部74に移動させることができる。
TFT72は、ゲート電極92、ゲート絶縁膜94、及び活性層(チャネル層)96が積層され、さらに、活性層96上にソース電極98とドレイン電極100が所定の間隔を開けて形成されている。活性層96は、非晶質酸化物により形成されている。活性層96を構成する非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうち少なくとも1つを含む酸化物(例えば、In−O系)が好ましく、In、Ga、及びZnのうち少なくとも2つを含む酸化物(例えば、In−Zn−O系、In−Ga系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga、及びZnを全て含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO3(ZnO)m(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnO4がより好ましい。
TFT72の活性層96を非晶質酸化物で形成したものとすれば、X線等の放射線16を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、TFT72におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。ここで、TFT72の活性層96を構成する非晶質酸化物及び光電変換膜84を構成する有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。したがって、基板70としては、半導体基板、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を用いることもできる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることができ、例えば持ち運び等に有利となる。
アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(Indium Tin Oxide)及びガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく割れ難い。さらに、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板70を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板70を形成してもよい。
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinun)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂とを複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、且つ、高強度、高弾性、低熱膨張である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸させて硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、且つフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べ薄く基板70を形成できる。
本実施の形態では、基板70上に、TFT72及び電荷蓄積部74と、センサ部76と、透明絶縁膜78とを順に形成し、当該基板70上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ62を貼り付けることにより放射線検出器66を形成している。透明絶縁膜78まで形成されたものを放射線変換パネル64と呼ぶ。
放射線検出器66は、光電変換膜84を有機光導電体により構成しており、光電変換膜84では放射線16が殆ど吸収されない。このため、本実施の形態に係る放射線検出器66は、裏面照射により放射線16が放射線変換パネル64を透過する場合でも光電変換膜84による放射線16の吸収量を少なくすることができ、放射線16に対する感度の低下を抑えることができる。裏面照射では、放射線16が放射線変換パネル64を透過してシンチレータ62に到達するが、放射線変換パネル64の光電変換膜84を有機光導電体により構成した場合、光電変換膜84での放射線16の吸収が殆どなく、放射線16の減衰を抑えることができるので、裏面照射にも適している。
図6は、図1に示す電子カセッテ20の電気的な概略構成図である。電子カセッテ20は、画素102を行列状のTFT72上に配置した構造を有する。画素102は、行列状に配置されており、図示しない光電変換素子を有する。駆動回路部106を構成するバイアス電源108からバイアス電圧が供給される各画素102では、可視光を光電変換することにより発生した電荷が蓄積され、各列毎にTFT72を順次オンすることにより、各信号線112を介して電荷信号(電気信号)をアナログ信号の画素値として読み出すことができる。なお、図6では便宜上、画素102及びTFT72を、縦4×横4個の配列としたが、実際は、縦2880個×横2304個の配列である。
各画素102に接続されるTFT72は、行方向に延びるゲート線110と、列方向に延びる信号線112とが接続される。各ゲート線110は、駆動回路部106を構成するゲート駆動部114に接続され、各信号線112は、チャージアンプ(電気信号増幅器)116を介して、駆動回路部106を構成するマルチプレクサ部118に接続される。マルチプレクサ部118には、アナログ信号の電気信号をデジタル信号の電気信号に変換するAD変換部120が接続されている。AD変換部120は、デジタル信号に変換した電気信号(デジタル信号の画素値、以下、デジタル値という場合もある)をカセッテ制御部122に出力する。
カセッテ制御部122は、電子カセッテ20全体の制御を行うものであり、また、図示しないクロック回路を含みタイマーとしても機能する。コンピュータ等の情報処理装置に所定のプログラムを読み込ませることによって、コンピュータを本実施の形態のカセッテ制御部122として機能させることができる。
カセッテ制御部122には、メモリ124及び通信部126が接続されている。メモリ124は、デジタル信号の画素値を記憶し、通信部126は、システムコントローラ24との間で信号の送受信を行う。通信部126は、複数の画素値が行列状に配置されて構成される1枚の画像(1フレームの画像)を、1行単位でシステムコントローラ24にパケット送信する。電源部128は、カセッテ制御部122、メモリ124、及び通信部126に電力を供給する。バイアス電源108は、カセッテ制御部122から送られてきた電力を、各画素102に供給する。
カセッテ制御部122は、第1読出制御部130と、照射開始判定部132と、経過時間判定部(照射終了判定部又は曝射終了判定部)134と、第2読出制御部136とを有する。第1読出制御部130は、画素102に蓄積された電荷を複数の行(line)単位で同時に読み出すことで、各画素102に蓄積された電荷を読み出すスキャンモード(第1読出しモード)を実行する。第1読出制御部130は、ゲート駆動部114、チャージアンプ116、マルチプレクサ部118、及びAD変換部120を制御することで、スキャンモードを実行する。
なお、第1読出しモードとしてのスキャンモードは、後述する第2読出しモードとしての順次読出しモードに比べ、短時間で1フレームの画像データを読み出すことができる高速読出しモードである。
以下、スキャンモードの概念を説明する。スキャンモードが実行されると、ゲート駆動部114は、例えば、0行目及び2行目のゲート線110にゲート信号を出力することで、0行目及び2行目のTFT72をオンにさせ(0行目と2行目とを活性化させ)、各信号線112を介して0行目及び2行目の画素102に蓄積された電荷を同時に読み出す。この読み出された各列の電荷は、電荷信号(画素値)として各列のチャージアンプ116に出力される。ここで、0行目及び2行目の画素102に蓄積された電荷は、同時に読み出されるので、チャージアンプ116に入力される電気信号は0行目及び2行目の画素102に蓄積された電気信号が加算されたものとなる。つまり、0行目及び2行目の画素102に蓄積された電気信号が列毎に加算され、加算された電気信号が各列のチャージアンプ116に出力される。これにより、0行目及び2行目の画素の電荷を加算して読み出すことができる。
チャージアンプ116は、入力された電荷信号を電圧信号に変換してマルチプレクサ部118に出力する。マルチプレクサ部118は、入力された電圧信号を順次選択してAD変換部120に出力し、AD変換部120は、入力された電圧信号をデジタル信号に変換して出力する。これにより、0行目と2行目の画素102に蓄積された電気信号(画素値)が列毎に加算されて、デジタル信号の電気信号(画素値)としてAD変換部120から出力される。AD変換部120から出力されたデジタル信号の電気信号(画素値)はカセッテ制御部122に送られ、カセッテ制御部122は、該送られたデジタル値をメモリ124に記憶させる。つまり、メモリ124には、0行目及び2行目の画像データが列毎に加算された画像データが記憶される。
ゲート駆動部114は、上述のように0行目及び2行目の画素102に蓄積された電荷を読み出すと、今度は、1行目及び3行目のゲート線110にゲート信号を送ることで、1行目及び3行目のTFT72をオンにさせ(1行目と3行目とを活性化させ)、各信号線112を介して1行目及び3行目の画素102に蓄積された電荷(電気信号)を同時に読み出す。読み出された電気信号は、上述した動作を経てデジタル信号としてカセッテ制御部122に送られ、メモリ124に記憶される。
第1読出制御部130は、後述する照射開始判定部132により放射線16の照射が開始されたと判定されると、スキャンモードの実行を終了する。このとき、1フレーム分の画像データの読み出しが終了していない場合は、該1フレーム分の画像データの読み出し終了後にスキャンモードの実行を終了する。
このように、スキャンモードにより画素102に蓄積された電荷を読み出すので、短時間で1フレームの画像データを読み出すことができ、画素102に蓄積されたノイズ電荷を短時間で除去することができる。スキャンモードにより画素102に蓄積された電荷を読み出すので、放射線16の照射が開始されたと判定された場合であっても、直ぐに露光状態に移行することができ、画像情報を有する放射線16を余り無駄にすることがない。逆に、後述する順次読出しモードで画素102に蓄積されたノイズ電荷を除去する場合は、1フレームの画像データを読み出すのに時間がかかってしまい、1フレームの画像データの読出し中に、放射線16の照射が開始されたと判定された場合は、直ぐに露光状態に移行することができず、画像情報である放射線16を無駄にしてしまう。
照射開始判定部132は、第1読出制御部130により読み出され、メモリ124に記憶されたデジタル値が閾値より大きいか否かを判断する。デジタル値が閾値より大きい場合には、放射線16の照射が開始されたと判定する。つまり、照射開始判定部132は、得られたデジタル値が閾値より大きいか否かで放射線16を検出している。放射線16が照射されていない状態の場合は、画素102に蓄積される電荷はノイズであり、微量である。然しながら、放射線16が照射され、電子カセッテ20に入射すると、画素102に蓄積される電荷は、放射線16が照射されていないときに比べ多くなる。したがって、スキャンモードにより読み出されてデジタル信号に変換された電気信号が閾値より大きい場合には、放射線16の照射が開始されたと判定することができる。
また、スキャンモードにより複数の行単位で画素102に蓄積された電荷を同時に読み出すので、放射線16の照射開始を早期且つ正確に判定することができる。つまり、画素102の電荷を加算することで、放射線16が照射されている場合は、得られるデジタル信号の電気信号は飛躍的に大きくなるので、放射線16の照射開始を早期に判定することができる。逆に、画素102に蓄積された電荷を加算せずに閾値の値を下げることで、放射線16の照射開始を早期に検出することができるが、閾値に対する電気信号のノイズの割合が大きくなり、正確に放射線16の照射開始を検出することができない。なお、この閾値は、ユーザーが任意に設定可能である。
経過時間判定部134は、放射線16の照射が開始されてから予め決められた所定時間が経過したか否かを判定する。この予め決められた所定時間とは、放射線源34が放射線16を照射する時間であってもよいし、電子カセッテ20が放射線画像を撮像するために放射線16を露光する時間であってもよい。この予め決められた所定時間は、メモリ124に記憶されている。
第2読出制御部136は、画素102に蓄積された電気信号を1行単位で順次読み出す順次読出しモード(第2読出しモード)を実行する。第2読出制御部136は、ゲート駆動部114、チャージアンプ116、マルチプレクサ部118、及びAD変換部120を制御することで、順次読出しモードを実行する。
以下、順次読出しモードの概念を説明する。順次読出しモードが実行されると、ゲート駆動部114は、0行目のゲート線110にゲート信号を出力することで、0行目のTFT72をオンにさせ(0行目を活性化させ)、各信号線112を介して0行目の画素102に蓄積された電荷を読み出す。この読み出された各列の電荷は、電荷信号(画素値)として各列のチャージアンプ116に出力されて、電圧信号に変換される。変換された電圧信号は、マルチプレクサ部118に出力され、AD変換部120によって、0行目の画素102に蓄積された電気信号(画素値)が、デジタル信号としてカセッテ制御部122に送られ、メモリ124に記憶される。つまり、0行目の画像データがメモリ124に記憶される。
ゲート駆動部114は、0行目の画素102に蓄積された電荷を読み出すと、今度は、1行目のゲート線110にゲート信号を送ることで、1行目のTFT72をオンにさせ(1行目を活性化させ)、各信号線112を介して1行目の画素102に蓄積された電荷(電気信号)を読み出す。読み出された電気信号は、上述した動作を経てデジタル信号としてカセッテ制御部122に送られ、メモリ124に記憶される。
1行目の画素102に蓄積された電荷の読み出しを行うと、ゲート駆動部114は、2行目の画素102に蓄積された電荷の読み出しを行い、その後、3行目の画素102に蓄積された電荷の読み出しを行う。
カセッテ制御部122は、メモリ124に記憶した1行分の画像データを通信部126を介して順次システムコントローラ24に送信する。つまり、行単位で順次1行分の画像データを送信する。なお、行単位ではなく、1フレーム分の画像データを一括して送信してもよい。
図7は、図6に示す放射線変換パネル64、ゲート駆動部114、チャージアンプ116、及びマルチプレクサ部118の詳細図である。ゲート駆動部114は、12個のゲート駆動回路150(第1〜第12のゲート駆動回路150)を有し、各ゲート駆動回路150には、240本のゲート線110が接続されている。各ゲート駆動回路150は、自己に接続された240本のゲート線110にTFT72を介して接続されている画素102に蓄積された電荷の読み出しを行う。つまり、各ゲート駆動回路150は、自己が読み出しを担当する領域(0行目〜239行目)の画素102に蓄積された電荷の読み出しを行う。なお、第1〜第12のゲート駆動回路150を総称してゲート駆動回路150と呼ぶ。
マルチプレクサ部118は、9個のマルチプレクサ152(第1〜第9のマルチプレクサ152)を有し、各マルチプレクサ152は、256本の信号線112が接続されている。各マルチプレクサ152には、自己が担当する領域(0列目〜255列目)の画素102の電荷信号がチャージアンプ116を介して入力される。なお、第1〜第9のマルチプレクサ152を総称して、マルチプレクサ152と呼ぶ。このように、放射線変換パネル64は、縦2880(240×12)個×横2304(256×9)個の画素102及びTFT72を有することになる。
AD変換部120は、9個のA/D変換器154(第1〜第9のA/D変換器154)を有し、各マルチプレクサ152が出力した電圧信号が各A/D変換器154に出力される。具体的には、第1のマルチプレクサ152が出力した電圧信号が第1のA/D変換器154に出力され、第2のマルチプレクサ152が出力した電圧信号が第2のA/D変換器154に出力される。このように、各マルチプレクサ152が出力した電圧信号は、各マルチプレクサ152に対応するA/D変換器154に出力される。A/D変換器154は、入力された電圧信号をデジタル信号の電圧信号に変換する。なお、第1〜第9のA/D変換器154を総称してA/D変換器154と呼ぶ。
各ゲート駆動回路150は、行単位でTFT72を順次オンにする。これにより、行単位で画素102に蓄積された電荷は順次読み出され、電荷信号として信号線112を介してチャージアンプ116に出力される。具体的には、各ゲート駆動回路150は、自己に接続されている複数のゲート線110のうち、0行(最初に読み出すべき行)目のゲート線110を選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、0行目のTFT72をオンにさせて、0行目の画素102に蓄積された電荷を読み出す。そして、0行目の画素102に蓄積された電荷を読み出すと、1行(2番目に読み出すべき行)目のゲート線110を選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、1行目のTFT72をオンにさせて、1行目の画素102に蓄積された電荷を読み出す。そして、2行目、3行目というように、239行(最後に読み出すべき行)目まで順次ゲート線110を選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、TFT72を行単位で順次オンにさせて各行の画素102に蓄積された電荷を読み出す。
読み出された各列の電荷は、各信号線112を介して各列のチャージアンプ116に入力される。各チャージアンプ116は、オペアンプ(演算増幅器)156と、コンデンサ158と、スイッチ160とで構成されている。チャージアンプ116は、スイッチ160がオフの場合には、オペアンプ156に入力された電荷信号を電圧信号に変換して出力する。チャージアンプ116は、カセッテ制御部122によって設定されたゲインで電気信号を増幅して出力する。また、スイッチ160がオンの場合は、コンデンサ158に蓄積された電荷が、コンデンサ158とスイッチ160との閉回路により放電されるとともに、画素102に蓄積された電荷が、閉じられたスイッチ160及びオペアンプ156を介してGND(グランド電位)に放出される。スイッチ160をオンにして、画素102に蓄積された電荷をGND(グランド電位)に放出させる動作のことを、リセット動作(空読み動作)と呼ぶ。つまり、リセット動作の場合は、画素102に蓄積された電荷信号に対応する電圧信号は、マルチプレクサ部118及びAD変換部120に出力されずに捨てられる。なお、本実施の形態で、「画素102に蓄積された電荷の読み出し」と言った場合は、画素102に蓄積された電荷に対応する電圧信号がマルチプレクサ部118及びAD変換部120に出力される。
各チャージアンプ116によって変換された電圧信号は、各マルチプレクサ152に出力される。マルチプレクサ152は、カセッテ制御部122からの制御信号にしたがって、入力された複数の電圧信号を順次選択して出力する。各A/D変換器154は、各マルチプレクサ152から出力された電圧信号をデジタル信号に変換し、該変換したデジタル信号をカセッテ制御部122に出力する。
図8は、順次読出しモード時に、カセッテ制御部122からゲート駆動部114に入力される入力信号及び、ゲート駆動部114からカセッテ制御部122に出力される出力信号のタイムチャートである。通常読出しモードにおいては、カセッテ制御部122は、第1のゲート駆動回路150に、入力信号(駆動信号)a1を出力する。第1のゲート駆動回路150は、駆動信号a1が入力されると、自己が担当するゲート線110を0行目から順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力する。これにより、TFT72が行単位で順次オンにされ、行単位で画素102に蓄積された電荷が読み出される。第1のゲート駆動回路150は、最終行(239行)を選択すると、出力信号(終了信号)b1をカセッテ制御部122に出力する。カセッテ制御部122は、終了信号b1を受け取ると、入力信号(駆動信号)a2を第2のゲート駆動回路150に出力する。
第2のゲート駆動回路150は、入力信号a2が入力されると、自己が担当するゲート線110を0行目から順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力する。これにより、TFT72が行単位で順次オンにされ、行単位で画素102に蓄積された電荷が読み出される。第2のゲート駆動回路150は、最終行(239行)を選択すると、出力信号(終了信号)b2をカセッテ制御部122に出力する。カセッテ制御部122は、終了信号b2を受け取ると、入力信号(駆動信号)a3を第3のゲート駆動回路150に入力する。このような動作を第12のゲート駆動回路150まで行う。
このように、第1のゲート駆動回路150から第12のゲート駆動回路150まで、駆動信号a1〜a12を入力させることで、各ゲート駆動回路150を順次駆動させて、行単位で画素102に蓄積された電荷の読み出しを順次行う。これにより、放射線変換パネル64の0行目から2879行目までの画素102に蓄積された電荷が、0行目から行単位で順次読み出される。この順次読出しモードでは、撮像される放射線画像の画質も考慮すると、画素102に蓄積された電荷を1行読み出すのに約173μsecの時間を要する。したがって、順次読み出しモードでは、全ての行(2880行)を読み出すのに、約500msec(173μsec/l×2880line)の時間を要することになる。
図9は、スキャンモード時に、カセッテ制御部122からゲート駆動部114に入力される入力信号及び、ゲート駆動部114からカセッテ制御部122に出力される出力信号のタイムチャートである。スキャンモード時においては、カセッテ制御部122は、第1〜第12のゲート駆動回路150に、各入力信号c1〜c12を同時に出力する。第1〜第12のゲート駆動回路150は、各駆動信号c1〜c12が入力されると、自己が担当するゲート線110を0行目から順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力する。これにより、各ゲート駆動回路150が担当する領域のTFT72が行単位で順次オンにされ、各ゲート駆動回路150が担当する領域の画素102に蓄積された電荷が行単位で順次読み出される。
具体的には、各ゲート駆動回路150が担当する領域の0行目の画素102に蓄積された電荷が同時に読み出され、次に、1行目の画素102に蓄積された電荷が同時に読み出される。このように、各ゲート駆動回路150が担当する領域の画素102に蓄積された電荷が一斉に行単位で順次読み出される。したがって、各ゲート駆動回路150によって読み出される画素102の電荷は、列毎に加算される。例えば、各ゲート駆動回路150が同時に0行目の画素102の電荷を読み出した場合は、読み出された各0行目の画素102の電荷が列毎に加算される。この列毎に加算された電荷が各列のチャージアンプ116に入力される。各ゲート駆動回路150は、最終行(239行)を選択すると、各出力信号(終了信号)d1〜d12をカセッテ制御部122に出力する。
スキャンモードでは、画素102に蓄積された電荷の読み出しに要する時間を短くする必要がある。その一方で、電荷の読み出しに要する時間を短くし過ぎると、画素102に蓄積された余剰電荷を取り除くことができなくなり、画質のよい放射線画像を撮像することができない。この両者の要求を満たすために、21μsecの時間で、画素102に蓄積された電荷を1行読み出す。したがって、スキャンモードでは、全ての行(2880行)を読み出すのに、約5msec(21μsec×2880line×(1/12))の時間を要する。これは、順次読出しモードで要する時間の約1/100で、全画素102に蓄積された電荷を読み出すことができる。ここで、21μsec×2880lineに(1/12)を乗算する理由は、スキャンモードでは、12行単位で画素102に蓄積された電荷を同時に読み出すからである。
つまり、電子カセッテ20は、行列状に配置された複数の画素102と、複数の画素102に蓄積された電気信号を読み出すための行列状に配置された複数のTFT72と、各行のTFT72に接続された行方向に平行な複数のゲート線110と、ゲート線110が複数接続され、ゲート線110を介して各行のTFT72にゲート信号を出力する列方向に沿って並列配置された複数のゲート駆動回路150と、複数の画素102に蓄積された電気信号を読み出すための列方向に平行な複数の信号線112とを少なくとも備える。
TFT72のゲートはゲート線110に接続され、ソースが画素102に接続されている。また、TFT72のドレインは信号線112に接続されている。各ゲート駆動回路150は、駆動信号a又はcが入力されると、自己に接続されたゲート線110を順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、TFT72をオンにさせ、複数の信号線112を介して自己に接続された画素102に蓄積された電気信号を行単位で順次読み出す。
第1読出制御部130は、各ゲート駆動回路150に同時に駆動信号cを入力することで、複数の画素102に蓄積された電気信号を複数の行単位で同時に読み出すスキャンモードを実行する。
カセッテ制御部122の第2読出制御部136は、各ゲート駆動回路150に順次駆動信号aを入力することで各ゲート駆動回路150を順番に駆動させて、複数の画素102の電気信号を1行単位で順次読み出す順次読出しモードを実行する。
図10は、システムコントローラ24及びコンソール26の電気的な概略構成図である。コンソール26は、ユーザーの入力操作を受け付ける入力部200と、コンソール26全体を制御する制御部202と、ユーザーの入力操作を補助する画像を表示する表示部(第2報知部)204と、システムコントローラ24との間で信号の送受信を行うインターフェースI/F206とを有する。
システムコントローラ24は、コンソール26との間で信号の送受信を行うインターフェースI/F210と、放射線撮像システム10全体を制御する制御部(撮影メニュー登録部、指示信号生成部、制御装置)212と、電子カセッテ20及び表示装置28との間で無線通信により信号の送受信を行う通信部(第2通信部、送信部)214と、通信部214を介して電子カセッテ20から送られてきた画像データとプログラム等とを記録する記録部(撮影履歴記録部)216と、放射線16の照射時間等を含む撮影条件が撮影部位及び診断部位に対応付けて記録されたテーブル218を有するデータベース220とを有する。インターフェースI/F206とインターフェースI/F210とはケーブル230によって接続されている。入力部200は、図示しないマウス及びキーボード等で構成されており、入力部200は、ユーザーによって入力された操作信号を制御部202に出力する。
制御部202は、ユーザーが撮影部位及び診断部位(撮影領域及び関心領域)と撮影枚数とを入力するための画面(で撮影メニュー)を表示させることで、表示部204をGUI(Graphical User Interface)として機能させる。医師は、表示部204に表示された表示部204の画面に表示される撮影メニューを見ながら、入力部200を操作して撮影部位及び診断部位と撮影枚数とを選択する。ここで、撮影部位(撮影領域)とは、放射線撮影を行う患者の体の部位のことであり、例えば、胸部、下腹部、足等がある。診断部位(関心領域)とは、放射線撮影により得られた画像を用いて診断する部位を示し、例えば、撮影部位が同じ胸部であっても循環器、肋骨、心臓等のように診断部位が異なる。
制御部202は、ユーザーによって選択された撮影部位、診断部位、及び撮影枚数(を含む撮影メニュー)をインターフェースI/F206、210を介して、システムコントローラ24の制御部212に出力する。制御部212の撮影条件設定部(照射時間設定部)222は、コンソール26から送られてきた(ユーザーにより選択された)撮影部位及び診断部位に対応する撮影条件を設定する。詳しくは、撮影条件設定部222は、ユーザーにより選択された撮影部位及び診断部位に対応する撮影条件をテーブル218から読み出し、読み出した撮影条件をこれから行う放射線撮影の撮影条件として設定する。撮影条件設定部222は、通信部214を介して該設定した撮影条件のうち少なくとも照射時間を電子カセッテ20に送信する。電子カセッテ20は、送られてきた照射時間をメモリ124に記憶させる。この記憶された照射時間が、前記した予め決められた所定時間となる。
制御部212の撮影枚数設定部224は、コンソール26から送られてきた(ユーザーにより選択された)撮影枚数を設定する。撮影枚数設定部224は、通信部214を介して該設定した撮影枚数を電子カセッテ20に送信する。電子カセッテ20は、送られてきた撮影枚数をメモリ124に記憶させる。制御部212の画像記録制御部226は、通信部214を介して電子カセッテ20から送られてきた1フレーム分の画像データを記録部216に記録させる。
図11は、テーブル218の一例を示す図である。テーブル218には、撮影部位及び診断部位に対応して、照射時間、管電圧、管電流等の撮影条件が記録されている。また、撮影部位の中に複数の診断部位があり、該診断部位に応じて撮影条件が記録されている。例えば、撮影部位が胸部の場合には、循環器、肋骨、心臓等の診断部位が複数設けられており、該診断部位に対応して撮影条件が記録されている。撮影部位が胸部であり、診断部位が循環器の場合は、照射時間が200msec、管電圧が100kV、管電流が10mA等となる。このテーブル218に記録されている情報は、ユーザーがコンソール26の入力部200を操作することで、任意に変更可能である。
次に、放射線撮像システム10の動作を図12及び図13のフローチャートにしたがって説明する。図12は、放射線撮像システム10のシステムコントローラ24及びコンソール26の動作を示すフローチャートであり、図13は、カセッテ制御部122の動作を示すフローチャートである。先ず、システムコントローラ24及びコンソール26の動作を説明してから、カセッテ制御部122の動作を説明する。
コンソール26の制御部202は、ユーザーの入力部200の操作により撮影部位及び診断部位と撮影枚数とが選択されたか否かを判断する(ステップS1)。このとき、制御部202は、ユーザーが撮影部位及び診断部位と撮影枚数を選択するための画像を表示部204に表示させる。ユーザーは、表示された画像を見ながら、これから放射線撮影の対象となる患者の撮影部位及び診断部位を選択することができる。
ステップS1で、撮影部位及び診断部位と撮影枚数とが選択されていないと判断すると、選択されるまでステップS1に留まる。
一方、ステップS1で、撮影部位及び診断部位と撮影枚数とがユーザーに選択されたと判断すると、撮影条件設定部222は、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断部位に応じた撮影条件をテーブル218から読み出し、該読み出した撮影条件をこれから行う放射線撮影の撮影条件として設定するとともに、撮影枚数設定部224は、ユーザーによって選択された撮影枚数を設定する(ステップS2)。詳しくは、撮影部位等がユーザーの入力部200の操作により選択されると、制御部202は、選択された撮影部位等をインターフェースI/F206、210を介して、システムコントローラ24の制御部212に出力する。そして、制御部212の撮影条件設定部222は、コンソール26から送られてきた撮影部位及び診断部位に対応する撮影条件に設定するとともに、コンソール26から送られてきた撮影枚数に設定する。なお、システムコントローラ24は、該設定した撮影条件を、インターフェースI/F210、206を介して制御部202に出力し、制御部202は、設定された該撮影条件及び撮影枚数を表示部204に表示させてもよい。これにより、ユーザーは、設定された撮影条件の内容を視認することができる。
ユーザーは、設定した撮影条件で放射線源34から放射線16が照射されるようにするために、放射線制御装置36に設けられた前記入力装置を操作することで、システムコントローラ24側で設定した撮影条件と同一の撮影条件を放射線制御装置36にも設定させる。例えば、放射線装置18に、テーブル218と同一のテーブルを持たせて、ユーザーが撮影部位及び診断部位を選択することで、同一の撮影条件を設定しても良く、ユーザーが直接照射時間、管電圧、管電流等を入力してもよい。
撮影条件を設定すると、制御部212は、通信部214を介して、電子カセッテ20に起動信号を送信することで、電子カセッテ20を起動させる(ステップS3)。なお、電子カセッテ20は、起動信号が送られてくるまではスリープ状態となっている。スリープ状態とは、少なくとも放射線変換パネル64及び駆動回路部106には電力が供給されていない状態をいう。なお、電子カセッテ20は、起動するとスキャンモードを実行する。電子カセッテ20は、起動後、スキャンモードを実行する前にリセット動作を行ってもよい。
次いで、撮影条件設定部222及び撮影枚数設定部224は、通信部214を介して、該設定した照射時間及び撮影枚数とを電子カセッテ20に送信する(ステップS4)。
次いで、制御部212は、電子カセッテ20からの読出し開始信号を受信したか否かを判断する(ステップS5)。読出し開始信号とは、順次読出しモードで画素102に蓄積された電荷の読み出しを開始することを示す信号である。
ステップS5で、読出し開始信号を受信していないと判断すると受信するまでステップS5に留まり、読出し開始信号を受信したと判断すると、画像記録制御部226は、1行分の画像データが送られてきたか否かを判断する(ステップS6)。電子カセッテ20は、行単位で順次読み出された1行分の画像データを順次システムコントローラ24に出力するので、システムコントローラ24には、1行分の画像データが順次送られてくる。
ステップS6で、1行分の画像データが送られてきたと判断すると、画像記録制御部226は、送られてきた1行分の画像データを制御部212の図示しないバッファメモリに記憶する(ステップS7)。
次いで、画像記録制御部226は、1フレーム分の画像データの読み出しが終了したか否かを判断する(ステップS8)。電子カセッテ20は、1フレーム分の画像データの読み出しが終了した場合には、読出し終了信号をシステムコントローラ24に出力し、画像記録制御部226は、該読出し終了信号を受信した場合は、1フレーム分の画像データの読み出しが終了したと判断する。
ステップS8で、1フレーム分の画像データの読み出しが終了していないと判断した場合は、ステップS6に戻り、上記した動作を繰り返す。
ステップS8で、1フレーム分の画像データの読み出しが終了したと判断すると、バッファメモリに記憶した1フレーム分の画像データから画像ファイルを生成して記録部216に記録する(ステップS9)。
次いで、画像記録制御部226は、ステップS2で設定された撮影枚数分の画像データが送られてきたか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10で、設定された撮影枚数分の画像データが送られてきていないと判断するとステップS6に戻り、撮影枚数分の画像データが送られてきたと判断すると処理を終了する。
次に、電子カセッテ20の動作を、図13に示すフローチャート及び図14に示すタイムチャートにしたがって説明する。システムコントローラ24から起動信号が送られてくると、電子カセッテ20は起動し、カセッテ制御部122は、システムコントローラ24から送られてくる照射時間及び撮影枚数をメモリ124に記憶させる(ステップS21)。
次いで、カセッテ制御部122の第1読出制御部130は、スキャンモードの実行を開始する(ステップS22)。スキャンモードの実行を開始すると、第1読出制御部130は、各ゲート駆動回路150に駆動信号cを出力する。各ゲート駆動回路150は、駆動信号cを受け取ると、自己が担当するゲート線110を0行目から順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、自己が担当する領域の画素102に蓄積された電荷を0行目から行単位で順次読み出す。これにより、各ゲート駆動回路150が担当する領域の画素102に蓄積された電荷が同時に行単位で順次読み出され、読み出された電荷は列毎に加算される。
詳しくは、各ゲート駆動回路150が担当する領域の0行目の画素102に蓄積された電荷が同時に読み出され、列毎に加算されて、各列のチャージアンプ116に出力される。そして、各ゲート駆動回路150が担当する領域の1行目の画素102に蓄積された電荷が同時に読み出され、列毎に加算されて、各列のチャージアンプ116に出力される。このような動作を239行目まで行う。
行単位で順次読み出され、列毎に加算された1行分の電荷は、チャージアンプ116に送られ、マルチプレクサ部118及びAD変換部120を介してデジタル信号の電気信号としてメモリ124に記憶されていく。これにより、メモリ124には、加算された1行分の画像データが順次記憶されていくことになる。各ゲート駆動回路150は、239行目の画素102に蓄積された電荷を読み出すと、終了信号dをカセッテ制御部122に出力する。
なお、第1読出制御部130は、スキャンモードを実行している間は、各チャージアンプ116のスイッチ160をオフ状態に制御する。これにより、各チャージアンプ116は、入力された電荷信号を電圧信号として出力することができる。カセッテ制御部122は、起動してからスキャンモードの実行を開始する前に、リセット動作を行うようにしてもよい。また、第1読出制御部130は、起動してから一定時間(例えば、10秒)経過後にスキャンモードの実行を開始するようにしてもよい。
次いで、照射開始判定部132は、メモリ124に記憶されたデジタル信号の電気信号が、閾値より大きいか否かを判断する(ステップS23)。放射線源34から電子カセッテ20に対して放射線16が照射されると、メモリ124に記憶されるデジタル信号の電気信号は閾値より大きくなる。つまり、デジタル信号の電気信号が閾値より大きいか否かで、放射線16が照射されたか否かを検出している。ステップS23で、電気信号が閾値より大きくないと判断すると、閾値より大きいと判断されるまでステップS23に留まる。各ゲート駆動回路150から終了信号d1〜d12がカセッテ制御部122に送られてきた場合は(1フレーム分の電荷を読み出した場合は)、第1読出制御部130は、再び駆動信号c1〜c12を各ゲート駆動回路150に出力する。駆動信号c1〜c12が各ゲート駆動回路150に入力されてから終了信号d1〜d12が出力されるまでをスキャンモードの1サイクルとする。なお、終了信号d1〜d12は、同じタイミングで各ゲート駆動回路150から送られてくる。
一方、ステップS23で、メモリ124に記憶されたデジタル信号の電気信号が、閾値より大きいと判断した場合は、照射開始判定部132は、放射線源34により放射線16の照射が開始されたと判定する(ステップS24)。
すなわち、ユーザーがスキャンモードの実行中に、放射線スイッチ38を半押すると、放射線制御装置36は放射線16の照射準備を行い、その後、ユーザーが放射線スイッチ38を全押すると、放射線制御装置36は放射線源34から放射線16を予め決められた所定時間照射する。放射線制御装置36は、上述したように、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断部位に対応した撮影条件で放射線16を照射するので、予め決められた所定時間は、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断部位に応じた照射時間である。また、複数毎撮影を行う場合は、ユーザーは、ある程度の時間間隔で放射線スイッチ38を操作して、放射線源34から放射線16を照射させる。
ステップS24で放射線16の照射が開始されたと判定すると、カセッテ制御部122は、次に、タイマーをスタートさせ(ステップS25)、第1読出制御部130は、スキャンモードの実行により、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが全て終了したか(1フレーム分の電荷の読み出しが終了したか)否かを判断する(ステップS26)。つまり、第1読出制御部130は、放射線16の照射が開始されたと判定されてから、スキャンモードの1サイクルが終了したか否かを判断する。具体的には、第1読出制御部130は、放射線16の照射開始判定後に、各ゲート駆動回路150から終了信号d1〜d12が送られてきたか否かを判断する。
ステップS26で、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了していないと判断した場合は、終了したと判断するまでステップS26に留まり、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了したと判断した場合は、放射線撮影を行う。つまり、放射線16を露光し、該放射線16の露光によって画素102に蓄積された電荷の読み出しを行う。詳しくは、第1読出制御部130は、露光を開始するためにスキャンモードの実行を終了して、露光状態に移行させる(ステップS27)。つまり、第1読出制御部130は、終了信号d1〜d12が送られてきても、それ以後、駆動信号c1〜c12を各ゲート駆動回路150に出力しない。なお、第1読出制御部130は、スキャンモードが終了すると同時に、チャージアンプ116のスイッチ160をオンにする。これにより、コンデンサ158に蓄えられた不要な電荷を放出させることができ、放射線画像の画質を良くすることができる。
図14に示すように、放射線源34により放射線16の照射が開始されたと判定されるまでは、スキャンモードが繰り返し実行される。タイミングt1は、放射線16の照射が開始されたと判定されたタイミングを示す。矢印Aは、スキャンモードの1サイクルを示すものであり、その時間は約5msecである。放射線16の照射が開始されたと判定された場合は、現在行っているスキャンモードのサイクルが終了すると、スキャンモードの実行を終了して、露光状態に移行する。
ステップS27で、スキャンモードの実行を終了すると、経過時間判定部134は、放射線16の照射が開始されたと判定されてから予め決められた所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS28)。ステップS28で、放射線16の照射が開始されてから予め決められた所定時間が経過していないと判断すると、所定時間が経過するまでステップS28に留まる。この予め決められた所定時間は、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断目的に対応する照射時間なので、ステップS28では、放射線16の照射が終了したか否かを判断している。したがって、スキャンモードの実行を終了してから予め決められた所定時間が経過するまでは、放射線撮影のための露光を行っている。
一方、ステップS28で、放射線16の照射が開始されてから予め決められた所定時間が経過したと判断すると、露光を終了し、放射線16の露光により得られた電荷を読み出すために、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行を開始する(ステップS29)。このとき、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行を開始するのに先立って、又は、開始時、若しくは開始後に、通信部126を介して読出し開始信号をシステムコントローラ24に出力する。これにより、システムコントローラ24は、これから放射線画像の画像データが電子カセッテ20から送られてくることがわかり、画像データの受け入れ準備をすることができる。
順次読出しモードが実行されると、第2読出制御部136は、第1のゲート駆動回路150に駆動信号a1を出力する。第1のゲート駆動回路150は、駆動信号a1を受け取ると、自己が担当するゲート線110を0行目から順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、自己が担当する領域の画素102に蓄積された電荷を0行目から行単位で順次読み出す。これにより、第1のゲート駆動回路150が担当する領域の画素102に蓄積された電荷が行単位で0行目〜239行目まで順次読み出される。第1のゲート駆動回路150は、239行目を選択すると、終了信号b1をカセッテ制御部122に出力する。
第2読出制御部136は、終了信号b1を受け取ると、駆動信号a2を第2のゲート駆動回路150に出力する。このような動作を第12のゲート駆動回路150まで行う。これにより、放射線変換パネル64の0行目から2879行目までの画素102に蓄積された電荷が行単位で順次読み出される。この行単位で順次読み出された電荷は、各列のチャージアンプ116に入力され、その後、マルチプレクサ部118及びAD変換部120を介して、デジタル信号の電気信号としてメモリ124に記憶される。つまり、メモリ124には、行単位で得られた1行分の画像データが順次記憶される。
図14に示すタイミングt3は、ステップS28で、予め決められた所定時間が経過したと判断されたタイミングを示し、タイミングt3と略同時又はタイミングt3の直後に順次読出しモードの実行が開始されている。順次読出しモードの開始と同時に第2読出制御部136から読出し開始信号がシステムコントローラ24に向けて出力されている。矢印Bは、順次読出しモードの1サイクルを示すものであり、その時間が約500msecである。つまり、駆動信号a1が第1のゲート駆動回路150に入力されてから、第12のゲート駆動回路150が終了信号b12を出力するまでを順次読出しモードの1サイクルとする。
なお、カセッテ制御部122は、順次読出しモードを実行している間は、各チャージアンプ116のスイッチ160をオフ状態に制御する。これにより、各チャージアンプ116は、入力された電荷信号を電圧信号として出力することができる。
順次読出しモードの実行を開始すると、カセッテ制御部122は、行単位で得られた1行分の画像データを順次システムコントローラ24に送信する動作を開始する(ステップS30)。つまり、メモリ124に1行分の画像データを記憶すると、通信部126を介して該記憶した画像データをシステムコントローラ24に送信する。
次いで、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行により、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了したか(1フレーム分の電荷の読み出しが終了したか)否かを判断する(ステップS31)。つまり、順次読出しモードの1サイクルが終了したか否かを判断する。具体的には、第2読出制御部136は、第12のゲート駆動回路150から終了信号b12が送られてきたか否かを判断する。
ステップS31で、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了していないと判断した場合は、終了したと判断するまでステップS31に留まり、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了したと判断した場合は、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行を終了する(ステップS32)。このとき、第2読出制御部136は、通信部126を介して、読出し終了信号をシステムコントローラ24に出力する。
次いで、カセッテ制御部122は、ステップS21で記憶した撮影枚数(ユーザーによって設定された撮影枚数)分の撮影を行ったか(撮影枚数分の露光及び順次読み出しを実行したか)否かを判断する(ステップS33)。ステップS33で、記憶した撮影枚数分の撮影を行っていないと判断するとステップS22に戻り上記した動作を繰り返し、記憶した撮影枚数分の撮影を行ったと判断すると処理を終了する。
図15は、撮影枚数が2枚と設定されたときの電子カセッテ20の動作を示すタイムチャートである。1回目の放射線16が照射されるまでは、電子カセッテ20の第1読出制御部130は、スキャンモードを繰り返し実行する。そして、放射線源34による放射線16の照射が開始されて、照射開始判定部132によって放射線16の照射が開始されたと判定され、現在行っているスキャンモードの1サイクルが終了すると露光状態に移行する。その後、予め決められた所定時間が経過すると(放射線16の照射が終了すると)、第2読出制御部136は、順次読出しモードを実行し、放射線16の照射によって画素102に蓄積された電荷を読み出す。その後、再び、第1読出制御部130は、スキャンモードを繰り返し実行する。そして、照射開始判定部132によって放射線16の照射が開始されたと判定され、現在行っているスキャンモードの1サイクルが終了すると露光状態に移行する。その後、予め決められた所定時間が経過すると(放射線16の照射が終了すると)、画素102に蓄積された電荷を読み出して、処理を終了する。このとき、ユーザーは、ある程度の間隔を開けて、放射線スイッチ38を2回操作することで、放射線16を2回被写体14に照射させることができる。
このように、放射線16が照射される前は、順次読出しモードより高速で読み出すことができるスキャンモードで画素102に蓄積された電荷を読み出し、電荷の読み出しにより得られたデジタル値が閾値より大きい場合は、放射線16の照射が開始されたと判断して、露光を開始するので、撮影タイミングの同期(放射線16の照射タイミングと電子カセッテ20の露光タイミングの同期)をとる必要がなく、良好に放射線画像を撮像することができる。
また、スキャンモードでは、複数の行単位で画素102に蓄積された電荷を同時に読み出すので、放射線16の照射開始を早期且つ正確に判定することが可能となる。つまり、画素102に蓄積された電荷が加算されて読み出されるので、放射線16が照射されている場合は、放射線16が照射されていない場合に比べ、得られたデジタル値が飛躍的に大きくなり、放射線16の照射開始を早期に判定することができる。逆に、電荷を加算せずに閾値の値を単に下げると、下げた分だけ放射線16の照射開始を早期に検出することができるが、閾値に対するノイズの割合が大きくなり、正確な放射線16の照射開始を検出することができない。
また、スキャンモードでは、複数の行単位で同時に読み出していくので、1フレームの画像の読み出し速度を早くすることができ(スキャンモードの1サイクルを短くすることができ)、放射線16の照射が開始されたと判定された場合であっても、露光状態に移行するまでの時間を短くすることができる。
また、スキャンモードでは、各ゲート駆動回路150が自己が担当する領域の画素102に蓄積された電荷を同時に0行目から行単位で順次読み出すので、放射線変換パネル64のどの領域に放射線16が照射されても放射線16の照射が開始されたことを早期に検出することができる。仮に、放射線16の照射開始の検出のために、順次読出しモードで画素102に蓄積されていた電荷を読み出す場合であって、2000行から2879行目までの領域に放射線16が照射されている場合は、0行目から1999行目までの画素102に蓄積された電荷を読み出す期間は、放射線16の照射を検出することができない。しかし、各ゲート駆動回路150が、0行目から239行目まで行単位で画素102に蓄積された電荷を読み出すので、つまり、240行間隔で画素102に蓄積された電荷を同時に読み出すので、どこの領域に放射線16が照射されても迅速に検出することができる。
また、電子カセッテ20は、放射線16の照射が開始されたと判定されるまでは、スキャンモードを実行し、放射線16の照射が開始されたと判定されると露光状態に移行するので、撮影タイミングの同期を必要とせず、放射線装置18とシステムコントローラ24を電気的に接続しなくて済み、コストが低廉となる。放射線16の照射の開始を判定するまでスキャンモードを実行するので、画素102に蓄積された不要電荷を除去することができ、放射線画像のノイズを低減させることができる。
また、放射線16の照射が開始されたと判定されると、スキャンモードを終了して露光状態に移行するので、画像情報である放射線16を無駄にすることがない。放射線16の照射の開始から照射時間(所定時間)が経過すると、順次読出しモードを実行するので、画素の露光期間を必要最小限に抑えることができ、放射線画像のノイズをさらに低減させることができる。また、放射線検出用のセンサを別個に設けなくても済み、コストが低廉となる。
上記実施の形態は、以下のように変形可能である。なお、上記実施の形態及び下記変形例において、共通する構成については、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
(変形例1)上記実施の形態では、スキャンモードの実行中に放射線16が照射されたと判定された場合は、1サイクルが終了するまで露光状態に移行しなかったが、スキャンモードの実行中に放射線16が照射されたと判定された場合は、直ちに露光状態に移行してもよい。
図16及び図17は、放射線16が検出されて、スキャンモードの1サイクル終了後に蓄積状態に移行した場合の各行の画素102に蓄積される電荷の様子を示す図である。スキャンモードが実行している間は、各ゲート駆動回路150は、行単位で0行目から画素102に蓄積された電荷を順次読み出している。この場合において、例えば、0行目の画素102に蓄積された電荷を読み出して得られたデジタル値が閾値より大きいと判断して放射線16を検出した場合であっても、スキャンモードは239行目の画素102に蓄積された電荷が読み出されるまで、露光状態に移行できない。
したがって、放射線16を検出した後もスキャンモードの実行により、放射線16の照射により画素102に蓄積された電荷が読み出されることになり(捨てられることになり)、画像情報を持つ放射線16を無駄にすることになる。これは、スキャンモードの1サイクルの速い段階で放射線16が検出された場合は尚更である。つまり、放射線16が照射されたと検出したときのタイミングが、239行目の画素102に蓄積された電荷を読み出すタイミングに近ければ近いほど放射線16を無駄にしない。
具体的に説明すると、図16に示すように、0行目の画素102の電荷の読み出しで放射線16が検出された場合は、その後もスキャンモードの実行により1行目〜239行目までの画素102に蓄積された電荷は行単位で順次読み出されるので、放射線16の照射により1行目から239行目までの画素102に蓄積された電荷は捨てられてしまう。このため、放射線16の照射によって折角蓄積された電荷が無駄になってしまう。放射線撮影のための露光により得られた0行目の画素102に蓄積された電荷量Q0と、239行目の画素102に蓄積された電荷量Q239との関係は、Q0>Q239となり、その差は大きく、各行の画素102に蓄積される電荷量のバラツキが大きい。なお、n行目の画素102により得られた電荷量をQnとする。したがって、例えば、3行目の画素102により得られた電荷量はQ3となり、200行目の画素102により得られた電荷量はQ200となる。
一方で、図17に示すように、238行目の電荷の読み出しで放射線16が検出された場合は、スキャンモードの実行により239行目の画素102に蓄積された電荷が読み出されるだけなので、放射線16の照射により239行目の画素102に蓄積された電荷のみが捨てられる。この場合は、放射線撮影のための露光により得られた0行目の画素102に蓄積された電荷量Q0と、238行目の画素102に蓄積された電荷量Q238と、239行目の画素102に蓄積された電荷量Q239との関係は、Q0>Q238>Q239となるが、その差は小さく、各行の画素102に蓄積された電荷量のバラツキが小さい。
このように、放射線撮影のための露光により各行の画素102に蓄積される電荷の量は、放射線16が照射されるタイミングに左右されてしまいバラツキが生じてしまう。
そこで、本変形例1では、放射線16の照射が検出されると、放射線16の検出以降は、画素102に蓄積された電荷の読み出しを行うことなく蓄積状態に移行する。具体的には、カセッテ制御部122は、放射線16の照射の開始を検出すると、各ゲート駆動回路150に読み出しを中止する中止信号を送る。各ゲート駆動回路150は、駆動信号c1〜c12が送られると、ゲート線110を順次選択していき、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、画素102に蓄積された電荷を行単位で順次読み出す動作を行うが、中止信号が送られると、マスク処理が行われてゲート駆動回路150からゲート信号が出力されない。つまり、第1読出制御部130は、スキャンモードの実行による画素102に蓄積された電荷の読み出しを禁止する。この場合、各ゲート駆動回路150は、中止信号が送られてくると、ゲート線110を順次選択していくという動作は継続して行うが(スキャンモードは継続して行われるが)、マスク処理が行われるため該選択したゲート線110にゲート信号が出力されない。これにより、放射線16の検出後は、露光状態に移行することができる。
例えば、各ゲート駆動回路150は、0行目のゲート線110にゲート信号を出力した後に、中止信号が送られてきた場合は、1行目、2行目というように、中止信号が送られた後であっても、ゲート線110を順次選択していくが、該選択したゲート線110にゲート信号が出力されない。この場合、各ゲート駆動回路150は、中止信号が送られた場合であっても、ゲート線110を順次選択していくので、239行目のゲート線110を選択した後は、各ゲート駆動回路150は、各終了信号d1〜d12を出力する。第1読出制御部130は、この終了信号d1〜d12が各ゲート駆動回路150から送られてくるとスキャンモードを終了させる。
図18は、放射線16が検出されたときにスキャンモードによる画素102の電荷の読み出しを直ちに終了して蓄積状態に移行する場合の各行の画素102に蓄積される電荷の様子を示す図である。
図18では、0行の画素102に蓄積された電荷の読み出しで放射線16が検出された場合の各行の画素102に蓄積される電荷の様子を示す図である。カセッテ制御部122は、放射線16を検出すると、各ゲート駆動回路150に中止信号を送るので、2行目以降の画素102に蓄積された電荷は読み出されずに、放射線16の照射によって電荷がそのまま蓄積されている。この場合、放射線撮影の露光により得られた0行目の画素102に蓄積された電荷量Q0と、1行目の画素102に蓄積された電荷量Q1と、239行目の画素102に蓄積された電荷量Q239は、Q0<Q1=Q239の関係を満たし、Q0とQ1及びQ239との電荷量の差は小さい。したがって、画像情報を有する放射線16を無駄にすることなく露光を行うことができ、バラツキを小さくすることができる。
本変形例1におけるカセッテ制御部122の動作は、図13に示すフローチャートと略同一であるが、図13のステップS24で照射開始判定部132が放射線16の照射が開始されたと判定した場合は、第1読出制御部130は、各ゲート駆動回路150に中止信号を送って、ステップS25の動作に移行する。これにより露光状態に移行することができる。ステップS26では、第1読出制御部130は、各ゲート駆動回路150から終了信号d1〜d12が送られてきたか否かを判断し、終了信号d1〜d12が送られてきたと判断するとステップS27で、スキャンモードの実行を終了する。
このように、電子カセッテ20は、放射線16の照射が開始されたと判定されると、各ゲート駆動回路150に中止信号を出力することで、スキャンモードは1サイクルが終了するまで継続するが、画素102に蓄積された電荷が読み出されないので、画像情報を有する放射線16を無駄にすることがなく、放射線16を撮影することができる。
(変形例2)上記実施の形態及び上記変形例1では、システムコントローラ24の撮影枚数設定部224は、ユーザーの入力部200の操作により入力された撮影枚数を設定して、電子カセッテ20に送信するようにしたが、テーブル218に、撮影部位及び診断目的に応じて撮影枚数も記録しておいてもよい。この場合は、撮影条件設定部222は、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断目的に応じた撮影枚数をテーブル218から読み出して設定し、設定した撮影枚数を電子カセッテ20に送信する。
(変形例3)上記実施の形態及び上記変形例1、2では、放射線撮影を複数回行う場合は、放射線源34は、ユーザーの放射線スイッチ38の操作により、放射線16を複数回照射するようにしたが、複数回放射線撮影を行う場合は、放射線源34は、放射線16を一定時間連続して照射し、電子カセッテ20は、前記一定時間の間に、放射線撮影を複数回行うようにしてもよい。この前記一定時間は、ユーザーが放射線制御装置36の入力装置を操作することで設定することができ、該放射線制御装置36は該設定された前記一定時間放射線16を照射するように放射線源34を制御する。
図19は、変形例3における電子カセッテ20の動作を示すタイムチャートである。放射線16が照射されるまでは、電子カセッテ20の第1読出制御部130は、スキャンモードを繰り返し実行する。そして、放射線源34により放射線16の照射が開始されると、照射開始判定部132は放射線16の照射が開始されたと判定して露光状態に移行する。その後、予め決められた所定時間が経過すると、第2読出制御部136は、順次読出しモードを実行し、放射線16の照射によって画素102に蓄積された電荷を読み出す。その後、第1読出制御部130は、再びスキャンモードを実行するが、放射線16が照射され続けているので、直ぐに照射開始判定部132により放射線16の照射が開始されたと判定して、露光状態に移行する。その後、予め決められた所定時間が経過すると、第2読出制御部136は、順次読出しモードを実行して、その放射線16の照射により画素102に蓄積された電荷を読み出す。このように、放射線16が照射されている間に、放射線撮影を複数回行ってもよい。この予め決められた所定時間は、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断目的に対応する照射時間であってもよく、デフォルト値であってもよく、ユーザーが個別に設定した照射時間であってもよい。
(変形例4)上記実施の形態及び上記変形例1〜3では、スキャンモードは、複数の行単位で同時に読み出すという動作を順次行うことで、全画素102に蓄積された電荷を読み出すようにしたが、予め決められた行の画素のみを読み出すようにしてもよい。以下、本変形例4について詳しく説明する。
図20は、本変形例4の放射線変換パネル64の一部詳細図である。放射線変換パネル64は、ゲート線250を有し、該ゲート線250は、カセッテ制御部122に直接接続されている。ゲート線250は、TFT252を介して画素254に接続されており、TFT252がオンされることにより、画素254に蓄積された電荷は、信号線112から読み出される。このゲート線250は、スキャンモードにより画素254に蓄積された電荷を読み出すためのゲート信号をTFT252に供給するためのものである。つまり、ゲート線250、TFT252、及び画素254は、スキャンモード用に、ゲート線110、TFT72、及び画素102とは別個に設けられたものである。このゲート線250は、放射線変換パネル64に1本設けるようにしてもよく、各ゲート駆動回路150の間に1本設けるようにしてもよい。また、放射線変換パネル64の全領域に亘って等間隔にゲート線250を複数設けてもよい。例えば、第1のゲート駆動回路150及び第2のゲート駆動回路150の間と、第6のゲート駆動回路150及び第7のゲート駆動回路150の間と、第11のゲート駆動回路150及び第12のゲート駆動回路150の間とに、ゲート線250を設けることで、どの領域に放射線16が照射された場合であっても、いずれかの画素254は、放射線16を受光することができる。ゲート線250に接続された画素254が、予め決められた行の画素となる。
なお、図示しないが、各ゲート駆動回路150には、240本のゲート線110が接続されており、各ゲート線110には、TFT72を介して画素102がそれぞれ接続されている。
本変形例4におけるスキャンモードにおいては、第1読出制御部130は、ゲート線250にゲート信号を直接出力することで、画素254に蓄積された電荷を行単位で繰り返し読み出す。例えば、ゲート線250は、1本しかない場合は、該ゲート線250にゲート信号を出力すると、スキャンモードの1サイクルが終了し、次のサイクルで再び該ゲート線250にゲート信号を出力することで、画素254に蓄積された電荷を繰り返し読み出す。
ゲート線250が複数ある場合は、第1読出制御部130は、順次ゲート線250にゲート信号を直接出力することで、画素254に蓄積された電荷を行単位で順次読み出す動作を繰り返す。例えば、ゲート線250が3本ある場合は、0行目のゲート線250にゲート信号を出力することで、0行目のゲート線250に接続された画素254に蓄積された電荷を読み出し、その次に、1行目のゲート線250にゲート信号を出力することで、1行目のゲート線250に接続された画素254に蓄積された電荷を読み出し、最後に、2行目のゲート線250にゲート信号を出力することで、2行目のゲート線250に接続された画素254に蓄積された電荷を読み出す。この2行目のゲート線250にゲート信号を出力すると、スキャンモードの1サイクルが終了し、次のサイクルで再び0行目のゲート線250にゲート信号を出力する。
照射開始判定部132により放射線16の照射が開始したと判断された場合は、直ちにスキャンモードの実行を終了し、露光状態に移行する。ゲート駆動回路150は、照射開始判定部132により放射線16の照射の開始が判定されると、それ以後、ゲート線250にはゲート信号を出力しない。例えば、ゲート線250が3本ある場合であって、0行目のゲート線250へのゲート信号の出力により得られたデジタル値が閾値より大きいと判断された場合は、1行目及び2行目のゲート線250にゲート信号を出力することなく直ちにスキャンモードの実行を終了する。これにより、スキャンモードによる消費電力を抑えることができる。
そして、放射線16を検出してから(放射線16の照射が開始されたと判定されてから)、予め定められた所定時間が経過すると(放射線16の照射が終了すると)、第2読出制御部136は、順次読出しモードを実行する。
つまり、電子カセッテ20は、行列状に配置された複数の画素(第1画素)102と、複数の画素102に蓄積された電気信号を読み出すための行列状に配置された複数のTFT(第1スイッチング素子)72と、各行のTFT72に接続された行方向に平行な複数のゲート線(第1ゲート線)110と、ゲート線110が複数接続され、ゲート線110を介して各行のTFT72にゲート信号を出力する列方向に沿って並列配置された複数のゲート駆動回路150と、複数の画素102に蓄積された電気信号を読み出すための列方向に平行な複数の信号線112とを少なくとも備える。
さらに、電子カセッテ20は、複数の画素102が配置された平面状に、行方向に沿って配置された複数の画素(第2画素)254と、画素254に蓄積された電気信号を読み出すための行方向に沿って配置された複数のTFT(第2スイッチング素子)252と、TFT252に接続された行方向に少なくとも1本以上のゲート線250とを備える。
TFT72、252のゲートはゲート線110、250に接続され、ソースが画素102、254に接続されている。また、TFT72、252のドレインは信号線112に接続されている。各ゲート駆動回路150は、駆動信号aが入力されると、自己に接続されたゲート線110を順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、TFT72をオンにさせ、複数の信号線112を介して自己に接続された画素102に蓄積された電気信号を行単位で順次読み出す。
第1読出制御部130は、ゲート線250にゲート信号を順次入力することで、画素254に蓄積された電気信号を1行単位で順次読み出すスキャンモードを実行する。第2読出制御部136は、各ゲート駆動回路150に順次駆動信号aを入力することで各ゲート駆動回路150を順番に駆動させて、複数の画素102の電気信号を1行単位で順次読み出す順次読出しモードを実行する。
本変形例4におけるカセッテ制御部122の動作は、図13に示すフローチャートと略同一であるが、図13のステップS24で照射開始判定部132が放射線16の照射が開始されたと判定した場合は、第1読出制御部130は、ゲート線250へのゲート信号の出力を直ちに停止して(スキャンモードの実行を終了して)、ステップS25の動作に移行する。ステップS25で、タイマーがスタートされると、ステップS26及びステップS27の動作を経ることなく、そのままステップS28に進む。
本変形例4においては、画素102は、スキャンモードの実行中に電荷の読み出しが行われないので、スキャンモードの実行中も露光状態となる。したがって、画像情報である放射線16を無駄にすることなく、照射された放射線16に応じた電荷を蓄積することができる。また、画素254に蓄積された電荷を読み出して放射線16の照射開始を判定するので、放射線16の照射開始タイミングが分かる。また、放射線16の照射開始タイミングから照射時間が経過すると順次読出しモードに移行するので、放射線16の照射終了後に無駄に露光を行うことがなく、放射線画像のノイズを低減させることができる。画素254に蓄積された電荷を読み出すことにより、放射線16の照射開始を判定するので、スキャンモードによる消費電力を抑えることができる。
本変形例4におけるスキャンモードは、順次スキャンモードと同様に、173μsecの時間で、1行分の画素254に蓄積された電荷を読み出してもよい。このように、173μsecの時間で、画素254に蓄積された電荷を読み出すので、画素102に蓄積された電荷を加算せずとも、放射線16の照射開始の判定精度が低下することがない。また、スキャンモード用のゲート線250は、放射線撮影用のゲート線110より本数が少ないので、順次読出しモードと同じ時間で1行分の画素254に蓄積された電荷を読み出しても、スキャンモードの1サイクルの時間を短くすることができる。例えば、ゲート線250の本数が29本なら、スキャンモードの1サイクルの時間は、約5msecとなり、上記実施の形態のスキャンモードの1サイクルと同じ時間となる。
なお、ゲート線250を複数設ける場合は、ユーザーは、コンソール26の入力部200を操作することで、複数のゲート線250の中から、スキャンモードの実行に用いられるゲート線250を1本又は2本以上選択してもよい。ユーザーは、放射線源34により電子カセッテ20のどの領域に放射線16が照射されるかを予め認識することができるので、放射線16が照射される領域に該当するゲート線250を選択する。選択されたゲート線250を示す情報は、コンソール26からシステムコントローラ24を介して電子カセッテ20に送られる。第1読出制御部130は、スキャンモードを実行する場合は、該選択されたゲート線250に対してのみ、ゲート信号を出力する。
これにより、照射開始判定部132は、早期に且つ確実に放射線16の照射開始を判定することができる。また、放射線16が照射されていない領域のゲート線250にゲート信号を出力しないので、スキャンモードの実行による消費電力をさらに抑えることができる。
また、ゲート線250を複数設ける場合は、放射線16が照射される可能性が高い領域若しくは照射される領域のゲート線250を多く選択し、放射線16が照射される可能性が低い若しくは照射されない領域のゲート線250を少なく選択してもよい。スキャンモードを実行する場合は、該選択されたゲート線250に対してのみ、ゲート信号を出力する。放射線16が照射される可能性が高い領域若しくは照射される領域は、ユーザーがコンソール26の入力部200を操作することで指定することができる。この場合、放射線16が照射される可能性が高い領域若しくは照射される領域は、ユーザーが直接指定してもよいし、ユーザーが選択した撮影部位及び診断目的に応じた領域をシステムコントローラ24の制御部212がテーブル218から読み出して指定してもよい。システムコントローラ24の制御部212は、指定した領域に基づいて、スキャンモードの実行に用いられるゲート線250を選択し、該選択したゲート線250を示す情報を電子カセッテ20に送る。
(変形例5)変形例4では、ゲート線110、TFT72、及び画素102とは別個に、スキャンモード用のゲート線250、TFT252、及び画素254を設けるようにしたが、予め決められたゲート線110、TFT72、及び画素102をスキャンモード用として兼用してもよい。
図21は、本変形例5の放射線変換パネル64の一部詳細図である。図示しないが、各ゲート駆動回路150には、240本のゲート線110が接続されており、各ゲート線110は、TFT72を介して画素102に接続されている。各ゲート駆動回路150に接続されている240本のゲート線110のうちいずれか1つのゲート線110は、バイパス線260を介してカセッテ制御部122に接続されている。バイパス線260には、スイッチング素子262が設けられている。
ここで、第1のゲート駆動回路150のゲート線110に接続されているバイパス線260を第1のバイパス線260と呼び、第2のゲート駆動回路150のゲート線110に接続されているバイパス線を第2のバイパス線260と呼ぶ。同様に、第3〜第12のゲート駆動回路150のゲート線110に接続されている各バイパス線を、第3〜第12のバイパス線260と呼ぶ。また、第1のバイパス線260が接続されているゲート線110を便宜上、第1のスキャン兼用ゲート線110と呼び、第2のバイパス線260が接続されているゲート線110を、第2のスキャン兼用ゲート線110と呼ぶ。同様に、第3〜第12のバイパス線260に接続されているゲート線110を、第3〜第12のスキャン兼用ゲート線110と呼ぶ。なお、本変形例5では、便宜上、ゲート駆動回路150に接続されている240本のゲート線110のうち、いずれか1つをスキャン兼用ゲート線110としたが、スキャン兼用ゲート線110が設けられていないゲート駆動回路150があってもよいし、複数のスキャン兼用ゲート線110が設けられたゲート駆動回路150があってもよい。
本変形例5におけるスキャンモードにおいては、全てのスイッチング素子262がオン、又は、一部のスイッチング素子262がオンになり、第1読出制御部130は、スイッチング素子262がオンになったバイパス線260に順次ゲート信号を出力し、画素102に蓄積された電荷を行単位で順次読み出す。そして、スイッチング素子262がオンになった全てのバイパス線260にゲート信号を出力するとスキャンモードの1サイクルが終了し、次のサイクルに移行する。
例えば、全てのバイパス線260のスイッチング素子262がオンの場合は、第1読出制御部130は、第1のバイパス線260にゲート信号を出力することで、第1のスキャン兼用ゲート線110に接続されている画素102に蓄積された電荷を行単位で読み出す。そして、第2のバイパス線260にゲート信号を出力することで、第2のスキャン兼用ゲート線110に接続されている画素102に蓄積された電荷を行単位で読み出す。このように、第1読出制御部130は、第1のバイパス線260から第12のバイパス線260にゲート信号を順次出力して、第1〜第12のスキャン兼用ゲート線110に接続されている画素102に蓄積された電荷を行単位で順次読み出す。第12のバイパス線260にゲート信号を出力するとスキャンモードの1サイクルが終了し、次のサイクルで、第1のバイパス線260にゲート信号を出力する。
つまり、電子カセッテ20は、行列状に配置された複数の画素102と、複数の画素102に蓄積された電気信号を読み出すための行列状に配置された複数のTFT72と、各行のTFT72に接続された行方向に平行な複数のゲート線110と、ゲート線110が複数接続され、ゲート線110を介して各行のTFT72にゲート信号を出力する列方向に沿って並列配置された複数のゲート駆動回路150と、複数の画素102に蓄積された電気信号を読み出すための列方向に平行な複数の信号線112とを少なくとも備える。
また、複数のゲート線110のうち、少なくとも1本以上のゲート線110には、スイッチング素子262が設けられたバイパス線260が接続されている。つまり、複数のゲート線110のうち、少なくとも1本以上のゲート線110に接続されたスイッチング素子262を有するバイパス線260を1本以上有する。
TFT72のゲートはゲート線110に接続され、ソースが画素102に接続されている。また、TFT72のドレインは信号線112に接続されている。各ゲート駆動回路150は、駆動信号aが入力されると、自己に接続されたゲート線110を順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、TFT72をオンにさせ、複数の信号線112を介して自己に接続された画素102に蓄積された電気信号を行単位で順次読み出す。
第1読出制御部130は、予め決められたゲート線(スキャン兼用ゲート線)110に接続されたバイパス線260のスイッチング素子262をオンにしてゲート信号を出力することで、該予め決められたゲート線110に接続された画素102に蓄積された電気信号を1行単位で順次読み出すスキャンモードを実行する。第2読出制御部136は、各ゲート駆動回路150に順次駆動信号aを入力することで各ゲート駆動回路150を順番に駆動させて、複数の画素102の電気信号を1行単位で順次読み出す順次読出しモードを実行する。
ここで、ユーザーは、コンソール26の入力部200を操作することで、スキャンモードの実行に用いられるスキャン兼用ゲート線110を選択する。この選択されたスキャン兼用ゲート線110が予め決められたゲート線110となり、選択されたスキャン兼用ゲート線110に接続された画素102が予め決められた行の画素102となる。ユーザーは、放射線源34により電子カセッテ20のどの領域に放射線16が照射されるかを予め認識することができるので、放射線16が照射される領域に該当するスキャン兼用ゲート線110を選択する。選択されたスキャン兼用ゲート線110を示す情報は、コンソール26からシステムコントローラ24を介して電子カセッテ20に送られる。第1読出制御部130は、スキャンモードを実行する際に、ユーザーによって選択されたスキャン兼用ゲート線110に接続されたバイパス線260のスイッチング素子262をオンにする。なお、スキャンモードの実行を終了するときは、第1読出制御部130は、全てのスイッチング素子262をオフ状態にさせる。
本変形例5においては、スキャンモードの実行中は、選択されたスキャン兼用ゲート線110のみにゲート信号が出力されるので、選択されたスキャン兼用ゲート線110に接続された画素102(予め決められた画素102)以外の画素102は、スキャンモードの実行中であっても露光状態となる。したがって、画像情報である放射線16を無駄にすることなく、照射された放射線16に応じた電荷を蓄積することができる。放射線16の照射開始タイミングから照射時間が経過すると順次読出しモードに移行するので、放射線16の照射終了後に無駄に露光を行うことがなく、放射線画像のノイズを低減させることができる。
ユーザーは、放射線16が照射される領域にあるスキャン兼用ゲート線110を選択するので、照射開始判定部132は、早期に且つ確実に放射線16の照射開始を判定することができる。また、選択されたスキャン兼用ゲート線110に対してのみゲート信号が出力されるので、スキャンモードの実行による消費電力を抑えることができる。
本変形例5におけるスキャンモードは、順次スキャンモードと同様に、173μsecの時間で、1行分の画素102に蓄積された電荷を読み出してもよい。このように、173μsecの時間で、画素102に蓄積された電荷を読み出すので、画素102に蓄積された電荷を加算せずとも、放射線16の照射開始の判定精度が低下することがない。また、スキャン兼用ゲート線110は、本数が少ないので、順次読出しモードと同じ時間で1行分の画素102に蓄積された電荷を読み出しても、スキャンモードの1サイクルの時間を短くすることができる。
なお、放射線16が照射される可能性が高い領域若しくは照射される領域のスキャン兼用ゲート線110を多く選択し、放射線16が照射される可能性が低い若しくは照射されない領域のゲート線110を少なく選択してもよい。スキャンモードを実行する場合は、該選択されたスキャン兼用ゲート線110に対してのみ、ゲート信号を出力する。放射線16が照射される可能性が高い領域若しくは照射される領域は、ユーザーがコンソール26の入力部200を操作することで指定することができる。この場合、放射線16が照射される可能性が高い領域若しくは照射される領域は、ユーザーが直接指定してもよいし、ユーザーが選択した撮影部位及び診断目的に応じた領域をシステムコントローラ24の制御部212がテーブル218から読み出して指定してもよい。システムコントローラ24の制御部212は、指定した領域に基づいて、スキャンモードの実行に用いられるスキャン兼用ゲート線110を選択し、該選択したスキャン兼用ゲート線110を示す情報を電子カセッテ20に送る。
(変形例6)変形例4では、ゲート線110、TFT72、及び画素102とは別個に、スキャンモード用のゲート線250、TFT252、及び画素254を設けるようにしたが、スキャンモードの実行に用いられる予め決められたゲート駆動回路150を駆動させることで、該ゲート駆動回路150が担当する領域のゲート線110、TFT72、及び画素102をスキャンモード用として兼用してもよい。
第1読出制御部130は、スキャンモードを実行すると、予め決められた1つのゲート駆動回路150に駆動信号cを出力する。駆動信号cが入力されたゲート駆動回路150は、自己が担当する領域の画素102に蓄積された電荷を行単位で0行目から239行目まで順次読み出す。これにより、行単位でデジタル信号の電気信号が順次得られ、照射開始判定部132は、該デジタル信号の電気信号が閾値より大きいと判断した場合は、第1読出制御部130は、スキャンモードの実行を終了する。第1読出制御部130は、照射開始が判定されるまで、スキャンモードを繰り返す。つまり、ゲート駆動回路150から終了信号dが送られてきた場合は、再び駆動信号cを予め決められた該ゲート駆動回路150に出力する。この場合は、1行分の画素102に蓄積された電荷を読み出す時間は、順次読出しモードと同様に173μsecであってもよく、上記実施の形態のスキャンモードと同様に、21μsecであってもよい。
ユーザーは、コンソール26の入力部200を操作することで、スキャンモードの実行に用いられるゲート駆動回路150を選択することができる。ユーザーは、放射線源34により電子カセッテ20のどの領域に放射線16が照射されるかを予め認識することができるので、放射線16が照射される領域に該当する画素102の読み出しを行うゲート駆動回路150を選択する。ユーザーによって選択されたゲート駆動回路150を示す情報は、コンソール26からシステムコントローラ24を介して電子カセッテ20に送られる。第1読出制御部130は、スキャンモードを実行すると、ユーザーによって選択されたゲート駆動回路150を、予め決められたゲート駆動回路150として駆動信号cを出力する。
また、ユーザーは、スキャンモードの実行に用いられるゲート駆動回路150を複数選択してもよい。この場合は、第1読出制御部130は、選択された各ゲート駆動回路150に駆動信号cを同時に出力してもよい。つまり、各ゲート駆動回路150を同時に駆動させてもよい。また、第1読出制御部130は、1つのゲート駆動回路150から終了信号dが送られてくると、次のゲート駆動回路150に駆動信号cを出力するというように、順々に予め決められたゲート駆動回路150を駆動させてもよい。
本変形例6においては、スキャンモードの実行中は、選択されたゲート駆動回路150の以外のゲート駆動回路150は、ゲート信号を出力しないので、選択されたゲート駆動回路150が電荷の読み出しを担当する領域の画素102以外の画素102は、スキャンモードの実行中であっても露光状態となる。したがって、画像情報である放射線16を無駄にすることなく、照射された放射線16に応じた電荷を蓄積することができる。放射線16の照射開始タイミングから照射時間が経過すると順次読出しモードに移行するので、放射線16の照射終了後に無駄に露光を行うことがなく、放射線画像のノイズを低減させることができる。
ユーザーは、放射線16が照射される領域にある画素102に蓄積された電荷を読み出すゲート駆動回路150を選択するので、照射開始判定部132は、早期に且つ確実に放射線16の照射開始を判定することができる。また、選択されたゲート駆動回路150のみが画素102に蓄積される電荷の読み出しを行うので、スキャンモードの実行による消費電力を抑えることができる。
(変形例7)変形例7は、図22〜図27において説明するように、スキャンモードの実行を開始した後(図13のステップS22)、所定時間経過しても放射線16の照射を検出できなければ、スキャンモードを停止して無駄な電力の消費を回避するというものである。なお、変形例7で説明するスキャンモードは、前述した本実施の形態及び変形例1〜6におけるスキャンモードを含むものである。
先ず、変形例7の構成について、図22〜図24を参照しながら説明する。
変形例7において、放射線装置18は、照射野ランプ300及びミラー302をさらに備える。照射野ランプ300は、放射線制御装置36からの制御にしたがって、放射線16の照射前に照射光を出力する。照射野ランプ300から出力された照射光は、放射線16を透過する材質からなるミラー302によって電子カセッテ20側に反射され、パネル部52の撮像面42(図2、図22参照)に投光される。この場合、放射線源34と放射線変換パネル64との間の距離が線源受像画間距離(SID)に調整されていれば、撮像面42における前記照射光の照射範囲と、撮像可能領域60とが略一致する。すなわち、撮像面42に投光された照射光は、放射線16の照射野を示す。なお、放射線制御装置36は、ユーザーが放射線スイッチ38を半押すると、放射線16の照射準備を行う一方で、照射野ランプ300からの照射光の出力を停止させる。
電子カセッテ20には、撮像面42に投光された照射光を検出する光センサ(光検出部)304、電子カセッテ20の移動に応じた加速度を検出する加速度センサ(移動検出部)306、カセッテ制御部122からの信号を音として外部に出力するスピーカ(第1報知部、音出力部)308、及び、カセッテ制御部122からの信号に応じて発光するLED(第1報知部、光出力部)310がさらに設けられている。この場合、光センサ304は、前記照射光を検出できればよく、例えば、撮像面42の任意の箇所に設けられている。また、加速度センサ306は、筐体56内の任意の箇所に設けられている。さらに、スピーカ308及びLED310は、ユーザーが音又は光を認識できればよいので、例えば、制御部54に設けられている。
カセッテ制御部122は、スキャンモード停止判定部(第1読出しモード停止判定部)312、スリープ状態移行判定部314、スキャンモード再開判定部(第1読出しモード再開判定部)316及び画像取得判定部318をさらに備える。スキャンモード停止判定部312は、スキャンモードの実行を一旦停止させるべきか否かを判定する。スリープ状態移行判定部314は、スキャンモードの停止後、電源部128から電子カセッテ20内の各部に対する電力供給を停止させて該電子カセッテ20をスリープ状態に移行させるべきか否かを判定する。スキャンモード再開判定部316は、一旦停止したスキャンモードの実行を再開させるべきか否かを判定する。画像取得判定部318は、スキャンモードの実行が一旦停止して各画素102が露光状態に移行した後、第2読出制御部136を動作させて各画素102から電気信号を順次読出しモードにより読み出すべきか否かを判定する。
システムコントローラ24は、制御部212からの信号に応じて発光するLED(第2報知部、光出力部)322、及び、制御部212からの信号を音として外部に出力するスピーカ(第2報知部、音出力部)320をさらに備える(図24参照)。また、コンソール26も、制御部202からの信号を音として外部に出力するスピーカ(第2報知部、音出力部)324をさらに備える(図24参照)。
以上のように構成される変形例7の放射線撮像システム10の動作について、図25〜図27のフローチャートを参照しながら説明する。また、この動作の説明においては、必要に応じて、図12及び図13のフローチャートや、図22〜図24を参照しながら説明する。
図13のステップS22でスキャンモードの実行が開始されると、次のステップS23において、照射開始判定部132は、メモリ124に記憶されたデジタル信号の電気信号が閾値より大きいか否かを判断し、電気信号が閾値にまで到達していない場合(ステップS23:NO)、図25のステップS41の処理に移行する。
ステップS41において、スキャンモード停止判定部312は、スキャンモードの実行の開始から所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過している場合(ステップS41:YES)、次に、システムコントローラ24又はコンソール26から何らかの信号を受信したか否かを判定する(ステップS42)。システムコントローラ24又はコンソール26からの何らかの信号とは、後述するように、システムコントローラ24の制御部212において再設定(再登録)された撮影メニュー、又は、ユーザーによる入力部200の操作等を示す信号(指示信号)をいう。
システムコントローラ24又はコンソール26から何らかの信号をカセッテ制御部122が受信していなければ(ステップS42:NO)、スキャンモード停止判定部312は、スキャンモードの実行を開始してから所定時間経過しても放射線16の照射が開始されないため、これ以上スキャンモードを継続して実行すると無駄に電力が消費されてしまうと判断し、スキャンモードを停止させることを決定(判定)する。そして、スキャンモード停止判定部312は、この判定結果に従い、第1読出制御部130を制御してスキャンモードを停止させる(ステップS43)。
スキャンモードの停止後、スキャンモード停止判定部312は、第1読出制御部130を制御して全てのTFT252をオフにし、全画素102を露光状態(蓄積状態)に移行させ(ステップS44)、次に、スキャンモードを停止して全画素102を露光状態に移行させたことを示す通知信号を、通信部126から無線によりシステムコントローラ24に送信して(ステップS45)、図27のステップS61に進む。また、スキャンモード停止判定部312は、通知信号に応じた音(例えば、ビープ音)をスピーカ308から外部に出力させるとともに、LED310を発光させる。これにより、ユーザーは、スピーカ308からの音を聞くことにより、あるいは、LED310からの発光を視認することにより、スキャンモードが停止されて、各画素102が露光状態に至ったことを把握することができる。
なお、図25のステップS41において、所定時間経過していない場合(ステップS41:NO)、照射開始判定部132は、ステップS23の判定処理を引き続き行う。
また、上記の説明では、ステップS41〜S43の処理がスキャンモード停止判定部312により行われる場合について説明した。変形例7は、この説明に限定されることはなく、経過時間判定部134がステップS41の判定処理を行ってもよい。すなわち、経過時間判定部134は、放射線16の照射が開始されてから予め決められた所定時間が経過したか否かをステップS28において判定しているので、この判定処理と同様の処理をステップS41で行い、その判定結果を照射開始判定部132及びスキャンモード停止判定部312にそれぞれ通知してもよい。
また、ステップS42において、システムコントローラ24又はコンソール26から何らかの信号を受信していれば、スキャンモード停止判定部312は、新たな指示内容(再登録された撮影メニュー又は指示信号)が通知されたものと認識し、次に、第1読出制御部130を制御してスキャンモードを終了させる(ステップS48)。カセッテ制御部122では、その後、図13のステップS21の処理が行われる。
さらに、スキャンモード停止判定部312は、ステップS41の判定処理後、図25において破線で示すように、ステップS42の判定処理を省略し、ステップS43の処理を行ってもよい。
さらにまた、ステップS43に続く処理として、図25において一点鎖線で示すように、ステップS44に示す露光状態(蓄積状態)への移行に代えて、次に説明するステップS46、S47の処理を行ってもよい。
すなわち、ステップS43の処理後、スキャンモード停止判定部312は、第2読出制御部136を制御してリセット動作を行わせる(ステップS46)。この場合のリセット動作は、順次スキャンモードによるリセット動作である。なお、スキャンモード停止判定部312は、第1読出制御部130を制御してスキャンモードによるリセット動作を行わせてもよいことは勿論である。
次に、スリープ状態移行判定部314は、リセット動作が終了したことを検知すれば、電源部128から電子カセッテ20内の各部への電力供給を停止して、該電子カセッテ20をスリープ状態に移行させる(ステップS47)。あるいは、図25において二点鎖線で示すように、ステップS43の処理後、ステップS46のリセット動作を省略して、ステップS47の処理を行ってもよい。
この結果、スキャンモード停止判定部312は、ステップS47の処理後、ステップS45の処理を実行して、スキャンモードの停止及び電子カセッテ20のスリープ状態への移行を示す通知信号を、通信部126から無線により通信部214に送信する。また、この場合でも、スピーカ308から音が外部に出力されるとともに、LED310が発光するので、ユーザーは、音を聞くことにより、あるいは、LED310からの発光を視認することにより、スキャンモードが停止されるとともに、電子カセッテ20がスリープ状態に至ったことを把握することができる。
なお、電子カセッテ20のスリープ状態への移行は、放射線16の照射前における無駄な電力消費の回避を目的として行われるため、前記スリープ状態では、少なくとも放射線変換パネル64及び駆動回路部106に対する電力供給を停止し、一方で、カセッテ制御部122及び通信部126に対する電力供給は継続させてもよい。これにより、スリープ状態であっても、電子カセッテ20とシステムコントローラ24との間での信号の送受信が可能になるとともに、システムコントローラ24から受信した信号に基づいて、該電子カセッテ20をスリープ状態からアクティブ状態に速やかに移行させることが可能になる。
図12のステップS4を経ると、図26のステップS51に進み、システムコントローラ24の制御部212は、電子カセッテ20から通信部214を介して通知信号を受信できたか否かを判定する。通知信号を受信できた場合(ステップS51:YES)、制御部212は、ステップS52において、LED322を発光させるとともに、スピーカ320から外部に音(例えば、ビープ音)を出力させる。また、制御部212は、通知信号をコンソール26に出力し、コンソール26の制御部202は、通知信号の示す内容を表示部204に画像(例えば、スクリーンセーバ表示)として表示させるとともに、スピーカ324から外部に音(例えば、ビープ音)として出力させる。
これにより、ユーザーは、LED322の発光や表示部204の画像を視認することにより、さらには、スピーカ320、324からの音を聞くことにより、スキャンモードが停止されるとともに、全画素102が露光状態に至ったか、あるいは、電子カセッテ20がスリープ状態に至ったことを把握することができる。
次に、ユーザーが入力部200を操作すると(ステップS53:YES)、制御部202は、表示部204のスクリーンセーバ表示を停止して通常の画面表示に切り替えるとともに、入力部200が操作されたことをシステムコントローラ24の制御部212に通知する。
制御部212は、制御部202からの通知に基づき、前述の電子カセッテ20からの通知信号がスキャンモードの実行の停止と全画素102の露光状態との通知を示すものであれば、スキャンモードの再開、又は、順次スキャンモードによる全画素102からの電気信号の読出しを指示する指示信号を生成し、生成した指示信号を通信部214から無線により電子カセッテ20に送信して(ステップS54)、図12のステップS5に進む。
あるいは、制御部212は、制御部202からの通知に基づき、電子カセッテ20からの通知信号がスキャンモードの実行の停止とスリープ状態とを通知するものであれば、スリープ状態からアクティブ状態(起動状態)への移行及びスキャンモードの再開を指示する指示信号を生成し、生成した指示信号を通信部214から無線により電子カセッテ20に送信する(ステップS54)。
また、ユーザーが入力部200を操作して撮影メニューの再設定を行った場合(ステップS53:YES)、図26において破線で示すように、制御部202は、ユーザーが再設定した撮影メニューを制御部212に送信し、制御部212は、制御部202から受信した撮影メニューを、電子カセッテ20に既に送信している現在の撮影メニューに代わる新たな撮影メニューとして再登録し、再登録した撮影メニューを通信部214から無線により電子カセッテ20に送信する(ステップS55)。この場合、制御部212は、前記撮影メニューの送信とともに、指示信号も通信部214から電子カセッテ20に送信して(ステップS54)、図12のステップS5に進む。
そして、図27のステップS61において、スキャンモード再開判定部316及び/又は画像取得判定部318は、通信部126がシステムコントローラ24から指示信号及び/又は撮影メニューを受信したか(ステップS61)、光センサ304から照射光に応じた検出信号が入力されたか(ステップS62)、並びに、加速度センサ306から電子カセッテ20の移動に応じた検出信号が入力されたか(ステップS63)、の各判定処理を、順次実行する。
これらステップS61〜S63の判定処理において、システムコントローラ24から何らかの信号(撮影メニュー、指示信号)を受信できた場合(ステップS61:YES)、光センサ304から検出信号が入力された場合(ステップS62:YES)、あるいは、加速度センサ306から検出信号が入力された場合(ステップS63:YES)には、スキャンモード再開判定部316は、スキャンモードの再開を決定し、画像取得判定部318は、露光状態にある全画素102から順次読出しモードによる電気信号の取得を決定する(ステップS64)。
そして、先ず、スキャンモード再開判定部316は、前記指示信号がスキャンモードの再開の指示を示すものであるか、又は、新たな撮影メニューであるためスキャンモードの実行が必要である場合(ステップS65:YES)、図13のステップS22の処理を実行して、第1読出制御部130にスキャンモードの実行を再開させる。
また、画像取得判定部318は、前記指示信号がスキャンモードの再開の指示を示すものではなく、しかも、新たな撮影メニューが受信されなかった場合に(ステップS65:NO)、当該指示信号が、露光状態にある全画素102からの順次読出しモードによる電気信号の取得を示すものであれば(ステップS66:YES)、第2読出制御部136を制御して、図13のステップS29、S30と同様の順次読出しモードを実行させる(ステップS67)。
そして、画像取得判定部318は、得られた電気信号の値(デジタル信号の画素値)が所定値(所定の閾値)よりも大きければ(ステップS68:YES)、露光状態の時間帯において、放射線源34から被写体14を介して電子カセッテ20に放射線16が照射され、当該電気信号が被写体14の放射線画像に応じた信号であるとみなして、該画素値をメモリ124に記憶する(ステップS69)。これにより、被写体14の放射線画像を確実に取得することができるとともに、被写体14に対する再撮影を回避することができる。なお、カセッテ制御部122は、その後、図13のステップS32の処理を実行する。
また、ステップS68において、得られた画素値が所定値に到達していなければ(ステップS68:NO)、露光状態の時間帯に放射線16の照射がなかったものと判定し、得られた画素値を破棄(画素値の電気信号をグランドに放出)して(ステップS70)、順次読出しモードを終了させる(ステップS71)。その後、カセッテ制御部122は、図25のステップS44、S46又はS47の処理を実行する。
さらに、ステップS66において、前記指示信号が露光状態にある全画素102からの順次読出しモードによる電気信号の取得ではなく、電子カセッテ20の起動を示すものであれば(ステップS66:NO)、スキャンモード再開判定部316は、電源部128から電子カセッテ20内の各部に対する電力供給を再開させて、該電子カセッテ20をスリープ状態からアクティブ状態に移行させる(ステップS72)。その後、カセッテ制御部122では、図13のステップS22の処理が行われ、スキャンモードの実行が再開される。
このように、変形例7では、スキャンモードの実行を開始してから所定時間経過しても、電気信号の値が閾値に到達しなければ、スキャンモードを停止させるので、放射線16の照射前におけるスキャンモードの実行にかかる無駄な電力消費を回避することができる。また、システムコントローラ24からの指示信号や撮影メニューの受信がない場合でもスキャンモードを停止させるので、放射線16の照射前における消費電力の低減を効率よく行うことができる。したがって、変形例7における上述した一連の処理を本実施の形態及び変形例1〜6に適用すれば、本実施の形態及び変形例1〜6においても、放射線16の照射前における消費電力の低減を実現することができる。
さらに、スキャンモードの停止後、全画素102を露光状態(蓄積状態)に移行させれば、露光状態の時間帯に被写体14及び電子カセッテ20に対して放射線16の照射が行われたときには、被写体14の放射線画像に応じた電荷(電気信号)を確実に各画素102に蓄積させることができる。
また、スキャンモードの停止後、リセット動作を行った後に電子カセッテ20をスリープ状態に移行させるか、あるいは、直ちにスリープ状態に移行させることにより、放射線16の照射前での電力消費を一層低減させることができる。
しかも、変形例7では、スキャンモードの停止や、露光状態又はスリープ状態への移行を示す通知信号に応じて、スピーカ308が音を出力し、LED310が発光する。また、電子カセッテ20からシステムコントローラ24に通知信号を送信することで、システムコントローラ24では、受信した通知信号に応じて、スピーカ320が音を出力するとともに、LED322が発光する。さらに、コンソール26では、システムコントローラ24からの前記通知信号に応じて、表示部204が画像を表示するとともに、スピーカ324が音を出力する。したがって、ユーザーは、スピーカ308、320、324の音を聞くことにより、あるいは、表示部204の画像やLED310、322からの光を視認することにより、スキャンモードの停止等を容易に把握することができる。
また、システムコントローラ24の制御部212で撮影メニューが再登録され、あるいは、ユーザーの入力部200の操作に起因して制御部212が指示信号を生成したときに、該システムコントローラ24は、撮影メニューや指示信号を電子カセッテ20に送信する。また、撮影準備の際、照射野ランプ300が撮像面42に照射光を投光すると、光センサ304は、前記照射光を検出し、その検出信号をカセッテ制御部122に出力する。さらに、撮影準備の際、ユーザーが電子カセッテ20を移動させると、加速度センサ306は、電子カセッテ20の移動に伴う加速度を検出し、その検出信号をカセッテ制御部122に出力する。
したがって、スキャンモード再開判定部316や画像取得判定部318は、撮影メニューや指示信号の受信、検出信号の入力に基づいて、スキャンモードの再開、露光状態の全画素102からの順次読出しモードによる電気信号の読出し、あるいは、電子カセッテ20のスリープ状態からアクティブ状態への移行及びスキャンモードの再開に関わる判定処理を効率よく且つ確実に行うことが可能となる。
また、スキャンモードの実行を再開する前に、順次読出しモードにより露光状態の全画素102から電気信号を読み出すことで、露光状態の時間帯に被写体14及び電子カセッテ20に対して放射線16の照射が行われた場合に、該被写体14の放射線画像に応じた電気信号を確実に読み出すことができる。このように、放射線画像に応じた電気信号を読み出すことにより、被写体14に対する再撮影を回避することも可能となる。
この場合、画像取得判定部318において、読み出した電気信号が所定値に到達しているか否かを判定することにより、放射線画像を効率よく取得することが可能になる。また、電気信号が所定値に到達していなければ、電気信号をグランドに放出すればよいので、不要なデータがメモリ124に誤って記憶されることを回避することもできる。
なお、変形例7では、ステップS44における露光状態への移行後、所定時間経過しても放射線16が検出できない場合には、図25において太い破線で示すように、ステップS47に移行して、電子カセッテ20をスリープ状態に移行させてもよい。この場合でも、放射線16の照射前での電力消費の低減を図ることができる。
また、変形例7において、第2読出制御部136は、第1読出制御部130によるスキャンモードの実行に先立ち、複数の画素102に蓄積された電気信号を1行単位で順次読み出すことで、複数の画素102に蓄積された電気信号を画像補正用のオフセット信号(無曝射信号)として読み出すオフセット信号読出しモードを実行するか、又は、リセット動作を実行してもよい。この場合でも、放射線16の照射前に各画素102から確実に電荷が除去されるので、高画質の放射線画像を取得することができる。また、取得した放射線画像に対してオフセット信号を用いた画像補正処理を行えば、より高画質の放射線画像を得ることができる。
(変形例8)図28は、変形例8における電子カセッテ20の電気的な概略構成図である。制御部54は、カセッテ制御部122、メモリ124、通信部126、及び電源部128の他に、さらに、カセッテ制御部122からの信号を音として外部に出力するスピーカ(第1報知部、音出力部)308と、カセッテ制御部122からの信号に応じて発光するLED(第1報知部、光出力部)310とを有する。スピーカ308、及びLED310は、制御部54の筐体68の内部に設けられている。
カセッテ制御部122は、第1読出制御部130、照射開始判定部132、経過時間判定部134、及び第2読出制御部136の他に、モード移行判定部330を有する。モード移行判定部330は、各画素102に蓄積された電荷を読み出す読出しモードが、スキャンモードに移行したかを判定する。具体的に、モード移行判定部330は、第1読出制御部130がスキャンモードの実行を開始したときに、第1読出しモードに移行したと判定し、その判定結果を示すスキャンモード移行信号(通知信号)をスピーカ308、LED310及び通信部126に出力する。スピーカ308は、スキャンモード移行信号を音(例えば、ビープ音)として外部に出力する。LED310は、スキャンモード移行信号に応じて発光する。通信部126は、スキャンモード移行信号を無線によりシステムコントローラ24に送信する。
なお、読出しモードとしては、前述のように、スキャンモードと順次読出しモードとがある。そのため、放射線16の照射前には、スキャンモードのみならず、順次読出しモードを行う場合もある。
すなわち、電子カセッテ20では、例えば、システムコントローラ24から撮影メニューを受信したときにスキャンモードを開始する場合や、撮影メニューの受信前は順次読出しモードを実行し、撮影メニューを受信したときに順次読出しモードからスキャンモードに移行する場合がある。スキャンモードの実行に先立って行われる順次読出しモードとしては、複数の画素102に蓄積された電気信号を1行単位で順次読み出すことで、複数の画素102に蓄積された電気信号を画像補正用のオフセット信号(無曝射信号)として読み出すオフセット信号読出しモードや、リセット動作がある。
そこで、モード移行判定部330は、いずれの場合にも対応するために、第1読出制御部130によるスキャンモードの実行開始を検出することで、(順次読出しモードから)スキャンモードに移行したと判定する。
図29は、変形例8におけるシステムコントローラ24及びコンソール26の電気的な概略構成図である。
コンソール26は、入力部200、制御部202、表示部204、及びインターフェースI/F206の他に、さらに、制御部202からの信号を音として出力するスピーカ(第2報知部、音出力部)324を有する。
システムコントローラ24は、インターフェースI/F210、制御部212、通信部214、記録部216、及びテーブル218を有するデータベース220の他に、さらに、制御部212からの信号を音として外部に出力するスピーカ(第2報知部、音出力部)320と、制御部212からの信号に応じて発光するLED(第2報知部、光出力部)322とを有する。
制御部212は、通信部214が電子カセッテ20からスキャンモード移行信号を受信したときに、コンソール26の制御部202に送信するとともに、スピーカ320及びLED322にも出力する。スピーカ320は、スキャンモード移行信号を音(例えば、ビープ音)として外部に出力する。LED322は、スキャンモード移行信号に応じて発光する。また、制御部202は、制御部212から受信したスキャンモード移行信号に応じた画像を表示部204に表示させるとともに、スキャンモード移行信号を示す音(例えばビープ音)をスピーカ324から外部に出力させる。
次に、本変形例8における放射線撮像システム10の動作を図30及び図31のフローチャートにしたがって説明する。図30は、放射線撮像システム10のシステムコントローラ24及びコンソール26の動作を示すフローチャートであり、図31は、カセッテ制御部122の動作を示すフローチャートである。先ず、システムコントローラ24及びコンソール26の動作を説明してから、カセッテ制御部122の動作を説明する。
コンソール26の制御部202は、ユーザーの入力部200の操作により撮影部位及び診断部位と撮影枚数とが選択されたか否かを判断する(ステップSA1)。このとき、制御部202は、ユーザーが撮影部位及び診断部位と撮影枚数を選択するための画像(撮影メニュー)を表示部204に表示させる。ユーザーは、表示された画像を見ながら、これから放射線撮影の対象となる患者の撮影部位及び診断部位を選択することができる。
ステップSA1で、撮影部位及び診断部位と撮影枚数とが選択されていないと判断すると、選択されるまでステップSA1に留まる。
一方、ステップSA1で、撮影部位及び診断部位と撮影枚数とがユーザーに選択されたと判断すると、撮影条件設定部222は、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断部位に応じた撮影条件をテーブル218から読み出し、該読み出した撮影条件をこれから行う放射線撮影の撮影条件として設定するとともに、撮影枚数設定部224は、ユーザーによって選択された撮影枚数を設定する(ステップSA2)。詳しくは、撮影部位等がユーザーの入力部200の操作により選択されると、制御部202は、選択された撮影部位等(を含む撮影メニュー)をインターフェースI/F206、210を介して、システムコントローラ24の制御部212に出力する。そして、制御部212の撮影条件設定部222は、コンソール26から送られてきた撮影部位及び診断部位に対応する撮影条件に設定するとともに、コンソール26から送られてきた撮影枚数に設定する。なお、システムコントローラ24は、該設定した撮影条件を、インターフェースI/F210、206を介して制御部202に出力し、制御部202は、設定された該撮影条件及び撮影枚数を表示部204に表示させてもよい。これにより、ユーザーは、設定された撮影条件の内容を視認することができる。
ユーザーは、設定した撮影条件で放射線源34から放射線16が照射されるようにするために、放射線制御装置36に設けられた前記入力装置を操作することで、システムコントローラ24側で設定した撮影条件と同一の撮影条件を放射線制御装置36にも設定させる。例えば、放射線装置18に、テーブル218と同一のテーブルを持たせて、ユーザーが撮影部位及び診断部位を選択することで、同一の撮影条件を設定しても良く、ユーザーが直接照射時間、管電圧、管電流等を入力してもよい。
撮影条件を設定すると、制御部212は、通信部214を介して、電子カセッテ20に起動信号を送信することで、電子カセッテ20を起動させる(ステップSA3)。なお、電子カセッテ20は、起動信号が送られてくるまではスリープ状態となっている。スリープ状態とは、少なくとも放射線変換パネル64及び駆動回路部106には電力が供給されていない状態をいう。なお、電子カセッテ20は、起動するとスキャンモードを実行し、モード移行判定部330は、スキャンモードの実行を判定し、その判定結果をスキャンモード移行信号として生成する。電子カセッテ20は、起動後、スキャンモードを実行する前にリセット動作を行ってもよい。
次いで、撮影条件設定部222及び撮影枚数設定部224は、通信部214を介して、該設定した照射時間及び撮影枚数とを電子カセッテ20に送信する(ステップSA4)。
また、制御部212は、通信部214が電子カセッテ20からスキャンモード移行信号を受信したか否かを判定する(ステップSA5)。
ステップSA5で、スキャンモード移行信号を受信した場合、制御部212は、スキャンモード移行信号を示す音(ビープ音)をスピーカ320から外部に出力させるとともに、LED322を発光させる。また、制御部212は、コンソール26の制御部202にスキャンモード移行信号を送信し、制御部202は、受信したスキャンモード移行信号に応じた画像を表示部204に表示させるとともに、スキャンモード移行信号を示す音(ビープ音)をスピーカ324から外部に出力させる(ステップSA6)。これにより、ユーザーは、スピーカ320、324からの音を聞くことにより、及び/又は、LED322の発光や表示部204の画像を視認することにより、スキャンモードの実行が開始されて、放射線16の照射が可能な状態に至った(撮影が許可された)ことを把握することができる。なお、制御部212は、ステップSA5で、スキャンモード移行信号を受信していないと判断すると、受信するまでステップSA5に留まる。
次いで、制御部212は、電子カセッテ20からの読出し開始信号を受信したか否かを判断する(ステップSA7)。読出し開始信号とは、順次読出しモードで画素102に蓄積された電荷の読み出しを開始することを示す信号である。
ステップSA7で、読出し開始信号を受信していないと判断すると受信するまでステップSA7に留まり、読出し開始信号を受信したと判断すると、画像記録制御部226は、1行分の画像データが送られてきたか否かを判断する(ステップSA8)。電子カセッテ20は、行単位で順次読み出された1行分の画像データを順次システムコントローラ24に出力するので、システムコントローラ24には、1行分の画像データが順次送られてくる。
ステップSA8で、1行分の画像データが送られてきたと判断すると、画像記録制御部226は、送られてきた1行分の画像データを制御部212の図示しないバッファメモリに記憶する(ステップSA9)。
次いで、画像記録制御部226は、1フレーム分の画像データの読み出しが終了したか否かを判断する(ステップSA10)。電子カセッテ20は、1フレーム分の画像データの読み出しが終了した場合には、読出し終了信号をシステムコントローラ24に出力し、画像記録制御部226は、該読出し終了信号を受信した場合は、1フレーム分の画像データの読み出しが終了したと判断する。
ステップSA10で、1フレーム分の画像データの読み出しが終了していないと判断した場合は、ステップSA8に戻り、上記した動作を繰り返す。
ステップSA10で、1フレーム分の画像データの読み出しが終了したと判断すると、バッファメモリに記憶した1フレーム分の画像データから画像ファイルを生成して記録部216に記録する(ステップSA11)。
次いで、画像記録制御部226は、ステップSA2で設定された撮影枚数分の画像データが送られてきたか否かを判断する(ステップSA12)。ステップSA12で、設定された撮影枚数分の画像データが送られてきていないと判断するとステップSA8に戻り、撮影枚数分の画像データが送られてきたと判断すると処理を終了する。
次に、電子カセッテ20の動作を、図31に示すフローチャートにしたがって説明する。システムコントローラ24から起動信号が送られてくると、電子カセッテ20は起動し、カセッテ制御部122は、システムコントローラ24から送られてくる照射時間及び撮影枚数をメモリ124に記憶させる(ステップSA21)。
次いで、カセッテ制御部122の第1読出制御部130は、スキャンモードの実行を開始する(ステップSA22)。これにより、モード移行判定部330は、スキャンモードの実行が開始されたと判定し、その判定結果を示すスキャンモード移行信号を通信部126、スピーカ308及びLED310に出力する。通信部126は、スキャンモード移行信号を無線によりシステムコントローラ24に送信する。スピーカ308は、スキャンモード移行信号を音(ビープ音)として外部に出力し、LED310は、スキャンモード移行信号に応じて発光する(ステップSA23)。したがって、ユーザーは、前述のステップSA6と同様に、スピーカ308からの音を聞くことにより、及び/又は、LED310の発光を視認することにより、スキャンモードの実行が開始されて、放射線16の照射が可能な状態に至った(撮影が許可された)ことを把握することができる。
スキャンモードの実行を開始すると、第1読出制御部130は、各ゲート駆動回路150に駆動信号cを出力する。各ゲート駆動回路150は、駆動信号cを受け取ると、自己が担当するゲート線110を0行目から順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、自己が担当する領域の画素102に蓄積された電荷を0行目から行単位で順次読み出す。これにより、各ゲート駆動回路150が担当する領域の画素102に蓄積された電荷が同時に行単位で順次読み出され、読み出された電荷は列毎に加算される。
詳しくは、各ゲート駆動回路150が担当する領域の0行目の画素102に蓄積された電荷が同時に読み出され、列毎に加算されて、各列のチャージアンプ116に出力される。そして、各ゲート駆動回路150が担当する領域の1行目の画素102に蓄積された電荷が同時に読み出され、列毎に加算されて、各列のチャージアンプ116に出力される。このような動作を239行目まで行う。
行単位で順次読み出され、列毎に加算された1行分の電荷は、チャージアンプ116に送られ、マルチプレクサ部118及びAD変換部120を介してデジタル信号の電気信号としてメモリ124に記憶されていく。これにより、メモリ124には、加算された1行分の画像データが順次記憶されていくことになる。各ゲート駆動回路150は、239行目の画素102に蓄積された電荷を読み出すと、終了信号dをカセッテ制御部122に出力する。
なお、第1読出制御部130は、スキャンモードを実行している間は、各チャージアンプ116のスイッチ160をオフ状態に制御する。これにより、各チャージアンプ116は、入力された電荷信号を電圧信号として出力することができる。カセッテ制御部122は、起動してからスキャンモードの実行を開始する前に、リセット動作を行うようにしてもよい。また、第1読出制御部130は、起動してから一定時間(例えば、10秒)経過後にスキャンモードの実行を開始するようにしてもよい。
次いで、照射開始判定部132は、メモリ124に記憶されたデジタル信号の電気信号が、閾値より大きいか否かを判断する(ステップSA24)。放射線源34から電子カセッテ20に対して放射線16が照射されると、メモリ124に記憶されるデジタル信号の電気信号は閾値より大きくなる。つまり、デジタル信号の電気信号が閾値より大きいか否かで、放射線16が照射されたか否かを検出している。ステップSA24で、電気信号が閾値より大きくないと判断すると、閾値より大きいと判断されるまでステップSA24に留まる。各ゲート駆動回路150から終了信号d1〜d12がカセッテ制御部122に送られてきた場合は(1フレーム分の電荷を読み出した場合は)、第1読出制御部130は、再び駆動信号c1〜c12を各ゲート駆動回路150に出力する。駆動信号c1〜c12が各ゲート駆動回路150に入力されてから終了信号d1〜d12が出力されるまでをスキャンモードの1サイクルとする。なお、終了信号d1〜d12は、同じタイミングで各ゲート駆動回路150から送られてくる。
一方、ステップSA24で、メモリ124に記憶されたデジタル信号の電気信号が、閾値より大きいと判断した場合は、照射開始判定部132は、放射線源34により放射線16の照射が開始されたと判定する(ステップSA25)。
すなわち、スピーカ308、320、324からのビープ音、LED310、322からの発光、及び/又は、表示部204での画像の表示を確認して、スキャンモードの実行が開始されたこと(撮影が許可されたこと)を把握した後、ユーザーがスキャンモードの実行中に、放射線スイッチ38を半押すると、放射線制御装置36は放射線16の照射準備を行い、その後、ユーザーが放射線スイッチ38を全押すると、放射線制御装置36は放射線源34から放射線16を予め決められた所定時間照射する。放射線制御装置36は、上述したように、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断部位に対応した撮影条件で放射線16を照射するので、予め決められた所定時間は、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断部位に応じた照射時間である。また、複数毎撮影を行う場合は、ユーザーは、ある程度の時間間隔で放射線スイッチ38を操作して、放射線源34から放射線16を照射させる。
ステップSA25で放射線16の照射が開始されたと判定すると、カセッテ制御部122は、次に、タイマーをスタートさせ(ステップSA26)、第1読出制御部130は、スキャンモードの実行により、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが全て終了したか(1フレーム分の電荷の読み出しが終了したか)否かを判断する(ステップSA27)。つまり、第1読出制御部130は、放射線16の照射が開始されたと判定されてから、スキャンモードの1サイクルが終了したか否かを判断する。具体的には、第1読出制御部130は、放射線16の照射開始判定後に、各ゲート駆動回路150から終了信号d1〜d12が送られてきたか否かを判断する。
ステップSA27で、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了していないと判断した場合は、終了したと判断するまでステップSA27に留まり、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了したと判断した場合は、放射線撮影を行う。つまり、放射線16を露光し、該放射線16の露光によって画素102に蓄積された電荷の読み出しを行う。詳しくは、第1読出制御部130は、露光を開始するためにスキャンモードの実行を終了して、露光状態に移行させる(ステップSA28)。つまり、第1読出制御部130は、終了信号d1〜d12が送られてきても、それ以後、駆動信号c1〜c12を各ゲート駆動回路150に出力しない。なお、第1読出制御部130は、スキャンモードが終了すると同時に、チャージアンプ116のスイッチ160をオンにする。これにより、コンデンサ158に蓄えられた不要な電荷を放出させることができ、放射線画像の画質を良くすることができる。
ステップSA28で、スキャンモードの実行を終了すると、経過時間判定部134は、放射線16の照射が開始されたと判定されてから予め決められた所定時間が経過したか否かを判断する(ステップSA29)。ステップSA29で、放射線16の照射が開始されてから予め決められた所定時間が経過していないと判断すると、所定時間が経過するまでステップSA29に留まる。この予め決められた所定時間は、ユーザーによって選択された撮影部位及び診断目的に対応する照射時間なので、ステップSA29では、放射線16の照射が終了したか否かを判断している。したがって、スキャンモードの実行を終了してから予め決められた所定時間が経過するまでは、放射線撮影のための露光を行っている。
一方、ステップSA29で、放射線16の照射が開始されてから予め決められた所定時間が経過したと判断すると、露光を終了し、放射線16の露光により得られた電荷を読み出すために、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行を開始する(ステップSA30)。このとき、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行を開始するのに先立って、又は、開始時、若しくは開始後に、通信部126を介して読出し開始信号をシステムコントローラ24に出力する。これにより、システムコントローラ24は、これから放射線画像の画像データが電子カセッテ20から送られてくることがわかり、画像データの受け入れ準備をすることができる。
順次読出しモードが実行されると、第2読出制御部136は、第1のゲート駆動回路150に駆動信号a1を出力する。第1のゲート駆動回路150は、駆動信号a1を受け取ると、自己が担当するゲート線110を0行目から順次選択し、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、自己が担当する領域の画素102に蓄積された電荷を0行目から行単位で順次読み出す。これにより、第1のゲート駆動回路150が担当する領域の画素102に蓄積された電荷が行単位で0行目〜239行目まで順次読み出される。第1のゲート駆動回路150は、239行目を選択すると、終了信号b1をカセッテ制御部122に出力する。
第2読出制御部136は、終了信号b1を受け取ると、駆動信号a2を第2のゲート駆動回路150に出力する。このような動作を第12のゲート駆動回路150まで行う。これにより、放射線変換パネル64の0行目から2879行目までの画素102に蓄積された電荷が行単位で順次読み出される。この行単位で順次読み出された電荷は、各列のチャージアンプ116に入力され、その後、マルチプレクサ部118及びAD変換部120を介して、デジタル信号の電気信号としてメモリ124に記憶される。つまり、メモリ124には、行単位で得られた1行分の画像データが順次記憶される。
なお、カセッテ制御部122は、順次読出しモードを実行している間は、各チャージアンプ116のスイッチ160をオフ状態に制御する。これにより、各チャージアンプ116は、入力された電荷信号を電圧信号として出力することができる。
順次読出しモードの実行を開始すると、カセッテ制御部122は、行単位で得られた1行分の画像データを順次システムコントローラ24に送信する動作を開始する(ステップSA31)。つまり、メモリ124に1行分の画像データを記憶すると、通信部126を介して該記憶した画像データをシステムコントローラ24に送信する。
次いで、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行により、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了したか(1フレーム分の電荷の読み出しが終了したか)否かを判断する(ステップSA32)。つまり、順次読出しモードの1サイクルが終了したか否かを判断する。具体的には、第2読出制御部136は、第12のゲート駆動回路150から終了信号b12が送られてきたか否かを判断する。
ステップSA32で、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了していないと判断した場合は、終了したと判断するまでステップSA32に留まり、全画素102に蓄積された電荷の読み出しが終了したと判断した場合は、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行を終了する(ステップSA33)。このとき、第2読出制御部136は、通信部126を介して、読出し終了信号をシステムコントローラ24に出力する。
次いで、カセッテ制御部122は、ステップSA21で記憶した撮影枚数(ユーザーによって設定された撮影枚数)分の撮影を行ったか(撮影枚数分の露光及び順次読み出しを実行したか)否かを判断する(ステップSA34)。ステップSA34で、記憶した撮影枚数分の撮影を行っていないと判断するとステップSA22に戻り上記した動作を繰り返し、記憶した撮影枚数分の撮影を行ったと判断すると処理を終了する。
本変形例8では、モード移行判定部330によりスキャンモードの実行の開始を判定し、その判定結果をスピーカ308、320、324や、LED310、322や、表示部204を用いて外部に報知することで、スキャンモードの実行の開始をユーザーに通知(放射線16の照射の適切なタイミングを撮影許可としてユーザーに通知)することが可能になる。したがって、報知後、ユーザーが放射線スイッチ38を操作して、被写体14に対する放射線16の照射を行えば、高画質の放射線画像を得ることができる。また、適切なタイミングで放射線16を照射することで、再撮影の発生を回避することが可能となる。このように、本変形例8では、撮影タイミングの同期を必要とせずに、適切なタイミングでの被写体14に対する放射線16の照射が可能になるので、低コストで放射線画像のノイズを低減することができる。
なお、本変形例8において、第2読出制御部136は、第1読出制御部130によるスキャンモードの実行に先立ち、複数の画素102に蓄積された電気信号を1行単位で順次読み出すことで、複数の画素102に蓄積された電気信号を画像補正用のオフセット信号(無曝射信号)として読み出すオフセット信号読出しモードを実行するか、又は、リセット動作を実行してもよい。この場合でも、放射線16の照射前に各画素102から確実に電荷が除去されるので、高画質の放射線画像を取得することができる。また、取得した放射線画像に対してオフセット信号を用いた画像補正処理を行えば、より高画質の放射線画像を得ることができる。
さらに、本変形例8では、上述のように、音、光又は画像表示等、ユーザーの視覚又は聴覚を介してスキャンモードの実行開始(撮影許可)を通知するため、例えば、電子カセッテ20と無線により接続可能な無線アクセスポイントにスピーカや表示装置を接続しておき、該無線アクセスポイントがスキャンモード移行信号を受信したときに、前記スピーカや前記表示装置が所定の報知処理(ビープ音の出力や、撮影許可の表示)を行うようにすることも可能である。なお、上記変形例1〜7は、本変形例8のように変形可能なことはいうまでもない。
(変形例9)変形例9では、図32〜図35に示すように、撮影メニューに含まれる被写体14の撮影部位(撮影領域)352、356の大きさが放射線変換パネル64の平面積よりも小さい場合に、電荷の読出し及び放射線16の照射開始の判定にかかる消費電力の低減を目的として、撮影部位352、356に対応した複数の画素102についてのみ電気信号の読出しを行うとともに、放射線16の照射開始の判定を行う。
先ず、図32の例について説明する。前述したように、各ゲート駆動回路150及び各マルチプレクサ152(図7参照)は、読出し対象の画素102(自己が読出しを担当する領域)が予め定められている。すなわち、放射線変換パネル64を構成する全画素102について、1つのゲート駆動回路150及び1つのマルチプレクサ152は、複数の画素102から構成される画素担当領域350(240行×256列の複数の画素102から構成される領域)を担当し、該画素担当領域350内の画素102から電気信号を読み出す。したがって、各ゲート駆動回路150及び各マルチプレクサ152は、放射線変換パネル64を複数の画素102毎に分割した1つの画素担当領域350をそれぞれ担当する。
図32の場合、システムコントローラ24の制御部212(図10参照)は、ユーザーによる入力部200の操作によって、被写体14の胸部が撮影部位352として選択されたことに起因して撮影メニューを登録(設定)し、登録した撮影メニューを電子カセッテ20(図6参照)に送信する。電子カセッテ20のカセッテ制御部122は、受信した撮影メニューの撮影部位352を把握するとともに、平面視で、該撮影部位352を含むような画素102の行列の範囲である太枠354を設定する。これにより、太枠354内の画素担当領域350が設定される。
そして、カセッテ制御部122は、太枠354内の画素担当領域350に対応する第1〜第8のゲート駆動回路150と、第2〜第8のマルチプレクサ152とをそれぞれ駆動させることにより、太枠354内の画素担当領域350の画素102から電荷を読み出すように第1読出制御部130及び第2読出制御部136を制御する一方で、太枠354内の画素担当領域350の画素102についてのみ放射線16の照射開始の判定をするように照射開始判定部132を制御する。
これにより、放射線変換パネル64のうち、太枠354の外側の画素担当領域350の画素102からの電気信号の読出しや、放射線16の照射開始の判定は行われないので、全画素102を対象として電気信号の読出し及び放射線16の照射開始の判定を行う場合と比較して、消費電力の低減を図ることができる。すなわち、電子カセッテ20は、可搬型の装置であるとともに、バッテリである電源部128からの電力供給により駆動し、且つ、通信部126が外部(システムコントローラ24)との間で無線により信号の送受信を行うため、無駄な電力消費は回避できることが望ましい。そこで、撮影部位352の放射線画像の取得に必要な太枠354内の画素102に対してのみ電気信号の読出しと、放射線16の照射開始の判定とを行うことで、前述した第1〜第8のゲート駆動回路150及び第2〜第8のマルチプレクサ152以外の第9〜第12のゲート駆動回路150と第1及び第9のマルチプレクサ152とには電力供給が行われないので、電子カセッテ20全体の省電力化を図ることができる。
また、撮影部位352に応じた太枠354内の画素担当領域350の画素102に対してのみ電気信号の読出しや、放射線16の照射開始の判定を行うので、撮影部位352の放射線画像を確実に取得することができるとともに、電荷(電気信号)の読出時間の短縮化も図ることができる。
なお、変形例9は、太枠354内の画素担当領域350の画素102に対してのみ電気信号の読出しと放射線16の照射開始の判定とを行う点以外は、本実施の形態及び変形例1〜8と同様であるため、個々の画素102に対する電気信号の読出しや、放射線16の照射開始の判定に関しては、本実施の形態及び変形例1〜8の内容を適用すればよい。
図33は、被写体14の足首が撮影部位356である場合を示す。撮影部位356は、図32に示す撮影部位352(胸部)よりも小さな撮影部位であり、この場合、平面視で、撮影部位356を囲む太枠358内の画素担当領域350の画素102に対して、電気信号の読出しと放射線16の照射開始の判定とを行えば、該撮影部位356の放射線画像を確実に取得することができ、図32と同様の効果を得ることができる。
一方、図34及び図35は、図32及び図33のような画素担当領域350を利用した撮影部位352、356の撮像ではなく、平面視で、撮影部位352、356を囲むように、2本のゲート線110及び2本の信号線112をカセッテ制御部122で設定し(検出し)、2本のゲート線110間の複数のゲート線110と、2本の信号線112間の複数の信号線112とに接続可能な画素102に対してのみ、電気信号の読出しと放射線16の照射開始の判定とを行う場合を示している。
すなわち、図34において、カセッテ制御部122(図6参照)は、撮影メニューを参照して、平面視で、撮影部位352を囲むような2本のゲート線110及び2本の信号線112を指定し、指定した2本のゲート線110間の複数のゲート線110を、各ゲート駆動回路150がゲート信号を出力すべきゲート線として設定するとともに、指定した2本の信号線112間の複数の信号線112を、各マルチプレクサ152が電気信号を読み出すべき信号線として設定する。
そして、カセッテ制御部122は、設定した複数のゲート線110に対応する第1〜第8のゲート駆動回路150と、設定した複数の信号線112に対応する第2〜第8のマルチプレクサ152とをそれぞれ駆動させることにより、設定した各ゲート線110及び各信号線112にそれぞれ接続された各画素102から電気信号を読み出すように第1読出制御部130及び第2読出制御部136を制御する一方で、当該各画素102についてのみ放射線16の照射開始の判定をするように照射開始判定部132を制御する。
したがって、図34では、2本のゲート線110及び2本の信号線112で囲まれた領域内の複数の画素102のみに対して、電気信号の読出しと放射線16の照射開始の判定とが行われ、その領域外の画素102に対しては、電気信号の読出しや放射線16の照射開始の判定は行われない。そのため、図32及び図33の場合と同様に、全画素102に対して電気信号の読出し及び放射線16の照射開始の判定を行う場合と比較して、消費電力の低減を図ることができるとともに、撮影部位352の放射線画像の確実な取得や、電気信号の読出時間の短縮化を図ることもできる。
一方、図35では、撮影部位356は足首であるため、図34に示す撮影部位352(胸部)の場合と比較して、2本のゲート線110及び2本の信号線112で囲まれた領域が小さくなるが、この場合でも、前記領域内の画素102に対してのみ電気信号の読出しと放射線16の照射開始の判定とが行われるので、該撮影部位356の放射線画像を確実に取得することができるとともに、図34と同様の効果を得ることができる。
なお、変形例9において、第2読出制御部136は、第1読出制御部130によるスキャンモードの実行に先立ち、撮影部位352、356に対応する行及び列の複数の画素102に蓄積された電気信号を1行単位で順次読み出すことで、複数の画素102に蓄積された電気信号を画像補正用のオフセット信号(無曝射信号)として読み出すオフセット信号読出しモードを実行するか、又は、リセット動作を実行してもよい。この場合でも、放射線16の照射前に各画素102から確実に電荷が除去されるので、高画質の放射線画像を取得することができる。また、取得した放射線画像に対してオフセット信号を用いた画像補正処理を行えば、より高画質の放射線画像を得ることができる。
(変形例10)変形例10は、記録部216(図10参照)に記録された撮影履歴も撮影メニューに含めるとともに、カセッテ制御部122は、撮影メニュー中の撮影履歴等を参照して、放射線16の照射前に行われる電荷の読出しモードを決定し、決定した読出しモードにしたがって第1読出制御部130及び第2読出制御部136を制御し、各画素102から電荷を読み出すものである。
すなわち、図12のステップS1の処理に続く図36のステップS81において、制御部202は、記録部216に記録された撮影履歴も表示部204に画像として表示させる。ユーザーは、表示された画像(撮影履歴)を見ながら、前回の撮像が比較的大線量の撮影であり(ステップS82:YES)、且つ、前回の撮像からあまり時間が経過していなければ(ステップS83:NO)、前回の撮像に起因した残存電荷が各画素102に蓄積されている可能性があると判断して、スキャンモード前に順次読出しモードを実行することを決定し、その決定内容を入力部200を操作して入力する(ステップS84)。
また、ユーザーは、撮影履歴を参照して、前回の撮像が比較的大線量の撮影であっても(ステップS82:YES)、前回の撮像から長時間経過していれば(ステップS83:YES)、放射線画像に影響を及ぼす程度の残存電荷が画素102に蓄積されていないものと判断し、放射線16の照射前はスキャンモードのみ実行することを決定し、その決定内容を入力部200を操作して入力する(ステップS85)。
さらに、ユーザーが撮影履歴を参照して、前回の撮像が小線量の撮像であった場合には(ステップS82:NO)、放射線画像に影響を及ぼす程度の残存電荷が画素102に蓄積されていないものと判断して、ステップS85の処理を実行する。
また、変形例10では、ステップS1の処理後、図36に破線で示すように、ステップS82の処理を省略してステップS83の処理を実行してもよい。
このようにして、ステップS84又はS85の処理の完了後、図12のステップS2以降の処理が行われる。この場合、ステップS4において、システムコントローラ24の制御部212(図10参照)は、ステップS84又はS85での決定内容や撮影履歴を含めた撮影メニューを電子カセッテ20に送信する。
電子カセッテ20では、図13のステップS21において、上記の撮影メニュー(撮影条件、撮影枚数、決定内容、撮影履歴)が受信されると、カセッテ制御部122は、図37のステップS86において、撮影メニュー(の撮影履歴及び決定内容)を参照し、スキャンモードを実行する前に順次読出しモードを実行すべきか否かを判定する。
順次読出しモードを実行する必要がある場合(ステップS86:YES)、カセッテ制御部122は、第2読出制御部136を制御して順次読出しモードを実行させる(ステップS87)。第2読出制御部136による各画素102に対する順次読出しモードの実行が完了した場合(ステップS88:YES)、次に、カセッテ制御部122は、図13のステップS22に移行して、第1読出制御部130に対してスキャンモードを実行させることにより、ステップS22以降の処理を実行する。また、順次読出しモードが完了していない場合、カセッテ制御部122は、ステップS88の処理を継続して行う。
一方、順次読出しモードを実行しなくてもよい場合には(ステップS86:NO)、カセッテ制御部122は、図13のステップS22の処理に移行することで、ステップS22以降の処理を実行する。
このように、変形例10では、システムコントローラ24及びコンソール26側で、撮影メニューに含まれる撮影履歴を参照して、放射線16の照射前の電荷の読出しモード(スキャンモードの実行又は順次読出しモードの実行)を決定し、その決定内容及び撮影履歴を撮影メニューに含めて電子カセッテ20に送信する。電子カセッテ20のカセッテ制御部122は、撮影メニューに含まれる決定内容及び撮影履歴を参照し、決定したモードにしたがって第1読出制御部130及び第2読出制御部136を制御することで、放射線16の照射前の電荷(電気信号)の読出しを実行させる。
これにより、放射線16の照射前に、前回の撮像に起因した残存電荷を確実に画素102から除去することができ、残像の重畳した放射線画像の発生を回避して、高画質の放射線画像を得ることができる。また、撮影履歴を参照し、前回の撮像の状況(大線量又は小線量での撮像)や、前回の撮像からの経過時間に応じて、放射線16の照射開始前の電荷の読出しモードを決定するので、画素102における残存電荷を効率よく除去することができる。
さらに、変形例10では、今回の撮像の内容に応じてステップS84又はS85の処理を行わせてもよい。例えば、今回の撮像が小線量の撮像であれば、画素102における放射線16の検出の応答を速めるために、短時間でのスキャンモードの実行を決定してもよい(ステップS85)。また、今回の撮像において、放射線16の照射時間が短時間であれば、無駄な時間の発生を回避するために、短時間でのスキャンモードの実行のみを決定してもよい(ステップS85)。この場合、短時間でのスキャンモードの実行の決定とは、変形例4〜6を適用して、全画素102に対して一斉にスキャンモードを実行させるための決定、あるいは、一部の画素102に対してのみスキャンモードを実行させるための決定をいう。
また、変形例10において、カセッテ制御部122は、撮影メニューに含まれる放射線16の照射時間と決定内容と撮影履歴とを参照して、スキャンモードにおいて電気信号を同時に読み出す行間隔を変更し、変更した行間隔でスキャンモードを実行してもよい。例えば、今回の撮像において、放射線16の照射時間が短く、無駄な時間の発生を回避したい場合に、カセッテ制御部122は、行間隔が大きくなるように調整した後に、第1読出制御部130を制御してスキャンモードを実行させれば、該スキャンモードを短時間で完了させることが可能となる。
あるいは、変形例4を適用して、予め決められた行の画素102のみ読み出すスキャンモードを行う場合に、カセッテ制御部122は、撮影メニューに含まれる放射線16の照射時間と決定内容と撮影履歴とを参照して、電気信号を読み出す行を変更し、変更した行の画素102に対してスキャンモードを実行してもよい。この場合でも、例えば、行と行との間隔を広げることにより、スキャンモードを短時間で完了させることが可能である。
さらに、変形例10では、ステップS84又はS85の処理の際、変形例9を適用して、撮影部位352、356に対応する画素102に対してのみスキャンモード又は順次読出しモードを実行させる決定を行ってもよい。
また、ステップS81〜S85では、ユーザーが表示部204の表示を見ながら、放射線16の照射前の電荷読出しのモードを決定する場合について説明したが、変形例10は、この説明に限定されるものではなく、制御部212において、記録部216に記録された撮影履歴の内容を参照して、放射線16の照射前の電荷読出しのモードを自動的に決定してもよい。この場合でも、上記の各効果が得られることは勿論である。なお、上記変形例1〜9は、本変形例10のように変形可能なことはいうまでもない。
(変形例11)上記実施の形態及び上記変形例では、スキャンモード(第1読出モード)においては、複数の行単位、例えば、12行単位で画素102に蓄積された電荷を同時に読み出すので、放射線16の照射開始を早期且つ正確に判定することが可能となる。
すなわち、スキャンモード時に、照射開始判定部132は、メモリ124に記憶されたデジタル信号の電気信号が、任意に設定可能な閾値(以下、閾値Thという。)より大きいか否かを判断する(上述したステップS23の判断。)。放射線源34から電子カセッテ20に対して放射線16が照射されると、放射線16が照射されていない場合に比べ、チャージアンプ116の出力信号が飛躍的に大きくなるので、メモリ124に記憶されるデジタル信号の電気信号が閾値Thより大きくなり放射線16の照射開始を早期に判定することができる。
例えば、チャージアンプ116のゲイン(以下、ゲインGという。)が、順次読出モード時に設定される第2読出ゲインG2に設定されていると、複数の画素102の同時読み出しの際、上例では、12個の画素102の同時読み出しの際には、チャージアンプ116出力信号の大きさが12倍の大きさになるので、A/D変換器154を通じてメモリ124に記憶されるデジタル信号の電気信号も12倍の大きさとなり閾値Thを上回り、放射線16の照射開始を早期に判定することができる。
しかし、チャージアンプ116のゲインGは、順次読出モード時に、チャージアンプ116の出力信号の大きさが、A/D変換器154の入力のダイナミックレンジ内に収まるように、且つ読出分解能(読出精度)を上げるために、なるべく前記ダイナミックレンジに近い大きさになるように、設計されているので、スキャンモード時に、ゲインGを変更しない場合には、チャージアンプ116が飽和して、高速動作が担保されない可能性がある。
そこで、この変形例11では、第1読出制御部130及び第2読出制御部136により設定されるチャージアンプ116のゲインGを、スキャンモード時には、第1読出制御部130により第1読出ゲインG1に設定し、順次読出モード時には、第2読出制御部136により第2読出ゲインG2に設定するが、スキャンモード時に設定される第1読出ゲインG1を、順次読出モード時に設定される第2読出ゲインG2より低く設定する(G1<G2)。例えば、スキャンモード時に12行12画素単位で同時に読み出す場合には、第1読出ゲインG1を第2読出ゲインG2の12分の1に設定することで(G1=G2/12)、チャージアンプ116を飽和しないようにすることできる。
図38は、チャージアンプ116のゲインGを変更可能とするために、オペアンプ156の入出力端のコンデンサ158を可変コンデンサ158Aに置換したチャージアンプ116を含む放射線変換パネル64、ゲート駆動部114、及びマルチプレクサ部118の詳細図を示している。
ここで、可変コンデンサ158Aは、図39Aに示すように、第1読出制御部130又は第2読出制御部136により切り替えられるスイッチ161bの切り替えにより容量値が切り替えられるようになっており、スイッチ161bがオフで帰還コンデンサが、コンデンサ158のみの場合に、チャージアンプ116のゲインGが、順次読出モード時に設定される第2読出ゲインG2にされ、スイッチ161bがオンで、帰還コンデンサが、コンデンサ158とコンデンサ158aとの合成容量となる場合には、チャージアンプ116のゲインGが、スキャンモード時に設定される第1読出ゲインG1にされる(G1<G2)。なお、同一の電荷量でコンデンサの端子間に発生する電圧は、コンデンサの容量値に反比例するので、チャージアンプ116は、帰還コンデンサの容量値が小さい程、同一の電荷量での端子間電圧が大きくなり、ゲインGが大きくなることに留意する。すなわち、チャージアンプ116のゲインGは、電荷蓄積部74の等価静電容量値をCa、チャージアンプ116の帰還コンデンサの容量値をCfとすれば、理解の容易化のために損失をゼロと仮定した場合、G=Ca/Cfとなる。
図40に示すように、スキャンモード時には、ゲインGが第1読出ゲインG1又は第1読出ゲインG1´(後述する。)に設定され、順次読出モード時には、ゲインGが第2読出ゲインG2に設定される(G1´<G1<G2)。
上記実施の形態及び上記変形例1〜10では、撮影条件設定部222は、通信部214を介して自己が設定した撮影条件(撮影条件は、テーブル218に撮影部位及び診断部位に対応して記録されている、照射時間、管電圧、管電流等である。)のうち、少なくとも照射時間を電子カセッテ20に送信するように構成していたが、この変形例11では、少なくとも照射時間と管電流とを電子カセッテ20に送信するように構成している。この変形例11では、管電流が照射線量に比例するものとしている。この意味から、撮影条件設定部222は、線量設定部として機能する。
図40において、第1読出ゲインG1より小さい値の第1読出ゲインG1´は、線量設定部を兼用する撮影条件設定部222により放射線16の照射線量が大線量に設定された場合(所定値より大きい放射線量に設定された場合)のゲインGを示している。すなわち、第1読出制御部130は、第1読出ゲインGを設定する際、大線量設定時の第1読出ゲインG1´を小線量設定時の第1読出ゲインG1より低く設定することで、大線量時及び小線量時ともにチャージアンプ116の出力の飽和を防止することができる。
このように、この変形例11では、照射線量の大小に応じて第1読出ゲインGを切り替えるようにしているので、撮影条件設定部222は、上述したように、撮影条件のうち照射時間の他、少なくとも照射線量に対応する管電流の値を電子カセッテ20に送信するようにしている。
電子カセッテ20は、送られてきた照射時間と、照射線量に対応する管電流の値とをメモリ124に記憶させる。第1読出制御部130は、メモリ124に記憶された管電流の値に基づき第1読出ゲインGをスキャンモード時ゲイン(第1読出ゲイン)G1又はスキャンモード時ゲイン(第1読出ゲイン)G1´に切り替える。
図39Bは、ゲインGを順次読出モード時に設定される第2読出ゲインG2、及び第1読出ゲインG1、G1´(スキャンモード時ゲインG1及びスキャン時モードゲインG1´)に切り替えることのできるチャージアンプ116の構成を示している。スイッチ161aとスイッチ161bの両方をオンにすることで、コンデンサ158に対してコンデンサ158aとコンデンサ158bとが並列接続される最もゲインの小さいスキャンモード時ゲインG1´(G1´<G1<G2)を設定することができる。
なお、第1読出制御部130及び第2読出制御部136は、図11に一例を示した撮影条件(撮影部位及び診断部位)に応じて、前記第1読出ゲインG1又はG1´及び第2読出ゲインG2を設定するようにしてもよい。この場合、撮影条件設定部222は、ユーザーによりコンソール26の入力部200を通じて撮影部位及び診断部位が選択されると、これに関連する全ての撮影条件を通信部214を介して電子カセッテ20に送信する。
次に、閾値Thに関し、図40に示すように、第1読出制御部130によるスキャンモードを実行する際の閾値Thの設定について、スキャンモード開始時に開始時閾値Thiを設定し、タイミングt0〜t0´のスキャンモードで最初に読み出された複数の行単位、例えば12行単位での電気信号の値(Siとする。)に所定値(微小な値)αを加算した値(Si+α)であって開始時閾値Thiより小さい通常閾値Tha(Si+α=Tha<Thi)を設定し、設定した前記通常閾値Thaをスキャンモードでの次の読み出し以降(タイミングt0´以降)の閾値Thに設定する。
このように設定すれば、スキャンモードでの次の読み出しの際の通常閾値Thaを、ノイズレベルを下回らないでノイズレベルに近い値にすることができるのでより早期に放射線16の照射を検出することができる。
この場合において、図15と同様に、撮影枚数が2枚以上の複数枚とされた場合、図41の最下段の図に実線で示すように、照射開始判定部132は、閾値Thを設定する際、撮像枚数1枚目に対しては、時点t10〜t10´の間で開始時閾値Thiとし、以降時点t10´〜t12の間では通常閾値Thaの順にスキャンモード(第1読出モード)での閾値Thを設定し、撮像枚数2枚目以降では、スキャンモード(第1読出モード)での閾値Thとして時点t20〜t22に例を示すように継続して通常閾値Thaを設定する。このように設定すれば、撮影枚数2枚目以降では、最初のスキャンモードから早期に放射線16の照射を検出することができる。
さらに、図42に示すように、読出ノイズの量に応じて設定される通常閾値Thaを監視する(ログする。)通常閾値監視部131をカセッテ制御部122に設ける。そして、通常閾値監視部131は、監視している読出ノイズ量に対応する通常閾値Tha(Tha=Si+α)が、所定値(警告値)を上回る値となったときに、その旨を電子カセッテ20上の図示しない警告ランプに、及び(又は)通信部126を通じ、システムコントローラ24を介し、コンソール26や表示装置28に通知(表示あるいは音声による警告)をする、さらには、コンソール26からあるいは電子カセッテ20から直接図示しない通信回線を介して、メンテナンスセンター等のサーバに通知することで、ユーザー及び(又は)外部のメンテナンスセンターで、放射線変換パネル64を含む電子カセッテ20の故障の可能性を、いわゆるリモートメンテナンスとして予測することができる。
以上説明したように、上述した変形例11によれば、放射線撮像装置としての電子カセッテ20は、被写体14を透過した放射線源34からの放射線16を電気信号に変換して蓄積する行列状に配置された複数の画素102を有する撮像パネルとしての放射線変換パネル64と、前記複数の画素102に蓄積された電気信号を複数の行単位で第1読出ゲインG1に設定した電気信号増幅器としてのチャージアンプ116を介して同時に読み出す第1読出モードを実行する第1読出制御部130と、第1読出制御部130により読み出された電気信号の値が、任意に設定可能な閾値Thより大きくなった場合は、放射線源34から撮像パネルとしての放射線変換パネル64に対する放射線16の照射が開始されたと判定する照射開始判定部132と、第1読出制御部130は、照射開始判定部132により放射線16の照射が開始されたと判定された場合は、前記電気信号の読み出しを終了させることで、前記撮像パネルとしての放射線変換パネル64を露光状態に移行させるものであり、放射線16の照射が開始されてから予め決められた所定時間が経過したか否かを判定する経過時間判定部134と、経過時間判定部134により前記所定時間が経過したと判定した場合は、前記複数の画素102に蓄積された電気信号を1行単位で第2読出ゲインG2に設定したチャージアンプ116を介して順次読み出す第2読出モードを実行する第2読出制御部136と、を備え、第1読出ゲインG1が第2読出ゲインG2より低く設定される。
このため、第1読出モード時(スキャンモード時)にチャージアンプ116のゲインを低く設定しているので、複数画素の電荷を同時に読み出して放射線16の照射開始を検出するための電気信号の値が、閾値Thより大きくなった場合でも、チャージアンプ116の出力値が過大になったり飽和したりすることを防止できる。
なお、第1読出制御部130は、前記複数の画素102に蓄積された電気信号を所定の行間隔で同時に読み出すことができる。
さらに、被写体14に照射する放射線16の照射線量を小線量又は大線量に設定する線量設定部としての撮影条件設定部222からの情報を得、第1読出制御部130は、第1読出ゲインGを設定する際、前記大線量設定時の第1読出ゲインG1´を小線量設定時の第1読出ゲインG1より低く設定することで、大線量設定時にはチャージアンプ116が飽和することなく、小線量設定時にはチャージアンプ116の出力信号が大きくなるので、放射線16の照射を早期に検出することができる。
なお、第1読出制御部130及び第2読出制御部136は、撮影条件(撮影部位+診断部位)に応じて、第1読出ゲインG1(G1´)及び第2読出ゲインG2を設定するようにしてもよい。
(変形例12)上記実施の形態及び上記変形例1〜11では、放射線16の照射の終了を、経過時間判定部134により判定しているが、これに代替して、図43に示すように、駆動回路部106に設けた放射線検出センサ103(照射終了判定部又は曝射終了判定部)を用いて判定するようにしてもよい。放射線検出センサ103としては、放射線16が照射されているときにのみ出力が表れるフォトダイオード等の半導体を利用したセンサを用いることができる。
この場合、第2読出制御部136は、放射線検出センサ103の出力が略ゼロ値となったときに、放射線16の照射が終了したと判定することができ、放射線16の照射が終了したと判定したとき、複数の画素102に蓄積された電気信号を1行単位で第2読出ゲインG2に設定したチャージアンプ116を介して順次読み出す第2読出モードを実行する。
上記の放射線検出センサ103は、パネル部52の撮像面42(図2参照)に設けてもよい。その際、放射線検出センサ103は、撮像可能領域60の四隅にそれぞれ設けてもよい。
放射線検出センサ103は、フォトダイオード等を利用した半導体センサ以外に、放射線変換パネル64に新たな画素とTFTとを設けるとともに、駆動回路部106に新たなチャージアンプ(演算増幅器と帰還コンデンサとリセット用のスイッチ)とA/D変換器とを設け、当該TFT、当該新たなチャージアンプ及びA/D変換器を第2読出制御部136により直接制御するように構成することもできる。当該新たなチャージアンプは、露光開始時にそのリセット用のスイッチが開状態とされて出力が上昇を開始し、出力が上昇しなくなった(一定値となった)ときに、放射線16の照射が終了したと判定することができる。放射線16の照射が終了したと判定されたとき、前記リセット用のスイッチが閉状態とされて、前記新たなチャージアンプの帰還コンデンサが放電される。
(変形例13)上記変形例1〜12を次のようにしてもよい。変形例13に係る電子カセッテ20aについて図44〜図46を参照しながら説明する。
図44に示すように、カセッテ制御部122は、照射開始判定部132からの検出信号Sa(放射線16の照射の開始を検出したことを示す信号)の入力に基づいて中止信号Sbを出力する中止信号出力部600と、第1読出制御部130からのスキャンモードが終了したことを示す信号(スキャン終了信号Sc)の入力に基づいて復帰信号Sdを出力する復帰信号出力部602とを有する。中止信号Sb及び復帰信号Sdはゲート駆動部114に供給される。
ゲート駆動部114は、各ゲート駆動回路150に対応して、それぞれマスク処理部604を有する。マスク処理部604は、図45に示すように、第1スイッチ回路606と、ゲート駆動回路150の各出力に対応して設置されたAND回路608とを有する。
第1スイッチ回路606は、初期段階で高レベル信号(Vh)を出力し、中止信号Sbの入力に基づいて低レベル信号(Vss)を出力し、復帰信号Sdの入力に基づいて高レベル信号(Vh)を出力する。
各AND回路608は、ゲート駆動回路150の対応する出力と、第1スイッチ回路606からの出力とが入力され、2つの入力の論理積が出力される。各AND回路608の出力ラインはそれぞれ対応するゲート線110を構成する。したがって、初期段階や復帰信号Sdが入力された場合は、第1スイッチ回路606から高レベル信号(Vh)が出力されて、各AND回路608に入力されることから、ゲート駆動回路150からの出力が有効になり、選択されたゲート線110にゲート信号が出力されることになる。一方、第1スイッチ回路606に中止信号Sbが入力された場合は、復帰信号Sdが入力されるまで、第1スイッチ回路606から低レベル信号(Vss)が出力されて、各AND回路608に入力されることから、ゲート駆動回路150からの出力は無効となり、各ゲート線110からはゲート信号が出力されなくなる。
すなわち、カセッテ制御部122は、放射線16の照射の開始を検出すると、各ゲート駆動回路150に読み出しを中止する中止信号Sbを送る。各ゲート駆動回路150は、駆動信号c1〜c12が送られると、ゲート線110を順次選択していき、該選択したゲート線110にゲート信号を出力することで、画素102に蓄積された電荷を行単位で順次読み出す動作を行うが、中止信号Sbが送られると、マスク処理部604による処理(マスク処理)が行われてゲート駆動回路150からゲート信号が出力されない。つまり、第1読出制御部130は、スキャンモードの実行による画素102に蓄積された電荷の読み出しを禁止する。この場合、各ゲート駆動回路150は、中止信号Sbが送られてくると、ゲート線110を順次選択していくという動作は継続して行うが(スキャンモードは継続して行われるが)、マスク処理が行われるため、選択したゲート線110にゲート信号が出力されない。これにより、放射線16を検出した時点(スキャンモードの実行中に放射線16が照射されたと判定された時点)で、露光状態に移行することができる。
例えば、各ゲート駆動回路150は、0行目のゲート線110にゲート信号を出力した後に、中止信号Sbが送られてきた場合は、1行目、2行目というように、中止信号Sbが送られた後であっても、ゲート線110を順次選択していくが、選択したゲート線110にゲート信号は出力されない。この場合、各ゲート駆動回路150は、中止信号Sbが送られた場合であっても、ゲート線110を順次選択していくので、239行目のゲート線110を選択した後は、各ゲート駆動回路150は、各終了信号d1〜d12を出力する。第1読出制御部130は、この終了信号d1〜d12が各ゲート駆動回路150から送られてくるとスキャンモードを終了させる。
図46は、放射線16が検出されたときにスキャンモードによる画素102の電荷の読み出しを直ちに終了して蓄積状態に移行する場合の各行の画素102に蓄積される電荷の様子を示す図である。
図46では、0行の画素102に蓄積された電荷の読み出しで放射線16が検出された場合の各行の画素102に蓄積される電荷の様子を示す図である。カセッテ制御部122は、放射線16を検出すると、各ゲート駆動回路150に中止信号Sbを送るので、2行目以降の画素102に蓄積された電荷は読み出されずに、放射線16の照射によって電荷がそのまま蓄積されている。この場合、放射線撮影の露光により得られた0行目の画素102に蓄積された電荷量Q0と、1行目の画素102に蓄積された電荷量Q1と、239行目の画素102に蓄積された電荷量Q239は、Q0<Q1=Q239の関係を満たし、Q0とQ1及びQ239との電荷量の差は小さい。したがって、画像情報を有する放射線16を無駄にすることなく露光を行うことができ、バラツキを小さくすることができる。
変形例13におけるカセッテ制御部122の動作は、図13に示すフローチャートと略同一であるが、図13のステップS24で照射開始判定部132が放射線16の照射が開始されたと判定すると、中止信号出力部600は、各ゲート駆動回路150に中止信号Sbを送って、ステップS25の動作に移行する。これにより露光状態に移行することができる。ステップS26では、第1読出制御部130は、各ゲート駆動回路150から終了信号d1〜d12が送られてきたか否かを判断し、終了信号d1〜d12が送られてきたと判断するとステップS27で、スキャンモードの実行を終了する。このとき、復帰信号出力部602から復帰信号Sdが出力され、マスク処理部604でのマスク処理が終了する。
このように、電子カセッテ20aは、放射線16の照射が開始されたと判定されると、各ゲート駆動回路150に中止信号Sbを出力することで、スキャンモードは1サイクルが終了するまで継続するが、画素102に蓄積された電荷が読み出されないので、画像情報を有する放射線16を無駄にすることがなく、放射線16を撮影することができる。
上述の例では、各ゲート駆動回路150に対応して設けられるマスク処理部604を、ハードウェアとしての第1スイッチ回路606及び複数のAND回路608にて構成した例を示したが、各ゲート駆動回路150がCPUを有するのであれば、マスク処理部604と同様の機能を有するソフトウェア(ビットマスク処理プログラム等)を組み込むようにしてもよい。
(変形例14)変形例14に係る電子カセッテ20bでは、スキャンモードの実行中に放射線16が照射されたと判定された場合に、その後、1サイクルが終了した時点で、全ライン活性化処理による全画素102の余剰電荷の掃き出し処理(全画素リセットモード)を実行する。全ライン活性化処理は、全てのゲート線110にゲート信号を出力して、全てのゲート線110に接続されたTFT72(全TFT)をオンにする処理である。
具体的に、変形例14に係る電子カセッテ20bについて図47〜図50を参照しながら説明する。
図47に示すように、カセッテ制御部122は、全画素リセット制御部610を有する。全画素リセット制御部610は、第1読出制御部130からのスキャンモードが終了したことを示す信号(スキャン終了信号Sc)の入力に基づいて、全ラインの活性化を指示するリセット信号Seを出力する全ライン活性化処理部612と、スキャン終了信号Scの入力に基づいて、所定時間(以下、リセット時間と記す)にわたって各チャージアンプ116のスイッチ160(図7参照)をオン制御するスイッチ制御部614とを有する。
ゲート駆動部114は、各ゲート駆動回路150に対応して、それぞれ全ライン活性化回路616を有する。全ライン活性化回路616は、図48に示すように、第2スイッチ回路618と、ゲート駆動回路150の各出力に対応して設置されたOR回路620とを有する。
第2スイッチ回路618は、初期段階で低レベル信号(Vss)を出力し、リセット信号Seの入力に基づいて、リセット時間にわたって高レベル信号(Vh)を出力する。この高レベル信号(Vh)の出力とスイッチ制御部614によるチャージアンプ116のスイッチ160のオン制御は同期して行われる。
各OR回路620は、ゲート駆動回路150の対応する出力と、第2スイッチ回路618からの出力とが入力され、2つの入力の論理和が出力される。各OR回路620の出力ラインはそれぞれ対応するゲート線110を構成する。したがって、スキャンモードが終了した時点で、第2スイッチ回路618からリセット時間にわたって高レベル信号(Vh)が出力されて、各OR回路620に入力されることから、全てのゲート線110にゲート信号が出力されることになる(全ゲート線110が活性化される)。このとき、各チャージアンプ116のスイッチ160もオンとなる。これにより、全画素102に残っていた電荷(余剰電荷)が全て、スイッチ160及びオペアンプ156を介してGND(グランド電位)に掃き出されることとなる。ここで、リセット時間は、画素102の電荷を電気信号に変換して読み出す必要はなく、GNDに掃き出せばよいため、1行分の画素の読出し時間(例えば21μsec)プラス遅延時間程度に設定することができ、例えば30〜40μsec等とすることができる。
一方、第2スイッチ回路618から低レベル信号(Vss)が出力されている期間においては、ゲート駆動回路150からの出力が有効になり、選択されたゲート線110にゲート信号が出力されることになる。なお、露光期間においては、ゲート線110にゲート信号は出力されない。
図49は、0行目の画素102に蓄積された電荷を読み出したときに放射線16が検出された場合であって、スキャンモードの1サイクル終了後に、全画素102をリセットし、その後、露光状態に移行した場合の各行の画素に蓄積される電荷の様子を示す図である。スキャンモードが実行している間は、各ゲート駆動回路150は、行単位で0行目から画素102に蓄積された電荷を順次読み出している。この場合において、例えば、0行目の画素102に蓄積された電荷を読み出して得られたデジタル値が閾値より大きいと判断して放射線16を検出した場合、その後もスキャンモードの実行により1行目〜239行目までの画素102に蓄積された電荷は行単位で順次読み出されスキャンモードは239行目の画素102に蓄積された電荷が読み出された時点で終了する。そして、この時点からリセット時間Taにわたって全画素に残った電荷がGND(グランド電位)に掃き出されることから、リセット時間Taが終了した時点で露光状態に移行する。すなわち、全画素リセット制御部610は、全画素リセット処理が終了した段階で、放射線変換パネル64を露光状態に移行させる機能を有する。そして、露光期間Tbの開始時点では全画素の電荷量Q0、・・・Q238、Q239は略同じになり、画素間での電荷量のバラツキをほとんどなくすことができる。
この変形例14におけるカセッテ制御部122の動作は、図13に示すフローチャートと略同一であるが、図50に示すように、先ず、ステップS201〜S204において、図13におけるステップS21〜S24と同様の動作が行われる。そして、ステップS204において、放射線16の照射が開始されたと判定すると、第1読出制御部130は、スキャンモードの1サイクルの終了を待つ(ステップS205)。スキャンモードの実行が終了した時点で、第1読出制御部130がスキャン終了信号Scを出力することから、全ライン活性化処理部612はゲート駆動部114の各全ライン活性化回路616にリセット信号Seを出力し、スイッチ制御部614はリセット時間Taにわたって各チャージアンプ116のスイッチ160(図7参照)をオン制御する。これによって、全画素102の余剰電荷がGNDに掃き出され、リセットされる(ステップS207)。そして、リセット時間Taが経過した段階で、露光状態に移行し、露光期間Tbが開始される(ステップS208)。露光期間Tbの開始時点で、カセッテ制御部122は、タイマーをスタートさせ(ステップS209)、次のステップS210において、経過時間判定部134は、露光期間Tbの開始時点から予め決められた所定時間(この場合、露光期間Tbと等価である)が経過したか否かを判断する。このステップS210において、予め決められた所定時間が経過したと判断されると、露光を終了し(露光期間Tbの終了)、放射線16の露光により得られた電荷を読み出すために、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行を開始する(ステップS211)。ステップS211以降の処理は、図13におけるステップS29〜S33と同様であるため、その説明を省略する。
この変形例14に係る電子カセッテ20bにおいては、露光期間Tbの開始時点での画素間における電荷量のバラツキをほとんどなくすことができるため、放射線画像の画質の向上、S/N比の向上を図ることができる。
上述の例では、各ゲート駆動回路150に対応して設けられる全ライン活性化回路616を、ハードウェアとしての第2スイッチ回路618及び複数のOR回路620にて構成した例を示したが、各ゲート駆動回路150がCPUを有するのであれば、全ライン活性化回路616と同様の機能を有するソフトウェアを組み込むようにしてもよい。
(変形例15)上記変形例14では、スキャンモードの実行中に放射線16が照射されたと判定された場合に、その後、1サイクルが終了するまで、全画素102の余剰電荷の掃き出しを行わなかったが、スキャンモードの実行中に放射線16が照射されたと判定された場合に、直ちに全画素102の余剰電荷の掃き出しを行うようにしてもよい。
具体的に、変形例15に係る電子カセッテ20cについて図51〜図54を参照しながら説明する。
図51に示すように、カセッテ制御部122は、上述した変形例13と同様の中止信号出力部600と、復帰信号出力部602と、変形例14と同様の全画素リセット制御部610(全ライン活性化処理部612、スイッチ制御部614)とを有する。この変形例15では、全ライン活性化処理部612は、照射開始判定部132からの検出信号Sa(放射線16の照射の開始を検出したことを示す信号)の入力に基づいて全ラインの活性化を指示するリセット信号Seを出力する。
ゲート駆動部114は、各ゲート駆動回路150に対応して、マスク処理部604と、全ライン活性化回路616とをそれぞれ有する。図52に示すように、マスク処理部604は、変形例13と同様に、第1スイッチ回路606と、ゲート駆動回路150の各出力に対応して設置されたAND回路608とを有する。全ライン活性化回路616は、変形例14と同様に、第2スイッチ回路618と、ゲート駆動回路150の各出力に対応して設置されたOR回路620とを有する。
各AND回路608は、ゲート駆動回路150の対応する出力と、第1スイッチ回路606からの出力とが入力され、2つの入力の論理積が出力される。各OR回路620は、対応するAND回路608から出力と、第2スイッチ回路618からの出力とが入力され、2つの入力の論理和が出力される。各OR回路620の出力ラインはそれぞれ対応するゲート線110を構成する。
したがって、放射線16の照射の開始を検出されると、第1スイッチ回路606に中止信号Sbが入力されることから、その後、復帰信号Sdが入力されるまで、各AND回路608からは低レベル信号(Vss)が出力されることになる。また、放射線16の照射の開始を検出されると、第2スイッチ回路618にリセット信号Seが入力されることから、リセット時間Taにわたって高レベル信号(Vh)が出力されることになり、全てのゲート線110にゲート信号が出力されることになる(全ゲート線110が活性化される)。このとき、チャージアンプ116のスイッチ160もオンとなる。これにより、全画素102に残っていた電荷(余剰電荷)が全て、スイッチ160及びオペアンプ156を介してGND(グランド電位)に掃き出されることとなる。
図53に基づいて説明すると、スキャンモードが実行している間は、各ゲート駆動回路150は、行単位で0行目から画素102に蓄積された電荷を順次読み出している。この場合において、例えば、0行目の画素102に蓄積された電荷を読み出して得られたデジタル値が閾値より大きいと判断して放射線16を検出した場合、その時点からリセット時間Taにわたって全画素102に残った電荷がGND(グランド電位)に掃き出される。リセット時間Taが経過した後、スキャンモードは1サイクルが終了するまで継続するが、画素102に蓄積された電荷が読み出されないため、放射線16を検出した時点(スキャンモードの実行中に放射線16が照射されたと判定された時点)からリセット時間Taが経過した時点で、すなわち、スキャンモードは1サイクルが終了する前に、露光状態に移行することができる。
この変形例15におけるカセッテ制御部122の動作は、図13に示すフローチャートと略同一であるが、図54に示すように、先ず、ステップS221〜S224において、図13におけるステップS21〜S24と同様の動作が行われる。そして、ステップS224において、放射線16の照射が開始されたと判定すると、中止信号出力部600は、各ゲート駆動回路150に中止信号Sbを送って、マスク処理部604によるマスク処理を開始させる(ゲート駆動回路150からの出力を停止させる)。また、上述のように、放射線16の照射が開始されたと判定された時点で、全ライン活性化処理部612はゲート駆動部114の各全ライン活性化回路616にリセット信号Seを出力し、スイッチ制御部614はリセット時間Taにわたって各チャージアンプ116のスイッチ160(図7参照)をオン制御する。これによって、全画素の余剰電荷がGNDに掃き出され、リセットされる(ステップS225)。そして、リセット時間Taが経過した段階で、露光状態に移行し、露光期間Tbが開始される(ステップS226)。露光期間Tbの開始時点で、カセッテ制御部122は、タイマーをスタートさせ(ステップS227)、次のステップS228において、スキャンモードの終了待ちとなり、スキャンモードが終了した段階で、復帰信号出力部602から復帰信号Sdが出力され、マスク処理部604でのマスク処理が終了する。次のステップS229において、経過時間判定部134は、露光期間Tbの開始時点から予め決められた所定時間(この場合も、露光期間Tbと等価である)が経過したか否かを判断する。このステップS229において、予め決められた所定時間が経過したと判断されると、露光を終了し(露光期間Tbの終了)、放射線16の露光により得られた電荷を読み出すために、第2読出制御部136は、順次読出しモードの実行を開始する(ステップS230)。ステップS230以降の処理は、図13におけるステップS29〜S33と同様であるため、その説明を省略する。
この変形例15においては、変形例13の効果と変形例14の効果を併せ持つ。すなわち、露光期間Tbの開始時点では全画素の電荷量Q0、・・・Q238、Q239は略同じになり、画素間での電荷量のバラツキをほとんどなくすことができる。これは、放射線画像情報の画質の向上、S/N比の向上につながる。また、画像情報を有する放射線16を無駄にすることがなく、放射線16を撮影することができる。
上述の例では、各ゲート駆動回路150に対応して設けられるマスク処理部604並びに全ライン活性化回路616を、それぞれハードウェアとしての第1スイッチ回路606及び複数のAND回路608、並びに第2スイッチ回路618及び複数のOR回路620にて構成した例を示したが、各ゲート駆動回路150がCPUを有するのであれば、マスク処理部604並びに全ライン活性化回路616と同様の機能を有するソフトウェアを組み込むようにしてもよい。
(変形例16)上記実施の形態及び上記変形例1〜15では、1つの電子カセッテ20を使用することについて説明した。しかしながら、要求される撮影内容等に応じて電子カセッテ20には様々な種類及び仕様が存在する。例えば、電子カセッテ20がシンチレータを用いるいわゆる間接型である場合、シンチレータの感度やピクセルサイズに応じて仕様が異なる。また、これらの電子カセッテ20は比較的高価であることから、各撮影室に複数の電子カセッテ20を配置するのではなく、複数の電子カセッテ20を複数の撮影室で共用することがある。複数の電子カセッテ20を複数の撮影室で共用する場合、放射線技師は、電子カセッテ20を取り違えて用いる可能性がある。
そこで、変形例16では、放射線撮像システム10が複数の電子カセッテ20を備える場合に、使用する電子カセッテ20を取り違えた場合でも適切に対応可能な構成を提示している。
図55は、変形例16に係る放射線撮像システム10の構成図である。図55に示すように、放射線撮像システム10は、実際に撮影に用いる電子カセッテ20に加え、クレードル700に配置される複数の電子カセッテ20を有する。これらの電子カセッテ20は、仕様が同一であっても相違していてもよい。また、クレードル700に配置されている電子カセッテ20は、クレードル700を介して充電可能である。
図56は、変形例16における放射線撮像システム10のシステムコントローラ24及びコンソール26の動作を示すフローチャートである。図57は、変形例16におけるカセッテ制御部122(図6参照)の動作を示すフローチャートである。
変形例16における各部の動作は、基本的に、上記実施の形態(図12及び図13)と同様であるが、変形例16は、撮影に際し、複数の電子カセッテ20のいずれでも撮影可能とする点で上記実施の形態と異なる。
すなわち、放射線撮像システム10のシステムコントローラ24及びコンソール26の動作に関し、図56のステップS301、S302は、図12のステップS1、S2と同様である。撮影条件が設定されると、続くステップS303において、制御部212は、通信部214を介して、電子カセッテ20に起動信号を送信することで、複数の電子カセッテ20を起動させる。なお、各電子カセッテ20は、起動信号が送られてくるまではスリープ状態となっている。また、制御部212は、今回の撮影に使用可能な1つ又は複数の電子カセッテ20の識別情報をコンソール26に通知し、表示部204に表示させる。
上記のように、撮影に使用する1つ又は複数の電子カセッテ20を表示するものの、起動させる電子カセッテ20は、放射線撮像システム10に含まれる全ての電子カセッテ20である。あるいは、設定された撮影条件に応じて制御部212が選択した複数の電子カセッテ20のみに起動信号を送信してもよい。
起動信号を受信した複数の電子カセッテ20は、スリープモードからスキャンモードに移行する。その際、電子カセッテ20は、スキャンモードを実行する前にリセット動作を行ってもよい。なお、スリープモードでは、必要最小限の部位(例えば、カセッテ制御部122及び通信部126)のみに電力を供給し、その他の部位に対しては電力供給を停止する。
次いで、制御部212の撮影条件設定部222及び撮影枚数設定部224(図10参照)は、通信部214を介して、該設定した照射時間及び撮影枚数とを、起動している複数の電子カセッテ20に送信する(ステップS304)。
次いで、制御部212は、複数の電子カセッテ20のいずれかからの放射線検出通知信号を受信したか否かを判断する(ステップS305)。放射線検出通知信号とは、電子カセッテ20において放射線16を検出したことを通知する信号であり、電子カセッテ20を特定するための識別情報を含む。
ステップS305で放射線検出通知信号を受信していないと判断すると、受信するまでステップS305に留まり、放射線検出通知信号を受信したと判断すると、制御部212は、放射線検出通知信号を送信した電子カセッテ20以外の電子カセッテ20をスリープモードに移行させて停止させる(ステップS306)。すなわち、制御部212は、放射線検出通知信号を送信した電子カセッテ20以外の電子カセッテ20に対して停止信号を出力する。停止信号は、各電子カセッテ20に対し、スキャンモードを停止し、スリープモードに移行することを命じる信号であり、停止信号を受信した電子カセッテ20は、スキャンモードからスリープモードに移行する。スリープモードに移行する代わりに、各電子カセッテ20をシャットダウンしてもよく、あるいは、必要最小限の部位以外の部位(例えば、メモリ124及び画素102)に電力を供給する待機モードに移行してもよい。待機モードでバイアス電源108から画素102に電力を供給する場合、画素102では電荷が蓄積されるが、読出しが行われない。
ステップS308〜S312は、図12のステップS6〜S10と同様である。なお、データの送信先が、放射線検出通知信号を送信した電子カセッテ20であるか否かを判定するためには、当該電子カセッテ20の識別情報をデータに含めればよい。
次に、カセッテ制御部122の動作であるが、上記の通り、図57に示されている。なお、変形例16では、図57の動作を行うカセッテ制御部122は1つではなく、起動信号を受信した全ての電子カセッテ20のカセッテ制御部122であることに留意されたい。
図57のステップS321〜S324は、図13のステップS21〜S24と同様である。続くステップS325において、放射線16の照射を検出したカセッテ制御部122は、システムコントローラ24の制御部212及び他の電子カセッテ20のカセッテ制御部122に対し、上記放射線検出通知信号を送信する。なお、制御部212又は他の電子カセッテ20のカセッテ制御部122のいずれかのみに放射線検出通知信号を送信してもよい。
ステップS326〜S334は、図13のステップS25〜S33と同様である。
一方、ステップS323において、照射開始判定部132が、メモリ124に記憶されたデジタル信号の電気信号が、閾値より大きくないと判断すると(ステップS323:NO)、カセッテ制御部122は、他の電子カセッテ20において放射線16が検出されたか否かを判定する(ステップS335)。当該判定は、システムコントローラ24からの停止信号又は他の電子カセッテ20からの放射線検出通知信号に基づいて行う。すなわち、停止信号又は放射線検出通知信号のいずれかを受信したとき、カセッテ制御部122は、他の電子カセッテ20で放射線16が検出されたと判定する。一方、停止信号及び放射線検出通知信号のいずれも受信しないとき、カセッテ制御部122は、他の電子カセッテ20では放射線16が検出されていないと判定する。
他の電子カセッテ20において放射線16が検出されていない場合(ステップS335:NO)、ステップS323に戻る。一方、他の電子カセッテ20において放射線16が検出された場合(ステップS335:YES)、カセッテ制御部122は、スキャンモードを停止し、スリープモードに移行する(ステップS336)。上記のように、スリープに移行する代わりに、シャットダウン又は待機モードとしてもよい。
以上のように、変形例16によれば、放射線画像の撮影に際し、複数の電子カセッテ20で放射線画像の撮影を可能とする。このため、ユーザー(放射線技師等)が電子カセッテ20を取り違えた場合でも、撮影をすることが可能となる。また、放射線16の検出は、放射線変換パネル64を用いて行う。このため、放射線変換パネル64以外の放射線検出手段を用いなくてもよくなり、電子カセッテ20の小型化を図ることが可能となる。
さらに、スキャンモードでは、複数の行単位で画素に蓄積された電荷を同時に読み出すので、放射線16の照射開始を早期且つ正確に判定することが可能となる。つまり、画素に蓄積された電荷が加算されて読み出されるので、放射線16が照射されている場合は、放射線16が照射されていない場合に比べ、得られた値の飛躍的に大きくなるので、放射線16の照射開始を早期に判定することができる。その結果、複数の行単位で電荷を読み出すスキャンモードから、1行単位で電荷を読み出す順次読出しモードに速やかに移行することが可能となる。したがって、放射線16の照射開始を判定するための放射線16の照射時間が短くて済み(照射量が少なくて済み)、放射線16のエネルギを有効活用することができる。
また、スキャンモードは複数の行単位での読出しを行うため、1行単位での読出しを行う場合と比べ、1行当たりの制御周期を短くすることが可能となる。このため、順次読出しモードを用いて放射線16の照射開始を検出し、その後、実際に放射線画像として用いる放射線画像情報を取得する場合と比べ、スキャンモードから順次読出しモードに移行する方が、実際に放射線画像として用いる放射線画像情報の取得を開始する際の各画素の電荷量のずれが小さくなる。このため、変形例16では、アーチファクトの発生を防止し易くなる。
以上より、変形例16によれば、電子カセッテ20の取り違えがあった場合でも、放射線画像をより好適に撮影することが可能となる。
変形例16では、スキャンモードを実行中の複数の電子カセッテ20は、放射線16を検出したら、他の電子カセッテ20に放射線16の検出を直接及びシステムコントローラ24を介して通知する。当該通知を受けた他の電子カセッテ20は、スキャンモードを中止する。これにより、放射線16を検出した電子カセッテ20以外の電子カセッテ20は、その後の電力消費を抑制することが可能となる。
なお、変形例16では、システムコントローラ24からの停止信号又は電子カセッテ20のいずれかからの放射線検出通知信号を契機として、他の電子カセッテ20は、スキャンモードを停止し、スリープモードに切り替えたが、これに限らない。例えば、停止信号又は放射線検出通知信号のいずれか一方のみを用いることもできる。あるいは、放射線検出通知信号に代えて、電子カセッテ20からの読出し開始信号を用いることもできるとともに、システムコントローラ24は、読出し開始信号を契機として他の電子カセッテ20に対する停止信号を送信してもよい。この場合、読出し開始信号が放射線検出通知信号を兼ねることとなるため、電子カセッテ20における処理を簡略化することができる。
また、変形例16の内容を変形例1〜15と組み合わせることもできる。例えば、変形例16において、スキャンモードの実行時には、変形例4のように、複数の画素の一部のみから電荷を読み出すこともできる。この場合、スキャンモード実行中の電力消費量又は演算量を低減することが可能となる。
(変形例17)上記変形例16では、起動信号を受信した全ての電子カセッテ20において放射線画像の撮影を行う構成について説明したが、放射線技師が取り違えた電子カセッテ20が、撮影条件を全く満たさない可能性もある。
そこで、変形例17では、撮影条件を満たす電子カセッテ20については、スキャンモードの後、撮影を行う一方、撮影条件を満たさない電子カセッテ20については、スキャンモードにはするものの、撮影は行わない。
変形例17の放射線撮像システム10の構成は、変形例16(図55)と同様である。変形例17における放射線撮像システム10のシステムコントローラ24及びコンソール26の動作は、基本的に変形例16(図56)と同様である。但し、図56のステップS302において、制御部212は、撮影条件及び撮影枚数に応じた複数の電子カセッテ20(撮影可能電子カセッテ20)を特定する。そして、ステップS303において、制御部212は、各撮影可能電子カセッテ20に対して、スキャンモード後に順次読出しモードの実行を指示する起動信号(第1起動信号)を送信する一方、撮影可能電子カセッテ20以外の電子カセッテ20に対して、スキャンモード後にスリープモードの実行を指示する起動信号(第2起動信号)を送信する。
変形例17において、制御部212から第1起動信号を受信したカセッテ制御部122の動作は、変形例16(図57)と同様である。一方、制御部212から第2起動信号を受信したカセッテ制御部122の動作は、図58に示すようなものである。
すなわち、図58のステップS341〜S345、S347、S348は、図57のステップS321〜S325、S335、S336と同様である。
ステップS345において放射線検出通知信号を送信したカセッテ制御部122は、続くステップS346において、スキャンモードからスリープモードに移行する。なお、スリープモードへの移行は、放射線検出通知信号の受信確認をシステムコントローラ24又は他の電子カセッテ20から受信した後としてもよい。
以上のように、変形例17によれば、変形例16における効果に加え、次の効果を奏することができる。すなわち、変形例17では、システムコントローラ24は、放射線画像の撮影条件の入力を受け付け、複数の電子カセッテ20の中から撮影条件に合致するものを判定し、撮影条件に合致する電子カセッテ20に対しては、スキャンモード中に放射線16を検出したら順次読出しモードを実行するよう指令する。一方、撮影条件に合致しない電子カセッテ20に対しては、スキャンモード中に放射線16を検出したら順次読出しモードの実行は行わずに、放射線16の検出をシステムコントローラ24に通知するよう指令する。そして、撮影条件に合致しない電子カセッテ20から放射線16の検出が通知されたら、表示装置28を介してユーザー(放射線技師等)に対して警告を行う。
これにより、撮影条件に合致しない電子カセッテ20が誤って選択された場合、ユーザーに対して撮影のやり直しを促すことが可能となる。
なお、変形例17の内容を変形例1〜15と組み合わせることもできる。例えば、変形例17において、スキャンモードの実行時には、変形例4のように、複数の画素の一部のみから電荷を読み出すこともできる。この場合、スキャンモード実行中の電力消費量又は演算量を低減することが可能となる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。