JP7346697B1 - ゴム複合物、ウェットマスターバッチ、ドライマスターバッチ、ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1では、天然ゴム、変性天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムおよびポリブタジエンゴムの少なくとも1種類のゴム成分を含むゴムラテックスに、化学変性ミクロフィブリルセルロースをゴム成分100質量部に対して1~50質量部を混合、乾燥してマスターバッチを調製することを特徴とする加硫ゴム組成物の製造方法が開示されている。
[2] 前記バイオマスナノファイバーの累積50%繊維径(D50)が2~100nmである[1]に記載のゴム複合物。
[3] 前記バイオマスナノファイバーの重合度が600~900である[1]又は[2]に記載のゴム複合物。
[4] 前記バイオマスナノファイバーの最頻径が2~20nmである[1]~[3]のいずれか1つに記載のゴム複合物。
[5] 前記バイオマスナノファイバーが機械解繊バイオマスナノファイバーである[1]~[4]のいずれか1つに記載のゴム複合物。
[6] 前記ショアA硬度を求めるための5点の測定値のうち、最大硬度と最小硬度との差が15以下となる[1]~[5]のいずれか1つに記載のゴム複合物。
[7] 前記ショアA硬度を求めるための5点の測定値のうち、最大硬度に対する最小硬度の割合(最小硬度/最大硬度)0.80以上となる[1]~[6]のいずれか1つに記載のゴム複合物。
[8] [1]~[7]のいずれか1つに記載のゴム複合物と水とを含むウェットマスターバッチ。
[9] 20℃の粘度が800~10,000mPa・sである[8]に記載のウェットマスターバッチ。
[10] 固形分中の前記バイオマスナノファイバーの含有量が1~4質量%である[8]又は[9]に記載のウェットマスターバッチ。
[11] 含水量30質量%以上である[8]~[10]のいずれか1つに記載のウェットマスターバッチ。
[12] [1]~[7]のいずれか1つに記載のゴム複合物を含むドライマスターバッチ。
[13] [8]~[11]のいずれか1つに記載のウェットマスターバッチの乾燥物を含むドライマスターバッチ。
[14] [12]又は[13]に記載のドライマスターバッチとゴム成分とを含むゴム組成物。
[ゴム複合物]
本実施形態に係るゴム複合物は、ゴム成分と、バイオマスナノファイバーとを含み、バイオマスナノファイバーの重合度が150~950であり、ゴム成分100質量部に対して、バイオマスナノファイバーを10~28質量部含有する。
なお、バイオマスナノファイバーの重合度が150未満、あるいは、バイオマスナノファイバーの含有量が10質量部未満では、乾燥物とした際の硬度が十分に得られない。
また、バイオマスナノファイバーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、13~27.5質量部であることが好ましく、14~26質量部であることがより好ましい。
TAPPI International Standard;ISO/FDIS 5351,2009.Smith,D. K.;Bampton, R. F.;Alexander, W. J. Ind. Eng. Chem.,Process Des. Dev.1963, 2, 57-62.
リファレンスを測定するために、空の50ml容量のスクリュー管に純水15mlと1mol/Lの銅エチレンジアミン15mlを加え、0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液を調製する。キャノンフェンスケ粘度計に上記の0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液10mlを入れ、5分間置いた後、25℃における落下時間を測定して溶媒落下時間とする。
溶液のセルロース濃度:c=a/30(g/mL)
溶媒落下時間:t0(sec)
バイオマスナノファイバー溶液の落下時間:t(sec)
溶液の相対粘度:ηrel=t/t0
溶液の比粘度:ηsp=ηrel-1
固有粘度:[η]=ηsp/c(1+0.28ηsp)
重合度:DP=[η]/0.57
なお、参考として、図4に、実施例3~6、比較例3~6で使用するCNFの繊維径分布を示す。
当該導入量(含有量)は、例えば、公知の伝導度滴定法などにより測定して求めることができる。
当該含有率は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法、電子線マイクロアナライザーを用いたEPMA法、蛍光X線分析法の元素解析により測定して求めることができる。
ゴム成分は天然ゴム及び合成ゴムに大別されるがいずれでもよく、両者の組み合わせでもよい。天然ゴムとしては、化学修飾を施さない、狭義の天然ゴムでもよく、また塩素化天然ゴム、クロロスルホン化天然ゴム、エポキシ化天然ゴムのように、天然ゴムを化学修飾したものでもよい。合成ゴムとしては例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴムエチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)が挙げられる。天然ゴムとしては例えば、水素化天然ゴム、脱タンパク天然ゴムが挙げられる。ゴム成分は、1種単独でもよく、2種以上の組み合わせでもよい。ゴム成分は、固形状及び液状のいずれでもよい。液状のゴム成分としては例えば、ゴム成分の分散液、ゴム成分の溶液が挙げられる。溶媒としては例えば、水、有機溶媒が挙げられる。
なお、ショアA硬度は、実施例に記載の装置等により測定されるが、通常、5点の中央値として算出される。また、本明細書において、乾燥厚み等の「乾燥」とは、塗工前の塗布液中の固形分量(A)と乾燥重量(B)がほぼ同じ(A/B≦0.9)であることを意味する
なお、ショアA硬度を求めるための5点の硬度の標準偏差は、5点の測定のうち、平均に対する標準偏差で、硬度のばらつきを示すものであり、これも実施例に記載の装置等により測定される。
式A:最大硬度の値-最小硬度の値≦15(より好ましくは、最大硬度の値-最小硬度の値≦10)。
なお、最大硬度および最小硬度の値は実施例に記載の方法により求めることができる。
式B:最小硬度の値/最大硬度の値≧0.80(より好ましくは最小硬度の値/最大硬度の値≧0.85。より好ましくは最小硬度の値/最大硬度の値≧0.90)。
本実施形態に係るウェットマスターバッチは、既述のゴム複合物と水とを含む。当該ウェットマスターバッチの20℃の粘度は800~10,000mPa・sであることが好ましい。
当該粘度は実施例に記載の方法で求めることができる。また、上記粘度はバイオマスナノファイバーの長さ(重合度)や添加量により調整することができる。
なお、上記「固形分」は、ウェットマスターバッチから水分を除いた成分をいう。
また、本実施形態に係るウェットマスターバッチは、後述のドライマスターバッチの原料として利用することができる。
本実施形態に係るドライマスターバッチは、ゴム複合物を含む。
また、本実施形態のウェットマスターバッチから得られるものでもよい。すなわち、本実施形態に係るドライマスターバッチは、既述のウェットマスターバッチの乾燥物を含む。
なお、ゴム複合物が乾燥状態にあれば、当該ゴム複合物がドライマスターバッチに該当する。
本実施形態に係るゴム組成物は、既述のドライマスターバッチとゴム成分とを含む。すなわち、ドライマスターバッチと加硫剤を混練することで、ゴム組成物とすることができる。
本実施形態に係るドライマスターバッチを含むため、当該ゴム組成物は、良好な硬度が得られる。また、硬度のばらつきが小さくなるため、その信頼性をも良好なものとすることができる。
加硫促進剤としては、CBS(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)、TBBS(N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)、TBSI(N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンイミド)等のスルフェンアミド系の加硫促進剤;DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤;テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;MBT(2-メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)等のチアゾール系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の加硫促進剤;等が挙げられる。加硫促進剤は、ゴム成分(固形分)100質量部に対して0.5~5質量部であることが好ましい。
天然ゴム(NR)ラテックス(ハイアンモニアタイプ、固形分約60質量%、エスアンドエスジャパン)にCNF水分散液(BiNFi-sセルロース(FMa-10005)、固形分5質量%、(株)スギノマシン製)を添加した。CNF水分散液添加量は、固形分中のCNFの含有量が表1に示す割合となるように調整した。使用したCNFの詳細についても表1に示す。
作製したウェットマスターバッチについて、凝集物の有無などの評価を下記のようにして行った。
まず、作製したウェットマスターバッチを目開き250μmのステンレス製ふるいに載せ、水洗を行い、ふるい上に固形状の凝集物を得た。得られた固形状の凝集物を70℃の恒温槽で12時間乾燥させ、重量を測定した。ここで、下記式Aの通り、凝集率(%)を求めた。
式A:凝集率(%)=(回収した凝集物の乾燥重量(g)/ウェットマスターバッチ中の全固形分重量(g))×100
式Aによって算出した凝集率が4%以下であるものをAとし、5~9%であったものをBとし、10~24%あったものをCとし、25%以上であったものをDとした。ここで、A、Bを合格とし、C、Dを不合格とした。
結果を表1に示す。
(1)表面硬度(ショアA硬度)の測定
作製したウェットマスターバッチについて、乾燥後の硬度評価を下記のようにして行った。
まず、作製したウェットマスターバッチを平滑面に塗り広げたあと70℃の恒温槽で12時間乾燥させ、シート状のドライマスターバッチ(縦:75mm、横:75mm、乾燥厚み:6mm)を得た。
既述の方法で表面硬度を5点測定し、測定した5点より標準偏差を算出した。結果を表1に示す。本値が小さいほど、シートの各箇所における硬度の差が小さいことを示す。
既述の方法で表面硬度を5点測定し、表面硬度の最大値から最小値を引いた値を算出した。結果を表1に示す。本値が小さいほど、シートの各箇所における硬度の差が小さいことを示す。
既述の方法で表面硬度を5点測定し、表面硬度の最小値から最大値を除した値を算出した。結果を表1に示す。本値が1に近いほど、シートの各箇所における硬度の差が小さいことを示す。
CNF水分散液として、FMa-10005の代わりに、BiNFi-sセルロース:WFo-10005(固形分5質量%、(株)スギノマシン製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ウェットマスターバッチを作製した。なお、CNF水分散液添加量は、固形分中のCNFの含有量が表1に示す割合となるように調整した。使用したCNFの詳細についても表1に示す。
比較例3~5で作製したウェットマスターバッチに対し固形分中のCNFの含有量が表1に示す割合となるように水を加えて調整した以外は、比較例3~5と同様にして、ウェットマスターバッチを作製した。
なお、比較例3に水を加えた例が実施例4に相当し、比較例4に水を加えた例が実施例5に相当し、比較例5に水を加えた例が実施例6に相当する。
CNF水分散液として、FMa-10005の代わりに、BiNFi-sセルロース:IMa-10005(固形分5質量%、(株)スギノマシン製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ウェットマスターバッチを作製した。なお、CNF水分散液添加量は、固形分中のCNFの含有量が表2に示す割合となるように調整した。使用したCNFの詳細についても表2に示す。
比較例7~9で作製したウェットマスターバッチに対し固形分中のCNFの含有量が表2に示す割合となるように水を加えて調整した以外は、比較例7~9と同様にして、ウェットマスターバッチを作製した。
なお、比較例7に水を加えた例が実施例8に相当し、比較例8に水を加えた例が実施例9に相当し、比較例9に水を加えた例が実施例10に相当する。
CNF水分散液として、FMa-10005の代わりに、BiNFi-sセルロース:RMa-10005(固形分5質量%、(株)スギノマシン製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ウェットマスターバッチを作製した。なお、CNF水分散液添加量は、固形分中のCNFの含有量が表2に示す割合となるように調整した。使用したCNFの詳細についても表2に示す。
比較例10~12で作製したウェットマスターバッチに対し固形分中のCNFの含有量が表2に示す割合となるように水を加えて調整した以外は、比較例9~11と同様にして、ウェットマスターバッチを作製した。
なお、比較例10に水を加えた例が実施例12に相当し、比較例11に水を加えた例が実施例13に相当し、比較例12に水を加えた例が実施例14に相当する。
天然ゴム(NR)ラテックスにCNF水分散液を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ウェットマスターバッチを作製した。
まず、既述の実施例6のドライマスターバッチから、固形分中のCNFの含有量が表3に示す割合となるように天然ゴムを加え、参考例1のシート状のゴム組成物を調製した。
具体的には、実施例6のドライマスターバッチと天然ゴムを固形分中のCNFの含有量が5phrになるように配合し、容量15mlの容器に充填後、ラボプラストミル4C150(東洋精機製作所)で20rpm、温度条件100℃で、5分間混練を実施した。
Claims (14)
- ゴム成分と、バイオマスナノファイバーとを含み、
前記バイオマスナノファイバーの粘度平均重合度が150~950であり、
前記ゴム成分100質量部に対して、前記バイオマスナノファイバーを10~28質量部含有し、
乾燥厚みを6mmとした際に、JIS K6253-3に準拠して測定されるショアA硬度が40以上となり、前記ショアA硬度を求めるための5点の計測値の標準偏差が6以下とり、
前記バイオマスナノファイバーが、機械解繊バイオマスナノファイバーであって、かつ、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー、及びセルロースナノファイバーのいずれかであるゴム複合物。 - 前記バイオマスナノファイバーの累積50%繊維径(D50)が2~100nmである請求項1に記載のゴム複合物。
- 前記バイオマスナノファイバーの粘度平均重合度が600~900である請求項1又は2に記載のゴム複合物。
- 前記バイオマスナノファイバーの最頻径が2~20nmである請求項1又は2に記載のゴム複合物。
- 前記ショアA硬度を求めるための5点の測定値のうち、最大硬度と最小硬度との差が15以下となる請求項1又は2に記載のゴム複合物。
- 前記ショアA硬度を求めるための5点の測定値のうち、最大硬度に対する最小硬度の割合(最小硬度/最大硬度)0.80以上となる請求項1又は2に記載のゴム複合物。
- 請求項1又は2に記載のゴム複合物と水とを含むウェットマスターバッチ。
- 20℃の粘度が800~10,000mPa・sである請求項7に記載のウェットマスターバッチ。
- 固形分中の前記バイオマスナノファイバーの含有量が1~4質量%である請求項7に記載のウェットマスターバッチ。
- 含水量30質量%以上である請求項7に記載のウェットマスターバッチ。
- 請求項1又は2に記載のゴム複合物を含むドライマスターバッチ。
- 請求項7に記載のウェットマスターバッチの乾燥物を含むドライマスターバッチ。
- 請求項11に記載のドライマスターバッチとゴム成分とを含むゴム組成物。
- 請求項12に記載のドライマスターバッチとゴム成分とを含むゴム組成物。
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