JP2022125992A - 金属化フィルム及び素子幅金属化フィルム - Google Patents

金属化フィルム及び素子幅金属化フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2022125992A
JP2022125992A JP2022022164A JP2022022164A JP2022125992A JP 2022125992 A JP2022125992 A JP 2022125992A JP 2022022164 A JP2022022164 A JP 2022022164A JP 2022022164 A JP2022022164 A JP 2022022164A JP 2022125992 A JP2022125992 A JP 2022125992A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
metal
width
metallized film
width direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022022164A
Other languages
English (en)
Inventor
優哉 橋本
Yuya Hashimoto
和之 日當
Kazuyuki Nitto
将裕 中田
Masahiro Nakada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp filed Critical Oji Holdings Corp
Publication of JP2022125992A publication Critical patent/JP2022125992A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

【課題】伸びが抑制され、高い短時間耐電圧を示すフィルムコンデンサ素子を得る金属化フィルム及びそれを含むコンデンサを提供する。【解決手段】金属化フィルム100は、樹脂フィルム110上に、金属A蒸着部120と、金属Aが蒸着されていない絶縁マージン部140と、で構成される。金属A蒸着部は、金属B蒸着部130と、金属B蒸着部の幅方向の両側に金属Bが蒸着されていないアクティブ部121とが形成されてなる。金属B蒸着部は、傾斜部132を含む特定の形状を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、金属化フィルムに関する。
従来、コンデンサとして、誘電体フィルムの表面に金属を蒸着して形成された金属化フィルムを切断して素子幅金属化フィルムとし、当該素子幅金属化フィルムにより製造したコンデンサが用いられている。
このようなコンデンサを製造するための金属化フィルムとしては、樹脂フィルム上に金属蒸着部を形成して、金属化フィルムの流れ方向に、金属蒸着部と、金属が蒸着されていないマージン部とを有する金属化フィルムが用いられる。このような金属化フィルムをマージン部及びヘビーエッジ部において切断し、当該切断された素子幅金属化フィルムを積層又は巻回することにより、コンデンサ素子が製造される。
上述のようなコンデンサ素子を有する金属化フィルムコンデンサとして、例えば、特許文献1には、誘電体フィルムの表面に絶縁マージンを残して金属蒸着電極が形成された金属化フィルムを2枚重ね合わせて一対の金属化フィルムとし、前記一対の金属化フィルムのうち、一方の金属化フィルムの金属蒸着電極が前記誘電体フィルムを介して他方の金属化フィルムの金属蒸着電極に対向すると共に前記絶縁マージンが互いにフィルム幅方向反対側に位置するように積層または巻回してなるコンデンサ素子を有する金属化フィルムコンデンサが開示されている。
特開2014-49711号公報
通常、コンデンサ素子を製造する際は、図9のように切断前の状態で金属化フィルムが製造される。図9は従来の金属化フィルムの断面模式図である。図9において、従来の金属化フィルム500は、樹脂フィルム510上に、金属Aが蒸着された金属A蒸着部520が形成されており、更に、当該金属A蒸着部520の上に、金属Bの蒸着により形成されたヘビーエッジ部531が形成されている。また、金属A蒸着部520が形成されておらず、樹脂フィルム510が露出している絶縁マージン部540が形成されている。後工程で、ヘビーエッジ部531と、絶縁マージン部540とで金属化フィルム500が切断され、素子幅金属化フィルムとなる。
従来の金属化フィルム500は、金属化フィルム500の流れ方向にロール等により一旦巻きとられてロール状とされ、ロールの表面で図10の状態で積層されて後工程に供される。図10は、従来の金属化フィルム500がロール状に巻き取られて積層されている状態を示す断面模式図である。図10では、従来の金属化フィルム500が3層積層されている。なお、図9及び図10において、流れ方向とは、紙面の手前から奥に向かう方向である。
従来の金属化フィルム500は、図10の状態で積層されるため、図11のように、積層された金属化フィルム500のヘビーエッジ部531が積層されて、上に積層された樹脂フィルム510及び金属A蒸着部520と、下に積層された樹脂フィルム510及び金属A蒸着部520との間に空隙ができ、樹脂フィルム510及び金属A蒸着部520にたわみが発生する。このため、樹脂フィルム510及び金属A蒸着部520が伸びることにより、金属化フィルム500に伸びが生じるという問題がある。
また、従来の金属化フィルム500を絶縁マージン部540及びヘビーエッジ部531において切断して製造した素子幅金属化フィルムを用いてコンデンサ素子を製造すると、金属化フィルムの変形による損傷のために、コンデンサ素子の短時間耐電圧が低下するという問題がある。
特許文献1では、切断前の金属化フィルムの金属蒸着部に傾斜が設けられることが開示されているが(特許文献1の図5等参照)、金属化フィルムの伸びを十分に抑制し、当該金属化フィルムを用いて製造されたコンデンサ素子の短時間耐電圧を向上させることができる金属蒸着部の形状については十分に検討されていない。
本発明は、金属化フィルムの伸びが抑制されており、金属化フィルムを切断してなる素子幅金属化フィルムを用いてコンデンサ素子を製造することにより、高い短時間耐電圧を示すコンデンサ素子を得ることができる金属化フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、樹脂フィルム上に、流れ方向に延びる金属A蒸着部と、流れ方向に延びる、金属Aが蒸着されていない絶縁マージン部とが、上記金属化フィルムの幅方向において交互に形成されており、金属A蒸着部上に、幅の割合及び膜抵抗値が特定の範囲の傾斜部を有する金属B蒸着部が形成された金属化フィルム、及び、当該金属化フィルムを切断して製造された素子幅金属化フィルムによれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の金属化フィルム及び素子幅金属化フィルムに関する。
1.金属化フィルムであって、
樹脂フィルム上に、流れ方向に延びる金属A蒸着部と、流れ方向に延びる、金属Aが蒸着されていない絶縁マージン部とが、前記金属化フィルムの幅方向において交互に形成されており、
前記金属A蒸着部上に、金属B蒸着部と、前記金属B蒸着部の幅方向の両側に金属Bが蒸着されていないアクティブ部とが、前記金属化フィルムの流れ方向に形成されており、 前記金属B蒸着部は、幅方向において膜抵抗値が一定であるヘビーエッジ部と、前記ヘビーエッジ部の幅方向の両側に、幅方向の両端部で膜抵抗値が異なる傾斜部とを有し、
前記金属化フィルムの幅方向に沿った断面における、前記ヘビーエッジ部の幅方向中央を通り厚み方向に延びる中心線を境界とする幅方向の両側のそれぞれにおいて、前記ヘビーエッジ部の幅La、前記傾斜部の幅Lb、及び、前記アクティブ部の幅Lcの合計に対する、前記傾斜部の幅Lbの割合が、15~70%であり、
前記傾斜部の幅方向における、前記ヘビーエッジ部側の端部の膜抵抗値が5Ω/□以上14.5Ω/□未満であり、且つ、前記アクティブ部側の端部の膜抵抗値が14.5Ω/□以上40Ω/□以下である、
金属化フィルム。
2.前記樹脂フィルムの厚みは、1μm以上5μm未満である、項1に記載の金属化フィルム。
3.前記樹脂フィルムは、ポリプロピレンフィルムである、項1又は2に記載の金属化フィルム。
4.前記ポリプロピレンフィルムに含まれるポリプロピレンのメソペンタッド分率が98%未満である、項3に記載の金属化フィルム。
5.素子幅金属化フィルムであって、
樹脂フィルム上の幅方向の一方側に、流れ方向に延びる金属A蒸着部と、幅方向の他方側に、流れ方向に延びる、金属Aが蒸着されていない絶縁マージン部とが形成されており、
前記金属A蒸着部上の幅方向において前記絶縁マージン部側とは反対の一方側に、流れ方向に延びる金属B蒸着部と、幅方向の他方側に、流れ方向に延びる、金属Bが蒸着されていないアクティブ部とが形成されており、
前記金属B蒸着部は、幅方向において前記アクティブ部側とは反対の一方側に、幅方向において膜抵抗値が一定であるヘビーエッジ部と、幅方向の他方側に、幅方向の両端部で膜抵抗値が異なる傾斜部とを有し、
前記素子幅金属化フィルムの幅方向に沿った断面において、前記ヘビーエッジ部の幅La、前記傾斜部の幅Lb、及び、前記アクティブ部の幅Lcの合計に対する、前記傾斜部の幅Lbの割合が、15~70%であり、
前記傾斜部の幅方向における、前記ヘビーエッジ部側の端部の膜抵抗値が5Ω/□以上14.5Ω/□未満であり、且つ、前記アクティブ部側の端部の膜抵抗値が14.5Ω/□以上40Ω/□以下である、
素子幅金属化フィルム。
6.項5に記載の素子幅金属化フィルムを含む、コンデンサ。
本発明の金属化フィルムは、伸びが抑制されている。このため、本発明の金属化フィルムを切断してなる素子幅金属化フィルムを用いて製造されたコンデンサ素子は、高い短時間耐電圧を示すことができる。
本発明の金属化フィルムの平面模式図である。 本発明の金属化フィルムの断面模式図である。 本発明の金属化フィルムにおいて、傾斜部の幅Lbの割合の算出方法を示す図である。 本発明の金属化フィルムがロール状に巻き取られて積層されている状態を示す断面模式図である。 本発明の金属化フィルムの傾斜部の傾斜の形態を示す断面模式図である。 本発明の金属化フィルムの製造方法の一例を示す概念図である。 本発明の素子幅金属化フィルムの断面模式図である。 比較例1-2における金属蒸着部を示す平面模式図である。 従来の金属化フィルムの断面模式図である。 従来の金属化フィルムがロール状に巻き取られて積層されている状態を示す断面模式図である。 従来の金属化フィルムがロール状に巻き取られて積層され、樹脂フィルム及び金属A蒸着部が伸びて、たわみが発生した状態を示す断面模式図である。
本明細書中において、「コンデンサ」なる表現については、「コンデンサ」、「コンデンサ素子」、及び「フィルムコンデンサ」という概念を含む。
本明細書中において、「流れ方向」は、金属化フィルム及び素子幅金属化フィルムの機械方向(MD方向)であり「幅方向」は、金属化フィルム及び素子幅金属化フィルムにおいて、機械方向と直交する方向(TD方向)である。
1.金属化フィルム
本発明の金属化フィルムを、図を用いて説明する。図1は本発明の金属化フィルムの平面模式図である。なお、図1において、流れ方向は紙面の左右方向であり、幅方向は、紙面の上下方向である。
図1において、本発明の金属化フィルム100は、樹脂フィルム上に、金属A蒸着部及び金属B蒸着部により構成される、流れ方向に延びる金属蒸着部150が複数個形成されている。また、金属蒸着部150の間には、金属が蒸着されていない絶縁マージン部140が形成されている。以下に、図2及び図3を用いて本発明の金属化フィルムの構成について詳細に説明する。
図2は、本発明の金属化フィルムの断面模式図である。なお、図2において、流れ方向は紙面の手前から奥に向かう方向であり、幅方向は紙面の左右方向である。
図2において、本発明の金属化フィルム100は、樹脂フィルム110上に、流れ方向に延びる金属A蒸着部120と、流れ方向に延びる、金属Aが蒸着されていない絶縁マージン部140とが、上記金属化フィルム100の幅方向において交互に形成されている。また、上記金属A蒸着部120上に、金属B蒸着部130と、上記金属B蒸着部130の幅方向の両側に金属Bが蒸着されていないアクティブ部121とが、上記金属化フィルム100の流れ方向に形成されている。上記金属B蒸着部130は、幅方向において膜抵抗値が一定であるヘビーエッジ部131と、上記ヘビーエッジ部131の幅方向の両側に、幅方向の両端部である132e1と、132e2とで膜抵抗値が異なる傾斜部132とを有している。
本発明の金属化フィルム100は、上記傾斜部132の幅方向における、上記ヘビーエッジ部131側の端部132e1の膜抵抗値が5Ω/□以上14.5Ω/□未満であり、且つ、上記アクティブ部121側の端部132e2の膜抵抗値が14.5Ω/□以上40Ω/□以下である。
図3は、本発明の金属化フィルムにおいて、傾斜部Lbの幅の割合の算出方法を示す図である。なお、図3において、流れ方向は紙面の手前から奥に向かう方向であり、幅方向は紙面の上下方向であり、厚み方向は紙面の左右方向である。
図3において、本発明の金属化フィルムは、金属化フィルム100の幅方向に沿った断面における、上記ヘビーエッジ部131の幅方向中央を通り厚み方向に延びる中心線C1の両側のそれぞれの領域において、上記ヘビーエッジ部131の幅La、上記傾斜部132の幅Lb、及び、上記アクティブ部121の幅Lcの合計に対する、上記傾斜部の幅Lbの割合が、15~70%である。
上記特徴を有する本発明の金属化フィルム100は、金属B蒸着部130が、金属化フィルム100の幅方向の両端部で膜抵抗値が異なる傾斜部132を有している。また、金属化フィルム100の幅方向における、ヘビーエッジ部131、傾斜部132、及び、アクティブ部121の長さの合計に対する、傾斜部132の長さの割合が、15~70%となっており、傾斜部132の、ヘビーエッジ部側の端部132e1の膜抵抗値が5Ω/□以上14.5Ω/□未満であり、且つ、傾斜部132の、アクティブ部側の端部132e2の膜抵抗値が14.5Ω/□以上40Ω/□以下となっている。このため、図2のように、傾斜部132が、ヘビーエッジ部側の端部132e1から、アクティブ部側の端部132e2に向かって傾斜している構成となる。
上記構成の本発明の金属化フィルム100をロールに巻き取り積層することにより、図4の状態となり、樹脂フィルム110、金属A蒸着部120、及び傾斜部132の伸びが抑制される。このような金属化フィルム100を切断して素子幅金属化フィルムとし、当該素子幅金属化フィルムを用いてコンデンサ素子を製造すると、金属化フィルムの変形による損傷が抑制されているため、短時間耐電圧が高いコンデンサ素子となる。
図2に示すように、本発明の金属化フィルム100は、樹脂フィルム110上に、流れ方向に延びる金属A蒸着部120と、流れ方向に延びる、金属Aが蒸着されていない絶縁マージン部140とが、前記金属化フィルム100の幅方向において交互に形成されている。
樹脂フィルム110を形成する樹脂は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の絶縁性を有する樹脂を用いることができる。これらの中でも、樹脂フィルム110の伸び抑制の効果が顕著となる観点から、樹脂フィルム110の主成分がポリプロピレンであることが好ましく、樹脂フィルム110がポリプロピレンフィルムであることがより好ましい。
なお、上記「主成分」とは、樹脂フィルム中に固形分換算で50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、よりさらに好ましくは97質量%以上含むことをいう。
上記樹脂フィルム110を形成する樹脂がポリプロピレンである場合、ポリプロピレンの含有量は、樹脂フィルム全体を100質量%として、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。上記ポリプロピレンの含有量の上限は、樹脂フィルム110全体を100質量%として、例えば、100質量%、98質量%等である。上記ポリプロピレンは、一種のポリプロピレンを単独で含むものであってもよく、二種以上のポリプロピレンを含むものであってもよい。上記ポリプロピレンは、ホモポリプロピレンであることが好ましい。
樹脂フィルム110を形成する樹脂がポリプロピレンである場合、ポリプロピレンのメソペンタッド分率([mmmm])は、98.0%未満であることが好ましく、97.5%以下であることがより好ましく、97.4%以下であることがさらに好ましく、97.0%以下であることが特に好ましい。また、ポリプロピレンのメソペンタッド分率は、94.0%以上であることが好ましく、94.5%以上であることがより好ましく、95.0%以上がさらに好ましい。メソペンタッド分率が上記数値範囲内であると、適度に高い立体規則性によって樹脂の結晶性が適度に向上し、初期耐電圧性および長期間に渡る耐電圧性が向上する一方、キャスト原反シートを成形する際の適度な固化(結晶化)速度によって所望の延伸性を得ることができる。
メソペンタッド分率([mmmm])は、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって得ることができる立体規則性の指標である。具体的には、例えば、日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT-NMR)、JNM-ECP500を利用して測定することができる。観測核は、13C(125MHz)であり、測定温度は、135℃、ポリプロピレン樹脂を溶解する溶媒にはオルト-ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1)を用いることができる。高温NMRによる測定方法は、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版 高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、第610頁」に記載の方法を参照して行うことができる。
測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は、9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準は、CH(mmmm)=21.7ppmとすることができる。
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmm及びmrrm等)に由来する各シグナルの強度の積分値に基づいて百分率で計算される。mmmm及びmrrm等に由来する各シグナルは、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等を参照して帰属することができる。
樹脂フィルム110(絶縁マージン部140)の厚みは、好ましくは0.8μm以上、より好ましくは1.2μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2.0μm以上である。また、上記樹脂フィルム110厚みは、好ましくは3.5μm以下、より好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは2.9μm以下、特に好ましくは2.8μm以下である。なお、本明細書における樹脂フィルム110(絶縁マージン部140)の厚みは、外側マイクロメータ(株式会社ミツトヨ製 高精度デジマチックマイクロメータ MDH-25MB)を用いて、JIS K 7130:199 A法に準拠して測定される厚みである。
上記樹脂フィルム110の厚みが3.0μm以下であると、コンデンサ素子としたときの単位体積当たりの静電容量を大きくすることができるため、コンデンサ用として好適に使用できる。また、樹脂フィルム110の製膜安定性の観点、及び、熱収縮率が大きくなることを抑制する観点から、上記樹脂フィルム110の厚みは0.8μm以上とすることができる。
この点について、詳細に説明する。樹脂フィルムは、厚みが薄いほど、単位体積当たりの静電容量を大きくできる。より具体的に説明すると、静電容量Cは、誘電率ε、電極面積S、誘電体厚さd(樹脂フィルムの厚さd)を用いて、以下のように表される。
C=εS/d
ここで、フィルムコンデンサの場合、電極の厚みは、樹脂フィルム(誘電体)の厚みと比較して3桁以上薄いため、電極の体積を無視すると、コンデンサの体積Vは、以下のように表される。
V=Sd
従って、上記2つの式より、単位体積当たりの静電容量C/Vは、以下のように表される。
C/V=ε/d
上記式から分かるように、単位体積当たりの静電容量(C/V)は、樹脂フィルム厚みの自乗に反比例する。また、誘電率εは、使用する材料により決まる。そうすると、材料を変更しない限りは、厚みを薄くすること以外で単位体積当たりの静電容量(C/V)を向上させることはできないことが分かる。
なお、電極面積は、単位体積当たりの静電容量(C/V)に影響しない。この点について以下に説明する。同じ材料、同じ厚さの樹脂フィルムを巻回してコンデンサを作製する場合を想定する。例えば、ターン数(巻き数)を増やして、10倍長く(電極面積を10倍大きく)巻いたとする。そうすると、静電容量は10倍になるが、体積も10倍になるので単位体積当たりの静電容量(C/V)は、電極面積が変化しても変わらない。
上記説明は、理解を容易にするために理想化している。つまり、実際には、例えば、樹脂フィルム間にわずかな空隙が存在する場合があることや、電極端でのフリンジ効果の影響があること等により、面積に応じて単位体積当たりの静電容量(C/V)の値に多少の変化が見られる場合はある。しかしながら、一般的には、単位体積当たりの静電容量(C/V)は、樹脂フィルムの厚みによって決まるということが理解できる。
以上より、上記樹脂フィルムの厚み、耐電圧性が担保される範囲内で、なるべく薄くすることが好ましい。そこで、上記樹脂フィルムの厚みは、3.0μm以下であることが好ましい。
一方、樹脂フィルムの厚みが薄くなると、上記熱収縮率は大きくなる傾向にある。そのため、厚みが薄すぎると、コンデンサにして長期使用した際にメタリコン電極が剥離するおそれが増大する。そこで、上記樹脂フィルムの厚みは、0.8μm以上であることが好ましい。
金属A蒸着部120(アクティブ部121)を形成する金属としては、特に限定されず、例えば、亜鉛、鉛、銀、クロム、アルミニウム、銅、またはニッケルなどの金属単体、それらの複数種の混合物、及びそれらの合金などを使用することができるが、環境、経済性及びコンデンサ性能などを考慮すると、アルミニウムが好ましい。
金属A蒸着部120(アクティブ部121)の膜抵抗値は、アクティブ部121の厚みを適度な厚みとする観点から、25~70Ω/□が好ましく30~65Ω/□がより好ましく、45~60Ω/□がより好ましい。
なお、本明細書における膜抵抗値の測定方法は、実施例記載の方法による。
金属B蒸着部130(ヘビーエッジ部131及び傾斜部132)を形成する金属としては特に限定されず、例えば、亜鉛、鉛、銀、クロム、アルミニウム、銅、またはニッケルなどの金属単体、それらの複数種の混合物、及びそれらの合金などを使用することができる。これらの中でも亜鉛が好適に用いられる。
金属B蒸着部130のうち、ヘビーエッジ部131の膜抵抗値は、傾斜部132の形状と整合させる観点から、5Ω/□以上14.5Ω/□未満が好ましく、7Ω/□以上14Ω/□以下がより好ましい。
金属B蒸着部130のうち、傾斜部132は、幅方向の両端部132e1と132e2とで膜抵抗値が異なる。幅方向の両端部で膜抵抗値が異なることにより、両端部で膜厚が異なる構成となり、傾斜が形成される。本明細書における傾斜とは、金属化フィルムの幅方向断面において、傾斜部132の膜厚が幅方向において変化している状態を意味する。
本発明の金属化フィルムにおいては、傾斜部132の幅方向における、ヘビーエッジ部側の端部132e1の膜抵抗値が5Ω/□以上14.5Ω/□未満であり、且つ、アクティブ部側の端部132e2の膜抵抗値が14.5Ω/□以上40Ω/□以下である。ヘビーエッジ部側の端部132e1の膜抵抗値がアクティブ部側の端部132e2の膜抵抗値よりも低いため、ヘビーエッジ部側の端部132e1の膜厚がアクティブ部側の端部132e2の膜厚よりも厚い形態の傾斜となる。
なお、傾斜部132の幅方向における、上記ヘビーエッジ部側の端部132e1は、金属化フィルムの幅方向断面においてヘビーエッジ部131と傾斜部132との境界から、幅方向において2mm以内の傾斜部側の箇所である。このため、傾斜部132の幅方向における、ヘビーエッジ部側の端部132e1の膜抵抗値は、金属化フィルムの幅方向断面においてヘビーエッジ部131と傾斜部132との境界から、幅方向において2mm傾斜部側の箇所で測定される膜抵抗値であってもよい。また、傾斜部132の幅方向における、上記アクティブ部側の端部132e2は、金属化フィルムの幅方向断面においてアクティブ部121と傾斜部132との境界から、幅方向において2mm以内の傾斜部側の箇所である。このため、傾斜部132の幅方向における、アクティブ部側の端部132e2の膜抵抗値は、金属化フィルムの幅方向断面においてアクティブ部121と傾斜部132との境界から、幅方向において2mm傾斜部側の箇所で測定される膜抵抗値であってもよい。本発明の金属化フィルムの傾斜部の幅方向における、ヘビーエッジ部側の端部の膜抵抗値、及び、アクティブ部側の端部の膜抵抗値は、それぞれ上述の端部において測定される膜抵抗値である。
傾斜部132が形成する傾斜の形態は、金属化フィルムの幅方向に沿った断面において、図5の(5-A)のように直線的に傾斜する形態に限定されない。例えば、(5-B)又は(5-C)のように、曲線的に傾斜する形態であってもよい。
傾斜部の幅方向における、ヘビーエッジ部側の端部132e1の膜抵抗値は7Ω/□以上14Ω/□以下が好ましい。また、傾斜部の幅方向における、アクティブ部側の端部132e2の膜抵抗値は15Ω/□以上35Ω/□以下が好ましい。膜抵抗値を上記範囲とすることにより、金属化フィルム100の伸びを抑制するためにより一層適度な傾斜とすることができる。
図3において示される、ヘビーエッジ部の幅La、傾斜部の幅Lb、及び、アクティブ部の幅Lcの合計に対する、傾斜部の幅Lbの割合は、15~70%である。傾斜部の幅Lbの割合が上記範囲外であると、樹脂フィルム110、金属A蒸着部120及び傾斜部132の伸びの抑制が十分でなく、金属化フィルム100を切断して製造した素子幅金属化フィルムを用いて製造されたコンデンサ素子の短時間耐電圧が低下する。幅Lbの割合の下限値は、16%以上が好ましく、17%以上がより好ましい。また、幅Lbの割合の上限値は、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下が更に好ましい。なお、本明細書における傾斜部の幅Lbの割合の測定方法は、実施例記載の方法による。
以上説明した本発明の金属化フィルム100は、図2のように、傾斜部132が、ヘビーエッジ部側の端部132e1から、アクティブ部側の端部132e2に向かって特定の厚みで傾斜しているので、金属化フィルム100を積層することにより、図4の状態となり、樹脂フィルム110、金属A蒸着部120及び傾斜部132の伸びが抑制される。
上記金属化フィルム100を絶縁マージン部140及びヘビーエッジ部131において切断して素子幅金属化フィルムを製造すると、金属化フィルムの変形による損傷が抑制された素子幅金属化フィルムを得ることができる。当該損傷が抑制された素子幅金属化フィルムを用いてコンデンサ素子を製造することにより、短時間耐電圧が高いコンデンサ素子を得ることができる。
2.金属化フィルムの製造方法
本発明の金属化フィルムの製造方法について説明する。本発明の金属化フィルムの製造方法としては特に限定されず、以下に説明する製造方法で製造されていることが好ましい。
上記製造方法は、樹脂フィルムを準備する工程Aと、上記工程Aで準備した上記樹脂フィルム上に金属蒸着部を積層する工程Bとを少なくとも有する。
(工程A)
上記樹脂フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムである場合、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造するための延伸前のキャスト原反シートは、例えば、以下のようにして作製することができる。
まず、樹脂ペレット、ドライ混合された樹脂ペレット、又は、予め溶融混練して作製した樹脂ペレットを押出機に供給して、加熱溶融する。溶融混練の温度は、樹脂の種類によって異なるが、ポリプロピレン樹脂の場合、加熱溶融時の押出機設定温度は、220~280℃ が好ましく、230~270℃ がより好ましい。また、加熱溶融時の樹脂温度は、220~280℃が好ましく、230~270℃がより好ましい。加熱溶融時の樹脂温度は、押出機に挿入された温度計にて測定される値である。なお、加熱溶融時の押出機設定温度、樹脂温度は、使用する樹脂の物性も考慮して選択する。なお、加熱溶融時の樹脂温度を前記数値範囲内にすることにより、樹脂の劣化を抑制することもできる。
次に、Tダイを用いて溶融樹脂をシート状に押し出し、少なくとも1個以上の金属ドラムで、冷却、固化させることで、未延伸のキャスト原反シートを成形する。上金属ドラムの表面温度(押し出し後、最初に接触する金属ドラムの温度)は、50~100℃であることが好ましく、より好ましくは、60~80℃である。上記金属ドラムの表面温度は、使用する樹脂の物性等に応じて決定することができる。
上記キャスト原反シートの厚さは、樹脂フィルムを得ることができる限り、特に制限されることはないが、通常、0.05mm~2mmであることが好ましく、0.1mm~1mmであることがより好ましい。
(工程B)
工程Bは、上記工程Aで準備した上記樹脂フィルム上に金属蒸着部を積層する工程である。ただし、本発明の金属化フィルムを製造する製造方法に係る工程Bは、以下に記載の工程に限定されない。
樹脂フィルム上に金属蒸着部を積層する方法としては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法を例示することができる。生産性及び経済性などの観点から、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法として、一般的にるつぼ法式やワイヤー方式などを例示することができるが、特に限定されることはなく、適宜最適なものを選択することができる。
前記真空蒸着法における蒸着条件として、冷却ロールの温度は、-23℃以上が好ましく、-22℃以上がより好ましく、-20℃以上がさらに好ましい。冷却ロールの温度を-23℃以上とした場合、金属蒸着部形成時に樹脂フィルムを大きく熱収縮させることができ、得られる金属化フィルムの熱収縮率を小さくできる傾向にある。上記冷却ロールの温度は、樹脂フィルムの熱負けを抑制する観点から、-18℃以下が好ましく、-19℃以下がより好ましい。
上記真空蒸着法において、蒸発源の温度は、通電量で制御する。上記真空蒸着法における蒸着条件として、蒸発源への通電量は、650A以上であることが好ましく、700A以上であることがより好ましく、800A以上であることがさらに好ましい。上記通電量は、樹脂フィルムの熱負けを抑制する観点から、900A以下であることが好ましく、850A以下であることがより好ましい。
以上説明した製造方法を、図を用いて具体的に説明する。図6は、本発明の金属化フィルム100の製造方法の一例を示す概念図である。図6において示す製造装置は、樹脂フィルム供給部301と、絶縁マージン部形成部302と、蒸着部304と、巻き取り部305とを備える。
樹脂フィルム供給部301では、樹脂フィルム110がロール状に巻回された樹脂フィルムロール110Rから樹脂フィルム110が供給され、絶縁マージン部形成部302に搬送される。
絶縁マージン部形成部302では、樹脂フィルム110の一方の面110aに絶縁マージン部のパターンに対応するパターンのオイルを塗布してオイルマスクを形成する。当該オイルマスクにより、金属化フィルム100の絶縁マージン部140となる部分への、後工程での金属粒子の付着が防止され、絶縁マージン部140が形成される。オイルを塗布する方法としては、例えば、オイルを気化してノズル(スリット)から吐出し、塗布する方法が挙げられる。
パターン形成部303は、樹脂フィルム110の一方の面110aに、金属A蒸着部のパターンに概ね対応するパターンでオイルを塗布し、オイルマスクを形成する。当該オイルマスクは、金属化フィルムにおいて、金属A蒸着部、金属B蒸着部及びヘビーエッジ部以外の部分に、蒸着工程で金属粒子が付着するのを抑制するためのものである。パターン形成部303は、オイルタンク303aと、アニロックスロール303bと、転写ロール303cと、版ロール303dと、バックアップロール303eを有する。オイルタンク303aは、貯蔵しているオイルを気化してノズルから噴出する。アニロックスロール303bと転写ロール303cは、その外周面にオイルタンク303aのノズルから噴出されたオイルが付着した状態で回転する。バックアップロール303eは樹脂フィルム110を介して版ロール303dと対向し、樹脂フィルムの面110aと反対側の面に当接する。
絶縁マージン部形成部302及びパターン形成部303を通過した樹脂フィルム110は、蒸着部304へと搬送される。
蒸着部304は、金属蒸気生成部304a、304bと、樹脂フィルム110を介して対向する冷却ロール304rとを備える。金属蒸気生成部304aは、金属Aを熱して蒸発させて金属蒸気を発生し、発生させた金属蒸気を樹脂フィルム110の一方の面110aに蒸着させて、金属A蒸着部を形成する。金属蒸気生成部304bは、金属Bを熱して蒸発させて金属蒸気を発生し、金属A蒸着部上に金属B蒸着部を形成する。金属蒸気生成部304bは、金属Bの厚みを厚く形成したい箇所に金属Bが厚く蒸着されるように制御して、幅方向で金属Bの厚みを変化させることにより、傾斜を設けて傾斜部を形成する。また、金属蒸気生成部304bにより、上記傾斜部の形成と同時に、金属Bの厚みを制御してヘビーエッジ部を形成する。なお、金属蒸気生成部304a、304bで発生した金属蒸気は、冷却ロール304rにより冷却されて、金属化フィルム100が製造される。
以上説明した製造方法により製造された金属化フィルム100は、巻き取り部305においてロール状に巻回され、金属化フィルムロール100Rとなる。
3.素子幅金属化フィルム
図3に示される金属化フィルムにおいて、ヘビーエッジ部131の幅方向中央を通り厚み方向に延びる中心線C1と、絶縁マージン部140の幅方向中央を通り厚み方向に延びる中心線C2とで、切断刃等により金属化フィルムの流れ方向に切断することにより、本発明の素子幅金属化フィルムを製造することができる。
以下、本発明の素子幅金属化フィルムの構成について図を用いて説明する。図7は、本発明の素子幅金属化フィルムの断面模式図である。
なお、図7において、本発明の素子幅金属化フィルム200を構成する各部材は、上記説明した本発明の金属化フィルム100を構成する各部材と同一であるので、同一の符号を付する。また、図7において、流れ方向は紙面の手前から奥に向かう方向であり、幅方向は紙面の左右方向である。
図7において、本発明の素子幅金属化フィルム200は、
樹脂フィルム110上の幅方向の一方側に、流れ方向に延びる金属A蒸着部120と、幅方向の他方側に、流れ方向に延びる、金属Aが蒸着されていない絶縁マージン部140とが形成されており、
上記金属A蒸着部120上の幅方向において上記絶縁マージン部140側とは反対の一方側に、流れ方向に延びる金属B蒸着部130と、幅方向の他方側に、流れ方向に延びる、金属Bが蒸着されていないアクティブ部121とが形成されており、
上記金属B蒸着部130は、幅方向において前記アクティブ部121側とは反対の一方側に、幅方向において膜抵抗値が一定であるヘビーエッジ部131と、幅方向の他方側に、幅方向の両端部で膜抵抗値が異なる傾斜部132とを有し、
上記素子幅金属化フィルム200の幅方向に沿った断面において、上記ヘビーエッジ部131の幅La、上記傾斜部132の幅Lb、及び、上記アクティブ部121の幅Lcの合計に対する、上記傾斜部132の幅Lbの割合が、15~70%であり、
上記傾斜部132の幅方向における、上記ヘビーエッジ部131側の端部132e1の膜抵抗値が5Ω/□以上14.5Ω/□未満であり、且つ、上記アクティブ部121側の端部132e2の膜抵抗値が14.5Ω/□以上40Ω/□以下である、
素子幅金属化フィルムである。
上記素子幅金属化フィルムを構成する各部材の詳細な構成については、金属化フィルムと同一である。
4.コンデンサ
本発明は、本発明の素子幅金属化フィルムを含む、コンデンサでもある。
コンデンサを作製する工程では、素子幅金属化フィルムの巻き付け加工が行われる。例えば、素子幅金属化フィルムにおける金属蒸着部と樹脂フィルムとが交互に積層されるように、更には、絶縁マージン部が逆サイドとなるように、2枚1対の上記素子幅金属化フィルムを重ね合わせて巻回すればよい。
続いて、巻回物の両端面に金属を溶射してメタリコン電極を設けることによって、コンデンサを作製する。
コンデンサに対して、更に所定の熱処理を施してもよい。例えば、コンデンサを作製する工程では、コンデンサに対し、80~125℃の温度で1時間以上の真空下にて熱処理を施す工程(以下、「熱エージング」と称することがある)を含んでいてもよい。
熱エージングを施したコンデンサのメタリコン電極には、通常、リード線が溶接される。また、耐候性を付与し、とりわけ湿度劣化を防止するため、コンデンサをケースに封入してエポキシ樹脂でポッティングすることが好ましい。
本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、これらの例は本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
[実施例1]
(1)金属化フィルムの製造
図6に示す製造方法により金属化フィルムを製造した。なお、樹脂フィルム、金属A蒸着部、金属B蒸着部のヘビーエッジ部及び傾斜部を形成する材料として、以下の材料を用いた。
・樹脂フィルム:ポリプロピレン(メソペンタッド分率96mmmm、厚み2.3μm)・金属A蒸着部:アルミニウム
・ヘビーエッジ部(金属B蒸着部):亜鉛
・傾斜部(金属B蒸着部):亜鉛
なお、金属化フィルム製造の際は、傾斜部、ヘビーエッジ部、アクティブ部の幅及び形状を、金属蒸気生成部304a、304bを制御して、表1に記載の特性を示す形状とした。
製造された金属化フィルムを巻き取りロールに搬送して巻き取り、金属化フィルムのロールとした。
(2)素子幅金属化フィルムの製造
金属化フィルムのロールから金属化フィルムを引き出し、図3に示すように金属化フィルムのヘビーエッジ部の幅方向中央を通り厚み方向に延びる中心線C1と、絶縁マージン部の幅方向中央を通り厚み方向に延びる中心線C2とで、切断刃により金属化フィルムの流れ方向に切断し、素子幅金属化フィルムを製造した。
(3)コンデンサの製造
素子幅金属化フィルムにおける金属蒸着部と樹脂フィルムとが交互に積層されるようにし、且つ、絶縁マージン部が逆サイドとなるようにして、2枚1対の素子幅金属化フィルムを重ね合わせて巻回した。次いで、120℃の温度で15時間真空下にて熱処理を行い、熱エージングを施した。次いで、巻回された素子幅金属化フィルムの両端面に金属を溶射してメタリコン電極を設け、コンデンサを製造した。
[実施例2~4]
金属化フィルム製造の際に、傾斜部、ヘビーエッジ部、アクティブ部の形状を、表1に記載の特性を示す形状となるようにした以外は実施例1と同様にして、金属化フィルム、素子幅金属化フィルム、及びコンデンサを製造した。
[比較例1]
(比較例1-1)
金属化フィルム製造の際に、傾斜部、ヘビーエッジ部、アクティブ部の形状を、表1に記載の特性を示す形状、すなわち、傾斜部を有する形状となるようにした以外は実施例1と同様にして、比較例1-1(傾斜部あり:幅方向の長さの割合75%)の金属化フィルム、及び素子幅金属化フィルムを製造した。
(比較例1-2)
比較例1-1とは別途に、傾斜部に代えて、図8に示すように、Yパターンの絶縁スリット402により複数に分割された金属蒸着部401を形成した以外は実施例1と同様にして、傾斜部がない比較例1-2(傾斜部なし)の金属化フィルム、及び素子幅金属化フィルムを製造した。なお、図8において、金属蒸着部401の流れ方向は、紙面の上下方向である。また、Yパターンの絶縁スリット402は、図6に示す金属化フィルムの製造方法において、パターン形成部303で、オイルタンク303aから吐出されたオイルをパターン形状を有する版ロール303bにより樹脂フィルム110の一方の面110aにYパターン状に転写して、オイルマスクを施すことにより形成した。
比較例1-1(傾斜部あり:幅方向の長さの割合75%)及び比較例1-2(傾斜部なし)の素子幅金属化フィルムの金属蒸着部と、樹脂フィルムとが交互に積層されるようにし、且つ、絶縁マージン部が逆サイドとなるようにして、2枚1対の素子幅金属化フィルムを重ね合わせて巻回した。次いで、巻回された素子幅金属化フィルムの両端面に金属を溶射してメタリコン電極を設け、比較例1のコンデンサを製造した。
[比較例2]
傾斜部に代えて、パターン状の絶縁スリットを設けてパターン状の金属蒸着部を形成した以外は実施例1と同様にして、金属化フィルム、素子幅金属化フィルム、及びコンデンサを製造した。パターン状の絶縁スリットは、比較例1-2と同様の方法により、図6のパターン形成部303においてオイルマスクを施すことにより形成した。
[比較例3]
傾斜部に代えて、平坦な金属蒸着部(ベタ)を形成した以外は実施例1と同様にして、金属化フィルム、素子幅金属化フィルム、及びコンデンサを製造した。
[比較例4]
金属化フィルム製造の際に、傾斜部、ヘビーエッジ部、アクティブ部の形状を、表1に記載の特性を示す形状、すなわち、傾斜部を有する形状となるようにした以外は実施例1と同様にして、比較例4(傾斜部あり:幅方向の長さの割合75%)の金属化フィルム、及び素子幅金属化フィルムを製造した。
2枚の比較例4(傾斜部あり:幅方向の長さの割合75%)の素子幅金属化フィルムの金属蒸着部と、樹脂フィルムとが交互に積層されるようにし、且つ、絶縁マージン部が逆サイドとなるようにして、2枚1対の素子幅金属化フィルムを重ね合わせて巻回した。次いで、巻回された素子幅金属化フィルムの両端面に金属を溶射してメタリコン電極を設け、比較例4のコンデンサを製造した。
<測定方法>
各実施例及び比較例について、以下の測定条件により特性を評価した。
(メソペンタッド分率([mmmm]))
各樹脂を溶媒に溶解し、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT-NMR)を用いて、以下の条件で測定した。
高温型核磁気共鳴(NMR)装置:日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT-NMR)、JNM-ECP500
観測核:13C(125MHz)
測定温度:135℃
溶媒:オルト-ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1))
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:9.1μsec(45°パルス)
パルス間隔:5.5sec
積算回数:4,500回
シフト基準:CH(mmmm)=21.7ppm
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrm等)に由来する各シグナルの強度積分値より、百分率(%)で算出した。mmmmやmrrm等に由来する各シグナルの帰属に関し、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等のスペクトルの記載を参考とした。
(傾斜部の幅Lbの割合)
金属化フィルム又は素子幅金属化フィルムを幅方向に沿って切断した。幅方向に沿った断面を、デジタルスコープ(株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ VHX-2000)を用いて、レンズ倍率:100倍、測定方法:反射測定の条件で撮影し、図3に示すように、ヘビーエッジ部、傾斜部、アクティブ部の幅方向の長さを計測し、それぞれヘビーエッジ部の幅La、傾斜部の幅Lb、アクティブ部の幅Lcとした。計測結果から、ヘビーエッジ部の幅La、傾斜部の幅Lb、及び、アクティブ部の幅Lcの合計に対する、傾斜部の幅Lbの割合を下記式に従って算出した。
(傾斜部の幅Lbの割合(%))=[Lb/(La+Lb+Lc)]×100
(膜抵抗値)
株式会社三菱ケミカルアナリテック製、低抵抗 抵抗率計ロレスタGX MCP-T610を用い、作製した金属化フィルムにプローブを当てて測定した。測定は、金属化フィルムの幅方向の中央付近のヘビーエッジ部、傾斜部、アクティブ部で行い、それぞれ5箇所の平均値を膜抵抗値とした。なお、傾斜部の幅方向における、ヘビーエッジ部側の端部の膜抵抗値は、金属化フィルムの幅方向断面においてヘビーエッジ部と傾斜部との境界から、幅方向において2mm以内の傾斜部側の箇所で測定した。また、傾斜部の幅方向における、アクティブ部側の端部の膜抵抗値は、金属化フィルムの幅方向断面においてアクティブ部と傾斜部との境界から、幅方向において2mm以内の傾斜部側の箇所で測定した。
(金属化フィルムの伸び評価)
金属化フィルムの金属が蒸着されている面を法線方向から目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、評価がB以上であれば実使用可能な短時間耐電圧を実現できると評価できる。
A:金属化フィルムの伸びが見られず、波打ちが観察されない。
B:金属化フィルムの一部にやや伸びが発生し、若干波打ちが観察される。
C:金属化フィルムの一部に伸びが発生し、波打ちが観察される。
(コンデンサ素子の短時間耐電圧(静電容量の変化率))
コンデンサ素子の試験前の初期静電容量を、日置電機株式会社製LCRハイテスター3522-50を用いて測定した。テストフィクスチャとしては、4端子プローブ9140を用いた。次いで、コンデンサ素子に室温で700Vの直流電圧を10秒間印加した。電圧印加後のコンデンサ素子の静電容量を上記と同様の測定方法で測定し、電圧印加前後の容量変化率を、下記式により算出した。
(静電容量の変化率)={[(電圧印加後の静電容量)-(初期静電容量)]/(初期静電容量)}×100(%)
次いで、電圧を50V上げて直流電圧を10秒間印加した後、静電容量の変化率を上記と同様の方法で測定した。電圧を50Vずつ上げ、静電容量の変化率が-1%となるまで上記操作を繰り返し行い、当該静電容量の変化率が-1%となる電圧を測定した。試験は2個のコンデンサ素子について行い、その平均値を短時間耐電圧とした。
実施例及び比較例の上記特性評価の結果を表1に示す。
Figure 2022125992000002
なお、比較例4では、傾斜部の幅方向の長さの割合が75%であるが、短時間耐電圧が750Vと低くなっている。これは、比較例4では、金属化フィルムにセルフヒーリング(自己修復)が生じ難いためであると考えられる。金属化フィルムコンデンサは、蒸着電極がセルフヒーリング機能を有している。セルフヒーリングは、電圧を印加した際、金属化フィルムに絶縁欠陥などが存在すると、その周囲に短絡電流が流れ、蒸着電極を蒸発・飛散させ、絶縁状態を回復する機能である。比較例4では、金属化フィルムの蒸着金属量が多く、セルフヒーリングに必要なエネルギーが多くなるため、コンデンサ素子の短時間耐電圧が劣っていると考えられる。
100,500.金属化フィルム
110,510.樹脂フィルム
120,520.金属A蒸着部
121.アクティブ部
130.金属B蒸着部
131,531.ヘビーエッジ部
132.傾斜部
140,540.絶縁マージン部
200.素子幅金属化フィルム
301.樹脂フィルム供給部
302.絶縁マージン部形成部
303.パターン形成部
304.蒸着部
305.巻き取り部
401.金属蒸着部
402.Yパターンの絶縁スリット

Claims (6)

  1. 金属化フィルムであって、
    樹脂フィルム上に、流れ方向に延びる金属A蒸着部と、流れ方向に延びる、金属Aが蒸着されていない絶縁マージン部とが、前記金属化フィルムの幅方向において交互に形成されており、
    前記金属A蒸着部上に、金属B蒸着部と、前記金属B蒸着部の幅方向の両側に金属Bが蒸着されていないアクティブ部とが、前記金属化フィルムの流れ方向に形成されており、 前記金属B蒸着部は、幅方向において膜抵抗値が一定であるヘビーエッジ部と、前記ヘビーエッジ部の幅方向の両側に、幅方向の両端部で膜抵抗値が異なる傾斜部とを有し、
    前記金属化フィルムの幅方向に沿った断面における、前記ヘビーエッジ部の幅方向中央を通り厚み方向に延びる中心線を境界とする幅方向の両側のそれぞれにおいて、前記ヘビーエッジ部の幅La、前記傾斜部の幅Lb、及び、前記アクティブ部の幅Lcの合計に対する、前記傾斜部の幅Lbの割合が、15~70%であり、
    前記傾斜部の幅方向における、前記ヘビーエッジ部側の端部の膜抵抗値が5Ω/□以上14.5Ω/□未満であり、且つ、前記アクティブ部側の端部の膜抵抗値が14.5Ω/□以上40Ω/□以下である、
    金属化フィルム。
  2. 前記樹脂フィルムの厚みは、1μm以上5μm未満である、請求項1に記載の金属化フィルム。
  3. 前記樹脂フィルムは、ポリプロピレンフィルムである、請求項1又は2に記載の金属化フィルム。
  4. 前記ポリプロピレンフィルムに含まれるポリプロピレンのメソペンタッド分率が98%未満である、請求項3に記載の金属化フィルム。
  5. 素子幅金属化フィルムであって、
    樹脂フィルム上の幅方向の一方側に、流れ方向に延びる金属A蒸着部と、幅方向の他方側に、流れ方向に延びる、金属Aが蒸着されていない絶縁マージン部とが形成されており、
    前記金属A蒸着部上の幅方向において前記絶縁マージン部側とは反対の一方側に、流れ方向に延びる金属B蒸着部と、幅方向の他方側に、流れ方向に延びる、金属Bが蒸着されていないアクティブ部とが形成されており、
    前記金属B蒸着部は、幅方向において前記アクティブ部側とは反対の一方側に、幅方向において膜抵抗値が一定であるヘビーエッジ部と、幅方向の他方側に、幅方向の両端部で膜抵抗値が異なる傾斜部とを有し、
    前記素子幅金属化フィルムの幅方向に沿った断面において、前記ヘビーエッジ部の幅La、前記傾斜部の幅Lb、及び、前記アクティブ部の幅Lcの合計に対する、前記傾斜部の幅Lbの割合が、15~70%であり、
    前記傾斜部の幅方向における、前記ヘビーエッジ部側の端部の膜抵抗値が5Ω/□以上14.5Ω/□未満であり、且つ、前記アクティブ部側の端部の膜抵抗値が14.5Ω/□以上40Ω/□以下である、
    素子幅金属化フィルム。
  6. 請求項5に記載の素子幅金属化フィルムを含む、コンデンサ。
JP2022022164A 2021-02-17 2022-02-16 金属化フィルム及び素子幅金属化フィルム Pending JP2022125992A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021023646 2021-02-17
JP2021023646 2021-02-17

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022125992A true JP2022125992A (ja) 2022-08-29

Family

ID=83058414

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022022164A Pending JP2022125992A (ja) 2021-02-17 2022-02-16 金属化フィルム及び素子幅金属化フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022125992A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9123471B2 (en) Biaxially stretched polypropylene film, metallized film and film capacitor
JP6657955B2 (ja) ポリプロピレンフィルムおよびフィルムコンデンサ
CN110461915A (zh) 聚丙烯膜、金属膜叠层膜和膜电容器以及它们的制造方法
KR19990064089A (ko) 폴리프로필렌필름 및 그것을 유전체로써 사용한 콘덴서
US9991052B2 (en) Biaxially stretched polypropylene film for capacitor, metallized film, and film capacitor
JPH0584822A (ja) 二軸延伸ポリプロピレンモノフイルム
US9721728B2 (en) Biaxially oriented polypropylene film for capacitor, metallized film, and film capacitor
JP2009000957A (ja) コンデンサ用金属蒸着フィルム、及びそれを用いた金属化フィルムコンデンサ
JP2020200188A (ja) ポリプロピレンフィルムロール及び金属化ポリプロピレンフィルムロール
JP7218618B2 (ja) 二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ
JP2022125992A (ja) 金属化フィルム及び素子幅金属化フィルム
KR20220140496A (ko) 폴리프로필렌 필름, 금속층 일체형 폴리프로필렌 필름, 및 필름 콘덴서
KR20220088435A (ko) 콘덴서용 2축 연신 폴리프로필렌 필름
JP2022125991A (ja) 金属化フィルム及び素子幅金属化フィルム
JPH03197136A (ja) コンデンサ用二軸延伸プラスチックフイルムおよびそれを用いたコンデンサ
JPH11273991A (ja) コンデンサ用ポリプロピレンフィルム及びそれからなるコンデンサ
CN113905884A (zh) 聚丙烯膜卷和金属化聚丙烯膜卷
WO2020045482A1 (ja) 金属層一体型ポリプロピレンフィルム、フィルムコンデンサ、及び、金属層一体型ポリプロピレンフィルムの製造方法
JP2001048998A (ja) 二軸配向ポリプロピレンフィルム
JP3269709B2 (ja) 偏平型コンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルム
CN112638645A (zh) 金属层一体型聚丙烯薄膜、薄膜电容器和金属层一体型聚丙烯薄膜的制造方法
JPH02129905A (ja) コンデンサー
JP2001329076A (ja) ポリフェニレンスルフィドフィルムおよびコンデンサー
US20240181749A1 (en) Metallized polypropylene film
JP2023007667A (ja) 金属層一体型ポリプロピレンフィルム