JP5938161B2 - 嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物及び嚥下・咀嚼困難者用食品 - Google Patents

嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物及び嚥下・咀嚼困難者用食品 Download PDF

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Description

本発明は、嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物、及びこれを使用した嚥下・咀嚼困難者用食品に関する。
嚥下・咀嚼困難者、例えば要介護高齢者においては、食べ物を咀嚼したり、嚥下する機能が衰えているために、食材を食べやすい形態にする様々な工夫が必要である。介護施設においては、古くから食材を細かく刻んだり、粉砕したりする調理が日常的に行われており、普通食以外に、キザミ食、極キザミ食、ミキサー食、ペースト食、液状食物等が提供されている。
キザミ食とは、もともと咀嚼機能に不具合がある者に配慮して、すでに咀嚼を行ったような形状に食材を細かく切り刻むことにより、咀嚼を行わなくても飲み込みやすく調製したものである。キザミ食は、介護施設等において、嚥下・咀嚼機能が低下した高齢者に広く提供されている。ところが近年、キザミ食は、誤嚥性肺炎発症のリスクを高めることが指摘されるようになった。また、普通食よりもむしろ咀嚼回数が増加したとの報告もある。このように、キザミ食が普通食よりも必ずしも飲み込みやすいものであるとは限らないということが最近になってわかってきた。
そもそも食物を咀嚼するという行為は、食材を粉砕するということだけでなく、粉砕された食材が唾液とうまく混ざり合うことによって食塊(bolus)を形成することにより、飲み込みやすくするものである。しかし、食材を細かく切り刻むことによって逆に食塊形成が困難になり、結果的に誤嚥が惹起されてしまうことが明らかになった。特に高齢者の場合には、認知症や視覚不良による先行期障害や、唾液腺の感知・分泌不良により唾液が不足し、咀嚼により食塊を形成する能力が劣っていることが多いため、さらに食塊形成が困難になると考えられる。
食品の嚥下しやすさを改善する方法として、例えば、飲食品の粘性を増大させることにより、口腔内における凝集性を改善する方法がある。咀嚼機能が重度に低下した高齢者には、通常、咀嚼がほぼ不要なミキサー食、ペースト食、液状食物等が提供されている。しかしながら、これらは固形分が非常に少ないために、誤嚥の危険性が高い。そこで、誤嚥を防止するために、例えば、ゼラチン、寒天、ジェランガム等の増粘剤を添加することにより、液状食物等を増粘させる方法が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、特許文献1等に記載されているような水溶性の増粘剤のみを添加することは、液状食物を増粘させることには適しているが、キザミ食やミキサー食へ添加して、食塊形成が容易になる食品を製造することには適するものではなかった。
そこで、キザミ食に変わる新しい食形態として、黒田らにより高齢者用のソフト食が開発された(例えば、非特許文献1参照。)。高齢者用のソフト食とは、普通食の形態でありつつも、摂食・嚥下障害のある人も咀嚼しやすく、かつ食塊形成が容易で嚥下しやすい食品である。具体的には、硬度及び凝集度が一定の範囲となるように調整されている。
しかしながら、高齢者用のソフト食は、食品の硬度及び凝集度を調整するために、食材(素材)そのものが限定されてしまう上に、素材段階からの調理の工夫が必要であり、調理工程を根本的に変化させる必要もある。つまり、高齢者用のソフト食は、キザミ食よりもはるかに調理に手間がかかるという問題がある。さらに、専用器具が必要な場合もある。このため、介護施設等において、キザミ食に代えて高齢者用のソフト食を導入することは、予算面や設備投資的な面から容易ではない。
その他、嚥下・咀嚼困難者に供される食品の問題として、摂取カロリーの減少が挙げられる(例えば、非特許文献2参照。)。例えば、食材を粉砕してペースト食を作るためには、多量のダシ汁等の水分を配合することになるため、加水により容量が増してしまうケースが多い。このため、普通食と同じ重量を摂取したとしても、実質的には減量となってしまい、摂取カロリーが減少してしまう。キザミ食の場合にも、刻むことにより容量が増大してしまい、普通食を摂取する場合と同じ重量を皿に盛り付けることが難しい場合が多く、やはり、摂取カロリーが減少してしまうという問題がある。
一方で、老人介護施設等では、多数の嚥下・咀嚼困難者のために食事を用意しなくてはならないため、キザミ食等が付着した食器や調理器具が簡便に洗浄できることが重要である。一般的に、食器等に付着した食品滓等の汚れのうち、油汚れが最も落ちにくいため、洗浄剤の油汚れに対する洗浄性の改善を目的とする研究開発が広く行われている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第3524359号公報 特開2006−36928号公報
黒田留美子、"摂食・嚥下障害者に適した「高齢者ソフト食」の開発"、日摂食嚥下リハ会誌、2004年、第8巻第1号、第10〜16ページ。 林静子、「高齢者栄養ケアにおける疑問と検証(1)刻み食、ミキサー食の落とし穴」、臨床栄養、2002年2月、第100巻第2号、第145ページ。
このように、キザミ食が嚥下・咀嚼困難者の食形態として適さないということは比較的理解されている。しかしながら、キザミ食は既に調理現場では定番化している上に、キザミ食に代わる代替手段が手軽ではないため、キザミ食を提供せざるを得ないのが現状である。
また、キザミ食の調理に用いられるミキサー類は、形状は通常の食器類とは異なるため、自動食器洗浄機を用いることが難しい場合が多い。このため、ミキサー類に付着したキザミ食は、通常のこすり洗いや浸け置き洗いによって洗浄除去できることが好ましい。特に、老人介護施設等では、多数の嚥下・咀嚼困難者のためにキザミ食を用意する必要があり、ミキサー類を短時間で何度も繰り返して使用するため、手洗い等によって容易に洗浄できることが望まれている。
本発明は、摂食可能な食品の細断物や破砕物がバラバラとばらけず、まとまり感のある食品を容易に製造することができ、かつ、洗浄性に優れた油脂組成物を提供することを目的とする。
また、当該油脂組成物を使用した食品であって、摂取したときに、口腔内で細断物や破砕物がばらけず、加水したペースト食であっても、摂取カロリーの低減を防止することができ、さらに、当該食品が付着した食器や調理器具を容易に洗浄することが可能な嚥下・咀嚼困難者向け食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ、油脂を含有する組成物を急冷混捏処理して得られる油脂組成物を、キザミ食やペースト食と混合することにより、キザミ食やペースト食を、嚥下・咀嚼困難者が摂取しやすい食品に改善し得ることを見出した。さらに、急冷混捏処理前の組成物に、HLB値が1〜10である乳化剤を含有させることにより、当該油脂組成物を混合することにより製造された食品が付着した食器や調理器具等の洗浄性が改善されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1) 5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ、油脂及びHLB値が1〜10である乳化剤を含有する組成物を、急冷混捏処理して得られ、摂食可能な食品の細断物又は破砕物と混合して使用されることを特徴とする嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物、
(2) 前記組成物の30〜40℃の範囲におけるSFCが3〜16%であることを特徴とする前記(1)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物、
(3) 前記乳化剤が、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、ジグリセリンモノ・ジオレエート、ペンタグリセリントリオレエート、及び、コハク酸モノグリセリンモノステアレートからなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物、
(4) 前記乳化剤が、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、及びジグリセリンモノ・ジオレエートからなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物、
(5) 前記組成物が、2種以上の油脂を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物、
(6) 前記組成物が、パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂と、融点50〜80℃の極度硬化油脂とを含有することを特徴とする前記(5)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物、
(7) 前記組成物が、前記20℃で液状である油脂として植物油を含有し、前記極度硬化油脂としてハイエルシン菜種油の極度硬化油を含有することを特徴とする前記(6)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物、
(8) 前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物を可撓性容器に充填してなることを特徴とする容器入り嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物、
(9) 前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品の細断物又は破砕物とを含有することを特徴とする嚥下・咀嚼困難者用食品、
(10) さらに、水を含有することを特徴とする前記(9)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品、
(11) 前記摂食可能な食品が、畜肉加工食品、魚肉加工食品、野菜類、果実類、麺類、ご飯、お粥、パン類、及び海藻類からなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする前記(9)又は(10)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品、
(12) 5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ、油脂及びHLB値が1〜10である乳化剤を含有する組成物を、急冷混捏処理して得られる嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品の細断物又は破砕物とを混合することを特徴とする嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法、
(13) 前記混合の後、さらに破砕処理を行うことを特徴とする前記(12)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法、
(14) 5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ、油脂及びHLB値が1〜10である乳化剤を含有する組成物を、急冷混捏処理して得られる嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品とを混合した後、破砕処理を行うことを特徴とする嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法、
(15) 前記組成物の30〜40℃の範囲におけるSFCが3〜16%であることを特徴とする前記(12)〜(14)のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法、
(16) 前記乳化剤が、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、ジグリセリンモノ・ジオレエート、ペンタグリセリントリオレエート、及び、コハク酸モノグリセリンモノステアレートからなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする前記(12)〜(15)のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法、
(17) 前記嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物が、2種以上の油脂を含有することを特徴とする前記(12)〜(16)のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法、
(18) 前記嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物が、パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂と、融点50〜80℃の極度硬化油脂とを含有することを特徴とする前記(17)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法、
(19) 前記嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物が、前記20℃で液状である油脂として植物油を含有し、前記極度硬化油脂としてハイエルシン菜種油の極度硬化油を含有することを特徴とする前記(18)に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法、
(20) 5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ、油脂及びHLB値が1〜10である乳化剤を含有する組成物を、急冷混捏処理して得られる嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品の細断物又は破砕物とを混合し、さらに破砕処理を行うことを特徴とする、嚥下・咀嚼困難者用食品のまとまり感の改善方法
を提供するものである。
本発明の嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物を用いることにより、摂食可能な食品の細断物や破砕物がバラバラとばらけず、まとまり感のある食品を得ることができる。このため、本発明の嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物と、従来のキザミ食やペースト食等とを混合することにより、こぼすことなく容易に口まで運ぶことができ、かつ、口腔内で細断物や破砕物がばらけず、嚥下・咀嚼困難者が摂取しやすい嚥下・咀嚼困難者用食品を製造することができる。また、本発明の嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物を用いることにより、加水したペースト食であっても、摂取カロリーの低減を防止することができる。さらに、本発明の嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物や当該組成物を混合して得られる食品が付着した食器や調理器具等は、常温の水道水を使用した場合や40℃程度の水温でも良好に洗浄することができる。
まず、本発明の嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物について説明する。
本発明の嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物(以下、「本発明の摂食補助用油脂組成物」ということがある。)は、摂食可能な食品の細断物又は破砕物に混合して使用することにより、嚥下困難者や咀嚼困難者が、当該食品の摂取を容易にするもの(摂取を補助するもの)である。従来のキザミ食においては、食品の細断物がばらばらとほぐれやすく、口腔内で食塊を形成し難いことが、誤嚥が惹起される大きな要因と考えられる。本発明の摂食補助用油脂組成物を、従来のキザミ食やペースト食等の細断物や破砕物を含有する食品と混合することにより、各固形分が適度に凝集し、バラバラとばらけることなく、まとまり感が付与された食品、つまり、嚥下・咀嚼困難者が摂取しやすい食品を得ることができる。
また、本発明の摂食補助用油脂組成物は、油脂を主成分とするため、普通食に比べて固形分の摂取量が少なくなりやすい従来のキザミ食やペースト食と混合した場合に、摂取カロリーの低減を防止することができる。
本発明及び本願明細書において、「摂食可能な食品」とは、さらに調理を要することなく摂食することが可能な食品を意味し、加熱処理や味付け等の調理済みの食品と、果実等の生のまま摂食可能な食品とのいずれをも含む。また、「摂食可能な食品の細断物又は破砕物」とは、摂食可能な食品中の固形分を細断又はほぐしたり、破砕又はすり潰したりしたものを意味する。細断又は破砕処理後の固形分の大きさは特に限定されるものではなく、「摂食可能な食品の細断物又は破砕物」には、摂食可能な食品を包丁やカッター等で刻んだもの、摂食可能な食品を小さくほぐしたもの、摂食可能な食品をカッターミキサー等で破砕したもの、摂食可能な食品をすり潰したもの等が含まれる。
なお、食品の破砕処理の方法は、特に限定されるものではなく、固形分を小さくする際に通常用いられるいずれの処理方法であってもよい。例えば、カッターミキサー等の破砕機を用いることにより、食品を破砕することができる。
具体的には、本発明の摂食補助用油脂組成物は、5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ、油脂及びHLB値が1〜10である乳化剤を含有する組成物を、急冷混捏処理して得られることを特徴とする。本発明の摂食補助用油脂組成物としては、5〜25℃の範囲におけるSFCが8〜16%であることが好ましく、8〜12%であることがより好ましい。
本発明の摂食補助用油脂組成物において、急冷混捏処理する前の組成物の5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%の範囲内であることにより、摂食可能な食品又は摂食可能な食品の細断物や破砕物と混合させやすく、また、当該食品中の細断物や破砕物がバラバラとばらけない、まとまり感のある食品を得ることができる。これに対して、5〜25℃の範囲におけるSFCが3%未満である場合には、油脂組成物の流動性が過大となり、必要な硬さがないため、キザミ食等の細断物をまとめることができない。一方、SFCが、5〜25℃の範囲で18%より大きい場合には、油脂組成物の流動性は十分に小さいが、硬すぎるため、固形分と混合しにくい。
また、本発明の摂食補助用油脂組成物において、急冷混捏処理する前の組成物は、30〜40℃の範囲におけるSFCが3〜16%であることが好ましく、4〜15%であることがより好ましく、6〜12%であることがさらに好ましい。急冷混捏処理する前の組成物の30〜40℃の範囲におけるSFCが3〜16%の範囲内であることにより、温かい食品に混合させた場合であっても、当該食品をよりまとまりのある状態にすることができる。また、本発明の摂食補助用油脂組成物を混合した食品を摂取したときに、口腔内において当該組成物中の油脂が溶解しにくく、食塊状態をより維持しやすいため、より嚥下しやすい嚥下・咀嚼困難者用食品を製造することができる。
本発明の摂食補助用油脂組成物において、急冷混捏処理する前の組成物は、25℃におけるSFCと35℃のSFCとの差が、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。25℃(室温付近)におけるSFCと35℃(口腔内の温度)のSFCとの差が上記範囲内であることにより、当該摂食補助用油脂組成物を混合した食品が、口腔内においてよりばらけにくく、かつ、口の中でべとつきにくくなる。
なお、本発明の摂食補助用油脂組成物のSFC(solid fat content;固体脂含量)は、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003固体脂含量(NMR法)に従って測定することができる。具体的には、例えば、アステック株式会社製の測定装置SFC−2000(NMR法)を使用して、以下のようにして測定することができる。まず、完全に溶解させたサンプル(油脂組成物)を、測定装置SFC−2000の測定セルに入れ、60℃で30分間保持した後、0℃で30分間保持する。さらに、25℃で30分間保持した後、0℃で30分間保持し、その後、SFCを測定する温度で30分間保持後、SFCを測定する。
また、本発明の摂食補助用油脂組成物は、20℃における硬さが20000〜60000N/mであることが好ましく、30000〜50000N/mであることがより好ましい。20℃における硬さが20000N/m以上であることにより、摂食可能な食品の細断物や破砕物と混合させた場合や、摂食可能な食品又は摂食可能な食品の細断物や破砕物と混合した後に破砕処理を行った場合に、固形分をより良好にまとまりやすくすることができる。また、20℃における硬さが60000N/m以下であることにより、当該摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品の細断物や破砕物とを混合する場合や、当該摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品又は摂食可能な食品の細断物や破砕物とを混合した後さらに破砕処理を行う場合に、ハンドリング性をより向上させることができる。
なお、本発明の摂食補助用油脂組成物の硬さは、株式会社山電社製のRE−33005を用いて測定することができる。具体的には、まず、直径40mm、高さ15mmの円柱形の開口ステンレス容器に、サンプル(油脂組成物)を充填し、20℃で2時間保存後、レオメーターの測定台の上へ置く。次いで、直径3mmのプランジャーを設置し、10mm/秒のスピードで、測定サンプルに10mm押し込み、硬さを測定する。
本発明の摂食補助用油脂組成物において、急冷混捏処理する前の組成物は、HLB値が1〜10である乳化剤を含む。本発明においては、添加される乳化剤のHLB値が2〜9であることが好ましく、3〜9であることがより好ましく、6〜9であることがさらに好ましい。急冷混捏処理する前の組成物が、HLB値が上記範囲内である乳化剤を含んでいるため、本発明の摂食補助用油脂組成物は、乳化剤を含まない油脂組成物やHLB値が1〜10の範囲にない乳化剤を含む油脂組成物よりも、洗浄性が非常に良好である。特に、30〜40℃の範囲におけるSFCが3〜16%である油脂組成物は、常温の水道水を使用した場合や40℃程度の水温では溶解しにくく、洗浄性が悪い。本発明においては、HLB値が1〜10である乳化剤を含むことにより、急冷混捏処理する前の油脂を含む組成物の30〜40℃の範囲におけるSFCが3〜16%である場合であっても、高い洗浄性を備える。
なお、本願明細書において、「油脂組成物の洗浄性」とは、油脂組成物の食器や調理器具等からの洗浄除去のされやすさを意味する。すなわち、当該油脂組成物及びそれを含有する食品が付着した食器や調理器具等を洗浄する際に、油汚れ(当該油脂組成物)が落ちやすい場合に、当該油脂組成物は洗浄性が高い、といい、油汚れ(当該油脂組成物)が落ちにくい場合に、当該油脂組成物は洗浄性が低い、という。
本発明の摂食補助用油脂組成物に用いられる乳化剤は、HLB値が1〜10であればよく、飲食品等に添加される公知の乳化剤の中から適宜選択して用いることができる。また、1種類の乳化剤を用いてもよく、2種類以上のHLB値が1〜10である乳化剤を組み合わせて用いてもよい。HLB値が1〜10である乳化剤としては、具体的には、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、レシチン、酵素分解レシチン等であって、HLB値が1〜10であるものが挙げられる。より具体的には、モノグリセリンモノオレエート、モノグリセリンモノステアレート、モノグリセリンモノラウレート、モノグリセリンモノカプリレート、モノグリセリンベヘニレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、ジグリセリンモノ・ジオレエート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノ・ジステアレート、ペンタグリセリントリオレエート、ペンタグリセリントリミリスチネート、ペンタグリセリンヘキサステアレート、デカグリセリンペンタオレエート、デカグリセリンペンタステアレート、デカグリセリンデカオレエート、デカグリセリンデカステアレート、コハク酸モノグリセリンモノステアレート、クエン酸モノグリセリンモノステアレート、クエン酸モノグリセリンモノオレエート、ジアセチル酒石酸モノグリセリンモノステアレート、プロピレングリコールモノオレエート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールモノベヘネート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート等が挙げられる。
本発明においては、HLB値が1〜10である乳化剤として、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、ジグリセリンモノ・ジオレエート、ペンタグリセリントリオレエート、及び、コハク酸モノグリセリンモノステアレートからなる群より選択される1種又は2種以上を用いることが好ましく、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、及び、ジグリセリンモノ・ジオレエートより選択される1種又は2種以上を用いることがより好ましく、ジグリセリンモノオレエート又はジグリセリンモノ・ジオレエートを用いることがさらに好ましい。
本発明の摂食補助用油脂組成物には、HLB値が1〜10である市販の乳化剤を用いることができる。中でも、ポエムDO−100V(HLB値:8.0、ジグリセリンモノオレエート、理研ビタミン社製)、サンソフトQ−17B(HLB値:6.5、ジグリセリンモノ・ジオレエート、太陽化学社製)、サンソフトQ−18B(HLB値:6.5、ジグリセリンジステアレート、太陽化学社製)、サンソフトA−173E(HLB値:7.0、ペンタグリセリントリオレエート、太陽化学社製)、サンソフトNo.681NU(HLB値:8.5、コハク酸モノグリセリンモノステアレート、太陽化学社製)、サンソフトNo.681SPV(HLB値:8.5、コハク酸モノグリセリンモノステアレート、太陽化学社製)、ポエムB−10(HLB値:5.5、コハク酸モノグリセリンモノステアレート、理研ビタミン社製)、ポエムB−30(HLB値:5.5、コハク酸モノグリセリンモノステアレート、理研ビタミン社製)、及びステップSS(HLB値:5.3、コハク酸モノグリセリンモノステアレート、花王社製)等を用いることが好ましい。
本発明の摂食補助用油脂組成物全体に対するHLB値が1〜10である乳化剤の含量は、0.01〜5質量%であることが好ましい。中でも、本発明の摂食補助用油脂組成物全体に対する当該乳化剤の含有量の好ましい範囲の下限値は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。また、当該乳化剤の含有量の好ましい範囲の上限値は、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることがよりさらに好ましく、0.7質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の摂食補助用油脂組成物において、急冷混捏処理する前の油脂を含有する組成物は、5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%の範囲内となり、かつHLB値が1〜10である乳化剤を含むものであればよく、油脂として、1種類の油脂を含むものであってもよく、2種類以上の油脂を含むものであってもよい。同様に、乳化剤として、1種類の乳化剤を含むものであってもよく、2種類以上の乳化剤を含むものであってもよく、HLB値が1〜10である乳化剤とHLB値が1未満である乳化剤とを含むものであってもよい。さらに、油脂や乳化剤以外の成分を含むものであってもよい。
本発明の摂食補助用油脂組成物において、急冷混捏処理する前の組成物としては、パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂と、融点50〜80℃の極度硬化油脂と、HLB値が1〜10である乳化剤とを含有する油脂組成物を例示することができる。
パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂としては、パーム系油脂1種、パーム系油脂2種の混合物、パーム系油脂3種の混合物、20℃で液状の油脂1種、20℃で液状の油脂2種の混合物、20℃で液状の油脂3種の混合物、パーム系油脂1種と20℃で液状の油脂1種の混合物、パーム系油脂1種と20℃で液状の油脂2種の混合物等が挙げられる。
ここで、パーム系油脂とは、パーム油、パーム油の分別油、及びそれらを水素添加処理したものをいうが、パーム油又はパーム分別油を完全水素添加したもの(極度硬化油脂)は含まない。パーム分別油としては、具体的には、1段分別油であるパームオレイン、パームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)等が例示できる。この中でも特にパームスーパーオレインが好ましい。
これらのパーム系油脂には、パームステアリンのような5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%の範囲外となるものもあるが、このようなパーム系油脂を使用する場合には、他の油脂を併用することにより、最終的に、5〜25℃の範囲におけるSFCを3〜18%の範囲内のものとすれば良い。
パーム油を分別する方法には特に制限はなく、溶剤分別、乾式分別、乳化分別の何れの方法を用いてもよい。
本発明の摂食補助用油脂組成物に含有させるパーム系油脂としては、これらのパーム油及びパーム分別油の2種以上を任意に混合したものを用いてもよい。
また、20℃で液状の油脂とは、20℃で液状の油脂であって、先に説明をしたパーム系以外の油脂のことを意味する。本発明の摂食補助用油脂組成物に含有させる20℃で液状の油脂としては、20℃で液状の植物油であることが好ましい。20℃で液状の植物油としては、具体的には、菜種油、オリーブ油、米油、ゴマ油、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、大豆油、ヒマワリ油、紅花油、あまに油、エゴマ油、炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸を構成脂肪酸とする中鎖脂肪酸トリグリセリド、炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸と炭素数12〜24の長鎖脂肪酸とを構成脂肪酸とするトリグリセリド、及びこれらの混合油等が挙げられ、この中でも風味にくせがなく、安定供給の点で菜種油が好ましい。
本発明の摂食補助用油脂組成物に含有させる20℃で液状の油脂としては、これらのうちの1種を用いてもよく、2種以上を任意に混合したものを用いてもよい。その中でも特に、0℃において5.5時間保存後、液状かつ清澄である植物油、すなわち、サラダ油を使用することがより好ましい。
極度硬化油脂としては、菜種油、オリーブ油、米油、ゴマ油、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、大豆油、ヒマワリ油、紅花油、あまに油、エゴマ油、パーム油、パーム分別油、及び魚油等を完全水素添加したものが挙げられる。
本発明の摂食補助用油脂組成物に含有させる極度硬化油脂としては、これらのうちの1種を用いてもよく、2種以上を任意に混合したものを用いてもよい。
本発明の摂食補助用油脂組成物に使用する極度硬化油脂は、融点が50〜80℃のものが好ましい。融点50〜80℃の極度硬化油脂を用いることにより、摂食補助用油脂組成物を適度な硬さとすることができる。中でも、融点が55〜80℃の極度硬化油脂を用いることが好ましく、55〜75℃の極度硬化油脂を用いることがより好ましい。特に、本発明の摂食補助用油脂組成物を摂食可能な食品又は摂食可能な食品の細断物や破砕物に混合して食品を作った後、当該食品に対して、電子レンジ等で再加熱したり、恒温槽で温かさを維持させる場合には、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(融点60℃)を使用することが最も好ましい。ハイエルシン菜種油の極度硬化油は、油脂の溶解・再結晶化による粗大結晶が発生しにくいため、油脂の粗大結晶による食感のざらつきが発生しにくいためである。
本発明において用いられるハイエルシン菜種油の極度硬化油は、その構成脂肪酸中のベヘン酸の含量が30〜60質量%であることが好ましく、35〜50質量%であることがより好ましく、40〜50質量%であることがさらに好ましい。また、前記ハイエルシン菜種油の極度硬化油は、そのヨウ素価が2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。
本発明の摂食補助用油脂組成物が、パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂と、融点50〜80℃の極度硬化油脂と、HLB値が1〜10である乳化剤とを含有する油脂組成物である場合には、本発明の摂食補助用油脂組成物全体に対する、パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂の含量は、82.99〜94.99質量%であることが好ましく、84.9〜91.9質量%であることがより好ましく、87.7〜91.7質量%であることが最も好ましい。一方、本発明の摂食補助用油脂組成物全体に対する融点50〜80℃の極度硬化油の含量は、5〜17質量%であることが好ましく、8〜15質量%であることがより好ましく、8〜12質量%であることが最も好ましい。さらに、本発明の摂食補助用油脂組成物全体に対するHLB値が1〜10である乳化剤の含量は、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましく、0.3〜0.7質量%であることが特に好ましい。含量を上記数値範囲とすることにより、本発明の摂食補助用油脂組成物は、摂食可能な食品の細断物や破砕物中の固形分を適度に凝集させ、バラバラとばらけることなく、まとまり感を付与することができ、かつ、洗浄性に優れている。
本発明の摂食補助用油脂組成物には、油脂や乳化剤の他にも、必要に応じて、本発明の機能を損なわない範囲で、一般的に食品に用いられる乳化剤、脱脂粉乳、大豆蛋白、糖類、澱粉、化工澱粉、デキストリン、トコフェロールやビタミンC等の抗酸化剤、着色剤、香料、増粘剤等を配合することができる。増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン等が挙げられる。
本発明の摂食補助用油脂組成物は、油脂及び乳化剤を含む組成物を急冷混捏処理して得られる油脂組成物である。具体的には、摂食補助用油脂組成物として配合する油脂と乳化剤とを混合して得られた混合物を加熱して融解させた後に急冷混捏処理する、又は、加熱して融解させた油脂に乳化剤を添加して融解混合した後に急冷混捏処理することにより、本発明の摂食補助用油脂組成物を得ることができる。本発明の摂食補助用油脂組成物に2種類以上の油脂や2種類以上の乳化剤を含有させる場合には、含有させる全ての油脂及び乳化剤を融解混合した後、急冷混捏処理を行う。
油脂を加熱融解させる温度は、油脂の融点を考慮して適宜決定することができるが、50〜100℃に加熱することが好ましく、60〜90℃に加熱することがより好ましい。また、2種以上の油脂を用いる場合、油脂を混合した後に加熱融解させてもよく、それぞれを別個に加熱融解させた後に、急冷混捏処理前に混合させてもよい。
急冷混捏処理は、通常、マーガリンやショーニングを製造する場合と同様にして行うことができる。例えば、冷却条件は、−0.5℃/分以上、好ましくは−5℃/分以上とすることができる。
また、急冷混捏処理は、通常、マーガリンやショーニングを製造する場合に用いられている急冷混捏機を用いることにより行うことができる。急冷混捏機には、必要に応じてガス、例えば空気、窒素等を混入することもできる。例えば、マーガリン製造機として用いられているボテーター、コンビネーター、パーフェクター、オンレーター等の密閉型連続式チューブ冷却機や、プレート型熱交換機等を使用することにより、急冷混捏処理を行うことができる。また、急冷混捏処理には、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組合せを用いることもできる。
また、例えば、本発明の摂食補助用油脂組成物が、パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂と、融点50〜80℃の極度硬化油脂と、HLB値が1〜10である乳化剤とを含有する油脂組成物である場合には、パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂と、融点50〜80℃の極度硬化油脂と、HLB値が1〜10である乳化剤とを加熱して融解混合した後、急冷混捏機を用いて急冷混捏処理することにより、本発明の摂食補助用油脂組成物を製造することができる。
本発明の摂食補助用油脂組成物は、可撓性容器や缶容器に充填させて使用することができる。特に、本発明の摂食補助用油脂組成物を可撓性容器に充填させた容器入り嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物は、容器から摂食補助用油脂組成物を容易に出すことができ、ハンドリング性に優れている。なお、可撓性容器とは、マヨネーズ等に使用されるような柔軟性を有する容器を意味し、例えば、ポリエチレン製の容器等が挙げられる。また、可撓性容器の形状は特に限定されるものではなく、カップ状、チューブ状、ピロー包装状、パウチ等のいずれの形状であってもよい。
カップ状の可撓性容器の材質として、ポリプロピレン等を使用することができる。
また、チューブ状の可撓性容器の材質として、チューブ部分としてはポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アルミをラミネートしたラミネートチューブ等を、キャップ部分としてはポリプロピレン、硬質ポリエチレン等を使用することができる。
また、ピロー包装状の可撓性容器の材質として、ポリプロピレン等を使用することができる。
次に、本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品及びその製造方法について説明をする。
本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品は、本発明の摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品の細断物又は破砕物とを含有することを特徴とする。
摂食可能な食品としては、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、馬肉等の畜肉類や、アジ、サバ、サンマ、シーラ、カラスガレイ、カツオ、キハダマグロ、カジキマグロ、シャケ、タラ、メルルーサ等の魚類、キャベツ、にんじん、玉ねぎ、ジャガイモ、ホウレンソウ、レタス、トマト等の野菜類、リンゴ、ミカン、梨、パイナップル、イチゴ、柿、スイカ、メロン等の果物、ワカメ、昆布、ヒジキ等の海藻類、ごはん、お粥、パン、うどん、そば、パスタ等を調理した食品が挙げられる。果物やトマト、刺身用の魚類等の生で食することが可能なものについても、摂食可能な食品に含まれる。その他、摂食可能な食品には、ハンバーグ等の畜肉類を加工した畜肉加工食品、マグロフレークやつみれ等の魚肉類を加工した魚肉加工食品等の調理済み加工食品も含まれる。本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品としては、畜肉加工食品、魚肉加工食品、野菜類、果実類、麺類、ご飯、お粥、パン類、及び海藻類からなる群より選択される1種又は2種以上の食品又はその破砕物と、本発明の摂食補助用油脂組成物とを含有することが好ましい。
本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品は、食品中の小さな固形分がバラバラとばらけず、まとまり感のある食品である。これは、細断や破砕により固形分を小さくした食品と、本発明の摂食補助用油脂組成物とを混合することにより、固形分同士が適度に凝集し、食品をまとまりやすくする、すなわち、食品のまとまり感を改善することができるためである。このため、本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品は、食品を摂食する際に、こぼさずに容易に口に運ぶことができ、かつ、口腔内でも固形分がばらけにくく、食塊形成が容易であり、嚥下・咀嚼困難者にも嚥下しやすい。さらに、加水したペースト食であっても、摂取カロリーの低減を防止することができる。
本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品は、食品の小さな固形分と本発明の摂食補助用油脂組成物とを混合することにより製造することができる。例えば、予め細かく刻んだり、カッターミキサー等の破砕機を使用して破砕した食品に、本発明の摂食補助用油脂組成物を混合することにより、本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品を製造することができる。摂食可能な食品の細断物又は破砕物の水分が多い場合には、本発明の摂食補助用油脂組成物と混合する際に、片栗粉や市販のトロミ製剤等を併用することもできる。一例として、水分が多い食品の細断物に市販のトロミ製剤(例えば、日清オイリオグループ(株)製、商品名:トロミアップV)を添加し、トロミ付けをした後に、嚥下・困難者向け摂食補助用油脂組成物を混合することが挙げられる。その他にも、破砕処理前の固形分が大きな食品と、本発明の摂食補助用油脂組成物とを混合した後、カッターミキサー等により破砕処理を行うことによっても、本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品を製造することができる。また、予め固形分を小さくした食品と本発明の摂食補助用油脂組成物とを混合した後、さらに、ミキサー等により破砕処理を行ってもよい。
本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品は、食品の形状でおおまかに分類をすると、ペースト食とまとめ食に分けられる。
ここで、ペースト食とは、加水した摂食可能な食品の細断物又は破砕物をカッターミキサー等で破砕した、流動性の高い食品のことをいう。一方、まとめ食とは、摂食可能な食品の細断物又は破砕物を含有し、流動性を有さず又は流動性が低く、固形分がバラバラとばらけにくい食品のことをいう。
例えば、ペースト食は、摂食可能な食品、好ましくは固形分が細かく刻まれた食品(いわゆるキザミ食品)、本発明の摂食補助用油脂組成物、及びだし汁等の水分の混合物を混合・破砕することにより製造することができる。
ペースト食の配合は、どの程度の流動性のペースト食にするか、また、原料として使用する食品の種類や、含有する油分や水分等により、適宜調整することができる。例えば、摂食可能な食品の細断物又は破砕物100質量部、本発明の摂食補助用油脂組成物1〜100質量部(好ましくは1〜50質量部)、及び水200〜1000質量部という配合を例示することができる。
ペースト食の製造方法としては、例えばハンバーグのペースト食の場合、ブロック状に切った調理済みハンバーグに、本発明の摂食補助用油脂組成物とだし汁を加えた後、フードプロセッサーで10秒間〜1分間、破砕・混合することにより製造することができる。
一方、まとめ食は、固形分が細かく刻まれた食品(いわゆるキザミ食品)と、本発明の摂食補助用油脂組成物とを混合することにより製造することができる。必要に応じて、混合後フードプロセッサーで破砕・混合をしてもよい。また、まとめ食は、摂食可能な食品と本発明の摂食補助用油脂組成物とを混合し、その混合物をフードプロセッサーで破砕・混合することにより製造することもできる。水を適宜配合することにより、得られる食品の流動性を調整することができる。
まとめ食の配合は、原料として使用する食品の種類や、含有する油分や水分等により、適宜調整することができる。例えば、摂食可能な食品の細断物又は破砕物100質量部、嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物5〜100質量部(好ましくは5〜50質量部)という配合を例示することができる。また、必要に応じて、だし汁等の水分を添加することもできる。
まとめ食の製造方法としては、例えば鶏肉のまとめ食の場合、ボイルした鶏肉のササミに、本発明の摂食補助用油脂組成物を加えた後、フードプロセッサーで10秒間〜1分間、破砕・混合することにより製造することができる。
また、キャベツやニンジンのまとめ食の場合、湯通しをしたキャベツやニンジンを約5mm以下の大きさに刻んだ後、本発明の摂食補助用油脂組成物を加え、混合することにより製造することができる。また、湯通しをしたキャベツやニンジンに本発明の摂食補助用油脂組成物を加えた後、フードプロセッサー等で破砕することにより製造することもできる。
その他、本発明の嚥下・咀嚼困難者用食品は、必要に応じて、本発明の機能を損なわない範囲で、一般的に食品に添加されるトコフェロールやビタミンC等の抗酸化剤、塩、砂糖等の調味料、増粘剤等を配合することができる。増粘剤としては、上記で列挙されたものを用いることができる。
次に実施例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
[参考例]
<摂食補助用油脂組成物の配合>
表1〜3に記載の比率に従い、各種油脂及びポリグリセリン脂肪酸エステルを配合した油脂組成物を製造した。なお、使用した原材料は下記の通りである。
菜種油:日清オイリオグループ株式会社製、商品名:菜種白絞油(S)
パーム分別油:SOUTHEN NISSHIN BIO−TECHSDN.BHD.社製、ヨウ素価68のパームスーパーオレイン
ハイエルシン菜種油の極度硬化油:横関油脂工業株式会社製、商品名:ハイエルシン菜種極度硬化油、融点:60℃
パーム油の極度硬化油:横関油脂工業株式会社製、商品名:パーム極度硬化油、融点:58℃
ポリグリセリン脂肪酸エステル:市販品、融点:65℃
Figure 0005938161
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<各種油脂組成物のSFCの測定>
表1〜3の配合に従って調製した各油脂組成物のSFCを測定した。SFCは、アステック株式会社製の測定装置SFC−2000(NMR法)を用いて測定した。
まず、80℃に加熱をして完全に溶解させたサンプル(油脂組成物)3gを測定セルに入れ、60℃で30分間保持した後、0℃で30分間保持する。さらに、25℃で30分間保持した後、0℃で30分間保持し、その後、SFCを測定する温度(5℃)で30分間保持後、SFCを測定した。同じ条件で2回の測定を行い、得られた2つの値の平均値を5℃でのSFC(%)とした。同様の方法で、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃でのSFC(%)を測定した。測定結果を表4及び5に示す。
Figure 0005938161
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この結果、油脂組成物全体に対する融点50〜80℃の極度硬化油の含量が5質量%未満であった配合例1及び2は、5〜25℃の範囲におけるSFCが3%未満であった。また、融点50〜80℃の極度硬化油を20質量%含有させた配合例12は、5〜25℃の範囲におけるSFCが18%よりも大きかった。その他の配合例は、5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であった。
<摂食補助用油脂組成物の製造>
表1〜3の配合に従い、各種油脂及びポリグリセリン脂肪酸エステルを容器に入れ、80℃で加熱溶解混合後、容器を氷水中へ入れて混捏することにより、急冷混捏処理した油脂組成物を50g得た。配合例3〜11に基づき得られた油脂組成物を、それぞれ参考実施例1〜9(急冷混捏処理有り)とした。一方、配合例1、2、及び12に基づき得られた油脂組成物を、それぞれ参考比較例1、2、及び3(急冷混捏処理有り)とした。
配合例4、7、9、及び10に従い、各種油脂及びポリグリセリン脂肪酸エステルを、ステンレス容器に入れ、80℃で加熱溶解混合後、コンビネーターを用いて急速混捏処理することにより、急冷混捏処理した油脂組成物を6kg得た。配合例4、7、9、及び10に基づき得られた油脂組成物を、それぞれ参考実施例10〜13(急冷混捏処理有り)とした。
表1〜3の配合例に従い、各種油脂及びポリグリセリン脂肪酸エステルを容器に入れ、80℃で加熱溶解混合後、室温で放冷し、油脂組成物を50g得た。配合例1〜12に基づき得られた油脂組成物を、それぞれ参考比較例4〜15(急冷混捏処理なし)とした。
<摂食補助用油脂組成物の外観、風味、食感>
得られた各油脂組成物の外観、風味、食感を評価した。評価結果を表6及び7にそれぞれ示す。なお、各項目の評価基準を下記に示す。
油脂組成物の外観
◎:流動性はなく硬さがある。
○:流動性はなく硬さはあるが、◎に比べて軟らかい。
△:流動性はないが硬すぎる。つまり、硬すぎてキザミ食品等と混合しにくい。
×:流動性があり硬さがない。つまり、流動性があり硬さがないので、キザミ食品等をまとめることができない。
風味、食感
○:異味、異臭がなく、ざらつきもなく舌触りが滑らかである。
△:ざらつきがあり舌触りが悪い。
×:異味、異臭がある。
Figure 0005938161
Figure 0005938161
この結果、5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であった配合例3〜11を急冷混捏処理した油脂組成物〔参考実施例1〜13(急冷混捏処理有り)〕では、いずれも外観、すなわち流動性が良好であり、また、風味及び食感も良好であった。一方、5〜25℃の範囲におけるSFCが3%未満であった配合例1及び2を急冷混捏処理した油脂組成物〔参考比較例1〜2(急冷混捏処理有り)〕は、いずれも流動性が高すぎ、キザミ食品等をまとめるために十分な硬さがなかった。また、5〜25℃の範囲におけるSFCが18%より大きかった配合例12を急冷混捏処理した油脂組成物〔参考比較例3(急冷混捏処理有り)〕は、非常に硬く、キザミ食品等と混合することは困難であった。
一方、急冷混捏処理をしていない油脂組成物〔参考比較例4〜15(急冷混捏処理なし)〕は、いずれも流動性が高すぎ、キザミ食品等をまとめるために十分な硬さがなかった。これらの結果から、5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であったとしても、油脂を急冷混捏処理しなければ、本発明の効果を奏する油脂組成物を得られないことが明らかである。
<マグロフレークのまとめ食の製造及び評価>
上記で製造した配合例4、7、9、及び10を急冷混捏処理した油脂組成物〔参考実施例10〜13(急冷混捏処理有り)〕とマグロフレークとを混合し、マグロフレークのまとめ食を製造し、評価した。
具体的には、マグロフレーク(いなば食品株式会社製、商品名:ライトツナフレーク、食塩無添加ノンオイル)180gに、各油脂組成物を30g加えた後、フードプロセッサーで30秒間、破砕・混合することにより、マグロフレークのまとめ食を製造した。得られたマグロフレークのまとめ食について、外観及び食感を評価した。
この結果、いずれの油脂組成物を用いて製造したマグロフレークのまとめ食も、外観と食感がともに良好なものであった。具体的には、バラバラとばらけない、まとまり感のあるものであった。また、食してみると、口の中でばらけず、べとつきもないものであり、味の点でもコクが増し、おいしいものであった。
<マグロフレークのまとめ食の比較例の製造及び評価1>
対照として、マグロフレーク(いなば食品(株)社製、商品名:ライトツナフレーク、食塩無添加ノンオイル)180gに、油脂組成物を加えず、フードプロセッサーで30秒間、破砕・混合し、マグロフレーク破砕食を製造した。
この結果、得られたマグロフレーク破砕食は、バラバラとばらけてまとまり感のないものであった。また、得られたマグロフレーク破砕食を食してみると、口の中でばらけるものであった。
<マグロフレークのまとめ食の比較例の製造及び評価2>
マグロフレーク(いなば食品(株)社製、商品名:ライトツナフレーク、食塩無添加ノンオイル)180gに、市販のマヨネーズ30g加えた後、フードプロセッサーで30秒間、破砕・混合し、マグロフレークのマヨネーズ和えを製造した。
得られたマグロフレークのマヨネーズ和えは、バラバラとばらけない、まとまり感のあるものであった。しかし、得られたマグロフレークのマヨネーズ和えを食してみると、口の中でばらけ、少しべとつき感のあるものであった。
[実施例1〜11、比較例1〜5]
<嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物の製造>
上記の配合例4に、表8に示す乳化剤をそれぞれ0.5質量%となるように添加した組成物を急冷混捏処理することにより、油脂組成物を製造した。なお、使用した乳化剤は下記の通りである。
乳化剤A:太陽化学社製、商品名:サンソフト O−30V
乳化剤B:太陽化学社製、商品名:サンソフト Q−1810S
乳化剤C:太陽化学社製、商品名:サンソフト Q−1710S
乳化剤D:太陽化学社製、商品名:サンソフト Q−17B
乳化剤E:太陽化学社製、商品名:サンソフト Q−18B
乳化剤F:太陽化学社製、商品名:サンソフト A−173E
乳化剤G:理研ビタミン社製、商品名:ポエム DO−100V
乳化剤H:理研ビタミン社製、商品名:ポエム J−0081HV
乳化剤I:太陽化学社製、商品名:サンソフト A−181E
乳化剤J:太陽化学社製、商品名:サンソフト A−121E
乳化剤K:理研ビタミン社製、商品名:ポエム G−002
乳化剤L:太陽化学社製、商品名:サンソフト No.681NU
乳化剤M:太陽化学社製、商品名:サンソフト No.25−ODV
乳化剤N:理研ビタミン社製、商品名:リケマール PO−100V
乳化剤O:理研ビタミン社製、商品名:ポエム O−80V
Figure 0005938161
具体的には、菜種油を90質量%、ハイエルシン菜種油の極度硬化油を10質量%となるようにそれぞれ容器に入れ、さらに0.5質量%となるように各種乳化剤を添加し、80℃で加熱溶解混合後に容器を氷水中へ入れて混捏することにより、急冷混捏処理した油脂組成物を50g得た。対照として、乳化剤を添加しない以外は同様にして急冷混捏処理した油脂組成物を50g得た。
<摂食補助用油脂組成物の外観、風味、食感>
得られた各油脂組成物の乳化剤の溶解性、風味、こすり洗いにおける洗浄性、及び浸け置き洗いにおける洗浄性を評価した。
こすり洗いにおける洗浄性は、以下の方法によって評価した。各油脂組成物5gが均一に塗られた陶器皿(直径18cm)を、洗剤液をスポンジにしみこませたもので、5秒間皿全体をこすり洗いし、40℃の水で水洗した後の状態を観察した。洗剤液は、市販の台所用洗剤(商品名:キュキュット、花王社製)を、25℃の水で希釈した1質量%水溶液を用いた。
また、浸け置き洗いにおける洗浄性は、以下の方法によって評価した。まず、内部の底部から3cmまでの部分に各油脂組成物0.5gが薄く塗られた100ml容サンプル瓶に、こすり洗いに用いたものと同じ洗剤液を70g添加し、スクリューキャップで密栓して30秒間上下に激しく振った後、30分間静置した。静置後のサンプル瓶を25℃の水で水洗した後、当該サンプル瓶に付着している油の状態を洗浄前後で比較評価した。
評価結果を表9に示す。また、各項目の評価基準を下記に示す。なお、表中、「洗浄性1」はこすり洗いにおける洗浄性の評価を、「洗浄性2」は浸け置き洗いにおける洗浄性の評価をそれぞれ示す。また、表中、「−」は、評価を実施していないことを意味する。
乳化剤の溶解性
○:完全に溶解した。
×:完全には溶解しなかった。
風味
○:良好である。
×:異味、異臭がある。
こすり洗いにおける洗浄性(洗浄性1)
○:皿上の油脂が完全に落ちた。
×:皿上の油脂が完全には落ちなかった。
浸け置き洗いにおける洗浄性(洗浄性2)
◎:洗浄前と比べ、かなりの油脂が落ちた。
:洗浄前と比べ、多くの油脂が落ちていたが、◎よりは残っている油脂が多い。
〇:洗浄前と比べ、油脂が落ちていることが確認できた。
×:洗浄前と比べ、ほとんど油脂が落ちていなかった。
Figure 0005938161
この結果、HLBが10より大きい乳化剤H〜Jを添加した油脂組成物(比較例2〜4)は、添加した乳化剤が溶解せず、均一な組成物を得ることができなかった。一方で、HLBが1より小さい乳化剤Kを添加した油脂組成物(比較例5)では、乳化剤の溶解性や風味は良好であり、かつ、こすり洗いにおける洗浄性も良好であったが、浸け置き洗いでは、乳化剤を添加しなかった油脂組成物(比較例1)と同様にほとんど油脂が落ちなかった。これらの結果から、乳化剤のHLB値が10よりも大きい場合には、油脂組成物に対する乳化剤の溶解性が悪く、均一な組成物を得ることが難しく、一方、乳化剤のHLB値が1よりも小さい場合には、乳化剤添加による洗浄性改善効果が不十分となりやすいことがわかった。
これに対して、HLBが1〜10である乳化剤A〜G、L〜Oを添加した油脂組成物(実施例1〜11)では、乳化剤の溶解性や風味は良好であり、さらにこすり洗いにおける洗浄性と浸け置き洗いにおける洗浄性のいずれもが良好であった。中でも、乳化剤D、F、G、Lを添加した油脂組成物(実施例4、6〜8)では、25℃という低温における浸け置き洗いであっても、洗浄性に優れていることがわかった。乳化剤D又はGを添加した油脂組成物(実施例4又は7)が特に良好な洗浄性を示した。
[実施例12〜15、比較例6〜9]
<嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物の製造>
上記の配合例3、6、8及び9に、表8に示す乳化剤Gをそれぞれ0.5質量%となるように添加した組成物を急冷混捏処理することにより、油脂組成物を製造した。
具体的には、菜種油を90質量%、ハイエルシン菜種油の極度硬化油を10質量%となるようにそれぞれ容器に入れ、さらに0.5質量%となるように乳化剤Gを添加し、80℃で加熱溶解混合後に容器を氷水中へ入れて混捏することにより、急冷混捏処理した油脂組成物を50g得た。対照として、乳化剤を添加しない以外は同様にして急冷混捏処理した油脂組成物を50g得た。
<摂食補助用油脂組成物の外観、風味、食感>
得られた各油脂組成物の乳化剤の溶解性、風味、こすり洗いにおける洗浄性、及び浸け置き洗いにおける洗浄性を、実施例1等と同様にして評価した。評価結果を表10に示す。表10中の各種符号は、表9と同様である。
この結果、乳化剤Gを添加した全ての油脂組成物(実施例12〜15)では、乳化剤の溶解性や風味は良好であり、さらにこすり洗いにおける洗浄性と浸け置き洗いにおける洗浄性のいずれもが良好であった。
Figure 0005938161
[実施例16、17、比較例10]
上記の配合例4に、表8に示す乳化剤Gを0.5又は0.9質量%となるように添加した組成物を急冷混捏処理することにより製造された油脂組成物のSFC(%)を測定した。対照として、乳化剤Gを添加しない以外は同様にして製造された油脂組成物のSFC(%)も測定した。具体的には、上記参考例において、急冷混捏処理前の配合例1等を測定した場合と同様にして測定した。
測定結果を表11に示す。この結果、乳化剤を0.5又は0.9質量%となるように添加した油脂組成物のSFCは、乳化剤を添加していない油脂組成物のSFCとほぼ同程度であった。つまり、乳化剤の添加は、SFCにあまり影響しないことが確認された。
Figure 0005938161
[実施例18〜22、比較例11〜13]
上記の配合例4に表8に示す乳化剤Gを0.5質量%となるように添加した組成物を、急冷混捏処理することにより製造された油脂組成物〔実施例7〕を用いて、各種まとめ食を製造し、評価した。
<蒲鉾のまとめ食の製造及び評価>
蒲鉾(一正蒲鉾(株)社製、商品名:まめかま)150gに、上記油脂組成物〔実施例7〕を15g加えた後、フードプロセッサーで30秒間、破砕・混合することにより、蒲鉾のまとめ食(実施例18)を製造した。
この結果、得られた蒲鉾のまとめ食は、バラバラとばらけない、まとまり感のあるものであった。また、得られた蒲鉾のまとめ食を食してみると、口の中でばらけず、べとつきもないものであり、味の点でもコクが増し、おいしいものであった。
<蒲鉾のまとめ食の比較例の製造及び評価>
蒲鉾(一正蒲鉾(株)社製、商品名:まめかま)150gに、サラダ油(日清オイリオグループ(株)社製、商品名:日清サラダ油)を15g加えた後、フードプロセッサーで30秒間、破砕・混合することにより、蒲鉾の粉砕食(比較例11)を製造した。
この結果、得られた蒲鉾の粉砕食は、まとまり感のないものであった。また、得られた蒲鉾の粉砕食を食してみると、口の中でばらけ、べとつき、味の点でも油っぽさが強く、違和感があった。
<そぼろ肉のまとめ食の製造及び評価>
加熱調理したそぼろ肉150gに、上記油脂組成物〔実施例7〕を30g加えた後、フードプロセッサーで30秒間、破砕・混合することにより、そぼろ肉のまとめ食(実施例19)を製造した。
この結果、得られたそぼろ肉のまとめ食は、バラバラとばらけない、まとまり感のあるものであった。また、得られたそぼろ肉のまとめ食を食してみると、口の中でばらけず、肉の粒子がソフトで細かく、しっとりとした食感で、味の点でもコクが増し、おいしいものであった。
<そぼろ肉のまとめ食の比較例の製造及び評価>
加熱調理したそぼろ肉150gに、サラダ油(日清オイリオグループ(株)社製、商品名:日清サラダ油)を30g加えた後、フードプロセッサーで30秒間、破砕・混合することにより、そぼろ肉の粉砕食(比較例12)を製造した。
この結果、得られたそぼろ肉の粉砕食は、まとまり感のないものであった。また、得られたそぼろ肉の粉砕食を食してみると、口の中でばらけ、肉の粒子が硬く、ボソボソとした、食感の悪いものであった。
<焼き魚のまとめ食の製造及び評価>
グリルで焼いた焼き魚(鱈の切り身)150gに、上記油脂組成物〔実施例7〕を30g加えた後、フードプロセッサーで30秒間、破砕・混合することにより、焼き魚のまとめ食(実施例20)を製造した。
この結果、得られた焼き魚のまとめ食は、バラバラとばらけない、まとまり感のあるものであった。また、得られた焼き魚のまとめ食を食してみると、口の中でばらけず、魚の繊維がソフトで細かく、味の点でもコクが増し、おいしいものであった。
<焼き魚のまとめ食の比較例の製造及び評価>
グリルで焼いた焼き魚(鱈の切り身)150gに、サラダ油(日清オイリオグループ(株)社製、商品名:日清キャノーラ油)を30g加えた後、フードプロセッサーで30秒間、破砕・混合することにより、焼き魚の粉砕食(比較例13)を製造した。
この結果、得られた焼き魚の粉砕食は、まとまり感のないものであった。また、得られた焼き魚の粉砕食を食してみると、口の中でばらけ、魚の繊維が硬く、残留感があった。
<ブロッコリーのまとめ食の製造及び評価>
茹でたブロッコリー200gに、上記油脂組成物〔実施例7〕を10g加えた後、フードプロセッサーで3分間、破砕・混合することにより、ブロッコリーのまとめ食(実施例21)を製造した。
この結果、得られたブロッコリーのまとめ食は、バラバラとばらけない、まとまり感のあるものであった。また、得られたブロッコリーのまとめ食を食してみると、ソフトな食感で、口の中でばらけず、まとまり感のあるものであった。味の点でもコクが増し、おいしいものであった。
<キャベツのまとめ食の製造及び評価>
湯通しをしたキャベツ100gを約5mm以下の大きさに刻んだ後、上記油脂組成物〔実施例7〕50gを加えた後、混合することにより、キャベツのまとめ食(実施例22)を製造した。
この結果、得られたキャベツのまとめ食は、バラバラとばらけない、まとまり感のあるものであった。また、得られたキャベツのまとめ食を食してみると、口の中でばらけず、べとつきもないものであり、味の点でもコクが増し、おいしいものであった。
本発明の嚥下・咀嚼困難者向け摂食補助用油脂組成物を用いることにより、嚥下・咀嚼困難者が容易に摂食可能な食品を簡便に製造することができるため、主に嚥下・咀嚼困難者用の食品の製造分野や介護・医療の分野において利用が可能である。

Claims (20)

  1. 5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ油脂及びHLB値が1〜10である乳化剤を含有する組成物を、急冷混捏処理して得られ、
    摂食可能な食品の細断物又は破砕物と混合して使用されることを特徴とする嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物。
  2. 前記組成物の30〜40℃の範囲におけるSFCが3〜16%であることを特徴とする請求項1に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物。
  3. 前記乳化剤が、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、ジグリセリンモノ・ジオレエート、ペンタグリセリントリオレエート、及び、コハク酸モノグリセリンモノステアレートからなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物。
  4. 前記乳化剤が、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、及びジグリセリンモノ・ジオレエートからなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物。
  5. 前記組成物が、2種以上の油脂を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物。
  6. 前記組成物が、パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂と、融点50〜80℃の極度硬化油脂とを含有することを特徴とする請求項5に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物。
  7. 前記組成物が、前記20℃で液状である油脂として植物油を含有し、前記極度硬化油脂としてハイエルシン菜種油の極度硬化油を含有することを特徴とする請求項6に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物を可撓性容器に充填してなることを特徴とする容器入り嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品の細断物又は破砕物とを含有することを特徴とする嚥下・咀嚼困難者用食品。
  10. さらに、水を含有することを特徴とする請求項9に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品。
  11. 前記摂食可能な食品が、畜肉加工食品、魚肉加工食品、野菜類、果実類、麺類、ご飯、お粥、パン類、及び海藻類からなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項9又は10に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品。
  12. 5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ油脂及びHLB値が1〜10である乳化剤を含有する組成物を、急冷混捏処理して得られる嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品の細断物又は破砕物と、を混合することを特徴とする嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法。
  13. 前記混合の後、さらに破砕処理を行うことを特徴とする請求項12に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法。
  14. 5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ油脂及びHLB値が1〜10である乳化剤を含有する組成物を、急冷混捏処理して得られる嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品とを混合した後、破砕処理を行うことを特徴とする嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法。
  15. 前記組成物の30〜40℃の範囲におけるSFCが3〜16%であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法。
  16. 前記乳化剤が、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、ジグリセリンモノ・ジオレエート、ペンタグリセリントリオレエート、及び、コハク酸モノグリセリンモノステアレートからなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法。
  17. 前記嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物が、2種以上の油脂を含有することを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法。
  18. 前記嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物が、パーム系油脂及び20℃で液状である油脂からなる群より選択される1種又は2種以上の油脂と、融点50〜80℃の極度硬化油脂とを含有することを特徴とする請求項17に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法。
  19. 前記嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物が、前記20℃で液状である油脂として植物油を含有し、前記極度硬化油脂としてハイエルシン菜種油の極度硬化油を含有することを特徴とする請求項18に記載の嚥下・咀嚼困難者用食品の製造方法。
  20. 5〜25℃の範囲におけるSFCが3〜18%であり、かつ油脂及びHLB値が1〜10である乳化剤を含有する組成物を、急冷混捏処理して得られる嚥下・咀嚼困難者用食品の摂食補助用油脂組成物と、摂食可能な食品の細断物又は破砕物とを混合し、さらに破砕処理を行うことを特徴とする、嚥下・咀嚼困難者用食品のまとまり感の改善方法。
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