JP7218618B2 - 二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ - Google Patents

二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、フィルムコンデンサ用誘電体として用いた場合に、蒸着、コンデンサ加工時の搬送性に優れ、かつ、高温化における耐電圧特性に優れる二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサに関する。
二軸配向ポリプロピレンフィルムは、透明性、機械特性、電気特性などに優れるため、包装用途、テープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサをはじめとする電気用途などの様々な用途に用いられている。
中でもコンデンサ用途は、その優れた耐電圧特性、低損失特性から直流用途、交流用途に限らず高電圧コンデンサ用に特に好ましく用いられている。最近では、各種電気設備がインバーター化されつつあり、それに伴いコンデンサの小型化、大容量化の要求が一層強まってきている。そのような市場、特に自動車用途(ハイブリッドカーや電気自動車含む)や太陽光発電、風力発電用途の要求を受け、使用環境の高温化等益々要求が厳しくなってきている。そのため、二軸配向ポリプロピレンフィルムの耐電圧特性を維持させつつ、フィルムを耐熱化していくことが必須な状況となってきた。
フィルムの耐熱化は、高温下(使用環境温度として、85℃以上125℃以下を示す)での耐電圧向上を意味するものであり、耐電圧を向上させる手段として、二軸配向ポリプロピレンフィルムの表面形状を均一に制御することが有効であると考えられており、これまでフィルムの表面形状を制御する方法は様々な検討がなされてきた。例えば、ポリプロピレンのβ晶生成、および融解をコントロールすることで表面形状を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、β晶を利用した表面形成はクレーター形状の凹凸が生じてしまうため、その谷部が絶縁破壊しやすく、現在のコンデンサに求められる高温下での耐電圧特性には満たないものであった。また、分岐鎖状ポリプロピレンを添加し、ポリプロピレンの球晶サイズを制御させることで表面形状を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、表面の突起部は微細になるものの、依然として谷部が存在し、その谷部が絶縁破壊しやすく、現在のコンデンサに求められる高温下での耐電圧特性には満たないものであった。さらに、溶融ポリマーをシート化する工程において、冷却温度条件を制御することで表面の谷部の深さや体積を小さくする方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、表面の谷部は小さいものの、突起部と谷部が適切に制御されていなかったため、フィルムを巻回してコンデンサ素子を作成した際のフィルム層間エアー量が多くなる傾向にあったため、現在のコンデンサに求められる高温での長期耐用性には満たないものであった。
特開2014-231584号公報 WO2012-121256A1 WO2014-142264A1 WO2017-077752A1
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、ポリプロピレン樹脂を主成分とする二軸配向ポリプロピレンフィルムであって、素子加工性に優れ、かつ、高温耐電圧特性にも優れた二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサを提供することにある。
上記した課題は、ポリプロピレン樹脂を主成分とする二軸配向ポリプロピレンフィルムであって、厚み(t)が1.0~3.0μmであり、二乗平均平方根粗さ(Sq)が10~70nm、突出山部高さ(Spk)が10~90nm、かつ、突出谷部高さ(Svk)が10~70nmである表面(以下、X面という)を少なくとも片側に有することを特徴とする二軸配向ポリプロピレンフィルムによって達成することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムをコンデンサ用誘電体として用いた場合、素子加工性および高温耐電圧特性に優れており、コンデンサ用誘電体として好適に使用することができる。
以下、さらに詳しく本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサについて説明する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を主成分とする。
ここで、「ポリプロピレン樹脂を主成分」とするとは、二軸配向ポリプロピレンフィルム100質量%中にポリプロピレン樹脂を50質量%以上100質量%以下含むことを意味する。
さらに本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、直鎖状ポリプロピレン樹脂の中で、230℃における溶融流動指数(MFR)が低いものを直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)、高いものを直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)として、さらに分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)とした場合に、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)を主成分として含み、さらに(直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)よりも230℃における溶融流動指数(MFR)が高い)直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)、および分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)を含むことが好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)については後述する。
ここで、「ポリプロピレン樹脂(A)を主成分」とするとは、二軸配向ポリプロピレンフィルム100質量%中にポリプロピレン樹脂(A)を50質量%以上100質量%以下含むことを意味する。
また、ここで二軸配向ポリプロピレンフィルムとは、キャストシートを長手方向と幅手方向の二方向に延伸した二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。つまりここでいう二軸配向とは、長手方向と幅手方向に延伸したという意味である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、厚み(t)が1.0~3.0μmであることが好ましい。厚み(t)は1.2~2.8μmであるとより好ましく、1.5~2.5μmであるとさらに好ましい。厚み(t)が1.0μm未満である場合、機械強度や高温耐電圧特性に劣ったり、製膜および加工時にフィルム破断が生じたりすることがある。一方、フィルム厚み(t)が3μmを超える場合、コンデンサ用誘電体として用いた際に体積当たりの容量が小さくなることがある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、二乗平均平方根粗さ(Sq)が10~70nm、突出山部高さ(Spk)が10~90nm、かつ、突出谷部高さ(Svk)が10~70nmである表面(X面)を少なくとも片側に有することを特徴とする。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片面(X面)の二乗平均平方根粗さ(Sq)が10~70nmである。二乗平均平方根粗さ(Sq)は15~65nmであるとより好ましく、20~60nmであるとさらに好ましく、25~55nmであると特に好ましい。二乗平均平方根粗さ(Sq)が10nm未満の場合、滑り性が悪くなるため製膜および加工時のフィルム搬送工程において搬送シワが生じ易く、フィルムロールの巻姿を悪化させたり、場合によってはフィルムが破断したりしてしまうことがある。一方、二乗平均平方根粗さ(Sq)が70nmを超える場合、製膜および加工時のフィルムの搬送工程においてフィルムが蛇行し易く、フィルムロールの巻姿を悪化させることがある。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片面(X面)の突出山部高さ(Spk)が10~90nmである。突出山部高さ(Spk)は15~85nmであればより好ましく、20~80nmであればさらに好ましく、25~75nmであれば特に好ましい。突出山部高さ(Spk)はISO25178で定義される機能パラメータの一種で、高さデータのベアリングカーブ(ある高さにおける頻度を高い側から累積し、全高さデータの総数を100%として百分率で表したもの。ある高さCにおける負荷面積率はSmr(C)で与えられる)の等価直線(負荷面積率(Smr)の差が40%になる直線のうち最も傾きが小さくなる直線)と負荷面積率=0%の交点よりも高い部分(突出山部)の平均高さを示す。突出山部高さ(Spk)が10nm未満である場合、コンデンサ素子形成時にフィルムの層間エアー量が少なくなり、コンデンサを使用した際にショート破壊しやすくなる。一方、突出山部高さSpkが90nmを超える場合、コンデンサ素子形成時にフィルムの層間エアー量が多くなり、コンデンサを高温で長期間使用した際に容量が低下しやすくなる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片面(X面)の突出谷部高さSvkが10~70nmである。突出谷部高さ(Svk)は15~65nmであればより好ましく、20~60nmであればさらに好ましく、25~55nmであれば特に好ましい。突出谷部高さ(Svk)はISO25178で定義される機能パラメータの一種で、高さデータのベアリングカーブ(ある高さにおける頻度を高い側から累積し、全高さデータの総数を100%として百分率で表したもの。ある高さCにおける負荷面積率はSmr(C)で与えられる)の等価直線(負荷面積率(Smr)の差が40%になる直線のうち最も傾きが小さくなる直線)の負荷面積率=100%における高さよりも低い部分(突出谷部)の平均深さを示す。突出谷部高さSvkが10nm未満である場合、コンデンサ素子形成時にフィルムの層間エアー量が少なくなり、コンデンサを使用した際にショート破壊しやすくなる。一方、突出谷部高さSvkが70nmを超える場合、フィルムが絶縁破壊しやすく、コンデンサ素子として使用時に静電容量が低下しやすい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、二乗平均平方根粗さ(Sq)、突出山部高さ(Spk)、かつ、突出谷部高さ(Svk)が上記範囲である表面(X面)を少なくとも片側に有することを特徴とするが、特に平均平方根粗さ(Sq)、突出山部高さ(Spk)、かつ、突出谷部高さ(Svk)が上記範囲である表面を両側に有するとき、コンデンサ素子形成時の層間エアー量がより適切に制御され、高温での耐電圧が向上する結果となり、より好ましい。
また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムにおいて、二乗平均平方根粗さ(Sq)が10~70nm、突出山部高さ(Spk)が10~90nm、かつ、突出谷部高さ(Svk)が10~70nmである表面をX面とし、X面とは異なる表面をY面とした時、Y面の二乗平均平方根粗さ(Sq)が10~70nm、かつ、突出谷部高さ(Svk)が10~70nmであると好ましい。Y面が上記範囲内であると、製膜および加工時のフィルム搬送工程において搬送シワや蛇行を抑制しやすく、コンデンサ製造時の素子加工性が向上しやすい。Y面の二乗平均平方根粗さ(Sq)は15~65nmであるとより好ましく、20~60nmであるとさらに好ましく、25~55nmであると特に好ましい。また、Y面の突出谷部高さ(Svk)は15~65nmであるとより好ましく、20~60nmであるとさらに好ましく、25~55nmであると特に好ましい。
また、上記X面を有する二軸配向ポリプロピレンフィルムのうち、X面の突出山部高さ(Spk)が40~90nmであり、かつ、Y面の突出山部高さ(Spk)が20~70nmであると好ましい。X面およびY面の突出山部高さ(Spk)が上記範囲内であると、コンデンサ素子形成時にフィルム層間の層間距離がより適切に制御され、コンデンサ素子の保安性が向上しやすい。X面の突出山部高さ(Spk)は45~85nmであるとより好ましく、50~80nmであるとさらに好ましく、55~75nmであると特に好ましい。また、Y面の突出山部高さ(Spk)は25~65nmであるとより好ましく、30~60nmであるとさらに好ましく、35~55nmであると特に好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片面(X面)の突出山部高さ(Spk)と突出谷部高さ(Svk)の比(Spk/Svk)が2.0以下であることが好ましい。突出山部高さ(Spk)と突出谷部高さ(Svk)の比(Spk/Svk)は1.8以下であることがさらに好ましく、1.6以下であれば特に好ましい。突出山部高さ(Spk)と突出谷部高さ(Svk)の比(Spk/Svk)を2.0以下とすると、突出山部高さ(Spk)が高くなり過ぎる、もしくは突出谷部高さ(Svk)が低くなり過ぎるのを防ぎ、コンデンサ素子形成時にフィルムの層間エアー量をより制御しやすくなり、コンデンサを長期間高温で使用した際に容量が減少しにくくなる。比(Spk/Svk)は、2.0以下であれば特に限定されないが、現実的に達成可能な下限は、0.5程度と考えられるため、下限は0.5以上であることが好ましい。比(Spk/Svk)が0.5以上であると、突出山部高さ(Spk)が低くなり過ぎる、もしくは突出谷部高さ(Svk)が高くなり過ぎるのを防ぎ、コンデンサ素子成型時にフィルム層間の間隙距離と層間エアー量のバランスをより適切に制御しやすくなる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片面(X面)のコア部のレベル差(Sk)が50~150nmであることが好ましい。コア部のレベル差(Sk)は60~140nmであるとさらに好ましく、70~130nmであると特に好ましい。コア部のレベル差(Sk)はISO25178で定義される機能パラメータの一種で、高さデータのベアリングカーブ(ある高さにおける頻度を高い側から累積し、全高さデータの総数を100%として百分率で表したもの。ある高さCにおける負荷面積率はSmr(C)で与えられる)の等価直線(負荷面積率(Smr)の差が40%になる直線のうち最も傾きが小さくなる直線)の負荷面積率0%における高さと負荷面積率100%における高さとの差を示す。コア部のレベル差(Sk)を50nm以上とすると、フィルム表面の突出山部および突出谷部以外の凹凸が平滑になり過ぎるのを防ぎ、製膜および加工時のフィルム搬送工程において搬送シワの発生やフィルムロールの巻姿の悪化を防ぐことができる。さらに、コンデンサ素子形成時にフィルムの層間エアー量が少なくなり過ぎるのを防ぎ、コンデンサを使用した際にショート破壊の発生を抑えることができる。一方、コア部のレベル差Skを150nm以下とすると、フィルム表面の突出山部および突出谷部以外の凹凸が粗くなり過ぎるのを防ぎ、製膜および加工時のフィルムの搬送工程においてフィルム蛇行の発生やフィルムロールの巻姿の悪化を防ぐことができる。さらに、コンデンサ素子形成時にフィルムの層間エアー量が多くなり過ぎるのを防ぎ、コンデンサを長期間高温で使用した際に容量が減少しにくくなる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片面(X面)の最大山高さ(Sp)が100~500nmであることが好ましい。最大山高さ(Sp)は150~450nmであるとさらに好ましく、200~400nmであると特に好ましい。最大山高さ(Sp)を100nm以上とすると、滑り性を保ち、製膜および加工時のフィルム搬送工程において搬送シワの発生やフィルムロールの巻姿の悪化を防ぐことができる。一方、最大山高さ(Sp)を500nm以下とすると、製膜および加工時のフィルムの搬送工程においてフィルム蛇行の発生やフィルムロールの巻姿の悪化を防ぐことができる。
次に本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いられるポリプロピレン等の原料について説明する。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)を主成分とし、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)よりも溶融流動指数(MFR)が高い直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)、および分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)を含有することが好ましい。
最初に直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)について説明する。
本発明でいう直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)とは、複数の直鎖状ポリプロピレン樹脂が含まれる場合において、230℃における溶融流動指数(MFR)が低い直鎖状ポリプロピレン樹脂を意味する。
ここで直鎖状ポリプロピレン樹脂とは、230℃で測定したときの溶融張力(MS)(単位:cN)と溶融流動指数(MFR)(単位:g/10分)が、log(MS)≦-0.56log(MFR)+0.74なる関係式を満たすポリプロピレン樹脂を意味する。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの主成分である直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)は、通常コンデンサ用に使用されるポリプロピレン樹脂を用いることができる。本発明で使用する直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)は、冷キシレン可溶部(CXS)が4質量%以下であり、メソペンダット分率(mmmm)が0.950~0.990、溶融流動指数(MFR)が0.5~5.0g/10分であることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成する直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)の冷キシレン可溶部(CXS)は4質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であるとより好ましく、2質量%であると特に好ましい。冷キシレン可溶部(CXS)は、フィルムを135℃のキシレンで完全溶解せしめた後、20℃で析出させた時に、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分のことである。すなわち、冷キシレン可溶部(CXS)は立体規則性や分子量が低いなどの理由により結晶化し難い成分に相当すると考えられる。ポリプロピレン樹脂(A)の冷キシレン可溶部(CXS)を4質量%以下とすることで、二軸配向ポリプロピレンフィルムの高温耐電圧特性や寸法安定性を保つことができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成する直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のメソペンタッド分率(mmmm)は0.950~0.990であることが好ましく、0.960~0.990であるとより好ましく、0.970~0.990であると特に好ましい。メソペンタッド分率(mmmm)は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、数値が高いものほど結晶化度や融点が高く、高温下での耐電圧特性に優れるため好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のメソペンタッド分率を0.950以上とすることで、高温耐電圧特性や寸法安定性を保つことができる。一方、ポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率を0.990以下とすることで、製膜性を保ち安定して二軸配向ポリプロピレンフィルムを得ることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成する直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)の溶融流動指数(MFR)は、JIS K 7210-1(2014)に準拠して230℃、2.16kgの条件で測定した場合において、0.5~5.0g/10分であることが好ましく、1.0~4.5g/10分であるとより好ましく、1.5~4.0g/10分であると特に好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)の溶融流動指数(MFR)を0.5g/10分以上とすることで、製膜性を保ち安定して二軸配向ポリプロピレンフィルムを得ることができる。一方、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)のMFRが5g/10分以下とすることで、寸法安定性や高温耐電圧特性を保つことができる。
直鎖状ポリプロピレン(A)の含有量は65~95質量%であることが好ましく、70~90質量%であるとより好ましい。直鎖状ポリプロピレン(A)の含有量を65%以上とすることで、フィルムの耐熱性を保ち、高温における耐電圧の低下を防ぐことができる。また、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)の含有量を95質量%以下とすることで、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが大きくなり過ぎるのを防ぎ、本発明の表面凹凸を得られやすい。
続いて、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)について説明する。直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)は、直鎖状のポリプロピレン樹脂であって、前述の直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)よりも230℃における溶融流動指数(MFR)が高い樹脂を意味する。そして本発明のコンデンサ用二軸配向ポリプロピレンに含有させる直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)は、通常コンデンサ用に使用されるポリプロピレン樹脂を用いることができる。本発明で使用する直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)は、冷キシレン可溶部(CXS)が4質量%以下であり、メソペンダット分率(mmmm)が0.950~0.990、溶融流動指数(MFR)が3.0~10.0g/10分であることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成する直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の冷キシレン可溶部(CXS)は4質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であるとより好ましく、2質量%であると特に好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の冷キシレン可溶部(CXS)を4質量%以下とすることで、二軸配向ポリプロピレンフィルムの高温耐電圧特性や寸法安定性を保つことができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成する直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)のメソペンタッド分率(mmmm)は0.950~0.990であることが好ましく、0.960~0.990であるとより好ましく、0.970~0.990であると特に好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)のメソペンタッド分率(mmmm)を0.950以上とすることで、高温耐電圧特性や寸法安定性を保つことができる。一方、ポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率が0.990以下とすることで、製膜性を保ち安定して二軸配向ポリプロピレンフィルムが得ることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成する直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の溶融流動指数(MFR)は、JIS K 7210-1(2014)に準拠して230℃、2.16kgの条件で測定した場合において、3.0~10.0g/10分であることが好ましく、4.0~9.0g/10分であるとより好ましく、5.0~8.0g/10分であると特に好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の溶融流動指数(MFR)を3.0g/10分以上とすることで、溶融ポリマーをシート状に形成する際に、球晶サイズが大きくなり過ぎるのを防ぎ、本発明の表面凹凸が得られやすい。一方、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の溶融流動指数(MFR)を10g/10分以下とすることで、高温耐電圧特性を保つことができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成する直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)と直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)において、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の溶融流動指数(MFR)から直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)の溶融流動指数(MFR)を引いた差は1.0~5.0g/10分であることが好ましく、1.5~4.5g/10分であるとさらに好ましく、2.0~4.0g/10分であると特に好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の溶融流動指数(MFR)から直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)の溶融流動指数を引いた差を1.0以上とすると、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが大きくなり過ぎるのを防ぎ、本発明の表面凹凸が得られやすい。また、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の溶融流動指数(MFR)から直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)の溶融流動指数を引いた差を5.0以下とすることで、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが小さくなり過ぎるのを防ぎ、本発明の表面凹凸が得られやすい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムにおいて、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の含有量は5~25質量%であることが好ましく、7~22質量%であるとより好ましく、10~20質量%であると特に好ましい。直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の含有量を5質量%以上とすると、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが大きくなり過ぎるのを防ぎ、本発明の表面凹凸が得られやすい。また、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)の含有量を25質量%以下とすると、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが小さくなり過ぎるのを防ぎ、本発明の表面凹凸が得られやすい。
続いて分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)について説明する。本発明のコンデンサ用二軸配向ポリプロピレンに含有させる分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)は、230℃で測定したときの溶融張力(MS)(単位:cN)と溶融流動指数(MFR)(単位:g/10分)が、log(MS)>-0.56log(MFR)+0.74なる関係式を満たすポリプロピレン樹脂である。230℃で測定したときの溶融張力(MS)とメルトフローレート(MFR)が、log(MS)>-0.56log(MFR)+0.74なる関係式を満たす分岐鎖状ポリプロピレンを得るには、高分子量成分を多く含むポリプロピレンをブレンドする方法、分岐構造を持つオリゴマーやポリマーをブレンドする方法、特開昭62-121704号公報に記載されているようにポリプロピレン分子中に長鎖分岐構造を導入する方法、あるいは特許第2869606号公報に記載されているような方法等が好ましく用いられる。具体的には、Lyondell Basell社製“Profax(商標登録)(PF-814など)”、Borealis社製“Daploy(商標)”(WB130HMS、WB135HMSなど)が例示される。なお、ここでいう分岐鎖状ポリプロピレンとは、カーボン原子10,000個中に対し5箇所以下の内部3置換オレフィンを有するポリプロピレンであり、この内部3置換オレフィンの存在は、1H-NMRスペクトルのプロトン比により確認することができる。分岐鎖状ポリプロピレンは、α晶核剤としての作用を有しながら、一定範囲の添加量であれば結晶形態による粗面形成も可能となる。詳しくは、溶融押出した樹脂シートの冷却工程で生成するポリプロピレンの球晶サイズを小さく制御でき、高温耐電圧特性に優れた二軸配向ポリプロピレンフィルムを得ることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムにおいて、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)の含有量は1~10質量%であることが好ましく、2~9質量%であるとより好ましく、3~8質量%であると特に好ましい。分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)の含有量を1質量%以上とすると、溶融ポリマーをシート状に形成する際に球晶サイズが大きくなり過ぎるのを防ぎ、本発明の表面凹凸が得られやすい。また、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)の含有量を10質量%以下とすると、二軸配向ポリプロピレンフィルムとしての立体規則性が低下するのを防ぎ、高温耐電圧を保つことができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含有せしめることも好ましい。
上記した添加剤の中で、酸化防止剤の種類、および含有量の選定は長期耐熱性の観点から重要である。すなわち、酸化防止剤としては、立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。具体的には、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT:分子量220.4)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えば、BASFジャパン社製Irganox(登録商標)1330:分子量775.2)、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えば、BASFジャパン社製Irganox1010:分子量1177.7)などを単独使用、もしくは併用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含有量はポリプロピレン樹脂組成物全量に対して0.03~1.0質量%であることが好ましく、0.1~0.9質量%であるとより好ましく、0.15~0.8質量%であるとさらに好ましく、0.15~0.6質量%であると特に好ましい。ポリプロピレン樹脂組成物中の酸化防止剤含有量を0.03質量%以上とすると、酸化防止の効果が発現し、長期耐熱性を保つことができる。一方、ポリプロピレン樹脂組成物中の酸化防止剤含有量を1.0質量%以下とすると、高温耐電圧特性を保つことができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、灰分が50ppm(質量基準、以下同じ)以下であることが好ましく、40ppm以下であればより好ましく、30ppm以下であればさらに好ましく、20ppm以下であれば特に好ましい。灰分を50ppm以下とすると、二軸配向ポリプロピレンフィルムの高温耐電圧特性を保つことができる。灰分を上記の範囲とするためには、触媒残渣の少ない原料を用いることが重要であるが、製膜時の押出系からの汚染を極力低減する方法、例えば製膜を開始する前に未劣化のポリプロピレン樹脂でポリマーが流れる経路を十分洗浄する方法を好ましく採用することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片面の表面ぬれ張力が38~52mN/mであることが好ましく、40~50mN/mであるとより好ましく、42~48mN/mであるとさらに好ましい。表面ぬれ張力を38mN/m以上とすると、未満の場合、金属蒸着する際に金属との密着が不十分となることがある。一方、表面ぬれ張力を52mN/m以下とすると、高温耐電圧特性を保つことができる。なお、ポリプロピレンフィルムは通常、表面エネルギーが低く、表面ぬれ張力が30mN/m程度である。表面ぬれ張力を上記の範囲内とするためには、製膜時において、二軸延伸後に表面処理を施す方法が好ましく採用される。具体的には、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー処理、火炎処理などを採用することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上記した直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)からなるポリプロピレン樹脂組成物をシート状に成型し、二軸延伸されることによって得ることが好ましい。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、テンター同時二軸延伸法、テンター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られるが、製膜安定性、厚み均一性の観点でテンター逐次二軸延伸法を採用することが好ましい。特に長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
次に本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの製造方法を以下に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、上記した直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)をドライブレンドして単軸の溶融押出機に供給し、200~260℃にて溶融押出を行う。次に、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて、異物や変性ポリマーなどを除去する。そして、Tダイよりキャストドラム上に吐出してキャストシートを形成し、冷却ロールで冷却させる。
キャストドラムの温度は、β晶および球晶を適切に生成させる観点から80~120℃であることが好ましく、85~115℃であるとさらに好ましく、90~110℃であればさらに好ましい。キャストドラム温度を80℃以上とすると、キャストシート中に形成されるβ晶が少なくなりすぎるのを防ぎ、二軸延伸後に得られるフィルムの滑り性を保つことができるため製膜および加工時のフィルム搬送工程において搬送シワの発生やフィルムロールの巻姿の悪化を防ぐことができる。一方、キャストドラム温度を120℃以下とすると、キャストシート中にβ晶が過剰に形成されるのを防ぐため、製膜および加工時のフィルム搬送工程において蛇行の発生やフィルムロールの巻き姿の悪化を防ぐことができる。
Tダイから吐出された溶融シートがキャストドラムに着地し、ドラムに密着している時間は1~3秒であると好ましい。密着している時間を1秒以上とすることで、溶融シートを固化でき、その後の延伸工程でのフィルム破断を防ぐことができる。一方、密着している時間を3秒以下とすると、キャストシート中にβ晶が過剰に形成されるのを防ぐため、製膜および加工時のフィルム搬送工程において蛇行の発生やフィルムロールの巻き姿の悪化を防ぐことができる。
溶融シートをキャストドラムへ密着させる方法としては、静電印加法、エアーナイフ法、ニップロール法、水中キャスト法などの手法を採用することができるが、厚みむら抑制、高速製膜化、フィルムの表面形状制御の観点からエアーナイフ法が好ましい。エアーナイフのエアー温度は60~80℃であることが好ましい。エアーナイフ温度を60℃以上とすることで、キャストシート中に形成されるβ晶が少なくなり過ぎるのを防ぎ、二軸延伸後に得られるフィルムの滑り性を保ち、製膜および加工時のフィルム搬送工程において搬送シワの発生やフィルムロールの巻姿の悪化を防ぐことができる。一方、エアーナイフ温度を80℃以下とすることで、キャストシート中にβ晶が過剰に形成されるのを防ぐため、製膜および加工時のフィルム搬送工程において蛇行の発生やフィルムロールの巻き姿の悪化を防ぐことができる。
キャストシートの冷却温度は10~40℃であることが好ましい。冷却温度が10℃以上であると、その後の縦延伸工程でフィルムを所望の温度まで上昇させることができ、縦延伸工程での破断を防ぎ、延伸工程後に本発明の表面形状が得られやすい。一方、冷却温度を40℃以下とすることで、キャストシート中の結晶形成を停止でき、延伸工程後に得られるフィルムの表面形状が長手方向にばらつくのを防ぐことができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得るためには、縦延伸工程の前にキャストシートを60~100℃の雰囲気下で3~10秒アニール処理することが好ましい。アニール処理をする方法としては、温度制御した回転ロールを用いる方法や熱風オーブンを使用する方法などが挙げられるが、フィルムを均一に加熱するには熱風オーブンを使用する方法が好ましい。キャストシートをアニール処理することにより、非晶部の一部が部分溶解および再結晶化することで球晶サイズが均質化され、延伸工程後に高さの高い粗大突起や深さの深い谷部の形成を抑制し、突出山部高さ(Spk)と突出谷部高さ(Svk)を適切に制御することができる。アニール処理の温度を60℃以上とすることで、球晶サイズの均質化が進み、高い突起や深い谷部が形成されるのを防ぐことができる。一方、アニール処理温度を100℃以下とすることで、球晶サイズが均質化する前にβ晶からα晶への転移が始まるのを防ぎ、アニール処理の効果が得られやすい。
また、二軸配向ポリプロピレンフィルムの表裏において突出山部高さ(Spk)および突出谷部高さ(Svk)を調整するには、キャストシートの表裏のアニール処理温度を独立に制御することが好ましい。キャストシートの表裏で異なる温度でアニール処理をする方法としては、キャストシートを温度制御した回転ロールに通し、反対面から温度制御したニップロールでニップする方法や、熱風オーブン内でキャストシートの表裏に異なる温度の熱風を吹き付ける方法などが挙げられるが、キャストシートの表裏のそれぞれの面で均一に加熱するには熱風オーブン内でキャストシートの表裏に異なる温度の熱風を吹き付ける方法が好ましい。
次に、縦延伸工程にてアニール処理後のキャストシートを長手方向に延伸する。具体的にはアニール処理後のキャストロールを125~145℃に制御したロールに通し、ロール間の周速差によって所定の延伸速度、延伸倍率で長手方向に延伸する。
長手方向の延伸倍率は4.0~7.0倍であると好ましく、5.0~7.0倍であるとさらに好ましい。延伸倍率を高くするほどフィルム表面形状は均一となり高温耐電圧特性にも優れる。長手方向の延伸倍率を7.0倍以下とすることで、縦延伸工程でのフィルム破断や次の横延伸工程でフィルム破れの発生を抑制することができる。
長手方向の延伸速度は、均一延伸、安定製膜の観点から1,000,000~3,500,000%/分であることが好ましく、1,000,000~3,000,000%/分であるとより好ましく、1,500,000~3,000,000%/分であるとさらに好ましく、2,000,000~3,000,000%/分であると特に好ましい。長手方向の延伸速度を1,000,000%/分以上とすることで、均一なフィルム表面形状が得られやすく、高温耐電圧特性を保つことができる。一方、長手方向の延伸速度を3,500,000%/分以下とすることで、製膜時にフィルム破断を防ぐことができる。長手方向の延伸速度の計算方法は、式(2)で表される。なお、回転ロール方式で延伸する際の延伸区間は、周速差のあるロール間の接線距離とし、延伸速度は延伸区間内で均一であると仮定する。
長手方向の延伸速度(%/分)=(MDX-1)×100/(L/V) ・・・(2)
MDX:長手方向の延伸倍率(倍)
L:延伸区間距離(m)
V:延伸後の製膜速度(m/分)。
フィルムの長手方向への延伸の際には、フィルム幅が減少する所謂ネックダウンと呼ばれる現象が見られるが、厚み斑の観点で、ネックダウン率(延伸後のフィルム幅/延伸前のフィルム幅×100)は90~99%であれば好ましい。
次に、縦延伸シートのフィルム端部をクリップで把持させ、温度140~165℃に制御したテンター式延伸機にて延伸倍率8~15倍、延伸速度10,000~45,000%/分で幅方向に延伸する。幅手方向の延伸速度の計算方法は、式(3)で表される。
幅手方向の延伸速度(%/分)=(TDX-1)×100/t ・・・(3)
TDX:幅手方向の延伸倍率(倍)
t:幅手方向の延伸時間(分)。
さらに、幅方向に5~15%弛緩しつつ、温度150~170℃で熱固定する。
次に、二軸延伸されたポリプロピレンフィルムに空気中、窒素中、炭酸ガス中、あるいはこれらの混合気体中でコロナ放電処理を行い、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、端部を除去したフィルムを巻取機で巻取る。最後に、スリッターにて、得られたフィルムをスリットし、フィルムロールとしてコアに巻回し、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得る。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、コンデンサ用誘電体として好ましく用いられるが、コンデンサのタイプに限定されるものではない。具体的には、電極構成の観点では箔巻コンデンサ、金属蒸着膜コンデンサのいずれであってもよいし、絶縁油を含有させた油浸タイプのコンデンサや絶縁油を全く使用しない乾式コンデンサにも好ましく用いられる。また、形状の観点では、巻回式であっても積層式であっても構わない。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性から特に金属蒸着膜コンデンサとして好ましく用いられる。
本発明において、上記した二軸配向ポリプロピレンフィルムの少なくとも一方の表面に金属膜を設けて金属膜積層フィルムとすることが好ましい。その方法は特に限定されないが、例えば、当該フィルムの少なくとも片面にアルミニウムを蒸着してフィルムコンデンサの内部電極となるアルミニウム蒸着膜などの金属膜を設ける方法が好ましく用いられる。このとき、アルミニウムと同時あるいは逐次に、例えば、ニッケル、銅、金、銀、クロム、および亜鉛などの他の金属成分を蒸着することもできる。また、蒸着膜上にオイルなどで保護層を設けることもできる。
金属膜積層フィルムの金属膜の厚さは、フィルムコンデンサの電気特性とセルフヒール性の観点から20~100nmであることが好ましい。また、同様の理由により、金属膜の表面抵抗値が1~20Ω/□であることが好ましい。表面抵抗値は、使用する金属種と膜厚で制御可能である。
本発明では、必要により金属膜を形成後、金属膜積層フィルムを特定の温度でエージング処理を行ったり、熱処理を行ったりすることができる。また、絶縁もしくは他の目的で、金属膜積層フィルムの少なくとも片面にポリフェニレンオキサイドなどのコーティングを施すこともできる。
このようにして得られた金属膜積層フィルムは、種々の方法で積層もしくは巻回してフィルムコンデンサを得ることができる。つまり本発明のフィルムコンデンサは、本発明の金属膜積層フィルムからなる。以下では巻回型コンデンサの好ましい製造方法を次に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの片面にアルミニウムを真空蒸着する。その際、フィルムの長手方向に走るマージン部を有するストライプ状にアルミニウムを蒸着する。次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、表面が一方にマージンを有したテープ状の巻取リールを作製する。左もしくは右にマージンを有するテープ状の巻取リールを左マージン、および右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部よりはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、巻回体を得る。この巻回体から芯材を抜いてプレスし、両端側にメタリコンを溶射して外部電極とし、ついで、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサを得ることができる。フィルムコンデンサの用途は、車輌用、家電用(テレビや冷蔵庫など)、一般雑防用、自動車用(ハイブリッドカー、パワーウインドウ、ワイパーなど)、および電源用など多岐に亘っており、本発明のフィルムコンデンサもこれら用途に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。但し、実施例2、4は参考例とする。
(1)メソペンタッド分率(mmmm)
ポリプロピレン樹脂試料を溶媒に溶解し、13C-NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)を求めた(参考文献:新版 高分子分析ハンドブック 社団法人日本分析化学会・高分子分析研究懇談会 編 1995年 P609~611)。
A.測定条件
装置:Bruker社製 DRX-500
測定核:13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
測定濃度:10wt%
溶媒:ベンゼン/重オルトジクロロベンゼン=質量比1:3混合溶液
測定温度:130℃
スピン回転数:12Hz
NMR試料管:5mm管
パルス幅:45°(4.5μs)
パルス繰り返し時間:10秒
データポイント:64K
換算回数:10,000回
測定モード:complete decoupling
B.解析条件
LB(ラインブロードニングファクター)を1.0としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとした。WINFITソフト(Bruker社製)を用いて、ピーク分割を行う。その際に、高磁場側のピークから以下のようにピーク分割を行い、さらに付属ソフトの自動フィッティングを行った。ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmのピーク分率の合計を求めた。なお、上記測定を5回行い、その平均値を本試料のメソペンタッド分率(mmmm)とした。
ピーク
(a)mrrm
(b)(c)rrrm(2つのピークとして分割)
(d)rrrr
(e)mrmr
(f)mrmm+rmrr
(g)mmrr
(h)rmmr
(i)mmmr
(j)mmmm
(2)溶融流動指数(MFR)
JIS K 7210-1(2014)に準拠して230℃、2.16kgの条件で測定した。
(3)溶融張力(MS)
株式会社東洋精機製作所メルトテンションテスター(キャピラリー直径2.1mm、シリンダー径9.55mm)を用いて、ポリプロピレン樹脂を230℃に加熱し、溶融ポリプロピレンを押出速度15mm/分で吐出ストランドし、このストランドを6.5m/分の速度で引き取る際の張力を測定し、溶融張力(MS)とした。
(4)冷キシレン可溶部(CXS)
ポリプロピレン樹脂0.5gを135℃の沸騰キシレン100mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させる。ろ過液に溶解しているポリプロピレン系成分を液体クロマトグラフ法で定量した。沸騰キシレン溶解前のポリプロピレン樹脂の質量をX0(g)、ろ過液に溶解しているポリプロピレン成分の質量をX(g)としたとき、冷キシレン可溶部(CXS)を下記式(4)から求めた。
CXS(質量%)=(X/X0)×100 ・・・(4)
(5)二乗平均平方根粗さ(Sq)、突出山部高さ(Spk)、突出谷部高さ(Svk)、コア部のレベル差(Sk)、最大山高さ(Sp)
株式会社菱化システム社製非接触表面・層断面形状測定システムVertScan2.0(型式:R3300GL-Lite-AC)を用いて測定した。スリット後のフィルムロールから採取したサンプルにおいて、フィルムの幅方向の中心位置で、長手方向に無作為に抽出した10箇所を測定箇所とし、その平均値をそのサンプルの二乗平均平方根粗さ(Sq)、突出山部高さ(Spk)、突出谷部高さ(Svk)、コア部のレベル差(Sk)、最大山高さ(Sp)とした。1回の測定の詳細条件については下記の通りとした。なお、1回の測定に対して1視野(視野面積1,252μm×939μm=1,175,628μm)の観察を行った。
A.測定条件
CCDカメラ:SONY HR-57 1/2”
対物レンズ:10X
鏡筒:0.5X BODY
波長フィルター:530 white
測定モード:Wave
視野サイズ:640×480
スキャンレンジ:(スタート)5μm、(ストップ)-5μm
B.測定方法
フィルム測定には専用のサンプルホルダーを使用する。サンプルホルダーは中心に円形の穴が空いた脱着可能な2枚の金属板であり、その間にシワがない状態でフィルムを挟み固定し、中央円形部のフィルムについて測定した。
C.解析方法
上記測定により得られたデータをVertScan2.0の画像解析ソフトVS-Viewerで解析した。まず、メディアンフィルター(5×5)によりノイズを除去し、カットオフ値250μmのガウシアンフィルターによりうねり成分を除去した。次いで、「ISOPara」機能により、ISO25178で定義される二乗平均平方根粗さ(Sq)、突出山部高さ(Spk)、突出谷部高さ(Svk)、コア部のレベル差(Sk)、最大山高さ(Sp)を算出した。なお、「ISOPara」機能において、S-Filterを6.0μmに設定した。
(6)厚み(t)
JIS C 2330(2014)に準じ、マイクロメーター法により厚みを測定した。
(7)表面ぬれ張力
ホルムアルデヒドとエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合液によるJIS K6768(1999)に規定された測定方法に基づいて測定した。
(8)灰分
初期質量Wの二軸配向ポリプロピレンフィルムを白金るつぼに入れ、ガスバーナーで十分に燃焼させた後、750~800℃の電気炉で1時間処理して完全に灰化し、得られた灰の質量Wを測定し、下記式(5)から算出した。
灰分=(W/W)×1,000,000(ppm) ・・・(5)
(9)コンデンサ製造における素子加工性
後述する各実施例、および比較例において得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムのコロナ処理を施した面に、株式会社ULVAC社製真空蒸着機でアルミニウムを15Ω/□となるように真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状にアルミニウムを蒸着した(蒸着部の幅39.0mm、マージン部の幅1.0mmの繰り返し)。ついで、各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左右いずれかの端部に0.5mmのマージン部を有する全幅20mmのテープ状巻取リールを作製した。得られたリールの左マージン、および右マージンのもの各1本ずつを幅方向に蒸着部分がマージン部より0.5mmはみ出すように2枚を重ね合わせて巻回し、静電容量10μFの巻回体を得た。素子巻回には株式会社皆藤製作所社製KAW-4NHBを使用した。
上記コンデンサ製造の際、巻き始めから巻き終わりまでを目視で観察し、シワやずれが発生したものを不合格とし、不合格となったものの数により素子加工性を評価した。なお、コンデンサ素子は50個作製し、下記判断基準により評価した。
◎:不良品なし
〇:不良品1個
△:不良品2~3個以上
×:不良品4個以上。
(10)コンデンサ特性の評価
上記コンデンサ製造において合格であったコンデンサ素子10個においてコンデンサ特性を評価した。まず、室温にて静電容量(C)を測定した。次いで、115℃の高温下でコンデンサ素子に325VDC/μm(厚み(t)が2.0μmのとき、印加電圧は650V)の電圧を500時間印加した。その後、室温にて静電容量(C)を測定し、電圧印加前後の静電容量の変化率(ΔC)を下記式(6)から算出した。
ΔC=((C-C)/C)×100 ・・・(6)
コンデンサ素子10個の電圧印加前後の静電容量の変化率(ΔC)の平均値をそのサンプルの変化率とし、下記判断基準により評価した。
◎:ΔCが2%未満
〇:ΔCが2%以上3%未満
△:ΔCが3%以上5%未満
×:ΔCが5%以上。
(実施例1)
メソペンタッド分率が0.980で、溶融流動指数(MFR)が2.6g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が1.5wt%、重量平均分子量(Mw)が40万、数平均分子量(Mn)が6.5万である株式会社プライムポリマー製ポリプロピレン樹脂(以下、直鎖状ポリプロピレン(A1)と表記)(log(MS)≦-0.56log(MFR)+0.74の関係を満たす)を80質量%、メソペンダット分率(mmmm)が0.975、溶融流動指数(MFR)が4.0g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が1.7wt%、重量平均分子量(Mw)が35万、数平均分子量(Mn)が5.5万である株式会社プライムポリマー製ポリプロピレン樹脂(以下、直鎖状ポリプロピレン(B1)と表記)(log(MS)≦-0.56log(MFR)+0.74の関係を満たす)15質量%、および、Borealis社製WB135HMS(以下、分岐鎖状ポリプロピレン(H1)と表記)(log(MS)>-0.56log(MFR)+0.74の関係を満たす)を5質量%ドライブレンドし、単軸の溶融押出機に供給した。温度250℃でポリプロピレン樹脂を溶融し、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去した。なお、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B1)の溶融流動指数(MFR)から直鎖状ポリプロピレン樹脂(A1)の溶融流動指数(MFR)を引いた差は1.4であった。
次いで溶融樹脂を、T型スリットダイよりシート状に溶融押出し、温度100℃に保持されたキャストドラム上でエアー温度60℃のエアーナイフにより密着さ固化させた後、温度30℃に保持した冷却ロール上で冷却した。なお、キャストドラムと溶融シートが密着していた時間はそれぞれ1.0秒であった。ここで、キャストドラムに接地した側の面をA面、A面の反対側の面をB面とした。
得られたキャストシートを80℃に制御した熱風オーブンで5秒間アニール処理後、温度140℃の縦延伸ロールで延伸速度2,500,000%/分で長手方向に5.5倍延伸し、室温まで冷却した。次に縦延伸シート端部をクリップで把持して160℃で幅方向に延伸速度20,000%/分で11倍延伸した。さらに、158℃で幅方向に12%の弛緩を行った。その後、室温まで除冷した後にフィルムのA面側に25W・min/mの処理強度でコロナ放電処理を施し、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、端部を除去したフィルムを巻取機で巻取った。最後に、スリッターにてフィルム幅0.82mとなるようにスリットし、長手方向に30,000mをフィルムロールとしてコアに巻回し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(実施例2)
直鎖状ポリプロピレン(A1)を70質量%、直鎖状ポリプロピレン(B1)を25質量%、分岐鎖状ポリプロピレン(H1)を5質量%とした以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(実施例3)
直鎖状ポリプロピレン(A1)を90質量%、直鎖状ポリプロピレン(B1)を5質量%、分岐鎖状ポリプロピレン(H1)を5質量%とした以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(実施例4)
アニール処理温度を95℃とした以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(実施例5)
アニール処理温度を60℃とした以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(実施例6)
アニール処理をしないこと以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(実施例7)
直鎖状ポリプロピレン(A1)を95質量%、分岐鎖状ポリプロピレン(H1)を5質量%とし、直鎖状ポリプロピレン(B1)を含有しないこと以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(実施例8)
アニール処理工程において、A面側の熱風温度を70℃、B面側の熱風温度を90℃とした以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(実施例9)
アニール処理工程において、A面側の熱風温度を60℃、B面側の熱風温度を95℃とした以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(比較例1)
ポリプロピレン樹脂(B1)と分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H1)を含有しないこと以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(比較例2)
アニール処理をしないこと以外は実施例7と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(比較例3)
直鎖状ポリプロピレン(A1)を85質量%、直鎖状ポリプロピレン樹脂(B1)を15質量%混合し、アニール処理をしないこと以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(比較例4)
直鎖状ポリプロピレン(A1)を85質量%、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H1)を15質量%混合し、アニール処理をしないこと以外は実施例1と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(比較例5)
アニール処理温度を80℃とした以外は比較例3と同様に作成し、厚み2.0μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
Figure 0007218618000001
Figure 0007218618000002
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、コンデンサ用誘電体として用いた場合、表面形状が制御されているため素子加工性に優れるだけでなく、高温耐電圧特性にも優れる二軸配向ポリプロピレンフィルムとして提供することができる。

Claims (10)

  1. ポリプロピレン樹脂を主成分とする二軸配向ポリプロピレンフィルムであって、厚み(t)が1.0~3.0μmであり、二乗平均平方根粗さ(Sq)が10~70nm、突出山部高さ(Spk)が10~90nm、かつ、突出谷部高さ(Svk)が38~70nmである表面(以下、X面という)を少なくとも片側に有することを特徴とする二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  2. 前記表面(X面)の突出山部高さ(Spk)と突出谷部高さ(Svk)の比Spk/Svkが2.0以下である、請求項1に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  3. 前記表面(X面)のコア部のレベル差(Sk)が50~150nmである、請求項1または2に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  4. 前記表面(X面)の最大山高さ(Sp)が100~500nmである、請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  5. 前記表面(X面)とは異なる表面をY面とした時に、Y面の二乗平均平方根粗さ(Sq)が10~70nm、かつ、突出谷部高さ(Svk)が10~70nmである、請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  6. 前記表面(X面)とは異なる表面をY面とした時に、X面の突出山部高さ(Spk)が40~90nm、であり、Y面の突出山部高さ(Spk)が20~70nmである、請求項1~5のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  7. 前記ポリプロピレン樹脂において、直鎖状ポリプロピレン樹脂の中で、230℃における溶融流動指数(MFR)が低いものを直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)、高いものを直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)として、さらに分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)とした場合に、直鎖状ポリプロピレン樹脂(A)を主成分として含み、さらに直鎖状ポリプロピレン樹脂(B)及び分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(H)を含む、請求項1~6のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  8. コンデンサ用誘電体として用いられる、請求項1~7のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  9. 請求項8に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を形成してなる金属膜積層フィルム。
  10. 請求項9に記載の金属膜積層フィルムからなるフィルムコンデンサ。
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