JP5940192B1 - ゴム系架橋発泡成形体とその製造方法 - Google Patents

ゴム系架橋発泡成形体とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5940192B1
JP5940192B1 JP2015072833A JP2015072833A JP5940192B1 JP 5940192 B1 JP5940192 B1 JP 5940192B1 JP 2015072833 A JP2015072833 A JP 2015072833A JP 2015072833 A JP2015072833 A JP 2015072833A JP 5940192 B1 JP5940192 B1 JP 5940192B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
cellulose nanofibers
crosslinked foamed
contained
foamed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015072833A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016191007A (ja
Inventor
朝博 長谷
朝博 長谷
林 信治
信治 林
武史 池本
武史 池本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin-ei Kako Co., Ltd.
Hyogo Prefectural Government
Original Assignee
Shin-ei Kako Co., Ltd.
Hyogo Prefectural Government
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin-ei Kako Co., Ltd., Hyogo Prefectural Government filed Critical Shin-ei Kako Co., Ltd.
Priority to JP2015072833A priority Critical patent/JP5940192B1/ja
Priority to PCT/JP2016/060394 priority patent/WO2016159081A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5940192B1 publication Critical patent/JP5940192B1/ja
Publication of JP2016191007A publication Critical patent/JP2016191007A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J9/00Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof
    • C08J9/04Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof using blowing gases generated by a previously added blowing agent

Abstract

【課題】高発泡、低比重のゴムスポンジ成形体にもかかわらず、成型後の寸法収縮が小さくて形状安定性、耐摩耗性、引張り強度等の機械的強度に優れ、また黒色以外の各種色彩を容易に付与することができるゴム系架橋発泡成形体の提供を課題とする。【解決手段】架橋反応及び発泡反応を同時的に行いながら加熱加圧成形して得られる架橋発泡スポンジ体からなるゴム系架橋発泡成形体であって、前記架橋発泡スポンジ体は、架橋剤を予め生ゴムに含有させておくことで弾性体に構成すると共に、発泡剤を予め生ゴムに含有させておくことでその比重を0.7未満に構成し、且つセルロースナノファイバーを予め生ゴムに1.0〜20.0質量%含有させておくことで、発泡したスポンジ体の各気泡セルの内壁にセルロースナノファイバーをより密に分散させると共に各気泡セル間の肉厚内にもセルロースナノファイバーを分散させた状態に構成してある。【選択図】 なし

Description

本発明はゴム系架橋発泡成形体とその製造方法に関する。
靴底等に用いられるゴムスポンジは、一般に、生ゴムに架橋剤(加硫剤)と発泡剤を加え、これを金型等内に仕込んで、加熱、加圧下、発泡と架橋(加硫)反応とを行わせることで、所望の形状に成形される。
靴底に関して、今日、非常に要望される特性がある。それは正に靴底の軽量化である。
発泡を行わないゴム靴底(ソリッドゴム靴底)の比重は概略1前後である。一方、現在靴底として使用されているスポンジゴムの靴底(スポンジゴム靴底)の比重は概略0.7程度が限界となっている。
勿論、スポンジゴムそのものの比重は、発泡量を増すことにより、0.7未満、例えば0.3、或いはそれ以下にすることが可能である。
しかしながら従来のスポンジゴムでは、発泡量を増やして比重を0.7程度未満に軽減していくと、その一方で、強度の低下、耐摩耗性の低下、形状安定性の低下(寸法収縮の増大)を招く問題があった。このため、実際には、比重を0.7程度未満のスポンジゴムは、靴底としてあまり使用されてこなかった。
ゴム材料の強化法としては、樹脂やゴムにカーボンナノファイバーを含有させる提案が従来から多くなされている。
例えば特開2005−46605号公報(特許文献1)には、天然ゴム、合成ゴム等にカーボンナノファイバーを配合した靴底が開示されている。
また特開2004−249888号公報(特許文献2)、特開2009−46547号公報(特許文献3)、特開2010−24414号公報(特許文献4)、特開2010−59303号公報(特許文献5)、特開2010−185032号公報(特許文献6)には、カーボンナノファイバーをゴムタイヤに配合して、強化を図る技術が開示されている。
一方、新たな素材として、近年、セルロースナノファイバーが誕生し、現在各分野での工業化及び工業的利用の道が探られている。
前記工業的利用の道の1つに、セルロースナノファイバーを樹脂に適用する提案がなされている。
例えば特開2013−44076号公報(特許文献7)、特開2008−248093号公報(特許文献8)、特願2012−229350号公報(特許文献9)、特開2013−227487号公報(特許文献10)、特開2013−248824号公報(特許文献11)、特開2014−105217号公報(特許文献12)には、セルロースナノファイバーを樹脂に分散させて、樹脂成型体等の性質の改善を図る提案がなされている。
更に、セルロースナノファイバーをゴムに配合する提案もなされている。
例えば、特開2009−191198号公報(特許文献13)には、セルロースナノファイバーをシランカップリング剤と共にゴムに配合したゴム組成物が開示されている。また特開2009−203412号公報(特許文献14)にはセルロースナノファイバーをウレタンゴムに含有させてなる吸水性に優れたポリウレタン発泡体が提案されている。また特開2013−234268号公報(特許文献15)には、セルロースナノファイバーをシリコーンゴムに含有させて、耐熱性、引張り強度を向上させたシリコーンゴム材料が提供されている。また特開2014−1361号公報(特許文献16)には、修飾セルロースナノファイバーをゴムに含有させて、強度と耐熱性を向上させる提案がなされている。
特開2005−46605号公報 特開2004−249888号公報 特開2009−46547号公報 特開2010−24414号公報 特開2010−59303号公報 特開2010−185032号公報 特開2013−44076号公報 特開2008−248093号公報 特開2012−229350号公報 特開2013−227487号公報 特開2013−248824号公報 特開2014−105217号公報 特開2009−191198号公報 特開2009−203412号公報 特開2013−234268号公報 特開2014−1361号公報
しかしながら、上記特許文献1〜6に開示するカーボンナノファイバーをゴムに含有させる技術は、そのほとんどが自動車等の発泡していないゴム、即ちソリッドゴムのタイヤへの適用を目的としたものであり、架橋(加硫)処理については技術開発の前提とするものの、ゴムの発泡処理については全くその技術開発の前提としていない。即ち上記特許文献1〜6に開示する技術は、発泡処理を組み合わせたときに、どのような現象、作用効果が生じるかといった観点を必要としないソリッドゴムのタイヤへの適用を前提としたものである。特に本発明が解決しようとする高発泡の架橋ゴムを前提とした課題を対象とするものではなく、またそのような課題についての解決手段を何ら開示するものでもない。
更に特許文献1〜6に開示されるカーボンナノファイバーを使用する製品は、製品の色が黒色に限定されてしまうことから、製品に種々の色彩を施すことができないという非常に大きな問題をそのまま残している。
加えて、カーボンナノファイバーについては、健康安全面でも課題がある。
なお、特許文献1に示す靴については、カーボンナノチューブやフラーレン、カーボンナノファイバーをゴムに混ぜ、発泡させること、或いは架橋(加硫)処理を行うことが開示されてはいるが、単なるゴム製造の一般的な工程の1つとして記載されているだけにとどまるものであり、特にゴムを高発泡処理した場合に生じる種々の問題に対する解決手段等が開示されているわけではない。
また上記特許文献7〜12に開示するセルロースナノファイバーを樹脂に含有させる技術においては、その開示された技術の大部分は、発泡処理も架橋(加硫)処理も行うことなく製造される樹脂製品に対する単純な繊維強化策にとどまる。即ち、従来からある繊維強化策における強化繊維の1つとしてセルロースナノファイバーを選択したにすぎない程度の技術を開示するにすぎないものである。
特許文献13には、セルロースナノファイバーをゴムに分散させることでゴムの耐久性及び剛性を向上させる技術が開示されているが、実際にはタイヤ製造を前提としたソリッドゴムへの適用を前提としたものであり、架橋(加硫)処理は行うものの、架橋(加硫)処理と発泡処理とを複合して同時的に行う架橋(加硫)発泡処理を前提とした解決策を開示するものではない。特に比重が0.7未満になるような高発泡、低比重の架橋発泡ゴムに存在する大きな問題、即ち高発泡、低比重ゴムにおける大きな膨張とその後に生じる大きな収縮がもたらす形状安定性不良の課題(大きな寸法変化の問題)、高発泡、低比重ゴムにおける強度不良の問題、高発泡、低比重ゴムにおける耐摩耗性不良の課題等を対象とするものではなく、そのような課題に対する解決策を開示するものでもない。
特許文献14には、水の吸水性を良くするため、ウレタンゴムにセルロースナノファイバーを入れて発泡体を製造する技術が開示されているが、発泡ウレタンの吸水性を向上させるための発明にとどまり、やはり高発泡の架橋(加硫)発泡ゴムにおける、上記した形状安定性不良の問題、機械的強度不足の問題、耐摩耗性不良等の課題を解決することを目的としたものではない。
特許文献15には、シリコーンゴムにセルロースナノファイバーを含有させた複合ゴム材料が開示されている。しかし架橋反応のみを行い、発泡処理を伴わないソリッドゴムでの強度補強を図る手段が開示されるのみである。高発泡、低比重の架橋(加硫)発泡ゴムにおける上記した形状安定性、機械的強度、耐摩耗性等の問題に対する課題を解決する手段が開示されているわけではない。
特許文献16には、修飾セルロースナノファイバーをフッ素ゴム等に含有させたゴム材料が開示されている。しかしながら上記特許文献13〜15の場合と同様に、高発泡、低比重の架橋(加硫)発泡ゴムにおける形状安定性、機械的強度、耐摩耗性等の問題に対する課題を対象としたものではなく、そのような課題の解決手段を何ら開示したものでもない。
そこで本発明は上記従来技術の種々の問題点を解消し、架橋(加硫)反応と発泡とを同時的に行いながら高発泡、低比重のゴムスポンジをプレス成型するようにしたゴム系架橋発泡成形体において、高発泡、低比重のゴムスポンジ成形体にもかかわらず、成型後の寸法収縮が小さくて形状安定性に優れ、また耐摩耗性にも優れ、勿論、引張り強度等の機械的強度にも優れ、加えてカーボンやカーボン繊維を用いることなく、即ち成形体に黒色以外の各種色彩を容易に付与しながら形状安定性や、耐摩耗性、機械的強度も向上させることができるゴム系架橋発泡成形体とその製造方法の提供を課題とする。
上記課題を達成するため本発明のゴム系架橋発泡成形体は、架橋発泡スポンジ体からなるゴム系架橋発泡成形体であって、前記架橋発泡スポンジ体は、比重0.7未満の弾性体からなるスポンジ体とすると共に、セルロースナノファイバーを1.0〜20.0質量%含有させたセルロースナノファイバー含有スポンジ体とし、且つセルロースナノファイバーをスポンジ体の各気泡セルの内壁により密に分散させると共に各気泡セル間の肉厚内にも分散させてあることを第1の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体は、上記第1の特徴に加えて、ゴム成分として、ジエン系ゴムを主成分として含有させていることを第2の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体は、上記第2の特徴に加えて、セルロースナノファイバーを3.0〜15.0質量%含有させていることを第3の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体は、上記第2の特徴に加えて、ゴム成分として、天然ゴムを主成分として含有させていることを第4の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体は、上記第4の特徴に加えて、セルロースナノファイバーを5.0〜15.0質量%含有させていることを第5の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体は、上記第1の特徴に加えて、ゴム成分として、非ジエン系ゴムを主成分として含有させていることを第6の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体は、上記第1の特徴に加えて、ゴム成分として、EVAを主成分として含有させていることを第7の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体は、上記第6又は第7の特徴に加えて、セルロースナノファイバーを3.0〜15.0質量%含有させていることを第8の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体は、上記第1の特徴に加えて、ゴム成分として、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム、EVAの中から選ばれる少なくとも2種類以上のゴムを含有させていることを第9の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体は、上記第1〜第9の何れかの特徴に加えて、含有させるセルロースナノファイバーは、その径が1〜1000nmで、アスペクト比が100〜10000であることを第10の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体の製造方法は、上記第1〜第10の何れかの特徴に記載のゴム系架橋発泡成形体の製造方法であって、生ゴムを架橋反応と発泡反応とを同時的に行いながら加熱加圧成形することで架橋発泡スポンジ体からなるゴム系架橋発泡成形体を製造する方法において、前記架橋発泡スポンジ体は、架橋剤を予め生ゴムに含有させておくことで弾性体になるよう架橋反応させると共に、発泡剤を予め生ゴムに含有させておくことで比重が0.7未満になるよう発泡反応させ、且つセルロースナノファイバーを予め生ゴムに1.0〜20.0質量%含有させておくことで、発泡反応によって発泡した各気泡セルの内壁にセルロースナノファイバーがより密に分散すると共に各気泡セル間の肉厚内にもセルロースナノファイバーが分散するようにしたことを第11の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体の製造方法は、上記第11の特徴に加えて、セルロースナノファイバーはシリカに担持させて含有させることを第12の特徴としている。
また本発明のゴム系架橋発泡成形体の製造方法は、上記第11の特徴に加えて、セルロースナノファイバーはカップリング剤を介してゴム成分と結合させることを第13の特徴としている
請求項1に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、比重を0.7未満にした弾性体からなる架橋発泡スポンジ体にセルロースナノファイバーを1.0〜20.0質量%含有させ、そのセルロースナノファイバーが架橋発泡スポンジ体の各気泡セルの内壁により密に分散させると共に各気泡セル間の肉厚内にも分散させてあるので
前記より密に分散したセルロースナノファイバーによって、気泡セルの内壁が構造的に強化される。その結果として、架橋発泡スポンジ体の形状安定性を充分に向上させることができ、密度が0.7未満の高発泡の架橋発泡スポンジ体であっても、成型後の経時的な寸法収縮を効果的に減じることができる。またセルロースナノファイバーが気泡セルの内壁の他、気泡セル間の肉厚間にも分散することで、架橋による残留収縮応力に対する構造強度が上がり、全体としての形状安定性を大きく増進させることができる。このような高発泡のスポンジ体での形状安定性の向上は、高発泡の極軽量靴底等の実用化、例えば極軽量マラソンシューズ等の実用化を図る上で非常に重要である。
またセルロースナノファイバーは、架橋発泡スポンジ体の表面にも十分に分散することで、比重が0.7未満の高発泡のスポンジ体であっても、その表面強度、剛性を充分に向上させることができ、高発泡の架橋発泡スポンジ体における耐摩耗性を充分に向上させることができる。このような比重が0.7未満の高発泡の架橋発泡スポンジ体での耐摩耗性の大きな向上は、高発泡の極軽量靴底の実用化にとって非常に重要な効果をもたらす。
またセルロースナノファイバーを1.0〜20.0質量%含有させることで、比重が0.7未満の高発泡の架橋発泡スポンジ体からなるゴム系架橋発泡成形体であっても、その引張り強度等の機械的性能を充分に向上させることができ、極軽量靴底等の極軽量スポンジ成形品としての実用化を大きく前進させることができる。
加えてカーボンやカーボン繊維を用いることなく、即ち成形体に黒色以外の各種色彩を容易に付与しながら各種の架橋発泡スポンジ体を成形することができるので、色彩に富んだ各種の弾性スポンジ体を安全に実用提供することが可能となる。勿論、セルロースナノファイバー自体に染色を施しておくことで、色素成分をゴム成分に混ぜることなく、各種色彩の架橋発泡成形体をより容易に提供することができる。
請求項2に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、ゴム成分としてジエン系ゴムを主成分として含有させているので、
ジエン系ゴムを主成分とするゴム系架橋発泡成形体において、比重が0.7未満の超軽量、高発泡体からなる架橋発泡スポンジ体の形状安定性、耐摩耗性、引張り強度等の機械的特性を充分に向上させることができる。よって履物等での良好な適用を可能とする。
また請求項3に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、上記請求項2に記載の構成による作用効果に加えて、セルロースナノファイバーを3.0〜15.0質量%含有させることにより、
ジエン系ゴムを主成分とする架橋発泡スポンジ体における成形後の大きな収縮、並びに低い耐摩耗性を、好ましく解消することができ、履物底等での良好な適用を可能とすることができる。
ブタジエンゴムやスチレンゴムに代表されるジエン系ゴムは、比較的硬質であることから、比重0.7未満に発泡度合を上げても、ある程度の強度、硬度、耐摩耗性、形状安定性を保持することができるが、セルロースナノファイバーを含有させることで、比重0.7未満に高発泡した架橋発泡スポンジ体での形状安定性、耐摩耗性、機械的特性を向上させる効果が大きく、履物等への良好な適用が可能となる。
ジエン系ゴムの場合におけるセルロースナノファイバーの含有量は3.0〜15.0質量%とした。3.0質量%以上とすることで、より好ましい補強効果を得ることができる。一方、15.0質量%を超えると、ゴムとしての弾性特性が後退するので、15.0質量%以下がより好ましい。
請求項4に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、上記請求項2に記載の構成による作用効果に加えて、ゴム成分として天然ゴムを主成分として含有させているので、
ジエン系ゴムに属する天然ゴムを主成分とするゴム系架橋発泡成形体において、同様に、比重0.7未満の超軽量、高発泡体からなる架橋発泡スポンジ体の形状安定性を現に向上させることができる。加えて超軽量、高発泡の架橋発泡スポンジ体の耐摩耗性を充分に向上させることができる。
また天然素材である天然ゴムに対して天然由来のセルロースナノファイバーを使用することで、エコロジー的にも好ましい製品を提供することができる。
また請求項5に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、上記請求項4に記載の構成による作用効果に加えて、セルロースナノファイバーを5.0〜15.0質量%含有させることにより、
比較的軟質な天然ゴム主成分とする架橋発泡スポンジ体における成形後の大きな収縮、並びに低い耐摩耗性を、セルロースナノファイバーの含有量を5.0質量%以上に増加させることによって、好ましく解消することができ、履物底等での良好な適用を可能とすることができる。
なお、15.0質量%を超えるとゴムの弾性特性が後退するので、15.0質量%以下がより好ましい。
また請求項6に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、ゴム成分として非ジエン系ゴムを主成分として含有させているので、
非ジエン系ゴムを主成分とするゴム系架橋発泡成形体において、比重0.7未満の超軽量、高発泡体からなる架橋発泡スポンジ体の形状安定性、耐摩耗性、引張り強度等の機械的特性を充分に向上させることができ、履物等での良好な適用を可能とする。
EPDM(エチレン・プロピレンゴム)に代表される非ジエン系ゴムの場合も、天然ゴム等に比べて一般的に硬質であることから、上記したジエン系ゴムの場合と同様に、比重0.7未満に発泡度合を上げても、ある程度の強度を保持することができる。しかしセルロースナノファイバーを含有させることで、比重0.7未満に高発泡した架橋発泡スポンンジ体での、形状安定性、耐摩耗性、機械的特性を向上させる効果が大きく、履物等への良好な適用が可能となる。
また請求項7に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、ゴム成分としてEVAを主成分として含有させていることにより、
比重0.7未満の超軽量、高発泡体からなる架橋発泡スポンジ体の形状安定性、耐摩耗性、引張り強度等の機械的特性を充分に向上させることができ、履物等での良好な適用を可能とする。
EVAはエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂である。本発明ではEVAもゴム系として含める。EVAを加熱加圧状態で架橋発泡した成形体はゴムスポンジ体となり、履物底、その他に供される。
また請求項8に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、上記請求項6又は7に記載の構成による作用効果に加えて、セルロースナノファイバーを3.0〜15.0質量%含有させていることにより、
非ジエン系ゴムの架橋発泡スポンジ体における成形後の大きな収縮、並びに低い耐摩耗性をより好ましく解消することができ、履物底等での良好な適用を可能とすることができる。
EVAの架橋発泡スポンジ体における成形後の大きな収縮の防止、及び低い耐摩耗性の向上を更に改善することができ、履物底等での良好な適用を可能とすることができる。
EVAの架橋発泡スポンジ体におけるセルロースナノファイバーの含有量(3.0〜15.0質量%)が天然ゴムの場合(5.0〜15.0質量%)よりも少なくてすむのは、EVAの方が素材として天然ゴムよりも一般的に硬質で形状安定性、耐摩耗性に優れていることによる。
また請求項9に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、ゴム成分として、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム、EVAの中から選ばれる少なくとも2種類以上のゴムを含有させていることにより、
ジエン系ゴムに属するゴム、非ジエン系ゴムに属するゴム、EVAを複数用いて種々の目的にあったゴム系架橋発泡成形体を構成すると共に、それらにおける比重0.7未満での形状安定性、耐摩耗性、引張り強度等の機械的性質を良好に向上させることができる。
また請求項10に記載のゴム系架橋発泡成形体によれば、上記請求項1〜9の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、含有させるセルロースナノファイバーは、その径が1〜1000nmで、アスペクト比が100〜10000であることにより、
現に比重0.7未満の超軽量、高発泡体からなる架橋発泡スポンジ体の形状安定性、耐摩耗性、引張り強度等の機械的特性を充分に向上させることができ、履物等での良好な適用を可能とする。
また請求項11に記載のゴム系架橋発泡成形体の製造方法によれば、ゴム系の材料が加熱と加圧下において、成型金型等内で、架橋反応と発泡反応とを同時的に施されて、ゴム系の架橋発泡スポンジ成形体が得られる。その際、予め生ゴム含有させておいた架橋剤による架橋反応が行われ弾性体となる。また予め生ゴムに含有させておいた発泡剤の発泡反応により比重が0.7未満の発泡体となることができる。前記発泡反応によって多数の気泡が発生し、それが成長することで、架橋発泡成形体内に多数の気泡セルが形成される。そして気泡が発生して成長する際に、気泡が発生したところでは、セルロースナノファイバーがその気泡の成長と共に押し動かされ、より密になって気泡セルの内壁に分散する。
前記より密に分散したセルロースナノファイバーによって、気泡セルの内壁が構造的に強化される。その結果として、形状安定性が充分に向上した架橋発泡スポンジ体が製造される。これにより密度が0.7未満の高発泡の架橋発泡スポンジ体であっても、成型後の経時的な寸法収縮を効果的に減じることができる。またセルロースナノファイバーが気泡セルの内壁の他、気泡セル間の肉厚間にも分散することで、架橋による残留収縮応力に対する構造強度が上がり、全体としての形状安定性を大きく増進させることができる。
またセルロースナノファイバーを1.0〜20.0質量%含有させることで、比重が0.7未満の高発泡であっても、その引張り強度等の機械的性能を充分に向上させた架橋発泡スポンジ体を製造することができ、極軽量靴底等の極軽量スポンジ成形品としての実用化を大きく前進させることができる。
また請求項12に記載のゴム系架橋発泡成形体の製造方法によれば、上記請求項11に記載の構成による作用効果に加えて、セルロースナノファイバーはシリカに担持させて含有させることにより、
セルロースナノファイバーのゴム生地中への分散性がシリカの分散に伴って向上し、形状安定性、耐摩耗性、機械的特性の安定した向上を得ることができる。
シリカはゴムの補強剤として従来から用いられているが、シリカにセルロースナノファイバーを担持させることで、該シリカの分散に伴ってセルロースナノファイバーの分散状態も良くなるという知見を本発明者は実験を通じて得た。
また請求項13に記載のゴム系架橋発泡成形体の製造方法によれば、上記請求項11に記載の構成による作用効果に加えて、セルロースナノファイバーはカップリング剤を介してゴム成分と結合させることにより、
セルロースナノファイバーの自己凝集性を緩和し、ゴム生地中への分散性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態に係るゴム系架橋発泡成形体について説明する。
先ず表1〜表5を参照して第1実施形態を説明する。
ゴム系架橋発泡成形体の主成分となるゴムは、天然ゴム(NR)、合成ゴムを挙げることができる。また本発明ではエチレン酢酸ビニル(EVA)もゴム系の範囲に含むものとする。
前記合成ゴムとしてはジエン系ゴム、非ジエン系ゴムを含む。ジエン系ゴムにはスチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルゴム(NBR)を少なくとも含む。また非ジエン系ゴムには、ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)を少なくとも含む。
前記ゴム系材材料のうち、靴底、履物底としては、NR、SBR、BR、IR、EVA、ウレタンゴムを、それぞれ単独、或いは主成分とし、またこれらの複数種類のゴムを混合物として含有させたものを好ましく用いることができる。
ゴム系架橋発泡成形体に含有されるセルロースナノファイバー(CNF)は、植物又は木材の細胞壁を構成する繊維に由来するものである。本実施形態で用いるセルロースナノファイバーは、その径が1〜1000nmの範囲内にあるもので、アスペクト比が100〜10000の範囲内にあるものである。セルロースナノファイバーは天然材を物理的、化学的にほぐして、ナノサイズのファイバーとするが、天然由来ゆえ、その径と長さは何れも大きく分散し易く、狭い範囲内の径、長さに揃えるのは比較的難しい。
我々の経験からして、セルロースナノファイバーの径は1〜500nmが好ましいと考える。またアスペクト比は100〜1000が好ましいと考える。
セルロースナノファイバーは、通常において親水性であり、水に分散させた状態のものを用いることができる。勿論、固体微粉末状としたものを用いることも可能である。
またゴムに混ぜた際の分散性を向上させるため、カップリング剤を添加してもよい。カップリング剤は、例えばシランカップリング剤を用いることができるが、公知の他のカップリング剤を用いることができる。
主成分となるゴムに対して、副資材として、発泡剤を含有させる。
発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系発泡剤、ジアゾアミンベンゼン、N,N’−ジニトロペンタメチレンテトラミン等の有機系発泡剤を用いることができる。これらは加熱等に伴う化学反応によりガスを発生し、気泡となるものである。
また発泡剤としては、熱膨張性マイクロカプセルを含有させるようにしてもよい。
発泡剤の含有量は、目的とする比重に応じて、ゴムの種類、また加熱温度や加圧力、保持時間によって、その含有量が調整される。
主成分となるゴムに対して、副資材として架橋剤を含有させる。
架橋剤としては、硫黄加硫には硫黄、過酸化物架橋には有機過酸化物を用いることができる。有機過酸化物としては、アルキル系パーオキサイド、アシル系パーオキサイドを用いることができる。これらの架橋剤はゴムの種類や、得たい特性に応じて使い分けることになる。
その他の副資材としては、必要に応じて、発泡促進剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、老化防止剤、色素剤、黒鉛、シリカ、その他のフィラーをゴムに含有させることができる。
なおシリカをセルロースナノファイバーと共に用いることで、セルロースナノファイバーのゴム中での分散性を向上できる効果を我々は知見した。即ち、シリカ粉末を用いて、該シリカ粉末にセルロースナノファイバーを予め物理的化学的に担持させるようにすることで、シリカ粉末をゴム中に混錬して分散させることで、セルロースナノファイバーを同時的にゴム中に比較的容易に分散させることができるのである。用いるシリカ粉末は、セルロースナノファイバーの寸法にもよるが、粒径はサブミクロン〜数百ミクロンのものを好ましく用いることができる。
ゴム系架橋発泡成形体の製造は、所定の含有量となるように、生ゴム原料、架橋剤、発泡剤、その他の副資材、セルロースナノファイバーを配合し、混錬した後、プレス成型機或いは射出成型機等の成形機において、高温加圧下、架橋反応及び発泡反応を同時的に行うことでできる。この際、発泡剤の含有量、及び発泡温度、発泡時間を調整することで、比重が0.7未満の架橋発泡スポンジ体を得る。架橋発泡温度、時間、圧力等は、ゴムに対して一般的に行われているものと特に変わりはない。例えば温度は100〜180℃程度とし、保持時間は数分〜数十分程度、圧力は数MPaとすることができる。
なおセルロースナノファイバーは、その水分散液であるスラリーで提供される場合は、このスラリーを予めゴムラテックスと混合、乾燥して得たマスターバッチを用いて配合することができる。
セルロースナノファイバーのゴムへの添加量は、1.0〜20.0質量%とする。
セルロースナノファイバーは架橋発泡スポンジ体、特に比重が0.7未満の高発泡の架橋発泡スポンジ体に対する形状安定性、耐摩耗性、引張り強度等の機械的強度、グリップ特性を向上させる効果がある。1.0質量%未満では前記効果を充分に発揮させることができない。また実施例のデータとしては必ずしも開示していないが、20.0質量%を超えると硬度が上昇し過ぎ、スポンジ体の弾性特性が失われることがわかっている。
ゴムの主成分が天然ゴムの場合は、該天然ゴムが比較的軟質であることから、これを比重0.7未満に発泡させた場合には、より一層軟質となって、成形後の大きな収縮、並びに耐摩耗性の低下を招き易い。よってセルロースナノファイバーの含有量は5.0質量%以上に増加させるのが好ましい。また一方、天然ゴムの特性を生かすことを考慮すれば、15.0質量%以下が好ましい。なお15.0質量%を超える含有量については、下記の実施例のデータには示していないが、本発明者によるこれまでの実験を通じての知見として、15.0質量%以下が弾性特性保持の観点から好ましいと判断している。
ゴムの主成分がジエン系ゴムの場合は、セルロースナノファイバーの含有量は3.0〜15.0質量%が好ましい。
履物底としてよく用いるSBR、BR、IR等のジエン系ゴムは、前記天然ゴムに比べて、やや硬質である。このため、天然ゴムの場合に比べて、セルロースナノファイバーの含有量は少なくてもよく、3.0質量%以上含有させることで、比重0.7未満のジエン系ゴムの架橋発泡スポンジ体における成形後の形状安定性、耐摩耗性、引張り強度等の機械的特性をより好ましく向上させることができる。一方、下記の実験データには示さないが、本発明者のこれまでの実験を通しての知見として、弾性特性を保持するには15.0質量%以下がより好ましい。
なお天然ゴムも、分類からすればジエン系ゴムではある。
ゴムの主成分が非ジエン系ゴムの場合も、セルロースナノファイバーの含有量は、上記した理由と同様に、3.0〜15.0質量%が好ましい。
ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ウレタンゴム等の非ジエン系ゴムは、その種類にもよるが、前記天然ゴムに比べて、同等若しくはやや硬質である。上記ジエン系ゴムの場合と同様に、セルロースナノファイバーの含有量は天然ゴムに比べて少量で好ましい効果を発揮する。
セルロースナノファイバーを含有させた生ゴムを高温、高圧で架橋発泡成形処理すると、ゴム生地内において、発泡剤による微細な気泡が発生する。そしてこの気泡が成長する際に、周囲の生地を押しのけて気泡セルを構成する。気泡セルの大きさはプレス圧と保持時間等との関係で決まる。
前記気泡が発生、成長して気泡セルが構成される際には、その気泡セルが発生した部分のゴム生地が押しのけられると共に、その部分に分散しているセルロースナノファイバーも気泡セルの内壁まで押しのけられる。このため、発泡したスポンジ体の各気泡セルの内壁には、セルロースナノファイバーがより密に分散した状態にされる。勿論、各気泡セル間の肉厚内にもセルロースナノファイバーが分散する。
発泡により膨張したスポンジ体は、成型後収縮し易く、特に比重0.7未満の高発泡体では寸法安定性に難があったが、セルロースナノファイバーを含有させた発泡体とすることで、寸法安定性を大きく改善することが可能となった。これはセルロースナノファイバーが気泡セルの内壁を強化し、また気泡セル間を強化することで収縮に対する抵抗力が改善したことによると考える。
また比重が0.7未満の高発泡の架橋発泡スポンジ体の場合、地面等との接触による耐摩耗性に難があったが、耐摩耗性の大きなセルロースナノファイバーを含有させてスポンジ体の生地中に分散させたことで、高発泡のスポンジ体の耐摩耗特性を改善することが可能となった。
またセルロースナノファイバーを含有した架橋発泡スポンジ体は、靴底等において、地面に対するグリップ性の向上が期待できることが分かった。
勿論、上記背景技術の欄で述べたようなセルロースナノファイバーの含有による既知の作用効果として、引張り強度の改善も期待できる。
以下の要領で、実施例1〜4の各試料を作成した。
実施例1:天然ゴム(NR)を主成分とするもの
実施例2:SBRを主成分とするもの
実施例3:EPDMを主成分とするもの
実施例4:EVAを主成分とするもの
<マスターバッチの調整>
各実施例1〜4において、セルロースナノファイバー(CNF)を20質量%含有する天然ゴムマスターバッチを用いて、含有させた。
より具体的には、CNF5質量%、水95質量%のCNF分散液(株式会社スギノマシン製BiNFi−s(ビンフィスセルロース)、形式:WMa−10005)を用い、これに前記CNFスラリーに天然ゴムラテックスを混合し、撹拌、固形化し、その後乾燥させて、これをCNF20質量%のマスターバッチとして用いた。天然ゴムラテックスは、メタクリル酸メチルをグラフト重合した天然ゴムをハイアンモニア処理した天然ゴムラテックス(株式会社レヂテックス、形式:MG−10)を用いた。
<配合>
実施例1で使用する主成分の天然ゴムはRSS#3を用いた。この天然ゴム100phrに対して、マスターバッチを0phr(0phr)、5phr(1phr)、15phr(3phr)、25phr(5phr)、50phr(10phr)、75phr(15phr)、100phr(20phr)含有されるものを配合調整した。なお、上記()内の数値はマスターバッチに含まれるCNFの配合比率である。またステアリン酸を1phr、発泡剤を10phr、架橋剤を1phr含有させた。
実施例2で使用する主成分のSBRはJSR株式会社製のSBR1502を用いた。このSBR100phrに対して、マスターバッチを0phr、5phr、15phr、25phr、50phr、75phr、100phr含有されるものを配合調整した。またステアリン酸を1phr、発泡剤を10phr、架橋剤を1phr含有させた。
実施例3で使用する主成分のEPDMは住友化学株式会社製のエスプレン305を用いた。このEPDM100phrに対して、マスターバッチを0phr、5phr、15phr、25phr、50phr、75phr、100phr含有されるものを配合調整した。またステアリン酸を1phr、発泡剤を10phr、架橋剤を1phr含有させた。
実施例4で使用する主成分のEVAは株式会社東ソーのウルトラセン625を用いた。このEVA100phrに対して、マスターバッチを0phr、5phr、15phr、25phr、50phr、75phr、100phr含有されるものを配合調整した。またステアリン酸を1phr、発泡剤を5phr、架橋剤を1phr含有させた。
架橋剤は化薬アクゾ株式会社のPerkadox BC−FFを用いた。
発泡剤は三協化成株式会社のセルマイクを用いた。
ステアリン酸は加工助剤として用いた。
表1〜4に各実施例1〜4の配合比率(phr)を示す。またセルロースナノファイバー(CNF)の実際の含有量(質量%)を示す。
Figure 0005940192
Figure 0005940192
Figure 0005940192
Figure 0005940192
<架橋発泡条件>
実施例1〜4における架橋発泡条件は160℃×15分とした。得られる架橋発泡スポンジ体の比重は、実施例3のCNFが0質量%の場合(比重0.71)を除き、何れも比重が0.2以上で0.7未満の範囲とした(表7の比重参照)。
<評価項目>
評価項目として、形状安定性、耐摩耗性、引張り強度、グリップ性を評価した。
<形状安定性評価方法>
160mm×150mm×2mmの金型を使い、前述の4種類の配合について架橋発泡ゴムのスラブを製作し、架橋終了後の金型脱型直後から1週間その寸法の変化を調べた。これらの条件を等しく評価するために、以下の計算式を用いて寸法保持率を計算し、評価を行った。
金型の長さ :a
金型脱型直後の全長 :b
一定時間経過後の全長:c
金型脱型直後の膨張長さ=b−a
一定時間経過後の膨張長さ=c−a
寸法保持率=(c−a)/(b−a)×100(%)
なお、評価試験結果では、1週間後のみの寸法保持率の値(%)を使って評価した。
結果を表5に示す。
<耐摩耗性評価方法>
評価はDINの摩耗試験機を用いて行った。JIS K6264−2に規定された方法のうち、以下の条件にて試験を実施した。100mm×100mm×10mmの金型を使い、各配合の架橋発泡ゴムのスラブを製作し、更に打ち抜きで直径16mm、厚み10mm程度の円柱片を作製して試験片とした。
試験方法:B法(試験片を回転させながら試験する方法)
荷重 :10N
摩耗距離:20m(摩耗が早いものについては10m)
得られた摩耗体積(mm)を表6に示す。
<引張り試験方法>
160mm×150mm×2mmの金型を使い、前述の各配合について架橋発泡ゴムのスラブを製作し、得られた厚み3mm程度の架橋発泡ゴムスラブをJIS K6251に規定された1号ダンベル形状にて打ち抜き、試験片を得た。試験片を株式会社上島製作所製のユニトロン万能試験機を用いて引張り強度(Pa)を測定した。
引張り速度:500mm/min
標線間隔:40mm
結果を表7に示す。
<グリップ性評価方法>
160mm×150mm×2mmの金型を使い、前述の各配合について架橋発泡ゴムのスラブを製作し、得られた厚み3mm程度の架橋発泡ゴムスラブから、10mm×10mm×3mm前後の試験片を得た。この試験片を下地の上に配置し、更に試験片に上から一定の荷重を加えた状態で、下地の上を引っ張ってスライド移動させ、その時のスライド移動に係る力をバネばかりで測定し、摩擦係数を測定した。
下地の材質:鉄板(黒皮)
下地の条件:ドライ状態とウエット状態
摩擦力測定機器:50N用バネばかり
試験片への荷重:35N
結果を表8に示す。
Figure 0005940192
Figure 0005940192
Figure 0005940192
Figure 0005940192
表5によれば、金型脱型後1週間の寸法保持率は、実施例1〜実施例3の比重0.7未満の架橋発泡スポンジ体において、CNF含有による顕著な効果が得られることがわかった。一方、EVAを主成分とする第4実施例では、CNFを含有させることによる効果はあるが、それほど大きくはないことがわかった。EVAの熱可塑性的な特性により、脱型後に温度が低下すると、その状態で形を保持する傾向が本来的にあると考えられる。
表6によれば、実施例1〜実施例4の比重0.7未満の何れの架橋発泡スポンジ体においても、CNFを含有させることで、摩耗体積が減り、耐摩耗性の効果が認められることがわかった。
表7によれば、実施例1〜実施例4の各比重0.7未満の架橋発泡スポンジ体において、CNFの含有による比強度の増加が期待できる。
表8によれば、CNF含有によるグリップ特性は、ウエット状態で改善がみられることがわかった。
本発明のゴム系架橋発泡成形体は、履物底を扱う産業、その他、ゴム等の高発泡の架橋発泡スポンジ体を扱う産業において、産業上の利用可能性がある。

Claims (13)

  1. 橋発泡スポンジ体からなるゴム系架橋発泡成形体であって、前記架橋発泡スポンジ体は、比重0.7未満の弾性体からなるスポンジ体とすると共に、セルロースナノファイバーを1.0〜20.0質量%含有させたセルロースナノファイバー含有スポンジ体とし、且つセルロースナノファイバーをスポンジ体の各気泡セルの内壁により密に分散させると共に各気泡セル間の肉厚内にも分散させてあることを特徴とするゴム系架橋発泡成形体。
  2. ゴム成分として、ジエン系ゴムを主成分として含有させていることを特徴とする請求項1に記載のゴム系架橋発泡成形体。
  3. セルロースナノファイバーを3.0〜15.0質量%含有させていることを特徴とする請求項2に記載のゴム系架橋発泡成形体。
  4. ゴム成分として、天然ゴムを主成分として含有させていることを特徴とする請求項2に記載のゴム系架橋発泡成形体。
  5. セルロースナノファイバーを5.0〜15.0質量%含有させていることを特徴とする請求項4に記載のゴム系架橋発泡成形体。
  6. ゴム成分として、非ジエン系ゴムを主成分として含有させていることを特徴とする請求項1に記載のゴム系架橋発泡成形体。
  7. ゴム成分として、EVAを主成分として含有させていることを特徴とする請求項1に記載のゴム系架橋発泡成形体。
  8. セルロースナノファイバーを3.0〜15.0質量%含有させていることを特徴とする請求項6又は7に記載のゴム系架橋発泡成形体。
  9. ゴム成分として、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム、EVAの中から選ばれる少なくとも2種類以上のゴムを含有させていることを特徴とする請求項1に記載のゴム系架橋発泡成形体。
  10. 含有させるセルロースナノファイバーは、その径が1〜1000nmで、アスペクト比が100〜10000であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のゴム系架橋発泡成形体。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載のゴム系架橋発泡成形体の製造方法であって、生ゴムを架橋反応と発泡反応とを同時的に行いながら加熱加圧成形することで架橋発泡スポンジ体からなるゴム系架橋発泡成形体を製造する方法において、前記架橋発泡スポンジ体は、架橋剤を予め生ゴムに含有させておくことで弾性体になるよう架橋反応させると共に、発泡剤を予め生ゴムに含有させておくことで比重が0.7未満になるよう発泡反応させ、且つセルロースナノファイバーを予め生ゴムに1.0〜20.0質量%含有させておくことで、発泡反応によって発泡した各気泡セルの内壁にセルロースナノファイバーがより密に分散すると共に各気泡セル間の肉厚内にもセルロースナノファイバーが分散するようにしたこと特徴とするゴム系架橋発泡成形体の製造方法。
  12. セルロースナノファイバーはシリカに担持させて含有させることを特徴とする請求項11に記載のゴム系架橋発泡成形体の製造方法
  13. セルロースナノファイバーはカップリング剤を介してゴム成分と結合させることを特徴とする請求項11に記載のゴム系架橋発泡成形体の製造方法
JP2015072833A 2015-03-31 2015-03-31 ゴム系架橋発泡成形体とその製造方法 Active JP5940192B1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015072833A JP5940192B1 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 ゴム系架橋発泡成形体とその製造方法
PCT/JP2016/060394 WO2016159081A1 (ja) 2015-03-31 2016-03-30 ゴム系架橋発泡成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015072833A JP5940192B1 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 ゴム系架橋発泡成形体とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5940192B1 true JP5940192B1 (ja) 2016-06-29
JP2016191007A JP2016191007A (ja) 2016-11-10

Family

ID=56244641

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015072833A Active JP5940192B1 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 ゴム系架橋発泡成形体とその製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5940192B1 (ja)
WO (1) WO2016159081A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018021111A (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 株式会社ブリヂストン ゴム部材及びタイヤ
WO2018025936A1 (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 株式会社ブリヂストン ゴム部材及びその製造方法、並びにタイヤ
JP2018021110A (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 株式会社ブリヂストン ゴム部材及びその製造方法、並びにタイヤ
US10894880B2 (en) 2018-03-30 2021-01-19 Toyoda Gosei Co., Ltd. Rubber compositions and methods of producing rubber compositions

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018080298A (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 三和化工株式会社 ポリオレフィン系発泡体の製造方法、ポリオレフィン系発泡体
JP6935214B2 (ja) * 2017-03-30 2021-09-15 富士紡ホールディングス株式会社 研磨パッド
JP6935215B2 (ja) * 2017-03-30 2021-09-15 富士紡ホールディングス株式会社 保持パッド
JP6371440B1 (ja) * 2017-04-28 2018-08-08 兵庫県 発泡ゴム成形体、その製造方法並びにそれを用いた水中用衣類、車両用緩衝材、防振ゴム、防音ゴム及びシール材
JP2019026782A (ja) * 2017-08-01 2019-02-21 信越化学工業株式会社 セルロースナノファイバー担持無機粉体及びその製造方法
JP7259158B2 (ja) * 2017-11-22 2023-04-18 大和紡績株式会社 発泡ゴム成形体、その製造方法及びそれを用いたシール材
CN108373549A (zh) * 2018-01-24 2018-08-07 鹤山市怡欣纤维制品有限公司 乳胶海绵的生产工艺
JP7064089B2 (ja) * 2018-07-12 2022-05-10 兵庫県 発泡ゴム成形体、その製造方法並びにそれを用いた水中用衣類、車両用緩衝材、防振ゴム、防音ゴム及びシール材
JP7293719B2 (ja) * 2019-02-27 2023-06-20 東ソー株式会社 ゴム発泡体、その製造方法及びその用途
US11945927B2 (en) 2019-04-05 2024-04-02 Seiko Pmc Corporation Foam and method for producing same
WO2021100137A1 (ja) 2019-11-20 2021-05-27 株式会社アシックス 靴用部材及び靴
KR102455698B1 (ko) * 2020-10-27 2022-10-18 한국신발피혁연구원 바이오매스를 이용한 신발 중창용 발포체 조성물
KR102455694B1 (ko) * 2020-10-29 2022-10-18 한국신발피혁연구원 신발 중창용 발포체 조성물
KR102613395B1 (ko) * 2021-11-09 2023-12-15 영인코리아 주식회사 신발 부재용 친환경 재생 필러 마스터배치의 제조방법
KR102613394B1 (ko) * 2021-11-09 2023-12-15 영인코리아 주식회사 신발 부재용 친환경 재생 필러 마스터배치 및 이를 포함하는 신발 부재용 수지 조성물
JP7346697B1 (ja) 2022-12-28 2023-09-19 株式会社スギノマシン ゴム複合物、ウェットマスターバッチ、ドライマスターバッチ、ゴム組成物

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001513582A (ja) * 1997-08-21 2001-09-04 ハッチンソン エス.エイ. スポンジ状材料、その製造方法及びその応用
JP2012512739A (ja) * 2008-12-19 2012-06-07 エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー 超吸収ポリマーとセルロース系ナノフィブリルとを含む超吸収ポリマー複合材
WO2013081138A1 (ja) * 2011-11-30 2013-06-06 国立大学法人京都大学 変性セルロースファイバー及び変性セルロースファイバーを含むゴム組成物
JP2014208721A (ja) * 2013-04-16 2014-11-06 オリンパス株式会社 樹脂多孔質体及びその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001513582A (ja) * 1997-08-21 2001-09-04 ハッチンソン エス.エイ. スポンジ状材料、その製造方法及びその応用
JP2012512739A (ja) * 2008-12-19 2012-06-07 エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー 超吸収ポリマーとセルロース系ナノフィブリルとを含む超吸収ポリマー複合材
WO2013081138A1 (ja) * 2011-11-30 2013-06-06 国立大学法人京都大学 変性セルロースファイバー及び変性セルロースファイバーを含むゴム組成物
JP2014208721A (ja) * 2013-04-16 2014-11-06 オリンパス株式会社 樹脂多孔質体及びその製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018021111A (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 株式会社ブリヂストン ゴム部材及びタイヤ
WO2018025936A1 (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 株式会社ブリヂストン ゴム部材及びその製造方法、並びにタイヤ
WO2018025728A1 (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 株式会社ブリヂストン ゴム部材及びタイヤ
JP2018021110A (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 株式会社ブリヂストン ゴム部材及びその製造方法、並びにタイヤ
CN109563320A (zh) * 2016-08-02 2019-04-02 株式会社普利司通 橡胶构件和轮胎
EP3495418A4 (en) * 2016-08-02 2019-08-07 Bridgestone Corporation RUBBER AND TIRE ELEMENT
US10894880B2 (en) 2018-03-30 2021-01-19 Toyoda Gosei Co., Ltd. Rubber compositions and methods of producing rubber compositions

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016191007A (ja) 2016-11-10
WO2016159081A1 (ja) 2016-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5940192B1 (ja) ゴム系架橋発泡成形体とその製造方法
CN104877335B (zh) 一种热塑性聚氨酯弹性体发泡珠粒及其制备方法
CA3043354C (en) A method for preparing high shrinkage stability styrene butadiene rubber-based nanocomposite foams
US10266689B2 (en) Composition and process of manufacture for a shoe sole component for footwear
CN107216504A (zh) 一种高耐磨稀土橡胶鞋用材料及其制备方法
Ramasamy et al. Effect of rice husk powder on compression behavior and thermal stability of natural rubber latex foam
CN102675701B (zh) 一种压缩生热低且滚动阻力小的橡胶组合物
CN104693564A (zh) 一种轻质减震止滑橡塑发泡鞋底材料及其制备方法
CN108774378A (zh) 一种高弹缓震橡塑材料、缓震高弹鞋底及其制备工艺
US4101463A (en) Molded composition and article molded therefrom
TW201035135A (en) Novel process for the production of polybutadiene-containing mouldings
CN109485984A (zh) 一种高分子物理发泡材料的发泡方法
JP6398522B2 (ja) 発泡体用ゴム組成物とそれを用いた靴底
JP2012184361A (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2018188651A5 (ja)
Yu et al. Development of EVA/POE/SEBS microcellular foam: Network structure, mechanics performance and midsole application
CN106349633A (zh) 一种高服帖tpe发泡材料及其制备方法和应用
CN101121800A (zh) 抗静电鞋底材料及其制造方法
WO2020176800A1 (en) Composition and manufacturing methods for grips
JP2009173885A (ja) 無機系発泡促進助剤及びその製造方法並びにポリマー組成物
JP5210332B2 (ja) 軟化剤を含有するフォームラバーおよびその製造方法
Lu et al. Design and preparation of cross-linked polystyrene nanoparticles for elastomer reinforcement
JP2015183104A (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物
KR101603292B1 (ko) 초임계 발포 사출용 저비중 동적 가교형 열가소성 탄성체 조성물, 이의 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 신발 겉창
JP6194216B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160401

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160517

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5940192

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250