JP7282339B2 - 複合粉体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム、樹脂、並びに炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP」という場合がある)に使用される複合粉体及びその製造方法に関する。
スポーツ用品では、常に「より軽く強い素材」が求められているため、炭素繊維強化プラスチックを使用した製品が多く製造されている。例えば、ゴルフのシャフトやバドミントンのラケット等、耐衝撃性の高いCFRPのニーズは高く、潜在需要も大きいため、マトリックス樹脂の改質や強度に優れたフィラーの添加等の研究が盛んに行われている。
ここで、CFRPは軽量かつ高強度を有するが、衝撃強度が低い樹脂を母材とするため、実用上、衝撃強度が不十分であるという問題があった。そこで、従来、CFRPの衝撃強度を向上させる方法として、マトリックス樹脂にセルロースナノファイバー(以下、「CNF」という場合がある)を混合することにより、CFRPの衝撃強度を高めることが検討されている。
また、ゴムや樹脂に関しても、「より強い素材」が求められており、例えばシューズのアウトソールや、ミッドソール、ゴルフボール等数多くの製品に用いられている。ゴムを例にとると、耐摩耗性や、機械強度の向上を目的として、カーボンブラックによる補強が特に知られているが、或いはシリカなどの無機フィラーも補強材として広く一般的に用いられている。また、ゴム、樹脂は一般的に有機物であり、無機物質であるシリカとの相互作用を高めその補強効果をさらに向上させるために、シランカップリング剤を用いることも広く行われていることは、公知のことである。
そこで、上記のカーボンブラック、シリカに代わる素材として、セルロースナノファイバーがより少ない添加量で同等以上の補強効果が得られないか、広く検討されている。しかし、セルロースナノファイバーが水と相性が良いことに起因し、ゴム、樹脂には直接容易に分散できないという問題があり、先行例としては、ラテックス状態のゴム、樹脂にセルロースナノファイバー水溶液を混合し、その後、水を除去/乾燥させ、ゴム、樹脂とセルロースナノファイバーとの混合物を得るという手法が試みられているが、これは、ラテックス状態で入手できるゴム、樹脂に限定され、様々な製品への応用という意味では素材が限定されるというデメリットとなってしまう。また、ペレット状態の樹脂とセルロースナノファイバーの原料となるパルプを疎水化したものを予め混ぜ合わせ、2軸押し出し混練機等で混練と同時に混錬時に生じるせん断力を活用しパルプの開繊を行ってナノファイバー化し、混合物を得るというプロセスも考案されている。この場合、選択できるマトリクスとして、熱可塑性樹脂であるということ、さらにはセルロースの分解温度との兼ね合いから、樹脂の融点がセルロースの分解温度以下に限定される課題がある。
そこで、ゴム、樹脂へ、カーボンブラックやシリカのように、ドライの状態で簡便に混合分散可能なセルロースナノファイバーのフィラーが渇望されている。
具体的には、セルロースナノファイバーとシリカ等の無機粉体とを含み、セルロースナノファイバーが無機粉体に担持されたセルロースナノファイバー担持無機粉体が提案されている。そして、このようなセルロースナノファイバー担持無機粉体を使用することにより、樹脂やゴムの組成物にセルロースナノファイバーを均一に分散させることができるため、樹脂やゴムの物理的特性を改善することができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-26782号公報
ここで、上記特許文献1に記載のセルロースナノファイバー担持無機粉体は、セルロースナノファイバーを水系溶媒に分散させた分散液と微細シリカ(ヒュームドシリカ)とを混合した後、混合物から水系溶媒を溜去して乾燥させることにより得られるが、当該シリカの表面にセルロースナノファイバーが付着することによりセルロースナノファイバーがシリカに担持された状態にあるため、シリカの表面においてセルロースナノファイバーが凝集してしまい、乾燥時に、容器に付着しやすくなる。その結果、樹脂やゴムの組成物に、このようなセルロースナノファイバー担持無機粉体を混合しても、セルロースナノファイバーを均一に分散させることが困難になるため、CFRPやゴム及び樹脂の強度を十分に向上させることが困難になるという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、樹脂やゴムの組成物にセルロースナノファイバーを均一に分散させることができ、CFRPやゴム及び樹脂の強度を確実に向上させることができる複合粉体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の複合粉体の製造方法は、セルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料とを含有する複合粉体の製造方法であって、セルロースナノファイバーを分散させた水系溶媒にケイ素系多孔質材料を混合して分散液を調製する工程と、分散液を乾燥させて、セルロースナノファーバーとケイ素系多孔質材料とを含む乾燥体を作製する工程と、乾燥体を粉砕して複合粉体を作製する工程とを含み、分散液中のセルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料との含有比が、質量基準で、セルロースナノファイバー:ケイ素系多孔質材料=1:5~1:20であり、分散液に含まれるセルロースナノファイバー1質量部に対するケイ素系多孔質材料の含有量をX(単位は質量部)、水系溶媒におけるセルロースナノファイバーの濃度をY(単位は質量%)とした場合に、下記式(1)の関係が成立することを特徴とする。
[数1]
Y≦-0.048X+1.96 (1)
また、本発明の複合粉体は、セルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料とを含有する複合粉体であって、セルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料との含有比が、質量基準で、セルロースナノファイバー:ケイ素系多孔質材料=1:5~1:20であり、セルロースナノファイバーが、少なくともケイ素系多孔質材料の表面に付着している、またはケイ素系多孔質材料の孔に入り込んでいることを特徴とする。
本発明によれば、セルロースナノファイバーの凝集に起因する容器への付着を防止することができるとともに、セルロースナノファイバーを樹脂やゴムの組成物に均一に分散させることが可能になるため、CFRPやゴム及び樹脂の強度を確実に向上させることが可能になる。
分散液に含まれるケイ素系多孔質材料の含有量X(単位は質量部)と、セルロースナノファイバーの濃度Y(単位は質量%)との関係を示す図である。 実施例1の複合粉体の状態を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy; EDS)により、実施例1の複合粉体におけるセルロースナノファイバー由来の炭素原子を示した図である。
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の複合粉体は、セルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料とを含有するものであり、CFRPの母材となる樹脂やゴムの組成物に分散させることにより、伸縮性、及び弾力性の観点から、CFRPやゴム及び樹脂の強度を向上させるためのものである。
<セルロースナノファイバー>
セルロースナノファイバーとしては、特に限定されず、公知のものを広く採用することができる。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロースとしては、植物由来のセルロース、動物由来のセルロース、及びバクテリア由来のセルロースのいずれも使用することができる。なお、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
植物由来セルロースとしては、例えば、広葉樹由来セルロース(ユーカリ、ポプラ等)、針葉樹由来セルロース(マツ、モミ、スギ、ヒノキ等)、草本類由来セルロース(ワラ、バガス、ヨシ、ケナフ、アバカ、サイザル等)、及び種子毛繊維(コットン等)を使用することができる。また、原料となるパルプは、木材チップを機械的に処理した機械パルプであってもよく、木材チップから非セルロース成分を化学的に除去した化学パルプでもよく、さらに非セルロース成分を除去して精製した溶解パルプでもよい。
また、ホヤなど動物由来のセルロース、ナタデココ等バクテリア由来のセルロース等を使用することもできる。また、このようなセルロースは、必ずしも純粋なセルロース成分のみから構成される必要はなく、主成分であるセルロースに、非セルロース成分が付随していてもよい。
セルロースナノファイバーに付随する主な非セルロース成分については、特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、ヘミセルロース及びリグニンを挙げることができる。
また、セルロースナノファイバー中の純粋なセルロース成分比率に関しても、用途に応じて適宜設定すればよい。例えば、純粋なセルロース成分比率は、セルロースナノファイバー100質量%中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。また、純粋なセルロース成分比率の上限としては、100質量%とすることができる。
なお、ここで言う「セルロース比率」とは、セルロースナノファイバー全体の質量(100質量%)に対して、βグルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した純粋なセルロース成分の比率のことを言う。
また、セルロースナノファイバーに含まれる純粋なセルロース成分の重合度に関しても、用途に応じ、適宜設定すればよい。例えば、重合度500以上、特に600以上のセルロース成分を使用することができる。なお、セルロース成分の重合度の上限値としては特に限定されず、例えば、10万とすることができる。
セルロースナノファイバーに含まれる純粋なセルロース成分の結晶化度に関しても、特に制限されないが、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。また、セルロースの結晶化度の上限としては、特に限定はないが、例えば、99%とすることができる。なお、セルロース成分の結晶構造は、I型、II型、III型、及びIV型を挙げることができる。
セルロースナノファイバーのサイズは、特に制限されないが、ゴムや樹脂中において、何らかのネットワークあるいは構造を形成するとの観点、及びそれがエラスティシティを有する点が有効であるとの観点から、高いアスペクト比を有する紐状の形状であることが望ましく、直径が3~100nmであることが好ましく、長さが100nm以上、さらには5μm以上であることが好ましい。
なお、ここで言う「セルロースナノファイバーの直径」とは、ランダムに抽出した50本以上のセルロースナノファイバーを、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して得られるメジアン径のことを言う。
また、樹脂やゴムへの分散が容易になるとの観点から、セルロースナノファイバーとして、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル)触媒の存在下で酸化処理(TEMPO酸化処理)を行うことにより、カルボキシル基などの極性を有する基や、疎水性を呈する官能基が導入されたものを使用することもできる。
例えば、繊維原料であるパルプと、触媒であるTEMPOと、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウム等をリン酸ナトリウム緩衝液に添加することにより、上述の酸化処理を行い、化学的に開繊処理され、カルボキシル基が導入されたセルロースナノファイバーを得ることができる。
なお、TEMPO酸化触媒による開繊がなされたセルロースナノファイバーとして、市販品を使用してもよく、例えば、日本製紙株式会社製の「セレンピア」や第一工業製薬株式会社製の「レオクリスタ」等(いずれもスラリー状)を使用することができる。
また、TEMPO酸化とは異なるが、類似の化学開繊手法として、リン酸エステル化法、亜リン酸エステル化法等を使用することができる。また、本発明では、樹脂やゴムに分散容易なフィラーの提供が目的であり、フィラーの作製においては、出発原料をセルロースナノファイバー水溶液としていることから、上述の化学開繊方法とは異なる開繊手法(例えば、水中対抗衝突法やウォータージェット法、グラインダーなどを用いた機械開繊法等)のセルロースナノファイバーの水分散体/水溶液の市販品を使用することができる。
<ケイ素系多孔質材料>
ケイ素系多孔質材料は、多数の細孔を有するもの(多孔体)であり、本発明においては、珪藻土またはゼオライトが使用できる。なお、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ケイ素系多孔質材料が有する細孔の孔径は特に限定されないが、細孔に対するセルロースナノファイバーの入りやすさの観点から、0.2nm~2000nmが好ましい。また、ケイ素系多孔質材料が有する細孔の形状は、特に限定されない。
例えば、ケイ素系多孔質材料として珪藻土を使用することにより、珪藻土の細孔にセルロースナノファイバーが入り込んだ状態で担持されるため、シリカの表面にセルロースナノファイバーが付着した従来のセルロースナノファイバー担持無機粉体と異なり、セルロースナノファイバーの凝集に起因する容器への付着を防止することができる。また、珪藻土の細孔に入り込んだセルロースナノファイバーを樹脂やゴムの組成物に均一に分散させることが可能になるため、CFRPやゴム及び樹脂の強度を確実に向上させることが可能になる。
また、例えば、ケイ素系多孔質材として、セルロースナノファイバーよりも小さい細孔径を有するゼオライトを用いた場合、ゼオライトの細孔にセルロースナノファイバーは入り込まないが、ゼオライトの比表面積は、珪藻土の比表面積よりも大きいため、セルロースナノファイバーが、ゼオライトの表面に付着しやすくなる。その結果、珪藻土の細孔にセルロースナノファイバーが入り込む場合と同様に、ゼオライトの表面に付着したセルロースナノファイバーを樹脂やゴムの組成物に均一に分散させることが可能になる。
すなわち、本発明の複合粉体においては、セルロースナノファイバーが、少なくともケイ素系多孔質材料の表面に付着する、またはケイ素系多孔質材料の孔に入り込むことにより、セルロースナノファイバーを樹脂やゴムの組成物に均一に分散させることが可能になり、結果として、CFRPやゴム及び樹脂の強度を確実に向上させることが可能になる。
また、本発明の複合材料においては、複合材料中のセルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料との含有比が、質量基準で、セルロースナノファイバー:ケイ素系多孔質材料=1:5~1:20(すなわち、セルロースナノファイバー1質量部に対して、ケイ素系多孔質材料が5~20質量部)である。
次に、本発明の複合粉体の製造方法について説明する。本発明の複合粉体の製造方法は、分散液を調整する工程と、分散液を乾燥させて乾燥体を作製する工程と、乾燥体を粉砕して複合粉体を作製する工程とを備える。
(分散液調整工程)
まず、セルロースナノファイバーを分散させた水系溶媒にケイ素系多孔質材料を混合して分散液を調製する。
ここで、水系溶媒(分散媒)は特に限定されず、水(精製水等)が使用されるが、必要に応じて、例えば、エタノール、イソプロパノール等のアルコールを水に含有させてもよい。
また、水系溶媒に含まれるセルロースナノファイバーの含有量は、分散液に含まれるセルロースナノファイバー1質量部に対するケイ素系多孔質材料の含有量をX(単位は質量部)、セルロースナノファイバーの濃度をY(単位は質量%)とした場合に、下記式(2)の関係が成立するように設定される。
[数2]
Y≦-0.048X+1.96 (2)
これは、セルロースナノファイバーの濃度Yが、式(2)の右辺(すなわち、-0.048X+1.96)よりも大きい場合は、セルロースナノファイバーの増粘効果に起因して、セルロースナノファイバーを分散させた水系溶媒の粘度が急激に大きくなるため、セルロースナノファイバーを分散させた水系溶媒にケイ素系多孔質材料を混合する際に、十分に撹拌して混合することが困難になるためである。
ここで、上記式(2)について、さらに詳しく説明する。発明者等は、1種類のTempo酸化開繊されたセルロースナノファイバー(表1において「Tempo酸化系開繊CNF」と表記)と、機械開繊にて開繊された2種類のセルロースナノファイバー(表1において「機械開繊CNF A」及び「機械開繊CNF B」と表記)について、混合水溶液(分散液)に含まれるセルロースナノファイバー1質量部(単位は質量%)に対するケイ素系多孔質材料(珪藻土)の含有量(単位は質量部)を0~20質量部の間で変化させ、混合水溶液の粘度を測定した。なお、混合水溶液の粘度測定(混合水溶液の温度:25℃)は、東機産業(株)製のRE80型粘度計を用いて測定した。そして、混合水溶液の攪拌が可能な場合を〇、撹拌が不可能な場合を×として撹拌性を評価した。以上の結果を表1に示す。
Figure 0007282339000001
表1に示すように、セルロースナノファイバーを分散させた水溶液におけるセルロースナノファーバーの濃度が2質量%の場合、珪藻土を添加しない場合であっても、セルロースナノファーバーを分散させた水溶液の粘度が高いため、攪拌が困難であることが分かる。
また、表1から明らかなように、攪拌可能な混合水溶液の粘度は1495mPa・s以下(表1より、この場合のセルロースナノファイバーの濃度は1.34質量%)であり、さらに、セルロースナノファイバーの濃度が1.68質量%以下であれば攪拌が可能ということが分かる。
従って、セルロースナノファイバーを分散させた水溶液におけるセルロースナノファイバーの濃度が1.68%以下である必要があると言える。
また、表1の結果を用いて、珪藻土の含有量X(質量部)とセルロースナノファイバーの濃度Y(質量%)との関係をプロットしたものを図1に示す。
図1に示すように、珪藻土の含有量Xが増加すると、CNFの濃度Yが低くなり、各珪藻土の含有量Xにおいて、攪拌が可能なCNFの最も高い濃度Yは、珪藻土の添加割合に対し、負の線形の相関関係を有することが判明した。
以上より、図1に示すように、分散液に含まれるセルロースナノファイバー1質量部に対するケイ素系多孔質材料の含有量X(単位は質量部)と、セルロースナノファイバーの濃度Y(単位は質量%)との間に、上記式(2)の関係が成立すれば良いことが分かる。
なお、分散液に含まれるセルロースナノファイバー1質量部に対するケイ素系多孔質材料の含有量X(質量部)と、セルロースナノファイバーの濃度Y(質量%)との間に、表1、及び図1における珪藻土の含有量X(質量部)とセルロースナノファイバーの濃度Y(質量%)の関係(すなわち、X=5、Y=1.68、及びX=20、Y=0.95の2点)に基づいて求められる下記式(3)が成立することが好ましい。
[数3]
Y≦-0.0487X+1.9233 (3)
また、本来、セルロースナノファイバーに付加されている水酸基は、水中で-Oとなり、Tempo酸化処理により水酸基から置換されたカルボキシル基は-COOとなり、マイナスにチャージしているため、これらを化学的に安定化させ、分散性を向上させるとの観点から、セルロースナノファイバーを分散させた水系溶媒のpHはアルカリ性であることが好ましい。
また、分散液中のセルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料との含有比は、質量基準で、セルロースナノファイバー:ケイ素系多孔質材料=1:5~1:20(すなわち、セルロースナノファイバー1質量部に対して、ケイ素系多孔質材料が5~20質量部)である。当該含有比を1:5~1:20とすることにより、ケイ素系多孔質材料の不足に起因する細孔へのセルロースナノファイバーの取り込み量(または、ケイ素系多孔質材料の表面へのセルロースナノファイバーの付着量)の低下を抑制することが可能になるため、セルロースナノファイバーを確実に取り込むこと(付着させること)が可能になるとともに、樹脂やゴムの組成物に複合材料を混合した場合に、セルロースナノファイバーが入り込んだケイ素系多孔質材料の分散性の低下を防止することが可能になる。
換言すると、セルロースナノファイバーの含有比が大きい場合(すなわち、セルロースナノファイバー1質量部に対して、ケイ素系多孔質材料が5質量部未満の場合)は、セルロースナノファイバーに対するケイ素系多孔質材料の比率が小さくなるため、ケイ素系多孔質材料の表面をセルロースナノファイバーが覆いつくすことに起因して、セルロースナノファイバーの凝集体が形成されてしまう。その結果、樹脂やゴムの組成物に複合材料を混合した場合に、セルロースナノファイバーが入り込んだケイ素系多孔質材料の分散性が低下してしまうことになる。
以上より、本発明においては、分散液中のセルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料との含有比を、質量基準で、セルロースナノファイバー:ケイ素系多孔質材料=1:5~1:20としている。
なお、機械的に解繊処理されたセルロースナノファイバーに比し、化学的に開繊処理されたセルロースナノファイバーは均一な太さを有するため、ケイ素系多孔質材料が有する細孔に入りやすくなる。従って、本発明においては、化学的に開繊処理されたセルロースナノファイバーを使用することが好ましい。
また、セルロースナノファイバーを分散させた水系溶媒にケイ素系多孔質材料を混合する装置としては、例えば、ビーカーやフラスコとスターラーバーや、プラネタリーミキサー等の各種ミキサーを使用することができる。
(乾燥工程)
次に、調製した分散液を乾燥させて、分散媒である水系溶媒を除去し、セルロースナノファーバーとケイ素系多孔質材料とを含む乾燥体を作製する。
本工程で用いる装置は、特に制限されず、例えば、熱風乾燥機や真空乾燥機等を使用することができる。具体的には、例えば、エスペック社製の熱風乾燥機(Labostar CONVECTION OVEN LC-122)等を使用することができる。
また、セルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料との混合水溶液から水分を除去するとの観点、及び乾燥時間短縮の観点から、乾燥温度としては、80~100℃が好ましい。なお、乾燥時間を問わない場合は、常温による自然乾燥を行うこともできる。
また、乾燥体に水分を残さないとの観点から、乾燥時間としては、例えば、80℃~100℃の雰囲気下で乾燥を行う場合、少なくとも半日~2日間程度が好ましい。
(乾燥体粉砕工程)
次に、作製した乾燥体を粉砕することにより、ケイ素系多孔質材料の表面にセルロースナノファイバーが付着した、またはケイ素系多孔質材料の孔にセルロースナノファイバーが入り込んだ本発明の複合粉体を作製する。
本工程で用いる装置は、特に制限されず、例えば、小規模であれば家庭用ミルや食品などを破砕するミキサー或いはジューサーが活用でき、より大規模(多量)に作製する場合には、大型の装置や、製粉機、グラインダー等を使用することができる。
また、作製した複合粉体を樹脂等に添加する際に、高圧を伴う湿式微粒化装置を用いることができる。この場合は、高圧を発生させるノズルの径に、本処理を行うことが可能な粉体のサイズが依存することになるため、本乾燥体粉砕工程の後、用いるノズル径以下のサイズの複合粉体のみとすべく、篩などによって、複合粉体のサイズを選別(分級)することができる。
なお、分散液から複合粉体を得る方法として、上述の乾燥工程、粉砕工程、及び分級工程を短縮することができるスプレードライ(噴霧乾燥)法を用いることもできる。また、このスプレードライにおいては、乾燥工程と粉砕工程を別々に行ってもよく、同時に行ってもよい。
そして、以上に説明した本発明の複合粉体の製造方法によれば、ケイ素系多孔質材料の細孔にセルロースナノファイバーが入り込んだ状態(または、ケイ素系多孔質材料の表面にセルロースナノファイバーが付着した状態)で担持されるため、セルロースナノファイバーの凝集に起因する容器への付着を防止することができるとともに、樹脂やゴムの組成物に均一に分散させることが可能な複合粉体を得ることができ、結果として、CFRPやゴム及び樹脂の強度を確実に向上させることが可能になる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1)
<複合粉体の作製>
まず、セルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料とを含有する複合粉体を作製した。より具体的には、まず、TEMPO酸化触媒による開繊がなされたセルロースナノファイバーを分散させたセルロースナノファイバー水溶液(第一工業製薬(株)製、商品名:レオクリスタ I-2SX、セルロースナノファイバー固形分の含有量:2.0質量%)をイオン交換水にて、セルロースナノファイバーの含有量が1.0質量%となるように希釈した。
なお、セルロースナノファイバー水溶液が酸性となってしまうと、セルロース繊維の電気二重層斥力が弱まり、さらにフィブリル間に水素結合点が形成されることにより凝集してゲル化し、多価金属塩水溶液を添加した場合には、例えば、TEMPO酸化反応により、セルロースナノファイバーに導入されたCOONa基がCOOM基(Mは多価金属)へと置換されることでゲル化してしまう。従って、これを防止するために、本実施例のセルロースナノファイバー水溶液においては、常にアルカリ性を呈するように、アンモニア水を適宜添加した。
次に、希釈したセルロースナノファイバー水溶液91gに対して、珪藻土(三進ろ過工業(株)製、商品名:Celpure S-300、細孔の孔径:50~600nm)を9.09g添加し、その後、5時間、連続的に撹拌し、分散液(スラリー)を調製した。
なお、セルロースナノファイバー水溶液におけるセルロースナノファイバーの濃度である1.0質量%(すなわち、上記式(2)において、Y=1.0)は、セルロースナノファイバーを分散させた水溶液中のセルロースナノファイバーと珪藻土との含有比が、質量基準で、セルロースナノファイバー:珪藻土=1:10(すなわち、上記式(2)において、X=10)において、上記式(2)の関係を満たしている。
次に、調製した分散液を乾燥させて、分散媒である水を除去し、セルロースナノファーバーとケイ素系多孔質材料とを含む乾燥体を作製した。より具体的には、調製した分散液を、薄型のステンレス皿(バット)に移し替え、80℃の熱風乾燥炉に1晩以上、静置することで、分散媒である水を除去し、板状の乾燥体を作製した。
次に、フードプロセッサー(クイジナート(株)製、商品名:粉末ミルグラインダーSG-10BJK)を使用して、作製した板状の乾燥体を粉砕した後、分級器で分級(具体的には篩(サンポー社製、ステンレスふるい)を使用)し、粒子直径が150μm以下である粉末状の複合粉体を回収した。
<有機溶媒への分散性評価>
次に、有機溶媒に対する複合粉体の分散性を評価した。より具体的には、メチルエチルケトン30mlを含む容器に、作製した複合粉体を0.63質量%となるよう添加し、十分に攪拌(5秒以上、容器を縦方向に繰り返し振った)後、静置し、静置から10秒後、及び1分後の状態を目視にて観察した。そして、観察時間内において、複合粉末の沈降が確認できないか、または軽微な場合を〇、複合粉体の沈降が確認できた場合を×とした。以上の結果を表3に示す。
<耐付着性評価>
次に、分散液を乾燥させて作製した、セルロースナノファーバーとケイ素系多孔質材料とを含む乾燥体の容器に対する耐付着性を評価した。より具体的には、上述の分散液を移し替える前の状態のステンレス皿の重量を計測するとともに、分散液を乾燥後、上述の板状の乾燥体をステンレス皿から除去した後のステンレス皿の重量を計測し、乾燥前後のステンレス皿の重量の差を、こびり付きによる付着量とした。
なお、本測定は、作製作業後に得られる複合粉体(乾燥体)を10gに統一して調整を行い、24.5×17.6cmの大きさを有し、未使用時の平均重さが160gのステンレス皿を用いて行った。そして、容器への付着量(こびり付き量)が0.1g以下のものを〇、0.1gよりも大きいものを×とした。以上の結果を表2に示す。
なお、本実施例の複合粉体の状態を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。図2に示すように、本実施例の複合粉体においては、写真中央部における珪藻土の細孔(マカロニ状の細孔)にセルロースナノファイバーが入り込んだ状態で担持されていることが分かる。
<複合粉体の元素分析>
また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたエネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy; EDS)により、本実施例の複合粉体の解析(炭素原子の分析)を行った結果を、走査型電子顕微鏡(SEM)写真とともに図3に示す。
図3に示すように、セルロースナノファイバー由来の炭素原子(図3における白い部分)が存在しており、複合粉体の全体において、セルロースナノファイバーが分散して存在していることが分かる。
なお、上述のSEM観察、及びEDS分析は、走査型電子顕微鏡(JEOL社製、JSM―IT100)を用いて行った。
<ゴム混合物の作製、および天然ゴムに対する分散性評価>
天然ゴムに、作製した複合粉体を室温で混合してゴム混合物を作製し、作製したゴム混合物における天然ゴムに対する複合粉体の分散性を評価した。より具体的には、まず、天然ゴム(商品名:SVR-CV60)100質量部に対して、作製した複合粉体を4質量部となるように添加し、室温でロール機を用いてロール温度60℃にて混合し、ゴム混合物を作製した。次に、作製したゴム混合物における天然ゴムに対する複合粉体の分散性を評価した。より具体的には、ロールでの混練時、ロールに巻き付けた天然ゴムに複合粉体を徐々に添加し、その分散状態を目視にて確認した。そして、通常、シリカなどのゴム補強の為に添加したフィラーのように、目視による凝集物が見られないのものを〇、明らかに白い粒状の凝集物が、念入りに練ってもゴム中に分散せずに残ってしまうものを×とした。以上の結果を表2に示す。
<強度評価>
次に、作製したゴム混合物に対し、ゴムの硬度(JIS-A法)と引張試験により、破断時の引張強度の測定を実施した。より具体的には、混錬したゴム混合物から適当な架橋剤を用いてシート(サイズ:13cm×20cm×2mm)を成形して、このシートを3号ダンベルで裁断後、引張試験機(Instron社製)を用いて、引張速度が500mm/minの条件で試験を行い、その破断時の強度を引張強度とした。
なお、強度の算出については、ロールによるゴムの列理方向を考慮し、列理方向とその直角方向を各2試験片、合計4試験片を計測し、その中央値を強度とした。そして、強度が20MPa以上のものを〇、20MPaよりも小さいものを×とした。以上の結果を表2に示す。
(実施例2)
分散液中のセルロースナノファイバーと珪藻土との含有比を、質量基準で、セルロースナノファイバー:珪藻土=1:5(すなわち、上記式(2)において、X=5)に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例3)
分散液中のセルロースナノファイバーと珪藻土との含有比を、質量基準で、セルロースナノファイバー:珪藻土=1:20(すなわち、上記式(1)において、X=20)に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例4)
珪藻土は、藻類の一種である珪藻の殻の化石よりなる堆積物(堆積岩)であることから、産地により差異があるため、この点を考慮して、上述の「Celpure S-300」以外の珪藻土を用いて、本発明の効果の有無を検討することとした。
より具体的には、珪藻土(三進ろ過工業(株)製、商品名:Celpure S-300)の代わりに、珪藻土(富士フイルム和光純薬(株)製、商品名:けいそう土)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例5)
また、実施例4とは異なる、別の珪藻土についても検討を行った。より具体的には、珪藻土(三進ろ過工業(株)製、商品名:Celpure S-300)の代わりに、珪藻土(MP Biomedicals,Inc.製、商品名:珪藻土)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例6)
珪藻土(三進ろ過工業(株)製、商品名:Celpure S-300)の代わりに、ゼオライト(東ソー(株)製、商品名:ゼオラムA-4)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例7)
珪藻土(三進ろ過工業(株)製、商品名:Celpure S-300)の代わりに、ゼオライト(東ソー(株)製、商品名:ゼオラムF-9)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例8)
TEMPO酸化触媒による開繊がなされたセルロースナノファイバーを分散させたセルロースナノファイバー水溶液の代わりに、機械的に開繊処理されたセルロースナノファイバーを分散させたセルロースナノファイバー水溶液(スギノマシン(株)製、商品名:ビンフィス AFo―10002(標準繊維長品)、セルロースナノファイバーの固形分の含有量:2.0質量%)を使用したしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例9)
TEMPO酸化触媒による開繊がなされたセルロースナノファイバーを分散させたセルロースナノファイバー水溶液の代わりに、機械的に開繊処理されたセルロースナノファイバーを分散させたセルロースナノファイバー水溶液(ダイセル(株)製、商品名:セリッシュ、セルロースナノファイバーの固形分の含有量:10.4質量%)を使用したしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(比較例1)
分散液中のセルロースナノファイバーと珪藻土との含有比を、質量基準で、セルロースナノファイバー:珪藻土=1:4(すなわち、上記式(2)において、X=4)に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
(比較例2)
分散液中のセルロースナノファイバーと珪藻土との含有比を、質量基準で、セルロースナノファイバー:珪藻土=1:3(すなわち、上記式(2)において、X=3)に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
(比較例3)
分散液中のセルロースナノファイバーと珪藻土との含有比を、質量基準で、セルロースナノファイバー:珪藻土=1:2(すなわち、上記式(2)において、X=2)に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
(比較例4)
ケイ素系多孔質材料として、上述の珪藻土の代わりに、多孔質ではないシリカ(東ソー(株)製、商品名:Nipsil VN3)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
(比較例5)
珪藻土を使用しなかったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、複合粉体及びゴム混合物を作製し、有機溶媒への分散性評価、耐付着性評価、天然ゴムに対する分散性評価、及び強度評価を行った。以上の結果を表3に示す。
Figure 0007282339000002
Figure 0007282339000003
表2に示すように、実施例1~9の複合粉体においては、分散液中のセルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料との含有比が、質量基準で、セルロースナノファイバー:ケイ素系多孔質材料=1:5~1:20(すなわち、セルロースナノファイバー1質量部に対して、ケイ素系多孔質材料が5~20質量部)であるため、セルロースナノファイバーがケイ素系多孔質材料の孔に入り込む(または、セルロースナノファイバーが、ケイ素系多孔質材料の表面に付着する)とともに、ケイ素系多孔質材料の不足に起因する細孔へのセルロースナノファイバーの取り込み量(または、ケイ素系多孔質材料の表面へのセルロースナノファイバーの付着量)の低下を抑制して、ケイ素系多孔質材料の表面におけるセルロースナノファイバーの凝集体の生成を防止することができたため、ゴム混合物において、天然ゴムに対してセルロースナノファイバーを均一に分散させることができ、結果として、ゴム混合物の強度を確実に向上させることができることが分かる。
また、表2に示すように、実施例1~9の複合粉体においては、セルロースナノファイバーがケイ素系多孔質材料の孔に入り込んでいる(または、ケイ素系多孔質材料の表面へセルロースナノファイバーが付着している)ため、有機溶媒(メチルエチルケトン)への分散性が良好であり、有機溶媒との相溶化も良好であることが分かる。
以上説明したように、本発明は、ゴム、樹脂、並びに炭素繊維強化プラスチックに使用される複合粉体及びその製造方法に適している。

Claims (4)

  1. セルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料とを含有する複合粉体の製造方法であって、
    前記ケイ素系多孔質材料が、珪藻土及びゼオライトの少なくとも一方を含み、
    前記セルロースナノファイバーを分散させた水系溶媒に前記ケイ素系多孔質材料を混合して分散液を調製する工程と、
    前記分散液を乾燥させて、前記セルロースナノファーバーと前記ケイ素系多孔質材料とを含む乾燥体を作製する工程と、
    前記乾燥体を粉砕して複合粉体を作製する工程と
    を含み、
    前記分散液中の前記セルロースナノファイバーと前記ケイ素系多孔質材料との含有比が、質量基準で、セルロースナノファイバー:ケイ素系多孔質材料=1:5~1:20であり、
    前記分散液に含まれる前記セルロースナノファイバー1質量部に対する前記ケイ素系多孔質材料の含有量をX(単位は質量部)、前記水系溶媒における前記セルロースナノファイバーの濃度をY(単位は質量%)とした場合に、下記式(1)の関係が成立することを特徴とする複合粉体の製造方法。
    [数1]
    Y≦-0.048X+1.96 (1)
  2. 前記セルロースナノファイバーが化学的に開繊処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の複合粉体の製造方法。
  3. 前記水系溶媒のpHが10~12であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合粉体の製造方法。
  4. セルロースナノファイバーとケイ素系多孔質材料とを含有する複合粉体であって、
    前記ケイ素系多孔質材料が、珪藻土及びゼオライトの少なくとも一方を含み、
    前記セルロースナノファイバーと前記ケイ素系多孔質材料との含有比が、質量基準で、セルロースナノファイバー:ケイ素系多孔質材料=1:5~1:20であり、
    前記セルロースナノファイバーが、少なくとも前記ケイ素系多孔質材料の表面に付着している、または前記ケイ素系多孔質材料の孔に入り込んでいることを特徴とする複合粉体。
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