JPH0642441B2 - コンデンサー - Google Patents

コンデンサー

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JPH0642441B2
JPH0642441B2 JP28306788A JP28306788A JPH0642441B2 JP H0642441 B2 JPH0642441 B2 JP H0642441B2 JP 28306788 A JP28306788 A JP 28306788A JP 28306788 A JP28306788 A JP 28306788A JP H0642441 B2 JPH0642441 B2 JP H0642441B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、誘電体として二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルムを用いたコンデンサーに関するものである。
〔従来の技術〕
誘電体層にポリプロピレンフィルムを用いたコンデンサ
ーは、誘電正接が小さく絶縁耐力等の電気特性に優れて
いることから常用されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、かかる従来のポリプロピレンフィルムは
蒸着加工時に熱を受ける為、厚みの薄いポリプロピレン
フィルムは加工時の皺が混入しやすく加工ロスが多い。
又必ずしも高絶縁性でなくポリプロピレン固有の優れた
電気特性を十分享受するものではなかった。例えば特公
昭62−14564号公報の様にアイソタクチックペン
タッド分率が高く、沸騰n−ヘプタンでの含有物が小さ
いものがあるが、絶縁耐圧は必ずしも満足するものでは
ない。特開昭61−110906号公報は結晶性の高い
フィルムであるが蒸着加工性を満足するものではなく、
絶縁耐圧においても必ずしも十分ではない。
本発明は、かかる課題に鑑みて、蒸着加工性に優れ、破
壊電圧が高く、寿命の優れたコンデンサーを提供せんと
するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、誘電体の少なくとも一面に金属蒸着層を備え
たコンデンサーにおいて、誘電体として、アイソタクチ
ック度98.0%以上、結晶サイズが13.5nm以
下、融解ピーク温度が165°C以上、135℃のn−
ヘプタンで抽出した成分の結晶化ピーク温度が85℃以
上、面配向度12.0×10-3以上の二軸延伸ポリプロ
ピレンフィルムを用いたことを特徴とする。
本発明において、アイソタクチック度(以下「I.I」
と略記する)とは135℃のn−ヘプタン12時間抽出
後の残渣の重量百分率をいい、本発明に使用するポリプ
ロピレンフィルムのI.Iは98%以上であり、好まし
くは98.5%以上である。
通常のモンテ系触媒であれば、重合温度を低くすること
が立体規則性を高く保つ方法であり、また活性度の高い
触媒系を用いると、立体規則性の高いポリプロピレンを
容易に作ることができる。一例をあげると、特公昭43
−21741号公報に記載されている三塩化チタン、ビ
スジエチルアルミニウム硫酸および三塩化リンを、モル
比で2:1:0.1の割合で用いて常法によって重合し
たポリプロピレンは、極めて高い立体規則性を示す。
この様にして、融解ピーク温度が165℃以上で、I.
Iが98%以上、好ましくは98.5%以上の結晶性の
高いポリプロピレンは重合温度や触媒の選択によって作
ることができる。
I.Iが98.0%未満であれば、フィルム内の非晶部
の割合が高くなり、絶縁耐力の低下ばかりでなく、結晶
性を低下せしめ、蒸着加工時の熱変形により皺の混入に
よる加工ロスが増える傾向にある。なお、I.Iの上限
は特に限定するものではないが、通常99.6%程度で
ある。
本発明に使用するポリプロピレンフィルムのX線広角散
乱での結晶サイズは13,5nm以下であり、好ましく
は13.0nm以下である。13.5nmを越えると、
フィルム内の非晶部のセグメント密度の低下や分子鎖長
さが短くなり、ライフ寿命、すなわち一定課電電圧にお
ける絶縁耐圧の低下につながり寿命が短くなる。結晶サ
イズの下限は特に限定されないが、通常、11.0nm
程度である。
本発明において、融解ピーク温度(以下「Tm」と略記
する)とは、示差走査熱量計(DSC)における融解の
温度をいい、本発明に使用するポリプロピレンフィルム
のTmは165℃以上であり、好ましくは167℃以上
である。165℃未満であれば結晶性の低下により熱変
形による皺の発生や金属表面の欠点発生につながる。T
mの上限は特に限定されないが、通常、172℃程度で
ある。
本発明に使用するポリプロピレンフィルムの135℃の
n−ヘプタン抽出成分の結晶化ピーク温度(以下「Tm
c」と略記する)は、85℃以上であり、好ましくは8
8℃以上である。Tmcの上限は特に限定されないが、
通常、95℃である。
該フィルムを構成するポリプロピレンは、必ずしもポリ
プロピレンホモポリマーからなる必要はなく、本発明の
目的、効果を損なわない範囲で、少量、好ましくは5重
量%以下のポリエチレンやポリ4メチルペンテン1など
の他種ポリオレフィンが混合されてもよい。Tmcが低
くなると絶縁耐力の低下が著しい。
本発明に使用するポリプロピレンフィルムの面配向度は
12.0×10-3以上であり、好ましくは14×10-3
以上である。面配向度が12.0×10-3未満であれ
ば、ヤング率の低下すなわちフィルムの腰が弱く、蒸着
加工時に高温下での抗張力が低下し、フィルムが熱変形
しやすく、この結果として巻取り時に長さ方向に対して
直角の横方向に皺が混入しやすい欠点となる。面配向度
の上限は特に限定されないが、通常、16.0×10-3
程度である。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面粗さは
特に限定されるものではないが、粗さ(Ra)は0.1
μm以下であるのが望ましく、粗さが小さいほど本発明
の効果はより顕著となる。すなわち、粗さが小さい程微
細な結晶が密に存在し、結晶性が高く、フィルムの剛性
も大きく、蒸着時の熱変形を抑制し、皺の発生を大幅に
軽減することができる。
特にフィルム厚みが2〜12μm位の非常に薄いフィル
ムにおいてその効果はより顕著である。
フィルムの構成は単膜に限定されるものではなく、複合
されているものでもよい。
金属蒸着フィルムを用いたコンデンサーにおいては、適
用される蒸着の金属としては、アルミニウム(Al)、
亜鉛(Zn)等、又はそれらの合金が例示できるが、こ
れらに限定されず公知の金属であればいずれであっても
よい。
次に、本発明のコンデンサーの製造法の一例について説
明する。但し、本発明は以下の方法に限定されるもので
はない。
超高活性化触媒を用いて無溶媒の液化プロピレン中で重
合、後処理によって得られたI.Iが98.5〜99.
5%なるポリプロピレン樹脂を230〜285℃に加熱
された押出機に供給し、スリット状の口金から吐出し、
表面温度20〜95℃のチルロールに接触させて冷却固
化し、厚み350〜800μm相当の未延伸フィルムを
得る。
面配向度を高めるにはフィルムを高結晶化させる程好ま
しい値となることからチルロールでの冷却は徐冷が好ま
しい。但し、この場合、β晶生成によりフィルム表面が
粗面化する傾向にあるため、注意する必要がある。
二軸延伸フィルムとする場合、上記未延伸フィルムを1
25〜155℃の温度で加熱した後、長さ方向に4.0
〜5.8倍延伸する。
なお、面配向度を高めるには低い温度で高倍率延伸する
程好ましいが厚み斑を助長することから加熱温度は14
0〜152℃が好ましく、延伸倍率は4.8〜5.5倍
が好ましい。
さらにより好ましくは140〜152℃で4.75〜
5.0倍延伸後、145〜154℃の温度で1.05〜
1.1倍の再延伸を行うことである。
135℃のn−ヘプタンで抽出した成分のTmcは原料
にも依存するが、Tmcを高めるには、溶融ポリマーを
冷却する際、徐冷が好ましい。長さ方向の延伸条件にも
依存し、前述のとおり再延伸を行なうことが好ましい。
次いで、該フィルムをテンター式延伸装置に送り込み、
直角方向(横方向)に7〜12倍延伸する。この時の延
伸温度は140〜165℃である。延伸後140〜16
3℃の温度で10%以下の弛緩をしながら熱処理をす
る。Tmを高めるには高温での熱処理が好ましいが、結
晶サイズが大きくなることから145〜155℃の温度
が好ましい。
次いで、必要に応じてフィルム表面の片面もしくは両面
に必要に応じて表面活性化処理(コロナ放電処理など公
知の放電処理のいずれでもよい)を行ない巻取る。以上
の様にして形成されたフィルムに、真空中でAl、Zn
等の金属を膜抵抗2〜6Ω/□になる様に蒸着して電極
とし、これを2枚重ねて巻回し、必要容量のコンデンサ
ー素子とする。
なお、誘電体は、上記フィルムだけでもよいが、他のフ
ィルムや紙との積層体としてもよい。本発明のコンデン
サーは、乾式、油含浸式のいずれであってもよい。
なお、この発明の特性値は、次の測定法により測定する
ものである。
(1)アイソタチック度(I.I) A.フィルムから重畳W(g)の試料をとり、円筒濾紙
にこれを入れる。
B.抽出器に試料の入った円筒濾紙とn−ヘプタン80
mlを入れ、135℃で12時間抽出を行なう。
C.抽出終了後円筒濾紙を取り外し真空乾燥器で5時間
乾燥後の試料の重量を測定し、その値をW′(g)とす
る。
D.次式によりI.I(%)を求める。
I.I(%)=(W′/W)×100 (2)結晶サイズ 広角X線回析法(反射法)で、印加電圧35kV、15
mA、Scan Speed 1°/min、Time
Const 2sec、FS8000cps、スリッ
ト系、DS SS 1°、RS 0.3mm、フィルター
はニッケルを用い、上記条件で測定後、次式で求め、
(110)面の測定値をフィルムの結晶サイズ(nm)
と定義した。
結晶サイズ=K・λ/(β・cosθ) K:シエラー常数、ここではK=1とした。
λ:0.15418 β:半価幅 θ:ピーク角度 (3)融解ピーク温度(Tm) PERKIN ELMER社製DSC−II型の走査型示
差熱量計を用いて、次の測定条件にて得られた溶融時の
ピーク温度を融解ピーク温度(Tm)と定義した。
試料量:5mg 範囲:5mcal/sec 昇温速度:20℃/分 感度:10mV (4)抽出成分の結晶化ピーク温度(Tmc) I.Iの測定で得られた抽出物を蒸発乾固させた後、前
記の走査型示差熱量計にて降温冷却時のピーク温度を結
晶化ピーク温度(Tmc)と定義した。
試料量:5mg 範囲:5mcal/sec 昇温速度:20℃/分 感度:10mV 溶融温度,保持時間:280℃,5分 (5)面配向度 アッベ屈折計を用いて、フィルムの両面をサリチル酸メ
チルでマウントを行ない、長さ方向、横方向、厚さ方向
の屈折率を測定し、次式にて求めた。
面配向度=(η+η)/2−η ここでη:長さ方向の屈折率 η:横方向の屈折率 η:厚さ方向の屈折率 (6)蒸着加工ロス率 幅530mm、長さ20000mで厚み8μmのフィルム
を3×10-4Torrの真空下でAl金属を膜抵抗2.
5Ω/□を300m/分でマージン3mmを含む幅100
mmとして蒸着加工を行なう。蒸着後100mm幅に裁断し
ながら350m/分の速度で巻取り、折れジワ混入によ
る製品のロス率(%)を、次式にて求めた。ここでは検
査対象蒸着製品本数は500本とした。
(7)絶縁破壊電圧 厚み8μmで膜抵抗2.5Ω/□のAl蒸着された幅1
00mm(マージン幅3mmを含む)のフィルムを用いて素
子巻機で10μFの容量のコンデンサー素子を作製し、
メタリコンを行って端部を融着させる。115℃で5時
間熱処理後端子付けてコンデンサーとする。
このコンデンサーを交流で600Vから1分間課電を行
ない50Vずつ課電圧を昇圧しその破壊電圧を求めた。
破壊電圧はコンデンサー20個の平均値である。
(8)シートV−t破壊率(%) 厚み8μmのフィルムを150mm×150mmのサイズで
サンプリングを行ない、春日電機(株)製AC耐圧試験
機15kVの耐圧装置を用いて陽極に50mmφの黄銅製
電極、陰極に8μmのAl箔を3mm厚のシリコーンゴム
に3枚重巻として、陽極と陰極の間にフィルムをおき、
交流で1kV課電する。課電後から破壊するまでの時間
を求め、60秒以下で破壊する割合を次式にて求めた。
但し、測定総数は50本とした。
〔実施例〕 以下、実施例に基づいて、この発明の実施態様を説明す
る。
実施例1 I.Iが99.3%なるポリプロピレン樹脂を250℃
に加熱された押出機に供給し、スリット状の口金から吐
出し、85℃のチルロールに接触させて冷却固化し、4
40μmの未延伸シートを得た。このシートを145℃
の温度で長さ方向に4.75倍延伸を行なった後、さら
に150℃の温度で1.1倍の延伸を行なった後、直角
方向に160℃の温度で10.5倍延伸後、145℃の
温度で5.0%弛緩しつつ熱処理し、8μmのフィルム
を作った。このフィルムの片面に10W・min/m2
のコロナ放電処理を施した。このフィルムを530mm幅
にスリット後3×10-4Torrの真空下で2.5Ω/
□の膜抵抗でAlの金属をコロナ放電処理面へ蒸着し
た。
マージン幅3mmを含んだフィルム幅100mm幅にスリッ
ト後素子巻機にかけて10μFのコンデンサー素子を作
り常法によってメタリコン115℃で5時間熱処理後リ
ード線の取付けを行なった。このコンデンサーを用いて
交流で600Vから1分間課電を行ない破壊にいたるま
で50Vずつ段階をえて昇圧を行なった。その結果は第
1表に示した通りであって、I.Iが98%以上で結晶
サイズが13.5nm以下、Tmが165℃以上、抽出
成分のTmcが85℃以上、面配向度12.0×10-3
以上のものは、すなわち実施例1のコンデンサーは、後
述の比較例1〜4に比べ明らかに耐電圧の向上している
ことがわかる。
一方、蒸着加工ロス率についても製品中での皺の発生も
なく加工ロスの向上していることが明らかである。
実施例2 I.Iが98.3%なるポリプロピレン樹脂を用いて他
は実施例1と同様の条件で行った。
第1表に示す通り、実施例1と同じく絶縁耐圧、蒸着の
加工性の優れていることがわかる。
比較例1 I.Iが97.5%なるポリプロピレン樹脂を用いて、
チルロール温度は88℃以外は実施例1と同じ条件で未
延伸シートを得た。このシートを150℃の温度で長さ
方向に5.0倍延伸を行った後、直角方向に158℃の
温度で10.0倍延伸後、150℃の温度で5.0%弛
緩しつつ熱処理をし、8μmのフィルムを得た。以後は
実施例1と同様である。第1表の結果で明らかな様に得
られたフィルムは結晶性が低く、結晶サイズが大きくな
り、面配向度が小さく、絶縁耐圧は劣り、蒸着時での熱
変形が大きくなり、皺混入によるロス率が大きくなる。
比較例2 I.I97.5%なるポリプロピレン樹脂を用いて、他
は実施例1と同様の条件で行った。
面配向度が大きくなり、皺混入によるロス率は改良傾向
であるが絶縁耐圧は不十分である。
比較例3 I.Iが98.3%なるポリプロピレン樹脂を用いて、
他は比較例1と同様の条件で行った。
I.Iアップの効果により絶縁耐圧は良化傾向であるが
結晶サイズが大きく、一定課電圧下でのライフ特性はま
だ不十分である。
比較例4 I.Iが99.3%なるポリプロピレン樹脂を用いて比
較例1と同様の条件で行った。
面配向度が小さく、皺混入によるロス率が大きい。
〔発明の効果〕 この発明のコンデンサーは上述した様に、I.Iが98
%以上、結晶サイズが13.5nm以下、Tmが165
℃以上、抽出成分のTmcが85℃以上、面配向度12
×10-3以上の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを誘電
体層としたので従来品に比べて破壊電圧が向上し、か
つ、蒸着加工ロスが小さくなっている。
そのため促進テストでの寿命性で約20%の向上が期待
され、耐電圧を大幅に高めることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体の少なくとも一面に金属蒸着層を備
    えたコンデンサーにおいて、誘電体として、アイソタク
    チック度98.0%以上、結晶サイズが13.5nm以
    下、融解ピーク温度が165℃以上、135℃のn−ヘ
    プタンで抽出した成分の結晶化ピーク温度が85℃以
    上、面配向度12.0×10-3以上の二軸延伸ポリプロ
    ピリンフィルムを用いたことを特徴とするコンデンサ
    ー。
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