JP5929838B2 - コンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルム - Google Patents

コンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルム Download PDF

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本発明は、高温下で向上した初期耐電圧性を有し、更に高温下で長期間にわたり向上した耐電圧性を有するコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに関する。更により詳細には、高温下、高電圧が印加される高容量のコンデンサーに長期間好適に使用可能で、かつ好ましくは厚さの薄いコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関する。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、電子及び電気機器に用いられ、その耐電圧性及び低い誘電損失特性等の優れた電気特性、並びに高い耐湿性のために、例えば、高電圧コンデンサー、各種スイッチング電源、コンバーター及びインバーター等のフィルター用コンデンサー及び平滑用コンデンサー等のコンデンサー用誘電体フィルムとして広く利用されている。
近年、コンデンサーの小型化及び高容量化が更に要求されている。コンデンサーの体積を変えないで静電容量を向上させるために、フィルムの体積を小さくする、即ち、フィルムを薄くすることを要する。従って、厚さがより薄いフィルムが求められている。
更に、ポリプロピレンフィルムは、電気自動車及びハイブリッド自動車等の駆動モーターを制御するインバーター電源機器用コンデンサーとして、広く用いられ始めている。
自動車等に用いられるインバーター電源機器用コンデンサーは、小型、軽量及び高容量で、−40℃〜90℃という広い温度範囲で、長期間にわたる高い耐電圧性(即ち、静電容量の維持)が求められている。
例えば、特許文献1は、ポリプロピレンフィルムのアイソタクティシティと立体規則性を、高度な立体規則性を有する特定の範囲に制御することで、アイソタクティシティの高いポリプロピレンフィルムの製膜が可能であることを開示する。更に、引用文献1は、適切な製膜条件を使用することで、二軸配向ポリプロピレンフィルムの熱収縮率が適正化され、高温での耐絶縁破壊特性が向上され、高温で長期的な劣化が抑制されたコンデンサーを得ることができることを開示する(特許文献1[請求項1]及び[0013]参照)。
更に、特許文献2は、フィルム表面の少なくとも一方の面が梨地調の凹凸からなる基層を有し、該表面の10点平均粗さ(Rz)が0.50〜1.50μmであり、表面光沢が90〜135%である特定の表面特性を有する二軸配向ポリプロピレンフォルムは、厚さが薄くても加工適性に優れ、−40℃〜90℃の温度範囲で高い耐電圧性を有することを開示する(特許文献2[請求項1]及び[0020]参照)。
しかし、一般的に、立体規則性を高くすると、結晶性も高くなり、延伸性が低下するので、延伸中にフィルムが破断しやすくなり、製造上好ましくない。更に、特許文献1及び2では、近年のコンデンサーへの著しく厳しい要求に不十分である。
尚、フィルムの厚さを薄くするために、ポリプロピレン樹脂及びキャスト原反シートの延伸性を向上することも必要である。しかし、延伸性の向上は、前述したように、立体規則性及び結晶性が高くなることによる耐電圧性向上と、一般的に相反する。
特許文献3は、特定の重量平均分子量、特定の分子量分布及び特定の立体規則性を有するポリプロピレン樹脂を用い、β晶分率が比較的低い特定の範囲に制御されたキャスト原反シートを開示する。更に、引用文献3は、このシートから、加工適性に優れ、高い耐電圧性を有し、フィルム厚が薄い二軸延伸フィルムを製造できることを開示する(特許文献3[請求項1]、[0001]及び[0015]等参照)。しかし、高温下での耐電圧性に関する近年の厳しい要求を満たすためには、改善の余地がある。
特許文献4は、比較的高結晶性を有し、特定の分子量成分及びそれにともなう特異な分子量分布を有することによって、高度な立体規則性を有することなく、高い耐電圧性を有し、薄いポリプロピレンフィルムを得られることを開示する。しかし、引用文献4は、高温下での耐電圧性に関する近年の厳しい要求について何ら言及していない。
特許文献5は、特定のメルトフローレート、特定のMn、特定のMw/Mn及び特定のMz/Mnを有し、更に特定の立体規則性指標を有するポリプロピレン樹脂を原料とするβ晶分率の高いポリプロピレンシートを開示する。メルトフローレート等を特定の範囲にすることで、β晶生成に関する効果及び成形性等は改善されたが、近年の高耐熱性及び高耐電圧性を満たすために、改善の余地がある。
特許文献6は、1段階の簡便な製造方法で、広い分子量分布を有するポリプロピレン樹脂から製造される、β晶分率の高いポリプロピレンフィルムを開示する。しかし、厚さが薄く、耐電圧性が向上し、更に、近年の厳しい要求を満たしたフィルムを得ることは、特許文献6でも、不十分である。
コンデンサー産業は、進展が著しいので、コンデンサーのより小型化、即ちより一層の薄膜化が求められている。更に、より初期耐電圧性に優れ、更により長期間使用可能な、即ち、より長期的な耐電圧性に優れるポリプロピレンフィルムが求められている。しかし、未だ、これらを、満足するものは得られていない。
特開平10−119127号公報(2−5頁) 特開2007−246898号公報(5−7頁) 特開2007−137988号公報(2−4頁) 国際公開WO2009−060944号公報(3−11頁) 特開2004−175932号公報(2−4頁) 特開2009−57473号公報(2−3頁)
本発明の目的は、長期間にわたり耐熱性及び耐電圧性に優れる(静電容量の減少が少ない)コンデンサーを得るための、好ましくは厚さの薄いコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することである。更に、そのようなコンデンサー用の金属化ポリプロピレンフィルムを提供することである。また、そのようなポリプロピレンフィルムを用いたコンデンサーを提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことに、結晶子サイズを特定のサイズ以下に制御し、厚さ方向に対する複屈折値を特定の範囲に制御し、かつ、一視野あたりの突起部総体積を特定の範囲に制御した二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、たとえ厚さが薄くとも、長期間にわたる耐熱性及び耐電圧性に優れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、一の要旨において、ポリプロピレン樹脂を二軸延伸して得られるポリプロピレンフィルムであって、
広角X線回折法により測定したα晶(040)面反射ピークの半価幅からScherrerの式により求めた結晶子サイズが、122Å以下であり、
光学的複屈折測定により求めた厚さ方向に対する複屈折値ΔNyzの値が、7.0×10−3以上、10.0×10−3以下であり、
該ポリプロピレンフィルムの少なくとも片方の表面において、一視野あたり240μm×180μmの範囲内で、光干渉式非接触表面形状測定機を用いて表面形状の計測を行った際、高さ0.02μm以上の突起部総体積が、一視野あたり10μm以上、120μm以下である、コンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供する。
本発明は、一の態様において、ポリプロピレン樹脂は、
重量平均分子量(Mw)が、25万以上45万以下;
分子量分布(Mw/Mn)が、7.0以上12.0以下;
Z平均分子量/数平均分子量(Mz/Mn)が20.0以上70.0以下;
分子量分布曲線において、対数分子量Log(M)=4.5のときの微分分布値からLog(M)=6.0のときの微分分布値を引いた差が8.0%以上18.0%以下;及び
メソペンタッド分率([mmmm])が、94.0%以上98.0%未満である
ポリプロピレン樹脂Aを含む、上述のポリプロピレンフィルムを提供する。
本発明は、他の態様において、ポリプロピレン樹脂は、Mwが30万以上40万以下;Mw/Mnが7.0以上9.0以下;及び分子量分布曲線において、対数分子量Log(M)=4.5のときの微分分布値からLog(M)=6.0のときの微分分布値を引いた差が1.0%以上8.0%未満であるポリプロピレン樹脂Bを更に含み、
ポリプロピレン樹脂Bは、ポリプロピレン樹脂全体を100重量%として、10重量%以上45重量%以下含まれる、上述のポリプロピレンフィルムを提供する。
本発明は、好ましい態様において、1.0μm以上6.0μm以下の厚さを有する、上述のポリプロピレンフィルムを提供する。
本発明は、更なる態様において、少なくとも一種のカルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有し、ポリプロピレン樹脂を基準(100重量部)として、フィルム中の含有量が4000ppm(質量基準)以上6000ppm(質量基準)以下である、上述のポリプロピレンフィルムを提供する。
本発明は、更に他の態様において、少なくとも片方の表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で0.03μm以上0.08μm以下であり、最大高さ(Rz)で0.3μm以上0.8μm以下である、上述のポリプロピレンフィルムを提供する。
本発明は、他の要旨において、上述のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属蒸着を施したコンデンサー用金属化ポリプロピレンフィルムを提供する。
本発明は、好ましい要旨において、上述のコンデンサー用金属化ポリプロピレンフィルムを使用して製造されるコンデンサーを提供する。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、広角X線回折法により測定したα晶(040)面反射ピークの半価幅からScherrerの式により求めた結晶子サイズが、122Å以下であり、光学的複屈折測定により求めた厚さ方向に対する複屈折値ΔNyzの値が、7.0×10−3以上、10.0×10−3以下であり、該ポリプロピレンフィルムの少なくとも片方の表面において、一視野あたり240μm×180μmの範囲内で、光干渉式非接触表面形状測定機を用いて表面形状の計測を行った際、高さ0.02μm以上の突起部総体積が、一視野あたり10μm以上、120μm以下なので、高温下、高い直流電圧を長期間印加したとしても、静電容量の減少が少なく、長期間、耐熱性及び耐電圧性に優れるコンデンサーを得ることができる。好ましくは、より厚さの薄いコンデンサーを得ることができる。
少なくとも一種のカルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有し、ポリプロピレン樹脂を基準(100重量部)として、フィルム中の含有量が4000ppm(質量基準)以上6000ppm(質量基準)以下である場合、ポリプロピレンフィルムの酸化劣化作用が抑制され、コンデンサーとしたときの長期耐用性がより向上する。
少なくとも片方の表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で0.03μm以上0.08μm以下であり、最大高さ(Rz)で0.3μm以上0.8μm以下である場合、ポリプロピレンフィルムの素子巻き加工適性が良化し、巻き上げた際、フィルム同士の間に均一な接触を生ずるので、耐電圧性及び長期間にわたる耐電圧性がより向上する。
以上のように、本発明によって、ポリプロピレンフィルムコンデンサーの使用可能温度の高温化、定格電圧の高圧化、長寿命化(長期耐用化)、小型・高容量化が、効果的に実現できるようになる。
本発明に関する「コンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルム」は、ポリプロピレン樹脂を二軸延伸して得られるポリプロピレンフィルムであって、下記の三つの特徴を有する:
(1)広角X線回折法により測定したα晶(040)面反射ピークの半価幅からScherrerの式により求めた結晶子サイズが、122Å以下であり;
(2)光学的複屈折測定により求めた厚さ方向に対する複屈折値ΔNyzの値が、7.0×10−3以上、10.0×10−3以下であり;及び
(3)該ポリプロピレンフィルムの少なくとも片方の表面において、一視野あたり240μm×180μmの範囲内で、光干渉式非接触表面形状測定機を用いて表面形状の計測を行った際、高さ0.02μm以上の突起部総体積が、一視野あたり10μm以上、120μm以下である。
本発明において、ポリプロピレンフィルムの「結晶子サイズ」とは、広角X線回折法(XRD法)を用いて測定される、ポリプロピレンフィルムのα晶(040)面の回折反射ピークを使用して、後述するScherrerの式を用いて求められる結晶子サイズをいう。その結晶子サイズは、122Å以下であり、120Å以下であることが好ましい。また、結晶子サイズは、100Å以上であることが好ましく、110Å以上であることがより好ましく、115Å以上であることが特に好ましい。従って、結晶子サイズは、110Å以上120Å以下であることがより好ましく、115Å以上120Å以下であることが特に好ましい。結晶子サイズが、小さいほど、漏れ電流が小さくなり、ジュール発熱による構造破壊が発生し難くなるため、耐熱性、耐電圧性及び長期間にわたる耐熱性及び耐電圧性が好ましく向上する。しかし、機械的強度等の観点及び高分子鎖のラメラ(折り畳み結晶)厚さを考慮すると、結晶子サイズの下限は、通常、100Å前後と考えられる。
本発明に係るポリプロピレンフィルムの「結晶子サイズ」は、具体的には、以下のようにして求めた。まず、二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよびその金属化フィルムの広角X線回折測定を行い、得られたα晶(040)面の回折反射ピークの半価幅を求めた。次に、下記数式(1)に示すScherrerの式を用いて、結晶子サイズを計算した。
数式(1): D=K×λ/(β×Cosθ)
[ここで、Dは結晶子サイズ(Å)、Kは定数(形状因子)、λは使用X線の波長(Å)、βはα晶(040)面の回折反射ピークの半価幅、θはα晶(040)面の回折ブラッグ角である。]
本発明では、α晶(040)面の回折反射ピークを測定するために、具体的には、リガク社製のディストップX線回折装置MiniFlex300(商品名)を使用した。出力30kV、10mAで発生させたX線を用いた。受光モノクローメーターで単色化したCuKα線(波長1.5418Å)をスリットで平行化し、測定フィルムに照射した。回折強度は、シンチュレーションカウンターを用い、ゴニオメーターを用いて2θ/θ連動走査して測定した。装置に標準で付属されている統合粉末X線解析ソフトウェアPDXLを用いて、得られたデータを利用して、α晶(040)面の回折反射ピークの半価幅を求めた。
上述の測定によって、得られた回折反射ピークのθ及び半価幅を利用し、(1)式のScherrerの式を用いて、結晶子サイズを求めることができる。本発明では、形状因子定数K=0.94を用い、λ=1.5418Åである。
一般に、結晶子サイズは、キャスト原反を得る際の冷却条件及び延伸条件等によって制御することが出来る。キャスト温度が低いほど、結晶子サイズは小さくなる傾向にあり、延伸倍率が高いほど、結晶子サイズは小さくなる。
本発明において、ポリプロピレンフィルムの厚さ方向に対する「複屈折値ΔNyz」とは、光学的複屈折測定により求められる厚さ方向に対する複屈折値ΔNyzをいう。より具体的には、フィルムの面内方向の主軸をx軸及びy軸、また、フィルムの厚さ方向(面内方向に対する法線方向)をz軸とし、面内方向のうち、屈折率のより高い方向の遅相軸をx軸とすると、y軸方向の三次元屈折率からz軸方向の三次元屈折率を差し引いた値が、複屈折値ΔNyzとなる。
フィルムの配向の強度の指標として、複屈折値ΔNyzの値を用いることができる。フィルムの配向強度が強い場合、面内屈折率である、y軸方向の三次元屈折率が高くなり、厚さ方向の屈折率であるz軸方向の三次元屈折率が低くなるので、複屈折値ΔNyzの値が大きくなる。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚さ方向に対する複屈折値ΔNyzの値は、7.0×10−3以上10.0×10−3以下である。7.0×10−3以上9.0×10−3以下であることが好ましく、7.5×10−3以上9.0×10−3以下であることがより好ましい。複屈折値ΔNyzの値が7.0×10−3より低いと、フィルムの配向が十分とは言えず、耐電圧性、長期間にわたる耐電圧性も不十分となる。一方、複屈折値ΔNyzの値が10.0×10−3より高くなるような高配向フィルムを得ることは、製膜性の観点から困難と考えられる。
本発明では、ポリプロピレンフィルムの厚さ方向に対する「複屈折値ΔNyz」を測定するために、具体的には、大塚電子株式会社製、位相差測定装置 RE−100を用いた。レタデーション(位相差)の測定を傾斜法を用いて行った。より具体的には、フィルムの面内方向の主軸をx軸及びy軸、また、フィルムの厚さ方向(面内方向に対する法線方向)をz軸とし、面内方向のうち、屈折率のより高い方向の遅相軸をx軸とした。x軸を傾斜軸として、0°〜50°の範囲でz軸に対して10°づつ傾斜させたときの各レタデーション値を求めた。得られたレタデーション値から、非特許文献「粟屋裕、高分子素材の偏光顕微鏡入門,105〜120頁 、2001年」に記載の方法を用いて、厚さ方向(z軸方向)に対するy軸方向の複屈折ΔNyzを計算した。なお、例えば、逐次延伸法において、MD方向(流れ方向)の延伸倍率よりも、TD方向(幅方向)の延伸倍率が高い場合、TD方向が遅相軸(x軸)となり、MD方向がy軸となる。
ポリプロピレンフィルムの面方向に配向を与えると、厚さ方向の屈折率Nzが変化して、複屈折ΔNyzが大きくなり、耐電圧性が向上する(絶縁破壊電圧が高くなる)。これは、以下の理由によると考えられる。ポリプロピレンの分子鎖が面方向に配向すると、厚さ方向の屈折率Nzは低くなる。フィルム厚さ方向の電気伝導性は分子鎖間での伝達となるので低くなる。従って、ポリプロピレンの分子鎖が面方向に配向していない(複屈折ΔNyzが小さい)場合、電気伝導性は分子鎖内での伝達となりえるので、ポリプロピレン分子鎖が面方向に配向した(複屈折ΔNyzが大きい)場合と比較して、耐電圧性が向上すると考えられる。
一般的に、製膜条件(高延伸倍率化など)を変えることで、ポリプロピレン分子鎖の配向を変更して、「複屈折値ΔNyz」を制御することができる。また、ポリプロピレン樹脂の特性を変えることで、「複屈折値ΔNyz」を制御することもできる。
本発明において、ポリプロピレンフィルムの表面の「高さ0.02μm以上の突起部総体積」とは、一視野あたり240μm×180μmの範囲内で、光干渉式非接触表面形状測定機を用いて表面形状の計測を行った際に認められる、高さが0.02μm以上の突起部の体積の合計をいい、その体積の合計は、一視野あたり10μm以上、120μm以下である。
従って、本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、その少なくとも片面の表面において、高さ0.02μm以上の突起部総体積が、一視野あたり10μm以上120μm以下である微細に粗化された表面を有する。高さ0.02μm以上の突起部総体積は、一視野あたり10μm以上100μm以下であることが好ましく、一視野あたり10μm以上80μm以下であることがより好ましく、一視野あたり10μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
突起部総体積は、低い方が、長期間にわたる耐電圧性が、向上する傾向にあり好ましい。しかし、突起部総体積が一視野あたり10μmより、小さい場合、表面が平滑になりすぎ、滑り性が悪化するため、巻き特性(コンデンサー素子の巻き取り含む)が悪化して、巻き加工の際にシワが発生しやすくなり、生産性が低下するため好ましくなく、コンデンサーの耐電圧性も低下し得る。一方、突起部総体積が120μmより大きい場合、巻き取りの加工及びコンデンサー加工の際、フィルム間に適度な空隙が生じ、シワが入り難い。しかし、フィルム間の層間空隙が大きくなるので、厚さ当たりの重量が低下し、耐電圧性及び長期間にわたる耐電圧性が低下し、好ましくない。
フィルム表面の高さ0.02μm以上の突起部総体積が、一視野あたり10μm以上120μm以下である場合、本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、微細に粗化された表面を有する。コンデンサーに加工する場合、素子巻き加工をする際に、巻きシワが発生せず、最適に巻上げることができる。その結果、フィルム同士の間に均一な接触を生ずるので、耐電圧性及び長期間にわたる耐電圧性も向上する。
本発明に係る「高さ0.02μm以上の突起部総体積」は、具体的には、光干渉式非接触表面形状測定機を使用して、三次元表面粗さ評価法を用いて、表面形状を計測することで求めた。「三次元表面粗さ評価法」は、フィルム表面の全面の高さを評価するので、前述のフィルム間の空隙を三次元的に評価することになる。従って、測定対象面の局所的な微細変化や変異を把握することができ、より正確な表面粗さを評価することができる。単なる突起の高さ(一般的な中心線平均粗さRaなどによる二次元の表面粗さ評価)ではなく、三次元的な突起部の合計の体積を用いて、フィルム間の空隙を評価することとなりで、より良好な耐電圧性及び長期にわたる耐電圧性を得ることができた。
本発明における高さ0.02μm以上の突起部総体積は、より具体的には、(株)菱化システム製の「VertScan2.0(型式:R5500GML)」を光干渉式非接触表面形状測定機として使用して測定した。測定では、WAVEモードを用い、530whiteフィルタ及び×20対物レンズを用いて、一視野あたり240μm×180μmの計測を計測対象のフィルム表面の任意の10箇所について行った。得られたデータは、メディアンフィルタによるノイズ除去処理を行った後、カットオフ値30μmによるガウシアンフィルタ処理を行い、うねり成分を除去した。これにより、粗面化表面の状態を適切に計測できる状態とした。
高さ0.02μm以上の突起部総体積は、「VertScan2.0」の解析ソフトウェア「VS−Viewer」のプラグイン機能「ベアリング」を用いて次のようにして求めた。すなわち、「山側高さ閾値」を、所定の高さ(すなわち、0.02μm)に設定した後、「山側体積」として表示されるものが、一視野あたりの突起総体積になる。この測定を10箇所について行い、その平均値を、一視野あたりの突起部総体積とした。
本発明に係る高さ0.02μm以上の突起部総体積は、エンボス法及びエッチング法等の公知の粗面化方法を使用して達成することが出来る。不純物の混入などの必要がない、β晶を用いる表面粗化法を用いることが好ましい。β晶の生成割合は、使用するポリプロピレン樹脂の分子構造等の特性を変えることで調整することができる。また、キャスト温度及びキャストスピード等の延伸条件によってもβ晶の割合をコントロールすることができる。さらに縦延伸工程のロール温度ではβ晶の融解割合を制御することができる。β晶生成及び融解の二つのパラメーターについて最適な製造条件を選択することで、表面性を制御することができる。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、1.0μm以上6.0μm以下の厚さを有することが好ましく、1.5μm以上4.0μm以下の厚さを有することがより好ましく、1.8μm以上3.5μm以下の厚さを有することが特に好ましく、さらに1.8μm以上3.0μm未満の厚さを有することが最も好ましい。本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、厚さが極めて薄いフィルムであることが好ましい。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚さは、マイクロメーター(JIS−B7502)を用いて、JIS−C2330に準拠して測定される値をいう。
本願発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を二軸延伸することで得ることができる。ポリプロピレン樹脂は、一種のポリプロピレン樹脂のみを含んでよく、二種以上のポリプロピレン樹脂を含んでもよい。
ポリピロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂Aを含むことが好ましい。ポリプロピレン樹脂Aの重量平均分子量は、25万以上45万以下であり、25万以上40万以下であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂Aの重量平均分子量が25万以上45万以下であるので、樹脂流動性が適度であり、キャスト原反シートの厚さの制御が容易であり、薄い延伸フィルムを作製することが容易になり得る。更に、シートおよびフィルムの厚みにムラを発生し難くなり、シートが適度な延伸性を有し得るので、好ましい。
ポリプロピレン樹脂Aは、7.0以上12.0以下の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))を有し、7.5以上12.0以下の(Mw/Mn)を有することが好ましく、7.5以上11.0以下の(Mw/Mn)を有することがより好ましい。
さらに、ポリプロピレン樹脂Aは、20.0以上70.0以下の分子量分布(Z平均分子量/数平均分子量(Mz/Mn))を有し、25.0以上60.0以下の分子量分布(Mz/Mn)を有することが好ましく、25.0以上50.0以下の分子量分布(Mz/Mn)を有することがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂全体を100重量%とすると、ポリプロピレン樹脂Aを、55重量%以上、90重量%以下含むことが好ましく、60重量%以上、85重量%以下含むことがより好ましく、60重量%以上80重量%以下含むこと特に好ましい。
ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Z平均分子量及び分子量分布(Mw/Mn及びMz/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)装置を用いて測定することができる。より具体的には、例えば、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機のHLC−8121GPC−HT(商品名)を使用して測定することができる。GPCカラムとして、東ソー株式会社製の3本のTSKgel GMHHR−H(20)HTを連結して使用した。カラム温度を140℃に設定して、溶離液としてトリクロロベンゼンを1.0ml/10分の流速で流して、MwとMnの測定値を得た。東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用いてその分子量Mに関する検量線を作成して、測定値をポリスチレン値に換算して、Mw、Mn及びMzを得た。更に、標準ポリスチレンの分子量Mの底10の対数を、対数分子量(「Log(M)」)という。
上述のポリプロピレン樹脂Aは、分子量微分分布曲線において、対数分子量Log(M)=4.5のときの微分分布値から、Log(M)=6.0のときの微分分布値を引いた差が、Log(M)=6.0のときの微分分布値を100%(基準)とすると、8.0%以上18.0%以下であり、10.0%以上17.0%以下であることが好ましく、12.0%以上16.0%以下であることがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂Aの有するMwの値(25万〜45万)より、低分子量側の分子量1万から10万の成分(以下、「低分子量成分」ともいう)の代表的な分布値として、対数分子量Log(M)=4.5の成分を、高分子量側の分子量100万前後の成分(以下、「高分子量成分」ともいう)の代表的な分布値として、Log(M)=6.0前後の成分と比較すると、低分子量成分の方が8.0%以上18.0%以下の割合で多いことが理解される。
つまり、分子量分布Mw/Mnが7.0〜12.0であるといっても単に分子量分布幅の広さを表しているに過ぎず、その中の高分子量成分、低分子量成分の量的な関係までは分からない。そこで、本発明に係るポリプロピレン樹脂Aは、広い分子量分布を有すると同時に、分子量1万から10万の成分を、分子量100万の成分と比較して、8.0%以上18.0%以下の割合で多く含むことが好ましい。
ポリプロピレン樹脂Aは、対数分子量Log(M)=4.5のときの微分分布値から、Log(M)=6.0のときの微分分布値を引いた差が、Log(M)=6.0のときの微分分布値を100%(基準)とすると、8.0%以上18.0%以下であるので、低分子量成分を、高分子量成分と比較すると、8.0%以上18.0%以下の割合で多く含むこととなるので、結晶子サイズがより小さくなり、所望の配向性及び粗化された表面を得やすくなり、好ましい。
このような微分分布値は、GPCを用いて、次のようにして得ることができる。GPCの示差屈折(RI)検出計によって得られる、時間に対する強度を示す曲線(一般には、「溶出曲線」ともいう)を使用する。標準ポリスチレンを用いて得た検量線を使用して、時間軸を対数分子量(Log(M))に変換することで、溶出曲線をLog(M)に対する強度を示す曲線に変換する。RI検出強度は、成分濃度と比例関係にあるので、強度を示す曲線の全面積を100%とすると、対数分子量Log(M)に対する積分分布曲線を得ることが出来る。微分分布曲線は、この積分分布曲線をLog(M)で、微分することによって得る。したがって、「微分分布」とは、濃度分率の分子量に対する微分分布を意味する。この曲線から、特定のLog(M)のときの微分分布値を読み、本発明に係る関係を得ることが出来る。
ポリプロピレン樹脂Aは、メソペンタッド分率([mmmm])が、94.0%以上98.0%未満であり、95.0%以上97.0%以下であることが好ましい。
メソペンタッド分率[mmmm]が、94.0%以上98.0%未満である場合、適度に高い立体規則性により、樹脂の結晶性が適度に向上し、初期耐電圧性及び長期間に渡る耐電圧性が適度に向上する傾向にある。一方、キャスト原反シート成形の際の固化(結晶化)の速度が適当で有り、適度の延伸性を有し得る。
メソペンタッド分率([mmmm])は、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって得ることができる立体規則性の指標である。具体的には、例えば、日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)、JNM−ECP500を利用して測定することができる。観測核は、13C(125MHz)であり、測定温度は、135℃、溶媒には、o−ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1)を用いることができる。高温NMRによる測定方法は、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版 高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、第610頁」に記載の方法を参照して行うことが出来る。
測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は、9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準は、CH(mmmm)=21.7ppmとすることができる。
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmm及びmrrm等)に由来する各シグナルの強度の積分値に基づいて百分率で計算される。mmmm及びmrrm等に由来する各シグナルは、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等を参照して帰属することができる。
ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂Aの他に、ポリプロピレン樹脂Bを含むことができる。
ポリプロピレン樹脂Bは、Mwが30万以上40万以下;Mw/Mnが7.0以上9.0以下;及び分子量分布曲線において、対数分子量Log(M)=4.5のときの微分分布値からLog(M)=6.0のときの微分分布値を引いた差が1.0%以上8.0%未満である。
ポリプロピレン樹脂BのMwは、30万以上40万以下であり、33万以上38万以下であることがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂BのMw/Mnは、7.0以上9.0以下であり、7.5以上8.5以下であることがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂Bは、分子量微分分布曲線において、対数分子量Log(Mw)=4.5のときの微分分布値から、Log(Mw)=6のときの微分分布値を引いた差が、Log(Mw)=6のときの微分分布値を100%(基準)とすると、1.0%以上8.0%未満であり、3.0%以上7.5%以下であることが好ましく、5.0%以上7.5%以下であることがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂Bは、20.0以上70.0以下の分子量分布(Z平均分子量/数平均分子量(Mz/Mn))を有することが好ましく、25.0以上60.0以下の分子量分布(Mz/Mn)を有することがより好ましく、25.0以上50.0以下の分子量分布(Mz/Mn)を有することが特に好ましい。
ポリプロピレン樹脂Bは、メソペンタッド分率([mmmm])が、94.0%以上98.0%未満であることが好ましく、95.0%以上97.0%以下であることがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂を100重量%とすると、ポリプロピレン樹脂Bを、10重量%以上45重量%以下含むことが好ましく、15重量%以上40重量%以下含むことがより好ましく、20重量%以上40重量%以下含むことが特に好ましい。
ポリプロピレン樹脂が、ポリプロピレン樹脂A及びBを含む場合、ポリプロピレン樹脂の合計を基準(100重量%)として、55〜90重量%ポリプロピレン樹脂Aと、ポリプロピレン樹脂Bを45〜10重量%含むことが好ましく、60〜85重量%ポリプロピレン樹脂Aと、ポリプロピレン樹脂Bを40〜15重量%含むことがより好ましく、60〜80重量%ポリプロピレン樹脂Aと、ポリプロピレン樹脂Bを40〜20重量%含むことが特に好ましい。
ポリプロピレン樹脂が、ポリプロピレン樹脂A及びBを含む場合、ポリプロピレンAとBの重量平均分子量及びMw/Mnと微分分布値の差が異なる、つまり、分子量分布の構成に相違があることによって、混合し成形して得られたポリプロピレンフィルムは、高分子量成分と低分子量成分の量的な関係が微妙に異なるため、ある種の微細混合(相分離)状態をとり、結晶サイズが微細化しやすく好ましいと考えられる。さらには、同じ延伸倍率であっても高配向化し易い傾向に有り、表面も微細な粗化を得られやすく好ましいいと考えられる。ポリプロピレン樹脂が、ポリプロピン樹脂Aとポリプロピレン樹脂Bを両方含む場合、上述のような理由で本発明は優れた効果を奏すると考えられるが、このような理由によって、本発明は何ら制限されることはない。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂A及びBの両者を含む場合、上述の結晶子サイズ、複屈折ΔNyz、及び表面の突起体積を、容易に満たすことができ好ましい。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、表面平滑化や耐熱性を向上させることなどを目的として、長鎖分岐ポリプロピレン(分岐型ポリプロピレン、以下「ポリプロピレン樹脂Cともいう」)を含むことができ、含むことが好ましい。
本発明において、ポリプロピレン樹脂Cとは、一般に「長鎖分岐ポリプロピレン」とよばれているポリプロピレンであって、長鎖の枝分かれを有し、本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り特に制限されることはない。そのようなポリプロピレン樹脂Cとして、具体的には、例えば、Basell社製のProfax PF-814、PF-611、PF-633及びBorealis社製のDaploy HMS-PP(WB130HMS、WB135HMS、及びWB140HMS等)などが、例示できる。
ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂Cを、5.0重量%以下含むことができ、含むことが好ましく、0.5重量%以上5.0重量%以下含むことがより好ましく、1.0重量%以上4.0重量%以下含むことが更に好ましく、1.5重量%以上2.5重量%以下含むことが特に好ましい。ポリプロピレン樹脂Cを含むことで、得られるフィルムの表面が適度に平滑化され、また、フィルムの融点が数℃向上し得るので、耐熱性も向上し得、好ましい。
ポリプロピレン樹脂が、ポリプロピレン樹脂A〜Cを含む場合、ポリプロピレン樹脂の合計を基準(100重量%)として、55〜90重量%のポリプロピレン樹脂A、10〜45重量%のポリプロピレン樹脂B、5重量%までのポリプロピレン樹脂Cを含むことが好ましく、55〜89.5重量%のポリプロピレン樹脂A、10〜44.5重量%のポリプロピレン樹脂B、0.5〜5.0重量%のポリプロピレン樹脂Cを含むことがより好ましく、60〜84.0重量%のポリプロピレン樹脂A、15〜39.0重量%のポリプロピレン樹脂B、1.0〜4.0重量%のポリプロピレン樹脂Cを含むことが特に好ましく、60〜78.5重量%のポリプロピレン樹脂A、20〜38.5重量%のポリプロピレン樹脂B、1.5〜2.5重量%のポリプロピレン樹脂Cを含むことが特に好ましくい。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂A〜C以外のポリプロピレン樹脂(以下「他のポリプロピレン樹脂」ともいう)を含むことができる。「他のポリプロピレン樹脂」とは、一般的にポリプロピレン樹脂とされる樹脂であって、本発明が目的とする本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り特に制限されることはない。本発明に係るポリプロピレン樹脂は、そのような他のポリプロピレン樹脂を、本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに悪影響を与えない量で、含むことができる。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、更にポリプロピレン樹脂以外の他の樹脂(以下「他の樹脂」ともいう)を含むことができる。「他の樹脂」とは、一般的に、樹脂とされるポリプロピレン樹脂以外の樹脂であって、本発明が目的とする本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り特に制限されることはない。他の樹脂には、例えば、ポリエチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(1−メチルペンテン)などのポリプロピレン以外の他のポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などの、α−オレフィン同士の共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体などのビニル単量体−ジエン単量体ランダム共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン ブロック共重合体などのビニル単量体−ジエン単量体−ビニル単量体ランダム共重合体等が含まれる。本発明に係るポリプロピレン樹脂は、そのような他の樹脂を、本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに悪影響を与えない量で、含むことができる。ポリプロピレン樹脂は、一般的には、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、他の樹脂を、好ましくは10重量部以下含んでよく、より好ましくは5重量部以下含んでよい。
本発明に係るポリプロピレン樹脂(ポリプロピレン樹脂A、ポリプロピレン樹脂B及びポリプロピレン樹脂Cを含む)は、一般的に公知の重合方法を用いて製造することができる。本発明に係るポリプロピレン樹脂を製造することができる限り、特に制限されることはない。そのような重合方法として、例えば、気相重合法、塊状重合法及びスラリー重合法を例示できる。
重合は、1つの重合反応機を用いる単段(一段)重合であってよく、少なくとも2つ以上の重合反応器を用いた多段重合であっても良い。更に、反応器中に水素又はコモノマーを分子量調整剤として添加して行っても良い。
触媒は、一般的に公知のチーグラー・ナッタ触媒を使用することができ、本発明に係るポリプロピレン樹脂を得ることができる限り特に限定されることはない。また、触媒は、助触媒成分やドナーを含むことができる。触媒や重合条件を調整することによって、分子量、分子量分布、及び立体規則性等を制御することができる。
「微分分布値の差」は、例えば、重合条件を調節して、分子量分布を調整することで、分解剤を使用することで、高分子量成分を選択的に分解処理することで、異なる分子量の樹脂を混合することで、所望の値に調節することができる。
重合条件によって、分子量分布の構成を調整する場合には、後述するの重合触媒を用いることにより、分子量分布や分子量の構成を容易に調整することが可能となり好ましい。この場合自在に含有させることが可能となり好ましい。多段重合反応により得る方法としては、例えば、次のような方法が例示できる。
触媒の存在下、高分子量重合反応器と低分子量または中分子量反応器の複数の反応器により高温で重合する。生成樹脂の高分子量成分及び低分子量成分は、反応器における順番を問わず調整される。まず、第1重合工程において、プロピレン及び触媒が第1重合反応器に供給される。これらの成分とともに、分子量調整剤としての水素を、要求されるポリマーの分子量に到達するために必要な量で混合する。反応温度は、例えばスラリー重合の場合、70〜100℃程度、滞留時間は20分〜100分程度である。複数の反応器は、例えば直列に使用することができ、その場合、第1の工程の重合生成物は、追加のプロピレン、触媒、分子量調整剤とともに連続的に次の反応器に送られ、続いて、第1重合工程より低分子量あるいは高分子量に分子量を調整した第2の重合が行われる。第1及び第2の反応器の収量(生産量)を調整することによって、高分子量成分及び低分子量成分の組成(構成)を調整することが可能となる。
使用される触媒としては、一般的なチーグラー・ナッタ触媒が良い。また、助触媒成分やドナーを含んでも構わない。触媒や重合条件を適宜調整することによって、分子量分布をコントロールすることが可能となる。
過酸化分解によって、ポリプロピレン原料樹脂の分子量分布の構成を調整する場合には、過酸化水素や有機化酸化物などの分解剤による過酸化処理による方法が好ましい。
ポリプロピレンのような崩壊型ポリマーに過酸化物を添加すると、ポリマーからの水素引抜き反応が起こり、生じたポリマーラジカルは一部再結合し架橋反応も起こすが、殆どのラジカルは二次分解(β開裂)を起こし、より分子量の小さな二つのポリマーに分かれることが知られている。したがって、高分子量成分から高い確立で分解が進行し、よって、低分子量成分が増大し、分子量分布の構成を調整することが出来る。低分子量成分を適度に含有している樹脂を過酸化分解により得る方法としては、例えば、次のような方法が例示できる。
重合して得たポリプロピレン樹脂の重合粉あるいはペレットと、有機過酸化物として、例えば、1,3−ビス−(ターシャリー−ブチルパーオキサイドイソプロピル)−ベンゼンなどを0.001質量%〜0.5質量%程度、目標とする高分子量成分及び低分子量成分の組成(構成)を考慮しながら調整添加して、溶融混練器機にて、180℃〜300℃程度の溶融混練することによって行うことが出来る。
ブレンド(樹脂混合)により低分子量成分の含有量を調整する場合には、異なる分子量の樹脂を、少なくとも2種類以上の樹脂を、ドライあるいは、溶融混合するのが良い。
一般的には、主樹脂に、それより平均分子量が高いか、あるいは低い添加樹脂を1〜40質量%程度混合する2種のポリプロピレン混合系が、低分子量成分量の調整が行い易いため、好ましく利用される。
また、この混合調整の場合、平均分子量の目安として、メルトフローレート(MFR)を用いても構わない。この場合、主樹脂と添加樹脂のMFRの差は、1〜30g/10分程度としておくのが、調整の際の利便性の観点から良い。
本発明に係る複数のポリプロピレン原料樹脂(主要ポリプロピレン樹脂Aおよび添加ポリプロピレン樹脂Bなど)を混合する方法としては、特に制限はないが、重合粉あるいはペレットを、ミキサー等を用いてドライブレンドする方法や、主要樹脂ポリプロピレン樹脂Aと添加ポリプロピレン樹脂Bなどの重合粉あるいはペレットを、混練機に供給し、溶融混練してブレンド樹脂を得る方法などがあるが、いずれでも構わない。
ミキサーや混練機にも特に制限は無く、また、混練機も、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプあるいは、それ以上の多軸スクリュータイプの何れでも良く。さらに、2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のどちらの混練タイプでも構わない。
溶融混練によるブレンドの場合は、良好な混練さえ得られれば、混練温度にも特に制限はないが、一般的には、200℃から300℃の範囲であり、230℃から270℃が好ましい。あまり高い混練温度は、樹脂の劣化を招くので好ましくない。樹脂の混練混合の際の劣化を抑制するため、混練機に窒素などの不活性ガスをパージしても構わない。
溶融混練された樹脂は、一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズすることによって、混合ポリプロピレン原料樹脂ペレットを得ることが出来る。
本態様のポリプロピレン原料樹脂中に含まれる重合触媒残渣等に起因する総灰分は、電気特性を向上させるために可能な限り少ないことが好ましい。総灰分は、ポリプロピレン樹脂を基準(100重量部)として、50ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることが特に好ましい。
このようにして、結晶子サイズを微細化するとともに、高配向化を進めることによって、高電圧を負荷した際の漏れ電流を抑制し、ジュール発熱を抑えることにより構造破壊が発生し難くなるため、耐電圧性、長期間高電圧を負荷した際の耐用性が向上できるようになった。また、突起体積を、本発明の範囲の微細に粗化された表面とすることによっても、フィルム間も均一接触が可能となった。従って、耐電圧性、長期間高電圧を負荷した際の耐用性も向上を図ることが出来るに至った。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、更に、添加剤を含むことができる。「添加剤」とは、一般的に、ポリプロピレン樹脂に使用される添加剤であって、本発明が目的とする本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り特に制限されることはない。添加剤には、例えば、酸化防止剤、塩素吸収剤や紫外線吸収剤等の必要な安定剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤等が含まれる。本発明に係るポリプロピレン樹脂は、そのような添加剤を、本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに悪影響を与えない量で、含むことができる。
「酸化防止剤」とは、一般に酸化防止剤と呼ばれ、ポリプロピレンに使用され、本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り、特に制限されることはない。酸化防止剤は、一般的に2種類の目的で使用される。一つの目的は、押出機内での熱劣化及び酸化劣化を抑制することであり、他の目的は、コンデンサーフィルムとしての長期使用における劣化抑制及びコンデンサー性能向上に寄与することである。押出機内での熱劣化及び酸化劣化を抑制する酸化防止剤を「1次剤」ともいい、コンデンサー性能向上に寄与する酸化防止剤を、「2次剤」ともいう。
これらの2つの目的に、2種類の酸化防止剤を用いてもよいし、2つの目的に1種類の酸化防止剤を使用してもよい。
2種類の酸化防止剤を用いる場合、ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂を基準(100重量部)として、1次剤として、例えば、2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−パラ−クレゾール(一般名称:BHT)を、1000ppm〜4000ppm程度含むことができる。この目的の酸化防止剤は、押出機内での成形工程にてほとんどが消費され、製膜成形後のフィルム中には、ほとんど残存しない(一般的には、残存量100ppmより少ない)。
2次剤として、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用することができる。
「カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤」とは、通常、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤とされ、本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り特に制限されることはない。
カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−ターシャリー−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス259)、ペンタエリスルチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−ターシャリー−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:イルガノックス1076)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(商品名:イルガノックス1098)などが挙げられるが、高分子量であり、ポリプロピレンとの相溶性に富み、低揮発性かつ耐熱性に優れたペンタエリスルチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が、最も好ましい。
ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂を基準(100重量部)として、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤を、5000ppm(質量基準)以上7000ppm(質量基準)以下含むことが好ましく、5500ppm(質量基準)以上7000ppm(質量基準)以下含むことがより好ましい。
押出機内で少なからず、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤も消費されるためである。
ポリプロピレン樹脂が、1次剤を含まない場合、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤をより多く使用することができる。押出機内で、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤の消費量が増えるので、ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂を基準(100重量部)として、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤を、6000ppm(質量基準)以上8000ppm(質量基準)以下含むことが好ましい。
本発明に係るコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、長期使用時における時間と共に進行する劣化を抑制する目的で、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤(2次剤)を1種類以上含有し、フィルム中の含有量は、ポリプロピレン樹脂を基準(100重量部)として、4000ppm(質量基準)以上6000ppm(質量基準)以下であることが好ましく、4500ppm(質量基準)以上6000ppm(質量基準)以下であることが好ましい。フィルム中の含有量は、4000ppm(質量基準)以上6000ppm(質量基準)以下であることが、適切な効果発現の観点から好ましい。
ポリプロピレンと分子レベルで相溶性が良好であるカルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤を、最適な特定範囲の量を含有させたコンデンサーフィルムは、前出の内部構造(結晶子サイズ、配向性 (複屈折)、表面粗化性(突起体積)によって得られる高い耐電圧性能を維持したまま、110℃以上という非常に高温の寿命(ライフ)促進試験においても、100時間を越える長期に渡って、静電容量を低下させず(劣化が進行せず)、長期耐用性が向上するので好ましい。
尚、フィルムの成形工程中(特に、押出機内)においては、ポリプロピレン樹脂は、少なからず熱劣化(酸化劣化)やせん断劣化を受ける。このような劣化の進行度合い、即ち分子量分布や立体規則性の変化は、押出器内の窒素パージ(酸化の抑制)、押出機内のスクリュー形状(せん断力)キャスト時のTダイの内部形状(せん断力)、酸化防止剤の添加量(酸化の抑制)、キャスト時の巻き取り速度(伸長力)などにより抑制することが可能である。
「塩素吸収剤」とは、一般に塩素吸収剤と呼ばれ、ポリプロピレンに使用され、本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り、特に制限されることはない。塩素吸収剤として、例えば、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸等を例示できる。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造するための「延伸前のキャスト原反シート」は、公知の方法を使用して成形することができる。例えば、ポリプロピレン樹脂ペレット、ドライ混合されたポリプロピレン樹脂ペレット(及び/又は重合粉)あるいは、予め溶融混練して作製した混合ポリプロピレン樹脂ペレット類を押出機に供給して、加熱溶融し、ろ過フィルターを通した後、170℃〜320℃、好ましくは、200℃〜300℃に加熱溶融してTダイから溶融押し出し、80℃〜140℃に保持された少なくとも1個以上の金属ドラムで、冷却、固化させることで、未延伸のキャスト原反シートを成形することができる。
未延伸のキャスト原反シートを成形する際、金属ドラム群の温度を、80℃〜140℃、好ましくは、90℃〜120℃、より好ましくは、90℃〜105℃に保持することによって、得られるキャスト原反シートのβ晶分率は、X線法で1%以上50%以下、好ましくは、5%以上30%以下、より好ましくは、5%以上20%以下程度となる。なお、この値は、β晶核剤を含まない時の値である。
前述のβ晶分率の範囲では、コンデンサー特性と素子巻き加工性の両物性を満足させることができ好ましい。
β晶分率は、X線回折強度測定によって得られ、「A.Turner−Jones et al.,Makromol.Chem.,75巻,134頁 (1964)」に記載されている方法によって算出することができ、K値と呼ばれる。即ち、α晶由来の3本の回折ピークの高さの和とβ晶由来の1本の回折ピークの比によってβ晶の比率が表現される。
上記キャスト原反シートの厚さは、本発明が目的とするコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り、特に制限されることはないが、通常、0.05mm〜2mmであることが好ましく、0.1mm〜1mmであることがより好ましい。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、前記ポリプロピレンキャスト原反シートに延伸処理を行って製造することができる。延伸は、縦及び横に二軸に配向せしめる二軸延伸が良く、延伸方法としては逐次二軸延伸方法が好ましい。逐次二軸延伸方法としては、まずキャスト原反シートを100〜160℃の温度に保ち、速度差を設けたロール間に通して流れ方向に3〜7倍に延伸し、直ちに室温に冷却する。この縦延伸工程の温度を適切に調整することにより、β晶は融解しα晶に転移し、凹凸が顕在化する。引き続き、当該延伸フィルムをテンターに導いて160℃以上の温度で幅方向に3〜11倍に延伸した後、緩和、熱固定を施して、巻き取る。
巻き取られたフィルムは、20〜45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施された後、所望の製品幅に断裁することが出来る。
このような延伸工程によって、機械的強度、剛性に優れたフィルムとなり、また、表面の凹凸もより明確化され、微細に粗面化された延伸フィルムとなる。
本発明のフィルムの表面には、巻き適性を向上させつつ、コンデンサー特性をも良好とする適度な表面粗さを付与することが好ましい。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片方の表面において、その表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で0.03μm以上0.08μm以下であることが好ましく、かつ、最大高さ(Rz、旧JIS定義でのRmax)で0.3μm以上0.8μm以下に微細粗面化されていることが好ましい。
Ra及びRzが、上述の好ましい範囲にある場合、表面は、微細に粗化された表面になり得、コンデンサー加工の際には、素子巻き加工において巻きシワが発生し難く、好ましく巻上げることができる。更に、フィルム同士の間も均一な接触が可能となりえるので、、耐電圧性及び長期間に渡る耐電圧性も向上し得る。
本発明において、「Ra」及び「Rz」(旧JIS定義のRmax)とは、例えばJIS−B0601:2001等に定められている方法によって、一般的に広く使用されている触針式表面粗さ計(例えば、ダイヤモンド針等による触針式表面粗さ計)を用いて測定された値をいう。「Ra」及び「Rz」は、より具体的には、例えば、東京精密社製、三次元表面粗さ計 サーフコム1400D-3DF-12型を用い、JIS−B0601:2001に定められている方法に準拠して、RaおよびRz(旧JIS定義のRmax)を求めることができる。
フィルム表面に微細な凹凸を与える方法としては、エンボス法、エッチング法など、公知の各種粗面化方法を採用することが出来るが、その中でも、不純物の混入などの必要がない、β晶を用いた粗面化法が好ましい。β晶の生成割合は、一般的には、キャスト温度及びキャストスピードを変更することによって、制御することができる。また、縦延伸工程のロール温度で、β晶の融解/転移割合を制御することができ、これらのβ晶生成とその融解/転移の二つのパラメーターについて最適な製造条件を選択することで、微細な粗表面性を得ることが出来る。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに、金属蒸着加工工程などの後工程において、接着特性を高める目的で、延伸及び熱固定工程終了後に、オンラインもしくはオフラインにてコロナ放電処理を行うことができる。コロナ放電処理は、公知の方法を用いて行うことができる。雰囲気ガスとして空気、炭酸ガス、窒素ガス、及びこれらの混合ガスを用いて、行うことが好ましい。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、コンデンサーとして加工するために電極を付けることができる。そのような電極は、本発明が目的とするコンデンサーを得ることができる限り特に限定されることはく、通常コンデンサーを製造するために使用される電極を用いることができる。電極として、例えば、金属箔、少なくとも片面を金属化した紙及びプラスチックフィルム等を例示することができる。
コンデンサーには、小型及び軽量化が一層要求されるので、本発明のフィルムの片面もしくは両面を直接金属化して電極を形成することが好ましい。用いられる金属は、例えば、亜鉛、鉛、銀、クロム、アルミニウム、銅、及びニッケルなどの金属単体、それらの複数種の混合物、及びそれらの合金などを使用することができるが、環境、経済性及びコンデンサー性能などを考慮すると、亜鉛及びアルミニウムが、好ましい。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面を直接金属化する方法として、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法を例示することが出来、本発明が目的とするコンデンサーを得ることができる限り特に限定されることはない。生産性及び経済性などの観点から、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法として、一般的にるつぼ法式やワイヤー方式などを例示することができるが、本発明が目的とするコンデンサーを得ることができる限り特に限定されることはなく、適宜最適なものを選択することができる。
蒸着により金属化する際のマージンパターンも特に限定されるものではないが、コンデンサーの保安性等の特性を向上させる点から、フィッシュネットパターンないしはTマージンパターン等といった、いわゆる特殊マージンを含むパターンを本発明のフィルムの片方の面上に施した場合、保安性が高まり、コンデンサーの破壊、ショートの防止、などの点からも効果的であり好ましい。
マージンを形成する方法はテープ法、オイル法など、一般に公知の方法が、何ら制限無く使用することが出来る。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、初期耐電圧性が高く、長期的な耐電圧性に優れる。更に、表面が微細に粗面化されているので、素子巻き適性に優れる。更に、非常に薄くすることも可能なので高い静電容量を発現し易い。従って、小型、かつ、5μF以上、好ましくは10μF以上、さらに好ましくは20μF以上の高容量のコンデンサーに極めて好適に使用することができる。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、これらの例は本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。また、特に断らない限り、例中の部及び%はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
〔ポリプロピレン樹脂〕
実施例及び比較例のポリプロピレンフィルムを製造するために使用したポリプロピレン樹脂を、以下に示す。
表1に示すポリプロピレン樹脂A1〜樹脂A’4は、プライムポリマー株式会社製であり、ポリプロピレン樹脂B1は、大韓油化社製である。ポリプロピレン樹脂A1及びA2は、ポリプロピレン樹脂Aに該当し、ポリプロピレン樹脂B1は、ポリプロピレン樹脂Bに該当する。
また、長鎖分岐ポリプロピレン(ポリプロピレン樹脂C)として、ボレアリス社製長鎖分岐ポリマーWB135HMS(以下「ポリプロピレン樹脂C1」という)を使用した。
表1に、これらのポリプロピレン樹脂A1〜A’4及びB1の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、分子量分布(Mz/Mn)、微分分布値差、及びメソペンタッド分率([mmmm])を示した。
なお、これらの値は、原料樹脂ペレットの形態での値である。また、ポリプロピレン樹脂A1〜A’4及びB1のいずれも、酸化防止剤(1次剤)として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(一般名称:BHT)を2000ppm、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤(2次剤)として、ペンタエリスルチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス1010)を5000〜6500ppm含有する。
<ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、分子量分布(Mz/Mn)および微分分布値の測定>
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、以下の条件で、ポリプロピレン樹脂の分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、分布曲線の微分分布値を測定した。
東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵高温GPC装置であるHLC−8121GPC-HT型を使用した。カラムとして、東ソー株式会社製のTSKgel GMHHR−H(20)HTを3本連結して使用した。140℃のカラム温度で、溶離液として、トリクロロベンゼンを、1.0ml/minの流速で流して測定した。検量線を、東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用いて作製し、測定された分子量の値をポリスチレンの値に換算して、Z平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を得た。このMzとMnの値を用いて分子量分布(Mz/Mn)を、また、MwとMnの値を用いて分子量分布(Mw/Mn)を得た。
微分分布値は、次のような方法で得た。まず、RI検出計を用いて検出される強度分布の時間曲線(溶出曲線)を、上記標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて標準ポリスチレンの分子量M(Log(M))に対する分布曲線に変換した。次に、分布曲線の全面積を100%とした場合のLog(M)に対する積分分布曲線を得た後、この積分分布曲線をLog(M)で、微分することによってLog(M)に対する微分分布曲線を得ることが出来た。この微分分布曲線から、Log(M)=4.5およびLog(M)=6.0のときの微分分布値を読んだ。なお、微分分布曲線を得るまでの一連の操作は、使用したGPC測定装置に内蔵されている解析ソフトウェアを用いて行った。
<メソペンタッド分率([mmmm])の測定>
ポリプロピレン樹脂を溶媒に溶解し、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)を用いて、以下の条件で、メソペンタッド分率([mmmm])を求めた。
測定機:日本電子株式会社製、高温FT−NMR JNM−ECP500
観測核:13C(125MHz)
測定温度:135℃
溶媒:オルト−ジクロロベンゼン〔ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(4/1)〕
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:9.1μsec(45°パルス)
パルス間隔:5.5sec
積算回数:4500回
シフト基準:CH3(mmmm)=21.7ppm
5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrmなど)に由来する各シグナルの強度積分値より、百分率(%)で算出した。mmmmやmrrmなどに由来する各シグナルの帰属に関し、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」などのスペクトルの記載を参考とした。
Figure 0005929838
上述のポリプロピレン樹脂を用いて、実施例1〜4及び比較例4のポリプロピレンフィルムを製造し、その物性を評価した。
〔実施例1〕
樹脂A1(酸化防止剤としてイルガノックス1010を5000ppm添加)と樹脂B1(酸化防止剤としてイルガノックス1010を5000ppm添加)を、A1/B1=65/35(質量比)で、連続的に計量し混合したドライブレンド体を、押出機に供給した。ドライブレンド体を250℃の温度で溶融した後、Tダイを用いて押出し、表面温度を92℃に保持した金属ドラムに巻きつけて固化させて、厚さ約125μmのキャスト原反シートを製造した。このキャスト原反シートを140℃の温度で、流れ方向に5倍に延伸し、直ちに室温まで冷却した後、テンターにて165℃の温度で横方向に10倍に延伸して、厚さ2.5μmの非常に薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。樹脂の配合と得られたフィルムの物性値を表2にまとめた。
〔実施例2〕
樹脂A1と樹脂B1を、A1/B1=75/25(質量比)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ2.5μmの非常に薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
樹脂の配合と得られたフィルムの物性値を表2にまとめる。
〔実施例3〕
樹脂A1と樹脂B1の他に、さらに、樹脂C1(酸化防止剤としてイルガノックス1010を5000ppm添加)を、A1/B1/C1=64/34/2(質量比)で連続的に計量混合したドライブレンド体を、押出機に供給し、キャスト金属ドラムの表面温度を99℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ2.5μmの非常に薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
樹脂の配合と得られたフィルムの物性値を表2にまとめる。
〔実施例4〕
樹脂A1の代わりに樹脂A2(酸化防止剤としてイルガノックス1010を5000ppm添加)を用いた以外は、実施例3と同様にして、厚さ2.5μmの非常に薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
樹脂の配合と得られたフィルムの物性値を表2にまとめる。
〔比較例1〕
樹脂A1を単独で使用し、キャスト金属ドラムの表面温度を100℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ2.5μmの非常に薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
樹脂の配合と得られたフィルムの物性値を表2にまとめる。
〔比較例2〕
樹脂A’3(酸化防止剤としてイルガノックス1010を5000ppm添加)を単独で使用し、キャスト金属ドラムの表面温度を92℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ2.5μmの非常に薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
樹脂の配合と得られたフィルムの物性値を表2にまとめる。
〔比較例3〕
樹脂A’3と樹脂A’4(酸化防止剤としてイルガノックス1010を5000ppm添加)を、A’3/A’4=80/20(質量比)にて連続的に計量混合したドライブレンド体とし、キャスト金属ドラムの表面温度を95℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ2.5μmの非常に薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
原料樹脂の配合と得られたフィルムの物性値を表2にまとめる。
〔比較例4〕
樹脂A1と樹脂B1をA1/B1=50/50(質量比)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ2.5μmの非常に薄い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
樹脂の配合と得られたフィルムの物性値を表2にまとめる。
〔特性値の測定方法等〕
実施例及び比較例における特性値の測定方法等は以下の通りである。
<結晶子サイズの測定>
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの結晶子サイズの評価は、XRD(広角X線回折)装置を用い、以下の通り、測定した。
測定機:リガク社製のディストップX線回折装置 MiniFlex300
X線発生出力:30KV、10mA
照射X線:モノクローメーター単色化CuKα線(波長1.5418Å)
検出器:シンチュレーションカウンター
ゴニオメーター走査:2θ/θ連動走査
得られたデータから、解析コンピューターを用い、装置標準付属の統合粉末X線解析ソフトウェアPDXLを用い、α晶(040)面の回折反射ピークの半価幅を算出した。
得られたα晶(040)面の回折反射ピークの半価幅から、下記(1)式のScherrerの式を用いて、結晶子サイズを求めた。なお、本発明では、形状因子定数Kは、0.94を用いた。
数式(1):D=K×λ/(β×Cosθ)
[ここで、Dは、結晶子サイズ(Å)、Kは定数(形状因子)、λは使用X線波長(Å)、βは求めた半価幅、θは回折ブラッグ角である。]
<複屈折の測定>
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの複屈折値ΔNyzは、下記の通り、傾斜法によるレターデーション(位相差)の測定値から算出した。
測定機:大塚電子社製レタデーション測定装置 RE−100
光源: 波長550nmのLED光源
測定方法: 次のような傾斜法により、レタデーション値の角度依存性を測定した。フィルムの面内方向の主軸をx軸及びy軸、また、フィルムの厚さ方向(面内方向に対する法線方向)をz軸とし、面内方向のうち、屈折率のより高い方向の遅相軸をx軸としたとき、x軸を傾斜軸として、0°〜50°の範囲でz軸に対して10°づつ傾斜させたときの各レタデーション値を求めた。
複屈折値ΔNyzの算出方法: 得られたレタデーション値から、非特許文献「粟屋裕、高分子素材の偏光顕微鏡入門,105〜120頁 、2001年」に記載の通り、次のようにして、厚さ方向(z軸方向)に対するy軸方向の複屈折ΔNyzを算出した。
各傾斜角φに対し、測定されたレタデーション値Rを、傾斜補正が施された厚さdで割ったR/dを求める。φ=10°、20°、30°、40°、50°のそれぞれのR/dについて、φ=0°のR/dとの差を求め、それらをさらにsin2r(r:屈折角)で割ったものが、それぞれのφにおける複屈折ΔNzyとなり、正負の符号を逆にして複屈折値ΔNyzとなる。φ=20°、30°、40°、50°におけるΔNyzの平均値として、複屈折値ΔNyzを算出する。なお、ポリプロピレンについての、各傾斜角における屈折角rの値は、前記文献の109頁に記載されているものを用いる。
なお、例えば、逐次延伸法において、MD方向(流れ方向)の延伸倍率よりも、TD方向(幅方向)の延伸倍率が高い場合、TD方向が遅相軸(x軸)となり、MD方向がy軸となる。
<突起部総体積(微細粗化表面)の測定>
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの突起部総体積の測定は、光干渉式非接触表面形状測定機として、(株)菱化システム製の「VertScan2.0(型式:R5500GML)」を用い、WAVEモードにより、530whiteフィルタ及び×20対物レンズを用いて、フィルム表面の任意の10箇所について、一視野あたり240μm×180μmの広さで、行った。得られたデータについて、メディアンフィルタによるノイズ除去処理を行った後、カットオフ値30μmによるガウシアンフィルタ処理を行い、うねり成分を除去した。これにより、粗面化表面の状態を適切に計測できる状態とした。
突起部総体積について、「VertScan2.0」の解析ソフトウェア「VS−Viewer」のプラグイン機能「ベアリング」を用いて、下記のように求めた。すなわち、「山側高さ閾値」を、所定の高さ(すなわち、0.02μm)に設定した後、「山側体積」として表示されるものが、一視野あたりの突起部総体積になった。この測定を10箇所について行い、その平均値を求めて、一視野あたりの突起部総体積として算出した。
<フィルムの厚さ>
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚さは、マイクロメーター(JIS−B7502)を用いて、JIS−C2330に準拠して測定した。
<二軸延伸ポリプロピレンフィルム中の酸化防止剤含有量の測定>
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを断裁し、溶媒を加え、超音波抽出でフィルム中に残存している酸化防止剤を抽出した。
高速液体クロマトグラフ/紫外線検出器を用いて、得られた抽出液を分析し、カルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤(2次剤)を測定した。得られたクロマトグラフのピーク強度に基づいて、予め定めた検量線を用いて、2次剤の含有量を計算した。
<表面粗さの測定>
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの中心線平均粗さ(Ra)、および、Rz(旧JIS定義のRmax)は、東京精密社製、三次元表面粗さ計 サーフコム1400D-3DF-12型を用い、JIS−B0601に定められている方法に準拠して、接触法で測定した。測定は3回行い、平均値を求めた。Ra及びRzは、接触法を用いて測定したが、その値の信頼性は、必要に応じて非接触法値により確認した。
<コンデンサー素子の作製>
二軸延伸ポリプロピレンフィルムに、Tマージン蒸着パターンを蒸着抵抗12Ω/□にてアルミニウム蒸着を施し、金属化フィルムを得た。小幅にスリットした後に、2枚の金属化フィルムを相合わせて、株式会社皆藤製作所製、自動巻取機 3KAW−N2型を用い、巻き取り張力200gにて、1360ターン巻回を行った。
素子巻きした素子は、プレスしながら120℃にて4時間熱処理を施した後、素子端面に亜鉛金属を溶射し、扁平型コンデンサーを得た。出来上がったコンデンサーの静電容量は、100μF(±5μF)であった。
<コンデンサー素子の高温・短時間耐電圧試験(初期耐電圧性)>
まず、予め素子を105℃にて15時間予熱した後、試験前の初期の静電容量を日置電機株式会社製LCRハイテスター3522−50にて、評価した。次に、105℃の高温槽中にて、コンデンサー素子に直流1150Vの電圧を1分間負荷した。その後の素子の容量をLCRテスターで測定し、電圧負荷前後の容量変化率を算出した。ついで、素子を再度高温槽内に戻し、2回目の電圧負荷を行い、2回目の容量変化(累積)を求め、これを4回目繰り返した。4回目の容量変化率を求め、素子3個の平均値を評価に採用した。容量変化率は、4回目で、±10%以内であることが好ましい。
<コンデンサー素子の寿命(ライフ)促進試験(長期間にわたる耐電圧性)>
予め素子を110℃にて15時間予熱した後、試験前の初期の静電容量を日置電機株式会社製LCRハイテスター3522−50にて、評価した。次に、110℃の高温槽中にて、コンデンサー素子に直流800Vの電圧を100時間負荷続けた。100時間経過後の素子の容量をLCRテスターで測定し、電圧負荷前後の容量変化率を算出した。100時間経過後の容量変化率を、素子3個の平均値により評価した。100時間経過後の容量変化率は、10%以内であることが好ましい。
<コンデンサー用フィルムとしての総合評価>
静電容量向上に必要な6μm以下のフィルムによるコンデンサー素子作製の成否、フィルムをコンデンサー素子とした際の高温での耐電圧性、かつ高温長期耐用特性等、コンデンサー用フィルムとしての好適性を総合的に評価した。従来技術に基づくフィルムより向上したものを「○」、従来と変わらないか、それより劣るものを「×」とした。
Figure 0005929838
実施例1〜4で明らかな通り、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、結晶子サイズ、複屈折及び突起体積の三つの性質について、所定の範囲の値を有し、非常に厚さが薄く、製造されるコンデンサー素子は、初期耐電圧性及び長期間にわたる耐電圧性に優れる。従って、コンデンサー用フィルムとして、極めて好適である。
特に、ポリプロピレン樹脂が、長鎖分岐ポリプロピレン(ポリプロピレン樹脂C)を含む場合、表面の粗さがより小さくなるので、長期間にわたる耐電圧性が向上した(実施例3及び4)。
しかし比較例1〜3では、結晶子サイズ、複屈折及び突起体積の三つの性質について、所定の範囲の値を有さず、耐電圧性及び長期にわたる耐電圧性に劣った。
たとえ、結晶子サイズ及び複屈折の二つの性質を満たしても、突起体積の性質を満たさないと、耐電圧性も長期にわたる耐電圧性も不十分であることがわかった(比較例4)。
本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、初期耐電圧性及び高温下における長期耐電圧性(長期耐用性)に優れるので、このフィルムを用いてコンデンサーを製造することで、寿命を増加させることができる。更に、本発明のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、厚さを薄くすることができるので、耐熱性が要求される小型かつ大容量型のコンデンサーに好ましく利用可能である。

Claims (8)

  1. ポリプロピレン樹脂を二軸延伸して得られるポリプロピレンフィルムであって、
    広角X線回折法により測定したα晶(040)面反射ピークの半価幅からScherrerの式により求めた結晶子サイズが、122Å以下であり、
    光学的複屈折測定により求めた厚さ方向に対する複屈折値ΔNyzの値が、7.0×10−3以上、10.0×10−3以下であり、
    該ポリプロピレンフィルムの少なくとも片方の表面において、一視野あたり240μm×180μmの範囲内で、光干渉式非接触表面形状測定機を用いて表面形状の計測を行った際、高さ0.02μm以上の突起部総体積が、一視野あたり10μm以上、120μm以下である、コンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
  2. ポリプロピレン樹脂は、
    重量平均分子量(Mw)が、25万以上45万以下;
    分子量分布(Mw/Mn)が、7.0以上12.0以下;
    Z平均分子量/数平均分子量(Mz/Mn)が20.0以上70.0以下;
    分子量分布曲線において、対数分子量Log(Mw)=4.5のときの微分分布値からLog(Mw)=6.0のときの微分分布値を引いた差が8.0%以上18.0%以下;及び
    メソペンタッド分率([mmmm])が、94.0%以上98.0%未満である
    ポリプロピレン樹脂Aを含む、請求項1に記載のポリプロピレンフィルム。
  3. ポリプロピレン樹脂は、Mwが30万以上40万以下;Mw/Mnが7.0以上9.0以下;及び分子量分布曲線において、対数分子量Log(M)=4.5のときの微分分布値からLog(M)=6.0のときの微分分布値を引いた差が1.0%以上8.0%未満であるポリプロピレン樹脂Bを更に含み、
    ポリプロピレン樹脂Bは、ポリプロピレン樹脂全体を100重量%として、10重量%以上45重量%以下未満含まれる、請求項2に記載のポリプロピレンフィルム。
  4. 少なくとも一種のカルボニル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有し、ポリプロピレン樹脂を基準(100重量部)として、フィルム中の含有量が4000ppm(質量基準)以上6000ppm(質量基準)以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレンフィルム。
  5. 少なくとも片方の表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で0.03μm以上0.08μm以下であり、最大高さ(Rz)で0.3μm以上0.8μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレンフィルム。
  6. 1.0μm以上6.0μm以下の厚さを有する、請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレンフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のコンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属蒸着を施したことを特徴とするコンデンサー用金属化ポリプロピレンフィルム。
  8. 請求項7に記載のコンデンサー用金属化ポリプロピレンフィルムを使用して製造されるコンデンサー。
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