JP2020200188A - ポリプロピレンフィルムロール及び金属化ポリプロピレンフィルムロール - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリプロピレンフィルムロールから巻き出されたポリプロピレンフィルムに対して、高い平坦性を維持しながら高精度に金属の蒸着加工を施すことができ、得られたコンデンサ素子は、初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性に優れ、また、フィルムのシワやタルミによる巻きズレも抑制され、高い歩留まりでコンデンサ素子を製造することができる、ポリプロピレンフィルムロールを提供する。【解決手段】ポリプロピレンフィルム幅方向の両端から10%おきの位置を中心とする50mm×50mmの測定用サンプルの遅相軸角度の最大値と最小値の差が5°未満である。さらに、ポリプロピレンフィルムロールの両端位置、中央位置、及び中央位置から両端位置に向かって50mm間隔の位置で、それぞれ、円周長を測定した場合に、円周長の平均値Xaveに対する、円周長の最大値と最小値の差の割合が、0.2%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレンフィルムロール及び金属化ポリプロピレンフィルムロールに関する。
従来、電子機器、電気機器などにおいて、例えば高電圧コンデンサ、各種スイッチング電源、コンバータ及びインバータ等のフィルタ用コンデンサ及び平滑用コンデンサ等として、樹脂フィルムを利用したコンデンサが使用されている。このようなコンデンサにおいては、樹脂フィルムはコンデンサ用誘電体フィルムとして、例えば、(i)当該誘電体フィルム上に、例えば、金属蒸着または金属含有ペーストの塗工・乾燥、金属箔や金属粉の接着等の方法で、金属層等の導電層を設けた所謂「金属化フィルム」とする方法、(ii)金属層等の導電層を設けない当該誘電体フィルムと、金属箔または(i)と同様の方法等で金属層を設けた金属化フィルム等の他の導電体を積層すること、等の方法でコンデンサを構成している。コンデンサ用誘電体フィルムは、近年需要が高まっている電気自動車及びハイブリッド自動車等の駆動モーターを制御するインバータ電源機器用コンデンサとしても利用されている。
例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車等のコンデンサの樹脂フィルムとして利用されるポリプロピレンフィルムは、近年、コンデンサの小型化及び高容量化により、フィルムの厚みを薄く、電極面積を大きくすることが要求されている。また、コストダウンの要求から、フィルムの加工幅は広くなり、薄いフィルムを広い幅で仕上げたポリプロピレンフィルムロールを提供することが求められる。
しかしながら、ポリプロピレンフィルムは柔軟性が高いため、薄く広い幅でフィルムを搬送するとシワやタルミが発生し易い。搬送中のフィルムの平坦性の低下は、蒸着工程では蒸着膜の厚みを不均一化させる。
ポリプロピレンフィルムの搬送中のシワを抑制する技術として、例えば、特許文献1には、ポリプロピレンフィルムをコアに巻いてなるフィルムロールであって、ロール最表層の平均硬度が84.0〜94.0°、かつロール最表層の幅方向の硬度バラツキが±2.0°以内であるポリプロピレンフィルムロールが開示されている。
また、特許文献2には、ポリプロピレンフィルムをコアに巻回してなるコンデンサ用ポリプロピレンフィルムロールであり、幅方向におけるロール直径の最大値と最小値の差Rと、ロールの両端の直径の差Hをそれぞれ規定したコンデンサ用ポリプロピレンフィルムロールが開示されている。
国際公開第2018/034182号 特開2015−195367号公報
特許文献1では、ポリプロピレンフィルムロールの硬度を所定値に制御することにより、蒸着工程でのフィルムロールの巻きズレや縦シワ、搬送中での蛇行等のトラブルが防止できるとされている。
しかしながら、ポリプロピレンフィルムロールの硬度は、フィルムロールの仕上げ品質の1つではあるが、フィルム自身の厚みや硬さ、コアの材質や肉厚、フィルム間の空気量、内部応力、フィルム表面間の摩擦などの様々な構成要素の複合特性である。このように、ロールの硬度を決定付ける要素は非常に多く、ロールの硬度を決定づける主たる要素を切り分けることは非常に困難である。したがって、ロールの硬度は、仕上げ品質の目安を得ているに過ぎない。そのため、ロールの硬度の平均値や分布、バラツキなどを制御しても、加工時のシワやタルミを十分には解消できず、得られたコンデンサ素子は必ずしも電気特性に優れるものではない。
特許文献2では、幅方向におけるフィルムロール直径の最大値と最小値の差Rと、フィルムロールの両端の直径の差Hをそれぞれ所定値に制御することにより、巻きズレ発生頻度等のトラブルが防止できるとされている。しかしながら、フィルムロールの前記Rと前記Hを制御しても、フィルムロールから得られたフィルムの加工時におけるシワ抑制効果やタルミ抑制効果、得られたコンデンサ素子としての高温高電圧下での電気特性、に必ずしも優れるものではない。
このような状況下、本発明は、ポリプロピレンフィルムロールから巻き出されたポリプロピレンフィルムに対して、高い平坦性を維持しながら高精度に金属の蒸着加工を施すことができ、得られたコンデンサ素子は、初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性に優れており、また、フィルムのシワやタルミによる巻きズレも抑制され、高い歩留まりでコンデンサ素子を製造することができる、ポリプロピレンフィルムロールを提供することを主な目的とする。また、本発明は、当該コンデンサフィルムロールを利用した、金属化ポリプロピレンフィルムロールを提供することも目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、ポリプロピレンフィルムがコアに巻回されてなるポリプロピレンフィルムロールにおいて、(1)所定の条件で測定される、ポリプロピレンフィルムの遅相軸角度の最大値と最小値の差を5°未満に設定し、かつ、(2)ポリプロピレンフィルムロールの両端位置、中央位置、及び中央位置から両端位置に向かって50mm間隔の位置で、それぞれ、円周長を測定した場合に、円周長の平均値Xaveに対する、円周長の最大値Xmaxと最小値Xminの差(Xmax−Xmin)の割合ΔXを0.2%以下に設定することにより、ポリプロピレンフィルムロールから巻き出されたポリプロピレンフィルムに対して、高い平坦性を維持しながら高精度に金属の蒸着加工を施すことができ、得られたコンデンサ素子は、初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性に優れており、また、ポリプロピレンフィルムのシワやタルミによる巻きズレも抑制され、高い歩留まりでコンデンサ素子を製造することができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
すなわち、本発明には、以下のものが含まれる。
項1. ポリプロピレンフィルムがコアに巻き回されてなるポリプロピレンフィルムロールであって、
下記(1)及び(2)の物性を充足する、ポリプロピレンフィルムロール。
(1)下記(a)乃至(c)の手法により得られる、遅相軸角度の最大値と最小値の差が5°未満である。
(a)前記ポリプロピレンフィルムの幅方向全長を100%とした時、その両端から10%おきの位置を中心とする、50mm×50mmの測定用サンプルを9枚切り出す。
(b)前記測定用サンプルの前記幅方向を0°とし、前記測定用サンプルの幅方向と遅相軸とがなす鋭角の角度を遅相軸角度として測定する。
(c)9枚の測定用サンプルのうち、前記(b)で測定した遅相軸角度の最大値と最小値の差を求める。
(2)前記ポリプロピレンフィルムロールの両端位置、中央位置、及び中央位置から両端位置に向かって50mm間隔の位置で、それぞれ、円周長を測定した場合に、円周長の平均値Xaveに対する、円周長の最大値Xmaxと最小値Xminの差(Xmax−Xmin)の割合ΔXが、0.2%以下である。
項2. 前記ポリプロピレンフィルムは、応力25MPa時の長手方向の歪み率(ε1)と幅方向の歪み率(ε2)と対角方向の歪み率(ε3)が、それぞれ、0.6%以上1.5%以下の範囲にある、項1に記載のポリプロピレンフィルムロール。
項3. 前記ポリプロピレンフィルムの巻取り長さが、10,000m以上である、項1または2に記載のポリプロピレンフィルムロール。
項4. 前記ポリプロピレンフィルムは、幅が200mm以上である、項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルムロール。
項5. 前記ポリプロピレンフィルムは、厚みが6.0μm以下である、項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルムロール。
項6. 前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属膜を積層して、コンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルムを製造するために用いられる、項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルムロール。
項7. 項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルムロールの前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属膜が積層されてなる、金属化ポリプロピレンフィルムロール。
本発明によれば、ポリプロピレンフィルムロールから巻き出されたポリプロピレンフィルムに対して、高い平坦性を維持しながら高精度に金属の蒸着加工を施すことができ、得られたコンデンサ素子は、初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性に優れており、また、フィルムのシワやタルミによる巻きズレも抑制され、高い歩留まりでコンデンサ素子を製造することができる、ポリプロピレンフィルムロールを提供することができる。また、本発明によれば、当該コンデンサフィルムロールを利用した、金属化ポリプロピレンフィルムロールを提供することもできる。
ポリプロピレンフィルムロールからポリプロピレンフィルムが剥離する境界線である剥離線の両端を結ぶ直線の中間点から、剥離線までの最短距離ΔLを測定する方法を説明するための模式図である。 ポリプロピレンフィルムロールの製造方法を説明するための模式図である。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールは、ポリプロピレンフィルムがコアに巻回されてなり、下記(1)及び(2)の物性を充足することを特徴としている。
(1)下記(a)乃至(c)の手法により得られる、遅相軸角度の最大値と最小値の差が5°未満である。
(a)前記ポリプロピレンフィルムの幅方向全長を100%とした時、その両端から10%おきの位置を中心とする、50mm×50mmの測定用サンプルを9枚切り出す。
(b)前記測定用サンプルの前記幅方向を0°とし、前記測定用サンプルの幅方向と遅相軸とがなす鋭角の角度を遅相軸角度として測定する。
(c)9枚の測定用サンプルのうち、前記(b)で測定した遅相軸角度の最大値と最小値の差を求める。
(2)前記ポリプロピレンフィルムロールの両端位置、中央位置、及び中央位置から両端位置に向かって50mm間隔の位置で、それぞれ、円周長を測定した場合に、円周長の平均値Xaveに対する、円周長の最大値Xmaxと最小値Xminの差(Xmax−Xmin)の割合ΔXが、0.2%以下である。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールは、前記(1)及び(2)の物性を充足していることにより、ポリプロピレンフィルムロールから巻き出されたポリプロピレンフィルムに対して、高い平坦性を維持しながら高精度に金属の蒸着加工を施すことができ、得られたコンデンサ素子は、初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性に優れており、また、フィルムのシワやタルミによる巻きズレも抑制され、高い歩留まりでコンデンサ素子を製造することができる。
以下、本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロール、当該ポリプロピレンフィルムロールを利用した、金属化ポリプロピレンフィルムロール、及びコンデンサ素子について詳述する。なお、本明細書において、数値範囲の「〜」とは、以上と以下とを意味する。即ち、α〜βという表記は、α以上β以下、或いは、β以上α以下を意味し、範囲としてα及びβを含む。また、本明細書において、各成分の含有率を示す「質量%」は、断りがない限り非晶性熱可塑性樹脂フィルムを100質量%とした場合の含有量の割合を示す。
また、本明細書中において、「コンデンサ」なる表現は、「コンデンサ」、「コンデンサ素子」及び「フィルムコンデンサ」という概念を含む。また、「ポリプロピレンフィルム」を「フィルム」、「ポリプロピレンフィルムロール」を「フィルムロール」、「金属化ポリプロピレンフィルム」を「金属化フィルム」、及び「金属化ポリプロピレンフィルムロール」を「金属化フィルムロール」というように、省略して表記することがある。また、本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールにおいて、ポリプロピレンフィルムは、微孔性フィルムではないので、多数の空孔を有していない。また、ポリプロピレンフィルムは、2層以上の複数層で構成されていてもよいが、単層で構成されていることが好ましい。
<1.ポリプロピレンフィルムロール>
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールは、ポリプロピレンフィルムがコアに巻回されてなり、前記(1)及び(2)の物性を充足することを特徴としている。
前記(1)の物性は、ポリプロピレンフィルムの遅相軸角度に関する物性である。二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、第一方向およびこれと直交する第二方向の二軸に延伸が施されている。ポリプロピレンフィルムは、二軸延伸によってポリプロピレンが面内に配向されるため、複屈折を有するようになる。ポリプロピレンフィルム面内において、屈折率が最大となる方位は、光の進む速度が遅い(位相が遅れる)方位となることから、遅相軸と呼ばれる。
例えば、逐次二軸延伸方法では、まず、キャスト原反シートを流れ方向(MD方向)に延伸し、引き続き、当該シートを横方向(TD方向(幅方向))に延伸する。この場合、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの遅相軸に関して、第二方向の横方向の屈折率は第一方向の流れ方向の屈折率よりも大きくなる傾向にある。ここでは、第二方向の横方向が遅相軸となる。
横方向(TD方向)の延伸において、完全に横方向へ延伸を施した場合には(完全に流れ方向に対して直交方向へ延伸を施した場合には)、本明細書で定義する遅相軸角度は0°となる。しかしながら、実際には、延伸時にポアソン収縮応力や機械的な外力、フィルムの熱可塑性などが作用し、完全に横方向(TD方向)へ延伸することが出来ず、遅相軸角度は0°よりも大きくなる傾向にある。また、逐次二軸延伸方法では、二軸延伸フィルムの両端ほど遅相軸角度が大きくなる傾向にある。
本実施形態では、前記遅相軸角度の最大値と最小値の差が小さいほど、第一方向の流れ方向(MD方向)と第二方向の横方向(TD方向)の直交二方向の方位に対する光学的な配向軸のズレが小さいといえる。従って、金属化フィルムを作製する際、加熱時の斜め方向の収縮が少なくなり、第一方向と第二方向の熱収縮の均整がとれ易くなる。その結果、加工時におけるシワやタルミが抑制され、フィルムは好適に使用することができる。
本実施形態に係る前記遅相軸角度の最大値と最小値の差は、複屈折などによって示される光学的配向強度の異方性ではなく、つまり配向の大きさと方向そのものではなく、第二方向と遅相軸の最大値と最小値が成す角度、即ち遅相軸角度の幅方向における変動幅を示す。本実施形態では、ロール幅方向(加工幅方向)において前記差を小さく制御することが好適な態様である。前記差を小さく制御することが好適である理由は、柔軟な素材であるポリプロピレンに二軸延伸による配向強度を付与させ一定の機械加工強度を与えたとしても、金属蒸着加工時に起こる熱的寸法変化量は十分に軽減されず、むしろロール幅方向における配向方向のズレや変動を抑制することが面内方向の収縮の方位の均整にはたらき、蒸着膜ムラの少ない金属化フィルムを得ることができるためである。
このようにして得られたコンデンサ素子は、初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性に優れたものになる。また、加工時のシワやタルミによる巻きズレも著しく解消され、コンデンサ素子の歩留性にも優れ、コスト的にも好適なポリプロピレンフィルムロールとして使用できる。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールにおいては、ポリプロピレンフィルムの遅相軸角度の最大値と最小値の差が5°未満に設定されており、かつ、後述の(2)の物性についても充足する(ポリプロピレンフィルムロールの円周長の割合ΔXが、0.2%以下に設定されている)ことから、ポリプロピレンフィルムロールから巻き出されたポリプロピレンフィルムに対して、高い平坦性を維持しながら高精度に金属の蒸着加工を施すことができ、金属膜の膜厚のばらつきが抑制される。さらに、当該ポリプロピレンフィルムから得られたコンデンサ素子は、初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性に優れており、また、フィルムのシワやタルミによる巻きズレも抑制され、高い歩留まりでコンデンサ素子を製造することができる。
遅相軸角度の最大値と最小値の差が5°未満であればよいが、ポリプロピレンフィルムロールから巻き出されたポリプロピレンフィルムに対して、より高い平坦性を維持しながら高精度に金属の蒸着加工を施して、コンデンサ素子の初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性をより一層高め、さらに、ポリプロピレンフィルムのシワやタルミによる巻きズレも抑制して、より高い歩留まりでコンデンサ素子を製造する観点から、好ましくは4.5°以下、より好ましくは4.0°以下、さらに好ましくは3.0°以下が挙げられる。なお、遅相軸角度の最大値と最小値の差の下限値は0°である。
ポリプロピレンフィルムの遅相軸角度の最大値と最小値の差は、実施例に記載の方法により測定することができる。
前記(2)の物性は、ポリプロピレンフィルムロールの両端位置、中央位置、及び中央位置から両端位置に向かって50mm間隔の位置で、それぞれ、円周長を測定した場合に、円周長の平均値Xaveに対する、円周長の最大値Xmaxと最小値Xminの差(Xmax−Xmin)の割合ΔX((Xmax−Xmin)/Xave)が、0.2%以下になることである。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールにおいて、前記円周長の割合ΔXは、0.2%以下であればよいが、前記の観点から、好ましくは0.19%以下、より好ましくは0.18%以下、さらに好ましくは0.17%以下である。なお、前記円周長の割合ΔXの下限については、例えば、0.00%、0.01%などが挙げられる。
ポリプロピレンフィルムロールの前記円周長の割合ΔXは、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールから所定の条件でポリプロピレンフィルムを巻き出した際に形成される剥離線について、剥離線の両端を結ぶ直線の中間点から、剥離線までの最短距離ΔLが20mm以下になることが好ましい。図1の模式図に示すように、剥離線Sは、ポリプロピレンフィルムロール10からポリプロピレンフィルム1が剥離された部分と、剥離されていない部分との境界線である。一般に、ポリプロピレンフィルムロールからポリプロピレンフィルムを巻き出す際には、剥離線は幅方向xに直線状とはならず、ポリプロピレンフィルムの幅方向xの一端から他端(すなわち、剥離線の一方の端部x1から他方の端部x2)に円弧(剥離線Sが巻き出し方向Lに向かう円弧)を描くようにして形成される。ポリプロピレンフィルムロールの厚みが薄く、幅が広いほど、剥離線の最短距離ΔLが大きくなる。なお、ポリプロピレンフィルムロールを上から目視で確認した場合に、透明なポリプロピレンフィルムロールが剥離された部分と剥離されていない部分とは、境界線を挟んで見え方が異なるため、剥離線は目視で認識することができる。
ポリプロピレンフィルムロールの剥離線の最短距離ΔLは、実施例に記載の方法により測定することができる。
前記の観点から、本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールにおいて、剥離線の最短距離ΔLとしては、好ましくは20mm以下、より好ましくは17mm以下、さらに好ましくは14mm以下、特に好ましくは10mm以下である。なお、剥離線の最短距離ΔLの下限については、例えば、0mm、2mmなどが挙げられる。
また、前記の観点から、本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールにおいて、ポリプロピレンフィルムは、応力25MPa時の長手方向(MD)の歪み率(ε1)と幅方向(TD)の歪み率(ε2)と対角方向(45°)の歪み率(ε3)が、それぞれ、0.6〜1.5%の範囲にあることが好ましく、0.6〜1.4%の範囲にあることがより好ましく、0.6〜1.3%の範囲にあることがさらに好ましい。
ポリプロピレンフィルムの歪み率は、ポリプロピレンフィルムロールから巻き出したポリプロピレンフィルムについて測定された値であり、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールにおいて、ポリプロピレンフィルムの厚みは、例えば6.0μm以下であり、薄いポリプロピレンフィルムが巻回されたポリプロピレンフィルムロールについて、前記の(1)及び(2)の物性を好適に充足させる観点から、好ましくは4.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは2.8μm以下であり、特に好ましくは2.5μm以下である。また、前記の(1)及び(2)の物性を好適に充足させる観点から、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは1.0μm以上であり、さらに好ましくは1.5μm以上である。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールにおいて、ポリプロピレンフィルムの幅は200mm以上であればよいが、幅広いポリプロピレンフィルムが巻回されたポリプロピレンフィルムロールについて、前記の(1)及び(2)の物性を好適に充足させる観点から、好ましくは400mm以上、より好ましくは600mm以上、好まし範囲としては600〜1200mm、さらには600〜1000mmである。
また、本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールにおいて、ポリプロピレンフィルムの巻取り長さについては、特に制限されないが、例えば10,000m以上、さらには30,000m以上が挙げられる。なお、ポリプロピレンフィルムの巻取り長さの上限については、例えば、100,000mが挙げられる。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールに巻回されているポリプロピレンフィルムは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムであることが好ましい。前記の(1)及び(2)の物性を好適に充足させる観点から、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの好ましい延伸倍率(縦延伸倍率、横延伸倍率)、逐次二軸延伸方法におけるテンター入口速度比については、後述の<2.ポリプロピレンフィルムロールの製造方法>の欄に記載の通りである。
後述の通り、前記の(1)及び(2)の物性は、ポリプロピレンフィルムの延伸条件などの影響を受ける。流れ方向に延伸する際の延伸温度及び延伸倍率(以下において、それぞれ「縦延伸温度」及び「縦延伸倍率」とも称する)、幅方向に延伸する際の延伸温度、延伸倍率及び延伸角度(以下において、それぞれ「横延伸温度」、「横延伸倍率」及び「横延伸角度」とも称する)、逐次二軸延伸方法におけるテンター入口速度比などを調整することで、前記の(1)及び(2)の物性を調整することができる。なお、本実施形態において好ましい延伸条件の例を、<2.ポリプロピレンフィルムロールの製造方法>の欄において後述する。また、本明細書中、「縦方向」と「流れ方向」は同義であり、「横方向」と「幅方向」は同義である。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールに巻回されているポリプロピレンフィルムは、樹脂としてポリプロピレン樹脂を含む。好ましくは、ポリプロピレンフィルムの主成分がポリプロピレン樹脂であり、より好ましくはフィルムを構成する樹脂成分がポリプロピレン樹脂である。なお、上記「主成分」とは、主成分である樹脂をポリプロピレンフィルム中に固形分換算で50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99質量%以上含むことをいう。以下、ポリプロピレンフィルムに含まれるポリプロピレン樹脂について詳述する。
<ポリプロピレン樹脂>
ポリプロピレン樹脂は、前記の(1)及び(2)の物性を備えるポリプロピレンフィルムロールが得られる限り特に制限されず、ポリプロピレンフィルムを形成するために用いられ得るものを広く使用することができる。ポリプロピレン樹脂としては、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等のプロピレンホモポリマー;プロピレンとエチレンとのコポリマー;長鎖分岐ポリプロピレン;超高分子量ポリプロピレン等が挙げられ、好ましくはプロピレンホモポリマーが挙げられ、中でも耐熱性の観点からより好ましくはアイソタクチックポリプロピレンが挙げられ、さらに好ましくはオレフィン重合用触媒の存在下でポリプロピレンを単独重合して得られるアイソタクチックポリプロピレンが挙げられる。ポリプロピレン樹脂は、1種単独であってもよいし、また、2種以上の組み合わせであってもよい。
ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは25万以上45万以下である。このようなポリプロピレン樹脂を用いると、二軸延伸時に適度な樹脂流動性が得られ、キャスト原反シートの厚みの制御が容易となる。例えば小型かつ高容量型のコンデンサ用に適した、極薄化された二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることが容易となるため好ましい。また、キャスト原反シート及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みのムラが発生し難くなるため好ましい。
ポリプロピレン樹脂の、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として算出される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは7以上12以下である。また分子量分布(Mw/Mn)は、より好ましくは7.1以上であり、さらに好ましくは7.5以上であり、特に好ましくは8以上である。さらに分子量分布(Mw/Mn)は、より好ましくは11以下、さらに好ましくは10以下である。このようなポリプロピレン樹脂を用いると、二軸延伸時に適度な樹脂流動性が得られ、厚みムラのない極薄化された二軸延伸プロピレンフィルムを得ることが容易となるため好ましい。また、このようなポリプロピレン樹脂は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの耐電圧性の観点からも好ましい。
ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)装置を用いて測定することができる。より具体的には、例えば、東ソー株式会社製、示差屈折系(RI)内蔵型高温GPC測定機のHLC−8121GPC−HT(商品名)を使用して測定することができる。Mw及びMnは、例えば以下のようにして測定する。GPCカラムとして、東ソー株式会社製の3本のTSKgel GMHHR−H(20)HTを連結して使用し、カラム温度を140℃に設定して、溶離液としてトリクロロベンゼンを1.0ml/10分の流速で流して、MwとMnの測定値を得る。東ソー株式会社製の標準ポリスチレンを用いてその分子量Mに関する検量線を作成して、測定値をポリスチレン値に換算して、Mw及びMnが得られる。
ポリプロピレン樹脂の、230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、得られるフィルムの延伸性等の観点から、好ましくは7g/10分以下であり、より好ましくは6g/10分以下である。また、ポリプロピレンフィルムの厚みの精度を高める観点から、好ましくは0.3g/10分以上であり、より好ましくは0.5g/10分以上である。なお、前記MFRは、JIS K 7210−1999に準拠して測定することができる。
ポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率([mmmm])は、94%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、96%を超えることがさらに好ましい。また、ポリプロピレン樹脂の上記メソペンタッド分率は、98.5%以下が好ましく、98.4%以下がより好ましく、98%以下がさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂の上記メソペンタッド分率は、94%以上99%以下であることが好ましく、95%以上98.5%以下であることがより好ましい。このようなポリプロピレン樹脂を用いることで、適度に高い立体規則性によって樹脂の結晶性が適度に向上し、初期耐電圧性及び長期間に渡る耐電圧性が向上する。一方で、キャスト原反シートを成形する際の適度な固化(結晶化)速度によって所望の延伸性を得ることができる。
メソペンタッド分率([mmmm])は、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって得ることができる立体規則性の指標である。具体的には、例えば、日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)、JNM−ECP500を使用して測定することができる。観測核は、13C(125MHz)であり、測定温度は、135℃、ポリプロピレン樹脂を溶解する溶媒にはオルト−ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1)を用いることができる。高温NMRによる測定方法は、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、第610頁」に記載の方法を参照して行うことができる。
測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は、9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準は、CH3(mmmm)=21.7ppmとすることができる。立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmm及びmrrm等)に由来する各シグナルの強度の積分値に基づいて百分率で計算される。mmmm及びmrrm等に由来する各シグナルは、例えば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等を参照して帰属することができる。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールの主成分である前記ポリプロピレン樹脂に関して、直鎖ポリプロピレン樹脂が挙げることができる。直鎖ポリプロピレン樹脂は、単独で、又は、2種以上を混合して使用できる。なかでも、下記直鎖ポリプロピレン樹脂A、及び/又は、下記直鎖ポリプロピレン樹脂Bを使用することが好ましい。特に、下記直鎖ポリプロピレン樹脂Aと下記直鎖ポリプロピレン樹脂Bとを併用することが好ましい。下記直鎖ポリプロピレン樹脂A、及び、下記直鎖ポリプロピレン樹脂Bは、ホモポリプロピレン樹脂であることが好ましい。下記直鎖ポリプロピレン樹脂Aと下記直鎖ポリプロピレン樹脂Bの併用としては、下記樹脂A−1と下記樹脂B−1、下記樹脂A−2と下記樹脂B−2、下記樹脂A−3と下記樹脂B−3の組み合わせが好適なものとして挙げられる。但し、本発明では前記ポリプロピレン樹脂として以下の樹脂に限定されない。
<直鎖ポリプロピレン樹脂A>
(直鎖ポリプロピレン樹脂A−1)
230℃におけるメルトフローレート(MFR)が4.0〜10.0g/10minである直鎖ポリプロピレン樹脂。
(直鎖ポリプロピレン樹脂A−2)
重量平均分子量Mwが34万以下である直鎖ポリプロピレン樹脂。
(直鎖ポリプロピレン樹脂A−3)
分子量分布Mw/Mnが8.8以上である直鎖ポリプロピレン樹脂。
である直鎖ポリプロピレン樹脂。
<直鎖ポリプロピレン樹脂B>
(直鎖ポリプロピレン樹脂B−1)
230℃におけるメルトフローレート(MFR)が4.0g/10min未満である直鎖ポリプロピレン樹脂。
(直鎖ポリプロピレン樹脂B−2)
重量平均分子量Mwが34万超えである直鎖ポリプロピレン樹脂。
(直鎖ポリプロピレン樹脂B−3)
分子量分布Mw/Mnが8.8未満である直鎖ポリプロピレン樹脂。
直鎖ポリプロピレン樹脂Aと直鎖ポリプロピレン樹脂Bの併用の場合、その含有量比率は、55質量%以上の前記直鎖ポリプロピレン樹脂Aと、45重量%以下の前記直鎖ポリプロピレン樹脂Bとを含むことが好ましく、60〜85質量%の前記直鎖ポリプロピレン樹脂Aと、40〜15質量%の前記直鎖ポリプロピレン樹脂Bと含むことがより好ましく、60〜80質量%の前記直鎖ポリプロピレン樹脂Aと、40〜20質量%の前記直鎖ポリプロピレン樹脂Bとを含むことが特に好ましい。
(添加剤)
ポリプロピレンフィルムは、更に、添加剤を含むことができる。「添加剤」とは、一般的に、ポリプロピレン樹脂に使用される添加剤であって、ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り特に制限されない。添加剤には、例えば、酸化防止剤、塩素吸収剤や紫外線吸収剤等の必要な安定剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤、着色剤等が含まれる。ポリプロピレンフィルムを製造するためのポリプロピレン樹脂は、そのような添加剤を、ポリプロピレンフィルムに悪影響を与えない量で含むことができる。
(コア)
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールは、ポリプロピレンフィルムがコアに巻き回されてなる。コアは、円柱状又は円筒状であり、コアの円周方向に沿ってポリプロピレンフィルムが巻回されている。
コアの材質としては、ポリプロピレンフィルムロールが前記の(1)及び(2)の物性を充足することを限度として、特に制限されず、変形の少ないプラスチック、繊維強化プラスチック、紙、金属(鉄、SUS、アルミニウム等)等が挙げられる。これらの中でも、軽量かつ高強度であり、前記(1)及び(2)の物性を充足させやすいことから、繊維強化プラスチックが好ましい。繊維強化プラスチックコアとしては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維などを円筒形状に成形し、これに不飽和ポリエステル樹脂などの硬化性樹脂を含浸、硬化させたものなどが挙げられる。
コアのサイズは、目的とするポリプロピレンフィルムロールの大きさに合わせて設定することができる。コアの円径断面の外径としては、例えば50〜500mm程度、より好ましくは、100〜300mm程度が挙げられる。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールに巻回されているポリプロピレンフィルムは、初期耐電圧性が高く、長期的な耐電圧性に優れる。更に、非常に薄くすることも可能なので高い静電容量を発現し易い。従って、小型、かつ、5μF以上、好ましくは10μF以上、さらに好ましくは20μF以上の高容量のコンデンサに極めて好適に使用することができる。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールの製造方法は、前記の(1)及び(2)の物性を充足するものが得られる方法であれば、特に制限されない。本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールの製造方法の好ましい製造方法について、<2.ポリプロピレンフィルムロールの製造方法>の欄に詳述する。
<2.ポリプロピレンフィルムロールの製造方法>
ポリプロピレンフィルムロールの製造方法としては、以下に限定されないが、例えば次の工程1〜5をこの順に含む製造方法が挙げられる。
(1)ポリプロピレン原料樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程1
(2)前記加熱溶融された樹脂組成物を押し出す工程2
(3)前記押し出された樹脂組成物を冷却及び固化してキャスト原反シートを得る工程3
(4)前記キャスト原反シートを流れ方向及び幅方向に延伸して二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得る工程4
(5)二軸延伸ポリプロピレンフィルムを所定の幅に断裁(スリット)しながらポリプロピレンフィルムをコアに巻き取り、ポリプロピレンフィルムロールを得る工程5
以下、ポリプロピレンフィルムロールの製造方法の詳細について説明する。
(ポリプロピレン原料樹脂の製造)
ポリプロピレンフィルムに含まれ得るポリプロピレン原料樹脂は、一般的に公知の重合方法を用いて製造することができる。ポリプロピレン樹脂の製造方法は、製造されたポリプロピレン樹脂を用いて最終的にポリプロピレンフィルムが得られる限り、特に制限されない。そのような重合方法として、例えば、気相重合法、塊状重合法及びスラリー重合法を例示できる。
ポリプロピレン原料樹脂中に含まれる重合触媒残渣等に起因する総灰分は、ポリプロピレンフィルムの電気特性を向上させるために可能な限り少ないことが好ましい。総灰分は、ポリプロピレン樹脂を基準(100重量部)として、好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは40ppm以下であり、特に好ましくは30ppm以下である。また、ポリプロピレンフィルム中の総灰分は、ポリプロピレン樹脂を基準として、0.1ppm以上が好ましく、1ppm以上がより好ましく、5ppm以上がさらに好ましい。
(工程1〜3:キャスト原反シートの製造)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造するための延伸前のシートである「キャスト原反シート」は、例えば、上記のようにして製造したポリプロピレン原料樹脂を用いて、前記の工程1〜3を経て製造することができる。
樹脂組成物としての、ポリプロピレン樹脂ペレット、ドライ混合されたポリプロピレン樹脂ペレット(及び/又は重合粉)あるいは、予め溶融混練して作製した混合ポリプロピレン樹脂ペレット等を押出機に供給して、加熱溶融し(工程1)、ろ過フィルターを通した後、好ましくは170℃〜320℃、より好ましくは200℃〜300℃に加熱溶融してTダイから溶融押し出し(工程2)、好ましくは92℃〜105℃に保持された少なくとも1個以上の金属ドラムで、冷却、固化させることで、キャスト原反シートを成形することができる(工程3)。
本実施形態に係るポリプロピレンフィルムロールに前記の(1)及び(2)の物性を好適に付与する観点から、キャスト原反シートを成形する際の金属ドラムの表面温度は、好ましくは92〜97℃、より好ましくは93〜96℃、さらに好ましくは94〜95℃である。金属ドラムの表面温度がこれらの好ましい範囲であると、β晶分率を好ましい範囲にすることができ、フィルム表面に微細な粗さを形成することができる。92℃を下回ると、フィルム表面が平滑になり、滑りが悪く、加工機のロール上でシワを発生する傾向にある。一方、97℃を超えると、フィルム表面は過剰に粗化されるため、フィルムロールからフィルムを巻き出した際に、巻ズレが発生しやすくなり、また、加工機のロール上でフィルムが蛇行する傾向にある。なお、該β晶分率は、X線法で測定して、好ましくは1%以上50%以下、より好ましくは5%以上30%以下、さらにより好ましくは5%以上20%以下程度である。なお、この値は、β晶核剤を含まない時の値である。前述のβ晶分率の範囲は、コンデンサ特性と素子巻き加工性の両物性を満足させやすいため好ましい。
β晶分率は、X線回折強度測定によって得られ、「A.Turner−Jonesetal.,Makromol.Chem.,75巻,134頁(1964)」に記載されている方法によって算出することができ、K値と呼ばれる。即ち、α晶由来の3本の回折ピークの高さの和とβ晶由来の1本の回折ピークの比によってβ晶の比率が表現される。
上記キャスト原反シートの厚みは、ポリプロピレンフィルムを得ることができる限り特に制限されないが、好ましくは0.05mm〜2mmであり、より好ましくは0.1mm〜1mmである。
(工程4:二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造)
工程4において、前記キャスト原反シートを流れ方向及び幅方向に延伸することにより製造する。延伸は、縦及び横に二軸に配向させる二軸延伸が行われ、延伸方法としては同時又は逐次の二軸延伸方法が挙げられるが、逐次二軸延伸方法が好ましい。
逐次二軸延伸方法としては、例えば、まずキャスト原反シートを135〜147℃(縦延伸温度)程度の温度に保ち、速度差を設けたロール間に通して流れ方向に3〜74.00〜4.95倍(縦延伸倍率)に延伸し、直ちに室温に冷却する。引き続き、当該延伸フィルムをテンターに導いて、テンター入口速度比0.98〜1.014倍、で、150℃以上の温度(横延伸温度)で幅方向に7〜11倍(横延伸倍率)程度に延伸した後、緩和、熱固定(熱固定温度は158〜168℃程度)を施して、テンター速度の1.01〜1.20倍程度の速度にて、テンター出口の引取ロールで巻き取る。巻き取られたフィルムは、20〜45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施された後、所望の製品幅に断裁することができる。
上記製造工程において、縦延伸温度、縦延伸倍率、横延伸温度、横延伸倍率、テンター入口速度比、ポリプロピレン樹脂の分子量分布、溶融時の樹脂温度、キャストフィルムのMFR、横延伸後の幅方向の緩和率、緩和温度、熱固定温度等は、前記の(1)及び(2)の物性に影響を与えるパラメータであり、これらを適宜調節する。これらのパラメータの中でも、縦延伸倍率及びテンター入口速度比は、それぞれ、前記の(1)及び(2)の物性に与える影響の大きいパラメータである。これらの一部について、その調整範囲の一例を以下に示す。但し、本実施形態では上記パラメータとして以下の範囲に限定されるものではない。
<縦延伸温度>
本実施形態の所望の物性を備えさせ易いという観点から、縦延伸温度は、好ましくは135〜147℃、より好ましくは137〜147℃、さらに好ましくは140〜145℃である。縦延伸倍率が、遅相軸角度に影響する理由としては、縦延伸直後の縦延伸フィルムは縦延伸温度の影響で可塑性を有しており、前記のテンター入口速度比で発生した張力が作用することで、ポリマー分子鎖の配向に影響を与えるためと考えられる。
<縦延伸倍率>
本実施形態の所望の物性を備えさせ易いという観点から、縦延伸倍率は、好ましくは4.00〜4.95倍、より好ましくは4〜4.9倍、さらに好ましくは4.2〜4.8倍である。縦延伸倍率が好ましい範囲であると、製膜時の横延伸工程でフィルム破断が抑制され生産性に優れる。また、得られたフィルムは機械強度が適度に高く、加工性に優れる。4.0倍を下回ると、力を付与した際の歪み率(伸長変化)が大きくなる傾向であり、加工機の張力でシワが発生し易くなる。一方、4.95倍を超えると、歪み率が小さいため、巻回時にフィルムロールへの追従性が悪く、不均一に空気を巻き込む傾向にある。そのため、巻き重なったフィルム間の空気層が大きい部位でフィルムが変形し、加工の際にシワ・タルミが特定部位で発生し易くなる。
<横延伸温度>
本実施形態の所望の物性を備えさせ易いという観点から、横延伸温度は、好ましくは150℃以上、より好ましくは155℃以上165℃以下、さらに好ましくは155℃以上160℃未満、特に好ましくは155℃以上159℃以下である。なお、横延伸温度を上記の範囲とするためには、テンター温度を上記の範囲に設定すればよい。
<横延伸倍率>
本実施形態の所望の物性を備えさせ易いという観点から、横延伸倍率は、好ましくは7〜11倍、より好ましくは8〜11倍、さらに好ましくは9〜11倍である。
<テンター入口速度比>
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの遅相軸角度は、流れ方向に延伸して得られた縦延伸フィルムに対するテンター入口速度の比(テンター入口速度比)の影響を受ける。本実施形態の所望の物性を備えさせ易いという観点から、テンター入口速度比(テンター入口速度/MDフィルム速度)は、好ましくは0.98以上1.014以下、より好ましくは1.00以上1.014以下、さらに好ましくは1.001以上1.013以下、さらに好ましくは1.002以上1.012以下、特に好ましくは1.003〜1.010である。この比を1.014以下に調整することで、縦延伸フィルムの張力を撓まない程度に低く抑えることが可能であり、遅相軸角度の幅方向の変動幅(最大−最小)を好適に小さく抑えることができる。遅相軸角度へ影響する理由としては、テンター入口速度比で発生した張力が、縦延伸工程内の縦延伸フィルムへ伝搬することで、ポリマー分子鎖の配向に影響を与えるためだと考えられる。テンター入口速度比(テンター入口速度/縦延伸フィルム速度)を上げる(高くする)と、遅相軸角度の幅方向の変動幅(最大−最小)は大きく、前記比を下げる(低くする)と遅相軸角度の幅方向の変動幅(最大−最小)は小さくなる傾向にある。
また、円周長の割合ΔXは、縦延伸倍率とテンター入口速度比で変化する傾向にある。縦延伸倍率またはテンター入口速度比を過剰に上げると、大きくなる傾向にある。円周長差は、フィルムロールの巻回時において、空気層を不均一に巻き込みながら部分的に硬く巻かれることで大きくなる。その理由としては、縦延伸倍率またはテンター入口速度比を過剰に加えると、二軸延伸後の歪み率が小さくなる傾向にあるため、断裁の巻回時においてフィルムのロールへ追従性が悪くなり(伸び難くなり)、不均一に空気を巻き込む傾向にある。そのため、巻き重なったフィルム間の空気層が大きい部位でバラツキが生じ、円周長差が大きくなる。
このような延伸工程によって、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することができる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面には、巻き適性を向上させつつ、コンデンサ特性をも良好とする適度な表面粗さを付与することが好ましい。
(工程5:スリット及びコアへの巻取工程)
工程5において、工程4で得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムを所定の幅に断裁(スリット)しながら、ポリプロピレンフィルムをコアに巻き取り、ポリプロピレンフィルムロールを得る。例えば、図2の模式図に示すように、工程4の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをロールに巻回して、断裁前フィルムロールを準備する。次に、断裁前フィルムロールからフィルムを巻き出し、巻出し方向にスリッター(スリット部)にて断裁し、断裁されたポリプロピレンフィルムをコアに巻き取り、ポリプロピレンフィルムロールを得る。工程5において、断裁後のポリプロピレンフィルムを巻回する際は、接圧ロールを備える巻き取り装置を用いて、ポリプロピレンフィルムに巻取面圧を付与しながら巻回する方式が採用できる。この時、断裁時の巻取張力及び巻取面圧、さらに、接圧ロールのゴム硬度は、それぞれ、前記の(1)及び(2)の物性に与える影響の大きいパラメータである。
本実施形態のポリプロピレンフィルムロールに対して前記の(1)及び(2)の物性を好適に付与し、さらに最短距離ΔLを好適に20mm以下に設定する観点から、工程5における巻取張力は30〜75N/mが好ましく、より好ましくは40〜70N/m、さらに好ましくは50〜65N/m、特に好ましくは50〜60N/mである。また、工程5における巻取面圧は、200〜440N/mが好ましく、より好ましくは250〜420N/m、さらに好ましくは300〜400N/m、極めて好ましくは320〜400N/mである。
また、工程5における巻出張力は、巻取張力と合わせて設定され、好ましくは30〜70N/m、より好ましくは30〜65N/m、さらに好ましくは35〜60N/mである。
本実施形態のポリプロピレンフィルムロールに対して前記の(1)及び(2)の物性を好適に付与し、さらに最短距離ΔLを好適に20mm以下に設定するする観点から、工程5で用いる接圧ロールのゴム硬度は、好ましくは35°〜65°、より好ましくは40°〜60°、さらに好ましくは40°〜55°である。ゴム硬度が好ましい範囲であると、表面ゴムがフィルムロールの形状に合わせて適度に変形するため、巻回時の面圧は幅方向に均一にかかり易くなる。これにより、得られたフィルムロール内部の空気層は均一化するため、フィルムを巻き出した際、幅方向の剥離位置の差は小さくなる。ゴム硬度が35°を下回ると、表面ゴムがフィルムロールの形状に対し過剰に変形するため、得られたフィルムロール内部の空気層は少なくなり、硬く巻かれる。そのため、巻き重なったフィルム間でブロッキングが発生し易くなり、フィルムを巻き出した際、幅方向の剥離位置の差は大きくなる。ゴム硬度が65°を超えると、表面ゴムがフィルムロールの形状に追従し難く、巻回時の面圧は幅方向で不均一になり、且つ部分的に硬く巻かれ易い。得られたフィルムロールの内部においては、幅方向で空気層にムラがあるため、フィルムを巻き出した際、幅方向の剥離位置の差が大きくなる傾向にある。
<3.金属化ポリプロピレンフィルムロール>
本実施形態は、その一態様において、ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属膜を有する金属化ポリプロピレンフィルムロール、さらには、当該金属化ポリプロピレンフィルムロールから巻き出された金属化ポリプロピレンフィルムも提供する。以下、本実施形態の金属化ポリプロピレンフィルムロール及び金属化ポリプロピレンフィルムについて詳細に説明する。本実施形態の金属化ポリプロピレンフィルムを巻回して得られるコンデンサは、初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性に優れる。
ポリプロピレンフィルムは、コンデンサとして加工するために片面又は両面に電極を付けることができる。そのような電極は、本実施形態が目的とするコンデンサを得ることができる限り特に限定されず、通常コンデンサを製造するために使用される電極を用いることができる。電極として、例えば、金属箔、少なくとも片面を金属化した紙及びプラスチックフィルム等を例示することができる。
コンデンサには、小型及び軽量化が一層要求されるので、本実施形態のフィルムの片面もしくは両面を直接金属化して電極を形成することが好ましい。用いられる金属は、例えば、亜鉛、鉛、銀、クロム、アルミニウム、銅、及びニッケルなどの金属単体、それらの複数種の混合物、及びそれらの合金などを使用することができるが、環境、経済性及びコンデンサ性能などを考慮すると、亜鉛及びアルミニウムが、好ましい。
ポリプロピレンフィルムの表面を直接金属化する方法として、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法を例示することが出来、本実施形態が目的とするコンデンサを得ることができる限り特に限定されない。生産性及び経済性などの観点から、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法として、一般的にるつぼ法式やワイヤー方式などを例示することができるが、本実施形態が目的とするコンデンサを得ることができる限り特に限定されず、適宜最適なものを選択することができる。
金属蒸着膜の膜抵抗は、コンデンサの電気特性の点から、1〜100Ω/□程度が好ましい。この範囲内でも高めであることがセルフヒーリング(自己修復)特性の点から望ましく、膜抵抗は5Ω/□以上であることがより好ましく、10Ω/□以上であることが更に好ましい。また、コンデンサとしての安全性の点から、膜抵抗は50Ω/□以下であることがより好ましく、30Ω/□以下であることが更に好ましい。金属蒸着膜の膜抵抗は、例えば当業者に既知の四端子法によって金属蒸着中に測定することができる。金属蒸着膜の膜抵抗は、例えば蒸発源の出力を調整して蒸発量を調整することによって調節することができる。
フィルムの片面に金属蒸着膜を形成する際、フィルムを巻回した際にコンデンサとなるよう、フィルムの片方の端部から一定幅は蒸着せずに絶縁マージンが形成される。さらに、金属化ポリプロピレンフィルムとメタリコン電極との接合を強固にするため、絶縁マージンと逆の端部に、ヘビーエッジ構造を形成することが好ましく、ヘビーエッジの膜抵抗は通常1〜8Ω/□程度であり、1〜5Ω/□程度であることが好ましい。金属膜の厚みは特に限定されないが、1〜200nmが好ましい。
形成する金属蒸着膜のマージンパターンには特に制限はないが、コンデンサの保安性等の特性を向上させる点からは、フィッシュネットパターン、Tマージンパターン等のいわゆる特殊マージンを含むパターンとすることが好ましい。特殊マージンを含むパターンで金属蒸着膜をポリプロピレンフィルムの片面に形成すると、得られるコンデンサの保安性が向上し、コンデンサの破壊、ショートの抑制等の点からも効果的であり、
好ましい。
マージンを形成する方法としては、蒸着時にテープによりマスキングを施すテープ法、オイルの塗布によりマスキングを施すオイル法等、公知の方法を何ら制限なく使用することができる。
本実施形態の金属化フィルムは、フィルムの長尺方向に沿って巻き付ける巻き付け加工を経て、後述の本実施形態のコンデンサに加工され得る。すなわち、本実施形態の金属化フィルムを2枚1対として、金属蒸着膜とポリプロピレンフィルムとが交互に積層されるように重ね合わせて巻回する。その後、両端面に金属溶射によって一対のメタリコン電極を形成してフィルムコンデンサを作製する工程によりコンデンサが得られる。
<4.コンデンサ>
本発明は、その一態様において、本実施形態の金属化ポリプロピレンフィルムを含むコンデンサを提供する。以下、本実施形態のコンデンサについて詳細に説明する。
コンデンサを作製する工程では、フィルムの巻き付け加工が行われる。例えば、本実施形態の金属化ポリプロピレンフィルムにおける金属膜とポリプロピレンフィルムとが交互に積層されるように、更には、絶縁マージン部が逆サイドとなるように、2枚1対の本実施形態の金属化ポリプロピレンフィルムを重ね合わせて巻回する。この際、2枚1対の本実施形態の金属化フィルムを1〜2mmずらして積層することが好ましい。用いる巻回機は特に制限されず、例えば、株式会社皆藤製作所製の自動巻取機3KAW−N2型等を利用することができる。
扁平型コンデンサを作製する場合、巻回後、通常、得られた巻回物に対してプレスが施される。プレスによってコンデンサの巻締まり・素子成形を促す。層間ギャップの制御・安定化を施す点から、与える圧力は、ポリプロピレンフィルムの厚み等によってその最適値は変わるが、例えば2〜20kg/cm2である。
続いて、巻回物の両端面に金属を溶射してメタリコン電極を設けることによって、コンデンサを作製する。
コンデンサに対して、更に所定の熱処理が施される。すなわち、本実施形態では、コンデンサに対し、80〜125℃の温度で1時間以上の真空下にて熱処理を施す工程(以下、「熱エージング」と称することがある)を含む。
コンデンサに対して熱処理を施す上記工程において、熱処理の温度は、通常80℃以上であり、好ましくは90℃以上である。一方、熱処理の温度は、通常130℃以下であり、好ましくは125℃以下である。上記の温度で熱処理を施すことによって熱エージングの効果が得られる。具体的には、本実施形態の金属化フィルムに基づくコンデンサを構成するフィルム間の空隙が減少し、コロナ放電が抑制され、しかも本実施形態の金属化フィルムの内部構造が変化して結晶化が進む。その結果、耐電圧性が向上するものと考えられる。熱処理の温度が所定温度より低い場合には、熱エージングによる上記効果が十分に得られない。一方、熱処理の温度が所定温度より高い場合には、ポリプロピレンフィルムに熱分解や酸化劣化等が生じることがある。
コンデンサに対して熱処理を施す方法としては、例えば、真空雰囲気下で、恒温槽を用いる方法や高周波誘導加熱を用いる方法等を含む公知の方法から適宜選択してもよい。具体的には、恒温槽を用いる方法を採用することが好ましい。
熱処理を施す時間は、機械的及び熱的な安定を得る点で、1時間以上とすることが好ましく、10時間以上とすることがより好ましいが、熱シワや型付等の成形不良を防止する点で、20時間以下とすることがより好ましい。
熱エージングを施したコンデンサのメタリコン電極には、通常、リード線が溶接される。また、耐候性を付与し、とりわけ湿度劣化を防止するため、コンデンサをケースに封入してエポキシ樹脂でポッティングすることが好ましい。
本実施形態のコンデンサは、本実施形態の金属化フィルムに基づく小型かつ大容量型のコンデンサであって、初期耐電圧性及び高温高電圧下での長期耐用性を有するものである。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り、部及び%はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
(実施例1)
[実施例1−1.キャスト原反シートの作製]
ポリプロピレンA1(PP樹脂A1)と、ポリプロピレンB1(PP樹脂B1)とを、A1:B1=66:34の質量比で押出機へ供給し、樹脂温度230℃で溶融した後、Tダイを用いて押出し、表面温度を95℃に保持した金属ドラムに巻きつけて固化させてキャスト原反シート(厚さ0.11mm)を作製した。PP樹脂A1は、Mw=32万、Mw/Mn=9.3、差(DM)=11.2(「差(DM)」とは、分子量の微分分布曲線において、対数分子量Log(M)=4.5のときの微分分布値からLog(M)=6.0のときの微分分布値を引いた差)、メソペンタッド分率[mmmm]=95%、MFR=4.9g/10min、プライムポリマー製である。また、PP樹脂B1は、Mw=35万、Mw/Mn=7.7、差(DM)=7.2、メソペンタッド分率[mmmm]=96.5%、MFR=3.8g/10min、大韓油化製である。
[実施例1−2.二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製]
得られたキャスト原反シートを140℃の温度に保ち、速度差を設けたロール間に通して流れ方向に4.5倍に延伸(縦延伸)し、直ちに室温に冷却した。流れ方向に延伸して得られた延伸フィルム(MDフィルム)を、その搬送速度に対し1.010倍のテンター入口速度で(テンター入口速度比1.010倍で)、当該延伸フィルムをテンターへ導いた。その後、横延伸温度160℃で幅方向に10倍に延伸した後、緩和、及び熱固定温度166℃を施し、幅5,000mm、厚み2.5μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムをテンター出口の引取ロールでテンター速度の1.15倍の速度で引取りながら、78,000m巻き取った断裁前フィルムロールを得た。
[実施例1−3.断裁後の二軸延伸ポリプロピレンフィルムロールの作製]
図2の模式図に示すように、得られた断裁前フィルムロールからフィルムを巻き出し、幅方向にスリッターにて断裁した。断裁後のポリプロピレンフィルムを巻回する際は、繊維強化プラスチック製のコアを使用し、接圧ロールを備える巻き取り装置を用いて、ポリプロピレンフィルムに面圧を付与しながら巻回する方式を採用した。断裁条件は、速度300m/min、巻出張力40N/m、巻取張力50N/m、巻取面圧400N/mとし、接圧ロールはゴム製の外径152mm、表面硬度40°のものを使用し、幅820mm、長さ75,000mの二軸延伸ポリプロピレンロール(断裁後フィルムロール)を複数本仕上げた。幅820mmの複数本の断裁後フィルムロールのうち、断裁前のロールの幅方向で最も端の位置をスリットして得られたロールをロール1とした。また、幅820mmの複数本の断裁後フィルムロールのうち、断裁前のロールの幅方向の中心部分を含むロール(中心部分がスリットと重複する場合は、中心部分の両隣のいずれかのロール)を、ロール2とした。
[ロール・フィルム特性値の測定]
<遅相軸角度の最大値と最小値の差の測定>
それぞれ、ロール1及びロール2の二軸延伸ポロプロピレンフィルムついて、それぞれ、以下の(a)乃至(c)の手法により、遅相軸角度の最大値と最小値との差を求めた。結果を表2に示す。
(a)ポリプロピレンフィルムの幅方向全長を100%とした時、その両端から10%おきの位置を中心とする、50mm×50mmの測定用サンプルを9枚切り出した。すなわち、幅820mmのロールであれば、各ロールの一端から、(820/9)mm、([820/9]×2)mm、([820/9]×3)mm、([820/9]×4)mm、([820/9]×5)mm、([820/9]×6)mm、([820/9]×7)mm、([820/9]×8)mm、([820/9]×9)mmの地点を中心とする50mm×50mmの測定用サンプルを合計9枚切り出した。
(b)次に測定用サンプルの前記幅方向を0°とし、前記測定用サンプルの幅方向と遅相軸とがなす鋭角の角度を遅相軸角度として測定した。測定装置及び測定条件は以下の通りである。
<測定装置、測定条件>
測定装置:大塚電子株式会社製レタデーション測定装置 RE−100
光源:レーザー発光ダイオード(LED)
バンドパスフィルター:550nm(測定波長)
測定間隔:0.1sec
積算回数:10time
測定点数:15point
ゲイン:10dB
測定環境:温度23℃、湿度60%
(c)9枚の測定用サンプルのうち、前記(b)で測定した遅相軸角度の最大値と最小値の差を求めた。
<円周長の割合ΔXの測定>
ロール1及びロール2について、それぞれ、両端位置、中央位置、及び中央位置から両端位置に向かって50mm間隔の位置で、それぞれ、円周長を測定した。測定には、JIS1級メジャーを使用した。次に、得られた円周長の平均値Xaveに対する、円周長の最大値Xmaxと最小値Xminの差(Xmax−Xmin)の割合ΔX((Xmax−Xmin)/Xave)を算出した。結果を表4に示す。
<剥離線の両端を結ぶ直線の中間点から、剥離線までの最短距離ΔL>
図1の模式図に示すように、得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムロールを、室温23℃、湿度60%の環境下、ロール トゥ ロールの巻出・巻取装置(NUINTEK製 NT−750)にセットし、巻出張力3N/m、速度2m/minの条件でポリプロピレンフィルムの巻き出しを開始し、1分後に、フィルムを巻き出しながら、剥離線の両端を結ぶ直線の中間点Pから、剥離線Sまでの最短距離ΔLを測定した。このとき、最短距離ΔLは、図1の模式図に示すように、ポリプロピレンフィルムの幅方向xに沿うようにして設けた基準線U(剥離線Sよりも巻き出し方向L側に存在する)について、ポリプロピレンフィルムの両端(端部x1,x2)と基準線Uとの距離(巻き出し方向Lにおける距離)と、基準線Uの幅方向xの中央位置から剥離線Sまでの最短距離とを測定して、間接的に最短距離ΔLを測定した。結果を表4に示す。
<二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚み測定>
ロール1及びロール2から巻きだした二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを、マイクロメーター(JIS−B7502)を用いて、JIS−C2330に準拠して測定した。結果を表1に示す。
<二軸延伸ポリプロピレンフィルムの灰分測定>
上記実施例1及び下記実施例2〜14で得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムの灰分を測定した。フィルム約200gを秤量し、白金皿へ移して800℃にて40分間で灰化した。得られた灰分残渣から灰分の割合(ppm)を測定した。結果はいずれの実施例のポリプロピレンフィルムも、灰分は20ppmであった。
<応力25MPa時の歪み率>
引張圧縮試験機(ミネベア株式会社製)を用いて、試験条件(測定温度23℃、試験片長140mm、試験長100mm、試験片幅15mm、引張速度100mm/分)で引張試験を行った。引張試験は、MD,TD,対角(45°)の三方向について行った。次いで、同試験機に内蔵されたデータ処理ソフトにより、25MPa時の歪み率ε1(MD)、ε2(TD)、及びε3(対角)を求めた。結果を表3に示す。
[実施例1−4.コンデンサの作製]
次いで得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムロールを用いて、以下の通りコンデンサを作製した。株式会社ULVAC社製真空蒸着機を用いて二軸延伸ポリプロピレンフィルムに、Tマージン蒸着パターンを蒸着抵抗15Ω/□にてアルミニウム蒸着を施すことにより、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面に金属膜を含む金属化フィルムを得た。60mm幅にスリットした後に、2枚の金属化フィルムを相合わせて、株式会社皆藤製作所製、自動巻取機3KAW−N2型を用い、巻き取り張力250gにて、1076ターン巻回を行った。素子巻きした素子は、プレスしながら120℃にて15時間熱処理を施した後、素子端面に亜鉛金属を溶射し、扁平型コンデンサを得た。扁平型コンデンサの端面にリード線をはんだ付けし、その後エポキシ樹脂で封止した。
[コンデンサ素子加工性の評価]
<蒸着膜ムラ評価>
前記[実施例1−4.コンデンサの作製]のスリット前金属化フィルムについて、スリット前金属化フィルムからロール1周分の全幅フィルムを1枚剥がし取った後、剥がし取った全幅フィルムのロール幅方向中央部から100mm角のフィルム片を切り出した。切り出したフィルム片を、10mm角の100箇所の領域に分割し、100箇所の各領域の中央部について、印字濃度測定機(X−Rite社製938型)を用いて、それぞれ色彩値(L*値、a*値、b*値)を測定した。なお、測定径は8mmのものを使用した。L*値、a*値、b*値のそれぞれについて、100箇所の最大値、最小値、および100箇所の平均値から、以下の式を用いてばらつきを求めた。L*値、a*値、b*値のばらつきのうち、最もばらつきが大きいものについて、以下のようにA〜Cの3段階で評価した。結果を表5に示す。
L*値のばらつき(%)=(L*最大値−L*最小値)/100箇所のL*平均値×100
a*値のばらつき(%)=(a*最大値−a*最小値)/100箇所のa*平均値×100
b*値のばらつき(%)=(b*最大値−b*最小値)/100箇所のb*平均値×100
A:L*値、a*値、b*値のばらつきのうち最も大きいものが5%未満
B:L*値、a*値、b*値のばらつきのうち最も大きいものが5%以上、10%未満
C:L*値、a*値、b*値のばらつきのうち最も大きいものが10%以上、20%未満
D:L*値、a*値、b*値のばらつきのうち最も大きいものが20%以上
<コンデンサ素子の製造の歩留評価>
前記[実施例1−4.コンデンサの作製]において、工程搬送中のフィルムを目視確認し、シワが発生したものは全て不合格とした。また、巻きズレについては、コンデンサ素子の端面から観察したときに、0.2mm以上のズレが発生しているものを不合格とした。100個の素子を作成し、合格となったコンデンサ素子の個数割合を素子歩留率として算出し、以下の基準を与えて評価した。結果を表5に示す。
A:100%
B:90%以上、100%未満
C:80%以上、90%未満
D:80%未満
[コンデンサ素子の初期耐電圧性の評価]
前記[実施例1−4.コンデンサの作製]で得られたコンデンサの試験前の初期静電容量(C0)を、日置電機株式会社製LCRハイテスター3522−50を用いて測定した。次に、コンデンサに450 V/μmの直流電圧を10秒印加した。電圧印加後のコンデンサの静電容量(C1)を同様に測定し、試験前後の容量変化率を、次の式により算出した。
前記の容量変化率を、コンデンサ素子5個について測定し以下の基準で評価した。
A:全ての素子が、−0.5%以上
B:全ての素子が、−0.5%未満、−1%以上
C:1個以上の素子が、−1%以上
[コンデンサ素子の長期耐用性の評価]
<静電容量の変化率ΔC>
前記[実施例1−4.コンデンサの作製]で得られたコンデンサ素子の試験前の初期静電容量(C0)を、日置電機株式会社製LCRハイテスター3522−50にて測定した。次に、105℃の高温槽中にて、コンデンサに直流300V/μmの単位厚み当たりの電圧を500時間負荷し続けた。500時間経過後の素子の容量(C500)をLCRハイテスターで測定し、電圧負荷前後の容量変化率(ΔC)を算出た。ここで、当該容量変化率とは、次の式により算出される。
前記の容量変化率を、コンデンサ5個の平均値により以下の基準で評価した。結果を表5に示す。
A+:−0.5%以上
A:−0.5%未満、−1%以上
B:−1%未満、−5%以上
C:−5%未満、−10%以上
D:−10%未満
(実施例2)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.007倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した(表1)。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例3)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.005倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例4)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.012倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例5)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸倍率4.0倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例6)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸倍率4.9倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例7)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、フィルム厚みを2.3μmにしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例8)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、フィルム厚みを2.0μmにしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例9)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.005倍にしたこと以外は、実施例8と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例10)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.012倍にしたこと以外は、実施例8と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例11)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、フィルム厚みを2.8μmにしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例12)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸温度145℃、テンター入口速度比1.014倍にしたこと以外は、実施例11と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例13)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、断裁後のロール幅を620mmにしたこと以外は、実施例10と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(実施例14)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.001倍にしたこと以外は、実施例8と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例1)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.015倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例2)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.020倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例3)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸温度150℃にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例4)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸倍率3.7倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例5)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸倍率5.2倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例6)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸温度150℃、テンター入口速度比1.015倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例7)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸温度150℃、テンター入口速度比1.007倍にしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例8)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.015倍にしたこと以外は、実施例7と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例9)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.015倍にしたこと以外は、実施例8と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例10)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸温度150℃にしたこと以外は、比較例9と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例11)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.015倍にしたこと以外は、実施例11と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例12)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、縦延伸温度150℃、テンター入口速度比1.020倍にしたこと以外は、比較例11と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
(比較例13)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの作製において、テンター入口速度比1.015倍にしたこと以外は、実施例13と同様にフィルムロールを仕上げ、コンデンサを作製した。また、二軸延伸ポリプロピレンフィルム及びコンデンサ素子について、それぞれ、実施例1と同様に評価した。結果を表2〜5に示す。
実施例1〜14のポリプロピレンフィルムロールは、ポリプロピレンフィルムがコアに巻回されたものであり、(1)前記(a)乃至(c)の手法により得られる、遅相軸角度の最大値と最小値の差が5°未満であり、かつ、(2)ポリプロピレンフィルムロールの両端位置、中央位置、及び中央位置から両端位置に向かって50mm間隔の位置で、それぞれ、円周長を測定した場合に、円周長の平均値Xaveに対する、円周長の最大値Xmaxと最小値Xminの差(Xmax−Xmin)の割合ΔXが、0.2%以下である。表5に示される結果から、実施例1〜14のポリプロピレンフィルムロールは、ポリプロピレンフィルムロールから巻き出されたポリプロピレンフィルムに対して、高い平坦性を維持しながら高精度に金属の蒸着加工を施すことができ、得られたコンデンサ素子は、初期耐電圧性、高温高電圧下での長期耐用性に優れており、また、フィルムのシワやタルミによる巻きズレも抑制され、高い歩留まりでコンデンサ素子を製造することができることが分かる。なお、実施例1〜14のコンデンサ素子の静電容量を測定したところ、いずれも75μFであった。そのため、実施例1〜14におけるコンデンサ素子は静電容量に優れている。
また、実施例1〜14及び比較例1〜13の結果から理解されるように、ポリプロピレンフィルムロールの上記(1)及び(2)の物性は、ポリプロピレンフィルムの厚さ、幅、キャスト金属ドラムの表面温度、延伸倍率、延伸温度、テンター速度比、断裁時の巻取張力、巻取面圧、接圧ロールの表面硬度を調整することによって、好適に設定できる。
1 ポリプロピレンフィルム
2 コア
10 ポリプロピレンフィルムロール
x1 剥離線の一方の端部
x2 剥離線の他方の端部
L 巻き出し方向
M 円周方向
ΔL 剥離線の両端を結ぶ直線の中間点から、剥離線までの最短距離
P 剥離線の両端を結ぶ直線の中間点
Q 中間点Pから剥離線までの最短点
S 剥離線
T 剥離線の両端を結ぶ直線
U 基準線

Claims (7)

  1. ポリプロピレンフィルムがコアに巻き回されてなるポリプロピレンフィルムロールであって、
    下記(1)及び(2)の物性を充足する、ポリプロピレンフィルムロール。
    (1)下記(a)乃至(c)の手法により得られる、遅相軸角度の最大値と最小値の差が5°未満である。
    (a)前記ポリプロピレンフィルムの幅方向全長を100%とした時、その両端から10%おきの位置を中心とする、50mm×50mmの測定用サンプルを9枚切り出す。
    (b)前記測定用サンプルの前記幅方向を0°とし、前記測定用サンプルの幅方向と遅相軸とがなす鋭角の角度を遅相軸角度として測定する。
    (c)9枚の測定用サンプルのうち、前記(b)で測定した遅相軸角度の最大値と最小値の差を求める。
    (2)前記ポリプロピレンフィルムロールの両端位置、中央位置、及び中央位置から両端位置に向かって50mm間隔の位置で、それぞれ、円周長を測定した場合に、円周長の平均値Xaveに対する、円周長の最大値Xmaxと最小値Xminの差(Xmax−Xmin)の割合ΔXが、0.2%以下である。
  2. 前記ポリプロピレンフィルムは、応力25MPa時の長手方向の歪み率(ε1)と幅方向の歪み率(ε2)と対角方向の歪み率(ε3)が、それぞれ、0.6%以上1.5%以下の範囲にある、請求項1に記載のポリプロピレンフィルムロール。
  3. 前記ポリプロピレンフィルムの巻取り長さが、10,000m以上である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルムロール。
  4. 前記ポリプロピレンフィルムは、幅が200mm以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルムロール。
  5. 前記ポリプロピレンフィルムは、厚みが6.0μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルムロール。
  6. 前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属膜を積層して、コンデンサ用金属化ポリプロピレンフィルムを製造するために用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルムロール。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルムロールの前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属膜が積層されてなる、金属化ポリプロピレンフィルムロール。
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